○
白井勇君 そこで一応私は
大臣に、実際この
学校給食施行後におきまして見ておりまする
実態につきまして、まずそれを申し上げるわけです。私は何も
文部省のお役人としまして見ておるわけでもありませんし、ただ父兄としあるいは一市民としまして
学校給食の
実態というものを注意をいたして見ておりまする。これはもちろん全国を何も見ておるわけじゃありませんが、できるだけ現地に行きまして、機会ありますごとに触れるようにいたしておる。まあごく狭い体験であろうかと思いまするが、ただいま
文部御
当局からいろいろ
お話のありましたような
実態では私はないと思います。やはり
文部省のいろいろ現場の御
指導なりあるいはその
実態の御
調査もあろうかと思いまするが、これはどうしましても
文部省の
指導、助言者といたしましての
一つの権力を持った方がいらっしゃるわけでありまして、なかなかその
実態というものにも触れ得ない面もやはりあるのじゃなかろうかという私は感じをもっております。
文部御
当局が特に大事だと認めておりまするこの
学校給食についての
趣旨の
徹底なり
指導というような面のことは、まず私は体系が立っていないと、こう
考えております。地方庁に参りましても、先ほ
どもお話しました
通りに、
学校給食の係りというものがあって、それがいろいろその
指導の衝に当っておる、こう言われまするけれど、これは新たにこの
学校給食を設置させましたり、あるいはまたできましたものの
文部省からいろいろまあ助成が参ります。その
施設の
補助関係の問題あるいはまた流れて参りまするミルクあるいは小麦粉というような物資の供給の問題というようなものの処理にほとんど追われておるというものでありまして、ただ
栄養士というようなものがありまして、献立の
指導ぐらいはやっておる、そういう
程度のものであります。さらにまた東京の例をとってみますれば、また各区の
教育委員会に、
学校の
給食の係とまではいきません。学事係の中にそういうものを担当いたしまするものが大体三名くらい、その中の一入は先ほど申しましたように、いろいろな
補助金の処理の問題、あるいはミルクなり小麦粉で流れて参りまする物資の売り払いの処置の問題をやっておりまして、それで手は一ぱいでありまして、
学校給食の
実態の
指導というようなものにつきましては、とうてい手は伸びない現状であります。
それから女の
栄養士がおりまして、これが大体区の献立の
指導をやっておる。もう一人まあ若い男がおってこれは何をやっておるかといいますと、東京あたりの場合は
あとで
お話をいたしまするが、
給食のいろいろな煮たきをやります作業の
補助作業員、これは今東京では失業対策費から出ておりまして、その入の配置なり俸給の支払いというようなことでほとんど手一ぱいであるという
程度のものであります。ところが
学校に行ってみまするならば、これは先ほど
文部省の
お話もありましたが、申し上げるまでもなしに、今まで現在
学校長になっておるような方、これはそう申し上げて、はなはだ失礼でありまするが、やはりのり茶づけで御飯をかっこめばそれでいいというような
食生活に長い間慣れてきました方でありまするし、現在教員の立場でありまする方も、
学校給食法の
目的なり
目標に沿って運用するような少くも知識の
教育というものを受けてきた先生でないわけであります。そういうことでありまするので、特殊の興味を持った校長ででもない限りにおきましては、現在におきましては
学校というものはこれは先生の立場から申しまするならば、新たにそういう
仕事がふえまして、全くこれは過重負担になっております。従来から申しまするならば、これはないときにはまあお昼休みというように、ゆっくり御飯を食べておったわけでありますが、あの法の
趣旨によりまするように
教育の一環として
給食をやっていくというようなことになりまするならば、これはよほど
精神の入れかえをしない限りにおきましては、いたずらにこれは過重の負担になる、これは決して先生のみを責められない立場であろうと私は
考えるのであります。そこでそういうような
格好になっておりまするからして、
学校で
給食をやります場合におきましても、これは法の
趣旨に沿って行われておるというような
学校などというものはほとんどないのでありまして、東京都内等におきましても、特に模範的だというような二、三の
学校の校長が、非常に熱心な二、三の
学校に限られておるのでありまして、大部分の
学校というものにおきましては、法の
目的なり
目標というものに沿うべく努力をしておるという傾向すらもない
実態であります。ですから大部分の
学校におきまして、教師が生徒とともに食事をするというような現況というものはまあない、先生は教室に行ってゆっくり御飯を食べる。いいところでありましてせいぜい当番をきめておきまして、当番の者が食器に食事を盛るまでは先生が立ち会っているけれ
ども、
あとは放っておく。従ってそこにいわゆる
文部省の
基準を示しておりまするような行儀作法というようなものが閑却をされることになる、むしろ逆に一部におきましてはパンをとって入のものを食べる者がある、あるいはまた嫌いだからといって食べない者がある、こういうような結果になっておりまして、まるで法の意図いたしまするものと現状というものは、非常にかけ離れた
運営になっている面が相当ありまするので、これが大体一般の
実態であろうと、私はこう
考えております。しかも先ほど
文部当局におきましては、法の第二条でしたか第六条でしたか、いわゆる
給食費というものは
給食費自体のみはこれは父兄が負担をする。その他の人件費等というものはこれは
学校の設置者が負担をするという、はっきりいたしました法令上の建前が規定をされているわけであります。これもそういうところになっていない、ですから、そういう負担も当然他のPTAの負担になっておるわけであります。それから御承知の
通り現在保護者にはいろいろな厚生省
関係の援助があるわけでありまして、その子弟は一応
給食費は要らないわけでありますが、そのほかにいわゆる要保護者といわれまする家庭の児童に対しまする負担というものが相当の額になっております。そういう面におきましても実際他の生徒が負担をせざるを得ない、こういう
格好になっておるのであります。
私二、三例を持ちましたのを御参考まで申し上げますると、これは先ほど
給食課長の
お話では大体五日以上、一週間五日以上
給食しておるといいまするが、東京都内は大体一週四回の建前であります。これはなぜかと申しますと、水曜日は東京都全体の教員のいろんな打合会がありまして、大体これは
給食をしない。土曜日も一半日のために
給食をしない。従って週四回、ですから大体月十六回ということでありまして、そこで大体一人当りの負担は月三百円、そこでそれがどういう
格好に使われているかと申しますると、パン代に八十七円五十二銭、副食費に百七十円八銭、備品に二男、雑費に一円、消耗品に一円、それからが問題なんでありまして、いわゆる先ほど申しましたように、
給食費を払えない、これが一人当り十一円であります。それから作業費、
栄養費というようなものをPTAの負担で持っておる。これが一人当り十五円、それを合計全部いたしますというと三百八十七円六十銭になります。ですから月に三百円とりまして多少ゆとりが出まするが、これは多少貯めておきましていろいろな
費用に使い、さらに余りますれば三月に一般から
給食費を取らないで出すというようなのが、これは一々私いろいろあちこち調べました共通するような例であります。そういう
格好のものであります。こういうふうに児童のいわゆる法令できめられました負担範囲をこえましたものが、父兄の負担になっておりますものが今申しましたように十五円、十一円、計二十六円というものが三百円に含まれている。こういう
実態であります。これは私は大体こういう
格好にどこを見ましてもなっておる。作業員等におきましてもほとんと一人ぐらいはとれておりましても、ほかのものはPTAで持っておる。こういう
格好になっておる。さらにまたその作業員のほかに
栄養士というようなものになりましても、現実は置いていない所が多い。むしろまず私の調べでは半分は置いていない、こう思っております。そういう
格好で
運営をされているものであります。ですから私はまず現在の
学校給食を適正に
実施をしまする最も焦眉の急務であるというようなものは、現在
提案になっておりまする
日本学校給食会というようなものを作っていくというようなことよりも、私は先ほど来いろいろ申し上げましたようなことについてのいろいろな対策を講じなければならぬことがむしろ焦眉の急務であって、こんな
学校給食会
法案を作ることをもって適正な
学校給食上これは焦眉の急務であるという
提案理由の説明にありまするが、こういうような
考え方で
文部御
当局が
学校給食をやっていらっしゃるということにつきましては、私は非常に悲観的であります。もう少しこれを根本的にあの法の
趣旨に沿いまして、いま少し何とか腹を据えてやるようなお
考えがないものか、これば
一つ私は非常に食糧対策につきまして非常な抱負を持っていらっしゃいます
松村文部大臣、
教育関係につきましても非常な権威者であられますからして、特に私この
委員会へ出て参りましていろいろ実情を申し上げまして、お
考えを
お尋ねしたい、こう思ったわけであります。