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説明員(
緒方信一君)
教育課程の改訂の
趣旨を、実は最初に申し上げるべきかもわかりませんけれ
ども、
教育課程というものは御
承知のように、どういう教科課目をどういう分量で教えていくかということの組み合せの問題であります。そこで従来の
教育課程というものは、一口に申しますと何と申しますか、共通必修というものがきま
つております。それ以外は生徒の自由選択制ということが基本になっておつた。共通必修のために三十八単位というものがきま
つております。それ以外は生徒の自由選択にまかせる。どういう教科科目を自分が履修するかということはまかせる。三十八単位と申しますれば、これはいわゆる何と申しますか、
基礎教養科目でありまして、国語、数学、社会、理科、こういうふうな科目でありますが、職業課程においてはそのほかに三十単位という制限がついております。これは従来もついております。今後も三十単位以上ということは、改訂の新課程におきましても同様についております。いずれにいたしましてもさようなことでございまして、これを改めまして、と申しますのは、これに対しましていろいろな批判がやはりございます。選択履修と申しますけれ
ども、生徒の選択能力の点から申しましても、あるいはまたその選択にするに際しましての標準が、ややもすると進学に都合のいいような科目だけとるというようなことになってみたり、いろいろな点がございまして、生徒のこういうような片寄りができるということも言われたわけであります。そこでこれを改めまして、原則としましては、これは
学校の方で一通りの科目の組み立てをいたしまして、そうしてそれを組み立てたものを幾つか
学校で準備をいたしまして、それを生徒に選ばせる、こういうふうにするというのがこの改訂の
一つの問題であります。それが
一つであります。
学校の方で教養の片寄りを防ぎ、高等
学校としてその
地域の生徒の特性に応じて、あるいはまた将来の進路に応じて、適当のようなコースを幾つか設けて、そうしてその
一つを生徒にやらせる。しかもコースを作ると申しますのは、一年におきましては作りません。二年以上におきましてコースが分れるという仕組みでありますけれ
ども、これがまお
一つの
考えであります。
それからもう
一つは、職業課程、それから普通課程と両方ありますけれ
ども、この間に今の三十八単位という
基礎科目につきましては、全く共通でなければならぬという
一つの固定した
考え方であった。工業高等
学校の生徒も、あるいは普通高等
学校の生徒も、三十八単位というものは全く同じように履修しなければならぬということでございました。しかしこれは非常に窮屈な
考え方であ
つて、工業高等
学校であれば、その工業高等
学校にその特色を生かすような課程の組み方があるじゃないか、あるいは商業と工業でもそういうことがあるだろう、そこで三十八単位というふうに各教科の固定いたしましたものを若干これをゆるめたのでございます。そのために教科の単位数に幅を持たせました。たとえば理科でありますならば、従来は五単位ということに固定しておりました。それを三単位及び五単位、三単位でもいい、五単位でもいい、そういう
二つの組み方をしてもいいのではないか。でありますので、これは理科というものは今度の新課程においてはとらなければなりませんけれ
ども、商業高等
学校であれば、たとえば三単位でいいじゃないか、工業の高等
学校であれば五単位をとらした方がいいじゃないか、こういうことでありまして、履修の幅をむしろふやすと申しますことは、たとえば社会科でありますと、日本史、世界史、人文地理、
一般社会というようなものです。ところが従来の組み方は、
一般社会というのは共通必修、これはどうしてもとらなければなりません。あと四つのうちから一科目とるということでありましたのを、今度はこれを全体を五つを四つにいたしましたけれ
ども、四つのうちの三つはとらなければなりません、こういうことにしたわけです。四つのうちの三つをとらなければならぬということにいたしました。それから理科におきましては、これは物理、化学、生物、地学、そのうちの
一つをとる、今度は
二つをとらなければならぬ、こういうことにいたしました。これはなぜかと申しますと、従来は選択をしていいということでございますので、将来文科系統の大学に進むといったようなものが、日本史、世界史、人文地理――世界史もとらないでいくというような事態が起る、あるいは物理、化学のどれか一方をと
つてそれで高等
学校をおえていく、そして理科系統に進学していく、こういうことでは非常に困るという批判もむしろ大学側にございまして、これらの批判にこたえまして、履修単位数の幅を持たせましたのと、それから科目の履修の幅を今度広げたということが
一つでございます。こういうふうに改訂の
趣旨はいろいろございますけれ
ども、そういう
趣旨の下に今度は組み合せを作つた。
そこで、その際に今度は科目の
内容についても変更が加えられましたのが今の社会科とそれから数学と、それから理科もそうでございます。そこで社会につきましては、先ほ
どもお話しがありましたけれ
ども、今までの
一般社会と時事問題を合せまして社会、これは名称はまだ正式にはきま
つておりませんが、
一つの新科目を作りまして、この従来の
一般社会と時事問題でや
つておりましたことを
一つの科目にしてまとめた。その上に新らしい構想としまして、倫理の要素をその中に入れていくということをいたしました。この
内容が実はまだ確定いたしておりません。これは近々きまることになっております。そこで教科書といたしましては、本
年度におきましては、今申しましたように従来の
一般社会と時事問題を一応合わせたものでございます。その上に若干の倫理の要素を入れます。来
年度におきましては、とりあえずは従来の
一般社会、それから時事問題の教科書を用いてこれをやっていく、この点につきましては今御
指摘のような点がございます。しかしこれはその
内容につきましては近々これを改訂いたしまして、
教育委員会の方には十分徹底をしたいと思っております。そのほか数学、これは変りましたが、これは新しい教科書が参ります。理科につきましても参ります。そのほかの科目につきましては、従来の教科書を使
つてや
つていける。こういうことで
教育委員会に十分徹底をいたしております。
で、ちょっと説明がくどくなつたかもわかりませんが、
教育課程の改訂と申しますのは、教科科目をどういうふうに組み合せてこれを与えいくかという全体の
計画の改訂でございまして、その機会に社会科の
内容が変る、それについて、新しい科目について教科書の組み変えがある、かようなことでございました。全体の仕組を来
年度から実施していくということにつきましては、これはどうしてもや
つていけると思いまするし、また、やらなければならぬと
考えております。