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1955-07-05 第22回国会 参議院 文教委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月五日(火曜日)    午後二時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            木村 守江君            荒木正三郎君    委員            大谷 瑩潤君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            高橋 道男君            安部キミ子君            矢嶋 三義君            村尾 重雄君            山田 節男君            松原 一彦君   国務大臣    文 部 大 臣 松村 謙三君   政府委員    文部政務次官  寺本 広作君    文部大臣官房会    計課長     北岡 健二君    文部大臣官房総    務課長     田中  彰君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省社会教育    局長      寺中 作雄君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和二十七年九月三十日以前に給与  事由の生じた旧財団法人私学恩給財  団の年金特別措置に関する法律案  (内閣送付予備審査) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (教育財政に関する件)  (大阪市立大学校舎接収解除に関す  る件)   —————————————
  2. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまより文教委員会開きます。  まず、去る一日の理事会経過について御報告いたします。  本日の議題といたしまして、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団年金特別措置に関する法律案教育財政。以上の通りでありますが、さように進行して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それではさよう取り計らうことにいたします。  昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団年金特別措置に関する法律案議題といたします。  本件に関する御質疑のある方は御発言を願います。
  4. 高橋道男

    高橋道男君 この法律ができましたらどのくらいの人数がその恩典に浴するのですか。
  5. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 現在生存いたしておりますのが一千三十六人でございます。
  6. 高橋道男

    高橋道男君 それは第二条には五十才に達する月までは支給を停止するということがありますが、その一千三十六人という人数の中にはその第二条に該当する人はあるかないか。
  7. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 五十才未満の者が一千三十六人のうち九十五人ございます。これはついでに申し上げますと、すでに年金をもらっておりまして、今度改訂によりまして増加いたします分についてだけ若年停止をする、こういう考えでございます。
  8. 高橋道男

    高橋道男君 表題にあります昭和二十七年九月三十日以前、その九月三十日から昭和三十年四月以降という、この間の人たちはこれは共済組合か何かで全部含まれることになるのですか。全然この恩典に浴し得ないという人は一人も残されないかどうか。
  9. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 二十七年九月三十日以前に給付事由の生じておりましたものがこの規定になりますが、それ以後に給付事由の発生いたしましたものにつきましては、私立学校教職員共済組合法成立いたしますまでの間はその恩給財団規定給与を受けておるわけであります。教職員共済組合成立いたしました以後におきましては、共済組合長期給付を受けるものと、それから従前恩給財団規定でそのまま行くものと二つに分けられますので、これは恩給財団に入っていたものがその当時成立の際に選択をいたしましたどちらかへ振りかえをいたしております。そういう状態でございます。従いまして二十七年九月三十日、正確に言えば十月一日以後に給付事由の生じておるものにつきましては、恩給財団の方で規定があるが、共済組合の方の規定によって給付を受けるか、どちらかになるわけでございます。
  10. 高橋道男

    高橋道男君 この法律は教員であった人に対してアンバランスの生じないようにという目的だと思うのですが、今言われたいろんな種類の種別の人たちに対して、どこにもアンバランスができないということは言えるでしょうね。
  11. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 九月三十日におきまして、私学恩給財団規定改正をいたしまして、大体それまでの年金の十倍に引き上げると一緒に掛金の額を七・五倍ぐらいに引き上げました。従いまして九月三十日以前にすでに退職いたしておりました人は、従前掛金しか払っていなくて新しい掛金を払っておらないわけであります。そのものに対しては年金額を二倍にしか上げなかった。そこで掛金が上って給付が十倍になるものと、掛金は昔のままで年金額が二倍になったもの、こういうアンバランスが生じたわけでございます。その後私立学校教職員共済組合ができましてから、一部のものは共済組合長期給付を受けるようになり、それから一部のものはこの恩給財団従前規定のままの給付を受けるわけでございます。その後両者においてはアンバランスがないとは申されません。しかしながら選択権法律によって与えられまして、それをみずから選んでこうしたわけでございます。掛金比較的少い方を望む方々恩給財団従前の例によられ、それから掛金比較的高くても将来における給付を望む方々は大体共済組合長期給付を受ける、こういうふうになったわけでございます。そこで今度の改訂アンバランスをどういうように整理しよう、訂正いたそうとしたかと申しますと、大体すでに掛金をかけておるわけでありますが、二十七年の九月三十日のときの規定改正で、掛金個人負担三百円になったわけでございます。一応この人たちはそのときすでにやめておったから新しい掛金を出さないわけでございますけれども、三百円の掛金があったものといたしますと、その三百円の毎月掛金を払う人たちにつきまして、公立学校共済組合では二十年で三万七百円程度、それから国家公務員共済組合におきましては三万一千円余、それから私立学校教職員共済組合におきましては三万四千円程度厚生年金保険の被保険者は三万二千円程度、こういうふうな給付を二十年たった後において退職の際年金として受ける、こういう実情でございますので、それに大体合せて二十年のものが三万二千五百円程度を受けるというふうに考えますれば、大体バランスがとれるんではないか、こういうふうに考えた次第でございます。
  12. 高橋道男

    高橋道男君 そうしますと、この今御説明になった一番最後の点の金額でありますが、これは今度新たにこの恩典に浴する人たちが、従来いろんな意味の陳情をしておったと思うんでありますが、その陳情しておった希望金額とは合致しておるんでしょうか。それとも、もし開きがあるならばどのくらいの開きがあるんでしょうか。
  13. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 希望しておりました金額につきましては、多少人によりあるいは時期によって差がございますから、現在の私学恩給財団従前の例によるという場合には、全額六万円に年金がなるようになっております。しかしながらそれは財源関係規定上はそうなっておりますが、三百円の掛金の間は四万六千円に押えられております。従いまして四万六千円から六万円というふうなところが望ましい線であるということは陳情される方々の言われる点でございますが、それと比べますと、多少の、と申しますか、ちょっと差が出て参るわけでありますけれども、何しろ全然掛金納付義務のない方々でありますし、やはりそのまま考えるよりは、何か合理的な線で希望される線に近づけるのが適当ではないか、こういうような考えから、先ほど申し上げましたような三百円の掛金をしたとしたら他の共済制度において年金額が幾らになるかという推定の下に大体その平均値をとりまして、三万二千五百円、二十年で三万二千五百円、従いまして十五年の場合にはそれからある程度引き下げる、この引き下げる場合におきましても、大体従来の恩給財団の実際の状態といいますか、年数によって開きができますが、その開きが割合に少いので、その幅をとりまして、それぞれ現在受けております年金額の二・五倍というところに押えた次第でございます。
  14. 高橋道男

    高橋道男君 これに関連があるので伺っておきたいと思うのですが、これは政務次官の御意見も伺わなければならぬかもしれませんが、予算修正によりまして、私学共済組合事務費、あれに四百万円を割り当てられておることを聞くのでありますが、これは事務費としてでなしに、事業費として現在の共済組合長期給付国庫補助金をふやすというようなことについて御考慮があるかどうか、これを伺いたいと思います。
  15. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 先般の衆議院の予算修正によりまして、私立学校共済組合に対する補助金が四百万円増額されることになりました。それはお話のように事務費に回るものというふうになっております。ただ円といたしましては、私立学校共済組合補助金一本でございます。多少その点について御意見があるということは承わっておりますが、事務的には一応事務費ということで処理されておるわけであります。
  16. 高橋道男

    高橋道男君 その点政務次官いかがですか。ほかの組合、あるいは厚生年金との関連においては、長期給付補助金をふやすということが妥当のように思われるのですけれども、いかがでございましょうか。
  17. 寺本廣作

    政府委員寺本広作君) この点は当初予算折衝いたしました際、文部省からは希望として大蔵省に申し出た点でございますが、大蔵省厚生年金との均衡論だけでは賛成しがたいということで、結局文部省側主張が取り入れられずに政府原案が出たわけでございます。その後ただいま北岡課長から申し上げました通り自民両党の予算折衝でこの四百万の金額が入ったわけでございますが、自民両党の修正の際もやはり厚生年金並み国庫補助金という主張は通らなかったように聞いております。従って事務費と私たち解釈いたしておるわけでございます。それで厚生年金並み国庫補助ということを私どもとしては主張いたしたわけでございますが、御承知通り厚生年金給付が非常に低額でありまして、この私立学校共済組合給付に比べますと、はるかに厚生年金の方が下回っておるわけでございます。そういうことで、まあ国庫給付率が高いということも大蔵省側主張する大きな主張一つでございます。また一つには、厚生年金では積立金資金運用部に預けておる。その金利共済組合が現在市中銀行に預けております金利に大きな開きがあるというようなことで、まあいずれにいたしましてもこの国庫補助をふやした場合の財源関係大蔵省が考慮しました大きな点でございました。この二点から私たち主張通りにくくて、結局まあ百分の十という補助金に落ちついたわけでございます。その後私ども主張と同じことが自民党折衝の場合に話題に出たわけでございますが、やはりこの場合も今の厚生年金との均衡論並びに金利の問題というようなことで話がまとまっていない状況であります。
  18. 高橋道男

    高橋道男君 そうしますと、今の問題は今年度あるいは全然見込みがないという意味でしょうか。四百万円の増加が認められておるので、法律改正等方法によって給付をふやしていくことは不可能ではないというようなお考えでしょうか。全然できないというお考えでしょうか。
  19. 寺本廣作

    政府委員寺本広作君) 国庫補助金給付率を引き上げるということを政府提案としてやることは困難であると考えます。
  20. 高橋道男

    高橋道男君 この四百万円という金額だけから考えますと、給付をふやすということは可能なんですか。これを念のため伺っておきたいのです。
  21. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 先ほどちょっと申し上げましたように、予算の目としましては私立学校教職員共済組合補助金一本でやります。従ってその中における科目の右左の問題でございますが、不可能とは申せないと思います。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この質問商橋委員質問に重複するかもしれないと思うのですが、今度年金増額によってその増加する費用共済組合負担する、それからその費用私立学校振興会助成すると、こういうふうになっておりますが、共済組合負担する能力があるのかどうか、あるいはこれに対して新たに国庫補助という点についてどのような措置がなされているのか、御説明を願いたいと思います。
  23. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) この私学恩給財団関係私立学校共済組合法成立いたしました際にその付則定めに従いまして私学恩給財団は解散いたし、その権利義務共済組合に承継されることになりました。従いまして私立学校教職員共済組合におきましては、この年金者、すでに年金を払っておる者、今後発生する年金者に対する支払い義務を負うわけでございまして、その財源私立学校教職員共済組合掛金あるいは国庫補助金その他の財源によってまかなうことになるわけでございます。ところで、その場合一つ付則による経過規定によって権利義務の承継が定められましたから、そのときにおいて発生しておる権利義務だけが承継されたわけでございます。従いまして私立学校教職員共済組合におきましては、その後の掛金等計算におきましても、当時継承するところの義務についてだけ財源計算して掛金定めておるわけでございます。従いまして今度新たにこういう義務法律によって発生いたしますれば、これに対しては私立学校教職員共済組合が自分で新たに財源を見つけない限りは一応計算上は支払い能力はない、こういうことになるわけでございます。そこでこれに対しまして、私立学校振興会沖規定によってこの増加する部分、新たに発生しました義務の分について、私立学校教職員共済組合に対して助成するということによって財源を与えよう、こういう考えでございます。この場合、国庫から直接私立学校教職員共済組合に対しまして財源措置をいたすことも理論上は可能なわけでございますが、国家財政関係その他を考えまして、私立学校振興会からの助成によってその財源措置をするというふうにいたした次第でございます。なお私立学校振興会政府出資金を得てこれを資金にしまして、私立学校振興のために私立学校に貸し付けておりますが、その場合に利息をとっているわけでございます。その利息は普通の特殊法人でございますと大体これを国庫に返納するとかあるいは出資金のほかに借入金等資金を使う場合に、その利息の差額の補てんに充てるとかいうふうに使うわけでございますが、私立学校振興会については入りました利息事務費それから積立金その他私立学校振興上必要な事業助成または貸し付けるというふうに規定されております。時に二十二条第一項三号におきまして、教職員福利厚生のために事業を行なうものに対してその事業または施設等に対してこれを助成または貸し付けることができるというふうに規定されております。ただいま申し上げました教職員福利厚生を行うものというのがまさに私立学校教職員共済組合を指しております。この私立学校教職員共済組合が今度今までの仕事以上にこういう福利厚生的な事業を行う際にこれに対する助成を行うということは、振興会成立趣旨から見ても適当な仕事であるというふうに考えた次第でございます。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると振興会から共済組合助成する金額は、この法改正によって起って来る増加する費用、それと同額を助成するのかどうか、その点をお伺いします。
  25. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 増額する費用は一応私立学校教職員共済組合負担といたす、そうしてその費用について文部大臣定めるところによって助成を行う、こういう考えでございます。この文部大臣定めの内容といたしましては、助成の額あるいは助成の時期、助成方法、そういうような事項を定めたいという考えでございます。大体において増加する費用十分助成によって賄えるようなことを考えているわけでございます。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、この増加する費用は、実際は私立学校振興会がその財源を確保しなければならぬということになると思うのですが、その場合私立学校振興会としてはどういう方法によってその財源を確保するかという問題があると思うのですが、そういう点の御説明を願いたいと思います。
  27. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 先ほど申し上げましたように、私立学校振興会は国からの出資しました金を私立学校に貸し付けて利息をとっているわけでございます。その利息の額というものは実は相当な額になりまして、昭和二十九年度においてはまだ決算は済みませんが、大体一億二千万円くらいが計上されております。ところで今度の法律改正によりまして、いわゆる既年金者に対して年金額の増加いたします分が先ほど申し上げました一千三十余人分に対して一千七百何方かでございますから、このほかに私立学校振興会がさらに他の助成をいたしますとしましても一億二千万の中から出すわけでございまして、そんなに無理な線でもないというふうに考えられます。なお二十九年度は約一億二千万円の剰余金でございますが、今年度成立さしていただきました予算においては、さらに出資額が八億五千万円増加いたしておりますが、従いましてその分の利息がさらに加わるわけでございます。今後なお出資を継続させていただくようなことになれば、この私立学校振興会利息によってかせいで参ります金額というものは年々少くとも一億五千万から二億ぐらいの金額に相なるわけでございまして、一方既年金者の方は本年は一千七百万程度でございますが、だんだんこれは減額いたして参るわけでございます。老齢の方々がおられますから当然減額をいたして参るということに相なりますので、先細りと資金の方は先太りということに相なりますので、大体御心配は要らないと思います。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大体ただいまの説明で私も了解しました。私の質問しておった趣旨は、私立学校振興会としては新たに負担がふえてきたわけですから、その財源をどうするかという問題があると思うのですが、それは私立学校振興を助けるための貸付の資金ですね、それが今年は相当増額されている、増額というか、相当な額に達しているということで大体私了解いたしました。  それからもう一つ、この私立学校教職員年金とそれから公立学校教職員年金との開きですね、これは相当な開きがあると思うのですが、そういう問題について文部省の見解を伺っておきたいのです。
  29. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 公立学校共済組合私立学校共済組合とは同じ国家公務員共済組合法によっておりますので、従いまして給付等規定においては差はございません。二十年で四カ月分の年金、二十年たちますと退職時の四カ月、それから一年を増すごとにたしか四日ずつ加算になっていく、規定の上ではそういうふうに同一でございます。そこで多少の差が出て参りますのは、公立学校共済組合の場合には掛金の本になる報酬本俸でございます。それから私立学校教職員共済組合の場合には、掛金の本になるのは標準報酬と言っておりますが、標準報酬本俸手当等を加えた額になります。従いましてそれぞれを本にしてそれぞれ二十年で四カ月というふうにやっておりますから、基礎の数字の違いがそこにあるわけでございますが、これは一方から申しますと掛金負担の重さがそこに差がある。こういうことになるわけでございまして、考え方といたしましては私立学校教職員共済組合の方が不利ではないかという感じはもちろんいたすおけでございますけれども私学の現在の財政状態から申しますと、給付の本になりますそういう報酬の点については、もう少し現在の状態を続けていってみて開き考えてみなければ早急に判断はできかねるという状態であります。
  30. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 公立学校教職員に対しては恩給というものがありますね。これに対して私立学校教職員に対しては、これに見合うものとしてはどういうものがありますか。
  31. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 先ほどの説明でその点を失しまして申しわけございませんが、公立学校の場合で共済組合長期給付を受けます者は、いわゆる恩給に引き継がれない者、従いまして用員とか助教とか、こういう者だけになるわけでございます。もし助教であった者が教諭になる場合には、そこで一応退職一時金を払ってそして教諭に切りかわるわけでございます。その以後は御承知のように公立学校の場合には恩給という別な制度に切りかわるわけでございます。私立学校教職員の場合には、この恩給に当る制度がございません。従いまして、退職後の生活保障といいますか、そういう制度としましては、この私立学校教職員共済組合法一本でございます。その点で現実の問題としまして、恩給の場合には本人が負担する比率が比較的低くて、そして共済組合の場合には負担する率が比較的高いという差等はございますけれども、現在の段階におきましては、それぞれ独立の法人としての性格を持っております学校法人が一本になった恩給的な組織を持つということはかなり困難な事情でありまして、共済組合制度でいくよりいたし方ないかと、これでもずいぶん前進したのではないかと考えております。
  32. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 説明趣旨は私もよくわかります。そこで私学教職員退職後のいわゆる年金と、それから公立学校教職員退職後の恩給と申しますか、そういうものとの間には、相当な開きがあるのではないかと思うのです。開きがあるのが一がいに悪いとかどうとかいう意見を言っているのではなしに、私は私学の方の教職員比較的恵まれていないのじゃないかということを考えているわけなんですが、そういう意味でこの年金を、もう少し増加する必要があるのじゃないかというふうな考えがありますから、公立学校教職員私立学校教職員とのバランスというのはどういうふうになっているかという質問をしているわけなんです。
  33. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 恩給にいたしましても、共済組合年金にいたしましても、二十年で四月分という点は変りないわけでございます。ただその場合に、基礎の俸給が先ほど申し上げたような違いがあるのと、それからもう一つは、恩給の場合には……、間違えました、訂正いたします。恩給の方が十七年で四月分、それから共済組合退職年金の方は二十年で四月分、ここに三年の違いで基礎が出てくるという違いがございます。それからいわゆる国庫納付金掛金との違いがあるわけでございまして、たしか国庫納付金は百分の二でございますが、現在の私立学校職員共済組合掛金率は百分の三・一になります。そういう違いでございます。あと詳細な資料は今持ち合せておりません。
  34. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この法律年金額を引き上げられたことは私は非常にけっこうなことだと思いますが、引き上げ方が他と比較して少し少いのではないかというふうな感じがするわけです。この引き上げられた金額は、現在勤めておる人との関係はどうなりますか。現在勤めておる人がやめたときの年金と、この改訂された年金との比較ですね、これは高橋委員からも若干質問があった問題だと思うのですが、重複するようですが……。
  35. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 他の共済組合の場合は、先ほど申し上げましたが、月に三百円ずつの掛金をするものとして計算いたしますと、二十年で公立学校共済組合の場合は年金額三万円でございます。それから国家公務員共済組合の場合は三万一千五百八十円、それから私立学校教職員共済組合の場合は三万四千二百八十円、それから厚生年金の場合は三万二千三百二十八円、こんなふうな金額でございます。大体平均いたしまして三万二千七百円ぐらいになるわけでございますから、この際の二十年で三万二千五百円というのは、そういうような比較のいたし方をすれば大体妥当なところであろうということは考えられるわけであります。ところで恩給財団従前の例をそのまま踏襲いたしておりますものは、先ほども申し上げましたが、掛金は三百円であって、これが二十年後には四万六千円の給付をもらうと、もしもう少し時間が経過すれば六万円もらえるはずであると、こういう規定がございます。この規定通りに引き上げるといたしますと、先ほども申し上げましたが、この既年金者方々掛金はもうすでに終ってしまって、新たに掛金を払っておるわけではなくて、昔の三円のときの掛金、あるいは三十円になったときの掛金を払って、それ以後全然支払う方に対して財源のプラスをしておらないわけであります。今の六万円とか四万六千円とかいう人たちは、昭和二十七年の九月三十日の改正によりまして、それまで少かった掛金が六倍半でしたか七倍半でしたかに上って三百円の掛金を払うと、こういうことになって、それ以後掛金をずっと続けて払っておるわけでありますから、そこにやはり質的な差別がなければいけないだろうというふうに考えられるわけであります。なお恩給財団の三百円の給付で四万六千円といいますのは、率直に申し上げますと、掛金を出す方に非常に有利な給付でございまして、ちょっとほかのいわゆる共済組合制度等において計算いたします場合には、とうていこういう給付はとれないような高い給付になっております。それだけまあ財源的には困難な給付なのでありますが、とにかくそういう給付共済組合に引き継がれておりますから、それが続いておると、こういう実情でございます。
  36. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 公立学校の場合、戦前にやめた人と、それから戦争の終了後やめた人との間に相当な開きがあるということで問題になっておることは御承知通りであります。そうして、過去二回にわたって戦前にやめた人の基準金額というものの引き上げがあったけれども、なお今日相当の開きがあるというので、この基準を改正してバランスがとれるようにしてもらいたいという要請が非常に強いわけです。これは私立学校においても同様なことが言えるのじゃないかと思うのですが、その当時は掛金が非常に少かったと、しかし現在の三百円に対してその当時少かったのかどうか私にはよくわかりませんが、いずれにしてもあまりそこに開きがあるということは私はおもしろくないと思いますが、この辺が精一ぱいというところですか。
  37. 北岡健二

    政府委員北岡健二君) 大へんこの人たちはお気の毒な方々なんで、できれば私どもとしてもたくさん上げたいとは存ずるのでございますが、ほかの恩給制度で、すでにもらっている方々の引き上げの場合でも、また共済組合の既年金受給者の差額調整の場合でも、やはり順を追うて多少ずつズレがあっていっておりますし、財源的に申しましてもやはり相当、将来なくなるものとはいっても、一時的なものであるとはいっても、相当の金額になるわけでございますから、この辺が限度だという考えで、まあ合理的であるからということも加味しまして、この辺を限度と考えたわけでございます。
  38. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件に関してほかに御質疑ございませんか。御質疑がなければ、本件に関する質疑は本日はこの程度にいたしまして、次に教育財政議題といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  39. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議なければ、文部当局に対して御質疑のあるかたは御発言を願います。
  40. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 寺本政務次官にお尋ねいたしますが、今年の予算で展示会の補助金を削除せられた理由ですね。これは前にちょっとお尋ねしかけたことがあるのですが、私はこの問題について少しお尋ねしたいと思いますが、この教科書問題について今衆議院の行監でいろいろ証人を呼んで質疑が行われておるようでありますが、この展示会というのをどういうふうにしたらいいかという問題について文部省の私は方針を聞きたいと思うのです。
  41. 寺本廣作

    政府委員寺本広作君) 教科書問題は、実はこの間予算折衝の途中は私ども就任早々でございましたので、あまり予算折衝の際にこの展示会の予算については私自身そう気がつかなかったのです。申しわけないと思っております。その後私自分も展示会を今行われておるところを見て回ったわけでありまして、展示会の予算は、これはやはり何らかめんどうを見るべきものじゃないかという気がいたしております。私の見ましたところでは、ほとんど予算らしい予算を使わずにやっているのではなかろうか。行ってみますと、学校の先生が張り番にかわりばんこ来ておられて見守っておられますし、その先生がたに伺ってみますと、準備から跡片づけまで全部学校の先生方がやっておるということで、授業の方にも相当差しさわっておるのではないかという気もいたします。教科書制度全体を今度の通常国会までには十分検討いたしたいと思っておりますので、その一環として展示会の費用の点またやり方の点を十分研究してみたいと思っております。
  42. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこういうふうに解釈しておったのですよ。従来展示会については国庫で補助をしておりました。それが今年になってから補助が全然打ち切られてしまった。これは展示会というものをあまり必要ないというふうにお考えになった結果じゃないかというふうに私はとったのですが、展示会というものを軽視しておられるのじゃないかというふうな印象を受けたのですが、そういう点、政務次官どうなんですか。
  43. 寺本廣作

    政府委員寺本広作君) 展示会を別に軽視したつもりはございません。展示会に補助金が出ておったということを私承知いたしておりませんが、初中局長の方から御説明いたさせたいと思います。
  44. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 展示会に対する補助ではございませんが、教科書の採択に関連いたしまして、臨時措置法におきまして規定されております、需要数を都道府県あるいは地方教育委員会で集計をいたしまして、そうしてそれを文部省に報告することになっておるわけであります。それに対しまする経費を若干国庫で、国の予算に計上しておりまして、これが例の補助金整理の一環といたしまして三十年度の予算から落ちておると、こういう実情はあります。ただこれは展示会を開きまする費用というわけではありません。そういう実情はあります。
  45. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは文部省も御承知だろうと思うのですが、その補助金を展示会を開く予算に使っておるのが実情です、地方ではね。ですから、地方の教育委員の諸君に聞いたら、この種の補助金がなくなったので展示会というものを開くのが非常にむずかしくなった、十分にやれないということは、私教育委員なり教育長からしばしば聞いておるのです。というのは、その補助金がやはりもとになって展示会の予算というものが出ておったということが私は実情だろうと思うのです。そういう意味において展示会に影響するところは私は少くないと考える。
  46. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) まあ間接にはそういう影響が、地方からいえばそういうことがあるいはあるかもわかりませんが、これはまああくまで直接には需要集計の経費として今まで出しておったのであります。  展示会の実施の状況でありますけれども、今年は昨年と比べましてこれは各県とも非常な御苦心があると思いますけれども、昨年と比べまして決して数は減っておりません。若干まあふえておるわけでございます。今お話の点は、需要集計の国の予算が落ちました点は、これはそれだけ県に対しまして経費の負担がかかることにはなりますけれども、これは従来ともきわめてわずかでございまして、展示会の実施につきましては今年そう支障は起っておらぬと思います。
  47. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この展示会の問題は、端的に言ってこれを国でやるというくらいにまで決意を持ってもらうわけにはいきませんか。私は、教科書問題についていろいろ問題があるようですが、やはりこれをよくしていくための一つ方法として、展示会が有効に活用される、そういう状態になることがいろいろな問題を解決する私は一つのよい方法だと思っておるのです。だから文部省としては、展示会を一週間程度、お茶を濁す体で開くというのではなしに、もう少し力を入れて、そうして教科書の採択が展示会によってきめられていくのだというところまで展示会を充実する、そういう考えはありませんか。
  48. 寺本廣作

    政府委員寺本広作君) 展示会の問題だけ取り離して、この際展示会をどうするというようなことでなく、教科書問題全体を検討いたします際に、十分一つ研究さしていただきたいと存じます。
  49. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  50. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて下さい。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいま荒木委員質問関連してでありますが、現在展示会が行われておりますが、展示会の実施要領、実態について、文部省の所管局で把握されている点を資料として出していただきたい。その資料の中の重要な部分は何カ所で行われ、展示数は何点で、今まで把握された点からどの程度の教科書調査、教職員が会場に行かれたか、なお会場の施設管理はいかように行われているか、並びにその所要予算というものを各県によって相当差異があるかと思いますが、所管局においては実情を把握されていると思いますので、早急に、可能な範囲内において本委員会に資料を出していただきたい。  なおこの際に関連して申し上げておきますが、われわれが要求した資料二度、三度と催促しないと、適時的確に資料を出されない傾向がありますので、この点については政務次官に特によろしくお願いいたしたいと思います。
  52. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 文部当局に尋ねますが、ただいま御要求の資料は、可能なる範囲において、というのでありますが、所管上、それができますか。
  53. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 教科書発行に関する臨時措置法がございまして、ただいま御要求になりました資料のうちで都道府県の教育委員会から文部省に報告しなければならぬという事項に関連するものがございまして、これは毎年報告が出ております。その分につきましては、これはまあ早急にというお話でございますけれども、ちょっと時間がかかるかと思いますけれども、これは出て参ると思います。ただ、今御要求の全部につきまして詳しい資料がそう早く出るかどうかということはちょっと申し上げかねます。これは特別の調査しなければならぬ事項も相当あると思いますので、まず法律に基きまする省令によりまして、報告の出てくる事項につきましては、なるべく早急に提出いたしたいと思います。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 だから私は可能な範囲と申し上げた次第で、例年は文部省の所管課では旅費を使って展示会の実情調査というので、若干はピックアップして調査されるのが僕はならわしのように承知しております。従ってことしの展示会の計画並びに実施状況についても所管課では若干の調査はされておるのでありますから、可能な範囲の資料は出ると思います。
  55. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 可能な範囲で早急に提出いたしたいと思います。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その教科書の問題に関連して、その問題が出ましたから、私はもう一つ次回に質疑をするために必要でありますので、教科書問題の出たついでに要求したいと思います。  その資料は高等学校の教科課程について、昭和三十一年度から実施しようと予定されておりますところの教科過程と現行との比較、対照ができるような資料ですね、ちょっと申し上げますと必修単位が変って参りますし、またいわゆる新教科というものが新たに誕生するわけでありますから、たとえばそういうものが明確に比較、対照、把握できるような資料、これはむずかしくないと思うのですが、それを次回の委員会まで出していただくようにお願いいたしたいと思います。
  57. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 今の比較、対照というお話でありますが、新しいものは今印刷したものがすぐ間に合うと思います。古いものにつきましては印刷がちょっと……この次の委員会までに皆さん方にお配りできるようにすぐできるかどうか、帰ってよく調べてみます。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 当面の教科書の問題の質疑が一段落すれば私は別の問題について文部次官に質疑をいたしますが。
  59. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 関連して。直接予算には関係ないのですが、今展示会の話が出ましたので、もう二点だけお尋ねをしておきます。  それは文部省は指導要領を毎年中味を変えるようなことをやっておりますね。特に社会科の指導要領などは毎年若干変えている。これはどういうわけですか。
  60. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 毎年は変えておりません。二十二年に初めできまして、二十六年に一回改訂があったのです。その次は今度の改訂が初めてでございます。
  61. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私きのう現場の先生に会ったのですが、その先生が毎年社会科なんか指導要領の中味が変っているので非常に因る、こういうお話があったわけです。だから私はそのようになっているのじゃないかと思っておったのですがね。
  62. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) その点の経緯を御説明申し上げまして、それは誤解でございますので、誤解を解いていただきたいと思います。社会科の改訂につきましては、すでに御承知通りでありますが、二十七年の十二月に教育課程審議会に文部大臣から諮問をいたしまして、社会科の改訂の方策をきめまして、それから作業が始ったわけであります。二十八年の八月になりまして、教育課程審議会から答申が出ております。その答申に基きまして、社会科改訂の方策を文部省できめまして、これはまあ方策でありまして、大綱でありますが、それを今度は指導要領の形に具体化する必要がありますので、その仕事を二十八年の八月以降続けてやる。ただその間に、これはどういう方向に具体化していくか、方策はきまっておりますが、その方策の線に沿ってどういうふうに具体化されていくかということを現場の先生たちが非常に知りたがっている。これは教育界全般の意見もそうでございましたし、それから教材等調査研究会と申しまして、これが今の具体化の仕事をしたわけでありますが、そこに諮問をして文部省が具体化の作業をしたわけでありますが、その研究会の意見等も、これはなるべく一まとめずつ発表していった方がよろしいという意見が多く出まして、そこで一区切りずつ発表することにしたわけです。改訂としましては、一回の改訂ですけれども、そのまとまるごとに四回中間発表をする。そして最後に発表したのが第五回の発表、これが最終的な発表、これは先般発表されたのがそうであります。決して四回中間発表をしたからといって、四回も内容が変ったわけじゃないのでありまして、同じ改訂仕事をした、その一回の改訂の途中で、四回発表をした、こういうことであります。それは十分現場の方もわかっているはずでありまして、これはむしろ現場の要求に応えてやったわけであります。
  63. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今説明を聞いて、大体の様子はわかりました。しかしそういう中間発表がやはり検定教科書を作っている出版会社に影響して、そしてその都度毎年のように教科書の内容を若干変更しておるという事情があるように私は聞いたのですが、ですから指導要領のようなものは一ぺん改訂すると、やはりこれがどういう効果があるかというのには、最小限五年や六年の経験が必要だと現場の先生が言っている。ところが次々に変ってくる。それにつれて教科書会社も一部内容を変える。こういうふうにやられておるので非常に困る、こういう声であったのです。しかし今のお話を聞いて、中間発表程度のものであったので、改訂というのではなかった、こういうお話でありますが、こういう問題については非常に慎重に検討してもらいたいということを要望しておきます。  それからもう一つは高等学校の入学試験に英語を課する問題ですね。これを文部省としてはどう考えているかということをお尋ねしたいと思うのですが、たしか中学校は英語は必修科目でないと思います。選択科目だと思います。それを、高等学校の入学試験に英語を課するということを最近都道府県の教育委員会が相当きめております。これについては、私は必修科目でない英語をこの入学試験の科目にするということはどうかという考えを持っておるのですがね。
  64. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 高等学校の入学者の選抜の問題でありますが、これは御承知通り文部省から通達を出して、地方には文部省の方針と申しますか、考え方を示しております。しかし、これはまあきめるのは教育委員会であります。都道府県の教育委員会がきめておることであります。選抜につきましては、まあ中学校からの報告書と、それから学力検査と、この両者をとって選抜をする、こういう方法が現在やっている方法であります。もちろん見方もどの県も五〇%で半々で見る、報告書と学力検査の結果とを半々で見る、こういうふうなやり方をやっております。その際その学力検査の問題といたしまして、まあ各県でいろいろ考えておるわけでありますけれども、今の英語の問題は最近各県ともだいぶこれはふえて参りました。学力検査の科目としてとり上げておる県がふえて参りました。ただしかし、文部省として地方に示しております指導方針としましては、これはまあお説の通り選択科目でありますから、この選択を受けない者、それを選択しない者に対しましてやるということは、もちろんこれはいけないことでありますが、英語を課す場合には英語とあるいは職業、まあ職業も選択科目でありますから、こういうものをどっちかを選ばせるという形をとるようにということを私どもは指導いたしております。傾向といたしましては今お話のように全国的に非常にふえて来ていることは事実でありますし、これをやりたいという意向はあります。
  65. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は非常に矛盾があると思うのですが、英語を選択しておらない者は高等学校の受験ができないという結果になるわけなのですがね。そういう点で最近非常にこれがふえておるのですよ。これは私は文部省が指導しているのじゃないかというふうに思っているのですが、そういう点はないのですか。
  66. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 指導しているわけじゃありません。むしろその非常にふえた傾向に文部省としましては、それを検討して、それをやる場合にはこうしてもらいたい、こういう考え方を示しております。それは今申しましたように、英語を選択しない者に英語の受験、学力検査を課するということは、これはいけませんので、そういう際に今申しましたように、ほかの選択科目と、かね合せてやってもらう、選択した科目で検査をするのはこういうふうにしてもらいたいということをいっておるのです。積極的に英語をとり上げなさいといったような方針は、こっちから出したことはありません。しかし傾向はそういう傾向でありますので、それに対しましての考え方を示しております。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先般の教育予算関係のうち、昨日国会に提出された地方公務員法の一部を改正する法律案を含むいわゆる地方三法と教育財政関係について質疑が継続中で、私は文部大臣と自治庁長官おそろいのところで質疑をいたしたいということを申し上げておいたわけですが、自治庁長官がきょうおいでになっておられませんので、ただいま議題になっておる件は必ずしもそんな幅の狭いものでもないようでありますから……。当初私が地方財政と体育関係との関係において自治庁長官に伺いたいという一件もありましたので、文部大臣だけ御出席でございますが、その関係から若干伺いたいと思います。  で、まず伺いたい点は、大臣はいつぞや本委員会で私が大臣の松村文政の大筋を承わったときに、また何をなさんとする、野望を持たれていますかという質問に対して、スポーツの奨励ということを相当耳応えがあることを迫力をもって御発言になられました。その当時私は伺いたいと思ったのでありますが、そのときの本委員会の質疑の方向というものは、その一件を取り上げる筋合いのものでありませんでしたから、そのときは掘り下げませんでしたが、きょう私はあらためて、文部大臣のスポーツの振興という事柄は、どういうことをお考えになっておられるのかということを承わりたいと思うのです。それとあわせて、終戦以来国民体育大会というのが、御承知通りに各地方逐次に会場を持ち回っているわけでございます。その国体を主催するところの都道府県は、その受け入れ態勢に相当の財政的に多額の支出をされているわけでありますが、この点、各地方財政と国民体育大会の関連性が生ずるわけであって、大きく大臣の言われる体育振興と、体育行政の方向と、現行の国民体育大会の事柄についてどういう御見解を、または将来に対してどういう御抱負を持っていらっしゃるかということを、この際に承わりたいと思います。
  68. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 私が体育について申し上げましたことは、青少年の教育、訓育ということに重点を置きたいと、こういうふうに申し上げたのでございます。しかしながら、これに重点を置きたいということと、これを文部省がきつく統制管理するという考えとは、これは別でございまして、私どもは、できるだけ若い人たちが自分の自治的の考えで、そしてスポーツの明朗な精神を養ってくれることを期待いたすのでございます。ただこれに対して、もちろんやむを得ざる指導管理はいたさなくてはなりませんが、根底の考え方は、スポーツというものはあまり政府で統率しないで彼らの自由にやらせて、そして逸脱するところはこれは導いていくという考え方でやるべきものと考えておるわけでございます。国体のために地方に大きな費用のかかりますことは、従来のなんでありますが、今ではだいぶ地方にも国体をやる設備ができた府県がございますから、何も財政上の重い負担を地方にこの上さらにかけなくても、すでに設備のあるところを回っても弁ずるのでないか。要は、その各府県の熱意及び財政負担能力いかんによることでございまして、文部省といたしましては、それにはあまり関与しない方がいいんじゃないか、その地方の財政的の状態等を勘案して、いいんじゃないかというふうに私は考えております。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じゃ、文部大臣の体育政策に対する御見解の裏づけとしての予算面は、昭和三十年度の予算の中のどの面に、どの程度に繰り込まれておりますか、承わります。
  70. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) それは各局にもまたがっておる費用もございますが、大体社会局に集まっておるわけでございます。これは社会局に体育の方の予算としてとっているもののほかに、例の社会教育、青少年教育の七千万円の中から、その半ばぐらいの費用を大体スポーツと申しますか、に投じて、たとえばキャンプ生活、キャンプの訓練、そういうような方面に使う、こういう考え方を持っております。
  71. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その方向は社会体育に重点を置くのですか、学校体育に重点を置くのですか、どちらでありますか。
  72. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) それは社会教育局のとりました七千万円の予算から出ますものは青少年の訓育の面に使いたいと思います。それから、その以外に社会教育でまだやはりとってありますのは、これもやはりいろいろのそういう団体の関係でスポーツをやることになっております。  それから学校関係については、ちょっと局長からお答えをいたさせます。
  73. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 小中高等学校の関係の学校体育の予算といたしましては、大体前年と同額程度予算でございます。これは御承知のように、学校体育の実態調査、あるいはまた体育の教科内容の学習指導要領の研究ということのために、学校体育文化審議会、それの運営費、それから学校体育の実技の研究等、そういうような予算も、大体昨年と同様のものを計上いたしております。
  74. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は国民体位の向上ということと、国民生活に明るさをもたらすという立場から、学校体育、社会体育を通じてのスポーツの振興をはかりたいという文部大臣の御見解には私は賛成であります。一点を掘り下げていくというと、他の点を質問する時間がなくなりますから重ねて伺いませんが、それには基礎要件として大事なことは、体育指導者の養成という問題があると思うのです。この点については、あとで時間があったらその点をお答え願いたいと思いますが、それはさておいて、今伺いたい点は、今文部省内における体育行政の機関というものは、やや私は統一性を欠いておりはしないかという見解を常々持っております。ちょうど地方財政の問題があったから、これを国民体育大会と関連して伺おうというので、けさほど体育課長の出席を要求しておいたのですが、保健課長ですか、出張でおられないといいますから、その質問はできませんが、私は大臣に伺いたい点は、学校体育と社会体育の体育行政というものは、どうも私は統一された形態にないと思うのですね。従って私はこのスポーツの振興ということを大臣がお考えになっていらっしゃるとあれば、やはり私は基本的にわが国の体育行政の機関の統一拡充という点を考えなくちゃならぬかと思うのです。まあ先ほど大臣が、上から体育を規制していくとは毛頭考えていないということは、これは申すまでもなくその通りだと思う。全くそれは大臣と私は同感です。そこで具体的に伺いますが、今機構縮小の時代ではありますが、しかしこの体育の国民並びに国民生活に及ぼす影響性等を考える場合に、私は学校体育行政、社会体育行政等を一貫して扱うところの体育行政機関として、やはり体育局みたいな、何と申しますか体育局とでも申しますか、そういう機関が私は必要ではないかと考えておるんですが、大臣はどういうお考えでおられますか、御所見を承わりたいと思います。
  75. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) スポーツの指導者の面につきましては御説の通りでありまして、この七月中にも大阪方面と東京方面とにわかれて、指導者養成の会を開くことになっております。それからスポーツの行政の総合統一ということは、文部省の中だけにおいても統一を要するものがあると思うのでございまして、いろいろまあ考慮をいたしたいと思っております。
  76. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいま衆議院の本会議が開かれまして、内閣からの連絡があり、文部大臣の出席を求めておりますから、文部大臣の御退席を……ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それでは速記を始めて下さい。
  78. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣が中途退席されたので、質疑が中断いたしますが、かわって政務次官に伺います。文部大臣は先ほど国民体育大会は地方財政の豊かなところに、すなわち受入態勢のあるところでやるようにしたらいいだろうと、こういう意味の答弁をされたと思うのですが、あらためて政務次官から文部省側の統一した見解を承わります。
  79. 寺本廣作

    政府委員寺本広作君) 大臣の答弁にいささか疑義を持たれて、統一した答弁を政務次官にというお話でありますが、大臣の御答弁は、私先ほどここで聞いておりまして、国体もすでに相当数各地で行われたようであるから、施設もそれぞれ整っておるようであるから、そういうところでやったらよかろうという意味のことを言われたと思うのです。この問題につきましては、まだ国体が一巡しておらん地方の問題もあることでありますので、この点は後刻大臣にも申し上げまして、今の答弁については大臣の最初の方針と、私が今申し上げますところが食い違うかどうか大臣に申し上げまして、大臣から御答弁いただくようにいたしたいと存じます。
  80. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あと何回やればブロックを全部回わることになると了承しておりますか。
  81. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 国民体育大会は、昨年でちょうどブロックを一通り回ったわけでありまして、ことしから新しく県単位で神奈川県、兵庫県、静岡県というような順序に開催するという一応の見通しが立っております。
  82. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 静岡県の次は熊本県ときまっておるでしょう。どうして落したのですか。
  83. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 静岡県の次に熊本県を予定いたしております。
  84. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいま発言しなかったのは何か理由があるのですか。
  85. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 別に理由があったわけではありませんが、例として三つだけ申し上げたので、次には熊本県という予定になっております。
  86. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その後はどうするつもりですか。熊本以後の年次はいかがせられるお考えですか。
  87. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 熊本の次は一応富山という見通しであります。まだはっきりはさまっておりません。
  88. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この方針はただいまの大臣の方針とやや相違していると思うが、政務次官いかがですか。
  89. 寺本廣作

    政府委員寺本広作君) 先ほど申し上げました通り、大臣のお話が、矢嶋委員が疑義を持たれるように若干明らかでないところもありますので、大臣と打ち合せの上大臣からお答えいたします。
  90. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣にも伝えていただきたいし、それから文部省でも検討していただきたいと思いますが、一応確定いたした所はいたし方ないですが、今確定した第十四回の熊本をもって打ち切るべし、こういう私は見解を持っている。この地方財政と教育財政関係を審議する今段階だから、私はこの問題を取り上げてきておるのですが、社会教育局長として、所管局長として調査されてきていると思うのですが、しかしブロックに国民体育大会を回すときに、その地域が平素その施設を消化利用しきれない程度の過大な施設が国民体育大会に必要になっておるのですが、国民体育大会をやるのに相当貧困な地方財政の中を無理してこしらえて、それをそのあと利用されないで放置されて草ぼうぼうと生えておるということを私も現に見て知っております。こういう点を、私も先ほどからスポーツの振興ということは非常に賛成であるということは申し上げたのですけれども、さなきだにこの国家財政地方財政の貧困なときに、やや私は無計画性に基くところの国費の浪費と言っては過言かもしれないが、その傾きがあるということは否定できないと思うのですね。従って私はこの問題を承わっておるわけですが、先ず現在における所管局長の見解を承わりましょう。私はこの決定した第十四回の態本大会を打ち切って、あとはあるいは東京、大阪等の施設の十分ととのっておる所でやるなり、あるいは先ほど文部大臣が言われたのはその意味かもしれませんが、すでに施設のととのっておるどっかブロックの代表というような所で開催するというような方向に行くべきであって、逐次各県を回っていくという行き方というものは、地方財政の貧困な現在、これは非常に問題だと思う。どういう御見解を持っておられるか、まず所管局長の見解を承わりたい。
  91. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 御意見の点はまことにごもっともの点も多いのでありまして、国民体育大会をただ大げさにやるために、非常に国費あるいは県費を使うというようなことで、実際上施設が活用されないというようなことになってはおもしろくないという意味で、このブロックの大会を一応一巡いたしました機会に再検討いたしまして、その点について地方の担当者とも十分打ち合せをいたしております。で、昨年の十二月七日に私どもの方から各府県に通牒をいたしまして、この国民体育大会の施設については十分既存施設の活用をはかるという形でもって地方の実情に即して県内の体育振興に最高度に活用し得るように整備をはかられたいという意味のことを通牒いたしまして、努めて冗費を使うあるいはただ形式だけ大げさにやるというようなことのないようにという点を注意いたしておりますし、また大会の規模につきましても、従来参加人員も相当多数であって、そのために運営費等も非常に多くかかっておったのでありますが、その参加人員も、大体今年以降は一万二千人に抑える、それから運営費の総額も大体五千万円程度で済むようにするというようなことを大体打ち合せておるところでございます。そういうわけで、施設については現在ある運動施設を使う、それ以上に新たに作るという場合はごく例外的に必要な最小限度にとどめるということを方針にいたしております。
  92. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣がおいでになられたようですが、先ほど寺本政務次官はここで補足的な発言をされておったのですが、あらためて文部大臣から御答弁を願いたい。さっきの大臣の答弁では国民体育大会を今後いかように開催して行くかという点についてちょっと不明確でありましたので、あらためて政務次官に伺いましたところが、直接大臣にその意向を伝えるから大臣から答弁を求めてほしいと言って答弁を御遠慮なさったのですが……。
  93. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) それは大体ただいま局長からお答えを申したと思いますが、それと先刻私の言ったのとだいぶ違いがございますですか。
  94. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ではあらためてお伺いしますが、国民体育会大会を開催するに当っては相当の経費が要るわけですね、これは地方財政をかなり圧迫する原因ともなっておるのです。しかもその施設をあとで利用されればいいのですが、ところがせっかく大きな施設を必要としてこしらえたのに、その施設をその地域ではもてあまして、体育大会の済んだあとは利用されないで草が生えておるというようなのがあるわけですね。そういう状況下に各ブロックを一回りしまして、そうして先ほど局長が言われるように神奈川、兵庫、静岡、熊本各県で開催するのがきまっておるわけです。そこで私はさきの文部大臣の御見解ともあわせて、もう確定した熊本大会で各県をめぐるのは打ち切って、そうして今後の国民体育大会はあるいは東京とか大阪とか、あるいは今まで国民体育大会を開催した経験のある場所でその既存の施設を利用して国民体育大会を継続するという形態をとるならば、国民体育大会開催の趣旨から言っても、また現在のわが国の国家財政、地方財政という点から考えても私は妥当だと思うのです。ところがそういう方針が明確にならないで、熊本に開いた次は何県、その次は何県というふうに次々に各県を逐次回っていくというような行き方は、先般来からここで議せられておるように、今の地方財政の実情から私は相当無理があるのではないか、こういう見解を持っておりますので、その御所見を承わりたい。
  95. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 大体局長等からお答えを申し上げたことと思いますが……。
  96. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じゃ答弁しないのです。
  97. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) ああそうですか。それは大体お話のように地方の財政ともにらみ合せて考えなければなりませんので、お話のような意見が担当に出ておりますことは現在の実情でございます。ただそれをどこで切るかということについては、今ただちに熊本で切るというように明確には申し上げかねますが、適当に今後の財政事情、地方の実情も見て、考慮いたしたいと考えております。
  98. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 出たついでに具体的に伺いますが、たとえば第十四回国民体育大会開催予定地として確定いたしました熊本県のごときは、地方財政の乏しい中に着々と計画を立て、準備をすでに実行に移しております。こういう都道府県に対しては国庫から今後どの程度の施設、設備の完成のために助成をされるお考えであるか。さらにそれらについては自治庁当局と文部省当局とで相当の話し合い、あるいは文部省から自治庁当局に対する申し入れというものがなされておるのかどうか、その点を伺います。
  99. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 国体の開催に関しましては、運営費の助成文部省で現在六百万円程度いたしておりますが、施設に対する補助につきましては、建設省の関係になっておるのでありまして、いろいろ地方財政の実情等を考慮して、その年々にきめられるのでありますけれども、今日は非常に厚い補助をするというわけにいかないような事情になっておるような事情でございます。
  100. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 厚い補助はできないようになっておるといっても、たとえば施設をするとすれば、特別起債に考慮を払うとか、何らかそういう話は当該官庁間で私はあるべきであり、あっていいものと思いますが、いかがですか。
  101. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 先刻申し上げましたように、今後の国体施設につきましては既存施設の活用ということを原則にいたしまして、それ以外は大体はやらない。ある施設でやるということになっておりますので、起債までして施設を作るということは原則的にはないものと考えまして、建設省の方でもそういう方針をとっているような次第でございます。
  102. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部省の主管局長にしてはえらい消極的な答弁だと思いますね。もしそういう御見解ならば、とっくに今後の国民体育大会の開催というものはいかような方針でやるということまで明確に打ち出されていなければならぬと思う。神奈川あたりは、もうほとんど完成のようですが、十四回の熊本にしても、近く国民体育大会の事務局方面から視察に行かれるようですが、既存の施設だけでやれる性質のものじゃないです。これは新たに相当の施設というものを必要とします。それはもちろんその地域にそれだけ熱意があるのですから、寄付もありましょう。またその該当県の自主財源も出されましょう。しかしそれだけでできるものでないのですから、当然自治庁あるいは大蔵省さらに文部省等の間においてあの施設ではどの程度拡充しなければならぬ、どのくらい要るから、そのうちどの程度長期起債なら長期起債にしよう、そういう計画がなければ、何十何回のは何県でやるなんということは私は断定を下さぬ方がいいと思う。下した以上はやらざるを得ない。やらなければならぬ。それだけのちゃんと計画と資料に基いてでなければ、何か大蔵省の主計局長の答弁のような答弁で、私は珍しくあなたには遺憾の意を表しておきます。これはあらためて次回承わりますから、近く調査に行くように承わっていますが、御調査おき願いたいと思います。  もうちょっとで終りますが、そこで問題を一つ返して文部大臣に伺いますが、オリンピック大会を東京に招致することについては、文部大臣はどういう見解を持ち、どの程度の熱意を持っておられますか。一九六〇年のオリンピック開催地の投票ではローマにきまったわけですが、東京候補地は惨敗しているようであります。これは先ほど大臣みずから言われたように、私はやはり熱意の問題だと思うのですが、大臣はこれにどういう御見解を持っていらっしゃるか。その答弁によってさらに二、三点伺いたいと思います。
  103. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) この次はローマに確定したということでございますが、その次をぜひ東京へ取りたいと存じまして、先般あのオリンピックの会長をいたしておりますブランデージ氏がやってきましたときに、わざわざ御招待をいたして特にお願いをいたしておいたのでございます。そうしてそれらの設備等においては遺憾なくやるから、ぜひローマの次は東京ということにいたしてくれろということを懇談いたしました。そうしますと、この次はむずかしいが、その次はあるいは考慮されるかもしれないというような話でありました。もちろんこれはそれぞれの機関もあることと思いますから、会長から直接言い得ることでもございませんから、その程度のことでありました。これはぜひ熱意をもって実現いたしたいと考えております。
  104. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣の御見解はわかりました。私、同感であります。その文部大臣の御見解は現在政権を握っておられる民主党の方針と、かように了承してよろしゅうございますか。
  105. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) さように心得ております。従いましてその準備といたしてスポーツ・センターを作ることに、今度の予算にある程度予算を見ているはずでございまして、着々進行いたしたいと考えております。
  106. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 問題はそこでございます。考えと念願は幾らけっこうでも、実現しない。私は大した知識は持っていませんが、今のわが国の実情と、それから日本の現在の政治の中に認められている体育関係の重さ、具体的に言うならば、国家予算の中に占めるそれらの関係予算、その程度では私は一九六四年大会も、一九六八年の大会もむずかしい。招致ができないほうがより強いだろう、その確率が強いと、かように予想いたしております。本当にお互いがオリンピックというものを日本に招致して、いろいろの角度からのプラス面を、日本のためにも、アジア諸国のためにも、世界のためにも、もたらそうと、こういう考えでおるならば、私はもうすでに昭和三十年度の予算の中にも、着々とその計画の一部の予算は織り込まれていって、施設を整備し、その準備体制が整わなければ、幾ら立候補したって、IOCの関門を通ることは前例を見ても私は不可能だと思う。そこで私は所管局長に伺いますが、国立運動場ですね。これらの設置等についてはどういうお考えを持たれており、また昭和三十年度の予算の中に、今言ったような大きな計画の一こまとして、どういう形でどの程度予算が入っているかという点をお答え願いたいと思います。
  107. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 局長から答えさせますが、閣議決定の際には、この国立運動場のことはぜひやるということで、すでに用意いたして、ずっと年度割でやることに了解を得ております。建設省がその衝に当ることになっておりまして、その間に合いますように計画をきめてやっておるわけでございます。
  108. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) ただいま大臣からお話がありました通りでありまして、一九六四年の東京誘致ということを目標に、東京都の関係者あるいは体協の関係者等も熱心に準備を進めておるということでございますが、まずその場所の問題でありまして、これにつきましてはいろいろ候補地があったのでありますが、やはりこの経済的な面から見て、神宮外苑の競技場を拡張するということが一番適当ではないかという一部の考え方になっておりまして、これを、まあできるだけ国立の競技場にいたしまして、そうしてその他は東京都で施設をいたすという方針でやっておるのでありますが、明治神宮の方が、都の関係で多少いろいろ話し合いが進まない問題もあったのでありますが、大体解決の方向に向いつつある次第であります。それには建設のために相当の経費もかかるわけでありますけれども、これは今後逐次予算的な措置も講じていただくように、目下折衝を進めておるような次第であります。今年度のこれが準備に対する必要な措置といたしましては、建設省におきまして大体この準備調査費というような意味で、百万円程度の金を予算の中に含めているはずでございます。それによりまして調査研究を進め、また設計等も考えるということで、まず主競技場の建設から準備を始めたいというような事情になっております。
  109. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点はそれにして。局長に伺いますが、私は先ほどちょっと伺ったんですが、学校体育と社会体育と、それから広く今の小中高大学の教育というようなものを総合的に考えた場合に、私はもう少し統一的な体育行政機関というものが必要ではないかという感じを平素から持っているものでありますが、所管局長としてどういう見解を持っておられるか、これが一点。それからスポーツ関係のことが出たから申し上げますが、あなたのところに直接関係ないのですが、御見解がありましたら……いや、何か見解を持たれたら、文部大臣にも承わりたいのですが、体育のことだからついでに承わるのですが、非常に国民の関心を持っているスポーツ、もちろんそれはプロであるわけですが、日本相撲協会の入場券、その他の扱い方、それから一方は、代表的なものはプロでなくて、学生野球の早慶戦ですね。これも国民にとっては非常に関心深いスポーツ行事の一つでありますが、これらの入場券等の扱い方ということは、それらのスポーツと国民との関連という立場で、これは問題があるので、今ここに出したわけですが、今の現状のままでよろしいのでしょうか、どうでしょうかね。どういう御見解を持っているか。この点もこういう機会でなけりゃ聞けないのですが、お伺いいたします。  以上二点、お答え願いたいと思います。
  110. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 文部省における体育行政の問題でございますが、社会体育と学校体育との関係が、方針がまちまちになっていないかということでございます。方針についても統一的な方針を必要とする面もありますし、また体育振興という点から言いまして、やはり凝集した力の方が強力なものになるという意味からいたしまして、これを一つの局に統一した方がいいというような意見も相当あるようでございまして、私もその点については十分研究をいたしたいと思っておりますが、保健体育審議会という文部大臣の顧問機関におきまして、現在の問題について折角研究中でありまして、近くこれに対する審議会としての答申案が出てくるものと考えておりますので、十分研究をいたしたいと思っております。  相撲協会、学生野球の入場券の扱い方について問題があるということでございますが、ちょっと問題の焦点がわかりかねる点があるのでありますけれども……。
  111. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 問題は幾つもありますがね。一つの点にしぼって伺いますがね。こういうようなスポーツというものはできるだけ機会均等に、あらゆる国民層に与えられるというようになっていなくちゃならぬと思うのです。ところが早慶戦をまあ例にあげたわけですが、早慶戦等の切符の動き工合ね。それからプロの方では、相撲協会の切符の流れ方ですね。これは直接はあなたのところに関係ないわけですけれども、国における体育の健全なる振興というのは、私はその国の国力と非常に関係があるというような立場から、常に私は考えているわけです。そういう立場から、あなた方の方ではどういうお気持でいらっしゃるのか、どういう御見解でおられるのか、ちょうどこういう機会でなけりゃ承われないから、御所見を聞きたい。これは相当しっかりした見解を持っているはずだと思うのだ。それを聞かしてもらいたいというのです。
  112. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 相撲協会は文部省で認可しております。法人になっておりまして、監督の関係はあるわけでございますが、相撲協会の入場券の配付方法について多少因襲的なことがありまして、そういう点で不公平があったり、あるいは国民の体育の普及という意味でおもしろくないというようなやり方をしておるということでございましたら、これはよく調査いたしまして、一つ十分改善すべき点を改善するように話をいたしてみたいと思っております。  学生野球につきましても、私はそんなに非常に非違になることがあるというふうにはみていなかったのでありますけれども、これまた十分調査をいたしてみたいと思います。
  113. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣に伺いますが、相撲協会等の切符の流れ方、そういう点について好ましからん傾向があったならば、文部省として断固としてその意思表示をなし、その意向をある程度酌んで改めないときには、団体の承認権を持っておられるわけですから、何らかしかるべく対処されるようなお考えはございませんか。
  114. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 今局長の申しましたことは、ただ原則を申しただけのことでございまして、私は今日本の相撲というような、ああいうものに、そういうふうに直ちに文部省が権力を行使するような考えは持っておりません。それが何か非常に風教だとか、また非常に何か社会によくない影響を与えるという場合ならばこれは別でございますけれども、現状においてこれに関与するという考え方は持っておりませんのでございます。
  115. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まあ大臣の後段に言われた原則論は正しいと思うのです。ただ私は国民体育という立場からあのような実態で満足されるべきかどうか。しかもそれは文部省としてそういう協会をお認めになっていらっしゃるわけですから、その協会のやっている事柄というものは、全く無関係ではないわけです。そういう立場から、果して妥当なものであるかどうかという点は、おのずから見解が違うと思いますけれども、私は大臣に実態を勉強していただきたいと思います。失礼かもしれませんが、大麻国務大臣あたりはよく知っていらっしゃいますから、私は実態をよくお聞きになって、その上でなおかつそういう御見解であるならば、私はその御見解を承わっておきますが、そういう点、要望いたしておきます。  最後に伺いたい点は、この問題は少し横に流れて行ったわけですが、当初申し上げましたように、地方財政と地方財政の中で大きな比重を占める教育予算、これを審議している段階に、川島自治庁長官がおいでになる機会にさらに文部大臣のおられるところで、国民体育大会と地方財政の関連で伺いたいということであったわけですが、体育の名が出たついでに若干関連事項を承わったわけでございます。そこで教育財政と地方財政との問題について、本日は自治庁長官はおいでにならないそうでありますが、他日おいでになると思います。また委員長も出席を要請してほしいと思いますが、この委員会においでになる場合、自治庁当局として今日の文部大臣に伺ったような国民体育大会の開催計画というものはどういう御見解を持っておられるのか。また今の地方財政の状況からして、施設設備の完備のために、受入態勢を整えるために、自治庁当局としてはいかような程度にめんどうをみて上げようというような御見解であるのか、それを次の機会に答弁していただくように、事務当局を通じて連絡しておいていただきたいと思います。  そこで最後に承わりたいというのは、元に戻して、私たちの手元にくる陳情、それから資料によりますると、各都道府県の昭和三十年度の予算というものは、相当県が正面きって赤字予算を組んでおります。この点大蔵大臣並びに自治庁長官の答弁を求めなくちゃならぬのですが、ちゃんと相当赤字というものを表面に出して予算を組んでいるわけですね、しかもそういう性格の予算の中で、教育面をとってみるというと、昇給昇格財源を落す、旅費を全廃するなりあるいは半減ぐらい、さらに夜間における学校管理は先生に日宿直して管理していただいているわけですが、日宿直料を予算に組まない、計上しない、こういう都道府県が、昭和三十年度の予算案の内容として出てきているわけなんですね、昇給昇格の財源を全く認めないとか、旅費の大削減、日宿直料を予算に計上しない。こういう点について文部大臣としてはどういう御見解を持ち、自治庁当局あるいは大蔵当局に対しては、どういう御所見を文部大臣から過去において開陳され、また今後開陳されようとされておられるのか、この前もちょっとこれらに類似の問題を伺いましたが、たとえば現在物価は横這いだということをよく言われております。それから人事院においても、ベース引き上げの必要はない、国会、政府に対してもベース引き上げを勧告する考えはない。こういうことを言われておる半面、県立高等学校の授業料というものは、一割ないし一割五分昭和三十年度から引き上げられるという県が点々とあるのであります。こういう点についても、私は文部大臣としては御見解を持たれ、閣内においては、直接関係のない自治庁長官とか、大蔵大臣に対しては何らかの御所見の開陳があられてしかるべきじゃないか、こういうふうに考えますので、この点だけ、きょう承わっておきたいと思います。
  116. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) こういう地方財政の整理に当りましては、今御趣旨のような行き過ぎが出て参りましたことは遺憾でございますが、これについては自治庁長官等ともよく話し合いをいたしまして、できるだけそういう行き過ぎのないように、自治庁あたりの協力を求めているわけでございます。もちろんこういう際でありますから、できるだけのことは、差しつかえのない範囲においての協力は、節約はもちろん文教の方面にもいたしますけれども、必要なことについてはそのような行き過ぎた緊縮のないように、自治庁ともこの上とも連絡をいたしまして、善処いたしたいと考えております。
  117. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そう答弁されると、もう一言承わらなければならないのです。それは、指定されようとする団体は、地方財政再建計画案を作る場合に、教育委員会と十分話し合い、教育委員会の意向を聞くようにというようなことは確立されるとお考えになっておられるかということと、それから中央官庁においては地方の団体、その団体から出された再建計画案を所管庁である自治庁においてこれを検討する場合に、その計画案の中に大きな比重を占める教育予算教育の所管庁である文部省当局の意向を、相当に主管庁である自治庁当局で、協議しんしゃくするというような話し合いが自治庁当局と文部省と両大臣の間ではっきりと確認されているのかどうか、この中央、地方を通じての、かりに現在提出されている法律案が通過した後の運用の面について、そういう話し合いはついているのかどうかという点を承わりたいと思います。それが明確でなければ、いくら非常に無理が起るようなことは一つしないように、過度にならないように、教育予算にしわ寄せが来ないようによろしくやって欲しいというようなことを、口頭あるいは書面で伝えても、私は実質的効果はないと思いますので、その点伺います。
  118. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) それにつきましては、前の方は、教育委員会の側へ問う規定はございませんけれども、これでいたしましても、どうせ教育に関することは、非公式にもまた話があることと思いますが、あとの自治庁とその整理案に対してのことは、あの法文にもあります通り、自治庁はこちらへ協議をせねばなりませんことになっておりますので、これは法の上からわれわれの方へ教育に関しては協議を求めて来るはずであります。それをこちらで十分調査をいたして、そうしてこちらから意見を述べて同意をせねばそれはできないはずだと思っております。その点は御安心を願えると私は思っております。
  119. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の質問時間が長くなったようですから、本日は私はこの程度で質疑を打切ります。
  120. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  121. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて下さい。  本件に関する質疑は本日はこの程度とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  122. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に御報告いたすことがあります。  大阪市立大学杉本町校舎の接収解除問題につきましては、先ほど理事の懇談におきまして福島調達庁長官より報告を承わりました。すなわち、本日の施設特別委員会において、米軍当局より覚書が提出され、その覚書によれば、キャンプ堺については解除の方針が決定したこと、解除手続は七月三十一日完了の予定であることを通告している旨の報告がありました。委員長は同大学学長あてに祝電を打っておきました。以上御報告いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会    ————・————