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委員長(
江田三郎君) ただいまの
有馬議員の
報告に対する御質問ございますか。
政府に対しましては後ほどということにしまして、
有馬委員に御質問ございますか……。ございませんか……。それじゃ第一班の方の
報告を私が参りましたからいたします。
私が参りましたのは
鹿児島、それから桜島、大隅半島を回りまして、それから都城から
宮崎県へ入って途中
椎葉村へ参りました。そうして
大分県の方へ参りました。大体今度の
台風の
被害は全般的に
農作物被害が多いのでありまして、
施設災害の方はあまり大したものではないと思います。
農作物の
被害はたとえば
水稲について申しますと、
地元の
報告では
鹿児島は三二%、
宮崎は二三%、
大分は一八%という
被害、その他の
作物についても大体三県で
鹿児島が一番ひどく、
宮崎、
大分がこれに次ぐと、こういう
状態と見ております。それで
被害の
総額につきましては一応県の
報告では、
鹿児島は
農林水産関係が合せて八十五億六百九十余万円、
宮崎は七十億九千七百余万円、
大分は四十二億五千八百余万円こういう数字になっておりまして、先ほど申しましたようにその多くのものは
農作物被害でございます。そこでそれらについての
要望はただいま四国、
山口の方の問題について
有馬議員からお話がありましたが、大体似たようなものでございますが、ただこれらの所を回りまして、特に問題となるという点につきまして若干御
報告したいと思いますが、それは先ほど申しましたように
水稲の
被害について
鹿児島は三二、
宮崎二三、
大分一八%ということになっておりますが、これは今年の
収穫期待量からの
減収比率でして、従って平年作に対してどのような
減収になるかということにつきましては、これはいろいろ問題があると思うのであります。そこでそういうことがすぐに「
天災による
被害農林漁業者に対する
資金の
融通に関する
暫定措置法」の
適用にも
関係いたしますし、また今後
農作物共済の方の扱いにも
関係してくるわけでありまして、
連年災害を受けて、いわゆる平年作といわれるものが非常に下っておる場合に、一体その平年作をどう見たらいいのかということは、相当慎重に検討いたさねばならぬ問題だと思います。これはまあ今後の問題だと思います。
それからこういう
地帯はいずれも
災害常
襲地でありまして、私ども視察いたしましても全く
連年の
災害でもう力も根も尽き果てたというような印象を非常に受けるわけでありますが、そこで問題はそういう所をどうして行くかということ、
地元の方ではいろいろ
保護あるいは
助成というようなことを言われるわけですが、一体この
保護、
助成、それからもう一番大きいのは
資金の
融通ということを言われるのですが、
資金をただ
融通するだけでいいのかどうかということでありまして、
資金を
融通して借金ばかりができて行く、しかしまた来年も再来年もおそらく
台風のいわゆる
銀座通りとし一毎年やられるだろうということになると、それだけではどうにもならぬのではないかということが問題になると思います。そこでたとえば
資金の
融通の中にでも、三県共通して出ましたのは、
自作農の
資金の
ワクを広げて
融通してくれという問題ですが、しかし
自作農資金をこういう
連年災害の所へ
融通した場合に、その場合に取扱いが、
担保ということになりますか
保証ということになるか知りませんが、おそらく今の
農林漁業金融公庫あたりの
やり方から行くというと、
土地担保ということになると思いますが、それじゃ一体ことし
土地を
担保にして
自作農の
資金を借りて、来年も再来年もこれまた
連年災害があったら、これは一体どうなるかということでありまして、そういうようなことは軽々しくただ
借入金だけでその場を過ごすということではいかぬのじゃないかということを考えさせられるわけであります。特にこの
自作農資金の場合には、もしどうしてもこういう所が
自作農資金でやって行かなきゃならぬとすれば、その際は
土地を
担保にすべきではなくして県あるいは
地方公共団体が
保証をするという形にでもしなければ、もうこの次には何も残らなくて、娘以外にはないということになると思います。そういう、
ひとり自作農資金の問題だけでなしに、
借入金によってとにかく逃れて行こうということは、
災害がときどき忘れたころに来る
地帯なら、そういう
やり方もいいと思いますけれども、
災害常
襲地では別な考え方がなければならぬと思うのであります。そこでこの三
県とも例の
災害常
襲地の
特殊立法の成立を
要望しておられますけれども、しかしながらあの
特殊立法は先般の議会の模様からいたしましても、なかなかそう簡単にはいかぬと思いますが、今後そういう
特殊立法として行くのか、あるいはそうでなしに、たとえば
防災営農というものに
重点を置いて、あるいは
水稲の早植えをするとか、あるいはまた風にあまり
被害を受けないところの畜産に
重点を置くとかあるいは
防風林なんかもないのでありますが、そういう
防風林等を今後作って行くとか、そういう
災害に堪え得る
営農を築き出して行く、それに対して
補助をして行くというような形も考えられるのではないかと思いますが、いずれにいたしましてもこういう
災害常
襲地の
対策については単に
資金融通というようなことは、もうこれは限界に達しまして、いよいよもってそれらの諸君を泥沼に落し込むことになるのじゃないかと思います。
それから今度の
災害じゃございませんけれども、
鹿児島では例の
ボラ地帯の
土地改良をやっておりまして、これを拝見いたしましたが、これは非常に喜ばれておるようでありまして、ただこの
法律の
適用が来年で切れるわけでありまして、これをぜひ
延長してもらいたいということでありましたが、そういうような、その
地帯の特殊な十壌あるいは
災害の特殊な条件に対する何か特殊な
対策に対して
補助をするというような形で行くことがいいのじゃないかということを考えるわけであります。しかしいずれにいたしましても
災害常
襲地へ何らかこの辺で
カンフル注射でもいたしませんというと、もう疲れ切ってどうにもならぬということを先ほど申しましたように強く感じたわけであります。
それから
宮崎県の
椎葉村の
崩壊状態を視察したわけでありますが、それは先ほど写真を配っておりますからごらん願いたいと思うのですが、まあ私ども実際見まして、ちょっとあきれた次第です。
大河内、あそこは
一ッ瀬川と
耳川と二つありまして、その
一ッ瀬川の方の
流域の
崩壊だけを見たのでありますが、
耳川関係も同じような、あるいはもっと大きな
崩壊を来たしておるということであります。そこでそのために
大河内で申しますというと、川が埋もれまして、九州電力のダムが役に立たぬようなことになっておりますが、さらにそれから下がずっと
土砂で川が埋没しまして、村所というようなところでは三メートルも河床が上っておるためにことし四百五十ミリ程度の雨でも橋よりも水が上に上ったというようなことで、今後この
状態で行きますならば、ほんのわずかの雨でも
災害を受けなけれなばらぬというような大
へんなことになっておりますが、なかなかこれは今のような
状態では、
予算の
つけ方では、この
崩壊地の
復旧ということができないのじゃないか、そうしますとこれは下流に及ぼす
影響等も大
へんなことになると思うのであります。そこでこの
復旧は、これは急いでやらなければならぬことでありますが同時に私ども考えさせられましたことは、こういうような大きな
崩壊が何を
原因にして起きているかということです。それをよく聞いてみますというと、一つは
採草地が腹が割れるようになって押し出していますが、それなんかは
採草地の管理が悪いということが
原因じゃないかと思います。それから木を切ったあとの
焼畑をいたしますが、それを
菜種あたりを三年くらい作ると、そして古成層の
土壌で三年も
焼畑をやりましたならば、これはもう危険なことが起るということは当然考えられる、そういう
原因もあります。それから木を切り出すときの何といいますか、谷みたいにして落して来ますが、それが
原因ということもありますが、それにいたしましても
焼畑で
菜種をとりましても、木を切りましてもほんの数十万円の
収穫あるいはもっと小さい
収穫のために、それが
原因になって数億円に及ぶような
崩壊を来たすということは、これは一体このままでいいのかどうかということになるわけでして、この問題につきましてはやはりもっと
取締りということが考えられなければならぬのじゃないか。もっとも一律に全国の山を
焼畑をしてはいかぬということは、これはできませんけれども、たとえば
土壌が、土質が非常に安定していない所、そして雨量が
椎葉村のように平年二千ミリ以上もくるという、こういうような所については、何らかの
取締り措置を講じなかったならば、ほんのわずかばかしの収益のために、あと百倍、千倍というような大きな
被害を出すということは放置できないと思いまして、これは今後当局においても十分考えられなければならぬと思います。
それから問題が飛び飛びになるのでありますが、都城を中心にいたしまして、あそこの平野は約一万七千
町歩の
耕地があるわけですが、その一万七千
町歩の
耕地の受け口に轟ダムというのがあります。これは最初できるときに相当問題を起したようでありまして、大正十五年に竣工いたしましたが、これは九州電力の大淀川第一発電所です。これはできるときに県議会の方でも問題になっておって、一応中止になっておったものを、どういう事情であったか、強行してこのダムを作ったということから、このダムのためにそれから上流の
河川がだんだんと埋没されまして、そこで
昭和十八年から
昭和二十八年までの十一年間に四百
町歩以上千
町歩のはんらんが二十九回、千
町歩以上のはんらんが十五回、こういうことであります。昨年の第十二
号台風によりましてはんらんが三千五百
町歩、それから今回の二十二号で二千四百二
町歩、毎年こういう
状態になっております。そこで
地元では水害
対策委員会を作りまして、この轟ダムを撤去せよという要求をもって県庁に押しかけてすわり込みをやっているというような
状態でございましたが、どうも今後もこういう発電ダムと農業あるいは
漁業との
関係というものについては、よほど慎重な扱いをしてもらいませんと、このようなどうにもならない毎年毎年一年に二回も三回も四百
町歩以上のはんらんを起すというような
状態がくるわけでありまして、これにつきましては現在
宮崎県庁の方が九州の建設省の地建あるいは各大学等に委嘱いたしまして、専門家に
調査をやってもらっているようでありますが、どうも私どもは初めに一つダムができておりますというと、なかなかこれを撤去せよというような結論は、いろいろな条件からして出しにくいんじゃないかと思うのでありますが、これはただダムの問題だから建設省だ、あるいは通産省の問題だということでなしに、農林
関係におきましても
被害者の立場から重大な関心を持たなければならぬと思います。
それから建物の
災害というものはこれは相当多いわけでありますが、ただ私ども奇異な感じに打たれましたのは、案外建物共済というものが利用されていないということであります。それで、ほんの一部分だけ建物共済が利用されておりますけれども、ほとんどの
地帯で聞いてみますというと、農業協同組合でも建物共済というものがほとんど関心を持たれていないという。建物共済については中央では両団体がしのぎを削っているのでありますが、一番肝心のこういう所に行って見ると、両方ともほとんど関心がなくて、ほとんど加入者がないという
状態で、このけんかもなかなか何をけんかしているのかわからぬという印象を受けた次第であります。
それから国有林の問題につきまして、仮設住宅をやった場合に、国有林の特売という取扱いを受けるかどうかということが問題になっておりまして、仮設住宅は将来これは個人の住宅になるのだからして
公共施設ではない、従って国有林の特売の
適用は受けないのだということを
現地の営林署で言っているというのでありますが、これは少し国有林の営林署あたりの解釈が私は間違っておるのじゃないかと思うのでありまして、将来は個人の住宅に移ろうと何であろうと、一応県として仮設住宅で行く以上は、当然これはこの特売の恩典にあずかるべきものでありまして、その点はどうも営林署の
現地の諸君というものは、昨年の北海道のときにも痛感いたしましたが、あまりにも規則にとらわれ過ぎて、本来そういう国有地がだれのものであったのか、
地元の大衆とどう結びつけなければならぬかというようなことにつきまして、特別会計の、こちこちになって少し
融通がきかぬといいますか、少し反省を要する点があるのじゃないかということを痛感いたしました。
そのほかいろいろ問題はございますが、大体
地元からの陳情書も皆さんのお手元に参っておると思いますので、簡単でございますが以上御
報告いたします。
質問ございますか。それでは以上の
報告に対する
対策の問題は、
政府にお聞きしなければならぬのでありますが、これは後刻の議題にいたしまして、ちょうど出席された事務当局の
関係からいたしまして、先に
農業課税の件を議題にいたします。
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