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説明員(
昌谷孝君)
前回官房長から三十一年度
農林省関係予算の要求の内容につきまして
重点事項を中心といたしました御
説明をいたしたわけでございますが、さらにそのうち
公共事業を除きました
一般農林省所管予算につきまして
各局別の
予算要求事項別の整理をいたしましたのでお手元に資料として配付いたした次第であります。この
局別事項別の
予算要求の概要につきまして要点を
説明いたしたいと思います。
まず全体の姿でございますが、三十一年度の要求の
農林省所管予算の
公共事業を除きました総額は五百三十三億でございます。昨年度の四百九億に対しまして約百二十億の増加になっております。その局別の内容はここにお示しした通りでございます。以下
局ごとに主要な問題につきまして注釈的な御
説明をいたしたいと思います。
まず
農林大臣官房の
予算でございますが、
官房の
予算の中で問題になります事項は九番目の
総合助成、十番目の小
団地開発事業促進、この点が問題になろうかと思います。
総合助成につきましては先般御
説明いたしましたように、在来の
積寒地帯に対する
総合助成施策のほかに、その他の
特殊林地帯をも含め、またさらに特定の特に
林野率の高い
特定町村をも含めまして、そのような
低位生産地帯に対する総合的な
助成方式として強力に打ち出して参りたい、さような方向で要求をいたした次第であります。
次の少団地の
開発事業につきましては昨年度から開始したわけでございますが、一般的に従来渇望せられておりましたこの
種事業はさらに強力に推し進めまして、
食糧増産に寄与するという見地に立ちまして、本
事業につきましても相当大幅な
増額要求をいたしております。なおこの中には先ほど来お話の出ておりましたような
牧野改良、特に
開拓地におきましての
普通地の
草地改良事業、そういったものもこの
事業の中で進めて参る、さように予定をいたしております。
次に、次のページに参りまして、新たに要求いたしておりますものが出て参りますが、その中で十五番目にあげておりますのは
生産性向上という項目でございますが、これは昨年来ございました
生産性向上本部というものがございますが、従来は
農業関係をも含めました
生産性向上本部というのがございまして、それが米国の資金を
利用等いたしまして、各般の
産業関係の
生産性向上の諸方策をやっております。ただ実績に徴しましてやはり
農業関係の
特殊性からいたしまして、
一般産業の一部門としての農業ではございますが、
農業関係の
生産性向上を強力に推し進めるための手がかりといたしまして、三十一年度は特にその一般的な
生産性向上の方式の中から
農林水関係を切り離したと申しますか、独立いたさせまして、その
関係の
生産性木部を設け、新たに施策を強力にやって参る、さように考えておる次第であります。
それから
総合食糧の
消費政策でございますが、これはすでに
官房に
総合食糧消費政策室を設けまして、総合的な食糧の
自給度の向上に関する諸
調査でありますとか、あるいは
食生活改善の問題でありますとか、そういった問題について、
官房が各局の立場を総合いたしまして施策を進めておるわけでありますが、その
関係についての、少額でありますが
事務費を要求いたしております。
それからここに未定と書いてございます十七の項目は、御承知かと存じますが、米国の
大統領の
特別基金一億ドルを
利用いたしまして、農業の
国際協力関係の
事業に充当するという一つの
考え方がございますので、これをわが国の
東南アジアに対する
国際協力の一部に
利用することを考えたことがあるわけでございます。ただ、その基本になります
米国大統領基金の使い方、あるいは使途、配分につきまして、明確な段階に参っておりませんので、この際は未定といたしております。従いまして、この
関係は、国が直接そういった
技術研究所、
研修所でございますが、そういった
研修所を設けて、
東南アジアに対する農業の
国際協力のセンターを強力に進めて参る。あるいは国でやりますか、あるいは独立の
財団法人組織によりますか、それ等も未定でございますが、そういう方向が固まり次第
予算の必要なものについて
予算化いたすという所存であります。
次の十八番目の
海外派遣、
農村青年の
海外派遣の
関係でございますが、これは従来米国に
農村青年を四十名ばかり毎年派遣いたしております。この
関係を継続いたしますと同時に、従来は、
デンマークを中心にいたしまして外国の
営農関係の実地の勉強に
デンマークに約八名だったと思いますが出しておりました。これを
明年度はひとり
デンマークのみでなく広げまして、スイスでありますとか、あるいは西独、カナダ、
ブラジル等、それらの諸地域にもそういった
中堅青年を派遣いたしまして、外国の
営農形態を勉強していただく、さように拡大して考えて参りたいと思います。
次の十九番でありますが、
農林水産技術最高会議の設置に要する経費であります。これは、せんだって
重要事項の
説明で内容を御
説明いたしましたので、詳細の
説明を省略させていただきますが、在来の各局それぞれに属しておりました
試験研究機関の運営を総合し、かつ強力にそれらの
研究機関相互間の連係を保ちながら強力に進めて参るという構想のもとに、大臣の
附属機関といたしまして、
農林水産技術最高会議、名前はかりの名前でございますが、そういったものを設けまして、
委員長と
委員を六名、その下に簡素な
事務局を設けまして、各局各試験場の
試験研究に関する総合的な参謀本部的な役割を果していく、そういう構想のものであります。で、上に掲げました摘要のところにございます、会議の運営に要する経費二億二千六百万円は、そのうちその
最高会議が企画をいたしまたその企画に基いて、各
関係試験研究機関が
試験研究をいたしました成果を、
最高会議の主宰のもとに逐年成果を持ち寄って検討して参る、そのような、いわば
最高会議の事務的な運営に必要な経費がこのうち二千六百万円であります。残余の二億につきましては、
最高会議の何と申しますか、各在来の
所属研究機関が持っております
試験研究費のほかに、
最高会議が、ひものつかないと申しますか、いわば調整保留的な機能を営みますための予備的な
試験研究費を
最高会議に附属して
最高会議の
予算として二億円を計上いたしておるわけであります。これは
最高会議におきまして、
明年度の
試験研究項目を調整し、新規にそれぞれの
試験研究機関を動員して、新しい
試験研究を行います場合の財源として、実行上はそれぞれ担当いたします
試験研究機関に
最高会議から配付いたされる、さような方向で運用するものであります。
それから同じく
最高会議のところに計上しております(2)の
放射能利用関係の経費一億二千六百万円でございますが、これは、それぞれの
研究機関におきまして、
放射能を
利用して参るために必要な経費を新規に計上いたしたわけでありますが、それは各
試験研究機関にわたっております。この内容といたしましては、現在日本の
試験研究機関でこなしておりますのは、
アイソトープ利用の
試験研究の段階にとどまっておりますが、これをさらに
品種改良でありますとか、その他食糧とか、
林産加工の
関係でありますとか、
家畜衛生の病原菌の発見でありますとか、そういう高次の
利用に押し進めて参りますためには、先進国の
試験研究や
調査をよくいたす必要がありますので、この一億二千六百万円のうちの相当部分は各
試験研究機関から、米国その他の先進国の
試験研究機関、あるいは大学に人を派遣いたしまして、
調査並びに研究に従事していただく、その
関係の経費であります。なお、そういった
試験研究の
海外派遣旅費のほかに、現在アイソトープ研究室と申しますか、アイソトープ
関係の研究自体の施設としてもまだ十分完備いたしておりませんので、それらを完備していない
試験研究機関について、アイソトープ程度のところまでの完備をいたす、その
関係の
予算であります。従いまして、使います試験場、所は、おおむねのめどはついておるわけでありますが、こういった新しい
試験研究の領域の問題でありますので、私どもは事務的に各試験場、所の必要とします経費を、せっかく
最高会議もできることでありますので、各
試験研究機関に直ちに固定して
予算化することなしに、一応それを総合一括いたしまして、
最高会議の項目に
予算化いたしたわけであります。
最高会議が発足いたしますれば、今申しましたような著眼点で、それぞれの
試験研究機関がどの程度原子力の
利用にこの経費を
利用するかということをおきめ願って実行いたしていただく、さようなことにいたしております。
次に、農林経済局の
関係でございますが、農林経済局の
関係では、御承知の農業
委員会関係の経費、農業協同組合に
関係いたします経費、農業共済に
関係いたします経費・そういったような経費が重要な経費としてあるわけでありますが、これらのそれぞれにつきましては、さしあたりただいまの
予算要求の段階といたしましては、おおむね前年度の
考え方をそのまま踏襲いたしま「して
予算化いたしております。今後いろいろ問題点が出て参ろうかと存じますが、そのような見地で要求いたしましたので、あまり目新しい変更は来たしておりません。農業
委員会の
関係につきましては、町村合併に伴いまして、農業
委員会の数の異同があるというような
関係、その計数上のおもな異同でございます。農業協同組合につきましては、やはり昨年と同じような
考え方に立っておりますので、大きな変更はございませんが、若干従来やっておりますそれぞれの整備あるいは
事業活動の力をさらに強力にやって参るという意味での
増額要求がございますが、
考え方としての目新しいものは出ておりません。ただ事項としての六番目でございますが、資料の六ページの六番目のところにございます
関係で、六番目に農業協同組合の
整備強化という新しい要求がございます。これは農業協同組合の振興をはかりますための、何と申しますか、一つの基金のようなものを中央の団体がもちまして、これを活用いたしまして、系統組合の
整備強化に役立つような施策に
利用いたして参る、そういう
考え方をいたしております。これは金額的に申しますと、五億六千九百万円という金額でございまして、今申しましたような意味合いにおきまして、強力な施策を要求いたしておるわけであります。
それから九番目の肥料
関係でございますが、これも量的な増加のほか新しい考えはございません。
次の副業
関係、それから農村の電気導入
関係でありますが、これにつきましては、農村の電気導入
関係につきましては、従来指導のための
事務費が十分
予算化いたされておりませんので、あの法律の趣旨を徹底いたして参るのに十分でないという感じを持っておりますので、そのような指導のための
事務費を計上いたしております。
それから十三番目の
関係でございますが、これは先般申しました
明年度の
重点事項の一つとして取り上げております農林水産物の輸出の振興でございますが、この
関係につきましては、従来は生糸の
関係を除きましては、
農林省の行います輸出振興は主としてと申しますか、もっぱら国内の輸出農林
水産業の振興というところに重点があったのでありますが、これをさらに拡大いたしますとともに、今現に生糸について海外の同業者、あるいは海外の需要者と提携いたしまして、海外市場の拡大、あるいは広くはその商品の世界的な需要の増進ということをはかって参る、その趣旨で生糸にとどめず、広く一般の輸出の可能な農林水産物全般にわたりまして、そのような海外における需要の増進ということを強力に推し進めたい、さように考えまして、八ページの13の2というところに、海外農林水産物の市場
調査宣伝委託費というものを五億五千万円計上いたしました。これは昨年来の生糸
関係を吸収いたしまして、それにさらに業界の動きといたしまして、海外の同業者との提携がある程度緒についておりますマグロ
関係、サケ、マスの
関係を中心に、その他の農林水産物をも含めました海外の需要増進、市場
調査を強力にやりたいというわけでありまして、ニューヨークとロンドンに事務所を設け、なお生糸の
関係は特殊事情がございますので、ロンドンからフランスのリヨンに駐在員を出させまして、そのような海外の機構を整備いたしまして、個々の製造業者が個々ではなかなか手のつきません海外の同業者との提携、
つまり単なる輸出振興ということで参りますと、直ちに外国の競争業者との摩擦が起りますので、輸出振興もさることながら、海外の同業者と提携しての需要の開拓というところにむしろ重点を置いた施策をやって参る、さように考えておるわけであります。
事業主体といたしましては、現在の農林水産物の輸出振興会というものがございます。これをさらに強力なものに整備をいたしまして、その輸出振興会の事務所として、今申しましたような海外組織を整備して参りたい、さように考えております。
それから十四番目の経費は流通改善経費の一端でありますが、生鮮食料品の流通改善のための主要施策といたしまして、主要都市の中央卸売市場の施設の整備を今年に引き続きまして年次計画によって推し進めて参るそのための補助に要する経費であります。
それから十七番目の災害の営農資金の
関係は、御承知の一連の災害のたびに生じます利子補給でありますとか、また若干損失補償の必要が起りますものについてその
予算的な用意をいたしたわけでありまして、この要求の中にはまだ八月以降本年度の災害として認められました営農資金の融資額に見合いますものの計算がまだこの段階では計数が漏れております。これは引き続きまして計数がやっと明確になりましたので、なるべく最近の災害の手当の分まで追加いたしまして要求をいたすことにして目下
大蔵省とその分を含めました相談をいたしております。
十八番目の災害共済
関係は、先ほど冒頭に申し上げましたような意味合いにおきまして組んでおりますので、特別に御
説明をいたす問題はないかと存じますが、
市町村合併の
関係で共済組合の末端の単位が移動いたしますに伴いまして末端組合の事務所あるいは
事務費の整備のための経費に重点と申しますか、ある程度の増加の額が出ております。
それから一番最後の十三ページのところに飛びまして、摘要の七番のところにございますように、農業共済基金の資金貸付金といたしまして、例の二十九億を要求いたしております。これは御承知の基金の資金繰り
関係と申しますか赤字の、発足当時からの懸案事項であります。
農林経済局の
関係の場所といたしましては、農業総合研究所、肥料検査所、輸出品検査所、農村工業指導所といったようなものがございます。これらにつきましては、それぞれの機能の充実という見地で増額は要求はいたしておりますが、特に特記いたすべきものはございません。
それから次に参りまして統計
調査部でありますが、統計
調査部の
関係につきましても若干新規の統計
調査を予定いたしておりますが、基本は在来の統計
調査の組織の維持、運営、拡充ということに尽きますので一括してそういう程度に御了承願っておきたいと思います。
それからそういうことで飛ばしまして次の十九ページに参りまして農地局の
関係の
予算ですが、農地局
関係といたしましては、新規項目といたしましては三番目の愛知用水公団及び農地開発機械公団の監理に必要な経費がございます。これは農地局に両公団の監理をいたしますための監理官室を設け、監理官を置いて厳重にいたして参る、そういう構想がございますので、それを要求いたしております。
それから北海道の開拓
関係の実習の問題でございますが、これも従来現地からの熾烈な要望に基くものであります。
それから八番目の農業移民の
関係でありますが、農業移民の
関係といたしましては、
官房に掲げました海外の青壮年の派遣のほかに、農地局といたしましては、今後この移民の
関係の仕事を大いに積極的にやりたいという
考え方から、この摘要にございますように家族移民八千五百、単身移民五百人を一応目標といたしまして、それの出身地から送り込む現地に至りますまでの一貫した
調査、あるいは世話をいたしますための経費を組んでおります。なお、そのほかに移民の受け入れられそうな適当な国の識者をわが国に招聘をいたしまして、日本の農村の実態をよく見てもらいまして、移民の必要性と申しますか、日本からの移民の送り出しの必要なこと、あるいは適当であることを広く海外に認識をさせたいという趣旨の
予算を計上いたしております。
それから九番目、十番目、
開拓地の営農指導、あるいは農村建設青年隊等につきましては、それぞれ従来の行政をさらに積極化するという趣旨の
増額要求がございます。
それから十一番目の開拓融資保証制度につきましては、最近の保証金の運行の方向から見まして、新たに出資金を増額いたして参る、さような
関係で出資増に必要な経費が要求いたしてございます。
それから十二番目に、開拓者資金融通特別会計への繰入、あるいは繰り入れますのに一般会計資金を使わず、運用部資金を使っておりますので、その運用部資金を繰り入れたものにつきましては、資金利子の差額を一般会計から補給をいたしまして、開拓者融資営農資金の特別会計が逆ざやにならないような措置を講じております。
その次の十三番目は、機械開発公団の
関係と申しますか、世銀
関係の上北、根釧の両地区の機械開墾がいよいよ本格的に
事業が始まるわけでありますが、その
関係の営農指導を特に重点を置きまして、新しい
営農形態の樹立ということに遺憾なきを期する、その趣旨の経費であります。
以下自作農創設維持、あるいはこの
関係は、自作農創設維持の一連の従来の
関係経費の要求であります。
鉱害につきましても同様であります。
それから農地といたしまして、
明年度相当の重点を置いておりますのは、二十二ページの事項番号の二十二番でありますが、土地
改良事業の監査の徹底ということ、この
関係につきましては、監査官九名を設置いたしまして、事前あるいは事後の土地
改良事業関係の監査に遺憾なきを期して参りたいということで、新たにこの監査に従事する人員の増加要求をいたしております。
それから経済効果の確認に必要な諸
調査も従来にあまり
予算化しておりませんが、これを要求いたしまして、
公共事業というものの実効の高率化あるいは
適正化ということにそれらを含めまして重点があるわけであります。農地
関係の一般会計としては、
公共事業関係を除きます一般会計の
予算要求としては大体そういうようなことであります。
次に農業
改良局の
関係でありますが、農業
改良局の
関係といたしましては、初めの方に出ておりますのは、それぞれの
関係の本省経費でありますが、四番目に種子の
関係の経費をまとめて整理いたしております。金額的にはおおむね前回と大差のない金額を要求いたしておりますが、原々種圃といたしましては稲、麦、大豆、とうもろこし、甘藷、原種圃といたしましては稲、麦、大豆、とうもろこし、馬鈴薯、それから採種圃といたしましては稲、麦、大豆という
関係というものが主要農作物種子確保の
関係の一連の
事業であります。
それから菜種につきましては原種圃がございます。
それから共同育苗費につきましては、これは受益
関係が、その育苗費を中心にいたしまして農家に参りまするので、その趣旨から申しまして、御承知の
改良基金の方丈貸付金で実行いたして参る、さように予定いたしております。
それから主要作物の
関係でありますが、主要作物の
関係も従前通り原々種圃から採種圃に至ります一貫した種子の確保対策を考慮いたしておるわけであります。
肥飼料作物
関係の項目といたしましては、原々種圃で取り上げます項目は、四倍体の紫雲英、寒冷早植地向け紫雲英、それから原種圃で取り上げますのは四倍体の紫雲英、寒冷地向けの紫雲英のほかに、暖地向けの紫雲英、青刈大豆、青刈エンドウ、クロバーを新たに追加いたしております。それから採種圃の段階に参りますと、四倍体紫雲英のほかに耐雪耐寒性の紫雲英、そういったような項目を計上いたしております。
それから災害対策用種子予備貯蔵であります。これは従前もやっておりましたので御承知の通りでありますが、種馬鈴薯、麦、雑穀、それから蔬菜、それらにつきましては、災害対策用の予備貯蔵をそれぞれ考えております。
それからその次の項目に参りますと、農業生産力増強施設普及奨励という項名が書いてございますが、ここで水稲健苗につきましては、県の指導費につきましては従前通り補助費でやっておりますが、施設費につきましては先般御
説明申しましたように、新たに
改良基金の制度を設けまして、基金を計上いたしております。
それから耕土培養
事業といたしましても同様の
考え方でございまして、監査指導費と効果確認圃場設置費につきましては補助でやっておりますが、秋落水田等
改良事業費とか、酸性土壌
改良事業費の面は基金の機能にゆだねることにいたしております。
次の西南暖地につきましても同様の
考え方であります。
それから潅漑水温
調査事業費であります。これは新規でありますが、これは潅漑水の取り入れ口の水温の問題についての
調査でありますが、この
調査と見合った
事業といたしましては、
改良基金の方の保証勘定の方で、この取り入れ口の水温の調整のための施設といたしまして、最近普及段階に入りましたビニール
利用の施設の設置ということが考慮されております。
それから通し苗代等解消対策費でありますが、これも基金の方にいっておりまして、新たに従来ありませなんだ指導費を計上したわけであります。
それから次が特殊土壌対策費でありますが、特殊土壌対策につきましてはここにありますように、やはり県の
事業費なり効果確認圃場の設置につきましては補助をやっておりますが、その他の一般の
事業費につきましてはおおむね基金に行ったものが多いのであります。その
関係を特殊土壌の
関係の従来の
予算措置と三十一年度の
予算要求のやり方につきまして簡単に対比して申し上げますと、シラス対策につきましては従来防災茶園と防災桑園について補助が出ておったわけであります。この
関係は
明年度は五カ年計画の第三年目でもございますので、政良基金の方へ計上いたしました。それから次のヨナ対策といたしては、やはり防災茶園と防災桑園でありますが、これも本年度シラスと同様五カ年計画の三年目でありますので、直接の補助を基金の方に切りかえをいたしました。それからアカホヤに対する対策でありますが、従前は一括補助でやっておりましたが、そのうち効果確認圃場の設置だけを補助に残しまして、あとの補助は基金の貸付金の方に入れました。それからイモゴの対策でありますが、イモゴ対策につきましては、機械の購入とその機械の運営が主体でありますが、三十一年度はこれに必要な機械の整備は
補助金で引き続き整備をいたす、これは三十一年度で所要機械の整備を終る予定であります。機械は従前通り補助をいたしますが、その機械の運用、
つまり具体的に申しますと、オペレーターの費用でありますとか、あるいは機械を動かしますための燃料
関係の費用、そういったものは基金で見る、さような
考え方にいたしております。
なお、以上申しましたのは、特殊土壌対策のうちの非
公共事業といたしまして
改良局が従来
補助金をもってやっておりました
事業についての措置でありますが、このほかに
公共事業としてやっておりますものにシラス対策がございます。このシラス対策は先ほど申しましたように、防災茶園、防災桑園につきましては従来
改良局が補助してやっておりますので、これは基金に切りかえるのですが、土地保全
関係の
公共事業として行われておりましたシラス村策
事業は、従前通り
公共事業として三十年度十五地区をやりましたが、三十一年度は十九地区にいたしまして、引き続き補助
事業としてやって参るようにいたしております。それからなおこのほかにボラ、コラ、あるいは花崗岩地帯、こういう特殊の地帯の土壌対策が
公共事業で三十年度十七地区実施したのでありますが、三十一年度は引き続きまして二十六地区につきまして、
公共事業の補助
事業として実行いたして参る、そういう
考え方で、特殊土壌対策につきまして
改良局の
関係と申しますか、一般非公共と公共との
関係、またその補助と基金への切りかえとの
関係は、以上御
説明いたしましたようなことになっております。
それから次の北海道農業振興でありますが、これは従前やっております心土耕混層耕の機械の整備でありますが、これはあと一年で終りますので、引き続き北海道に対する分だけ補助として機械の購入を要求をいたしております。それからなお北海道の特殊事情としての輸出用のサイトウ、エンドウの品種が従前の輸出最盛期に比較いたしまして品質的に非常に退化をいたしておるという
関係がございますので、この輸出用の豆類の原種圃を設置する新規要求をいたしております。
それから次のページに参りますと、米作日本一、これは従前の継続でございます。それから農産物の取引所指導監督経費でありますが、これは農産課といたしまして農産物の取引所の監督に当っておるわけでありますが、そのための経費として特定した経費が従前ございませんのでこれを要求し、監督の強化を期したいというわけでございます。それから十番目は、主要農作物の畑作振興対策として新規に一億一千万円ほどのものを要求いたしておりますが、これは先ほど北海道について申しました心土耕混層耕の
考え方を内地府県に及ぼしまして、内地府県につきましても、ある特定の畑作地帯につきましてはこのような心土耕混層耕をやることによって土地生産力の拡大をはかって参りたいというわけであります。従いまして経費の主たるものは一番にありますトラクターの購入費であります。これは北海道の場合は道庁に対する補助をいたしまして、道庁がトラクターを購入いたして実施をいたしておりますが、内地府県につきましては後に畜産の方に出て参ります
牧野改良のための農機具と申しますか、大農具の購入費と
考え方を統一いたしまして、従前の二分の一補助を改めまして国が直接機械を買いまして
関係府県に貸し与えるという施策をとることにいたしました。これは一つは
事業の実施あるいは機械の総合的有効な活用をはかるということでありますし、もう一つはそれぞれの県に相当の負担になるわけでございますので、県の財政負担を軽減するという見地からも、この際二分の一補助を改めまして、国が買いまして貸しつけるという制度にいたしまして、機械そのものの運営の効率化をはかりますとともに、地方財政負担を軽減いたしたいという趣旨であります。これは従いまして国といたしましては、目下の
考え方といたしましては、五年くらいかかりまして県から貸付料を納めてもらいまして、大体従来の二分の一県が負担しておりました額に相当する金額程度の貸付料が国に入りました段階で、国から県に所有権の移転をする、そのような
考え方をとったらいかがであろうかと、さように考えております。でこのような心土耕混層耕によりまして、畑作地帯の
生産性の向上をはかるわけでありますが、そのねらいといたしましては畑作の麦、大豆その他につきましてそのような土壌
改良、土地
改良をやりますのと並行いたしまして、一つの畑作体系を新しく模範的に打ち立てて参るというねらいをしておるわけであります。従いましてその
関係といたしましては
改良基金の方に模範的な指導地区の設置に必要な経費を、何と申しますか、セットになった模範地区を、土地
改良、土壌の
改良から発し、肥培管理、病害虫防除といったような一連の畑作を振興して参るに必要な諸作業をセットにいたしまして、模範的な畑作経営の樹立をやって参る、そのようなねらいのある経費であります。
次の特殊農作物の生産確保の
関係でありますが、これは摘要に出ておりますようなチョマ、イグサ、ハッカ、除虫菊、茶、オリーブ、ミツマタ、コウゾといったような、いわゆる特産物についての種子の
改良、あるいは増産の奨励であります。なお、それと輸出球根の原種圃といたしましては、チューリップを引き続きやっております。それからもう一つの特殊な農作物といたしましての北海道のテンサイにつきましては、従来の原採種圃の経費のほかに、テイサイの
利用の増強をはかるという趣旨から申しまして、茎葉の乾燥飼料化ということについて試験的に北海道の農業試験場に乾燥機を補助いたしまして、従来テンサイが当然総合的に
利用さるべきでありながら、茎葉の飼料化ということについて十分の経済効果を上げておりませんので、この
関係の経済効果の向上のための試験的な施策を考えております。それから特殊農作物の第四といたしましては、輸出用の果実のカン詰の新品種と申しますか、桜桃につきまして、平塚の園芸試験場のほうで新しく相当自信のある品種の育成をやっておりますので、これを急速に産地に普及いたしたいという趣旨での新しい桜桃品種の普及、その何と申しますか、新しくとりましたその穂木の頒布のための経費を計上いたしております。それから紅茶につきましては、製法もだいぶ世界的に申しますと日本は立ちおくれておるようでありますし、輸出されますものがとかく低廉かつ低品位のものが輸出の対象になっておるように思われますので、これを最近の国際的な需要に見合った、新しい需要に対応させるための諸施策を講じて参りたい、その
関係であります。
それからお茶の原種農場につきましてはここに書いてございます。施設の新営に若干新しいのがございますだけで、特別に従来の
考え方につけ加えるべきものはございません。
それから種苗検査、これも同様でございます。
それから次の植物防疫につきましては、国の防除器具の新規購入がございますが、主眼といたします防除組織の整備につきましては、予察網の充実を続けますほか、防除器具の購入につきましては、三十年度から始めました防除器具の
市町村分の整備を年次を追って進めて参るということになっております。なお
都道府県分につきましては、やはりこれも年次計画によります三十一年度分を計画通り実行いたすのでございます。それから農薬の整備の欠損補てんのための経費でありますが、これにつきましては、従来のと申しますか、三十年度は全国段階で備蓄をいたしましたものにつきまして、
つまり異常災害の発生のための備蓄を全国段階でいたしておりますが、これを従前通り進めますほか、平常発生分につきましても、
市町村段階で需要期に一度に発注することなくもあらかじめ春ごろから早期に発注をいたしまして、手持ちをいたしまして、
つまり農薬の早期手当と申しますか、そういうことによりまして緊急の事態に備えると同時に、価格なり、需給
関係の混乱のないようにいたすという趣旨で、
市町村段階での早期購入の奨励をいたしますための金利なり何なりの補助を考えております。それから
都道府県の段階につきましては、そのように平常発生分のおおむね半量に近いものを
市町村が早期購入をいたしますので、大体において県段階では、そのそれぞれの町村が早期手当をいたしましたものにつきまして、何と申しますか、県段階ではでこぼこ調整と申しますか、一つの安全弁的な備蓄をやるという意味におきまして、平常発生分の約一割分に相当する量を県段階で手当をいたす、そのような
考え方になっております。
次に参りまして、機械化の促進の
関係といたしましては、現在やっております機械の検査の
関係を拡充いたしますほか、展示施設でありますとか、あるいは農業機械の
利用の合理化の促進のための諸施策をやって参る、さようになっております。
それから十八番目の
都道府県の農業試験場の
試験研究に対する一連の補助でありますが、これは御承知の指定試験でありますとか、育種試験でありますとか、原種決定試験等、いろいろ従来
都道府県の試験場を
利用あるいは活用いたしまして、国の試験場との有機的な関連のもとに各種の新しい施策が生まれてきたわけでありますが、その
関係を引き続いてやって参ります。なおその中には次のページにございますような新しく考えているものもございますが、個々につきましては省略させていただきます。
それから三十二ページに参りまして、農業試験場に、畜産についても、特に先ほど来お話しがありましたような総合的な意味で、畜産
関係の
試験研究にも今後重点を大いに置いてやってもらおうという意味におきまして、特に一般の農業試験場に対する
試験研究費補助を分けまして、ここに十九番の番号で一本独立して畜産
関係、特に牧野、草地の
利用の増進といったようなことに重点を置いた
関係の
試験研究の計画を持っております。
それから二十番目に掲げましたのが農業
改良普及
事業でありますが、これは基金制度の
考え方の前提になっております
改良普及
事業を強化拡充いたしまして、
改良普及
事業と一連の国の助成が表裏一体の
関係になりまして、国の助成と
改良普及
事業がそれぞれ切り離さないでうまく強力に動くということによりまして、それが前提になって、従来の
補助金が
改良基金にと申しますか、
改良基金制度というようなものの
考え方もそういう普及員の施設面あるいは物的な面への積極的な介入と申しますか、そういうことが前提になっての制度でございますので、
改良普及
事業につきましては、特に末端まで
改良普及の
事業が浸透いたしますような意味合いにおきまして、組織の充実、拡張を考えております。
それから二十一番目の農業講習でありますが、これはやはり従来ここにありますような県、あるいは特殊の法人組織の各般の
農業関係の講習施設を活用して、農業の
改良に資するという趣旨での補助であります。
それから二十二番目に
改良基金の運営管理として十六億八千九百万が出て参りますが、これは先ほど来申しておりましたような意味での貸付金勘定について、国が三分の二を補助し、また融資保証勘定につきましては県に設けられております今の基金が、貸付金のほか同時に損失保証をいたしまして、その損失保証をいたします分について利子の補給をいたすと、その利子補給に必要な経費の
補助金であります。そのようなものが計上せられております。詳細につきましては前回もお話がありましたので、省略させていただきます。
それから
改良局
関係の場所といたしましては、ここにあげましたようなそれぞれ場所がございますが、これも事新しく御
説明の必要はないかと存じます。
次に
畜産局でありますが、
畜産局といたしましては、この二番目の畜産技術振興という経費が上っております。これは本年度二千万円、
明年度一億一千六百万円ということで計上いたしておりますが、これは現存畜産指導
事業が非常に不活発でありますのにかんがみまして、畜産の末端農家に対する技術指導、畜産経営、畜産技術についての指導の体制を固めて参るための施策といたしまして、畜産経営診断
事業というような名前で、
関係の団体を組合、網羅いたしました一つの体制を整えまして、末端農家の今申しました経営指導を具体的に取り上げてやって参るという計画を持っておりますが、このための経費であります。従いまして、県におきまして県畜産会、中央におきまして中央畜産会ができまして、かような現存農家にそういう技術指導、サービスをやっております末端職員を持っております団体を糾合いたしまして、その団体職員のうち約六千名でございましたかを、特にこの経営診断
事業のために動員をいたし、それによって
明年度さしあたり四万戸について経営診断
事業をやり、有畜農家の経営の改善を考えておる、その
関係の経費であります。
それから次の三番目に家畜の
改良増殖、この
関係は従前の家畜検査でありますとか、種畜購入補助のほか、新規に数年来試験的に導入いたしましたジャージー種につきまして、これを現実に日本の風土に、経営に適する方向に品種の積極的な日本的な意味のジャージーの固定と申しますか、方向を固めて参る必要がございますので、そのジャージーにつきまして、特に従来入れました種母畜の能力の検定、また同時にそういった登録基準の設定、そういった本格的なジャージーの日本化ために必要な経費を組んでおります。
それから四番目のジャージーの輸入でありますが、ジャージーの輸入につきましては、従前御承知のように、国が買いまして貸付をいたしまして、頭金を、子返しを併用して特定の地区に入れて参ったわけでありますが、三十年度
予算でこれは二カ年計画で従来やっておりますので、三十年度は新規に二地区についてジャージーを購入いたすことになっております。この三十年度に新規に取り上げました二地区につきましては、
明年度に全く同じ方式によりまして、残余の三百頭あたりを購入して参ることになります。それからそれ以外のジャージーは、目下交渉が最終段階に大体きておるように聞いておりますが、世界銀行資金の活用によりまして、ジャージーの導入を考えておるわけであります。
明年度は二千五百頭を世銀借款によりまして導入いたすことに計画を持っております。で、三十一、三十二両年度を通じまして、五千頭、その半分の二千五百頭を、三十一年度に世銀を使いまして、この二千五百頭のうち一千三百頭が機械開墾地区といわれております、根釧、上北の周辺地区に導入されます。それから残余の千二百頭は、これ以外の一般のと申しますか、上北、根釧以外の一般の集約酪農地域のうちジャージー種の適当だと思われる地域に新たに導入せられるわけであります。従いまして、財政支出面におきましては、従来牛の賞付代金が計上されておりましたので、
畜産局としては相当の金額になっておったのでございますが、牛代金そのものは財政支出の必要がございませんので、財政支出面では相当の軽減になっております。財政支出として負担いたしますのは、購買官を派遣して購買の事務をやる、そういった購買
関係の間接費的なものだけになりまして、牛代金は世銀、それから世銀が貸しません残りの船運賃でありますとか、そのような一連の円資金につきましては、それぞれ金融で、機械開発公団の機能の拡大を伴いますが、機械開発公団の機能をこういった牛の取扱い業務まで含めることを前提といたしまして、
予算はそのように一般財政支出の面では軽減して参ります。
それから次の
草地改良事業でありますが、
草地改良事業につきましては、先ほど来いろいろお話が出ておりますようないろいろの問題を含んでおりますので、ここに五番目の事項までの中にあげてあります費用としましては、二番目に書いてあります牧野の土壌
調査ということが新しく取り上げられております。これは耕土培養
事業、あるいは
開拓地の開拓不適地度の土壌
調査といったような土壌
調査、あれと同じような方法で、あれよりもやや広範囲のサンプリングになりますが、同じような方法をもちまして、
改良予定草地につきましてまず土壌
調査を行い、その土壌
調査を基礎といたしまして、土壌
改良あるいは播種等を行なって参る、かような意味合いで土壌
調査を新規に計画いたしております。従いましてこれの
事業実施主体は、県段階におきましては、県の農業試験場が一連の土壌
調査の拡大として担当いたすわけであります。それから土地
改良事業そのものといたしましては、従来の高度集約牧野につきましては、高度集約牧野の造成
改良は、ここに計上いたしておりますのは、まず
事業設計の
適正化を期するという趣旨から申しまして、県におきまして、事前あるいは事後の指導監督を十分に行う、それから高度集約牧野は集約酪農地域におきまして、先ほど申しましたように国が機械を買いまして、それを高度集約牧野の
改良の根幹とするという趣旨に切りかえました。それから
改良牧野につきましては、一般的な
事業をさしあたり補助することを控えまして、県をして
改良牧野につきまして展示的な
改良を行わせる、そういうふうな線で考えを固めております。
それから次の北海道の畜産振興につきましては、これは例のルーサンでありますが、ルーサンを北海道に普及するということにつきまして、従前失敗の歴史を繰り返しましたルーサンでなく、最近の模様によりますと、非常に適応性が強いのでありますので、このルーサンの普及をやるわけでありますが、このルーサンそのものの普及は、
改良基金から耕作についての資金は農業
改良基金の貸付金勘定でそれぞれの適地に所要資金を出します。でここに計上いたしておりますのはそのルーサンの
利用のための一つの問題点であります集約後の
利用の確保の問題といたしての乾燥機の設置であります。これも先ほどテンサイ糖の項で申し上げましたとほぼ似たような
考え方でありますが、それらのルーサンの適地のうち、特に濃霧地帯等乾燥の困難な地帯につきましては、機械乾燥を考慮いたしております。