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政府委員(
塩見友之助君)
現行法は糸だけを大体目当にしてやっております。今度の場合には国会の御
要望も繭の増産のためにも、養蚕
農家の経営安定のためにも、繭価の
維持ということはぜひ必要だという強い御
要望もございましたので、繭の方は十一条の方で
最低禍価でしっかり固める、こういうことを第一のねらいにいたしました。それからもう
一つは糸の方でございまするが、
実情は製糸家の方も昔と違いまして、自己資本が非常に不足しております。それで繭を
相当大量に買いますと、これは高価のものですからそれは
相当長期に銀行から融資されておりまして、今スタンプ手形等で融資は特別に保護しておりますけれ
ども、銀行の方としましては、どうしても返済を迫るといろ
関係からして、弱い製糸家になりますと
自分の所で生糸に作ってから大体十五日くらいの手形で横浜に持って行って売られ、こういって強制される。そうすると検査を受けましてほとんど相場を見て売るということができませんで、投げ売りのような形態が
相当あるわけでございます。そういうふうな形で値をくずしまして、それで買手の方からは、また値が落ちた、それによって
自分たちは損害を蒙ったと安売りでの不満が
相当出るわけでございます。その他負債もあります。製糸家から、負債が全然ない、別のそういう買入れ機関というものが持ちますれば、これは融資は半年くらい十分つけられますから、その間に製糸家としますれば適当な機を見て、
自分の思うときに投げ売りしないで売れるという形になります。それくらいのことをやりませんと、今買手、売手の
関係からいえば、売手の方の製糸家が海外の市場で
相当豊富な資金を持っておりまする買手の方に対しまして非常に弱い、こういう形になっております。一方、独占禁止法その他で共同行為等は非常に制限されておりましてできないことになっておりますので、そういう点で値をくずし、しかも文句を言われる。こういう状態であります。そこがある
程度そういうような形で間接に
維持されますれば、これははね返りが当然養蚕家の方に行きまして糸値が上がれば繭価の方も従って
維持される、こういうふうな形で両方にその利益が均霑する、それから繭価の
維持の方はこれは養繭家の方の多年の
要望である。こういう形で両方にまあ経営安定上は役立つ法案であると考えているわけでございます。