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1955-06-28 第22回国会 参議院 文教委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十八日(火曜日)    午後二時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            木村 守江君            吉田 萬次君            竹下 豐次君            荒木正三郎君    委員            雨森 常夫君            大谷 瑩潤君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            堀  末治君            高橋 道男君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            村尾 重雄君            山田 節男君            松原 一彦君   国務大臣    文 部 大 臣 松村 謙三君   政府委員    調達庁次長   山内 隆一君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    文部政務次官  寺本 広作君    文部大臣官房総    務課長     田中  彰君    文部大臣官房会    計課長     北岡 健二君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工樂 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (大阪市立大学校舎接収解除に関す  る件)  (教育財政に関する件)   —————————————
  2. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまより文教委員会を開きます。  まず大阪市立大学杉本校舎接収解除の件を議題といたします。  先般調達庁長官より本問題に関するその後の経過並びに予想についての報告がございましたが、なお現在の状況について当局より説明を求めます。本日調達庁長官は責任の会議の都合で出席できませんでしたので、調達庁次長山内隆一君から事情報告を求めたいと思います。
  3. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) 委員長のお言葉に従いましてその後の情勢を申し上げます。長官が当委員会お答えになったのはいつか忘れましたが、これがごく一番最近の情勢報告になっておりますので、その後特に変化したというほどのことはありませんけれども、ただ一、二御報告申し上げることが適当じゃないかと思うものをちょっと拾って申し上げますと、これはまことに私ども遺憾に思っておることは、調達庁には何もむろん報告もありません。公式、非公式を問わず何らの連絡はありませんが、大阪の方面からの話によりますと、別の部隊が若干入って来た。従って解除は大丈夫だと思っておったものをああいう部隊が新しく入って来ると、またあるいはだめになるのではないか、こういうような心配があるので聞きに来たというような地元から調達庁長官へ照会する方もありますし、また直接やって来て事情を聞かれる方もありますので、私どもとしてはまことに実は遺憾に思っておるわけであります。調達庁はどういう部隊で、何の目的でどれくらい数入ったのかということを全然今のところ存じません。ただ、今少しでも係の方で知ってはせんかと思って聞いたのでありますが、何もそのことの連絡がないので今のところわからんが、いずれ調査してお答えしたいと、こういうようなことを今言っておりますので、この点調達庁が存じません点は非常に遺憾に思いますが、そんなような事情になっております。  それから、もう一つは二十一日と思いますが、先週の火曜日施設特別委員会調達庁でありましたときに、この大阪大学解除問題が出まして、そのときにかなり明確に軍の方から調達庁長官に話があったように聞いております。それはその少し前に私ども解除問題の書面を出すときは、いつでもキャンプ堺として、当委員会では大阪市立大学という言葉を使いますけれども、軍との交渉の場合にキャンプ堺という言葉を使っております。それの全面解除ということを申しております。軍としては従ってキャンプ堺解除の問題としてずっと検討して来てあるわけで、そこでこのキャンプ堺の中には大阪市立大学のほかに若干の民有地があり、この上に終戦処理費等で作った建物もだいぶありますわけで、これらをひっくるめての解除を検討しておったようであります。ところが全部の解除について若干の問題といいますか、あるいは多少一部困難なような事情があったのか、そのために、はっきりとしたことは言えなかったらしいのであります。そこでまあ軍の方でなかなかはっきり言いませんから、こちらから強く話したところが他のいろいろ民有施設等もありますので、それも全部ということになって来るとこちらとしてもよほど考えなければならん。が、それを別にしてのことならばこれはもう非常に問題が簡単だ、調達庁としては全面解除をどこまでも希望するわけでありますが、どうしても軍が全面解除ならば私ども期待しておるような日時解除できんということになるならばこれもやむを得ない。最悪の場合としては大阪市立商科大学だけ解除してもらいたい、まあそういう意味のことを話されたところが、それならば簡単だから、それならばどっちにしても大丈夫だと、こういうようなことを二十一日の会合に話があったと聞いております。そんなような状態でありまして、一方においては従来当委員会お答え申し上げました通り期待通りに進んでおるとますます確実視されるようになって来ておると思う話し合いがある半面において、また他の部隊が入って来た。この間に地方として御心配になるのは無理からんと思いますが、私どもの方には何も連絡がないところを見ますと、これは想像でありますけれども、あるいはただ大きな移動の際の臨時的の措置、臨時的の行動である、こうも見れんことはありませんし、またあるいはさっき申しましたように全面解除はどうしても困難であるので、一部大阪市立商科大学以外のところはしばらく使わなければならんというようなことで、いろいろ軍移動考えておるのであるか、その辺のことは明確にはなっておりませんけれども、いずれにしても何らの連絡のないこと、それから大阪山立大学について非常に今後の見通しがはっきりして来ておるということから考えますと、少くとも大阪市立大学解除問題はまず間違いないというふうに考えております。調達庁としてはそういうような他の部隊が入って来たというようなことを聞きましても、何ら不安に思っていないわけでございます。
  4. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの前の文部委員会調達庁長官から相当確信のある明るい見通しについて説明を受けました。その際に調達庁長官努力に対しまして敬意を表しておったのであります。ところが最近新しい部隊が大体千二百名程度というふうに聞いておるのでありまするが、学校側から私は情報として受けたわけであります。こういう事態が起るということは私どもも予想しておらなかった、又学校当局も全然そういうことは予想しておらなかった。ところが突然、何の通知もなしにまたそういう部隊が入ってきたということで、非常に心配しているわけです。で、ただいま説明を聞きますと、政府にはほとんど連絡がなかった、連絡なしに部隊が入った、詳細はわからない、こういう御説明のようでございますが、私ども心配するのは、ちょうど前に朝鮮事変の際に、あそこで傷病兵を収容いたしました。そのときに、アメリカ軍当局病院として、もう使用する必要がなくなった場合にはこれは返還する考えであるというふうな話があって、病院として必要がなくなった場合は返るものだと考えておったときに、また海兵隊が新しく入った。こういう事例がありますので、今度の場合も、六月末には返るだろうとこういうふうに予想されておったところが、また新しい部隊が入ってきた、こういうことになりますると、前例もありまするので、非常に不安に思っておる。そこで私は、こういう不安を除去して、本当に返るのかどうか、そういう点について質問をしたい、かように考えておったわけであります。しかし、様子がよくわからないということであると質問のしようもないわけでありますが、ただ二、三お尋ねをしておきます。  その一つは、きょうは日米合同委員会が開かれておるように聞いております。あるいは私の聞き間違いであるかもしれませんが、この問題をこの日米合同委員会に持ち出して、そうしてアメリカ軍当局のはっきりした考えを確かめてみるという考えを持っておられるのかどうか、そういう点を伺っておきたいと思います。
  5. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) きょうは合同委員会は開かれておりませんです。今度の合同委員会は、今週の木曜、三十日になると、こう思っておりますが、隔週にやっておりまするから、今週の木曜は合同委員会の開かれる日になっておるはずであります。間違いないと思いますが、その際には、申すまでもなく私どもとしても、今の、もうほとんど解除が迫っておると思っておるときに他の部隊が無断といいながら入ったということは実に遺憾と思っておりますが、ただ、先ほど申しましたような事情もその後ありますものですから、まず大丈夫と思っておりますけれども、しかし、三十日に幸い合同委員会が開かれる場合は、それまでにはっきりするか、あるいはその日に進んで軍の方からこの問題の解決についてのはっきりとした意思を表明するか、そうでない限りは、こちらから強く、解除の要請はもちろんですが、日時をはっきりと今度はきめてもらうように強く要求したいと思っております。
  6. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 新しい部隊が入ったということについて、何かアメリカ側に問い合せをする、そういう処置は今日までとられておりませんか。私は、やはりこれは長い間の懸案でございましたし、当文部委員会だけでなしに、参議院においてもこの問題についてはたびたび意思表示をしているわけです。ですから、新しい部隊が入ったというような事態が起った場合に、調達庁としてはすぐにお問い合せになっているか、なってしかるべき問題だというふうに考えておるのですが、そういうことはなかったわけですか。
  7. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) 日時は記憶いたしておりませんけれども、入ってから後に、私の方に何ら直接の連絡なり通報がありませんので、ほかから聞いてそういうことが起ったのかというふうに考え程度であります。しかも二十一日には、先ほど申し上げます通りに、その入った事実はもう少し前のはずでありまするが、その入った後になって、しかも軍はきわめて明確に、キャンプ堺全体とすると多少問題があるが、大阪市立大学だけの敷地なり施設だけならばこれはもう簡単だという話もあり、その後近いうちにはっきりとするというような意味の話もありますので、そんな関係で実は信じておりまするが、何ら向うから進んで話がないので、こちらからその部隊のことを聞きただすことは、あるいは故意かうっかりしたのかわかりませんけれども問いただしてはいないようであります。今向うの方に照会いたしております。いずれわかり次第御報告申し上げたいと思います。
  8. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは三十日に日米合同委員会が開かれるというお話でございます。その際には、はっきりとした接収解除の問題について打も合せが行われる、こういうふうに了解してよろしいか。  それからキャンプ堺全面解除は、困難な事情があるというお話でございましたが、その困難な事情というのはどういう事情か、おわかりでございましたらこの際御説明を願いたいと思います。
  9. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) 三十日の合同委員会には、先ほど申します通り強く、幾日に解除になるかというところまではっきりするように手続をとりたいと思っております。まあこの前の合同委員会情勢からいって、三十日には向うから進んで明らかにするのじゃないか、かようにも考えております。  それから新しい部隊の問題につきましては、先ほど申し上げますように、どうもどういう目的で、どのくらいの人数が、どんな所属のものが入ってきたかわかりませんけれども、それと今言う一部の問題とどういう関係があるかということも、なおよく調べてみないというと、明確なお答えが困難でありまするからして、軍として今入ってきたのは臨時的なものか、まだしばらくそこに落ちつくのか、その辺を確かめてみないうちは、どうもちょっと申しかねると思います。
  10. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今のお話しはどういうことですか、私もよく聞き取りにくかったのでありますが、今の入ってきた軍がごく短時間の駐在か、あるいはかなり長い期間の駐在かよくわからない、こういうお話ですか。これはなんですか、市立大学接収解除と非常に関係がありますか。
  11. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) 市立大学解除と私は関係はないと思います。たださっきのお尋ねの中に、民有施設がかなり困難だというような、その困難の事情はどうかというお尋ねと思いましたものですから、それははっきりその関係があるかどうかということも申し上げかねますけれども、あるとすれば、今の部隊との関係じゃないかと、まあこう思いますので、その部隊がどういうふうの目的で、臨時か、長らく落ちつくのか、その辺のことを確かめないと、その辺のある一部の解除が困難だという事情もわかりかねるのではないか、かように申し上げたのであります。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうするとキャンプ堺全面解除が困難であるという理由は、また新しい部隊が入ってきている、その部隊の性格というものははっきりしないので、全面解除が困難であるというふうに調達庁ではお考えになっておる、こういうことでありますか。またほかに何か理由がありますか。
  13. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) その部隊の新しく入ったことと、大阪市立大学の従来希望しております解除とは関係がない。従ってその部隊がかりにしばらく落ちつくようなことになりましても、大阪市立大学解除するかしないか、あるいは時期、これには影響がない、従って大阪市立大学解除は近く実現するものと、かように考えております。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私最後に要望しておきたいと思いますが、前から六月の末には何らかの決定をみる、こういうお話で、われわれも期待しまた現地の学校当局も非常な期待を持っておった。幸い六月三十日には日米合同委員会が開かれることでありますから、その際にははっきり接収解除される、こういう取りきめが行われるように一つ努力をお願いいたします。  なお第二点といたしましては、御承知のように、接収解除になりましても、現在の敷地では非常に大学としては狭いわけであります。どうしても付近民有地を買い上げて、そうして拡張しなければならない、そういう事情にあることは御承知通りであります。また大阪当局もそういう方針でいろいろ努力をしておると私は聞いておるのであります。従って学校解除になると同時に付近民有地解除になって、学校の拡張が可能になるようにいわゆる全面解除に対しましてもさらに一段の御努力を要望いたしまして、私の質問は終りたいと思います。
  15. 山内隆一

    政府委員山内隆一君) 今の二点につきましては仰せの通りどもも全く同感でございます。第一点はもちろんでございます。第二点につきましても、そういう意味で極力がんばって一緒に解除になるようにいたしたいと思います。しかも今までそういう考え方でずっと進んで参りましたのは、やはり大阪市立大学の現在の規模と、今あの区域における施設とを見て非常に不自由であろう。従って幸いあの中には終戦処理費で作った国有の建物もたくさんありますので、これらは所定の手続によって大阪市立大学の利用に供するような道もあるわけであります。そういうことも合せて考えておりましたために、絶えずキャンプ堺全面解除ということで進んで来たわけであります。最後のどたんばに入りまして、そのために解除が非常におくれるということになりましては、なお大学としての経営に困るのではないか、そとで先ほども申し上げていいかどうかと思いましたけれども最悪の場合になったらという意味お話したような解除のこともお話し申し上げたのであります。全く御同感でございますから、十分努力いたします。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと速記をとめるようにして下さい。
  17. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  18. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて下さい。  大阪市立大学杉本校舎接収解除の件に関して御発言の方ございませんでしょうか。   —————————————
  19. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それでは次の議題に移ります。  次に教育財政について木村委員より質疑の申し出がありましたので、この際、問題に供したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。ちょっと速記をとめて下さい。    午後二時四十六分速記中止    ————————    午後三時十九分速記開始
  21. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それでは速記を始めて下さい。  教育財政について御質疑のある方は御発言を願います。
  22. 木村守江

    木村守江君 私は本問題につきまして実は文部大臣大蔵大臣自治庁長官をおいで願いまして御質問申し上げたいと考えたのですが、予算委員会関係大蔵大臣等出席はなかなかむずかしい問題だと考えまして、本日は文部大臣においでを願いまして、大蔵省関係主計官に来てもらいまして質問をいたしたいと考えております。御承知のように、教育の重要なことについては今さら申し上げる必要がないと存じます。終戦直後のあの経済的に全く困窮した場合におきましても、日本の再建は教育からというような、教育に大きな期待と希望とを持ち続けて参ったことは御承知通りであります。この重要な教育がややともすれば批判と非難の対象となり、事あるごとにあるいは現今の教育制度を、あるいはその内容を論議されまして、特に今回の地方財政赤字解消目的といたしまして提案されました二つの法案の出現いたしまするや、教育費があたかも地方財政赤字根源であるかのごとくその攻撃の目標となって参ったのであります。文部大臣はこの教育に対する論議をどういうふうにお考えになられますか。教育地方財政赤字根源をなすということをお考えでありますかどうか、もしそうだとすれば、その理由は一体どこにあると思うのか、御解明を願いたいと思います。
  23. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お答えを申し上げますが、今お話になる点は、教育の根本に触れる問題だと思いますが、端的に申しますと、六三三の制度はせんだっても予算総会にも申し上げました通り日本国力には沿わないものであると申すよりほかにしようがないのでございます。そこで、でありますが、しかし過去この制度が敷かれまして八年の間、これは非常に苦しみ抜いて今日に立ち至ったのでございます。それで、今それならばその不つり合もとへ取り戻して、これを引き下げるかと申しますと、それはなかなかいきませんので、どうかしてお互いに苦しんで、国も重い負担をし、地方も重い負担をし、義務教育費とはいいながら、父兄も重い負担をいたし、教職にある者もやはり同様の目に会っておりまして、こういう四方に非常な困難を忍びつつ今日に至ったのでございます。地方財政の中において教育費が重いという声は、こういうところからきているわけであろうと考えます。これは無理からぬことでございますが、しかしまた一面から申しますと、この学校教室設備等もこの八年の間に全く何らのものがなかったのがここまでできてきておりますから、この建設費負債力がだんだん償われていきましたと同時に、地方負担も幾分かずつ軽くなって参るというようなわけになると思いますので、これは地方財政窮乏は、そういう意味から教育費の重かったことが一つ原因をなしていることは認めるところでございますが、しかしながら地方財政窮乏は、ことごとく大なる原因教育費だけにあるということでは断じてないと考えております。
  24. 木村守江

    木村守江君 ただいま文部大臣答弁を拝聴しておりますと、どうもやはり六三三というような制度は、日本国力に沿わないのだ。しかし八年も苦しみ抜いたのだから、今さらこれをどうすることもできない、国も国民も教師も一致協力してこの教育制度を守って参らなければいけないというような答弁でありまして、しかもこの苦しい財政の中でこういう教育をやっていくのだから地方財政の困窮するのはいたし方がない、まあ建築費等の云々というような話がありましたけれども、私の聞いておるのはそういうことよりも、一体教育費地方財政赤字根源となっておる、その根源となっておるということをあなたも半分認めておるように、しかしそれが全部ではないと、私も全部だとは言っておりません。しかし地方財政赤字根源をなすのだということにはあなたは半ば承認しておるようでありますが、しからば一体その理由はどこにあるのか、計数的に、数学的にどこに一体その地方財政赤字根源があるのかということを聞いておるのです。
  25. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私は最も教育費の大きいのは、やはり校舎新築であったと思います。小学校の増築、中学校の新設、こういうものが最も多いことと思うのでございます。そして中学校義務教育となりました結果、従来と違って中学教室の、中学校費用というようなものがすべて加わって参りまして、そういう重いことになるのだと思うのでございますが、しかし今日ここまでなりますと、地方におきましてもこれを、この制度は過重だからこれをもとへ戻そうという考え方よりも、何とかしてこれを維持したいというのがやはり父兄の心持ちではなかろうかと思うのでありまするし、ここまで発達してきたものを後退せしめても惜しいことであり、またその割に経費の節約も急にはできないというようなこと等を考えますと、この場合今言ったような国力に不つり合いであり、中央としても不つり合いだということを基礎観念に置いて、そうしてできるだけ最小の費用をもって最大の効果を上げるように努めるよりほかに道がないと考えます。
  26. 木村守江

    木村守江君 ただいまの文部大臣の御答弁教育財政地方財政にしわ寄せしているのは、それは校舎新築費のためだというような考え方は、これは私は間違っておると思います。これはあなたは大きな間違いです、こういうようなことを考えているのは。これは校舎新築費地方財政に圧力を加えておるというのは、一時的現象だと私は考えておる。しょっちゅう毎年々々校舎を作っておるわけではありません。私は何と申しましても地方財政教育費が重圧を加えておると言いますならば、それは何といってもいわゆる教職員給だと私は言わなければならんと思うのであります。(「校舎もあるよ」と呼ぶ者あり)ところがこの問題は、今校舎もあると言うから数字をもってあとから御提出を願いたいと思いますが、現在御承知のように、文部省教職員給については、これは現員現給、まあ実支出の半額負担いたしております。すなわち全国平均一万六千九十二円、この半額を支出いたしております。ところが小学校において基準財政需要額は一万三千九百四十円です。中学校においては一万六千五百九十六円、基準財政需要額は一万五千二百二十一円です。少くとも大蔵省は、教職員の給与の半額を認めておるということは、現在実際支出しておる半額を認めておるということは、全額を認めておることです。すなわち一万六千九十二円というものの半額を認めておるということは、これは一万六千九十二円全額を認めておることです。そうして、いわゆる文部省では八千と四十六円を支出しておる。ところが自治庁の方では基準財政需要額として全額を、一万三千九百四十円、すなわち六千九百七十円、これを支出しておる。いわゆるこれは大蔵省関係ありますが、一体大蔵省教員給半額文部省は一万六千九十二円で請求しておって、自治庁は一万三千九百四十円で請求しておる。一体文部省に出し過ぎておるのか、二千円の差ですね、これは文部省に出し過ぎておるのか、あるいは自治庁に不要の削り方をして出さな過ぎておるのか、これはどちらがほんとうの出し方なのか、私は文部省半額負担したということは、いわゆる全額を認めての支出の仕方であって、ここに大蔵省の、いわゆる各省が要求をすれば、めくらになって何でもかでも出すと、予算委員会でもいろいろ論議されました。あるいは国民健康保険の問題、あるいは通産省のいろいろな補助金の問題、いろいろありまするが、要求されれば何でもその通り多くても少くても出すのかどうかというような考え方もされますが、一体これはどうなんですか。
  27. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。ただいまの御指摘は、義務教育費国庫負担法に基く単価と、いわゆる地方財政計画におきまする単価との相違の点を御指摘になったのでございますが、これは、義務教育費国庫負担法は、申し上げるまでもなく、実支出額、で、その二分の一を国が負担することに相なっております。従いまして、私どもは、文部当局ともそれぞれよく御連絡を申し上げまして、実支出額によりまして予算を計上いたしておるわけであります。しかし予算では、この実支出額にぴたりと合わない場合には、決算的に清算をいたしておることも御承知通りでございます。ただ自治庁の計画と合わないではないかという御指摘でございますが、自治庁地方財政計画は御承知通り、これは交付税の配分基準を定めておるのでございます。すなわち地方財政計画というのは、国の予算とは意味が違うのでございまして、これは一応、たとえば府県につきましては基準財政収入需要について八割を見ている。市町村については七割を見るというような一つの立て方をいたしまして、これによりまして交付税を配分いたしておるのでございますが、この配分のやり方が今日適切であるかどうかという点につきましては、いろいろ議論もあろうかと存じますが、一応そういう立て方をいたしまして、それによりましていわゆる財政需要につきましては、こまかい積み上げ計算をいたしてやっておりますことは木村委員承知通りでございます。そこで教育につきましても、御指摘のように、教員の人員と単価につきまして自治庁一つのやり方をやっているわけでございますが、これはいわば現実に合うかどうかという面よりも、むしろ各地方公共団体の間に最も適正に配分をするのに役立っているかどうかという点が問題であろうかと思うのでございまして、私どもはその点につきまして、常にやはり実態等をよく見きわめまして、所要の改正を加えるようにはいたしておりますが、以上申し上げましたように、義務教育費国庫頂相法と財政計画との違いから、さような単価の相違が出ているわけでございます。従ってまた人員の面におきましては、逆に財政計画においてはある程度の人員の余裕をみているということもさようになっているわけでございまして、この二つの要素をからみ合わせまして交付税の基準ができております。私どもは御指摘のように、何でもかんでも要求通りめくらめっぽうに予算を組むというようなことは絶対にいたさないのでありまして、ただ国の予算における支出、地方財政における交付税の配分基準という、それぞれ異りましたところの建前によりまして合理的に定めている次第でございます。
  28. 木村守江

    木村守江君 ただいまの次長からの御答弁によりますと、非常にまあ何か要領をつかめないような答弁でありましたが、私はこんなにはっきりしたものではないと思います。これは義務教育費半額国庫負担と言いますと、これは文部省半額出しているんです。あとの半額はこれは問題はきまっているんです。金がきまっているのに、何ゆえに基準財政需要額を、実際半分、片方には半分出しているんですよ、大蔵省が出しているんですよ、文部省にはこれは一万六千九十二円の半分を出すよというので出している、ところが大蔵省は、片方の方に、自治庁の方の財政需要額として要求されたものは、地方に交付税として出すときには、一万三千九百四十円というような、二千円近くの差のあるそういうものを出さなくてはいけないのか、これは教員給というものは、はっきりあなたの方で認めて出しているんです。それは一体なぜ片方の方に二千円も少く認めなければいけないのか、片方の方のやつは間違っているのか、どっちが間違っているのか、これははっきりしているんです。数字においてはっきりしているんですから、どっちが間違って、どっちが正しいのか。
  29. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、地方財政計画というものは、私どもの現実にそれをもって運営していく予算ではございませんので、いわば地方財政につきましての一つの計画を作りまして、この計画によりまして、国から地方に交付いたします交付税あるいは譲与税等の配分の基準を定めるということでございます。しからばその基準の定め方について、すべて実支出というような、国庫負担法によるところの実支出がかわっておれば、全部それに合したらいいのじゃないかというような御趣旨であると拝聴いたしたのでございますが、これは基準というのは、御承知のように全国の一つのレベルをとりまして、先ほど申し上げましたように、都道府県については八割、市町村につきましては七割という一つの安全度をみましたら割合をもちまして財政需要、財政収入というものを見ております。その財政需要と財政収入とのギャップに対しまして交付税を配分する、こういう技術的な操作をいたしておるわけであります。その場合の教育費の見方、土木費の見方等々いろいろと財政需要があるわけでございますが、それらの見方につきまして専門的に検討されました結果出てきておりまする単価と員数というものがあるわけでございます。その配分が従って不適当である。今日の需要の見方が非常に妥当を欠いておるという点御指摘でございますれば、これを改めることに努力をいたさなければならぬと存じまするが、必ずしも今申し上げたような基準でございまするから、それかすべて実支出に表わすというふうなわけには参らないと思うのでございます。従ってこれはいろいろの需要についてそういう問題があるわけでございますが、今日までやって参りました自治庁当局の多年の研究によりまして定められたところの基準というものは、それ自体一つの合理性を持って調和をとっておるわけでございまするから、それを簡単に現実の実支出に合わすべきであるという御議論につきましては、遺憾ながらこれは簡単にさようには参らないということを申し上げる以外にはないと思います。
  30. 木村守江

    木村守江君 ただいまの答弁ですが、実際この差額のために府県は、あるところは年間五億万円、あるところは三億万円、あるところは八億万円というような、その結果赤字を出しておるのです。こういう差額のために赤字を出しておるのです。そうして今基準の問題を話しておりますが、文部省の本年度のこれは義務教育の国庫負担に要する七百三十七億というような数字はいわゆる一万六千九百二十円、一万六千五百九十円というようなものを基準として算定されたはずであります。そういうようないわゆる文部省の算定基準がこういう算定基準であるのに、なぜ一体同じ金を払っておる教員給自治庁基準財政需要額では二千円も下回っておるのか。一体どっちの基準が正しいのか。それは自治庁の方が正しいのか、文部省の方がごまかしておるのか。それはあなたは自治庁では長い間のいろいろな統計の結果云々と言っていますが、長い間の統計の結果であっても間違いは間違いなんです。間違いは改めなくちゃいけないのです。どっちが正しいのです。どっちがうそなんです。
  31. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。  実支出額といたしましては文部省の数字が正しいのであります。交付税の配分基準といたしましては自治庁の数字が正しいのであります。
  32. 木村守江

    木村守江君 ただいま申し上げたように、このいわゆる自治庁の配分基準というもののために地方財政が年間あるいは五億万円、あるいは三億万円、あるいは八億万円というような赤字を出しておるのです。すなわち教育地方財政赤字を大きなしわ寄せをしておる。赤字根源教育にあるのだというような大事な教育が、財政的にこういうような地方財政に圧力を加えるということから、内容的にも教育を批判されるような状態になっておるというような状態、果して教育担当の文部大臣としてこれでよいと思うかどうか、私は文部大臣はおれの方の担当の半領国庫負担は、いわゆるこの実支出の半額を出しておるから差しつかえないのだ、あとは自治庁の方の考え方だ、それで一体教育全般がいいかどうか。教育の比率というものは自分の受け持った生徒だけがよくなってもだめなんだ。隣の組の生徒もよくなっていき、学校全体がよくなっていって自分の受け持ちの子供がよくなる。学校教育がよくなると同時に社会教育がよくなって初めて私は教育がよくなるのだと思っております。文部省関係した実支出額の半分だけを出しておけばあとは自治庁関係の方はどうでもいいのか。こういうような結果がいわゆる教育地方財政を圧迫しておる、地方財政の大きな原因となっておるのだということを考えたときに、文部大臣はこれに対してどういうような御所見と、これからこれに対してどういうような方法をとって参られますか。
  33. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私財政のことはしろうとでございまして、きっぱりとしたことは申されませんけれども、ただいまの大蔵当局説明を聞いておりましても、全体といたしておりましては、やはり半額補助の額には狂っておるとは申されんように承わります。従いまして、やはり半分ずつの負担をいたしておるというように考えるのでございます。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと関連。この問題はかつて本委員会で私大臣に二、三度お伺いした問題で、基本的な問題でありますが、ただいまの木村委員質問に関連して重ねて私も伺います。  で、先般は文部大臣は実支出の二分の一は文部省が確実に出していると、その通りです。出しています。で、あと二分の一が問題で、あと二分の一については、文部大臣としては自治庁長官に対してあと二分の一出るように要望し、また自治庁側においてもあと二分の一は地方の交付金の中に入っていっていると、自治庁当局でも了承しているということをここで答弁されたわけです。ところが実際にはこのあとの二分の一というものは流れていかないで、各都道府県の自己財源によってまかなうようになるので、木村委員が言われるように一つの圧迫の要素になってきているわけです。そこで私大臣に伺いたい点は、かつて出た話ですが、義務教育は無償であると、そうして義務教育だという観点から、今文部省半額全部持っているのですが、今自治庁その他と問題が起らないように、もうその実支出の全部を国でもって、そうしてあと二分の一は交付税で云々、入っているの入っていないの、そういう論争の起らないように、その実支出の全額文部省の手を通じて各都道府県にやると、こういうお考え方については大臣はどういうふうなお考えなのか、それが一点。  それから先ほど地方財政計画はこの前も言ったように、財政計画はいいんですよ。ところが基準財政需要が問題なんだ。それで、ばんと開いているから問題が起ってくるわけですね。そこで今度は各都道府県においては、これは大臣に質問がいきますから……交付税率が今二二%ですね。これが知事会は三〇%といっているのですが、まあ三%にいかなくても二七、八%くらいに行っておれば地方財政計画と基準財政需要との間に幾らか食い違いがあっても何とか地方でまかなえるが、そこでばんととらえておって交付税二二%といっているからどうにもならないで赤字財政を重ねている、だからさっきいったように全額を国で持つという考え方、大臣はそういう考えをもっているかどうか、まず聞きましょう。そうして、今現行で行くとするならば、今盛んに問題になっている交付税率、これを二二%というものを少くも二七%くらい大臣の政治力をもって引き上げるということも一つの方法だと思う。これをどう考えるかということ。  関連してもう一つ。これは大蔵省にも伺いますが、実支出の二分の一を文部省が持って、あとの二分の一は基準財政需要額でかなり抑えて出すとすれば、私はこの義務教育費国庫負担法の第一条第二条の精神からいって、この第二条にある「特別の事情があるときは、各都道府県ごとの国庫負担額の最高限度を政令で定めることができる。」というので、いわゆる政令一〇六号、これは私は矛盾すると思う。この政令一〇六号は全廃すべきだと思う。ということは、基準財政需要額を抑えておいて、そうして政令一〇六号でこれは特別の事情があるというときに、これは少し高過ぎるといって二重にわたって抑えている。だから現行で行く以上は、だから政令一〇六号は、この間少し緩和したけれども、全廃すべきだと思うので、大臣この三点について答弁を願います。そのあとで正示さんの答弁を願います。
  35. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私全くこの方面は借手でありまして、そのうちの金額国庫負担のことでございます。これはかつて私が属しておりました先の政党においても非常に検討をいたしまして、そうしてこの全額負担を目標といたして漸次やっていこうということにいたしておりました。私個人といたしましては、今も同様に考えておりまして、機会あるごとにそのようなふうにいたしたい。たとえば、地方窮乏を救うために国が交付金などを出すならば、むしろこれだけ余計に一ぺんに来る、全部というわけにはいきませんが、してやりますと、ほとんど全国に同じものが行くというようなことも個人としては考えてみておりますけれども、それは単に私の本当の私見の私見に過ぎませんので、責任あるお答えはできません。漸次これは増していくべきであると考えております。その他のことにつきましては私の方の会計課長からお答えしていただきます。
  36. 北岡健二

    政府委員(北岡健二君) これは全体の問題になると思いますが、現在の二二%程度のものを二七%にするという点につきましては、一文部省だけの問題でないかと思いますので、現在の地方財政制度の改正から見まして簡単にどうということは申し上げかねると思いますが、現在一応の地方財政の観点では、文部省から出します国庫負担金に対しまして、それに見合うべきものを地方の自己財源とそれに交付税を加えたもので成り立っているというわけでございますから、一応現在の体制のもとで現在の制度考えられているのじゃないかと、こんなふうでございます。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政令一〇六号は。
  38. 北岡健二

    政府委員(北岡健二君) 政令一〇六号の点でございますが、最高限度を定めることが原則的に矛盾ではないかというお尋ねでございまするが、順次、そういう本質論は別にいたしまして、政令一〇六号の事実上の障害を取り去っていくという考えで進んでおりまして、本年度におきましてその後段を撤廃しまして、御承知のように十三府県でしたかが一般県並みにやるように取りはからっているわけでございます。なお残りの政令該当の三都府県があるわけでございますが、これについての考え方といたしましては何らか改善の措置をさらに進めてとっていきたいという考えではございまするが、目下その点については諸般の事情を考慮いたして、検討いたしているような次第でございます。
  39. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 矢嶋委員の御質問につきまして、大蔵省関係についてお答えを申し上げます。  交付税の率その他につきましての御意見は、これは一つの御意見でございますが、一方交付税につきましては法律にはっきりと、この率の改訂は引続き財政の実情に沿わないということが行われたときに初めて改訂をする。御承知のように交付金制度を交付税制度に切りかえました趣旨から申しまして、毎年々々これを軽々に変えるということはきわめてその趣旨を没却するようなおそれもございますので、慎重にいたさなければならぬという国会の御趣旨かと拝承いたしているのであります。次に政令の問題でございますが、基準財政需要で、ある程度抑えているのを、さらに特別の事情ということで最高限度を定めることは、二重の抑制措置ではないかという御指摘でございますが、この点、まあ矢嶋委員も、よく御承知通り、いわゆる比較的富裕団体というものがございますと、ややそういうきらいがあったかと存じます。これは比較的富裕団体は申し上げるまでもなく交付税が参っているのでございますが、交付税よりも固有財源が多いという理由をもちまして抑制をされたのでありますから、仰せの通りのようなきらいが多少あったかと思うのでありますが、今日いろいろ文部当局とも御相談の結果、比較的富裕団体というものをすでにはずしまして、もっぱら不交付団体に限定したことは御承知通りであります。そこで不交付団体には申し上げるまでもなく交付税は参っておりませんのですから、これらの団体はもっぱら自己財源によりまして資金を出しているわけであります。こういういわば今後の地方財政を解決する一つの大きな問題を孕んでおりますところの富裕団体、そういう団体へ金を出します場合に、国が自分で大学の付属の学校においてやっております以上のものを出すということは、これはまあできればけっこうなんでおりますが、その他の比較的に困窮している団体の方へやはり金を回す、すなわち比較的富裕団体というものをはずすという趣旨から言うならば、ある程度富裕団体にお忍びを願うということもやむを得ないのではないか。それらの団体につきましては交付税は、いっておりませんから、従って私どもは政令によって一応最高限度をきめるということがやはり必要ではないか、というふうなことを考えおります。
  40. 木村守江

    木村守江君 文部大臣はどうも財政の問題は苦手だというような話をしておりますが、何と申しましても教育を守って行くために一番大事なのは教育財政の問題だと思います。あなたが文部大臣になられて、しかも鳩山内閣でもって副総理級の大物を文部大臣にしたということにつきまして、あなたが教育に対するいろいろな考え方を持っておるということよりも、あなたが文部大臣になれば少しでも教育財政が確保できて、よりよき教育ができるのじゃないかというような期待が全国民の中に私は多いと思っております。教育実際の問題よりも、教育財政の問題であなたに期待しておる方が私は多いと思っております。そういう点から考えて、あなたは、おれはどうも苦手だというような話でありますが、これはもってのほかでありまして、こういうような問題こそ最も勉強して、最も確かなところをつかんでおりまして、そうして現在の状態で果してあなたが言うような日本教育がよいかどうか、そのことについて、もう一ぺんはっきり御答弁を願いたい。  それから大蔵省の正示次長にお伺いしますが、基準財政需要額というものの基礎として、県には八割あるいは市町村には七割というように交付税制度によって出しておるのだというようなことでありますが、そういうようなことからして教育費に対しては十分ではない、そういうふうなことから地方財政赤字が出て来たのだというようなことは、少くともあなたは認められると私は思うのですが、それを認められるかどうか御答弁を願います。
  41. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 財政の詳しいことに通暁いたしませんものですから今おしかりをこうむるわけでございますが、大体につきましては先刻来申し上げました通りでございまして、できるだけ地方財政との調和もはかり、そして今日の義務教育制度を漸次国力の回復と相待って完成に近づけたいと思い、そのために努力をいたしたいと考えております。
  42. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、基準財政需要の見方につきましては府県八割というふうになっておりますが、これは全体を通じてのことでございまして、この中で特に義務教育につきましては大村委員承知のように非常に重点を置いておりまして、大体九五、六%というふうに見ておるわけでございます。高等学校その他の方が合さりまして八割ということに相成るわけでございます。そこで義務教育費財政需要における見方が低いために赤字になっておるというふうには私どもは実は考えておらないのでございまして、今日いろいろ義務教育費の問題が出ておりますが、やはりこれは財政需要なり実支出額の面の問題というよりは、先ほども文部大臣からも御答弁がございましたが、六三制に伴いまして新しく校舎を整備しなければならぬということが一どきに起ったわけであります。そのために相当無理をしまして起債をしたような事実があったように思うのでありますが、その起債の元利償還というふうな問題が相当一時的に地方財政を圧迫しておるというような面は、私どもも相当これは認めなければならぬのではないか、かように考えております。
  43. 木村守江

    木村守江君 文部大臣の御答弁によりますと、日本国力が非常に低いので、いろいろな方面を勘案して、そうして義務教育を守って行かなければいけないというようなお話をしておりましたが、私はそういう一般論を言っているのじゃないのです。一般論を言っているのじゃなくて、いわゆる文部省が実支出額の半額負担しておって、しかも全国の平均給というものを認定しておる。認定しておって半分出しておる。そうして自治庁の計算する基準財政需要額というものがそれから千五百円ないし二千円下っておる。そういうことのために地方財政に及ぼしておる影響が年間五億円にもなる、八億にもなっておる、そういうような状態で、ほんとうに教育を守れるのかということを私は聞いておるのです。  それから正示主計局次長にお尋ねしますが、あなたの言うような、いわゆる義務教育に対しては地方財政にそれほど圧力がかかっていないだろう。これは私もそういうことはよくわかります。しかし私は一例を義務教育にとってみましたが、県並びに地方財政といたしまして、教育費として考える場合は、義務教育だけを考えますことはできません。これは文部省だったら、大蔵省でなくて、地方財政考えない、まあ文部省だけだったら義務教育だけでいいでしょう、しかし少くとも自治庁の上にある大蔵省教育の問題を考えるとき、私は義務教育だけを頭において教育して行くことはできないと思います。もちろん御承知のように教育財政の大きな圧力というものは現在の各都道府県の高等学校にあるということは、私は承知しております。戦争前の高等学校の経営というものは、大体において授業料を取りますればすべての経営費が間に合ったのです。ところが今は授業料を取ってもほんとうに少数の先生の給料にも足りないというようなことでありまして、施設設備等においては全くこれはマイナスになるというのが現在の高等学校の実態です。そういう点から考えて高等学校というものの経費が義務教育に圧力が加わって、そうして義務教育もよくならないで、圧力が加わって、教育費全体として都道府県の財政に圧力を加えておるというように言ってもいいと思うのですが、あなたは義務教育についてはあまり圧力を加えないが、高等学校の問題だと言うのですが、これは大蔵省といたしましてはやはり高等学校の方も勘案して考えなければ地方財政赤字の解消はできないと私は考えております。どうかそういうような点から、これはあなたに幾ら言ってもわからないでしょうが、(笑声)こういうような状態では、これはいつまでたったって地方財政赤字はなくなりません。それですから、これはもう少し教育費について御考慮を下さって、これからの教育を支障のないようにしていってもらいたいと考えております。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はさっきの第一点と第三点に対する答弁は一応それで了承してさがりますが、第二点に対する答弁は了承できません。ということは、今義務教育費が主議題になっておるわけですが、文部省としては地方財政の中で最もウエートの大きい教育予算と地方財政の実情というものは常に密接不可分の問題として絶えず研究されていると思うのです。従って地方財政の再建についてはいかようにしなくちゃならぬかということについては文部省という立場から私は自治庁と、あるいは大蔵省と十分太刀打ちできるだけの研究と成果を私は持っておられると信じております。その文部大臣が交付税率の二二%をあるいは二七%、三〇%にすることについてどういう見解を持っているかという質問に対してお答え願えないということは私は非常に遺憾に思います。重ねて伺いますが、私は問題は今地方財政赤字である、その赤字というものがやはり地方財政の大きなウエートを占める義務教育予算関係に非常にしわ寄せになって来るということは否定できないと思うのです。今回の地方財政再建促進特別措置法案、これについても、法案が国会に出る事前に文部大臣としては相当御努力をなさったようで、その努力に対しては敬意を表しますが、しかしあの案が成立した暁においても、これは力関係で私は各都道府県の教育予算というものは相当のしわ寄せと圧力を受けるものと、かように予想しています。これは法案がもし通った後に執行して見れば明白になることであって、当るか当らないかは時が証明してくれると思いますが、一体そういう点はどう考えているかということが一点と、それからさらに問題は地方教育予算にむだがあるかないかということは問題だと思います。むだがあるならば、これは何らかの形で制約しなければならん。あるいは地方の土木費等公共事業費とかあるいは行政費、そういうものにむだがあるかないかということは問題だと思う。ここで教育予算をピック・アップして見たときに、一体各義務教育学校における予算の執行状況はどうか、むだがあるかないか、また職員の定員はどうだ、あるいは施設、設備への予算投入は過大かどうかということを考えた場合に、不足こそすれ、むだというものは全くないと言っても私は過言でないと思います、教育予算に関する限りは。従って、これを確保するに当っては、やはり地方財政の現行法を守る以上は、地方財政を少しでも豊かにするためにはいかにして財源を与えるかということが問題になって来ると思うのですね。そうなると、税法を変えて課税対象を新たに与えるということも一つの問題でございましょうが、また一面非常に問題になっているのは、交付税率の二二%でいいかどうか、これに対しては軽率に変えるべきでないという正示次長の発言もあったわけでしょうが、間違っておったならば、これははっきり改めていい。昨年の国会においても、これはもう少し上げるべきだという意見があった。これを交付税率を政府提案に対して上げるべきだと主張したのは、当時の改進党さんですね、衆議院の。改進党さんが衆議院において相当の率を上げた。これが参議院に回って来て、いわゆる緑風会の良識をもって二二%になった。その二二%で運営した結果、全国四十六都道府県のうちの三十九県というものは赤字を出して悩んでいる。一、二県ならば、これはその知事が云々ということは言えるだろうけれども、四十六都道府県の中の三十九都府県が赤字に悩んでいるということは、これは私は知事だけのやり方がまずいとは結論づけられないと思う。もしその交付税率が二二%が妥当でないというならば、それを改めるのにやぶさかであってはならんと思うのですね。従って、地方財政の中で最も大きなウエートを占める教育予算、しかもその中にむだがない。これを守るためには、今大きな政治問題になっているところの交付税率を二二%が妥当でなければ、一体どのくらいまで上げることによって地方財政をかばい、それによって地方教育予算を確保して教育を守って行くかということについて、私は文部大臣としては一つの識見をもって閣内においてそういう私は閣僚としての行動があってしかるべきだと思いますし、また事務当局においては、やはりその一つの見識をもって自分らの大臣を補佐するような態度でなければならんと思うのです。従ってこれは大臣としてどういう御見解をこれに対して持っているかということと、大臣を補佐するところの事務当局は、これは地方財政教育予算についてはずいぶん研究なさっておるのですから、どういう御見解を持っておられるかということを、御両者からお伺いしたい。
  45. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) ただいまのお話でございますが、事は自治庁大蔵省関係でございまして、もちろん私の方に関連を持つことは持っておりますが、私といたしましては重点をやはり義務教育費の国庫負担を将来どうするかという点において教育行政といたしては考えたいと思うのでございます。これについては今それならば、大体どういうことを考えているかということは、これは財政関係もありしますので、具体的のものを得ておりませんが、将来教育費の解決は漸次増額するということでやって行くのが最も端的に解決する問題だと自分としては心得ているわけでございます。
  46. 木村守江

    木村守江君 私の質問に対して答弁
  47. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) ただいま申し上げました点でありますが、義務教育費の国庫負担の点で……。
  48. 木村守江

    木村守江君 現在どうします。現在の状態をどうしますか。将来の話でないのです。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さっき質問の形にならなかった、最後の結だが。だから大臣忘れちゃった。
  50. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) ただいまの問題でございますか。それにつきましては、これは自治庁のあの出しております案についてこちらの方がいかなる影響があるかということであろうと思いますが、これについては私どもはただいまのところ、大なる影響はないと見ているわけでございます。もしもこれが地方財政の整理が教育にことごとくしわ寄せして来るというようなことはないとは思いますけれども、そういう現象が出まするならば、これを防遏することはこれはもちろんいたさなくてはなりません。そのためにあの教育委員制度のごときもなおあのままの形で残しておいたわけでございまして、本来から申せば、今度のことについて特別われわれにしわ寄せはされないことだろうという考えを持っているわけでございます。それから義務教育費の間に自治庁との関連において相当地方が損をし赤字を出しているというお話でございますが、この点については、一つ正示さんの方から、もう一応の御説明をお願いすることにいたします。
  51. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 矢嶋委員の御質問もございましたし、地方財政教育との関係につきまして御説明申し上げたいと思います。  お説の通り、特に義務教育費地方財政のうちに占める比重は相当に大きいのでありまして、私ども地方財政に対しましては常に関心を持って研究いたしておるわけでありますが、何と申しましても文部省といたしまして教育費に対しまして対処しなきゃならん問題は、義務教育費のやはり国庫負担法に基きます国庫負担金の予算についての問題であろうと考えます。本年度御承知のような積算で予算を組んでおりまするが、それに対しまして地方財政との関連は、すでにお話が出たかもわかりませんけれども地方財政計画の上におきましていかように義務教育費の計画が組まれるかということであります。これにつきましては、昨年来自治庁ともあるいは大蔵省とも十分打ち合せをいたしまして、義務教育費国庫負担金の予算と、それに合した計画を地方財政計画の上では載せてもらっております。従いまして、本年度の計画におきましても、あるいは人員の増加、教員の増加の数にいたしましても、あるいは単価の点にいたしましても、これは支障がない計上がみられております。特に人員につきましては国庫負担法よりも、これは理論上当然でありますけれども、若干上回った人員を地方財政計画に載せてあります。そこで先ほど来お話がありましたのは、その発表に対しまする配分の問題でありまするが、おそらく交付税の配分等についてのお話だと思いますけれども、これは単に教育費だけの問題じゃないのでございまして、地方財政に対しまする全般の問題でありますので、文部省だけがその点につきますして交付税率の引き上げ等につきまして意見を申し上げることは、これはその筋ではなかろうと考えるのであります。それから財政需要の関係は、これは先ほど正示次長からもお話がありましたように、特に義務教育におきましてはこの補償率が比較的高いのであります。御承知のように財政計画と、それから基準財政需要額との関係は、これも自治庁からお聞きとり願った方が私ども所管外でありますので、誤りがあってはいけませんので、詳しいことは申し上げかねますけれども、たとえば基準財政需要額に見合いまする関係は基準財政収入額と交付税を加えたものだろうと考えます。その場合基準財政収入額は税収の一〇〇%ではなくて八〇%にみてある、こういう関係もありますので、基準財政需要額で全部のものが何と申しますか、まかなわれるという形にはならんと考えます。しかしながら義務教育費につきましては、先ほど申し上げましたように、財政計画に対しまする比率は高くなっております。たしか平均しましても九六%ぐらいになっていると考えます。さようなことで特に教育に対しまする地方財政の点につきましては、私どもとしても一十分関心を持って対処いたしたいと考えております。
  52. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 木村委員の御質問に対しまして、文部大臣からお答えするようにということでございますからお答えをいたしますが、この義務教育費についてはそれでは相当高いウエートをみておる、九六%という点は一応認めるから、あとの方はどうかというような御質問でございました。この点につきまして、ちょっと前にさかのぼって申し上げますと、先ほど政令のことで矢嶋議員にお答え申し上げましたが、御承知のように昨年までは比較的な富裕団体というところにも政令を適用いたしておりましたために、たとえば京都のような例はこれは非常に顕著な例かと思うのでありますが、相当学校の先生方が高齢者が多く、また中堅的な非常に有能な先生が多い、そういうところにつきましても政令を適用しておったわけでございます。そういう場合に、私はやはり問題があった、この点われわれは謙虚に反省をいたしたわけでございます。そういうときには確かにこの義務教育費につきまして政令で抑制したというふうなことが一つの大きな負担になっておったということは私も率直にこれは認めなければならんと思います。それを改善をいたしてゆきたい。次に義務教育以外の、たとえば高等学校についての教育については大蔵省は常にやはり地方財政その他でよく考えておるかという御趣旨でございますが、これはやはり順位はございますが、まあ義務教育ほどには参っておりませんが、決して軽視はいたしておりません。ただ木村先生の御指摘になりましたように、高等学校の授業料、これは大学の授業料もさようでございますが、われわれが学校に行っておりましたころから見て、授業料が非常に頭を押えられておるということは御承知通りであります。大学が押えられておりますために必然的に高等学校も押えられておるというような点は確かにあるのではないかと思うのでありまして、これはいろいろな事情で今日むしろ教育行政の面からも非常にそういうことになっておると思うのでありますが、そういう点で相当苦しいというふうなことも伺っております。これは自治庁当局に伺いますと、もっと値上げをしたいと言っておるのでありますが、この点は文部御当局にもいろいろお考えがあることだと思いますが、大蔵省はそれらのものは、やはり適正に両御当局の御要求に応じて適正なところにきめられまして、やはり地方負担にならないようになることが願わしい、こういうふうに考えております。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 緒方局長答弁の中には了承できる面もあるが、私は一点聞きのがしできない面があったと思うのです。それは文部省としては義務教育費半額を、実績の半額をみる、あとは地方財政の問題で文部省だけで処理できる問題ではない、こういう御発言でありますが、これは義務教育費国庫負担法という立法当時の経過というのを御承知と思いますが、この当時の立法のねらいは全額を国が持つよりは半額だけ国が持って、あとの半額は地域住民のそれぞれの能力に応じて持つようにして教育に関心を持たした方がより教育が身近に感じられ、民主教育が育成されていくだろう、また教育地方分権の精神にも沿うであろうというような立場からやられた一わけで、やはり地方財政を豊かにして残りの半額をより十分に確保できるようにするということが私は眼目でなければならんと思うのです。従って実績の二分の一を文部省義務教育費国庫負担法に基いて持つと同時に、あとの二分の一は地方財政と関連があるのですから、これは私は重大な関心を持って努力されなきゃならん。そういう事柄が義務教育費国庫負担法の立法精神の中に盛られておる。そこでこの点についてはお考え直しを願いたいと思う。  そこで私は具体的な問題をお伺いします。大臣の答弁がありました、たとえば今私が申し上げましたように、残りの二分の一が十分でないために、たとえば教職員の昇給昇格がストップしております。それから旅費は今度の各県議会に提出されたものは切られるか、非常に減額される。ことに県によると日直宿直料なんか予算に載っていません。こういう事態文部大臣はどうお考えか、日宿直料を予算に組まなかったら一体夜間における学校管理をどうするのか、それから教員といえどもこれは人間です妻子もございましょう、昇格とか昇給というものがあるということは、やはりその人を職務に私は勇気付ける大きな原動力になると思う。ところが昇給昇格というものはこの一年間全くないというようなことになった場合に、人間としての教師への影響というものはどうであろうか、それが一体教育にどういうふうに響いていくだろうということも私考えなきゃならんと思う。また各高等学校の授業料は大体各県とも一割か一割五分くらい引き上げるようにこの度の県議会に提案されつつあります。これはいずれも実績の二分の一は文部省が持つが、あとの二分の一が確保されない。また確保されていないということを口実にして、力関係で都道府県教官委員会を押えつけているわけですね。県の理事者は押えつけている。今度地方財政再建促進特別措置法というのが通りますと、再建計画の名のもとにさらに県の理事者側というものは非力なる教育委員会を押えつけて、この傾向というものはますます強くなっていくと思う。ここに私はことに重大な問題があると思うのですが、お尋ねいたしたい点は、昇給昇格のストップとか、あるいは日宿直料を予算に組まない、あるいは高等学校の授業料を引き上げつつある、こういうような傾向について大臣はどういうふうな御所見を持っておられ、またどういうふうな御努力をなさるおつもりか、お伺いいたします。
  54. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 宿直等の問題は局長から答弁をいたさせます。  それから、今後ますます教育費を圧縮される危険があるというお考えでございますが、地方財政が非常に窮迫すればそういうことが自然に起ってくることは、これはどうも免れがたきことでありまして、これは今の教育委員会の権限をそのままにしておきましても、やはりほかとの不釣合い等のために昇給その他のことがおくれ勝ちになるということのありますのは、これは不況の場合には当然起ってくる問題でございます。これを何とかして、できるだけ確保いたしたいと思って、文部省といたしましては、将来この上とも努力しなくてはならぬと考えております。これをどうすればそういうふうに昇給等もできるだけ正確にいくかという問題になりますと、やはり義務教育費をどういうふうにやるかという根本の問題に入ってくるわけでございまして、これはなかなか困難であろう、それまでの間をどう昇給等を確保することについては、今後の成り行きに応じて検討をいたしたいと思います。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の文部大臣はずいぶんこれは取り違えられていると思う。ピントをちょっとはずしておりますので重ねて私は申し上げますが、今都道府県知事は苦しい苦しいといいながら昭和三十年度の本予算を組むときの基本的な腹がまえというものが、地方財政再建促進特別措置法案が国会で通ったのちのことをもうすでに考えて、地方財政再建計画の中に収めながら予算案を作って県会に出している。自治庁の方は口に出して言わぬばかりで、高等学校の授業料も上げてやれ、昇給昇格のストップもやれ、教職員の定員は少しばかり削減してやれ、旅費も削減してやれ、そういう予算を組むくらいの心がまえでないと再建計画はパスさせることはできないと言わぬばかりの自治庁の立場で主張しているわけです。そこで各都道府県知事は授業料を上げるようにしたり、あるいは宿直料を打ち切ったり、あるいは旅費の引き下げをやったり、 昇給昇格のストップとか、何人か首切りしたような、そういう予算案というものを県会に出して、自治庁におべっかを使うような態度に出ている、これは絶対間違いない。そこで文部大臣として高等学校の授業料を上げることが望ましいのか望ましくないのか、教職員の昇給昇格というものはできるように、あるいはある程度旅費が確保され、日宿直料が確保されるように、そういうように地方当局に対して予算は組んでもらいたい。教育を守るためにはどうなくてはなららいかという明確なる大臣が見解を持っているということが私は非常に大事な段階だと思う。従ってこういう具体的な例をあげて教育を守る立場から文部大臣としてはどういう御所見を打っていらっしゃいますか、ということをお伺いいたしておるわけであります。
  56. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それらの件につきましては、大体のことを申しますと、自治庁長官にも話をいたして、できるだけそういうことのないようにお願いをいたしているわけでございます。なお、詳しいことは局長がここにおりますから御説明申したいと思います。
  57. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 地方教育予算の点については、お説のように当初の経常費、昇給昇格の財源が十分でないものがございます。これは先般来の本委員会でも御論議がありましたように、本年度の予算が最初が暫定予算であって、国の予算のきめ方もはっきりわからぬ、地方財政計画も十分立て得ないというようなことで、地方が相当予算を組むのに困った事情があったと存じます。そこで文部省といたしましては、この前から申し上げますように、国が出す予算案、それからそれに対応します地方財政計画の内容等につきましても十分に地方に徹底させております。従いましてこれからいろいろ追加更正等で、今まで昇給財源等のつけなかったところもだんだんつけてくるだろうと期待いたしております。  それから地方自治庁のそれぞれ地方に対する指導としてただいまお話のようなことがございましたが、これは先ほども申し上げましたように、文部省の国庫負担金の予算と同じものが地方財政計画に載っているということは、これは自治庁の態度としてもその程度のものを地方財政として認めていることであると考えます。今後の具体的な各府県に対します指導におきましては、これは自治庁とよく相談してやっていかなければならないと考えますが、全般的に現在のものをだんだん理屈なしに引き下げるといったような態度ではないと私は考えます。今後具体的の問題につきましては十分自治庁と相談して協議しながらやっていきたいと考えております。
  58. 木村守江

    木村守江君 私も先ほどの緒方局長答弁に対しましては疑問の点がありますが、これは後日速記録を拝見いたしましてから質問をすることにいたします。  先ほど来文部大臣答弁を伺っておりますと、最初においては地方財政を相当教育費が圧力をかけ、地方財政赤字原因というものは相当教育費にあるというような話でありましたが、だんだん話を聞いておりますと、教育費はそれほど地方財政に影響を与えていないというようなふうに変ってきたように思われますが、さよう承知してよろしゅうございますか。
  59. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 最初に申し上げました通りに、地方財政を圧迫していないとは申しません。しかしながら、それがその根本の原因であるということは、これは少し過ぎていると思いまして、地方財政窮乏教育費の以外にさらに大きな領域があると考えております。
  60. 木村守江

    木村守江君 私はただいまも文部大臣の言うように、教育費地方財政赤字原因をなしていないというようなふうになることを希望いたしております。しかしながら、今までの質疑の過程においてわかりましたように、教育費、いわゆる都道府県の教育費というものは義務教育だけではなくて、これは高等学校その他の教育費がありますので、教育費全般といたしましては、相当何と申しましても地方財政赤字原因をなしているということを言わなければならないと思います。しかし義務教育の問題につきましては、これはややもすれば義務教育学校が多い、それから教職員が多いという点から、教育というと義務教育費地方財政の大きな赤字原因だと言われるように誤解されがちでありまするが、こういうことになりますと、義務教育そのものにつきましても、義務教育に従事する教職員にとりましても、非常な大きな迷惑だと考えますので、そういう点につきましては文部大臣は所信をもって断固として地方に対して御解明なされたほうがいいのではないかと私は考えております。  それから大蔵省忙しいでしょうから、ちょっと聞きますが、これもきのう聞こうと思ったのですが、神戸の商船大学の問題です。神戸の商船大学には御承知のように海技学院が併設されておりまして、両方の施設、設備あるいは教員等が流用できるところに両方が経済的に運営できたのであります。ところが今回運輸省におきまして、新たに海技専門学院を芦屋のほうに分離いたしまして、そうして神戸商船大学と分離するような予算を組んで二千数百万円計上いたしております。こういうことになりますと、明年度にこれは必ず商船大学施設、設備のために大体四千万円の金が必要であります。こういうような金をこれは大蔵省では当然出すことを覚悟して、ああいうような運輸省の要求の案を組んだものと私は思っております。そういうことも考えておりまするが、もしもそういうようなことがあれば、私は国家経済上、非常な大きな損失だと思うのです。一体教育の問題は文部省の管轄下にあって、そうしてお互いの施設設備を流用して、そうして国費の節約をはかっていくというのでなければならないと思いますが、やはりこれもセクショナリズムと申しますか、お互いに引っぱり合いをして、そうして予算の獲得をする、こういうのに対しては大蔵省がだまって出すというように、私は大蔵省の予算の組み方というものに対しまして、これは非常に危惧を抱かなければならないと思います。片一方においては非常に過大なものを出すかと思うと、片一方においては非常に大きなほら穴を作っておいて、どすんどすんと大きな金を落してしまうというのが大蔵省の予算の編成の仕方ではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。これに対しまして文部大臣はどういうようなお考えをもっておられますか。御所見をお伺いしたい。
  61. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それではお許しを得まして、あるいは文部大臣具体的に御承知かどうか存じませんが、私のほうで一応お答えを申し上げまして大臣の方からもお答えいただきたいと思うのでありますが、ただいま御指摘の神戸の海技専門学院の件でございますが、本件は神戸商船大学校舎が学年進行に伴いまして、だんだん狭隘となって参りました。そのため校舎の一部を従来借りておりました海技専門学院の授業に支障を来たすことに相なりましたので、運輸当局からの御請求によりまして、三十年度予算にこの不足する教室の新営費といたしまして、ただいま御指摘のように二千三百六十万円の予算を計上しておるわけでございます。で、この点は木村委員よく御承知通り、この海技専門学院が最初にございまして、そこに商船大学ができた沿革になっております。私ども大蔵省の立場でございますが、これはただいまもお話のございましたように、二つの教育機関が両々相待って現在持っております設備とか、あるいはその他のいろいろの施設及び人的スタッフを最も経済的に活用せらるるようなことが望ましいわけであります。この点につきましては、従いまして文部省、運輸省及び商船大学、海技学院並びに地元のいろいろの関係が複雑のようでございますが、大蔵省はどこまでも予算を組みましたときには、この予算をもちまして最小限度必要なる施設を増築することはやむを得ない。しかしながら先ほども申し上げましたような設備なり施設なり人的スタッフなりは、現在ありますものを両方で最も有効適切に御活用願いたい、こういうことを申しておるわけでございます。従いまして関係の御当局におかれましては、そういう趣旨の予算でございますから、今後これが実施につきましては、十分慎重に御検討の上で、場所の選定その他についても、予算の趣旨に沿うようにやっていただけるものと御期待を申し上げておるわけでございます。
  62. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お答えをいたしますが、これにつきまして、文部省といたしましては運輸省があの学院をほかへ持っていくということについては、運輸省の方針にもよることでございます。ただ文部省といたしまして、あの設備をそっくり持ってゆかれてしまっちゃこれは困りますのと、技術者等も一時に向うへ持ってゆかれると因りますから、それらのあの大学に必要な設備、人員等については残してゆくということな具体的に両者の間に協定ができまして、それであの大学の設備に何らの支障がないというわけでございまして、了解をいたしたわけでございます。もう過日もすべてのそういうこまかい妥結ができた、こういう次第でございます。
  63. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 先刻来参議院予算委員会において文部大臣出席を求めておりますので、この際に文部大臣に対する御質疑はなるべく簡潔にお願いいたします。
  64. 木村守江

    木村守江君 ただいま文部大臣並びに主計局次長から聞きましたが、次長は施設が狭くなったのでほかに作るのだということを言っておりますが、これは離れて作ったのでは、どうしてもやはり一つのものを二つにするということになると思うのです。そういうところから私はむだな施設をやっちゃいけない、国家財政が非常に困っておって、一兆億予算と叫ばれておるときに、そういうような金の使い方は、これは全く余計な使い方じゃないか、ことに御承知のように明年度の施設費には四千万円か商船大学から要求しております。これにつきましては大蔵省は明年度はこれにつける考えがあるかどうか、それから文部大臣は両方いわゆる技術的にも施設的にも差しつかえないように話をしてあると言われますが、実際問題として私はなかなかそうはゆかないと思うのです。商船大学大学としてゆくためにこれから相当の施設費が必要です。この施設費に対して大蔵省と、明年度の予算には確かに取り得るというような約束をしてありますか。
  65. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) その点につきまして、私の受けております報告は、設備はそのまま残してゆきますから支障はないということでございます。さらに四千万円の予算の要求をいたしておるかどうかは私聞きませんが、もしもいたしておりますならば、その学院の移転のためではなくて、新たなる必要の予算でやろうと思いますが、その新しい予算の要求については、私は聞いておりませんのであります。
  66. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 大蔵省から申し上げますが、来年度の要求につきましては、ただいままだ全然きめておりません。私どもは予算の査定につきましては決してルーズにはいたさないつもりでございます。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣は予算委員会に行かれるようですから、私はきょうはやりません。本日は義務教育を中心にやったんですが、次回は大臣、大学関係のについてお伺いいたしたいと思いますので、御準備おき願いたいということをお願いいたしておきます。
  68. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) よく準備をいたしますが、要項は事務の方へお聞かせ下さいますれば、なおけっこうでございます。
  69. 木村守江

    木村守江君 今矢嶋君から義務教育関係においては、もう終ったようなことがありますが、私はまだ終りませんから、このあともまた聞かなくちゃなりませんから、たくさんまだありますから。
  70. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 承知しました。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 確かに義務教育の問題はたくさんやることが多いですから、さっきみたいに商船大学のような問題が起ったときは、今後お互い忙しくていつも委員会へ出ないからダブることがあるのですが、私もそういうことをすることがありますが、そのときは委員長からこの問題は一応議題になって、どういうふうになっておるということを一応説明して、それからやっていくと能率的に進むかと思いますので、そういうふうにお願いしておきたいと思います。  正示次長に一点だけ伺いたいと思います。先ほど地方財政の窮迫が問題になったときに、その一つ原因には、やはり高等学校の老朽校舎とかあるいは義務教育の年限延長等が大きな一つ地方財政窮迫の要素となっていると、こういう御発言がございました。私もその通りだと思います。そこで一つの問題をここにピックアップするのですが、それは御承知のように中学校における屋内体操場ですね、現在の中学校というのは社会教育面においても利用されるところの講堂を持っていないわけです。それから屋内体操場もないわけですね、その必要なことはここで喋々と申し上げるまでもないのですが、まあ最低のところで積雪寒冷湿潤地帯はとりあえず必要じゃないだろうかというので、今まで相当額の予算を出して、本年度も約五億ですか、予算を計上されてあるわけですが、これは降雨地帯も必要ですが、それは中学教育考えるときにいずれの学校でも必要なわけですが、それがいささかの補助もないために、やはりそういう施設をこしらえるために地方財政をやはり圧迫しているわけですね、また寄付という形で、一般国民に大衆課税の形で形が変っていっているわけですが、従って私は中学校、それから青ろうの中学校という、義務教育の中学過程ですね、これらの学校には日本全国同様に屋内運動場、これは講堂にも兼用されましょうが、そういう建設については補助金も出すように私はすべきじゃないか、これは教育を守り、地方財政の窮迫を少しでも救う道だと、こう考えるのですが、もうそういう段階に来ていると思うので、鳩山主計官も相当御理解を持っているということも承わっていますが、主計局次長いかがでございましょうか、お答えを願います。
  72. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えをいたします。ただいまの矢嶋先生のお言葉は、中学校につきまして屋内体操場あるいは講堂を兼用するような施設は、積雪地帯だけではなくて全国的に必要と考えるが、こういうものに対して補助金を出すということが地方財政窮乏を救う一つの救いとなるのではないか、こういうふうに拝聴いたしたのであります。私どもの立場から申しますと、先ほど来お話がございましたように義務教育に最重点がある。それで義務教育の危険校舎その他というふうなものに昨年までは補助金を集中いたして参りました。ただ積雪寒冷地におきまする屋内体操場というようなものは、これはもう地域的にきわめて必要なものであるという御趣旨で立法もなされておりまするので、それらを特に補助の対象に取り上げておるわけでございます。まあこれがほかの地域において必要でないということは、私も決して申さないのでございますが、結局帰するところ、限りある財政力でございまするから、その財政力の中にいわゆる緩急順序をつけまして補助をいたさなければならんということに結果として相なっておるものと実は考えるのであります。で、今日やはり一番必要なものは先ほど来御議論のございましたように、危険校舎その他本当にぎりぎりの教育施設というようなものに非常に足りない、不足があるというようなことがございます。また積雪湿潤地帯におきまする屋内運動場の建設に大体今後約六年間を要するというふうにも実は見られておるような次第もございまするので、今直ちにこれは、まあせっかくのお言葉でございまするが、これを皆対象にいたすということは、矢嶋委員は、かつて災害の特別委員長をなさいましたが、総花主義は非常にいけないということで、あの当時から非常に御活躍を願って、災害復旧も重点主義で高率補助というふうな立法をしていただいたことを私どもは、はっきり記憶をいたしておるのでありまするが、やはり今日教育を守り、地方財政を守るという点から、重点主義でもって最も緊要な問題を処理して参りまして、できればだんだんとそういう方向に進むことも望ましいと存じますが、今日の国家財政地方財政の見地からいいますと、やはりどうしても今申し上げたような諸般の事情で、一番必要なところからやっていく以外には手はないのではないかと、かように考えておるわけであります。
  73. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ほかに御発言がなければ、本日の審議はこの程度として散会いたします。    午後四時五十八分散会    ————————