運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-09-15 第22回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月十五日(木曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            千田  正君    委員            大矢半次郎君            重政 庸徳君            田中 啓一君            寺尾  豊君            飯島連次郎君            奥 むめお君            溝口 三郎君            清澤 俊英君            三橋八次郎君            森崎  隆君            湯山  勇君            東   隆君            松浦 清一君            菊田 七平君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林大臣官房長 安田善一郎君    農林省農地局計    画部資源課長  江川  了君    農林省農業改良    局研究部企画官 横井 時次君    農林省農業改良    局研究部企画官 加唐 勝三君    農林省畜産局長 原田  傳君    農林省畜産局有    畜営農課長   山本兵三郎君    林野庁指導部長 藤村 重任君    農業技術研究所    家畜部長    鶴田 祥平君    農業技術研究所    経営土地利用部    農作業研究室長 宮坂 梧朗君    林業試験場経営    部牧野研究室長 原  敬造君    林業試験場経営    部牧野研究室技    官       井上楊一郎君    関東、東山農業    試験場草地部長    代理      関塚 清藏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (草資源改良造成及び利用増進の  件) ○本委員会運営に関する件 ○参考人の出頭に関する件     —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  この際ちょっとお諮りしておきますが、この次の委員会を先ほど御懇談申しましたように、十月の六、七、八、三日間開きまして、それには河野農林大臣も帰って来られますので、余剰農産物問題の報告を聞くこと、それから米の需給計画について政府計画を聞くこと、それから昨日お諮りいたしましたように、草の問題についての第二回目の参考人を呼んでの御協議を願うこと、このほかに各委員の方から御要求がありました問題を取り上げる、こういうことにいたしまして、六、七、八の三日間開きたいと思いますがよろしゅうございますか。さよう御了承を願うことにいたします。     —————————————
  3. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは本日は草資源改良造成及び利用増進の件を議題といたします。  かねて当委員会におきましては、わが国の国情から草資源改良造成及び利用増進をはかりますことをきわめて重大な問題として取り上げて参りましたが、この際この問題の推進に資するために、農林省において本問題の直接の担当者であります諸君の御出席を願いまして、昨日御了承を得ておきましたような順序に従って御説明並びに御意見を伺うことにいたしたいと思います。  最初に草資源改良造成及び利用増進に関する参議院農林水産委員会申し入れに対して、農林省において今までとられた措置及び今後における方針につきまして御報告をお願いします。
  4. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) おくれまして恐縮でございます。昨年の暮以来、特に参議院農林水産委員会におきまして草資源造成改良及び利用増進に関する施策日本農業のより合理的な転換と規模の拡大また多角的経営利用資源活用等見地からいたしまして、もっと総合的に強力に推進すべきではないかということに関連しまして、その調査会設置その他等につきましても御決議をいただき、また御推進を願っておりますので、私どもも非常に感謝にたえない次第でございますが、かねて農林省といたしましても、部分的には明治以来いろいろこの施策を講じておるわけでありますが、全体的な見地、体系的な行政進め方等に至りましては、まだ不十分なものが多いと存じておるのであります。むしろそう言わんよりは、新しい見地に立ちまして日本農業根本的転換ということから、あるいは夫利用資源を画期的に活用利用するという見地からしましては、いまだ着手してないという程度自信しか正直に申しまして自信がございませんのでありますが、しかし各局、各方面事項につきましてはあるいは畜産あるいは試験研究あるいは林野その他の観点からいたしましてぼつぼつと予算も計上し、関係の法律も相当たくさんにわたりまして、ともかく補助奨励事業その基礎になる試験研究調査事業、実効的に部分的な国営による部分では、若干のことを行なっておる次第でございます。しかしこの問題をお取り上げ下さいましたり、また世論一般にもありまする要請に応じまして、私どもとしましてはまず省内には当面これを総合統一して強力に推進して参る、また考えて参るという行政機構の欠如を感じておる次第でございまして、この点御指摘もありました通りであると反省をいたしておる次第であります。そこで省内にまず関係局課長級専門家級中心に、幹事といたしまして、その他優秀なる素質ある専門家委員といたしまする草資源対策連絡協議会というものを置こうとすることに決定をいたしました。この協議会農林省本省及び付属機関の比較的有識者専門家的な人でまず始めようと思っておるのでございます。総合計画部会法制経済部会試験研究部会と三段階に分けまして、そのおのおのにおきまして担当事項もきめまして、これから本格的に御要請にもこたえて行きたいと思っておるのでございますが、これに照応いたしまして、というと、ちょっと語弊がございまするが、この省内連絡協議会事務局機構にして、官民有識者に自由なまず論議をしていただいて、その中におのずから当面取り上ぐべき事項、将来の基本対策にすべき事項をだんだんと教えていただき、農林省官民合同農林大臣諮問機関であるところの草資源調査会とでもいうべき仮称のもの——もっと適当なものがいいかとも思いますが、仮称草源資調査会設置をすることにいたしまして、大臣にも御了承を得、間もなく農林大臣も帰国いたしますので、帰りましたらさっそくその意見も御判断もいただきまして、この調査会の出発とむしろその事務局機構ともいうべき省内事項取りまとめ推進をいたしまする省内草資源対策連絡協議会をもって出発いたしたいと思っておるのであります。過般——昨日もまたそれ以前も石黒忠篤先生等にも実は御相談を申し上げ、御意見をお聞きしておるのでございますが、非常な賛意を表せられておりまして、私どもも一そう心強く存じておるのでございます。その間——その間と申しますのは、過般参議院の当委員会において御意見もいただき、御論議も、関係局長も参りまして、出ましたようでございます。私当時直接に関係はいたしておりませんが、速記録等も拝見いたしまして、その間の御意向のあるところをしんしゃくいたしまして、特に参考にいたしまして、ただいままで農林省内において研究いたしましたものを——農林省全体といたしましてもまだほとんど未着手といってもいい事項でございますし、私といたしましては特にこの方面に知識がございませんので——別冊配付を申し上げたと思いますが、草資源対策に関する資料という印刷物についてごらんをいただきたいと思います。若干厚いのでございますので一応経過を御報告いたしまして、また委員長の御指示に基いて申し上げたいと存ずるのであります。
  5. 原田傳

    説明員原田傳君) 草資源開発並びに利用増進に関しまする当委員会の御申し入れにつきまして、農林省内におきまする措置につきましては、ただいま官房長から詳細御報告がありました通りでありまして、実質的にこれにつきましてつけ加える点はないのでございますが、私ども立場といたしましては草資源開発並びに利用増進という問題が農業経営全般につきまして重要であるのでありますが、特にこれによりまする関係の深い点におきましては、家畜飼料という見地におきまして、また畜産経営の安定という見地におきまして、最も私どものやっておりまする畜産局仕事が縁が深い、こういうふうに考えまして、御申し入れをいただきました後におきまして、あるいは予算要求なりあるいは省内におきます関係局との連絡等におきまして、いろいろ努力をいたして参ったのでございますが、何分にも非常に根本的な大きな問題でありますことと、関係の局、庁がそれぞれございますので、非常に手間取りまして、ようやく先ほどから官房長から申し上げておりますような段階になりましたので、研究努力の進み方がおそかったことにつきましておわびを申し上げる次第でございますが、今後におきましては、省内関係局、庁と緊密な連絡をとりまして、できるだけ早く調査会の発足を見、またその調査会の御意見をいただきまして、すみやかに実施に移すように努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  6. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいま当委員会申し入れに対して、農林省において今までとられた措置及び今後における方針官房長及び畜産局長から報告を受けたわけでございますが、この点について御質問ございましたらどうぞ。
  7. 田中啓一

    田中啓一君 私は当委員会申し入れに対してでき得る限りの措置を講ぜられて、将来この方面を進めて行くについての態勢をここまで整えてこられたことについては私は大変満足でございます。そこで今連絡協議会というのがまず発足しつつあるように伺いましたのですが、そうしてその構成は、大きく中を分けますと、総合法制技術というようなこう三つに分れるわけでございますね、それもまことに適当であろうと思いますが、そこで一つ質問の前に私資料をお願いしたいのですが、まあこれを中心としまして、これがどういう人で構成されておるか、その部のやらんとしておることでありますね、どうせお作りなった以上は、私はそれはわかっておるに違いない、それと、それからとにかく草資源なりあるいは家畜飼料造成なり、あるいはひいて輪作の問題なりそういったものを、つまり草を入れての輪作ということですね、各試験機関でなりあるいはまた試験機関といわないでも、農林省各局課相当研究を進めておられると思うのであります。あるいはまた研究通り越して、ある程度直接指導しておられる部面もあると思うのであります。だからどこでどういうことをやっておられるのかというのを、試験研究とそれからまあ営農指導と申しますか、そういった面とに分けて、この問題を進めるのにどこでどういうことをしておられるかというリスト一つ出していただきたい。そうすると、どんなことを実際やっておられるのか、どういう実態だということもわれわれみなにわかっていいんじゃないか、こう実は思うのであります。でありますから、そういった趣旨のリストを、できればこの次の委員会に、きょう大体御内定になりました六、七、八にやり、かつまたそのうちのある時間を続いてこの問題に費そう、こういう御内定でありますから、それに間に合うように一つお出しを願いたいということであります。  それからこれは質問でございますが、新聞で見ますると、農林省も例の鉱工業方面生産性本部ですね、これに負けないように第一次産業面における生産性本部というようなものを一つ作って、大いにやろうと意気込んでおられるようでありまして、これまた私ども全幅賛意を表するわけでありますが、実は草資源の問題も、ことに今官房長からもちょっと触れられたように、わが国農業根本的な転換ということを含んでおるんだと言うておられたのでありますが、やはり要は土地生産性の最大限の発揮ということに私はなると思うのです。でありますから、これは私はばらばら調査会なんかたくさんお作りになることはいかがかと思うのであります。やはり統一されたものをお作りにならなければいけないので、生産性本部というものとの関連をよくやって、それの部会を作ることも一つ考え方でありましょうし、少くとも非常な総合的な統一されたもので農林省としては進めて行かれなければ能率は惑いのです。でありますから、生産性本部との関係をどうするつもりであるか、あるいはまた生産性本部というもののやる仕事の中には、こういったのは含むのかどうであるのか、その方面一つ構想をお伺いしたいと思うのであります。
  8. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 第一の資料の点でございますが、次の本委員会、あるいはそれを待たずに、すぐその間にも、当委員会事務局の方に資料提出いたします。  ただ先ほど簡単に申し上げ過ぎましたので、不日提出いたしまする資料の内容の一部またはその概略の構想を申し上げますると、官房総合開発課長が総括的な幹事——幹事長というようなものになってもらうつもりで、この省内連絡協議会を置きまして、しかし官房というものは強力でなくてはならないが、どちらかというと、総合調整をして、いい案が出たあとは大臣決定をするように、大臣の補佐を申し上げる立場であるから、この問題のような事項につきましては、もっと原局あるいは試験研究機関行政実行を行うところのものを中心にして推進して行くのがいいのじゃないだろうか、こういうことで実行を主にして、短期に効果も上がることをやって行きたいと思っておるわけであります。総合計画部会では施策総合調整草地統計整備草地開発利用計画の樹立を大体目途といたしまして、総合開発課長農林統計課長畜政課長改良局総務課長農地資源課長、蚕糸の蚕業課長——これは傾斜地の草原の改良で、土壌と草と桑とり間を今相当研究しておるからであります。林野計画課長、これは混牧林とか国有林内林野総合生産力活用とか、下地、下草の利用を所管しておるのでありますから、それらのものをもちまして、関係課の企画的な頭の人と、技術的な頭の人とを加えまして構成したいと思っております。法制経済部会では、現行法制検討をし、これは相当改めるべきものがあるように思いますので、この検討と、権利、慣行をもう少し……入会その池の慣行が多いのでありますので、それらも検討する、草地利用実態調査ももっと進めなければならぬ。この場合は既定経費運用によりましても、もっと本年度すぐやっていいものはいいのじゃないかというので大体その方針にきめておるわけであります。試験研究部会は、試験研究土壌、草生の調査でありまして……言い忘れましたが、法制経済部会農地課長林政課長有畜営農課長、こういうところが中心になったらどうか、試験研究改良局研究企画官数人をもってあてて、これは草の方及び土壌の方、両方の研究機関頭脳をあげて行なったらどうか、あわせて林野研究普及課長を加えて構成したらどうだろうと思っておるのであります。先ほど申しましたような見地に立ちまして、何しろ実態農林省によく把握されておりませんので、畜産局林野庁農地局あるいはその他の所の、第一どういう面積があるか、その所有形態はどうであるかということもかなりひどい差がございまして、いわゆる草地利用対象にすることでも二百万町歩以上あるというのもあれば百三十三万町歩だというのもある。しかし重点を置きまして総合酪農対策推進して行く見地から、現在までの相当ばらばら施策法制を統一的に林野傾斜地平坦部の畑あるいは水田、河川敷等にわたりまして多少ストラクチュラルに分けまして、分類的に行う、この酪農対策に集中的に草を使う、利用する、開発する。又一方、試験研究はむしろ土壌がもとのようでありまして、ほかの栽培作物のようにいきなり品種に進むほどの長年の試験研究成果もまだございませんようでありますから、草の性質からいたしまして、優良な草の栽培あるいは更新、こういうことも一部着手をいたしておりますが、体系的、また普及的ではありませんので、これらの点は他の栽培作物と草とは土壌との関係で相当違うようでありまして、土壌草そのものとの間をもっと突き詰めて研究して、それを、今申しましたような総合酪農対策行政面推進するような意味びら出てくる一つの筋と試験研究の筋とを、やはりまた山から傾斜地から畑、永田の平坦部河川敷等にわたりましてその間に混牧林もありますし、国有林民有林もありましょうし、牧野と称するものもありましょうし、放牧採草地というものもありましょうし、利用形態もいろいろありましょうが、二本立にしまして、試験研究の基礎的なこと、総合酪農対策で実効的に物事を考えて行くということに両者がちょうど二本立でどこにも相応するような考えを、従来と考えを変えまして、各局関係からいいまして、漫然たる連絡協議会を置くようなことでなしに、その二系統が、かりにやり出してみて、いいということになりましたら、中心になる二系統局長課長、全省をあげて官房調整のもとにこれをぜひまかせるような機構改革が望ましいかもしれませんが、その一歩前に、運用面においてまかせて推進するようなことを、当局できめ合ってやって行きたいというふうに思っているのであります。別途この連絡協議会の作業として提出要求になりました現在いかなる試験研究調査を行なっているか、その他予算計上法制はおおむね明らかでありますが、御配付資料の中にも若干その程度のことはあげて置きましたが、さらにこれの運用を徹底するにはどうあるべきか、民間の岡山の吉岡さんという方が見えたり、そのほかいろいろな方が見えるのでありますが、埼玉県には奈良さんという方が見えるのでありますが、その他いろいろな方が見えるようであります。役所にも林業試験場には、試験場の職制に基く上役でなしに、ほんとうの下の方でりっぱな研究能力を持ち成果を上げておられる方もあるようであります。各方面また関係庁総合開発資源調査会の安曇さんとも御連路をとりましてやって行きたいと思いますが、まず第一に、資料整備をあらためてし直すことで出発するということにして今やっておりますので、リストを印刷しましたら御提出を申し上げたい、こう思っております。  第二点の生産性本部のことでございますが、これはこの前の国会で余剰農産物見返り円を、一億五千万円そちらの方へ積立円の融資といたしまして回す、または通産省から五千万円の補助金を出す、うち二千万円は素通しなもので生産性本部そのものでないようでありますが、そうしまして他方そういう措置をとった生産性本部がございますが、これはもともと実態を申しますと、アメリカの方から示唆があったものを日本政府が受け入れたような沿革があるかに聞いておりますが、日本生産性本部として鉱工業から農業、商業も含めた単一機閥民間団体として一応今設置運営されつつあるわけであります。農林省関係といたしましては、初めこの名前も生産性向上本部といいましてあまり……おわかりのようにいささか立ちおくれと申しますか、取り上げ方が違うと申しますか、これは鉱工業、その他農林、漁業以外の面においてまずやるものとしての考えでおりましたが、閣議でこの機構を作り、運営を援助し、特に日米間の技術協力をはかって産業技術合理化生産性向上をはかる、経営面でも労働面でもあげてこれに総合されることが望ましいという観点できめられる中に、農業もここで取り扱うとして閣議了解があったものでございます。その後この動きを研究して見まするというと、まず第一には産業分野ごと経営者、望ましい場合には勤労者も入れて、それで関係官庁、こういうような方々が、たとえば何々産業という場合には、その産業総合的な班を作りまして、これをアメリカへ送る。そうしまするとアメリカまでそれを届ければアメリカ国内で便宜をはかって生産性向上のものを援助しよう、それはアメリカの資金を提供して。こういう構成のものでございます。すでに幾研かの人が出ましたのでありますが、ごく最近はトップ・レベルチームとしまして 一班をチームと言っておりますが、東畑精一さんもお入りになった各産業総合的なハイ・レベル方々の班の派遣が行われております。近く農業におきましても学識経験者農林省の者、農業団体のお方々、そういうまあ総合チームといいますか、それを送りまして、農業において生産性本部運用というのが果してうまく行くものだろうか、一応これらの活動を期待するとしたらどういう仕事をしてもらったらいいかということの国内的な準備も整えながら、アメリカ等へも渡りまして研究を進めてくるということについてのチームを送ろうといたしております。しかし過去のここ半年ばかりの業績を見てみまするというと、どうも農業ないし農林業というものは、日本生産性本部の中の一部として、また総合性を持つ要もあるかもしらぬが、独立をしてやった方がいいんじゃないかという意見も相当あるのであります。この間に一応考えなければならぬと思っておりますのは、現在の日本生産性本部というのは参加団体を求めまして、参加団体から負担金を取るのであります。チーム派遣等をいたしますと、その派遣費当該派遣業種と言いますか、産業加盟団体経費負担をまあ頼む杉になっておりまして、この形では農林業ではどうかと思っておるのでありまして、この点において郷司浩平さん等の中心になっておられまする日本生産性本部との関係考え、また農林関係先輩等の御意見も伺い、アメリカ大使館等意見も聞いて、別個にかつ業者の連絡をとって作る場合はどうだろうということを研究中でございます。従いまして田中委員のようにこの問題を生産性本部仕事としてどうだろうということにおきましては、まだ未検討であります。しかし農林関係生産性本部に特に飛びついて活動をまだそれほど十分にしておらないということの根本は、他の企業におきましては自分の企業負担と危険におきまして試験研究あるいは合理化活動を相当進めておる、外国との間でも技術提携を相当やっておるのであります。しかし日本農林業においては国の機関特に各種の試験研究所が国の経費と国の職員とをもちまして、大学その他の頭脳との連絡をとりましてやっておるのが試験研究の基礎的なものの中心であります。そこで一方は政府なり国家がやる、片方は原則は企業で、政府国家が援助をする場合がある、こういう形の相違がありまして、研究を要するものがあろうと存ずるのであります。特に草資源の場合は今後長くまた広範囲にかなり金もかけてすぐ採算がとれない、また普及すべき技術がすぐは出ない場合もあり得るので、これは生産性本部補助金を与えるよりは、事務局農林省といたしていただきまして、学識経験者にリードをしていただくということの方がいいのではないか、こういう一応の考えを持っておるわけであります。
  9. 田中啓一

    田中啓一君 今連絡協議会構成の方は初めから御説明下さってよくわかりましたのですが、その対象ですね、調査を推し進めあるいはやがて営農指導にも入って行くという対象なんでありますが、その方は二系統だと、こういうふうにおっしゃったと思うのですが、実は私ば聞いておっても漠然としておりますのでほかの方にはなおさらよくおわかりにならなかったと私は思う。私は私なりにこういうふうに聞いたんですがね、つまり一つは現在原野だとしておられるたとえば放牧採草地改良対象になっておるような所を中心にしまして、そして混牧林というような所まで行く、つまり面積からいえば百五十万町歩ともいい三百万町歩ともいわれるそれだと、こういうことを言っておられる。これは面積が違うのが当然なんで、見る人によればあんな所に木をはやしておくよりは草資源造成をはかった方がいいのだという考え方の人があれば、それも面積に入れましょうし、これはどうしても地積なんかによって一応統計資料を作られれば地積によるただ分類というものは出てくるのですけれども、今内閣の資源調査の方でやっておられるような、土地というものをもっと現状にも即して、そしてもっと利用という面からいってどう区分したらいいかというような見地から行けば、またそういう面積が出るに違いないと思う。いずれにいたしましてもとにかく現在ある草地と原野というものを中心にして、そこにいい草をはやすということを対象にして行くのが一つ系統で、もう一つは畑作農業の改善と輪作だと、草を入れなければ改善できぬだろう、総合酪農だと、こういう見地で土地の利用からいえば輪作だと、こういう所を対象にして行くのだと、これはひいては水田も草を入れて輪作をした方がもっと土地生産性の上から有効じゃないかというところまで行くでしょう。そういう面とそれから今一応原野といわれておるものもそうやってだんだん改良して行けば、牧草だけではない、やはり輪作にして他に作物もできて、その方が土地利用として有効だという面も出てきますから、二系統ということを一口で言えば、現在の原野をどうするかということと、もう一つ輪作というものをどう入れるかということとこの二系統になるんだというように私は伺えたんですが、そういう意味でありますか、そこを一つ明らかにしていただきます。
  10. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) ただいま私は農林省の一応局長の会議をいたしました際の各種の意見が出ましたものの結論的なことのうち、まず着手の方法ということ、試験研究なり、調査なり、総合対策を立てて行くなり、来年の予算、現在の予算構成でどう着手整備して行くかということについて、いかなる手段をとって行くか、ものがコンクリートでないと進まない、この問題は農林省内でも行政機構が各種にわたり、担当機構が各方面にわたりまして、そのこと自身が草地の改良、資源開発利用増進を非常に阻害しておるのでありまして、こういう点に着目いたしまして、一つの方法を出したらどうだろうということの、決定的なものではないが、一つの固まりつつある意見を申し上げました。田中先生のおっしゃる通りであると言えばおっしゃる通りであります。というのは、国有林民有林ありますが、所有形態は別としまして、ある姿から言いますと、林業を営むのは、木材、用材、薪炭材等を目的に一応いたしてあります。林野からさらに下りまして、その下の草地から、下草から、さらにいわゆる原野、放牧採草地というところから、畑作、水田に至るこの系統でおのおのモデルをとるようにして、そこで試験研究も進め、酪農その他農業の経営形態、多角化、輪作ということも考えて行く、まだ利用されていないところは利用を始め得るところから始めるわけです。あわせてその山から平野の方に至る、河川に至る各地域の段階をそのまま持ちながら、あわせて別の縦割りといたしまして、あるいは横割りとしまして、何と言っても畜産経営を確実にして行く、その飼料問題、生産費の合理化、未利用資源活用、さらに資源の改良、こういうことをはかって行くものは畜産とされます。これは馬産から、牛から、いろいろありますが、目下必要なものの最たるものは総合酪農対策をしっかり立てることではないか、予算、法律等も酪農振興法その他を中心にしましてかなり力を入れておりますので、これを縦割りなり横割りなりの各地でもっと徹底して草を考えて行ったらどうか、それからそれにとらわれずに、もっと広範囲な調査試験研究土壌、草の改良、あるいはその実行方法、こういうものを考えてるのは別系統でやはり縦割り、横割りの段階をそろえながら考えて行ったら実効的ではないか、そうしてその機構はどこかへあずけて、ほんとうに予算取りでも熱心なところがやれば、推進役としては一番熱心ですから、その行政運営の従来の欠陥を是正して行ったらどうかと思っているわけであります。
  11. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまの根本方針というようなものにつきましてはまだいろいろ問題があると思いますが、こまかな点をお互いにまだ勉強が足らぬわけですから、そういうことを今後勉強しながらさらにもう一ぺん根本方針はこれでいいのかというようなことにまた持って行ったらどうかと思いますので、この程度で、あらかじめ御相談しました順序に従って、各担当部局、あるいは試験研究機関方々意見を逐次聞いて行ったらどうかと思います。
  12. 奥むめお

    ○奥むめお君 私ちょっと伺っておきたいと思いますが、私全くこの方面のことは浅いのでございますが、たまたま最近ソビエトで非常に広い草原地帯、牧場地帯を見学して参りました。そしてこれはまあ東京から浜松までくらいハイヤーで走ってもまだまだ先まで草原地帯が続いているわけですが、日本で小さな開拓地にそれぞれトラクターやトラックやあるいは農機具を買う資金を出していらっしゃるように聞いております。ここにもちょっとそういうことが書いてありますが、こういうふうなものを、あちらではMTSと言って、機械の全部を一貫して保管して、そうして発動してあちらこちらへ順序立てて専門の人が働きに行くような組織になっていまして、それがこれだけの仕事をすればこれだけの報酬というふうに農場から報酬を出しているわけなんです。私あの方が専門的に機械の保管から操作からいろいろなことがよくできるように見ておりましたし、またほかの人もそういう意見が多かったのでございますが、日本も十分お考えになったことと思いますけれども、ことに日本なんて小さな国ですから、運ぶといっても大して金もかからず、また働く農場も小さいものだろうと思うのでありますが、そういう問題で日本で困難な事情というのはどういうところにあるのでございましょうか。
  13. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 奥委員の今のは官房長ではちょっと答弁がむずかしいのではないかと思いますので、このあとで関係部局のそれぞれの対策及び今後の問題を御説明願いますから、そのときにどこの担当か知りませんが今の奥委員の御質問に答えていただきたいと思います。それではそういう工合にして運んで行きます。  なお、ただいまの官房長の二本立という中に、一方は酪農という言葉ばかり盛んに使われますが、私はやはり和牛にいたしましてもどんな草を食わしてもよいというものではないので、今までの和牛の研究が少し足らないのではないかと思いますが、あまり酪農という言葉だけにとらわれない方がよいのではないかと思います。これは今後御研究を願います。  その次に移りまして、草資源改良造成利用増進に関する農林省関係部局における従来の対策及びその成績並びに今後における問題につきまして、農地局の江川資源課長改良局の横井研究企画官加唐研究企画官畜産局の山本有畜営農課長林野庁の藤村指導部長から順次御説明を伺います。最初に江川資源課長。  それからちょっとお願いしておきますが、この五人のお方のお話を一応聞いて、それから御質問願うようにお願いしたいと思います。
  14. 江川了

    説明員(江川了君) 農地局といたしまして草資源の対策としてやっておりますことについて御説明いたします。  農地局といたしましては、まず法制的な面から草資源対象旭でありまする牧野の保護という観点に立ちまして、農地法の規定に基きましてその移動なりあるいは転用といったような問題について、制限の措置をとってきて参っております。それはお手元に配付いたしてありまする草資源対策に関する資料の五ぺ−ジに大体書いてありますが、こまかい点につきましては概要ここに記載しておりまするので省略さしていただきますが、そういった移動、転用等についての制限の措置をとりますと同時に、一方開拓事業に当りましては、開拓事業が多数家畜を入れてやっておりますので、それに対する付帯地の売り渡しというようなことも農地法の規定に基いてやっております。今申し上げました点は制度的な面からの措置でありますが、では事業としてどういうことをやっているかということになりますと、はなはだ遺憾ながら、特に草資源造成改良という点に立ちましての、そういう銘打っての措置はとっておりません。ただ、ただいま申し上げましたように、開拓事業というものが草地の開発であり、また開拓事業そのものが、開拓営農が、いわゆる多数家畜を導入して行かざるを得ないという実態にありますことからして、開拓地の営農ということが、言葉をかえて申し上げるならば、畜産でいう一種の高度集約牧野造成事業であるのではないかというように考えております。そういう意味におきまして若干敷衍して申し上げたいと思いますが、実は農地局といたしまして戦後開拓事業を進めるに当りまして、一応基本的な調査といたしまして開拓の可能地がどれくらいあるだろうかということを調査いたしたのであります。大体その調査は昭和二十二年の八月から二十三年の三月にわたって調査いたしましたが、そのときの調査で大体五百四十九万町歩というものが一応開拓の可能地ではないかというように調査いたしました。これは一応傾斜は十五度ないし二十度以下、それから気温は大体五ないし九月の平均気温が十三度以上で、かつ十三度以上の日数が少くとも九十日以上ある、その他土壌あるいは用水といったような点については、開拓に支障がないというような抽象的な一応条件をつけまして調査をいたしたのでありますが、しかしそういった約五百五十万町歩に上ります未墾地、端的に申し上げますと林地なり原野でありますが、これが全部開拓用地として取得可能とは考えておりませんので、大体そのうちの取得可能の見込み地を大体二百万町歩というように押えまして、それを目途として開拓のための未墾地の取得というものを進めて参ったのであります。現在までと申しますか、昭和三十年の三月末までに開拓用地として、原野あるいは林地を取得いたしました面積は、大体百四十万七千町歩に上っております。それがいわゆる現在大体開拓の用に供せられておるわけでございまして、もちろんその百四十万七千町歩収得いたしました中には、北海道においてのいわゆる国有未開地と私ども称しておりまする内務省財産から引き継いだものが相当ありまして、それは現在ちょっと当分開拓には手がつかないというものもあります。それらが大体、あるいは買収した中で、実はよく調べてみると開拓には不適だといういわゆる不用地に該当するものと合せまして、大体十六万六千町歩程度ございますが、それを除いたものが大体現在開拓に着手されているか、あるいは現在開拓に着手されつつあるものでございます。大体一戸当りにつきましては、耕地として内地は二町五反五畝、北海道が七町五反、なお付帯地といたしまして、内地についてはその耕地面積の三〇%、十反六畝五歩、北海道につきましては耕地面積の五〇先、三町七反五畝というものを付帯地として、つまり薪炭林あるいは採草地として与えております。先ほど申し上げましたように、この耕地というものが、開拓地は御承知のように非常に山が多うございます関係上、いわゆる穀作農業としては非常に不適なところが多い関係上、多数家畜を導入いたしております。従ってこの耕地がいわゆる飼料作物の供給源として、開拓地としては利用されておるわけでございます。どうしても耕地には不適当であるというものを実は薪炭林あるいは採草地として、付帯地として、先ほど申し上げましたような工合に配分いたしておるような次第でございます。  なお一方、それは土地の面から申し上げましたが、開拓地につきましては家畜そのものの導入についても融資の措置をとってきております。これの資料といたしまして別途一枚刷りをお手元に配付いたして置きましたが、長期融資あるいは中期融資の資金措置によって家畜の導入を指導し来たっております。大体三十年の二月末現在、大家畜で耕馬が約四万五千頭、役牛約六万五千頭、乳牛約三万頭に上っております。個々の入植の農家について見ましても、入植の初期には、一時に多数の家畜の導入ということは資金的にも非常に困難のようでございますが、入植年次の経過いたしますと共に、家畜の飼育頭数も漸次年と共に増加する傾向にございます。その結果、当初に申し上げましたような耕地面積あるいは付帯地面積では、飼料の供給が不足を来たすというような傾向に、最近におきましては見受けられております。従いまして実は今後の方針といたしましては、さらに配分の面積をふやすということは非常に困難でございますので、先ほど申し上げました付帯地について、さらに飼料作物の生産増加の措置をはかって行くようにいたしたいと、かように考えております。  なお、最近に至りまして開拓用地の取得ということが非常に困難性を加えてきております関係上、特に僻地について困難であります関係上、非常に開拓地が山の奥の方へ進んでおりますが、そういうところにつきましては、一そう種畜農業という形をとらざるを得ない傾向にございます。従いまして今後の開拓農家に対する配分面積という点も、先ほど申し上げました内地について耕地で二町五反、北海道で五町五反というようなことを申し上げましたのは、今までの大体一応の基準でございますが、今後はもっぱらそういった種畜農業の形態の開拓というものが非常に多く出てくると考えておりますので、そういう地区については多少配分の耕地面積なり、あるいは付帯地の面積も増加して、かつそこにおける飼料作物の生産を高めるような措置をとる必要があるのではなかろうかというように考えております。またそういうように農地局としては進んで行きたいと考えております。  なお、以上はいわゆる開拓事業中心に申し上げましたが、実はこの開拓事業の一環としてわれわれ考えておりますのに、北海道に未開発の泥炭地が現在なお約十七万町歩程度残されているのであります。御承知のように大体大別いたしますると、いわゆる石狩地方と、それから北海道の北の方の天北地方、さらに釧路の地方、この三地域に限定されますが、石狩の地域の泥炭地はずいぶん開発されて参りまして、且つあの地域は水田として開発されて参ってきておりますが、残されている北海道の天北あるいは釧路の泥炭地は、これは水稲作の対象としてはとうてい考えられない、立地条件からいたしまして考えられない、どうしてもそれは草地として開発対象になるのではないかというように考えております。なおそういった泥炭地の開発について、従来は、極端に申し上げまするならば、排水と、それから客土という両方の手段によって開発して参ったのでありますが、今後のそういった地域、残された地域を草地として開発する場合には、一体どういう開発の仕方があるか、経済的な開発の仕方としてどういうことが考えられるだろうか、それは昨年フランスなり、あるいはFAOのそういった泥炭地開発の専門技術者を招聘いたしまして、そういう草地としての開発の方式等についていろいろ意見を徴しましたが、そういう人たちのサゼスチョンに基一きましてただいま草地としての開発方式について、実は昭和三十年度から試験着手いたしております。昭和三十年度三百万円の予算を計上いたしまして、試験着手いたしております。その結果が今後判明いたしますれば、こういった約十七万町歩にわたって残されている北海道の泥炭地の草地としての開発もまた期待され得るのじゃないかというように考えております。  以上簡単でございますが、農地局として考えておりますことを……。
  15. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に改良局の横井研究企画官
  16. 横井時次

    説明員(横井時次君) 改良局土壌調査研究企画官をいたしております横井時次でございます。私は土壌調査の方を担当いたしておりまするが、小面積の、小地区の土壌につきましてはいろいろ調査研究が行われておりまするが、土壌調査という名を付けるほどの全国的な規模において行われておりまする土壌調査には、牧野、採草地というものは全然入っておりません。今日まで行われておりません。一部開拓地の土壌調査の際に開拓地に付随いたしておりまする採草地等につきましては調査が進んでおりますし、それの改良利用等につきましても、これは試験というほどのことは申されませんが、若干の試験みたようなことをいたしております。これにつきましてはおそらくことしの秋に相当な成績が、数年間の成績がまとまると思います。そうなりますれば皆様方の御高覧に供せるようなものも若干出るだろうということを考えて期待をしております。そういったわけでございまして、ここで土壌調査事業の結果につきまして御報告申し上げることができない点、はなはだ遺憾に存じておる次第でございまするが、御存じの通り日本土壌というものは、これは世界に類例を見ない不良土壌、これが大部分を占めており、これは開拓地の調査から明らかにわかっておりまするが、気候的条件から申しまして、それからまた一方日本の水円農業というものが大体草地の犠牲において今日までやってこられたといってもいいような気がいたすのでございますが、そういった両方の理由から、日本の草地、開拓地の土壌の大部分が、これは世界に類例を見ない不良土壌でございます。こういう所を開発してりっぱな草をはやしてりっぱな牧畜を営むというためには、どうしてもそういう不良土壌改良して、ある程度一人前の土壌まで持って行かなければ困難である。不可能とは申しませんが、非常な困難が伴うというようなことは、開拓地の従来の調査の経験からいたしまして明らかに申し上げられると思うのでございます。従ってそういう不良土壌がどういう所にどう分布しておるかということは、私どもといたしまして一日も早く知りたいところでございます。今日まで何をぼやぼやしていたかというお叱りは当然受けるだろうと思うのでございますが、先ほどちょっと官房長も言われましたが、管轄が非常にあちこちまたがっておりまして、私が土壌調査研究企画官をしておりましても、この牧野土壌調査だけ考えましても、改良局畜産局林野庁というような、あるいは農地局と、いろいろな所に関連がありますので、一体どこでどう予算を組んでもらってどう出したらいいのか、それをどうお世話したらいいのか、全く手も足も出ない状態になっておりまして、今日までそのままになっておったのでございますが、今年度畜産局の方で予算をお出しいただきまして、もしも予算通りますならば、三十一年度から全国的な牧野土壌調査が実施される運びになっております。これは新しい予算でございますので、皆様方の特別な御支援をいただかないと、なかなか通過困難じゃないかというふうに考えております。一応畜産局予算をお出しいただきまして、それで従来各一県の農事試験場に、これはたまたま田中先生にかつて大へんお世話になった低生産地調査の職員がおりますので、それを拡充いたしまして、もう少し人間をふやしまして、それに調査を行わしめる、五カ年間で大体九十万町歩調査をやるというような案が畜産局の方から出ております。これがもし通りますれば五ヵ年という短かい間に日本牧野土壌、不良土壌の分布状態が明らかになって、この改良も非常に楽に行われるということになることを期待いたしておる次第でございます。私が御報告申し上げるのはこの程度でございます。
  17. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは次に同じく改良局加唐研究企画官
  18. 加唐勝三

    説明員加唐勝三君) 農業改良局畜産の方と牧野並びに飼料作物の企画をいたしております加唐でございます。大体経過と現況と対策に分けまして簡単に申し上げたいと思います。農業改良局と申しますのは御承知の通り戦後にできましたものでございまして、それまでは農業関係の各試験研究機関がいろいろに分れておりましたものを、農業中心にいたしまして集めて仕事をして行く、こういうことになった次第でございます。その当初におきまして、私どもの方で企画いたしましたことは、農業経営の中の家畜畜産のための畜産ではなくて、農業経営の中の畜産農業経営をよくし、安定にするための畜産、その基盤としてえさをなるべく農家が作ることが有利であろう、こういう考え計画をいたしまして、動物そのものに関する研究でございますが、たとえば繁殖でございますとか品種改良でありますとか、飼い方の方の飼養管理、そういうふうなものはその当時の現況のままから拡充をいたしませんという方針で進みまして、かわりに畜産でなしに畜産のもとになりますえさを農家で作るという仕事を第一に拡充する、こういう方針で参ったわけでございます。そこに段階を二つ設けまして、一つは畑なり水田の耕地を使いましてえさを作るという飼料作物を入れて行くという方面を第一とし、第二は、山なり何なりの草地を使います草地の改良ということを二番目に置きまして、この二つを合せまして、第一の方に緊要度と申しますか、重要度を置いて仕事をして参ったわけでございます。その結果できましたのがお手元にございます参考資料の方の三十ページと三十一ページにございます機構でございます。これには林野庁関係は入っておりません。それから蚕糸試験場関係も入っておりませんが、農業改良局が管理いたしております試験研究機関研究室はあがっておるわけでございます。三十ページがちょっと間違っておりますが、六としまして、その次(イ)となっておりますが、それが逆になりまして、六が国立機関の部となりまして、(イ)が草類に関する試験研究一覧となります。それに対しまして三十一ページの方が(ロ)で、飼料作物等に関する研究機関名、まだこの中に少し抜けておる所がございますのですが、たとえば農業技術研究所経営土地利用部が草地関係の経営の研究を若干やっております。全部ではございませんので抜いてございます。それから同じく農業技術研究所の園芸部がやはり果樹園の間作として草生栽培関係のことをやっております。地域の農業試験場の中でも経営部で経営調査をやっておる所がございますし、園芸部でわずかではございますが、草の関係をやっておるところがございます。そういうものは一部の仕事でございますので、省いてあるわけでございます。そういう経過で今度の機関ができたのでございますが、何分戦後早々の際でございまして、十分な範囲をもってこれらの研究室を構成するということがなかなか困難でございまして、また人的構成にしましてもそういう経歴を持った人が非常に少いのでございまして、そのために人的構成が必ずしも満足すべきものではないというような事情もあった次第でございます。それがいまだに必ずしもよくはなっておりません。ただみな研究者が熱心に仕事をしておりますので、われわれが予期しておる以上の結果を上げておると信じておりますけれども、まだ普及の方に大幅に移すというほどの非常に目ざましい進歩はいたしておらない次第でございます。まあ大体以上の通りでございまして、次に現況に移りますですが、二年ほど前に、今の表でございますが、関東東山の地域の農業試験場でございますが、そこに草地部というのを新設したのでございますが、これは畜産局の援助を受けまして作りました次第で、われわれの希望といたしましては、代表的な各地に作りたいのでございますけれども、さしあたって関東東山に作ったわけでございます。そこに作りました理由は、施設が、建物などがあるということと、ちょうど北の気候と南の気候の境に当っておりまして、草の種類が非常に豊富である。従ってその成績が全国的に相当応用できよう、こういうような考えで作った次第でございます。この関東東山の草地部が現在中心になっておる。まあ農業技術研究所の方の畜産化学部の調査機関もございますが、この二つが中心になっておるという形でございます。それでこの資料には国立機関予算関係が出ておりませんです。それは精密に計算することがちょっとむずかしいからでございます。なぜかと申しますと、共通費がございまして、各研究室の共通費というものは精密にわからないわけでございます。各研究室にメーターが付いていれば幾ら電気を使ったかということがわかるのでございますが、そういう点がわかりませんので省いておりますが、大体国立の研究機関で推定いたしまして六千五百万円ほどの予算をいただいております。それでそれがどういう配分になっておるかと申しますと、現在のところ約六〇%が人件費になっております。人件費の方はふやしていただきましたが、事業費の方がふえておらない。それから事業費の内訳といたしまして、一般の共通費、光熱費、その他肥料なども共通に買います。その共通費が三〇ないし三五%くらいになります。それで残りの五ないし一〇%というものが研究室の者が自由に使います研究の費用という状態になっておるのでございます。これらに関しまして、先ごろ当委員会から研究並びに普及の機関の拡充強化ということにつきまして大臣あてにお申し入れいただきましたことについては、われわれは大へんありがたく存じておりますので、なるべくお申し入れの線に沿いまして研究者の研究がやりよいようにいたして参りたい、こう思っておる次第でございます。  それから国の機関以外のものでございますが、これは本文の中にも総額の金額等が出ておりますが、参考資料の三十三ページの方に都道府県に対します研究補助金が出ております。項目は非常に多いのでございますが、府県当り一項目大体十万円以下という状態でございまして、都道府県の試験場の場長さん方からは非常に苦しい、何とかしてくれないかということが言われております。これらの仕事はすべて人件費の補助を含んでおりませんので、国でやっていただきたいと思うことを県の方の人件費の負担においてやっていただいておる、こういうことになっておる次第でございます。そのほかに官公立機関以外の大学及び民間等の研究者並びに研究室がございますので、それにつきましては項目が非常に少うございますけれども、三十四ページに出ておるような仕事を御依頼いたしておる次第でございます。まあ現況は大体以上のような次第でございます。  対策につきましては、この資料に書いてございませんが、三つ、四つ新しいことを来年度にやらしていただきたいというふうに思いまして、予算提出してございます。一つはやはり先ほど横井企画官から申し上げました草地の土壌調査に関する試験的な面を十カ所ほどでやっていただこうと、こういうふうに考えております。これは都道府県に対する補助金でございます。それから草並びにえさの作物、飼料作物の病気が当然ふえて参るのでございまして、もうすでに草地の改良が行われ、飼料作物が少し作られてきますというと、かなり病気が出ております。それからまたこれらの草、ことに永年性の草でございますと、それが宿主と申しますか、病気の宿るところになりまして、これが耕地の方にやってくる、また耕地の方の病気が草の方に行って、そこで年を過して行く、こういう危険があるのでございまして、さしあたって、草並びに飼料作物にどういう病気が出ておるか、どういう害虫がこれを襲うかというような調査を、ごく少数でございますけれども数ヵ所でやりたい、こういうふうに考えております。  それから参考資料の中にも述べてございますが、わが国では非常に草に関する教育がおくれておりまして、大学などでも草の専門家の教授、助教授という方が非常に少いのでございます。そのために草の研究者というものが出ないので、これを補うのには一つ農林省の方の予算で、研修会というようなものを開きまして、それで養成して行く、これはどろなわ式でございますけれども、これで補う。もう一つは基礎的に、基本的に大学なり教育機関の方で養成していただくということが必要ではないか。予算には提出してございませんけれども、将来はそういうことも考えて参りたい、こう思っております。それから先ほど御意見がございましたのですが、牧野改良して行きます考え方でございますけれども畜産局の方で今やっておりますのは、人工の急速の改良でございます。ところが林野の方でやっておりますのは、どちらかと申しますと天然更新と申しますか、時間がかかる、そのかわり費用と労力はあまりかからない、ゆっくり在来の草で直して行くという二つの方法があるわけであります。それで乳牛などを入れるということになりますと、どうしても人工造成、人工改良ということが必要になって参ります。しかしながら馬でございますとか和牛のような力を使います役畜ですと、どうしても集約度が低いものでございますので、成育がおそいものでございますから、急速な人工更新をやっても引き合わないということになろうかと思うのです。それで、この方面はやはり天然更新という形で野草で直して行く、悪い方の雑潅木類をのける、そういうことをいたして、野草で直して行く、いい野草を残して行く。また野草というのは、わが国の立地条件によく適合しておるのでございますから、これを改良しまして、野草の中で今よりかいいのを作る、それで改良、天然更新をやって行く、この二つの道をまあ狙いまして、この間にいろいろ程度段階がございますから、その土地の状況、経営の状況に応じまして取り上げる、こういうふうにいたしたらどうかと思っております。  それからわれわれしばしば非難されるのでございますが、わが国では牧野行政の方が先に行っている、研究が残されている、で、牧野改良の人からは、研究がおくれていると言ってしかられるのでございますけれども、なるべく研究を早く進めまして、牧野改良行政資料を提供するというふうにして参りたいと思っておるわけでございます。で、先ほど申し上げましたように、わが国では草の関係、草地の関係牧野関係技術者が非常に少いのでございまして、これはそういう方面技術を持っており、またやりたいという気を持っている、そういう意欲の強い人と、これは大学、民間を問わず全部を集めまして、しっかりした計画のもとに、ばらばら仕事をしませんで、一致して仕事をして行くことが必要ではないか、そう存じまして、昨年度におきまして、畜産技術連盟という団体がございますが、ここにお願いをいたしまして、草地関係はこれからどうやったらいいかということを調べていただきました。これは昨年に草地研究会というものができましたので、畜産技術連盟と草地研究会とが共同いたしまして一つのアンケートをいたしました。これは専門家に対するアンケートで一般の世論調査ではございません。学識経験のある専門家のアンケートであります。これによりまして研究の線が出て参りましたので、その線に従っておいおいと新規の事業をふやして行きたい。そのアンケートの結果はお手元に参っておりませんですが、要するに基礎が何もできておらぬということが、わが国牧野改良試験研究の最大の欠点でございます。これはやはり二つ考え方がございまして、今の事業をすぐやるための試験研究というものが最も要望されておりますけれども、それと同時に、将来の発展ということを考えまして、基礎をしっかり抜け目なく網の漏れがないように組織を作って行くということが必要ではないか、こう考えられる次第でございます。それで急ぎの方はそういう当面の研究をやる、それから将来のことはゆっくりと漏れのない網を張りまして仕事を進めたい、こういうふうに考えております。  それからもう一項でありますが、これは直接関係でございませんが、外国の人たちが日本に参りますのが非常にふえておるわけでございますが、それで農業関係者が言うことは、なぜ山を遊ばせておくか、林木はあるのでございますが、木のはえていない傾斜地がたくさん余っておる、あれをなぜよい草地にして牛を飼わないかということを言うのであります。全く、つまり草をよくして牛を飼う可能性はあると思うのでありますが、牛の消費の増加であるとか、牛の値段であるとか、いろいろなことを考えますと、そう外国人の考えるようにはすぐには行かない。それで、このバランスをとりまして、牛の消費がふえるということ、それから十円牛乳などということが問題になって参りますことは、牛の消費層が下ってきた、ずっと下の層まで牛というものが浸透してきたということでありますから、これを広げるためには、牛の値段を下げるように農民の方で努力しなければならないのではないかと、こう考え、それにはどうしても飼料が安くできる結局草地というところに行く、耕地が使えますけれども、耕地にも限度がございますので、やはり草に行かなければならない、それで一応外国人には賛成するのでありますけれども、また半面に、その人たちの言うようにすぐには参らない、それで結局消費の増加ということと、牛の数がふえて行く、草がよくなって行くということが、あるバランスをとって進みませんと、この春のように乳価が下りますというと牧野改良がとまってしまうということでありますから・そのバランスをよくとりまして、その前に試験を十分やって行くというようにして進めて参りたいと思うのであります。  それから先ほどちょっとどなたからかお話がありましたのですが、来年ニュージーランドで万国草地会議と申します国際草地会議の第六回目が開かれることになっております。それで農林省といたしまして昨年から交渉いたしまして、ローマのFAOの本部に泥炭地の改良の次に、牧野改良技術の援助を求めたわけでございます。この夏、向うの専門家が二人参ったのであります。そのうちの一方の人の意見では、ニュージーランドで開かれる草の会議に日本が参加することを非常に期待しておる、なぜならば、ニュージーランドの土地は日本の土地によく似ておる、火山灰地でございます。雨量も非常に多いのでございます。これはアメリカ、ヨーロッパの人はあまり出ない、関係がないからあまり出ない、ぜひ日本から相当、四人から六、七人くらいのデリゲートを出して、そして参加してくれ、そうするとFAOとしては、日本政府なり何なりが、草地改良に熱意を持っておるという証拠になるから技術援助にも力を入れることになる、こういうことを申しておるのでもります。それで日本技術のおくれた面を急速に取り戻すために、こういう国際的な、外国に草地関係でも人を出すというふうにいたしたいと考えておる次第でございます。これにつきましては、御援助、御後援をお願いしたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
  19. 江田三郎

    委員長江田三郎君) では次に畜産局の山本有畜営農課長
  20. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) 畜産局の山本でございます。畜産局関係につきまして草地に対してとってきました従来の対策その成績等につきまして御報告を申し上げます。少し長くなるかもしれませんが、御了承願いたいと思います。  畜産局といたしましては、重要な家畜のえさの基地というように考えますので、草地につきましては非常な関心を持って参ったのでございます。昭和二十八年に調査いたしましたところによりましても、大家畜だけ見ましても、当時の大家畜が約三百九十万頭。主としてこの牧野に依存してそのえさを食っておる家畜数は約百九十万頭、半分に近い大家畜がこういう牧野のえさを食っておる、こういうことでありまして、従いまして牧野に対する措置も不十分ではございますが、できる限りの措置を講じてきたわけであります。昭和六年には軍馬適格馬の生産、育成というものを考えましたいわゆる牧野法があったのですが、戦後これは改廃されまして今日の牧野法になっておるのであります。この牧野法におきましては、一定面積、北海道におきましては三十町歩、内地におきましては十町歩以上の団地につきまして、地方公共団体が管理するもののみにつきまして管理規程を作っていただく義務を法律で負わせておるわけでありましで、それの趣旨は、その牧野が適正に利用されて、土地の効率的利用をはかって参る、たとえて申しますと、あまり家畜を余計入れ過ぎてその牧野が荒廃をする、あるいは真夏に草刈りで、無制限に人が入って刈ってしまって、あとの草生が非常に荒廃をするというようなことがないように、その需要の適正化をはかって、積極的には草地の生産力を増して行くというような事項をきめて、善意ある行儀のよい利用方法を講じて行ったらどうかということで、こういう牧野につきましては、通俗には管理牧野、こう申しておるのです。なおこの牧野法の中でもう一つは、いわゆる保護牧野と申しまして、地表に草が全然なくて土が出ておる、いわゆる裸地になっておる、その裸地になるおそれのある所については、知事がその維持あるいは回復の指示をする、その指示をしたものにつきまして、何か損害が起ったような場合には、国がこれを補償するという規定があるのでございます。なお河川敷堤塘等につきましても、重要な家畜飼料資源地帯でありますので、管理牧野に準ずる規定を準用して、これも河川の本来の使命を阻害しないように、家畜のえさと河川の適性な管理を両立させて行くような考え方で立法されておるのであります。この法令によりまして、予算措置が講ぜられたのであります。  参考資料の別表に差し上げておりますけれども、主として予算措置といたしましては、ただいま申しました管理牧野、地方公共団体の管理いたしまする牧野について、それの生産力を増して行く、つまり牧野改良を進めて行く基本的な事項についての補助をして参るということでございますが、はなはだ恐縮でございますが、それにつきまして牧野改良基準というものを実は作りまして、二十八ぺ−ジの5牧野改良基準、これは牧野をその利用度、経済性に応じまして、管理牧野につきましては三つの段階、そのほか、ただいま申しました保護牧野を入れますと四つになるわけでありますが、管理牧野につきましては三つに分けまして、お読み下さればわかりますけれども、いわゆる高度集約牧野改良牧野、天然牧野とこの三つに分けております。  高度集約牧野につきましては、経済性の高い、また土地に対する再投資が可能であろうということで、乳牛を対象とした牧野、しかも農家からは大体半日程度でそこへ行ける、あるいは牧草なり何なりが持って帰れる。それから、その牧草化が、土壌その他の関係から見て可能であろう、それから傾斜の関係も十七度以内、まあこういうことで、改良目標といたしましては生草で二十二トン半ぐらいの生産を期待できるような所を考えておるのであります。これにつきましては、改良事業も次の表に書いてありますように、基本的な事項につきましては、政府補助をして参る。かような考え方で、これが約十三万八千町歩ほどある。乳牛と結びついた集約牧野というものにやはり重点を置いて、まずそういう土地の牧草化をはかって参りたいという考え方一つと、それから改良牧野は主として牛馬、綿羊等の乳牛に比べますと経済性が低い、しかし現にその地方の産業としての畜産をささえておる中国地帯の牧野のごとく、あるいは東北地帯の馬の産地の牧野のごとく、しかしまあ村からは、農家からは遠い、それから地形等も傾斜がひどい、こういうような所につきましては、あまり多くの投資はできませんので、林野局等がおやりになっておるいわゆる優良草あるいは飼肥料木等を植栽をして、長い期間をかけて土壌の肥培を進めて行こう、できれば悪い草は取ってしまう、こういうようなことでございます。  それから天然牧野と申しますのは、部落から非常に遠い、しかも山の頂上で芝地帯になって、植生としては一番末期にきてなかなかこれは普通の財政投資等では困難ではないか、ただこれをほうっておきますとやはりエロージョン、土壌侵蝕を起して水と土砂とを一緒に流して渓流から川に入り、川底を上げ、堤防が低くなって洪水を起すから、また堤防を上げなければならぬというような関係も出てこようかということで、これは現状をまあ維持するという程度措置を講じて、現在町あたり四トン半程度の生産量を維持して参ろう、こういう考え方で実は牧野改良措置を講じて参ったのであります。その成績は別表の二十六ページに管理牧野、保護牧野と分けて書いてありますが、これによって改良されました面積は、二十八、二十九両年度におきましては集約牧野が約六千五百町歩、このうち四千五百町歩が普通の牧野でありまして、二千町歩が河川敷であります。  それから改良牧野は約三万町歩ほど改良を済んでおります。保護牧野が約六千町歩、こういうことになっておるのであります。しかしながら本年度におきましては、従来集約牧野なり改良牧野につきまして別表で書かれておりますような補助事業というものが打ち切られまして、一方酪農振興法に基く集約酪農地域に内定しているのは三十一個所でありますが、そこの牧野改良に重点を置くということ、しかもこれは機械によって、先ほど奥委員からもお話がありました機械をもって、そうして土石やあるいは根株を取り除いてて、そうして整地をする。こういう仕事を特に集約酪農地帯の牧野について、えさの自給力を高める意味においてやって行かなければならぬということで、予算としては二十三個所分の機械購入補助、これが各都道府県に一個所、約六百五十万円でトラクター四台、トラクターを運ぶトラックが一台、その他付属農機具というものをワン・セットにしまして千三百万円の半額くらいのものを補助をするということに切りかえられたのであります。なお地域外につきましても同様、牧野があるのであります。和牛地帯の牧野も非常に植生が後退をして、生産力が落ちておるのであります。そういうところにつきましても、これは国会で修正になったのでありますけれども、トラクター一台にトラック一台、こういうセットで二十地区分というものが計上されておるのであります。この思想は結局低労働で石をどけたり根掘りをするということは、自然のスピードの方が早くて、農家の労働力は農閑期だけ、しかも地帯によりましては雪が降り寒くなるということで、なかなか手労働ではスピードが非常におそい。これのスピード・アップをして牧野改良を進めて行かなければいかぬだろうということがこのねらいでありまして、このことにつきましては、実は昨年農林省の種畜牧場がございまして、そこにサービス・センターとしての牧野改良センターというものを実は四カ所設置いたしました。トラクターを四台持ちまして、主として先ほどお話し申し上げました集約牧野、公共団体の管理する集約牧野に重点を置きまして、その依頼に応じて出動いたしまして、障害物を除いたり、あるいは整地をしたりというようなことを実は昨年やって、非常にこれは希望が持てるということでありましたので、本年集約酪農地域の草地改良に対して今申しましたように各県にワン・セット分を補助するということに相なったのであります。  なお、牧野改良につきましては、本年度小団地の開発事業ということで、村を指定いたしまして、小団地の牧野につきましてはその団地について一事業、あるいは牧道なら牧道だけ、橋梁なら橋梁を直す、あるいは障害物、あるいは土塁、木棚を作るというような事業、一事業に限って、金額が小さいものですから、この助成をするという措置が本年度とられまして、これは三十五都道府県にわたって行われておるわけであります。  そのほかに災害復旧等について実施をされておりますが、なお北海道につきましてはいわゆる永年牧草地、地目は畑でありますけれども、そこに牧草をまいてあったのでありますが、戦時中の労働力の不足、戦後の混乱等でそのまま牧草が非常に少くなって、雑草地帯になっておる、いわゆる原野の状態を呈しておるという所にも、労働力がやはり北海道においては非常に足りない関係から、ここにやはりトラクターを補助いたしまして、特別に北海道畜産振興として補助いたしまして、これを保護する、いわゆる更新をして肥やしを入れて種をまいて生産力を増して行くという事業について、これも機械だけを北海道庁に補助している事業があるわけであります。  なお、牧野改良、ことに乳牛と結びつきまして牧草化をはかって参るという仕事をやって行きますためには、どうしてもそれに必要な種子対策を講じなければならぬ、こういうふうに考えまして、ただいま約二百五十町歩の原種圃を国が実は直営をしております。そのうちで普通の飼料作物もございますけれども、大体牧草林が約百町歩、その他トウモロコシ、青刈り大豆等が約百五十町歩ほど、そこでいい原種を生産をいたしまして、そうして各県の採種事業団体にこれを払い下げる、配付をする、都道府県の採種事業については、これはやはり北海道を初め赤クローバー、禾本科牧草の採種圃につきまして助成金を出しまして、そうしてそこからとれた種を一般の農家に配付をする、こういう組織を実は作っておるのであります。採種圃といたしましては、牧草は約千四十五町歩、その他トウモロコシ等が約七百九十町歩ばかりの面積に相当する助成金を実は出して、そうして牧草化の種子の確保を講じておるわけであります。なお、もちろんこれだけでは足りませんので、足りない分につきましては、主としてクローバー頃でありますが、これを海外から実は安い所を探して毎年輸入しておりますが、これが家畜の増加と伴いまして毎年非常に増加してきておりまして、去年、おととしくらいは約六十万ないし六十五万ポンドでありましたけれども、ことしあたりは百万ポンド以上の輸入をしなきゃならぬ。各県の需要をとりまとめますと、そのくらいになる模様であります。この種子の確保につきましては、外貨等については万全の策を講じております。ただ、昨年は特に豪州あるいはアメリカ方面の種子が不作でありまして、本年度春作に配られた種は若干高くなっておると思います。こういうことで種子の対策もあわせて講じておるわけであります。  なおつけ加えて、先ほど田中委員からお話がありましたので申し上げますが、家畜飼料といたしましては、たんぼの裏作、あるいは畑の周囲作、間作あるいは輪作——ローテーション等によりましてできる限り従来の作物生産を阻害しないで生産を落さないで飼料をとる方法はないかということで、昨年から乳牛をやはり主体といたしまして、一部落六十頭程度いる所をねらって、その乳牛のえさを田畑から輪作、周囲作その他によってとるやり方というものを実は計画を立てていただいて、若干の助成をして、現実にこれを体験をしていただくということを、まあ全国わずかでありますけれども、手をつけておるのであります。もちろん乳牛など入れますと青刈り飼料が相当要るのでありますが、乳牛等を飼っている農家はどうしても一反歩くらいの作付けを飼料作物としてやられているのが常識であります。ただ、市乳地帯等におきましては耕地が狭い関係上困難でありますけれども、大体一反歩程度のものは種子飼料の供給基地としての従来の畑をうまく使い、あるいは畑の一部を他の作物をやめて飼料作をやっておるのであります。でありますので、われわれは一般的には畑に飼料作物を作る、こういう考え方でいわゆる輪作をとり進めて行きたいということで行っておりますが、何分にも食糧作物を排除してえさを作るという問題は、これは経済性が食糧作物の方が高く、飼料作物の方は迂回生産でその辺が不利であろうという常識があるのが一つ、もう一つは、やはり畑にえさを作ると、肥やしを吸われて、あと作がうまくないのではないかという危惧を農家としては持つわけであります。でありますから、濃厚飼料が非常に高いというようなことになりますと、自給飼料の方が伸びて行く、濃厚飼料が安いとなるとどうしても自給飼料の方がおろそかになる。これは経営の段取りですが、悪いとは申しませんけれども、そういう関係にはなろうかと思いますが、しかし田畑にえさを作るという問題は、食糧作物を排除して飼料作物が入ることになりますから、かなり困難性があろうかと思いますし、われわれが計画いたしましても他の部局との調整という問題がありますし、なかなかこれは困難であろうと思いますけれども、できる限り他の食糧作物の生産を阻害しないで、そうして農家のまわりの近い所で粗飼料資源を確保して行くという考、え方を今後も推進して行くつもりでおります。これはやはり草といえば草でありまして、実ではないのであります。一般的には草地、牧野等の改良をやって、そうして画期的にその生産を上げて参るということが、やはり重点にはなろうと思いますが、あわせて田畑の方の利用の高度化ということも考えているわけであります。簡単に申し上げましたので、あるいはおわかりにくかったと思いますけれども、なお御質疑によりましてまたお答えすることにいたしまして、私の御報告はこの程度でお許しを願いたいと思います。
  21. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に林野庁の藤村指導部長。
  22. 藤村重任

    説明員(藤村重任君) 林野庁の指導部長であります。山林の関係といたしまして特に草に関していろいろ現在まで関連を持って参りましたものは、相当古い沿革を持っておるのであります。大正十年に畜産局農林省にできるまで、ほとんど山林局が牧野、採草、放牧というような特にそういう畑地の土地に関するいろいろの仕事にタッチしてきておるわけであります。今後いろいろ草資源改良あるいは増産等を考える場合に、どうしてもその対象は土地に関する問題になるのでありますが、先ほどもどなたからかお話がありましたように、現在の原野等が非常に不集約のまま残されておるという一つの大きな原因は、これに関する旧来の慣行等に関する権利の整備が非常におくれている、あるいはそのままの状態であるというのが非常に大きな原因であると思うわけでありますが、これに関連がございますので、多少草資源そのものの改良ではございませんが、これに関係のある現在の林野庁、以前の山林局が、いろいろ制度的にやって参りました経過を、時間もございませんので一つかみで申し上げて御参考にさしていただきたいと思うわけであります。以前は畜産と申しましても、ほとんど馬を主体にしたいろいろの行政が主体的に動いておったわけでございますが、特に非常に昔から名馬を産しておるような東北地方とかあるいは鹿児島方面、そういう特定の所におきましては、原野あるいは山林というものは、そういう動物を放置し、あるいは放牧しても、これは何ら差しつかえないというような昔からのしきたりがずっとあったようでございます。特に明治維新後ある程度山あるいは原に関する官民有の区分が一応未熟なりにもできました後におきましても、やはりそういう動物の動きに対してはほとんど無制限といいますか、何らのルールはなかったというようなのが実態であったわけでございますが、特にこれを大きく分けまして、そのころの官林、現在の国有林野と民有林野とに分けてずっと考えますと、当時の国有林野に対しましては、明治二十三年に初めてその土地の人たちに対して随意契約で放牧等に対しての貸付をするような規定を初めて立てております。非常に古い時代でございますが、そのときは農商務省がございまして、大臣は谷干城、ずいぶん昔のことでございます。そのときに山林局といたしましては放牧地及び牧草のしつけ地の反別をある程度押えるようなそういう書類を作らしております。これが一番初めではなかったろうかと思うわけでございます。しかしその後といえどもやはり非常に馬産の盛んであった地方では、みだりに林野に対して放牧されるというような状態で、その取締りも非常にできませんし、一番不安を感じましたのは国土の荒廃ということであったのであります。これは外国でもそうでございますようにオーバー・グレージングというのは非常に土地を荒して生産力を落すだけでなくして非常に洪水の原因にもなるというような、国土保全という面である程度は不安を感じてきたわけであります。それが三十年に森林法が初めて制定されておりますが、そのときにある程度あまりにひどいものについては処罰をするような罰則を作り、また一方国有林もだんだん整備をして参らなければ生産も上らないというようなことから、いろいろ国有林自体に対する管理経営の基礎を固めつつあったわけでございますので、ある程度貸付地等については料金を取るという規則で初めてこのとき取っております。これは一頭につき五銭ぐらいのものでございましたが、初めてそういう料金を取って放牧を許すというようなことを規定しております。ところがこういうふうなことで許しておりましたが、一方山の方では国有林の特別経営事業と申しまし三ある程度経営の計画も立てあるいは造林を進めて行かないといけないというような、土地利用の管理、経営の高度化をはかって参る時期に到達しておりましたので、ちょうどそのころ陸軍省では馬産の相当の増強をはからなければならぬということが出て参りまして、これが明治四十四年から大正十一年に至る十八カ年の馬産事業第一期計画であります。これが非常に大きく百五十八万頭の軍馬を確保する計画が強く出されまして、あまり国有林の方で土地の利用を制約されては困るというようなことで、これが大正五年まで農林省並びに陸軍省の間で交渉が進められて参っております。そういたしまして、相当長い間いろいろ折衝がございまして、そうして大正五年に初めて一つの打ち合せといいますか、協定が成立しておるわけでございますが、そのとき山林局長並びに馬政局長官のもとでそういう放牧あるいは採草をする土地に対してはその草の改良、増殖を期するために十分にこれを奨励して行くと、また国土保安あるいは地方維持のためにその限定地についてある程度の放牧の頭数限度を示すというような一つのルールを決定いたしております。これがその次になりました一つの制度的といいますか、ある馬産限定地に対する草の改良に関する一つ事項でございます。しかしこれはどこまでも馬畜だけに関するものでございまして、産牛につきましては、もっぱら従来の慣行に従ってそのまま放牧されておったというのが現状でございます。まあこれは特に国有地に対する一つの過去の形でございますが、民有地につきましては、これは、これまではほとんど放任の状態で、先ほど申し上げました通り一つ慣行に従っただけでございますが、明治四十四年の水害を契機といたしまして、当時の内務省並びに農林省がタイアップでやりました第一期森林治水事業のときに、当時の民有地で非常に荒廃しておるのは公有林野であるという一つの現実の姿から、この公有林をさらに国土保安上遺憾なからしめ、かつ生産化するとともに、基本財産にしたいというようなことから、公有林野の入会権の整備、改修並びに部落林野整備を実施しております。このとき初めて公有林野の土地の利用区分、当時は管理区分と称しておりましたが、管理区分をやっております。このときその地元の農家の使用するわらぶき屋根の採取量に適当する反別、それから畜産に必要な草の生産のための面積、それからその残の増林を適当とするというような土地、というような土地の利用区分をそのとき相当大きな仕事としてやっておるのであります。これが民有林に対する一つの土地の合理的利用とともに、草に関する一つの動かし方の最初でございます。その後昭和六年に牧野法が出ておりますが、そういうふうな形で現在まで参っておりまするが、特に山林関係で非常に一つの課題に逢着いたしましたのは、先ほど申し上げましたように、国有林、特に馬産限定地に対する非常に大きな陸軍省の要求があって、それをいろいろ打ち合せをしまして、限定をしましたが、その両方ともの希望を満たすためには、どうしても草の単位面積当りの収量を上げなくちゃならぬ、またいい草をそこで獲得しなくちゃならぬ、なおそのときは軍馬でございましたので、相当健脚の健康な馬をここで生産並びに管理する必要があるというようなことから、そういう草の生産、管理並びに運動に関する土地というものを、これは非常に広い面積を必要といたしましたが、そういうことから、特に林業試験場におきまして、草に関する、特に野草に関する研究を開始せざるを得ない状態になったのであります。なおそういう場合に、どれくらいの野草のはえます土地に、どの程度の庇蔭林があればいいかというようなこと、あるいはその改良のためにどういうふうにすればいいかというようなこと、あるいは火入れのための影響、その他それに関係しましていろいろの問題を対象にいたしまして、明治四十四年以来昭和二十二年に至るまで、一貫して林業試験場では特に野草に関しいろいろの研究を持続して参りまして、その結果によって行政上に土地の利用合理化を反映せしめて行くという方法をとって参っているのであります。それが終戦後になりましてだいぶ形が変って参ったのでございますが、私どもの方では、草資源と申しますのは、これは終戦後のこの問からの言葉でございますが、草そのものの機能を使用するということと、草そのもの対象に使用するということと二つあるように考えまして使用をいたしております。草の機能を使うというのは、これは今言うまでもなく土地の荒廃を防止し、あるいは土地の生産力をそこで確保するため、被覆するために草の非常にいい性質を使うということであります。もう一つ草そのものを使用するということでございますが、これが家畜飼料になる、あるいは営農上の有機物の対象になるということであろうかと思うのであります。家畜飼料になる草というのは、簡単に言えば蛋白質をどうして余計にやるかということであろうかと思いますし、もちろん脂肪等もございますが、もう一つの方はこれは土地改良としての一つの有機物給源としての草ということになろうかと思うのであります。終戦後非常に山林が荒廃しましたので、早くこれを復旧する、貴重な土壌を流亡せしめないように、これを確保するというために、私どもの方では終戦後ある程度草ウ王壌被覆に使うことを奨励いたして参っております。昭和二十一年三種類のラブ・グラスを初めて手に入れまして以来、各方面でその後の獲得した外国の草の種類等もあわせまして、相当土壌の性質に合致するようなところで土壌のイロージョン・コントロールのために草を活用しているのであります。治山治水と一口に申しますけれども、どうしてもそこの土壌層と言いますか、ソイル・マンテルと言いますか、そういう内容がよくなければなりませんので、そのために草の機能を十分に発揮させるということになるわけでございますが、最近は非常に日本でやはり工事等が進みますと、今まで使っておりましたカヤ、しば等がある所では不足を来して、一方の建設は一方の破壊を来たすというようなことさへありますので、草の種を肥料と土の中に練りまぜまして、一口に植生盤と称しておりますが、そういうのを一つ作って、そういうのを工事のときに使うというような草の利用等も今実行いたしております。そういうような侵蝕防止、あるいは土壌保全というような意味では草の機能を発揮している、こういうようなことをやっているのであります。それから草そのものを使用するということは、これは実際は林野から申しますと、ほかの部門を対象にして考えることになりますのでございますが、その土地そのものが林野関係することになりますので、いろいろそれを使う方面の御希望等も十分聞かねばなりませんが、先ほど話もございましたが、現在日本にありまする牛は、大部分が和牛であります。今度乳牛を十分取り入れて進められることになると思いますが、とにかく現在は和牛が非常に多い、ですからこの和牛をある程度林野で使う肥料等の給源にすることができれば、あるいは放牧の対象にすることができれば、これは総合生産のために非常に有効でございますので、大家畜としては和牛を主体にし、小家畜としてはヤギあるいは綿羊等を一部対象にしまして、そうしてその放牧、採草の形態、それをどうすればいいかということで、林業試験場が主となり、あるいは研究、普及課等がそれの応用をさして行くというような方法を進めておるわけでございますが、現在、終戦後一応放牧あるいは放牧地の管理あるいはその内容、特に草に関しましては天然の草を特に対象にいたしまして、それらの改良ということを主体にした研究あるいは普及を計画しておるというようなことになっておるのでございます。従いまして、先ほど天然更新という話もございましたが、天然更新というのは山の方の木の方でよく使っておりますが、やはり自然でございますのでずんずん移り変って参る。非常にいい土壌のある森林から、それを荒して行けばカヤのはえるような草地に乾燥してだんだん悪くなって行く。さらにそれを荒して行けば、しばだけしかはえないような、もっと悪いことになる。さらにそれを荒して行けば荒蕪地になってしまうというように、その破壊の大きさとその時間的な経過によってどんどん土地は荒れて行くのでございますが、それを逆に、現在の荒蕪地あるいはしば植え地等をよりいい土壌の状態——これを草そのものの機能である程度改良していく。そのための手段を、特に耕蔽とか施肥とかあるいは播種とかいう方法は第二次として、水を使うとかあるいは庇蔭によってそれを解決して行くというような、主として純自然的な方法で目的を達して行こうというのが私どもの方の立場でございます。まあそういうようなことで、今後相当まだ残っております、一がいに原野といっております非常に権利関係の複雑であり、また生産力が非常に低下しておる所を、草資源というこのごろの非常に注目を引いておりまする植生でおおい、これをよく経済的に、総合的に利用して行く、活用して行くというようなことを、先般来官房中心にしていろいろ打ち合せを進めてきておるわけでございます。林野といたしましては相当の面積もございますし、科学技術的にあるいは法制的に、次第にそれを推し進めて行くことができるならば、全国の土地使用形態が非常に高度化せられるというふうに存じまして、努力をいたす覚悟をいたしておるのでございます。
  23. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいま各関係部局の担当の方からお話をされたわけで、それぞれ御苦心をなさっておるわけでありますが、ただいまのお話に関連いたしまして御質問があれば……。
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の林野庁畜産局の話から、たとえてみれば、放牧する畜産の種類によって、一年を通じた放牧期で生息地帯等が違ってくるのだが、これは具体的に言えば、牛をある地区に放牧しておった。そうすると夏になると、だんだん山の上に行く。冬になるとだんだんと水の香を慕って里へおりてくる、こういったような習性と、今、林野庁で言われておる牧草等の関係をどういうふうに実際問題として調整して行かれたらいいのかということを、この今の研究機関における題目として、官房長官から一つお伺いしたい。  それから、これは畜産局長にお聞きをしたいのだが、集約酪農地帯等を設けて、トラクターとかいろいろなものを入れて、一つそういう方面畜産を奨励して行く、こう言うが、大体そういう地帯は、俗に言う三反、五反百姓で、労力が通常的に考えますと、余っておるように考える。ところが僕らが実際そういう地帯に入ってみますと、この地帯は平場地帯の二町乃至は三町くらいでやってきたよりは、労力というものは余っていない。と申しますことは、すでに営農自身が三反や五反では、それで生活はできませんので、あらゆる余剰労力は他の副業的な労働力に振り向けられておって、一分のすきもなく使われている、これが実情である。そういう場合に、集約酪農地帯を作って云々という方法をとられる際に、それに従事する農民に、ただ、牛を飼えというだけではなく、だからある程度までの、その期間の生活保障的なものを考えて行かなければ、完結したものができないのではないか。これは今までの畜産高等の御指導等によりまして、山間地帯に非常にこういうものを進めておられる、事実において、この地帯は一時にばっと二百頭も買う人もある。それがただわずかに乳価でもちょっと下ったといったら、ぱたぱたとなっていってしまう。かえって損をする、損をしてまでも乳牛は買わぬ、こういう現実に今当面しているのです。従って一町二、三反や二町くらいの所で、一反歩や二反歩くらいは、時によれば濃厚飼料等を使って高く回される。あるいは裏作で間に合わせるのが割合に成功して永久性を持っている、こういう点を考えます。そういう点について、どうお考えになっているか。
  25. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 清澤委員の御疑問が出ましたり、御意見がありましたことについては、私どももこれからまだ研究しなければならぬと思っておりますが、しかし寄り寄り研究をいたしまして、少し農林省も、従来のような、自分のところは自分のところという局で考えないで、国有林の中の運用を大蔵省や林野庁等は調整の要はありそうでありますが、林野庁で直営の国有林、昔でいえば馬産限定地に類するものを馬、益畜、乳牛で試験研究をやっています。それから村の人に契約で作ってもらうというようなことをやる。その場合に、制度、法制ということが問題になりますから、これを一方計画では、先ほど申しました協議会では総合計画部会でこのモデルをやってみて、法制研究部会でそこに出てくる法制研究しまして、そうして国営的実験と地元の農民、山村の方々との関係を何か制度改正、法律改正までもって行くことが本当じゃないか、こういうふうに思っております。問題のとらえ方自身がまだ頭がはっきりしておりませんので、そういうこと自身をよくお教え願いたいと思います。
  26. 原田傳

    説明員原田傳君) 集約酪農地域の建設のやり方につきまして、清澤先生から御指摘のありました点はまことにごもっともであると考えております。私ども考えといたしましては、ただ農家に乳牛を導入すればいいということでは成功いたしませんので、集約酪農地域の建設のための計画というものを樹立させるようにいたしまして、その際いろいろなファクターがございますが、一つの重要なファクターといたしまして、その地帯におきまする農家の働き得る労働力というものを算定いたしまして、その状態から見まして、どの程度乳牛の導入が可能であるかという点を十分に検討いたしました上で、その地域の計画が適当であるかどうかという判断をいたしまして、地域ごとにその点を十分検討を加えて進めて参る、このような考え方をとっておるわけでございます。と同時に乳価の変動等によりまして直ちに脱落、転落するようなことがあってはかえってマイナスになるのでございますが、やはりこの計画を立てます際には、ただばく然と乳牛を飼うという行き方ではなくて、そういう地帯におきまして十分に自給飼料の資源がある、あるいは畑作で飼料作物を作りますというような点、それからさらにいろいろお話に出ておりまするその地帯における草資源利用というものがどの程度できるかという点を検討いたしまして、十分に乳価の変動に耐え得るような生産費の低減が可能であるという点を確かめた上で計画の適否を判断する、こういうふうな点もあわせて考えておる次第でございます。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 その際一番考えていただかなければならぬことは、そういう御研究も必要だろうが、もうわかっているのです。だれか一人そういうものに専門にかかりますれば、その分だけ、一年間なら一年間乳が上ってくるまで、そこのうちの家計をささえるものが収入不足になるのですから、その点を十分一つ考えていただかなかったら本物にはならぬのじゃないか、こういうことなんです。これは官房長一つよく研究してもらって……、そこがほんとうに大事なんですよ。
  28. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと私お尋ねしてみたいのですが、先ほど農地局の方でまあいろいろ開拓可能地という数字を出しておられましたし、それから畜産局の方で牧野面積等が出ているわけですが、一体将来この草資源のまあ改良造成対象として行く土地は、今農地局の方で言われたのとそれから畜産局の方で言われたこの数字で、大体もうこの程度のものなのか、それとももっとあるのかということなのでして、たとえば総合開発をやる場合に、どれだけの傾斜地を草地として利用してもいいというような、たとえば河川流域、ことにいろいろ検討して行ってみれば数字が出てくるのだと思いますが、そういうようなことは、今までおやりになっているのかどうか、従ってまあ一体将来この草地として利用できるものはほぼどのくらいなものになるのか、その見通しをどうつけておられるかということなんです。それから経済六カ年計画というものがありますが、まああればコンクリートなものかどうかよく知りませんけれども、あそこで食糧の増産ということが出ておるのですが、あの六ヵ年計画にはそういう草地の、まあ草の増産といいますか、そういうようなものは一体経済六カ年計画の中には出ているのか、まだこれから出して行くのか、もうそういうことは考えぬでもいいのか、そういう点はどうなっているんですか。
  29. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 逐一御指摘になる点、頭をかく以外に方法はないのです。寄り寄り数回にわたりまして、ごく最近だけでも総合的な研究会をやっているわけですが、結局一部局にある手元資料を、それ自身をいろいろ研究してみて、もう一つ別の部局にあるものを研究してみますると、結局どれもどうもしっかりしておらぬということでありますので、そこで先ほど申し上げましたような基本的な統計といいますか、ある資料といいますか、そういうものも再整備いたしますのと、確実な部面の行政対象にするところの開拓の基準の方から見ましたり、牧野改良畜産局から言われましたような基準に合せましたり、確実なところをつかむものと二つを急速に整えて見よう。根本的にはもっと今後のことに期待しなくちゃいかぬというふうに思っておるのが現状であります。経済六カ年計画の方は第一次試案でごらん下さったようなものをコンクリートにしたり、増産目標を下げる案を貿易、鉱工業、資金、財政金融、雇用等から検討しておるのを、私どもは国内の経済情勢と国際情勢を加味する限りにおいては合理化をはからなければいかぬが、自給増産の目標は堅持すると同時に、さらに広く第一次試案に出ました米麦の増産、食糧増産というようなことに重点を置いたものでなしに、日本農業の長期的な目標をそこに打ち出す計画に改めるようにしたい、こういう建前でやっておりまして、ところがさてこの計画の中は何かと言いますと、コルム方式でやってわりますので、国民総生産でも、国民所得でも、分配国民所得でも、生産水準でもばくとした基準の平面的な、平均値のようなものでまず押えて、これに個別の計数、計画を間に入れまして、重点をそのものに置きまして、それの資金あるいは予算というものはどんな基準になるかということを押えております関係もございまして、もとの役所である農林省としても、ぼつぼつと出ている参考資料にあげました予算程度では、長期計画としては必ずしも打ち出しておりませんのでありまして、畜産計画というものは食糧計画の中にも、畜産計画の中にも打ち出しまして、それの方策として掲げるものは掲げたいと思って、目下なお研究しておるわけでありますが、これが長期計画的な計数計画であり、資金計画であり、その基礎である開発計画であり、利用計画であるというものは、まだ具体性を持っておらない現状であります。
  30. 田中啓一

    田中啓一君 まあそれぞれこの草資源の方へ向っておりますところの、大体農林省各局のこれまでの行政の方向というものを歴史的に述べていただきまして、これはまあ非常に、私どもそれをやっておった者でももう一ぺん聞いてみるとまた感を新たにするわけでありまして非常に有益であったと思うのであります。ですがこれを通じて所感を、まあ感じを申しますと、結局牧野法にしてからが、これは昭和六年に私どもも実は一緒になって作った法律でありますが、当時言われておったことは、山林局などで直ぐ読まされた本はカンプ・ツゥイシェソ・デム・ワルド・ウンド・ワイデこういう本がありました、「森林と牧野との闘争」と。結局木を植える者と動物を飼うものと農作物を取る者とが土地の取り合いをやっている。それを何とか農林省は難儀して調整しておった。こういうことで、結局これは牧野だといえば中にどんなに国策に適した所があったとてふやさぬ。木をふやした方がいいにきまっている、中に谷がたくさん入っているのですからそこは木をふやさなければ土地の保全もできないし、どうにもならぬけれども、木はふやさぬ、こういうまあ寸法なんですね。その後だんだん向きは変りつつあって、ことに戦後各局の間に計画部なり計画課なり企画課なりというものがありまして、相当この方へ向って行かなければならぬという苦心、努力というものはあるのです。あるけれども、まだ十分にはむろん表われておりませんので、この辺の機会に私はどうしても飛躍的に、土地の取り合いをやるのでなくて、それぞれの専門の者が集まって、総合的に土地の生産性を発揮すると、こういう協力態勢に入っていただかなければならぬと思う。それで実は最近北海道や東北を回って来たのでありますが、まあその辺を知事やその他の実際直面しておる人たちは、そういうことでやっきになっておる。で総合開発計画というものは至るところに立っておりますが、実は農林省間の総合開発計画が一向にできないのですね。総合開発に入っておるのは何かといいますと、やはり土地利用区分的に入っておりまして、そうしてまあとにかく開田を何ぼやる、畑地に灌漑を何ぼやっておる、水田の補水を何ぼやっておる、これで米麦換算増産何ぼ、この程度ですね。そこに何をもとにしてやるのか知らぬが、大いに畜産をやらなきやならぬから牛を何頭ふやさなければならぬ、それがふえるのか、ふえないのか、第一食うものがないだろうと私は思う。そういう式できておるのでありますので、結局これまでの土地の利用というものに対する考え方をこの際一つ思い切って転換をして林、畜、農というようなものが一つできるだけこまかく土地を利用することを協力して考える。そうしてそれでもってもうこれは全体の施業案を組む。森林なども施業案というものがありましても、これなど木をふやして植えて行くだけの施業案であって、土地全体の施業案ではないわけです。でありますから、そういった私は総合的な考え方にする。従ってこれまでいろいろなここに関係法規というものがありまして、おそらく法制部会お作りになったのもそういう面を変えなくちゃいかぬだろうという御着眼で協議会の中に法制部会お作りになったと思う。ここにちゃんと関係の法律をあげておられる。非常にあるところまで用意はきておるわけなのでありまして、思いは誰も同じかと私は思うのでありますが、まあ私どもこれは牧野法を作った発頭人で、牧野法をここで懺悔をしてい大いにやりますから、そういった方に一つ向けなきゃならぬという感を痛切に抱くのでありますが、大へんこう思いつきの雑駁なことを申しましたけれども、これについて一つ局長の御意見を伺えれば非常にけっこうだと思います。
  31. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 先ほど私が行政機構問題そのものも根本問題の一つではないかと申し上げたこと、私そう申し上げる基礎でありました省内研究のやや結論に近いような主とまり方も、実は田中委員のお考えと同様でございまして、農地局が近ごろとかく農業土木局的な色彩ばかり強くて、まあ仕事が大へんなことでありますのでそうであり、また米麦増産に重点を指向しておる。まあここへ土地の総合利用、経営の多角化、資源の利用生産性向上と、まあそこに国際性というものを考えなくちゃいかぬということで、まあ若干の根本的なことも実は内々研究いたしておるのでありますが、田中先生のおっしゃるようなことに触れて、なお御指導いただいた上、よくまた農林省内、また関係省の間とよく相談したいと思っておるのであります。また官庁内部のことばかりでなしに……まあこれは官庁の内部というものは、農林水産関係農林業関係では、非常に政府なり国なり、いわんや国会の力が一般国民経済慣行等に及ぼす影響が大きいからそう申し上げておるのでありますが、そういうことばかりでなしに、広く総合計画、それからそれに必要なる施策、それに支障を来たしそうな現行法制慣行の助長規制、両面合せましてのことを事務局である連絡協議会として広く御意見をいただき、御指導いただく調査会、あるいは国会、こういう方面方針を指向していただきますれば非常に幸いだと思っておる次第でありまして、まあこの点は各局は今その気持でおるわけであります。あわせまして官房の私ども推進役になりまして、単にこれは役所の者だけではどうということでございませんので、むしろ知識なり事務なりを奉仕する役目の竜のでございますので、広い経験者、学者、先輩の方々にやはり力を、知恵のみならず力もお貸し願わないとむずかしいことじゃないか。従来の弊風を打破いたしましてやりたいと思います。
  32. 東隆

    ○東隆君 私は草資源改良をやる所は、たとえば日本考える場合に、平地でありますと火山灰地、泥炭地、あるいは軍粘土地帯・酸性土壌地帯、こういうようなまあ特殊土壌地帯がこれは中心になると思う。それから平地外を考えると、海浜であるとかあるいは岳麓地帯、そういうような方面に重点を置いて行かなきゃならぬと思いますが、その場合に、私は先ほどの馬を牛に乗りかえる場合に、単に草資源方面ばかり考えるのでなくして、実は牛の種類なんかを相当考えなきゃならぬと思うのですが、もう少し傾斜地でもって十分に今まで成績を上げたものが世界の中にある。そういうふうなものをやはり導入する必要があるのじゃないか、こういう考え方を持つわけです。シンメンタールなんかいいんじゃないかと、こういうことを聞いておるのですが、そんなようなものほこれは一例でありますけれども、そういうことを考えなきゃならぬ、林間放牧を考えてみましても、今のホルスタインを中心としては無理なんです。そんなような考え方日本は酪農の方面においては片寄った発達をしておるのじゃないか、こう考えますので草を有効適切に使う動物を考える必要があると、こういうことを考える。草資源を生かすためにそれを食う動物を考えなきゃならぬ、これを私は非常に変な言い方でありますけれども、そっちの方を考えないでやりまするならば——土地の私は集約ということを考えれば、土地から生産されるものを、集約的に生産をさせるんだと、こういうことを考えまするならば、私は酪農だのそれからその他の動物を飼うなんということはこれは非常に反対のことになる。舎飼いをするのが一番集約になる。そのためにかえってよそから持ってきて使った方がいいわけです。だから米麦を中心にしたり、あるいは果樹観葉を栽培する方がずっと土地を中心にすれば集約になるわけですから、これは粗放な飼い方をするということを対象に置いて考えて行きたいと思います。私は草資源開発そのものと関連して、それを有効適切に使う、そいつを利用するものというのは動物ですから、その動物を考える必要がある。これはおそらくお考えになっておると思うのですが、現に入っておるジャージーにいたしましても、あるいはブラウンスイスなんかも考えている。あるいはショートホーンなんかも考えておるようであります。しかしそれ以外にまだ探してもいいんじゃないかと、こう思うのですが、その辺をお考えがございましたらお伺いをいたしたい。
  33. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) 大へんごもっともな御意見で、われわれもいろいろなその土地に適したやはり乳牛というものを考えて行かなければならぬだろう。いろいろありますが、一ぺんにいろいろな種類のものを取り上げるということは、やはり混乱を来たすおそれがありますので、まず第一に体が小さくて粗飼料利用率が高い、しかも経済年数も割合長く使えるというような関係から、実は予算的には二種類ばかり出しておりますが、結局ジャージー一つになりまして、今これに主力を注いでやっておるのであります。お話のようにブラウンスイスなりあるいはシンメンタールなり、あるいはエアーシャー等も従来から方々で飼われ、今でも少し残っております。ただ一番いろいろな種類を取り上げることにつきまして問題なのは、少数の品種になりますと、どうしても子供の売り先が非常に拘束を受ける。ある程度まあ試験的にはわかりましても、これを導入することになりますとかなり集団的に一カ所へ入れ、そういう地帯を幾つか作りませんと、せっかく多額の経費を入れても、あるいは相当投資をした農家の、今後の子牛の売り先、これが非常に心配なのであります。今のジャージーにつきましてもそういうことは内心実は心配をしておるのであります。ただいまのところは、まずまずまだそういう心配は起っておりませんけれども、決してお話のような家畜考えないわけではないのでありまして、ただいまジャージーをやっておりますので、これがひときりついたらまたほかの品種を考えて行かなければならない。ただいまも局内関係者、あるいは牧場の専門家といろいろ研究はしているのでありますが、結論はまだ出ておりません。一応ジャージーの方の片をつけてから、その次一ついろいろなものをまた取り上げて研究して参りたいと、かように考えております。
  34. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 いろいろ研究の進め方や計画についてお話を伺いましたが、私はいただいた資料を拝見して見て、何だか非常にちぐはぐに感ずるのですが、その一つの点は予算的に見ると、畜産局関係予算が大幅に出ているが、林野庁農業改良局関係がこれに比べて非常にバランスを失しているような、こういうアンバランスな行き方をして行くことが、今各局、各部から聞いた草資源開発事業総合性を果して発揮できるかどうかということを、実は予算の面から疑問に思うのです。特にその内容が詳しくごの資料ではわかりませんけれども林野庁林野庁立場でこの提供された資料の二十八ページと二十九ぺ−ジは、おそらくこれは林野庁が主になって出されている資料じゃないかと思う。これを拝見すると、管理牧野と保護牧野を合せて百十七万町歩ということになっておりますが、これだけの面積と、それからさっき農地局で発表された取得可能の開拓地二百万町歩のうち、すでに取得済みの土地が百四十万七千町歩、こういうことを発表されましたが、それと今の百十七万町歩との関係というのは一体どういうふうになっているのか、これらをおわかりだったらどこかで開かしていただきたいと思います心並びにもし百十七万町歩というのが大体林野庁所管の面積であるとすれば、これだけの面積をかかえて、そうして今指導部長の説明されたように、なかなか構想としてはりっぱなことをお考えになっておいでのようでありますけれども、いかんせん林野庁予算的に確保している草資源対策事業関係予算を拝見をすると、昭和二十八年度から始まって二十九、三十年度毎年わずかに三十万前後の経費しかこれは使っておらない。それからなお農業改良局関係の同様の予算関係を拝見をしても大体年額四百万程度の金が、しかも二十八年度を基点にして考えてみると、一進一退という状況で少しも伸びてきておらない。ただひとり伸びているのは畜産局関係予算だけなんです。この畜産局関係予算が伸びているのが、果して林野農業改良局関係とどういうふうに具体的にかみ合っているのか、何だか破行しているというように私にはこの予算面から見ると思われるので、予算的にはここに大きな考慮が払われなければ、いかにここでりっぱなことを言ってみたところで依然としてこれは根本の問題については前進しない。これらについて官房長なりあるいは特に林野庁関係の、具体的に昭和三十一年度にはこれがどういうふうに伸びようとしているのか、これらについての構想なり希望なりがおありのことだと思うので、私はこれが今の発表と相関連をして、昭和三十一年度においてはわれわれの期待に沿うがごとくに伸びようとしているならまだいいのですが、依然として足踏みをしておるのでは、これは机上の論に過ぎないので、いかにわれわれが草資源に力を入れようとしても、一歩も前進できないのでは、足踏みをしているのでは、せっかく総合的なこの力の入れ方が、時間的にいかにももったいないというふうに感ずるので、この点をお聞かせをいただきたいということです。  それからもう一点は、河川敷が二十一万町歩という数字がここの十七ページにあげられておりますが、この二十一万町歩とした面積の計算はどこから出ておるのか、これはおそらく建設省関係もこれには参画しておいでのことと思いますけれども、河川敷の利用については、私はやはり一番手つとり早くて、しかも牧野改良基準に見るがごとく、町当りの生草生産量を二十二トンに高めるということを高度集約牧野と、こういうふうに分類しておいでになるけれども、私は一番実効のあがるのは河川敷じゃないか、こういう点から見れば。従って、これらについては、やはり従来の慣行があって建設省との関係もありますから、この二十一万町歩という面積の根拠並びに利用の仕方については、私の知る限りでは、建設省はプロパーの立場で、やはりこれを家畜利用せしめるにはどうしたらいいかということを、ささやかな試験をやってでもおいでになるのですから、ここらとも連絡があるんじゃないかと思うのですが、しかし今日は、これからの計画にも建設省は一人も参画しておいでにならないようですが、それらの関係がどうなっているか。  それから、この牧野改良基準による高度集約牧野と、それから改良牧野、天然牧野、保護牧野、こういうような四つに分類をされておられますが、その一町歩当りの生草の生産量を二十二トン、それからあるいは十二トン、あるいは四トン半、こういう基準で分類しておいでになりますけれども、これは今までの、つまり既存の牧野における生産量というものが一体どの辺のところにあるのか、目標でなしにそれを一つ。これは林野庁ですかお聞かせをいただきたいということが第三。  それから最後には、私は今質問された東委員構想というか、考え方については全面的に賛成であります。草地を改良草資源の効率を高めるということはもちろん大賛成でありますけれども、私はこれはなかなか一朝にしてなせるわざではないと思うので、むしろその進度に家畜を合せるという考え方が、私は一番現実に即した日本の食糧の総合需給態勢をととのえる手近な方策じゃないかと思うので、どういう地域にどういう品種の家畜を持ってこいということについては、われわれの乏しい知識と経験よりは、せっかく専門家を擁してやっておいでになる畜産局や、あるいは試験研究機関中心になって当然お考えもあることだと思いますけれども、これはいたずらに五百万円を投じて、アメリカからホルスタインの種牛を入れることばかりが畜産改良の重点ではないだろう。どうかそういう意味では、せっかく百十七万町歩林野総合計画のために待っているわけですから、これに家畜を合わせるという考え方で、牛でもいいし、馬あるいは綿羊、ヤギその他各般の家畜について、もう一度私は、ここいらで今までの試験研究と経験を振り返って見で、日本の国土の高度の利用という点で、日本の国土の現況に家畜を合せるという考え方を大きく検討されていい問題じゃないかと思う。さっきの山本課長のお話では、それの処分に困るというふうなお話がありましたけれども、それは総合計画が立ってないからの話でありまして、これは総合計画を立てる以上は、決してジャージーを今度集約酪農地に入れたらそれがもう手一ぱいの仕事であって、あとは手が出ないというのではなく、私は畜産局の現事業からすれば、まだまだ大いに余地がある仕事じゃないかと思うので、その点については東君と同様に私は大いに強調して、そうして、しかも畜産行政への一つのエポックを画して行く必要をかねがね痛感しておりましたので、この点も付言し、要望しておきたいと思います。以上です。
  35. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) まず第一の予算措置に関することでございますが、従来の予算に関しましては、飯島委員の御批判の通りであろうと思います。これを深く反省いたしまして、本年の作業、すなわち三十一年度予算要求に対しまする態度といたしましては、局から一応官房会計課にいただいて聞き取りをいたしておりまする現状におきましては、現状というよりは今までの状況におきましては、たとえば林野からさらに一項目を拡大して三十万円を一千万円にする、こういうふうなものが出ているのでありますので、そういう扱いは全然だめだ、各局まあ係りで考えて、その項目については、本省側で試験研究また地方の経験を加えて、可能であろうという項目を、かなりこの面は重複もいたしておる、小さいやつがたくさん重複もいたしているが、順序よくこれが産業を確立して行く上において成り立っていないということがはっきりしていることだけは事実であるから、これは総合草資源対策費、そういう仮の名前をつけまするというと、もちろん畜産の内容を多分に含みますけれども、従来の予算項目を統合整理いたしまして、整理と申しますか、統合強化いたしまして、相当画期的なものを政治折衝もできるような形にまとめ上げて、中をバランスよく、ちょうど総合計画部会から、法制部会から、試験研究部会におきまして、あるいは土地総合利用部会等もあり得るかもしれませんが、そういうような荒筋で太く打ち出したいと思って予算編成をし直しさせているわけであります。ただ予算というのは、まあ政府案に関しまする限りは、かなり具体的効果と根拠が机上においてでも相当明瞭で、税金のお金をつけても、なるほどというものが具体化することは事実でございますので、その面におきまして、多分に研究足らずのものがあるわけであります。その間に処しまして、農林省全体といたしましては、ともかくこの時期も予算編成期にかかっておるのであるから、十月二十日を目途として国会の御意見もいただき、調査会省内協議会研究も進めて、コンクリートになって、よりいいものは内容を充実、あるいはすりかえる形におきまして、おおむねのバランスをとって、総額を押え、かなり大きいものを出そうと思っておるわけであります。農林大臣が帰国いたしましたならば、よく御意見も承わり、決定をしてもらって、大臣みずから陣頭指揮され、来年度予算重点項目として取り上げるように、在外中でありますが連絡もすでにいたしております。昨日の夜も、実は、国会のお方は昨日から三日間委員会参議院においてございますからというので、国会外の経験者のお方にこの問題についてあらためて聞き、前から連絡をとっておったのでございます。ちょうど東委員のおっしゃったことは石黒先生の方から御指摘もありまして、飯島委員と全面的な賛成同意見がございました。明治以来いろいろな種類がたくさん入ってきたのだが、やはり、今ホルスタインになり過ぎたことについては非常に反省して適当な品種に戻せ、しかしある意味では、失敗した歴史も多分にあるから、その点は深く研究をするようにというお話でございました。そういう点など、すべて各局専門家で特にP・Lの試験研究機関の方に御尽力を願いまして扱いたいと思っております。数字その他については関係局の方がよいと思いますが、総括しまして、御指摘になりました点は、私ども省内検討でも同じ意見がございまして、それを急速に整理して、省内でまとまったならば、他官庁とつき合わせる措置を予定しておるわけであります。その整理の仕方について十分でないものがおそらくあることと想定されますので、江田委員長から御意見がございましたように、施策対象とし得るものをまずコンクリートに押えたならば、よりたくさんあるかもしれませんが、例を言いますと、農地局資源課長が、これだけは開拓しておく余地があると、こう申されましたものがあるかもしれませんが、施策対象地域というものはまだある、これだけは確実であります。それ以外に日本にはより伸ばしていく草資源開発の土地総合利用の余地、林地の総合生産性を高める余地のところは方法を加えたらなおどれだけある、そういうことの整理に進めたいと思っております。先ほど林野庁と言われたところは畜産局調べでございます。
  36. 江田三郎

    委員長江田三郎君) では、まだいろいろあると思いますが、だいぶ時間がおそくなりましたので、午前中はこの程度にしまして、午後試験研究機関方々の御出席を願っておりますから、そのお話を聞き、終りまして、青森県の草地改良とニュージーランドの草地改良のスライド及び映画を見ることにいたしたいと思います。午後二時半まで休憩いたします。    午後一時三十六分休憩      —————・—————    午後二時三十八分開会
  37. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではただいまから委員会を再開いたします。  有志の委員の方から、漁業用燃油に関する件を本委員会で取り上げるようにと、こういうことでございましたが、ただいまのところ明日までの日程は非常に込んでおりまして、なおその上日程にまだ上していない森永のミルクの問題、その他林野庁の退職金制度の問題等についても議題として取り上げるようにと、こういう御要求もございますので、この際明日で終りますのを明後日まで委員会を延長したいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではそういう工合にいたします。     —————————————
  39. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  最初に、先般御懇談申しましたように、草資源改良造成及び利用増進に関する件につきまして、次回の委員会参考人意見を聞くことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人の人選、日時及びその他の手続は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、いま一つ参考人出席要求に関する件でございますが、明後日漁業用燃油に関する件を議題といたします際に、この問題について石油元売懇話会会長、もし会長に事故がございますれば適当な方を参考人として意見を聞くことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、先ほど申しましたように、会長ということでございますが、事故があれば他の代理者ということになりますから、その人選その他の手続は御一任願いたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 江田三郎

    委員長江田三郎君) じゃ、さよう決定いたします。     —————————————
  44. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 午前中に引き続きまして草資源改良造成及び利用増進対策につきまして試験研究機関方々のお話を聞くことにいたします。なお五人の方々意見を聞きますが、御質問は午前中のように、一応五人の方が終りましてから一括してお願いいたします。最初に農林省農業技術研究所家畜部長鶴田祥平君。
  45. 鶴田祥平

    説明員(鶴田祥平君) 私は農業技術研究所家畜部長をやっております鶴田でございます。家畜、ことに草食家畜につきましてその栄養なり健康を保持します上に、また能力を十分発揮させまして生産物を増産する、あるいは畜産物の生産コストを引き下げる、こういうような面から考えまして、草類が非常に貴重な、また価値の高い飼料資源であるということは今さら申し上げる必要もないかと存ずるのであります。ところが日本におきます草地の状況は、御承知のように草の質の面から見ましても、あるいは量の面から見ましても非常に生産力が低いのでございまして、私どもかねがね非常に遺憾に感じておるところであります。ところがいろいろ調査いたしてみますと、人工を加えました草地におきましては、畦畔なり、あるいは採草地におきましても年間になま草で非常にいい草が四千キロ、六千キロ、あるいは八千キロ、中には一万キロ以上を生産しておる土地もないではないのであります。今かりに豆科の草が二、三割程度含まれておりますような若い草が一反歩一年間になまで二千五百キロも生産があるといたしますと、この草だけで普通体重約五百キロ前後の乳牛のからだを維持しながらなおかつ三石五斗の牛乳の生産が可能なのであります。こういうことを考えますと草資源改良造成あるいはその利用合理化をはかるということは、日本畜産の現在あるいは将来にとりましてきわめて大切な焦眉の急務であるというふうに考えるのであります。のみならず、土地が非常に狭くて天然資源に乏しく、また食糧が常に不足いたしておりますわが国としましては、この問題はひとり畜産の問題だけでなく、国民経済全体の面から見ましても非常に重大な意義を持つものというふうに考えるのであります。こんなに重大な意義を持っております草に対します研究の面は従来残念ながら非常におくれておるのであります。未解決に属します問題が山積いたしておりますことは、私どもとしまして非常に申しわけなく存じておるところであります。農業技術研究所におきましては六年ほど前に飼料作物なりこの草の問題を深く掘り下げる必要を認められまして、これに関する一科を新たに作りまして、その科の中に育種、それから植物生理及び種子の三つの研究室を設けまして、主として飼料作物なり・あるいは草類の改良、生産の面に向って研究を進めて参りつつあるのであります。なおこれは従来の畜産試験場時代からありましたのですが、畜産化学部内の飼養科にあります二つの研究室におきまして、草類の飼料価値あるいは栄養の面も取り上げて研究を進めております。これらの研究のうちおもなものにつきまして簡単にちょっと申し上げてみたいと思うのであります。  第一に、育種研研室におきましては、すでに日本向きのスーダングラスの選抜を終えまして、この種子は広く民間にもすでに流れておりますが、現在は赤クローバーの純系分離が終りましてこれらの系統の組み合せから合成品種の作成に努力をいたしております。なおラジノ・クローバーにつきまして三つの系統が分離されたのでありますが、これらは御承知のように他の草類と混播を常に行なっております。ところがこれらの草が単播の場合に現わします特性は必ずしも混播の場合にその通りに現われてこないのであります。従いましてこの三つの系統とオーチャード、あるいはレッド・トップといったようなものとの混播によりまして、混播向きのラジノの選抜を今行いつつあるわけであります。そのほか大豆とツルマメとの耐寒雑種につきましては、すでに相当いい成績を上げつつあるのであります。  それから植物生理の研究室におきましては、草類、あるいは飼料作物の生理的な特性で不明な点が非常に多い、従いまして従来からも取り上げておりましたが、現在もなお牧草類、あるいは飼料作物の生理的な特性についていろいろな調査をやっておりますが、たとえば湿分に対する抵抗性、耐湿性の強い草を見つけ出す。現在のところアルサィクあるいはラジノがそれに適しておることがわかって参りました。また燐酸の欠乏地帯が非常に多いわけでありますが、その燐酸の欠乏に対する抵抗性の強い草をいろいろ探しております。現在のところクリムソンあるいはベッチの類、それからケンタッキー31、あるいはトールメドゥフェスク、こういった草が燐酸の欠乏に非常に強いということがわかって参ったのであります。なお生理の研究室におきましては人工草地の管理の問題を現在取り上げております。すなわち草の植生というものは環境条件によっていろいろ変遷して参る、たとえば刈り取りの回数をふやすとか、あるいは肥料の種類なり量なりを変えることによって植生が変って参ります。そういういろいろな環境条件を変化させまして、一体植生がどう変化するか、あるいはその収量がどう変っていくかというようなことについて着手いたしておるのであります。  それから種子の研究室におきましては禾本科の草類の休眠の問題あるいは豆科の草類の硬実の問題、こういう問題の発現状況をはっきりとつかみ、それに対する処置の方法、どうやれば休眠を短縮せしめるか、あるいはどうやれば硬実に発芽力を持たせ得るかというようなことにつきまして、数年来検討を続けております。なお御存じの通りヘアリーベッチなりあるいはアルフアルバーは私ども研究所のあります千葉市付近では非常に採種が困難なのでああます。その採種はどういうわけで困難であるかということにつきましても、目下究明をいたしておるわけであります。  それから飼養科にあります二つの研究室におきましては、飼料成分を明らかにする、あるいは家畜を実際に使いまして、その飼料、草類の消化の状態を調べる、あるいは草を刈り取る時期によって養分がどう変っていくか、あるいは肥料を施すことによって草の養分がどう変っていくかといったような問題について取っ組んでやっておるわけであります。そういったようなことについていろいろ検討はいたしておりますが、現在の研究室は先ほども申し上げましたように、育種と生理と種子の二つでございまして、わずかな陣容と設備でがんばってはおりますが、今後私どもはもう少し草類の生態的な面を掘り下げていく必要を痛感しておるのであります。これをはっきりとつかみますことによって、牧野の管理の方法等が確立されるというふうに考えまして、将来ぜひこの生態学的な方面検討に入って参りたいという希望を抱いております。なお、けさほどもちょっとお話がございましたが、草類、だんだん牧草類の栽壊が広がるに従いまして、あるいは外国からいろいろ新しい種が入ってくるに従いまして、最近草類の病虫害の被害が相当起って参っております。この問題もできるだけ早く手をつけて、せっかく改良したが、虫害で収量が減るとか、あるいは病害によって収穫が非常に下ってくる、こういうもののないように、早く手を打ちたいという強い希望は持っておるのでありますが、今申し上げました病虫害の問題なり、あるいは生態的な研究の面にいたしましても、目下のところ手が出ないというのが実情なのであります。  なお草資源造成なり、あるいはこの利用合理化をはかります上に、将来こういう一つの対策といいますか、点を解決してほしいという一、二の希望を強く持っておるものがあるのでございますが、その一つは、草類に関する、あるいは草地に関する試験研究機関を拡充する、強化するという問題でございます。科学の裏づけがなければ適切な施策推進もなかなか困難であることは申すまでもないところでございます。しかるに先ほどもちょっと触れましたように、この大切な草類に関する試験研究機関がきわめて現状では貧弱なものであります。ぜひこれを強化したいという熱烈な希望を私どもは抱いておるのであります。  なお、研究機関が強化されましても、それから生れました成績を農家にどう流すか、つまり試験成績の普及なり、あるいは指導の陣営の面を見ますと、はなはだ現在のところ貧弱としか思われないのであります。試験研究機関の強化と合せまして、指導陣営の強化が非常に大切だというふうに私どもは感じております。もちろん現状からいたしますと、指導者の数を増すということは、これは簡単には行かないと思いますが、数を増すことがどうしても困難だという場合には、現在おります指導陣営の人たちに草あるいは草地の造成なり、あるいは利用の増進なりに関する教育の制度を強化いたしまして、再教育といいますか、そういう面の知識を十分持っていただいて指導の万全を期する必要がある、こういうふうに考えるのであります。  なお、現在すでに草地の改良事業というものは、一方においては推進されておるのでありますが、土壌の条件であるとか、あるいは気候条件であるとか、こういったような環境の条件が異なるのに従いまして、おのずから改良方法というものも違ってこなければならない、画一的な方法ではなかなか実績は上らないと思うのであります。従いまして環境条件を異にいたします幾つかの牧野につきましてその実態をあらゆる点から調査検討いたしまして、その実情に応じた改良方法というものを検討することが非常に重大な問題であろうと思うのであります。こういう点についても何らかの施設が講じていただけるなれば、草資源造成上非常に利するところが多かろうと思うのであります。なお、草地土壌の問題は、これは根本的な問題になるのでありまして、これの調査検討こそ非常に大切な問題と思いますが、けさほどお伺いいたしますと、明年度それに必要な予算がすでに組まれて計画化されておるそうでありまして、私どもこの草地造成上の根本であります草地土壌の問題が一日も早く明らかになることが希望してやまない点でございます。これらの点につきましては、私どもといたしましては現在のところそこまで手が伸びないというのが実情でございます。  以上簡単でございますが、考えの一端を申し述べたのでございますが、この草資源の問題に関しまして今後とも皆さんの格段なる御援助と御鞭撻をいただきますことをお願いいたしまして、御指名に対するお答えを終りたいと存じます。
  46. 江田三郎

  47. 宮坂梧朗

    説明員(宮坂梧朗君) 私農林省技術研究所の経営土地利用部の宮坂でございます。経営土地利用部と申しますのは、二十一年、戦後に溝口先生等の非常な御努力がありまして、開拓研究所として出発をいたしました。二十五年にコンソリデーションがございまして、そのときから経営土地利用部、こういうように統合がなされて、農業技術研究所の一部となったわけであります。この経営という面といたしましては、輪作組織、あらゆる面から、主として私経済的な点からつくわけであります、一方この土地利用という面は国民経済的な大きな面がございますので、この私経済的な面と国民経済的な両面から経営土地利用部として問題を探って行こう、こういうわけであります。この内部が一、二、三、それから生活科、こういうような構成になっておりまして、主として私は二に属しておりまして、その第二科におきまして農業経営の組織という面を担当しておるわけであります。この経営組織という問題は、非常に経営及び土地利用上のオルガニゼーションとして中心的な課題になって参ります。従って・研究マンとしての構成も、農業経済の経営学をおさめた者並びに技術学的な面で経営の裏づけをするという意味で作物とか畜産、いろいろな面の方が混成的に入ってできておるのであります。わが国にはこういうような経営研究をするというものが戦後初めて出発したと申し上げていいと思います。従いまして、非常にこの経営研究というものがまだ学問的な十分な体系になっていない。欧州諸国における形とは著しく違った面はございません。それだけに目下あらゆる努力をしまして研究が進められておるわけであります。  経営という面からそれでは草の問題についてはどういうことをやっておるかという問題でございますが、これについてはすでにもう御案内と思いますが、松岡忠一博士が農作物の中で高高度に輪作体系をとってこれを飼料化して行くという研究を開拓研究所当時から取り上げまして、われわれの研究部で進めておるわけであります。すでにその報告等も出ておりまして、ここでは主として農作物そのものの中から飼料化として出てくる場合、その輪作体系、他の組織との関係、労働力及び経営の組織、経済性の問題、そういう点をこの組織の一つとしていろいろ検討を進めまして、組み合せの理論という点から見るわけであります。たとえば、まず年間に労働力が非常に平らでなきやならぬ、波を打ってはいけないという組織はどうしたらいいか、また地力の均衡という点からどういう組み合せをしたらいいか、また現金の収支のバランスという意味からの均衡、家畜の面といたしましては一年間を通じての家畜飼料の平衡、ある年は多く、あるときは少いということなく年間を通じてバランスされていなきやならぬ、こういう点からどういう家畜の種類をどれほど入れたならばそれらの家畜を十分養い得るだけの包容力があるか、それが一つの組織部門として他のいろいろな生産部門、すなわち耕種、養蚕その他の部門とつり合いのとれている組み合せの理論的な基礎を見出して行く、すなわち適正比例の法則、ジャスト・プロポーションというような問題がこの組織論の中心になるわけであります。草そのもの研究というよりは、むしろそれを組織として組み合わすという問題になるわけであります。従いまして、草の、今鶴田部長のお話のございますように、自然科学的な技術確定というものがぜひ早くなされませんと、その組織論のうちに取り上げるということが非常に困難である、技術的な確定が動揺しておったのでは非常に困難である、こういう問題になる。こういう点が早く確立して行きません場合にどういうことが各農家諸君の上に起きているか。ラジノ・クローバーあるいはレッド・クローバー等のいろいろな取り合せを農家諸君が御自分の農業経営の負担の中においてみずから試験をしなきゃならぬ。試験をしつつ経営をやる。これは私どもとして実に忍びないことなんであります。いっときも早くある一つ輪作体系に取り上げられる技術確定がございますれば、先般申し上げました四つの均衡のファクターからいってどれを取り上げた方がいいかということの選択の理論というものを通じて指導することもできるわけであります。それが、朝来からのお話がございましたように、かなり前後しておりますために、テストの場が農家の農業経営の中で行われている、これは非常にロスの多いことでございまして、そういうことは本来としてはなさるべきではないと私ども考えます。そういうことの具体例といたしまして、ずいぶんいろいろな問題が指摘されるわけでございます。ある山梨の東八代の村では、放牧採草地が十分ない、ために牛は非常に日光にも当ることなく運動が足りない、まるで箱入り娘のような状態で畜舎の中に一年中飼われておる、従ってともすれば病気を起す。ことに与えられた飼料の科学的な計算給与ということが十分に徹底しないというようなこともありまして、十分草で間に合っておるにもかかわらずよけいな濃厚飼料を多給しまして、かえって消化器をこわし、あるいは子宮に脂肪がよくついて繁殖障害を起す。運動も足りないために、非常にそれがために種がつかない。で、種がつかないとなれば、酪農経営の場合は、もうこれは産乳の収入が上りませんために、非常なえさ代を多くしまして非常なロスになる、こういうことも出て参ります。また、先ほどもお話がございましたように、採草地として堤防なり鉄道の敷地なりがございますところで飼っておる農家と、少しその堤防から離れました地帯の酪農の経営の実態調査を見ましても、明らかに家畜の健康の維持管理ということからいって、格段の相違が出て参ります。それが直ちに農業経営の所得の上にはっきりと現われて参るというようなわけでありまして、そういう点を私ども実態調査を通じまして、私ども問題がどこにあるかということを感じ、それぞれをぜひともこういう問題として技術確定をしてほしい、われわれの方から確定的な要請からくる技術研究のテーマを各生産技術方面にもお願いするというようなこともやっております。で、一方この山の問題でございますが、たとえば岩手県の岩泉方面へおでましの方も多いと思いますが、山のてっぺんに放牧採草地がある、部落の近くには薪炭採草地がある。これはもう東北にはよく見られる例であります。一方牛小屋におりますのはホルスタイン、大きな乳房をかかえて山のてっぺんまで歩くわけには参りません。従ってどうしても刈り取り作業をやらなければならない。山の峰を相当にぐるぐる回りまして、畜舎まで運ぶ、こういう点がございますので、必然刈り取り適機を失う。で、八月の半ばにまあ刈り取らなきゃならぬのに九月の上旬ないし中旬になる。そうすると草の栄養は全く欠けてしまって、木化したような草が牛小屋に見える、こういうような点もあるわけです。それらの点につきましては、やはり先ほど来問題になりましたやはり立地々々によるところの畜類の栄養、こういう問題が当然考えられなきやならない。で、ショートフォンとホルスタインの増減状態を見ておりますと、ショートフォンの方は減る傾向にある。ホルスタインはもう今日では限界にきておる、こう思います。で、こういう各種の矛盾が農家経済に対して非常に悪い影響を幾つも与えておる。これは朝来からの御議論のしわがそういう科学性のない形として出てきておるわけでございます。私どもぜひとも今後はあらゆる場の技術の方が共同態勢をとりまして、土壌なり、作物なり草の方々、あらゆる方々が共同の研究態勢をとって、そういうできるだけ早く総ざらいするような実態調査をいたしたい、こういうふうに常に考えております。数年前に田中先生のおられました当時、岐阜を私ども、岩住博士を中心とする高原畜産研究会というものがございまして、御依頼によって十日間岐阜県内をくまなく歩きました。各立地々々に即した考え方を一応出しましたようなことでございます。現在もこの研究体制が弱いために、研究同志がみな集まりまして、横の連絡をとり、高原畜産研究会、あるいは林野庁と御一緒で混牧林研究会というようなことを通じまして、分科と総合の相互関係を常にやっていかなければならないというふうに考えております。研究としてはますます分科する方向は非常に正しいと思いますが、同時に総合の場としてやはり問題を反省しつつこの分科の方向をきめていかなければならないというような点を反省しておりまして、研究の効率をすみやかに短縮していくということに一応努力は重ねているのでございますが、何分にも非常にこの家畜の品種改良という点は歴史的に非常に進んできておりましたが、肝心なえさの場については非常な立ちおくれをいたしているわけでございます。すでにもう藤村部長からも話がございましたように、明治六年の地租改正のときも、いろいろな文献を見ましても、やはり当時官公有林野の問題というものが問題になりまして、諸地域におきましては牧場、あるいはその他の刈り草筆で各地に騒動が起きている文献記録がございます。明治三十年ごろからこの方を見ますと、ますます耕地化の方向、山林化の方向ということに狭まれまして、日本の草地というものの有限性というものははっきりしている、で、これがために畜産のまた有限性と言いますか、停滞性を持つものと私は見ております。で、それをずっと跡。つけておりますと、日本の畜種の今までの先輩の苦労した意味というものももう一ぺんこの際ほんとうの今の技術水準の考え方からして再検討しなければならないというときにほんとうにきているということを痛感している。それでなぜ畜産の場がこんなに異常な意味で下降的であり、立もおくれであったかという面は非常に論議があると思いますが、とにかくこの面に国家資本をより多くつぎ込んでいただくということなくしては解決しないということをしみじみと一研究者として身に感じております。で、この今までの家畜の飼養状態をずっと見ておりますと、大体大きな放牧採草地を持っている方が牛馬の頭数をたくさん持っている、すなわち放牧採草地の所有集中性は家畜の集中性として現われている、こういう形でなかなか下まで家畜の飼養が伸びないという問題でございます。でどうしても朝来から御論議となっている土地利用度の再検討がどうしてもなされなければならないと思う。やはり使用の面と、この利用収益の利用権の面が余りにもかけ離れている、こういう点は先ほど委員の先生方からお話のございました通り、実はそういう点を各地の実態調査ごとに感じまして、農家から強い要求が出るわけでございます。ことにこの建設省の堤防関係においても、農民諸君は非常に強い要求を出しまして、酪農家がそれを利用したいといった場合に、酪農家以外の方がこれを妨害するという個々の農民間の問題がございますが、また、ある人は鉄道の職員に一升びんさげて行っていろいろ懇談しては鉄道の七反歩も刈らしてもらって二百五十円払うというようなことを個人的にみなやっているわけでございます。こういう点を何とか制度的なものとして話し合いがぜひともつけなければならないということを感じるわけです。それがためにはわれわれ農林省に在職しているものが、農林省の中で一つはっきりした統一した立場をとりませんければまた鉄道堤塘等の問題についても問題が絶えないという点が確かにあるわけであります。まず一応固めるという意味で一時も早く私ども研究マンは今回のこういう委員会をお開きになられたことについて非常なうれしさを心から感じておるわけであります。で、ますます勇を鼓しまして私ども研究マン一人当りの実際に使えるものは私の方では二万円、旅費が私一人で一カ年で一万円、こういう状態ではございますけれども歯を食いしばっても今日の困難な事態にも立ち向って、各地の農家諸君の、自分で試験をしつつ経営するということによるロスと、こういうことのないようにできるだけ今のわかっております技術確定の結果をそれぞれ組み合わして、なるべく損害の少いように所得に寄与するところが多いようにいろいろ考えております。で研究マンの中でも非常なみなこの草方面研究される方を私見ておりましてもお気の毒な状態でありまして、何とかこの草に対してもっと喜びを感じ、勇を鼓舞されるようなことができますれば、非常にもっともっとこの研究にも励まれるだろう、研究意欲を阻害するような今の情勢というものは早く克服されますことを常に希望するわけであります。後ほどまたいろいろ御質問いただきますれば私の考えていることを申し上げます。一応これで……。
  48. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは次は農林省林業試験場経営部の原敬造君。
  49. 原敬造

    説明員(原敬造君) 林業試験場牧野研究室の原でございます。先ほど林野庁の藤村部長からもお話しがあったように、林野庁としてこの草地の造成改良、そうして草の利用、更新という対策について林業試験をやっているということを二、三例も述べて申し上げましたが、私は林業試験場として牧野関係を受け持っております方面からこの対策をどういうふうにして行くかということを申し述べたいと思います。結局これはわが国の、われわれの分野から見た一応この問題がどこにあるかということだと思います。そこでこのわれわれの分野と申しますと、今までは高萩にわれわれの昔からの試験地がございまして、先ほど申しましたように、四十年前から牧野研究をやっていたのでありますが、このときは事情も大へん違っておりまして、牧野研究林業試験場だけでやっていたということでございます。そのために非常にまあ広範なあらゆる相当大きな部門にわたって研究をやっておりまして、その業績も約四十年になんなんということでございますか、ところが終戦後ですか、農業技術研究所、それから農事試験場というような各所にそれぞれ草地あるいは飼料というような研究部門が出て参りまして、そこで私たちも一応そういうものとの関連上、われわれの分野をいかにどこにしぼって行くかということからまず考えたのであります。そこで分野の問題でございますが、まあアメリカでこれはレルーフという人ですが、グレージング・アンド・フォレスト・エコノミックスという本を出している方ですが、その方がこの中でナチュラル・グレージング・グランドという言葉、天然放牧地ですか、そんな言葉を使ったのであります。それは大へん悪い言葉で、他に適当な言葉がないからこんな言葉を使うのだという注がありますが、それは結局いろいろ読んで参りますとアグリヵルチュラル・ランド、つまり農地と対する言葉、そうして特に集約にやっております永久人工牧野ですか、パーマネント・パスチャーというものと区別した言葉だということになるわけです。そこで私たちの林業試験場という立場からですとちょうどその言葉に適当するものがわれわれの分野である、まあ一応そういうところに私たちの分野を定めまして、そうしてそこの分野においてそれではどういう問題点があるかということからまずわれわれは自分の試験研究のテーマを定めるわけでありますが、これを具体的にこのナチュラル・グレージング・グランドを分けますと、これはいわゆる林地と天然牧野、こういうように二つに分けられると思うのであります。従って私たちの分野はそこに分野かきまるわけです。その中から問題点を出し、そうしてその問題を解決するということがわれわれの仕事、こういうことになる。そこで、この林野でございますが、林野の草、つまり混牧林、草の利用ということになれば混牧林ということになりますが、私たち林業家は常に森林というものからできるだけ国民の繁栄のために最大の利益をもたらすというような点を目標に置いておるわけであります。従いまして林木に限らず草を正しく、その林木の下にある草を正しく利用するということはその目標に合致するわけなんであります。従いまして現在のこの草資源の事情から推しましても当然問題になるべき点だと、こう考えるのであります。しかし翻って考えますと、先ほども指導部長が申しておりましたように森林というものにグレージング、採草は別としましても放牧というものを誤用して、間違った用法をとれば、それは森林を喪失し、しかもその結果としてもろもろの大きな害があるということはこれはもう申すまでもないことであります。またそれほどの大きな誤用がなくてそれほどの被害がないにしても、林木の更新とかあるいは林木の生長を非常に阻害するというような面の木材生産という面のロス、それをもし養畜部門でカバーできれば問題ありませんが、そのカバーができないということになればそれだけロスがあるということも考えられるわけです。従いまして私たちが今取り上げました混牧林というものも実に簡単なものではないのでありまして、それには一体どういう森林にはどういう家畜を、そうしてどのくらいの頭数をどういうようにいかにというように非常にいろいろ制約がある一わけであります。こういう問題点についてすでにもう私の方の試験地で現在手がけております。  それからもう一つ、これはまあ問題点があるということでございますが、その問題点はこれはもう皆さん御承知だと思いますが、しかし問題は問題点でありますから申し上げますが、これは先ほどもどなたかおっしゃいましたように、天然牧野でございますが、長い間草地農業というようなものの犠牲になってきた、またずっと犠牲にしてきた草地・そうしてそういう考えは多少はなくなったにしても現在でも多少ある、こういうことが現在の天然牧野の地力を衰えさした原因でもあり・あるいはエロージョンの原因にもおそらくなっていると思います。そういうような、さらにまだ地力も今の行き方では低下するのは当りまえだと思いますが、こういうようなものに対して永久に、つまり長い間にわたって地力を維持させ、しかもそれをできれば増進させるというようなところですね、そこら辺が私らの方の受け持つ一つの大きな問題ということになると思います。そこで先ほども加唐さんからもお話がありましたように、私どもの方は大体野草というようなものを主にいたしまして、いわゆるナチュラル・グレージング・グランドの研究でございますが、そういう方面でまあ仕事を進めているわけであります。これにつきましてまだ今問題点を二つ課題を申し上げたのでありますが、この課題につきまして現在まあ仕事を続けているのでありますが・それについてここにまたいろいろとその大きな課題の中に問題があります。この問題につきましては同室の井上技官が一緒に参っておりましてそちらから一つお話するようなことになっております。いろいろどうもありがとうございました。
  50. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次は農林省林業試験場の井上技官。
  51. 井上楊一郎

    説明員井上楊一郎君) 林業試験場の井上でございます。ただいま室長の方から二つの問題点を示されましたのですが、これにつきまして草資源という立場からこの問題点についていま少しく詳しくお話してみたい、こういうふうに考えます。まず第一番目の問題が混牧林の問題でありますが、これはおもに混牧林という問題は二つに分けられると思うのです。一つが林内放牧の問題、もう一つは林内採草の問題、この二つに分けられると思われます。しかし実際問題としていろいろな問題が起きてくるのは前者の林内放牧の事柄についていろいろな問題が起きてくると思われます。混牧林につきましては午前中からいろいろの方によって話されておりますので、またここで繰り返す必要はありませんけれども、ただこの林内を家畜のために使うという問題はこれは日本特殊の問題でなくて全世界的な問題であるということを申し上げたいと思います。この春東京で、御承知と思いますけれどもFAOのアジア太平洋委員会が催されましたが、その議題の一つとして林内放牧の問題、フォレスト・グレージングの問題が載っております。それで昨年ローマにおいて行われました本会議の決議をこの春行いまして、さらにいろいろなアジア太平洋だけの問題を取り上げて論議されております。それでローマから出されておりますレポートを拝見しましても、この森林を家畜のために使うという問題は非常に大きな問題となって世界中に広まりつつあるということが一番初めに強く書かれております。そこでこの草資源を林地の中に求めるということの問題なんですが、この場合に考えられるのは、先ず第一にあげられることは放牧の限界という問題が起きてくるだろうと思われます。ただ常識的に考えますと林の中に家畜を放されては困るという声が非常に大きいのでありますけれども、しかしこれに関しましては外国におけるいろいろなレポートを拝見しましても問題のかぎは放牧の限界という問題だろうと思います。つまり樹木をいためずに、それから土壌をいためずに草の資源を利用させるという事柄がこの問題のかぎであろう、こういうふうに考えられます。これが第一番目の問題であろうと思います。  その次は小さな問題になりますけれども、その林の性格の問題です。どういうふうな林に放牧をさせるのかというその林の性格の問題が第二番目の問題としてあげられると思います。ごく簡単に外国のレポートを引いてみましても、たとえばダイオウマツ、ロング・リーフポパイソと申しますが、ダイオウマツの中に綿羊を放した報告を見ますと、これはダイオウマツに対して非常な害を与える、しかしその時期はダイオウマツの伸びが大体四フィートになるまでの間で、四フィートをこせばその害はほとんど現われないというレポートがあります。だからダイオウマツの若い林には綿羊を放してはならぬということもありますし、またサトウカエデの、御承知のようにシロップをとるカエデでありますが、この裏山を持っておる農家がこれに牛を放したのでありますが、このレポートを拝見しますと、シロップのとれる量はたしかに放牧をすれば減るのでありますけれども、減った量は家畜の生産によって補って余りあるというようなレポートもあります。ハコヤナギ、アスベンという木がありますが、葉の広い、広葉樹でありますが、アスペンの林に綿羊を放したときにはかえってアスペンの更新が非常にうまくいって林部のためには非常にいいというような報告がありました。今申し上げました林の性格というものを考える必要があるということが二番目の問題としてあげられるだろうとこういうふうに考えます。  それから第三番目の問題として考えられますのは放牧の仕方であります。どういうふうな放牧の仕方をするのか、これにつきまして私らは今非常にささやかな試験でありますけれども、福島県下で綿羊を使いましてナラの薪炭林の中に放牧をしておりますが、この試験が今年で三年目になりますけれども、非常におもしろいデータをかずかず提供しております。まだ試験が終りませんのでここに御報告を申し上げる数字は持ち合せておりませんけれども、この試験で教えられるのは結局放牧の時期の問題、それから放牧の頭数の問題、この二つの問題がほぼ私たちの試験ではわかりかけてきておりますけれども、残念なことには綿羊という特殊な、特殊というと変ですが、非常に小さな動物を使い、しかもナラの薪炭林という一つの林を使っておりますけれども、もっと大きなスケールで、和牛なり馬なりを使ってもっと大きなスケールで試験をやりたい欲望はあるのでございますけれども、現在の研究室のスケールではその程度しかでき得ませんで、はなはだ残念でありますけれども、この試験は原技官も申されましたように、林の中に家畜を放すということは私らの大きな一つ草資源利用研究として続けていきたい、こういうふうに考えております。  最後に申し上げたいことは、家畜を林の中に放せば木の生産が阻害されるというその常識を打破しなければいけないということなんです。これはそれをはっきりここで申し上げるべくあまりにもデータが不足なもので、ここではっきりしたことは申し上げられませんけれども、とにかく家畜が森林の中に入ってくると、森林はいためられるという常識的な考えを持つ空気が非常に強いのでありますが、こういうふうな空気は打破していかなければならないのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。原技官の申された第二番目の問題として天然牧野の問題があります。なぜ私たちが天然牧野を取り上げているかということにつきましては、室長が申されましたので省略いたしまして、天然牧野という点について、草資源の点からどういう問題があるかということを申し上げてみたいと思います。第一番目の問題は、日本の天然草地——午前中田中先生が原野という言葉を使われておりましたが、日本の原野というものが一体どういうふうな構成をしておるかということがわからないということであります。つまり、問題は日本の原野というものが、どういう草がどういうふうに生えていて、どのくらいの生産力があるかということがはっきりわかっていない。これを研究を進める上の第一番目の問題点として私どもは取り上げております。午前中に原技官からも申されましたように、こういうふうな基礎的な問題が研究面で非常にないがしろになっておる、現在まで行われていなかったということはもちろん私らの怠慢もあるので、今後日本の原野というものの基礎的な研究をしていきたい。これが私らの研究室の願望であります。第二番目に取り上げておりますのは牧野経営の問題であります。日本の草地をいろいろと生えている草によっていろいろなタイプに分類してみようという試みを三年前から始めております。申すまでもなく、林業の方では、ヒノキの林とブナの林ではその経営の仕方がはっきり違っております。と同じことが草地でもなされなければならないのではなかろうか。潅木の多い牧野と芝の多い牧野が同じ一つの施業がなされているところに牧野改良がなかなか進まない原因もあるだろう、こういうふうに考えられますので、私らは研究テーマとしまして、この日本の草地をそういうふうなグレージングのタイプによって分類してみよう、そういうことを行いたい、これが天然牧野に対します基礎的な研究一つの試みであります。  それから、その次に申し上げたいのは、こういうふうにして分類したいろいろなタイプの草地というものの性格をはっきりつかまえなければならないということであります。一つの例を引いて申し上げますと、たとえば、鎌で刈るという一つの施業を草地にしたとします。ところが、鎌の刃で草を刈るという一つの施業が、背の高い大型の草、つまり日本で普遍的な草はススキでありますが、ススキの生えている草地と、それから背の低い小型の草、つまり代表的なものは芝でありますけれども、芝の生えている草地でも、同じ一つの鎌の刃で刈るという施業であっても、その草が社会、つまり植生で違っていくのであります。ことに、その刈り取りの回数がひどくなりますと、数をどんどん増していきますと、大型の草、つまりススキの生えておる原野、あるいはススキの勢いというものが非常な加速度的に減少していきますが、短かい草のタイプと申しますか、いわゆる短草系の牧野では、これがあべこべに、主体をなしておる芝が加速度的にふえていくのであります。ここに一つの施業、ただ鎌で刈るという一つの施業だけを考えましても、いろいろのタイプによりまして、そういうふうに変ってくる。まして、これが放牧とか、火入れ、施肥とか、いろいろな飼料、潅木を植えるとか、そういういろいろな施業を行っていきますと、たった二つのタイプの草地でもいろいろ変った植生の変化をいたします。こういうようないろいろの日本の草地というものが、どういうような施業によってどういうふうに変ってくるかということを見きわめて、その牧野改良しようという場合の施業のめどをつけたい、こういう考えのもとに、各タイプの性格というものを現在調べております。これも草資源利用するという上にとってはゆるがせにできない基礎的な問題じゃないだろうか、こういうふうに考えます。  最後に申し上げたいのは、こういうふうに一つの草というものを社会として見た場合、つまり群落として見た場合、御承知のように、植生と申しますか、一つのかたまりとして見た場合に起るいろいろな問題ということのほかに、もう一つは、草そのものの個体、一本の草というものの研究、これも従来の研究において欠けていた点だろう、こういうふうに考えます。たとえば、ススキという草が、いつ芽が出て、それが冬の間枯れずにいるのか、死んでいるのか、それすらもわからない、こういうのが現状じゃないか、こういうふうに考えますので、個々の草、いわゆる個体生態と言いますか、個々の草に対する研究、これを現在進めております。  以上私らの現在やっておりますテーマを御紹介したのですが、これが私は今後の草資源開発していこうという場合の基礎的の問題として究明していかなければならない問題ではないか、こういう考えのもとにごくそのあらましについてお話し申し上げた次第であります。
  52. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは次に農林省関東東山農業試験場草地部長代理の関塚君。
  53. 関塚清藏

    説明員関塚清藏君) 関東東山農業試験場草地部の関塚でございます。私どもの草地部は、一昨年の十一月に発足いたしまして、畜産牧野、作物栽培、育種、土壌肥料等の専門家を集めて、草地及び草類の総合的な研究を始めたのでございます。しかし二年足らずでありまして、まだ施設とか、試験圃場等が十分整備されておらないのでありますが、この間に幾かの成果も上げて参りましたし、またやっております間にいろいろな問題点が出て参りましたので、それらの主要なものについて申し上げたいと思います。  第一番目に、牧野土壌研究についてでありますが、牧野の草を増産する目的で、石灰あるいは燐酸肥料を土壌表面に散布することは従来行われた方法でありますが、私たちの試験の結果は、二、三年間施肥した土壌でも、その肥料分はごく表層の二センチぐらいまでに浸透するにとどまっており、それ以外にはほとんど浸透しないことがわかって参りました。これらの結果から、牧野の施肥方法としては、表面の全面散布では草の増収は期待できないのではないか、そういう観点から、現在種々な施肥方法を試験中であります。  次に施肥面から見ました野草の特性について申し上げますが、牧野に生えている野草類は牧草類に比して適応するPHの範囲が極めて広いこと、野草類は他の作物及び牧草類の吸収利用できない難溶性の燐酸塩もよく利用する特性を有することがわかりました。このことば、日本のような酸性土壌や燐酸欠乏土壌の多いところに野草というものが適応しておることと一致することでありまして、野草地のこの特性を生かしたような利用方法が考えられなければならないと思います。  二番目に、野草の育種的研究でありますが、諸外国では、牧草類は初めはそれぞれの国の野草を改良して牧草化したものであります。そういうものが、それぞれの国に幾つかずつあるわけであります。この点日本では牧草といえば外来のものだけで、日本の野草から牧草化したようなものはほとんどないような状態でございます。このことは後にも詳しく申し上げたいと思いますが、牧草の国内での採種が困難で、多量の牧草種子を外国から輸入しなければならない原因となっておると考えられます。こういう点を考えまして、私の方では全国からおもな有用野草といわれる種子を収集しまして、その育種的な改良を始めております。まだ始めたばかりでございますが、その中でツルマメ、ヤハズエンドウ、カラスノエンドウ、メドハギ、カモジグサ、ミヤコグサ、ヤハズソウ、シャジクソゥ、こういうものは牧草化の期待が持てるものであると考えられております。  それから三番目でございますが、開墾によって牧草地化する場合の問題点、これについてお話したいと思います。これについては、まず土壌の性質を調べることが先決問題でありますが、それで、それに合った肥料の種類と、施肥方法がとられなければならないと思います。また導入する草種についても、地域別にそれぞれ適した種類が選定されなければならないと考えられます。それから開墾の場合に問題になりますことは、特に傾斜の多い土地では、土壌の流亡が懸念されます。これを防止できる草の種類、それと草の作り方の研究、こういうこともこれから研究していきたいと考えております。  次に、一たん草地が作られた場合、その後の維持管理をどうするかということは、非常に重要なことと考えられますが、特に暖地では、夏に雑草の繁茂が非常に旺盛で、この対策をどうするか、こういうことが問題になると思います。  それから四番目に、畑地、それから水田裏作、転換畑、こういうところにおける牧草、飼料作物栽培の問題でございますが、現在気象条件に恵まれないで、年々冷害を受けたり、また非常に生産力の低い土地にも米麦、その他の主要作物が無理して作られている状況が見られます。草は茎葉を利用するものでありますから、子実の生産と違いまして、これらの不良条件の影響を受けることは少くて、このような土地ではかえって草の経済的価値が子実生産よりもまさる場合が多いわけであります。また条件のよい所でも、地力の維持増進上、輪作の形で主要作物の間に牧草を組み合せることが、日本のような小規模な経営でも考えられると思います。このような場合に牧草の栽培が後作の牧量や地力の維持にどのような影響を及ぼすか、また地域別に、どんな牧草と作物を組み合せて輪作をしたらいいか、こういうことが研究の問題点になると思いまして、こういう研究も始めつつあります。  それから五番目に、草類の病虫害の研究でございますが、牧草、飼料作物は非常に種類が多いのでありますが、その病虫害も実際に私たちが見でみますと、また非常に多いものであります。しかもほとんど研究がなされてない状態であります。現在のところ草の病害の研究者は北陸農試にただ一名いるだけでございます。私どもが現在草の病虫害について懸念していることは、単に病虫害が草の生産を阻害するというばかりじゃなくて、牧草には多年生のものが多いのでありまして、これらの草が耕地の近くに作られるようになりますと、米麦、その他の作物の病虫害の中間寄主的な役割りをしてはいないか、そういう点を懸念するわけであります。遺憾ながら主要作物の病虫害の研究者も、草の方面までは現在のところ全く手が回っておらないような状態で、この点が盲点になっていると考えられますので、早急に研究を進めることが必要かと思います。  それから、次に六番目の、牧草、飼料作物の採種の問題でございます。現在牧草類は相当多量の種子が外国から輸入されております。これは、日本に入っております外来の牧草は、降雨の多い、特に梅雨の多い日本の気象条件では、採種が困難なためでございます。現在のように外国から種子を輸入する場合問題になることは、農家にとって種子がきわめて高くついて、またこれが牧草の導入を阻んでいる一つの原因と考えられます。また業者が、なるべく安い種子を入れるということから、適した品種が入らない。それと不純な、悪い種子が多い。それから種子に混入して、他の悪い雑草の種子、あるいは病虫害が持ち込まれる危険が多い、こういうことが考えられます。それですから、牧草類についても、種子の検査が行われて、農家にいい種子を供給するような検査制度ができることが望ましいと考えられます。  それから研究面でございますが、日本で採種可能な品種の改良、これがぜひ必要と考えられます。これらについて私たちのところで、一つ成果が上りつつあることがありますので、それを御説明申し上げたいと思いますが、ベッチは日本でも非常に繁茂もよくて、質のいい草でございますが、遺憾ながら採種が非常に困難でございます。これと同属の日本の野草に、カラスノエンドウ、ヤハズエンドウ、こういうものがございますが、この両者の種間雑種を作りまして、草もよく伸びて、採種も、よく種のとれる、そういう品種を育成中でございますが、これについても大体できる見通しがついて参りました。  それから採種の問題は、採種可能な品種の育炭ばかりじゃなく、採種技術改良、あるいは採種適地の選定、こういうようなことによって解決されるようなものがありますので、この方面研究も現在進めております。私たちまだ二年足らずでございまして、研究の方もまだ軌道に乗ったばかりでございますが、やって見ますと、今まで申し上げたような新しく開拓する場面、それからその発展する方法がだんだんわかって参りましたのでございますが、陣容は、私たちのところは一応そろっておりますが、これに伴うような施設、試験用器具、そういうふうな整備はきわめておくれております。まだ私たちのところには試験に必要なガラス室、網室、調査室、収納舎、そういうものもまだ建ってない状況でわずかに私たちのそれぞれの実験室がある程度でございます。こういう点、早くそういう施設ができましたら、私たちも十分腕をふるえるものと考えております。  それから圃場試験でも非常に困っておるわけでございますが、麦は米麦と違いまして、非常に個体個体の面積を広くとるのでありまして、試験面積が非常に広いことが必要であります。それにもかかわらず、試験圃場の運営に要する費用は米麦並みの予算でありまして、こういう点にも非常に窮屈な面が考えられるわけであります。  それから最後に私たちの部は畜産部、経営部と同一場所に併設されておりまして、草に対する研究は経営部の方の実態調査の、酪農家や何かの実態調査、あるいは畜産部の家畜を持っておる側からの飼料化学研究室がございますが、その方面連絡しまして飼料価、消化率、そういう方の試験をそちらの方でやっていただいております。それから同一事業所内に鴻の巣に農機具部がございますが、農機具部の方でも草の刈り取り機、それから草の乾燥器、こういう方面研究が進んでおりまして、レンゲの刈り取り機でございますとか、それと常温通風乾燥器も使える段階のものが完成されております。特に農機具の問題は、草地の問題とからみ合わして、たとえば畑地や水田裏作に牧草を入れる場合にその後作の耕起が現在非常に問題になっておりますが、そういうような問題も、それに使用する農機具の改良と並行したような研究がなされなければ発展しないのじゃないか、そういうふうに考えております。非常に簡単でございますが……。
  54. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 以上の方々からお話を承わりましたので、質問がありましたら……。
  55. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 林業試験場の原さんにお伺いしたいのですが、先ほど草地の分類に関連して、天然草地のうちで、混牧林の問題、天然牧野の問題について林業試験場の方では研究しておられるようなお話でしたが、混牧林の可能面積といいますか、それはどのくらいありますか。なお現在はどのくらい国有林を明放して利用しているか、それから現在の草の生産量はどのくらいか、将来それを開発していけば草資源としてどの程度まで開発ができるかという点をお伺いしたいと思います。
  56. 原敬造

    説明員(原敬造君) そういうことは非常に大きな問題で、まずそういうことから計算してかからなければいけないのでございますけれども、何にしてもそういう資料をなかなか集められないのでございます、われわれの方では。しかし自分たちがあちらこちらを歩いてみて相当にそういう革資源があるということは、量でどのくらいとか、われわれそういうものによってどういうようにしたらよいかという行政の方までは実はやってないのでありまして、まず相当にあるという実に大ざっぱでございますが、そんなところから出発しておるのでございます。
  57. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ただいまの御答弁では全然わからない。草資源開発について、特に今日は委員会が開かれて、総合草資源開発というようなことで重大な問題になっておる。私がお伺いしたいのは、根本におきまして、林業の問題、それから畜産農地、これがおのおのにからまっていきますけれども、別々にやっておる。そこで一体将来の草資源の給源というものは日本にどのくらい面積があるということもわからない。先ほど農地局資源課長からお話がありました開拓可能地が二十二年の夏から二十三年の三月までかけて調査をしたが、およそ傾斜地で十五度から二十度くらいの範囲内で、気象条件を入れると約五百五十万町歩ある。そのうちで取得の可能地は二百万町歩程度、そのうちなお現在までに取得したのは百四十万町歩という説明を伺ったのでございます。五百五十万町歩というのは、これは自分がその当時関係してやったのだから大体覚えておる。あれは五万分の一の図面の上でごく簡単に出したのです。それは非常に器用な人もおりまして、地図を非常によく読む人がある。それで五百五十万町歩と出しておる。それは千二百万町歩のうちから河川敷とか、宅地とか、岩石地帯というものを引いたのです。そこでその六百万町歩の開拓可能地といううちに、私はただいま言われた混牧林も含まれていると思うのです。そこでけさ江川君から説明がありましたが、開拓可能地は約二百万町歩ということですから、六百万町歩のうち、混牧林は二百万町歩差し引いて考え林野のことで、それは開放しないというような意向が私はあったと思います。それば私は最近は知りません。それからなお六百万町歩のうちにただいま問題になっております牧野面積が百三十三万町歩というものがあるのですが、それも六百万町歩のうちに含まれておるのではないかと思います。しかし百三十三万町歩牧野として牧野法で認められたものだから農地にすることができないのだというようなことから差し引いていく、現在百四十万町歩が開拓用地、農業用地になる。農耕地のほかに薪炭、採草地も入っておると思います。こういうような現状であるのです。これはみな机上でこしらえておるのだと思う。私は非常に必要なことは、分類の問題をもう少し徹底してくると、総合草資源開発問題がこれから方向がわかってくる。けさほど田中さんの御質問があって、官房長の答弁では二つの方向にいくのではないか、それは開拓部面から輪作形態に入っていく部面もある。それから草資源そのものの開発を主にしていくという方向、この二つが今あるのじゃないかと思う。けさほど来いろいろお話を伺っておりますと、草資源開発改良ということの方を主にして、畜産局ではやっておる。そうして百三十三万町歩は集約牧野改良牧野、それから天然牧野、こういうように分れておりますが、集約牧野というものは、これは現在の草の生産量を町当り四トン半あるのを二十二トン半にふやす、その程度で、それ以上は集約できないのか、するつもりがないのか、そこに私は一つの分れ道があるのではないか、開拓の方は現在百四十万町歩取得しまして、そのうち耕地になっておる分は六割程度だ、あとは薪炭、採草地等を入れて百四十万町歩くらいになるのではないかと思うのですが、そうして開拓の方は、これは今まででも開拓については畜産を入れる計画は当然なんだ、先ほど宮坂君からお話がありましたが、戦後に開拓研究所がまつ先にできた、開拓政策をやるにぜひとも必要なのは私は開拓研究だと思った。それは当面開発ということの面から進めていくべきだ、それをやっていこうということになったわけです。あれはやはり総合農業——畜産を入れた総合農業でいくべきなんです。草地の開発改良ということには、そういう部面はあまり考えていないのです。私は林野の力で非常に重要な問題で、混牧林は将来はこれは林野として経営をしていく、そうしてそれはもうこれからいろいろな技術が進んでも、開拓には開放はしないんだ、混牧林としてこれは存続するんだということが決定されるかどうか。そしてもしそれが混牧林なら現在の百三十三万町歩の集約牧野は一町当り四頭半というのを、それを四倍か五倍にできるんだ、そうしてそのうちには四百万頭の半分はこういう牧野に依存する畜産がある、それと同じくらいの面積の百七、八十万町歩の共有林野といいますか、そういうような面積があるらしい。これをもっと集約利用していけば、そのうちから集約牧野と同じようなもので、そうして改良牧野と同じようにできる。もっと極端にいっていけばこのうちから農耕地も出てくるんじゃないかというように考えるんですが、そういうものについて技術的に林業試験場はいかにお考えになっておりますか。
  58. 原敬造

    説明員(原敬造君) これは私の方は、実は行政の方とは、それはつながりはありますけれども、私の方はあくまでも技術研究をやっておるのでありまして、いかにしてそういう混牧林をスムーズにやって、そうして利用面からの試験、つまり土地の生産力を高めようとかということに重点を置いて研究をしておるのでありまして、それの技術行政の方でどういうようにお使いになるのかは、ちょっと私の方ではここでお答えできないのでございます。
  59. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 また別の機会に伺ってもいいのですが、技術的の見込みは何万町歩ぐらいあって、現在は生産量は平均してはどんな工合ですか。それは家畜を収容するには、一頭当りで三町歩ぐらいは要るのだ、将来は一頭で五反歩あればいいのだというような見込みを、これは技術的にあなたの方でお立てになるのじゃないのですか。
  60. 原敬造

    説明員(原敬造君) それは今も申しましたように、混牧林試験というのはやっと一昨年から始めたのです。そうしまして一体どういうふうにしていったらできるのかというところなんでございまして、なかなか、たとえば針葉樹の林と広葉樹の林では、おそらく非常に違うと思うのです。広葉樹がちょっと大きくなりますとうっそうしてしまいまして下草がとれない。そういうようなことはいかに計算をするといってもなかなか大変だろうと思うのですが、まあ概念的に、実はこんなことをわれわれが言うのはちょっとおかしいのでございますけれども、概念的に見ても相当林地の下草というものはあることは確かなんでございますが、それをやって相当の草資源を得られるということは言えるのじゃないかと、非常に実は何と申しますか、非科学的と申しますか、そういうことはあれでございますけれども、また問題点としてあげた以上は、その数字を見れば一応机上でも出さなければいけないのかもしれませんけれども、実はその点はそういう考えなんでございます。
  61. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 これはそういう調査をまだ年月も浅いということですが、これはごもっとものことと思います。それは重要な問題で、あなたの方の責任でなくて、この草資源対策連絡協議会というのができまして、総合的にやるというのだから、ぜひともこういうものを、確実な資料を出すということをぜひ貫徹するように御努力をお願いいたしたいと思います。  それから山本さんにちょっとお伺いしたいのですが、牧野の機械改良について、トラクターを二十数府県に配付なさり、一億数千万円の補助金を出す、これは非常にけっこうだと思いますが、昨年やった改良牧野センターですか、あれの委託を受けてやる委託料といいますか、これはヘクタール当り幾ら徴収しておるのですか。それと、それは実費の計算になるのか、あるいは徴収したものは補助の何%とか見込んだ金になるのか、それと、もう一つ機械を政府が買うのは、これは政府が自分で使いくずしてしまうつもりか、その償却も事業費のうに、に見込んで補助率を決定するのか、それと、本年度各府県に一回の補助金を出しで、各府県はそれを事業者に貸与するか、委託を受けて貸与するといいますか、その場合におよそ標準の町当りの委託費というものは幾らになるのでありますか、お伺いしたいと思います。
  62. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) 畜産局の出先の牧野改良センターでただいま実施中の使用料というものは町当り一万九千八百円になっております。これの計算の基礎でございますが、これは従来人夫賃を実は補助しておりまして、地元民の労力によって牧野改良をやっております。こういう見地から人夫賃を実は補助しておるのです。その補助金を打ち切りまして、そのかわり機械でこれを起すということにしておりますから、どっちかといいますとサービス的な意味が非常に強く出ております。従いましてこの算出の基礎は一応考え方としては大蔵省と相談しまして、一万九千八百円といいますものは機械を一応二十年使える、こう仮定いたしまして、その購入費、購入費の減価償却費、あるいは油、運搬費、修繕費、人夫賃それらを入れまして、そうして障害物の除去、つまり抜根あるいは除石、こういうものは能率が非常に悪いのですから、一応これは一日作業実労働六時間だったと思いますが、そういうことで一日に六反五畝しかできない、起土ないし整地の関係は、これは割合に能率が上ってそれぞれ一町五反なり二町五反程度いくだろう、こういうことでそれぞれ今申し上げましたいろいろな費用を取り上げて参ると、こういうことで考えていきますと、障害物除去が一万一千七百円くらい、それから起土の方が五千百円、整地の方が三千円、これらを一応並行的にやると、こう考えまして、その合計額の一万九千八百円、こういうことで今年は実施しているわけであります。ただ去年は何分にも初めてのことでありますし、このほとんど半額程度で実は手をつけたわけであります。本年度集約酪農地域に補助いたしまする機械はこれはどっちかと言いますと、国産品、キャタピラ式のものは国産品を使えということで、国産品のものは値段がかなり安いのであります。ホイル型のものは日本でできておりませんから、海外のものを入れると、こういう考えでありまして、おおむね今のところはまあ二万円ないし三万円の程度になろうかと思うのです、県によりまして財政上の余裕があれば割合に安い価格になろうと思いますが、やはり考え方としては本年度補助したものにつきましては、それが機械が老朽しましても重ねて補助はいたします。それからかせぎ出して修繕をし、また新しいものを借りかえていくという原則で補助金を交付する見込みでありまして、これは大蔵省ともそういう約束をしておりますから、あとは自前で県がやっていくということですから、そう安くは私はやはりできないと思いますが、ただ国の方はどっちかと申しますると、これらの県の仕事を指導して参るという点もありますし、あるいは一つの展示的な意味も今後出て参りましょうし、それから運転手等についてもある程度の訓練もしていかなければならぬと思っております。さような考え方であるいは安いじゃないかという、これは大蔵省方面もそういう意見が多いのでございますが、もうしばらくこの事業が一般にのみ込めるまで一つ安くやってやったらどうかという考え、実は奨励的事業でございますから考えておりますから、実際にこの二万円足らずの金というものはああいう仕事としては非常に安い、こういう声は各地でも聞いております。
  63. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 今山本さんから御答弁でしたが、私は昨年の例を見たものですから、あまり安いのでけたが違っているのかと思って……昨年は町当り九千八百円。
  64. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) ちょうどこの半分くらいです。
  65. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 今年は今伺うと一万九千八百円、これはこの補助を半額くらいするという見込みの金額ですか、耐久年限を二十年くらいに見て、償却も全部含んだとしてプラウが五千円とか、ハローが三千円かかるという金額で補助をするというような考え方はないのですか。
  66. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) 考え方としてはないのであります。とにかく機械の償却から一切の費用を取り上げるということです。ただこの二十年の償却方法が少し長過ぎるというそれぞれの計算上の余裕は相当見ておりますから、気持としてはこれはやはり助成的な気持が多分に入っておりまして、計算上は一応はかかった金はみんな出していただく、こういう精神であります。
  67. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 これは集約牧野については大体酪農集約地域一万九千八百円、町当り平均して着手してプラウ、ハローでやる、そうして牧草をまく、これは一回やればいいのですか、あとは何年かたてばまたやるのですか。
  68. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) 牧草畑でまもわれわれとしましては永年牧草をこれに入れていくという考え方でありまして、牧草は常識上四年、早ければ三甲でありますけれども、大体四年前後というようにもう一回起さなければならぬ、そのときはやらなければならぬので、あるいは今日も北海道の助成をいたしますホイル型のスピイデイのゴム輪のタイヤこれでやはり四年目ぐらいにはもう一ぺん起さなければならぬ、この作業の賃受けと言いますか、協同組合で今後やるかどうかはわかりませんけれど4、今これは県で見本的にやり、今後県なり何なりそこの力でやっていけば非常にけっこうだと、これは継続してやりますから今程度の機械は始終持っていなければならぬことになろうかと思います。
  69. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私お伺いしたいのですが、一万九千円にしましても農地にする場合の開墾作業は一反歩で一万四、五千円かけている、その十分の一くらいなんですね、しかも農地をする場合は毎年起さなければいけない、これは四年に一ぺん起してしまえば開墾するのに比べて十分の一くらいのハローやプラウをやって数年間はやらないで、そして二十二トン町当りでとれるというようなことになるわけです。私はなぜお伺いするかと言いますと、この前にも農林大臣にお伺いしたのですが、これは十分に部内で研究してみないと困るからと、たとえば上北平野で今度機械公団が野辺地の開墾作業を委託を受けてやる場合に、御承知のように牧野を一部分分割して開拓地にやった、その場合、開拓する場合には一反歩で一万四千円かかる、その隣りの集約牧野になっておる所は一町歩で一万九千円で数年間はいいんだと、結局二十二トンの牧草がとれるというのは垣根一重で、そんな同じようなやり方でやるのに片っ方は草をやるのに機械でやる、片っ方は輪作形態でやるんだというようなことは、総合草資源開発というような銘を打ってやる場合にすでにそういうところに非常な矛盾が起きてくるんじゃないかと私は思うのでございますが、そういうことはないんですか。非常に私はこういう金額で、昨年はこの半分でできるというのがやってみたら倍になってしまったんだと、これで私はできるかどうかということで非常に疑問がある。これでできるならなぜ一反歩一万五千円払って垣根一重違う所で十倍かかるかということが少しおかしい、もう少し総合的にお考えになれないのか。地元の方で見ると非常におかしいと思う。これでやはり大体自信を持っておやりになっておるのかお伺いしたいと思います。
  70. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) ごもっともな御疑問だろうと思います。私たちの考え方は草地の改良というもののスタートをまずこういう機械でもやれるんだと、こういうことを今度の経済べースに乗せて十万十五万かかる耕地の方と同じようになっていけば非常にけっこうだと思うのですけれども、何分にも初めてのことでありますし、これは金を取ってやるのですから農家の方も不安を持つ、ですから指導的、先駆的な一つのパイロット的な仕事としてはやはりあまり価格もとれないじゃないかということで、初年度は非常に少い金額ですが実は実施をしてみたわけであります。やってみますと、もう少し私どももむしろとれるんじゃないかという気持はいたしましたし、大蔵当局も農地の方の関係もあって、実は草地の方も今出発した事業であるということからよくわかるけれども少しそれは上げたらどうかということで、いろいろ折衝いたしまして、あくまでこれは一つの指導的な啓蒙的な仕事として、われわれは牧野改良センターというものを取り上げてきておるわけであります。でありますから、あるいは農地の方との連絡が不十分であったということは御指摘の通りだと思いますけれども農地の方はただ起すだけじゃなくて、おそらくはかの、いわゆる熟畑までにいく、完全な畑にするまでの仕事じゃないかと思うのです。ですから除石なり、起土なり、あるいはハローイングなりという作業の精密度、この辺が実際問題としてどういうことになりますか、私たちも実は知りませんので、うかつな話でありますが、この点もとくと農地の方の関係の方と御相談申し上げまして、お話のような食い違いが起りませんように今後考えていかなければならぬだろうと、かように思っております。考え方としましては今申し上げましたように、何分にも非常に略奪されたそういうところに、新しいこういう事業をやっておりますので、だんだんと農家の理解を深めつつ、経済べースに乗せるようにいたしたいと思う。耕地を作るということは、もうだれも日本人である以上みな知っているわけです。大変米もとれる、麦もとれるということでおやりになるのです。ところが草を作るということは、こやしをやること自体もうどうかという疑問を持つわけです。ところが二十二トン以上とれるということは、ある程度の穀物生産と変りはない。これはおそらく口で言ってもおわかりにならない面が非常に多いのじゃないか。農家にしてみればなおさらのことじゃないかと思う。この辺啓蒙をやはり進めていきたい。かように思っておりますので、若干考え方は、出発点は違うのでありますので、御疑問があり、おしかりを受けるのじゃないかと思いますが、今後十分連絡をとりまして食い違いのないようにいたしたいと思います。
  71. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとお諮りしますが、このあとこの順序によりまして、青森県における草地改良のスライドと、ニュージーランドの草地改良の映画を見ることになっておりまして、これがちょっと一時間ほどかかるようですから、御質問は山本課長はあとでまた質問できまずから、研究所の、今日特にお見えになっている方への御質問にしていただきたいと思います。
  72. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 先ほど試験研究の現在実施されている点は七つ、八つありましたが、育種、生態、土壌等、これは基礎的の研究で一応ぜひとも拡大していただく必要があると思っておりますが、特に私が申し上げたいのは、けさほど試験研究のテーマをアンケートで十出したというお話があった、これは畜産技術連盟か草地の研究会で出されたようですが、現在実施されているのは大体そのテーマによってやっていると思うのですが、そのアンケートを出した場合において、草地の土木及び機械という項目は草地研究対象にすべきかどうかという原案を出したのが、それは削ってしまったということになっておる。そこで現在やっているのには、草地の土木及び機械という項目はどこでもやっていないのです。私は草地の資源の開発について、ただいま山本さんに御説明を伺ったのです。土木及び機械等について、どうも失礼だが、私は畜産局内で専門的には研究はあまりしていられないのじゃないか、いろいろな理由があると思うのですが、こういう重要な問題は、将来土地利用として土地分類をやっていく上にも、非常に私は重要な問題だと思う。これは山本さんの方から……、私はこれは農地局でやるかどこでやるか知りませんが、幸い総合開発課が根本になって、三十年度の試験研究のテーマをとる場合には、私はぜひ草地の土木及び機械というような試験研究の項目をお入れになって、予算が一年で二倍も違ったようなことにならぬように一つお願いをしたい。ぜひともこの項目は入れていただきたいと思います。  それからもう一点畜産局長にお伺いしたい。先ほど草地の分類に関連して、林野庁の原さんからお話がありましたが、天然草地といいますか、レインジという言葉、そのうちに混牧林と天然牧野とがある、混牧林の方を主として林野庁では研究対象としていられる、なおそれは二百万町歩くらいあるのじゃないかと私は思う。天然牧野ということでさっき御説明がありましたが、これは畜産の方で牧野改良補助基準になっている天然牧野の十九万七千町歩というようなものと同じものになるのかどうか、そうしてこの十九万七千町歩という畜産局補助基準にしているものは、これは現在のなま草生産量四トン半を維持するので、飼肥料木植栽、牧道の設置というようなものはやるが、ここにはあまり施設をやらぬようなことになっている、まあほったらかしておくのだということから、私の伺いたいのは、畜産局の方で天然牧野の十九万七千町歩にあまり積極的な施設をしないのだということから、これは林野の方でおやりになっているなら、それで筋が通るのだ、天然草地の分類の上から……。天然草地については、畜産局は何ら関係はないのじゃないかと思うのです。  それから分類はこれはアメリカ分類だと思うのです。その次に長期牧草地というのがアメリカにあって、これは人工の草地なんです。そうしてそれは家畜一頭当り〇・五ヘクタールから一ヘクタールくらいだということになっている。これがあの畜産局でいっている集約牧野に該当するところじゃないかと思うのです。ところがここまでだけを百三十三万町歩のうち現在草資源改良について考えていられるのか、もう一つ草資源改良の窮極の目的は、この上にも一つ短期牧草地というのがあるはずなんです。これは輪作形態です。そうしてアメリカではこれは草地農業というように私は伺っているのです。けさほど総合酪農開発とかいろんな名前があったが、草地農業というのは、草の中に作物栽培を入れていくということを私は草資源開発改良の窮極の目的にしていく必要があると思う。それを百三十三万町歩牧野法によって管理している牧野だから、これは耕作の目的にすることはできないのだという、牧野法があるからわずかに機械改良等で二年か三年に一ぺんトラクターをやって——これは中耕の耕作に類するのか、類しないのか、なぜもう少し集約牧野を牧草だけに限らず、輪作形態まで持っていくようなところにいかないのか、この点が私は根本問題だと思う。開拓の方では、現在の開拓の当初から畜産を入れて開拓をしていく、そうして採草地も入れていくということだったと思うが、これは草だけの改良増殖をやって、そうしてそれと栽培との関係は、全然畜産はここに入れてないのです。だからけさ飯島さんのような質問が出てくる、畜産だけの予算か、というような。その点私は十三万何千町歩というのも傾斜十七度と書いてある。それから部落からの距離も二キロとかいうようなことも、もっと農業土木を入れて、ほんとうの部落から産業道路でもこしらえていけば改良牧野の方だってもっと距離は短縮されると思う。十七度のやつは二十度になってもブルトーザーを持っていけば平坦地になる。そういうものを入れていけば牧野は耕作の目的にしてはいかぬという今までの原則はどうしてもこの際はずすことを御考慮になっていただけば、今度の総合開発のことが私は非常に楽にいくんじゃないか、その点についてどういうお見込みか伺っておきたい。
  73. 原田傳

    説明員原田傳君) 畜産局の方で天然牧野として考えておりますこの十九万七千町歩というものと、林野庁側で混牧林として計算をいたしでおられるものとが実際問題としてどうなっておるかという点につきましては、午前中官房長からも申し上げましたように、まことに残念でございますが、その相互の資料の突き合せと申しますか、調整がまだできておらないというのが実情でございます。で、私ども面積は、昭和二十五年に現に牧野として利用しておる面積を府県に照会いたしましてまとめたものでございまして、その際それが他の角度から見ました場合に、林野庁関係混牧林として扱われておるかどうかという点を特に確かめたわけではございませんので、今後省内におきましても十分調べまして正確な数字としては調整をすることになろうかと、かように考えておる次第であります。
  74. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は簡単に質問したいと思うのですが、いろいろあの資源開発機関方々のテーマの選び方や御苦心のほどがわかりますが、しかしこれはあくまでこの研究というのはアプライド・サイエンスに属する研究であって、グループの研究もさることながら、われわれとしてはやはり国家見地から予算の効率的な使用というか、経済効果の早からんことがやはり国民ひとしく要望するところでなければならぬ。そういう見地からして・この「実施中の試験研究」の項目を拝見をすると、「草地及び草類に関する調査」というところで、林業試験場では「航空写真によるタイプの面積決定、植生と生産量、牧養力の算定、牧養図の作製」というのがある。それは一体どの程度まで研究が進んでおるか、私はこういうことは研究全体をにらむ場合に一番基礎になることじゃないかと思う。選び方としては大へん適切だと思うのですが、これらがやっぱりほかの農業技術研究所を初め、北海道、東北、関東、東山、東海、近畿、中国、四国等の農業試験場において、「草地の利用及び管理」という大きな研究項目のうちで、どこの試験場でも、これは四国の農業試験場を除いては他のいずれでも全部これを研究項目に取り上げておるわけでありまして、こういう点から考えても、これらはおそらくほかの試験場からも非常に期待されておるところだと思うのですが、私は午前中の質問で懸念したことは、林業試験場関係試験研究経費があまりにも少いにもかかわらず、こういう大きな試験項目があがっておるのは、一体この試験研究経費の中でどの程度まで研究が進捗しているのか、できたらこれを具体的に今でなくてもけっこうですから資料で拝見したい。なお簡単にこれがどういう方向でどのくらいの時間をかけて一応の、つまり牧養図まで作り上げようとしておられるのか、これと関連して予算関係は今までのあの予算のつけ方でこれが一体できるのかどうか、こういう点を一つはっきりお尋ねをしておきたいと思います。
  75. 原敬造

    説明員(原敬造君) 私が申し上げますよりは、それを直接やっているのはこちらの井上技官で……。それでもうすでに畜産研究あたりに発表しているのです。内容その他こまかくそのほかにまた試験場資料としまして四、五冊、この前に先生方が試験場においでになったときにおわかちしたのじゃないかと思いますが、三、四冊それについての報告書が出ております。
  76. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 時間の関係もありますから、私はそういう詳細なことはこの席でお答えいただこうとは思いませんが、私があえてこういうことをお聞きしたいのは、先ほどの井上さんのお話を聞いておっても百三十三万町歩牧野の平均の生産力は一体どのくらいあるのか、これを牧養力をわれわれが常識的に判定する場合にどのくらいあるのかという質問に対しても、あるいはさっきの研究成果等をお聞きしてもこれは生産力はわからない、はっきり言ってどのくらいということは申し上げかねる、こういうことですから、あまりにもこれはわれわれとしては、頼りないという感じを深くしたので、あえてこういう項目があげられておるのに、一体どういうところまでいっておるかということを追及しようとしておるのです。こまかなことは後日の資料でけっこうですからキー・ポイントだけをお答え願いたい。
  77. 原敬造

    説明員(原敬造君) それにつきましては、今までやったのは、これは理想はマップを作るということでありますが、試験場では先ほど井上技官もそれを言うのを時間の関係であれしたのでございましょうが、試験場としては、マップを作るのをやるやらぬよりは、そのメソッドをいかにしてそういう牧養図を分けるかというやり方でございますね、これは試験場でマップを作るというのはとてもできない。その方法でございます、こういうようにしてやればこういうように分けられる、その分けた内容をこういうようにして調べればいいのだという方法を研究するのでございます。ですからそんなにたくさん金がかかるわけではないのであります。それですでにもうそれについて実際に何ヘクタールになりますかね、全部で。とにかく四カ所ぐらい、相当大きな面積のところを実際に調査をして、もちろんキャパシティも、そうしてその方法もみんな書いてある。そうしてやったのが報告書になっているのであります。
  78. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、その方法がわかれば、その方法を取り上げたという目的はそういう方法によって、日本全国のその可能面積というものをできるだけ早い機会に最も進んだ方法で全体をキャッチしょうということがそもそものこの方法の研究の出発じゃないですか。
  79. 原敬造

    説明員(原敬造君) それは今申しましたように、草地の改良をやる場合に、その分けた牧野の形々があるわけでございます。それによって先ほども説明申し上げましたように、いろいろ作業の方法が違うということなんであります。ですから幾つに分けてそういうものに対してどういう方法をとってそれを改善していこうかということでご、ざいます。マップを作るというよりは、そういうタイプに対してはどういう治療法でやったらいいか、それにはどういう形があるかということを、まず一律に同じようなメソッド、方法でもってやってもだめなんじゃないか、いろいろ先ほどブナ林とナラ林のお話をしたと思いますが、経営するのにも方法がみな違うのであります。それと同じようなことを申し上げました。
  80. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私はそれはわかります。わかりますけれども、つまり経済効果を考える場合にわれわれ国会といいますか、国民的な視野に立って、いかにして立ちおくれている日本の草地というか、こういった牧野というものを早く日の目を見せて、国民食糧の充足の上に役立てようということが、少くとも経済的の見地からの大きな要望ですから、研究研究として、眠っておるのではこれは何らの国民の要望にこたえられないわけであります。せっかくそういういいメソッドがつかめたら、それが全体を早くキャッチするために最もいい方法だという折紙を研究機関でつけられればあるいは行政部面で予算をつけて、さっきのマップを全体の適地についてこれを作るということも可能になるのじゃないか、そういう場合にもし研究機関として折紙をつけられるならばわれわれとしては国会の立場では、そのために惜しみなく予算的な措置をも講じたいというのが委員長初めこういうわれわれ農林委員会で取り上げておるそもそものわらいだと思うのです。そういう意味で私は枝葉末節のことにこだわって、縦横の連携なしに、あまりグループの研究ばかりでは何を作っておってもなかなか限られた一兆という予算の中では大蔵当局なり財務当局ではなかなか予算をくれないと思う。やはり経済効果というものをはっきりと打ち出す、そのための研究であり、そのためのやっぱり明確な目的というか成果というものができれば、一年なり三年なりの一つの区切りごとに上ってくることがわれわれとしては望ましい、そういう意味でこれは方法だけをやればそれでいいというのではないと思うのです。
  81. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 大体先ほど申しましたように、映画の方が一時間かかりますから、五時くらいまでには一応この質疑は打ち切りたいと思いますが。
  82. 東隆

    ○東隆君 時間がありませんから簡単に申しますが、お話を伺って私が感じたことは、日本農業、ことに水田がこれは耕作であって経営ではない、従って経営はないと思うのですが、経営という立場から考えていけば、私はやっぱり北海道の畑作地帯を中心にしていろいろな研究をされた方がいいと、こう考えますし、もうすでに今、琴似にある試験場なんか経営を中心にして相当進めておるわけです。そういうような成績がだいぶございますし、それから輪作経営なんかの問題、あるいは緑肥作物、これとそれから飼料作物との関係、これは切っても切れない関係であります。そういう面は畑作中心にしてすでに研究されております。そういうようなものはこれは緯度の関係で北海道における平地の試験研究の結果は、私は本州の山麓地帯にも十分に使えると思う。そういうような資料も十分にあるので、私は多くを申しませんが、肥料の問題を一つ取り上げても、北海道の燐酸を必要とする農業経営のやり方は、府県の裏作にこれを持っていくとびちっと合うのだし、いろいろな研究一つ北海道を基地にして研究を進めていただくと、私は効果が非常に上るだろう、非常に少い国費を有効適切に使うという意味からも、私は十分に目的を達すると思う。経営のないところに経営的見地に立っているようなことを言ってみても、これはいたし方ない。水田の中に経営を持ってこようとすれば、やはり畑作の中にもいろいろな経営を持ってこなければなりませんし、そういうような意味で私は畑作経営というものが今まで非常に重んぜられていなかった、畑作の研究が重視されていなかった、こういうことからそういう結果が生れておるわけであります。耕種農業畜産との関係は、完全に日本では分離しております。それは水田と、それから陸農というものばなかなか結びつきが困難でありますから、やはり畑作というものを中心にして結びつけなければならぬ、畑作につながっておるのは林業でありまして、これもきわめて関係が密接になって、いわゆる畑を中心にしてやって行く、畑作農業中心にやって行くという見地から、私は北海道とばかり言いませんが、東北も一つ一緒に考えて、畑作は非常にたくさんウエートを占めておることを基地にして、そうしてやられることが一番効果がある、こういうふうに考えるのであります。いろいろお話を伺ってきたことは、全部ぴちっぴちっとみな北海道に該当いたしますので、私は特にそういうふうに考えますから、その点も一つ考え合せを願います。
  83. 田中啓一

    田中啓一君 同僚諸君から御発言がありましたのも私全部同感なんですが、その点が欠けておると思うのです。第一は、私が申し上げたいのは、研究機関そのものが非常に孤立しておられるのではないか、人件費ばかりで動きもとれぬ、こういうことを嘆いておられるのでありますから、これは何とか来年の予算で、動けるように、レポートの交換もできるように、お互いに研修もできるということもぜひやらなければならぬと思うのですが、そうやれば……、一つもっと連絡よくやっていただきたい。実に試験項目はなかなか至れり尽せりに網羅されております。ただ溝口さんの指摘されたところだけは抜けておるのであります。とんでもないものを抜かされておると思うのでありますが、それが痛感することの第一。  それから次には、行政機関事業機関事業機関というのは営林署をさしておるのです。営林局、営林署、これらが孤立しておるのです。もっとも畜産局の持っておられる種畜牧場というものも事業機関とも言えるのでありまして、孤立しておる。でありますから、農業生産性発揮、土地の生産性発揮あるいは経営の向上というような見地からいうと、勢いこれはばらばらにならざるを得ない、その面には宮坂さんが嘆くようにちっとも研究総合されてこない、こういうことであります。でありますから、これをぜひやっていただきたいのでありますが、私もその役職なんで一ついささか乱暴かもしれませんが、やり方を一つ提案しようと思うのです。それは畜産局所管の種畜牧場、種畜場というものの総面積は致方町歩に及ぶと思います。私が最近見ました十勝の種畜牧場でありますが、これは三千町歩ある、これはまさに林業から、自然原野から、管理牧野から、あるいはその溝口さんの言う管理牧野で縄張りしてもだめだから、やはり輪作を入れて行くべきです。当然入るわけです。民間の方はある程度やっておるのです。やらんのはこっちだけです。でありますから、まあ大体数からいっても数十個所あると思うのですが、それをまあことごとくやるわけに行きませんから、東さんの好きな北海道の十勝自然牧場に行かれてもいいと思うのです。今の若い技術陣営は、それぞれの部面においては相当の水準に達しておられると思うのだ、けれどもそいつをいざ牧場の方に向けて行くということには、まことにちゅうちょをしておられるわけなんで、もったいない話です。でありますから、一つ基礎的、研究もおやり願わなければならぬと思いますけれども、あれ々二つ溝口さんの言うようなふうにこまかくやると、あれは中には幾多の沢が入っているのですから、そんなものはどうしたって林地にしなければいけない。それから火山地帯で木を切ってしまえば水も何もなくなってしまってどうにもならぬのですから、あるいは場所によっては大いに木を植えなければならぬところがある。現に原始林と称するものもあるのですけれども、あまりいい原始林じゃないと私は思っているのであります。そういうわけでありますから、林野庁も、畜産局も、農業改良局も、あるいは農地局も総力をあげて一つ町歩というものを土地生産性発揮という一点に集約してやられたならば、必ず模範農場になるだろうと思うのです。現状のところでは、馬を二百頭ばかりと羊を二百頭ばかりと、鶏五百羽ばかり飼っておって、若干よその種畜場にも飼料を供給しているという、こういう程度でありますから、土地利用という面からいえばこれはもう丙にしかならないのでありますから、来年度の事業として、ぜひ一つそういうことを十勝とは限りませんが、何か手近なところでもよろしゅうございますから、一つそういうことをまあ基礎研究をやっておられる技術の総力をあげてやったならば、うまいものができるだろうと思うのです。ことにまあそこに白石さん来ていらっしゃるが、百戦練磨のとにかく基礎も応用も一生やってこられた人がおって、むちゃやればそれはむちゃだから無理だろうという調整もつくだろうと思いますし、一つ何とか取り上げていただきたいと、こう思うのであります。これは御答弁は要りませんですから、どうぞお願いしたいと思っております。
  84. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それじゃまだ  いろいろあると思いますが、先ほど来貴重な御意見が出ておるわけですが、もし時間をかければもっと貴重な意見が出ると思いますが、大体政府の各機関の方でも、失ほど来のお話の中で、ともかく草の問題というものはまだどこから入っていいかわからぬ、しかも全く今田中委員が指摘されましたように個々ばらばらである、そのためにこういう対策連絡協議会というのができたことは非常にけっこうでございますが、これを例の官庁流に進めていかれたのでは、せっかくこういうものができたけれども、また予期するような成果が上らないということもあるかと思いますので、その点はほんとうに思い切った態度で、一つ大いに邁進をしていただかなければ、国民の期待に沿い得ないものだと考えますので、けさほど資料要求も出ておりますが、そういう次の資料はもっとりっぱなものができ、さらにこの次の委員会あたりでは、もっとわれわれが疑問とすることに対しましてもお答えができるように、早急に各方面を動員してもう少し案を練っていただきたいと思います。  それじゃ本日はこれで散会いたします。    午後五時四分散会