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1955-07-07 第22回国会 参議院 文教委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月七日(木曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            吉田 萬次君            竹下 豐次君            荒木正三郎君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            加賀山之雄君            高橋 道男君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            村尾 重雄君            松原 一彦君   衆議院議員            赤城 宗徳君   国務大臣    文 部 大 臣 松村 謙三君    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    文部政務次官  寺本 広作君    文部大臣官房総    務課長     田中  彰君    文部大臣官房会    計課長     北岡 健二君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    自治庁財務部財    政課長     柴田  護君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育公務員特例法第三十二条の規定  の適用を受ける公立学校職員等につ  いて学校看護婦としての在職を準教  育職員としての在職とみなすことに  関する法律案衆議院提出) ○昭和二十七年九月三十日以前に給与  事由の生じた旧財団法人私学恩給財  団の年金特別措置に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件(教育財政に関する件) ○女子教育職員の産前産後の休暇中に  おける学校教育の正常な実施確保  に関する法律案高田なほ子君外六  名発議)   —————————————
  2. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまより文教委員会を開きます。教育公務員特例法第三十二条の規定適用を受ける公立学校職員等について学校看護婦としての在職を準教育職員としての在職とみなすことに関する法律案議題といたします。提案者より提案珊由説明を求めます。衆議院議員赤城宗徳君。
  3. 赤城宗徳

    衆議院議員赤城宗徳君) ただいま議題となりました教育公務員特例法筑三十二条の規定適用を受ける公立学校職員等について学校看護婦としての在職を準教育職員としての在職とみなすことに関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  学校におきまして児童生徒、教師の健康を守り、年間保健行事計画はもちろん、各種伝染病の予防、処置、救急看護のほか、さらに、児童生徒健康生活指導等を担当いたす職務がきわめて重要なものでありますことはよく御承知の通りでございます。我国におきましては、当初児童生徒養護学校衛生に関する仕事を担当する者は、学校に置かれていなかったのでございますが、明治三十七年に至りまして、初めて福岡県女子師範学校附属小学校及び岐阜市京町小学校養護をつかさどる職員が置かれ、ついで大正十一年には文部省におきまして、文部省学校看護婦学校に配置いたし、以来、各方面におきましてかかる職員をおくべき必要性が認識せられるに至り、漸次児童生徒養護をつかさどる職員を置く学校増加してまいったのでございます。その後、昭和四年十月に至りまして、文部省訓令をもって学校看護婦に関する件が制定され、学校学校看護婦を置く際の学校看護婦資格基準及びその職務内容が公けに定められたのでございます。  さらに、昭和十六年に至り、国民学校令制定に伴いまして、児童養護に当るべきものとして、判任官待遇養護訓導制度法律的に設けられまして、従来学校看護婦として学校に奉職いたしておりました者の大部分はこれによりまして養護訓導として引き続き在職いたすこととなったのでございます。  その後、昭和二十一年に国民学校令改正がございまして養護訓導文部技官または地方技官となり、学校教育法制定によりまして養護教諭と改称されまして今日に至っているのでございますが、さらに昭和二十三年十月に養護助教諭制度が新設されて、それまで養護教諭となりませんでした学校看護婦のほとんど全部が養護助教諭となりまして、今日まできているのでございます。この間、昭和二十四年に、教育公務員特例法が施行され、公立学校教員地方公務員となりましたのでその際、同法第三十二条によりまして引き続き公立学校在職いたす場合に限って、恩給法の準用がなされることとなっているのでございます。  この法律は、かかる長い歴史をもっておりますところの現在の養護教諭養護助教諭等前身たる学校看護婦学校衛生婦養護婦等在職年月数をも恩給年限の一部として通算いたそうとするものでございます。さきほども申し上げました通り学校看護婦の大部分は、実力におきましても職務内容におきましても国民学校令施行以来の養護訓導等と何等かわるところがないものでございまして、ただ単にこれが法律上の制度として規定せられておりませんために恩給法上の公務員として認められておらなかったのでございます。  さきほど御説明申し上げましたように、学校看護婦制度上の変遷はございますが、学校における衛生保健にもっぱら従事してまいりました職員といたしましては、当時最高の資格者でございまして、かつて代用教員が準訓導に任用されることによって恩給在職年数の通算の途が開かれたという場合とは事情を異にいたしますので、遡及的に法律制定する必要性が認められるわけでございます。  さて、かかる学校看護婦からの長年月を一貫いたしまして児童生徒等養護に身心をささげてまいりました者も、すでに老境を迎え、過去の縁の下の力持ちのような努力にも報いられること少なく、退職勧告をうけ、職を追われんとする者すら散見されるにいたっている実情でございます。かくのごとき苦境に追いやられんとする養護教諭の老後をいささかなりとも保障すべきは、現在の学校教育の遂行のためにも必要なことであると考えられるのでございます。  この際、この法案の要点を御説明申し上げますと、学校看護婦学校衛生婦養護婦等の名称で学校におきまして児童生徒等養護を掌っておりました職員が引き続いて国民学校令によります養護訓導養護教員になりました場合や、あるいはこれ等の学校看護婦が引き続いて学校教育法によります養護教諭養護助教諭になりました場合には、その前身たる学校看護婦在職昭和二十六年法律第八十七号によります改正前の恩給上の準教育職員としての在職とみなしまして、改正前の恩給法第四十二条によりまして、恩給法上の公務員たる在職年学校看護婦等在職年月数の二分の一に相当する年月数が通算いたされることになるのでございます。  以上簡単でございますが、提案理由説明を終ります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  4. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件に関する質疑は次回に譲ります。   —————————————
  5. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団年金特別措置に関する法律案議題といたします、質疑のある方は順次御発言願います。  速記をとめて下さい。   〔速記中止
  6. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて下さい。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本件については大体先般来高橋荒木両君から質疑が尽されたようでありまして、なるたけ重複しないように、あるいは重複するかもしれませんが、簡単に伺います。  この増加する費用私立学校振興会がその利子をもって私立学校教職員共済組合負担として出すと、こういう格好になっておると思いますが、そうですね。
  8. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) その通りでございます。私立学校振興会政府出資を受けましてそれを私立学校に貸し付けます、貸し付ける際に利息をとりまして、その利息の中から事務費とそれから法定の積立金をいたしました残りが一応剰余金となります。その剰余金をもって私立学校振興会としましては共済組合その他の団体に対する助成、あるいは私立学校に対する貸付等を行うことになっております。そういう財源を見込んでおるわけでございます。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本年度私立学校振興会予算は、自民修正で一億円プラスして合計八億五千万円になっておるようですが、昭和三十年度分まで含めて国庫出資金総額幾らになっていますか。
  10. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 私立学校振興会に対する出資としましては債券出資の分とそれから現金出資の分と二つございます。債券出資の分は、昭和二十一年以降私立学校経営費あるいは戦災復旧のために貸し付けた金額でございまして、正確な数字ではございませんが、十七億六千万円程度でございます。  次に現金による出資としましては、昨年度までに……。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昭和三十年度予算を入れてですよ。
  12. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 三十年度出資を入れて三十二億四千万円でございます。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ではこれらの出資金から予想される先刻あなたが申し述べた剰余金年額どのくらいでございますか。
  14. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 昭和三十年度における利子収入は、ただいま申し上げました債券出資の分とそれから現金出資の分を全部合せまして、利子収入の本年度の総計は一億八千七百九十万円程度でございます。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 このうちからこの法の改正によって千七百万円支出する、こういうことなんですか。
  16. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) その利息収入の中から先ほど申し上げました事務費積立金等を大体引きますと、剰余金見込額は約一億四千万円でございます。その一億四千万円の中からこの増加費用の分を支出いたす、こういう考えでございます。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その増加費用の分というのが、先般高橋委員に答弁された千七百万円というのですね。
  18. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) そうです。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この旧財団法人私学恩給財団から引き継いだ年金支給額年間幾らになっておりますか。
  20. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) この法律による特別措置に該当いたします千三十六人の分は、従前は大体千三十六人分で千二百九十四万一千八百円、これだけを本年度改正前のものとして共済組合負担いたすことになります。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは旧財団法人私学恩給財団から引き継いだ分に関する年の支出額はこの法律が通過したのちに合計約三千万円と、かようになるわけですね。
  22. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 共済組合から年金者に払う金額は仰せの通り約三千万円ということに相なります。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私もかつて私立学校に勤めた経験があるわけですが、当時私学恩給財団というのに加盟いたしました。当時を振り返ってみて、ほんとうに当時も少額であったのでありますが、このたび二倍半に増額されるというのですけれども、これを増額する必要性については、提案理由にある通り全く同感でございます。利子から事務関係費を控除した剰余金が一億四千万円ということであれば、これは法に基いて他の方面にも使うわけでございますけれども、増加分年額千七百万円とは少額のようでありますが、二倍半という根拠は一応ここに説明してありますが、これで均衡がとれるのでありますか。その点と、この財源から言って、もう少し増額はできないものでしょうかね。その辺についての御所見を承わりたい。
  24. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) お尋ねの点は均衡の点がこの二倍半で適当であろうかという点と、それから私単振興会財源としては相当あるのだからまだ出せるのじゃないか、こういうお尋ねと存じます。  第一の点につきましてはもちろん表には出ないにいたしましても、やはり気の毒な方々に対するものでございますから、できるだけ増額いたすということも考えられるのでありますけれども、やはり一つ制度として考えます場合には、それぞれ増額いたしますについては振り合いを考えなければならないかと存じます。そういう意味から現在この方々掛金を何らなさらないわけでございますが、掛金が他の組合員恩給財団人たちと同じように三百円の掛金をしておられるものと推定して、そうしてそれが他の共済組合制度において大体同じ年金額とのバランスをとったわけでございます。そうなりますと私立学校教職員共済組合に入って、しかも恩給財団従前の例による給付を受ける人との間に開きが依然として残るわけでございます。具体的に申しますれば、この昭和二十七年九月三十日の財団法人寄付行為改正の際に掛金の方は七倍半に上げて給付は十倍に上げた。しかるにここにあげられておる既年金受給者に対しては、掛金はないわけでございますから、給付だけを二倍に上げた。その辺のことを考えますと、やはり全然掛金をお払いにならない方々の場合に、七倍半に掛金が上って給付が十倍になったというのと、それから二倍にとどまったのを、そのときの計算でいけば五倍になるというところまで上げるのとの関係が多少まあ考慮いたさなければならないのじゃないだろうかというふうに考えるわけでございます。なおこの九月三十日の寄附行為の改正で、恩給財団の七倍半に掛金を上げた方々給付が十倍になったと規定上はなっておりますが、実施上は六万円になるはずのを四万六千円にとめております。従いまして十倍に現実にまだ上っておらないわけであります。さようなことを考えまして、バランスの上では大体これで適当ではないか。  そこで財源の方の問題としましては、そういう私立学校振興会としましては、一億四千万というような剰余金が生ずる道はございますが、ただいま申しL上げましたような必要費用限度において負担するということは、これは法律私立学校振興会に義務付けるわけでございますから、やはり必要な限度考えて、そこで他の方の用途、あるいは将来において私立学校振興会利益金を生ずる根源についての意見も現在ございます。値下げをする必要があるとか、あるいは貸付期間を延長する必要があるとかいうふうな、いろいろな意見もございまして、目下そういう面も検討いたしておる際でございますので、この程度でとどめるのが相当ではないか、かように考えておる次第でございます。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その第一点のバランスの問題ですね、私は計算してみないからわからないが、直感で次のような感じがします。すなわち掛金を掛けた人と掛けない人と区別して考えて、これは全部掛金を掛けたのと同じ扱いをしておいて、そうして過去における掛金を現価計算して、それを給与年金額から差し引いた統与金額の方が僕は当事者には有利になるという直感を持ちますが、そういう計算をやってみましたか。
  26. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) そのような計算はまだいたしてございません。それは非常に古い時期の方もあるわけでございまして、物価指数をある時期に三倍であったのに対して同一に掛けて、どういうふうにはじいたら、その積算されたものが現在どういうふうになるかという点まで、かなり煩雑になるようなことがありましたので、その点は計算いたしておりません。ただ先ほど申し上げました現在の恩給財団従前の例による人たち年間六万円、暫定的に四万六千円、こういうふうに計算自体も、掛金の額から計算いたしますと、非常に無理な計算なのでございます。他の共済組合のような考え方保険料率純粋計算をいたしますと、とうてい六万円というふうな給付は実行できないような状態になっております。恩給財団は当時の考え方としましては、これは発足当時からの一つのまあ伝統的な考え方でございますけれども、できる範囲で途中までやって、そうしてその時期になって財源が困ってきたときには改訂でその危機を乗り越えていこう、こういう考え方でやっておりますので、共済組合制度と同じような純粋保険料率計算の仕方から見れば、かなり無理をしておられます。そういうところからきまして、共済組合制度の中に入ってもこれだけ特例になっておるわけでございますから、そういう特例方々との直接の比較というのは、現在の共済制度、全般の制度の上に立っておって、そうしてこういうような特別な措置をとろうとする場合には、少し比較する方としては無理ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どうもそこのところ十分納得できないようですけれども、まあここらあたりで質問を打ち切ります。
  28. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件に関してほかに御発言ないでございましょうか。なければ質疑打ち切りにしてよろしゅうございますか。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団年金特別措置に関する法律案議題に供します。本案原案通り可とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  31. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 全会一致であります。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他、事後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  それから報告書には多数意見者署名を附することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 速記とめて下さい。
  34. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  35. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それでは速記を始めて下さい。  午前の審議はこの程度とし、午後は正一時より開会いたします。  暫時休憩いたします。    午前十一時三十二分休憩    ————————    午後一時二十八分開会
  36. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまより文教委員会を再開いたします。  教育財政議題といたします。自治庁長官が見えておりますから、質疑のある方は御発言を願います。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治庁長官にあらかじめ申し上げておきますが、ただいま本委員会は、教育財政地方財政関連部分について審議中でございまして、それに限定して若干お伺いしておきたいと思う。いずれ、これらの地方三法の問題に入りますと、当委員会地方行政委員会連合審査の機会もあるかと思いますので、一通りお伺いいたしたいと思います。  まず昭和二十九年度義務教育国庫負担制度実施に伴う予算額は六百九十九億円となっておりますが、各都道府県支出総領幾ら自治庁ではふんでいらっしゃいますか。
  38. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をとめて。   〔速記中止
  39. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて。
  40. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 二十九年度予算集計中でして、なるべく急いで一つやろうと思っておりますが、まだ集計が集まっておりません。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従って、私はどの程度の目算を立てておられるかを伺っているわけであって、三十年度地方財政計画を立てるに当っても、あるいは文部省関係のこの予算を組むに当っても、文部自治当局間の話し合いの段階においても、一応の目安というものは持っておられるのは当然でございますので、その点を伺っているので、おそらく事務当局で持っておられると思いますので、念のためお伺いいたします。
  42. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 三十年度財政計画を立てまするのに、二十九年度財政規模を基にしまして、それに七十七万人の児童増加に必要な教員数並びに設備等計算して、財政計画に盛り込んでおるわけであります。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従って、昭和二十九年度決算額はまだ集計できていないと言うならば、それでは昭和三十年度決算額として、四十六都道府県義務教育国庫負担制度実施に伴うて支出する総額幾らになるとふんでおられますか。
  44. 柴田護

    説明員柴田護君) お答えいたします。昭和三十年度地方財政計画の中に含まれております義務教育費国庫負担金の対象になります給与費総額は、大体千四百五十一億とふんでおります。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 給与費文部省所管では七百二十四億余円を組んであるのです。それとの関連自治庁当局ではどういうように関係づけておられますか。
  46. 柴田護

    説明員柴田護君) 国庫負担給与費についての計算が若干違いますが、地方財政計画計算は、当初二十八年度決算基礎にした実態について三十年度見込額計算いたしたい、かように考えておったのでありますが、かりにその計算に従いますと、大体千四百九十億円、約千五百億円見当になろうかと思います。地方財政計画上は千四百五十一億円でありますが、この計算は、昭和三十年度におきまして、新たに増加いたしまする児童生徒につきましては、交付税の入ります団体分につきましては、義務教育費国庫負担金計算と同じ計算をとっております。従いましてその部分については、義務教育費国庫負担金額予算計上額と見合うわけであります。ただ不交付団体につきましては、義務教育費国庫負担金計算上は、いわゆる給与費負担限度の政令が適用になりますので、財政計画上はさような制限のことを考える必要もありませんので、別の計算をいたしております。実態に近い計算をいたしております。その関係給与費でありまして、大体国庫負担金地方財政計画とを見合って考えますと、ほぼ国庫負担金の倍額以上というふうになっております。ただ教員給与費につきまして、実態とそれから財政計画上の計数とが主として不交付団体につきまして大きく違うのでありまして、その計算昭和二十八年度決算基礎にいたしました場合に、先ほど申しましたように千五百億と大体約五十億くらいの違いになっておるのではなかろうかと考えております。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいま説明がございましたけれども、今地方財政で一番困っているのは給与費関係をいかにするかということで予算編成に悩んでおるようでありますが、それはこの教職員の場合をとるならば、交付団体においても国庫負担金と同額の金が回ってこないで、自己財源をそれに向けなければならないところに非常に地方公共団体において予算編成上に困難な点があるわけなんですが、どういうわけでそうなっておると自治庁ではお考えになっておりますか。ひらったく言うならば、この給与半額というものは義務教育費国庫半額負担法によって文部省負担金として流されていきますね、その回顧のものが都道府県教育委員会側予算として認めて与えられれば教育職員の必要な質と構の確保ができるわけですね、それが与えられていないわけです。そこに非常に地方財政の窮迫というもので地方義務教育にしわ寄せに人的面から大きく来ているわけです。その点をどういうふうにお考えになっているか、その原因はどうですか、それを解決するにどういう見解をもっているか、自治庁長官にお伺いいたします。
  48. 柴田護

    説明員柴田護君) 義務教育費国庫負担金という制度は、国庫負担金という制度そのものの本質に立って考えますと、実給与額に対しましてその半額負担するという建前を貫くべきではないかという御意見だろうと思いますが、理論的には一応さようなことになり得るのじゃないかと私たち考えております。ただ現在のような国民負担の非常に多いときにおきまして、地方団体の相互間の租税の負担というものが非常にアンバランスになっているといったような現段階におきまして、国庫負担金制度をとられましたときに、そういった実額の半分をすべての団体に対して適用するということは無理じゃないかといったような議論も出まして、従来は交付税の交付を受けない団体と、それから基準財政収入額が普通交付税の額をこえる地方団体には制限の規定を政令で設けられておったのであります。その結果従来から国庫負損金の制度というものの本庁を、その政令の存在により乱していやせぬかといったような議論もありました。従来から政府部内におきましても議論があったのでありますが、いろいろ文部当局も御尽力になりまして、今年度からは頭を押える政令というものは、交付税の交付を受けない団体だけに切りかえたのであります。従いまして勢い地方財政計画の算定につきましても、古い、つまり基礎になっておりますものからひくり返して計算をするのが本来の建前であろうかと実は私たち考えておるのでありますが、地方財政計画上の給与費の単価と、それから実際の単価との差がどういうことになっておるかということは、現在まだ明らかになっておりません。一応自治庁が最初立案いたしましたときには、昭和二十八年度決算額基礎にして計算をしておったのでありますが、その決算額をとることについての是非の論があったわけであります。従いまして本年度財政計画を立てるに際しましては、新たに増加するであろうと考えられる児童生徒数に対して増員されるであろう職員給与費、これにつきましては、義務教育費国庫負担金計算基礎をとってきたわけであります。で、問題はそこに住んでおるものをどうするかという問題が依然として残されておるわけでありますが、これは本年の一月に実施されております地方公務員、国家公務員全部を通じます給料の実態調査が秋ごろには判明いたしますので、判明した結果を待って、それに基いて一般の職員とも合わせまして、財政計画上の給与費の単価をどうしたらいいかということをきめてやっていきたい、こういう考えであります。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 課長説明は、それで説明内容はわかりました。そこで私は自治庁長官に伺いますが、自治庁長官、この交付金の不交付団体ですね、不交付団体は四十三になったわけですが、この不交付団体都道府県当局は、教職員給与費は、文部省負担している額と同額のものを私は都道府県教育委員会給与費として予算化すべきものだ。そうしなければ私は教育地方財政の窮迫のしわ寄せを受けて守れないと思うのですが、自治庁長官の御見解はいかがでしょうか。
  50. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 不交付団体はいわば富裕県……。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ああ、交付団体……。不交付団体交付団体と分けて、交付団体の方です。
  52. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ああ、交付団体はそれは文部省の算定と大体同じようなものを予算化する。不交付団体についてはある程度頭打ちをしておりますので、それだけは多少違う、そういうことになっております。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこでただいまの……、さっき私は申し述べ誤まりましたが、不交付団体交付団体を分離して、大臣が今言われたように、交付団体については文部省負担している給与費と同額のものを、都道府県当局教育委員会に対して給与予算として組んでいく、こういう見解は大臣の通りだと思うのであります。その趣旨を都道府県知事会議において、書面をもって長官から説明、解明をしていただきたいと思うのでございますが、さようにしていただけますか。
  54. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) これは義務教育費半額国庫負拙法の法律に、はっきりありまして、それに従って金を地方に配付をしておるのでありますからして、この法律の趣旨に従って都道府県知事がやるべきものでありまして、それは知事会議に出て、私ども、もう説明する余地もないのであります。当然義務ずけられた予算でありますから、やるべきものだと思っております。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やるべきものであり、それにはやれるだけの可能の交付金が流れているという御見解に立っていらっしゃるわけですから、その趣旨が明確になるように、私は長官は説明されてしかるべきであり、そういうことを私は要望しているわけですが、ちょうど知事会も開かれているのでありますが、適当な機会にそれをやっていただきたいと思います。よろしゅうございますね。
  56. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) それは法律にあることを、重ねて法律案内容を私が知事会議説明する、こういうことになるわけですね、今の御質問の趣旨は。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 なぜ私はそういうことを申し上げるかというとですね。都道府県知事は教育予算にしわ寄せをして、弱い教育委員会に圧力を加えて、力関係予算化しないわけですね。そして教育にしわ寄せがもたらされているわけです。従ってそういうことは望ましくない。地方財政計画を立てるに当っても、あるいは交付金を流すに当っても、そういう精神でやっているのだから、こういう精神に沿って都道府県当局においては教育予算を編成してほしいという、そういう方針の説明を私はされてしかるべきだと思います。
  58. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方実態を申し上げまするというと、給与費関係につきましては、先般当委員会の御質問の際もお答えを申し上げたのですが、大体義務教育費を優先的にいずれも計上してありまして、もし給与において地方団体に不足があるというような場合は、そのしわ寄せは、教職員でなくて、一般の公務員にきている、こういう傾向になっておるわけであります。教職員の方は、仕事の性質を考えましても、これは当然優先すべきものでありますからして、御心配のようなことは各地方に起っておらぬと私は考えるのであります。またそういう情報も私のところに集まっておりません。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一応その程度にして、次に……。
  60. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと関連させて下さい、その問題は御心配がないと言っておられますから。御心配がないという御答弁で、私も心配なくありたいと思うのですが、現実問題として、たとえば新潟県のようなところで、七月分の教職員給与の支払いができ得ない、こういうような面が出てきております。あるいはまた聞くところによれば、三十一府県は本年度教職員給与の中に、定期昇給の財源を含んで組んでおらない。これは明らかに現行給与財源的に私は破壊しておるのではないかと思います。で、現に今川島長官の方は心配がないという御答弁があったわけですが、このように昇給の財源を県財政の中で組んでおらないということは、これは非常に心配の起っている現実の問題であり、同時に新潟県における赤字財政は、ついに各般の融資をすることができないで、七月の給与すらも教職員に完全に出せないのではないかと、こういう状態に置かれているのに対して、私は今の御答弁はどうもふに落ちませんが、もう一度、心配がないということと、この現実と、一つ比べてみて御答弁を願いたいと思います。
  61. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) もう前の御質問は、国から配付している半額と見合うだけの金を都道府県でもって予算に計上しているかどうか、こういう御質問でありますから、それはもう法律規定してある通り計上してある。その点に関する限り御心配はない、こう申し上げたわけであります。ただ高田さんの御質問は、それは資金関係のことで、新潟県の例をお引きになりましたが、新潟県は非常に赤字に苦しんでおりまして、資金難なために一般公務員に対する遅配がありまするし、また夏期手当なども条例に規定されておる〇・七五も今もって支給し得ないというような状態なのも事実でありまして、新潟県知事がこの間来まして資金の斡旋方の依頼を受けましたので、私は簡保の資金として郵政大臣並びにその他の資金として大蔵大臣に、少くとも給与はこれは、もう生活を保障しなければならないのだから、最低の必要費だからして、ぜひ給与に要る限りだけは一応この際政府資金を融通しろということを強く申し入れてあります。高田さんの御心配のように、確かに新潟県の財政は資金難に苦しんでおりまして、給与が遅配になった事実があります。その点については県もそれぞれ手配しておりまするし、私どもといたしましても斡旋をいたしております。前の御質問とは少し趣意が違うのですが、今の御心配に対しては、できるだけ努力をいたしまして、給与の遅配のないように、期末手当などがなるべく早く渡るように、今せっかく私は努力をしておるわけであります。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今実例が出たのですが、たとえば予算を組むのに当って教職員の員、数が必要なのに減員をやっているところもあるのですね、率を下げて。それから日宿直料を予算化しないところも出てきている、昇給昇格の予算化をやらないという県はたくさん出てきているわけですね、それはどういう関係でそういうことが起ったかというと、文部省のほうは半額国庫負担で二分の一は保障している、残りの二分の一を地方財政計画の中に盛り込む、あなたのさっきの答弁では、交付団体に対してはそれに見合うところの予算が行っているにもかかわらず都道府県理事者がそういう予算を組んで、そうして教育委員会にこれを頑けないために減員とか、昇級昇格の財源が組めないとか、日宿直の予算が組めないと、こういう実情になっているのだから、あなたのさっきのお考えから言えば、そういう予算は組むべきである、組めることになっておるのだから、そういう予算予算化してほしいということを説明的に都道府県知事側になすことは私は大切なことだと思って、その点から要望しているわけです。いかがですか。
  63. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 交付税計算の際に、当然義務教育費の問題は計算基礎にして入れているわけでありますからして、地方にはそれだけの金が行っているのですが、しかしこれが紐つきの金ではありませんので、あるいは地方団体によりましては、わきの使用にこれを転用して、従ってそのしわが教職員のみならず一般公務員給与に及んでおるのかもしれません。今のお話、おそらくそうだと思うんですが、交付税計算するときには国の支出に見合うだけの金は計算して渡しておるわけなんです。これは各地方団体の琳政の運用の仕方の可否ということになるのでありまして、自治庁計算からいえば給与においてはそういう点は出ないはずなんです。ただいかにもこんにちの地方財政が苦しいものですからして、一時やりくりしてあなたのお話のような処置をした県があるかもしれませんけれども、それは交付税配付のときの計算とは違うやり方なんであります。そういう点に対してこの際特に知事に対して何らか一つ自治庁として意思表示をしないか、こういう御議論のようでありますが、これは私はもう法律にちゃんと書いてあるんだから差しつかえない、こう考えておるんですが、従来どういう経過になっていますか、私は新任に当ってよく知りませんからして、文部当局なり事務当局の今のあり方も聞きまして適当に考えます。私は今これを軽率に申しましても、今までの扱いに経過的沿革があると思いますから、それを聞きませんと、ここで私単独に申し上げて取消さなければならんということになってもいけないから、その岡御猶予を願いたいと思います。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで問題が起ってきたわけですね、今長官が申し述べられたように、交付税を交付するときに、かくかくであるが、都道府県の運用の面でしわよせの実態もあるかもしれない、こういう御発言ですね、それが問題で、そこが先般来問題になっておりました。いずれ他日審議する機会があると思いますが、地方財政再建促准特別措置法案による財政再建策定ですね、この場合に現状でもそうでありますから、再建団体として計画を策定する場合に非常に教育にしわよせされる危険が多分忙あるという点をわれわれが懸念して先般お伺いしたところが、義務教育費というものは優先的に確保すベきで、その心配はないという御答弁をされたわけですが、私どもはこの法がどのように成立しますか、あるいはいかように修正されて成立しますか、いずれにしてもこの法の骨子が通る以上はしわよせされる点が非常に大きいと思うんですが、計画案に承認を与える事前に自治当局関係官庁、教育の場合では文部省でありますが、文部省の長と協議をするということがこの三条の二項に規定されてありますが、この協議をするあなたがたの基本的な心がけですね、これと、それからさらに再建計画を、再建団体に指定してもらいたいという団体がこしらえる場合に、教育委員会の意向というものが取り入れられない、協議に深くあずかれないようになっている、この二重の危険がある。指定団体になろうという団体が案を作ろうという場合に、教育委員会の意向を無視して、そしてこれが自治庁に出た場合に、あなたのほうではこの計画案では不満だというと、これを直したり、あるいは適当な御告を与えたり、あるいけ条件を与えて承認することになっているわけですが、文部省側の長と協議するということになっているんですが、この地方と中央の両面にわたって非常に教育にしわよせされる危険があるわけでありますが、この法案提出の責任官庁の長として、そういう点にはいかような、教育にしわよせしないという自信と、それから運用の面においての心がけを持っておられるのか、承わりたいと思います。
  65. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 再建団体が長期にわたる財政再建計画を立てるときに、私どもとしては非常に細かい計数を求めてないのでありまして、人件費、物件費というようなごくあらっぽい計数だけを出してもらいまして、あとの運営は人件費なら人件費の中でもってやってもらう、こういう考えでおるのでありまして、人件費のうち幾%が教育費だとか、幾%が何費だということは、これは今それを求めようとはしておらぬのでありますが、ごく大ざっぱな項目についての再建計画を立ててもらう、ただ問題は再建計画実施に入りましてからの財政計画が食い違わないということを私どもは希望しておるわけでありますから、せっかく再建計画を立てたけれども、地方財政が膨張して、その再建計画通りにいかぬということは極力これは阻止しなければ地方財政は健全化しないのでありますから、その点に重点を置いておるのでありまして、再建計画を立てる際にこまかい点まで私どもは一々干渉いたしまして規定してもらうことは考えておりません。従いまして御心配のように再建計画を立てた場合にしわよせが教育費にくるというようなことは毛頭考えておらぬのでありまして、前回も私は御答弁申し上げたのでありますが、教育費のごときは、これは義務費中でも優先的の経費でありまするからして、各公共団体の執行部におきましても、また議会におきましても、この教育を尊重するという立場から、義務教育というものに支障を及ぼすようなことは絶対にいたさぬと思っておりますし、またいたすべきものでもないのであります。御心配は少し急に過ぎるのじゃないかと思うのです。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これに時間をかけると他の質問ができなくなりますから、私はここで結論的なことを簡単に伺いますが、自治庁長官はこの法案を責任大臣として国会に提出されたわけですが、地方においてはこの独立した決議執行の行政委員会であるところの教育委員会の意向というものは、かりにこの法が成立した後においても、都道府県知事としては、理事者側としては十分聴取しなければならないという、いわば教育委員会法の立法精神というものは何ら損われないと、かようにしなければならぬという信念のもとにこの法案を立案されたものと了承するがどうかという点と、それから、具体的にあまり入るといけませんから入りませんが、いわゆる第三条の二項にいうあなたの官庁と文部省の長とが協議しなければならないというこの条項は、対等の立場において協議をされ、基本的な立場に立っての文部大臣の意向というものは十分尊重されるという立場において、この条項というものはうたわれているのだと、かようにあなたの答弁から了承されると思うのですが、その二点についてお答えを願います。
  67. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) この地方財政再建促進法を作ります際に、教育委員会のいわゆる原案送付権、二軍予算権というものは尊重する意味でもって触れていないのであります。先ほども御答弁申し上げました通り、長期にわたる再建計画総額において幾ら、そのワク内でもって忠実に実行してもらうということを私どもは地方団体に要求しておるのであります。その範囲内においてどう運営するかということは、全くそれは各地方団体の任意であります。再建団体になりましても、それがために特に教育委員会の権限が縮小されて、原案送付権なり二重予算権に影響を持つことは絶対にないようにこの法ができております。  それから文部大臣と自治庁長官と協議すべきことは、何らか再建団体において、教育費の問題において問題が出た場合には、これはやはり文教の府にあるところの文部大臣の意向を尊重する意味において特にこういう条項を加えたわけであります。自治庁長官が勝手に地方に指示したり何かしないということで、教育尊重の意味でもってできた条文であります。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 きょうは地方再建促進特別措置法案を審議する機会ではないのでありますから他日に譲りますが、自治庁長官が言われました教育委員会法との関連における御答弁はちょっと納得いたしかねる点がございます。この法案を逐条に検討しますと、相当な問題点があるわけでありますが、本日はそれを審議する時間でございませんから、その点は他日に譲ります。  私はあなたにさらに伺いたい点は、先ほど話が出ましたように、かつて衆議院の人事委員長として公務員給与に対して深き理解と深き造詣をもって委員長職員を果されました川島長官でございますから、これらの問題については非常に深い見識を持たれているわけでありますが、最近の各都道府県予算の編成状況を見ますというと、昇給昇格の財源を、予算を全く組まない。あるいは学校管理に必要な日宿直員の宿直料を予算に組まない。さらに高等学校生徒の授業料を上げるというような傾向が非常に強いわけでありますが、こういうような傾向を大臣は承知されているかどうかということと、もちろん承知されていると思いますが、どういうお考えでこれを眺めておられるかということと、私はこれらの解決の方法は幾つもありましょうが、一つの方法として最近非常に都道府県知事会議において、あるいは他の地方公共団体の各種団体においていろいろと検討され、また委員会においては各政党閲で問題になっておりますところの交付税の税率の引き上げですね、現行二二%ですが、あるいは二五%とか、わが党は二七%ということを一応掲げておりますが、あるいは都道府県知事会議が三〇%ということを掲げておりますが、私はこれは何%が適当であるということをここで明確には申し上げませんが、いずれにしても大きく今後のことを眺めた場合に、この交付税率の引き上げというものはそれをどの程度にするかは別として、これは私は真剣に取り組んで検討されなければならない段階にきていると、かように私は考えておりますが、まあ現在の行政機構において地方公共団体を指噂し、その立場を見守ってあけるところの立場にある自治庁の長官としては、先ほど私が申し上げました幾つかの自治団体をいかように認識されておられるかということと、その解決策の一つとしての交付税の税率についてどういう見解を持っておられるかということを承わりたいと思います。
  69. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 給与の問題は教職員も問題でありますが、一般地方公務員にとりましてこれは生活の基本でありまして、十分この給与は尊重していかなければならないことは言うまでもないのであります。地方財政の窮迫が給与にしわ寄せしてくることほ決して望ましい事態ではございません。私どもとしましては、給与の支払いが円滑にいくように、できるならば定期昇給等もできるようにすることは希望をいたしておるのでありまするが、しかし実際の問題は現在六千五百ばかしある府県市町村のうち相当の府県市町村というものが赤字に悩んでおりまして、そういう府県はいわば非常事態なのでありまして、地方団体の執行部としても、また議会といたしましても、財政の健全化に非常に苦慮をいたしておるのであります。その結果お話のような定期昇給がおくれたり、教職員の日直手当が減額したりするという事実があることは想像し得るのであります。具体的の報告は来ておりませんけれども、あるのでありますが、私どもといたしましては、むろんそういう事態のないことを希望いたしますけれども、この財政の運営ということは一に地方団体に任しているのでありまして、自治庁長官といたしましては監督権というものは全く持っておりません。わずかに助言勧告の権利しか許されておらんのでありまして、地方自治体の健全な運営によって教職員公務員諸君の生活を脅かさないようにしてもらいたいことを希望しておるわけでありますが、地方交付税を増せということはまことに御議論でありまして、私も今日の地方財政の現状から考えまして、現在の地方交付税率でもって決して満足いたしておるのではないのであります。三十年度予算編成のときにもこれが問題になりまして、三十年度は二十九年度に比べまして地方財政に対する国家の支出は交付税において百三十億、たばこ益金において三十億、入場譲与税の関係において約二十五億だけは増しておるのであります。それではなお足りないということは考えられるのでありますけれども、国家財政の全般の現状にもこれは照らし合せてみなければならぬ。また二面において今日の地方財政というものが必ずしも健全な姿ではないのであります。世間では地方財政が水ぶくれしているのだとう議論もあるくらいでありまして、今回御審議を願っています再建促進法が成立いたしますれば、最も赤字に苦しんでいます団体はこの法律適用を受けまして再建団体になりまして、地方財政の立て直しに邁進するでありましょうし、再建団体にならぬ地方団体もいろいろな点におきまして経費の節減等をはかっておるのであります。これでもなお足りない場合は、当然あとは何とか国家において見なければならぬという考えであります。しかしその場合に交付税一本でやるべきか、あるいはたばこ益金から出すべきか、あるいは地方税を増すべきか、いろいろ方法はあります。同時に税法関係で処置をしただけでは解決しないのであります。やはり根本的に機構改革をしなければ地方財政というものは決して健全化して行かないのでありまして、従いまして私どもは長年蓄積した赤字財政でありますから、この解決は三十年度限りではできないのでありますからして、三十年度と三十一年度年度にまたがって根本的に地方財政立て直しの施策をするのだということを国会においても数回申し上げておるわけであります。今お話の交付税を増すことも確かにその一つであります。しかし地方財政の立て直しは、ただそれ一つだけではないので、ほかにも方法があるんじゃないか。一体どの方法をとったらいいかということについては、まだ結論には到達しておりません。自治庁長官としましては関係大臣ともいろいろ相談をいたしておるわけであります。地方交付税を増せという御議論はたしかに一つの御議論でありまして、私どももこれを地方財政立て直しの一環として考えてはおります。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に荒木君が質問する予定になっておりますから、私この際もう一件だけ伺って終りたいと思いますが、それはここに自治庁長官がお見えになった機会にぜひとも聞いておきたいのでありますが、それはやはり地方財政関連があるのでございます。先般文部大臣には見解を伺ったわけでありますが、それはスポーツの問題です。私は国民の体位向上さらに国民生活を明るくするというようないろいろの角度からスポーツというものは大いに振興さすべきである。私は十七回のオリンピック大会はローマにとられましたが、一九六四年、一九六八年のオリンピックはぜひ日本に持ってきたい。また日本の国内のスポーツ行事である国民体育大会というものも最も有意義に能率的に続けていきたいという私見を持っておるわけでありますが、それを前提として伺いたい点は、本年度行われる国民体育大会は第十一回になっております。現在のところ国民体育大会の開催予定地は十四回まできまっております。御承知のように国民体育大会はブロックをずっと回ったわけです。ブロックを、回ってしまって各個別県を回っておるわけですね。私はこれを眺めてみますと、これら会場を回って施設をこしらえることは非常にけっこうなんです。ところが国民体育大会を開催するに当りましては相当の施設が要るわけなんですね。地方財政の窮迫下に施設をこしらえる、その施設があと利用されればいいのですけれども、その地域でこなせないほど大きな施設が作られるわけです。地方財政の窮迫下に施設はするが、国民体育大会が終ったのちに草が生えておるというような所があるわけです。私現在それを見ておるわけです。それで私、私見として持っておることは、今開催予定地できまっておる第十四回の開催予定地が終ったのちは東京、大阪とか、あるいはブロック別に開催したところの施設を不足分は充足して国民体育大会を開催していくようにすれば、この国民体育大会の意義からいってもまた地方財政との関連もよろしいのじゃないか。今までのように次々に県を十五回、十六回、十七回とずっと回るということはどんなものだろうか、数年前から一つ方針をきめてかかるべきじゃないか、こういうふうに私は考えておるわけですが、この点が一点と、それから長官に伺いたい点は、今年神奈川に第十一回のが開かれるのですが、相当準備もできておるようですけれども、十二、十三、十四回と、こういう開催予定地はそれらの自己財源で、ある程度の準備は進めてきております。しかし先ほどから議論になっておりますように、地方財政の窮迫下、なかなかその地域に必要なスポーツ施設さえ充足できない状況でありますが、これらの地に対しては起債の許可等適当な程度に援助さるべきものと私は思うのですが、いかようにお考えになり、どの程度の構想を持っておられるか、大きく国民体育大会の今後の開催方針と、それからすでに開催を決定されておる地域に対する自治庁側からの助成方針というものをどうお考えになっておるか、この際その二つを承わっておきたいと思います。
  71. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 国民体育大会、これは非常に重大な問題でありまして、ただ地方財政の困難からだけこれを解決することはできないと思っております。文部省などの方針もありまして、常に一つのところで開催するということが果して適当であるかどうかということは、十分考究する余地があるのではないか。しかしながらまあ多数ある府県の特に窮乏した財政の府県に持っていきまして赤字をふやすというようなことは、これまた考えるべき問題でありまして、これらの点については、国民体育大会の趣旨を尊重しながら、地方財政にも比較的影響のないように運営していくことが必要ではないかという気持が私は今いたすのでありますが、これは自治庁として特にこの問題について熟議をいたしたことはありませんので、私の今日の思いつきの意見を申し上げるのですが、起債のことにつきましては、これまでそういう関係の起債は許可をいたしたことは、実例はありません今までは。今後そういう実例がありまして、起債の支出があった場合には、そのときの問題として考究してみたいと思っております。前例といたしましては、国民体育大会の設備のための起債ということは、今までは許可した前例はないのであります。今後その問題がありまして、関係府県からして相談がありますれば、そのときの問題として考究いたしてみたいと、こう考えております。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は私は強く要望しておきますが、将来のことはともかくとして、現在開催予定地もきまって施設設備の準備段階にある団体に対しては地方財政が、地方財政の累年にわたる窮迫が今日のごとく危機状態にきている段階においては、私は相当な考慮をしてやらなくちゃならぬものと考えておりますので、ただいま自治庁長官も要請があれば検討してみようというお考えですが、十分にこれは御検討あってしかるべきで、さらに今後半永久的にいかようにその国民体育大会を開催していくかということについては、これはあなたが申される通り自治庁当局だけの見解で地方財政関係からのみ決定すべき問題でなくて、文部省なり内閣の方針としても、私は事前に検討されてしかるべきものだと思いますので、それらの点については強く要望いたしておきます。
  73. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 荒木君に申し上げます。先刻来川島自治庁長官、松村文部大臣、両人の出席の際に特に御質疑があるというお申し出でありますから、そのようにお計らい申し上げます。お願いいたしますことは、両大臣とも他の委員会等から要望がありますから、そのことも御了承の上でよろしくお願いいたします。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは簡単に質問を申し上げます。私の質問の、要点は、この前の委員会の際にも自由党の木村委員から質問がありました教育財政に今後しわ寄せが起るのではないかという点でございます。この問題については自治庁長官は再三再四にわたりまして、そういう心配はないと、こういう答弁でございますが、しかしその答弁ではすぐに納得しがたいのであります。と申しますのは、先ほど長官もお認めになったように、現に給料の遅払いという問題がございます。先ほどは新潟県の例をあげられましたが、その他の京都府においても、あるいは佐賀県においても、こういう事例はございました。それから給与の遅払いだけでなしに、定期の昇給がストップになっている、あるいは相当期間延期になっている、こういう事例も少くないのであります。それからさらに人員整理にいたしましても非常に過度な人員整理をしている、そういう事例もあるのであります。一体こういう事柄が起って来ている原因はどこにあるかという問題です。こういう給料の遅配が起ったり、定期の昇給がストップになったり、あるいは不適当と思われるような人員整理、こういう事態がなぜ起っているのか。こういうことが起ってくる原因はどこにあるのかという問題を考えてみますと、先ほどの長官の、しわ寄せの心配はないというふうにはどうしても受け取れないのです。私はこういう事態が起ってくるということ自体がすでにしわ寄せが行われているというふうに判断するわけです。先ほど長官もおっしゃったように、義務教育費の問題については、これは法律をもって確保してあるのだから従って心配はないのだというお話でありました。なるほど義務教育教職員給与については義務教育費負担法によって実績の半額法律によって確保されております。ですから、その分については予算化されているので、これは心配はないわけです。あとの半分がどう措置されているかという問題です。長官はこれに対しては、あとの半分についても、国庫が半額負概しているそれに見合う金額においてみてやるのだ、こういう説明です。そうすると、私は遅払いが起ったり、それから定期昇給がストップしたりするという事態は起こらないと思うのです。そういう事態は起らない。もし長官の説明通りであればそういう事態は起らない、こういうふうに考える。ところが現に起っている。そうすれば現に起こっているという事態は、これは確保されているべきはずの教育予算がほかの方面に使われて、いわゆる教育費にしわ寄せしているという結果になるわけです。私はこの原因について長官の説明を求めたい。長官は、しわ寄せもないし、財源もみてある、こう言うのですから、今起っている事態は説明がつかないわけです。そこで長官はどういうふうにこの原因を認識しておられるのか、その点を先ず伺いたいと思います。
  75. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方が赤字に悩んでおりまする原因はこれは多極多様でありまして、数千に上る地方団体、いずれも原因が違うのでありまして、一がいにここでどういう原因だということを申し上げかねるのでありますが、根本的に言えば、各地方団体が自分の財政負担能力以上の仕事を過去数年間やってきた、その蓄積がここへ来たのだと、まあ言えるのじゃないかと思うのですが、それ以外にも多々あります。その結果昇給がストップする県もあるし、また俸給遅払いの県もあるのでありまして、そういう事態を解消するためにぜひ必要と考えまして再建促進措置法を提案したのでありまして、今日資金難に悩んでいる府県というものは、いずれも多額の赤字をしょいまして、この赤字というものはごく短期な借金を主として地方銀行、政府資金も入っておるのでありますが借りまして、それを繰り返し繰り返し切りかえていく。その圧迫を受けて府県市町村が資金の融通がつかない、こういう事態に追い込まれておりまするからして、この赤字を一応たな上げの形にする。言いかえれば長期年賦償還に切りかえて二月、三月の短期で一々切りかえて、地方財政を資金難に追い込んでいるのを解消しようというのが今回提案している再建促進措置法の主なねらいであります。従いまして御協賛を得てこの法律が成立しまして、赤字の最もはなはだしい県が再建団体になりますれば、一応目先の資金難というものは解消しまして、俸給の遅払い等はなくなる、こういうことになるわけであります。今日の地方財政の窮迫のしわ寄せが教員の俸給にのみ来ているというようなお話でありますけれども、かりに給与に来ているといたしましても、それのみでなしに、一般地方公務員全体に対してそのしわ寄せが来ているのでありまして、特に教員だけにそういうしわ寄せが来ているわけじゃありません。のみならず教職員の方につきましては、荒木さんが御主催になっているような日教組というような強い後援団体もありまして、(「失言になりますよ」と呼ぶ者あり)むしろ地方教職員の方は一般職員よりも有利な地位にあるように私考えておるのであります。日教組を荒木さんが主催しているというのは取り消します。とにかくそういう団体がありまして、一般地方公務員も強い団結権をもって地方の長なり議会なりに対して交渉しておるのでありまして、むしろしわ寄せが来るとすれば教職員にあらずして、その他の一般地方公務員だと、こういうことを申し上げてもいいのじゃないかと、こう考えておるわけであります。
  76. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は問題をかなり限定してお尋ねをしておるわけであります。もちろん給与の遅払いとかあるいは定期昇給のストップとかこういう問題は決して教職員だけでないことは知っておるわけです。その他の地方公務員においても起っておるということは事実であります。そこで私はきょうは文部委員会でもあります関係で、例を教育費にとっておるのに過ぎないのでございます。そこでやはり私の質問は大臣の御答弁では的確に答弁していただいたようにはどうも考えにくいのであります。私の質問は教職員給与の問題は財源措置がしてある、こういう長官のお話でありました。私もその通りであると考えております。ところが昇給ができないという事態が起って来た。この理由は何であるかということを聞いているわけなのです。財源措置がしてあるのに昇給がネトーツプするという事態が起っているのはどういうわけであるか。それは過去の赤字のためにそのしわ寄せが来ているのだ、こういうふうに長官はお考えになっているのですか。そのようにも先ほどとれたのですが、そういう点、明らかにしていただきたいと思います。
  77. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 過去の赤字のしわ寄せのために財源措置が思うようにできない、これも確かに大きな一つの理由であります。しかし地方の財政の運営というものは何もただ過去の赤字だけとは言い切れないのでありまして、単年度から考えましても単独事業のやり過ぎもありましょうし、また補助事業も国家の補助金の持ち方が少いがために地方負担が多くなって、それがために他にしわ寄せが来るということもあろうかと思うのでありまして、そういう点に対しましては三十年度地方財政の運営に当りましては政府も十分注意をいたしまして、補助事業の立て方も変えまするし、また単独事業に対しましては極端にこれを規制いたしまして、何としても給与のごとき義務費に対しては地方財源の窮迫がそれに影響しないようにということは当然考えなければならぬ点でありまして、地方の知事にしても、市町村長にしても、そういう点については十分関心をもってやっているのだと私は考えておりますし、また現に私どもはそういうことをしばしば聞かされておるのであります。かりに地方公務員給与に赤字のしわ寄せが来ておるというのに、その原因は単一ではございません。複雑でありまするけれども、御指摘の従来の赤字のためということも確かにその一つであることは間違いないと思います。
  78. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 時間の関係もありますので、この問題について文部大臣にもお尋ねしておきます。私の考えでは今起っておるような問題、諸問題、給与の遅払いとか、あるいは定期昇給の延期あるいはストップ、そういう問題はです。今後私はさらにふえて来るというふうに思われるのです。ふえて来なければ非常に結構なことですが遺憾ながらふえて来るのではないかというふうに考えております。特に今政府がお出しになっておる再建整備特別措置法がきまれば、さらにこれがひどくなるのではないかというふうに考えておるわけなんです。この荷建整備法と関連して私がお尋ねすることをちょっと控えまして、いずれにしても事実としては今後ますますこういう種類の問題が拡大して来るのではないかと、こういうように考えておるのですが、文部大臣はそういう心配はないように思っておられるか、あるいは私と同じようにそういう傾向が顕著になって来ると考えておられるか、そういう点の御所見を伺っておきたい。
  79. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) ただいまのお話でございますが、地方の財政の窮乏の状態からみまして、この状態をずっとみましても、そういう傾向は今後やはり増大するおそれがあると考えて心配をいたしておるものであります。たとえこの法律のいかんにかかわらず、今日地方財政の疲弊しておる状態からみますと、いわゆる背に腹はかえられぬというような状態で、そのような御指摘の傾向が続いて参ることをおそれておるわけでございます。従ってこれに対する方策は、一面教育の重要性からみて、地方のほうに御注意を願うとともに、また当局としてもこういうことを除去する方針なり考え方を研究しなくちゃならないのだと、こういうふうに考えております。
  80. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど川島長官はこの給料の遅払いとかあるいは定期昇給のストップとか、そういう問題が起って来た理由の一つに、やはり赤字で苦しんでいる、その結果これが大きな理由になって、こういう事態が起きておる。こういう御認識でございました、御説明でございました。私も確かにそういう面があると思います。そうなればこそ、私は教育財政確保するために、教育予算確保するために、何らかの対策をここで考究する必要がすでに起ってきているのじゃないか。あるいは将来そういうことを十分考慮に入れて今日から対策を、教育財政確保の少くとも恒久的な対策を考えなければならんような事態がすでにきているのじゃないかというふうに考えるわけなんであります。もちろん大臣は、いろいろそういう点について心配もあるのでよく考えたいと、こういうお話でございました。私は今ここでどういうふうな対策があるかということは質問いたしません。この際要望しておきますが、確かに私は今後教育予算というのは相当苦しい立場に追い込まれるのではないかということを考えているわけです。そういう意味において、これは文部大臣におかれてもまた自治庁長官におかれても、義務教育あるいは広く日本の教育を守るために十分な対策を御研究を願いたいということを要望いたしまして、私の質問はこれをもって終ります。
  81. 笹森順造

    委員長笹森順造君) この際皆様方に申し上げます。両大臣の他の委員会における要望の時間の割り振りで、約一時間という約束でありましたが、大分時間も経過して、強く他の委員会から要望がありますので皆様方の御了承を得たいと思いますが、いかがでございますか。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長、二分しかかからない、両大臣のおるところで二分しか……。
  83. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それじゃ二分だけ。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 両大臣のおるところで二分間に答弁願います。私は先般文部大臣が発言された、答弁された内容にかかわるわけですが、この再建整備法による三条の二項の、自治庁文部大臣と「協議しなければならない。」というのは、完全に対等の立場において協議される、かように了承してよろしいかどうか、両大臣の答弁。それから、文部大臣はこの前、都道府県当局教育委員会は十分話し合うから心配要らないだろう、しわ寄せはないだろうということを答弁されました。今でもそう思っておられるかどうか。教育委員会の意向が都道府県当局から十分取り入れられるというように、もしこの条文がなっているとするならば、どういうところにそういうふうに出ているか。いずれ深入りしたことは次の、審議するときに伺いますが、それだけ両大臣おられるところで答弁しておいていただきたい。
  85. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 今の御質問に対するお答えでありますが、あとのほうの、都道府県当局者と教育委員との間に話し合いが行われるだろうと申しましたことは、別に法規に準拠いたしたことではございません。これは、当然教育行政を円滑に運びます上においては、それくらいのことは当然あることだと思いまして申し上げたわけでございます。それから自治庁と私のほうとに対しては、これは法規で、やるというふうにきまっておりますので、これはもちろん対等でもございまするし、先刻来長官の御答弁も承わりましても、教育を十分尊重せられてすべてお考えをいただいて現在おるわけでございまして、その間の連絡には万遺憾のないことを期し得ると思うております。ただ先刻荒木さんにお答え申したような次第で、この法のいかんによらず、地方の疲弊のために教育に影響することの傾向がだんだん顕著になってくることだけは、これは認めざるを得ませんので、これに対する根本的な措置等は自治庁の長官ともよくお話を申しまして、そういう弊をできるだけ避け得るように努めたいと考えております。
  86. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 第一の御質問ですが、それは対等どころじゃない。文部大臣の意向を尊重してやろうと、こう思っておって、わざわざああいう条文を入れたわけであります。(「川島長官らしい答弁だ」と呼ぶ者あり)それから第二のほうは、これは従来も幾らも例がありました。地方教育委員会とが円満にいかなければ、地方教育は破壊されるのでありますから、これは円満にいくことを希望もいたしておりますし、また従来の例も、決して両者の間に食い違ったことはないのであります。多少食い違いがあった、予算などありましても、いずれも調整されて円満に運行されておるわけでありますからして、御心配の点はないと考えております。
  87. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件に関する質疑は本日はこの程度にして、次の議題に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止
  89. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて下さい。  次に女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施確保に関する法律案議題といたします。  まず発議者より提案理由説明を求めます。参議院議員高田なほ子君。
  90. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいま議題となりました女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施確保に関する法律案につきまして、その提案理由並びに要旨を御説明申し上げます。  そもそも国家の再建がその基盤を教育に置かなければならないことはもとより贅言を要しないところであります。現在わが国における国立及び公立の高等学校以下の教育を担当しておりまする教育職員は五十万人を数えますが、その約半数に当る二十四万人は女教師であり、さらにその四〇%は既婚者でありまして、平均二人ないし三人の子女を持っている現状であります。教育の真諦は母性愛に発源し、母性愛に帰結することは幾多の実績にも見られます通り、人の子の母である女教師の責務は特に重大であると申さねばなりません。従ってその特性が遺憾なく発揮されるためには、母性としての教師の保護が十分に措置されなければなりません。  女教師の産前産後の保護については、すでに大正十一年九月十八日の文部省訓令によって、分娩前二週間、分娩後六週間の休養が認められましたが、事実は休養できず登校する向きも少くないため、再三にわたって文部次官から通牒が発せられております。  その後日本教職員組合が結成されまして以来、産前産後の代養と、その間における補助教員問題がるる論議され、これが改善のため不断の努力が払おれておりますにもかかわらず、今なお不十分な状態におかれておりますことははなはだ遺憾であります。  すなわち昭和二十二年に労働協約として産前産後の休暇十六週間が決定されました。この協約は、教育の特殊性にかんがみ、まことに適切な取扱いでありますが、その後の実状を見まするに、十六週はおろか、労働基準法第六十五条に規定されておりまする十二週間の休養さえも十分には守られず、六ないし七週間の休養が通常の状態でありまして、はなはだしきに至っては、わずかに一週間しか休めなかったという例が、二十九県を通じて九十二名にも上っている現状であります。このような状態でありますから、その当然の結果として妊娠中絶の傾向は高まり、異常出産は三四%にも上り、母体、胎児並びに嬰児の健康障害を来たすのみならず、直接間接に教育上不良の影響を及ぼし、ひいては国民保健上からもゆるがせにできない重大問題であると思料いたします。  これらは、もちろん女教師の教育的情熱と道義心の発露によるところの一斑の原因もありましょうが、主として産休期間における補助教育の配置が十分に実施されないことに起因するのでありまして、現在全国を通じ補助教員を配置しておりますのは三十七県に過ぎず、これとても必ずしも完全とは申されません。すなわち長野県におきましては、補助教員要求数四十名に対し、設置数五名、栃木県におきましては、八十名に対して十五名、愛知県におきましては、百七十七名に対して、わずかに六名であり、しかもニカ月をもって打ち切っている実状であります。従って産休期間におきましては、合併授業(一七%)自習(五〇%)等の応急措置により、不正常な教育実施されておりますため、教育効果の著しい低下を招いているのであります。かかる憂うべき現状を解決し、学校教育の正常な実施確保いたしますには、産休補助教員を設置する制度の法神化こそ刻下の急務であることを痛感いたしまして、その目的達成のため、ここに本法案を提出いたした次第であります。  次に本法案の内容の概略について御説明申し上げます。  まず第一点は、この法律における「学校」とは、小学校・中学校・高等学校・盲学校・聾学校養護学校及び幼稚園であること、「教育職員」とは、学校の校長(園長を含む)・教員・実習助手及び寮母を指すこと、並びに教員とは、教諭・養護教諭・助教諭・養護助教諭及び常勤の講師をいうことを明確に定義したことであります。  第二点は、国立又は公立の学校に勤務する校長以外の女子教育職員の産前産後の休暇中における補助教員の任用と、女子の校長の産前滝後の休暇中における校長の代理をなすべき教員または当該教員を補助させる教員の任用もしくは併任を任命権者の義務として規定し、その任用が不可能の場合または著しく困難な場合には、十四週間をこえない期間の臨時的任用ができる規定をも設けたことであります。  第三点といたしまして、臨時的教育職員に任用された者は教育公務員特例法適用を受けることと、これらの者は都道府県の定数条例による定員に入れないことを明らかにするため、附則において所要の改正を加えました。  第四点は、附則第二項において、現に女子教育職員に対し、十二週をこえる期間の産前産後の休暇を与えることができるものとされている地方公共団体に対する、調整規定を設けたことであります。  第五点は、私立学校におきましても、学校教育の正常な実施確保するため、雄前産後の休暇中における教育職員の補充と必要な措置を講ずべき倫理規定を設けたことであります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
  91. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件に関する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時七分散会    ————————