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1955-07-30 第22回国会 参議院 文教委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月三十日(土曜日)    午前十一時二十分開会   —————————————   委員の異動 七月二十九日委員石坂豊一辞任につ き、その補欠として松原一彦君を議長 において指名した。  本日委員木村守江君及び松原一彦辞任につき、その補欠として白井勇君 及び井村穂二君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            雨森 常夫君            吉田 萬次君            荒木正三郎君    委員            大谷 瑩潤君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            白井  勇君            堀  末治君            加賀山之雄君            高橋 道男君            安部キミ子君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            村尾 重雄君            井村 徳二君   国務大臣    文 部 大 臣 松村 謙三君    国 務 大 臣 大麻 唯男君   政府委員    警察庁警備部長 山口 喜雄君    文部政務次官  寺本 広作君    文部大臣官房総    務課長     田中  彰君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    文部省社会教育    局長      寺中 作雄君    文部省管理局長 小林 行雄君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省管理局学    校給食課長   岩倉 武嗣君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○継続調査要求の件 ○委員派遣承認要求の件 ○日本学校給食法案内閣提出、衆議  院送付) ○教育文化及び学術に関する調査の  件  (津市橋北中学校生徒遭難事件に関  する件) ○公立中学校屋内運動場整備促進に  関する決議案に関する件   —————————————
  2. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまより文教委員会開会いたします。  まず先刻開かれました理事会経過報告を行います。  それによりますると、継続調査要求に関する件を議題といたしまして、次に日本学校給食会法案に移り、第三番目に緊急質問として、津市橋北中学校生徒遭難事件に関すこと、これは報告を受けますほかに、また緊急質問がある予定になっております。次に屋体に関する決議案公立中学校屋内運動場整備促進に関する決議案、これが議員から提出せられて、これが御審議願うことになります。その次に教育文化及び学術に関する件、内容といたしましては、鹿児島松元事件に関する報告事件当時における学校当局の態度、鹿児島教育委員会もみ消し運動実態教科書制度に関する件、高等学校教科課程に関する件、中小炭鉱地帯における学校給食に関する件等であります。この順序に従ってきょうの議事を進めようということに委員長理事打合会において審議決定になった次第でありまするから御報告を申し上げます。以上の通りで、今日の議事を進めることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 笹森順造

    委員長笹森順造君) さよう決定いたします。  なお議長に提出する要求書の作成については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議なければ、さよう決定いたします。
  5. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 継続調査要求に関する件をお諮りいたします。  当委員会といたしましては今期国会教育文化及び学術に関する調査について承認を受け、各種の問題について調査を継続して参りましたが、いまだ結了に至っておりません。従って閉会中も本件に関し継続して調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議なければさよう決定いたします。   —————————————
  7. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に閉会中の委員派遣について先刻の理事会でも一応御相談願っておいた次第でありますが、次のような案件で行なってはどうかということになりました。  休会中の実施調査。  一、調査案件。   1 僻地教育。   2 大学教育。   3 定時制高校教育教課程問題等。   4 その他教育文化に関する全般的事項。  二、視察地。   第一班、三重県、奈良県、和歌山県、兵庫県。   第二班、岐阜県、富山県、石川県。   第三班、宮城県、岩手県、青森県。  三、人員。  この件は委員長に御一任願いたいと思います。  四、期間。   各班七日、計約四十二日。  五、時期。   九月中の予定。  大体そのように取り運ぶこととし、人選、手続等その他の事項については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は今読み上げられました県の名前ですね。これは視察する人の考えも若干考慮に入れて多少変更することを私は了承しておいていただいた方がいいのじゃないかと思うのですがね。
  9. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それは差しつかえないと思いますので、ただ現地の県に一応打ち合せをする必要があると思いますから、そのことについては当事者の方々とあるいは班長と御相談の上、委員長と御協議を願って、その土地方々連絡がとれるような御配慮の上でやる必要があると思いますので、さよう御了承を願って差しつかえないと思います。
  10. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私が申し上げておるのは、大体東北とか北陸とか北海道とか一つブロックにおいて大体指定しておいて、これじゃ関東一つも入ってないですよ。そういうことでなしに、やはり大体のブロックを三つぐらいに、東北とか関東とか関西とか分けておいて、その中でなお具体的に県名をきめていったらいいと思うのですが、これはやはり私は若干不公平だと思うのですよ、関東のような広いところが全然入っていないというのは。そういうつもりで言っているんです。
  11. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 皆さんにお諮りいたします。今の視察地の問題につきましては、一応こういう視察地予定として理事会においてお諮りして、別に御異議がなかったのでありますが、ただいま荒木君からまた意見が出ておりますので、これを一応お諮りしておきます。
  12. 吉田萬次

    吉田萬次君 大体こういうふうに指示せられたについては、何かそこに特殊事情があって、そうしてそこへ出されたように思うのですが、それによってということに私ども考えておりますが、もしそういうブロックにするのだったら、九州とか中国とか四国とかいう方面も考慮しなければならぬと思いますが、何かその場所を選定せられるについての腹案というものは何かありますか。
  13. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 大体従来の視察をして参りました土地も勘案し、さらに調査案件として取り上げました問題等関連をも考慮に入れて、大体こういう案を事務当局で作ったわけでございまして、これは事務当局の案に対して委員長から提案をして、理事会において大体御了承願ったことでありますが、委員会全体会議において御希望があると、無論その間にいろいろと訂正加除をすることは一向差しつかえないと思いますから、皆さん方の御決議によにて取り迦びをしたいと思います。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は別に固執するつもりはないので、若干これはゆとりをおいてもらうと、だれだれが行かれるかきまったときに、若干の変更ができるようにしておいた方が各委員の便利になると、そういう意味で申し上げたのです。
  15. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それではお諮りいたします。大体この視察地は一班、二班、三班、こういう工合にして、その便宜上、今荒木君の御希望の、お述べになったようなことが考慮せられて差しつかえないと、こういう御理解でよろしゅうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 堀末治

    堀末治君 私は少し希望がありますが、いつもこの視察のときには割り当てられた旅費の関係で遠い所は困る、こういうのです。私は何もそうでなくて、かりに遠くても調査する必要がある所ならば、それは予算の方は今お聞きすれば余るほど予算があるというならば、何もむだに使う必要はなく、私は遠い所でも行かなければならないという所があったならば、これは出しておいてもらうのは必要だと思いますから、そういう点を希望として私はつけ加えておきます。
  17. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいま荒木君からお述べになりましたことをこの計画の中に織り込むことといたしまして、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
  19. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に、日本学校給食会法案議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。本案は御承知の通り五月二十八日本委員会予備付託となりまして、昨日衆議院において可決の上本付託となりました。本委員会においては五月三十一日に提案理由を聴取し、六月二十一、三十三日の両日にわたり政府に対しすでに相当な質疑を行なっております。本日はなるべく重複を避けて御質問を願いたいと存じます。
  20. 白井勇

    白井勇君 私はこの学校給食というものが教育的に実施をされまする重要性、それから国民の食生活改善の面から見ましても非常に重要な問題であるということにつきまして、非常に関心を持ち多大の朝時を持っておるのであります。そういう立場に立っていろいろ現在の学校給食というものを見ました場合に、いろいろ文部当局お尋ねをしてみたい点、あるいはまた希望等も出てくるわけであります。きょうは大臣にいろいろお尋ねをしてみます前に、現在の学校給食というもの、実態というものを確認する意味合いにおきまして、文部省のまず事務当局お尋ねをしてみたいと思うのでありますが、学校給食法というものが制定されましてから、一体文部省というものは学校給食運営に当りましてどういうことをやってきておるのであるか、具体的に承わりたいと思います。
  21. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 昨年六月にこの学校給食法ができたわけでございますが、従来国の法規に従って学校給食というものが行われておらなかった、この法律によって初めて法的根拠が与えられました。学校給食目標その他きわめてはっきりした根拠を持つことになったのでございます。その後文部省といたしましては、この給食法趣旨に従いまして学校給食実施する基準あるいは運営のいろいろな面につきまして各府県指導もし注意も十分与えてきたのでございます。また予算等におきましてもこの法律の命ずるところに従って、たとえば学校給食を開設します場合の施設あるいは設備についての補助を出すというようなことをやって参っておるのでございまして、昨年この学校給食法が施行せられまして以来この一年間にこの学校給食を開始いたしました学校あるいは給食を受けます児童の数の増加というものが非常な勢いに上ってきておるのでございます。またそれから学校給食法の指示するところに従いまして学校給食指導書改訂等も行なってきておるのでございます。学校給食向うべき目標あるいは掌校給食のいわば指導的なというか、精神普及というようなことにも十分力を尽して参ったつもりでございます。
  22. 白井勇

    白井勇君 法文を見ますというと、第八条、第九条の補助金交付関係だけが残されました文部省仕事でありまして、今まで法が制定され、施行令が出、規則が出まして、さらに管理局長通牒が出る、それから給食基準に関しまする学校給食実施基準というものが一応出ておるわけでありますが、そういうような法令関係あるいは運営上の基準が出ますというと、あと残ります問題は、先ほど申しましたように、法第八条、第九条によります補助金交付の問題、それに関連いたしましたことだけが文部省仕事になっておるように思うのでありまするが、また法十二条を見ましても、末端からの報告をとりますることは、ただ法の十条に関する事項のみでありまして、その他のことにはほとんど法律の建前からいいまするというと、触れ得ないような格好になるようにも見えるのでありまするが、これは他の教育法でいうようなものによって特別の指導監督というものができる格好になっておりまするのかどうか、その辺承わりたい。
  23. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学校給食法で国の関与し得る範囲は、国のいわゆる開設に必要なる施設または設備に対する補助だけか、あるいはそれ以外のこともできるのかということでございますが、この第一条にございますように、この法律目的といたしまして、学校給食普及充実をはかるというのがこの法律目的になっております。従って、文部省といたしましては、やはり学校給食趣旨普及ということに相当力を入れておるのでございまして、先ほどお答え申し上げました中にも、まず学校給食普及するためには給食を行う指導精神と申しますか、そういった面の趣旨徹底ということがきわめて大事だと思っておりまして、指導書を作っておるわけでございます。それからなお、これは文部省と従来ございます財団法人日本学校給食公等とも協力してやっておることでございますが、この普及のための講演会あるいは調理なりの講習会あるいは栄養管理のための講習会というようなことも合せて行なっておるのでございまして、従っていわゆるこの法に焼足してございますところの補助盃の支出だけというふうに私どもとしては考えておりません。そういった面にも力を入れ、また学校教育の一環として行われております以上、学校休職教育指導という面にも力を入れて参っておるのでございます。
  24. 白井勇

    白井勇君 今お話のように力を入れておるというお話ですけれども、具体的に、たとえば指導書を作るということで、一体どの程度そういう学校給食についての趣旨徹底なり、いわゆる給食についての指導というのが行われておりますのか、その辺は具体的に文部省としまして、少くともどういうことをとっておるかということになるのですか、もう少し具体的にお話願えませんか、どの程度のことをやっておられるのか。
  25. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) これは一々個々学校給食実施しておりますところの学校職員を呼び集めて指導するというわけにも参りませんので、これは他の教科の場合と同様にやはり府県学校給食を直接主管あるいは管理しておりますところの課の課長あるいは係員に年に数回集ってもらいまして、そういった面の趣旨普及をはかり、また先ほど申しましたような講演会なりあるいは講習会を通じまして、そういった趣旨普及をはかる、こういうことをいたしておるのでございます。
  26. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっとそれに関連してお尋ねいたします。今学童給食会調理講習会というものを開いて趣旨徹底普及をはかっていく、こういうお話ですが、今度アメリカ余剰農産物協定日本政府が結んだわけですが、第五条の第三号の中に合衆国農産物の新たな市場両国利益になるように発展させることを助長するために約七億二千万円の予算が組んでありますが、当然これは本協定に基く物資が学童給食の中に取り入れられるとすると、ただいま申し上げた五条の三号に基くこの見返り資金の一部が学童給食普及、その他調理講習会などに振り向けられるように私どもとしては考えられるのですが、その点についてはいかがになっておりましょうか。
  27. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ただいまの余剰農産物関係五条関係事項につきましては、まだアメリカ政府との具体的な話し合いができておりませんが、一応やはり学校給食につきましては、これは学校給食だけではございませんので、それ以外のまあ食生活改善その他広い意味のものになると思いますが、そういった面の趣旨普及その他に使われることになり得ると思いますが、具体的なこまかい条件の話し合いがまだできていないのであります。
  28. 高田なほ子

    高田なほ子君 しかし、文部当局としてはこの七億二千万円の市場開拓のための費用学童給食を通して使われるような意向を持っておられるのではないのですか、またそのために交渉しておられるのではないのですか。
  29. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) お答えいたします。昨年の七月にできました米国の余剰農産物法律百四条同項の問題かと思いますが、実はアメリカ側の使います経費の中に食生活改善、特に学校給食を十分に取り入れて考えてもらえるであろうという期待を持っておったのでありますが、二、三ヵ月前から農林省のほうから非公式だと思いますが、一応の連絡がありまして、省、文部省農林省相談をして参ったのであります。向う意向がだんだんわかって参りつつありますが、考えましたよりも大分方向が違ってきているように思われますので、ごく最近におきましても先方の従来よりさらに変って来た意向を聞きまして、三省間で相談をしておる段階でございまして、まだこの先どういう変更が参りますか、はっきりいたさない状態であります。しかし全然文部省関係学校給食関係がないとはもちろん申せませんし、適当な方法で百四条a項の金が活用できればという程度期待を持って交渉しております。
  30. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいま御質問申し上げているのは、百四条のa項の問題ではなくて、今度協定を結んだ余剰農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定の第五条の第三号の中に合衆国農産物の新たな市場両国利益のために発展させるように、つまり言葉をかえていうならば、アメリカ過剰農産物等日本国内に十分消化されるような宣伝費として七億万円の予算を組んでおる、しかもこの中には、当然この協定の中には学童福祉拡大のために相当量農産物が入ているわけですが、当然その農産物学童給食を通して使われることになるわけでありますから、五条の第三号に基くところの宣伝費七億三千万円が学童給食のための調理講習会、こういつたようなものに私は使われるというふうに考えておるわけなんです。百四条のa項とは別個にこの第三項についての質問ですから、それについて答えて下さい。
  31. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) お答えいたします。お話の第五条の第三号でございますが、これが第百四条のa項の該当の金頭になるわけであります。同じ問題でございますから、その辺を御了承を願います。
  32. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっとお諮りします。ただいま本会議開会の振鈴が鳴ったばかりでありますが、最初に原子兵器に関して外相の発言があり、それに対して三名質疑を行うことになっております。矢嶋委員より、本件に関しては委員会を休憩して本会議に出席されたほうがよいのではないかとのことを委員会に諮っていただきたいという連絡がありましたので、一応お諮りをいたします。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 大へん重要な問題で、私は本会議に出席したいのですが。
  34. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 皆様方いかがですか。
  35. 堀末治

    堀末治君 私はこの法案もなかなか重要で、あと時間がないのですから、ぜひとも本会議に出席したいという人は適宜出られることにいたしまして、そうして白井さんのように特にこの法案を重要視してこうして質疑を試みたいとおいでになっているわけですから、質疑を続行したらいかがでございましょうか。
  36. 高田なほ子

    高田なほ子君 けっこうです。
  37. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 今関連質問高田委員からの御発言でございますから、そのことを御了承の上で、どうぞ御発言を願います。
  38. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連質問の前にお願いしておきたいことは、私もあと質問が残っておりますので、それを御了承いただきたい。そういたしますと、関連質問の続きですが、今の御答弁によるとやはりこの余剰農産物協定に基くこの宣伝費学童給食にも使われてゆく、こういうふうに解釈していいわけですね。
  39. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 大体学校給食とも関連があると考えております。
  40. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、学童給食という言葉をかえて余剰農産物開拓としての目標がこの中に含まれているというふうに私は解釈されますが、それは本来の意味学童給食と少し違ってくるように思われますが、この点についてどうお考えになりますか。
  41. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この余剰農産物協定五条に基く「合衆国農産物の新たな市場両国利益になるように発展させることを助長ずるため」、これはもちろんいわゆる学校給食で問題になっておりますところの現物贈与分ではないのでございまして、いわゆる有償分のうち合衆国の勘定に積み立てられたものでございまして、従ってこれは合衆国がある程度自由に使い得るものでございますが、その使い方については日本とも相談をしていこうということで、文部省もその相談にあずかっておるのでございます。ではこの条項は大体日本食生活改善するための趣旨普及というようなことに硬いたいというような大体の線になってきておりますが、それにいたしましても日本アメリカ両国利益になるようということになっておりますので、アメリカだけの利益のためにこれを使われるものではない。また、その線も現在はっきりこまかく協定ができておるというのではないのでございます。
  42. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは最後に大臣お尋ねいたしますが、ただいまのつまりアメリカ市場開拓のための費用というのは、無償で、ある学童に対する給与の分は、これはもう適用しないのであると、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
  43. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私はこういうことは、アメリカはそういうような意味が含まれておりましても、こっちは必要のないものを買うわけも何もないわけでございますので、それは間接のことであり、学校給食の問題には、そういうような向う無償でよこしましたものは、われわれは向うさんにどういう考えがあっても、こちらはそういう意味において学校給食をやるようなことは考えておりませんでございます。
  44. 白井勇

    白井勇君 時間もありませんでしょうから、私は要点だけ御質問申し上げますが、先ほど文部当局でも、まず学校給食実施に関しましては、その趣旨指導徹底ということに特に力を入れなければならぬと、ことに指導所を設けるなり関係者を集めて講習というようなものもやっておられるというお答えでありましたが、文部省でたまにそういうことをやりまするほかに、府県教育委員会なり、あるいは実際学校給食というものを実施をいたしまする学校等におきまするいわゆるその学校給食というものにつきましての趣旨徹底なり指導をやりまするものは、一体その指導体系と申しまするか、そういうものは一体どういう格好になっておりますか、その点を一つ承わりたい。
  45. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) これは各府県給食事務の担当の主管課がございます。また大きい都市等におきましては、やはり府県と同様にこの主管課がございまして、それにたとえば栄養専門指導職員というようなものがおるわけでございます。こういつた指導職員専門職員がそれぞれ管下の学校等へ出向きまして栄養なり調理指導をする。具体的には、それぞれの学校に出向くこともありますし、またある地域の者を集めて講習会をやるというようなことを実際に行なっているのでございます。
  46. 白井勇

    白井勇君 学校の実際給食をやりまする校長初めそれから各教諭ですね、これは学校給食というあれだけの目的なり目標を持ちました法の運用をするに現在的確な資格を持っておりますのかどうか、文部当局はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  47. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この学校給食運営しますための各学校における組織の問題でございますが、この点につきましては、文部省といたしましても、通牒にはっきり明示をしてございまして、学校計画をし、それから職員をそれぞれ指揮監督して行う、そうして個々学校先生方はそれぞれの自分の職務に応じて給食に関する事項を分担して仕事をやるというようなことにいたしておりをす。また実際問題といたしましては、各学校にそれぞれ給食の主任というようなものを置いてやっておるのでございます。ただ、たとえば各学校栄養指導専門職員が置かれておるというような状況には実はなっておりません。最近におきましては各市町村にかなり多く栄養指導職員が市町村の教育委員会等に置かれる実情になって参りましたけれども、まだ学校にはそういったものを置かれるというようなところには参っておりません。文部省といたしましては、まあ現在の市町村の財政状況からいたしまして、そういった各学校指導職員が置かれるというようなことは相当無理があると港えまして、それよりもむしろ学校の先生にある程度相当高い栄養の知識を持ってもらうということの方が一そう効果的ではなかろうかと考えて、毎年栄養指導のための講習会というのを開いて、できるだけ先生方栄養面の専門的な知識を持ってもらう、こういうふうにやっておるのでございます。
  48. 白井勇

    白井勇君 今最後の方でお話がありましたけれども、私も全くその通りに思っておるわけでございますが、現在の校、長なり教諭というものがつまりこの学校船食法の目的なり目標というものに向って運営するだけの実際資格というものを持っておるものであるかどうかということを私はお尋ねしたいのです。もっと具体的に申しますと、今後の教諭の、たとえば資格検定というような場合におきましても、そういうものを付け加えました資格検定を取った者でない限りにおいては、あれだけの法を運用していくということは非常に困難ではないかというふうに考えておるのでございます。その辺はどういうふうに考えておられますか。
  49. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 最近の教員養成機関におきましては、御承知のように家政というようなものが相当重視されておりまして、従ってその科目を選択しまして、新たに教師になる者はそれについてのかなりな知識を実は持っておるのでございますが、現在すでにもう新制大学以前に学校を卒業しました先生方は、そういった面がかなり欠けておるということも事実だろうと思います。先ほど申しましたように、そういった面を補う意味での講習会等もやっておりますが、今後そうした面にも、いわゆる先生方の資格といった面にも十分検討いたしまして、注意を加えて参りたいと考えております。
  50. 白井勇

    白井勇君 そこで私は文部当局は現在学校給食が行われておる実態につきまし、どの程度いわゆる法の目的なり目標に沿って行われておるものかというようなことを二、三具体的に例をお示しになって、この点はこういうふうに考えておる、この点はこういうふうに行われておるというようなことを一つ例示して、文部省の見方というものをもう一度お話願いたいと思う。
  51. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) お答えいたします。学校給食実態法律施行後においてどのようになってきておるか、またこれについてどうかという御質問と伺います。学校給食法の施行の手配を一応終りましたのが昨年の十月でございます。そこでまだ何ほどの期間もたっておりませんが、まず第一に実態として考えられます顕著な例は、学校給食全体が非常に安定して参ったということでございます。しかもその給食実施の状況を見ますと、たとえば週五図以上を基準とするということを明確にいたしております関係から、従来三回または四回でありましたものが五回以上あるいは六回、まあ五回が多いと思いますが、こういった方向に変りつつある。新しく開始するものにつきましても、五回が圧倒的に多い。従いまして、週五回以上というものが急激に増加をいたしますと同時に、週四囲は何ほども実質においてふえない。また週三回は減少の方向にあり、ミルクだけを飲むとか、ミルクにおかずだけで、パンを伴わないようないわゆる補食の給食は急激に減少を見つつございます。こういう全体の動きを見ておりますと、包括的に申しまして確かに質的な向上を見つつある、少くともそう見られるのであります。そこで問題になりますのは、給食の食事の内容そのものでございます。この内容が現場に行って具体的に見ますと、なかなかわれわれの考えておりますようなふうにうまくいっておるところばかりではもちろんございません。やはり栄養についての十分な経験を持ち知識を持った者が、栄養士なりあるいは教師としても適当な教養を持った者が各学校に配置されておるかと申しますと、必ずしもまだそうは参っておりませんために、欠陥を表わしているところもあることを残念に思っております。これらの点につきましては県教育委員会等とも連絡いたしまして、講習会あるいは会議等を通じて十分に徹底をして参りたい、栄養の内容がもし完全になりませんといたしますならば、学校給食は空中に楼閣を築くような仕事になって参るのであります。まずこの方を固めて参りたい、かように考えておるわけであります。今後さらに努力して参りたいと思っております。なおこの食事を前提としまして子供たちに非常に楽しく、おいしくまたよくこの食事について理解をさせて、食事をとらせるように指導をして参る教育指導の面でございますが、またこのことに関連いたしまして他の教科の学習にも役立つように指導するという巾の広い教育的な指導に心掛けておるわけでありますが、この点につきましては先ほど局長お話もありましたように、法律の施行後の昨年の十一月に全国各地で各府県の代表の指導主事、あるいは教員、校長等の研究集会を開催いたしまして、熱心な研究討議の結果をまとめまして、現在あの学校給食法に上っております指導目的に沿うところの指導書の改訂を実現しようとして準備を進めておるわけであります。本年中には一切の手配を終りたいと、かように考えておりますので、おそらく今度の指導書の改訂を行なってその徹底をはかることができますならば、かなり教育指導の面においては見るべきものが現われてくるであろうと期待をもっておるわけであります。
  52. 白井勇

    白井勇君 今もお話ありましたが、もう少し具体的に私お尋ねしてみたいと思います。たとえてみますというと、法の六条、施行令第三条によりまして学校設置者の負担また児童の保護者の負担というものがはっきり規定されておるのです。そういうものがあの規定通りに行われておるものと文部省はみておりますか、どうですか、その辺はどうです。
  53. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 法第六条は経費の負担でございまして、学校給食施設設備の経費、それから運営に関する経費は設置者であるところの市町村の負担、それから実際給食を受けるその学校給食の材料費その他は子供の保護者の負担と、こういうふうになっておるのでございまして、まあ一応この線ははっきり私どもはしているのではなかろうかと思っております。ただこの学校給食運営に要する経費という点でございますが、私どもといたしましてはこの法律施行令学校給食に従事する職員の給与もこれは設置者であるところの市町村の負担というふうに考えておるのでございます。少くとも公費で負担する、市町村の負担であるというふうに考えておりますが、市町村の現在のまあ財政の貧困というようなことから、一部には、この人件費、たとえば調理のための人件費を児童の保護者の方に負担させておるというようなものもあるようでございますが、まあ文部省といたしましては、この法令の趣旨に基いて、そういったものは公費で出すようにできるだけ指導をしてきておるのであります。
  54. 白井勇

    白井勇君 もう一つ例をとってみますと、学校給食の実際の給食に当りまして、先生がその場に立ち会って食事を共にしていないというような姿は文部省事務当局の頭には考えられますか、考えられませんか。
  55. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学校給食はやはり昼食時に児童ばかりでなく先生と児童が共に食事をするということにやはり非常に意義があると文部省としては考えております。で、従って文部省としては、子供が食事をする、給食を受けるという場合には、先生が共に食事をしておるものと考えております。
  56. 白井勇

    白井勇君 ちょっと私もう一つ聞いてみたいと思うのでありますが、学校給食という言葉ですね、これは今まで言いならわされてきたわけですが、これはどうもいわゆるこれの発祥から関係あると思いますが、困った者に食を恵んでやるというような成り立ちからきておると思う。この学校給食の発祥の地といわれておりますのは、私の生れました庄内の鶴岡でありますが、これはお寺で困窮の家庭の子弟を集めまして、それに給食をしておるというようなことからきているのです。どうもこれは申し上げるまでもなしに、給するということは、上の者から下にやるとかあるいは雇い主から雇われた者に物をやるという感じのものであります。終戦後のあの何といいますか、どさくさで食えない者に食わしてやる、こういうような発展経過を辿ってきているわけですね、ところがこの法案が制定されるという格好になりました段階におきましては、もうそういうような経過がどうであろうが、そういう雰囲気から脱却いたしまして、どこまでもこれは先生を中心とする一つ教育の一環としての会食である、こういう考え方に立つべきも一のであると私は思いますが、文部省はその辺の見方はどういうふうにみておられますか。
  57. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学校給食という言葉、あの言葉から受ける印象の問題でございますが、わが国の学校給食はただいまお話のございましたように、発祥の、起りの原因と申しますか、は、確かに貧困児童を対象とした欠食児童に対する対策あるいは就学奨励、そういった意味があったようでございますが、しかしその後だんだん進歩して参りまして、いろいろ栄養上の栄養改善、あるいは学校衛生あるいは教育上の意義の重要性を認識するといった面で非常にまあ進歩して参ってきております。まあ文部省といたしましては、事実学校給食に初めて政府として手を出しましたのは、昭和七年ぐらいでございます。このときすでに学校給食という言葉を実は使っておるのでございまして、今日までかなり長い間、戦争前から学校給食という言葉ばずっと使っておるのでございます。従って今日まで相当長い期間まあ慣用的に使っておりますし、まあ一般的に社会的に、相当まあ学校給食という言葉が、もうなれてきておるのではなかろうかという感じも実は持っております。ただいろいろ世間の方の中には、やはり学校給食という言葉はおもしろくないという御意見の方もございまして、文部省といたしましても、事務といたしまして、あるいは審議会等でもいろいろ学校給食という言葉につきまして研究をしたこともあるのでございますが、結局まあこれにかわるべき言葉がないというようなことで、今日まで実はぎておるような状況でございます。御意見もございますので、将来さらに一そう研究して見たいと思います。
  58. 白井勇

    白井勇君 そこで一応私は大臣に、実際この学校給食施行後におきまして見ておりまする実態につきまして、まずそれを申し上げるわけです。私は何も文部省のお役人としまして見ておるわけでもありませんし、ただ父兄としあるいは一市民としまして学校給食実態というものを注意をいたして見ておりまする。これはもちろん全国を何も見ておるわけじゃありませんが、できるだけ現地に行きまして、機会ありますごとに触れるようにいたしておる。まあごく狭い体験であろうかと思いまするが、ただいま文部当局からいろいろお話のありましたような実態では私はないと思います。やはり文部省のいろいろ現場の御指導なりあるいはその実態の御調査もあろうかと思いまするが、これはどうしましても文部省指導、助言者といたしましての一つの権力を持った方がいらっしゃるわけでありまして、なかなかその実態というものにも触れ得ない面もやはりあるのじゃなかろうかという私は感じをもっております。文部当局が特に大事だと認めておりまするこの学校給食についての趣旨徹底なり指導というような面のことは、まず私は体系が立っていないと、こう考えております。地方庁に参りましても、先ほどもお話しました通りに、学校給食の係りというものがあって、それがいろいろその指導の衝に当っておる、こう言われまするけれど、これは新たにこの学校給食を設置させましたり、あるいはまたできましたものの文部省からいろいろまあ助成が参ります。その施設補助関係の問題あるいはまた流れて参りまするミルクあるいは小麦粉というような物資の供給の問題というようなものの処理にほとんど追われておるというものでありまして、ただ栄養士というようなものがありまして、献立の指導ぐらいはやっておる、そういう程度のものであります。さらにまた東京の例をとってみますれば、また各区の教育委員会に、学校給食の係とまではいきません。学事係の中にそういうものを担当いたしまするものが大体三名くらい、その中の一入は先ほど申しましたように、いろいろな補助金の処理の問題、あるいはミルクなり小麦粉で流れて参りまする物資の売り払いの処置の問題をやっておりまして、それで手は一ぱいでありまして、学校給食実態指導というようなものにつきましては、とうてい手は伸びない現状であります。  それから女の栄養士がおりまして、これが大体区の献立の指導をやっておる。もう一人まあ若い男がおってこれは何をやっておるかといいますと、東京あたりの場合はあとお話をいたしまするが、給食のいろいろな煮たきをやります作業の補助作業員、これは今東京では失業対策費から出ておりまして、その入の配置なり俸給の支払いというようなことでほとんど手一ぱいであるという程度のものであります。ところが学校に行ってみまするならば、これは先ほど文部省お話もありましたが、申し上げるまでもなしに、今まで現在学校長になっておるような方、これはそう申し上げて、はなはだ失礼でありまするが、やはりのり茶づけで御飯をかっこめばそれでいいというような食生活に長い間慣れてきました方でありまするし、現在教員の立場でありまする方も、学校給食法目的なり目標に沿って運用するような少くも知識の教育というものを受けてきた先生でないわけであります。そういうことでありまするので、特殊の興味を持った校長ででもない限りにおきましては、現在におきましては学校というものはこれは先生の立場から申しまするならば、新たにそういう仕事がふえまして、全くこれは過重負担になっております。従来から申しまするならば、これはないときにはまあお昼休みというように、ゆっくり御飯を食べておったわけでありますが、あの法の趣旨によりまするように教育の一環として給食をやっていくというようなことになりまするならば、これはよほど精神の入れかえをしない限りにおきましては、いたずらにこれは過重の負担になる、これは決して先生のみを責められない立場であろうと私は考えるのであります。そこでそういうような格好になっておりまするからして、学校給食をやります場合におきましても、これは法の趣旨に沿って行われておるというような学校などというものはほとんどないのでありまして、東京都内等におきましても、特に模範的だというような二、三の学校の校長が、非常に熱心な二、三の学校に限られておるのでありまして、大部分の学校というものにおきましては、法の目的なり目標というものに沿うべく努力をしておるという傾向すらもない実態であります。ですから大部分の学校におきまして、教師が生徒とともに食事をするというような現況というものはまあない、先生は教室に行ってゆっくり御飯を食べる。いいところでありましてせいぜい当番をきめておきまして、当番の者が食器に食事を盛るまでは先生が立ち会っているけれどもあとは放っておく。従ってそこにいわゆる文部省基準を示しておりまするような行儀作法というようなものが閑却をされることになる、むしろ逆に一部におきましてはパンをとって入のものを食べる者がある、あるいはまた嫌いだからといって食べない者がある、こういうような結果になっておりまして、まるで法の意図いたしまするものと現状というものは、非常にかけ離れた運営になっている面が相当ありまするので、これが大体一般の実態であろうと、私はこう考えております。しかも先ほど文部当局におきましては、法の第二条でしたか第六条でしたか、いわゆる給食費というものは給食費自体のみはこれは父兄が負担をする。その他の人件費等というものはこれは学校の設置者が負担をするという、はっきりいたしました法令上の建前が規定をされているわけであります。これもそういうところになっていない、ですから、そういう負担も当然他のPTAの負担になっておるわけであります。それから御承知の通り現在保護者にはいろいろな厚生省関係の援助があるわけでありまして、その子弟は一応給食費は要らないわけでありますが、そのほかにいわゆる要保護者といわれまする家庭の児童に対しまする負担というものが相当の額になっております。そういう面におきましても実際他の生徒が負担をせざるを得ない、こういう格好になっておるのであります。  私二、三例を持ちましたのを御参考まで申し上げますると、これは先ほど給食課長お話では大体五日以上、一週間五日以上給食しておるといいまするが、東京都内は大体一週四回の建前であります。これはなぜかと申しますと、水曜日は東京都全体の教員のいろんな打合会がありまして、大体これは給食をしない。土曜日も一半日のために給食をしない。従って週四回、ですから大体月十六回ということでありまして、そこで大体一人当りの負担は月三百円、そこでそれがどういう格好に使われているかと申しますると、パン代に八十七円五十二銭、副食費に百七十円八銭、備品に二男、雑費に一円、消耗品に一円、それからが問題なんでありまして、いわゆる先ほど申しましたように、給食費を払えない、これが一人当り十一円であります。それから作業費、栄養費というようなものをPTAの負担で持っておる。これが一人当り十五円、それを合計全部いたしますというと三百八十七円六十銭になります。ですから月に三百円とりまして多少ゆとりが出まするが、これは多少貯めておきましていろいろな費用に使い、さらに余りますれば三月に一般から給食費を取らないで出すというようなのが、これは一々私いろいろあちこち調べました共通するような例であります。そういう格好のものであります。こういうふうに児童のいわゆる法令できめられました負担範囲をこえましたものが、父兄の負担になっておりますものが今申しましたように十五円、十一円、計二十六円というものが三百円に含まれている。こういう実態であります。これは私は大体こういう格好にどこを見ましてもなっておる。作業員等におきましてもほとんと一人ぐらいはとれておりましても、ほかのものはPTAで持っておる。こういう格好になっておる。さらにまたその作業員のほかに栄養士というようなものになりましても、現実は置いていない所が多い。むしろまず私の調べでは半分は置いていない、こう思っております。そういう格好運営をされているものであります。ですから私はまず現在の学校給食を適正に実施をしまする最も焦眉の急務であるというようなものは、現在提案になっておりまする日本学校給食会というようなものを作っていくというようなことよりも、私は先ほど来いろいろ申し上げましたようなことについてのいろいろな対策を講じなければならぬことがむしろ焦眉の急務であって、こんな学校給食法案を作ることをもって適正な学校給食上これは焦眉の急務であるという提案理由の説明にありまするが、こういうような考え方で文部当局学校給食をやっていらっしゃるということにつきましては、私は非常に悲観的であります。もう少しこれを根本的にあの法の趣旨に沿いまして、いま少し何とか腹を据えてやるようなお考えがないものか、これば一つ私は非常に食糧対策につきまして非常な抱負を持っていらっしゃいます松村文部大臣教育関係につきましても非常な権威者であられますからして、特に私この委員会へ出て参りましていろいろ実情を申し上げまして、お考えお尋ねしたい、こう思ったわけであります。
  59. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 白井さんから先ほど来この給食の実情について特に御詳細なる実情を承わりまして、私どもはなはだ得るところが多うございました。実は私も少し議会でも済みましたら実情を見て歩きたいと思っておるのでございますが、もともとこの給食というものの発達はごく変って参っておることは御承知の通りでありまして、初めは食糧事情の非常に悪い、戦後の生活の非常に悪いときの事情から、単にまあ食事をという、食べればというだけのことから出発いたしまして、それがだんだん学校教育の上にも重要性を認めて参り、今日におきましてこの給食というものの範囲が非常に広くなり重要になって、学校教育の中にすっかりしみ込んでよくいけば、行くべきところまで来ておるわけになっておりますので、これはそういう発達の順序にかんがみまして、今日はまだ十分至っていないところもありまするし、それから熱心にやっておるところにはまた非常にいい効果をあげておるというわけでありますから、これについては実際の指導面において実情をよく明らかにして、そのいいところにならって大いに実をあげなくちゃならぬと思って、これに重点を置いてやってみたいと考えておるのでございます。近来になりますと、まだその上にいろいろの点においても、たとえば近来酪農が下振であるから、できれば学童に生乳を飲ました方が栄養の価値があるから、これと結び付けようじゃないかというような面も出て参りますし、〈、日農林当局もそれらの相談もいたしておるようなわけで、だいぶその範囲が広くなってきておりますから、十分の力を入れてやりたいと鷲。えております。お話通り、この今度提案しました法案は、ただその整備の一部分に過ぎませんのでございまして、全面的にはさらに大きな考慮を要することと考えております。
  60. 白井勇

    白井勇君 もう一言私大臣お尋ねしてみたいと思うのであります。これは私申し上げるまでもなくよくおわかりのことでありますが、これは食糧対策と申しましても、これは足りないから麦を食え、あるいは粉食にせいというような考え方じゃない。むしろ国民の保健衛生上からいたしまして、食生活改善しなければならないということは申し上げるまでもないところであります。この国民の食生活改善というものを具体的にどう進めていくか、こういう問題をいろいろ検討してみまするというと、これはいろいろなことがよく立案をされ、考えられて参りまするけれども、やはり最も大事なことは、常時国民にそういうことの趣旨なり考え方というものの実態というものにつきまして徹底をさせるような一つの運動が常時行われておる。ただちょっとそういうものが飛び上って消えてしまうというようなことでなしに、永続的に行われるということが非常に大事なことと思います。そういう場合におきましても、具体的に問題を取りあげて見まするならば、やはりこの学校給食というものを土台といたしまして、これからPTAに繋がっていく、こういうことが非常に有力な線であろうと私は考えます。大臣は特にこれから新生活運動というものを取りあげられるようでありますが、その場合も当然この食生活改善運動というものが大きく飛び上ってくると思いますが、これは従来文部省学校給食をやり、また農林省は食糧局におきまして物を持っておりまして、いろいろそういう方面の関係があり、また厚生省は保健衛生上からいろいろ関与をするというようなことでありまして、この食生活改善運動というものを大きい見地に立って、それらの三つのものを総合しましたような動きで動かされていないわけであります。こういうものをいま少し全体的に総合いたしまして広い観点に立って進めて参りますようなことが、新生活運動といたしましても非常に重点な点でなかろうかと思いまするが、特に国務大臣とされましてのお考えを承わります。
  61. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お話のような次第でございまして、白井さんも親しく御経験になりましたが、戦争有後の食糧の最も窮迫したときに、いわゆる食生活改善の運動を、いわゆるパン食普及の運動を起したのでございますが、今申した通りに長く継続いたしませんで、少し食糧事情が緩和するとともに、あの運動はいつの間にか消えてしまったというようなわけでございまして、今度も新生活運動にぜひこれを取り入れ、そうして今給食のほうは文部省それから食糧のほうは農林省、衛生のほうは厚生省と、こう分れてなわ残りが違いますが、これを総合して、ああいう方面で一つまとめた実際の食生活の運動として行われるということになれば最も仕合せであり、そして少くとも四、五年間は継続した国民運動としてやらないと改善目的は達せられないのだと思いまして、どうかさような形が生れることを期待してやまぬのでございます。給食の問題にいたしましても、私どもは決してなわ張りのような考えを持ちませんで、農林省と十分の協議もいたし協力をして進みたいと考えております。
  62. 白井勇

    白井勇君 今大臣お話がありましたからこれで大臣に対する質問はやめますが、ちょっと事務当局学校給食法案のこまかい点でありますが、ちょっとお尋ねいたします。時間がありませんから一括してお尋ねいたしたいと思うのであります。十一条に給食会の目的を達成するため学識経験者ということがある、これは具体的にどういう人を予定いたしておりますものか、具体的に例示をしてお話願いたいと思います。それから第十七条の評議員も同様であります。それから十八条「学校給食普及充実に関する業務」というのは一体具体的にどういうかっこうになっておりまするものか、それのまた予算の裏付けなり、具体案というようなもの、それからその二項の「同項の業務に準ずる業務」というもの、これは一体どういうようなことを指しておりますか。それから二十三条の事業計画と、それから二十一条の業務方法書というものとはどういう関係にありますかということをまずお伺いいたします。
  63. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 第十一条の役員の任命でございますが、これは学校給食について必要な学識経験を有する者の中から任命する。これは理事長、理事、監事については学校給食についての学識経験を持っておる者というふうに考えておりますが、具体的にだれをということまでは現在はっきりいたしておりません。それから評議員につきましてもやはり大体同様でございます。ただ評議員等には関係官庁の当事者あるいは学校の先生等も加わり得るものというふうに考えております。それから第十八条でございますが、第十八条の第二項の「同項に準ずる業務」、これは現在学校給食会、これは民間の財団法人でございますが、同名の学校給食会がございまして、そこでたとえば奄美大鳥に対するユニセフの輸入のミルク等を政府からの委託で行わしめております。そういうようなものはいわゆる第十八条の第一項で参りますと、給食法の第一条に規定するような、学校給食に相当しないものでありますけれども、実際にそこで行なっておりますので、そういったものも準ずる業務として行うことができるというふうに考えたいと思っております。それから第二十三条でございまして、この事業計画、これはこの日本学校給食会でさしあたり取り扱うもののうち、鰻も大きなものは脱脂粉乳でございますが、年間にどれだけの脱脂粉乳を使うか、それからその脱脂粉乳につきましては輸入の脱脂粉乳をどれだけ使い、国内産のものをどれだけ使うか、それぞれ購入する時期はいつにするかというようなことをきめますのが事業計画でございまして、それから業務方法書と申しますのは、大体それを輸入する、あるいは購入する場合にどういう仕方で、どういう方法で輸入し、購入するかという業務の方法をきめるものと解釈いたしております。
  64. 白井勇

    白井勇君 もう一つ二十条の「売渡し等」という「等」は大体手数料とか何とかというものが入るような気もしているのですが、その点ちょっとお尋ねします。  それからもう一つこれは私の希望を申し上げることになるわけでありますが、この学校給食というものは、これは申し上げるまでもなしに、教育の一環としてやることでありまするからして、これは全責任というものはやはり文部省が負うということは当然のことと思いますが、しかし一方におきましてはやはり法の建前にもはっきりいっております通りに、食生活改善ということを企図いたしておる。そういう企図があります以上は、やはり厚生省というようなものとも非常に密接な連携をとってゆかなければならぬ筋合いのことと思いますし、今大臣からもそういうお話がありまして私は非常に意を強うしたわけでありまして、事務当局とされましても、これはほんとうにこの給食法目的を達成するためには、どうしてもやはり、ただこれは教育の一環なんだからというような考え方で運行に当りまして無理をいたしますというと、私は現業的にはこれは伸びないという非常な心配を持っております。今回の給食法案につきましても、私はこれはやはりそういう団体ができますれば特に密接な関係があります農林省とは端的にいって共管にしておいても差しつかえなかった、私はそのほうがよかったと思うのでありますが、いろいろいきさつがあって、こういう法案の建前にきまったそうでありまするが、これはぜひ一つ今後の運用に当りましては、ごくまあこれを平易なお考えで、大臣のお考えのように、もう関係者はよく一体となっていくような運営をされるように私から特に御希望申し上げておきます。
  65. 吉田萬次

    吉田萬次君 大臣に私はお伺いいたしますが、今度できる給食会の問題でありますが、これはいわゆる文部省の傍系団体になると思います。今日農林省は非常なたくさんの傍系団体があり、また今度住宅問題について建設省ではたくさんの傍系団体ができている。傍系団体がたくさんできるということは、けだしその省におけるところのたくさんな役人のはけ口を作るということの一つの事柄にもなると存じまます。そうしてまた今日のような特殊法人でありますならば私は相当の俸給を出されるものと思う。かような点から考えまして傍糸団体がたくさんできるということについて、ことに農林中金のようなものは私はかえって害になると思う。今度のこの給食会はそういうわけでありませんけれども、しかしながら今日文部省の中にでも、文部省としては大体傍系団体が少い、このくらいあっても差しつかえないのじゃないか、またこのくらいより以上できるのが普通ではないかというお説も拝聴いたしました。かようなことについて大臣はこの傍系団体の設立というものについてどんなお考えをもっておりますか。
  66. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お答えをいたしますが、入の都合から申せばこの傍系団体のありますことは便利な点はそれは十分ありましょうけれども、しかし、こういうものを作るのにはそういう目安をもってやるべきものでは断じてなかろうと考えます。私どもこの法案を出しますのにつきましても、決してそういう内面的の意図をもって出したということは毛頭ございませんことを了承願いたいと思います。
  67. 吉田萬次

    吉田萬次君 それからもう一つ。私はこの法案そのものには賛成いたします。しかしながらこの法案ができましたあと運営ということは非常に私はむずかしい問題だと思います。たとえて申しますると、今までありました給食会におきましても、そこに文部省あるいは外務省も介在し、外国から粉乳あるいはその他のものが入ってきておりますが、このミルクにいたしましても、これが東京の市内の菓子製造業者に相当な量流れ、しかもそれは相当な値段で、高い値段で売られておる、さらにその真相に至っては、これは事跡費がないによって事務費を作るために出した、あるいは不良品があって飼料にすべきものをそちらに廻したというようなうわさを聞くのでありますが、かようないわゆる私はスキャンダルがそこにひそんでいるということにつきましては非常に重要視しなければならないと存じますが、かつてのあり方とそれから将来に対する方針はどんなお考えをもっているかお伺いいたします。
  68. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 今お話のうわさを私も耳にいたしましてけしからぬことだと思っておりますが、しかし今までのところそういうことはうわさの程度じゃないかと思う、またそれを希望いたしておりますが、これは調査をいたして明らかにしたいと考えております。同時に今後のことにつきましても、それは十分の監督もいたしたいと思いまするし、こういう法案が成立いたしますならば、さらにこれらの点につきまして、そういう面において扱いやすくなりましてございますから、十分にそういう取締りをいたしたいと思います。これは扱いやすくなると申しますことは、こういう機構ができて注意が十分に届きますれば自然にこれまでそういうようなことがもしあったといたしますならば防圧することができ得ると思っております。
  69. 吉田萬次

    吉田萬次君 これはただ単に私は、ミルクに限って申しましたのですが、しかしまだミルクの問題でも相当私は知っておりますが、あながちかようなことを探究し掘り下げて事を起す必要もありませんから申し上げません。さらに今度綿花あるいは小麦が入って来るということになりますが、これに対する、ことに綿花なんかの操作というものは私はきわめてむずかしいものであり、またスキャンダルが相当にそこに起きるような予想がいたしますので、だから特に注意していただきたいと思います関係上、私はこの運営に対し十分な注意を払う点において、場合によっては今日井委員からもお話があり、日井委員の構想による付帯決議の案もここに出ておりますが、いずれにいたしましても付帯決議でもしてこの問題は通さなければならぬかというような気もいたします。かような点に対しまして、大臣に十分の将来これに対する監督あるいは指導をしていただきたいということを希望いたしまして私の質問を打ち切ります。
  70. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 今お話のことは大切なことでありますから一応お答えをしておきたいと思います。  外郭団体を余計作るというようないわゆる人事関係お話が先刻ありましたが、いろいろ私の方にはそういうのが少うございますけれども、それとかねて、省内の人事とかねているような場合が戦後ある程度ございまして、それがこの官紀の振粛の阻害をみるような心配もありますから、現に役所にいる人で利害関係の伴う外郭団体の兼職兼摂は調査をいたしてすべてやめることにいたしました。そういう意味から申しまして、決してこういう法案は人事のためでないということを御了承を願いたいと思います。  それから綿の問題でございますが、これは不馴れな文部省として取り扱いまして間逢ってはいけませんと心得まして、これをすべてその道の経験のあります通産省の専門家にゆだねて処分をしていただき、そうしてそのかわりに服地はやはり通産省の専門のところでまとめていただくということにいたしまして、できるだけ努めて御心配のようなことのないように努めております。
  71. 堀末治

    堀末治君 私も一つ大臣お尋ね申し上げたいのでありますが、今の余剰農産物の問題でありますが、予備審査のときに御説明があったと思うのですが、その当時アメリカから千五百万トン来る、そうしてそれに対していろいろなことで多少経費をかさんでこれを配給する。アメリカの方ではそれはまかりならぬというようなことがあったと聞いておりますが、事実そういうことがあったのでありますか。
  72. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 本年度の余剰農産物現物贈与分は千五百万ドル、そうしてこの内訳は、三百万ドルが綿花、それから千二百万ドルが小麦及び脱脂粉乳ということになっております。これは御承知のように、アメリカの岸渡しで無償であるということでございまして、アメリカの岸から日本の内地に持って参りまして、たとえばそれを内地の倉庫に入れ、さらにそれぞれの小麦……。
  73. 堀末治

    堀末治君 それはあなたがこの前説明したから……。要するに、向うから条件がついたかどうかということを聞いているのです。
  74. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) いやそういうふうには……、金を取ることでございますか。
  75. 堀末治

    堀末治君 要するに、それがためにいろいろ加工するためにある程度、要するに、それを価格をかさんで配給するということに対して、アメリカの方ではそれに対して異論があったというようなことを聞いておるのですが、事実かどうか。
  76. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 小麦等につきましてはある程度の差額をつけておるのでありまして、その利益を出すことを認めております。しかしながら、それはやはり給食の面に使うという、たとえば、給食設備に使うとかというようなことで話し合いができておるわけでございます。さよう御了承願いたい。  それから綿につきましては、これを、綿を全部売りまして、そして、その中から向うからの運賃等の費用を差し引きまして、そして、残りのものですでにできておる服地を買うて配給をする、こういうことを認めておるわけでございます。
  77. 堀末治

    堀末治君 この間もどなたか、アメリカからもらう物資について御異論があったと思う。もし、子供にもっていって卑屈な観念を与えるようなものはもらわない方がいいのじゃないかと、こういう御議論を私は聞いておりますと、私はそういう御議論には賛成でありますが、かって、イロア、ガリオアの物資が日本にくれたのか、あるいは債務になるのかどうかというのが本会議質問が行われた。当時たしか二十六年の国会、何国会であったか、池田君が大蔵大臣のときであります。その答弁に立って、まだもらったのだとも、借金になるともこれはわからぬという答弁でありました。それに対して、吉田総理の答弁はどうかと言ったところが、吉田総理はこれに対して、今、大蔵大臣が答えた通り、もらったものだか、借りたものだか、まだそこらのとこは一向わからぬ。しかし、幾ら日本がいくさに負けて貧乏したからといっても、食うものがないから他の国からもらったとはいえこれは一生の、本民族の恥だから、私は今は切ないから返せないけれども、いずれ返せるときになれば返さなければならぬと、かように私は信じておると、当時議場の中から名答弁、名答弁と称賛を博したことを記憶しておりますが、また私はかようになければならないと考えておるのであります。しかるに、今度千五百万ドルを親切に下さるということはけっこうでございますけれども、そのために、くれるものならもらっておけということで、もらったためにこうしなければならぬ、ああしなければならぬという条件をつけるのであれば、私はもらうことに賛成できない。今、貧乏はしているけれども、子供にもっていって終生拭うべからざるような屈辱を与えることは、当時どなたか御発言ございましたが、私は同感をいたしておるのでございます。さようなことで、今のこの余剰農産物、これを入れて、その金を日本で借りて日本の産業、あるいは一切の復興のために使うということに対しては、私はこれに賛成。この間の予算委員会におきましても、その点について来年も入るのかどうかということを聞きましたら、来年はわからない。しかし、ぜひともこれは来年も継続して入れたいということを当時高橋長官から御答弁があったので、私もぜひそうしてほしいと希望はいたしておきました。しかし、来年もしもらうにしても、幸い親切に日本の子供のために、いわゆる人類の福祉の上から余っておる農産物を多少でも子供のためにくれてやる、こういう御親切ならばまことにけっこうでございますけれども、それが多少とも条件をつけられるようなことであるならば、私は来年は絶対にもらってほしくないということを特に希望するのであります。これらは、ほんとうに教育の上から言ったら、特に今度もこうして千五百万ドルのものをもらって、それが一体どういう形で子供に分けられるかということに対して、私はやっぱりその当時御質問があったかたと同様に、それがために屈辱化を子供に与えるということが私はどうしても賛成できないところでございまするから、どうかこの点に対しては、十分な一つ御注意を特にお願い申し上げたい。かように思うのであります。  それからこれは希望ですから特に御答弁はいただかなくてもようございますが、ただもう一つ、ここにある給食会法、私この法案を作るときはよく存じませんでしたが、これを見ると第一条に目的があります。なおまた小林局長、この間予備審査のときにあなたの御説明にもあったのでありますが、子供に、要するに食事上のいい習慣をつけると、ここにもはっきり出ている、望ましい習慣を養うこと、こうあるのです。この点についても、これも白井委員から直接の要するに御視察と御体験からいろいろ御意見があったので、私それを非常に傾聴しておったのでありますが。なかなか食事の上にいい習慣をつけるということは、非常にめんどうなことだ。私はこの点については、文部大臣が新生活遅効を提唱されているこのあなたの御精神に対しては心から賛成しているのです。戦時中に一億一心あるいは八紘一宇だとかというようような高踏的な言葉で国民を指導しましたけれども、そんなことでは国民のほんとうの指導にならない。しかもそういうような言葉であることを、もっとも平たく新生運動というような、だれにもわかりやすいような言葉であなたはいろいろ国民生活、あるいは精神の作興等に御努力なさろうというあなたのおぼしめしには私は心から賛成でありますが、いわゆるこういうものを、新生活運動のごときはどこから始まるかというと、まず一番初め食事から始まると私は思うのであります。それですから、どうかしていい習慣をつけてほしい。ところがなかなかこれはできない。実際私のところは孫五人もおりますが、その孫五人に行儀よく食事をさせるなんということは少なからない努力でありますが、私はほんとうに学校給食で、今の先生方に、はなはだこれはお耳ざわりの人があるかもしれませんけれども、果してそういういい習慣を今の先生方が子供に教えることができるかどうか。これは私は、よその先生を見たわけではございませんから、決して先生の批評はいたしませんが、私どもの若い社員のごとき、ときどきそっと社宅を回って見ますというと、素っ裸になって、ふんどし一つであぐらをかいて飯を食っている。私その社員によく注意をした。食事というものはそういう要するにぶざまな格好をしていただくものではない。これはほんとうに食物が自分の生一命を犠牲にして、われわれのからだを養うてくれるのだから、敬って正しい姿でよばれなければならないのだ。お前のその姿は何だ。私はこれをやかましく言っているのですが、やかましく言った社員は私のそばによらない。そういうようなことで、最近の若い諸君にはそういう習慣、がつけられておらないので、今の若い先生方にはやつはりそういう習慣が非常に多いのではないか。先ほど白井先生からのお話では、一緒に食べてもらう。おそらく食べたらろくな姿を見せないのじゃないかというふうに私は思うのでありますが、せっかく給食のようないい制度ができて、政府もこれに力を入れられるということであるならば、まずこの先生方に、望ましい習慣を子供に教えるためには、まず指導する先生方から正しい容姿、望ましい習慣を教えてかからなければならないのではないか、私かように思うのでございますが、大臣これに対しての御意見いかがでございましょうか。
  78. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お話通りに君えておりまして、私は全くしろうとでございますけれども、あの禅宗の座禅をしに行ったときの食堂の厳粛な作法が、非常に修業の上に大きな役目をしていると承わっております。ああいう形がこの給食の上に現われますならば、それは形は違います、言うことは違いますけれども、お経の文句などを唱えるようなことはこれは何ですけれども、ああいう形がもしも給食の面に現われて参りましたならば、これは非常ないい感化を与えるのじゃないか、何か新しいそういう形が生れて、この間から白無に出てくるものじゃなかろうかと期行もし、そういう工夫もすべきであろうという考えを持っておりまして、今お清のようなこを少しいろいろ工夫してみて、新しい修養に食事を応用するというか、食事をそういうふうに厳粛な意味でならわせる、団体生活にならわせるということにしますか、そういう新しい工夫が必ず生れてこなければならないものと心得まして、そういう面一のことも)いろいろ専門方々と、それから教職の方の人たちとも相談をいたしてみたいということを思うていたのでございます。お答えになるかどうかしれませんけれども
  79. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の文部大臣のお答えに私だいぶ異議があるのですが…。
  80. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっと議事速行のことでお諮りいたしたいと思います。それからあとで伺いますから。  速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  81. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて下さい。  暫時休憩いたします。    午後一時六分休憩    ————・————    午後二時三十五分開会
  82. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 休憩前に引き続き委員会を開催いたします。  日本学校給食会法案議題といたします。発言のある方は順次お求めを願います。
  83. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど堀委員から質問がありました、食事をとるときの行儀作法といいますか、あの問題については、私文部大臣の説明はあまりにかた苦しいと思うのですよ。やはり食事をとるということには、あまりだらしない状態になってはいけないと思いますが、といってあまりかた苦しくなって団らんの気持というものを全然失ってしまうと、禅のお坊さんが食事をとるのが非常にいい、だからああいうふうに指導したいと言われると、私も一言言っておかないと、あんなふうに給食指導されては困ると思うのです。そういう点ちょっと伺っておきたいのです。
  84. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私の先刻の答弁がそのようにかた苦しくお聞きとり下さったならば、それは私の説明が足らなかったかもしれません。禅道の食事のことを例にとりましたが、禅道の食事も決して型だけではございませんで、やはりそこに団らんというものがありますし、共同生活ということがありますことも、これはもちろんでございます。私の例をとりましたことは、そういう誤解がありますならば、それはかた苦しいだけのものでよいというような意味ではないことを御了承願いたいと思います。
  85. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの際文部大臣お尋ねをしておきたいと思います問題がございます。  その一つは、現在の学校給食は小学校を対象としておるわけなんです。これを将来中学校にまでその給食の適用を広げていくという考えを持っておられるかどうか。
  86. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それは私どもは中学校まで拡充をいたしたいと考えてはおります。けれども、今日まだ小学校においても給食をしない学校も多くありまするし、一時に手を伸ばすならば十分の効果を上げることもどうかと思いますから、まず小学校給食の充実を考えまして、しかる後に中学校へ手を及ぼしたいと、こういう順序的に考えております。
  87. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その次の問題といたしまして、学校給食については無償給という要望が非常に強いのです。いわゆる無償と言いましても、無償という言葉は適当でないかもしれませんが、少くとも主食になるところの小麦、それからこれに準ずる牛乳とか脱脂、ミルク、こういうものは政府の負担で学校給食をするようにしてもらいたいという要望が、これは全国的に非常に強くなっておる。この問題については、昨年の当文部委員会では小委員会まで設けてこの問題を検討して、そうして応結論が出たわけであります。これは議員立法にするところまではいきませんでしたけれども、各会派から構成されている小員委会において全会一致でこの小委員会案というものがまとめ上げられたのであります。そのときの小委員会案というものは、結局学校給食費が相当高い、相当大きな父兄の負担になっている、これを軽減する必要があるということで、主食に対しては全額国庫で負担をしよう、こういう趣旨をもとにして案ができたわけであります。こういう問題について文部大臣は将来学校給食改善の問題について、こういう問題について一体実現をしていこうというお考えを持っておられるかどうか聞いておきたいと思います。
  88. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それは理想といたしましてはそこまでいきたいものと思いますが、しかしながら今日の時代として、やはりそういう負担を十分できる父兄も多いのでございますから、無償というところまでいきますならば、私はまだ義務教育費の内容において充実の必要をさらにさらに感じておる点が相当多くあると港えます。それで漸を追うてこれらのことも考慮いたしたいと考えております。
  89. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は質問を簡単にするためにさらに質問はいたしませんが、次々に問題に移っていきますが……。
  90. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっと御相談いたします。今衆議院で文部大臣に対して緊急質問が出て、今議事部の方から連絡がございまして、これは緊急質問に答えてすぐこちらにお帰りになるように私は大臣にこれから申し入れをしようと思っておりますが、これはやむを得ないと思いますが、いかがでございますか。そうしてその間は事務当局に対して本法案に関する質問を願うということで御了承願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)せっかく発言中ですが、荒木さんも御了承願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  91. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 けっこうです。
  92. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それではどうぞその御答弁が済んだらすぐおいでを願います。大臣以外のものはよろしゅうございますから、どうぞ御発言を願います。
  93. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣以外の質問についてお尋ねをいたします。アメリカから贈与される分一千二百万ドルの小麦並びに乾燥ミルク、そのものは大臣の先般の御答弁によりますと、これを全部有料にして学童に給与するという答弁がありましたが、その内容について、そこで数字的に示していただきたい。
  94. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 給食関係で申しますと、小麦及びミルクでございますが、小麦は今回の余剰農産物の贈与分で入りますのが八万トンでありまして、それから輸入分が八万五千トンでございます。これは両者を食管の方でプールいたしまして、そのプール価格で学校給食を行なって学校へ配給するわけでございます。それからミルクにつきましては、大体今回の余剰農産物の贈与されます分が七千トンでございます。それから現在の状況で輸入します分が大体一万トン、それにさらに国内産のものを二千トン購入する予定にいたしております。一万九千トン、この三者を、それぞれ値段が違っておりますが、三者をプールいたしまして、そのプールした値段で学校に配給する、こういう予定にいたしております。
  95. 高田なほ子

    高田なほ子君 七千トン、一万トン、二千トン、これはいずれも贈与分と、それからCCCの分と国内の分と三つプールするということになっておりますが、この三つの分の単価はどういうふうになっておりますか、一つ数字を示していただきたい。ございませんでしたら次の質問に移りますが……、それではお調べ願って御答弁いただくことにいたしますが、食管で贈与分の小麦をプールして子供に給食する、こういう御答弁でございますが、こういたしますと、贈与分は無償でございますから、子供に対して学童給食費がこれは数字的にみまして、かなり安く給与をされるのではないか、現在の学童給食費よりも無償で入れたこれらのものをプールして使う場合には児童の負担がかなり少くなるのではないか、こういうふうに思うわけですが、それはどういうふうになっておりますか。現在の学童負担分と、この贈与分をプールして使った場合にどれだけ負担率が下ってくるか、これを数字をあげて説明していただきたい。
  96. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 今年度の学校給食の負担で申しますと、パンが一食当り五円十銭でございます。それからミルク一円二十四銭、それから副食でございますが、これが八円五十銭、合計十四円八十四銭ということになっておりますが、この余剰農産物が入ります関係から、かなり安くなることになりますが、ただし文部省として現在計画いたしておりますのは、いわゆる貧困家庭、これはいわゆる生活保護法の適用を受けております者並びに生活保護法の適用は受けておりませんでも、これに準ずるような者には相当程度安くしたいという考えでおりまして、この余剰農産物が入りました場合の値段を申し上げますと、貧困家庭では大体パンが二円四十八銭、ミルクが十二銭、副食が八円五十銭、合計十一円十銭、これは副食はいずれの負担区分においても同額とみております。それからただいまのは貧困家庭でございますが、一般児童の方はパンが四円四十五銭、ミルクが一円十六銭、副食費が八円五十銭、合計十四円十一銭、こういう、ふうに一応の推算をいたしております。ただいま申しましたように、貧困家庭には極力低い父兄負担で配給する、そうしてその分が一般児童の方で、まあ一般児童の方がこれによって負担をかぶるというような形に一応なるわけでございます。
  97. 高田なほ子

    高田なほ子君 余剰農産物を入れることによって貧困児童は十一円十銭よりも若干安くなってゆく、若干というのはどのくらい数学的に安くなってゆくわけですか。
  98. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 十一円十銭より安くなるというのではございません。現在この貧困家庭には特別に安くするという制度がございませんのを、余剰農産物が入る関係から特に貧困家庭には安くしたい、その価格が、その副食費は全部共通でございますので、これはまあ一応除外してもいいのでございますが、パンについては二円四十八銭、ミルクについては一食分が十二銭、こういうことに予定をしておるのでございます。
  99. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと貧困家庭の分は余剰農産物を入れてもやはり今まで通り十一円十銭と、総体であまり変りがありませんが、そうすると灘在までの貧困家庭の対象数字と余剰農産物を入れた場合の対象数字とはかなり違って来なければならないはずになりますが、それはどういうふうになっておりましようか。今までは何家庭ですか。
  100. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 大体全児童の八%程度をいわゆる貧困家庭というふうに見ておるのでございます。
  101. 高田なほ子

    高田なほ子君 全児童の八%が貧困家庭で、全部今御説明になったような給食の対象として完全にこれは貧困家庭が救われておるということになるわけでですか。
  102. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学校給食は現在義務の給食ではございませんので従って学校給食実施しておる学校の中で、まあ生活保護法の適用を受けるもの、及びこれに準ずるものということでございまして、全貧困家庭がこれに入って来る。全貧困家庭の児輩がこの給食を受けるといふうには考えておらないのでございます。
  103. 高田なほ子

    高田なほ子君 当然余部の貧困家庭が給食を受けられるようにということを目途としておるわけですが、現在それが完全に行われておらないとすれば、全体の貧困家庭を救済するためにはどういうような方法を講じられていこうとするのか、その点をもう少し詳しく話していただけないでしょうか。
  104. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 現在この学校給食はすべての学校に行われておるわけではございませんので、学校給食を行なっておる学校の児童の中で貧困家庭に属するものはこの恩恵を受けるわけでございます。学校給食を行なっておりません学校におる貧困家庭の児童はその恩恵は受けない、こういうふうになるわけでございます。
  105. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣お尋ねをいたします。今貧困家庭を救済する問題が出ております。特に余剰農産物無償で受け入れることによって貧困家庭の学童たちはこれによって相当潤うと私ども考えておりました。また大臣も先般来そうした意味の御答弁があったわけです。ところが今事務当局からの御答弁によりますと、貧困家庭は全学童の八%ある。しかし必ずしもどの地域でもこの学童給食をやっているのではないので、学童給食施設のあるものだけがこの恩恵に浴するのだ、こういうお話がございました。私ども考え方といたしましては、この余剰農産物を受け入れる性格としては、日本のこの学輩の福祉を増大する意味において受け入れたわけでありますから、当然全学童の中の貧困児童がこの救済の対象として考えられなければならない。なかんずく中小炭鉱地帯における学童のお昼の食事の問題については、過般来非常な問題となっているところでありますが、給食施設のないところでも、この余剰農産物無償受け入れによって学童たちが昼を食べることができるようにしていただけるものかどうか。この点について大臣から御答弁を願いたい。
  106. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お話のような次第でございます。が、最初話の過程におきましては、来た農産物どもお話のような趣旨で全部現物で生徒へ供給したらというような説も向うからも出ておったようでして、しかしながらそういうことをしましたらこれはどうもいろいろの問題があると思いまして、そういうことは文部省へまかそうと申しますか、これはやめまして、そうしてこの結果として無料のものをある意味で有料で配布いたしますから、それだけの金が出ますから、それをただいままで給食をやっていない学校給食設備に回しまして、そうして給食設備がないために給食を開始することのできない学校が全国に相当にありますから、その設備をその金でやって給食の範囲を広める、こういうことにいたす方がよろしいと考えまして、さようの方向をとっておりました。それから九州の炭鉱地方でありますとかに対してどうするかということにつきましては、ああいう窮乏状態にありますのは炭鉱地帯ばかりでありませんで、ほかにもたとえば漁のない漁村とかいうようなところにもありますが、それらに対する供給についてはただいま厚生省、労働省等とも打ち合せをして最善の方法をとりたいと、こういうふうに協議中でありますから、さよう御了承をお願いいたします。
  107. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではお尋ねをいたします。有料にした分は未施設の場合に学童給食施設を作って範囲を拡大をして行く、そういたしますと、当然これは御計画文部省としてお立てになっておられると思う。その御計画は一体大体何ヵ所ぐらいにこの施設を広げて行こうとするのか、またその施設の概要についてその計画の一環をここでずっと説明をしていただきたいと思います。
  108. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) まだ正確な詳しい決定的の計画はまだできかねる事情もございましてなんですが、大体の構想は局長から説明をさせますでございます。
  109. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学校給食を開設します際に施設設備補助金をこれは出すことに御承知の通りなっておりまして、今年度の、先般成立しました予算にも五千万円の予算が計上してございまして、これで大体二百校の新規開設の施設設備を充実するようにいたしておりますが、ただいま大臣からお話のありましたようなことで相当経費が浮いて参りますれば、これをさらに施設設備補助金に使いたい。これは最後決定にまだなっておりません。アメリカとの交渉が最後的な妥結にまだ来ておりませんので、いわば予想的な数字でございますが、一応現在想定いたしておりますのは、二億三千四百万円程度でございまして、これで約手校程度給食用の施設設備を充実していきたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  110. 高田なほ子

    高田なほ子君 続いてお尋ねをいたしますが、大体学童給食される小麦及び脱脂粉乳は一千二百万ドル、これを有料にして一千校の施設を拡大してゆくということは、これはまことにけっこうな話でありますが、この千校の拡大について特にへき地や農村等を重点としておられるのか、あるいはまた都市の中で未設置のものを重点としておられるのか、その千校を増設するについての基本的な考え方を私どもは知りたいと思うのですが。
  111. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この新規に学校給食を開設します学校の選定の問題になりますが、これは大体従来府県の御意見を尊重して決定しておるのでございまして、文部省がこちらの方で積極的にこうせいとはっきりいったわけのものではないのでございます。ただまあ文部省の気持としましては、将来はできる限りそういった山間へき地の方でもこういつた学校給食の開設を奨励したい、こういうふうに考えておるのでございます。
  112. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行ついて。  ただいまの高田さんの質問に水を差すわけではないですが、ただちょっと伺っておきますが、私はけさほかの委員会関係、本会議関係でここへ来られなかったわけですが、先日もここの委員会で確認されたわけですが、本日は最終日でございますので、ある問題については、もう二カ月以前からいまだにやれない問題が、閉会前に若干各委員でやらなくちゃならない問題等があったわけですが、それらも全部本日中にやるようにしかるべく計画、立案されて委員会運営されておるものと了承するのでございますが、さようでございますね。
  113. 笹森順造

    委員長笹森順造君) さようでございます。
  114. 高田なほ子

    高田なほ子君 私ども考えとしては府県の意思を尊重するということはもちろんですが、当然へき地の貧困な町村に重点的にこういう施設が行われなければならないという意見を持っているわけですが、こうした意見について大臣は今度の千校増設に対してどういうお思えをお持ちですか。単に府県の意見を尊重するというだけにとどまるのではちょっと残念だと思うのですが、いかがしょう。
  115. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) これは地方の情勢にもよることでございますから今婦長がお答え申した通りでございます。しかしその間おのずからこちらの方針もございまして、全国的に普及いたしたいと思いますから、そこは地方の教育委員会連絡いたしまして、そうして大体全国に行きわたるような措置はとるつもりでおります。
  116. 高田なほ子

    高田なほ子君 次にお尋ねしたいことは、例の食管特別会計の中に学童給食費用として十六億九千万円のものが含まれているわけです。ところが今度一千二百万ドルに相当する無償給与が行われるとすると、食管特別会計のこの十六億九千万円という数字は依然として動かないのですか、それとも動くようになってくるのか、あるいはこの無償給与の分が換算されて十六億九千万円の中に入ってくるようになるのか、食管特別会計との関連については予算委員会においてもかなり不明確な点が多かったと思いますので、あらためてここでこの関係を御説明していただきたいと思います。
  117. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 昨年は食管特別会計の小麦に対する予算が十七億百万円ばかりでありました。今年は十六億九千万円になっております。で、この額は大体昨年とほとんど同額という意味において計上されたものでございまして、ただ国内産のミルクに対する予算六千六百万円を組んだ関係で多少数字の移動があったというだけの意味でございます。従って二十九年度と大体同額であるという意味において組まれております。かように御承知を願いたいと思います。
  118. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣お尋ねをいたしますが、食糧自給六カ年計画学童給食関係についてお尋ねしたいと思うのですが、食糧自給六ケ年計画によると、澱粉質の消費よりも蛋白や脂肪質に重点を置いておるわけでありますが、学校給食の場合においても、澱粉質の消費よりも蛋白資源あるいは脂肪というところに当然重点が置かれなければならないと思いますが、改めてここに無償給与の脱脂粉乳も相当大量に入ってくるわけですが、今後給食の上において蛋白、脂肪というところに重点を置こうとするのか、また従来までのように児童一入当りの負担というものを重点として計一画をされていこうとするのか、新たに再出発をしようとするときに当りまして、ここらの基本的な考え方というものを大度からお承わりしておきたいと思います。
  119. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) これは全く澱粉、蛋白、脂肪の調和を適正にはかることが食生活の第一であると思いまして、蛋白質までも米によって補うという従来の農村地方の習慣等を打破いたしまして、一考の調整を適正に保つ、こういうことを目指してやっておるのでございます。
  120. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、従来まで大体その他の副食物として八円五十銭という単価の平均が見られておりますが、現在の消費物価からみましても八円五銭という単価であったのでは澱粉、蛋白質、脂肪、調和のとれた食糧を円滑に補給するということは相当各常校においても困難なような声を聞きます。そういたしますと当然学童給食費の値上りということも考えてこなければなりませんが、給食費の負担とそれから調和した栄養の吸収という問題とは相当矛盾した内容を持っておると思いますが、この点について大臣はどういうふうに調和をはかっていこうとなさるのか、私が特に伺いたいのは、国としての補助を将来増していかなければその理想は達せられないと思うのですが、この点についての大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  121. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 今後の経済状態がどうなるかはわかりませんが、もしもそのときの経済状態において適当な調和を得た給食がそれで不十分な場合につきましては、これはやはり国の助成を漁、えざるを得ない、こういうふうに心得ております。
  122. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一つお伺いしておきますが、余剰農産物無償給与ということで、最近無償ということが大きくうたわれておりますが、予算委員会等の御説明の中からくみ取られますことは、アメリカの岸から離れて日本に持って来るまでの運賃は、これは全部日本側が負担をするということを聞いておるわけですが、学童に対する無償納与の分の運賃、その運賃は一体どこから出すのか、その運賃の費用はどのくらいなのか、倉敷料はどのくらいに組んであるのか、つまり無償ということにして、実際に日本側が負担する費用の大要を数字あげて御説明を願いたいと思う。
  123. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 先ほどの御質問とも関連いたしますしいたしますの、でお答えいたします。ミルクの場合を申し上げますが、通常輸入の一万トンにつきましては、トン当り三万五千九百十四円五十七銭、これはことしの三月に実際買い入れました経験上の数字でございますので、その後多少の変動が参っておりますから、それが二万トンについての単価でございます。それから贈与を受けます予定の七千六十五トンにつきましては、向うの港以後の海上運賃その他の諸掛りを予定いたしますと、大体トン当り一万九千九百八十四円十三銭、こういう試算が出ております。国内産につきましてはポンドでいきますと七十五円を予定して予算が組まれておりますから、これに対しまして五分の一を補助いたしますと六十円になります。ボンド六十円のものをトン当りに換算いたしますと十三万二千円という形になりますので、二千トンの国内産については十三万二千円、この三者をプールして出しますと、全体の平均単価が出て参るわけであります。そこで先ほど局長お話にございましたように、一部を府県渡しで無償にしようといたしますと、この分についての負担が加わりますから、このプール計算上その数字を控除して考える必要が起って参ります。単純なプール計算でなく、二本建のプール計算になって参ります。
  124. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいまの説明ではちょっとわかりませんが、トン当りの単価を出されたのですが、すでに日本に受げ入れる総トン数がわかっているわけですから、全体の運賃、倉敷料、そういったようなものの数字を後刻でけっこうでございますから、数字をあげて私どもに資料としていただきたい、これを要望いたします。  次に直接に法律の問題で二、三点お伺いしたいと思います。この給食会法の第四条に「給食会は、主たる事務所を、東京都に置く。」ことになっておりますが、この主たる事務所というからには、主でない事務所も当然に考えておられるように思いますが、これはどういうふうになっておりますか。この間の説明をしていただきたい。
  125. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 第四条の事務所の関係でございますが、主たる事務所を東京都に置く、必要な地に従たる事務所を置くことができると第二項で規定しておりますが、さしあたってこれは三十年度従たる事務所を設けるということはいたしておりません。将来の仕事の状況を見まして、あるいはたとえば関西の地に設けるというようなことが必要になってくれば、そういう所に設ける。将来たとえばもっと機構が中央地方を通じて一貫した強力な組織が必要になるということでありますれば、各府県に設けるというようなことも想像されるわけでございますが、本年度は従たる事務所を設けるということにいたしておりませんので、その予算は計上いたしておらないのでございます。
  126. 高田なほ子

    高田なほ子君 次にお伺いしたいことは第五条の八聖でありますが、「会計に関する事項」という二項がございます。この会計に関する事項の中で最も重要な問題は、こうした給食会というものの運営がときによって不幸な運営に陥りました場合には相当遺憾な問題が出る危険性を私どもは過去のいろいろな問題から想像せざるを得ない。そこでこの会計に関する事項の中に監査という問題が含まれておるのではないかと思いますが、この点についてはどういうふうになっておりますか、説明していただきたい。
  127. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) これは定款で規定する事項を第五条に入れたのでございまして、従って普通特殊法人の会計に関する事項といたしましては、これは御承知のように監事が会計監査をするということが主になるわけでございます。もちろんこうした特殊法人で相当大量な物資を扱うということでございますので、会計の監査に関する事項は厳重に規定をし、またこの実施も厳重にいたしたいと思います。なおこれは文部省が監督官庁でございますので、会計に関しましては、給食会の会計につきましては、これは文部大臣が監督いたしますけれども補助関係がございますので、会計検査院の検査も当然受けることになるわけでございます。
  128. 高田なほ子

    高田なほ子君 次に第二章の「役員及び職員」の問題でありますが、第九条に役員の数字を具体的にあげておりますが、従来から文部省内には日本学童給食会といったようなものがございましたが、その役員がそのままここに肩がわりするような予定で書いておられるのですか。従来までの役員がこの新しくできる給食会と関連をもってくるのか、この点について人事の面ですが、お話を願いたい。
  129. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 給食公の役員の人事は、これは文部大臣の御方針できめることでありますので、私からお答えするのがいいかどうか、ちょっと疑問がございますが、現在財団法人でやっております給食会の仕事は、今回の新法人になりますために中断されるというようなことになると、全国の給食実施の面に影響するところもあると思われますので、ことに役員以外の職員については大部分は移行するのではなかろうかと事務的に想像いたしております。また理事のうちあるいは何人かは残るものがあり得るものと考えますが、すべてが移行するとは考えておりません。
  130. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣希望意見として述べたいのですが、財団法人学校給食会の問題については、私ども一としては数年前若干遺憾な点があったように記憶しておるわけであります。こういう非常に大切な仕事をする方々でありますから、そっくりそのまま財団法人給食会を新しい法案によって人事をそのまま移していくというやり方は、私どもとしてはやはり相当重要視しなければならない問題ではないか、事教育に関する問題でありますから、私ども過般給食の汚職問題について途中までメスを入れましたが、学童に及ぼす影響の甚大であることを考えまして、私はこのメスを引き下げたのです。そういうような点もございましたりして、かなり人事の問題については厳重な、あるいはまた清純なお気持でこれをやっていただかなければならないという私ども希望を持っておるわけでありますが、この点は大臣の御意見を承わらずに、こちらの希望として大臣に申し上げておきます。  その次の質問は、第十一条の「役員の任命及び任期」問題であります。第十一条の役員の適格条件として「必要な学識経験を有する者のうちから」という一項があります。ここに言う必要な学識経験というのは具体的にどういう資格を持っておるものか。特に学童給食でありますから、必要な学識経験の具体的な条件あるいは資格、そういうものについてここではっきりと示してもらいたいと思う。これは大臣に御答弁願った方がいいと思います。
  131. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学校給食の事業を達成するために学校給食会ができるのでございますので、必要な学識経験と申しますのは、当然教育一般並びに学校給食の実際の情況あるいは給食の業務が適正に行われるのに必要な学識経験ということであると思っております。
  132. 高田なほ子

    高田なほ子君 大へん抽象的な御答弁で、私は非常に不満であります。先ほどからだんだんとお話し合いがございましたように、現在の学童給食農林省あるいは厚生省そうし仁、一省の連繋の上に万全を期すというような御答弁があったわけでありますから、当然この三省の連絡を加味した人材がここに据えられることが当然だと思う。特にこの学童給食の現在までの状態を見ると、どの学校でも母の会、あるいはPTAのお母さん、それから婦人教師、それから炊事婦、多くの婦人が下積みになりながら真剣な努力を重ねておりますが、実際にこういう問題を運営する場面にゆくと全部男の方ばかりで占められておることは、やはり相当考えなければならないことで、厚生省、農林省文部省三省十分に考えられて、ここに的確な経験者、なかんずく男性によってのみこれを牛耳らないで、女性の特にそういう面においても立派な経験を持っている方もたくさんあるわけでありますから、大臣が任命の場合はそういう強い意見もあったということを念頭に置いて進めていただきたい、これは希望意見として申し上げます。  それから、次にお伺いしたいことですが、第十二条の問題であります。代表権制限の問題、これは「給食会と理事長又は理事との利益が相反する事項については、」云々とありますが、この毒養鶏峯て、法文を見ただけでは私どもには内容が十分はっきりいたしません。従ってこの内容を事務当局から詳細に御説明を願いたい。
  133. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 第十二条は大体この法律の規定といたしましては、例文的なものでございまして、具体的に給食会が仕事をいたします場合に、理事長なり理事が代表権を持ち業務を遂行して参るわけでありますが、そこで理事長なり理事給食会との間において利害が反するような立場に立つ場合に、具体的に申しますと個人の場合とか、あるいは会社の場合に清算の問題についても起ると思いますが、そういったいろいろの場合が予想されますが、そういう場合には代表権を有しないことにいたしませんと正確な業務の遂行ができない、こういうことからできたものと瀞えております。
  134. 高田なほ子

    高田なほ子君 次に第二十条の問題にありますが、この第二十条の「学校給食用物資の売渡価格」の問題、これは非常に重要な二項だと思います。この第二十条は営利の目的の介入をここで排除するための第二十条であると私は解釈いたします。しかし、入間でありますからこういうような問題が湛らないとは限らない。営利の目的が仮に売渡しが済んだあとに介入したということがわかった場合にこれを何らかの方法で除外したり、もっときつく言えば罰則規定くらいは設けていいじゃないかという意見を持っておりますが、この点について第二十条の説明と私の質問に答えていただきたい。
  135. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この学校給食用物資の売渡し価格につきましては、これは文部大臣が認可をすることになっておりまして、従って単に学校給食会だけでこれをきめることができないようになっております。認可いたします場合には詳細この数字を当りますので、文部省としては当然そういった営利の目的が入っているか入っていないかということについて検討できると考えております。またこの売渡価格の認可につきましては農林大臣とも話し合いすることになっておりますので、一そう厳重に審査ができると思っております。
  136. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、第二十条は単なる注意規定ということになると思いますが、それは注意規定という性格以外の何ものでもないと思いますが、これの判断についてはどこでどういう措置が講じられますか、説明して下さい。
  137. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) もしそういった営利の目的が入っておったということになりますれば、文部省もこれは監督官庁として責任を負うことになりますが、その給食会の役員も第二十九条で文部大臣がこれを解任することの理由の一つになると思います。
  138. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、この場合は二十九条の解任というところに二十条違反の者はあてはまるということになって来ると思いますが、これはその通りでよろしゅうございますね、そうでございますか。
  139. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) さようでございます。
  140. 高田なほ子

    高田なほ子君 以上で質問を終ります。
  141. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 先ほども申しましたように、本案につきましては六月二十一日、二十三日の両日にわたり、また本日午前から政府に対しすでに相当な質疑を行なっております。従いまして御質疑のある方はなるべく要点に触れ、御答弁も簡潔にお願いいたし、重複を避けていただくように特に希望を申し上げます。
  142. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本法案委員会にかかり、今までの審議の経過は委員長の申された通りであります。従って私が伺うことは、かつて出た問題でありますが、ということは、余剰農産物の問題と関連して本法案審議の過程に給食の問題が論ぜられたことは御承知の通り、今も論ぜられました。そこで私は大胆にこの点について一点伺いたいことがあるのですが、昭和三十年アメリカ会計年度において余剰農産物を受け入れるつもりでございますか、いかがでございますか、御答弁願います。
  143. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) まだ向うへは具体的の交渉はいたしておりませんが、明年度のことにつきまして、この間から政府としていろいろ相談をいたしております。原則的には明年も継続して受け入れをしよう、こういうふうな話し合いをいたしているわけでございます。
  144. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 余剰農産物の問題は学校給食との関連があるので問題が出て来るわけですが、余剰農産物に関する承認案一件が本国会にがかった当時においては、その当時とは今から約一ヵ月前でございますが、その当時本委員会において松村文部大臣アメリカ余剰農産物の受け入れば昭和二十九年米会計年度だけであって、明年以降はそういうことは考えていないということを本委員会で答弁されておりますが、ただいまの文部大臣の答弁は著しい相違を来たしていると思いますが、いかがでございましょう。
  145. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) その点については今お話のような御答弁は私していないと思います。
  146. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やっています。
  147. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私一年度限りと申しましたのは、今度の条約が一年度限りのものでございますから、文部省としても計画は一年度限りとして計画を立てている、こういうふうに申し上げたのでございまして、将来のことはまた一年々々の計画で進んでいく、こういう意味合いでございます。アメリカ余剰農産物の何は明年度といいますか、明後年度まで三カ年くらいはやるということでございますが、明年度につきましても、やはり、明年度は明年度だけの話し合いとなっておりまして、二ヵ年ないし三ヵ年の継続のものとしてなっておるわけではございませんから、そういう趣旨において、ことしはことし限りと申したわけでございます。明年度のことについて、受け入れをしないとかするとかいうことは、私その当時申していないはずでございます。
  148. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは文部大臣、重大な御発言でございますよ。それは私は神経を針のごとくして私は注意しておった問題です。当時私は、大体、余剰農産物は三ヵ年程度くらい連続して日本に贈られるようであり、日本政府もそれを川持しているということを私は感じて、伺ったところが、文部大臣は、本年限りで、明年、三年なんと考えていないし、今後も考えていない。そのあとで農林政務次官が来た場合に、若干農林政務次官の発言がずれて、それを追及しましたところが、農林政務次官の方が退いたわけです。その当時からこの余剰農産物に対する答弁が高碕長官と松村文部大臣の食い違いというものは、私は非常に重大関心をもっておったわけです。従って、私は本日冒頭にそれを伺いましたところが、ただいまの大体高碕国務大臣の答弁と同じ内容の答弁になってきておるわけで、この点は速記録を見るまでもなく、私の記憶がきわめて明らかです。それは報道陣の諸君がもしおるならば、その当時の委員会に出席された報道陣もつぶさに承知しているところであって、私はこの点非常に遺憾に思います。時間が到約されておりますから、それに対する答弁をいただくと同時に、重ねてそれに関連してもう一点伺いますが、その当時文部大臣の答弁の重点は、ことに千五百万ドルの綿花を含むところの無償の贈与分について、大臣としてはそういう形でなくて、国費で別個の形で困窮児を救済したいということを述べられたわけでございますが、そこで私が伺いたいのは、近く河野農林大臣は渡米いたします。伝えられるところによりますというと、分を除いて六千五百万ドルの余剰農産物の交渉に河野農林大臣は行くのだと、それを一応渡米目標にしていると、この六千五百万ドルというのを。しかも、この六千五百万ドルというのは、贈与分を除いてあるのですが、私はここで伺いたい点は、松村文部大臣はこの贈与分を除いてあるのですが、昭和二十九米会計年度に受けた千五百万ドルの無償供与、これに、その数字はどう動きますか、ともかくこれに類似した無償贈与を受けるように交渉するように河野農林大臣はその使命を帯びて渡米されるのでございますか、それとも無償でない分だけを話し合って、無償供与というものはこちらからは三十会計年度以後は交渉しないと、こういう建前でおられるのですか、その点伺っておきます。
  149. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私の申し上げた答弁は、速記録を御覧下さいますならばおわかり下さることと思います。もしもあなたが仰せらるるようなふうに出ておりましたならば、それは私の間違いでございまして、適当に皆さんにお取り消しのことは陳謝いたしますが、私は速記録にはそのようなことにはなっていない。私はそういうふうにはお答えいたしていない。初めからそういうつもりでありましたから、言葉は間違いはないと思います。いずれ速記録を調べまして申し上げます。そのすぐあと予算委員会等において、高碕君との食い違いを指摘されましたときにも、そういう趣旨において私は答弁をいたしておるわけでございまして、当初から私の考えはそう違っていないと思っております。  それから河野農林大臣向うへ参りまして折衝につきましては、この学校の問題につきましては何ら打ち合せをいたしておりません。これは経審を通じ、外務省を通じて交渉が行わるることと存ずるのでございまして、別に今その方面、わざわざアメリカへ行って交渉というようなことは、それは下話し、どうするのだということに対する話はこれはいたすかもしれませんけれども、別にそれを河野君の使命の一つにお願い申しておるわけではございません。
  150. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの大臣の答弁の前段について、私は繰り返しませんが、速記録を調べれば私は明確だと思うのです。  後段の答弁は、私の質問のピントをはずしております。明確でございません。従って重ねてお答え願いたい。ということは、今まで私が少くとも受けた印象は、文部大臣は児童用の無償供与は引続いて来年、再来年と受ける意思があまりないような印象を与える御発言をずっとなさってこられておるわけです。そこで私伺いたい点は、河野農林大臣は、この余剰農産物の件について、交渉使命として渡米されるわけでございますが、文部大臣としては、児童川に対する余剰農産物の件については、無償贈与の分ですよ、その点については、昭和二十九米会計年度と同じような成果をもって河野農林大臣が帰ってくるように希望されているのでございますか。それとも無償供与の分は非常に消極的な態度をとられようとしておられるのでございますか。これは国内で協議する必要もないし、河野農林大臣とも話し合う必要もないし、先般来この法律案件を審議するに当りまして、再三再四あらゆる角度から検討されて、すでに文部大臣としても確たる個人見解をもっておられる次第でございますから、御所信を承わっておきます。
  151. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それは先刻申し上げました通りに、高碕経審長官とその点をいろいろ検討をいたし協議をいたしました。でき得るならばある程度の価格を余剰農産物の買い入れとあわせて考慮をして、それだけ値を下げた有価で買えたならば一等よろしいということを考えておりますが、それが向うのその話は、余剰農産物を売る掛と、そういう贈与の掛とは違うようでありまして、果してそういう話が出ているかどうかはわかりません。それでありますから、原則的に申しますならば、去年通りに受け入れをする、こういう大まかなところでこれから向う話し合いを始めてもらう、こういうことにいたしたような次第でございます。
  152. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと関連質問。それは重大です。方針が食い違っている。矢鳴さんいいですか。
  153. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと待って下さい。あのね、大臣、私は短時間にこの点に関する質問を全部終りたいと思いますから、私としては続いて追及しませんが、私明確に伺っておきたいことは、この問題についての大臣の御所見というものは、方針というものは、速記録を見れば明確と思いますが、私の記憶に関する限り、相当の変り方をしているという点は、私はどういうわけでそうなったのか、なことに遺憾に存じます。大臣の方針だけわかりましたから、私としてはそれだけにして次の質問に移りたいと思いますが、高田さんが関連質問を要求されておりますから、委員長からしかるべくおとりはからい願いたいと思います。
  154. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいまの問題はかなり重要な問題ではないかと思うのです。大臣は当初これを無償で受け入れるということについては御納得の意を表され、また当委員会であったと思いますが、外務省の見解としては、一九四九年の農業法の四百十六条には、アメリカ政府は国内における慈善団体に対して余剰農産物を外国の貧困者を援助するためにこの慈善団体を通して行いたいという条項がある、その条項に基いて外務省の見解としては、場合によっては日本の救済機関を通じて協定を結ぶ必要がある、けれども現在はそういう措置が講じられないから、暫定措置として八千五百万ドルの有償の受け入れと付随してこの協定を結んだという説明があったわけです。ところが今の大臣お話によると、有料にして受け入れていきたいということになるとすれば、余剰農産物に関するこの協定の中の八千五百万ドルというものを、来年度は学童給食分も含めて一般に拡大していくという方針に変ってくるように思いますが、これは大臣の当初のお考え方と非常に違ってくると思いますが、いかがでございましょうか。
  155. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 別に拡大するとは私ども考えておりませんが、それはどういうことでございましようか。
  156. 高田なほ子

    高田なほ子君 この協定の中には学童福祉拡大のために無償アメリカから入るという、これは何と申しましようか、有償で受け入れるのに対して付属したような形になって協定が結ばれておるわけです。
  157. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) さようです。
  158. 高田なほ子

    高田なほ子君 それについて荒木委員も御質問をして、学童無償で、ただ外国から物をもらうということについては若干異議がある、こういうふうな発言をされました。それに対して大臣は私としてはさような単に無償でもらうという考え方はしておらない、こういうお話をした、そこで外務省の見解としてそのときに言ったことは、アメリカの救済機関から日本の救済機関に対して、アメリカの一九四九年の農業法に基いて救済物資として受け入れる、そういう協定を結ぶ用意があるのだ、こういうふうに外務省は答弁している、これはあくまで救済物資として入れようという外務省の見解、ところが今の大臣の見解は、救済物資としてではなくて、将来有料として受け入れるということになれば、当然この八千五百万ドルの今度の協定の内容を拡大していくというふうに受けとられたことを私は言うのです。
  159. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それはひっきょう有料ということになりますれば、その額は去年の有料のと無料のと合せた額になります。そしてしかしながらその需要は、入った総量は同じことになることになりますから、別に変ったことはないと考えます。
  160. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私ちょっと時間を急いでおりますので、あと納得できませんところはまたあらためてやっていただくことにして、ごく簡単に他の案件について伺いたいと思います。  この日本学校給食会法案を審議するに当って、所管課からは非常に資料をりっぱにそろえていただいて、先般審議するときには非常に好都合であったですが、その当時から私気づいておったことは、財団法人が法人にかわるわけですが、予算面を見ますと、非常に人件費が特にふくれていますが、それはどういう理由でございますか。
  161. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 現在の財団法人の給食会は御承知かとも思いますが、文部省管理局長理事長をやっておる、それからこの理事の中には文部省の学校給食課長がおり、監事の中には文部省の会計課長がおるというような工合に、兼職の者が非常に多いのでございますが、これらは業務の性質上よろしくございませんので、すべてこういうものは今後兼職ということはなくなして、それぞれ専任の理事長なり理事なり監事がおかれる、従って役員はある程度ふえて参ります関係上、役員の給与の関係が相当にふえるのでございます。
  162. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の予想した答弁でご、ざいます。この組織がえは趣旨としてけっこうで、その適当なる役員の専任、それから法の運用という点に期待しなければならぬと思いますが、そこで第十三条、この点だけ伺っておきますが、理事長及び理事は、他の職業に従事しはてならない。それは今の予算面から人件費の膨張の裏書きになると思うのです。「ただし、文部大臣がこれらの役員としての職務の執行に支障がないものと認めて許可した場合は、この限りでない。」従って「文部大臣がこれらの役員として」云々から「許可した場合は、この限りでない。」と、この条項の運用というものは、これはよほど厳密一でなければならないし、私は注目に値すべきものだと思っているのですが、この一条の解釈並びに法が成立した後の運用について大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、伺っておきます。
  163. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) これは絶対にとめておくわけにはゆきませんから、この附則をつけてありますけれども、今度は、こればかりではありません。文部省の外郭団体につきましても、利害の関係を含む団体における兼任ということは、兼職は一切もうやめることにいたしました。そして今までやっておった人は引いてもらうことにいたしたのでございます。厳重にこれは、絶対に必要がある場合は別としまして、厳重に交渉いたしたいと考えております。
  164. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの大臣の所見には賛成でございます。法の成立の後においては、その精神にのっとって運用してもらいたいし、また私も審議した一人として十分の監視をするものであると申し述べておきます。  次に学校給食実施状況という資料をかって出されましたが、この資料を見ますと、この学校給食実施についての百分率が、都道府県においてそのアンバランスがあまりにもはなはだしいのに驚く次第でございますが、これはいかなる理由に塞ぐものか、その原因とおはしきおもなる一、二点をあげていただきたい。また文部当局一としては、このアンバランスの是正というものを、学校給食教育的価値という立場から、私は何らかの具体的努力方法というものを考案されていると思いますが、その御所見を伺います。と申しますことは、そこにあなた方資料をお持ちと思いますが、たとえば百分率で、いいのは八八・七%とあります。ごくひどいところになりますというと、百分率が一・四%というような比率になっているわけでありまして、これは各都道府県のその地勢、産業人口その他いろいろ相違がありますから、若干の相違の出て来ることは当然かとも思いますけれども、これほど大きいアンバランスを見せつけられますというと、学校給食というものの教育的効果と、それから日本国民の食生活改善というような立場から学校給食は取り上げられていることを考えるときに、非常に私は納得しかねる点がありますので伺っているわけでございまして、お答え願いたいと思います。
  165. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) お答えいたします。確かに全国を通じましてはなはだしい地方差がございますことは、まことに残念に存じております。そこでお話のように、学校給食法もできまして、従来のような全く任意の状態にあったのと違いますので、今後この普及充実の具体化につきましては、十分考慮をして行く必要があると考えております。そこで、下校給食法案の中にもそういった面も考慮いたしまして、後援会とかあるいはその他の事業を営むことにいたしておりますし、また文部省としましても、各府県の担当課長会議、あるいはまたブロックごとの会合等においても、全国なるべくくまなく普及いたすように指導をいたしておるわけでございます。最近におきましては、宮崎県にいたしましても、あるいは青森県その他の数県にいたしましても、非常な熱意をもって県のほうでも指導をされておりますので、おそらくここ数年の間にはこうしたひどいアンバランスはなくなって、参るだろう、またぜひともそうしたい、かように考えております。
  166. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ通り一ぺんの答弁で、私の期待に沿うものでありませんが、この点については特に所管局、所管課においてさらに原因を探究し、解決するための具体案を考究し、善処されることを要望して、最後の質問にはいります。  私はこの給食問題が起った場合、こういう法律案を審議して通すことも大事であるが、その前に、給食問題が出た以上は、私は昨年来本委員会に問題になりましたこのデフレ経済の結果として、その日その日の食事に困り登校もできなくなっている、あらゆる産業にありましようが、特に中小炭鉱の措置をいかにするかという点を究明したいと思って、委員長さんにも数度にわたってお願いしたわけですが、法律案その他の審議の関係上本日までその機会がなかったわけですが、と申すことは、昨年来これが前内閣時代問題になって、六月分までは無償のものが配給されていたわけです。六月末で切れる。七月以後というのが問題になっていたわけでが、これは個人的にも意見を出しす、あなた方に要望もして、七月以後に引き続きある程度の手配をされたわけでありますが、私はここで伺っておきたい点は、七月以後にいかような手配をされ、今後これをどの程度継続されて行こうとしているかということなんですね、このことは私はきわめて緊急であり、重大だと思うのです。今目の前に学校に行けない、それから健康を害する、家庭を破壊する、それから社会問題が起る、こういう当面の問題こそまつ先に私は解決せなければならん問題だと思うのです。  あと二、三分私が発言することを許されるならば、実は長崎県の教育委員会委員長から送付して来たものを見たわけですが、おそらく大臣も見られたと思いますが、ある家庭では、子供の日記に、子供ができたのをお父さんがこんなときに子供が生まれてと嘆いたのを子供が聞いた作文があったり、それから兄弟何人かあるうち、いなかの親戚に預けなければ食べて行けないからと言うと、小さい子供が、お母ちゃんから離れたくない、いなかのおじちゃんがいつ迎えに来るかというので戦々きょうきょうとしているその兄弟の状態を、わずか小学校の四年生あるいは六年生が、もう胸を打つような作文を書いてあるんですね。私はこの点は文部大臣にも伺いたいのですが、石炭鉱業合理化法案というのが本日参議院をおそらく通過、可決成立するでしょう。そうしますと、これに伴っての……。
  167. 笹森順造

    委員長笹森順造君) たいへん発言中失礼ですが、本会議緊急質問があるそうでございまして、連絡が来ましたから……。
  168. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今終ります。この法案が通った後に、その深刻度というものはさらに増すわけです。この問題は重大であり、かつ緊急なんです。そこで大臣が今退席される前に一分でよろしゅうでございますから、いかに部下を督励し、そうして適時的確なる処置をされようとする御所信を持っておられるという点を大臣から承わり、なお所管局長並びに課長から、先ほども申し上げました角度から御答弁いただきたいと思います。
  169. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 実はその点については、私も悲惨なことは存じておりまして、非常に苦心をいたしておるようなわけでございます。先刻も申し上げました通りに、今労働省、厚生省とうち合せをしてその措置に誤まりないようやっておるつもりでございますから、さよう御了承を願います。
  170. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ただいま大臣の答弁で尽きておると思いますが、事務といたしまして、それはただいま矢嶋先生のおっしゃいましたように、夏休みの始まります前の七月までは無償配給を行なったのでございまして、九月以降のことにつきまして、これは余剰農産物がいつはいって来るかということにも関連いたしますが、その状況によって、九月以降まだはいって来なければ無償ミルクの配給を学校給食会を通じてやるということにいたしたいと思っております。なお実際には炭鉱地帯で学校給食をやっていない学校が実は相当あるのでございまして、昨年来文部省としましてはできるだけ炭鉱地帯の学校給食をやらせるように府県を通じて指導して来ておるのでございますが、思ったほどの成績が実は上っておらないのでございまして、その点は非常に残念でございますので、本年度の施設設備の配分の際にもこの点に特に力を入れて努力したいと思っております。  なお、九月以降のことにつきましては、もしその九月新学期開始に余剰農産物がはいって来ておらなければ、七月以前と同様に無償ミルクを続けて行きたい、こういうふうに考えております。
  171. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 労働行政のさらに文教行政のエキス。エキスパートの政務次官がお見えになったから、一点だけお伺いしておきます。  今私が伺っているのは、あらゆる産業もそうですが、特にデフレの強く急激に押しよせて来たしかも経済的に弾力性のない中小炭鉱の学童給食問題、今夏休みですが、九月以後いかようにこれを処理されるかという点を伺っているのですが、ことに本日おそらく参議院でいわゆる石炭合理化法案なるものが可決成立するでございましょう。その結果が大手筋の炭鉱はともかくとして、中小炭鉱には相当の救済策は考えておるにしても、相当の影響は必ずやはりもたらすということは、労働省に長くおられた次官としては私は予見されていると思うのです。そこで新たに廃坑休抗する鉱山が続出した場合に、生徒、児童の欠食、長期欠席、ひいては不良化、社会悪の温床になるといべことを連想するときには、りつ然たるものがあると思うのですが、しかし私は、こういう問題は火のついた、緊急な国政問題だと考えております。従って、政務次官として、九月以後これらの事態に対していかような、子を打たれるべく今から準備をされておられるか、またされようとしておるか、その御所見を私はこの際承わっておきたいと思います。
  172. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 炭鉱の不況に伴ういろいろな社会問題の一環として、学校に通っている学童に対する教育扶助その他国家的な援助の問題についてどういうふうに考えるかというお尋ねでございますが、この問題は、相当幅の広い、しかも底の深い問題だと思います。経済界の不況に見舞われた場合に、そのあふりを食って、子供の教育に非常な経済的な困難が伴ってくるという場合は、いろいろの場合ございます。先年来造船界の不況その他いろいろの不況が襲って参りまして、そのつどこういう問題は、程度の違いはあれ大問題だと考えます。こうした点では、この問題は炭鉱だけに限らず、ほかの産業にも大問題であるということが一つございます。それからもう一つは、時期的に考えて、この不況が襲って参りました場合に、給食といったような場面で、そういつまでも支えられる問題であるかどうかということになれば、これは非常に給食という問題でこの不況対策を支えるというのは非常にこういう対策としては弱い対策だと私考えます。こう考えてみますと、ほかの産業との関連並びにこの時期的な問題などを考えますと、給食ということでとりあえずの措置をするということは暫定的な対策であろうと考えます。私どもといたしましては、そういう観点から、炭鉱問題につきましては、もっと幅の広い、各省の行政で協力して対策を立てていかなければならん問題であろうと思いますが、今度幸い石炭の企業合理一化の法案も成立いたすそうでございますし、これによって廃坑になる炭鉱に対しては、それぞれの措置も講ぜられることであろうと思います。その措置が講ぜられる過程において、いろいろ犠牲者も出てくると思いますが、さような場合には、従来応急的にとって参りましたような学校給食の対策、すなわちミルクの無償配給というような問題は、問題全体の解決としては、そう有力な手段ではないと思いますが、本格的な措置が講ぜられるまで、私どもとしては従来の方針を続けて参りたい、かように考えております。
  173. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの政務次官の御見解は、主として一般論に重点がおかれて所見の開陳をされたようです。その一般論としては、私は全く同感でございます。しかしその政務次官のお言葉の中にありました、抜本的解決でないが、一つの応急、暫定的な措置としてそういうことが考えられるという言葉を使われましたが、その根本的なでない、暫定的な、応急のその措置が、非常に大事な段階にあるわけですから、総合的な、抜本的な解決策を講ずると同時に、当面火のついている問題に適時的確に暫定的な措置でもを打たれるように努力をされるべきものだと思います。その点は今の答弁の中にはお認めになっての御答弁だと思いますが、さよう了承してよろしゅうございますか。
  174. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) その通りでございます。
  175. 高橋道男

    ○高橋道男君 余剰農産物協定第三条に、「日本国の歌校児童の福祉計画を拡大するため、」云々という文句がありますが、その学校児童という言葉をそのまますなおに受け取りますと、これは日本語も成文になっておりますから、すなおに受け取るべきだと思いますが、小学校の児童だけで、中学校の生徒は対象にはならんというふうに受け取れるのですが、その点はどういうことになっておりますか。
  176. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) まあ文部省考えといたしましては、一応この学校福祉計画の増進ということでございますので、この中学校日本では義務制でもございますので、中学校の生徒も一応計画の数字には入れたいということで交渉いたしております。中学校でたとえば学校給食をやっているようなものにはそういったものも多少恩恵にあずかり得る考えでございます。
  177. 高橋道男

    ○高橋道男君 そういったものは、「学校児童」と書いてあるのは、英文に直した場合に、向うの英語では生徒児童というような意味に解釈もされて、またそういう方針であるということに受け取ってよろしゅうございますか。でないと、文部省計画がくずれてくるように思いますから。
  178. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 従来すでに何回かまあ向うと交渉しておりまして、まだ最後的な妥結には至りませんけれども、その点についてアメリカの方で別に異論のあるようには考えておりません。
  179. 高橋道男

    ○高橋道男君 もう一つ伺っておきたいのは、この給食法案の第十四条に「法令により公務に従事する職員とみなす。」とあるのですが、これは公務員じゃないのですね。
  180. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私ども準公務員というような言葉で言っておりまして、公務員でないけれども、公務員に準ずる取扱いをするというようなことになっております。
  181. 高橋道男

    ○高橋道男君 そうしますと、これはやはり恩給関係などには浴し得ると考えていいのですか。
  182. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 恩給法の適用などはないのでございます。
  183. 高橋道男

    ○高橋道男君 もう一点お伺いしたいのは、先ほど高田委員からも御質問があったのでありますが、二十条で、「営利の目的の介入がないものでなければならない。」というこの売渡価格の問題ですが、この営利の目的の介入はならないというのはどの程度のものであるか、そういう基礎はお持ちになっているのですか、具体的な基礎ですね。
  184. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この日本学校給食会がやりますのはこの国の代行機関的なことをやるわけでございますので、この値段の決定についても実費主義で計算するというようにまあ考えております。いやしくも給食会がその物資のあっせんによって、給食会が利益を得るというようなことはこれはいけないのだと港えております。
  185. 高橋道男

    ○高橋道男君 そうすると、確定的に幾らというその具体的な数字があるわけではないので、そのときによって変動もあるし、また不定なものであるというふうに見てよろしいのですか。
  186. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のようにアメリカから現在では大量にこのミルクを輸入しているわけでございますが、このミルクの買い入れ値段というものは必らずしも一定しているわけではございませんので、最近はだんだん安くなって参っておりますが、決定的にある一定の線にとどまっているというふうに言い切れないものがあると思います。従って値段は幾らであるということが確定的になるというわけのものではないと考えております。
  187. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっと速記をとめて。    午後四時十一分速記中止    ————・————    午後四時三十二分速記開始
  189. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて下さい。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  190. 白井勇

    白井勇君 私は本案に賛成いたしまするに当りまして付帯条件を付したいと思います。読み上げます。   学校給食を適正確実に運営するためには、本法制定を機に、当委員会かねての要望に即応すべく、特に次の主点につき適正な対策を講ずることが焦眉の急務である。  一、政府学校給食法制定の趣旨及び目的に適合した運営を行うために、その指導体制を拡充強化するよう、速かに法的並びに予算的措置を講ずること。  二、学校給食に要する経費についての保護者負担は、法令の規定する範囲内に止めると共に、準要保護児童に対しても、政府は速かに適切な措置を講ずること。  三、政府は、学校給食目的が国民生活の改善に寄与することにも鑑み、農林省はじめ関係各省間の連絡協調を密にし、その運営に遺漏なきを期すこと。  以上であります。この趣旨は先ほど質疑応答の関係におきまして述べましたことと同じことでありますが、要しまするに現在文部当局におかれましては、非常な熱意は持って学校給食運営に当っておるわけでありまするが、今の実態をみまするというと現状は必ずしも文部省のお考えのようには運行されていない。特に文部当局としまして力を入れておりまするこの法の指導徹底というような体制におきましても、文部省初め地方の教育委員会さらにまた学校当事者におきましても、この法の趣旨に従って学校給食運営して行きまする指導ということにつきましての体制が非常に弱いのであります。この拡充整備をするためには法的な改正も要ると思いまするし、さらに予算的措置も必要だと思うのであります。これが第一点であります。  さらに学校給食に要しまする経費の負担のことを考えてみまするというと、法の第六条施行令の第二条によりましてはっきり分担がきまっております。保護者の負担と申しまするものは、ほんとうの給食費のみを負担すべきになっておるにもかかわりませず、給食に関しまする人件費あるいは施設さらにまた給食費を納め得ない準要保護者児童というものの給食費までも一般の学童が負担せざるを得ない、こういうような結果になっておりまして、まことにこれは由々しき問題と考えております。これが付帯条件の二項であります。  さらに三項、といたしまして、特にこの学校給食と申しますものは、御承知の通りに国民の食生活というものの改善にも今後は非常に重大な役割を果してゆかなければならぬ。従いましてこの面を進めてゆきます上におきましては、どういたしましても農林省はじめ厚生省その他の関係方面の十分な連絡をとりまして、むしろ一丸となってその運営に当らなければならぬということが非常に重要な段階になっておりますので、特に付帯条件を付したいと思うのであります。要しまするに文部当局が今の学校給食を的確に行いまするために、今回提案になりました学校給食法案というようなものを制定することが単に焦眉の急務であるというような考え方でこう学校給食というものを運営されるということは非常に遺憾であるということを考えるのであります。今後この付帯条件に触れましたような事項がむしろ焦眉の急務であるということに十分文部当局もお考えの上善処されんことを強く御要望申し上げる次第であります。
  191. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はただいま審議されました日本学校給食会法に賛成をいたします。ただ私はこの際申し上げたいと思うのは、われわれがこの法案に賛成する理由は必ずしも積極的でないわけであります。それは現在管理局長給食会の会長をしている、あるいは給食課長がその管理をしている。監督の立場にある人が商取引の行為をやっているという現状は、これは前からも指摘しておりましたが、通常の姿ではない、こういう点は一刻も早く改善しなければならないというふうに港えておりました。今回出されました法案によりまして、そういう点を解消して、そうして特殊の法人を作ってその法人を一もって給食の適正な、しかも健全な発展をはかって行こうということになりましたので現状を改善する、そういう意味において私どもは賛成をするのでございます。学校給食については、今日一番の問題は何といっても値段が高いという点にあると思うのです。この法案が成立しましても、一番の問題であるところの給食費用が目立って安くなる、こういうことを期待することはできないと思うのであります。どうしてもやはりこのためには給食法それ自体を改正をして、もう少し国家でその費用を負担するという方向に行かなければ私は国民の要望にこたえることができないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。そういう意味においてこの法案を審議するに当って今後父兄の給食費の負担のために文部省はさらに努力をしてもらいたいということをまず申し上げたいかように思います。  それから、もう一つの問題は、やはりこれは小学校から行なっていくということは私も当然であると思いますが、将来においてはこれを中学校にまでやはり範囲を拡げていってもらいたい。それから特に定時制高等学校の問題、夜間に通っている生徒の諸君の問題、これは中学校が済んでからそちらに移るという考え方でなしに、やはりこの必要性から考えたならば、私は小学校の必要性と変らない程度考えてもらいたい、少くとも中学校にその範囲を拡める場合にはどうしてもこの定時制の問題を考えてもらいたいということを要望したいのでございます。非常に簡単ですが、以上の二点について意見を述べて、そうしてこの法案に賛成をいたします。  なお、白井委員から御提案になりました付帯決議につきましても、心から賛成をいたす次第であります。
  192. 吉田萬次

    吉田萬次君 私もこの法案に賛成をいたしまするけれども、しかしこれをもって満足をし、あるいはこれが完全なものだとは考えないのでありまして、ことに特殊法人になったということは、従来のあり方よりは一歩進歩したものと考えます。しかしながら、この給食法案というものは非常にいろいろな方面に関係し、また多種多様なここに問題がからんでおります関係上、その運営に当っては最も注意をしなければならぬと思います。この点十分に注意せられまして、そうして完全な運行のできるように私は希望いたします。  なお、この問題につきまして白井委員から付帯決議が出ましたが、これはごもっとものことと存じまして、重ねてこの点も了承いたしまして、そうしてこの案に賛成の意を表する次第であります。
  193. 高橋道男

    ○高橋道男君 私はただいま上程されております日本学校給食会法案並びに白井委員発議の付帯決議に賛成をいたします。  さきに学校給食法が制定されまして、それによって従来から行われておりました学校給食を法定化して国民の食生活改善の基礎を教育の場においてこれを始めるというようなことがここに打ち立てられて参りましたことは、まことに喜ぶべきことであったと思うのでありますが、今回その制度をさらに拡充発展せしめる意味をもって従来の財団法人の給食会を今回の特殊法人に吸収して日本学校給食会ができますことは、まことにけっこうなことと思うのであります。質疑の段階なりまた前の討論の方からの御意見もございましたように、会の運営は人にあると思うのでありますが、その人が従来財団法人においては官職にある方が兼務しておられたというようなことは、これは今後は慎しむと、特に文部大臣からの御発言によって一切官職にある者は傍系の法人などには関係しないという強い意思を表明されましたことは、これまたまことにけっこうなことであるわけであります。これはひとり私は文部省関係のあるそういう法人だけでなしに、これをさらに押し広めて、特に文部大臣がただいまの与党における優位なお立場の上から、ほかの省の関係団体にもそういう方針を及ぼれて、官とそれに付随する機関、あるいはそれに関係ある機関との間の差別をはっきりと立てていかれることをこの際特に要望しておきたいと思うので、あります。その人事運営につきましで、さらにあやまりなからぬことを私は期待いたしまして、この法案と、それから付帯決議につきましては、白井委員の述べられたと同じ趣旨によりまして賛成をするものでございます。
  194. 川口爲之助

    川口爲之助君 私も本法案並びに白井委員の付帯決議につきまして全幅の賛意を表するものであります。  そこで一つ希望を申し上げておきたいと思います。それはほかではなく本法案の使命目的を遂行することによりまして、児童生徒の健康が増進され、そしてまた食生活改善が促進できるのであります。従いましてわが国の食糧一の自給度をこれによって一局めることができるとともに、酪農振興の上にも大きく好影響を与えられるだろうと思うのであります。で、学校給食会法のもつ意義は非常に重要なものがあると思うのであります。ゆえに政府といたしましては、余剰農産物をやがて打ち切るであろうと思われますが、その期間内におきまして、できるだけ畜産の擬興をはかり、また行政措置その他の方法によりまして、乳業のいわゆる企業合理化、これによりまして、乳製、品の価額を低下させ、そうして、できるだけ国内の乳製品をもって学校給食に充ててもらいたい、こういう希望を付しまして本案に賛成するものであります。
  195. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 他に御意見もないよりでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。日本学校給食、会法案を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願い一ます。     〔賛成者挙手〕
  197. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 総員挙手でございます。よって本案は全《会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本一院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他臼後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから本案を可とせられた方は順次御署名を願います。
  199. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に討論中、白井委員より提出された付帯決議案について採決いたします。白井委員提出の付帯決議を付することに賛成の方の挙手を願います。     〔賛成者挙手〕
  200. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 全会一致であります。よって白井委員提、川の付帯決議を付することに決定いたしました。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  201. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて。  ただいまの付帯決議に対して、文部当局の意見を求めます。
  202. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 付帯決議の御趣旨はいずれもごもっともなことでございますので、政府といたしましては、決議の御趣旨を実現できるように努力したいと考えております。
  203. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  204. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それでは速記を始めて下さい。  次に津市橋北中学校生徒遭難事件議題に供します。まず文部当局よりその後の事件の模様についての報告を聴取することにいたします。
  205. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) その後直接の連絡をとりますし、また人も派して調査をいたし、幸い三重県知事が上京中でございまして、あそこへも報告が参り、こちらの方へたずねて参って、いろいろの打合せもいたして昨日帰りて参りました。こういうわけで、それらを総合いたしまして初中局長から御報告を申し上げることといたします。
  206. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ただいま大臣からお話のございましたように、三重県の教育委員会、津市の教育委員会に対しまして、ずっと引き続きまして電話連絡をいたしておりますとともに、文部省の事務官を現場に急派いたしまして、状況の把握に努力をいたしております。ただ何しろ当時非常に混乱の状態でございましたので、数字等につきましては、なかなか初め確定いたしませんでした。昨日とりあえず私事故の起りましたことを申し上げて、若干数字を申し上げましたけれども、それから非常に数字も変っておりますので、その点はまずもって御了承をいただきたいと存じます。  昨日も申し上げましたように、津の橋北中学校でありますが、これは八月一日から夏休みに入ることになっておりまして、その夏休みに入る前に、夏休み中に水の事故が起らんように、その前に水泳の訓練を実施いたしたい、かような計画でございまして、七月十八日から十日間、津の海岸で水泳の訓練をいたしたわけであります。そうして昨日二十八日は最終日であったのでありますが、時間も十一時前後ということでございましたけれども、よく調べますと十時半ごろの方が近いのです。で、事故の突発いたしました状況でありまするけれども、昨日が訓練の最終日でありまして、泳ぎのテストをやる。どのくらい泳ぎができるようになったかテストをやろうという計画があったようであります。その前に十分間ほど予価運動的に全体を水につからせよう、こういう計画で、十時過ぎに、参加人員は四百一名でございます。それで男の生徒が二百四名、女の生徒が百九十七名でございまして、合計四百一名の生徒が当時参加いたしたわけでございますが、その生徒を二列横隊にいたしまして、一せいに海に入れた。そういたしますと、間もなく女生徒の方が、海に向って左側におったようでありますけれども、一部の人がおぼれ初めた、そこで急に先生が気がつきまして、陸上に引き返すように指示をした、ところがこの海岸は非常に遠浅ではありますけれども、その浅瀬と陸との間に深みがあって、くぼみができておりまして、そこにはまりまして、そうしてたくさんの、特に女生徒に遭難ができたというのが、大体の状況のように見受けられます。そこで、これはまだはっきりいたしませんけれども、水をのんで死んだということもありますが、深みにはまってショック死のようなものも起っておるようであります。びっくりしてショックのためにという子供もあるように見受けられるのです。これはまだはっきり調べがついておりません。その当時引率の教師は二十名でありまして、男の先生が十四名、女の先生が六名、これだけがついておりました。  そこで遭難をいたしました生徒、つまりおぼれた生徒は女生徒ばかりでございまして、四十九名がおぼれました。それ以外は危くなっても先生に助けられるとか、あるいは男の生徒がこれを救い出すといったようなことで事なきを得ておりますけれども、四十九名が遭難をしておる。そのうち死亡者を三十六名出しております。それから入院手当をまだいたしておるという生徒が十二名ございます。これはもう危険はないそうであります。生命の危険はないそうでありますが、なお入院手当中でございます。またその四十九名のうちで、一人は自宅で手当をして、これもまあ危険はない、かような状況であります。  そこで原因につきましてはいろいろ調査中でありますけれども。まだこれから調査を進めなければならぬと思いまするし、昨日の午前中に現地の検察局あるいは警察関係、それからこれは教育委員会も立ち会いまして、現場の実地調査が行われたようであります。  さようにいたしましていろいろ原因の究明はこれから続けられると存じますけれども、今まで報告等におきまして現われておりますことを総合いたしまして、やはり相当計画の樹立につきましても、あるいは当時の実施状況にかんがみましても、やはり学校側に、あるいは現場の教師の取り扱い方につきまして、相当まあ落ちがあるのではないか、かように考えられる点があるのであります。たとえば先ほど申し上げましたように、たくさんの生徒を、これは予備運動として入れたのではございますけれども、一斉に海に入れたということも、これはいかがであろうか、あるいはまた、なおその前に申し上げなければならぬかもしれませんか、計画を立てますにつきまして、海底の深浅、くぼみのあるといったような状況が十分に調査されておったかどうか。あるいはまたあそこは丁度現地が川口にあたり、川口の影響で相当潮流もある、さような点が十分に調べられておったかどうか、という点につきまして、計画の樹立につきまして十分であったかどうか、ということに疑問があるのであります。  それからそのほかの点につきましても、遭難当時の生徒の掌握の状況、あるいは事故の起りましたあとで、その急を告げる連絡等が大へんおくれたようでありますが、それらの点につきましで手落ちがなかったかどうかという点は相当あるようでございまして、この点は非常に遺憾に存ずる次第でございます。  なお詳しい状況につきましては、お尋ねがございますれば申し上げますけれども、とりあえず一通りのその後の状況につきまして申し上げました。
  207. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちょっと今の報告について質問をいたしますが、今の説明の中になかったのでありますが、橋北中学校の二十人の教員の諸君が引率をして海水浴をしたということですが、そのうちで泳ぎのできる人が何人くらいあったのか、その点の調査はございませんか。
  208. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは報告が最近参りましたので今申し上げます。教員中で水泳指導の力があると認められます者が十二名はあったということであります。
  209. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それからもう一つお尋ねしたいのですが、実は私もきのう現地調査したのです。まあそれでお尋ねをするわけなんですが、たしかこれは二十八日のできごとで、その前日か前々日か、私もはっきり今記憶しておりませんが、津の警察が市の教育委員会に対して、くぼみのあるところを標識で明示するようにしたらどうか、こういう勧告をしたところが、市の方では予算がないのでそういうことはできない、こういうことを言ったということが言われておりますが、こういう点はどうなっておりますか。
  210. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 今のお話の点は、具体的には報告が参っておりません。ただその危険のところ、これはどの辺をいうか、よくわかりませんけれども、危険のところを赤い旗を立てて表示する、こういうことはやっておったようであります。これは毎日の潮流の状況等を見まして、学校の方で大旗小旗を立てておったようであります。最初この事故が伝わりましたときに、その旗が果して立っておったかどうかということについて若干疑問が持たれましたけれども、その後調査を進めてみましたら、旗は立っておりました。その旗の区域を超えて、最初海に入ったときにやはり潮流の関係じゃないかと思いますけれども、女生徒がその外まで出たということが事実があるようであります。この点まだこまかくわかっておりません。ただいまお話の点は、まだ報告は参っておりません。
  211. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は報告関連した質疑だけ簡単にしておきたいと思います。  もう一つ、橋北中学校が水泳をした場所、これは教育委員会が正、式に水泳場として決定した場所であるというふうに聞いておりますが、調査ではどうなっておりますか。
  212. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) この津市の教育委員会では学校が集団水泳を行います場合に、その計画を届け出をさせまして、それを承認をするということをやっております。この計画も市の教育委員会に届け出まして承認をいたしております。その点におきましてはただいまお話のようなことでござい
  213. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 またあと質疑をいたします。
  214. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件に関しまして、高田委員より先刻来緊急質問をいたしたい七の発言がございまして、それによって政府当局の出席を求めて、ただいまこちらに文部大臣、大麻国務大臣、さらに厚生省公衆衛生局環境衛生部長警察庁警備部長等参っておりますから、御了承の上で御発言を願いたいと思います。
  215. 高田なほ子

    高田なほ子君 子供たちにとってもまことに楽しい、また両親たちにとってもまことにけっこうな夏季訓練の中で、こうした不幸な事態が起ったことについて、私どもとしては心からなる哀悼のお気持を捧げると同時に、こうした三十六名の不幸な犠牲が再び繰り返されないように、そういう気持の上から御質問を申し上げたいと思います。松村文部大臣には本事件についてはことさらなる御心労の御様子を十分に承知いたしております。かつまた当面この教育の任に当られた先生方の御心境は、万全を期しておった、こういう努力の上からもなおかっこうした非常に不幸なる事態が起ったことに対して非常なる御心痛であることも十、分にわかります。しかし私どしては、やはりこれは相当教育者の注意が漏れておる点を遺憾ながら認めざるを得ないわけであります。しかし起りました非を非として責めるのではなくて、この非をあくまでも将来建設的な方向に持ってゆきたいと、こういう意味合いにおいて、以下各大臣に御質問を申し上げたいと思うのです。  まず第一にお尋ねをしたいことは、本事件学校側の不注意による、こういう点を強く藩閥指摘し、また私も同感でありますが、承わるところによれば、四百名の児童の夏季訓練に対して二十名の教職員がこれに当っており、しかもこの二十名の教職員が水泳訓練に対して果して適格な資格を持っておるかどうか、水泳指導者としての適格者であるかどうかということはきわめて問題の残る点だと思うのです。教師自体が若干の水泳指導ができたとしても、児童の生命をあずかるためには、教師自体が相当の水泳の指導の訓練を受けたのでなければならないということは、これは当然なことだと思います。まして海国日本といわれるこの日本において、全国的にこうした夏季訓練が行われております折から、教育者に対する水泳指導の適格者であるかどうかという保証は、きわめて重要な問題でございますが、文部大臣におかれましては、この不幸な事件を通して、教育者に対する水泳指導の適格者であるということの保証をどういうふうにつけてゆこうとなさるのか、またこの点をどういうふうにして解消してゆこうとなさるのか、この点についてまず承わりたいと思います。
  216. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それにつきまして詳しいことは局長から申し述べさせますでございますが、私といたしましては、こういう不幸なことを今後防遏いたしますのには、一面消極的の注意を厳重にすることが必要であるとともに、一面においては積極的な考えを持たなくてはならないと思うのでございます。すなわちきわめて慎重な方法を尽して、そうして生徒に水に親しみ、そうしてみずから安全を得る技術を、すなわち水泳を教えて、そしてそのようなことを繰り返さないという積極面を持つとともに、非常な慎重な注意をさせるということにいたさなくてはならぬと考えまして、昨日も直ちに急いで全国の学校に再び注意を喚起する方法をとるようにいたしておいたのでございますが、考え方としてはそのように考えております。
  217. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 水泳の指導の健力をつけますためには、文部省といたしましてもこれはまあ第一次的には各県の教育委員会なりあるいは各地方の教育委員会実施することに相なると思いますけれども文部省といたしましても、水泳の指導を、講習会を三十年、今年は三回目でございますが、年々計画いたしまして行なっておる次第でございます。なおそのほかこの中、局等学校の保健体育学習指導要綱等にも水泳指導実施等につきまして、その実施計画を相当詳しく練りまして、それを各県にあるいは各学校通牒をしてもらっておるような次第でございます。なおまた水泳指導の手引書等も作りまして、地方に配布いたしまして、これによりまして地方におきまして十分に水泳の先生たちが水泳指導の力がつくように努力はいたしております。
  218. 高田なほ子

    高田なほ子君 御意見はごもっともでございますが、ただ単に一片の通牒あるいは指導要綱でこの問題は到底解決できないと思うのです。この事件が起りまして、各界からの御意見が、どの新聞にも載ったようでありますが、その各界の御意見の中でも、水泳の錬達の方々の御意見を承わると、私どもにはまことにごもっともな御意見を数数拝承することができましたが、教師自体が単なる通牒指導要綱という書き物による指導者としての訓練を得ておったのでは、将来ともはなはだ私は危険であると思うわけであります。従って教師、自体がみずからが水泳指導者としての実地的に訓練を受けるような方法が文部当局としては可及的すみやかな問題としてこれは取り上げなければならない、このように私は考えるわけです。講習実施されてからまだ三カ年という短時日のように承わっておりますが、どうぞ一つ文部当局におかれましては、こうした水泳指導の的確な指導者を職場において十分に養成することができるように、予算外の面においても、計画の面においても、どうぞこの不幸な事件を契機として、新たなる観点から計画を立てて下さることができるように、特にこの点を希望し、かっこの点に関しての文相の御所見を承わっておきたいと思います。
  219. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お話通り教師のうちに水泳の達者な人がまざっておるということがあれば、こういう場合に非常に役立つことと思いますが、なかなかさようなわけにも参りませんから、よく研究をいたしまして、教師のうちに水泳の達者な人を練習等をやり、そういう人を養成するように、心がけねばならぬと考えております。よく善処いたします。
  220. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 関連して。私は今のこの文部大臣の答弁を開きまして非常に不満です。率直に申しまして不満です。私はこの事件によってかくもたくさんの犠牲者が出た一つの理由は、この学校の先生に泳ぎを知らない先生、が多かった、これが教育委員会からの調査してきましたところでは大体半々である、泳げる者が半分、泳げない者が半分、文部省報告は十二名が泳げる、こういう報告であります。大して違いはありませんが、泳げない先生が水泳の指導をしている、これは私は間違いが起る一番の原因だと思います。この問題を私は小さく見ることができないと思うのです。そこで文部省は今の学芸大学の教員の養成において、この水泳の指導をどのようにやってゆくかということが、私は文部省として一番反省されなければならぬ問題だと思う、その問題について大臣は十分な私は認識を持っておられないのではないかという、ふうに思うのです。これは大臣にそういうことを要請することは無理かもしれなせん。しかしこれが師範学校時代は、この教員になる者はおそらく百人のうち百人とも泳ぎのできるところまで訓練を受けておったと思うのです。それが実情だったと思うのです。学芸大学に昇格し、あるいは教育大学に昇格して大学教育を受けるようになってから、全国で果して幾つの学校がこれだけの訓練をしておるかという問題、私は単に、二十人のうち一人、二人水泳の講習を受けて、しかも非常に練達な人がおったとしても、態は、私は犠牲を少くすることはできない、現に橋北中学においては、そういう人が一、二名はおった、しかしそういうことによって私は解決されない、やはり全部の者が、水泳を指導するという以上は、全員が水泳ができなければならぬ、私は今の学芸大学の教育の中において、やはりこの水泳指導の点において十分でない、そういう点が盲点になっておるということをこの際指摘したいと思います。これは大臣よく考えていただきたい、局長からでもよろしいが、この点は現に、前に、学芸大学は学校としてはこの水泳の訓練は一面もやっておらん、そういうことは私は大学としてはそれでいいのかもしれません、しかし小学校、中学校の教員の養成としてこういうことが全く考えられないということでは、私は十分でないと思う。この問題についてはいろいろ究明すべき点がありますが、一番問題はやはり水泳のできない先生が多かった、しかもこの学校は若い先生が非常に多いのです。その若い先生が泳げない、こういう事態を私は改善しなければならぬと非常に強く感じました。そういう意味において、もし学芸大学でそういうことをやることができないというならば、これは教育委員会か少くとも全部の教員が泳げるように指導すべきである、その上で水泳の実習を行うべきであって、泳げない教員が半数もおって、そして水泳の指導をする、こういう事態は許されない事態です。私も現地を見ましたが、あそこは非常に遠浅です。そして一ところにくぼみがある、その周囲はすっかり遠浅で背が立つ、それでそのくぼみは、一番深いところで二メートルです。一メートル五十センチか二メートルです。もし水泳ができたら、これをほとんど助けることができたのではないかと思います。そう広くもない、この、委員室くらいのくぼみで、しかもそう深くはない、周囲は浅瀬だ、こういう状況下においては二十人の先生が皆泳げるということになれば、もっと犠牲は私は少かった、そういう意味においてもこの問題について文部大臣は研究するとかいうようなお話でした。しかしその程度の問題じゃ私はないと思うのです。重ねてお伺いします。
  221. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 児童生徒の指導に当る教員が水泳の心得があるということは、これはきわめて必要なことでありますことは当然でございます。御指摘の通りでございます。現在といたしましては教職課程、一般の教職課程全般に対しまして、専門のそういう訓練をする機関という方法には相なっておりません。これも御指摘の通りでございます。これは何とか研究いたしまして、そういう養成機関におきまして十分水泳をできるようにすることにつきまして研究いたしたいと思います。ただ体育専門指導者、これらにつきましてはいろいろこれは専門もございましようけれども、これは専門的に訓練をいたすわけてありますからそれが資格であります。これは十分深く研究を養成課程中におきましてやるようなことになるかと想いますが、ただいまのお話は一般の教員についてのお話であります。これけたた資格をとる上におきましての単位いったようなことには相ならばと思いますけれども、ただやはり水泳が十分できるということが必要であると思います。
  222. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 御指摘でございますが、今緒方君の言うように、御指摘のありましたように一つこれからあらためてやっていきたいと考えております。
  223. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 緒方局長の答弁は研究するというようなことなんですよ。教員が泳げるようにしたい、しかしそれについては研究する。私はそれは非常になまぬるくてどうも私は納得しないんですがね。少くともとこの小学校でも中校でも水泳をやっておるわけなんです。だから泳げるようにしなければならぬと思う。そういう熱意を持ってもらいたいと思う、私は。
  224. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 研究すると申し上げましたのは、やはりいろいろやり方につきましては十分検討いたしてやらなければならぬと考えるわけであります。その養成期間中におきまして、どういう形で、あるいは夏休み等を利用するとか、いろいろございましよう。それをさらに研究すると申し上げたわけでございます。
  225. 高田なほ子

    高田なほ子君 第二群目にお伺いしたいことは、小学校は申すに及びませんが、今御指摘の、荒木委員の御指摘による学芸大学における教科課程の中における水泳というものが、これにはしかしプール建設という問題が条件としてついているわけです。最近の小学校、中学校にはかなりプールのできているところもございます。しかし学芸大学そのものに、プールのある大学というものが果してどのくらいあるのか、やはりこれは予算関係する問題ではございましょうが、プール建設という問題については相当この三十六名の児童の犠牲に対しても積極面として取り上げる場合には、この問題についても十分な御研究が必要ではないかと考えられます。いきなり海の中に放して泳ぐ、そのこともけっこうでしょう。しかし海の中に放し得ない場所の子供たちに対しても、紫雲丸事件の問題を考えても、子供に対する水泳訓練というのは非常にこれは必要なことだと思いますが、プール建設についての大開の御意図は、本問題を契機としてどういう御意見を持っていられますか、お尋ねをしたいと思います。
  226. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) ただいまの学芸大学に関する御質疑でございます。小学校の全科担任教員といい、また中学校の各科担任教員といい、とにかく幼小な児童生徒の訓育に当る教員の養成施設でありまする学芸大学におきましては、あらゆる点において施設を整備いたしたいということを私ども痛感いたすのでございます。現状非常に不十分な点が多いのでございますが、特に先ほど来の両委員からのお話、この水泳という問題は、私どもといたしましても常に考えておりながら、また今日それを痛感いたしますので、将来予算化いたしまする場合におきましては、十分考慮いたしたいと思います。ただ土地の状況その他も勘案いたしまして、あるいは近所の水泳場を利用するなりあるいはプールを特設するなり、そういうような点につきましては、十分この学校の状態を考えながら善処いたしたいと思います。
  227. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣の御意見を、ブール建設について。
  228. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 大学局、長のただいまお答え申した通り考えております。
  229. 高田なほ子

    高田なほ子君 来年度の予算編成に際しては、どうぞこの犠牲がむだになりませんように、強力な一歩を踏み出して下さるように強い希果を付して次の質問に移りたいと思います。  次の質問教育委員会の責任の問題であります。今般の事件に際しましては、教職員に対する強い責任の追求はちまたにあふれておるようでございます。これは私ももっともなことだと了承せざるを得ません。しかしながら教育委員会法の第四十九条によりますれば、教育委員会の取り扱うべき事務の内容の中に、はっきりと学校環境の衛生管理、学校その他の教育機関の敷地その他の設定というように当然課外指導等の設営の問題、課外指導における安全保障の問題等については、当然教育委員会の行わなければならない事務の内容として明記されております。以上のゆえをもって、教育委員会学校側から提出した夏季計画のプランに対して承認を与え、しかも悲劇の起った中河原海岸を教育委員会側としては当然了承して承認を与えておるわけであります。学校側は教育委員会のこの承認に基、いて行い、その行なった過程における不注意は認められるにしても、当然その承認を与えるべき責任のある教育委員会は、この危機区域というものに対しては相当の責任をもって私は承認を与えたと思う。以上のゆえをもって、こうした事態が起ったときに、教育者だけがこの責を負わなければならないという理由の発見に私は苦しむ。当然教育委員会はこの事件に対して、道義的な責任を持たなければならないと思うのです。その道義的な責任をどういうふうに表示するかという問題については私は質問いたしません。しかし常に教育委員会に対して指導助言の責任を持っておられる当面の文部大臣は、こうした道義的な教育委員会の責任追求に対しても、その責を負、うべきだと思います。これに対する文部大臣の御所見を伺いたいと思う。
  230. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 今回のこのできごとにつきましては、明確に責任を明らかにいたして、そうして今後このようなことが起らないように注意喚起いたしたいと存じまして、三重県の県教育委員会に対しても特に電報をもってその旨伝達いたしておきました。また知事にも昨日会いましたから、そういう趣旨に協力するようにお願いを申しておきました。その直接の地方教育委員会の責任につきましては、ただいまのところ、まだ十分の調査はいたしておりませんけれども、責任の所在が明確になりましたならば、もちろんこれに対する措置もいたす考えでおるのでございます。
  231. 高田なほ子

    高田なほ子君 教育委員会の責任の所在が明確になったならばという御発言でありますが、これは明確になったならばという過程ではなくて、教育委員会の事務に関する法律がここに明確にしてある。その明確にしてある事務に基いて承認を与えた結果こういうことになったとすれば、これは当然市の教育委員会は責任を私は負うべきだと思う。良心的な教育委員方々は小さな遠足にもこの委員の中の一名あるいは二名の者が参加して遠足をしておるという例もあるのです。それは明らかに教育委員会に国民から負託されている事務を完了するために実施していられる教育委員の責任の私は姿だと思う。それにもかかわらず、承認を与えた場所で、こういう問題が起っているのに、責任の所在が明確になったらとか、明確にならないとかいう問題ではなくて、当然教育委員会に対しては責任を十分に私は文部当局としては追及してはしいと思う。いかがでございますか。
  232. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) これは責任は今お話のようにあるとは思いますけれども、どういうふうの監督をしてどうしたのか、それらの点がまだ明確でございませんから、こういうようなことが明確になった後に考えるということを申し上げたわけでございます。なお主管局長から補足をいたします。
  233. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ただいま大臣から御答弁のありましたことで、私補足することもないのでございますが、ただ高田委員お話の中に法律を引いてのお話でございましたので、その点につきまして一言触れますと、これは教育委員会法に書いてございますのは、一般的に学校の設置管理をする権限につきましては、その設置者として教育委員会に権限があるわけであります。ただ、学校行事全般につきましては、これはやはり学校の自主性と申しますか、これを尊重しなければならんわけでありますので、大体通例といたしまして、教育委員会の規則や規程等にも基きまして、こういう点は校長においてきめる、学校できめるといったようなことを具体的にきめておる場合も多いのであります。これはやはりその具体的な問題をよく掘り下げて、そのときの状況もよく調査いたしませんと、一概には申し上げかねる問題であると存じます。ただ、御指摘の教育委員会がその計画承認いたしておるという点につきましては、まあどの点まで深く立ち入ってやっておるのか、この点につきましても十分調べたいと存じております。
  234. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 関連して。私はこの問題ですね、こういう痛ましい事件が起りまして、まことに父兄に対しましても、また犠牲になった子供に対しましても、哀悼の情にたえないわけです。従って、この事件の原因を究明し、責任の所在を明らかにするということは、私は必要だと思うのです。けれども、責任を追及したらそれでいいという性質の問題でないということを私は考えなければならんと思う。先ほども私は言いましたが、こういう痛ましい事件が起ったのには、非常に広範な理由が私はあると思うのです。その一つに、学校の先生が泳ぎができなかった、しかも水泳の指導をしなければならぬ、こういう問題もあるわけなんです。ですから、私はこの問題については、文部大臣教育委員会に通達して、そうして関係者の厳重な処分をするのだ、これで何か事足れりというふうな私は印象を受けるわけなんです。そういう私は性質の問題でないと思う。ここには警備部長も見えておるのでございますが、何でも警察のほうは過失致死罪というふうな疑いでお調べになっている、これを刑事事件としてお調べになっているというふうなことも私は聞いております。しかし私はお調べになるということは当然であると思いますが、そういうことによってのみこういう問題をふたたび繰り返さないということには私はならないと思う。もっと広範に検討しなければならない問題があるというふうに考えておるわけであります。今高田委員質問最中ですがね、私は警備部長にお尋ねしたいのですが、あの事件が起った直後間もなく警察はほとんど全員に対して取調べを開始しておる。このことは私は了解できないのです。なぜかといえば、その人たちの教員はこの事後の処理に私は当るべきだと思う。そうしなければ父兄のなににこたえることはできませんよ。それを全員出頭して調査をする、こういうやり方が……もちろん調査を否定するわけではない。それは十分しなければならん。しかしああいう事件が起って混乱をしておる。やはりその処置を率先してその学校の教員が中心になってやるべきです。そういうときにすぐ引っぱる。私はもう少し考慮さるべき問題じゃないかと思う。そのために、父兄の間では、死んでおるのに先生はだれもお見舞に来ない、けしからん。教育委員会教育委員会で教員を調べておるのです。市がやる、警察がやる。あとの世話ができない。父兄からは非常に薄情である。これは一体どうするんですか。そういう点について私はこの際警察側に質問をしておきたいと思うのですがね。  それからこれに関連して、先ほど質問しましたが、警察は前もって市当局に標識を立てるように言ったけれども、市のほうで予算がないと言って断わったということを聞いておるのだが、そういう事実があるのかないか、お答え願いたい。
  235. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 警察といたしましては今回の不祥な事故がどうして起ったのかという点は、これはまあ今日までいろいろな事故が起りましたが、その事故の原因がはっきりされずに終ったような事件もございますし、またいろいろ事故の原因をはっきりして、再びそういうことの起りませんようにいたすという立場から、当日学校先生方に御出頭を願いまして事情をお聞きいたした次第であります。場合によりましていろいろとお見舞その他に支障のあったことかと存じますが、警察といたしましては、先ほど申しましたように、世間一般の方々がどうしてああいう事故が起ったんだろうという御心配をしておられるので、その事故のほんとうの原因を究明いたしたいという立場から調べをいたした次第であります。  なお第二点として御質問のございましたその前日海岸について危険な箇所があるから立札をしてもらいたいということを市のほうに申し出たというのは、事実でございます。予算がないというお話がございましたので、署長としましては、当日の事故の起りました朝、前日市役所に使いを出しました警察官からの報告を聞きまして、やむを得ず、それではというので、警察でその立札を立てようというので準備をしておったのであります。そのときに、交通事故がないにもかかわらず非常サイレンの音がして救急市が走っておる、びっくりして調べてみると海岸で事故が起っておったという状況でございます
  236. 高田なほ子

    高田なほ子君 幸いにして大麻国務大臣がおられますから、続けて御質問したいと思いますが、これは危険区域に対する国の事故防止対策というものの所在が非常に明確になっておらないように思います。つまり今度のこの文化村海岸は、県の観光課のほうでは、安全な津の海、こういうことで宣伝をしておった。しかし実際には二つの川がこの海岸に注いで、非常に危険な区域であった。一方では安全だといい、実際には危険だという、こういうところにも問題があるのではないだろうか。そこで大麻国務大臣お尋ねいたしますが、特に海水浴場を指定されるような場合には、いろいろな条件があるのではないだろうか、なかんずく危険区域に対して国がどういう事故防止対策をとっておるのか、この二つの問題についてお答えを願いたいと思うのです。
  237. 大麻唯男

    国務大臣(大麻唯男君) 高田さんに申し上げます。警察といたしましては、この海水浴場の危険防止につきましては、今高田さんのお話のありました通りにあらかじめ危険な場所に注意を与えまして、この間の所は危険でありますからといって注意をいたすことにいたしております。  それからまた第二は、警察といたしましては、かねてそういう注意はいたしておりますが、時節になりますというと、あるいは警察官を派遣いたしまして見張りをさせたり、あるいは時によっては船を出しまして、そして不時の事故を防止するというふうな方法をとっておるのでございます。それからまた警察官といたしましては、これは申し上げるのはどうかと思いますけれども、全員に対しましてはおぼれる人を助ける方法あるいは救急方法等は全員に対しまして訓練を施しまして、不時のお役に立つように心がけておる次第で、ございます。こんなことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、今度のことも救急方法をふだん訓練をしておりましたおかげでもって二、三の人は人工呼吸などでよみがえった人もおったわけで、その点は不幸中の幸いだと喜んでおるような次第でございますので、そういう点については今後なお一そう注意をして警察官の訓練につきましても万全を期さなければならぬ、かように考えておる次第でございます。御了承願います。
  238. 高田なほ子

    高田なほ子君 危険区域の問題に対しては、ただいまの国務大臣の御答弁によると、明らかに大麻国務大臣の管轄下に入っておるようであります。そこで津の警察署が事件の起った朝になってから初めてこの危険区域の区域標を立てるために方法を講じておった、そのときに非常サイレンが鳴ったということでありまするが、私から言わしむるならば、今ごろ危険区域に標識を立てるというそういう間の抜けた一体保護はどこにあるか。そういう職務怠慢の警察官が担任教員を引っぱって俊烈な取調べをしておるということは、私は全く片手落ちじゃないかと思う。すでに、もうこんなに暑いのでありますから、すでに一ヵ月も前から危険区域は同警察において設定されて、その危険区域に対しては安全を保障するために旗でも何でも立てて、そういうような方法が当然講ぜられるべきだと私は思うのです。ただいまの大麻国務大臣の御答弁によれば明らかにこれは警察官としての職務であるにかかわらず、その日になってから、こういう騒ぎを起したということは、やはり相当警察方面にも私は責任があるのではないかと思う。この点いかがでございますか、重ねて御答弁いただきたい。
  239. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 私の説明の言葉が不十分な点があったかと思いますが、警察が前日に危険標といいますか掲示標を作ろうと市役所に申し出でをしましたのは、今回事故がありました場所は入っておりますが、それ以外に津の海水浴場全般についての問題でございます。今回の事故につきまして警察が当日になって、何か危険標識を作ることをうろたえてした、あたかも警察にその責めがあるかのごとく私は拝聴いたしたのでございますが、この現場におきましては、すでに十八日から水泳の訓練をいたしておるのであります。二十八日事故の起りました日は最終日であります。十八日から訓練をいたしましております間、この海岸のある個所に危険な場所があるということは関係者には全部わかっておったのであります。そうして旗を立ててそれを表示しておったのであります。当日は不幸にしてその旗の位置が今までと比べまして北の方に十メートル審っておるのであります。十メートル北の方に寄っておるということは、問題のくほみの方に十メートル近づいておるということであります。そうして当日は試験をいたすという関係上、それまでは生徒が入ります前に必ず先生がその危険標識のあるところを回りまして、そうして危険標識のところに三年生の男子の水泳部員を配置して危険区域から出ないように防止をいたしておったのであります。当日は不幸にしてそういう水泳の最後の日の試験の準備その他で、先生方が事前にそういう旗の立った場所の健地を踏んでおられなかったということが一つございます。さらにそういう関係で、先生方あるいは水泳部の指導員というものが海に入る前に子供が全部中に入って海水浴を始めた、そこに問題が私はあるのではないかと考えておるのであります。この場所に危険があるということ、さらに危険標識を十八日以降毎日立てておったということは間違いのないことであります。警察といたしましては、その危険区域をさらに一そう十分に表示いたしますためにこの場所を含みまして、津の各所の海水浴場全般についての危険標識を立てるよう市役所に折衝をいたしておったのであります。説明が不十分でありましたが、さような次第であります。
  240. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 危険標識の問題ですけれども、これは私は危険標識はなかったのじゃないかと、こういうふうに聞いておるわけなんです。危険標識が十分であったならば、あるいはこういう事故は防げたかもしれないと思って聞いておる。これは文部省報告でも危険標識はあったようなお話です。危険標識が十分でなかったのは、それは学校側にも責任があると思います。それからまたその他の機関にもあると思いますが、この赤旗を立てておったのは全面的に一列にずっと赤旗が立っておるだけで、くぼみがあるのはその横にあるのですから、その境界線に、はっきりした標識がなければ、私は危険区域の標識があったとは考えられない。私はきのう見たところでは、それは白い旗でくぼみの回りがずっと標識されておりました。あれは事件ののちに立てられたものだと附いておるわけです。事件の前にはこのくぼみのはっきりした標識がなかったと聞いておるのです。この点相当食い違いがあると思っておるのです。
  241. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 要するに生徒が泳ぐ場所を旗をもちまして指示をいたしまして、それを出ると危険であるといのうで、毎日その旗のところに水泳の指導部員がおって出るものを防いでおったわけです。私が標識と申しましたのは、そういう赤旗をもって表示をしてあったことを申しておるのです。なお当日の赤旗は海岸線に沿いまして並行に立てて海岸線から五十メートルの沖合いを並行に走っておったのであります。従って北側の、これから以上行ってはいけないという横の線には赤旗を立っておらなかったというふうに聞いております。
  242. 高田なほ子

    高田なほ子君 大麻国務大臣お尋ねをいたしますが、私は、警察官は、取締りという点も十分あると思いますが、保護という面に重点がおかれるのが私は民生的な警察官の大切な仕事だと思います。そこで、こういう前提でお尋ねをいたしますが、すでにこういう真夏の時期に入っておりますが、危険区域だと思われるような場所に、月末の二十七日ごろになってから、初めてこの危険標識を立てるのか、それとも危険区域だと思われるようなところには、時期に入ったとたんに、警察の方として、危険区域の標識を立てるのか、これは一体国としてどういう通牒を各警察の方へお出しになって危険防止をされておるのでしょう。私としては、ただいまの当局からの御答弁によると、二十七日に危険標識を立てると、こういうようなお話ですが、これは非常に一カ月も時期がおそいように思われる。これは前もってですね、前もって危険区域は、私は国民に表示するのがほんとうではないかと思うんです。もう少し、一カ月も前に危険標識が立ったならば、こういうことを未然に防げたのではないか、こういうふうに思いますが、危険区域を指示する時期というのは、一体どういう時期なのですか。この点についてお伺いします。
  243. 大麻唯男

    国務大臣(大麻唯男君) 高田さんに申し上げます。お話はつつしんで傾聴いたしましたが、全然同感でございます。危険区域を指示しますのは、時期になりますとすぐにやるのでございます。月末にやったりなんか、そんなことでは仰せの通り何の役にも立たないわけでございますから、海水浴をする時期が来ますと、その時期に入る前に注意をいたしまして、市当局とか、あるいは漁業組合とか、各方面に連絡をとりまして指示をすることにいたしております。またそれがほんとうだと君えております。
  244. 高田なほ子

    高田なほ子君 重ねて大臣にお伺いいたしますが、そうすると、この津市の海岸の場合には、危険区域の標識の立て方が大へん時期がおくれておるように思いますが、これについていかがですか。立ってないですね。
  245. 大麻唯男

    国務大臣(大麻唯男君) そうではないようでございます。やはり同じように季節に入りますと、すぐに注意をいたしておるようでございます。
  246. 高田なほ子

    高田なほ子君 この注意はですね、当然国民にわかるような注意でなければ私は注意にならないと思うんです。
  247. 大麻唯男

    国務大臣(大麻唯男君) わかるようにしておったようでございます。
  248. 高田なほ子

    高田なほ子君 わかるようにするためには危険標識というものがですね、当然ここに立たなければならないのに立っておらなかったということは、これはやはり問題ではないかと思います。しかし大臣があくまで立てたというふうにおっしゃいますが、実際は立っておらなかったようでありますから、この点についてはもう一度御研究、御答弁いただきたいと思うのです。
  249. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 海水浴の時期に入ります前に、警察で市役所、漁業組合その他関係方々に、危険防止、事故防止についているいろいろとお話、御連絡を申し上げ、危険な個所については警察自体でそういう標識を立てる場合もあります。市役所あるいは漁業組合その他で立て、ていただく場合もあるわけであります。今回の場合におきましても、もちろん前からそういう御注意を申し上げておるのでありますが、警察署としまして、は、とうも、もう少しやはり十分にしな方がいいということで、市の市役所の方に御連絡を申し上げたのであります。なお、この現場は、一般の人々が海水浴をする場所にはなっておらないので、学校だけがこの場所を使って海水浴をしておりました場所であります。従いまして、そういう場合におきまして、市の委員会からもお話があったと思いますが、生徒がこれから出ては危険である、危険な場所とはわかっておるのでありますから、その表示のために赤旗が立てられておったものと私は考えておるわけであります。
  250. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 危険標識の問題ですね、私はこれが不十分あったことがこの事件を起した最大の原因であると思います。それで今の説明によると、危険標識があったような、御説明を聞くと、そういうような感じをするのですがね、危険標識は私はなかった。で、私もきのう現場を見ました。で、現場を見て説明しないとわかりにくいと思うんですが、いわゆる浜べに沿って私は五十メートルか、四十メートルかしりませんが、その海岸線に沿って水泳をする一番向う側の限界を赤旗で学校の先生がずっと立てたということは事実であります。大体十メートルぐらいの間隔で、しかしこのくぼみはそういう浜べから遠ざかるとか赤旗をこえたら危険であるというようなくぼみではないのであります。赤旗より手前にくぼみがあるのであります。しかもそれは赤旗の中ではないのでありますが、横にあるのです。だからここから横に行ったらそのくぼみがあるんだ、そういう標識がなければこれは危険です。そういう標識は警備上遺憾ながらなかった、そのために潮が流れておって、相当押し流されておって、くぼみに近づいたということがわからなかった、そういう実情から考えて、やはりこの点は私は不十分じゃないか、これは学校側も不十分であったと思います。警察側だけを言っているのじゃない。それから警察は前日に注意をしておられる、これは適切な措置だと思って感謝しております。市教育委員会にも手落ちがあったと考えております。これはそういう標識がなかったということが非常に問題ですよ、そういう点、私の言っていることが間違っているかどうか、先はどから聞くと、どうもその危険区域に対する標識はあったというふうにとれるのですが、実はなかったと思います。
  251. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 要するに、海水浴場として学校がこの赤旗をもって指示しましたところの範囲内におきましては危険な区域はないのであります。それが当日は北寄りに十メートル移動しているわけです。前日に比べて北寄りに十メートル移動したということは、前日に比べて深みの方に十メートル近づいているわけであります。その最も北にある赤旗のところから何メートルか先にくぼみがあったのであります。そのくぼみでほとんど全部の人が死亡している、従いまして死亡いたしました場所は、これはいわゆる指定をされました、赤旗をもって表示されました区域の外になっている、その区域の中にくぼみがあるとは私は考えておらないのであります。
  252. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは、標識ですね、これは学校の水泳部の先生がその旗を立てた、そういう標識については警察も教育委員会も何ら注意を実際的に指導をしておられんと思いますが、こういう点についてどうですか。
  253. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 当日あるいは警察といたしまして、旗の場所につきましてお話を申し上げなかったと思います。申し上げなかったかと思いますが、まあとにかく十数日の水泳訓練をされましたその二十八日のことでございまして、一々その場合に警察が出まして、旗の場所を御指定申し上げなければ事故が防止できないということもないかと私は思います。
  254. 堀末治

    堀末治君 私先ほど来同僚諸君の政府に対する質疑を聞いておりますと、こういう感じをいたすのです。あるいはこれは同僚諸君に対していささか失礼に当るかしれませんけれども、私はさように感ずるままに申し上げるのでございますが、今度の事件は要するに文部省が怠慢だ、ないしは警察のやるべきことをやらなんだ、こういうようなところに最大の原因があると、もっぱら政府それ自体の責任の追及が激しく行われておるようでございまするが、私はこれは決して……、もとより政府の責任も多分にあります。警察もその通り。先ほど来大麻国務大臣の御答弁を聞いておりますると誠意の片鱗も認められないことは、私は先ほど来同僚諸君と同じ感じをいたすものでございまするが、この原因は何としても校長に責任がある、私はかように思うのでございます。先ほどの報告を聞いておりまして、まだ報告は来ておりませんが、幾名かの先生がおられたというお話でございますが、これは緒方初中局長にお伺いするのですが、校長先生は一緒に行っておられたでしょうか、どうでしょう。
  255. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 校長は現場に行っておるという報告でございます。
  256. 堀末治

    堀末治君 それから、要するにこれはなかなか、せっかく長いことをやってきた行事の締めくくりをつける最後の日なんです。そしておそらく、詳しくは聞きませんけれども、こう大ぜいの生徒を連れて行ったのは、これが最終でおそらくこれが初めてでなかろうかと私はお察しするのでございまするが、その辺はどうでございましょうか。
  257. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 今の御質問は、大ぜいの生徒はこれが最終じゃないかと……。
  258. 堀末治

    堀末治君 ええ。
  259. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは私、訓練として、毎日十日間は参加できる生徒はみんなやっておったのじゃないかと思いますけれども、これは先ほど私の報告のうちに申しましたように、テストをやる、それでその前に予備運動をやる、そういう意味で全体の生徒を一時に入れた。そういう入れ方は初めてじゃなかったかと私は思いますけれども、そこら辺のところはもう少し調べを進めてみたいと思います。
  260. 堀末治

    堀末治君 そこで私この今度の事件を黙って見ておりますと、とにかく二十名ぐらいの先生が四百名からの生徒を連れて、しかもその中には半分泳げないという先生もおるのですね。それが一ぺんにそれだけの子供を入れるということは、これはなかなか大したことです。それですから、こういう行事を行う上においては、どうしても学校では事前に十分の打ち合せをせなければならないと思う。一体そういうことに対して、校長が先に立って十分な打ち合せをおやりになったかどうか、そこは何もおわかりになりませんか。
  261. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) それらのこまかい問題につきましては、なお今後十分調査を進めたいと存じますけれども、まだ今日のところはそこのこまかいところはまだわかっておりません。ただ、先ほど申しましたように、大筋についてああいう問題があるのじゃないかということを申し上げました。
  262. 堀末治

    堀末治君 そこで私この報告から思いまするのに、十分の事前打ち合せがなかったのでなかろうかと思うのです。なぜかというと、とにもかくにもこれだけの生徒を一ぺんに二十人の先生、泳げない人が半分もおる先生が連れて行く。万一のことを思えば、自分のことを思うても、要するに医者の用意は当然やらなければならない。私は、この間もこの問題できびしく皆様方へ申し上げたのですが、経験がある。それだけでもやはり、わずか六十人の人を連れて行った場合にも、を一人と看護婦を一人連れて行った経験があるのです。学校には必ずお医者さんがおいでになることですから、ことに今言ったようにショック死ということがある。急に冷たいところに入ると、心臓、麻痺などをよく起す。そういうことは普通の常識で考えられることですから、そういうときの処置というものはしろうとでは全然できない。どうしてもお医者さんでなければうまくいかない。しかるに今回において、お医者さんも連れていない、看護婦一人も連れていないというところに、事前に校長先生がこれらについて十分の打ち合せをせなんだということは、これだけでも責任がある。もう一つには、舟の用意がない。万一の場合には必ず舟を用意しなければならない。だけれども一つもない。この前も言うたのですが、六十人の人の海水浴にもっていって医者と看護婦を連れている。同時にそれでも万一のことを考えて私は磯舟を一そう用意しておいて、そのとき危なく二人を死なしかけた事件が起きたのですが、医者がおったのと舟があったのでそれを助けた経験がある。ですから私はこういうことを申し上げたのです。しかるにもかかわらず一番の責任の校長さんが、四百名の生徒を連れて行く上においてそれだけの十分の事前打ち合せをせなんだ。私は一切の原因はここにあると思うのです、何としても。要するにこの沢野校長、この人に全責任があると私は思うのでありますが、これがいわゆる今日の教育家のあり方ではないかということを私は憂えるのであります。もとよりこれらのことについては文部省にも大きい責任があります。  今言うた通り、これは、私は先ほどからもう少し大麻さんあたり老練なお方ですから、御親切な御答弁があれば、高田さんからあれほど突っ込まれないでもいいのに、責任のがれのような御答弁をなさる、私は、こういうことが全部教育界にうつるのですよ、政府、自身当局にある人が、こういう事件に対し、心から申しわけないと思ったならば、何もその責任をのがれるような答弁をなさらないでもいい。しくじりであったらしくじりであたと、警察の方としても、不行き届きであったら不行き届きであったと私は頭を下げてこそ、本当に教育界にもいわゆる責任を感ずるというところの姿がうつるのではなかろうか、私はかように思うのであります。  この間も私申し上げたのはそこで、事件が起って四時間一も五時間もたっているのにもつていって、電話もかけない、これらのごときは、いわゆる私の言う通り、責任感はない。本当に親、子供の心配というものがわからないから、要するに報道班から十分なニュースがきているにもかかわらず、文部省は依然として知らない、こういうようなことでは私、あなた方本当に文教の府に立つ……同時にまたこういう事件、〈、ここで見ますと、今年においても、東日本で五百名も死んでいる、出ている、新聞に。今月ですよ、今月、東日本だけでも五唐名をこえる小中学生が水の犠牲者、こう出ている。これくらいのたくさんのものが出ているのは、われわれが知らないまでも、少くも文教の府におられる大臣がおわかりにならないでも、少くとも初等中等教育局長の緒方君はこれらくらいのことはわからなければならない。そうすればこれらに対してはしつこいくらいの注意を与えておかなければならないと私は思うのであります。そういうところの当局、あなた方自身が本当に文教の府に立って、こういうことがあってはならないという責任感が薄いから、それがみなうつって、先ほど来の答弁でもそうだ、私は決して大麻さんを責めるような気は毛頭ない。御老練なお方とわれわれは御尊敬している。それですから、もう少し本当に実のある御答弁をいただけると思って、私はさっきからまあ黙って聞いているのですが、何となく高田さんの質問に説明するけれども、私は、あなたは責任のがれのような御答弁で、警察庁の御答弁もやはりそういうよううなことに聞える。それではしかし、要するに、文教の府に立つあなた方のお立場がみなにうつる、私は何といたしましても、これは先生方の、真心、責任感がない今日の先生方のあり方がこういうところに出ているのだと私は痛切に批判したいのであります。これらの点に対して、御所見いかがでございましょう。
  263. 大麻唯男

    国務大臣(大麻唯男君) ただいまおしかりを受けまして、まことに恐縮でございます。私は高田さんのお話も本当に一生懸命になって伺っておったのでございまして、ありのままに申し上げたつもりでございました。けれども言葉が足りなかったために今のような印象をもし与えたとしますならば、あなたにも非常に悪かったと思います。結局、決してそんなつもり、で申し上げたわけではございません、責任のがれ、そんなことを決して考えておりません。警察が救護にどういう手落ちがあったろうか、うまくやったろうか、どうであろうか、私こういうことを非常に気にしまして、部長などから毎日これを聞いておったような次第でございます。それでつい何か言葉が足らずに責任のがれのようなことを申し上げたように聞えましたら、これはおわびを申し上げます。決してそんなつもりはございませんから、どうぞ御了承を願います。
  264. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) これは直接その面に対する責任は別といたしまして、間接のわれわれの責任はもちろん痛感いたしておるわけであります。善後の措置につきましても十分のことをいたしたいと、こういうふうに考えております。
  265. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私どもが先ほどから質問をしているのは、文部省の責任を追及するとか、あるいは警察の責任を追及するとか、そういう考えでやっているのではありません。(「その通り」と呼ぶ者あり)こういう事故がどういう原因によって起ったのか、これを究明することによって今後未然に防ぐ方法を発見しなければならぬ、こういう立場で私は質問をしているわけなんですが、堀委員にも誤解を与えた点は一つ御了解をいただきたいと思うのです。もちろん私は父兄といたしましても、われわれの考えといたしましても、子供を先生に預けておるわけなんです。その先生の指導によってこういう事故が起きておるんですから、最大の責任者は教員である。それは私は言うまでもないと思うのです。それは私は、だからそういうことをたなに上げて、そうして他を攻撃する、そういう心持というものはみじんもないわけです。それはやはりこれを引率した学校の先生がどういう事前のいろいろの対策を講じておったか、あるいは処置においてどういう点において欠けておったか、こういう点もだんだんと明らかにしていく必要があると思う。そうしてこれは対立的なものじゃなしに、どうして起ったかということを究明して、国でやるべきことは国でやり、教育委員会でやることは教育委員会でやる。そうして教員が考えなきゃならぬ点は教員が考えて、みんなして私はこういうことの起らぬようにやはり考えていかなければならないのじゃないか、そういう意味質問をしておりますので、一つ誤解があったら、御了解をいただきたいと思うのです。その点はちょっと堀委員のまあ、ちょっと……。
  266. 吉田萬次

    吉田萬次君 先ほどから聞いておりますと、いろいろな責任問題もありまするが、私が承わりたい、それから自己の意見をそれへ交えて申しまするならば、大体海水浴場としてそして泳ぐ場所が指定せられておる以外のところで泳ぐということは、なぜそういうところで泳がしたかということであります。それはそうして、ことに私は初め新聞で見たときには海岸であって、川口でなかったように見ました。しかしながらあとでの新聞を見ますると、川の口で泳いでおる。川口というものは流れが非常に変るものであって、潮流がきようできておってもあしたなくなる、あるいは朝できておっても夕方なくなるというふうに変化に富んでおるところであって、それから一番よく人の死ぬのは川口であって、そうしてそこで死んだのは死体が上ることはほとんどないとまで言われておるのであります。そんな要するに潮流に乗せられて他方へ持っていかれ、所在が不明になるというのは通例であります。かような問題は河口において行われるという、河口においてやっていけないというようなことはこれは常識として学校も知っておるはずであるし、かようなところに私は標識が出ておることもないと私は思います。どうしてかようなところでやったかというようなことと、それからもう一つは救急処置につきましても、ただむやみに人工呼吸を施すということが蘇生させる原因ではないと思う。私は水を飲んだものならまず水を吐かせなければならぬと思います。新聞にもありました通りに、人工呼吸を施されたもの、あるいは施されるものにでも肺炎によって死んだなどということが出ておりますが、これはちょうど小さい子供は嚥下性肺炎といいますか、乳を飲んだ者が胸の方と肺臓に入って死ぬということがよくあります。かようなことと同じことであって、措置が万全でなかったならば生、き返るべき性質の者を殺すということがあると同じことであります。従って私はこの処置についてどういう処置が施されたかということも聞きたいけれども、しかしながらこれはおそらく早早の間に起ったことで、このことはでき得なかったのだろうと思います。しかしながら少くとも河口において私は水泳をすべきものでないというところに水泳をさせたというところに過失がありはしないか。私は学校当局のこれは責任であるか、あるいは警察の責任であるかということは私は考える必要もなかろうと思いまするけれども、かような点においてやったということが私は遺憾であると思うのでありまするが、これに対する警察の所見を承わりたいと思います。
  267. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) お話がございましたように、この事故を防止いたしますためには事前に十分の注意をいたさなければならないと思います。ことに川口に近い海水浴場の問題は御承知の通りだと私は考えておるものであります。この場所は川口よりは南に幾らか下った場所でございます。ただしかしながら潮流がやはり非常にむずかしいところのようでございます。昨日現地調査をいたしました際に立ち会いました海上保安庁の水路部長の話では、やはり潮流の関係から見て、海水浴場としてはあまり思わしくないところのようなお話でございました。  なお私どもといたしまして、責任逃れをいたすというようなつもりは毛頭ないのでありまして、警察といたしましては先ほどから申し上げましたように、事故防止につきましてはできるだけのことをいたし、市役所で予算が足りなければ、自分のところで棒をどこからか持ってきて標識を作ろうとしておりましたそのやさきの事故でございます。もしそういうようにおとりになる点がございましたならば、私の言葉の足りないところがあったと思うので、おわびを申し上げます。
  268. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は質問の要点をもとにもどして質問を少し続けさしてもらいたいと思う。私は冒頭に申し上げましたように、教員側の責任を否定するものではありません。私は国会議員という立場で、国として総合的な事故防止の対策はないのか。総合的な事故防止の対策について伺っている。文部省の責任を私は追及しようと思いません。また警察側の責任をここで辛らつに追及して責めたてようという意図は初めから持っておらない。ただこういう不幸な事件を契機にして、どうぞして総合的な事故防止の対策が練られないならば、今後もまた一片の通牒等によっては防ぎ得ない。こういう観点から御質問を申し上げておったのですが、関連質問等ありまして……私はこの津の事件に対して、直接な調査をしておりませんから、これにはむしろ具体的に触れないで、基本的な事故防止対策をここでただしているわけでありますから、以下数項にわたって個条的に大麻国務大臣に御質問を申し上げ、最終的に文部大臣に二項について御質問申し上げたいと思うのです。どうぞ個条的に申し上げますから、それについてお答えを願いたいと思います。  第一番に御質問申し上げたいことは、全国で行われておりますこの海水浴場、この海水浴場指定に対する条件はどういう条件のある所が海水浴場になるのか、これが第一点。  第二点は、危険区域に対する国の事故防止対策はどういう対策が練られておるか、どういう予算が組まれておるのか、これが第二点です。  それから第三点、安全地帯であるか、危険地帯であるか、こういうような地帯の認定は最終的にだれが認定をするのか、その認定をしたあとの責任はどういう機関でどのような責任を持っておるのか、これが第三点。  第四点は、危険区域と思われるような水上区域に対して海上保安部の協力はどういう状態で行われておるのか、これが第四点。  第五点は、夏季海水浴場における警察の配備の目標は何か、それは区域取締り、遭難取締り等について当然その目標はあると思いますが、特に幼少なる児童、学童に対する保護に対して警察官はどういうような目標をもって、どのように夏季において配備されておるのか、その配備の実情を承わりたい。  第六点は、危険区域と認められる地域を警察当局が十分知悉した場合に、それをどのような機関で、どういう方法でそれを一般大衆に認識させるのか。これが大麻国務大臣に対する私の質問の概要です。  それから文部大臣に対する最終的な質問でありますが、本事件に対して国として遭難児童学童に対する弔慰の方法はないのか。もしあるとするならば、具体的にどういう方法が講じられるのか。また講じようとするのか。  質問の第二点は、学校教育管理外における不可抗力によって起った児童の災害に対して国が児童の災害を補償する意思がないのか。これが質問の第二点です。  以上の点について両大臣からの明快な御答弁を期待します。
  269. 大麻唯男

    国務大臣(大麻唯男君) お答え申し上げます。  高田さんの御質問の御趣旨当局の責任を追及するということが目的ではない、今後こういう胸の痛むような災害が起こらないようにどうしたらいいか、国はどうしたらいいかと、それを研究しようというのであると、こういう御趣旨はよく了承いたしました。先ほどから傾聴して伺っております。きょうの御質問もそういう御趣旨だったと私伺いましたので、先ほど申し上げましたけれども、一般に警察はこういうことをいたしておりますということを申し上げたのでございまして、どなたか何だか責任が、責任のがれのことを私申し上げて誠意がなかったとおっしゃいましたけれども、私はそういうつもりでは決してございませんでしたから、これだけをお許しを願いたいと思います。御趣旨はよくわかりましてございます。だからして今度の事柄は、実に胸の痛むような涙の出るような事件でございました。だれも目をおおわなくちゃ見られないような新聞の記事だけでもわかっておるのでございますから、こういうあやまちが再びないように万全を期しなければならぬと思います。  それで、ただいまお話の六ヵ条にわたるところの具体的の問題につきましては、はなはだ失礼でございますけれども、私がここで即座にお答え申し上げるよりも、警備部長が書きとっておりますから、具体的な問題については部長からどうぞお聞きとり願いまして、なおそれでは足りないということはまた申し上げますけれども、どうぞ御了承願います。
  270. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 第一の海水浴場の選定についてでございますが、これは申すまでもなく、危険がないという見地から選定をいたさなければならないと思います。少しでも危険のあるような所は避ける、こういう見地から定めていかなければならないと思うのであります。第三の問題と関連いたしますが、しからば海水浴場をどこにきめるかという問題は、これはやはり私はその市町村当局というような、海水浴場を開く等の立場にある方面にあると思うのであります。警察といたしましては、これに対しまして事故防止の見地からいろいろと考えておりますところ、意見を申し上げまして、そして危険のないように処置をいたしていく筋合いであろうと思うのであります。  第一のこの国費をもってこういう海水浴場の事故防止について経費を計上いたしておるかということでございますが、仕事の性質上から申し上げまして、府県費あるいは市町村費をもってまかなっておるのでありまして、国費といたしまして特にこういう海水浴場における危険防止のための経費というものは格別に計上はされておらない、かように存じておるのであります。ただ警察官の活動に要します経費の一部というような意味におきましては、もちろん国費にも若干のものが計上されておることは申すまでもないのであります。  第四点の海上保安部との連絡でありますが、多数の人の出ます所では、海上保安部一におきましても注意をいたしております。手持ちの船を配置いたしまして巡回をいたしておるように私どもは承知いたしております。海上保安部の方とも絶えず密接な連絡をとっておる次第であります。で、警察官の配置につきましては、特にやはり何と申しましても一番事故の起りやすい学生あるいは生徒、児童の保護という見地から、そういう方面に特に注意をいたしておるのであります。非常に雑踏します海水浴場等には警察官を配置いたします。場合によりましては船を出しまして、それに警察官を相当数乗り込ましておる、こういうような措置をとっておるのであります。  第六の一般の方々への周知徹底というような面につきましては、海水浴場なりその他先ほど申し上げましたが、危険標識を十分にするというような方法によりましてやって参りたいと考えております。
  271. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいまの御答弁で十分に私は国としての仕事がよくわかりました。承われば、危険区域と思われる個所に対しては、海上保安部の協力を得て手持ちの船を配置する、まことにこれはけっこうなことである。当然それはそういうように実施していただかなければなりません。また第五番目にお尋ねしました児童、生徒のためにどういうような警察官を配備をするか、その目標はということに対して、児童、生徒のためには当然警察官が十分に注意をして、場合によっては船を出し、その船に警察官を乗り込ませて種々の注意をするのだ、こういう御答弁がありました。まことにこの御答弁は当を得たものだとこれまた思います。また次の質問に対しまして、つまり学校側よりの連絡に対して、警察側からの配備の措置はどういうふうにするのかということに対して、危険標識をもってこの一般の人たちにも知らせるような措置をとるのだ、これまたまことにけっこうな方法であります。遺憾ながらこの津の海の問題の場合には、私の調べました範囲内においては、海上保安部の手持ちの船は配置されておりませんでした。また児童、生徒のために船を出して、警察官が特にだれも知っておる危険区域と思われるような所におけるこの海水訓練に対して、警察官は船を出して乗り込んでおりませんでした。また同時に危険標識を立てるというその御答弁に対しても、遺憾ながら今回のこの犠牲の場合には危険標識が出ておらなかった等々、これはまことに遺憾きわまりないところでございまして、当然これは大麻国務大臣としては、この津の海における諸般の手落ちの問題については十分に責任を果される意味において、こういうことを契機として、今後こういうことがないように、十分その重責を痛感していただきたいと私は思います。以上で大麻国務大臣に対する質問は終りますが、これらの手落ちに対する大麻国務大臣の最終的な御答弁をお願いしたい。
  272. 大麻唯男

    国務大臣(大麻唯男君) お答え申し上げます。つつしんで傾聴いたしました。私といたしましては、今回の事件にかんがみまして、さらに一そうあやまちがないような万全の処置を期するつもりでございます。今日皆さんの御発言になりましたことなどはよく味わいまして、そうしてさらに一そう注意をいたして間違いのないようにいたしたいということを、ここに重ねて申し上げましてお礼を申し上げる次第でございます。
  273. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 先刻の御質問にお答えをいたしますが、御承知の通り、ただいまのところでは国といたして弔意その他の方法がない次第でございまして、いかようにもいたしかねるということであります。そういう意味からいたして、将来のことはどうするかということにつきましては十分考慮をいたしたいと考えております。
  274. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も若干もう少し質問をしておきたいと思います。やはりあの海水浴をしておった海岸はことし初めてやった海岸ではないわけです。毎年やっているわけです。特に橋北中学校はあの浜辺に一番近い学校で、先生も生徒も平生うんと泳いでおって一番事情を知っておるところなんです。そういうところでああいう事故が起ったということは、返す返すも私は残念であると思うのです。ただそこでやはりあれは正課としてやっておりますから、全校生徒が出るようになっているわけです。その場合には船の用意ですね、これはぜひするように御指導を願いたいと思います。これは船を、四百人から泳ぐという場合にやっぱり沖に二そうや三そう小船があるということが絶対必要だと思います。そういう施設をしておらなかったという点ですね。  それから文部省指導は能力別に編成しておるということですね。文部省指導要領によると、能力別に編成をして指導する、これは私は適当な措置とも考えます。実際水泳を指導する場合、能力別に編成しないと、これは実際上指導できない面がある。けれども今度津の教育委員会の意見では、だから平生受け持っておらない、全然顔の知らぬ生徒が自分の担任の中に入ったので、事故が起ったときにどれだけ救い上げたのか、どれだけ残っておるのかさっぱりわからないで非常に混乱をしたということがあります。これは私は能力別指導が悪いとは言いませんし当然だと思うのですがね、やはりこういう事故の場合を瀞えて、なお研究するヘボ地があるんじゃないかというふうな感じを持ったわけです。  それからあの海岸は事故が起ってからすぐに警察にも知らせなかったという問題があります。けれども三十分歩かなければ人家まで行けないでしょう。あるいは混雑しておるときに走って知らしても相当な時間がかかります。ですからああいう所はやっぱり電話を私は一本くらいはすべきではなかったか、こういう感じがいたします。  なおこういうことを行うについて当該学校の教職員が十分な配慮を払わなかった……いろいろ具体的にあげられます、そういう点についても私は指導すべきであると思います。けれどもただ一片の文書ではだめだと思う。やはりああいうところの地域、海が危ない、危険だということは、むしろ私は水泳をよくする人の方が知っていると思う。大事をとるのですね、やはり私は水泳のできない先生が多かったと思う。こういう点は何としても私はこの理由であると思うのです。そのために校長以下職員の責任は免れることはできない。特に標識を立てておらなかった。この点は学校で十分すべきです。だから潮の流れがきついから、知らず知らず子供はその深みに入ったという点があるのです。そういう点について私は用意が足りなかった点は指摘しなければならない。船を出したりそういう所には電話をかけたり、そういうことはやはり指導の中に入れてもらいたいということを要望しまして、あまり長くなっても……。
  275. 吉田萬次

    吉田萬次君 私も希望一つ述べておきたいと思います。それは天龍川のあの河口の砂が一夜にして渥美湾の渥美半島の尖端に移動することがあります。これは実に不思議な現象でありまして、そうしてその移動したのがまた元に戻るというようなことが、その所の人はよく知っております。かような点から考えましても、河口の砂というものは非常に移動をするものでありまして、流れによってまた渦を巻くような行動もとります。従って河口におけるところの水泳場の熟成定というものは私はきわめて注意しなければならぬものだと思います関係上、いずれの川におきましても、川に近いところの海水浴場というものは、私は子弟に対してよほどの考慮を払っていただきたいと思うことと、それからさようなことまでして水泳をさせようとするならば、引率した先生が、少くとも三十分前なり一時間前に実地調査をして、それから指導してもらいたいということ、それから川の深浅によりまして、水温によってショックを起すということもありますから、この点も十分に注意をしてもらいたい。さらにかような問題が起きた場合に周章ろうばいして事に処すると、せっかく生きるべきものも殺すことがありますので、かようなときの大体の手当を十分にできるように考慮していただきたいというような希望を述べまして、私は当局にお願いする次第でございます。
  276. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件に関してほかに御発言ございませんでしょうか。ほかに御発言もなければ本件の審議はこれにて終了したものと認めて御見一議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  277. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めまして、さよう決します。  ちょっと速記をやめて下さい。    午後六時四十九分速記中止    ————・————    午後七時二十一分速記開始
  278. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて下さい。
  279. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 公立中学校の屋内遅効場整備促進に関する決議案提案いたします。  初めに案の内容を朗読いたします。   多雨地帯に属する我が国の学校教育においては、体育並びに集団的教育活動の実施上、屋内運動場の整備充実は極めて緊要である。   さきに、本院は決議を行い、積雪湿潤地帯の屋内運動場の整備について、政府に対し、強力な措置を要望し、爾後年々若干の国庫補助実施を見るに到ったが、その他の一般地帯については、今日なお考慮の外におかれている。   特に、第十九国会において、本委員会が、「公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案」の審議の際、右一般地帯の中学校屋内運動場建設のための予算措置を講ずべき旨の附帯決議を行ったにも拘わらず、政府は昭和三十年度においても、右予算を計上しなかったことは遺憾である。   よって、政府は、昭和三十一年度予算においては、積雪寒冷湿潤地帯に対する予寧は勿論、他の一般地帯の中学校屋内運動場の建設が、少くとも小学校の水準にまでは到達し得べく、精確な計画を樹立し、その計画に基く初年度予算を確実に計上すべきである。   右決議する。  この決議案提案の理由につきましては、懇談の際に申し上げましたので省略さしていただきたいと思います。
  280. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまの決議案提案に対して御質疑があるならばこの際御発言願います。
  281. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 私はこの決議案に賛成をするのでございますけれども、先ほど懇談の中でいろいろ承わりましたので、大体私の疑問といたしておる点は了承をいたしたのであります。ただ懇談中に承わりますというと、積雪寒冷地帯における既定の予算で過去数年の間に約十六万坪ほど実施し、なおその地方においては十九万坪あまり残存しておるという状態であります。かような状態にありますときに、既定の予算の中で温暖地方にこの予算を分けて使うということはその時期でないと考えるものでありますから、文部当局におかれましては、この既定の予算を三十  一年度以降も十分確保すると申しますか、より以上に増額すると同時に、この決議に沿って新しい地方に予算を計上し、そしてこの屋内運動場の設置の促進をはかっていただきたいかように希望を申し上げる次第でございます。賛成いたします。
  282. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいま御質疑のある方がありましたら御質疑を願いたいと思ったのでありまするが、ほかに御質疑がございませんければ質疑はないものと認めて御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  283. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それでは御質疑が終ったものと認めます。  次に討論に入ります。ただいまの決議案に対しまして、御意見のある方は御意見を付して賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  284. 高橋道男

    ○高橋道男君 私はただいま拠出されました決議案に賛成をいたします。本質的に申して私は各学校が屋内運動場を全部備えるべきである、こういうように思うのであります。しかしながらわが国における財政上その他実際問題のためにただいままでは積寒地帯に優先せしめてこの屋内運動場の設置の促進をいたしておるわけでありますけれども、さきに申しますように、それ以外の地方においてこの種の運動場が不必要であるということは、われわれ毛頭考えていないのでございます。先ほどからのお話によりますと、積寒地帯におけるこの種運動場もおいおい整備をみてきておりまするし、またその他の地方におきましても地方財政においてゆとりのあるところでは同様に運動場もできつつあるかと思うのでありますが、先ほど申したような本質的な意味におきまして来年度以降逐次国からの力も加えて屋内運動場ができていくことはまことにけっこうなことだと思うのでございます。これによりまして私はこの子供の体位も、平素雨が降っても十分に体育を進めることによって体位を増進することも可能であり、同時に教育効果の上にも十分な期待をすることができることになりますので、そういう意味におきまして、私はこの決議案にあるように来年度からはぜひこの多雨地帯における屋内運場の予算が計上できるように当局にお願い申したいと思うのであります。ただし先ほどからも懇談のうちに話題に上りましたが、積寒地帯における屋内運動場が来年度以降増設されるべき予算を、多雨地帯における新しい計画に削って廻わすというようなことはもちろん望むべきことではないのであって、積寒地帯の分はそのまま計画通り進めて、必ず今関係課長から言われたように、昭和三十五年度までに完成する計画を必ず進められる、それにプラスして、来年度からは多雨地帯における屋内運動場の増設をはかる、こういう趣旨を確保していかれることを希望して賛成の意見とする次第であります。
  285. 吉田萬次

    吉田萬次君 私も雨森委員希望をいれてもらえることにおいて賛成いたします。あながち積雪寒冷地帯に限らず、温暖地帯といえども十二月から翌年の三月までは非常に土地が凍り、この霜どけによって運動場の使用ができ得ないということは、たくさんの土地においてその実例を見るのであります。また雨天の場合において、これを利用することにおいての価値というものも十分認めなければならぬと思います。その観点において私は先ほど雨森委員から述べられたように、寒冷地帯におけるところの今の建設を融通するようなことがあってはならないと思いますので、かようなことを考慮せられることと思う、この決議案の私は趣旨に賛同し、その御意見に対して私も希望するものであるということを意思表示をいたします。
  286. 高田なほ子

    高田なほ子君 決議案はたびたび国会に出され、あるいは委員会におきまして採択せられましたが、この決議案実施はなかなか困難であることは常に遺憾と思っているところであります。特に屋内体操場の問題は、六三制教育完成の上に欠くことのできない重要な問題であると私どもは信じます。積雪寒冷あるいは一湿潤地帯における屋内体操場の設置の問題は当然でありますが、なかんずく六三教育完成の上において、最も私ども欠陥として指摘しなければならないことは、中学校における屋内体操場設置の問題であります。どうぞこの決議案が本当に実施せられますよう、特に政府において特段の決意を持って、この決議案実施に当られんことを強く要望いたしまして賛成をいたします。
  287. 笹森順造

    委員長笹森順造君) はかに御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。荒木委員より提出せられました公立学校屋内運動場整備促進に関する決議案についてお諮りいたします。これを本委員会決議とすることに成賛の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  289. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 全会一致であります。よって本決議案は全会一致をもって可決せられました。  なお本決議に関する自後の処理については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  290. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。さよう決します。  ちょっと速記をやめて吐下さい。   〔速記中止〕
  291. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をつけて。暫時休憩いたします。    午後七時四十三分休憩   〔休憩後開会に至らなかった。〕