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1955-05-19 第22回国会 参議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十九日(木曜日)    午前十一時一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            木村 守江君            吉田 萬次君            竹下 豐次君    委員            雨森 常夫君            堀  末治君            高橋 道男君            矢嶋 三義君            村尾 重雄君            山田 節男君   国務大臣    文 部 大 臣 松村 謙三君   政府委員    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    文部省調査局長 内藤誉三郎君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (昭和三十年度文部省関係予算に関  する件)   —————————————
  2. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまより文教委員会を開きます。  議事に入る前に、先刻開かれました理事会協議事項を御報告いたします。  本日は、公報には国立学校設置法の一部を改正する法律案を出しておきましたが、本件は予備審査段階でもありますので、後日に譲ることとなりました。従って本日以降、昭和三十年度文教予算議題とすることになります。以上御了承を願いたいと存じます。御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと存じます。  それではただいまより昭和三十年度文部省関係予算議題といたします。  文部大臣は後刻出席いたしますが、事務当局が参っておりますから、どなたか御発言がございましたら、この際お求めを願います。
  4. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣が来る前に、若干数字事務当局に伺いたいと思いますが、義務教育費国庫負担制度に基いて、昭和三十年度各県の予算定員増加は、本日現在どの程度と数字をつかんでおられますか、お伺いいたしたいと思います。
  5. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 現在、昭和三十年度の義務教育の七十七万人に応ずるところの各府県教員増加は、私どもの調べによりますと、一万三千人ということになっております。そのうち、政令県が約四千でございますから、政令該当しない三県を除いた分は約九千人でございます。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 三十年四月末現在で出された数字をここにいただいているわけですが、概数にすれば、今局長答弁された通り、この資料が現在文部省でつかまえている最終的なものでしょうか。
  7. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは最終のものです。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 とすれば、この資料に基くと、四十六都道府県全体で一万三千六百七十六人と出ておりますね。そうだとすれば、先般説明のときに、児童七十七万増加に伴う教員増を一万二千五百十人と見て、予算を要求した、こういう御説明でしたが、その差額はいかようになりますか。
  9. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) この資料にあります各府県予算に見込みました人員というものは、これは政令府県はここにごらんように四千百人と出しております。政令は御承知よう最高限度を押えております。この関係政令定員になります。私どもは一万二千五百十人で十分対応できると考えております。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ということは、東京大阪神奈川政令該当県の四千百四十七人が過剰である、こういう見解に立たれるわけですか。
  11. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 過剰ということはありません。これは実人員でありますから、県が予算で見ました実人員と申しますか、予算で見た人員そのものであります。それに対しまして東京大阪神奈川は、政令最高限がきめられますから、当然国庫負担いたします定員というものは、最高限がきまりますから、従いまして四千百四十七人の国庫負担は見ないということになります。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従って、そういうことは、四月末で一万三千六百七十六人の教員増は必要であり、これを各都道府県は実施した。しかも義務教育費半額国庫負担に基いて一万二千五百十人の予算化しかやっていないから、約千二百人分の不足を来たすが、この分はあなたの見解をもってすれば、政令該当県自己財源でまかなわなければならぬとということになる、こういうことなのでしょう。
  13. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) さようです。政令県についてはその通りでありますが、一般県につきましても、今国庫負担で見ております、計上いたしております人員のうちに十分含めて対応ができております。一般県の方がごらんように九千五百人、国庫負担金の方で今予算として見ておりますのは一一万人であります。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこでこれと関連するから、質問をしかけましたからもうちょっと数字を伺いますが、先般小中学校の単価並びに教員算出基準について承わったわけでありますが、その説明によると、政令該当県に対しては、文部省義務教育費国庫負担法、いわゆる半額負担の法に基いて、必ず実績の二分の一は見ている、こういう御説明をされていますね。それではあと半額地方財政計画にいかように盛り込まれているか。二分の一の実績半額国庫負担法に基いて文部省が見ているならば、あとの残りの二分の一は地方財政計画に十分に入っていると、かよう文部当局はお考えになっておられるのかどうか、その見解と実情を数字的に承わりたいと思います。
  15. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) この国庫負担金予算政府案をきめました際に、自治庁にも十分連絡いたしまして、地方財政計画の上に同額を計上されるように交渉いたしました。さように相なっております。ただし、まだ地方財政計画が確定いたしていないと考えますが、私の交渉はさようになっておりますし、同額を計上してもらっておるものと私は考えております。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治庁当局はその文部省要請を了承しましたか、いかがですか。
  17. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 了承しておるものと考えております。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 断片的になりますが、文部大臣、さように了承してよろしゅうございますか。
  19. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 事務のときの交渉はさようになっておりますので、私はそれでよろしいと考えております。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは次の二点について、文部大臣名をもって各都道府県教育委員会並びに都道府県知事に対して通牒を出されることを要請いたします。その第一点は、義務教育費国庫負担法に基いて、義務教育学校教職員予算を計上するに当っては、政令該当県については、その実績の二分の一を確保することになっているという内容と、それとあわせて文部大臣としては、地方財政計画の作成に当って、この文部省実績の二分の一に相当する額を地方財政計画に盛り込むべく自治庁要請協議した結果、自治庁はこれを了承し、そのもとに地方財政計画は立てられているというこの一点と、それから先般の委員会文部事務当局から言明のございました点、すなわち政令該当県の一応の職員の算定基準を、小学校十二学級について十三人、中学校学級について十三人という数字を用いたが、これは教育的見地に立った教育科学的な基礎のある数字ではもちろんなく、また政令該当県の教職員算出を何ら拘束するものでなく、政令該当県には関係のない数字であり、都道府県教育委員会並びに都道府県当局は、教職員算出に当って、この十二分の十三、九分の十三という数字を用いられることは好ましくないという意味の、以上二項目にわたる通牒を出されるよう、要望いたします。大臣、よろしゅうございますね。
  21. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいまのは御要請でございますけれども、ちょっとこちらからも一言申し上げておきたいと思いますが、まだ予算が御承知ように確定しておりません。これは国会で御審議中でございます。従いまして正式に通牒で出すということはいかがかと考えております。それから私どもは、予算国会で御審議中でありますけれども地方予算編成の上で参考に質せられるために、各府県給与予算主管課長教育委員会主管課長を集めまして、先般会議を開きました。その際に政府原案として見ております国家予算あるいは地方財政計画については十分話をいたしまして、ただいまお話の第一点の点につきましては、これは十分徹底をいたしております。実績の二分の一を確保するということは、これはもう国庫負担法法律できまっておることでございますから、これは当然のことでありますけれども、ただいまお話のありましたような現在政府案としまして国庫負担金予算を組んでおります点、それからそれに関連いたします地方財政計画のそのときの状況でありますが、これは十分徹底いたしております。  それから第二点につきましては、これは十二分の十三、九分の十三というのは、これは予算一つの積算の基準として使ったわけでありまして、これが地方を拘束するものでないことは当然であります。義務教育国庫負担法の建前は、実績の二分の一負担でございますから、これは府県におきまして、地方におきまして組みましたものの二分の一を国家が責任を持っていくということでありますから、これは当然だろうと思います。今申しましたように、先般都道府県教育委員会所管課長会議を開きまして十分徹底しておいたことを御了承願います。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第一は、その趣旨が徹底していないために、過去都道府県にやや混乱を起していること、それから第二は、先般の委員会並びに本委員会において政府側の方で明確に答弁された内容であること、この二つの理由に基いて、私は重ねて、大臣名をもって通牒を出されることを要望いたします。もし局長が申されるように、現在政府案として国会審議中であるから云々と申されるならば、次のように付加していただきたい。現在国会審議中の予算案の中には、こういう方針見解の下に予算が計上されておることを念のために申し添えるという、予算案実質的説明の形において通牒を出されたい。そのことによって、各都道府県は明確に把握できるし、都道府県教育委員会並びに都道府県当局との摩擦も少くて済むでありましょうし、さらに今後の各公共団体が自主的に財政計画を立てるのにも非常に参考になると思いまするので、方針を熟知させる意味において、この通牒はぜひとも必要だと思いますので、大臣名をもって出されることを重ねて要望すると同時に、出された後にはその写しを早急に本委員会に提出されるよう要求いたします。大臣の御答弁をお願いいたします。
  23. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 御希望はよく承わっておきますが、善処いたしたいと思いますけれども、必ずそういう意味通牒を出すというようなことは、少し事務的にも相談もいたし、善処をいたすことといたします。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この委員会で明確になったことを、こういうことだということを説明の形で流されることは、少しも私は局長ちゅうちょされることはないと思いますので、今大臣善処されるということを答弁されておりましたから、本日中にでも取り運んでいただきたいということを要望しておきます。局長、よろしゅうございますね。
  25. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) これはその趣旨の徹底するようには取り計らうことはもちろんでございますけれども、今仰せらるるような文面をそのまま出すことが適当でありますか、それから話し合いでもできる部分もありましょうし、しますから、御趣旨ようなふうに徹底するように取り計らいたいと思います。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私先ほど項目にわたって申し上げたことは、政府委員答弁内容をそのまま申し上げたつもりでございますので、ぜひ早急にこれを処理され、その写しを当委員会に出していただくようお願いいたしておきます。  大臣がお見えになりましたので、若干お尋ねいたしたいと思いますが、具体的な問題に入る前に、一般論として、初めてでございますので、あらためて大臣に伺いたいと思いますが、私は現代の日本保守政党においては、何も持ち上げるわけではありませんが、松村文部大臣は、失礼かもしれませんが、わが国保守政党間における第一級の政治家と、かように私は考えております。その大臣文部大臣となられて、あらゆる国際的あるいは国内的な諸情勢の判断、分析のもとに、日本文教政策を、いわば松村文政なるものをいかに展開されていこうとされているのか、その基本的な考え方と、それから少くとも、どなたでも大臣になられた場合には、いろいろな情勢を総合勘案し、自分はせめてこのことはぜひともなし遂げたいという一つの野望と申しますか、そういうものを持たれるのが普通かと思いますが、そういう立場から、基本論から発展して、具体的に大臣は任期中にどういうことをやられようとされているか、その二つの角度から御答弁をいただきたいと思います。
  27. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私はいつも繰り返して申します通りに、教育方針というものは、大臣がかわることに動くようなものであってはならないと、かよう考えておるものでありまして、従いまして、今ここに非常な変革を私がこの局をおあずかりしたからするというようなことは考えておりません。ただ教育根本は、どうしたって世界進歩と伴うていかなければならんことは、これは申すまでもないことであります。今日世界交通科学進歩発達、これがもう十年、二十年、今の少年の人たちが世に立つときには、さらに一そう世界は狭くなり、各民族交通は非常にひんぱんとなることでありますから、世界のどの民族と伍しても尊敬を受け得る品性人格をぜひ一つ完成をし、そして良知良能を備えて、世界のどの民族と伍しても劣らないふうに教育をするということが、これが内にいても外へ出てももとらぬ一つ方針であろうと思い、それに何としても、愛国という言葉は軍国主義に使われた時代がありますから、これはなんですけれども、やはり同胞愛といいますか、祖国愛といいますか、そういうものを把握して、そうしてもう少し品性良知良能を備えた人を作り上げることが今日の教育方針であり、これはどこにもおそらくは異存のないことというふうに考えまして、何かこういう点について、一つ不動性教育根本に与えることができたら、これは非常にわが国のためにけっこうなことでなかろうかと、近来の動向を見ますと、年々落ちついてきておる傾向だけは、これは認められるることと思いますので、今そういう意味において、教育基礎の安定ということは、ちょうどいい機会へだんだん向いつつあるのではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。  それともう一つ、期待をかけてやってみたいと思いますことは、社会教育の面でございます。これは青少年人たちに、やはりきわめて明朗なスポーツ音楽等の教養、それとこれによっての健康、明朗な性格、人格と申しますか、そういうものを練るということに努力すべきではないかと、ドイツあたり青少年の今日のやり方は、ヒトラーなんかのやっておったのとは違った意味において新しいものが生れつつあります。私どもはそういう意味において、よい平和的の青少年の趣味、娯楽を中心とした精神教育健康維持という点においてやるべきではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣から基本的な考え方を折々承わっておるわけですが、もう就任されて相当期間を経過しておりますので、私はその基本的な考え方からの具体的な見解段階というものが到来しておるのではないかと思うのでございますが、どうもそのテンポがゆるくて、どこにピントを合せてやられようとしておるのかというのが、私はやや明確でないうらみがあると思うのです。予算というものは、大体その政策行き方を現わすバロメーターと考えてよろしいと思うのでありますが、本年度の文教予算を拝見しましても、松村文部大臣がここに力を入れたのかなと思うようなところを拾い上げようと思えば拾い上げられないことはないようでもありますけれども、しかし非常に調子高く、具体的な展開としてこれをやられようとしておるのだなということが、この予算案に見受けられないということは、私非常に遺憾に思いますので、今こういうお尋ねをしているわけですが、あらためて伺いますが、昭和三十年度の文教予算編成に当っては、文部大臣は、どういう点に松村文政ポイントを置かれたのか、お答え願いたいと思います。
  29. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それにつきましては、先刻申しました教育基本確立ということは、これは予算の問題でありませんことは、これは御承知下さると思います。それから青少年のいわゆる社会教育の面は、これは実際力を入れてやりたいと思いまして、その予算は一億二千万円の予算をとっております。そのうち五千万円は、これは新生活運動の方へ充てる予定でございまして、これは文部省だけでやろうとは考えておりませんことはこの席でも申しました通り、民間の盛り上る運動に基調を置きまして、それが盛り上ったときに、新生活運動に要する費用を助成しようという考え方でありますが、それをとにかく所管省として文部省で五千万を、あとの七千万円で社会教育をやろう、こういうわけであります。社会教育は多端でございますけれども、そのおもなるものは青少年の、先刻も申したよう意味の助長するところへ使いたいと思うております。これにつきまして考えてみますと、なかなかいろいろの問題がございまして、今研究中でございますが、いわゆる青少年スポーツを主として考えて、そうして品性、健康を練るというところへ持ち込むという考え方と、それから一部分のことのようですけれども、非常に大きく作用いたしますことは、良書の普及、悪書の駆逐、それから映画というものの問題でございます。映画などの青少年に及ぼす影響というものは非常に重大でございまして、世界各国の例を見ましても、英国あたりようなアングロサクソンの国などの家庭では、厳重にその子弟をよしあしによって注意をしてやっておるような所もありまするし、また国によっては、ある一定の年令まで映画を見せない国もありまするし、いろいろありますが、私どもといたしまして今考えるのは、何とかしていい映画を見せるようにいたす努力を払うべきではなかろうか、そういうようなところへも力を尽したい。この社会教育の面に行きますと、いろいろありまして、ラジオ、通信その他もございますが、今その最も成果をあげ得るようにと思っていろいろ努力をいたしておるところでございます。  それからもう一つ言い残しましたが、私の力を入れておりますのは科学振興、ことに人べんの化学の点でございます。これは私ども考えでは、相当費用を投ずれば成果を上げ得る研究相当ございますから、そういうものに助成をして研究完成を期したいという考え方でございます。従いまして、ごく小さい金の分け方をしないで、効果の上るように大きくいたしたいというよう考えております。そこでそれらのものはどうして選ぶかと申しますと、各大学とかいろいろの研究所から申請をとりまして、そうしてその道の専門人たち協議をいたして選択を審査をしてきめるというようなことでやって、その効果を上げたい、こういうふうに考えておるわけでございます。もちろん老朽校舎等文教の施設、育英の事業、私学の振興というような点にもできるだけの力を、重点を置きましたような次第でございます。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいま答弁漏れがございますが、重ねて伺います。それは第一段と第二段に分離してお伺いしたわけですが、第一段答弁の中の、文部大臣考えておられる教育基本展開に当っては、これは予算を大きくは伴わないものだ、それはその通りだと思うのです。しからば、その予算を大きく伴わない文部大臣教育に対する基本的な考え方を今後実践されてゆくに当って、いかように具体的にこれを展開されてゆこうと方策考えておられるのか、その具体面の御答弁がないわけでございますが、重ねて一つ大臣考え方として承わりたい。
  31. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) これにつきましては、何ら具体的のものを持たぬじゃないかと言わるるのはごもっともであります。一言で私も申せば、そういう教育方針国民全体の常識となれば、それで私はいいと思っております。それが国民常識となるようにするというのには相当努力をし、また時日をかけなくちゃできないことである。たとえば以前の教育勅語ようなもので、またここで一つ基準としたものをどこかで出すかといいますと、これはなかなかいろいろむずかしいことで、そういうようなことをいたす機会にはないと思いますので、先刻申し上げましたようなことは、教育基本法趣旨もそれであるでしょうし、それから今後日本が立っていくなにも、やはりそういう点にあるのだと思いまして、これを国民の間で皆認めてくれるよう常識化する運動といいますか、やり方というものが、これは何だかのろいようだけれども、それ以外には何もない。実際今日においては、学校先生方は、これらのことについておのおの意見を持ってやっておられるでありましょうが、父兄などが大体どういうことで自分の子供が教育されておるかということがまだ常識化されていないような点もありますので、そういう意味において、そういうふうなあらゆる機会を通じて、できますならば、大臣がかわり、政党がかわっても教育基礎は動かない、はなはだはなばなしくないととだけれども、そういうことでやっていいのじゃないかというよう考えを持っております。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの大臣センスに私は全く同感です。非常に私はりっぱな考え方だと思うのです。私はどの国の国民でも、自分の国を愛するとか、地域社会を愛する、同胞を愛するという気持のない国民というものはないと思うのです。そういうものは自然とにじみ出るがごとく出てくべきもので、そういうような雰囲気を作り、またそれを常識化するところがポイントであって、一つのお手本みたいなものを示して、これで愛国心を養うのだ、これで同胞愛を云々するのだというよう行き方というものは、私はかえって成果を上げ得ないものだと思っております。従って私は具体的に文部大臣に重ねて伺いたいのですが、かつて天野文部大臣が、その時期も適当でなかったでしょうし、またその内容も適当でなかったでしょうが、国民実践要領というようなものを唐突として打も出されて、当時ずいぶんとあらゆる階層の議論の焦点となったことを、今大臣答弁と関連して思い出すわけですが、そういうものを打ち出して、そうしてあなたが先ほどから申されているよう教育基本確立の具体的な展開をはかられようという、こういう方策というものは現在お考えになっておられない、そういう行き方をされないというようなお考え方先ほど私は了承して、そのセンスはまことにりっぱだと共鳴したわけですが、重ねて伺いますが、さようでございますれ。
  33. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私は決して天野さんのおやりになったことをいいとか悪いとかと申すのじゃございませんけれども、どうもこういう時節では、一文部大臣が今現在の状態において何をし、誰が何をしても常識を涵養していくよりほかに早道はないというような感じを持つのであります。教育方針というものは、やはり偉大な教育家が出て、そうしてやっていくか、宗教家が出てなにをするか、そういうところに負うところが非常に多い。これを見ますと、常識を養うということが一等妥当じゃないかということを考えているわけであります。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで総括しまして、先ほど来の大臣のお考えを承わっていますと、私は教育振興という立場からは、簡単に申すと、文部大臣教育環境改善整備ということをお考えになって、その立場から文教政策をお考えになっていると、かように了承しました。しかもその教育環境改善整備というものを、予算を伴わない、物心で言うならば、精神的な方面に非常に重点を置かれて、それで教育政策展開ようと、こういうことを考えておられることが明確になりました。これはまことに政党の大領袖であるし、政調会長も勤められ、わが国の財政経済全般に通暁されておる文部大臣らしく、また松村文部大臣個人の性格面も表われているかと、私はつくづく今感じているわけですが、私はこの一面は、とやかく申すわけではありませんが、半面非常に欠けているのではないかと思うのです。予算を伴う面は、私は非常に影が薄くなっているのではないか、日本教育界は、私は冒頭に申し上げましたように、わが国の現在の政界における第一流人物と自他ともに認めている松村国務大臣文部大臣に迎えたということは、いろいろな期待もございましょうが、今の困窮しておるわが国の財政界において、できるだけ教育予算を確保することによって、もちろん精神的な面もあるわけですが、その予算の裏づけのある教育政策展開することによって、子供の成長と幸福を守るような、かような社会を作るようにしていただきたい、かような私は、日本教育界の希望というものが、期待というものが大臣にかけられていると思うのです。私はその角度から見た場合に、このたびの予算というものは、総括的に私は非常に期待を裏切るものではないかと思うのです。具体的にはいずれ事務局を相手に数的に審議して参りたいと思いますけれども、たとえば、父兄が最も悩んでおるところの、また父兄の負担にかかっているところの教育施設面については、大体七%程度の削減を一律にやられております。特に、御承知ように、市町村合併促進とともに、新たに施設を建築しなければならないという事態は、至るところに生じているわけですが、それが逆に減額をされて参る。さらには理科教育振興法、産業教育振興法あるいは義務教育国庫負担法に基く教材、図書館法に基く予算、こういう教育の実質的展開面に必要な予算というものは、一律に一〇%から、廃業教育振興のごときは二〇%近くも減額されておる。これはすべて父兄の負担にかかって行くものであり、その父兄の負担ができない場合には、それだけ教育というものは、予算面から低下、崩壊していくわけでありまして、この点に関する私は文部大臣の期待は非常に大きかったと思うのですが、その点が今度の予算面に具体的に現われていない点を、私は全国の教育関係者とともに遺憾に思うのでございますが、大臣はどういう御所見を持っておられるのでありましょうか。
  35. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) その御批判は甘んじて受けますが、しかし、今日の財政状態、また一律に減額を各省ともやられたというような点等もあります。決して弁解がましいことを申すのじゃございませんけれども、たとえて申しますと、産業教育の点において、ある程度の減額を私承知いたしましたのは、これは大体あの振興費というものは、明年をもって一応の予定が終るわけでございます。従いましてそれは今年は延びましても、来年においてはまたそれだけとれる希望もありまして、さらに来年になりますと、将来の大きい産業教育の計画等も立てる機会も出てくることと思います。今年は財政の都合で多少のことが来年に延ばされても、これはまあやむを得ないことだというふうに考えて、その点で同意をいたしたわけであります。それらのことも、必ずしもこれらの減額はすべて父兄の負担へ転嫁すると、こういうわけではないと考えるわけでございます。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの答弁に対して具体的に私は伺いますが、ちょっと聞きとれなかった点もあるのですが、産業教育振興法に基く補助というものは明年で終る予定であり、本年の足らざるところは明年確保するつもりである、かように聞えたのでありますが、さような計画になっているのかどうか、これが一点と、それから具体的なのが出ましたから、ちょっと具体的にお伺いしたいと思うのですけれども、それは大臣はこの科学教育振興というものを就任早々打ち出されました。ただいまも、さっきケミストリーの方に重点を置いて説明が述べられたわけでございますが、大臣も御記憶だと思いますが、私は四月二日のあの大蔵予算が内示される朝、大臣室にお伺いして、大臣科学教育振興という点については賛成であると同時に、日本科学水準を高め、ひいては日本の経済力の自立向上とも関連づけていくためには、何といってもこの中学校の理科教育施設、設備、特に従来の中等学校のまま、さらに特に元の女学校が新制高等学校となった、高等学校の理科教育施設、設備というものはきわめて貧弱である、ここから立て直さなければ、日本科学水準の向上あるいはこれを日本の産業経済の振興樹立と結びつけていくことはできないと考えるので、理科教育振興教育予算というものは、ぜひとも乏しい財政の中でも大臣として確保に努力していただきたい、それが一つ文教政策として必要であると思うという私見を、私は大臣室で大臣に申し述べ、大臣の御努力要請した次第でありますが、そのときに大臣は、まあごもっともだということを御返事いただいたわけでございます。ところが今度の予算案で見ますと、大臣は、松村文政の大きな柱として科学教育振興というものを打ち出しておりながら、幾ら内閣の予算編成基準があるにしても、大臣の大きな政策の足元である理科教育振興費をやはり一〇%削るというようなことは、私どもは何か予算編成方針にしんがないような感じがして納得しかねるのでございますが、どういうお考えになっていらっしゃるのでございましょうか。
  37. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私先般あなたから承わったことは、全くお話を承わって同感でありまして、その実現にも努めたのでございます。詳しいことは一つ事務の方から御説明を申し上げて、そのあとでまた私の方で……。
  38. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お話ように、科学教育振興については、非常に重要でありますので、大蔵省は全部一律に一五%の節約をあげて参ったのですが、特に重要なものにつきましては、節約率を減少することにいたしたわけでございまして、お話ようにむしろ増額すべきところでありますが、原則としてそういう方針をとって参ったもので、その点については協力せざるを得ないものもございますので、やむを得ず一〇%というところで協力したわけでございます。  それから産業教育につきましては、設備費につきまして、一応目標額の七割ということで第一次計画が話してありますので、基準の七割を第一目標にいたしておりまするので、一応の目標は三十一年で完成するということになっておるのであります。そういう意味でございます。
  39. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  40. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ここをちょっとケリをつけたいと思いますから……。それでは産業教育振興法に基く補助費は本年度減額されたが、その分も含めて来年度の予算を増額し、第一次計画は三十一年度で完了する見込みであり、それ以後の問題については、来年度の予算編成とあわせ計画を樹立すると、こういう文部当局方針だと了承してよろしいんでございますか。
  42. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) ただいまのお話は産業教育の設備費の補助金の問題でありますが、高等学校の問題でございますか、で、先ほど説明がありましたのは、当面の目標としましては、基準を七〇%に高めるということを目標といたしておりまして、それを二十七年度から五カ年計画で立てる、こういうことで予算の折衝もいたしてき、わけであります。そこで一番初めのところでは、約二三%というところでございまして、それが三十年度の予算を実施いたしますと、大体五二、三%ばかりになります。このテンポで参りますと、三十一年度で大体目標のところまでいくのじゃないか、さような目途で今後私どもも来年度の予算につきましては折衝していきたい、そういうよう意味でございます。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなた方の大臣への説明が不十分なためか、大臣の把握というものは不十分だと思うのですね。ということは、大臣はいかにも産業教育振興法に基く予算化はもう来年度で一切終るんだというお気持でおられるように思うんですが、あなた御承知ように、産業教育振興法に基く補助金を、職業教育のいよいよ盛んになりつつある中学校へも少くも高等学校並み以上に拡充してほしいという要望は長きにわたる要望でございますね。これは私はある段階にはぜひともかなえて上げなければならん問題だと考えているんですが、そういう問題があるということは、ほとんど大臣に御説明してないのじゃないかという印象を受けるのですが、この中学校の問題は将来どうなさるお考え事務当局はおられるわけでございますか。
  44. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) まず職業高等学校の実験、実習ということは、これはどうしても中心になりますので、この面を当面の目標として従来参ったわけであります。中学校に対しましても、御承知よう研究指定校を指定いたしまして、その面から設備の充実ということに並行してまあやって参っております。しかしながら、何と申しましても、これはやや専門的な高等学校の、職業高等学校の実験、実習の設備を完成することがまず当面の急務でございまして、まあこれは財政の関係もありますので、全部手を伸ばしていくのがいいか、重点的にやっていくのがいいかという問題に関連してくるかと思いますが、今後といたしまして私ども努力いたしたいと思うのであります。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その軽重並びに緩急に対する局長の言明はごもっともです。ただ問題の所在を大臣によくのみ込むよう説明しておいていただきたいと思います。私地の予算関係の問題でもうちょっと聞きたいことがありますが、一応他の方に質問していただいて、最後でよろしゅうございますから、もう一つ、他の面について、予算の面で聞きたいと思います。
  46. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をとめて。   〔速記中止〕   〔委員長退席、理事竹下豐次君着席〕
  47. 竹下豐次

    理事(竹下豐次君) 速記を始めて。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 話を戻して、やや具体的な問題になりますが、義務教育費国庫負担制度の実施に伴う予算の問題でございますが、伺いたいことは、この予算の中には、結核による休職者並びに産前産後の休養者に対する教職員の必要数というものは、どういう見解のもとに教職員定員をはじき出し、また予算を計上してあるか、事務当局に御説明願いたいと思います。
  49. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 政令の定数の算定の基準におきましては、これはもうすでに御承知でありますが、三%というものを結核休職並びに産休等のために別に計算をいたすことにしております。それから四十三府県につきましては、これは実績の二分の一負担でございますから、地方におきまして、そのことを含んで予算に組み入れれば、その意味で支出されますれば、これに対しましては当然国庫負担として二分の一を支出する、負担をする、こういう建前にいたしております。そういう建前である、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではもうちょっと突っ込んでお伺いしたいのですが、結核休職者という者は、実際に休職している人及び休職をしなければならない健康状態にある者、この二面からお答えを願いたいと思いますが、教職員の何%程度あるというよう数字をつかんでおられるか、さらにこの女子教職員の出産の実績をいかよう資料として持たれているか、お尋ねをいたしたいと思います。
  51. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 政令該当県の結核休職者の数でございますが、これは最近結核予防法の関係で非常に減って参りまして、東京大阪神奈川によって違いますが、東京では現在のところ一・三%、大阪神奈川が大体二%程度でございます。  それからもう一つの産休の分は、これは大体一%以下でございます。それで先ほど初中局長からお話のありました三%の範囲内で私はまかなわれると考えております。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政令該当県の方については。
  53. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 政令該当の方は結核の率がやや高いのでございます。各県まちまちでございますが、大体二%ちょっと超えている程度でございます全国平均いたしまして。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 産休の方は。
  55. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 産休は、これは政令県とあまり変りないわけでございます。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは伺いますが、産休の産前産後の休養のために休まれる女子教職員のために、生徒児童が指導者を失なって教育に空白のできることを防止するためには四十六都道府県を通じて大体一%程度の教職員を確保すれば足りると、かよう実績から把握されておられるわけですか。
  57. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 しかも先ほど答弁からこの一%を確保するに必要なる予算というものは、今の義務教育費国庫負担法に基く教育予算算出並びに地方財政計画を樹立する場合に、この一%を確保するために必要な予算というものは、現行制度において考慮されていると、かよう先ほどからの説明で了承できるわけですが、さように了承してよろしうございましょうか。
  59. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大体さようになっておるはずなのでございます。と申しますのは、政令県につきましては三%でまかない得る、それから政令該当県につきましては、現在の実績で見ておりますので、当然実績の中に入って来るという見解でございます。新しく増員する分につきましては見込んでございませんが、採用してすぐ結婚、お産になるということもすぐには考えられませんので、これは来年度の実績に今度は入って来ることになっております。
  60. 竹下豐次

    理事(竹下豐次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 竹下豐次

    理事(竹下豐次君) 速記を始めて。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長にお伺いいたしますが、今ここに先ほどから説明がございましたように、産前産後の休養をとられる女子教職員の補充として、実績として必要な数字として出ている一%の教職員を確保しなければならないというような仮に義務規定をした法律をここで立法した場合において、現行の実施面から国庫の支出並びに地方公共団体自己財源の支出面には、さしたる移動を来たして来ないと、かよう答弁から考えられるわけでございますが、その通りでございますか、念のため伺っておきます。
  63. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今お話の、大体御趣旨通りだと思いますが、ただその法文の書き方と思いますが、一%とか何とかいうことである基準を設けられると、必らずしもその県で一%になっているところもあるし、ならんところもあり、一%を超えるところもあるし、超えないところもあると思います。そういう意味で現実に産休を実施するのに予算面からは支障がない、こういうことは言えると思います。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点伺います。それは公立学校施設費国庫負担法の中のいわゆる屋内運動場、屋体と呼ばれておるものでありますが、これは御承知ように、積雪寒冷湿潤地帯の中学校の屋体に限って補助をするという規定がなされておるわけでありますが、先年来文部当局においては、現在の中学校教育施設というものは、便所と廊下と普通教室だけであって、特別教室も、校長、職員室も講堂も含んでいない最低応急基準のもので教育展開していくに当って暖地においても講堂兼用の意味において庭内運動場というものはぜひ必要であり、これを建設するためには積雪寒冷地と同様に一応設置者に対して補助をするように法の改正をしなければならないという見解に先年来文部当局は立っておられると、かように了承いたしております。昭和三十年度の文教予算編成に当っても、文部省議においてはその必要を認め、その金額を算出して大蔵当局に折衝したと、かように聞いておりますが、ここに出された資料にはその面が出ておりません。そこで伺いたい点は、文部当局との折衝においては来年度からでもこれを認めようとされるのか、それとも大蔵当局としてはそれを認められないという御見解に立っておられるのか、また現在の補助基準を全国に拡大した場合に、どの程度の予算が必要だと現在数字を持たれておられるか、それらの点について承わっておきたい。
  65. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この点につきまして私前会計課長といたしまして、大蔵当局と交渉を重ねて参った経過についてお話し、あとから管理局長からこまかいお話があると思いますが、第一点の中学校の〇・七坪につきましては、昨年からこれを改めまして一・八に引き上げたのでございます。一・八にいたしますと大体普通教室、それから職員室とか校長室とか、そのほかに若干の特別教室も含まれると思うのでございます。一・八を私どもは目標にして本年も前年と同様に予算折衝をして参ったのであります。屋内体操場につきましては、積雪寒冷湿潤地帯以外に全国の中学校にぜひとも必要であるという点については矢嶋先生と同感でありますが、私どももその点について最善の努力をして参ったのでありますが、あと局長からお話があると思いますが、それ以外の地域を入れますと相当膨大な坪数数になりますので、本年は一兆円予算のワクに縛られていたし方なかったのですが、来年については及ばずながら一生懸命努力いたしたいと思うのであります。
  66. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 大蔵省の方の見解は雪寒地帯、積雪寒冷地帯というものがまだ相当現在残っておる状況であるから、現在の状況下にいわゆる温暖地帯と申しますか、その他地域の屋体の予算まではとうていつけられないということでございまして、文部省と多少その点は見解を異にしております。文部省の方はそれでもやはり教育一つの重要な施設として、暖地の屋体もあわせて予算を獲得したいということでございまして、本年度は認められませんでしたけれども事務的な折衝は今後も、来年度以降もするつもりでおります。文部省として本年度予算に大蔵省に事務折衝をいたしました数字は大体四億弱、三億八千万という数字をもって参ったのでございますが、これは昨年五月一日で調査をいたしました数字から出しましたものでございまして、暖地の屋体不足分、それから僻地の分を除きまして、それに普通の小学校の屋体保有率というものを掛け合せまして出した数字でございます。これが大体十カ年計画くらいで整備をして参りたいというので、その十分の一を一応要求いたしまして三億八千万という数字を出したのでございます。
  67. 竹下豐次

    理事(竹下豐次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  68. 竹下豐次

    理事(竹下豐次君) 速記をつけて。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 小林局長に念のために伺っておきますが、教育上温暖地においても屋体が必要であり、その建築に必要なる予算補助が現実に行われるように、法あるいは省令等の改正をすることがぜひとも必要であると、かよう文部当局文部省立場として見解を持っておられる、かように了承してよろしゅうございますね。
  70. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 現在、本年の予算にはそういったものはございませんので、本年度の問題として政府みずからそういった法案を御提案するということは考えておりませんが、将来の問題としてはそういうふうになりますことば非常にけっこうなことだと思っております。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の質疑は一応これで打ち切ります。
  72. 竹下豐次

    理事(竹下豐次君) ほかに御質問ございませんか。
  73. 高橋道男

    ○高橋道男君 内藤局長にお尋ねするのですが、文化アタッシェ、あれは外務省の方の予算に入っておると言われたのですが、それはどの項目で幾ら入っておるかお示しいただきたいのですが。
  74. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは外務省の定員法の中に、外務省所管の定員法に一名増になっております。文部省関係として文部省の方の定員を一名減にいたしまして、外務省の方に一名増にして、それから千万円ほど外務省に諸度費、旅費、滞在費等を見込んでおります。これは在外公館の経費でございます。
  75. 高橋道男

    ○高橋道男君 一千万円ほどというのは、そのほどというのは幾らなのですか。はっきりとは出ていないのですか。
  76. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) はっきり出ておるはずでございますが、私が聞いたところではこれは所管が外務省所管になりますので、文部担当官の方から私が聞いた数字は、文部省が百万円減にして外務省の方に一千万の増を見込んでおる、こういうことでしたが、一千万の端数がどうなっておるかは私も承知しておりませんので、正確な数についてはもう一度あらためて御連絡いたします。
  77. 高橋道男

    ○高橋道男君 そうすると、この問題については文部省のかただけでは、はっきり方針その他についてお答えができませんですか。
  78. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) はっきりお答えはできるつもりでおりますが、ただどこに置くかというような点につきまして外務省と十分協議しなければならぬし、人選については文部省の推薦した者について、外務省が原則的に承認すると考えておりますが、外務省の人になるわけでございます。
  79. 高橋道男

    ○高橋道男君 じゃこの問題についてまた次の機会にお尋ねすることにいたしますが、管理局長一つお尋ねするのですが、私立学校教職員に対して今度失業保険の適用範囲が拡大されるということになっておるのですが、そのことについて私立学校教職員の方では反対の声があることを聞くのですが、これに関して局長の関知しておられるところをお尋ねしたい。
  80. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 失業保険の対象の拡充ということで、失業保険法を改正するということで文部省にも一応御相談が現在ございます。私どもの方でもいろいろ検討いたしておりますが、私どもの方の調査によりますと教職員の離職率と申しますか、失職率というようなものが、ほかの組合員の離職率に比べて割合に低いのではないかというよう数字になっております。それから、もう一つは、この失業保険に強制加入ということになりますと、これは掛金を納めなければなりませんが、この掛金を一応推定計算いたしますと、少くも雇用主としての法人だけで一億前後の金を納めなければならない。さらにまあ組合員の分を合せて負担するというようなことになりますと、二億以上の命が要るということになります。現在、私立学校を経営いたしております法人は、非常にまあ施設、設備等の充実ということから経営難にあえいでおるものが非常に多うございますので、そういった面をどうするかということもいろいろございますので、文部省としてはこの失業保険への強制加入ということについては慎重に検討しなければならぬのじゃないか。今直ちに法改正をして強制適用するということについては、文部省としては直ちには賛成できないというような態度でいるというふうに拝承いたしております。
  81. 高橋道男

    ○高橋道男君 そうすると、この問題は労働省で一方的にきめられる問題じゃなしに、必ず文部省の了解を得てからでないと提案されるようなことはございませんのか。
  82. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 労働省のほうではとにかく関係各省の了解を得て提案したいというようなことでございますが、しかし労働省のほうの希望も非常に強硬なものでございますので、あるいは上層部の方でのお話合いにならんということにも限らないと思います。
  83. 竹下豐次

    理事(竹下豐次君) ほかに御質疑ございませんか。ほかにないようでありますから、本日はこれで散会いたします。    午後零時三十二分散会