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1955-07-22 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十二日(金曜日)    午後二時三十一分開会     —————————————    委員の異動 本日委員野溝勝君辞任につきその補欠 として森崎隆君を議長において指名し た。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長            江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            田中 啓一君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            亀田 得治君            清澤 俊英君            森崎  隆君            東   隆君            菊田 七平君            鈴木 強平君   政府委員    農林省農林経済    局長      大坪 藤市君    農林省蚕糸局長 塩見友之助君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林省農林経済    局農業保険課長 橘  武夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○繭糸価格安定法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題にいたします。本法律案につきましては、過般提案理由説明を聞いたのでありますが、本日はまず法律案内容、その他参考事項について説明を聞き、直ちに質疑に入ることにいたします。
  3. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案内容につきまして御説明申しあげたいと思います。本法律案内容は、主な点は二つの要項からなっておるのであります。第一は、農業共済組合総代会総会にかわりまして議決することができまする事項範囲を拡張することであります。第二は、家畜共済に関しまする改正の点であります。  第一の点でありまするが、現在農業共済組合につきましては、農業共済制度協議会がありまして、いろいろと論議をされておるのでありまするが、まず組合の地区が非常に狭小と申しまするか、区域が狭くて、組合が非常に弱体である。従って、組合維持するための経費の賦課というものがなかなかそれだけの経費ではまかなって行けない、こういう点が農業共済組合の問題の点の一つであるのであります。制度協議会におきましても、この点にかんがみまして、昨年の暮れに農業共済組合合併後の市町村区域を大体の標準といたしまして、知事がこれを決定するようにといろ中間答申をいただいておるのであります。従いましてこの中間答申の線を実施いたしますることが現在の農業共済組合を強化する上からぜひ必要であるということにいたしまして、本年の三月各府県知事合併後の市町村目途としてすみやかに合併をするようにという通達を発しまして、目下各府県合併計画進行中であるのであります。ところが合併後の市町村を土台として合併いたしました場合には、相当たくさんの、場合によりましては数千の組合員を擁するということになるのでありますが、そうなりました場合に、総会を開いておるということが、場所から考えても数千人の組合員を一カ所に集めて総会を開催するということが実際上不可能になるわけでございます。従いまして合併はしたいが合併をしてしまったら、総代会議決事項範囲が非常に限定されておりまするので、この規定改正をして総代会実質総会にかわり得るという規定改正がなければ、町村といたしまして合併進行するわけにいかぬということが各府県からの要望であるのでございます。従いましてそういうような事情からいたしまして、解散を除きまして、あるいは総代選挙というものを除きまして、ほかの一切の定款の変更あるいは事業報告収支決算、そういうものの承認は総代会において総会にかわって行い得まするように改正をいたしたい、こういうことが第一点であるのでございます。  第二点は、家畜共済に関する問題でありますが、御承知のように現在家畜共済死亡廃用共済疾病傷害共済生産共済の三本立になっておるのであります。しかしながら二十八年の十月から家畜共済臨時特例に関する法律を制定いたしまして、試験的に疾病傷害死亡廃用一緒にいたしました死廃病傷共済実施する一とに相なったのであります。現在試験的にやっておりますのは約百万頭の牛馬を試験の対象にして実施をせられておるのであります。この法律は二カ年間の時限立法でありまして、本年の十月一日をもって失効するということに相なっておるのでありますが、実験の大体の目的死亡廃用疾病傷害一緒にいたしました死廃病傷共済実施するということは、できるだけ家畜早期予防あるいは早期診療行為を行って死亡廃用に至る事故を少くする、こういう目的のために死廃病傷共済という、二本立のものを一本立にして実験いたしておったのであります。実験の結果、大体法律制定の当初考えられたように、非常に早期診療が徹底いたしました結果、実験しました組合員におきましては、死亡廃用事故が非常に少くなっておるのであります。従いまして今回時限立法でありまする死廃病傷共済特例法を廃止いたしまして、本法の中にこれを取り入れるということが目的であるのであります。もちろん実験の途上におきまして、今までの臨時特例によります死廃病傷共済は、病傷に見合う分の全額を対象といたしておりまするのと、その一部を保険対象といたしておるものと、第一種、第二種の二つ種類に分けておったのでありますが、実験の結果、組合員共済組合との関係におきましては、一種、二種の区別を廃止する。そして全部診療行為に伴うものは薬価部分人件費相当部分も全部を保険対象にする。ただ組合によりまして相当たくさんの組合自分組合の施設といたしまして家畜診療所を設け、獣医師を置きまして診療行為をやっておる組合が千八百ほどありますので、組合連合会との関係におきましては甲と乙に分けまして薬価部分だけを保険にします分と薬価のみならず技術料二つとも保険対象部分と分けまして二本立制度にする。しかし組合組合員との関係はどの組合も全部共済対象にする、こういうふうに区別をいたしたのであります。なぜそういうふうにやりましたかというと、一つ保険対象を拡張することが目的でありますが、もう一つ家畜疾病共済に入れまする場合に、どの種類をとるかを組合組合員が相談の上できめる、こういうことになっておるのでありまするが、そういたしますと、獣医師等差別待遇をするという事例が往々にしてありまして、その点が獣医師会等から差別待遇をなくするようにという強い要望があったのであります。日本獣医師会とその点につきましては再三にわたりまして協議をいたしまして、組合組合員との関係におきましては全部を保険対象にする、そうなって参りますると、農家獣医師を選ぶか共済組合診療所を選ぶかということが全く自由になって参るのでありまして、ここにえこひいきと申しますか、そういうような差別待遇が全然なくなるというシステムになるのであります。そういう意味合いにおきまして組合組合員関係は今までの二本立のものを一本立にいたしました。しかしながら組合連合会との関係は、これは第二種と申しますか、甲類乙類とこういうふうに分けるシステムを採用いたしたのであります。大体簡単でありまするが御説明申し上げます。
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御質問がありましたら……。
  5. 清澤俊英

    清澤俊英君 この前共済審議会を開きました場合に、被害調査郡単別におろすということになっておりましたか、その点はどうなりましたか。
  6. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 従前府県別調査でありましたが、本年から部別調査実施することといたしまして、三千万円ほどの予算を計上いたしまして、本年から部別調査実施するので、今実施細目統計調査部におきまして検討いたしております。
  7. 清澤俊英

    清澤俊英君 実際において郡というものはなくなっている所がありますね、町村合併によって。それで郡という考え方はある程度まで変えなければならぬが、その点はどうなんですか。
  8. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 郡という行政区画はもちろん御承知のようになくなっておりますが、従前の郡の区域いうものを対象にいたしまして調査をする、こういうふうに考えます。来年からぜひ各市町村別被害調査実施したい、かように考えております。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは定員法関係しますが、その際に、定員法等で、あなた方見てどうなんですか、これは完全に行けると思いますか。
  10. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 本年度におきましては定員は増加しないで、農地面積調査等職員を振りかえて実施するということになっております。来年から市町村別調査になりますと、そういうような振りかえがきかないということになりますので、われわれといたしましてもこれは人員の増加について要望をしなければならぬのじゃないか、かように考えております。
  11. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、今度町村合併によって、これはこの前の答申にもあるようですが、知事が大体区域を指定するその標準範囲はどれらいの農家数、あるいは面積はどれくらいとか生産数量どれくらいとかというような標準が考えられているのですか、どうですか。
  12. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) これは実際はその基準と申しますと、具体的な基準はなかなか立てにくいのでございますが、なるべく合併後の市町村をその区域としてやって参りたい。しかし地勢上でありますとか、あるいは非常に膨大なたとえば市を中心といたしまして十幾つかの町村合併しているような所もあるようでございますが、そういうような非常に膨大な区域になりますというと、これは合併後の市町村区域としてしますことは、なかなか困難ではないか、かように考えますので、その点は現地地方長官において適当に考えてもらいたい、しかしあくまでも目標は一応の基準合併後の市町村に置きたい、こういうことであります。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは確かにそういうあれがあるので、僕は聞くのだ、市町村単位というだけできめられると非常にめんどうがある、ということは、かりに長岡市が一市十六ヵ村を一緒にしたのです。その合併のまん中に約半道もある信濃川が流れている。東と西とでは生産状況水利組合、すベてのものがもう全く経済条件が違っているのです。そういう場合に、一つにするということは無理だと思うので、そういう方針なら別にあれはないと思いけれども、さらに御検討を願っておきたいと思います。その趣旨は先ほど申し述べましたから重ねて申し述べませんが、その次には総代でもってやるというのは、これは数がふえて総代ということもけっこうですが、総代を出す、この単位数はどのくらに見ておられますかということと、いま一つは、利害はおのおのの部落によって相当分れると思うので、ただ数だけからはなかなか決定しかねる総代になるだろうと思いますので、部落等を考慮する構想でも持っておられるかどうか。
  14. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 総代の数件法律では三十人以上というふうに相なっております。ただこれは総代というものが総会に代って議決をする問題でありまするから、総代の数が法律規定通り三十人くらいの少い数じゃこれはいかぬと思うのでございます。相当組合員を数千擁するような組合が、これは今後融合のでき方によりましていろいろ検討して参らなければいかぬと思いますが、総会実質上かわるような総代の数を決定すべきであるか、かように考えております。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 三十八以上ということになると、場所によりましてはまだ非常におくれた地方がある。そうすると、非常に総代を少くすれば少数だけの意図でもって運営しようとする危険性がある、これは同名について一名の総代を定めるのか、あるいはその中の各部落代表等からは、その数によってこういうふうに出すとかというようなこまかしい注意をする必要はございませんか。
  16. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) これは目下検討中でございまして、法律は一応三十人以上となっておりますが、今後相当たくさんの組合合併をいたしますというと、総代を利用することは非常に多くなると思いますので、各組合で、たとえば千人から千五百人までは何名について総代を一人とかあるいは五官名から八百名までは何人について一人というふうな割合をきめまして通知をいたしたい、その数を今検討いたしております。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 単位が違うね、千人に一人という総代だったら五人か六人……。
  18. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 千人から千五百人までの組合については何名につき一人の総代を選ぶ。もちろんこれは非常に二千名とか三千名とかいうとが予想せられるわけでありまして、三千人の場合、たとえば五人に一人ということになりますと、六百人の総代ができると、こういうようなことになりますので、組合員の数に比例いたしましてこれは増減があると思いますから、その数で割合検討しようということであります。
  19. 清澤俊英

    清澤俊英君 部落の問題はどうですか。それは組合全体ですから、それの総代選挙でやるのですか、どっちでやるのですか。
  20. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 総代総会において選挙するか、あるいは総会が開催困難の場合にはいわゆる公職選挙法に準じまして、投票管理者でありますとか投票に関する諸般の規定をきめまして、これは定款の付則できめておりますが、そのどちらかでやるわけであります。
  21. 清澤俊英

    清澤俊英君 いずれ選挙になると思いますが、その際非常に力の強い所があればそこだけ通ってしまう、こういう問題が出ると思うのです。これはどうかと言いますと、今事例をあげるようなものがないから、非常に問題もないでしょうけれども災害査定等において、もし部落的に公平でない総代が出ておりますと、いずれも紛糾の種になると思うのであります。従ってやはり部落からは相当代表がおのおの出れるような考え方を初めからしてもらうことが、私は正しい行き方じゃないかと思うのです、総会じゃないのですから。全然ある小部落のごときは一人も自分総代を出すことができない。また部落的の働きを持っておるのが現実の農村ですから、その点を十分考えてもらわないと、私は問題を残すと思う。その点どうですか。
  22. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それから今の清澤君の質問に関連して、今度の総代の定数を三十人以上でなければならないという規定があるのが末端へ行くというと三十人以上でなければならないということになっておるというと、三十人あるいはそれに近い数でいいのだという印象を与えるおそれはないか。今災害補償制度の問題がいろいろな面で問題になっているのですが、一番の問題は、この制度というものが農民全体のものになっていない、農民全体としては一体どっちへころんでいいのか何をしていいのか一向わからぬということなので、従ってこれはややもするといわゆるボス的な運営をされて、決算委員会で指摘されるようなことが起きてくる。そこで、どうしても根本問題としてこの制度というものを農民全体のものにして行かなければならぬのですが、そういうときにまあわれわれが実情を見ていると、三十人以上でなければならぬということになると、一番最小限の三十人三十五人というようなことに、組合運営をやっている人が考えやしないかということなのでありまして、そこで、こういう規定になっているが、およそどのくらいの組合についてはどのくらいというような一つ指導当局としての腹案があるのか、そういう点は一体どうなっているのかということですがね。
  23. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) ただいまの御意見まこにその通りだと思います。私どもといたしましては目下三十人以上ということになりますと、御承知のようにほうっておきますというと三十人でいいのだというようなことになりまするので、今後合併相当行われるということになりました場合に、ぜひその点は筋を立てておく必要がありますので、組合員の数に応じまして一定の基準を作りまして、どれだけの組合員を擁している共済組合は何名以上、それからその選挙の方法については部落等関係もありますので、それらの点をよく調査いたしましてすみやかに通達をいたしたいと、かように考えます。
  24. 江田三郎

    委員長江田三郎君) もう一ぺん聞きますが、どのくらいの組合については何名という基準を作るというとはよろしいが、その際一体一人の総代というものはどのくらいの組合員代表すべきものだと基本的にお考えになっておりましょうか。
  25. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) これは組合員の数にも関係してくると思いますが、大体五名ないし十名程度、こういうふうに考えておるわけでございます。もちろん相当大きな組合は十名を代表する、そこまで至らない融合については五名程度代表する、こういう程度にいたしたいと思います。
  26. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは三十人以上ということで五名ないし十名と、十名としたところでこれは三百人ぐらいの組合を予想せられている、今の町村合併で三百人ぐらいのところがありますか。
  27. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 合併しました町村では大体三百人以下というようなものはほとんどないだろうと、かように考えております。
  28. 江田三郎

    委員長江田三郎君) そうなるとこの三十人というのは、あまり低い数字をここへ出して、しかもこれが低いということは非常にボス的に利用されるおそれのある数字になるから、ここで三百人というような村が今後何もないのに五人なり十人を代表する、最大限を十人と見ても三百人という村があるということになると、これはおかしいじゃないですか。
  29. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) それは現行法にあります最低基準であるわけでありまして、実際にはこれは定款総代の数をきめるということに相なっておるわけでございます。これに基きましてわれわれの方で、先ほど申し上げましたように組合員の数に応じまして基準を設けまして、各組合通達をいたしたいと思います。それに従いまして組合定款総代の数をきめると、こういうことに相なると思いますから、法律規定自体としてはこれはこのままで差しつかえないじゃないか、かように考えております。
  30. 江田三郎

    委員長江田三郎君) そこで問題は、知事に勧告して、知事合併に対する区画をきめるということについては、農林省としてはある基準数ぐらは持たれた方がいいんじゃないか、大体一万人ぐらいのものを正当な運用のできる組合と見ることがいいか、あるいはこれを生産数量で見るとかあるいは何で見るとかいうような工合で、何か基準を定めて一応考えられて、知事に指令ざれることがいいのじゃないかと思うのですが、そういう基準数字を今言っておるところから割り出して、円滑な運営の行く理想組合員数というものはどの付近であるかということを検討せられて、ばく然としないでやられた方がいいのじゃないかと私は思っておる。
  31. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) これは実は合併後の町村目途としてやってみたいと、こういうふうに考えておりまするが、実は共済組合維持の問題になりますと、組合員の数ももちろん相当関係がありますか、組合農作物共済あるいは蚕繭共済に入ります、片方でありと耕地面積、こういうものの広さの問題が組合員の数よりもよりウエートが大きいわけでございます。と申しますのは、大体われわれの目標といたしましては、最低少くとも掛金が二百万円程度くらいなければ組合維持が困難じゃないかという観点から、一応二百万円の掛金が集まるような組合の組織は最低限度として維持してほしいというようなことを組合には申しております。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうするとその二百万円の維持費というと、大体反別にするとどのくらいになりますか。大体の見当でよろしゅうございます。もしここですぐ出なければあとでよろしい。
  33. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 町村合併に伴って共済組合区域が同じような合併の方向をたどっておることは承知しておりますが、現在までに合併が行われた組合は一体どのくらいあって、そうしてその一組合あたりの平均の組合員数というものは、合併前に比べてどういう傾向になっておるのですか。
  34. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 現在まで約百五十ぐらいの組合合併いたしておりまして、本会計年度の終りには、大体今一万程度ありまする組合の約半分の五千組合くらいを一応の合併目途といたして指導いたしております。
  35. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 合併による組合運営の、つまり事務費といいますか、経営費状況は、合併前の組合に比べて、単位組合当り所要経費というものは減ってますか、ふえてますか。そういう調査はできていますか。
  36. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 今丁度合併進行中であるのでありまして、組合が百五十くらいようやく合併したという程度であるわけでございます。従いましてそれにつきまして、具体的に調査いたした事例はまだございません。これはすみやかに調査いたしたいと思いますが、私どもといたしましては、合併をしますることによりまして、相当事務費並びに人件費の節約ができる、こういうようなことはもちろん考えておるわけであります。
  37. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私の知っている少数組合では、これは過渡期一つ現象かもしれないけれども組合合併したことによって、思わざる経費の負担が集中的にその組合に増加しているという例がある。それは新しい合併による組合運営なりあるいは合併の仕方、これから合併しようとする所の調査なり視察見学が非常に多いのです。そのために視察に、これは県内はおろかそれこそ百里を遠しとせずしてやって来て、そうして視察に来た人たちのために案内の労をとり、資料をもらいたいといって資料の要求がある。そのためにほとんど一人、二人の職員は印刷と案内にかかりっきりといった状態です。同様に連合会等もそのために現地組合まで、どうしてもほとんど連日案内の労をとらなければならない。これは特殊の例ですれども過渡期にはそういう現象も私は決して一カ所でなしにあると思う。  それからもう一つは、たとえば一町七カ村が合併して一つ共済組合が結成される、その組合運営については、従来固有の、町村におった共済担当職員は、少くとも一人程度は新しく結成された新組合の事務所に転出をする。結局あと一名固有職員は、もとの村にはせいぜい一人程度しか残っておらない。さあ災害があった、査定だ、評価だというときには、やはり大きな区域で公平な査定をするためには、評価員というのがそろって、それこそ今まではせいぜい十数名でよかったのが、三十人も五十人もそろって押し歩くということで、莫大な労力と、それからこれに伴う経費がかかって参りますので、なかなか机の上で考えたように、合併すると直ちに人件費その他の経費が減るというわけにはなかなか行かないと思う。実情は私はそうだと思う。ですから町村合併をすることによって、国ではずいぶんこれには助成もしておるし、また事実そういう経費もかかっておる。また共済組合に関しては、大体新しい行政区域に従って組合を結成するという、これは法に従ってやっておるわけでありますが、そういった特殊の組合等に対しては、よく一つ事情調査されて、そうして特別の国としてのめんどうを見られるという御意図はありませんか。
  38. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) ただいま御意見通り合併いたしましても、これは行く行くは人件費なり事務費なりは減る、こういうことになりますが、合併後直ちにしからば減るかというと、今の御意見のように必ずしもそうはならぬじゃないか、従いまして、本年度予算におきましては、合併する、しないにかかわりませず、従前の規模におきまして、大体昨年度と同様の補助金——人件費事務費の補助金——を組んでおるのでございます。で合併いたしましたならば、いわゆる昔三つの組合一つにしたら、三つの組合の分を合せて一組合にやるという建前に一応なっておるわけでございます。従いまして、急にはこれは人件費事務費の節約はできない、こういうような建前で、私どもといたしましても御意見通りそういう前提に立って仕事をいたしております。
  39. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと今飯島さんの質問された最初の問題ですが、これはいい組合を作るというと、よそから次々見学に来る。これは共済組合だけでなしに、農業協同組合等においても、そういうことはあるわけで、私も先だって広島県の砂谷村の農協の、酪農を非常にうまくやっている所を視察に行きましたが、行って見ると、実際飯島さんの言われるように、しょっちゅうよそから見学に来る。来ればその指導者というものは、それを案内して歩かなければならぬ、そうするとそこの指導者あたりは人の案内をし、畜産局の種畜農場以上の役割をするために、仕事が何もできぬということになって、で、そこの組合では、あまり組合長が気の毒だからというので、皆で勤労奉仕の制度を作って、組合長の家の牛の世話に、かわるがわる村から出る、こういうことでやっておったようですけれども、私はこういうことについては農済の組合あるいは農協その他いろいろな方面に同じような問題があるのですが、何とか一つ国で考えて行くべきじゃないか、おそらく種畜場あたりでやる以上の仕事をしているかもわからないような、そういう所もあるし、共済の問題につきましてもそういうことがあるし、いろいろな問題があると思うのですが、何とか一つ制度として考えられませんか、どうですか。
  40. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 確かにただいま委員長あるいは飯島先生のお話のありましたようなことは多かろうかと思うのであります。また現在までそういうものにつきまして、国として特別のものを見るといろ制度がないのでありますが、御意見もありまするので、私どもといたしましてもこれは検討いたしまして、必要があれば適当な措置をとりたいかように考えております。
  41. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の私か前段に申し上げた例は、私の知っているのは具体的に群馬県の沼田市なんです。これは今委員長が別な農協の例を言われたけれども、沼田の場合は特に関西、奈良あたりからも見学においでになる、東北から、近畿、中国辺からも視察においでになる、どうしてそういうふうに有名になったのか、私はいろいろ調べて見たら、村と共済ですか、雑誌に載ったのが一つのきっかけらしい、それでまあ幸か不幸か沼田の近くには名だたる温泉があるものですから、見学をしてはそのお風呂に入って帰るこういうことで特に集中するらしいのです。ですからそれは一つ組合で、それこそ日本の半分くらいを引き受けたのでは、もっていかに労力と経費が要るかということは、それだけでも大体御想像つくと思うのですけれども、これはえらい人だ、紙代だけでも何とかしてもらえないだろうか、来た人がみんな聞いたり、見たりして資料をくれというので、何か書いたものでもなければみやげにならないだろうというのが一般の傾向らしいです。謄写版を刷ったり、紙を買ってきたり、案内をしたり、大したものだ、しかもこれは合併の例が早かった。こういう所は、しかし国の立場からすれば合併を促連する一つのいいケースではあると思うのです。ですから勧奨というか奨励というか、そういう意味で共済に限らず、協同組合なりほかでもこういう事例というものは日本中にはこれは幾らかあるし、また今後もあり得ると思うのです。そういろ所には一つ何か特別の方法でめんどうを見て考えてほしい。
  42. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 共済組合に刻しては、すでに人件費事務費府県を通じて相当補助いたしております。ただいま御説明組合は群馬県庁とよく相談いたしまして、県庁に必要な措置をとるように指示いたしたいと、かように考えます。
  43. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 特殊な群馬県の沼田はいいけれども、一般的にそういうことに対して何か国として考えるべきじゃないかということも大切なんです。ただ何とか勲章をやるだけではかなわんですよ。ほかにございませんか……。  私一つお聞きしておきたいのですが、さっきこの制度実施するに当って、特に家畜の方のやつをやる場合、獣医師会との協調という点について特に経済局長触れられたのですが、何にいたしましたところで、獣医師会というものをこれは決して軽んじてはならないので、今後の運営に当ってそれらの諸君が十分協力してくれるような形に持って行かなければ、事故の防止ということは万全が期し得られないと思うのです。そこでさっきそういう点についてはよく了解を得たと、こう言っておられましたが、ちょっとそれに関連して私お聞きしたいのは、九十八条で事故のあったときに届け出るというのがありましたが、組合員から組合に対する共済事故発生等の通知の義務があるわけですが、そういうときに一体獣医師との関係はどういうふうにお考えになっているのか、その点。
  44. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) ただいまの九十八条の問題でございますが、これは共済事故が発生した場合には、組合員から事故発生の旨を保険者である組合に通知するのが保険の場合の一般の原則でありまして、これ自体としては適当な制度だと思うのでございますけれども、それが具体的の運用としては、共済事故が発生いたしますと、その病気なり病気になった家畜を持っている組合員から組合の方に通知される、組合診療所を持っている場合には、その診療所の方でその通知を受けて診療するというふうなことに実際上なることが多いのです。そういうことで獣医師としては、結局その通知によって、一般の開業獣医師の方に組合員がくることを現実上ややもすると妨害されるようなふうに結果として働く場合がある、その点を何とか考えてもらえないかというようなお話があったわけです。この点は私どもいろいろ研究いたしました結果、この通知義務というものを、そういう場合に排除するということはなかなかむずかしかろうと思いますけれども、そういった場合に、開業獣医師の方に行って診療される組合員があった場合には、その診療する開業獣医師の万から、その組合員にかわって組合に届け出るというような格好で、開業獣医師から届出があった場合は、この組合員からこの通知義務が果されたものとして私どもとしては処理して行くというような運用をとることによって、その点はさっき開業獣医師側の方で御心配になったような難点は取り除けるのではないかと考えまして、そういうような運用を指導して行くことによって、その問題を解決して行きたいと考えます。
  45. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それは課長さん、そういう指導をして行くのは、やはりきっちりした文書か何か作るのですか、ただ口頭ではなしに、具体的にはどうするのですか。
  46. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 現在のところは口頭でしておりますが、必要とあれば通牒を出してはっきりいたします。この法律の施行のときにはいろいろな、当然農林省としてのすべての事項の徹底のための通牒が必要でございますので、そのときもあわせて、その点はっきり……。
  47. 江田三郎

    委員長江田三郎君) その点は、単に口頭の指導だけでは末端では徹底を欠くと思うのです。ぜひ文書ではっきりした措置をとってもらいたい。
  48. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 もう一点伺っておきたいのは、組合合併して、組合員の数が非常に、今度は三倍になり、場合によっては五倍なりに激増するわけです。そうすると、過般会計検査院が共済組合調査した結果、国会にいろんなあまり好ましくない傾向が報告されておる、共通することは、どうも組合が窓口までは行くけれども組合から組合員に対する事務が非常に何かというか、血が通ってないような、中断されておるような事例がかなり報告をされておる、つまり連合会組合の間でから回りをしておるよなう格好の例が非常に多いのです。これは私はやはり共済制度に対する一つの根本の問題でもあるでしょうけれども、特に組合員の数が非常に多くなってきて、そしてこの事務を処理する事務員の能力というものが高まってこなければ、この傾向は一そう私は激しくなるのではないかというととが懸念されるのですが、そういうことは十分経済局では御承知のことでありますから、そういうことのないように、少くともああいう報告されているような、よろしくない事例合併することによってさらにふえるということでは、これはもうゆゆしい問題でありますから、これについても格段の指導をされる必要がありはしないか、この点についてはどうお考えですか。
  49. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 御指摘の、会計検査院その他行政管理庁から御指摘のあった点につきましては、われわれその衝に当っている者としては、まことに遺憾に存ずる次第でございます。連合会は主として農林省が監督をし、単位組合は県が第一線に立って指導をする、こういうことになっておりますが、県といたしましても大体十名程度くらいが組合関係しておる職員であるのでありまして、なかなか人員の増加等ができない今日におきましては、県内に三百も四百もたくさんの組合がありますと、なかなか一々回って行けないという事情もあるのごでざいます。できるだけ組合の数を少くいたしまして、必ず毎年何回かこれを検査し、指導するというふうに、できるだけ組合の数を少くいたしまして、少くなった組合に集中的に指導するということが、いろいろ問題にされておることに対しまする解決の一つの方策じゃないかという観点に立ちましても、ぜひこの際組合合併してほしいということを指導しておるのでございます。また同時に、組合員の数が非常に少くあります関係上、組合維持して行くための賦課金の徴収料が非常に多額に上るというような関係本、ございまして、そういう点から掛金なりあるいは賦課金の徴収も非常に困難になっておる、こういうような事情もありますので、相当充実した内容職員の数、一組合当り現在二、三人程度でありまするが、合併いたしますると、そこに七名なり十名なりの、職員が当然事務が取り得るというような事態になって参ると思うのであります。それらの事情を考慮いたしまして、この際できるだけ一つ組合合併いたしまして職員の数もふやし、かつ県庁の指導も徹底して参りたいと、かように考えておる次第でございます。
  50. 江田三郎

    委員長江田三郎君) よろしいですか。ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  51. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて、ほかに御発言もないようですから質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしお述べを願います。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 本案には賛成します。ただし先ほど申し上げました通り、三十人という限定をつけた総代会に対しましては定款等を作るときのいずれ政府から指導要綱のようなものができると思いますので、その際ただいま議論になりましたそれに対して、局長が御答弁せられたことを十分とり入れた指導要綱を作って、間違いのように御留意願いたいと思います。
  54. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。農業災害補償法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  56. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成その地自後の手続につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。  次に本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名      白波瀬米吉  戸叶  武     青山 正一 池田宇右衞門     大矢半次郎  重政 庸徳     関根 久蔵  田中 啓一     飯島連次郎  溝口 三郎     深沢 俊英  森崎  隆     東   隆  菊田 七平     鈴木 強平     —————————————
  58. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  本法律案につきましては、すでに提案理由及び法律案内容説明を開き、若干質疑を行なっていますが、本日は引き続いて質疑を行います。
  59. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 私は大臣がもし見えるなら、大臣に伺いたい問題はあと回しにいたしまして、局長にお伺いしますが、特別買い入れですか、中間買い入れですか、その価格は審議会にかけるのでありますか、その点伺いたいのです。
  60. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) かける考え方でもって進めております。
  61. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 もし審議会にかけて最高、最低価格と同時にこれを決定されるということでありますと、その価格は政府の指定する者の買い入れの価格になるのだろうと思いますが、それはたとえば二十万円とそれがきまった場合に、その生糸というものはそれは二十万円で買うのですか。そうじゃなしに、それを担保にして二十万円を受け取るのでありますか。それはどういうことなのですか。
  62. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 政府が買うのが二十万円、四ドル五十セント見当ということになりますれば、政府の「指定する者」はそれから一定の期間保管をいたしますから、その保管期間の金利、倉敷及びその手数料、そういうものを差し引いた額で売って参ります人から買う、こういうことは考えられます。
  63. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 その製糸家というか、とにかくその売り渡しするものはこれは必ずそこに六ヵ月の期間内は保管しなければ、政府は買い入れないということになるのじゃないかと思うのですが、そういうことになると、中間買い入れの価格をきめたが、その価格の意義というものはどこでも行われないということになるのじゃないか。
  64. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは個個の、政府の「指定する者」に売り渡す製糸家その他は、これは買い戻し条件付きでもって買い入れますから、それでその期間は値が出ますれば買い戻して売れる、こういうことになるわけでございます。
  65. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それでは何ですか、売り渡す者は政府の指定する者にその買い上げ額というものを支払うのですか。
  66. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 買い入れる方の政府の「指定する者」というのは、生糸の買い入れの額は支払います。
  67. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 そこのところをもうちょっとはっきりしてもらいたいのは、かりに審議会にかかって、特別買い入れの価格がかりに二十万円で、きまる。そうして政府がその額で、買うのは、政府の指定する者が買うのです。そうしたらそこに売りたいと思う者が適格品を持って行けば、そのきめられた価格の代金を払うのですか。
  68. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 政府の「指定する者」というのはやはり六ヵ月間なら六ヵ月間の金利、倉敷だけは差し引いたものでなければ買えません。
  69. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それなら買うのじゃなくて、担保融資をするのとちっとも変らないじゃないですか。
  70. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは前にも御説明になりましたが、アメリカの方で農産物価格等において行なっておりまするCCCと同じような考え方でございまして、やはり実質的にいえば担保融資というふうな性質を持っております。
  71. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それなら特別買い入れ価格じゃなくて、いわゆる基準価格に基く担保融資にほかならないんじゃないか、もしそれを買い入れ価格と言われるならば、製糸家がかりに一カ月たったときに売りたいと言ったら、そうしたら二十万円からその期間の金利を差し引いたもので買い取る。あるいは三ヵ月たったときなら三ヵ月の金利を製糸家が負担すれば、かりに二十万円とすれば二十万円から三ヵ月の金利を差し引いたものでそれを買い取るということになれば、買い入れ価格という意味があるけれども、六ヵ月は出してはならない。そうしておいてそれに払う金はたとえて言うと、十九万円、利子を差し引いた、金利、倉敷を差し引いた価格よりやらないのだというなら買い入れ価格でも何でもない、いわゆる担保融資の基準価格に過ぎないのじゃないか、それがどうして特別買い入れ価格と言い得るのですか。
  72. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 六カ月問は出せないのではなくて自由に出せるわけでございます。特別買い入れ価格というものは政府の価格でございまして、政府の買い入れは現在の決定は十九万円になっております。それはどういう機関を利用しようと、製糸家が何カ月持とうと十九万円でしか買えないわけですけれども、この期間に輸出に売るとかあるいは二十三万円になったらば売るとかまあその他の条件で売り込みましたものは、これは六カ月たった場合には二十万円で買う。政府が買う価格であります。
  73. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 そういうことを言われるのはおかしいので、いわゆる特別買い入れ価格というものを二十万円とかりにきめた。しかしその糸を売るというものが持って行ったときには十九万円より払わない、そうして六ヵ月切れてしまわなければその糸は、引き出すことはできるけれども、買ってもらうことはできないというなら、二十万円で買ってもらったんじゃなくて、十九万円で、利子を持って行って二十万円で買ってもらったのとちょっとも違いがないのですね。それが特別買い入れ価格と言い得るのですか。
  74. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それは政府の買い入れ価格が十九万円でなくて二十万円である、こういうことでございまして、製糸家が手放す価格が特別買い入れ価格というわけではございません。
  75. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それでは承わりますが六ヵ月過ぎてそうして、政府が二十万円で買う、しかしながらそれに対して六カ月の金利、倉敷を払えば十九万円じゃないですか、手取りは。だから要するにこの問題はいわゆる六ヵ月はいつでも引き出し得る、しかしながら売りたいという者がこれはもういっそ政府が買い取って下さいというのは、これはいつでもできるということなれば特別買い入れの意味もあるし、また政府もそういう中間買い入れの生糸を持つこともできるけれども、それを六ヵ月まではもうどうしても、引き出すことはできるけれども買ってはもらえぬのだというふうなら、これは標準価格基準価格に対するいわゆる担保融資にほかならないのです。買い入れ価格でも何でもない。政府は買うというけれども、政府は六カ月たったものに対して二十万円払った。金利と倉敷を持ってこい、政府の指定する者に払へ、そうするとこの売るというのは十九万円より手取りがないのです。何だか私は中間特別買い入れ価格なんというそのこと自体が何だかおかしいと思うのですが、それでいいのですか。
  76. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 政府の買い入れ価格としては、やはり二十万円になりますので、現在の法律ではそういうふうな価格では政府は買えませんので、やはり特別買い入れ価格になります。
  77. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 これはどうして六カ月たたなければ政府にせよそれから中間機関にせよ買い取ることはどうしてしたらいかぬというのか、できないというのか、あるいはそういうことをやらなければ中間買い入れの糸を政府の自由になるものに持たせることはそれはできないのですかどうしても。それはどういうところに支障があってそういうふな方法をとられておるのか、政府が買うときは二十万円だと言われるけれども、政府の指定する者がそれを扱うのだから、政府が買うのではないと言えばそうかもしらんけれども、そこのところは実に巧妙な私は考え方だと思うのですが、それではどうも本当のこの法案の目的を達することはできないのじゃないか、そういうふうに考えるが、そういうふうには思われないですか。
  78. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 政府が最高価格を維持するための糸はで、きるだけ持ちたいということは考えられるわけでございます。まあいろいろと検討いたしましたわけですけれども、やはりその市場に大きな影響を与えて政府の買い入れによって損した人が起るとか、得した人が起るとかいう、それは、どうしても極力避けなければならないというふうな観点に立ちますというと、やはり政府が直接市場に出動して、そうして十九万円以外の価格でもって買うということはなかなかできないわけで、私就任以後ずっと専門家等にもいろいろ意見も聞いてみましたが、やはりむずかしい、こういうふうな意見でございました。それで昔は特別会計等がない場合に、昔三回ほど会社ができてこういう仕事をやっておりますが、やはり糸価が落ちましたときに民間の会社は買い持ちまして、それでかかえておった。それで余ったものを、かかえきれなくなったものを政府で買い取った、こういう形態をとったわけでございまして、今般は政府の特別会計の万は先にあるけれども、そういうふうな機関がないものですから、なかなか最低価格では買えない、こういうことに相成るわけです。それでやはり政府が直接市場へ出て買うというのはできるだけ避けた方がよかろうというような考え方から、こういうふうなまあ政府の指定する民間の会社ないしは団体でこれを一応持ってもらう、それでその一定期間持って、融資その他で、持ち切れなくなったものを政府が買うというふうな形が適当じゃないかと考えたわけです。それからもう一つ二十万円と十九万円という問題でございますが、もし政府が二十万円でどういうふうな条件に……たとえばその場で保管会社に入ったものを政府が買うとか、あるいは一カ月ぐらい持ったものを買うとかいうことになりますと、同じ糸でありながら政府の指示価格十九万円の価格と、それからまたそういうふうな形での価格と二本が出て、そうして市場の方が混乱するおそれ等もございまするし、もう一つは六カ月というふうな点はやはり糸の量その他相当市場に対する影響がございまするので、現在、先物市場、清算市場の方は六カ月の大体先物まで売買されておるというような関係から申しますと、先々は政府の買い上げあるいは輸出として売られ得る糸がこれだけあるというふうなことがまあ明らかになっておることが、市場に対する影響を少くする、まあ混乱を起さない、こういう点からも必要であろうかと、こう考えまして、大体六カ月ぐらいのところを考えればいいのではないか、こういうふうにまあ考えたわけでございます。
  79. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 まあその問題は私はどうもはなはだ何というか巧妙な考え方だと思うのですが、まあその問題はあとに回してその次に……。
  80. 清澤俊英

    清澤俊英君 簡単ですから……。その場合の、利子の問題が出ましたが、利子はこれは政府が持つのですか、だれが持つのですか。
  81. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それは保管会社がその間は自分のものとして持っておるわけですから、そういうふうな政府の指定する買い入れ機関が持つわけであります。
  82. 清澤俊英

    清澤俊英君 利子を。
  83. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) はあ。
  84. 清澤俊英

    清澤俊英君 たとえば今言われたところでは、政府が最低、価格を割った場合に、それを処置する、こう言うのだが、二十万見当の場合にも買うのですか。そこのところがはっきりしませんが、どうなんです。
  85. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 六カ月間持って、会社の方で買い戻しを行わなかったものを政府が買う、こういうふうなことであります。
  86. 清澤俊英

    清澤俊英君 その場合、買い入れなり、委託なりする価格は、最低価格は農林大臣にきめてもらう、幾らを目安にしておるのですか。
  87. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 大体この値段はアメリカに売れるというふうな値段でないといけないわけですから今まで数ヶ月年間アメリカの声としては大体一ボンド四ドル五十セント、それならば十分買い得る、こういう値段といわれております。大体それを換算いたしますと、一俵二十万円でありますので、その見当がいいのではないか、こう考えております。
  88. 清澤俊英

    清澤俊英君 それが大体目標価格ですか。農林大臣の指定する価格ということになるのですか。
  89. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 大体この見当が適当ではないか、これはもちろん審議会にかけて決定するつもりであります。
  90. 清澤俊英

    清澤俊英君 それを審議会にかけてということは規定にないですね。審議会は安定価格を定める際に諮問機関として聞くという程度、そういうように価格をきめるときに審議会にかけるという規定は何か別にできたのですか。
  91. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 現行法でもって繭糸価格安定に対して重要なる事項を諮問するというふうに抽象的になっております。現行法ではこの前ちょっと御説明いたしましたが、標準生糸の最高最低価格、それから繭糸価格、この二つを諮問しております。それから今度の本法が成立いたしますれば、これに加えまして大体特別買い入れ価格、それから輸出確保のための必要保有数量すなわち特別買い入れの必要数量、それから上値抑制のための必要保有数量、これは輸出も内需も含めまして、それ以上に政府の手持がふえました場合には、上値押えの必要な数量の範囲までは政府が生産費以上の市場価格の場合には売り出す、こういう場合の数量であります。それと、それから今般の改正で指示をはっきりさせたいと思いますが、これが第十一条第一項に農林大臣の定めるところを今までのやつよりはふやしました。とれだけは非常に重要な事項であります。
  92. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうするとただいま二十万円と言われるのは、政府が今考えておる価格であって、実質は諮問を経てそこできまる。それはまだ未決定だ、こういうふうに了解してよろしいのですか。
  93. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) その通りでございます。
  94. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、かりに今の定められました安定価格として十九万円から二十三万円となっておりますが、その定められた価格は、とにかく輸出の適正価格と見て差しつかえないと思うのです。その間においてきまるとしまして、現実において糸相場が今二十一万幾らになっておると思いますが、これを標準にして考えてみますと、そうするとそれで一応買って、金利を持って、金利はどのくらいで考えられるかしれませんが、金利を持って今度売るとなりますと、約六カ月持っておったら一万円か、それ以上一俵についてつくのではないかと思うのです。そうすると二十二万か二十三万近くの価格で売らなければ実際問題として損が行く、保管会社が損が行く、こういう形が自然出てくると思いますが、その点はどうなのです。
  95. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 保管会社はその時価下、買うのでなくて、政府が二十万円で特別買い入れをやるとなりますると、その特別買い入れ価格から必要な一笠利、倉敷を引いたもので買うわけですから、やはり大体の見当としては白波灘委員から御質問がございましたが十九万円見当、こういうことになります。   〔委員長退席、理事千田正君着席〕
  96. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して。ただいま白波瀬、清澤の御両氏が言ったが「農林大臣の定める条件を遵守し、繭の保管をしたときは、予算範囲内において、政令で定めるところにより、その保管に要する経費につき、補助金を交付することができる。」こういうふうに今度の改正案がなっておるといたしますと、当然政府の命令によって保管し、又政府が補助して保管させるとしたら、その金利、倉敷は政府が持つのが適当じゃないですか、だますような結果になる。これはどうですか。
  97. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) ただいまの条文は繭の保管の場合でございます。今御質問のありましたのは糸の方でございます。
  98. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 繭の方は政府が持つのですか。
  99. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 繭に持ちます。
  100. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 重ねてお聞きするが、繭はそれは農業協同組合連合会、どこでもいいのだが、全国の連合会府県連合会あるいは郡単位連合会どこでも繭を保管させますれば、それに対してはやはり助成しますか。
  101. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それは生産されまして非常に過剰になると値が落ちますから、過剰になったものを必要な数量だけを乾繭としてたな上げいたしますると、そうしますと、繭価は維持される、一部をたな上げするわけでございます。それをやりますのには、やはり全国的にばらばらになっておってはその効果も薄うございますし、一部の地区で効果が出て一部の地区で効果が出ないということもございましようから、政府といたしましては全国的な組織をもって全国的にどのくらいの割合を配分すれば繭価が維持できるかということは、これはもう保管をやるような農業団体と十分協議をいたしまして、それで必要な数量を全国的な団体で計画的に保管をしてもらう、こういうふうに考えておりますので大体は原則的には全国団体で組織的にやってもらう、こうお考え願えばいいと思います。
  102. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 しかし今度の法案のねらいは、養蚕家をしてもちろん繭を増産させ、生糸を大量に増産させて外国に売るというところにあると思うのだが、一体生糸に重点を置いたのか、養蚕家の繭に重点を置いたのか、どちらに重点を置いたのか、との点をはっきり答弁していただきたいと思います。
  103. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 現行法は糸だけを大体目当にしてやっております。今度の場合には国会の御要望も繭の増産のためにも、養蚕農家の経営安定のためにも、繭価の維持ということはぜひ必要だという強い御要望もございましたので、繭の方は十一条の方で最低禍価でしっかり固める、こういうことを第一のねらいにいたしました。それからもう一つは糸の方でございまするが、実情は製糸家の方も昔と違いまして、自己資本が非常に不足しております。それで繭を相当大量に買いますと、これは高価のものですからそれは相当長期に銀行から融資されておりまして、今スタンプ手形等で融資は特別に保護しておりますけれども、銀行の方としましては、どうしても返済を迫るといろ関係からして、弱い製糸家になりますと自分の所で生糸に作ってから大体十五日くらいの手形で横浜に持って行って売られ、こういって強制される。そうすると検査を受けましてほとんど相場を見て売るということができませんで、投げ売りのような形態が相当あるわけでございます。そういうふうな形で値をくずしまして、それで買手の方からは、また値が落ちた、それによって自分たちは損害を蒙ったと安売りでの不満が相当出るわけでございます。その他負債もあります。製糸家から、負債が全然ない、別のそういう買入れ機関というものが持ちますれば、これは融資は半年くらい十分つけられますから、その間に製糸家としますれば適当な機を見て、自分の思うときに投げ売りしないで売れるという形になります。それくらいのことをやりませんと、今買手、売手の関係からいえば、売手の方の製糸家が海外の市場で相当豊富な資金を持っておりまする買手の方に対しまして非常に弱い、こういう形になっております。一方、独占禁止法その他で共同行為等は非常に制限されておりましてできないことになっておりますので、そういう点で値をくずし、しかも文句を言われる。こういう状態であります。そこがある程度そういうような形で間接に維持されますれば、これははね返りが当然養蚕家の方に行きまして糸値が上がれば繭価の方も従って維持される、こういうふうな形で両方にその利益が均霑する、それから繭価の維持の方はこれは養繭家の方の多年の要望である。こういう形で両方にまあ経営安定上は役立つ法案であると考えているわけでございます。
  104. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今局長を責めたり、関係者を責めるのでは決してないが戦時中食糧増産のために一番犠牲になったのはおそらく産糸だと思いますが、その生糸を通じて、その製糸家が、局長、課長も知っている通り、長野県を初めこれに関係すると、これは廃墟同様になって、その後ようやく五カ年の計画を立って次第に繭増産から生糸の製造に拍車をかけてきたしかるに、今局長の御答弁を聞いていると、独禁もあってなかなかはかどらない、というのは戦時中非常な災害を受けたものに対しましては漸次政府が補助をし、補償をしてこれが育成に努めておる、ところが、一番犠牲になったこの製糸家に何らの手を打っていないから、だから製糸家が、こんな法案を出しても、各位の質問通り、結局、製糸家の負担だ。一体いつの時代に……これは局長を責めるのではないが、農林省がその衝に当って実際にこれを縮小し、また製糸家を廃墟に陥れた大責任があるから、これに対しまして低利の資金を長期に融通し、そうして製糸家の安定をさせると同時にこれを通じて養蚕農民の安定をさせる。そらして養蚕は時代とともに堅実な安定した農家の産業である、いわゆる特殊産業であるということでなければならない。今までせっかく養蚕業が盛になり始めたと思ったら、直ぐ下り坂になってしまう、最近における製糸関係がみな、局長、課長の知っている通りになっている。これはよほどしっかりした政府の補償と援助と低利資金の融資がなければならないと思うが、これらの問題についてはどうお考えになっておりますか。大臣を初め関係者は非常な決意をして大蔵当局に当り、その他低利の長期融資について考えられなければならぬと思うが、どういう計画を立てておられますか、この際伺っておきたいと思います。
  105. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 製糸方のへの融資につきましては、現在スタンプ手形というのがございまして、それで日銀等で引き受けられるような形で特別な融資制度がとられております。で、これに加えまして政府の指定をいたしますととろの特別買い入れの関係で、その会社ないしは団体等ができますれば、それに対する融資につきましては政府の方も極力あっせんする、政府でもって最低市価で買う、市価がきっちりきまっておりますから担保価値としては十分なものであります。
  106. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 機械の取りのけや工場の設備にも低利で融資しておりますか。
  107. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 工場の方の設備につきましては、組合製糸につきましてはいろいろな農林漁業金融公庫のものがついておりますけれども、現在のところは開銀その他の方については不十分でございます。やや道があったわけでございまするけれども、まだ十分についておらない、こういう形で、新しく設備その他で必要なものがありますれば、私としてはできるだけのことは努力いたしまして、ただいまお話がありました戦時中に非常に痛めつけられた養蚕、製糸、蚕糸業全体の振興にプラスにできるように努力いたしたいと思います。
  108. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 ちよっお伺いいたしますが、さいぜん清澤委員質問に対して答弁されたのに、保管中の金利、倉敷はいわゆる指定する会社が持つのだというふうに言われたが、そうじゃないのでしょう。
  109. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それはやはりそうでございまして、その保管する会社が、買い入れました会社の所有物でございますからだから、その間はその繭糸を担保として銀行からその会社が借りますれば、その金利は会社が払うこういうことになります。
  110. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それだと製糸家が今度生糸を引き出すときに、金利、倉敷を持って行かなくてもいいのですか。
  111. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) その保管する会社ができますれば、その会社が売り戻す場合には、買いました値段にそれから出す間までの期間の金利と倉敷を加算したものでそれで製糸家に回す、こういうことになるわけであります。
  112. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それじゃ会社が持つのじゃなくて、いわゆる生糸を売り渡した方が金利、倉敷を持つということじゃないのですか。
  113. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 買い戻したときには実質的にはそうなります。
  114. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 持つのじやなくて立てかえるということにほかならないと私は思うのですが、まあそれはどういうことなのか。
  115. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 買い戻した場合には、実質的に立てかえたというふうな形になるかと思われます。基準を十九万なら十九万に置きますれば。
  116. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 その次にお尋ねいたしますが、乾繭保管をする買い入れ価格というのは、やはり審議会にかげますか。
  117. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 先ほど申し上げましたように、最低繭価はこの第十一条第一項の「農林大臣の定める額」というふうなことになりまして、これは審議会にかけます
  118. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 審議会にかけて、そうして保管する繭の価格がきまる、そうするとその保管を命令する時期、それからその審議会にかけようとする……今日ここでははっきり言えないでしょうが、審議会において繭の保管を命じようとする価格の基準は、十九万円が基準ですか、もしくは中間買い入れ価格が基準とお考えになっているのか、はっきりは言えないでしょうが、どちらが乾繭保管の基準価格ということになるのか。
  119. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは条文にもございますように、十一条でございますが、「政令で定めるところにより、その生産費の額を基準とし、生糸の最低価格及び物価その他の経済事情を参酌して農林大臣の定める額」ということになっておりますので、これは大体最高最低価格をきめる場合の生産費の額を基準といたしまして、それで生糸の最低価格及び物価その他の経済事情を参酌してきめるというようなことになっておりますので、生産費は基準でございまするが、生糸の最低価格というふうなものに見合ったこの最低価格というものは、特別買い入れ価格ではございません。
  120. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それはいずれの場合にも書いてある文句なんですが、それならば乾繭保管を命じる価格は、生糸の最低価格からいわゆる逆算したものではないと、新たにいわゆる乾繭保管をする価格というものは別個のものだと、こういうことに承知してよろしいですか。
  121. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 繭の生産費を基準にいたしますが、生糸の最低価格はもちろん参酌するわけでございます。現在の生糸の最低価格は大体生糸の生産費の八五%を基準に見ておりまするので、繭の場合も大体同様のところに持って行くのが適当ではないかと、こう考えておるわけでございます。
  122. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 重ねて聞きますが、今の説明はそうだという言葉ではなくて、その内容説明は同じことなんですが、結局生糸の最低価格というものからいわゆる逆算した価格というようなことになる、それにあまり違わないということですね。    〔理事千田正君退席、委員長着席〕
  123. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 生糸の最低価格から生糸の加工費をまるまる引いた価格にはなりません。大体生糸の生産費、繭の生産費等が出ました場合に、それから両方とも同時に計算されて出るわけでございまして、たとえば八割五分ということになりますれば、加工費の方も八割五分だと、それから繭の生産費の方も八割五分だと、こういう形で両方ともが同様の比率でもって生産費よりもそれだけ下ると、こういうことになります。
  124. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと関連して………。そうすると、あなたの言うのはちよっと食い違っているのじゃないかと思うのです。と申しますことは、十一条の第三項におきますところの御説明で、「農林大臣の定める額に」とこうあって、その「定める額」というものをどう定めるかと言ったら、生糸の最低価格を中心にして生糸の生産費を引いてそれらの諸経費を引いて、繭の値段を定めるという御説明になっている、ところが十一条の第一項には、「政令で定めるところによりその生産費の額を基準とし」と、この額は八五%だと、こらおっしゃるのでしょう。そしてこの二つを合せて高い方の額などをきめなければ問題にならないと思うのです。生産費の最低額は八五%ときまっているのでしょう。場合によればこれより高いものが出るかもしれないと思うのですが、その際はどうなるのですか。
  125. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 基準は十一条の第一項にありますように、生産費の額が基準でございますから、その八五%ということになります。それから糸の方もやはり同じく繭の生産費とそれから生糸の加工費を加えまして、それの八五%ということになりまするから、糸から繭が逆算されるという形ではなくて、繭の価格が計算されております。それから加工費がきまっております。繭の方は繭の生産費の方が基準になります。生糸の方も繭の生産費プラス生糸の加工費というものが基準になります。同じように八五%というふうなところに押えられますれば、大体同時にきまるということであって、糸から繭が逆算されるという形にはなりません。
  126. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は白波瀬さんの今お伺いしておられるのは、繭の価格の決定だと思ったのですが、乾繭の際に、買い入れる繭の価格の決定を十一条の農林大臣の指定する価格でどう定めるかと、これに対しては、生糸の最低価格を中心にして、生産費、諸掛りを引いたものを繭の価格にするのだと、こう言われる。そうすると、これは繭というものの生産費というものは全然見ておらない、計算の仕方が。こう白波瀬さんは言われておるのだ。ところが繭の方には、ちゃんと繭の「生産費の額を基準とし」と、こうなっておるから、今の説明では矛盾しておるではないかと、こういう御質問をしたのです。繭の話を聞いておるのです。糸のことを聞いておるのではありません。
  127. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 説明が少し不十分でありまして失礼いたしましたが、政府の買い入れ価格は第十一条の第一項にある繭の生産費を基準として農林大臣の定めた額というものに、との三項にございますように乾繭とするための費用等を加えます。それで政府は買い入れる。だから、第十一条第一項の生産費の額等を基準としたもので買うわけではなくて、その繭の生産費を基準として農林大臣が定めた額に第二項でもってそれにプラスいたしまして乾繭とするために要する費用等を加えて買うと、こういうことに政府の買い入れはなります。
  128. 清澤俊英

    清澤俊英君 その生産費の八五%というのは議論を残しますが、まあ一応そういうふうなものだと了承しました。
  129. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま繭の方と言ったから、繭に戻ったと……。そこで繭の価格は生産費を基準とし、生糸の最低価格及び物価その他の経済事情と、こう出ておる。そこで生糸の価格をきめるときには糸価に対する委員会にかけてきめるが、しかしこの経済事情というところで、以前ずっと前の価格は大体米とか麦とかいう主食とにらみ合せて生糸の価格もそれによってきめておる。しかるに最近の事情から言えば、アメリカの買う生糸によってすべての生糸の価格を最低と最高をきめてくる。アメリカとしては、なるほど自分たちがこれを加工する上において安く買うという目的があるが、今日の主食その他の物価とにらみ合せて、やはり日本の生産費は相当かかるのだから、アメリカの買う生糸の価格をとるのも悪いとは言わないけれども、アメリカの価格を基準としないで、ほんとうに生糸の生産に要するととろの費用と経済事情とを勘案するならば、今の生産糸の十九万、二十三万は安い、二十一万に二十五万くらいで適当だろうと思うのだが、清澤委員質問に対してもどうも戻りがちだが、一体こういう価格はことに書く気はなくても、今後はこの方針をほんとうに厳守して、アメリカに売れる相場も相当に参酌するのだけれども、日本の相場でアメリカに売れるようにきちんと日本の生糸の価格と繭の価格を出すお考えがあるかどうか。
  130. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この繭糸価格の安定につきましては。米麦のようなものと違いまして、この法律では最高価格と最低価格二つきめておりまして、その幅の中で操作する。
  131. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 それはよくわかっておる。それだから、その最低が安過ぎると言うのだ。なぜ上げないと、こう言うのだ。
  132. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それが国内で売れる米麦のようなものでありますれば、政府の力でかなり一本値でそういう点が満たされ得る一わけでございまするが、やはり海外の方に売るということになりますると、どうしても向うの方の都合も考慮いたさなければならないというので、その間買手の方とそれから農民の方の要求というものは、どこか最高最低の幅の中で妥協してきまって行かなければならないと、こういう形にありまして、現在の繭糸価格安定法の基本の建前というものは、やはり踏襲せざるを得ない。で御趣旨はよくわかります。われわれとしてもできるだけ農民要望に従って進めて参る必要はあろうと、こう考えておるわけでございまするので、それで大体繭価を決定します場合に、落ちても八五%以下は割らないというところに大体とめてある。まあそういうところでございまして、それを一〇〇%まで持って行きたいということは、農民のことを考えられておられる方は、皆さん考えられると思いまするが、現任の経済事情の力ではそこまで参り得ない、こういう形になっております。
  133. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 そういう腰の弱いこんだからいけない。アメリカに対して生糸に対する宣伝、及びそれぞれの、近ごろはよく日本の生糸を消費する方々に対する懇談の機会も持たれて、そこでアメリカは、決して安いものじゃなくて、ある程度の一定する価格がほしい、今日の最低価格などよりも、もっと天然生糸のよさをよく知っている、だから腰を据えて、向うにはけるような機関を設けた以上は、その機関を通じて生糸のよさと価格の安定策の上から養蚕家も製糸家も採算がとれるような方法をしなかったならば、結局だんだん生産がさびれてしまって、漸落の一途をたどるまあ政府としてもアメリカのきげんをとるよりも、アメリカへ行って、宣伝して、よりよく価格を安定させ、向上させるということに努めるというのが……。われわれがこの前の農林委員会におきましてアメリカに宣伝機関の設置をし、国費をさいてそして今日やっておる。大いに宣伝にはもっと予算を増額してもちっとも惜しくないから、これをもっと向上する、安定価格でそしてたくさんアメリカを初め諸外国に消費させる方途を開く考えがあるかどうか。
  134. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) できるだけそういうふうな宣伝をやりまして需要の喚起にも努めまして、それでその実力をもって農民の希望されるようなところまで上って安定するということは望ましいわけでございまするが、やはりこれは全体の経済事情等がございまするので、急激に効果のある手、すぐにこのきめ手でそういうものを実行できると、そういう具体案は現在持っておりませんが、できるだけ農民の希望する価格を実現するということにはわれわれの方としては努力したい、宣伝その他についてもできるだけやりたいと、海外の購買力が非常に出て、市場も広がって量もふえますれば、これはほかの今やっておらないような農民も養蚕をやれるというようなことにもなりまするし、またそれによって価格の方も安定をし、上がるということは一番期待されることですけれども、これは現在すぐその具体的な手を十分用意はしておらないのであります。
  135. 関根久藏

    ○関根久藏君 ただいまも池田さんからお話があったのでありますが、今度の改正によりますといろと、従前は御承知通り生糸のみの価格を安定審議会へ諮問した、今度は繭の価格本審議会において決定されることになるのであります。そこで従前の審議会におきましては、国会議員は全部オミットしておった、これはまあどういう関係であったかと私も第一回の審議会の委員でありましたけれども、国会議員は入っておらなかった。この際政府は安定審議会に国会議員も入れる意思があるかどうか。そういう用意があるかどうかお尋ねしたい。
  136. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは現在法律の第十六条で「審議会は、農林大臣乃び委員二十人以内をもって組織する。」となっております。「委員は、養蚕業者、製糸業者その他蚕糸業に関し学識経験のある者のうちから農林大臣が任命する。」 となっておりまして、第二回にまあ養蚕、製糸の方を中心にしまして、その他、学識経験者を含めまして二十人がきまって、その後、まあ数年間の間に一、二の変更はありましたが、大体ずっとそのままの人員できております。今のお尋ねの国会議員をそれに入れるか入れないかという問題につきましては、これはちょっと私限りでは重要過ぎまして、御返答がちょっと……。大臣とも相談をしてからでないとお答えがしにくい状態であります。
  137. 関根久藏

    ○関根久藏君 政府に設置されております各種の審議会にはほとんど漏れなく国会議員は参加しておるようであります。今回のような養蚕業にとりましても製糸にとりましても内外の蚕糸業の上からしましても、非常に重大な問題なのであります。私は国会議員を参加させてしかるべきだと思います。大臣がお見えになりましたら、御質問申し上げたいと思います。  それから先ほどのだんだんお話が出たのでありますが、農林大臣の指定する輸出会社ですか、保管会社ですか、農林大臣は、どういう要件を備えたどういうものを指定するお考えなのでありますか。
  138. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 大体この会社としましては、先ほどちょっと申し上げましたが、政府の指定いたしまするところの輸出適格生糸を買い入れる、輸出適格生糸以外のものは買い入れない。その買い入れ方としましては、買い戻し条件をつけまして、六ヵ月間の。それで製糸会社から買い入れる、こういうふうな形で、それでその買い入れた糸は二十三万円という最高価格になりましたならば、これは大体買い戻さして、その最高価格で売らせるか、あるいは自分が直接二十三万円の最高価格で売ると、こういうふうな形でもって最高価格を政府は支持しようとしておるのでありますが、政府に売り渡さないものでもそれに協力すると、こういうふうな条件でございます。  それからなお政府の方といたしましては、衆議院の方でも強くこれは準国策会社的なものになるから、十分監督せよというふうなお話でございまして、大臣といたしましては、役員の選任であるとか、利益金の処分であるとか、まあ定款の変更等につきましては、農林大臣の承認を得させるようなものを、自分でもって定款で縛ったものを、政府でもって指定する、こういう形で監督を十分やりたいというふうなことを申し上げておりますが、まあ大体そういうふうなことであります。  それからもう一つは、その指定をいたします際には、会社が売り主から徴収いたしますところの手数料とか売り戻しの際の加算するところの金利、保管料こういうものにつきましては、農林大臣の承認を受ける、どのくらいの条件をつけまして、政府の方としては指定をいたしたいと考えております。
  139. 関根久藏

    ○関根久藏君 そうすると、その農林大臣の指定するという輸出会社は、業務及び役員その他一切が農林大臣の監督下に属するような会社を作ってそれを指定しよう、そういうお考えなんですか。
  140. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 会社ができまする場合には、そうなります。との法律上は、一応菜種保管の場合ですね、農産物価格安定法の、あれと同様でございまして、一つのものに法律上は限っておりません。あるいは会社でなくて、たとえば糸連と申しまするような、現在ある組合製糸の方の連合会というようなものが、必要があってそれでやりたいということになれば、やはりそういうふうな団体も出てくるかもわかりませんけれども……。
  141. 関根久藏

    ○関根久藏君 そういう団体は、農林大臣が直接役員の選任についても現行法では許可の必要もないし、業務についても直接の監督権はないのですから、そういう場合にはどうするのですか。
  142. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 農林大臣としましては、会社を指定する場合ですね、会社に対しては、新しくできるようなそういうものに対しては、それだけの条件を付する、こういうことにしております。
  143. 関根久藏

    ○関根久藏君 そうしますと、そういうものは大体そり買い入れ数量や時期や、場合によって複数のものを指定する、こういうふうのお考えなんですか。
  144. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) そこのところは、法律が通過いたしませんと、民間の意向等もやはり聞かなければなりませんので、きまっておりませんが、現在までのところは、機械製糸の方と玉糸の方と今度加わりまするが、両方ともやはり経費の点や……まあ経費がそうかかってもコストにそれだけ響いてくるわけでございますので、両方とも大体一本の会社で行きたいというふうなことを申し出ておりまするし、私らの方も、それなら一本で行くように下相談をしておいてくれ、私の方としては、それでまとまれば、一つの方がコストもかかりませんし、能率もいいとし、こういうふうに考えておるわけでございますが、これは法律通りましたら、十分民間の意見も聞きました上で、そういう点に対しては協議をして進めて参りたいと、こう考えております。
  145. 関根久藏

    ○関根久藏君 どっちにしても法律は通るのですから、その際においてあらゆるものがうまくまとまってできるような一つ会社を作ってもらって、監督をいたしてもらうように希望いたしておきます。  それからもう一つ。農業協同組合が繭の下落を防止するために農林大臣のなにによって保管をする、乾燥する、こういうことになるのでありますが、御承知通り、全国的にも乾繭組合とか乾繭機は相当数あるにはありますけれども、ほとんどそれが現在の役に立たないようのものが多いと思うのです。そこで非常な大規模にこれをやるというような場合を考えて見ますというと、農業協同組合にはもちろん乾繭機はないのであります。そこでまあ製糸の乾繭機なりあるいは倉庫なり借りるということになると思うのであります。しかしそこはお互い商売人同士でありますから相対しておる商売でありますから、それは表面的の磨擦はないでありましようが、内容においては経済問題として農業者の万が一歩低い地位に立つと思うのです。そういう際一おける乾燥の設備、その事業についてはどのようなふうに養蚕農業協同組合を政府は援助し、指導するお考えでおりますか。
  146. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この法律案が提案されましてから、養蚕団体の方でもやはり乾繭施設の不十分な点を考えまして、そこでやはり乾繭共同保管をやるときには、しっかりした乾繭施設でないと困るというふうな意味で、製糸の方の団体の方に申し入れをやりまして、製糸の方の団体もそれには協力するこういうことになっております。これは乾繭はやっぱり技術的に非常にむずかしい問題等もございまするので、政府の方といたしましては、法律案通りますれば、これまた乾繭共同保管をやるための金融を農林中金あるいは信連がつけなければなりません。その信連の方としても乾繭が担保としての相当の比重を持つわけでございます。この間の予算でもって通していただいたところの養蚕の信用保証基金等もプラスする役割は果しまするが、十一分でございませんので、そういう意味でもって金融機関の方と農業団体の方と政府の方と十分乾繭施設に対しては調査をいたしました上で、との地帯ではこの会社、あるいはこの組合のこの施設がよかろうというふうなものをやはり厳重に調査した上で指定をするような形が最も農民のためにはいいのではないか、こう考えております。そういうふうな形でもって信用機関と乾繭保管をやる団体に政府の方も県の方に指令いたしまして、協力をしていい施設を指定して参る、こういう形でもって、いざというときに問題が起きないように準備して参りたい、こう考えておるわけでございます。
  147. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま関根委員の御質疑があったが、これは今局長に直せと言ってもしょうがないけれども、どうも農林省では、米価審議会委員には国会議員が出ておるのに、こうした糸価に関する委員は出さない。人事だからけっこうでもあるし、ふけっこうでもあるし、多くは言わないが、今度できる会社だけは確かに私は相当の人材を入れて、長い経験者もいいけれども、もう時期おくれの人ばかり並べるというとともまた考えものです。人選にその人を誤れば、せっかくの会社も用をなさなくなる。これは大所高所から見て、偏しないで十分に適材を得て、斯業の進展に寄与するという注意を持ってもらいたい。これに対する相当なる準備や決意があるかどうか、この一点。  次に、農業協同組合連合会が取り扱うと言うが、養蚕組合においてもやはり連合組合がある、これに対しましては、乾繭におけるところの倉庫の設備がないというようなことの御説明も承わっておりますが、しかし、もし農業協同組合なりあるいは養蚕協同組合なり適当な組合が保証して乾繭倉庫を利用し、これを保管させる。また主体から申せば、養蚕業を盛んにして良繭を得て製糸に送るというのが筋道なんです。もし今回この筋道を誤まるようなことになれば、将来また問題を起すことがないという保証はできないと思う。そういう場合の災いのないようにこの点もはっきりいたして、蚕糸業に対してはすでに局長、課長が知っておる通り、五カ年の計画もできて、最近はその計画は順次向上進展はしておるだろうと思うけれども、この問題と連係するときに、よりよき効果を上げて行くのだから、これらのことにつきまして今のうちからはっきり指導方面でもってその指導を通じて取り扱う。ややもすると、蚕業技術員の指導費も減額されるような今日で、助力によって復活したというような筋道から見ても、将来のことを考えて大いに危惧の念を抱くものであるが、これに対する所見はどうか。
  148. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この保管会社に対しましては、先ほども申し上げましたように、大臣は相当な決意で臨んでおります。御趣旨は十分に伝えて……。
  149. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 大臣誤らないようにね。
  150. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) はあやります。この会社は受け身の機関でございますので、まあ需要等は数はそう大きいものではないと思いまするが、業界全体のために公平に活動できるということが特に必要でございまするので、御趣旨は十分に体します。 なお、この乾繭協同組合会にありましては、御指摘の通り乾繭共同施設というものがやはり一番の弱体になっております。それについては公庫からの融資等もございまするが、その点については先ほども申し上げましたように、農民団体が乾繭共同保管をやる場合に不測の損失を負わないように政府としてはできるだけの協力はして参りたいと、かように考ええております。
  151. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  152. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。
  153. 清澤俊英

    清澤俊英君 実はこれを審議する上に、先ほど局長にちょっと懇談してみたのだが、政令がまだ案で確定的でないから出せないとこう言われるけれども、大体の案でもいい、詳しくなくても、審議するのに非常に困難していますからそれでもいいから、月曜には一つちょうだいしたいと思うのですが、未確定は未確定として、これは一つ委員会として、要求して、いただきたい。
  154. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいま清澤委員の御要求の政令案につきましては、案の骨子になるようなものでもできますれば次の委員会に御提出を願います。  本法律案につきまして、次回の委員会において残余の審議を終り、直ちに討論採決を行いたいと思いますが、あらかじめ御了承をいただきたいと思います。異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 江田三郎

    委員長江田三郎君) では、そういう工合にいたします。本日はこれで散会いたします。   午後四時三十二分散会      —————・—————