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1955-07-21 第22回国会 参議院 文教委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十一日(木曜日)    午前十時五十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            木村 守江君            吉田 萬次君            竹下 豐次君            荒木正三郎君    委員            雨森 常夫君            大谷 瑩潤君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            堀  末治君            加賀山之雄君            高橋 道男君            安部キミ子君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            山田 節男君            松原 一彦君   政府委員    文部政務次官  寺本 広作君    文部大臣官房総    務課長     田中  彰君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○女子教育職員産前産後の休暇中に  おける学校教育の正常な実施確保  に関する法律案高田なほ子君外六  名発議) ○女子教育職員産前産後の休暇中に  おける公立学校義務教育の正常な  実施確保に関する法律案木村守  江君外五名発議) ○危険校舎改築促進臨時措置法の一部  を改正する法律案内閣送付予備  審査) ○女子教育職員産前産後の休暇中に  おける学校教育の正常な実施確保  に関する法律案木村守江君外六名  発議)     —————————————
  2. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまより文教委員会を開きます。昨日の委員長及び理事打合会懇談によって到達しました産休法案の取扱いに関する現状を御報告申し上げたいと思います。  懇談の結果、産休法案につきましては、木村案を骨子として、適用範囲においては公立高等学校養護学校並びに国立の付属学校を加えるということ、本法通過による施行期日昭和三十一年四月一日とすること、この二件は大体において各党各派の御了承を得る段階まで到達した次第であります。  さらに第四条の規定に関しまして、臨時的の教育職員の任命に関する条項につきましては、これを本村案通りにするという意見と、同法の第四ページの第四条の最後の行を正常な実施をはかるためとか、あるいは正常な実施確保するためとかいう工合文字を改めるということに関して、完全に各党各派意見一致を見ておりません。特に木村案として出ておりまする原案を強く支持せられまする自由党委員方々と、またこれを今申しましたように正常な実施をはかるためあるいは正常な実施確保のためという工合にこれを改めるということを強く主張する社会党左派委員方々との間に、いろいろと互いにお話し合いがあったのでありますが、最終的な段階までは結論として達しておらない次第であります。従いましてこの点に関しましては、この社会党左派委員方々の主張せられるがごとき考え方をまた一つといたしまして、更に第五ページの第一行の下の方にありまする「困難となると認められる」というのを認むるという文字に変えるということの竹下委員からの御注意等があり、これらを総合いたしまして、一応新しく今の考え方を入れた法案法制局において用意するということに大体意見一致を見出だしたわけであります。その間になお自由党社会党との間には、一致点を見出だすように努むるということになっておる次第であります。それがかりに各党各派意見一致するという最終段階に到達し得たはらば、現在提出されておりまする二法案をその提出者並びに党の方々の同意をもって取り下げて、そうしてできるならば一本の案として出すのがよかろう、大体そういう話し合いまでいった次第であります。従いまして本日の委員会の議案においては、午後においてこれらの産休法案についてあらためてまた委員皆さん方の御審議を願うということになる次第でございます。従いまして、本日の午後においては、この他別に本委員会予備審査として付託せられておりまする一法案、すなわち危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案並びに公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案、これを議題としよう。その理由は、この二法案は見通しといたしましては、今週中あるいは来週早々衆議院を通過して本院に本付託になるだろう、こういう考え方からであります。なお時間がありまするならば、給食会法案についても審議を進めたい。大体こういうような了解を昨日の委員長並びに理事打合会でいたした次第でありますから、右御報告申し上げます。  それではこれより危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたしたいと思いますが、御黒一議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それでは、本案に対する御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 危険校舎というのは、大体修理をせなければならんという要請を受けておられる数はどれほどありますか、全国で。
  5. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知通り危険校合改築につきまして国が補助制度を作りましたのは、二十八年からでございまして、当時二十八年度の初めにおきまして文部省が一応調査をいたしました当時におきましては、小、中学校を合せまして大体百六十五万坪という数字が出ておったのでございます。なお当時高等学校につきましては、大体十八万坪という数字が出ておったのでございますが、しかしこの二十八年度当初の調査は、府県知事のもとにおきます建築主事認定というようなことでございまして、きわめて実はラフな調査であったのでございます。一応現在まで義務制におきまして百六十五万坪というものを予算積算基礎といたしまして、今日まで二十八年、二十九年というふうに危険校舎改築をし、国としては補助を行なって参ったのでございます。二十八年に基礎法となります危険校舎改築促進臨時措置法という法律ができまして、国の補助法律小学校並びに中学校校舎で危険な状態にあるものということになっておりますが、その危険な状態というのを法令上はっきりさせまして、その危険校舎危険度判定基準というものを作る、構造上自重あるいは圧力に対する耐力というようなものを基準として判定基準を作るということで、文部省といたしましては耐力度調査というものをやっておるのでございます。この耐力度調査に基きますと、大体現在私どものほうで府県から耐力度調査に基いて出された結果によりますと、その耐力度調査調査表点数によって表わされる、そうして点数の低いものが危険度が高い、そういうことになっておるのでございますが、最も安全なものが一万点、それから危険なるものはゼロというような方式でございまして、一応全体の校舎を対象として調査いたすのでございますが、一応五千点というようなところを標準にして、五千点以下のものは危険だというふうに見て調査をいたしました結果は、大体義務制学校におきまして御承知のように小学校には〇・九坪、中学校には一・〇八坪という基準がございますが、その基準の中のものでしかも五千点以下のものというものをとりますと、大体現在残っておりますものが百二十万坪程度、もっとも五千点というもののを標準にいたしましたのでございますが、これを四千五百点というところにとりますれば、大体百万坪という程度になると思いますが、この五千点にするか四千五百点にするかということにつきましては今後さらにまだ検討しなければなりませんけれども、五千点にいたしました場合には大体百二十万坪程度、四千五百点にいたしました場合には大体百万坪純度という数字になっております。高等学校につきましては、五千点にしますと約三十万坪程度、こういうような調査数字になっておるのでございます。
  6. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 その検査の方法ですが、文部省直轄でやられるのですか、どこか建設省とかどこかへ依頼されるのですか、どういう機構になっておりますか。
  7. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように、公立学校調査関係につきましては、府県教育委員会に施設を担当する部課がございます。そこに専門技師がおりまして、そういう方に依頼をいたしまして危険度調査をやる、それで文部省といたしましては、出て来たものにつきまして随時出かけて参りまして、この府県から出されました調査の表が果して適正であるかどうか、そういうようなものを、これはすべてにわたって行うことはできませんけれども相当数のものにつきまして適否を検査しておるというのが実情でございます。
  8. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 それが決定されてから補助金が出るまでどれくらいの期間で出ますのですか。
  9. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この危険度調査耐力度調査は、昨年から実は行なっておりまして、この補助金配分に使われるのは、実は本年度が初めてでございます。本年度予算の成立が例年に比べておくれましたので、まだ全部の配分は行われておりません。しかし、ある部分につきましては内輪の数字のワクを府県にお示しておりますので、八月の中旬ぐらいには、この危険校舎補助金のみならずそれ以外のものについても大体お示しすることかできるのじゃなかろうかと、こういうふうに考えております。
  10. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 ちょっと要望しておきますが、危険校舎なんですから、子供たちに、もしけがとかそういういろいろの故障が起っては大へんだと思いまするので、こういう補助金等はできるだけ早く私支出していただくようなことにいたしたいと思いますが、どうぞ……。
  11. 吉田萬次

    吉田萬次君 危険校合定義といいますか危険校舎認定といいますか、危険校舎というものはどういうのを危険校舎というかということに対して、ただいまの局長の御答弁によりまするというと、教育委員会におけるところの技師認定によるということでありまするが、そうすると各県県によってこれは何といいますか認定程度といいますか、非常にそこに差異が生じてくる。それに対して一定方式に従ってそうして基準によって指示するというところの立場にある文部省としては、何を根拠にその定義を作られるか、認定をせられるかということについて伺いたい。
  12. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ただいま吉田先生お尋ねでございますが、当初、昭和二十七年から八年にかけまして危険校舎に対する補助を行いました。そういった制度を作りました際の危険校合認定というのは、府県建築主局判断というものに基いて一応この調査をいたしまして、百六十五万坪という数字を実は出したのでございますが、法律ができまして、構造上危険な状態にあるものということになりました。そしてしかも、その構造上危険なというのは何だということで耐力度調査をやる。で、この耐力度調査に基きまして点数換算をいたしまして、この耐力度の五千点以下のもの、すなわち危険なものというものの中で、危険度の高いものから逐次できるだけ改築をしていってもらいたいというのが文部省の現在の方針になっておりまして、ただ単に、建築主事がこれは危ないからというような主観的な判断改築をやっていくというようなふうには実はなっておらないのでございます。
  13. 吉田萬次

    吉田萬次君 その認定はきわめてむずかしいものでありまして、程度によってとおっしゃいますけれども、たとえて申しますると、木は新しくても、戦争直後において建ったバラック的のものというのはきわめてこれは弱いものがあるし、また相当年限がたっておっても、基盤がしっかりしておってそうして耐え得るものもあります。その基盤がしっかかりしておるというものにおいての年数というものも、きわめてこれはむずかしいものでありまして、たとえて申しまするというと、大体五十年を限度とするというようなことをいっておりまするというと、私の方にもその例がありましたけれども、五十年という年限に対して、はっきりそれは認定はできます。しかしながらその認定の中に、たとえて申しますると、それは三十年前に移築して、移築した以前に二十年あるというその証拠というものは何ものもないというようなものがありました場合に、そうして五十年を主張しても、当時の村長もおらなければ百類もないというようなことに対する、これは一種のインチキ的の申請でありまするけれども、これによってもやらなければならないというようなことになってきて相当そこに矛盾が生じてきておる。根拠というものが相当しっかりしておらなければ、これは危険校舎というものを認めるということは私はきわめて困難な問題だと思います。しかしながら、それまでに掘り下げてやるという必要もないだろうと思います。しかしながら、それは適度に認めてやれば私は差しつかえないだろうと思いますけれども、全国的なものと考えました場合には、そこに一定のある程度までの納得のいく基準というものに、ただいまの理論的の基準というものによって、そうあればそれで差しつかえないとも考えまするけれども、これもやはり人の認定であります。従ってこれの理論的な基準についてさらに十分な御研究を願いたいと思います。  それからもう一つ。今日鉄筋コンクリート建物が非常に安くなって参りました。従って都市におけるところの、ことに防火地区であるとか、あるいは人家の稠密した所であるとか、場所が狭いというような所になりますると、鉄筋コンクリート建物を建てたくなりますし、今日、余裕があるならば、鉄筋コンクリートで建てようという非常に地方にその声が高くなっております。ところが鉄筋コンクリートで建てるというここと、木造建築をするということに対しては相当私はまだ開きがあるとも思います。従ってこれを建てさせるという場合においても、文部省としては大蔵省にどういう割で要求しておられるか、鉄筋コンクリート建物を去年の割で建てるという要求をしておられるか。木造家屋というものをどの比率においてそうして建てようという方針をとっておられるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  14. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 最初の御質問でございますが、この危険校舎危険度認定ということにつきまして、この耐力度調査表によりますと、単に経過年数というようなことも、これは一つファクターにはなりますけれども、それは耐力調査表上ではきわめて小さい一つ要素になっておりまして、まあ大きなファクターから申しますと、構造上の耐力、それから保存力あるいは風圧、その他の外的な条件というようなものを大きくかみ合わせて、たとえば構造上の条件にいたしましても、土台がどういうふうな状況になっておるか、基礎構造がどういうふうになっておるかというようなこまごましたものを全部点数に換算するというようなことにいたしております。それから保存度合いにいたしましても、経過年数もありまするけれども、それ以外に、たとえば、年数は比較的若いような建物にいたしましても、外壁がどの程度腐朽しているか、土台がどの程度腐朽しているか、柱がどういうふうに、なっているかというようなことをこまごまと調べることにいたしております。また、柱が垂直であるか傾斜の度合いがどうなっているかというようなことも、みなすべて点数に換算するというような方法をとっておりますので、従って経過年数というものは、これはもちろん耐力度調査の上に出て参りまするけれども、それほど大きな実は要素にはなっておらない実情でございます。従って戦後にできましたものでありましても、材料なり、あるいは建築のやり方が当時それほど堅固にできなかったというような事情もございますので、そういったものも危険度調査をいたしました結果、非常に危険であるというものについては、もちろん補助することになるわけでございます。  それから鉄筋コンクリート建築についてのお尋ねでございますが、御承知のように、鉄筋コンクリートは、学校校舎といたしましてはやはり木造よりは私ども効率が高いというふうに考えております。ただ、現在では、御承知のように、鉄筋コンクリートの枠がそれほど大きくありませんので、こういった鉄筋コンクリートの御要望は非常に多いのでありますけれども、主として、たとえば防火地区であるとかあるいは災害が比較的多い地帯であるとか、また、学校校舎を建てるにつきましても、校地がそれほど大きくないというような、校地が狭いというものに限って配分されていくということになる。これは枠が狭いためでありまして、文部省といたしましては、できるだけこの鉄筋コンクリート木造比率のうちで、鉄筋コンクリート部分を広げて参りたいというふうに考えております。本年度の、先般成立いたしました予算では、大体予算の一五%が鉄筋コンクリートということになっ、ておりますが、文部省としましては、この予算大蔵省と折衝いたしましたときにも、大体少くとも二〇%はやってもらいたいということで実は交渉をいたしたのでございます。来年度はできれば二〇%をこえて二五%程度鉄筋コンクリート比率要求したい、こういうふうに考えておるのでございます。
  15. 吉田萬次

    吉田萬次君 今度高等学校まで包含したところの案が提出せられましたが、高等学校では一そう鉄筋コンクリート建物要求しております。また飛行場基地のある近所においての建物というものは、私はとうてい木造では建て得ないだろうというふうのことは、ただ単に防音装置そのものだけではなくして、いろいろな条件によって当然しなければならぬということに対して、私はこの鉄筋コンクリート建物比率というものを一五%、二〇%ということも、それは予算関係でやむを得ないこともあるでしょうけれども、しかし地域的にはやはり私はこの問題は重要な問題であるというときに当っての、その飛行機の基地などのあるところの方面においての要求というものは、勘案せられるでしょうか、どうでしょうか。
  16. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 従来鉄筋コンクリート配分いたします際には、先ほどお答えの中に申しましたように、防火地域あるいは準防火地域あるいは災害の比較的多い地域というようなものに一応配分重点を置いたわけでございますが、もちろんただいまお尋ねのように、基地附近にある学校校舎ということで防音対策上も必要であるということになりますれば、そういったものも十分考えて配分することにいたしたいと思います。
  17. 吉田萬次

    吉田萬次君 ことに基地におきましては実に気の毒な状態でありまして、基地における子供というものはいかになれておるといいましても、まことに音響のあまりに高過ぎる、ことに滑走路の距離の短いものにつきましては、よけい騒音を立てるというような関係から、あなた方の想像以上に気の毒な点があるということを、私は小牧の飛行場において、はっきり認識しております。かようなことから申請の県に対しまして、それに対する適当な方法を講じていただきたいというようなことがありました場合においては、これは単に一つの県の問題でなくして、国家の問題であるという点から考えて、文部省もこれに対して同情し、そしてこれに対する考慮するところの適当な処置というものが講じていただけるでしょうか、どうでしょうか。
  18. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 基地附近危険校舎改築というようなことでありますれば、ほかの条件よりはこのコンクリート要望度というものは一そう強いものがあると思います。従ってこの防火地域あるいは災害地域と同様にこれは必須であるということになるかどうかは別といたしましても、御熱意度あるいは要望度というようなものも十分考えまして、基地附近危険校舎改築の場合に、コンクリート建をできるだけ考慮したい、こういうふうに考えております。
  19. 吉田萬次

    吉田萬次君 今熱意ということを言われましたが、熱意要望ということを言われましたが、熱意というものはどういうふうに解釈していいか、これは適当に解釈していいものか、あるいはそこに何かありますか。まあその程度熱意というものの解釈ですね、これは非常にむずかしい問題だ。要望はこれは当然です。熱意というものの解釈が私としては十分にわかりませんが、ただいま大体想像いたしまして、まあ、やめておきますけれども、要するに今日の学校の建設というものについては相当重要視して参りました。そうしてどうだというと、日本の経済の基盤というものもやや安定した程度と認めます。従って文教に対する観念というものは私は相当高まってきておる。従って要望せられるところの建築校舎というものに対しては、私は相当な希望を持つております。従って将来におけるところの校舎というものは、耐震耐火あらゆる方面から勘案して、私は鉄筋コンクリート要望が私は相当進んでくると思います。従ってこの方面に対して十分な留意をせられまして、今の一五%、二〇%にしたいというような観念を捨てて、そうしてある程度までそれに対して要望にこたえられるようにしていただきたいということを熱望して、私は質問を打ち切ります。
  20. 雨森常夫

    雨森常夫君 ちょっとお伺いいたしますが、先ほど御説明で、危険校舎というのが点数で鑑定した場合に、義務教育の方が百二十万坪、高校の方が三十万坪程度というお話になりましたが、本年度の二十億の予算で大体何年ぐらい解消するのにかかるのですか。
  21. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 本年度のこの危険校舎改築予算でございますが、大体二十一億六千八百万という数字になっております。で、そのうち義務制の方が二十億一千八百万、それから高等学校分が一億五千万という内訳になっております。これでこの数字で参りますと、大体義務制の分では大体百万坪の五分の一程度ですから、この数字がそのままについていけば五カ年程度で一応まあ完了する。それから高等学校の分につきましては、まだはっきりした耐力度調査の結果の数字がきわめて精密にできておりませんので、年次計画的に一応参りませんが、義務制の分については大体五カ年というふうに推測をいたしております。なお御存じのように、危険校舎危険度というものは年々進行するというようなことも考えられますので、一応五年分推測が多少延びるというようなことも考えられるわけでございます。
  22. 雨森常夫

    雨森常夫君 文部省では今回高校を中に入れられますというと、毎年義務制の方と高校の方とを、予算配分のときにどういうふうに考えてどちらにウエートを置くというような何かお考えがあるのですか。
  23. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この高等学校危険校舎にいたしましても、大体この危険校舎になってきた理由というものが義務制の場合と実は変らない事由でございまして、戦争中あるいは戦後のいろいろな資材の統制あるいは資金統制というようなことから改築が行われにくかったというようなこと、あるいは地方財政の貧困というようなことも大体小中学校高等学校とは差がないというように考えます。しかし高等学校に比べましで、小中学校は何と申しましても義務制でございますので、やはり文部省としては、この義務制の方が優先すべきものと実は考えております。ただこの本年度小中学校高等学校の場合を比較検討いたしますと、この義務制の方は御承知のように、二十八年から改築実施いたしまして、本年度は大体三年目でございます。高等学校は本年度が初年度でございますので、この危険度のひどさというようなものを考慮いたしますと、高等学校の方に危険度のひどいものがあり得るのじゃなかろうかということも考えて、場合によっては、この危険度という点から多少これは両者を彼比対照しなければなりませんけれども義務制の方から高等学校に多少予算を回すというようなことも考えなければならぬ場合も起るのじゃなかろうかと思いますけれども、原則といたしましては、やはり義務制を将来も重点にして、高等学校よりは義務制の方の危険校舎改築ということに今後も重点をおいていきたいというふうに考えております。
  24. 雨森常夫

    雨森常夫君 私はこの義務制高校の場合とは一方は義務制であるから当然国としては重く見るべきがこれは当り前のことでありますけれども、これは国としては補助率が違っておるので、その点で相当考えられるだろうと思う。ただ危険校舎ということになれば義務教育高校もその中に入っておる生徒は同じ国民であるというのであるから、危険なものをほっておけないということについては両者同じじゃないか。今のお話を承わりますというと、義務制の方はまあだんだんふえては参りますけれども五年で解消する。一方の方は十五、六年かかるというようなことではちょっとアンバランスじゃないかと考えたので今御質問申し上げたわけなんですが、もう一度私の考えが間違っておりましょうか。前段に申し上げたことが考え方が間違っておりましょうか。
  25. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この危険校舎改築は、義務制につきましても、また高等学校につきましてもできるだけ早く解消しなければならぬということは申すまでもないことでございます。ただ高等学校がこの補助の対象になります結果、そのために義務教育小学校改築が阻害されるというようなことになってはこれはいけないと思いますので、高等学校の方のワクももちろん力を入れてふやしていかなければならぬと思いますが、しかしそのために義務制の方がある程度障害を受けるということのないように両者ともどもこの改築を促進していきたい。まあ危険という点から言えばどちらも同じじゃないかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、やはり義務教育の方にもちろん筒等学校をないがしろにするわけじゃございませんけれども義務教育の方をできるならばこれは非常に全国的に坪数も多うございますし、要望もありますので、そういった面にできるだけの力を注ぎ込んでいきたいというふうに考えております。
  26. 吉田萬次

    吉田萬次君 先ほどお尋ねいたして忘れましたが、鉄筋コンクリート建物に対する単価の問題でありまするが、現在文部省としてはどれだけの、単価一坪当り幾らと考えでおりましょうか。
  27. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 予算上の坪当り単価はコンクリートの場合五万五千円でございます。
  28. 吉田萬次

    吉田萬次君 伝え聞くところによりますると、同じ鉄筋コンクリート建物であっても文部省建物というものとほかの省の建物というものとの間にはどうも違いがある。たとえて言うと、亀裂なども起きやすいというようなふうのことであって文部省の指示せられておる、また監督せられているといいますか、建物は一般建築物より多少手が抜けておりはしないかということをよく巷間聞くところであります。これは地方の方でも相当な値上りを要求しておりますが、これは一定のもので、変えておられるようなことはなかろうと思いますけれども、それに対して逐次印度において値上りその他を勘案して坪に対する金額というものの高低をはかっておいでになりまするかどうか。
  29. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この建築の単価の問題でございますが、この公共事業的な事業の単価につきましては、建設省が中心になりまして、関係各省が寄り集まりましていろいろ協議をして、大体の線を出していくということを従来いたしております。もちろん建物の種類によりまして違ってくるわけでございますが、文部省の五万五千円のコンクリートの場合でございますが、五万五千円がよその省に比較して特別に低いということは私は一応ないと思っております。従ってこの文部省でやるコンクリートの工事については、何といいますか、破損が起りやすいというようなお尋ねでございますが、それは工事の場合のいろいろ監督面、指導面というようなことにもなってくると思います。それでできるだけ手抜き工事の行われないように、文部省府県の施設を担当しておる人々に注意をいたしておるのでございますが、特にこの文部省関係鉄筋コンクリートの工事の単価の五万五千円がほかの省に比べて安いというようなことは一応ないものと思っております。
  30. 吉田萬次

    吉田萬次君 この鉄筋コンクリート建物というものは、将来学校としてわれわれのまた子弟として非常に注意を払ってこの建物に対するすべての問題を解決しなければならぬと思っておるような状態であります。従って私はどうも文部省の仕事というものがほかの省に比べて人がいいというわけじゃございませんけれども、その点が十分注意が行き届いておらぬといいましょうか、地方建物におきましても見劣りがするように一般の感じを受けております。従ってさような点は私は堅牢第一でなければならぬによって、体裁の云々ということは申しませんけれども、少くとも良心的な建物を建ててもらいたいと思います。十分な御考慮を払っていただきたいと希望を述べておきます。
  31. 竹下豐次

    竹下豐次君 ちょっとお伺いいたします。小中学校危険校舎改築に着手されました最初の年度はいつからでございますか。
  32. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 昭和二十八年でございます。
  33. 竹下豐次

    竹下豐次君 その当時の改築を要する危険校舎の坪数は何万坪ということになっておりますか。
  34. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) その当時の調査をいたしました結果が、小中学校に関して百六十五万坪。
  35. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると、現在改築を要するものが約百三十万坪、そんなお話でございましたね。百二十万坪ですか。
  36. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 昭和二十八年に調査いたしましたときの数字が大体百六十五万坪でございまして、二十八年に補助金を交付しまして実施いたしました坪数が大体二十二万坪、それから二十八年が十八万坪というようなことになっております。これは御承知のように、この百六十五万坪という数字基礎にいたしまして、その後の実施の状況を申し上げたのでございますが、しかしこの百六十、五万坪は先ほど来いろいろ御説明申し上げておりますように、その法律に従って耐力度調査によって出てきた数字では聖人はございませんので、法律以前にこの危険校舎改築に国庫補助を出すということのためにその事前に調査をいたした数字でございまして、その後作集からこの耐力度調査、をいたしました結果が、先ほど申しましたように、大体百二十万坪程度のものである、こういうふうに申し上げておるのでございます。
  37. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますと、あと百二十万坪現在残っておるということになりますから、二十八年度、二十九年度改築の前例から推していくとするというと、とてもまだ長くかかるという計算になるのですか。五カ年計画というお話ですけれども、それで改築ができる計算になるのですか。
  38. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほどお答え申しましたように、この耐力度調査に基きまして、五千点以上を危険校舎にするか、あるいは四千、五百点以上のものを危険校舎にするかということによりまして、その坪数というものが変って参るわけでございます。五千点以上のものを危険校舎と一応認めます場合に百二十四万坪程度、それから四千五百点というものを限界にいたしましてそれ以上のものを危険校舎にするという考えで参りますと、大体百万坪程度ということになるわけでございまして、先ほど五カ年間ということを申しましたのは、大体この四千五百点以上のものを計算いたしました場合にこれが百万坪でございますので、本年度昭和三十年度に二十万坪実施するということで、この調子で参りますと大体五カ年間で行くのではなかろうか、ただし危険度の進行ということもございますので、これが多少のびることは考えておかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  39. 竹下豐次

    竹下豐次君 この五カ年というのはこれから後五カ年というのですか、最初の年三十八年、九年は抜きにしまして、あと五カ年という計算ですか。
  40. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 本年度から五カ年で大体いいのではなかろうかということでございます。
  41. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると結局初から七カ年で昭和三十六年まででありますね、危険校舎はうんとふえていくと見なければならない、そうするとまた一そうのびていくという計算になりますが、そういうことはまだ見込んでいないで、年々歳々これは危険校舎ができていくわけですが、それはお見込みになっていないで、あと五年間という計算になるのですね。
  42. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 普通の状態でありましても、そういった、たとえば五千点に近いような校舎は年々危険度は進行して参るのでございます。まして風水害その他の災害でもありますと、危険度というものは普通の場合よりは相当早いスピードで進行するというふうに考えられますので、従って一応五カ年を予定しても六年になり、七年になることも考えられるわけでございますので、先ほど来五カ年程度と申しましたのは、一応そういった災害等を考えないで、机上で計算した数字でございます。
  43. 竹下豐次

    竹下豐次君 それから先ほどの御説明で吉田さんの御質疑に対する御答弁で、小中学校義務教育であるので重点を置く、高等学校はあと廻しといっては悪いのですが、そういうことになってしまうというお話でしたが、そうすると高等学校の方は大かたあと何年くらいかかって現在の分が改築されるというお見込みですか。これははっきりしたお見込みがつきにくいと思うのですが、重点をどっちにどの程度置くかによって違うことが、大ざっぱでいいのですが。
  44. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 義務制の方が一義的で高等学校は二義的という、それほどはっきりした考えはございません。ただ高等学校危険校舎改築をやるために義務教育がそれだけ進行度がおくれるということのないように義務教育の方はできるだけ力を入れてやっていきたい、高等学校についても、もちろん力を入れまして、そのワクは広げて参りたいと思っておりますけれども、そのために義務教育の方か阻害されることのないようにしたいということを実は考えております。  それから高等学校の方は今後何年間くらいかかるかというお尋ねでございますが、現在の予算では実は高等学校は大体一万坪程度改築でございますので、まあこの数字のままでありますと二十年近く実はかかるのでございますが、しかし、本年度高等学校につきましては、実は最初の年でございまして、今頭たけを出したような形でございますので、今後は高等学校の分につきましても、このワクを広げて、できるだけ予算をとって参りたいと考えております。
  45. 竹下豐次

    竹下豐次君 先ほども意見がございましたが、この危険という点についてはやはり重点を置いて考えてもらわなければならないので、義務教育であるか否かということより危険であるか否かということを第一に考えてもらって、高等学校の方もやはり小中学校におくれないように改築を進めていただかなければならないと思いますので、それだけを申し上げます。  それから別の話ですが、先ほど鉄筋コンクリート校舎の問題のお答えがありましたが、災害の地帯とかあるいは防火の関係とかというようなことが考慮の中に加えられているということであります。これはごもっともなことだと思います。私は実は宮崎県なんでありまして白アリが非常に多い、これは宮崎、鹿児島が特に多いのだろうと思っております。地方の問題になりますがこれは特にひどいのです。何も学校だけの問題ではありません。住宅も伸そうなんです。それから湿潤の地帯でありますがために木造建物は腐りやすいので、近頃は少々金がかかっても鉄筋コンクリートにしなければという機運が盛んになっておりますわけであります。先ほどその点は御説明がなかったわけですが、どういうことになっておりますでしょうか。
  46. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) そのコンクリート配分の一応原則と申しますか、これは防火地帯あるいは災害の多発地帯あるいは校地校舎の割りにきわめて狭いというようなものを中心に従来考えておったのでございますが、その他特別の事由がある場合ということで、たとえば九州地方におきまする被害、白アリの害というようなものについても、できるだけの考慮は従来もいたしておったつもりでございます。今後ももちろんその点を含んで考慮して参りたいと思っております。
  47. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 先ほどからの御答弁を聞いておりまして感じましたことは、この四千五百点にするとどうの、五千点にするとどうのと、言われましたが、文部省としてはどこまでやらなければならぬというふうに考えておりますか、その判定はついていないのですか。
  48. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この耐力度調査は、実は文部省といたしましても日本建築学会等の応援を得ましてこしらえたものでございまして、かなり実は信用度が高いものというふうに考えているのでございます。で、この五千点以下にするか四千五百点以下にするかということにつきましては、一応文部省の技術の方の専門家の意見では、大体まあ五千点以下のものにするのが妥当じゃなかろうかという意見を出しているのでございますが、これはこの点は直ぐ国の財政ということにも響いて参りますので、大蔵当局とも今後まだ十分話し合いをしなければならぬと考えております。たださしあっての配分基準から申しますと、四千五百点にいたしましても、それ以下の危険度の非常に高いものが現在でも相当ございますので、さしあたっては四千五百にするか五千にするかということは、必ずしもこの配分上は問題にならぬわけでございますけれども、一応文部省としては五千点以下のものを危険校舎とみなしたいという考えであります。
  49. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 政務次官に伺いたいのだが、この予算折衝の根本になる国の財政の困難はわかりますが、せっかく法律まで出して危険校舎改築促進といっている以上は、そこに大蔵省がどう考えてどうのこいうようなことでなく、文部省として確たる、ここまではぜひやらなければならないのだというものをまず建てなければ私は問題にならないと思いますが、その点政務次官はどういうふうに考えておりますか、政務次官に伺います。
  50. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 法律が出ている、それで危険校舎について国が助成をするということが出ている。従ってその危険の度合いは客観的にきまるべきではないかという趣旨でお尋ねになっている、かように考えております。法立の建前はまさにその通りだと思います。しかし沿革的に見まして、この危険校舎改築に国が助成いたします場合に、最初は予算措置をもってやった、法律ができてもその危険度度合いの測定は政令に委任されている、政令を定めて今資料が整って今年初めてこの点数制で予算を分けようという段階でございます。今のところは客観的に危険というものがどこで線を引くかということが、ぴっちりしたものがきまってこなくても、今年の予算の助成は危険度の高いのが非常に多いから、それで十分そのものさしで間に合っていける、こういう意味で管理局長から御答弁申し上げておると考えます。私どもの方の全体の見通しとしては、大臣から経済再建六カ年計画とも結び合せてこうした教育財政上の問題を考えろと、こういうことを言われております。そういう大きな見通しのもとに立って、大体五千点というところでこの法律が政令にまかしております危険の度合いを測定して参ると、かように考えております。
  51. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 私が申し上げたいのは、お話を聞いていると、いかにもあなたまかせのようで、先ほども今年三十億だからこの調子でいけば五年で解消するのだというような調子であっては、大へんこういう法律が出ているのに、また今度は高等学校も追加しようというのに、あまりにそれでは政府として無定見過ぎるのじゃないか。つまり危険校舎と銘を打ってこれを早く解消しようというのならば、その基準を数学的に九千点なら五千点と、はっきり立てて、そうしてそれに基く坪数を計算し、これを何年で絶対解消していくのだと、こういう方針大蔵省と折衝して予算をとってこなければならぬと思うのです。ところが初年度は二十二万坪、次年度は十八万坪とれた、今年は二十億円だと、こういう調子では、いろいろ大蔵省なり、一兆円予算のもとで御困難は私わかりますが、それではあまりにあなたまかせ過ぎやしないのかということを承わっているわけなんです。
  52. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 管理局長から非常に内輪な答弁をいたしましたためにさような疑問をお持ちだと思いますが、この点につきましては、予算総会の席でも文部大臣から危険校舎小中学校分は五カ年くらいで解消して参りたいという文部大臣としての腹づもりを申し上げておりますので、御了承願いたいと思います。
  53. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 もう一つ伺いたいのですが、次に出てくる不正常授業の解消があり、一・〇八坪なり〇・九坪なり、この問題があるということで、これらは地方々々によって危険校舎が片寄っているところやらいろいろあるだろうと思うのですが、文部省としては一体どれを一番重点的に配分されようとするのか、この点を承わりたい。危険校舎というものをやはり一番最優先的に考えられるという方針であるか、それぞれ予算は別にとるのだから両方まんべんなく五カ年くらいの目標を立ててやってい〜、という御量見なのか、その点を承わりたい。
  54. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 先ほども申し上げます通り小中学校危険校舎、それから高等学校危険校舎の問題並びに今年始めます不正常授業の解消に関しまする国の助成、いずれも最初から総合的な経済六カ年計画の中にきっちりかみ合わさって出てきたものではございません。本年になりまして大臣から特にこれは消費面ではあるが経済計画の中に織り込まなければならぬということで、今その問題を具体的に進めつつあるわけでございます。沿革的に申しますと、御承知通り小中学校危険校合改築助成が一番先に予算措置が講ぜられ、法律にもなっております。高等学校危険校舎義務教育学校の不正常授業の解消に関する助成は本年度初めて出て参ったわけでございます。しかしどれに重点をおくかという話でございますが、沿革的に申しましても、先ほどから管理局長が申します通り義務教育学校危険校舎改築というのが一番初めに出て今日まで立法、予算措置でも国会の皆様方の御支持を得て推進してきております。高等学校分は今年初めて予算が出て、その予算の御審議をいただきます際、これは将来相当続く予算措置であるから、途中で消えてなくなったり、来年度予算折衝の際その年の予算の都合でこれが非常に削減されたりすることのないように、政府部内にはいろいろの意見はございましたが、本年初めて頭を出したものであるから、将来計画的にこれを進めるために立法化していただきたいということで、政府提案で法律の制定をお願いしておるわけであります。  また小中学校の不正常授業の解消に関する問題は、不正常授業解消に要する建築の坪数は比較的多くございませんが、非常に差し迫った問題でありますので、これは年限としてはきわめて短い年限にいたしたいということで、大よそ三カ年くらいで不正常授業の解消をいたしたいと、かように考えております。どれに重点をおいておるかということのお尋ねでございますが、沿革的な意味もありますし、これから将来の見通しとして軌道に乗せていきたいという考えもございますし、それから差し迫った問題として応急的に解消したいという問題もございますので、それぞれの事態に応じて予算を編成して参りたいと、かように考えております。
  55. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 私も当然まあ危険校舎を最も急を要するものと考えておられるということはもっともだと思うのです。私はあれもこれもということはわかるし、また状況が校舎の問題は特にいろいろな点からきわめて切迫した状態にあるので、あれもこれもというように考えられることはわかるが、私は二兎を追う者は一兎も得ずということになって、食いさしになってはいけないと思うので、初め申上げたように、確たる方針を持って、一つはっきりと何カ年で解消するという覚悟で予算折衝をされること、これを私は望みたいのです。そうでないと、全く予算のとれた範囲内でやっていくんだということになると、さっき竹下君も言われたように、危険校舎というものは年年ふえてくるのですから、そうなってくると、これは何年たっても危険校舎はなくならないということになるので、高等学校なんかはどう計算しても二十年以上三十年近くかかるということでは、これは法律に今度加えたとしても大へんなことになる。さようなことを心配するのです。  これは小林さんにもう一つ伺いたいのだが、先ほどコンクリートのお話が出ましたが、さっきの範疇に入ってこないような地方コンクリート建築にしたいという要望地方的にもきわめて熾烈だと思うのですが、しかし危険校舎ではあるけれどもコンクリートまではできないという場合に、地方でどうしてもコンクリートにするという場合の補助は、木造建築として建てる場合の三分の一ということ、これはできるわけですが、あとは地方の財源なり地方債でいくということも考えられることになりますか、その点を一つ伺いたい。
  56. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) できればコンクリートを、実際にお建てになる場合にはコンクリートの単価で予算をあげたいのでございますが、そのワクが限られておりますので、そのワクに入ってこないという場合には、一応木造改築費の方は認める、その認められた範囲丙においてその市町村におかれて自力で財源をお出し下すってお建てになる分にはこれは差しつかえないということでやっております。
  57. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 その場合に地方債がやはりそれだけ多くなるわけですが、その場合のたとえば斡旋とか世話とかいうことは、やはり文部省としてはそれは勝手にコンクリートにするのだからということで放っておかれるのか、あるいは地方債もそうなれば増発されなければならなくなると思うのですね。そこまで面倒をみられる御用意があるかどうか伺いたい。
  58. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 普通の場合には、木造ということで補助金が出ますと、それに伴う起債の方は補助事業分の方から一応木造という形で出るのが通例でございます。ただいまお尋ねのような場合はきわめて特殊の例でございますので、できるだけ文部省としても自治庁の方へかけ合ってみたいと思いますが、しかしなかなか実は今のようなお話は困難ではなかろうかと思っております。
  59. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど義務教育学校で百二十万坪、高等学校で三十万坪危険校舎があると、この危険校舎と見なすのは大体五千点以上だというのですが、これは、文部省実施調査して、その中で何%ぐらいあるのか、お伺いしたいと思います。
  60. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 府県によって多少違いますけれども、実はこの耐力度調査の結果につきまして、文部省が現在までに、実際に文部省の人間が参って府県と立ち合いの上でこの調査度の適否について検査したのは、一府県大体十五ないし十八校程度でございます。
  61. 山田節男

    ○山田節男君 それは何%ですか。たとえば坪数でもって、百五十坪に対して実地査定が何%ですか。
  62. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 現在はっきりした数字を持っておりませんので、あとで資料としてお出しし、お示ししたいと思います。
  63. 山田節男

    ○山田節男君 今小林局長の御答弁を聞いても、大体危険校舎と見なすべきもののほとんどこれは八〇%というものは机上査定での危険校舎と見なしておると見て差しつかえないのじゃないかと思います。そこで、いわゆる危険校舎に対しましては、今言ったように、国庫の補助金を出しておられるわけです。で、私は、先ほどもいろいろお話がありましたが、実地査定というものが非常にパーセントが少くて、その大部分は各県、県のまあ教育委員会ですか、どっかにまかせるということは、これは非常な、これこそ危険じゃないかと思うのですね、ですからこの点は、どうですか、今の文部省の、たとえばあなたの管理局長の方で実地査定をもう少し厳密にやるということは、現在の陣容ではできないのですか。
  64. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 文部省としましては、この予算の許す範囲内、また現在の陣容の許す範囲内で、まあできるだけやって参りたいと思っております。ちょっと申し上げておきたいのは、この危険校舎認定するかしないかというような問題になりますのは、この四千五百点ないし五千五百点の間のボーダー・ラインになるようなものが非常に問題になるのでありまして、たとえば三千点、二千点、あるいは七千点、八千点というようなところは、それほど実は問題になりませんので、そのボーダー・ラインに近いようなところをできるだけ重点をおいて戸数をふやして、実地調査をして参りたい、こういうことで考えております。
  65. 山田節男

    ○山田節男君 これですね、まあ決算の面から考えますと、たとえば二一六年度、七年度においても、文部省の会計検査院の批難事項の中に、やはり過大設計をしたり、危険度が少しもないのに、いわゆる便乗といいますか、便乗工事をやったり、これはいろいろな弊害が起きているわけです。現在文部省は指摘されているわけです。ですから危険度の査定はもとより、今年度も二十一億六千万の補助金を出す以上は、これは原則として実地査定をしなければいけない。ですから、そういう点から申しますと、私は今までのようなこの実地査定をもっと厳重にやってもらわなければいかんと思のですが、そうしますと、いよいよ補助金を払う、まあ、竣工認定とそれから支出負担の責任者は、こういう危険校舎の、まあ再建築といいますか、そういう場合、だれが支出負担行為者になるんですか、こういう点はどうなんですか。
  66. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 従来この危険校舎補助金のみならず、公立文教施設の整備ということにつきまして支出負担行為の責任者は文部省の管理局長ということになっております。
  67. 山田節男

    ○山田節男君 地方では県が委托を受けて工事をするのですか。
  68. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 大体この危険校舎と認められるものの坪数によりまして予算のワクを各府県配分するわけでございまして、そのワクの配分を受けました府県は、その管下の市町村の実情によりまして、そのワクの範囲内でどの学校改築をやるかということをきめて申請してやるのでございます。で、その県からの申請に対しまして、支出負担行為の担当官になるのが管理局長ということになっております。
  69. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど来各委員からも義務教育学校コンクリート建築にすべしという意見が強いのですが、私ももっともだと思います。それでそれについては先ほどこの都会の、それから立地条件によってコンクリートにするということも考えると言われるのですが、その上になおかつ地方地域というものを考えてみなければならない、たとえば寒冷積雪地帯、これは木造学校を作るということは時代錯誤であって、世界どこへ行ってみても、ソ連は別ですけれども、北欧地帯は別として、およそこの学校木造建築ということは例外の例外です。こういう国家の永久の施設を、しかもこの木材資源の少い日本において木造学校を立てるということは、これはナンセンスであるのみならず、私の郷里の問題、たとえば中学を作った場合、村の共有林をほとんど切ってなお足らない、さらによそから買って建てたというような例があったのです。これは国家の資源から言ってもむだなことです。今のような全体から言えば二〇%程度のものをコンクリートにするということは逆なことである。それにやはり危険校舎の財源ということについては、文部省はただ文部省としてでなく、国家の資源という見地から考えなければいけないと思います。ですからこれはむしろ逆にすべきものであると思います。国家百年の大計から言えば八〇%がコンクリートにして、二〇%はやむを得ない事情によってはやるというぐらいな計画は望ましいのじゃないかと思います。先ほどもどなたかからの御質問で、木造建築にするだけの補助金を与えるが、コンクリートにする場合はその差額は村でこれは負担するんだ、それについて市町村が起債をする場合については、これは何ら文部省として特にこれに対して援助をすることはできない、こういうようなことをおっしゃったように私は解するのですが、こういう政策は、やはり危険校舎というものを解決するということは、国家経済から言えば私はこれが一そう経済的じゃないか、いまだかつてそういうようなことをお考えになったことはないんでしょう。
  70. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 文部省といたしましてもこの木材利用の合理化と申しますか、木材の使用をできるだけ節約をするということから申しましても、この学校校舎につきましては、できるだけ鉄筋コンクリート構造にするということで、実は予算案の作成などもいたすのでございますが、なかなか財政上のワクのことなどありまして、ことに危険校舎になりますと、この鉄筋コンクリートの方が単価が高いために、コンクリート造ということで参りますと、改築の坪数が非常に減ってくるというようなこともありますので、なかなか財政当局の認めるところに実はなっておらないのでございまするが、お話の通りに、やはり国家百年の大計ということから考えますと、やはり学校校舎はできるだけコンクリート造にすべきであるというふうに私どもも考えております。明年度以降の予算の獲得につきましては、できるだけこのコンクリート造の比率を高めたいというふうに考えます。  なお第二段のお尋ねでございますが、この起債のワクの制限で木材使用、木造予算単価をもらった場合に、コンクリートにする場合の起債はどうかというお尋ねでございますが、まあ私どもといたしましては、やはりこのコンクリート造ということで将来永久のことを考えます場合ももちろん必要でございますが、とにかく差し当って危険だというのでおいでになる向きも相当ございますので、まあコンクリートの御希望のように、ワクが非常に多ければこれは問題ないのでございますけれども、ワクの制限等もありまして、本年度なら本年度においては木材の単価しか上げられないという場合にも、どうしても自分の町村としてはコンクリートにしたいという場合には、特別に自治庁等にも文部省からお話をいたして応援はしたいというふうに考えております。
  71. 山田節男

    ○山田節男君 最後にこの二十八年度は北九州それから近畿、東北、北海道、これは異常な風水害があったわけです。この風水害によって危険校舎も相当ふえた。それでたしかあれは特別立法をしましたために文部省関係ももちろんあの特別法の適用を受けて政令も私は危険校合に関しての政令が一部入っておるのじゃないかと思います。この百五十万坪の中で二十七年度、八年度この大風水害によってそれを直接の原因として危険校舎として認められるものが大体どのくらいございますか。百五十万坪の中で。
  72. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) お尋ねのように、九州のような災害がよその地方に比べて比較的に多い、ことに風水害が多いという地帯では、危険度の進行というものはよその地帯に比べてやはり早いのではないかと思います。ただこの危険校合の場合とは異りまして、災害復旧の場合には別に実は予算のワクをこしらえておりまして、公立文教施設の災害復旧ということで、それぞれの災害に伴って年々予算要求し、またそれに伴う事業を実施しているわけでございます。従ってこの災害を受けたものについては文教施設の災害復旧費の方で参りますので、危険校舎の方にそれだけ危険度の進行というものが直接このたとえば何々台風、何々風水害ということでこの危険校舎が九州地方にこれだけふえるというような数字は現在実は持っておらないのであります。
  73. 堀末治

    ○堀末治君 先ほど来お話のあった百六十五万坪あるいは百二十万坪などという数字は全体の学校の坪数の何パーセントぐらいに当るのですか。
  74. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 一応全体の数字との比較でございますが、百六十五万坪でいきますと、大体八%程度、それから百二十万坪で参りますと、大体六%程度という数字でございます。
  75. 堀末治

    ○堀末治君 そうして今年二十億をこれに向ける、そうしますというと大よそ何坪ぐらいこれで改築できるわけですか。
  76. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 本年度の二十一億の予算で参りますと、大体二十万坪程度改築ができるということになっております。
  77. 堀末治

    ○堀末治君 そうしますと、二十八年度は二十二万坪、二十九年度十八万坪、これは予算は何ぼずつつけられておりましたか。
  78. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 国の補助金の額でございますが、二十八年度に二十二億でございます。それから二十九年度に十九億、それから三十年度、本年度は二十一億、大体三カ年の経過はこういうことでございます。
  79. 堀末治

    ○堀末治君 それから先ほど来いろいろ補助率の問題についてお話があったのですが、今山田さんからお話があったのですが、北海道のような寒いところ、これは木造でやっておるのですが、御承知通り、火事の危険が非常に多いのです。寒いものですから、ストーブをつける、それから火事があるので、私の旭川市のごときもずいぶん学校を焼いて、そのために政府に頼んで起債をもらうのですが、なかなかもらいにくいのです。それですから、できれば鉄筋コンクリートでやっていただきたいけれども、今日お話の通りなかなかその補助率が少い。あとの金は自力でやれ、自力は気持よく起債に応じてくれるかというと、なかなか応じてくれない、こういうことですから、私は全国一律にこういう補助率を考えないで、ああいうような寒冷地のところはとにかく暖房をぜひとも必要とするところですから、木造では一つには燃料がよけい要る、二つには非常に危険が多いのですから、そういうところには補助率を特に増して、要するに鉄筋コンクリートで建てさすというようなこともお考えになる方が、非常に国家の資源からいってもなにからいっても、非常に私は得だと思う。そういう点について何かお考えございませんか。もし何なら寺本政務次官でもけっこうです。
  80. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほど来由しましたように、鉄筋コンクリート配分につきましては、災害の比較的多いというようなところも一つのワクの配分の際の考慮の条件にいたしております。まあそういった画でワクを配分する際に、各府県にワクを配分する際に、ある程度考慮することはできると思いますが、全国一律になっております補助率をそのために積寒地帯に特に高めるということは、現在の法律上から申しましても実は困難ではなかろうかと思っております。
  81. 堀末治

    ○堀末治君 それは困難というけれども、あらゆるものに条件がついておる。承知通り、寒冷地の給与でも石炭手当というものが出ておることはあなた方御承知通りであります。これはりっぱに予算に載っておるのですから、そういうことに対する建物のことだから、私は何にも法律上面倒だということはないと思いますが、これは政務次官いかかですか。
  82. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この危険校舎改築促進臨時措置法の第三条に、経費の二分の一以内と実ははっきりうたっておりまして、それについての特例というようなものはこの法律上は実は出て参りませんので、まあこの補助率の点はこの法律の規定しておる通りに、全国一律でやるということにし、しかし積寒地帯では暖房あるいは燃料等の関係から火災が起きやすいというようなことも考えまして、その各府県に鉄筋造の予算のワクを配分します際に、できるだけ考慮するというふうに努力したいと思います。
  83. 堀末治

    ○堀末治君 もう一ぺん逆戻りしますが、二十二億、十九億というような金が配分されますが、これはどういうふうにして配分しますか。各県からの申込に応じて査定して配分するか、あるいは大体あなた方の調査で、百六十五万坪なら百六十五万坪のあり方によってそれをずっと按分して各県に分けていますか。
  84. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように、文部省では年々五月一日現在で公立学校施設の実態調査というものを各府県洩れなく実は実施いたしておるのであります。この実態調査の結果を基礎にいたしまして、府県からのいろいろな申請とかいうものを合せまして、その予算のワクを配分するということにいたしておりますので、従って各府県から申請だけを基礎にしてやるのではございません。実態調査並びにこの実態調査に基く文部省にあります各校舎の台帳というようなものをにらみ合せて予算のワクの配分をすることにいたしております。
  85. 堀末治

    ○堀末治君 先ほど吉田さんから予算分取りのことについて熱意云々ということが出ましたが、それに対して各県の協力なり運動その他によって配分の手心をするようなことはございませんか。
  86. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 実は私、先ほど吉田先生お尋ねにお答え申し上げようと思ったのでございますが、熱意あるいは要望という言葉を実は使ったのでありますが、そう深い深刻な意味で申し上げたのではないのでございまして、熱意という言葉が誤解を生ずるならば、各府県要求なりあるいは要望という言葉でもけっこうだと思います。いずれにいたしましても客観的な危険度状態と、それからやはり各府県の教育に対する熱意というようなものも多少ございまして、まああるいは財政上の条件もございまして、自分のところはやりたいのだけれどもやれないというような事柄も多少関連するかと思いますが、改築に対してそれほど熱心でないというところも実はあると思います。そういうところから熱意あるいは要望という言葉を使いましたので、もし熱意という言葉が誤解を生ずるようなことであれば、要求あるいは要望というふうにいたしたいと思います。
  87. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 先ほど吉田さんの御質問のとき熱意という言葉が出まして、おそらく大臣がこの席においでになればあの際何か御発言があったのじゃないかと私も思っておったわけでございますが、今堀さんから重ねて問題が提起されましたので申し上げさせていただきたいと思います。補助金予算配分につきましてはいろいろ各府県から非常に強い要望もございます。しかし全体として非常に陳情運動を助長するような予算配分は慎みたいということで、事務当局にさようなことにならぬようにということで要望を私どもいたしております。本年度予算配分いたします際に、第一次に予算額の何割かを配分いたしまして、今最終的に予算配分計画を作っておりますが、その際やはり予算を第一回から全部府県要望に応じて一方的に差し上げたほうがいいか、それとも一応の予算は内示して、さらに府県実施計画というものとにらみ合せて残りの手持ち予算配分したほうがいいか、そこらはその補助金配分方法で非常に陳情を促進するというようなことになりはせんかということでかれこれ考えたわけでございますが、本年度まではまだ従前通り予算配分方法をいたしております。非常に陳情が激しく行われて、そのために陳情行政とかいうような非難もあっちこっちあるときでありますので、陳情の多寡によってこの助成金の配分をきめるようなことのないように留意をして参りたいと思っております。
  88. 堀末治

    ○堀末治君 局長お尋ねしますが、先ほどいわゆる鉄筋コンクリートについていろいろな条件を何か三つほどあげておりましたが、その条件の中に鉄筋コンクリートを進めます上において積雪寒冷地というような条件をお加えになるわけに参りませんか。
  89. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私ども鉄筋コンクリートのワクの配分につきましては、先ほど申しましたようなことがはっきり地方に示されておる条件というようなことにまでは実は考えておらないのでありますが、私ども補助のワクの配分の際にこういうことは十分考えなければいかぬということは出しておるのでございまして、その第一は一応防火地域あるいは準防火地域、それから第二番目に災害の非常に多い地域、それから第三番目にたとえば校舎に比べれば校地が非常に狭い、拡張の余地がないというもの、その他の事由でコンクリート配分がどうしても必要だというふうにいたしまして、先ほど竹下先生にお答えいたしましたように被害その他の点あるいは吉田先生基地附近学校についても考えておりますので、そういう意味においても先ほどお話の点も十分考えまして、このワクの配分の際には十分考えたいと思います。
  90. 堀末治

    ○堀末治君 なるべくならば、特にこの北海道は寒いところでよくわかるのです。ことにお粗末な物を建てておったのじゃ耐用年数が非常に短い、それですからどうしても鉄筋コンコリートを建てるほうが非常に得ですよ、全体的に考えて。そんなことで北海道でもこの頃盛んに鉄筋は建てられているのですが、先ほど言うように補助がない、そんなことで財政力の弱いような市町村は建てられないで困っているのですから、どうかそれらの条件一つ十分に御考慮の中に入れまして、法律改正はできないなどというように固く考えないで、適当なときに改正しようというお考えで進んでいただくことを切にお願い申し上げておきます。
  91. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まず本法律案が政府から提案されて参りました努力には、まずもって敬意を表します。  そこで教育施設並びに設備の問題というものは、幾多あるわが国の教育の問題の中で、もっとも重要な問題の一つと考えております。あるいは教育の振興の角度からあるいは地方財政との関係、さらに父兄の負担という関係において、さらにわが国の外国軍隊の基地があるという特殊事情との関連においてあらゆる角度から非常に重大な問題と考えている次第でございますが、今まで審議の都合上今国会においては、これらの施設設備の問題については本委員会ではあまり論ずる機会はございませんでした。ようやく本法案が出て参ったわけですが、本日は時間も過ぎておりますから多く伺いませんが、簡単に資料の要求と若干伺っておきたいと思います。  まず資料の要求でございますが、先刻来他の委員からいろいろと質問がなされ、それに対して答弁がなされているようでございまして、これらを一覧表にするならばある程度の資料ができるかと思いますが、私はあらためて要求いたします。それは現在の公立学校施設関係資料という当面の明確なる資料が出されております。また計画的な施設充実に対するところの予定案なるものがかつて委員会から要求し出されたことがございます。それらの資料の提出の努力に対しては多とするものでございますが、あらためて本日ここで要求いたしますが、それは不正常授業、危険校舎の復旧、災害校舎の復旧、戦災校舎の復旧、これらの問題とまた一方大学から小学校に至る学校種別、そういう角度から次の資料をこしらえて下さい。それは現在の文部省の計画からいうならば、施設の種類別、学校種別から大体何年程度に一応の計画が完了するという目途であるということがわれわれにわかるような資料、それから今の文部省考え方でありますが、現在の政府、特に大蔵といっても事務当局になりますが、これらの施設に対するところの予算編成の態度等から推察して、具体的には三十年度予算が出ておりますが、すでに三十一年度予算の編成期に、作業を始める時期に入っておりますが、そういう何から今のような予算の編成状況では、その施設の種類別から、また学校種別から考えた場合に大体いつごろ一応の計画、目途が完了するものと推察されるかというその二つの角度からわれわれ委員がその概要をつかめるところの資料を早急に出していただきたいということを要求しておきます。  次に一、二点伺いますが、文部大臣おいでになっておりませんから、政務次官に伺いますが、各地方にしましても、直轄官庁り建物というものは、まあ必要があるのでしょうが、ずいぶんとりっぱな庁舎が続々と建っております。それはあるいは警察庁関係あるいは法務省関係あるいは郵政、電通、それらの省の関係建物等県庁の所在地のみならず地方事務所の所在地にある出先機関程度まで、それは若干地方公共団体で無理な寄付を要望しておる向きもあるようですが、ともかくもりっぱな施設が続々と建っております。ところが国立大学もさることながら義務制学校は父兄の負担が大きいにもかかわらず遅々たる状況である。先般私は皆さんと一緒に東京大学を視察いたしましたが、りっぱな施設があります半面明治時代の施設そのままであるものがあるかと思うと、震災復旧というものがまだできていないものがあったのですが、これは政務次官、これらの直轄官庁の庁舎が続々建つが、教育関係の施設というものは遅々としているこの現実の姿をいかようにお考えになるかということを伺いたい。これは昭和三十一年度予算要求のあなた方の腹がまえとも関連する問題であって、国務大臣ならば内閣の国務大臣としての何らかの見解があるべきだと思うのですが、政務次官の御所見を承わりたい。
  92. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 官庁営繕と教育施設との復旧状況を比較してどういう所見を持つかと、こういうことでございます。私は個人的には役所にはおった関係がありまして、労働省の出先官庁などもずいぶん今なおみじめなところがあると思います。府県庁所在地にあります政府の出先機関はある程度整備されてきていると考えます。学校校舎の問題はそれと比較して復旧状況がどうなるかということについてはこれは問題があろうと思いますが、先ほどから申します通り小学校では全校舎の八%程度の老朽校舎があったのが今日では六%程度に減っている。それも今後五カ年計画で解消するという大よそのめどがついて本年度予算を組んであるような状況でございます。高等学校校舎の問題は今年初めて頭を出した問題でありまして、まだこの問題については義務教育学校のような改築を要するものの正確な統計もできていないというような状況でありまして、しかしながら本年予算が入った機会にこれをまあ矢嶋さんもお認めいただきました通りこれを恒久的な立法にして大蔵省予算査定のさじかげんによって明年度以降これが縮小されたり、消えてなくなるようなことのないように法律の足がかりを作っておこうということで今日計画を進めて参っておるわけであります。また差し迫っておるこの一部授業、三部授業の解消のためにも、これを三カ年間で解消するという計画のもとに本法律案を出して御審議を願ったわけでありまして、義務教育施設並びに高等学校の施設についての復旧は、おくればせながら私どもは緒についたものと、かように考えます。明年度予算の編成に当っては、本年おそらくこの国会を通していただけたものと思いますが、御審議をいただきましたこれらの法律を足場にして教育施設の復旧の促進に必要な予算確保したいと、かように考えております。
  93. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次の質問は政務次官の答弁はいりません。次の機会に政務次官からお伝えいただいて文部大臣からお答えを願いたいと思います。これは私は官庁営繕は省によって非常にアンバランスがあるということを私は感じている。あなたは、かつて労働省の事務次官であったが、労働省の出先機関云々というあなたの言葉の通りだと私は認めます。非常に日本国の出先機関であって省によってアンバランスがあるということを自分は見ております。さらに自衛隊も私は数カ所見ましたけれども、少くとも今の憲法は文化憲法ですからね。自衛隊の最近の施設というものはとてもそれは七十二ある国立大学の施設の比ではないすばらしい施設を持っている、しかもそれがきわめて短期間にできる。数が多いにしても国権の最高機関で法律をもって設けた国立大学の施設というものが何年たっても戦災復旧すら完了しないと、こういう事態は私はずいぶん根本においては大きいことを言うようだけれども、果して今の立法府においてもあるいは行政府においても忠実にその憲法に則して仕事をやっているものと認められるかという点について静かに振り返るときに私は疑問なきを得ないわけです。従って国務大臣としての松村さんに次の機会にこの点についての答弁をしていただきたいと思いますので、政務次官からお伝えおきを願いたいと思います。  次に伺いたい点は、現在地方財政が非常に窮迫しておりますが、最近急速に現われてきた傾向は高等学校の増築、改築、それらを抑制しようというのが最近開かれた各都道府県の議会の予算審議に明確に現われてきたのです。これは私は高等学校教育の振興のためにゆゆしい事態だと思っている。確かに私ども皆さんと同様に現在の地方財政が非常に窮迫している重大な段階にあるということを認めます。しかし、これは高等学校のすでに計画しておった建築を中止するとか、そういう形で予算審議の場合に、はっきりと現われてきつつあります。これをいかようにお考えになり、いかに善処されようとするのかということが一つと、それからこれは直接この法案関係ありませんが、先ほどの質問と関連があるのでありますが、それは市町村が非常に合併した、その合併のときの条件というものに学校建築、特に中学校建築というものがよくあるのです。そういう機関を通じて合併市町村の融和をはかろうというのがそれぞれ市長あるいは議会の一つの政策であるようです。これは私はまたけっこうだと思っている。ところが国権の最高機関の意思によって市町村の合併を推進させた、ところがその合併町村の学校建築については与えられた予算のワク内において管理局の方で相当の配慮をもって行政に携っておられるようです。その努力を多としますけれども予算措置その他についてきわめて不十分で、特に地方公共団体をかばっていかなければならない地方自治庁におけるところのこれらに対する起債に対する態度というものは冷淡きわまると思う。これらの問題については政務次官として私は見解も持ち、また努力される余地も多分にあるのではないかと思うのでありますが、この地方財政高等学校建築問題さらに市町村合併と学校建築に対するところの助成、こういう角度から政務次官の御所見を承わりたい。
  94. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 地方財政が非常に窮迫した府県において、高等学校建築に関する予算を削減しつつある、それをどう思うかという問題でございますが、根本的にはやはり地方財政の再建促進をするよりほかに方法がない問題じゃないかと、かように考えます。もちろん地元の都道府県教育委員会としては、教育予算確保について全力をあげておられることであると思いますし、教育委員会と知事との関係では、予算の原案送付権その他を活用して、そういう予算確保に努めておられると思いますが、それにもかかわらずさような事態が起りつつあるということは、やはり地方財政全体が非常に今日窮迫しておって、小中学校であれば義務教育関係で国からいろいろの助成もあり、負担金もいく関係で、そういう予算には比較的府県で手がつけにくく、勢い高等学校のほうに手がついてくるという実情であろうと考えます。  新設の問題は、県財政全体の問題とからみ合わなければ解決困難な問題ではないかと思いますが、新設の問題と離れて改築問題その他になれば、今度のこういう予算で呼び水にもなることでありますので、そういう事態の改善に、この法律通り、明年度予算がさらに確保されればお役に立つことと考えております。  また町村合併の問題については、御承知通り町村合併をするからということで、特別の補助金義務教育学校建築について規定されているわけのものではございません。町村合併以前に、すでに六三制の問題として中学校舎の建築の終っておるところもございましょうし、また老朽校舎危険校舎として改築が進められておるところもあると考えます。ただ町村合併がこれから行われます場合ないしは町村合併の条件として、そういう老朽校舎改築その他が計画せられておりまする場合には、既存の私どものあずかっております法律の運営でそういう事態に対処し得る場合も多かろう、あり得ると考えます。ただ町村合併促進法には、御承知のようにこういう事態のため特別の配慮が行われておらんわであけでありますが、大きな政策でもありますし、私どもがおあずかりしている法律を運営していきます場合には、その辺の事情は考慮の上に予算の執行に当っていきたいと考えております。
  95. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この点要望しておきますが、政府部内において地方財政計画等を立てる場合においても、その数字を積み上げるときに、やはり町村合併に対してはめんどうを見てやるというような気持で、政府部内のそういう計画を立てるときに意を配ってもらいたい、こういうことを要望しておきます。  それからさらにあなたに一つ伺っておきますが、いずれ地方財政再建促進特別措置法、これが国会で通るか通らんかはともかくとして、かりに通った場合に、将来は再建計画というものについて文部省も協議にあずかるであろうが、自治庁の影響力というものは相当大きくなってくるわけでありますが、そういう際、私はこういう建築が抑制されていくというような傾向については、できるだけそういう事態が起らないように、文部当局としては適度に積極的に意見を開陳していくべく努力されるものだと思いますが、そういう御用意はございますか。
  96. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 再建整備計画か自治庁長官の手元に参りました場合、その計画の認可に当って文部大臣が事前に協議を受ける、その協議内容については、どういう場合に協議を受け、どういうふうに進めるかということについては、文部省と自治庁でまだ交渉中でございます。御趣旨のような方針で、私どもとしてはあらゆる再建計画について、事教育に関するものが再建計画の対象になっている以上は、協議を受けるように自治庁と折衝するつもりであります。
  97. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後にもう一点伺います。それは予算関係でございますが、昭和三十年度の約二十億六千万円の内訳は、高等学校の老朽校舎は一億とかつて承わっておりましたが、本日質疑を行われたかとも存じますが、私はおそく参りましたので、そうでないかどうかということをあらためて伺うことと、衆議院において、自民によってこの予算案が修正されたわけですが、そうして危険校舎関係一億が追加されました。その一億の内訳の中に、本法案関係あるところの高等学校の老朽校舎分というものは幾らとされておられるのか、簡単でよろしゅうございますからお答え願いたい。
  98. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 三十年度の政府の当初予算案は、危険校舎全体として二十億六千八百万円でございまして、そのうち義務制分が十九億八千四百万円、それから高等学校分が八千四百万、こういう数字であったわけでございますが、その後御承知のような国会の修正がございまして、この全体のワクに一億の追加があったわけでございます。その内訳は義務制の分が三千四百九十万、それから高等学校分が六千五百万、で、結局当初の案に合わせますと、義務制の分が二十億一千八百万、それから高等学校の方が一億五千万、合わせて二十一億六千八百万、これは義務制高等学校を合わせた数字でございますが、二十一億六千八百万、こういうことに現在なっております。
  99. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はここにかつてもらった資料に、あなたの答弁を書いてあるのですが、それには二十億六千八百万円の中で高等学校は一億円と、予算案が出た後に説明されたのを私ここに書いてあるのですが、八千四百万円とは、どういうわけであのときに一億と御説明なさっておるのですか。
  100. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この危険校舎の内訳分、危険校舎の全体のワクの三十億六千八百万を義務制高等学校に、どういうふうに分けるかということにつきましては、文部省内にもいろいろ議論がございまして、確かに高等学校一億というような線のときも実はあったかと思いますが、最終的にこの政府予算として決定しましたのは、ただいま申し上げましたように義務制の方が十九億八千四百万、高等学校分が八千四百方、こういうことになっております。
  101. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はそれをどうこう動かそうというのじゃないのだけれども、この国会が始まって予算案が出た際にここでお伺いしたときに、一億と説明されたように、私はここにちゃんと記録してあるのですが、その前なら了承できるけれども予算案が出て審議段階に入って、ここで説明を受けたときに一億とあって、あとで変ったとあっては、ちょっと問題になる、私も速記を調べますが、あなたの方も速記を調べていただきたいと思います。そこで結論としては、本年度高等学校の老朽校舎の事業量というものは、予算面からいえば約五億、こういうように了承すればいいわけですね。
  102. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように大体補助率は三分の一ということになっておりますので、事業の実施量としてはただいまお話のあったような程度で……。
  103. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間が大変ずれたようでございますから、他に質問もございますが、私は本日はこの程度質問を打ち切ります。
  104. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件に関する質疑は本日はこの程度とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないものと認めます。  速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  106. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて。  午後においては二時から本委員会を再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      —————・—————    午後三時三十五分開会
  107. 笹森順造

    委員長笹森順造君) これより委員会を再開いたします。  女子教育職員産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施確保に関する法律案女子教育職員産前産後の休暇中における公立学校義務教育の正常な実施確保に関する法律案、以上二件を議題といたします。  今朝開会の本委員会の劈頭において御報告申し上げましたように、昨日の委員長理事打合会においては、右産休二法安衆につき各委員間においてできるだけ歩み寄りをはからんと努力した結果、第四条を除いて一致点を見出した点はこれをまとめ、第四条の相違点についてはそのままあげて、第一案と第二案とを法制局において用意するように取り計らいましたが、その案文ができましたのでこれをお手元にお届けいたします。  この二案について法制局よりの説明を求める前に一点だけ正確を期したいことがありますのでお諮りいたします。すなわち第一案、第二案共通の第二条の学校の範囲に、養護学校を加えるかどうかの点であります。この点は明確を欠いておりましたので、この際お諮りいたします。
  108. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この養護学校を入れる問題については、私はおそらくどなたも異議がないと思うのです。ですからお諮りを願って決定をしていただきたい、かように考えます。
  109. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 養護学校を入れることについて御意見がございましたら、可否について御発言を願います。  ただいま荒木委員から養護学校を加えることについて御提案がございましたが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。  それでは法制局において用意いたしました第二条の中の「学校」の中に「養護学校」を加えるように取り計らっていただきたいと思います。  これより二案について法制局の説明を求めたいと思いますが御異議ございませんか。
  111. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は第四条の問題について、昨日の懇談会においては意見一致を見なかったわけです。しかし今朝来各委員の御努力によりまして、第四条の問題について意見一致を見る段階に至っておると思うのです。そういう意味において、私はこの際木村委員の御発言を願うことが適当ではないかというふうに考えておるわけです。
  112. 木村守江

    木村守江君 かねてこの問題につきまして提出をしておりました私以下数名の提案にかかる法律案の第四条の問題ですが、この四条の問題点になりました学校教育の正常な実施をはかるためにというように修正をすることを認めまするので、かねて私共が提案いたしました法律案は、この際撤回いたしたいと思います。
  113. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 なお両派社会党から提案されている法案についても一、私はこの際高田委員から御発言を願うのが適当ではないかと思うのです。
  114. 高田なほ子

    高田なほ子君 かねてから本問題については参議院文教委員あげて超党派的に格段なる御努力を賜わりまして、私どもといたしましては、まことに感激に余りあるものがございます。特に第四条の問題に対しましては、過般来数数の御討議の結果、よりよい方向に超党一致いたしまして解決の方向をたどっておられましたこと、また今日そうした結果をここに前提として御審議いただくことについて、まことに感謝にたえないわけであります。発議者の一名といたしまして皆様方に心からなる御協力の点を感謝いたしますとともに、私どもの出しました社会党案がここに一応形を変えてはおりますものの、その趣旨が丁重に取り扱っていただける、こういうようなことで私は特に木村議員初め自由党並びに皆様方の御努力に丁重なごあいさつを述べて発議者としてのごあいさつを終りたいと思います。こうした意味合いにおきまして、私ども発議いたしました社会党案なるものをこの際撤回いたします。
  115. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行について。先刻来木村並びに高田両委員の発案によって本委員会に先般来かかっておりました両法律案をそれぞれ撤回することの意思表明がございました。なお先日来各会派でいろいろ討議をした結果、最大公約数が得られて新らたにそれらを内容とするところの法律案を提出する用意のある意思表明が木村委員からございました。従って本委員会は今後運営に当って次の段取りをとられることを提案いたします。すなわち先ほどそれぞれの方から意思表明がありましたようにすみやかに現在提出された法律案の撤回の事務を進められると同時に、新たに法律案の提案の手続きを進められ、議長から本日直ちに本委員会へ付託していただいて、本日引続きやがて提出されるであろう新法律案についての審議を継続されるよう、従ってその事務手続きに要する暫時の間本委員会を休憩されるよう提案をいたします。
  116. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいま矢嶋君から御提案がありましたが、特に木村君の名が明示されておりますので、木村君の、この矢嶋君の発言に対する意思の表示を求めます。
  117. 木村守江

    木村守江君 先ほど申し上げましたように、かねて私が女子教育職員産前産後の休暇に関する法律案を提出しておきましたが、それにつきまして本委員会においては委員諸君が慎重審議されまして、発案者である私どもの気付かない点に気付かれましていろいろ御高見を賜わりまして、その御高見を取り入れまして新たに女子教育職員産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施確保に関する法律案を提出いたしたいと存じまして、ただいまやっておるところであります。
  118. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいま矢嶋君の御発言、木村君の御発言がございましたが、これについてどなたか御発言のある方はお述べを願います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それではただいま産休法案提出者である木村、高田両委員よりそれぞれ撤回の申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議なければさよう決定いたします。次に矢嶋君より議事進行の発言がありましたが、そのようにとりはこんで御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  122. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後三時四十九分休憩      —————・—————    午後五時四十八分開会
  123. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまより文教委員会を再会いたします。  これより女子教育職員産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施確保に関する法律案議題といたします。  まず発議者より提案理、由の説明を求めます。
  124. 木村守江

    木村守江君 ただいま議題となりました女子教育職員産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施確保に関する法律案につきまして、その提案理由並びに内容の主なる点を御説明申し上げたいと存じます。  今日国立、公立の高高等学校以下の教育を担当しておりまする教育職員は約六十三万人を数えますが、そのうち女教師の数は実に二十一万六千人であり、これらのうち、年々出産する人々は相当数に上るわけであります。  これら女教師の産前産後の休暇については、現在労働基準法第六十五条において、十二週間の休暇を取り得ることになっております。これは、母体、胎児の健康並びに嬰児の発育上、重要な規定でありまして、婦人の保護に関する条約である母性保護条約においても認めているところであります。  しかるに、これら女教師の休暇の実態は、十二週に満たない者が相当数に上っており、六乃至七週の休暇は珍らしくない有様であります。これに比して、昭和二十八年度の一般事業場における婦人労働者の産前産後の休暇状況を労働省発表の資料についてみますと、産前休暇日数は平均三一・六日、産後休暇日数は平均四三・八日で合計いたしますと七六・二日、約十一週となっております。従って、これに関する労働基準法違反件数もきわめて少く、昭和二十九年度においては十九件であり、昭和二十四年度の八十五件を頂点として、逐次減少している状況であります。  思うに、これら両者の休暇日数の甚だしい差異は、教育職員の職場の特殊性に基づくものと考えられます。  即ち、第一に、女教師が休暇を取る場合に、他の事業場と異って適当なかわりをする職員が直ちに得難いこと、第二に、教育という仕事は一日も放置できない特殊性を持つものである関係上、当該教師は、合併授業、自習等の措置をできるだけ避けるように努めること、第三に、地方公務員である教育職員の場合、労働基準監督官の職務は、人事委員会若くは地方公共団体の長が行うことになっていること、第四に、地方財政の一般的窮乏が、女教師の休暇のための補助教師を充分に採用する余裕がないこと等に基づくものと推察されます。然し、かような事態をこのままに放置しておくことは、女教師の母体、胎児を保護する立場からまことに遺憾であり、さらには教育の正常な実施の遂行が甚だあやぶまれるのであります。  この点に関し、国及び地方公共団体に対して、高等学校以下の学校教育の正常な実施についての必要な財政的措置を講ずるよう努めさせることもに、女教師の産前産後の休暇をとる場合において、その休暇中、当該学校教育職員の職務を行わせるため教育職員の臨時的任用に関し、規定を設ける等、教育の正常な実施の推進を期して、ここに本法案を提出いたした次第であります。  次に本法案の内容のおもなる点について御説明申し上げます。  まず第一点は、この法律における「学校」とは、小学校中学校高等学校・盲学校・聾学校及び養護学校であること、「教育職員」とは、校長・教諭・養護教諭・助教諭・養護助教諭・常勤の講師及び寮母ということと明らかに定義いたしました。  第二点としては、国及び地方公共団体の任務といたしまして、国立又は公立の学校に勤務する女子教育職員産前産後の休暇をとる場合において、当該学校における学校教育の正常な実施確保するため、必要な財政的措置を講ずるよう努めねばならぬという規定を掲げました。  第三点の規定は、国立又は公立の学校において女子教育職員産前産後の休暇をとる場合、任命権者はその休暇中において、学校教育の正常な実施が困難となると認める期間を任用の期間として、臨時的に教職員を任用しなければならないことにいたしております。  なお、都道府県が給与負担をいたしまする市町村立の学校におきましての、臨時的任用についての期間の認定は市町村教育委員会の申し出により、市町村教育委員会と都道府県教育委員会とが協議して行うということといたしております。  筋四点といたしましては、臨時任用をされた教育職員は、市町村立学校職員給与負担法第三条に規定する都道府県定数条例による定員の枠外にすることを明らかにいたしました。これは認定があった場合、必ず任用するという建前から一応定数のワクをはずしたのでございます。なお関係法令につきまして所一要の改正を加え、施行期日昭和三十一年四月一日といたし、所要経費は来年度予算にに計上されるのを待つて施行することといたしておるのであります。  以上申し上げた通りでありまして、何とぞ委員の皆様方には慎重御審議の上、すみやかに御可決あられますようお願い申し上げる次第であります。
  125. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この案件については参議院の各党の委員各位は長きにわたって関心をもたれて参ったことでございまするし、さらに現段階では撤回されておりますが、以前に出されました自由党案並びに社会党両派案を中心にいろいろと立法精神について、あるいは予算措置の問題について、相当、速記にはつきませんでしたけれども懇談の形で議論を尽すべき点は尽されているやに私は考えます。  そこで、ここに新に自由党木村委員ほか数名の自由党文教委員各位によって新たなる提案がなされたわけでありますが、ここで委員長において、委員会に諮っていただきたいことは、格別に質疑がなければ質疑を省略するなり、あるいはやるにしてもごく簡潔にして委員会を取り運んでいただきたい、かように私は考える次第で、委員長からお諮り願いたい。と申すことは、私が申し上げるまでもなく、会期というものが迫っておりまするし、特に本案件は、参議院の議員提案にかかっておりまするので、この法案の成立を期するためには、第一院の衆議院に、できるだけ審議期間を十分お与えするということが第一院の議院各位に対する礼儀でもあろうかと考えまするので、一日も早く衆議院に送付いたしたい。そのためには、かように委員会を運営していただいてはいかがであろうかと、かように思いましたので、委員長を通じて各委員にお諮りいただきたいと思います。
  126. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいま矢嶋委員から御発言をお聞きになった通りであります。すなわち、本法案につきましては各委員とも長い間慎重審議された、あるいはまた各党との関係において御協議せられた結果としてここに提出せられたものでありまするによって、もしも質疑がございましてもできるだけ簡潔に、あるいは質疑がなければこれは質疑を終了したものと認めて取り計らうようにという御発言でありますが、この点について皆さん方の御意見を伺いたいと思います。なおそれについて皆様方に各党の関係において私からおはからいを申し上げたいことは、質疑を終了するといたしまするならば、ここに御出席のない方々に対しての責任をどうするか、これは各党においてその責任を負っていただけるか、またその党の代表者がきておらない場合には連絡を至急とらなければならないと思いますが、この点について御考慮の上で御発言のある方は御発言を願います。
  127. 竹下豐次

    竹下豐次君 質疑をできるだけ簡単にするということにつきましては異議ありません。それから質疑を打ち切るかどうかという問題につきましても、もう私といたしましてはそれでも実質的にいいと思います。ただ議事の手続としまして、質疑を打ち切るということになりますと、すぐに討論に移っていく、それから採決にいくというのが普通の議事の取り扱い方だと思います。だから質疑を打ち切るという形をとる前に、やはり政府の方の意見を聴取するということを済まして、そのあとで正式に質疑を打ち切ると、すぐに討論に入っていくという順序で進むのが普通の手続じゃないかと、かように考えておるのでありますが、その点いかがなものでありますか。
  128. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私お諮り願った関係上発言を許していただきますが、今度の国会法で初めて予算の伴う法律案については内閣に意見を述べる機会を与えるということが規定されたわけでございますが、その内閣に意見を述べる機会を与える時期はいつと委員長はお考えになっていらっしゃるか、さらに、あるいは、委員長でなくて事務当局の補足的な説明でもよろしいですから、それを一応承わりたいと思います。なおあとで懇談でお話申し上げたいと思いますが、私は今の段階にこういうお諮りを願っておることは、さあ質疑を打ち切ると、すぐに討論採決で云々だと、こういう一潟千里的な考えで申し上げておるのではないということだけは竹下委員に御了承願いたいと思います。
  129. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちょっと速記をとめて下さい。
  130. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  131. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて下さい。  提案者に対して御質疑のある方は順次御発言を願います。
  132. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ありません。
  133. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 別に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議なければ、質疑は終局したものと認めます。  次に国会法第五十七条の三、本院規則第五十条第三項の規定によりまして、この際政府の本法案に対する意見を求めます。
  135. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 先般高田委員の方からお出しになりました法案並びに木村委員の方からお出しになりました法案につきましては、政府として相当研究をいたしておりましたが、本日提出されました法案につきましては、まだ時間的な余裕がなく、十分研究をいたしておりません。実施予算を伴う法律でございますので、関係の省庁ともよく協議の上、政府としての意見を決定いたす予定でございます。本日現在におきまする内閣の立場は、これで御了承いただきたいと思います。
  136. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  137. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて下さい。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。女子教育職員産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施確保に関する法律案を問題に供します。本案を原稿通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  139. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条による議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     木村 守江  吉田 萬次     竹下 豊次  荒木正三郎     雨森 常夫  安部キミ子     高田なほ子  矢嶋 三義     山田 節男  松原 一彦
  141. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  142. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それでは速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十二分散会      —————・—————