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1955-07-25 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十五日(月曜日)    午後一時三十二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            田中 啓一君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            森 八三一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            森崎  隆君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君            鈴木 強平君   衆議院議員            小枝 一雄君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    農 林 大 臣 河野 一郎君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    農林省農地局長 渡部 伍良君    農林省蚕糸局長 塩見友之助君    水産庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案衆議院提出) ○繭糸価格安定法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○愛知用水公団法案内閣送付予備  審査) ○農地開発機械公団法案内閣送付、  予備審査)     —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案議題にいたします。  本法律案は七月二十日衆議院議員小枝一雄君外一名によって衆議院に提出され、翌二十一日本院送付、即日当委員会予備付託となりましたが、去る二十二日衆議院修正議決されて当院に送付、即日当委員会に本付託になったものであります。  なお衆議院農林委員会において、お配りしておりますような付帯決議が行われております。  それでは提案理由を聞きます。
  3. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) ただいま議題になりました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国は自然的環境から年々災害が頻発し、貴重な農地及び農林水産業施設が多大の損害をこうむり、その被害巨額に達しておりますことは、まことに遺憾とするところでありまして、そのすみやかな復旧をはかりますことはきわめて重要な問題であると考えられるのであります。  現在公共土木施設災害復旧につきましては公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法により、また、農林水産業施設災害復旧につきましては農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律により、それぞれ、その規定に従って措置されておりますことは御承知の通りであります。  ところが前者にありましては、災害復旧事業費の一部を国が負担することになっておりまして、国の負担額地方公共団体財政力にスライドさせ、災害復旧事業費の総額の中、当該地方公共団体当該年度標準税収入の二倍をこえる額については全額国において負担することになっております。  しかしながら、後者におきましては、災害復旧事業費の一部を国が補助することになっておりまして、その補助率被害の程度に従って平率高率の二段階に分れ、平率にありましては五割及び六割五分、高率にありましては復旧事業費に対する負担一定の限界をこえる場合に、そのこえる部分についてのみ七割五分及び九割ということになっているのであります。従いまして両者その建前が違い、また復旧事業費に対する国の財政支出の割合も異っているのであります。  かような経緯もありまして、激甚な災害が起りましたときには、そのつど農地及び農林水産業施設災害復旧に対して特別な措置を講ずることの必要が痛感されていたのであります。  そこで、この際、現行措置法補助規定の一部を改めまして、公共的施設であります農業用施設奥地幹線林道及び漁港施設につきましては、その被害が激甚で復旧事業費巨額にのぼる場合に、その復旧事業費負担一定限度をこえるとき、そのとえる部分一定部分について全額を国から補助することができることといたしまして地元負担の軽減をはかり、もって復旧事業を促進することが適切な措置であると存ずるのであります。  以上が本改正法律案を提出するに至りました理由とその内容であります。  なにとぞ慎重審議、すみやかに御可決下さいますよう御願い申し上げます。  なお、ただいま委員長からお話しのありましたように、衆議院農林委員会におきましては、この提案に対しまして修正案提案されまして、各党とも全会一致をもちまして、その修正案決議いたしたのでありますが、その修正案を一応ここで朗読いたします。   農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律の一部を次のように修正する。   第三条第三項の改正規定の前に次のように加える。   第一条中「及び漁港施設」を「、漁港施設及び共同利用施設」に改める。   第二条中第四項を第五項とし、以下一項ずつ繰り下げ、第三項の次に次の一項を加える。  4 この法律で「共同利用施設」とは、農業協同組合農業協同組合連合会森林組合森林組合連合会又は水産業協同組合の所有する倉庫、加工施設共同作業場及びその他の農林水産業者共同利用に供する施設政令で定めるものをいう。   第三条第二項に次の一号を加える。   五 共同利用施設に係るもの 当該災害復旧事業事業費の十分の二  これが衆議院農林委員会におきまして修正いたしました内容でございます。  なお、採決に当りまして、次のような付帯決議をいたしました。    「農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案」に対する附帯決議  本法案においては、公共性の強い農業用施設について、特にその復旧事業費負担一定限度を超える場合に、その超える部分一定部分について全額を国から補助することになっているが、政府は、この一定部分の額につき政令改正するに当っては、その基準を十五万円以内とすべきである。   右決議する。  これが衆議院農林委員会における決議の全文でございます。  以上の通りでございまして、何とぞよろしくお願いいたします。
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本法律案審議は後日に譲ります。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  5. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。
  6. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案議題にいたします。本法律案につきましては後刻農林大臣出席を得て質疑を行うごとにいたしたいと存じますが、なお、事務当局に対して御質疑の向きは、この際御質疑を願います。
  7. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題になりました繭糸価格安定法の一部を改正する法律案につきましては、過般の委員会詳細質問をいたしまして、大体了承はいたしておりますが、さらに一、二点お伺いをいたしたいと思います。  その一つは、十二条の二の規定によりまして、政府が保有する繭を売り渡す場合に、時価悪影響を及ぼさない方法によってやると、こういうのであります。抽象的にはよく理解をいたしますが、具体的に繭の時価悪影響を及ぼさないという意味はどういう内容を持つものであるか、その点について御説明を願いたいと思います。
  8. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは農業団体において、その繭が全額の金利、倉敷等補助金があっても、なおかつうまく売れないという時期に、政府に持ってくるわけですから、政府もうか一つに売ればやはり繭値を落すという危険がございます。それで、もし繭で売りますれば、これは数量であるとか時期であるとか、そういうような点について相当制限を加えた売り方でないと悪影響を及ぼす危険がある、こう思いますので、まあ数量、時期等について、できるだけ制限を加えながら売る、こういうことになろうかと思います。先ほど申し上げましたように、農業団体でもうまく売れない、こういう時期でございますから、それがむずかしい場合には委託加工であるとか、あるいは糸との交換であるとかという方法によって、まあとにかく処置をするつもりでおります。もし繭で売らなければならぬというふうな状況でありますれば、またそれでもって悪影響が来ないような事態であれば、先ほど申し上げましたような数量であるとか時期であるとか場所であるとかを、それを制限を加えながら十分考慮して売って参る、こういうことでございます。
  9. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの御説明でまだ理解がいたしかねるのでありますが、繭の時価というものは、必ず繭糸価格安定法基礎となりまする政令で定める生産費基準とした額というものとは関連がなく、現実の問題としては存在すると思います。その時価悪影響を及ぼさんということでありますと、時価が非常に低落をしておるという場合に、その時価悪影響を及ぼさないということだけでは、繭糸価格安定法趣旨を達成するわけには参りかねると、こう思うのであります。今の局長の御説明では、ただ単にそのときの時価というものに悪影響を招来せしめないように、数量であるとか、放出をする場所を考えるということであって、必ずしも繭糸価格安定法に求めておる生産費云々という問題には関連がない御発言であったと思いますが、そういう点は一体どう処置されるのか、重ねてお伺いいたします。
  10. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この時価と申しまするのは、やはりその年の状況によりまして、まあ繭価協定等によって大体の価格というものが——地帯別に幾らかの変異はございますが、きまっておると思います。そういうものを落すようなことのないように売り渡さなければならぬ、こう考えております。  先ほど申し上げましたように、政府が繭を買いましてから相当期間がございますれば、あるいは繭の値上りというふうなこともございまして、時価影響なしに売り渡すようなチャンスがあるかと思いますが、農業団体ができるだけ努力をして売ろうと、こうやって、うまく売れなくて政府へ持ち込んだというふうな場合でございますると、政府としては大体委託加工であるとか交換であるとかという方法をとる方が、まあ時価悪影響を及ぼさないということで目的が達成しやすい場合が、まあ大半ではないかと、こう考えまして、そういうふうな規定を入れておるわけなのでありまして、政府が売るというふうな場合には、むしろ経済的に大した変動がなければ、との場合は例外的になるかもわかりません、こうも考えられます。
  11. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの御説明ではまだはっきりしておりません。というのは、保有する繭を売るということと加工をするというここと、生糸と交換をするということは、これは並列されておるので、お話のように繭を売るという場合は、例外的な損害であるという法律規定ではないと思います。そこで繭を売り渡すという場合に、私の申し上げましたように、たまたま時価繭糸価格安定法の糸の最低値をきめる基礎となっておる生産費から考えまして、非常に低くなっておるという場合、その時価をくずさんという意味で放出することになりますと、その次から次と生産されて来る繭の農民販売価格に非常に悪影響が来る。そのときの繭の価格悪影響はないとしましても、繭糸価格安定法制定した趣旨にそぐわない結果が、このことによってむしろ促進されるという危険があると思うのでありますが、その場合にはどう処されるのか。その点を明確にお答えいただきたいと思います。
  12. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この規定自体、それから立法の趣旨改正趣旨も、大体養蚕農家に安心して繭の増産ができるようにしたいという意図でございますので、ただいまお話のように、政府最高最低値をきめる場合の生産費の計算されたものより、著しく現実時価が落ちておる、こういうふうな場合には、政府としては、養蚕農家のそういう要求等も考慮しまして、なるべく繭で売却するというような方法をやめて、委託加工というふうなやり方をとって参りたいと、こう考えます。また前年の繭を政府が持ちまして、そして翌年の春繭価格悪影響があるというふうなことがあってはまた問題です。ですからその繭が生産されたときのその掛目協定時価だけではなくて、やはり次の年度繭価等に対して、まあ農家生産意欲を落させるような価格では売らないというふうにしようと、こう考えるわけであります。
  13. 森八三一

    ○森八三一君 大体今の御説明で抽象的に了解いたしましたが、具体的に端的にお伺いいたしますと、本法によって政府の方で策定をせられます、そして審議会の議を経て確定する繭の生産費というものを、その年の繭の生産費というものを割って処分をするということで売り渡すということはないと、こういうふうに了解していいのかどうか、端的にお伺いいたします。
  14. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) その場合には、やはりここで前年度の繭のとれてくる生産費等が計算されて出るわけでありますが、政府としてはなるべく生産費を割るような価格では売りたくはないわけですけれども、まあ市況その他が非常に悪くて、それで農家の今までの売り値の方もやはりかなり下回っているといった場合には、やはり最高最低値をきめる場合の生産費より上でなければ絶対売らないというふうなこともできないかと思います。ある程度そういう点は、第九条の二の場合には、政府の持ちました糸を生産費以上のところでなければ売らない、こういうふうになっておりますその趣旨は、できるだけ生かして繭の保護をやっていくのが最も望ましいとは存じまするが、まあはっきりと、その以上のときでなければ売らないというようなことは、今のところは考えておらないわけですけれども、そういうふうな売り方よりも、むしろ繭の方も政府の手に入りましたときには、かなり期間も経っておりまするし、品質の低下等も憂慮されるときになって、政府農業団体から買うと、こういうことになりましょうから、問題はちょっとそれまするが、そういうような場合は委託加工をやる。政府が必要な糸を持つというふうな方法が主体となる、こう思われるわけです。何も生産意欲をそぐような繭の売り方はやらない、そういう場合は委託加工というふうな方式でやる方がいいのではないかと、こう考えております。そういうような点について、繭をもし売るということになりますれば、御指摘のような事態ではやはり農業団体等意見も十分聞きました上で、それで売ってはまずいという事態であれば、これは委託加工をやる、こういう形の方がチャンスは多いのではないかと、こう考えます。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 十二条の二は、お話のように行政的な措置として養蚕団体なり、その他農民団体意見を聞いておやりになるということもあり得るとは思いますが、別段法律は必ずしもそれを要求していない。いないのでありますから、今お話のように、糸の場合にははっきり法律制限をしておる。繭の場合はその制限がないので、そのときの時価によって、ただ気持の上では次の繭の生産悪影響を及ぼさないようにという気持働きはあるにいたしましても、法律上の扱いとしてはそういう制限がない。ないから、ときによっては時価悪影響がないという法律規定を守るというだけで処理をされますと、その次の生産悪影響があるということは私は言えると思います。というのは、養蚕者団体保管をしておりましても売れませんので、政府肩がわりをしてもらった、さらにその相場が出てこないということで、時価は非常に低い、その低いものを投げ出すことによって、それは次の時価を牽制するという働きをなすと私は思います。それが自然の流れのままに下っておりますれば、これは養蚕の全体を比較検討しなければならぬわけでありますが、繭の時価は必ずしもそういう理論的な思惟のみによって生まれてくるのではなくて、人為的にも作り得る状態におかれておるのでありますから、そこでそういうことは予測したくないことでありますが、次の新らしく生産される繭の時価を牽制するためには、人為的に時価を作成するということもあり得る。そうして政府保有繭の払い下げを要求することが、その時価によって払い下げられるということになると、次の繭の販売価格というものを牽制するという結果が生まれてくるので、十二条の二の場合に万が一発動するであろう繭の売り渡しということについては、九条の二の糸の限度と同じような限度をこれは考えていくということでなければ、私はこの法律趣旨が死んでしまうと思うのであります。今度の改正趣旨は別といたしまして、本法出発当初の制定趣旨がぐらついてくることになると思いますが、そういうふうに明確にお答えを願うわけにいかんものでしょうか、重ねて伺います。
  16. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 局長に申し上げておきますが、先ほどから森委員に対するお答えは、三べんやられて三べんともだいぶ内容が違っておるようですから、一つ確信のあるところをお答え願いたい。
  17. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) ただいまの点は実際問題として、ことに御指摘通り翌年の繭に対する影響というものは相当考慮しなければならない場合が多いのでございます。で、そういうふうな場合に、繭値がその農家のその次の生産費と申しますか、最高最低値をきめる場合に計算をいたしましたそれを落すような価格であれば、やはり委託加工をしていくと、こういう方式原則であろうかと思います。
  18. 森八三一

    ○森八三一君 その原則であろうかと思いますということは、法律には何ら制限がないのですね、これは売り渡し加工交換という三つは、これは同等の立場で並列されておるのですから。ただ局長のお気持は私は理解できます。できますが、さて法律を実際に運用していく場合になると、そういう気持だけではいかぬ場合が発生する。それが養蚕農民悪影響を持ち来たす危険があるので、くどく質問をしておるのでございますが、繭の時価という一点は、これはやはりそのときの時価ではなくて、基本的な生産費から割り出したものが基礎であって、それに悪影響を及ぼすようなときには売り渡しという処置はしないのだと、こういうように取り扱いがされなければ、今局長の御趣旨を具体化するわけにいかぬと思う。だからそういうように理解していいのかどうかを、もう一ぺんお伺いいたします。
  19. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 局長はっきり頼みます。
  20. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) そういうように理解していただいてけっこうです。非常に例外的に半端な繭というようなものが少量ありました場合に、それも委託加工していかなければならないかどうかという、ちょっとこまかい問題はございます。これも検討してみなければならないと思いますけれども、原則としては繭価の維持のためでございますから、おっしゃるように、そういう場合には委託加工でいくと、こういうことを申し上げていいと思います。
  21. 森八三一

    ○森八三一君 他に質問者がおるようでありますから、あまりくどく質問することを省略いたしますが、要するに私は十二条の二によって政府が保有した繭を売り渡す場合は、形式上存在をしておる時価というものに悪影響があるなしという問題ではなくして、本法制定基礎となっておる繭の生産費というものが基礎になって、それを割って処分するということは、実際問題としては起きない。そうでなければ次の繭の生産に非常な悪影響を招来するということになりますので、この時価悪影響を及ぼさない方法によって云々ということは、次の繭の生産悪影響がない。それは端的に申しますれば、生産費を割っての処分ということは存在をしないというように理解をいたしまして、そういうような御答弁だと了承してその問題は一応質問を終ります。  その次に……。
  22. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと森委員、それはもう一ぺん確認しておかぬでもよろしいか。(「もう一度」と呼ぶ者あり)
  23. 森八三一

    ○森八三一君 ちょっと待って下さい。そう理解いたしましたから、それに局長が反対に理解されちゃ困るということでありますれば、いま一度御発言を願う。私はそういうように理解をして質疑を打ち切るというのですから、そう理解してもらっちゃ困るというのであるなら、局長の方から御発言を願い、もし私の理解に錯誤があれは御修正を願うということにお願いいたしたいと思います。
  24. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今の局長のそれでよろしいね。
  25. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) よろしうございます。そう御理解願ってよろしうございます。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題に関連。私はもう一ぺんだけ、ちょっと了解を得ておきたい。ということは、現在においては、繭の値段が下った場合に、これを乾繭に付すべき繭価は、先般の御答弁では、大体生産費の八五%が組まれている。これに乾繭料をつけて一応緩和する。こういう状態になっておる。そこでそのままの状態がずっと続いて参ったとしても、それで一応の目安がついて参ったとしても、その場合に果して次の生産時価として、もしくはそのときの情勢が生産費を償う価格になっていない場合が想像せられるのです。その場合この時価という文字がついておりましたならば、その際引き上げてでも何とかやりたいということになるのですか。ただそれに悪影響を及ぼさぬからといっても、それでその状態がずっと続いてきている、継続してきた場合にはどうなるのですか。
  27. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは政府が手持ちの場合はかなりの長期間農業団体保管したあとになりますから、やはり時価と言えば、その年の繭ももう少量しか出回っていないという場合が多いと思いますが、翌年の繭——森委員の御指摘になったその部分の翌年の繭に対する影響は相当考慮しなければならない、こう考えますので、まあとにかく高く売れと言っても買い手がないという状態のもとで、政府に買い入れを農業団体の方は申し込むわけでございますから、やはりその場合には委託加工というのが原則になると思います。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、また同じものがこう続くでしょう。あんたはとにかくにこいつさえやれば値が上るという前提に立っているのだ。それだからそういうことを言われるのだろうと思う。その状態がもしずっと平均的に続いたら——大体第一回目は生産費のやっと八五%で押えているでしょう。それがずっと続いていったときはどうするのですか。下らんということは絶対に言えないでしょう。場合によっては下る場合もあるでしょう。
  29. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この本法目的としましておりますのは、やはり最低繭価生産費の額を基準として大体八五%見当のところでございますので、それを下らすということは絶対にさせない。ですから、まあ翌年もしやはり糸価の方も繭価の方も思わしくなければ、翌年もまた乾繭共同保管をする、そして最低繭価を維持するということでございます。制度的にきちっと維持できますのは最低繭価で、それの上値どれだけをという問題は、それはあと市況等によりまして、上ったり下ったりすることがあるだろうと思います。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこですよ。局長はただいま森君に対しては、生産費を割らない時価を維持する方法を考えている、こう言われたのだ。それが続いたときには八五%で押えたものがまた出てくるのですよ。生産費を割っていますよ。生産費を割った八五%というもので買い上げていけば、それを維持するということは、それを割らないということにならない。おかしな方法じゃないですか。何か別な方法があるのか。
  31. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 農業団体保管しまして売れなかったものを政府が買いまして、その買ったものは、翌年の繭価等悪影響を及ぼしてはまずいわけですから、それは生産費以下のような、そういうふうな市場の状態でありますれば、もう委託加工でやるということでございまして、それで翌年の繭価生産費政府が維持するということじゃないのです。あくまで政府が維持したいと思うのは、一部をたな上げし、共同保管をしてもらいまして、それで最低繭価以上には上るように維持する、こういうわけでございます。政府の買いました糸の処分は、それはその農民がその次に処分する繭価をできるだけ、最低繭価であってはまずいわけですから、できるだけ生産費を償うようなところがいいわけですから、繭価協定を始める直前に、政府時価が割合に低いからといって、生産費を割るようなところで売りますれば、それが影響を持ってその繭価を押し下げるというようなこともあり得るわけですから、そういう場合には委託加工でいくと、こういう趣旨であります。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 何か委員長がやりたいというのだから、それが済んだあとで……。
  33. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止
  34. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  今の清澤委員なり森委員に対する政府答弁というものは、あくまで翌年の繭の生産を前提にして、生産費を割った処分はしない、こういう趣旨と解釈してよろしいわけですか。
  35. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) その通りでございます。政府の保有した繭についてはその通りでございます。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 しからば、それがほんとうであるとするならば、十一条の、「生産費の額を基準とし、生糸の最低価格及び云々」という条項の、額の基準はやはり百パーセントもしくは九五%ぐらいに押さえることがほんとうじゃないかと思う。約八五%の生産費を割ったものを基準にして押さえておって、それで相場をそこまで維持しようというのはおかしな話である。これはなるほど下るものを維持してやっておるんだから、それくらいのものはがまんせいという意味合かもしれませんが、下る傾向のあるときに、生産費を下回った額で押さえたものを持っておる。それは上ることだけをあなた方考えておるけれども、もし下る傾向が出てきたときにそれを押えることはできまいと思う。そのときには生産費を割ったものを持っているんですよ。森さんに言ったようなことを言ったってしようがない。そのときわいわいさわいだって、繭の市価に対して悪影響を及ぼさないようにしたのだから、買上げのときの時価で維持しているのだからしようがないじゃないかというような問題が出てきたらどうする。必らずそういう問題が出てとないとは、長い将来において出てこないとは考えられない。現にいろいろ相場をあやつられて、今年の春の繭だって御承知の通りです。二十万円そこそこで繭価協定はできたが、結局できてしまえば二十万円であったものがすぐ二十一万円に上ってしまうじゃないか。ただいまでは二十一万から二十二万の相場が現実の情勢です。森さんもそれを指摘されておるし、そういう場合に、もしかりに人為的なもので相場が下げられた場合どうするかということが問題だ。これがぐるぐる繰り返し続けられたならば、なるほど放すときは相場は悪いかもしれないけれども、やはり農民が一応価格をささえてもらうときには繭価生産費の八割五分で押さえられておる、損して押さえられておる。農民がぐちを言うのはもっともでしょう。それを次の時期に作るものまで保証してもらわなければ、これは役に立たぬ条項になる、実際問題として。現にそういうことが行われている。まだ二ヵ月たちませんよ。春繭処分をしてから二ヵ月たたないのに二十万円そこそこで繭価協定をしても、二十二万円近くに上っているじゃないか。との現実から言えば、そうあなたの言うような簡単なものでは始末がつかないと思う。
  37. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 政府が買いました繭の売り方によって繭価にマイナスの影響を与えることがないようにするということは非常に大事なことだと思います。しかし森委員からの御発言の一段突っ込んだ点はそこの御質問だろうと思っております。その価格だけは、これは最低繭価以上でありさえすれば、市価が安くても、その市価でやればいいじゃないか、こういう性質のものではないとこう考えるわけです。しかしながら、一般の取引繭価全体は、この法案としましては、その繭の生産費を常に償う価格で売れるようにするという形ではなくて、糸と同様な状態で、やはり最低と最高と二つ糸の方でも押さえて、最低を割る場合は、政府の方が買う、こういう形をとっておりますが、繭でもやはり類似したような形で最低を割るようなおそれがありますときには、それは政府補助金を出すなり最後に買上げをするという発動をいたしまして、最低繭価を下らないようにする、これはがっちり固めていきます。すなわち、農民が常に生産費を割らない価格でもって売れるというような形までは本法では考えておらない、こういうことでございます。
  38. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 そのことについて重ねてお聞きしますが、政府の買いとった繭は、いわゆる生産費というのは当るかどうかわからぬが、最高価格基準でなければ繭の形では売らない。しかしながら、政府が繭を長く持つことは困難であるから、その場合には委託加工をして生糸の形にして持つが、しかし繭の形でもいい、最高価格に見合った価格でなければ繭の形で政府が売るということはしない。こういうことですか。
  39. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) その点が最高価格ではなくて、繭の生産費ですね。
  40. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 生産費だけれども、大体……。
  41. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) あとはその通りです。
  42. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それから重ねてお聞きしますが、前の乾繭保管をやることになっておる。それがために信用保証協会とかいうものをお作りになる、こういう話を聞いているんですが、それは一体もしお作りになるとすればどういう構想のものであって、どういう仕事をするものであるか、一応お聞かせ願いたい。
  43. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 農村の方の関係の信用保証協会は本年度の予算として三千二百万円ほど政府の方で補助することになっておりますが、それの狙いは、乾繭共同保管に対しましては、現在組合製糸等の場合でも中金、信連等からの融資は大体千二百万円程度ということになっております。ことで保証しようといたしまするのは、最低繭価よりもだいぶ低い、こういう状態になっております。それから一方スタンプ手形等で融資されておりますものは大体その程度になっております。ですから最低繭価と見合いますと、最低繭価よりも一割何ぼか低いくらいの融資しかできない。そういうふうに繭値が押さえられておるような状態のときに、農業団体等乾繭の共同保管をやるといった場合には、やはり相当の長期を持ちこたえなければなりませんから、農民にもなるべく早く……、代金としましては、委託販売等でございますから、全部買取りしてしまうというわけではございませんが、まあやはり最低繭価前後、それに近い金を払いませんと、農家の方も現金の非常に必要なときでございますので、そういう目的が達しがたいという空気もございます。そこで現在中金、信連等が融資しておりまする額、あるいはスタンプ手形でもって繭の融資されておりまする額というものに一〇数%を加えた額でもって、こういう繭については団体が共同保管のときに農家への支払をやると、こういう必要があろうと思います。そのほかの組合製糸とかはスタンプ手形でもって払われる繭価以上の分、一〇数%の分、それを信用保証協会で保証して普通の融資以上に単価を上げまして、中金ないし信連の方から融資してもらうということを考えまして、信用保証協会等を考えたのでございます。ですから普通の千二百万円程度のところ、現在で言いますれば、その程度のところは繭を担保として融資をしてもらう、その上にさらに一〇数%の融資をする場合、信用保証協会でそのプラス分のところだけを保証するというふうな形で考えておるわけでございます。そういたしませんと、農業団体等はどうしてもせっかく共同保管をやって一部棚上げしたにもかかわらず、繭が集まりにくいというふうな危険もございまするので、まあ共同保管をやる場合の団体に対する融資は十分な最低繭価程度の融資が必要かと考えたものですから、そういうふうに普通の組合製糸以上の額を融資する。こういう考え方から信用保証協会を考えております。
  44. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 大体の構想はわかったのですが、信用保証協会というもので、いわゆる金融機関の融資をしない部分をその信用保証協会が保証して金を出すのですか。信用保証協会自体が金を、それを補うのですか。
  45. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 信用保証協会は保証するだけでございまして、金を貸す方は中金ないし信連ということになります。
  46. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 もし、そうすると信用保証協会というものは相当なものでないと、一夜作りの信用保証協会で、金融機関がそれを信用して金を貸すということはむずかしいと思うが、その構想はどういうふうになっておりますか。
  47. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 現在まで大体関係者と協議しておりまするのは、農業団体の方で政府補助金以上くらいのものをやはり信用保証基金として出したいというふうな形ですから、七千万円見当には現在なるだろう、こう思います。そうすると繭価の大体一割くらいを信用保証基金で高めた価格で融資してもらうというふうなことになりますると、やはり七千万円見当といたしましても、信用保証の倍率を大体五倍程度と考えますれば、おそらく三十億見当の繭に相当する部分を保証できる。ですから七千万円でもし信用保証の倍率を五倍としますれば保証される融資は三億五千万円です。繭価の一割をそれによってあげるということになれば、大体三十五億ということになります。一割ちょっとあがったものを普通の融資以上にあげようと思いますれば三十億に相当するくらいの繭に対してはその部分の、その一割の信用保証をするわけでございます。
  48. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 その金は政府が出すのですか。
  49. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 政府は三千二百万円だけを補助いたします。あと農民団体の方で出そうというふうな話合いで進めております。
  50. 森八三一

    ○森八三一君 今の白波瀬委員の御質問の、信用保証協会の保証手数料というものは、政府の方で指示されるのか。それはできまする保証協会が民主的にきめるという建前なのか。それはどうお考えになりますか。
  51. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは公益法人として発足する建前になっておりますので、定款の主要な部分政府認可にかかりますので、手数料の方になりますると、認可にはかからないと思いまするが、政府の方も半額の補助金を出しております。指導によってこれはできるだけ安く、またこれは安くないと農民団体の方としても利用価値は少なうございます。ほとんど繭につきましては、最後は政府が買い取るわけでございます。政府が保証しておるところの最低繭価でございまするから、危険は、ほかの方の大きい事故が団体等にない限りは間違いはないので、それらの場合を考えますると、比較的低い率でいいのではないかというふうなことを関係者は申しておりまするが、まだその保証の率につきましては、期間が短い、長い等によっても幾らか差があるようです。との種の団体につきましては、そういう点で最後的な結論まではきておりません。大体できるだけ農民団体負担のかからないような率、こういうことになると思います。
  52. 森八三一

    ○森八三一君 その場合保証手数料というものが、協会の方で定められたといたしますると、その手数料を保管をいたしまする農業協同組合は支払いをしなければなりませんが、それは十一条による保管に要する経費として補助の対象になるのかならぬのか、どうですか。
  53. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 私の方はその保証料も、その経費の中へ入れたい、こう考えておりまするが、この部分については、まだ大蔵省と最後的な決定にまで至っておりません。金利、保管等は全額ということできまっておりまするが、その保証料につきましては、私らの方は全額出したい、こういうことを申しておりますが、まだきまっておりません。私の方としてはやはり経費でございまするから、やはりできるだけ農民団体が自主的に販売しやすいように、それも全額出して参りたい、こういうふうに考えております。
  54. 森八三一

    ○森八三一君 まだ話はきまってないということでありまするが、この改正法から考えますると、その要する経費については、政令で定めるということに譲っておりますから、財務当局との間に、政令案について話が進んでいないからということで、確たる御答弁がなかったと思いますが、少くとも、この趣旨から考えますれば、保管に要する経費の一部であることは間違いないと思いますが、これは補助の対象にすべきであるというように考えます。と、同時に、それがもし補助の対象になれば、当然なると思いますが、なった場合に、その手数料について政府の方が指示し、あるいは何か注意を与えるというような監督規定がありませんと、そこに問題の生ずる危険があると思いまするので、これは当然補助の対象になると同時に、これはやはり保証機関の認可を要する事項として、きめるべきである、こう思いますが、そういう手続はお考えになりませんですか。
  55. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) ただいまの御指摘の点については、政府としても当然考えるべきだと思いますが、補助金交付の条件等につきまして、やはりそういう点まで定款ではなくて、法規的には定款がございますが、片方には、補助金交付の条件といたしまして、そういう点につきまして、目的完遂できるようにやるべきだと思います。  なお、保証料の方は、農林省としましては、これは大蔵省に対して徹底的に要求するつもりでおります。
  56. 森八三一

    ○森八三一君 その次にお伺いしたいのは、第九条の二によりまして、先般の質疑で、農林大臣の指定する相手方というのは、保管会社が設立されるということでありましたが、この輸出適格生糸を自主的に保管をいたしまする場合に、その対象となる輸出適格生糸は、普通の糸と、玉糸と二つになります。そこで、その相手方の構成について、どういうようにお考えになっているのか、資本はどのくらいのものをお作りになるか、その資本の内容と、それぞれの種別について、区分をしてお考えになっているのかどうか。その運営について、役員等もきまると思いますが、会社組織であれば、重役が選任されると思いますが、そういう重役等についても、何か指示をされるのか、指示をされぬのかという点についてお伺いをいたします。
  57. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) そういう会社ができまする場合には、これは半国策会社的な性格を持ちますので、政府といたしましては、役員の選任であるとか、利益金処分等については、政府の承認、農林大臣の承認を得るように、定款の中に記載さしたい、こう考えております。これは大臣もそういうふうにはっきりと、衆議院の方で、この会社に対しては十分な監督をやりたいというふうなこと、そういうふうな点をはっきりと申し上げておりますので、そこはきっちりとして参りたいと、こう考えます。  なお、普通の糸の方と、玉糸の方と、現在のところは両方とも一つの会社でもってやって行った方が、事務費その他、いろいろの点でもって都合がいいから、両方そう申しております。そういうふうな関係からしても、株式の持ち方を、どういう比率でするかというとか、どうとかということは、今後この法案通りまして、関係者と相談をしながら、できるだけ運用のやりやすいようにきめて行かなければならないと思いまするが、これは不公平なことがないように、役員、それから出資、そういう点も民間の方の御意見を十分聞きながら、政府としては半国策的な機関でございまするから、役員その他についても、意見は申す必要があると思っております。
  58. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、大体わかりましたが、株式会社一本で、一元的に作られる、その場合に、普通の糸と、玉糸との出資の負担割合は、これは同業者で話合いをさせるか、一方が独占的に出資をするというのでなくて、その現有勢力と申しますか、輸出数量と申しますか、何かの基準を求めて公平に配分をしてやる。そうしてその配分の線に沿いつつ、役員構成についても、双方から選出をされるというような指導を行うということであるというように理解をしてよろしいかどうかを、お答えいただきたいと思います。
  59. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) そういう趣旨で進めます。
  60. 森八三一

    ○森八三一君 それからこの法律改正に直接関連はありませんが、こういうような法律が運営されるといたしましても、この法の趣旨を生かしてゆきまするためには、何としても合理的な生産費の低減が行われて活溌に輸出が伸びてゆくということを考えなければならんと思うのであります。そのためには繭の生産について近代化、合理化が十分行われなければならん。そのためにかねがね政府養蚕振興のために養蚕技術員に対する一定額の助成をされております。その助成の金の支出についてはどういうような取扱いで進んでおりまするか。私の承知をいたしておりまするところでは、その府県々々の養蚕の現有勢力と申しますか、あるいは技術員の普及程度と申しますか、そういうものに大体算術計算で按分をして府県へ流して、あと部分は府県の知事の裁量に一任されておるというように承知をいたしておりまするが、そういうことであるのかどうかを結論だけお伺いをいたします。
  61. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 大体その産繭額や桑園面積であるとか、農業改良普及員と似たような基準で、県のほうへ割り振りまして、あと補助の仕方は技術員を置いている農業団体ということで、県に大体一任しております。
  62. 森八三一

    ○森八三一君 その県に一任されておるという結果、技術員設置の補助規定がねらっておる、真に設置をして蚕糸業の発展のために関与をしておる機関が、公平に取り扱われておらない。もっと具体的に申しますると、最末端の町村へ参りますると、必ずしも繭を生産することのみを目的とする協同組合だけではなくて、一般の総合的な協同組合もその組合の繭の生産について深き関心を持って技術員を設置し、改良に専念しておるものがあります。そういう町村では繭の生産だけを目的とする特殊協同組合の存立はないということで、末端では大体整理せられて円満にいっておる。たまたま繭を専門としておる協同組合に府県に流れた助成金が交付されておるが、総合的な立場に立って同じような仕事をしておる協同組合の設置する技術員には交付されておらんという事実が存在をしておるのであります。これは少くとも補助金政府が流しておるという趣旨には非常に相反しておる、こう思いますが、そういうような事実について御調査がありますかないのか。もしなければそういう事実の存する場合に、調査の結果そういう具体的な事実が発生した場合に、そういうものに対してはどういう措置をおとりになるのか、この点をお伺いしたいと思うのでございます。
  63. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それは養蚕専門の団体でなければ技術員を置けないということは考えておりません。それは当然その養蚕農民のための技術指導でございまするから、それはその県の方の養蚕団体と専門の団体でなければならん、こういう立場は必ずしもとっておらないわけでございます。もしそういうふうな関係からして、養蚕の専門団体でないもので、技術員を置いているにもかかわらず、それが補助されてないとかどうとかというふうな場合がございますれば、それは私の方としては県を呼びまして、それで、政府は県に補助しているわけですから、県の方でそういうような不均衡なことが起らないように指導して参る責任があると思いますので、そういうように、できるだけ取調べまして不均衡なことが起らないようにやって参りたい、こう考えます。
  64. 清澤俊英

    清澤俊英君 繭の生産費は今大体いくらぐらいに考えておられるかということが一つと、そういう生産費を決定せられる場合に、これはいずれの生産費を決定する場合にも相当生産費の差異があると思う。いかなる標準をもって、どの点を標準にしてそういう標準を決定せられるのか、その標準の度合い、同時にそういう生産費農林大臣がきめる場合には、大体養連とかそういうものと相談してきめられるのかどうかということが、八十五パーセントはわかりましたが、その基本になる繭価の算定についてまずお伺いしたい。
  65. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは今までは前年の生産費というものを大体の基準にして考えておりました。生産費はできればその年の繭の出回ります前の三月、おくれましても五月までにきめるということになっておりますので、その当年度のは間に合いませんので、前年の繭の生産費ということになります。本年は千六百八十一円ということに貫当りなっております。それは大体統計調査部の方で千二百戸の農家を抽出いたします。それは県別に大体掃き立て卵量等と考えまして、大体標準的な農家を選んでおります。その全体の千二百戸の農家の大体平均というふうなものを生産費としてとっている、こういう形になります。製糸の方も五十ヵ工場だけとりまして、五十ヵ工場の平均ということになっております。両方とも大体均衡をとったやり方である、こういう形になっております。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから農業協同組合に繭を買い上げて、これを処理せしめますときに、農業協同組合内で、今販連が大体集荷をやっておりますが、大体末端においては販連に処理の方法をとらせるのか、乾繭の場合ですね。あるいはまだ現存している養連がもっております乾繭所がある。これにおさせになるのか。先般の御説明によりますと、大体そういうのはいたんでいるから、従って大体は製糸家と協定してやらせるのだ、こういうような御答弁がありましたが、今現存している乾繭所というものは、なんらかの方法で全部復活して、将来養蚕農民をして乾繭をなさしめるお考えがあるかどうか、この要点について伺いたい。
  67. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この乾繭共同保管をやりますときには、繭が異常な低落を示すような時期でございますので、それを維持するために、一部の過剰繭をとにかく乾繭共同保管をやるという形をとりますと、ある県はやって、ある県はやらないとか、非常に偏してはその効果が疑わしいので、やはり全国的な団体で大体計画的にやるというふうなことになりまして、その県別の割合等も十分団体の意見を聞いて、それで効果の最も上るような形でやらなければならないので、中央の団体としてはやはり全国団体、販連、養連等がやるということになると思いますが、県段階におきまして、どういうふうな団体でやるかということは、これはその県々の事情等がございましょうから、これは県の当局と相談をして、また中央の団体とも相談をしてきめるということになると思います。両方でやる場合には、やはり両方でもって協議して適当なやり方と割合をきめるということになろうかと、こう存じます。それから乾繭共同保管をやるその県設備は、これは農業団体が持っておりまするのは、これは自分のものでございますから、やはりできるだけ最優先でその乾繭設備は使うということが最もよろしいと思いまするが、やはり地域的にみますると、相当それが偏在しておりまするので、その地域、その県によりましては、やはり営業乾繭所とか、あるいは製糸家の乾繭設備というものを利用しなければ、保管できない場合もございます。団体が持っておりまする乾繭所は、これは最優先的に、自分のものでございますから、使用するのが適当かと思いまするが、そういう点で設備等がいたんでおりますれば、これは公庫等の融資によりまして、これは融資の道が開かれております。できるだけ乾繭共同保管に支障がないように修理し、改造して、いいものにしていく必要があると思います。それから乾繭共同保管をそういうような点でうんと強化して、全面的に押し出せないかというような再度の御質疑でありますが、私の方でもいろいろ研究しておりますので、どうしても製糸と切り離して乾繭だけを別にやります場合には、とにかく製糸の方は製糸工程で使いますボイラーとか、そういうものが乾繭の方にも併用されますので、コストも非常に安いという関係がございますので、独立した乾繭設備だけでやりますると、どうしてもコストが相当高くなる。それで従来からも農林省の方として、団体の方に乾繭設備をずいぶん持たしたわけですけれども、それが長く運営している場合には経費がかかりすぎて、うまく動かないために、だんだんほかの方に買却されてしまうとか、西日本等ではほかの方に、養蚕以外に設備が使われてしまうというような経過になっておりますので、乾繭を全体的に押し進めて、それで売るというやり方が適当か、あるいはそういう必要がある場合には、製糸であるとか、あるいは場合によっては農業団体に対する金融というふうなものを根拠といたしまして、委託製糸とかいうような形態、地方々々によりまして、要望によりまして、最も合理的な方法をとらなければならないんだと、こう考えますので、乾繭設備を農業団体がたくさん組織的に持って、それで販売していくという方法を、総体的に進めていくというような、まだ結論は持っておりません。
  68. 清澤俊英

    清澤俊英君 たくさん御質問もあると思いますので、なるべく簡潔に、一つお聞きするところだけお答えをお願いしたいと思います。  そこで私は今の局長お話もありまするが、乾繭処理という問題は、この前非常に繭価が下ったときに、これを農民に処理させるというので、政府が全面的にやったのだ、全面的に……。みんな農民が金を出して、それがたまたま戦争に遭遇いたしまして、桑を全部引っこぬいて、いもを植えたり、麦を植えたりしましたために、これはおじゃんになっちゃった。製糸家が悪いのか、悪くなかったのか、問題は別だと思うが、そこまでいかないうちに、そういうことを始めたのです。あなたの結論はまだ早いと思う。従って今あります乾繭所というものを、基本的なこういう少くとも乾繭維持の法律を出して幾らか利用するということになれば、これは今あなたがおっしゃった通りばらばらになっておる。新潟の実例を申し上げてみましょう。三カ所不可解なものがあります。まず一番大きな中条の乾繭所というものは、ほんとうの帳簿価格だというと二十九万円、時価にしますれば五、六千万円かかる。それが一製糸会社へ農林省の協力によって売られてしまっておるじゃありませんか。刑事事件が起きている、大問題が起きている。手も足もつけられないといような状態である。そういうふうにして処理させている。あるいは水原地区におきます乾繭所は、これは戦争中に野菜を乾燥するためだということで、これを農業会に一応移管しました。移管したあとは農業会が持っておるのでありまするから、いわゆる農業会が持っておりますのであるからというので、これは農民の反対を押し切って、ほとんど帳簿価格に等しいもので他のものに売られてしまった。これもどうしようもない。養蚕農民が幾らぎゃあぎゃあ言いましても、団体が違っているからどうしようもない。今一つ潟町にそういうものが残っております。この運命もあやしいものである。方々でまだそういうものが現存しておりまするが、これらは大体製糸会社と共同ででも経営をするよりしようがないという状態になっております。もっとはっきりした方針に立ってもらわなければ、これはみんな変な格好で全国中のものがどこかにとんでしまう。こういう場合に、この乾繭をするという場合、それの処理を養連にさせるのかあるいは販連にさせるのか、少くとも将来のことを考えて参りましたならば、基本的なことを考えて……。一ぺんあったのですよ。国がたくさん金を出して。乾繭設備をするためにたくさんの金を出してやったのです。それがみんなめちゃくちゃになっている。あなたのおっしゃったような、消えてなくなるというお話なんですが、消えてなくなるならば、またはっきりして、今申し上げましたような不都合のない処理の方法をおきめにならなければ大問題だと思う。これは重大問題だと思う。実際問題として養連にさせるのか、販連にさせるのか。販連なんか何にも設備を持っておりません。結局は製糸会社と妥協して、それをやりなさいと言うに違いない。そういうあやふやなことを言わないで、当分の間こうやるのだから、先があることであるから、その乾繭所はただで離さないようにする。それならばそれで何とか方法を講じられなければ、きまりをつけなければならんと思う、大きな設備を遊ばしておくわけにいかないのだから。その点に対してもっとはっきりした御答弁を願いたいと思います。
  69. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 農業団体乾繭設備を持って悪いというふうな結論をつけておるわけじゃございません。全面的にもう乾繭共同保管で、それでもって繭を売るのだというふうな結論はつけていないということでございます、私のさっき申しましたのは。  それで農業団体等が立地条件等によりますその必要を認めまして、乾繭所を持ちたいというものに対しては、公庫でもって十分にしてやる、現在でも幾らかずつ融資が行われております。こういうふうな法案が出ますれば、やりたいという農業団体が出てくると思いますから、それは必要に応じて増加をして参るつもりであります。しかしながら経営費等が赤字が出ますようなものを、政府の方ではなかなか援助はできませんので、やはり結局設備を低利で融資するというふうな段階が現在の段階でございます。  それから昔の乾繭所の方も、いろいろその当時おやりになった方々から意見は伺っておりますが、場所によっては成功いたしまするし、場所によってはやはりうまくいかない場合が相当ございまするので、まあそういう点については、農業団体意見等を聞きまして、無理に政府で推しつけて持たせるというふうなことまでは考えておらないのであります。
  70. 清澤俊英

    清澤俊英君 今のままではそれを買いつけても関係するものがないですから、これは自然消滅的な形をとるわけです。それでなければ製糸会社とでも妥協し、共同乾繭かなんかに使うという方法が最善の策というところに落ちつくだろうと思う。そうやってまごまごしているうちに、実際中条にあったような形に帳簿価格二十九万円、現実時価が数千万円のものが売れている。しかも農林省の許可を受けなければ売れないというようなものが現に二十九万円で売れている。そういう農林省の許可を受けないで、あとで農林省から受けておる。前の原田局長さんの時分にそれを質問しましたところ、それは農林省の許可はあながち受けないでいいのだと答弁しておられる。それは定款で決定してあるので、農林省に許可を受けろと言っておるだけで、何ら犯罪にはならぬ。農林省の許可を受けなければ売ってはならないとは言わない。だから農林省の許可を受けなければ、法律的に権限がないのだというふうなことを言うておるわけです。そういうふうな方針で乾繭所を処理しておられまするならば、実際金を出して作った農民がすわというときになりましたならば、これは全く一部のボスによって妙ちくりんなものに持っていかれる。そういう傾向が方々に見えております。今現在あなた方が全国に持っている乾繭所をどういう組織で持たしておられるか。養連が実際乾繭所をほんとうに把握しているところがありますか。あなた方の指導によって、大体県乾繭組合でほんとうに僅かの人が乾繭所を持って、それを維持しているのだ。まだその線は崩しておりませんよ。  まあこの機会だから申し上げておきますが、近い将来において、乾繭所を農民に利用せしめるというお考えがないならば、そういう線を崩して、養連なら養連の農民にはっきり返せるような処置をおとりになることが正当じゃないか。県にわからんような乾繭団体がありまして、それが全県を把握しているような、そういう間違った体制を一日も早くなおすべきじゃないかと、私はそう考える。それはどうしますか。
  71. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 現在の乾繭設備は不十分であり、それから県の乾繭協同組合がございますが、全国の乾繭連もございますけれども、御指摘通り非常に弱体でございます。それはこういうふうな仕事を農民乾繭共同保管でもって相当な効果を得るというふうな地帯においてそれをやる場合に、それが弱体であるがために動いていない、こういうこともあろうかと思います。それに対しては農民及び農民団体の方でその要望の強いところに対しては、政府としてはできるだけの援助をやるべきだと思いまするし、またそういう設備の保有等についても非常に弱体な団体が持っているというふうな場合には、指導によりましてやはりこの養蚕団体であるとか、あるいは販連というふうなところが、それを保有できるようにする方が運営としてはいい。こう考えまして、まあそういう趣旨においてできるだけ運営して参りたいと思います。  中条のあの乾繭設備につきましては、私詳細は、まだ当時おりませんでしたので、その当時のことは承知しておらないのですが、今聞きまするところによりますると、農林省としましては、できるだけ農民団体に保有してもらいたいというので、売ることを押さえておったそうですけれども、新潟の県の方から知事名でもって、もうとにかく持ち切れないから売らしてくれというふうなことを申して参りましたので、売ることを認めた、こういう経過になっておるそうでございます。まあその適否は別といたしまして、農林省ですすめて売らせるというふうなことはやっておらない。農林省としてはできるだけ団体が持っているものは農民団体で持っていてもらいたい。こういう考えで進んでいるわけであります。
  72. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は今さら中条の問題を蒸し返して、ことで問題にしようとは思いませんから、まあこれくらいにしておきますが、聞いただけでも不合理であるととはおわかりでございましょう。  その次にちょっとお伺いしますが、大体これはこの法案とちょっとはずれておるかもしれませんが、養蚕、蚕の生産をすすめるために大体生産費を低下する方法としてどんなととろに重点を置いて進んでおられますか。生産費を下げるためにはどういうものをまず改良していったならば、一番手っとり早く繭の値段が下るかという、あるいは用水をどうするかとか、あるいは肥料をどうするとかいうふうな、どういう観点に重点を置いて、今、生産費の低下に御努力を願っておりますか。
  73. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 稚蚕共同飼育は従来から唱えられておりますが、これは適用し得るところはできるだけ進めて参る方法もあろうかと思います。現在私どもずっとこれは検討を続けております。一番の問題はやはり桑園の能率増進というところにあろうと思っております。むしろ非常に糸値が高くて繭が割合に有利な作物であった時代には、水田をつぶしてしまうという時代においては、桑園の能率の問題はそれほどでもなかったようでございますが、現在のように非常にほかの農作物で有利なものがたくさんできておるという状態で、桑園はどちらかと申しますと、条件の悪い土壌のところに多くなるという傾向を持っておりまするし、まあその意味では桑園の能率を改善するということが相当大きい問題ではなかろうかと、こう考えております。その場合に、非常に土壌のいいところでは、その水利の問題、片方では悪いところではやはり土壌の改善までやらないと能率が上らない。それから老朽桑園の改植というふうなことによって能率を上げていくというところに重点があるのではないかと思います
  74. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうも桑園を改良して給桑の率が非常に高くなるということは一番の根底でしょうけれども、そのほかに私は肥料等の問題についてお考えになる点はないか、これはどうでございますか。
  75. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 肥沃地帯においては肥料を相当投下しておりまするし、農家も肥料代が低減されることはやはり望んでおるようでございます。これに対しましては本年度の予算でもって肥料の量を、むだづかいしないで最も有効に使えるような試験費を県の方に出しまして、それでできるだけ能率よく肥料を使えるようにというのを、まあ試験ですから、あるいは不満かもわかりませんけれども、そこから始めませんと、自信を持つた指導ができない。そういうところからスタートしてやっております。
  76. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、まだ確信のある肥料はできておらないのですか。
  77. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 肥料としましては、やはり窒素、燐酸、カリ等一応の比率で配合して作ればいいわけでございます。それは土壌々々によりまして、幾らか配合比率が変ります。燐酸が少くて済むところもあります。しかしそこいらは地帯々々で違うのですが、それに対する土壌調査は遺憾ながら十分のところはできておりません。本年度の予算から始めるわけです。
  78. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいま養連で固形肥料というようなものを専売的に、半強制的だそうですけれども、これが桑畑にいいのだからというので盛んに売り出しておられる。それを御承知になっておりますか。
  79. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 販連で扱っておるのは存じております。養連で奨励しておるのは存じておりますが、強制的にやっているかどうかということについては、はっきりとそう聞いてはおりません。
  80. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは非常に価格が高いそうですし、それに対する成分等を中心にして価格が妥当であるかいなやは御検討になったことがありますか。
  81. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 固形肥料の会社にあたって生産費等を調べて妥当であるかどうかは調べておりません。大体やはり窒素、燐酸、カリ等のほかに泥炭も含んでおりますし、窒素、燐酸、カリの成分比にしますれば、幾らかどうしても泥炭を含んでおる、製造工程上も複雑になるという関係で高くはなっております。
  82. 清澤俊英

    清澤俊英君 この問題は、肥料行政について私は大臣が来たらはっきりさせておきたいと思うのですが、少くとも蚕糸局がこれを知っておられる養連が責任を持って売っているかどうか、価格と相マッチしているかいないか、それがわからないという話はどうもおかしいんじゃないか。私はある場合に、考え方によりましては、今肥料の値段を十円や二十円下げてもらって、果してこれが生産農民に経済的にどれだけ、一戸々々の上では目ぼしい影響力はないかしれませんが、心理的な影響は非常に多いと思う。その点では河野君の努力も私は感謝しております。こう考えておるが、そういう際に、化成肥料だとかあるいは配合肥料、固形肥料のようなものが、販連という団体や、あるいは蚕糸局の御承認のもとに、何らそういう点を検討せられないで売られているということに対しては、はなはだおかしなものができ上ると思うのですが、もっともまあ大臣が来られませんから、この点では詳しいことをお伺いしようと思いましたが、これで私はあなたへの質問はやめます。
  83. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) できるだけ御趣旨を体しまして、そういう価格等の点についてわれわれも努力いたします。     —————————————
  84. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 大臣がお見えになりましたが、先ほど申しましたように、愛知用水公団法案農地開発機械公団法案審議につきましては、本来まだ衆議院の方が審議を終えておりませんので、私たちとして予備審査の段階にあまり時間を取り、突っ込んだ審議をするのもどうかと考えておったわけでありますが、政府の方もこの両法案審議を非常に急いでおられますので、当委員会としましても、特に休日を利用して無理に日程を組んで現地へ出かけてもらい、そうして本日は関係三大臣の出席を得まして、との二つの法案に関して基本的な問題について御質疑を願う、こういうことで予定しておりましたけれども、今農林大臣は来られましたけれども、なお要求しております経済審議庁長官なり大蔵大臣はお見えでございませんから、その問題はあと回しにしまして、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案につきましては、せんだって来の審議の間に、農林大臣お答え願わなければならぬ問題があったようでございますから、この際、この繭糸価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、農林大臣に対する御質問があればお伺いしたいと思います。  なおこの法案につきましては、金曜日に御相談しておきましたように、大体本日審議を終えるという目標で日程を組んでおりますので、その点御了承の上、御質問願いたいと思います。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいま局長にちょうど話しておりましたのでありますが、農林大臣が肥料の値下げをやろうというので非常に努力をせられておりますことについては、私も感謝いたしておるのであります。その結果が個々の農家に対しましてそうきわどい経済的影響はもたらさぬといいますか、そういう問題が農民生産心理状態に与える影響力は非常に大きいと思いますので、非常に御努力に感謝しておりますが、ますます一つ御努力を願いたいと思います。  ところでたまたまそういう硫安等を中心としました基本肥料に対しては、農林大臣が非常にお骨折りになっていただいておりますが、傍系とでも申しましょうか、固形肥料であるとか、あるいはただいま問題になっておる、養連で売り出しておりまする固形肥料等に対しましては、相当農民の中からこれに対する非難が高まっております。こういう問題に対する、肥料行政を通じて農林大臣の御所見をまずお伺いしたいと、こう思います。
  86. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 配合肥料といい、化成肥料といい、固形肥料といい、これが必要以上に農家に宣伝をされまして、しかも割高に取引されておりますることは、私はかねて遺憾に考えておるものでございます。事務当局を督励いたしまして、化成であるとか、配合であるとか、固形であるとかいうようなものについては根本的に一つ考えを変えて、行政を指導することにしたいということを、これは率直に申し上げますが、私はかねて申しておるわけでございます。  そこでこれらの肥料については、化成とか、配合とかいうようなことでなしに、むしろ名前を根本的に変えてしまったらどうだろう、行政指導の面において……、というようなことも考えつつ、せっかく今案を練っておるところでございます。そういうようなことで、これが養連といい、全購連といい、単味の肥料を販売するよりも、むしろこの方面に重点を置いてやるということは、必ずしも私は指導面においては正しいことではないと考えておるものでございます。できるならば、かつて法律改正も願って、単位組合であるとか、もしくは購連あたりで配合のできるようにもなっておるはずでございます。その地その地に適応する肥料を合理的に配合して、もちろん配合の必要があれば、農家の需要にこたえていくということの方が正しい行き方だと私は考えております。しかし急激にそういうふうに変えますことにもまた危険があると考えますが、これらにつきましてはよく御趣旨のほどを体しまして、深甚の考慮を払って、御期待に沿うように、私できるかできませんか、最善の努力をするつもりでありますから、どうかせっかく御協力をいただきたいと思います。
  87. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと待って下さい。今秘書官の方から連絡がありまして、ただいま衆議院の本会議において、杉原防衛庁長官の不信任案がかかっておるので、今採決だそうで、それにちょっと大臣が出てこられるそうであります。出たり入ったり、入ったり出たりで、はなはだ審議は進みませんが、そういうことでございますから……。(笑声)ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  88. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それじゃ速記をつけて。
  89. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま局長は、たしかきのう長野県へ講演に行ったというように僕は承知しておるのだが、局長も長野県の製糸の状態をお聞きでしょう。私もひょう害があってきのう長野県へちょっと行ってきました。ところが地方の信毎その他の新聞を見たところが、中小製糸家と申しますか、百五十ないし二百五十、三百以下くらいのものの製糸家が繭不足のために維持困難で七つ八つ、あるいは全部で今年で十カ所くらいの休業状態に立ち至ったというような報道が出ております。今の状態で、法案審議中すでに中小の製糸家が倒れてしまうが、これらに対して、購繭資金かあるいは県の蚕糸養蚕協同組合と連鎖がなかったかどうか、繭の割当がなかったかどうか、いずれかであろうと思いますけれども、せっかく今のような法案を通過して、蚕糸業の基礎的発展を漸次展開しようとする際においてはなはだ当を得ない問題であろう。これをどう処置をし、どう金融をして、目の前の急場を救う方法をおつけになるお考えがあるか、またこれに処するところの計画をお立てになっておるかどうか、この点を一つお尋ねいたします。  次に、先ほど清澤委員からもお話しがありましたが、なるほど土壌は変らぬけれども、本来桑園の肥料の最も効果的なのは大豆かすとか、あるいは大豆をそのまままくところの植物性か、動物性の魚粉か、同じ植物性でも種かすというようなものは、いずれの土壌を問わず非常に効果があると思うのであります。しかるに今幾多の科学指導の結果、ひょう害などを見るときにほとんど新芽の首が飛んでしまう。従って違蚕を生ずる養蚕農民は、ほとんど肥料を適正なる肥料を施していなかったところに大きい原因を発見しておる。また桑園の改植にも、ところどころ、地方で言えば鬼の頭とでもいうような古いごつごつしたものが残っております。私はきのう見て大へん驚いたというようなことがあって、桑園の改植も国で相当馬力をかけて奨励しておるにもかかわらず、徹底しておらない。これらに対しましても、もっと春秋を通じて適切な良種類の桑苗を配給して、桑園の改植をはかり、肥料の適正化をこれまた施肥いたしまして、そこに収繭の増額をはかり、製糸家を安定させるところに、初めて今の蚕糸業なるものは安定性と堅実性と漸次計画に乗っていくのだが、現在幾多の欠けるところがあるが、以上の急場の状態をどうお取扱いになるか、これをはっきりさせていただきたい。
  90. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 中小製糸の、ただいまの御指摘になりました具体的の問題は私はまだ承知しておりませんけれども、苦しいところがあるのはよく存じております。金融につきましては、スタンプ手形というのが繭金融について特にございまして、今年は皮革、鉄原料等は切られております。繭だけが残りまして、特殊金融として残っております。できるだけそれを利用して製糸金融の方はつけたいと思いますので、なおそういう点で不十分な点があれば、できるだけ農業団体等による力もそれにつけ加える必要があろうかと思います。そっちの方からの金融の方もパックしたいと思って研究はいたしておりますが、製糸に対してはいろいろの点でまだ政府の援助すべき部面もあると思いますが、できるだけやって、そういう苦しい事態を切り抜けて参るように努力をいたしたいと考えます。なお養蚕それから桑園の方につきましては、御指摘通り老朽桑園の改植、あるいは施肥改善、土壌改良ということで養蚕振興をやって、そうして製糸家にも十分な繭を供給できるようにすることが一番大事な仕事だと思います。今年の予算ではわずかながら施肥改善というようなことに試験的な経費が取ってありますけれども、来年度以降については特にそういう点に重点を置いて、そうして急速にそれを進めたいと現在準備中でございます。技術的には試験と調査をやらなければならぬようなものも残っておりますが、できるだけ農家の方で手っとり早くできることは手っとり早く農家の目の前でできるようにして参りたいと、こう考えております。
  91. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今局長はスタンプ手形をたびたびお聞かせ願いましたが、つぶれかかっておる製糸家もつぶしてしまえばなかなか復活しません。そとであなたが今知っておる通り、長野県から出た大製糸家でも、名前は遠慮しますけれども、もう地方の製糸の方からいえば、あの大きな大黒柱がもう虫が入っておるような状態で、どうも安定できないぞというようなところまできております。そういう状態の製糸家がたくさんになっておる。そうして養蚕家としても政府の補償がある、乾繭の保証、繭は相当売れるけれども、製糸家の方々が安定を欠くということになると、供繭をするのも少し二の足を踏むということにもならないとは申せまい。そうするとどうしてもこれは農業協同組合だってなかなかごらんの通りゆとりのある組合はなく、そう製糸家にどんどん貸すわけにはいきません。以前は銀行が日銀の保証を得て購繭資金は相当融資しておったのだけれども、最近はこの方面も金融梗塞して、なかなか融資をしないからこういう結果になってきただろうと思うんだが、しかし何とか農林漁業の金融から出るか、どこから出るか知りませんけれども、ともかくとの急場を救って、中には盛り返せるような堅実な製糸家だけは存置してやるし、これを通じて安定させなければ、これは幾らかけ声をかけても、何かの肥料じゃないけれども、かけ声だけでうまく実ればいいけれども実らないことになってしまうから、金融方面の融資に対して迅速果敢に、これを投資というか融資させる方途を講じてやって、製糸家を一つ堅実化し、もうちょっと手を打ってもいいだろうと思うんだが、局長各位に聞いても、大臣にも質問しましたけれども、大臣、これなかなか、ちょっと来られて、法案を通すまぎわであるから……われわれ、また委員長も大臣には、直接大臣に申しますけれども、これは真剣に日本の蚕糸業の上にもっと金融、融資の円滑と申しますか、その融資に対するところの繁雑を避けて、逆に融資の道を開くという決意をしてほしい、これに対するお考えはどうです。
  92. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) できるだけ御趣旨に沿って努力はして参りたいと思っております。制度的には現在スタンプ手形という形で、今度特別買入れが起りますれば幾らかの融資、投げ売りしなくても済むようなそういう点がつきますが、現在の窮乏しておりまする中小製糸の状態からいうと不十分な点があろうと思います。できるだけのことはいたして参ります。
  93. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 日中貿易とかあるいはアメリカから来た大豆かすというか、大豆をきわめて低利に輸入することができたら、肥料方面からする今後の措置も十分考えてほしい。これらの点に対して、原料繭も、製糸のできるような方途を講じたいというお考えがおありかどうか。
  94. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 安いものでありますれば、やはり土壌によりまして有機質肥料が向いておるところがございます。それはできるだけ農家の要望に沿うように努力して参る必要があると思います。
  95. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 肥料の安い高いは価格じゃないですよ。土質と桑園にきくかきかないか、その桑がさらに養蚕に、蚕に対しての栄養になるかならないかでもってきまるので、ただ価格さえ高ければそれでけっこうだというので、価格が高くても……、それはあなた、非常に薬によっては注射一本できくのがございましょう。そういう点は十分に考えて、桑園に注射もできないけれども、十分に効果ある方法を考えて下さい。
  96. 清澤俊英

    清澤俊英君 たった一点だけ、たくさんありますけれども、一つだけお伺いしておきたいと思います。ということは、保管会社ができて、この生糸を保管する倉庫は大体、どこにあるのですか。保管というここと、これは生糸の場合、それから農協が保管を引き受けまして保管する場合、製糸会社へこれを委託して乾繭したという場合に、やはりこれを保管する保管倉庫はどこなんだ、この両方の保管場所一つお伺いしたい。同時にそうなりまする場合の補助金の分配において、保管会社と現実保管しているもの、かりに農業協同組合乾繭保管していくと、こうなってはおりますが、実際は乾繭は製糸がやる、保管もかりに製糸がしていることになりますと、との保管関係のものはほとんど全部製糸会社にゆく、こういう形になりますが、その点を一つ明らかにしてもらいたい。
  97. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 生糸の保管は輸出生糸ですから、輸出生糸検査所のある大体横浜、神戸に集まりまして、この二カ所でございますが、横浜については過去において製糸会社その他蚕糸関係の方で作りました帝蚕倉庫という会社がございまして、生糸についてもってこいの保管倉庫であります。倉敷も安うございますから、おそらくそこで保管する。神戸につきましては最も適当な倉庫を選んで保管するということになろうと思います。  繭の保管につきましては、本法通りますれば乾繭共同保管農業団体が安心して保管できるように、また中金、信連等も安心してそこに金融ができるような設備が望ましいわけですから、それはそういう農業団体及び金融機関、それから県庁、大蔵等の方でも立ち会いまして、そうして農業団体の倉庫は偏在しておりますから、場所によっては営業倉庫であるとか、あるいは製糸の倉庫を利用しなければならない、そういうようなものを十分検討調査をいたしまして、もう前もってここは使える倉庫というようなものは、そういうふうな乾繭共同保管の指定倉庫と、いいものは指定しておくということをやるのが一番安全だと考えております。また乾繭保管する場合には、あくまでも農業団体でございますからその倉庫は借りる。それから乾繭費を払って、繭は農業団体のものとして保管するというような形でございまして、製糸がやる仕事は倉庫を貸すことと、それから乾繭費をもらって委託乾繭をやるということになりまして、乾いた繭自体は農業団体でありますから、補助金その他はこの農業団体に参るということになります。
  98. 清澤俊英

    清澤俊英君 重大な発言がございましたが、そこで事前にこれを調べるとおっしゃいますが、長い間戦争中放置しておりまして、その後使わない、こういうものが相当あると思います、乾繭倉庫に……。そういうものに対しては大体において適当と認めれば、ここで補助金等を出して、わずかの場合ですね、わずかの補助でできる等の場合にはそれをやる準備はできておりますか。
  99. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 本年度の予算では乾繭倉庫に対する補助金はございませんので、やはり政府としてやれる仕事は、不十分な設備であれば農林漁業金融公庫の方から低利で借りてもらって、それで十分な設備に改造してもらう、こういうことでございます。
  100. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると非常にめんどうな問題になると思うのですが、かりにこれが恒常的に乾繭を持つというならば、借金をしても持っていかれますが、これが果して今の生繭取引をやっている限りにおいては、これはそうたくさん余らないのです、今現在でも……。だから乾繭するだけの、常時乾繭するだけの目安のつかないものに金をかけて直すやつはない。実際においては金をかけてまで直されない。大部分そうじゃないですか。あなたは何かそれに使われるものがあればそれに使わせて保管すると言われますけれども、長い間放っておいたものがすぐ使われるのはわずかではないかと思う。そうすれば結論として、大体さっき言った製糸会社に乾繭させて、製糸会社の倉庫を契約して使わせる、こういう形になりますが、その場合製糸会社が持っているでしょう、それを政府が投げ出すということになりますと、これはまたやはり別なところに置いたのと別な私は味わいができてきはせぬか、そういう点に対してどういうふうなお考えを持っているか伺いたい。
  101. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それはできるだけ農業団体の繭でございますから、農業団体の倉庫は完備しておって利用するのが本則でございまして、そういう点であるいはおっしゃるように農業団体の倉庫の改造費を公庫の融資だけでは不十分であるということがあろうかと思います。そういう点は至急検討してみます。もし農業団体においてある程度の補助金がなければ改造がなかなか困難でありますような事態と判定いたしますれば、補助金等も政府としては研究して参らなければならぬと、こう思います。
  102. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 一点だけお尋ねしたい。先ほどの委員質問と重複するところは一切省きまして、今度の改正法の第二のねらいと称する繭価の維持の問題については明確な規定をおいて、養蚕農家が安んじて生産にいそしむことができるとこういうことを強調しておいでになる。私はこういう目的に対して、この前繭糸価格安定法審議したときにもわれわれが非常に心配をした点は出回る繭の数量に対してこれを安定せしむるに必要な資金が過少である。そういうつり合いのとれない安定資金をもってして、こういう法律でねらう大きな目的が果して達せられるかどうかというそういう懸念が、私はあの法律施行後あるいは昭和二十七年、八年の繭の動き等を見て、どうもわれわれの杞憂が決して単なる取り越し苦労ではなかったということを感じておるわけであります。今度のこの改正法を見て私は再びその杞憂を感ぜざるを得ない。それはどういう点かと申しますと、政府で考えておられる保管繭の数量とか、あるいは買い上げ数量が過少ではないかということ、それからなおこれに対して特別会計法等で準備をしようとしておる金額等に対しても、果して今との法律でねらっておる養蚕農家が安んじて生産に従事できるような実際的な効果を上げ得るかどうかという点。それで第一に尋ねたい点は、政府の考えておる保管繭の数量とか、買い上げ数量については、先ほどの補助金の実額等から考えて、一体全国の産繭量のどの程度をねらっておいでになりますか。
  103. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 保管数量につきましては、これは市況と繭の生産状況によって違うと思いますが、比率等も、割合にその比率の少くても価格の維持できるところもございますし、相当量比率を上げなければならないところもございます。で、過去においてはやはりいろいろのデーターを見ますと、五%以下のときで効果を上げたようなこともありますし、やっぱり十数パーセント乾繭しないと上らないような事態もあったようでございます。わずかな例でございますが、比率等については特定はしておりません。前に約二億円と申しましたのは、それらの平均値でございまして、実際にやる場合にはこれは農業団体等意見も聞きまして、乾繭共同保管をやって繭価が維持できるだけの数量をやるべきだと、こう思うのであります。これは農業団体意見を聞きましてそうして政府としてはきめたい。もしそれでもって売れ残って、政府が買い入れるときには六十億の資金では足りないということになりますれば、これは時間的には半年以上余裕がありますし、必ず通常国会の機会もありますし、そういうところで予算措置を講じていただいて、増額をやるということは可能でございますし、そういう事態になれば御協力を得まして、六十億をさらにふやすようなことはやってゆく必要があろうかと思います。必ずしもこの六十億にこだわっておりません。
  104. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは今の御答弁で大体私は了承いたしましたが、もう一点、第九条の二の契約期間中の利子、これは一体だれが負担するのですか。
  105. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 第九条の二の場合は、これは会社が糸を持ちますから会社が負担することになります。
  106. 清澤俊英

    清澤俊英君 ということはちょっと思い出してもたくさんあるのですが、整理してやらんならぬのですが、こういう問題出ましたが、いま一つというのは、この前三十億で一応上ったときは押えよう、これが下ったら買うというのです。こういうのでした。それがために一つも緩和糸を持たないで上りっぱなしでお困りになって、今度六十億にふやして、その場合処置しようと、こうなった場合に、今現在何か持たなければならぬ。その点についてはこの法律からいうと、安定帯を割った価格、こういうことになってくると思うのですが、それでなくても買えるのですが、そのようにも考えられますが、大体その緩和する一万俵はこの際すぐお買い上げになるのかどうか。
  107. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) その点は特別買入価格以下でないと買えません。それで必ず、ですから上値押えのための糸が持てるということの保障はここでは必ずしもないわけです。上値押えのための糸を持つ機会が今より非常に多くなる、持ちやすくなるということは申せますけれども、それは必ず持てるということは、また今年持てるということは断言いたせないわけであります。これはやはり糸価に悪影響を及ぼさないで政府が買うということになりますれば、どうしてもそうなればこの法案としましては底値の方はそこで非常に強くなっておりますが、それと比較いたしますと、上値の方に対してはやはりまだ物を持っておるのには、これは持ちにくいのです。これは需給関係が非常に糸も繭も足りない状態が数年続いておりますから、ですからその点については下値に比べますると弱いということは申せます。
  108. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかに御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  110. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 私はただいま議題になっておる繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に賛成するものでありますが、この法律案は確かに一歩前進ではありますけれども、しかし現在の蚕糸業の上においては、この程度のものではほんとうに気やすめにすぎないのじゃないかというような感じを持っておるのであります。それがために二つの付帯決議案をつけまして賛成するものであります。  その一つは、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案。  わが国の蚕糸業はその基盤を生糸の海外輸出におかなければならないことは論を俟たない。従つて、生糸はその国内需要の消長如何にかかわらずこれが輸出を優先的に確保する制度を確立することが喫緊の要務である。  然るに今回提出の法案に依つては未だこの目的を達成するに充分とは言い難い。  依って、政府は速かに生糸の輸出増進のため適切強力な対策を確立し斯業の恒久安定を図るべきである。  その二項は、  一、本法が所期する繭の価格を維持しその増産を達成するため本法第十二条の二の規定によつて政府がその保有する繭を処分する場合にはその処分する価格は繭の生産費を下らざるものとし、以て繭の生産悪影響を及ぼさないように措置すべきである。  以上二項の付帯決議をつけまして私は賛成するものであります。  その理由とするところは、大体考えてみますと、この法案というものが、どういうところがねらいであるかと申しますと、大体は業界の安定と申しますが、あるいは価格維持ということにあるのでありまして、これは戦前に繭が八千万貫もでき、生糸三十万俵も輸出のできておるときであれば、これは非常な妙案であると実は考えるのであります。しかし今日の日本の蚕糸業の最大かつ緊急な問題は何であるかといったら、生糸の輸出をどうして増進するかということにあるかと思うのであります。もし生糸の輸出を成り行きにまかして、この生糸が国内産業になるということになるならば、もはやあまり増産奨励をする必要はまあないとも極言することができるのであります。  また一歩海外の需要の状況を考えてみると、われわれの得ておる情報によりますと、以前と用途が違って、交織物がどんどん流行して、そうしてやり方によっては生糸の需要というものは倍にもすることはそうむずかしくないということが伝えられておる。なお一方アメリカは別であるけれども、欧州方面におきましては、近ごろ中共糸というものが盛んに輸出されておる。もしこのままで輸出問題に対して政府が相当な考えをいたさないということになるならば、私は近い将来はあるいは韓国並びに中共の糸で海外は満たされるのではないかというような危倶を抱くものであります。その中共糸がなぜこんなに出始めたかということを考えますと、二つの理由がある。その一つは、戦前のような非常な高級な糸が必要がないということが一つと、その次は中共の輸出というものは政府輸出であって、価格がもう一定しておる、そこに非常に大きな魅力を持っておって、いわゆる生糸の中共糸というものが最近どんどん輸出されておるのです。こういう現状を目の前に控えておって、そうして今回提出されておる法律案を見ますとおそらく私は、これはどうも、前回に糸価安定法を非常に業界の要望であるということでやりましたのは、これは二十六年であります。ここに大体五年目になっておるわけでありますが、その間において一回も発動したことがない。ただ一回、おととしでありましたか、禁止価格を突破したために、それで非常な大騒ぎをしたが、しかし政府はそれに対してもうやむを得ぬのだというような態度をとって非常に混乱さしたことがある。それが一回、糸価安定法が五カ年間において役立ったというか、あるいは問題になったというかでやっている。今回の、今繊維界は世界的に非常な不況を告げておる、ことに綿糸のごときは近来にない不況である。しかるに生糸は依然として二十万五千を維持している。しかも最近になっては二十二万にもなっておる。こういうものを作りましても、結局から回りしてしまって、この前回の糸価安定法と同様なことになるのではないか、そして一面においては結局中間買入れの機関を、会社を作る、あるいは信用保証協会の機関を作る、それらに対して、結局蚕糸業界におけるいわゆる寄生虫と言ったら語弊があるかもしれませんけれども、いわゆる食うためになるだけのことに終るのじゃないかということを非常に危倶しておる。  そこでこの法案がもし効果が非常にあるということになりますと、それは先に中間買入れが政府の意図するべくせられた場合においてのみできるのだ。しかしそのチャンスが果して現在の生糸界を見ておると、出てくるかどうかということに対しては非常に疑問がある。というのは、それはどうも昨年には一ヵ年通じて大体生糸が二十万五千から二十二万の間をもうほんとうに釘づけのようになっておる。それがために生糸の輸出が非常に、中共糸が出ておるとはいいながら、日本の生糸も相当出た。一万俵以上昨年一カ年に輸出が増進せられておる。それがためにいわゆる生糸界というものは一そう底力が強いのである。ここにおいて私は政府は六カ年計画に、三十五年には生糸は十四万俵の輸出をするのだ、絹織物は三万五千俵を輸出するのだ、こういういわゆる六カ年計画をお立てになっておって、その裏づけとしてこの法案がまあできておるのだ。しかし私は考えますと、今申しました海外輸出の目標は、大体において二十万に近い数量である。内需というものは、これは生糸がいかに安くても高くても一カ年を平均すると十八万俵から二十万俵の範囲は内需に使われている。そうするとそれを合計いたしますと四十万俵、四十万俵に近いものである。そうすると現在三千万貫にまだ繭がなりかかっている程度なんです。そうすると一千万貫の繭をふやさなければならない。ここで大きな矛盾が、いわゆる蚕糸業の上を見回して、現在政府がとっている施策の上においては大きな矛盾がある。私はこの蚕糸業の施策の上において非常にむずかしい問題は何であるかというと、どうしても日本の蚕糸業を大きくするのには輸出をしなければいけない。ところが輸出は四ドル五十セントから五ドルの範囲でなければ生糸は出ない。これに安定してくれるならば生糸は倍にしてもいいということを言っている。その四ドル五十セントから五ドルというものは、結局日本の金にすれば二十万円から二十二万円になる。それから一方養蚕家の立場はどうしても繭をふやさなければならないという立場、養蚕家の立場は、これは今度米の価格が一万百六十円になっている。おそらく将来統制が撤廃されたとしても、私は米は一万円を下らないものである、こういうふうに考える。昔から米と繭との関係は昔は繭十貫に米三石といった。最近は非常にこの収繭がふえたので、繭十貫に対して米二石といっている。そうすると、どうしても繭は一万掛以下ではこれは増産を期することはできないと私は思う。一万掛を保証すべきだとこういうふうに考えている。ところが一万掛以上になったときに輸出ができるかという、こういうことになって、ここに大きな一つの矛盾がある。  そこで内需は先ほども申し上げましたように、要するに生糸がいかに高くても安くても、とにかく一カ年に十八万俵から二十万俵の範囲は、これはもう価格のいかんにかかわらず消化されている、消費するのだから、この三つのものをほんとうにあんばいしてにらみ合せてここに蚕糸政策を立てるのでなければ、こういうただ単に価格維持であるとか、あるいは出てくるから、そういうチャンスが来るか来ぬかはわからないといったような案を作って、そして三十五年には生糸は十四万俵を輸出し、絹織物を三万五千俵輸出するのだというようなことをやることは、私はきわめて架空のことに終りはせんかというような感じを強く持つのであります。  しかしながら、本法案ができたということは、今日までの蚕糸業のいきさつから考えるというと、一歩前進ではありますが、そういうような危惧が非常にある。政府はよろしくこの際に繭に対してももっと考えを変えて、九千掛程度で、また九千掛以下で、これで最低保証をしてやるというようなことでは繭の増産を期することはできない。また生糸の輸出に対してももっと真剣な考えをされるのでなければ、私はこの法案というものはただ単にから回りしてしまって、この前の糸価安定法のときと同じようになるのではないかと思いますので、以上申しました二つの付帯決議をつけて賛成するわけでありますから、政府はこの点に対してもっと蚕糸業の現状をはっきり認識して、強力な施策をおとりになることを要望いたしまして、私の討論にかえます。
  111. 森八三一

    ○森八三一君 私はただいま議題になっております繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に対しまして、原案に賛成するものであります。同時に、ただいま白波瀬委員から御提案になりました付帯決議についても賛意を表するのであります。ただこの際数個の希望を申し上げておきたいと思います。  その第一は、今回の特別買入の制度に関連いたしまして、生産者団体が繭の保管管理をするということになるのでありますが、その保管管理の施設というものはきわめて荒廃をいたしておりますので、本法の実をあげまするために、繭の生産者団体の行う乾繭施設に対して助成の対策をすみやかに講ぜられたいということが第一の要望であります。  第二は、質疑を通じて明らかになりましたが、設置されまする保証協会の徴収する手数量は必ず補助の対象にされたいということであります。  第三は、輸出適格生糸の保管団体の考選について、これまた質疑応答を通じて明確になったのでありますが、その内容が、普通の糸と玉糸の二つの関係を取り扱うのでありますが、この業者の資金の関係、運営上の役員等の関係について、不公平のありませんように、公平に処置をされたいということであります。  第四点は、今回の改正によって、特別買い入れに対しましては、玉糸がその対象になるのでありますが、第二条の本則には、玉糸がまだ入っておりません。このことにつきましては、現在の糸の輸出の実勢から考えますれば、当然第二条に玉糸を取り上ぐるべきものであるというように思考いたしますので、近き将来第二条の対象に玉糸を取り上げるというような措置を講ぜられたいことであります。  なお、最後に、この法律の運営が全巻を得て、真にその効果を発揮いたしまするためには、資金の充実がなければならぬと考えるのであります。質疑の際には、そういうときにはさらに国会の議を経て資金増加のときがあるであろうというような期待的な御答弁があったのでありまするが、根本的な資金の充実について最善を尽されたいという、以上五つの希望を付しまして賛成をするのであります。
  112. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は本案並びに付帯決議に賛成いたすものでありますが、しかし本案自体を見ますと、繭糸価格安定法案となっておりますが、その性格は全く輸出生糸を中心にした製糸業の安定が基本になっておりまして、繭の生産に対しまする安定は従的な立場におかれておるのであります。ただいまも白波瀬さんが御指摘になりました通り、私は少くとも今日の養蚕業を振興して、適正な輸出価格を維持して参りまするには、増産を行い、繭価をまず安定せしむるためにもっと万全な策が基本的に講ぜられておられなければならないと思います。その点が至ってぼうばくとしておりますのみならず、そういう将来における減産等に対して局長はどういう考えを持つかと、こう質問しましたところ、ただ桑園のことについてるる数千言を費やされただけでありまして、その他いろいろわれわれのようなしろうとでも考えられる点などにはさらに御考慮を得ておらぬのであります。そういう点に対しましては、私非常な不満を持ちますと同時に、本法案が、しかも過去の二十七年、八年の暴騰等を中心にして、こういう場合に押えるんだというて作られましたその根本は、今のところ押える何ものの処置もできておらない。結局しまするならば、せっかく買い付けた糸が下った場合の繭価維持の処置としかとれないような、非常に小範囲の実際的効果をねらったような法案に陥っておると思うのでありまして、まあそれ自身が大して弊害も持ちませんから、私はここに賛成して参りますが、少くとも近き将来において糸を安定さしていくという方針が基本的にきめらるべきものか、あるいは繭を生産する上にそれが基本として再生産をし、拡大増産ができるという態勢を整えることが重要性を持つかという点をもっと御研究になりまして、私は一日も早く繭を中心にした繭価安定の方針の御確立をお願いしまして、本案の弊害のない、幾らかそれでも暴落に対してこれを予防することのできるという点に重点をおきまして賛成いたします。
  113. 戸叶武

    戸叶武君 私は本案及び付帯決議に賛成いたします。  この案を見ますると、価格の安定をねらって輸出生糸を中心として考えておるようでありますが、今この生糸及び繭の運命を考えるときに、やはり内需と輸出との両面から十分な考慮を払わなければならないと思います。これは生糸や繭の問題だけでなく、今これに近いところの性質を帯びている麻産業においても大きな変動が起きておりまして、東洋繊維のごときは六十四億の負債を背負って倒産に瀕しているのでございます。これは輸出において行き詰まり、内需において合成繊維から食われてきているからであります。これは麻だけでなく、生糸の運命においてもこういうことを考えなければならないのであります。私はこの正月、アメリカの市場においての生糸に対する運命についても、いろいろな面から各界の人に会ってお尋ねをいたしましたが、品質及び輸出の方法等において、日本がイタリアに食われている。こういう点は品質改善の面においても、またこの輸出振興の面においても、日本が反省しなければならない面だと思います。それから価格の面においては、今後は中共の糸から食われることは、これは必至であります。戦争中においても華中蚕糸等がやった役割は、中国からの批判からするならば、中国において台頭し勃興していとうとするところの繭の発達というものを阻止するために、日本の競争相手としての中国の産業を伸ばさないための方策のためにやっておられるというような批評も、あながち当っていないわけじゃないんです。私たちも長い間中国におって、この中国の繭が品種の改善等を行えば、当然日本よりも増産に、気候その他において条件が恵まれているんです。このことは今後国際市場において、私はイタリアとの競争だけでなく、中国との関係の価格の面における競争というものは十分考慮しなければならないと思うのであります。  しかるにもかかわらず、この法案においては保管及び買上数量の過少な点において非常に弱点がある。政府側の答弁によると、六十億で足りないような場合におきましては、この法の精神にのっとって、そうして援助を受けるような方途を考えたいと言っておられますが、これは非常に頼りげないやり方であります。  しかし、いずれにしてもこの法案によって一歩前進がなされたのは事実でありまするがゆえに、私たちは不満足ながらこれに賛成するものであります。賛成者の一人として私たちが政府に責任を持ってもらいたい点は、もっと広い角度からこの蚕糸業の前途に対して十分な配慮をもって臨まれんことをお願いする次第であります。
  114. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。   それではこれより採決に入ります。繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を問題にいたします。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  116. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものち決定いたしました。  次に、討論中に述べられました白波瀬君提出の付帯決議議題といたします。白波瀬君提出の付帯決議案を本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  117. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致と認めます。よって白波瀬君提出の付常決議案は全会一致をもって本委員会決議とするこちに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  なお本案を可とされた方は順次御署名願います。    多数意見者署名      秋山俊一郎  白波瀬米吉      三浦 辰雄  戸叶  武      青山 正一 池田宇右衞門      大矢半次郎  重政 庸徳      田中 啓一  長谷山行毅      飯島運次郎  溝口 三郎      森 八三一  亀田  得      清澤 俊英  森崎  隆      東   隆  棚橋 小虎      菊田 七平  鈴木 強平
  119. 亀田得治

    ○亀田得治君 これから続いて愛知用水、それから何をやるわけですが、時間が非常におそくなってしまっているのですが、私どもは基本的な問題について少し突っ込んでいろいろ大臣から直接聞きたいと思って期待を持ってきたんですが、この点委員長はどういうふうにお取り計らいされますか。
  120. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっち速記をとめて。   〔速記中止
  121. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。この際、ただいま可決されました付帯決議について、農林大臣から発言を求められております。
  122. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、ただいま付帯決議を拝見いたしました。適切な御注意と考えます。私といたしましては、この付帯決議の御趣旨に沿いまして、たとえば蚕の処分に当りましては、決して生産費を下回らないように、これに悪影響のないように、委託加工その他の方法によって、御趣旨に沿うように善処いたします。また蚕糸業の発達につきましては、御趣旨にありまする生糸の輸出増進につきましては、今年度の予算の編成の際にも、これが海外宣伝費等についていろいろ協議もいたしたのでございますが、何分今までの処置があまりに貧弱でありましたので、一時にこれを増額いたしますことにつきましても、多少議論もありましたので、十分に参りませんでしたが、明年からは御趣旨を体しまして、十分その目的を達成できるように努力することを言明として御了解願いたいと思います。
  123. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまの付帯決議に対する農林大臣お答えがございましたが、私どもとしましては、との法案審議に当りましては、ぜひとも農林大臣に聞いていただかなければならぬことがあると、こういうことで日程を考えておりましたが、大臣の出席がいろいろの都合でございませんので、大臣の出席のないままに採決はいたしましたが、先ほどの白波瀬委員付帯決議提案理由、その他各委員の討論に当っての内容というものは、非常に貴重な意見を含んでいると私ども考えますので、これにつきましてはただいまの農林大臣お答え以上に、もっと農林大臣としても、あと速記録をお読みになるなり、事務当局と御連絡を願って、適切な処置をお願いしたいと思っております。
  124. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は私は就任以来、蚕糸業、特に養蚕業の発展、発達に意を尽して参ったつもりでございまして、これら養蚕、製糸、輸出業者、これらの会合には努めて出席するようにいたしまして、これら各方面の意見は十分に伺いまして、そうして今回の処置に出たつもりでございます。  なお、ただいま委員長から御注意のございましたように、皆様方委員各位の御質疑に当りましての御意見なり、また討論の御趣旨等を、十分速記録、その他事務当局を通しましてこれらを承わりまして、必ず御期待に沿うようにいたすつもりでございます。どうかその点を御了承をいただきたいと存じます。
  125. 清澤俊英

    清澤俊英君 後段の質問が始まりますから、これのじゃまにならぬように、さっきちょっと残っておりましたので、その分だけを片づけておきたいと思います。しばらく一つお願いいたします。  先ほどは硫安を中心にした基本方策の問題のほかに、混合肥料、化成肥料、その他固形肥料等についても十分留意する、こういう御答弁でありましたが、具体的に将来成分等を中心にして不当な価格形成のできないように御考慮が至急払われるかどうか、それだけをお伺いしておきます。
  126. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御承知の通り配合、化成、もしくは固形肥料等は、それぞれ農村になじみもございまして、先ほども申し上げましたが、なかなか困難でございます。との事情は御承知の通りでございます。しかし先ほども申し上げました通り政府におきましてはこれらの肥料について特別な配慮をいたしまして、混合肥料というような名前にしたらどうだという案も実はできておるわけであります。これを化成であるとか、配合であるとかいう名前で、何か特殊の効果があるように農村に考えられるように売り込んでおるということに多少の疑義もありますので、できるだけ努力は払うつもりでございますから、どうか一つそれらの点について御協力を願いたい。  御承知の通り、今ここですぐにやるかとおっしゃっても、私はやるつもりでおります。つもりでおりますが、何さま今申し上げますように、固形肥料につきましてもいろいろな点でなじみもできております、というものを一ぺんにこれを政府の力、法律の力でこれを使わせない、やらせないというようなことはいたずらに混乱するだけで、かえって逆作用がありますから、そうでなしに、それらの点について十分農村の知識を高揚して、配合はどんなものだ、化成はどんなものだ、固形がどんなものだということの知識を十分普及徹底して、これに対して指導奨励の面において適当に善処して参ることが一番必要だと私は考えております。そういう点において十分考えまして、今考えておりますのは、混合肥料というようなことで、名前から一つ変えてかかろうじゃないかというようなことで、価格点等につきましては、万やむを得ない場合には、現在の肥料審議会において硫安を扱っておりますと同様に、これを適用するというようなことまで、場合によれば行くくらいの決心を持って私はやるつもりでございますから、どうか一ついろいろの点において御注意を願いたいと思います。     —————————————
  127. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは愛知用水公団法案及び農地開発機械公団法案を一括して議題に供します。  これら二法案につきましてはすでに提案理由説明を聞き、なお愛知用水公団法案については内容説明を聞き、若干の質疑を行い、さらに現地調査を行なったのでありますが、本日は両法案によって提起されている、かかる事業の性格、その他これが基本的な問題について究明するために、特に農林大臣、大蔵大臣及び経済審議庁長官等政府最高関係責任者の出席を求めた次第であります。かような意味合いにおきまして御質疑を願うことにいたします。  なお、これら法案の細目については、日を改めて御質疑を願うことにいたしたいと存じますから、その点御了承願います。なお大蔵大臣は間もなくお見えになるはずでございます。
  128. 亀田得治

    ○亀田得治君 時間が大へん少いようですから、基本的な問題について二、三お尋ねをしたいと思います。  まず農林大臣にお聞きしたいのですが、この愛知用水並びに今度の機械開墾という二つの問題が出てきておる。このことは今後の日本の食糧増産計画、こういうものについてどういう影響を持ってくるのか、そういう立場を私ども非常に実は関心を持っておるわけなんです。これはアメリカ側が今度の借款を供与する際にも、たとえば従来の日本の食糧増産計画も検討して、そうしてやはり一番効果の上るのは畑地灌漑と機械開墾だと、こういう考え方を持ってきておるようです。おそらくとのことは、この借款を受け入れた日本政府自身としてもそういう立場をやはり半ば是認をしてかかっておられるのではないかと、こういうふうな感じもするわけなんです。そういう点についての、たとえばそれが干拓とか一般の土地改良、それよりも日本の食糧増産計画としては効率的なんだとか、そういう考え方をはっきりと打ち出してこういう仕事に取りかかっておるのかどうか。そういう基本的な問題には触れておらないので、単にこの場所だけの開発計画としてこれが出されてきておるものだと、そういうふうに理解をしていいのかどうか、その辺についての根本的な立場をまず一つ農林大臣から明らかにしてもらいたい。
  129. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御意見、私はいろいろ考え方はあると思いますけれども、わが国の現在の予算におきまして、こういうまとまったところに既定の経費で手をつけるということはねかなか困難だということで、これらのものが未着手であったと私は思うのであります。たまたまこういう経費が出て参りまするししますので、これだけのまとまったものをやることが適当であるということで、愛知用水、さらにまた北海道方面の仕事をやるようになったというふうに私は考えております。もちろん私自身の考えといたしましては、引き続き私が就任いたしましたときに、これらの仕事については相当に調査も進み、計画も進みしておったものでございまして、私もそれに検討を加えまして、この機会に他の国営開墾等も、むろん相当の規模のものもございますけれども、他のものについては従来の既定経費をもって、もしくは将来予定できる国費によってこれをやっていくことができる。これだけまとまった大事業になりますと、これに一時に国費を集中して使うということはなかなかやりにくいというふうな意味合いから、この計画を余剰農産物の資金をもってやるということにしていくのが妥当であるという考えで、これをやることに進めておるわけであります。
  130. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいまの御説明ですと、一応将来の日本の食糧増産に対する開発計画、その方式といったような大げさなことを考えておるのじゃなしに、一応ここで資金がまとまったから、これに手をつけるのだと、こういうふうな御説明のようです。しかしながら、アメリカ側がこの仕事に対して援助を与えて、その背後の基本的な考え方の中には、一般の土地改良とか干拓等よりもこれが経済的に能率がいいのだと、こういう考え方が確かにこれはひそんでおるわけです。そういう考え方自身については農林大臣、あるいはいろいろこの検討をされた農地局長等、これは考えておられると思うのですが、そういう考え方自身についてはこれはどのようにお考えでしょうか。
  131. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 畑地灌漑といえども、機械開墾といえども、これは非常に今お話しの通り、御指摘通り、効率的な仕事であるということには間違いない、それはその通りでございますけれども、今私が申し上げましたことは、それと相関連いたしまして、現在日本の国内において想定せられておりまする、計画せられておりまする仕事のうちで、こういう大きなものは、とかくいろいろなところに同効率のところがたくさんございますので、やはり小さいものから全国的にこれをいたさなければならぬ必要もございますので、どうしてもこういうものはおくれがちになるときに、こういう資金をこの点に充てることにした、こういうことで御了承を願いたいと思います。
  132. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういたしますと、私が聞いておりますことは、純技術的に聞いておるわけですね。純粋に畑地灌漑や機械開墾が一般の土地改良や干拓よりも能率的だと、この考え方が出てきておるわけなのです。しかもほかの要素を入れないで、それに対してはどのようなお考えを持っておるか。これは農林大臣と同時に経審長官からも、これは一つ重要な点でありますので、考え方を承わりたいと思います。
  133. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 畑地灌漑、機械開墾、いずれにしましてもこれらの水利に、従来水を使わずに農業をやっておりましたところに水を引いて参ることは、非常に効率的なものだ、しかもそれについて従来日本農業はあまり考えていないのじゃないかというようなことの意見が、海外にもそういう示唆のあったことは事実だそうであります。私はこれは確かに一つの考え方だと思うのであります。しかし御承知の通り、わが国の食糧生産の面から参りまして、こういうふうな考え方がいつまでどういうふうにいくかというようなことについては、やっぱり考えさせられるものがあるのじゃなかろうか。常に一貫してこれでなければいけないというようなものはなかなかないのじゃないか。これは人によっていろいろ意見が違うかもしれませんが、私自身はそういう気持がするのであって、これは実際その考え方が間違いだというようなことは考えませんけれども、この考え方でなければいけないといって絶対にそれを取り上げるべきだということにはならないのじゃないかという気持がいたします。  そこで私は先ほども申し上げましたように、従来大規模な国営開墾を相当大きくやっておりますけれども、今回の愛知用水のようなこういう超大規模のものになりますと、なかなか現在のわが国の財政規模におきましては、必要と認めておっても取り上げるときがなかった。たまたま今回の機会を得た。そこでこの資金をこの方面に重点的に回すことにより、他の一般の国内のものはわが国の国費をもって既定の方針通りやるということがいいのじゃないかということでやるということに考えておるわけでございます。
  134. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいま農林大臣お答えいたしました通りでございますが、大体日本の食糧増産をするという道につきましては、従前日本でやっておりました方針でやりますというと、各地方々々に荒廃地があるとか、あるいは小規模のものでもこれを実行に移していこうじゃないか、との方針で一つの方針を立てておったのでございますが、ここに愛知用水、あるいは北海道における機械開墾をやるというふうなことになれば、相当大規模の機械を要し、大規模の技術を要し、かつ大規模の資本を要するとこういうことで容易に着手することが困難な事情であったのでありますが、ちょうどとの機会においてある程度の外資も入り、また余剰農産物の金も回せる、こういうことでこれから着手していこうじゃないか、こういうことでございまして、どちらが食糧増産上いいかと、こういうことになりますと、これはどちらも必要だと私は存じておりますが、ただ規模が大きいだけで今日まで急に着手できなかった。それが今日こういうチャンスをもって着手ができると、こういうふうに考えておる次第でございます。
  135. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとこの際お諮りしておきますが、先ほど亀田委員から、本日は三大臣の出席が非常におくれたので、きょう一日でやれないのじゃないかという御意見でございましたが、できるだけ進めていきたいと思います。なお大蔵大臣は衆議院の本会議の関係があって三、四十分しか本日はこちらにおれないそうでございますから、できるだけ大蔵大臣に関係のある質問を先にお願いしたいという政府側からの連絡でございますから、それだけ申しておきます。
  136. 亀田得治

    ○亀田得治君 それじゃ大蔵大臣にまず聞きますが、農林大臣並びに経審長官も、結論としては従来のいろいろな土地改良と今度の問題と並行させてやっていくと、そういう結論のようです。効率等の技術的な問題は一応別個にして、そういう考え方が一応明確に言われたわけですが、そうなりますと、さらに問題は資金の点ですね。従来一般にやられてきた土地改良等に対する資金の面、この点がやはり非常に気になるわけなんです。たとえば愛知用水の資金計画を見ますると、世界銀行からのものは全体の資金からいったらほんのわずかです。実際はほかの資金が多いわけですね。ところが余剰農産物等が今後五カ年間今のような形でいくかどうか、これもわからないわけですね。これは政権が変ればなおわからないかもしれない。そういうふうな要素を含んでおりますし、それから一般会計からもこの円資金の中に非常にたくさん出ておるわけですね。  われわれが心配するのはそこなんであります。愛知用水に手をつければ、これは一つの大きね計画ですから、どうしたって進めなければならないでしょう。ところが今申し上げたような余剰農産物等の関係がどうなるか、まあ来年ぐらいまでは農林大臣としても断言はできるかもしれんが、その後はわからないわけですね、確実なことをいえば。そういう場合にそれではその穴埋めをどこからするかといえば、これは一般会計しかないわけでしょう。それほど一般会計に余裕があるともだれも考えない。そうすれば当然そういう——これは一例ですが、当然今までやられてきた全国のいろいろな土地改良、こういう問題に響いてくるんじゃないか。これが愛知用水なり機械開墾の関係地以外では非常に心配しておる点なんです。そういう点について、それは大丈夫やりますというふうにお答えになるかもしれませんが、これはいかなる方法でそういう点の保証等をわれわれに対してできるのか。大蔵大臣並びに経審長官からお答え願いたいと思う。大蔵大臣お急ぎのようだったら大蔵大臣から特に詳しく考えを聞かしてほしい。
  137. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 余剰農産物の金、その他外資が来なかった場合において今日計画されておる大きな食糧増産の計画がどうなるか、資金的関係はどうかという御質問でありますが、これは実はこういう計画をやる場合、余剰農産物もありましたし、世銀の融資もある、こういうものを同時に持っておるが、本来からいうと私は国内の円資金の問題でありますから、国内の円資金として国内で調達すべき筋合いのものと私は考えておるわけであります。  問題はどうして調達するかということでありますが、今後の国内の円資金の使用方法でありますが、これは従来は非常に資本の蓄積も乏しかった関係もありまして、同時にこれを重点的にやらざるを得ない、重点的にやっております。今後は私はやはり重点的な資金の使い方は依然として継続していかなければならないが、他面資本の蓄積が従来から比べてずっと増加するだろうというふうにも考える、そこで資本の力が増加する。国内の円資金をどういうふうに重点的に持ってゆくかといえば、今後はやはり食糧増産ということが最も有利な、最も優先されて使わるべき方向になってくるだろう。言いかえればそういうふうな転換が今後私は行われてくる。たとえば電源開発、電源開発も今後やはり考えていかなくてはならんと思いますが、電源開発については今年なんかが非常にピークになって、三十年度がピークになるのでありますが、三十一年度以降、これは経審長官も意見があるかもしれんが、私は徐々にそんなに従来のようにやらなくてもいいんじゃないかというような気持も、これはあるいは電力自体をとることがどうかもしれませんが、少くとも食糧増産に資金を回してゆくというふうな考え方をいたしておりますので、十分、たとえば愛知用水について三百億ないし四百億の金、これも三十年度、三十一年度、おそらく余剰農産物の金も入ってくる。こういうふうに考えてみると、あとの残りについて資金の調達が多少困る。どこに持ってゆくかという点にあるんですが、これを優先的に考えてゆくとすれば、まあ心配はなくていけるということが御了承願えるんじゃないかと思っておるわけであります。
  138. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいま大蔵大臣がお答えいたしましたごとく、六カ年計画におきましても食糧の増産ということは、輸入を防遏するという上におきまして、国際収支の改善におきましても、絶対に必要なことでありますから、これは重点を置いていきたいと、こう存じてありまするが、不幸にして三十年度は一兆億の予算に限定されまして、その方面の予算は約三百五十億近くしかなかった。こういうわけでございますが、それが今度愛知用水、余剰農産物ができました結果、三十億ふえたわけであります。来年度三十一年度におきましては大体六百八十億、これはもちろん愛知用水も入れておりますが、それだけの予算を計上いたしたいと、こういう現在の状態であるわけであります。三十年度が三百五十億に対し、三十一年度は非常に急速にふえまして六百八十億という金をもっていきたい、こういう考えでございます。従いまして来年度かりに余剰農産物が入らぬということになりましても、どうしてもこれは国内資金でその計画した事業をやっていきたいと思っておりまするが、幸いに余剰農産物の話がつきますれば、その運営につきましては、資金の配分につきましては、非常に容易になってくるという考えでございますから、これはやはり来年度もできますれば余剰農産物等によってただいませっかく考慮中でございます。
  139. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今農林大臣も、その点がこのたびの特殊地域開発をするかせぬかという私は根本問題であろうと思う。全国の食糧増産の計画をいたしておる土地改良等にしわ寄せをする時期が来るのじゃないかということが一番心配なんで、その点農林大臣も、これは別である。経審長官も大蔵大臣も食糧増産を重点的にやると言われるが、どうもそれだけではまだほんとうにそれを信じてしまうというわけにいかない。何かここに、あるいは閣議決定をしてもどうだろうと思うのだが、何かほかにこれをしっかり今の内閣としての全力を尽した意味において表現をする私は方法があるのじゃないかとこう思う。この点を第一に質問いたします。  それからなお、そういう気運を持つということは、実際経審長官は三十一年度の食糧増産の六百八十億に愛知用水も入るというので、簡単に申されましたが、私はこれは私の考えは、当時この六百八十億は入れておられなかったのじゃないか、途中でこういう問題が生じたために、六百八十億の中に入っておるというようなことに私は答弁せられたのではないかと、そこまで疑うのです。そうすると三十年度には御承知のように三百五十億で、百億の融資とその他補助金とか何とかで二百五十億出される。そうすると六百八十億は、これは愛知用水の部分に対しては融資の形が幾ら入っておるか、その他が幾ら入っておるかということも、経審長官お答えになっていただきたい。
  140. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいまこちらで六百八十億をどの部分からどうするかという、こういうふうなことはただいま持っておりませんですが、大体食糧増産に六百八十億円を使うと、こういう予定でございます。
  141. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それで私はおそらくそのことがお答えできぬのじゃないかと思うのです。そういうことで私は非常に疑っておる、非常に疑っておる。まだ納得ができない。で、一つこれは大蔵大臣か経審長官か、何かの方法でそれを信じさすべき、国民に土地改良にしわ寄せをしないという方針を信じさすべき何かの表現をする方法はないのですか。
  142. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお、それにお答えなさるときにちょっと私からもついでに聞いておきますが、ただいま経審長官の言われました三十一年度六百八十億というものは、大蔵大臣はこれは御了承になっているわけですか。
  143. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) まあ経審でお考えになっておりますので、私の方はなお今日は検討いたしておるところと思います。まだ決定をしておるわけではありません。
  144. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そういう状態であるのだからわれわれ国民は信ずることができないのです。三長官がおのおの土地改良に将来しわ寄せしない方針であると申されましても、われわれ信ずることができない。だから一つ何か閣議の決定で世の中に発表するとか、何かの方法をお講じになることができ得るだろうと思う、そのくらいの御決心ならば、この点一つお伺いいたします。
  145. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 六百八十億の点は、これはまだ十分な検討を加えていないというだけでありまして、できるだけ検討を加えて、まあ資金的に協力していきたいと思っているが、まだきまっていないような状態であります。
  146. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今の経審長官も大蔵大臣も御答弁にならないのです。私の質問に対して非常にあいまいで、われわれはまだ疑いを濃くしただけなのです。だから、三長官の意思は同じなんだから、何かの方法で国民に将来しわ寄せしないのだということを表現する私は方法があるだろうと思う。
  147. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私は機会があるたびに申し上げました。既定の、今重政委員お話しになっておりまする国内の土地改良が、この愛知用水の実施上、外資の導入、もしくは余剰農産物の資金等がなくなった際に影響を受けて事業の遂行に支障を来たすようなことはないかということをたびたびおっしゃるが、これは絶対に私ありません。こうお答えを申し上げておりまするゆえんのものは、現在着手いたしておりまするものだけならば、これを完成することは私は大して困難と思っておりません。しからば新規事業をこれからどういうふうにやっていくか、どういうふうにして増産計画を立てていくかということにつきましては、かって食糧増産五カ年計画を樹立したこともあります。しかし、これは御承知の通り農林省の案であって、これは実施されなかったというようなことで、従来わが政府の方においても今度六カ年計画を作った、その六カ年計画の裏づけがないじゃないか、いろいろ心配だと、こうおっしゃることもごもっともでございますが、私の考えといたしましては、今着手しておりまするものをこれを完成し、あわせて愛知用水その他機械開墾をここで実施いたしまして、これが明後年余剰農産物の資金が入らぬ、世銀の金はどうなるということのために、これらの経費に事欠くというようなことは絶対にないということを申し上げることは、これは私は政府としてできると思うのであります。ただそれより進んで、いろいろ経審で案をお立てになりました六カ年計画、これにつきましては、なお今案の審議中でございまして、計画中でございまして、これについては一応御説明は申し上げましたけれども、資金の裏づけ等についてはまだ未決定の分があるということに御了承置きいただきたいと思うのであります。
  148. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今農林大臣の御答弁を承わったのですが、今までいろいろ承わった御回答とはちょっと変ったように私は受け取れた。新規事業を場合によったら停止して愛知用水を施行するというような場合もあるかもわからぬように私は受け取った。こういうことになると、また議論が非常に問題になってくる。今、亀田委員からも最初にあったように、全国から、非常に土地改良に対しては希望がある。ただこれは集団的な大面積ではないが、いわゆる経済効果の点から言ったら、愛知用水一つやるよりも劣らない効果がある。その点の検討もおそらくしていないだろう。そうすると、そういうふうに解釈するということになると、余剰農産物の売り上げの資金を従来国民一般が希求しておる。そういう事業にお向けになれば一番いい。あえて特定の地域の開発をここで始めなくてもいいと私は解釈するのです。あくまでも特定地域の開発がそういう借款とか、余剰農産物等の機会があるために始まった、これは納得できる。その本旨はわれわれは少くとも同意できる。だけれどもが、一般の事業に将来しわ寄せを及ぼすという憂いがあるというならば、今そんなものをやらないでもいい。一般の事業に資金を振り向ければいい。こういう結論になるだろうと思います。その点は今私が申し上げましたような意味でおやりになっておるかどうかということを聞きたい。
  149. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 新規事業のことでございますが、御承知の通り年度も実は新規事業をやっておられるのであります。これは今農林省が事業を施行しておりまする土地改良、府県その他でやっております事業が非常に多くなっておることは御承知の通りであります。そこで私としましては、今年度から少くとも従来着手しております事業場につきまして、今後さしあたり三カ年を一期とみまして、三カ年間効率的に重点的に工事の完成を急がしていきたい。さらに次に、できれば三カ年くらいを限って地元の協力を願い、ぜひ完成年次を早めていくようにしていきたいということで、従来のように全国に一律とは申しませんけれども、ばらまく主義はやめまして、今年からそういうふうに効率的に事業場に力をつけていくということにして早く完成するようにしていきたいと考える一面、新視の事業も若干始めるつもりでございます。そういうことでやって参りまして、今やっておりまする場所についても相当広汎にわたっておることは御承知の通りであります。しからば、これらの事業を完成して、そうして新たに新規事業をということになりますと、むろんたくさんございます。ございますが、今私が申し上げました通り、これらの今手をつけておりまする事業場をなるべく早く完成するということは一番大事なことである。新規な事業はむろんやらぬとは申しません。やるつもりでおりますが、新規の事業よりもこれらの完成に重点を置くことが必要だと思います。今、重政さんもおっしゃるように、愛知用水をやるからほかの事業をやらないで、今の事業をやるけれども、新規事業については考えないのか、決して考えないわけではありません。先ほど申しますことは、万万一そういう事態があっても、今の事業が途中でだめになるとか、この事業を年次を繰り上げるというようなことをしなくても、一方においてだんだん事業は完成していきますから、現在の予算の範囲内においても相当やっていける。さらに私が先般来申し上げます通り、今年よりは来年はさらに土地改良については相当に金額もふやすような考えでやりたい。それから、かたがた余剰農産物の資金にしましても、明年度は相当に増額をしていくように考えていきたいというふうにいたしておりますので、今御指摘になっておりますように、だめになったらどうするか、借りられなくなったらどうするか、これが非常にしわ寄せされることになりはしないかという御懸念でありますけれども、土地改良、食糧増産の必要は、先ほど大蔵大臣が述べられましたように、これは政治の上においてどなたも御異存ないところだと思うのであります。この資金がだめになれば、他から当然補てんすべきものを補てんしてこの事業を遂行するととは、どなたが政局を担当なさっても、当然私は考えて実行いたすものと私は期待いたしております。そういうことでございますから、この愛知用水について、この機会にこれを着手しこれを運行して参りますことが、今想像されます資金に支障が起っても、それによって他の方面に影響を及ぼすというようなことはないのではなかろうか。これはわれわれが政府をやっておるとおらぬとにかかわらず、どなたがおやりになっても、わが国の現状において食糧増産に必要な最小限度のものはかなり予算化せられるということは、私は信じて疑わないものであります。そういう意味から申しまして、この点について、この事業を着手するということが将来他の事業に影響をするとかしわ寄せするとかいうような事態になろうとは考えていないのでございます。
  150. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 大体、大蔵大臣、経企長官、農林大臣も私の考えと変りはないと認めるのであります。この六百八十億の分析はいたしませんが、そこまではいたしませんが、最初から幾度も申し上げましたように、何かもう少し国民にそういう三大臣の意思を徹底さす方法はないものですか。経企長官どう考えるか、一つお答えを願います。
  151. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 大体ただいま河野農林大臣お答えいたしました通り、食糧増産ということについては何ものも異論はないのでありますし、企画庁といたしますれば、六カ年間に食糧の増産すべき数量とまたこれに要する資金につきましては大体の目安をつけておるわけであります。それで、来年度、再来年度につきましても、大体三十一年度、三十二年度ではこれだけの資金を使いたいということで予算をつけておるわけごでざいますから、これが新しく愛知用水のために、そのほか農地開墾に着手いたしました結果、その方の資金繰りのつかないために全体の食糧増産計画を阻害する、しわ寄せするということは万ないようにいたしますということを、ここに農林大臣なり大蔵大臣がこれを認めましたならば、これは私は国民に対するりっぱな表現だと存ずるわけであります。
  152. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 実際こうしっこく私が申し上げるのは、経企長官が来年度の六百八十億に愛知用水も入れておるとおっしゃったから、ますます何を言われるかもわからない。途中でお変えになった、これは従来の経過からはっきりしておる。で、まあこういうことを申し上げたので、一つ表現の方法をお考えいただくことを提案いたしたのでありますが、何らの御返答もないのだが、私の質問はこれでやめますから、どうか一つ、三大臣そろって予算委員会においても大体今のような御答弁を三大臣別々になさったのだが、この点一つ間違いないように、農林大臣の所管であるから一つお願い申し上げておきます。
  153. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) だんだんの御要望よく了承いたしましたし、大蔵大臣も経企長官もお聞きの通りでありますから、明日閣議におきましてこの問題についてとくと相談をいたしまして、それをもって私からなり総理大臣からなり改めてお答えすることにいたしたいと思います。
  154. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 大蔵大臣はさっきから衆議院の本会議の関係で呼びに来ておりますが、帰ってもらってよろしゅうございますか。
  155. 森八三一

    ○森八三一君 今の問題、実は私は聞いておりまして、非常に奇異に感ずるのであります。と申しますのは、余剰農産物受け入れに関するあの審議のときに、六百八十億のこともしばしば問題になりまして、今、重政委員からのことも問題になって、それで最後に政府の見解を明確に御答弁をいただきたいということで、一日、日を送りまして、これは経企長官もはっきり御存じのはずであります。政府の見解をまとめて翌日の委員会にはっきり文書で書いてお話になりましたので、今さらそれがぼやけてきて、これからまた農林大臣お話の、あしたの閣議なんというじゃ、われわれはあの余剰農産物の受け入れに関する重大な関連がありますので、はっきりせしめようと思っておるのに、あのときは、うそをおっしゃったのですか、ということになってしまうのです。これは大蔵大臣とか何大臣じゃない、政府の見解をはっきりして御答弁をいただきたい。外務大臣が副総理という資格でおいでになりまして、よろしゅうございますというので、はっきりこれはなさって、翌日は経企長官が文書で書いたものをお持ちになって御発表になったのじゃありませんか、政府の見解を。それには重政委員の疑問とされておることをきわめて明確に御答弁になったので、その際につけ加えて、余剰農産物のことについてはまだ決定しておりませんが、もし来年国内の生産との関係において、余剰農産物を受け入れることができぬということがあっても、一旦やりかけたこの仕事を途中でやめることは断じてありません、そのために食糧増産計画に影響を持たせるということは断じてございませんということを、少くとも現政府としては方針を明らかにせられたのです。それがぐらついて、もう一ぺん閣議でということになると、どうもわれわれは審議することについて非常に疑問を持ちますが、経企長官、その点はどうなんですか。あれは政府の見解を、私は速記録を見ればわかりますが、おっしゃったと思いますが、そうじゃなかったのでしょうか。
  156. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問はその通りでございます。これは間違いありません。
  157. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいま森委員から御指摘になった点、非常に私はやっぱりこういう法案審議については重要だと思うのです。私ども検討すべき大きな問題がたくさんあるのです。だから明日農林大臣が閣議にもう一度そういう点を相談してみると、そうして何か改めて書いたものでも持ってくるというような意味のことをちょっとおっしゃったのですが、もしそういうことなら、やはり明日至急閣議をやってもらって、明確にしてもらって、新たに明確になったものを基礎にして私どもはやはり審議したい。農林大臣先ほどからなかなかうまく、大蔵大臣、経企長官の困っておるところを答弁されていますけれども、よく考えてみると内容は何もない。ただ言葉巧みにうまくこうやっておるだけで、やはりその数字的に問題になった点を明確にして私ども質疑をしたいと思います。
  158. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私が申し上げましたのは、先般政府の方針を経企長官から申し上げたことと、今重政委員のおっしゃったのは、内閣が代っても、もしそういう事態が起ってもどうなるかということを安心のいくような、そういう方法はないか、こういうことでございましたから、私は重政さんのおっしゃるのは、露骨に申せば総理大臣でも出て答弁をするということがいいのか、ないしはまた閣議の決定をして持ってきた方がいいかということのために申し上げたのでございまして、先般読み上げたものは、この余剰農産物の審議の際に問題になりましたのは、その年次計画についていろいろお話がありました際に、その年次計画についての裏づけのお話をここで申し上げたのでございます。でございますから、その年次計画の裏づけについて、さらにそれを明確にするために、今のような措置をとる必要があるということを軍政さんがおっしゃったと思いましたので、そう申し上げたのでございまして、今経企長官がお答え申し上げました通りに、森さんのお話の点はあれが違っているということを私は申すのじゃないのですから、あの通りでよろしいということならば、それはその通りで、ここに大蔵大臣と経企長官がおられますから、両大臣からお認めになっているのですから、私は御了承いただけばけっこうです。しいて私は押すのじゃないのですから、その点を御了承願いたい。
  159. 亀田得治

    ○亀田得治君 それで今の大蔵大臣の方はきまっているのですか。
  160. 江田三郎

    委員長江田三郎君) きまっておりません。そこで大蔵大臣の方は、先ほどから呼びにみえておりますが、高碕長官の言われた三十一年度六百八十億というものが、愛知公団の金を含んでいるか含んでいないかということも問題でございますが、含んでいない六百八十億でも、大蔵大臣の先ほどの答弁ではなお検討をするということなんでありまして、これを保証するということではありません。従って問題は一向にまだ片がつきませんが、衆議院の関係で大蔵大臣を呼びにみえておりますから、大蔵大臣はまたもう一ぺんよく意見をまとめられて当委員会へおみえでございますか。
  161. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 委員会には何回でも参ります。
  162. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 意見をまとめずに何べん来られても、同じことなんですが……。  それでは、なおそういう点につきまして、ただいまの資金計画の問題については、政府の方でもよく相談をされて、改めて大蔵大臣に来ていただくということで、大蔵大臣だけは一応帰っていただきます。
  163. 清澤俊英

    清澤俊英君 六百九十億というふうにおっしゃったのです、あのときはそれにプラス・アルファ、十億がついているのですよ。愛知の方も十億ついているのですよ、本年。来年はそれは約束せられたと私は聞いたのですよ。これは、はっきり出ているのです、この今年度に減らした分の十億をプラス・アルファで出しますと。
  164. 江田三郎

    委員長江田三郎君) さような清澤委員のおっしゃるようなことにつきましては、いずれ次の委員会では当日の速記録も持ち出しましてはっきりさしたいと思いますから、今の資金計画以外の問題について両大臣に御質疑ございましたら、御質疑を願います。
  165. 東隆

    ○東隆君 河野農林大臣は今度アメリカに行かれるようでありますが、これは前の吉田さんですと、なかなかはっきり断言をされませんでしたが、どうですか、参りますか。
  166. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 参ります。
  167. 東隆

    ○東隆君 河野さんはアメリカに行かれるそうでありますが、私は今回の余剰農産物の受け入れは、あれは政府がもし食糧増産ということにほんとうに眞意があるならば、私はもっと違った計画がなされていると、こう考えます。そういうようなことで、私は政府に食糧増産についての考え方が欠けておったと思う。そのような関係で、ことにあの余剰農産物の種類等は、私どもとしては、食糧増産には実に害毒を流すようなそういうような種類のものが非常に多かった。そこでアメリカに行かれてまた同じような種類のものを、余剰農産物として受け入れられることに奔走をされては、これは大変なことになる。その辺をどういうお考えでおいでになりますのか、お伺いします。
  168. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 政府におきましては、数日来、明年度の余剰農産物の受け入れにつきまして、いろいろ各省間におきまして今会議を開いて、必要の物資、数量等について研究中であります。その検討の結果必要なものを、基本的にアメリカ政府との間に談合いたしまして、そうしてこれを取りまとめるということになっておるわけでございます。経企長官の方からお答えして頂きます。
  169. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは実は本日からぼつぼつ折衝に入っておるわけであります。それで、まずいろいろ問題になりますが、米を持ってくるということはこれは断わる。将来貿易関係もありますから、種類につきまして、少しく種類を増しまして、トウモロコシといったような方面とか、家畜の飼料になるようなものを持ってくるわけであります。なおこの受け入れました資金の用途につきましては、これは小さな点については相談をする必要はありませんが、大ワクについては一応相談する必要がありますから、大体今年は数量はあるいは去年よりも減るかもしれませんが、これの資金の用途については、少くとも半額くらいは、この農産物を受け入れることによって犠牲を受けるのは農民であるから、この農産物の増産、農業関係に直接または間接に寄与する方面に使うということについての了解を得たい、こういうような主なる点について今話し合いを進めております。
  170. 東隆

    ○東隆君 私は、米をやめられて、そして飼料としてトウモロコシを入れられる、これは非常にいいと思いますが、私は余剰農産物そのものについては反対なんですけれども、しかし、もしそれをおやりになるとするならば、その考え方にお進みに触るのは大へんいいと思うのですが、それに私は大豆を加えるべきだと思います。そこで私は、この前も余剰農産物関係の審議の際に一応農林省の方では案を出されておるわけであります。従って、この案に従ってこの余剰農産物によるところの資金はこれは当然まだきまっておりませんが、政府はこれを不確定のものとして、あの当時は国の資金を投入するまでもなく一応出されておるわけであります。従って、両方総合いたしますると、当然来年度に必要とする開発に関する金額というものはほぼ想定がつくと思います。従って、世銀と、それからこの余剰農産物によるところの資金と、こう合せて私はほぼ推定がつくと思うのですが、その世銀と余剰農産物関係の割合はどういうふうになるか、その方面のことについてはおわかりになりませんか。
  171. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 世銀から借りるということにつきましては、これは本年度きりのものでございまして、来年度は考えておりません。そういうわけでございまして、それからまた先ほどお話の大豆というようなものにつきましては、これは非常に考慮する必要があると思います。余剰農産物の中には大豆も入っておりませんけれども、これを入れてくれないかというふうなことをこっちから申し込んでおります。そういう次第でございます。
  172. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと高碕長官のお答えには、世銀は来年から入っていないということでございましたが、この資金計画の三十年、三十一年、三十二年、三十三年、ずっと世銀関係が出ているのですが、これはどういう意味でおっしゃっているのですか。
  173. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 世銀の方は、大体愛知用水について一千万ドル、それから機械関係の方についてはトータル・アマウントで大体話を今つけておるわけですから、それのプラスは話はしないというふうに考えます。
  174. 戸叶武

    戸叶武君 大蔵大臣がおるときに質問したかったのですが、きよう大蔵大臣も農林大臣も一致して、この食糧増産ということは重大であって、土地改良というものに重点を置くようなお話でしたが、それほど重大で重点を置くものを、どうして一兆円のワクからはずしてしまって、そうしてこの外国からの資金によってまかなわなければならないような施策を今の政府はとっているか、その一点を聞きたい。  それから次にもう一つは、何かこの日本の国民経済の上において、特に経済自立態勢を作る上において、食糧増産というものはきわめて重大であり、しかもその中において土地改良というものが骨格をなす。そういう問題に対して、この余剰農産物関係から資金をいただいてゆくというやり方によって、この余剰農産物の受け入れというものを恒久化させるための手段に使われているような印象があるのだが、そういう心配はないか。  第三点、河野農林大臣の言動を新聞等で見ると、すでに来年度はもう余剰農産物を受け入れなければならないように、またそのためにアメリカとも打ち合せをするような意向で行かれるようでありますが、アメリカ自体の政府の今の施策の中において、大統領選挙その他を通じてみても、農民の動向をキャッチしなければならないというので、農産物の価格安定に奔走したり、特にこの農村における大きな勢力を握っているところの小麦生産者のための処置というものに非常に苦しんでおります。それから見ると、勢力の弱い酪農関係は幾らか第二義的に取扱われているので、従ってアメリカ酪農の中心問題として生産物の価格の暴落が起きて、アメリカにおける農業恐慌は酪農の世界から起きて、それが日本にもダンピングになって、日本の酪農の立ち上りを阻止するような傾向がある。こういうふうにアメリカの必要からきている要請というものを、明らかに日本に押しつけてきているのではないかというような印象が強いのですが故にこの経済自立の上において、食糧増産、土地改良が重要であるということがわかっていながら、一兆円のワークを口実として、そのワク外にはじき出して、愛知用水のごときもこういう方法をとらなければならないか。河野農林大臣の話の一方においては、必ずしもこういう方法によらなくても、やるべきものはやらなければならないというような信念も御披瀝のようですがその点をはっきり河野さんから承わっておきます。
  175. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御承知の通りに現在の経済情勢におきまして、一兆の予算を組むということのよしあしにつきましてはいろいろ御意見もございましょうが、われわれは一兆の予算を組んで経済政策の基礎を固めていきたいということのために一兆円の予算を組んだことは、御了解願いたいと思うのでございます。そういうことでございますので、このワク内におさめるとすれば、その結果から現在の予算を組まざるを得ないということになってくるということについても結果的に一応事情を御了承頂きたいと思うのでございます。これらについてはいろいろ御意見もございましょうが政府の方針としてそう思っておるわけでございます。そこで私としましては、一兆の予算は永久に一兆の予算でゆくのではない。明年度は拡大均衡の予算をとってゆくのだということを了承いたしておりますので、今年はまず土地改良は一応必要やむを得ざる最小限度の経費にとどめまして、そうして明年以後に拡大均衡の予算を組む場合にこれらを追い付くようにしていっても間に合うのではなかろうかというので、今回の予算の編成に同意をして参ったわけでございます。そこで、しからばそれほど重要な土地改良ならば、これを余剰農産物もしくは世界銀行の資金によらずして、これを国費によって、一般経費によってやったらどうかということでございますが、これは現在の状態においてむろん全体をまかなうものでございますので、この負担を後年度に譲ってやるということが必ずしも私は間違ったことではない。たとえば、かつて公債政策によってこれらの事業を行い、そうして順次公債の返還をしたということと同様な意味において、これを四十ヵ年の長期にわたって、これを農民負担に依頼し、または国家の負担によってこれを返済するということによって、この膨大な経費を短期間負担していくには、この方法が一番妥当であろうということでいたしたのだと思うのであります。  で、第三番目に、こういうことにして、やっぱり余剰農産物を永久化することになるのじゃないか、ないしはアメリカの小麦政策その他農業政策がわが国に非常にこういうように影響するということは困るじゃいかということでございますが、これは私はあまり自己の意見にとらわれるようでございますが、余剰農産物、余剰農産物と申しますけれども、これはアメリカの場合には余剰でございますけれどもわが国で考えました場合にはむろん余剰農産物ではないのでありまして、必要なものを買うのでございます。国内で要らぬものをアメリカに義理立てて買ってくるのでは決してないのでありまして、もしこちらの希望しないもの、もしくは高いもの、悪いものという場合には、それをしも忍んで土地改良のためにこれを買わなければならないということは決して考えていないのでありまして、少くとも今年度の交渉に当りましても、われわれの予期するところの価格で、そうして予期するところの必要な品物が買えるならば買うということで、どこまでもわが国の必要度においてこの資金は得るのであるというふうなことで考えていくつもりでございまして、アメリカで余っておろうがおるまいが、結局わが方として入り用なものを納得のできる価格で入れてくるということでやって参るつもりでございますのでこれはそういうことに御了承をいただきたいと思うのでございます。
  176. 戸叶武

    戸叶武君 ここで議論をしようとは思いませんがとにかく国民経済再建の中における自立経済は、食糧増産に重点を置かなければならないということは敗戦国の政治家はだれでも考えることで、第一次欧州大戦後におけるフォン・ゼークトのドイツ再建に対する論策もそれが重点であったと思いますが、吉田内閣すらもやはり食糧増産というものに重点を相当置いたと思います。しかし河野農林大臣が大臣になられて以来、土地改良というものに対して非常に大した役割を果さなかったというような言動も発せられております。今までにおける土地改良というものが、たしかに河野さんの指摘する一面のように、ずいぶん不正事件も行われ、地方のボスの食い物になったりして、当初の成果をあげ得なかった面もありますけれども、それはそれとして引き締めて、やはり用水関係なり土地改良というものが食糧増産に一番重要だ思うのです。そういう問題をこの一兆億の予算の中軸に盛らないで、外にはじき出していくようなやり方というものは私どもは実は納得いかない。それに対して河野さんは明年度から拡大均衡という形で、というふうに逃げておりますが、この拡大均衡を当然やる場合におきましては、こういう余剰農産物などにばかり頼らないでその本予算の中へ取り入れていくかどうかということをお聞きしたいことと余剰農産物によっての円資金というものは、もっと食糧の問題ばかりでなく、ほかの問題に使っていいので、日本の自立経済の骨格をなす問題が、いつでも外国の操作によってどうでも動くような形によってなされるということは、私はとられないところじゃないかと思うのでその点河野さんにお聞きしておきたい。
  177. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 先ほど来経企長官その他からお答えがありましたように、この余剰農産物の受け入れによって起るところの円資金は非常に膨大なものがありますので、この膨大な経費を要する愛知用水に手をつけることができた。それでなければ、全国に中小の非常に多くの要求するものがございますので、だんだんこういうまとまったものはどうしてもあと回しになるということは御了解願えると思うのであります。でこれは決して現在も今度やるのは愛地用水であってほかに大して要求がないというのではないのでありまして、国内の、資金があればあるほどそれは非常にたくさんの要求がございますから、その方面に振り充てて、そうしてこういう大きなものについては、これを今申し上げますような円資金でやる、で、着手のきっかけを作るということの私はいい機会ではないかと思っておるのでございます。でございますから先ほど来お話がありました通りに、またこの資金が得られない、交渉が不調に終りました際にも、決してこれが不調に終ったために影響を及ぼしてどうだということのないように、かれこれ勘案してものを進めていくということは必要である、こう考えております。で、ただ今土地改良で一番必要なことは手のつけてあるものを早く完成するということである、国営開墾にしても、その他、県営開墾にしましても、土地改良につきましては非常に完成年度がおくれております。たくさん手をつけておりますけれども、今日まで終戦以来相当長期にわたり、相当多額の資金が投じられておりますけれども、完成したものに至っては非常に少い。ほんとうに効率を上げているものに至っては微々たるものであるというような点は、私は、はなはだ遺憾でありますので、これらを重点的に早く完成をして、早く貢献するようにしていきたいということに努力をして参りたいと思うのでございまして、従って余剰農産物によって、愛知用水、ことに機械開墾のごときは、これを試験的に行いまして、これが成功するということになりますれば全国の、機械開墾によって効率を上げる所については直ちに着手する場所がたくさん出てくると思うのでございます。これらについても特に考慮していきたい。ただいま御指摘の点よく私はわからないのではございませんけれども今私の申し上げましたように、そういう非常にたくさんのところに熱望されておるところがありまするから、これらは私は何と申しましても政治的にいろいろな要求もございます。これらを勘案いたしまして処理して参るには非常な困難もございますので、これを今申します通り一ヵ所に資金を導入するということはなかなかむずかしいことでございます。でございますから、この機会にこういうものに手をつけるということは非常にいいことではないかと、こういうふうに考えておるのでございます。
  178. 田中啓一

    ○田中啓一君 私ども愛知用水の現地視察に参りまして、現地でいろいろ説明を聞いてみますると、まあ今の水不足のために裏作ができなかったととろに水をやって裏作ができるようにするということ、従って麦と菜種ができる、それからまた畑地に水が不足で陸稲ができなかったところへ水をやって陸稲を作っていく、これはまあ非常に顕著な経済効果で、だれが目にも、もう大きな今度の効果だと思われるのでありますが、そのかわり何分にも丘陵地帯でございますので、現地で説明を聞きますと、ここは一つ牧草と畑作との輪作のような形式にしていきたいというようなふうに説明をしておられるところが非常に多いのであります。これまた私はそのような御着想はまことにけりこうで、双手を上げて賛成するのでありますが、しかしその方は実はあの愛知用水の概要というものを見ますると、経済効果の面には書いてございません。まあおそらく、だいぶむずかしいことでありますので、そういった適確を期する効果についてお取り上げになるのには、ごちゅうちょにもなり、あるいはまた農業と、それから上水道あるいは工業用水あるいは電気というようなものの費用のアロケーションの問題もございますので微妙な関係も実は生ずる、こう私は思いますが、しかし申し上げたいことは河野農林大臣御就任以来非常に畜産に御熱心でことに食糧の問題の解決についても総合的増産でいきたいということを常に口をきわめて言うておられる。これも御趣旨は賛成なんでありますが、どうも農林省のみならず各局に関連しておりまして、実は盲点になっているわけなんです。言われてはいるけれども適確に進めていくということはなかなか困難であり、ことに自給飼料の面に至りましては盲点中の盲点であると私は思う。そこでこういう際に、やはり公団の開発の総合計画の中には、はっきりお入れになって、これでどれくらいの自給飼料ができて、そうしてどれくらいの畜産の増加になるというようなことを、私はアロケーションの問題には取り上げない方がいいと思いますけれども、計画としてはどうしてもお持ちになるべきじゃないか。ことに、やがて基本計画等も御設定にならなければならぬ際でもありますし、それには、やはり関係者が全部その頭になって進んでいくというととが必要であろうと存じますので、この点の御配慮をわずらわしたいと存じますので、一つ御所見をお伺いしたいと思います。
  179. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) ごもっともな御意見でございまして、係からたびたびそういう話を聞いております。私もそれには賛成いたしておるわけであります。よく研究さしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  180. 江田三郎

    江田三郎君 ちょっと企画庁長官にお伺いしておきたいんですが、今、田中君が言われましたアロケーションの問題がありますが、このアロケーションのこまかい問題については事務当局の方から後ほど説明を聞きたいと思います。ただ、あなたの方で基本的にアロケーションの仕方についてどうお考えになっておるかということをお聞きしておきたい。それは、たまたまこういうことにぶつかったのでありまして、今後これが一つの例になって、今後起きてくるととろのアロケーションの一つの基本になると思いますから。私がお聞きしたいのは、こういう事業というものは長期にわたって効果が出てくるわけで、その際アロケーションをするのに長期の見方をしておられるかどうか。たとえばここに経済効果のときに、農業関係でいきますと、米は九千五百円という見方をしておられる。しかしながら急に農林大臣が米の相場を下げられるということはございませんけれども、しかし一体世界の米麦の相場から見て、これが償還は、十五年先になってもこういうものが保証できるかどうか。一方におきまして、水というものの価値が——まあ水の価値というものは、農業と工業という二つの関係した産業が、これからどういうように技術的に進歩していくかということによって違うと思います。たとえば、工業が非常に進歩した場合には、水に対する負担は相当まだふやしても苦痛でない。しかしながら、農業の場合は、水に対する負担をそうふやしていいほど急速な進歩は望めぬと思うのでありまして、そういうときに、一体そういう長期の見方をどういうふうにされるかということなんです。たとえば、ここで見ますと、第一、工業用水なりあるいは飲用水の問題につきましては、すでに名古屋市ほか関係何ヵ町村と話し合がついて、二十三円に決定した、こういうように出ております。そこで、これはもう一つの決定になっておりますが、そういう際にただいま私が申しましたような長期の見方からアロケーションというものをお立てになったのかどうかということをお尋ねしておきたいわけです。
  181. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) それは長期の計画から立てておりますが、現状におきましては、電力は幾らくらいに売れておるか、あるいは水道は幾らぐらいに処理されているか、あるいは工業用水はどのくらいということは、今数字がはっきりわかっておるわけです。それで、農業の方におきましては、従前、農民というものは、水を使うということにつきましては、なかなかこれに対する金を払うということについては、現状におきましてその訓練を受けておらないわけであります。従いまして、できるだけ農村の負担を少くするよう、軽くするような方法をとっていくようにアロケーションをして参りたいと思います。
  182. 江田三郎

    委員長江田三郎君) もう一ぺんお尋ねしておきますが、今簡単にそうおっしゃいますが、私ども内容をもう少し検討してみなければ、農業について特に軽く考えていいかどうかということはわかりません。たとえば農業の場合に、一体、収益の見方につきましても、基礎になるのが、統計調査の現在までの報告をもとにしますと正確なものは出て来ないのでありまして、そういう問題をどう修正していくかということも考えなければなりません。あるいは生産費について、農民の労働力、労賃というものをどういう評価をしていくかということも聞いてみなければなりません。そこで、そういうようなこまかい問題につきましては、私どもは後ほど事務当局によくただしたいと思いますが、ここに書いてあるところのアロケーションというものは、一つの確定的なもの、最終的なものとお考えになっておられますか。それとも、今後そういう問題につきましては学識経験者などを加えて再検討される一つの案にすぎない、こういうことなんでございますか。その点はどうでございますか。
  183. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 総合開発の各事業に対する費用の分担は、その基準に関する政令を昭和二十七年にきめまして、それに基いてやっておるのであります。そのときに、これは長い将来にわたる考慮というものを実際問題としてはやっておりますけれども果してこれをどういうふうに取り入れるかということについては、いろいろ問題があるのであります。経済学上可能な限りにおいてのそういう考慮は入れております。その後、農産物の見方なり、あるいは電力料金の見方等については局部的な修正を加えておりますが、大きい変化はしておりません。さように考えております。
  184. 江田三郎

    委員長江田三郎君) これはちょっとまだ、どうにもならぬので、たとえばここで工業用水はいくら飲用水はいくらというように書いてあるのです。すべて工業用水については六円五十銭ということで合議の上で決定したということが書いてある。ところが、私たちはこれに一つの疑問を持っておるわけです。というのは、だんだんと今まで地下水に依存しておった工業用水というものが、地下水というものに限度がくる。一方において工業というものは非常な長足な進歩をしていく。今後水が足らぬようになればなるほど、工業用水の価値というものは上ってくる。また工業が急速に進歩していけばいくほど工業用水の必要度というものはふえるわけなんです。そこで、そういう長期の見方ということに対して、私どもは今までの総合開発のほうのアロケーションの仕方に多少の疑義を持っておるのですが、これはさらに事務当局からこまかに伺いますが、ただここに出しておるところのアロケーションというものは、段階としては最終的なものとしてお出しになっているのか、さらに検討して妥当なととろへ落ちつかせる一つの原案としてお出しになっておるのか、その点はどうかということなんです。
  185. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは、将来私は、工業用水というものは、現在、東京においても名古屋においても、地下水を使っておりますが、これは非常に大きね問題でありまして、その土地が沈下するというふうな大きな問題があります。この意味におきまして、工業用水を地下水に求めるというととは逐次やめなければならぬ。そういうことに相なりますと、水道の用水によって工業用水をまかなうということは非常に重要なる役割をなしてくる、こう存じます。将来におきまして、その点が明らかになったときに、当然これはよく検討を加えまして、アロケーションを変えなければならぬものと考えております。
  186. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 将来においてお変えになるのはいいですが、今一応これで農家負担というものはきまってくるわけです。年々何ほど償還するかということがきまってくるじゃないかと思うのですが、もうここへ出しておるものを最終的なものとお考えになっておるのか、あるいは公団が発足して、それと並行いたしまして、さらに関係者なり学識経験者なりを加えててこれらについても十分に検討を加え、必要によっては修正を加えていかれる、こういうことなのか、どちらかということをお尋ねしておるわけです。
  187. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 戦前の建設のものと戦後の建設のものによりまして、水道水は非常に違うわけであります。今度とったのは、戦後の物価騰貴した建設費の高いその他の地区の例をとって、大体二十円か二十五円でありますので、その中間をとっておる、こういうことでおります。
  188. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 今御指摘いただきました資料として提出してありますものは、計画を立てまする計算の基礎として取ったものでございまして、それを最終的に決定して、そしてそれぞれの負担を決定いたします場合には、あらためてよく調査検討を加えまして、最終的に決定をいたすことにいたしておる次第でございます。
  189. 江田三郎

    委員長江田三郎君) まだいろいろどうせ質問があるのでございますが、だいぶ時間がたちましたから、先ほど今後の資金問題につきまして、閣議でございますすが、何でございますか、適当な措置をとられて、先般の余剰農産物のときに経企長官がお答えになりました速記録に反し安い答弁をさらに関係閣僚でまとめていただきまして、明日そのお答えを聞きまして、そのときに、もう少し関係大臣について基本的な審議をいたすことにいたしまして、本日はこれで散会いたします。    午後五時三十分散会      —————・—————