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1955-09-14 第22回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月十四日(水曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————   委員の異動 八月二十日委員秋山長造辞任につ き、その補欠として、森崎隆君を議長 において指名した。 八月二十二日委員白井勇辞任につ き、その補欠として、長谷山行毅君を 議長において指名した。 本日委員青山正一君、亀田得治君、戸 叶武君及び棚橋小虎君辞任につき、そ の補欠として、寺尾豊君、湯山勇君、 山口重彦君及び松浦清一君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            千田  正君    委員           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            田中 啓一君            寺尾  豊君            飯島連次郎君            奥 むめお君            溝口 三郎君            清澤 俊英君            三橋八次郎君            森崎  隆君            湯山  勇君            東   隆君            松浦 清一君            菊田 七平君            鈴木 強平君   国務大臣    外 務 大 臣 重光  葵君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    外務省アジア局    長       中川  融君    大蔵省理財局総    務課長     高橋 俊英君    大蔵省印刷局長 井上 義海君    大蔵省印刷局業    務部長     木村 秀弘君    大蔵省印刷局業    務部みつまた課    長       須貝 圭壽君    農林大臣官房長 安田善一郎君    農林省経済局長 大坪 藤市君    農林省農林経済    局経済課長   大和田啓氣君    農林省農業改良    局長      小倉 武一君    食糧庁長官   清井  正君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (ミツマタ印刷局買い上げに関す  る件)  (北海道の八月における水害に関す  る件)  (西日本の早魃に関する件)  (コカコーラの輸入に関する件)  (インドネシアにおける日本漁船抑  留に関する件)  (韓国抑留船員並びに漁船送還に関  する件)  (砂糖の需給及び価格に関する件)  (明治パン戸田工場に関する件)  (米穀の検査に関する件)   —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではただいまから委員会を開会いたします。まずミツマタ印刷局買い上げの件を議題にいたします。この件につきましては、ただいま関係者から陳情がございまして、もし、ただいまのお話のように大蔵省が百円札を硬貨に改めまして、その結果、印刷局においてミツマタを買い上げないということになりますと、大へん生産者には深刻な打撃となる重要な問題と考えますので、これらの事情につきまして当局説明を聞き、しかる後に委員皆さんから御質疑をお願いしたいと思います。まず最初に大蔵省印刷局長
  3. 井上義海

    説明員井上義海君) 百円紙幣銀貨転換するという問題に関しましては、これは通貨政策上の問題でありまするので、印刷局長が答弁するのは適当でなくて、本日は理財局長が見えておりませんので、理財局高橋総務課長が来ているようであります。高橋君の方から答弁させるのが適当じゃないかと思います。  ただ、印刷局長といたしましては、先ほど御陳情の趣旨もありましたように、現在百円紙幣を流通しておって、何ら支障もない、また、印刷局といたしましては、これが硬貨転換をされますれば数千人の整理というような問題も起って参ります。対外的にはただいまのようなミツマタの非常な局納の数量の減量ということにも相なって参りまするので、印刷局長自体といたしましてはこの点については極力反対をいたしております。この百円紙幣硬貨にする問題につきましては、先般省議が開かれたのであります。まだ大蔵部内といたしましては意見が分れておりまして、決定を見ておりません。この問題につきましては今後十分研究をして行くということで留保になっておりますので、さように御了承願いたいと思います。
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) では次に理財局長出席を要求しておりましたが、財政懇談会等関係総務課長高橋君が見えていますから、理財局の方の関係の御説明を願います。
  5. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 理財局通貨の問題をやっていますが、ただいま印刷局長が言われましたように、銀貨にかえるかどうかということはまだ決定した事項ではございません。きめておりません。ただし検討はいたしております。それというのは、これはまあいろいろ意見の分れるところでありまして、私の私見になるかもしれませんが、調べてみますと、百円札の製造は全体の紙幣印刷の中で非常に大きなウエイトを占めております。印刷局通貨製造仕事の中で優に半ば以上を占めるのでございます。それだけ印刷に要する経費というものは非常に大きいものでございます。それを今のところでは大体一年に一回くらい新らしく作り直さなければならぬ、たとえば五百億円百円札が流通しておりますと五百億円くらいの百円札を新らしく毎年刷って行かなければならないという状態でございます。それで、そのために本来なれば中央発券銀行であるところの日本銀行の金庫の中に相当の予備のお札が積まれなければならないのですが、この準備率と申しますか、それが非常に低いのでございます。今のように比較的平穏な経済情勢が続いておりますときにはあまり支障はございません。それでも間に合っておるのでございますけれども、昔の日本の歴史には僅かの短い期間の間に通貨流通量が非常に急激に膨張した。もちろんこれはその後直ちにおさまったということもありますけれども、そういうこともある。従いまして準備率が非常に少いというのは通貨政策の上からは非常に困ったことである。なぜそうなるかと申しますると、結局印刷局製造能力というものにかかっておるわけです。今のところでは印刷局はフルに運転しております。余りがございません。しからばもっと工場をふやしてやったらよさそうに思いますが、私どもとしてはそれはいたずらにむだなことを繰り返すだけである。やはり通貨というものについてもやはりその経費というものは考えて行かなければならない。そこでまた一方においてたまたままだ完全に使える状態にはなっておりませんけれども法律が通れば使える銀が相当多量にございます。政府手持ちのものが二百トンばかりのものを含めまして、その接収を完全に解除された場合には、約二千トンくらいの銀が政府が持てることになるわけでございます。これは今の日本国内における銀の生産量が二百数十トン程度である、一年間に二百数十トンしかできないということと比べ合せてみますと非常に大きな問題であります。この銀がもし民間に放出いたしますと、銀の値段にも相当影響がありましょうが、また実際にどこへ行くかというと、それは外国へ出てしまう。そうしますとこれを一ぺん手放してしまいますと、将来とも日本の国産の銀をもって銀貨製造することは当分できないというふうなことになります。でありますから、ここでその銀が政府の手に返ったときに、それをいかに使うかということは相当重大な問題であろうと思います。銀貨のまあ利点は、これはもうあらためて申し上げるまでもありませんが、一ぺん作りますともうほとんど永久的に使えます。一ぺん作るときの製造費お札の場合よりは少しは高いのですがあまり変りません。製造費はあまり変らないで地金代が要るだけです。その地金は、ですから改めて買うことを少なくしても、手元にあるというふうなことになりますると、これを利用して銀貨を作った方が日本経済のためには非常に有益であるというふうに感ずるのは私ばかりではないと思いますが、それを作りますと、銀貨を作りますと、印刷局は長い間には今の規模を相当縮小しなければならないほど製造能力余剰が生じて参ります。その生じました余剰能力をもって、先ほど申しました発行準備率を高めて行きたい、どんな場合でも通貨発行には支障を生じないというだけの備えをすることになるわけでございます。またこのコインは、戦後百円等はお札で皆がなれておりまして、コインになれておりませんので、いろいろ個人の面から見た批判もございましょうが、特に金融機関等におきまして合理化することが非常に大きい。今金融機関ではお札計算するためにかなりの人が要っているというのが実情であります。これがコインになりますると、その計算仕事はすべて機械化されます。そういうことで非常に銀行経費率を低めることにおいても有益なことであろうと思います。まあこれは私の方から見た銀貨の方がいいという意見だけを申し述べたのであります。ここでその論議をいろいろと繰り返してもいたし方ございませんが……。ところでとにかく何ら根拠のないようなそういうことを考えておるのではございませんで、一応いろいろな面から検討いたしましたところ、その方がわれわれの目から見たところ、いいことであると考えた次第でございます。しかしいろいろな関係がございますので、まだ決定はしておりません。で、ミツマタに対してどういう影響があるか、この点は単純に考えますると、今の製造の中から百円札が消えてなくなれば、それだけミツマタ使用量は非常に減るのじゃないか、こうお考えになるのはまことに無理のないことではございまするが、先ほど申しましたように発行力を充実するということは主として千円札で行ないます。千円札を、つまり今よりは相当量増札をしなければ発行力を高めることはできない。百円札は量としては非常に多いのですが、ミツマタが含まれている量、割合は、千円札とは非常に違う。千円札の方が何倍も多いわけであります。特に千円札はオール・ミツマタと言っておりますが、これは全部ミツマタであるという意味ではありませんけれども、非常にその使用割合が高い。その割合の高いものを増札をいたしますると、百円札が減ってきましてもそれを十分にカバーするのじゃないかと見ておるわけでございます。この発行準備率を高めるということは、これは今のところでは、私の方の理財局だけの考えでございまして、これは当然予算の関係もございますから主計局等の賛成も得なければなりませんけれども、ですからきまっておりませんが、常識的には当然そういう方向へ行かなければならぬし、その場合には百円札がなくなっても、ミツマタ買い上げ量は当分の間相当の長期間にわたりましてあまり大した変化はない。絶対に減らないということは申し土げませんが、しかし計画立てようによっては若干ふえるというふうな数字も出てくるぐらいでございまして、このの問題がどういうわけか非常に早くミツマタ関係者に伝わりまして非常に何か陳情等がわれわれの方にも参っておりまするが、そうした通貨政策の上から見て計画をしさいに検討しなければ、一がいにミツマタが減るのだという結論にはなりませんので、その点は特に誤解のないように、百円札がなくなっただけそれだけ減ってしまうのだということはない、場合によっては当分の間同量程度要るのではないかと私の方は考えでおるくらいでございますから、どうぞさよう御了承願いたいと思います。
  6. 江田三郎

    委員長江田三郎君) では次に今日までミツマタの増産を奨励してこられました農業改良局の方の考え方を……。
  7. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 百円札の問題に関連いたしまして、ミツマタ生産を担当しておる私の方といたしましての考え方についてお尋ねでございますが、もちろん私どものやっておりますミツマタ栽培事情というようなことにつきましては、すでに各委員とも御承知と思いますので詳しくは申し上げませんが、百円札がなくなるといったような場合に、どういう影響を受けるかということについては、生産立場からも検討をいたさなければならぬと思いまして、若干数字的なことを検討したものがございますけれども、幸い、理財局の方からお話がございましたように、それがどういうふうに量的な問題に響くかということにつきましては、私どもの方ではよくわからないのであります。ただミツマタ生産物は若干他の農産物とは趣きが異っておりまして、どちらかと申しますと、山間僻地のような所に栽培されて、しかも多年作物であります。しかもそういった山間僻地農家にとっての経済から見ますと、総収入の一割、多いところは二割近くまでの収入ウエイトを占めている。しかもこれが現金収入でありますから、ミツマタ現金収入でございますので、現金収入の部面だけを考えますると、農家経済に対して持っておりますウエイトは、もっと大きくなるのは当然でございますが、そういったような関係で、急速に作付けの転換ということもできないし、またミツマタそのものの用途の転換といったようなこともできない。しかも今申しましたように農家経済においては、特に主産地の地帯におきましては相当重要性を持っているということから、百円札の処理の問題につきましては、ミツマタ栽培農家にできるだけ支障がないように、一つ大蔵省の方で考えていただくというふうに私ども事務的な連絡を今までやっておったわけでありますが、最近何か大蔵省の方でそういうことを御決定になるといったようなことも聞きましたので、私ども考え方といたしましても、今申し上げましたようなことを大蔵省の方にも御連絡を申しておる次第であります。簡単でありますが、大体の事情は以上の通りであります。
  8. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 以上の当局説明につきまして御質疑があれば……。
  9. 寺尾豊

    寺尾豊君 今三君のいろいろ御説明を拝聴いたしました。高橋大蔵省理財局総務課長お話では、大蔵省としては省議でいまだ決定をしていない。ペンディングである。こういうお話である。しかしあとのるる詳細な御説明等を聞いてみると、大よそ事務的にはそのことを決定しているのではないかと、もうはっきり私の耳には受け取れた。何か言って聞かせた。こういうことだから我慢しろというような意味にも受け取れる。しかしきょうは責任者である両局長、あるいは平田事務次官、こういうような諸君が御出席になっていないので、高橋課長に深くこの問題について意見を申し上げません。しかし昨今砂川町の基地の拡張の百軒そこそこのこの問題でさえも、実に震駭するような大きな問題として、われわれはむしろ心痛をせざるを得ない事態である。それが、印刷をしたらば経費がうんとかかる。そんなことは今日までやってきたことで、わかりきったことである。しかし今日零細農家が全国三万、このミツマタ生産は私はミツマタ等に対してはきわめてしろうとでありますが、これを生産して年々収穫して行くためには、七年を要するということ。大蔵省がこれを助成し、農林省がこれを育成をして、あたかも今日のタバコ耕作のごとく、いろいろ登録制であるとか、そのほか補助金制度であるとか、そういうことにおいてやらせて、しかもその価格がだんだん暴落をしてきた。手持ちもふえてきた。どうしようかという矢先に、百円札は印刷したら金がかかるから、銀貨によった方がいいのだというような一片事務的な問題というか、技術的な問題というか、そういうことにおいて三万戸、おそらく十数万というこの零細農民の死活に関する問題を、一方的にこれをきめて行こうとするこういうやり方は、大いにこれは反省をしてもらわなければならぬと私は思う。ことに、まあ私は法律はきわめてしろうとでありますが、例のとの臨時通貨法、これは第二条かに八種類硬貨をこれにおいて規制せられておる。それには五十円以下一銭までというような八種類を示してあるようでありますが、われわれがちょっと考えると百円硬貨を作るということになれば、果して省議だけで行けるかどうか。これはペンディングであるが、一応やると、今の高橋君の説明等によってはやるという御方針のようにうかがわれるから私は質問する。しかしこの臨時通貨法、いわゆるこの法律を政正しなくてもできるかどうか。まあこういう御見解についても今一度高橋君に御質問申し上げたい。  しかし高知県、徳島県、愛媛県、岡山県、静岡県あるいは島根県、この六県に関するきわめて重大な問題でありまするので、これに対する質疑は私は留保いたしまして、次回の農水委員会平田事務次官、それから理財局長、この出席委員長においてお取り計らいを願いたいと思います。  一応高橋総務課長に御質疑申し上げたいことは、この臨時通貨法改正をしなくてもできますか。こういうことについて御見解をお聞きしたいと思う。
  10. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) もちろんこれをやるとしますれば法律改正を要します。法律改正しなくても、これについてできるというような問題じゃありません。
  11. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して。ただいま同僚寺尾さんから百円硬貨問題につきまして農作民立場とそれから硬貨を鋳造する件につきまして御見解がごじいましたが、私は高橋課長その他の説明を聞いておりますが、幸い目下研究中であるというその言葉の中において、研究だが、これは実行したいという意味が多分に含まれておりますことは、同僚各位のすでによく察知したことであろうと、かように思います。農民立場から申しますならば、なぜ長い間奨励してとれを作らしたか。しかも一片のただ事務的経費の節約ということによりまして、これらの農家の長年にわたりました耕作のすべてを取り上げて、果してこの農家に対しまして代作は一体何をもってこれに充てるか。ただいま小倉局長の話にも、農家をして心配のないように、農家をしてこれに対するところの作物の補償をし、安全に継続するようにしたいというようなお言葉もありましたが、もし農民立場から申しますならば、これほど農民を無視し、これほど農民の全く憲法に定める生活権を奪うというようなことはないと思います。大蔵省が何ゆえこういう計画をしたか。話の中に、要すれば二千トンの銀貨が、この際貨幣にしなかったならば流れる。いたずらに外国に流さなくてもよい。日本所有日本所有としてそのまま存置したって決して銀貨が減るものでもないし、自然の消費ができるものでないことはすでに知っておる。また実際貨幣取扱いにおいても、国民紙幣を取り扱う、また紙幣をそれぞれ携帯するというような国民感情から考えてみましても、紙幣硬貨との国民取扱いに、携帯に、また非常な便利、不便利を考えますならば、紙幣の方がはるかに便利であるというような関係もある。銀行がいかにも賛成しておるようなふうに申しますが、銀行は果してそういうようなことに賛成しているかどうか、ただ大蔵当局の小さな眼でそうありゃしないかと、かような推察だと私ども考えます。  以上のような観点から申しましても、取扱いに不便であり、国民を不便に陥らせ、しかも農家の長年にわたってこれによって生活してきたところの作物を、いたずらに犠牲にしてかわらせるというようなことは、現在の時代において果して適当であるかどうかということを考えみまするならば、当然かような問題に対しては農林委員関係ある私どもとしては、断固反対せざるを得ないのでございます。よく大蔵当局といたしましては印刷局におけるところの職員、職工の数がきわめて少くて、印刷能力が上がらないというが、印刷能力が上がらなければ、なお印刷能力を増してもこれを実行しなければならない。日本の今日失業者が日々に増加する上から申しまして、この職を奪うことをいたすといたしましたならば、印刷職業者配置転換はどういう方法をもってやるか。政府みずから失業者を出し、政府みずからまじめな農民生活権を奪うということは、論ずるまでもなく当を得ないことである。私はこれに対して重ねて高橋課長……高橋課長でなくてあるいは次官あるいは政務次官あるいは局長に重ねて質問をいたしたいと思いますが、当面事務当局として考案し、そうして着々と事務上の処理をいたすところの課長及びこれに関係ある小倉局長に、果してこういうことが農林当局として……忍びないということはすでに言明されておりますけれども、重ねてこの点に対して、もしかような事態が起きた場合においては、農民各位に対し、他に代作がすぐ間に合うかどうか、また長年やってきたのをこれを廃止して、今度は紙幣が要るからこれを作らせるというときにすぐ間に合うような方策ができるかどうかという点についてお尋ねしたいと思います。
  12. 小倉武一

    説明員小倉武一君) これはもう皆さん承知だと思いますけれども、なかなか代作ということはむずかしいと存じます。土地柄から申しましてもまたミツマタを作っておる土壌その他の条件から言いましても、代作を見つけるということはなかなかむずかしい、こういうように思います。  それからミツマタが、あるいは需要量が減りまして、再びまた何かのときに需要がふえた場合に、またふえるかどうかというお尋ねでございますが、御承知通り戦争中から農林省もそうでございますが、特に印刷局の方も非常に努力を傾注されてミツマタ栽培に当ってきましたのであります。一たん非常に縮小するというようなことになりますれば、それをまた再興するということはなかなか困難ではないかと存じます。
  13. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 重ねて申し上げますが、この問題はたとえば私どもがその方がよいと考えたからと言って、それできまるわけではございません。いろいろな方面の意見も聞いて検討した上できめなければなりませんし、なお法律改正も必要とすることでございますから、簡単にきめてしまうということではないということを申し上げておきます。  それからなおミツマタ生産等に今まで印刷局が力を入れておったということも事実でございまして、今さら急に今度要らないから買わない、こういう非常にいわば薄情な態度に出るということでありますと、皆様が憤慨されるのも無理はございませんが、そういうことになるとは私は考えないのであります。今のところ事務的な検討でございまして、はっきり申し上げる段階ではございませんが、通貨政策の上から申しますると、今の千円券等印刷は非常に足らない、だからそれをふやす必要があるということは十分に認められるわけであります。そうしますると、そういう計画でやった場合に、ミツマタにはあまり影響がないのじゃないか、私はそう思います。はっきり今お約束するというようなことはできませんけれども計算上の問題としては、ミツマタ需要量相当あるから、長期間にわたって急減するというようなことはない、むしろ通貨の上から言うと、どうしても必要な計算になるのでありますので、もしもミツマタには影響がないということになれば、こういう問題は皆さんの御意見としてはずっと変ってこられるのじゃないかと思いますが、確かにその辺の点は私どもも十分考慮いたしておりますし、この百円札の製造が減っただけミツマタが減るということはないんだという、その程度のことは私は申し上げられるのであります。絶対に減らないかと言われましても、これは計算が確定いたしておりませんので、計画が確定しておりませんので、はっきりしたお約束はできませんけれども、まああまり影響がない結果に終りそうである、かような程度に私は申し上げておきます。
  14. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとただいまの池田君の質問で、印刷局の……、はっきり印刷局と指名なされんかったが、これは先ほどの総務課長お話によると、千円札になってミツマタの量は減らぬと言いましたけれども、札の全体の印刷量というものは、ずっと百円札が減ってくるわけですから、こうなってくると印刷局の方の業務というものはうんと縮小される結果になるのですか、それはどうですか。それが池田君の質問にあったようですが……。   〔池田宇右衞門君「職工はどうするのか」と述ぶ〕
  15. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 本省の方で立てておられます計画状態を知りませんので、果してその計画を実現した場合に、どういう工合になるかということは、ここで御説明できません。ただ最終的に百円券がなくなった場合を予想して申し上げます。その場合には、大体先ほどの御質問印刷局の過剰人員と申しますか、余剰人員はほぼ四千人近くになるかと思います。ただいま全体で七千六百人余りおりますが、それが半分以下になるということであります。それから最終的に百円券がなくなった場合、これを予想しまして、ミツマタ買い上げ量がどれくらい従って減るか、そういう場合にどれくらい減るかということを申し上げますと、現在、先ほどどなたかがおっしゃいましたように、大体三十万貫ちょっと買っております。三十万貫程度買っております。そのうち千円券が十四万貫、百円券に十六万貫これは実際の数字でございまして、千円券がオール・ミツマタであって、百円券が二割のミツマタ含有量しか持っていないという算術的な計算だけでは出ません。いろいろな要素がございます。それはもし御質問がありますればお答えしますが、いろいろな要素がありまして、結果的にはそういうふうに十六万貫対十四万貫という形になっておりますので、今の発行元における準備率を高めるとか何とかいう、そういう問題を抜きにいたしますと、最終的には十六万貫が減るということになります。なお最近百円券のミツマタ配合率を復元するという問題が起きておりますので、そういう場合を予想するならば、その上に相当の数字が加わるのではないかというふうに予想いたします。
  16. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 そうすると約四千人くらいの職工が要らなくなるというような、この使用貫数から言えば、結果になるが、それはどのくらい要るか、やってみなければ実際わからないが、今事務処理の構想は一体どのくらい要りますか、百円札を印刷するのに要るという程度は。
  17. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 印刷局仕事の中に、今の日銀券以外に、国会の議事録であるとか、公報であるとか、官報であるとか、いろいろほかのものが入っておりますけれども、その大宗は銀行券でございます。その銀行券がかりに三十年度の製造数量について申し上げますと、七億枚、これは百円券に換算をいたしまして七億枚でございます。その七億枚のうち百円券が五億枚、千円券が一億五千枚ということになります。それから五百円券その他がその残りになります。七億枚のうちの五億枚が百円券でありまするからして、銀行券中に七割程度の比率を百円券が占めておるということで、従って先ほど申し上げました七千六百人の定員に対しまして、若干、二割か、三割程度、ほかの部面に使われておるものがありますけれども、その残りの七割程度のもの、それが大体四千人近くなる、こういうことであります。
  18. 田中啓一

    ○田中啓一君 今農林経済局長、並びに総務課長から、非常にミツマタを奨励したことは確かだというお話がございましたが、あまりその点で多くを申し上げなくともいいと思いますが、実は私は岐阜の副知事をやっておりまして、大奨励を受けて、せっせと実はミツマタを作った一人であります。これは私が作ったわけでなくて、百姓が作ったわけですが、一体ああいう多年生の木を植えさせて、そうしてもうやめたというような農林政策はないのでございましてね、まあ私ども昔からのああいう山村の、まあ少しでも生活の助けになることでありますので、非常に奨励をしてやったのです。だいぶ奨励金といいますか、補助金というようなものをお出しになりまして、それでやったわけです。でまあ補助金の方のことは、損したらおしまいだとおっしゃられればそれでおしまいですが、しかし百姓から見れば、農林省のやることも、大蔵省のやることも、みなお上のやることだということで、そういったやり方をされると、農林政策というものはだんだん信用を失うわけです。これは非常に困るのです。今いろいろ国策の線に沿うて農業指導をやらなきやならぬときに、そういうものがあると、当てにならぬぞ、政府の言うことは、いつまた政策が変るかもしれない、こういう疑問がまず出るわけでありまして、これは非常に注意しなきゃならない。ですから、今お話になりましたような理由で百円札を硬貨にするとおっしゃるのだが、ほとんど国民だれ一人として、百円札を持ち歩いて不便だとまあ文句を言う者はおらぬことは、池田さんのお話通りであります。まあ銀行の勘定はしにくいかもしれませんけれどもですね、まあその点から考えて、私は今何でも硬貨にしなきゃならぬという理由には乏しいのじゃないか、こういったまあ国民の、ことに今農業指導というのは非常に大事な段階にきておるのにかかわらず、そういう信頼を裏切ってまでやらなきゃならぬ理由は、私は乏しいのじゃないか、こういうように思うのであります。  それからなお今印刷局の方の人を減らさなきゃならぬお話をなさいましたが、実はその紙をすいておるのは印刷局だけじゃないのですね。私の県などでも、一工場が紙すきの御用を承わって、それを専業にやっておるわけです。でありますから、そこまで勘定すると、これは大きいので、岐阜県の製紙業としても百円札がなくなるということは、これは重大問題なんです。高知県にもあると思うのです。ほかの県にもあると思う。でありますから、そういった農業並びに製紙業に対しても、その重大なる影響を与えてまでも、この際硬貨になさるということは、私どうもはなはだ理由に乏しいように思う。でありますから、これは一つ課長はよくその点を当局へ御報告を願いたいと思う。御答弁を何か得られればまことに幸いと思います。
  19. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) また同じことを言うようでありまするが、先ほど印刷局の業務部長から、ミツマタの現在使っておる量はこれだけである。であるから、もし千円札の増刷ということを考えなければ、その分だけ減るのだという御説明がありました。確かに現在の段階だけをとらえていえばその通りでありますけれども経済六カ年計画によりましても、国民所得というものはある程度毎年ふえて行きます。それに応じまして生産量がふえますので、取引高もふえますから、通貨の量も常に一定ではございません。おそらく毎年若干ずつではございますけれども通貨の流通高というものはふえて行くのが当り前であろうと思う。そういう計算で今後の、つまり毎年伸びて行く通貨流通高を推定いたしまして、それに対して発行元がどの程度なければならぬという計算をする。かようなことをやりますると、これは単なる試算でございまして、何らそれが通貨製造計画というふうな固まったものではありませんけれども、われわれの試算によりますれば、まあ先ほどから申しましたように、ミツマタに対する影響は非常に少い現状で、今までの量を非常に減らしてしまうということにはなりそうもない。年によっては、発行元の充実のやり方ですが、それを急いでやろうと思うと、逆にふえてしまうというような数字すら出るわけであります。で、発行元がこれを一体何年かかって理想的な段階まで持って行くか、あるいはそれに近い段階にまで持って行くか、これが問題なんです。非常に早いテンポでやりますれば、途中においてはミツマタ使用量は非常にふえます。非常にふえますが、その後少しづつ減って行くということになります。しかし一方でかりに銀貨を作るといたしましても、一年や二年でできる仕事ではありません。これは非常に長い時間かかる。お札から銀貨に完全に切りかわるというのには、最小限八年から十年ぐらいかかると見なければなりません。そのぐらいの期間を要する仕事でありまして、そしてその間に発行元を完全に充実するような計画にすると、何か非常に不自然な姿が出て参ります。私どもとしてはもっと長い期間をかけて徐々にふやして行く、そういうようなことで試算をしますと、今後十五年あるいは二十年というふうな長い期間をとらえてみても、ミツマタ使用量はあまり減らない。こういうことになるのでありますからして、ここで切りかえるといいましても、きめてから一年や二年ですぐにできるわけではない。相当前から用意しておかなければ硬化への切りかえは容易にできないという状況でございます。なお百円札云々についていろいろ御批判はございましょうが、これを今ここで論議したくございません。ただ申し上げておきますが、戦前は五十銭銀貨というのはざらに流通しておったわけです。五十銭は銀貨だったのです。紙幣もあとで戦時中などは使いましたが、五十銭は銀貨で、これは今の金に直しますると、どう低く見積っても百五十円でございます。その程度のものは世界各国どこへ行っても大体銀貨を使っております。日本の実情から申しましても、五十銭銀貨が、戦前に、まあなれでございましょうが、何ら不自由なく流通しておったという事情から考えて、百円を硬貨にすること自体はそうおかしなことではないというふうには思います。
  20. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今課長の答弁を聞いておれば、五年、十年向うの話だと、これは計画中だというようなことを言っておるのです。こうやって本日も陳情されておる。実際に直面しておる五万有余の耕作農民の方が、それからおそらく印刷局の四千五百、これを家族を入れれば二万近い。繊維関係においても少くとも三万以上になるだろうと思いますが、十万の日本国民の日常生活に一体不安を与えて、しかもその不安の中においてどうなるのだというような、まことに結果的におもしろくないことを生ずる、同時に農業政策におけるところの指導及び生産途上における政策面において、これまた変更しなければならないようなむだを生ずる。大蔵当局の単なる研究は、十年のちのことを今ただちに目の前に十万の国民をして迷わせる岐路を与えるということは、最も堅く、最も信頼される大蔵当局のやるべきことじゃない。私は日本大蔵当局はもっと堅実であり、そうして健全財政を唱える基本省であるならば、かような影響の甚大な、そうして波及するところとどまり知らないことをいたずらに出すべきものではないだろうと思います。農業政策の面から申しまして、日本の産業の上から申しましても、働らく労働者階級の立場から考えても、かような問題は断固として私は引っ込めるのが当然であるということを強く要望いたしまして、私としては本日はこれで打切っておきます。
  21. 湯山勇

    湯山勇君 印刷局の方へお尋ねします。先ほどの御説明によりますと、数千人の整理の問題、それからミツマタ原料の問題があるから慎重に検討いたさなければならないというお話がありましたが、その問題ばその問題といたしまして、マニラ麻の使用の問題ですね、これについて、これはもうこういう段階ではやめるということはできないでしょうか。
  22. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) マニラ麻は昭和二十七年でございましたが、ミツマタが全国的に非常に足りなくなりましたときに、価格も暴騰いたしますし、大体必要量を入手できないという実情にありましたので混入をいたしました。それ以来今日に至っておるわけであります。もちろん復元の問題を考えミツマタを主体として考える場合におきましては、マニラ麻の混入量を減らして行って、逆にミツマタの量をふやして行くということは当然考えられます。ただ問題は値段でございまして、マニラ麻が最近の値段で平均十貴目三千円ぐらいかと思います。三千円前後かと思いますが、ミツマタは倍の値段でございます。従って復元をいたしますと、その札の値段、原価に響いて参りますので、日本銀行にそれだけ高い値段でお札を買ってもらわなければ引き合わないという結果になります。そういう事情にございまして、今の混入量の二割を一挙に復元して、もとやっておりましたように四割乃至六割に復元して行くということは、そういう値段の問題で困難があるのじゃないか、もし復元をいたしますならば、価格にそんなに響かないような比率でもって、かりに一割とかいうふうな漸増方式でもってやって行くほかにはないのじゃないか。それからミツマタの単価でございますが、これが今の標準買い上げ値段が六千二百円であります。これをできるならば若干でも戦前のマニラ麻とミツマタ価格の比率程度のものに持って行くということになりますと、値段にそんなに響かないで、量的には多く買い上げるということができるのじゃないかと思います。ただ銀行券の紙の質から考えますと、マニラ麻をやめるよりはむしろ現在入れておりますパルプを減らしまして、その分だけミツマタをふやして行くという方が紙の質が丈夫になるという面から、望ましいかと思っております。
  23. 湯山勇

    湯山勇君 そこで今の理論の上で、値段の問題とかいろいろありましたけれども、結局今日の段階では、当初相当価格で買い上げられておったものが、だんだん安くなってきておる。で、これは先ほどお話のありましたように、ミツマタ栽培地域の特性、それから永年作であるし、転換できないといったような実情から考えまして、まあパルプの使用を少くした方がいいのじゃないかと思うとか、あるいはマニラ麻を徐々に減して行った方がいいのじゃないかというような意見ではなくて、こうするのだ、今後パルプを減してミツマタの使用を多くする、マニラ麻を順次減して行く、こういう御言明ができないものでしょうか。
  24. 須貝圭壽

    説明員(須貝圭壽君) これはただいま申し上げましたように印刷局だけできめるわけには参りませんので、日銀と相談をいたしまして、そうして日銀の買い上げ値段をそれだけある程度見てもらうということで相談がまとまりますと、復元ができる、こういうことになります。ただいま百円券の寿命が大体十二カ月ちょっと切れております。これをあるいは一年以上持たせる。そのためにもつと紙の丈夫なものを作ってもらいたいという議論が起っておりまして、それに対してわれわれの方としては紙を丈夫にするためにはKPの配合率を少くして、ミツマタの増量を認めてもらいたい、それだけ値段を見てもらいたいという意見を出しておりまして、その試験すきの紙もできております。数回にわたって試験をいたしまして、一番最近のものがきのうできて、なおまだ紙の質の弱い面がありますが、二、三日後には最終的なものが出てくる予定でございます。その実際ためしにすいてみた紙をもちまして日銀と交渉をいたすつもりでございます。
  25. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと今のに関連してお尋ねしておきますが、さっき総務課長お話には、準備率は低いけれども印刷局製造能力はフル運転で、それ以上はできないんだということでありましたが、実際にフル運転でできないのか。今言われたようなまたミツマタを増量して行けば使用期間というものが延びるのですか。それによって準備率を高めることができると思うのですが、その点はどうなんですか。
  26. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) ただいまの点さっきの高橋君のお話と多少矛盾するかもしれませんが、印刷局製造能力なしというのは、これば多少誤解を招くおそれがあるかと思います。現に現在程度の人員なり施設をもちまして八億枚刷った実績を持っておりますので、ただいまが七億枚、三十年度が七億枚でございますが、あとの一億枚くらいの増刷はただいまの人員なり設備をもちまして可能でございます。原料はもちろんそれにつれてよけい要りますけれどもそれはそれといたしまして、可能だということを申し上げておきます。ただそのためには職員、工員が居残りをしなければなりませんので、その工員の居残り手当というものが相当増額を認めてもらわないとできないということになっております。
  27. 湯山勇

    湯山勇君 それから高橋課長お尋ねいたしますが、課長の御説明は結局まことに要領を得ないと思うのです。それは百円札がかりに硬貨に変ったとしても減るとは限らない、こういうことなんですが、それは減るとは限らないということは減らないということにはならない。ようしゅうございますか、まだ聞きますから……。そこで減らないということであれば、そのことをもう少し明確にお示し願わないと、私も皆さん方がそれで陳情に来ているけれども、減るとは限らないのだからそう騒いでもらっては困る、これでは納得できないと思うのです。そこでなぜ減らないか、そういう納得の行くような御説明をぜひしていただかなければならないと思います。あともう一つありますが、それはその御説明を聞いてから……。
  28. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) その意味は、今の発行準備率、予備券を持っている率を少しも高めないで、そのままの情勢で進むということになりますれば、これは明らかに減ります。しかしそれは非常に通貨の対策の上からはおもしろくないことでありまして、今日までは予算の関係その他で非常に切りつめたことをやってきたわけですが、発行準備率を申し上げますと、ただいまでは大体六〇%前後くらいしか準備率がないのです。戦前の数字は調べてみますると、大体流通高に対しまして、少くともその二倍以上、非常に多いのです。大体二倍ないし三倍程度の準備を常に保有しておりました。これは年末の一番多い時期における流通高に対しまして、なおその二倍ないし三倍の準備というものは常時あったわけです。戦後は、とてもいろいろな事情でそこまでやれませんので、非常に低い率で来ておりますから、これを昔のような状態に完全には戻さぬまでも、せめて長い間かかって一・五倍ないし二倍程度まで持って行きたいというふうに、通貨をやっております立場からは、事務的にはそう考えるわけであります。そういうふうに引き上げて行くことを計画に入れますと減らない、こういう意味でありまして、その計画大蔵省としてはっきり認められたものではございませんので、今のところ必ずそうなるのだというふうには申し上げかねます。従いまして、多少要領を得ないという御批判がございましょうが、漸次いろいろな経済が正常化して参りますのに、こういう通貨の面だけがそのような危ない橋渡りをしているようなことでは工合が悪いので、十分なる発行度を用意いたしまして、そうしていかなる事態にも対処できるというふうにしたいと私ども考えております。その考えから申しますれば、減らない、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  29. 湯山勇

    湯山勇君 結局要領を得ないわけですが、それで、今課長のおっしゃったのは、通貨の面が不安定だということを言われますけれども通貨だけ幾ら安定しても、今日の経済というものは安定いたしません。もっとその基盤になるものが不安定なんだから……。そこでこういうことを、今小さい問題を考えるよりも、先ほどお話のあったような、経済六ヵ年計画、こういうものをもう少し真剣に検討して行かなければ、ただいまここでただ百円札を硬貨にかえるといったようなことだけでどうこうしようといっても、これは話にならないと思います。基本的に考え直してもらわなければならない問題だと思うわけです。そこで万々一にもそういう政策がとられるとした場合、これは当然補償の問題等が出てくると思います、ミツマタ栽培に関するですね。そういう点も大蔵省として今日の段階において検討しておるかどうか。それはどうでしょうか。
  30. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) それが補償しなければならぬかどうか、法律関係は別としまして、行政上の指導を行なったことに対する道義的な責任ば政府にあると思います。それがその専売物資みたいな、専売の材料のようなものに匹敵して、果して政府法律上責任を持たなければならぬかどうかは私どもにはまだよくわかりません。それは法律的には補償の責任はないのではないかと思うのです。ただ道義的な責任は感じられる。しかしその問題については何ら深い、といいますか、ところまで、通貨を今の硬貨に切りかえるという話も、非常に押し詰まった段階でございませんので、まだ検討しているというところでございますので、ミツマタの問題をどうするというところまではっきりきめておりません。検討しておりません。ただ私どもは、重ねて申し上げますが、減らない場合にはこれは減らない。買い上げ量が減らないということになれば補償はしなくてもいいのではないか。減る場合のこととしては十分研究しなければならぬことだと存じます。
  31. 湯山勇

    湯山勇君 今のは一年、二年の問題ではなくて、長期にわたる問題ですから、百円札の準備なら準備ができてしまった暁には減ることは明瞭です。そういうことを考え合せて行くことが一点と、それから寺尾委員が言われましたように、法律によってこの通貨の変更をするということになれば、栽培農家法律によって損害を受け、そうして失業する。そうして作っておった土地は荒廃地になる。法律によってそういう損害を受けるわけですから、当然考えなければならない問題だと思います。それこれを考えてみますと、今こういうものをとやかく言う段階ではなくて、もっと大きく経済六カ年計画における失業者の問題、これなんかも考えて行けば、そう軽々に硬貨にかえるとか何とかという問題は言えない問題だと思いますので、さらに私は慎重な検討を要望して質問を終ります。
  32. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今大蔵省お話を伺いますると、研究中だということでございますから、あえて質問はいたしませんけれども意見だけ一言申し上げておきたいと思うのでございます。  大蔵省の今百円硬貨の鋳造に関する研究の内容を伺いますると、全く通貨政策大蔵省の御都合一辺倒だと思うのでございます。しかし一方におきましてミツマタ栽培というようなことをよく御存じになりますと、そういう無理な論は出てくるはずはないと思うのであります。御承知のようにミツマタの産地というのは大方山村でございまして、全くその他の農業経営に転換のできない地帯が多いのでございます。それを国の奨励だというので無理して栽培をしている所が非常に多いのでございまして、今このミツマタの分量というものが減りますと、あの地方の農家経済というものは全く破綻に瀕することは論を待たないところでございます。われわれは今の状態でもマニラ麻、パルプを使うことをやめまして、もっとミツマタを、政府が奨励した建前から申しましても、多量に買い上げてもらいたい、こういうように思っているやさきに、全く大蔵省の御都合だけのことによりまして百円の硬貨を鋳造しなければならぬというようなことは、国策といたしましても、先ほど田中委員からお話しになりました農業政策を遂行して行く上におきましても、大きな支障ができるこれは問題だと思うのでございます。大蔵省はよろしくただ自分の省内、通貨政策ということだけでなくて、国全般の事柄も十分お考えになると同時に、今の段階におきまして日本の国は農業政策というものをどう推進して行かなければならぬかという重要性どもとくと御考慮下さいまして、今減らないからいいじゃないかと申しましても、きょうの減らないということは、われわれはこれを確信いたしまして地元の人にそう伝えるわけには参りません。減らなければよかろうがということでございますけれども、結局減らなければよかろうがというようなことであっても、この政策がだんだん進められて行きますと、将来はこれは必ず減ってくるに違いないのでございます。しかし最近奨励されまして植えましたミツマタというものは、これからだんだん増産になるのでございます。減るのではないのでございます。だんだんよけいになって参ります。このままの買い上げでさえも農家の方が困るという状態で、減らなければよかろうじゃないかというような議論は、これまた通らないと思うのであります。幸いにしてまだきまったことではない、これからきめようとしているというようなことでありますならば、きょうの陳情の御趣旨も十分にお聞き取り下さいまして、私も愛媛の一人といたしまして、あの地帯の事情も、高知県のミツマタ栽培地帯の事情もよく存じております。でありますから、ぜひとも、きまっておらないならば、ミツマタ買い上げ量は今後さらに増産に伴うて増して行かれるようにお願いしたいと思います。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと簡単に……。
  34. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと待って下さい。いろいろまだ御質問があると思いますが、あとの日程の関係もありますし、きょうは……。
  35. 清澤俊英

    清澤俊英君 簡単に。
  36. 江田三郎

    委員長江田三郎君) では清澤さん。簡単に願います。
  37. 清澤俊英

    清澤俊英君 おそうなって来て、もう質問は済んでおると思いますけれども、大体硬貨にかえなければならぬという理由を一つ……。
  38. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それはさっきあった。
  39. 清澤俊英

    清澤俊英君 だから済んでおると思うけれども、一応聞きたいと思います。(笑声)
  40. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) これは今の印刷局は、先ほど木村業務部長から言いましたように、多少能力があるかもしれませんが、普通一・八時間ですかの超過勤務をつけてそれで製造し得るのは七億枚程度ということで大体一ぱいでございます。年々通貨の量は若干増加いたします。その中で百円札は印刷仕事の量からいたしまして七割を占めておる。非常に大きいわけでございます。それは戦前はこの程度のものは当然に銀貨であった、硬貨であったわけです。たまたま素材その他の関係がございまして、今日までお札で来ておりますが、その発行高と同じくらいの、流通高と同じくらいのものが製造を必要とするわけで、五百億円出て五百億円必要として、これの製造費は現在年々二十二億円くらいかかります。そういうことを毎年繰り返して行きますと、十年たてば二百二十億円かかる。それ以上になります。非常に百円札の印刷にかかる経費が大きい。これに比べたならば、比較論としまして、銀貨にかえた場合には一回だけ製造費がかかりますが、あとは半永久的にそのまま使えます。毎年製造することはありません。そういう点で非常に違います。それから個人が受ける感じとしては、今ではもう百円札の方がいいという人もあるでしょうが、たくさん資金、金を扱う金融機関等における合理化という面からいいますれば、硬貨の方がはるかにまさっておることは、金融機関の方ではその面からは明らかに賛成であるように私は思います。なお印刷局の能力の関係がございますが、発行元を充実するという、つまり予備券を十分に持つという立場からいいましても、お札のままではこれはよほど印刷局を拡充いたしませんとこれを充実さすことができない。これはただ万一の場合における備えでありますから、常時は要りませんけれども、戦前の例からいえば、今はあまりにも少な過ぎる。ところがこれを硬貨に切りかえることによりましてその充実は比較的困難を感ぜずにできるであろう、こういう理由でございます。
  41. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今高橋課長の方から御説明がありましたが、今の御説明の中にもわれわれから聞いておりまして納得の行かない点が多々あるわけでして、たとえば予備券の率を高めなければならぬ。そういうことなら、現在でもミツマタは滞貨しておるのですから、そういうものを買い上げられて、ミツマタの混入率をふやして行けば、札の耐久力というものは延びて行くわけで、それだけ予備券の率というものは私は高まるのではないかと思います。そういうこともしないで、さらにあなたの方でいろいろなことをお考えになっておっても、一体そういうようなことを主計局との関係で膨大な予備券を今後持つことができるのかどうかという問題もありますし、それからミツマタ需要には影響ばないのだということを言われますけれども、その説明を聞いておりましても、最初の時には当面影響がないということを言われ、その次にだれかが質問をいたしますと、相当長期間にわたって影響がないのだと言われ、その次には二十年ぐらいということも言われ、そうかと思うと、絶対に減らぬということは保証できないのだと言われる。さらに現在の百円の十六万貫、千円の十四万貫というようなことから、あなたの言われるような八カ年計画というものからしても、必ずそういうふうにすらすらと行くかどうか。しかも片一方におきましては主計局との関係があって、この予算をどうするかという問題もあるわけで、この問題につきましては、おそらく委員皆さんもお聞きになって御納得が行かぬと思いますが、これは寺尾君が最初申されましたように、いずれ次官なり理財局長なり、責任者出席を得なければ、ちょっとこれ以上は進み得ないと思いますから、この問題を次の委員会で大蔵次官あるいは大蔵大臣等の責任者出席を求めて、この問題をもう一ぺん審議する。ともかく農林委員会としては、このミツマタの現在の需給関係影響を及ぼすがごときととは、これはミツマタ産業が山村の零細な副業だという面から見ても、また今まで政府としても奨励策を講じてとられて、それが今後数年後にほんとうに実を結ぶのだという点から考えましても、需給関係影響を及ぼすことは妥当なことでないということは、皆さんの御意見も一致しているようでございますから、そういう点を十分大蔵省当局考えてもらうことにいたしまして、次の委員会で改めて取り上げるということで、本日はこの程度にしたいと思います。よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではさように取り扱います。   —————————————
  43. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に、北海道における八月水害の件を議題といたします。  この問題については、すでに七月の三日から四日、十日から十三日、二十二日から二十三日、さらに八月に入って二日、十日、十七日及び二十九日から三十日の数次にわたって、北海道は水害がございまして、この中には同一地域において重複して災害をこうむり、不幸な状態に落し込まれておるところもあるようでございまして、この救済方につきまして、いろいろ本委員会にも御陳情が参っておりますが、先般北海道視察に行かれました田中委員から、この問題について発言を求められておりますので、この際御発言を願うことにいたします。
  44. 田中啓一

    ○田中啓一君 今年は非常にオホーツク海の高気圧の力が弱くて、まあ梅雨の前線が北上したという関係でございましょうか、従来はあまり雨量のなかったところに雨が降りまして、北海道を初め東北の北の方に非常に部分的な大雨が降ったのであります。こういう年は今年のような全国的な天候になるわけで、全国的に考えれば非常によいのでありますが、従ってそれだけに部分的にでも受けたところは、まだ従来ないことをやっておりますから、大へん驚いておられ、かつまたなれておらぬところでありますから、この水害対策に非常に窮しておられる状況を私ども見て参ったのであります。それで、これは根本的とそれから応急の対策というものとに分れるでございましょう。根本的には北海道の開発計画というものが、いわゆる総合開発計画で各方面から進み、ことに土地改良あるいは開墾という面は一生懸命やっておられて、相当進んでおるのでありますが、しかしどうしてもあらゆる総合開発の前提というものが、石狩川、天塩川あたりの治水対策を講ずるということがどうしても前提条件になろうと、こう思うのであります。これはひとり農林当局だけでございませんで、まあ建設省関係になり、あるいは北海道の開発局の問題になろうと思いますから、それは多く申し上げません。農林省におきましても、当然その点をやらないと、今応急は応急だけのことでありまして、あの地帯の農業の改良は進み得ないということを御認識願えればよろしいのでございます。応急対策の方はこれまで各方面やっておられると思います。いわゆる災害復旧に当るもの、あるいは営農資金に当るもの、あるいはまあその他進めておられると思いますが、どういう進度になっておるかということと、それから今地元からは、現在の災害復旧のやり方では小さいものがどうも取り上げられないので、何分にも冷害に悩まされてきた地帯に、今度はよそは豊作だが、自分のところだけはひどい水害を受けたので、なかなか農民個々の力なり、あるいは地元の町村の力ではやれないのだ、こういうことを言い、どうしてももうちょっとこまかくめんどうを見てもらえぬかということを言っておりますが、それらに対しての御見解も伺いたいのでありますし、それから結局はそういうところでありますので、まあ石狩川というものは、どうここの治水をやるかということはりっぱに計画が立っておるのでありまして、まさに今度雨の降った地帯も実施に入らんとしておるところなのであります。それはしかしどうしても大工事でありますから、相当の期間を要するわけであります。ところがこのまま放っておくのではまた来年もたんぼに水がつく、何か簡単なものでいいから土手を造りたいが、土手を造るだけの力が地元にない、だから救農土木事業のようなことをやっていただきたい、こういう要望が地元に熱烈なのであります。でありますから、先ほど申しましたように、小さいものは拾えぬと、今の法律はなっておるわけです。際限ないのでありますから、あるところで打切っておることは、みんな承知しておるのでありますが、それと応急の何ですね。根本的な石狩川の治水工事から言えばむだになる点も出てくる、外にりっぱな堤防ができれば、内側に小さな堤防を造ってもむだになるわけなんですが、むだでもこの際やっていただかぬければ、ともかくここ何年という間が持たぬじゃないか、こういうことが現地に行けばだれにも看取できるのでありますから、そういうような点は救農土木事業というようなものでやったらどうだろうか、こういうことを考えるわけです。こういうわけです。でありますから、以上応急対策につきましてもいろいろ申しましたが、これら全体につきまして、一つ御当局の御見解を伺いたいと思うのであります。
  45. 東隆

    ○東隆君 関連質問
  46. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 関連して……。東君。
  47. 東隆

    ○東隆君 ただいま田中さんから北海道の水害についてお話がございました。私は北海道の者として多少つけ加えてお願いを申し上げたい、お聞きを願いたいと、こう思うのであります。北海道から道議会議員その他が参りまして、八月の水害について陳情を申し上げることになっておりますが、まだ参っておりません。そこで多少陳情の趣旨も含めて申し上げたいと、こう思うわけでありますが、御承知のように、今年は北海道は水害が非常に多うございまして、七月中に三回、それから八月中に四回、それから九月になりまして、また一度大きいのが参っております。そういうようなわけで、今日は八月中の災害についてでありますが、これの原因は、先ほど田中さんがお話になった梅雨前線の異常の関係もございますが、直接原因は、やはり北海道の例の第十五号台風によるところの風倒木、これが大きな原因をなしていると思います。それと同時に、北海道の河川がほとんど全部原始河川でありますので、そういう関係から非常に影響が大きく現われて参っているわけであります。そこで、はなはだしいのになりますると、八月中までに六回も五回も水をかぶっている、こういうような町村も出て参っておりますし、一回かかったところは全道の市町村中二百四十六でございますが、そのうち八十七カ町村の実は被害を受けておる、二回が四十一市町村、それから三回が二十三市町村、こんなふうに非常に膨大な範囲にわたっておりまして、地図に色付けをいたしてみますと、根釧の方面ぐらいが無難なぐらいで大部分水害に侵されておる、こういうのが事情であります。そこで私はそういうような事情から、どれくらいの額になっておるかと申しますと、水害の総額が、全体で七月までのものですと百十億になっておりますし、八月中は四十九億、合計百六十億になっておるわけであります。従ってそのうち農業の災害は六十八億で、九月を合わせますと七十億を突破するのじゃないか、こういうような状態になっております。こういうのがこれが現状でありまして、その中においてはわれわれとして非常に考えなければならぬことは、原始河川のために査定その他は非常に実はおくれておるのでありますけれども、その結果、現地で私どもが聞いたところによりますと、りっぱに作物栽培をされたようなところでも、これば川だと、こういうようなことでもって補助の対象にならないようなところがたくさん現われてきておる。それは農林省あるいは財務局あたりから参って、そうして来た者が補助の対象から除いてしまうわけでありまして、そういうような関係で現地の者はとほうにくれておるところがたくさんあります。これは農地の方面においてそういうような状態であります。従って私は今度の水害を中心にして、北海道のこの原始河川を中心にして、それと関連をした農地その他の災害関係を救済をして、抜本的にやるには、どうしても土木関係、あるいは農地関係その他についての特別な法規を必要とするのじゃないか、こういうことをつくづく感じたわけでありまして、そこで私は当面、今日は先ほどの田中さんの応急的な関係で要望された、どういうふうになっているかということにつけ加えて申しますが、まず第一に、今の農地及び農業用施設災害の復旧でありますが、この関係で、先ほど申し上げましたように、非常に大弱りをいたしております。それは原始河川のために施しようがない、こういうような状態になっておるところが非常にたくさんございまして、来年の経営を始めるためにも、もうすでに相当心配をいたしておるわけでありまして、この関係で早急に農地及び農業用施設災害の復旧に対する補助金、あるいは資金の融通、そういうような面をこれは要望いたしておりまするが、その点についての問題を急速にお考えを願いたい。こう思うわけであります。これは先ほど言った根本的には法律を定めて、そうしてやって行かなければなりませんけれども、行政的な措置でもってできるだけこれをやっていただきたい。こう思うわけであります。  その次に、私は今回の問題でもって、いろいろな関係で臨時救農的な施設事業を興していただかなければならぬと思うのです。この問題については、皆様のところにお配りをいたしてあります八月水害復旧に関する要望書、それの七項のところに、二十ページでありますが、そこに書いてありますが、これは非常こ災害が続いて、その前に御承知のように二十八年、九年と連続の凶作に見舞われておりますので、それが加えられて今回の問題が起きておるのでありますが、それで地元負担になるものをできるだけ一つ少くいたしたいのでありますが、災害の関係が非常に多うございまして、それで総事業費として五億三千八百万円、その補助率を二分の一として、国庫から二億六千九百万円、これだけを要望をいたしております。これを一つできるだけお考えを願いたい。こう思うわけであります。  その次に、十一項の「農林業経営資金の融通並びに農業災害資金の償還延長について」、これはもう御承知のように、この関係皆さんも十分おわかりのことだろうと思いますが、経営資金の方面は、これは七月中でありますと、今年度の問題が中心になりますけれども、御承知のように北海道は一毛作で、そうしてもう今年は経営方面その他については、いかんともいたし方がございませんので、明年度の資金について、種苗、肥料、農薬、その他の関係でもって非常にそちらの方面を必要といたしております。これについて安心をさせるように早期に御決定をお願いいたしたいと思うのであります。  その次に、もう一つ問題がありますのは、「農地、農業用施設の過年度災害復旧工事未交付補助金の早期交付について」という項目がございますが、この要望事項は、これは土木関係はもうすでに過年度災害に対して何がしかの金が出ておるようであります。ところが農業方面の災害に関しましては、まだ出ておらないのであります。しかも二十六年度災害から二十七年、二十八年、二十九年と、うち続いている災害関係で、その後で過年度災害でまだ参っておらないものが、農業関係で総額でもって事業費として約二億七千八百万円ほどあります。それの補助金に該当する部分が二億七百万円ほど補助金該当の分があるわけでございますが、それがまだ参っておりません。この中には特に七、八月の災害を受けたものが約一億七千万円ほど該当のものがあります。従ってこれらのものでも早急に農林省の方でお考えを願わなければ、実際を言いますと、非常に毎年やられて大困難にぶつかっておるわけであります。ことにこの中にはどういうのがございますかというと、開拓農家、そういう方面のものがこの中に多数ございまして、そうしてこれはもちろん資本の蓄積もございませんし、その他の関係で、これは路頭に迷うような状態になっております。これは一つ過年度災害復旧事業の残事業は、もうすでに土木の方は出ておるようでありますから、農地の関係その他に関連をいたしましたものについては早急に出していただいて、そうしてこの水害関係の応急的な施設をやって行きたい、こう考えておるのでございますが、これを一つ十分お考えを願いたいと思います。  それから冬季間その他の関係の水害にあった方面のものが大へん困っておりますので、実は救農土木事業を興していただきたいと思うのでありますが、その関係でいろいろ考えられますのは、北海道は冬に非常に雪が降ったり何かして、やりづらい点もたくさんございますけれども仕事種類によってはやる部面が多うございます。ことに客土の事業でありますとか、あるいは農道の建設、暗渠排水、用排水、あるいは区画整理、温水ため池を作るとか、あるいは石ころを除く、砂利を除く仕事であるとか、あるいは堤防の護岸工事であるとか、あるいは牧場の道路をこしらえるとか、そういうような各般の仕事がたくさんございます。しかもそれらはその地域が広範にわたっておりますが、雪のないところもありますし、資力が十分でなくてできないところもありますので、そういう方面について一応計画等もございますから、お考えの上で一つ救農土木事業の実施を早急にきめていただいて、そうして安心をさせていただきたい、こう考えるわけであります。  そのほかに私はまだいろいろ申し上げたいことがございますが、今までの状態から考えてみますと、七月の最初の水害関係を通して、ようやく最近実地調査等に参っておるというような状態であります。私は先般日局地方に参ってその状況にぶつかったのでありますが、そういうようなことで調査その他が非常におくれております。従ってこのおくれていることから、府県でありますと、そうでもないのでありますが、もうある所では零下一度になって薄氷が張ったなんという地帯も北海道にあるのでありまして、そういうようなことを考えますと、私はだいぶお急ぎを願わなければならぬ、こう考えますので、八月の災害等についても、すみやかに一つ御調査を願って、そうして臨機の措置をすみやかに講じていただきたいと、こう考えるわけであります。  さらに資金の融通その他の方面において、私は補助金あるいは資金の融通その他を的確に早期にいたしまするならば、十分に北海道は災害その他には実はこれはなれておりまして、そういう方面について多少いろいろの手を尽すこともできるわけで、しかしおくれてはなかなかなし得ないのでありますから、すみやかに一つ資金のワク、融通の範囲、その他をおきめを願いたい。そうしてできるだけこの救済の仕事をりっぱにやって行けるように一つお願いを申し上げまして、それの経過について今どういうようなお運びになっておりますか、お伺いをする次第であります。
  48. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 田中、東両委員から、北海道の水害、特に八月以降におきまする水害の実情調査の御報告並びに根本的、応急的な対策、緊急に措置すべき事項等について御報告及び御意見をいただきまして拝聴をいたしました。農林省といたしましても、七月までの災害につきましては、過般の国会で皆様方の御尽力によりまして、必要最小限度と認められまする対策措置を講じ得ましたので、引き続いて八月以降発生の、北海道におきましては水害に重点をおきまして調査を進め、道庁関係方面等からもなお報告もいただいておるのでありますが、東委員から計数的なお話しもございました通りの報告を、道庁からは一般的にまた個別対策として詳細要望いただいておるのであります。農作物及び農林水産施設に関しまする被害程度、被害規模等が何としても対策の元でございますので、取り急ぎ調査をいたしておりますが、道庁の報告、統計調査事務所その他の報告を見まして、なお確認を要するものが、最近の災害対策に関しまする一般的な要望等も加えまして、必要な部分が残っておるのも事実でございます。目下のところといたしましては、農地、林野、水産の施設被害は約四億円弱と押えておりますが、九月の下旬に、この農林省としましての対策基準には査定を終るように手配中で、今やっておるわけであります。農作物被害の方につきましては、これは地元からは、道庁からは水稲で約十億円前後の被害、麦、バレイショ、菜種、その他飼料作物まで加えまして、これも十一、二億の被害を受けておりますが、この関係におきまして、被害面積におきましても、減収量におきましても、私どもの直接の調査では、そのまま申し上げますと、その二割か、三割ぐらいじゃないかという数字が出まして、実は本省としては多少困惑をいたしまして、一方は過大、一方は過小のうらみがあるかもしれませんので、地区をさらに詳細に町村別にいただいて、当方からもさらに詳細な、少くとも対策の基礎になる程度の資料は固めるように再度指令中でございます。道庁から、先ほど東委員からの二回、三回の被害個所の町村等、お望みになりました個所につきましても、何村でどれくらいというのを実はまだ正式にいただいておりませんので、私どもから過般国会議員の方も見えましたが、道庁の方にもお会いいたしまして、早く道庁としての調査も出して下さるようにお願いをしておるので、それをやっておるようなわけであります。しかしながら、本年全国的な一般的な豊作傾向がほぼ確実になりつつありますが、それに反しまして、西日本等を中心にします早害のほかに、この北海道の水害が過般生じまして、特に旭川に近いあたりの地区がだいぶんいためられて、この地区はかなり小さく、かつ広範囲に散在しておるようでございまして、おおむね二年、三年前からの冷害で苦しめられたところが、豊作の年に水害にいためつけられまして、農家の方々に対しましても、まことにお気の毒でもありますし、国家的にもまことに遺憾なことだと思いまして、これに対する対策としましては、整備を、月末をおおむね期限として急ぎまする半面、北海道からの御要望も体しまして、よりより研究中であるのであります。対策は特に北海道は北でございますから、冬季等のことも考え、単作地帯等のことも考えまして、可能ならば急ぐべきものという立場に立ちまして、大蔵省とも折衝を要するものは、その概況を話しまして、こういうことについて対策を講じたいがという話をいたしておるのであります。また農林省自身において、既存の制度、既存の法律をそのまま……、制度、予算等をそのまま運用すれば、ある程度の対策を講じ得るものでございますので、これについては特に急ぐように準備中でございます。結論的に申し上げまして、まず第一に農林省が措置しよう、他官庁に約束を、折衝をする用がないものは特に急げ、こういう建前からしまして、前国会で御審議、可決を願いました自作農維持資金の融通、開拓者営農資金の償還猶予、被害林業者に対する伐採調整資金の特別融資を検討いたしましたるところ、要望額あるいは措置すべき額との間に差がある場合もあるかもしれぬが、ある程度講じ得るじゃないか、こういう建前で研究の具体化をしておるのでございます。また、前国会で御尽力を願いまして、施設関係及び金融関係としまして、農林災害対策の暫定措置の法律を通していただきましたので、従来ならば被害事故ごとに地域をまた区切って、単行法を出すところを、政令の指定によりまして政府部内において措置できる、施設も、災害復旧事業に関しまする国庫補助の点につきまして、また罹災者の農林業者に対しまする資金の融通につきましての措置をとることができることに幸いなりましたので、その関係事項ば六、七月水害につきまして、北海道につきまして国会の開会中にこの程度で措置をしたらどうかということで処理することをいたしましたことともにらみ合せまして、それに照応しまして手続きをとりたい、なお連続被害の地域であるし、先ほど田中委員、東委員からも、北海道のこの地帯は根本的には基本対策をさらに強化して、一歩でも着手を要する原始河川のこともかね合した方がいい、救農土木もかね合してしたらいいという御意見もありましたが、それらともかね合せまして、その措置を予備費要求の形でとる必要があるのではないかとも考えておりますが、まとめまして申し上げまするというと、他省と、特に大蔵省と折衝を要するものといたしましては、農地、農業用施設の災害復旧、建設工事の災害復旧、開拓者住宅の災害復旧、林業関係、公共事業費予算の増額、罹災開拓者救済事業の実施、これらにつきまして予備費要求をいたしたいと思って、予算化の段階において原局とおおむねの考えをまず取りまとめて、基礎資料を得てから最終案にするということでいたしておる次第でございます。  営農資金の融通及び災害資金の償還等につきましてのことは、これは予算的な予備費要求を要しませんで、規定予算の中で、融資ワクさえとれればやっていける見通しでございますので、特にこれも、これはやさしい分もあるかと思いますので、その措置を経済局においてとっておるのでございます。また冬季の賃金収入それ自身としても、将来の災害防除対策ということばかりでなしに必要だという御意見もある半面、米麦の安売りの必要も一部にはあるではないかという御意見もございますので、これについて多年研究のことでございますので、そういう罹災地には増配は慣例にもなっておりますからいたします。代金の代約ならばすぐ措置もとれますので、まずそれをやることが第一かという考えも持っておりますが、安売りをいたします場合には、御承知通り法律が要りますので、これは次の臨時国会等におきまして、特に当農林委員会の皆様方に御尽力を願いまして、その措置についてお打ち合せを申し上げたいと思っておるわけでございます。そのうちに特に二点、田中委員からは石狩川と天塩川の総合開発などの点について、もっと抜本的に着手すべきでないかということの御意見がございましたが、北海道におきましては、北海道開発庁開発局の手において実施はいたされておりますが、もちろん農林省の予算にも計上されておる仕事でもございますので、この点については深く認識をいたしておるつもりでございまして、石狩川においては若干の着手、いわんや計画はすぐ実行できる、着手の方法があるが、天塩川はまだそこまで至っておらぬということが。ございますので、これらについて少しでも着手を早くし得るように、部分的に将来計画に資するところば、既存の予算で何かできないかを今農地局でやらせておるのであります。またつい先日総合開発の見地から、土地改良、河川その他また根幹の工事と支川工事との進捗度の度合が適当でないために部分効果も発揮し得るところを発揮できないのは、経済企画庁を一つ立てて、大蔵省にももう少し理解していただいて、効果を発生することを早くするように、各工事がそろって効果を得るようにする措置を閣議決定いたしましたので、特に石狩川についてば、その分の応用がきかないかという建前でただいま研究をいたしておるのであります。東委員からの風倒木が大量生じましたことの影響があり、原始河川等の現地の実情があって、なかなか本質的に問題があるのだという点につきましてはお話通りでございまして、北海道開発をこの面に向ける必要があると思いますが、すぐ本年この災害対策でどうするかということにつきまして、これはすぐ具体案が浮ばないのでありますが、御一案としまして臨時救農事業で土堤でも作れという話があり、これは先ほど申しましたように、賃金収入、こういう点もあるようでございますが、そういう点で救農土木事業の研究過程の段階のことを申しますと、なかなかむずかしいのじゃないか。お叱りを受けるかもしれぬが、むずかしいのじゃないかという気がやや関係者の間に起きておるようであります。と申しますのは、まあ一般的にも豊作気味で、災害が部分的にひどくても何とかもう少し地方庁か、農家自身の共同の力によってやれぬかという意見が、また本年は予備費が非常に少ないのでむずかしいのじゃないか、こういうこともありますが、私どもとしましては、これを、第一には本年度から小団地開発の事業の予算をある程度計上させていただきましたので、現在公共事業が行われがたい小団地を対象としまして、この運用によりまして何かできないかというのでありますが、災害の半ばにおきまして予算施行を急ぐこともございまして、北海道については二十七市町村を実は指定をいたしましたので、道庁はこの該当地域を除いてどうだということに、まだ意見をいただいておりませんので、この点について研究したいと思いますが、この関係の地元負担の六割につきましては、政府融資、公庫融資を考えたいと思っておるのであります。また下半期の北海道の継続国有林野事業、労務者雇用につきましては、重点をこの方面にも施行して被害地の災害対策にすることがかなりできるということの研究をいたしておるのでございます。それだけでは十分でないという資料をまとめ得ましたならば、これを予備金を要求したいと思っておるわけであります。過年度災害の補助金の交付を早期交付せよ、建設省関係の土木関係はすでに出したというお話がございましたが、多少の時間的行き違いがあったかと思いますが、三十年度の農業土木の過年災の補助金もおおむね実は農林省も割当て済みでございます。ただ先月の当農林委員会の決議申し入れをいただきましたように、一部の保留がしてあるわけであります。この保留につきましては、大蔵省は災害対策、災害が将来生じた場合にはそれにやり繰りして使ってくれないだろうかという意見が、まあ大して強くもありませんが、来ました。われわれは新規事業及び団体経営事業、県営事業以下の小さい経営の事業につきまして、災害対策でない使い方をいたしたい。こういうことで、月末ないしは来月初旬を目途に全部決定をいたす予定で、一部の保留がございますが、その本来の使い方の考えをどうするか、またその分がまだ渡っていないじゃないか、こういうことがありますれば、そのような考えで保留をいたしておるものでございます。大体今進行いたしておりまするものについての対策は、おおむね以上のようなふうに考えておるのでありますが、なおほかに道庁等を中心にいたしまして、さらに広範囲な対策の御要望がございますが、これにつきましても、農林省としてやや消極的な事項がございますが、それもなお引き続いて研究をいたしておる次第であります。
  49. 東隆

    ○東隆君 今かなり詳細にお答えを願ったわけなんでありますが、もう一つ私はお伺いをいたしたいのであります。二十九年度、それから前の年も実は災害が起きたために、例のすでに割り当てたものの削減をして吸い上げて、そうしてそれでもって財源をこしらえて災害復旧に充てる、そういうやり方をまた今年もおやりになるような気配があるわけで、私は北海道に関する限り、すでに割り当てたものは相当準備を進めておりますし、そこに十分にまた関係方面が、災害関係の方が非常に多うございますから、従って賃金をとることもできてるわけで、そういうような関係でそこの仕事を改修をしたり、継続事業にされるようなことをしないで、そうして災害関係には別途に一つお出しを願いたい、かように考えるわけであります。ことに農業方面のことについては、これを一つ大きく考えていただかなければ、せっかく割り当てを受け、仕事をやっておるものが、それを中止しなければならない、そんなような関係がございますから、その辺はどういうふうになっておりますか。私が聞くところによると、今年当然決定をしたものが継続事業になるのだ、こんなような事件もあるようで、だからそういうことはないことを希望いたしておきます。その辺のことをお伺いいたします。
  50. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと今のに関連して、さっき保留分のことを言われたのだが、どうもはっきりしないのですが、保留分については、当委員会としては先だっての委員会で、そういうことはけしからぬ、こういうことをはっきりやっておるわけで、あなたの今のでは、保留分というものを大蔵省の言うように認めたということなのか、あるいは当委員会の申し入れのようにああいうことは認めない、こういうことなのか、その点をはっきりしてもらうこと。それからさっき自作農維持資金の問題がありましたが、どうも自作農維持資金についてその後公庫の方で業腰方法書を作ってわられるようですが、その案を見るというと、この法律の趣旨と違った、たとえば担保の問題についても、年限の問題についても違ったような業務方法書を作られようとしているのじゃないか、そういうことをわれわれ聞くのですが、もうすでに自作農維持資金を今お出しになるようなことですから、その点はどうなっているのか、法律の趣旨と違ってもいいのかどうか、それはどうですか。
  51. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) まず第一に東委員のことでございますが、過年災の残事業額の見積り額のことにつきましてのことと思います。これは大蔵省農林省と多少違うと聞いておりますが、大蔵省も一度割り当てたものを減らして額を圧縮したり、それをまた災害対策の新しい方に使おうということを目的にしているのではないと思いますが、しかし査定額についてさらに実査その他をいたしまするというと、減るではないかという意見があることは事実であります。しかし災害というのはまあ古くなりますと、額の見積りその他を勝手に変えたり、またどれが最終的に……、神様が見た場合に正確だったと言えないものも若干残るかと思います。農林省はその態度でなしに、予算編成のつど、これをきめまして、両者折衝して話のつくところできめまして、三十年予算までやって来まして、本年はその三十年度予算の施行をしていることと思うのであります。年々そういうことをやっているのではいけないので、他方地元の要求した農林省の査定、大蔵省の査定というものも、今後においてはもう当然もっと留意してやるべきと思いますが、過年災の方について、それほどの査定上残事業量の差を今さらつけるのはおかしいではないか、どういうふうに災害復旧予算をつけるとか、こういう態度になりましては、継続的なものでない場合にもやはり継続費的な性質は持っておりますが、厳密な意味でそうでないので、研究問題もあろうと思いますが、農林省大蔵省とは違った態度で進みたいと思っておる。御迷惑をおかけしておる分があるかと思いますが、そういうことがないように留意してよく折衝をいたしたいと思います。  江田委員長の第一の御質問に対しましては、結論的に申しますと、過般の申し入れをいただきましたのと考え農林省は同じでございます。従って大蔵省の申し入れに従いました保留措置をとったことはございません。御説明申しました意味は、ただいまの期日においての保留額は若干ありまして、これは額を申しましてもけっこうですが、大蔵省の指示でないということを申し上げますと、大蔵省の要望の率より多く保留しておる、これは新規事業をいかにつけるか、いかなる順位で重点をつけるか、県営、団体営をどうするかにつきまして例を申しますと……。
  52. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 例まではいいです。
  53. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 従いまして、河野大臣が帰りましたら合わせて決定、こういう態度でございます。第二点の自作農維持金融は、実はきのう省議をやりまして、その案があるということを聞きましたので、折柄二、三の首脳部が在外中、またきのう休んでおりましたのでありますが、自作農創設維持金融の資金融通法の国会審議の経過もございますので、法案を修正された精神もございまするので、その精神に即して制度を運用するのが当然でごさいまするから、公庫案等において、あるいは金融をする立場において一つの意見がございましょうが、これはその意見意見としてよく聞くことにしまして、公庫の業務規定による運用をするわけでございますから、例を申し上げますると、必ず農地を担保にするということでなしに、原則、例外の点も、よくどっちが原則、例外であるかも考えまして、国会審議に即したものを至急きめさせ、農林省としてもきめ、公庫としてもきめさせてから実施することに決定をいたしました。   —————————————
  54. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお、この際やはり災害の問題につきまして、西日本の旱魃の件につきまして、森崎委員から発言を求められております。
  55. 森崎隆

    森崎隆君 ことしは大体豊作だということの回答がございまして、この事自体は非常に国家のために慶祝に存ずる次第でございまするが、その背後には旱魃に非常に苦しんでおる農民が、特に西日本を中心にしまして多数おりますることは御存じの通りであります。特に東海、近畿、中国、四国、その他の地方におきましては、この旱魃による被害は非常に甚大でございまして、全体で十四万町歩になんなんとする大きな面積がほとんどやられておるような状況でございます。旱天の日数から考えましても、従来に例のない一月前後、二十八、九日ぐらいがおおむねどの地区でも連続旱天でございまして、特に鳥取、島根等におきましては、四十数日という旱天続きがあったのでございます。これに対しまして、まあいろいろ農家を中心にいたしまして、市町村、都道府県等におきましては、やっきになりまして、この被害を最小限度に食いとめるための努力が七月、八月を通してなされてきたのでございまするが、しかし御存じの通り、こういうような問題につきましては、とても農家個人の力、市町村、府県等の地方自治体の力だけではどうにもなし得ないものが相当あるわけでございます。どうしても国家の力によらなければならないのが実情なのでございます。特にたとえば兵庫とか、あるいはまた香川といったように緊急措置、またその他の面から考えましても一億何千万という経費の問題もありまするし、あるいは減収見込みの数量も、現在私の見たところ十四県程度の統計を見ましても、すでに百万石近くになっておるという、非常にまあ大きな数量が出ておるわけでございます。これは平常における場合とまた違った一つの旱害から、豊作であるがゆえにこの旱害を受けた農家自体としましてはまさに深刻な状態にあると、これは言わなければならぬと思うのであります。こういうような関係から、さっきも申しましたように、地方公共団体では非常な全力をふるいまして、最小限度に被害を食いとめる努力は傾注してきましたが、国の方でこれに対するどのようなお考えを持っておられますか、どうしても早期に予備費の支出とか、あるいは農林漁業関係の融資の緊急措置の問題、あるいはまた各府県で、たとえば今日続行しているところのいろいろの施設、事業等を早く完了するのみならず、早急に恒久的な対策事業をお考えいただきまして、早くこれを新規事業としてやっていただきたい、こういう要望が必ず出るのではないかと私考える次第でございます。各府県から、すでに市町村長、あるいは府県知事を通して本庁にも何回かの陳情、またデーターの資料提出等、いろいろなものがなされておるだろうと存じますが、今日まで本庁においていろいろこれに対する対策も考えておられるだろうと存じますが、取りあえず、この委員会で現段階における政府のお考え、現在の研究の過程、こういうことにつきましてどのように考え、どのように措置される方途を考えておられるのか、これを一つお伺いしたい次第でございます。
  56. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 旱害につきましても、ひでりに不作なしというようなことわざもございますが、反面局地的に非常にひどい茨城、三重、滋賀、岡山、徳島、鳥取、兵庫方面とか、その他岐阜、新潟等に相当発生をいたしておりますが、これは私がこの基礎資料、対策の基礎になる点で、水害で申しましたような意味で簡単に基礎資料を申しますと、農林省調査の方がばかにこの面積多くて、府県調査がばかに小さく今度は出るので、それではだめではないかというので、さらに詳細私自身でも研究いたしましたところ、府県によりましては、農林省に向って全く報告をいたしでおらぬところがかなりありますので、これに向って実はおかしな話ですが、責任と思いまして調査及び報告を督促中でございます。ひどいところは森崎委員のおっしゃいましたように、当然に水稲を救う努力、工業用水をとめても水稲をある程度救う努力をしたい、畑作を捨てても水稲だけは何とか救おうとする努力をしたい。その反面被害がひどくなっているところもある。両総用水などは一部のあの用水の部分効果を発揮して非常にうまくいっておる。豊作で作柄のでき工合は非常によい、増産効果も出ておるなど調べておるのでございますが、一時の心配よりは、すなわち六、七月の心配よりは、その後雨が若干降りまして被害が緩和された点がございまして、地域ば若干集中されるので、対策すべき府県などはある程度しぼれるのではないかという見当でおるわけであります。すでに九月半ばに近い時期でございますので、現地では揚水ポンプその他の施設の応急対策を講ぜられた所もございますが、これにつきましては、取りあえず農村漁業金融公庫から融資をさせる手を打っておるのでございます。また旱害地には種子の問題、かなり二毛作地帯は多いのですが、やはり収入の問題、現金収入の問題あるいは場所によりまして飯米の問題等の生じまするところ、相当の被害があります地域につきましては水害と同様に講じようと思っておるのであります。ただ水害でもお話が出ましたが、旱害につきましては応急潅漑対策の財政措置が要しまするもので予備金要求をして処置したいと思っておるもののほかに、特に畑潅の恒久施設助成拡充の御要望が多いわけであります。この問題につきましては、現在すでに計上してある本年度予算の配賦などを重点化して使うことは、大蔵省の言う意味の災害対策に補充分々回すという意味でなしに、可能であり、必要ではないかと思っておりますが、もともとこの予算は細いのでありますので、やはり畑潅の効果、必要性が特に立証されております本年において拡充措置をとるように、むしろいい時期だ、禍いを転じて福となす時期だ、こういう意味で立案せしてもらっておるところでございます。農業共済基金の早期払いのお話がございますが、災害のつど、よくお話が出ますように、いろいろ概算払いその他の方法についてお話が出まするが、茨城等の陸稲などについて見ますというと、この概算払いは可能かと思っておるのであります。しかし一面農業共済制度の運営等につきまして種々批判を受けておることもあり、また手続が将来早期的な支払いを適法な形でやりましても、なかなかあとで繁雑になって問題が残る点が多々ございますので、支払い方法については慎重を期したいかと思っておるのでございます。再保険金を支払いますことについての現行法上の義務は責任はないかと今存じておりますが、その反面、県連以下の団体の支払いについては手当を早くするように、これは農業保険課において手配をいたしておるところでございます。どれだけの額を行うべきかの決定がなされましたならば、すぐできる措置をとっておるわけで、事前措置をとっておるわけでございます。
  57. 東隆

    ○東隆君 私は先ほどの何で、実は私の言ったことを官房長は違った御返事をされたようでありますが、私は本予算で決定した公共事業費その他のもので、災害が起きますと、一割削減というふうな形でもって削減をされるわけであります。昨年は削減されました。従って削減をされて、災害の方面にそれを財源にされるのじゃないかと、こう思いますが、そういう措置をされておるか。で、今年の予算は御承知のように暫定予算がありまして、そして本予算がきまったのが非常におそいわけであります。北海道のようなところは、実は冬季間非常に困難な仕事でありますが、やって行くために、これを当てにしておるわけであります。それが未着手あるいはいろいろな理由でもって削減の中に入れられ、あるいは事業を繰り越しにされる、こんなようなことが非常に多くなるおそれがありますし、またそういうようなことを聞いておりますので、そこでそういうようなことがあっては非常に困るから、そこで災害を受けておるところなんかについては、そういう削減をしないで、そうして災害復旧費を一つ多く出していただきたい、こういうことなんであります。
  58. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 昨年は前内閣の手において、予算編成直後から計画的な行政府内の措置としまして、節約を計画的にやった影響のことをおっしゃっているかと思います。私は目下問題になっておるのは、過般決議、申し入れを受けました本年度予算の大蔵省のやんわりとした要望に即して申し上げることが一つと、それから過年災の事業量の見積り額査定をさらに進めて行った場合に、残事業量をどれだけ見るかということで、予算編成時に両省が見解の差を来たして争っておる問題がそのつどあった。今年はどうするかということについて申し上げたのでございますが、本年度予算につきまして、前年度予算において行われたような計画的な行政府内のある意味の天引き節約、これを何に使うか、補正予算の際に使うのか、予備費のかわりに何か予備費が少いから災害対策に使う、その他にも使う。こういうような予定を、ある特定の目的を持ち、また一般的な目的をもって行うことにつきましては、河野農相が渡欧いたされます前に財政当局からは話がありましたが、農林省としては反対である旨を申し上げまして、閣議で論議がありました際に大臣も強く主張されて、多くの閣僚も賛成されまして、これはいたさないということになりました。もし補正予算をかりに将来要するということがあれば、それとは別に補正予算を組むのである。しかもその時期たるや、おそらくは見通しから申しまして年度のかなりおそく、そういう問題が起るならば生ずるのであるので、その前に本年度予算を施行する時期に当りますから、そういうことは起らない、こういう建前で閣議は決定になりました。もし各省で可能ならば、何かそういうことも考えてくれないかという要望が来たことが、当委員会の決議、申し入れの基礎の材料、情報ないしは材料になったかと思っております。従いまして、目下のところは少くとも農林事務当局としましては、それらの点が東委員のおっしゃるような態度で私どもは進まない。今後新しく現在の予算をどう使うかという点において、十カ所あるものをどこの十カ所にするか、そういう点において運用することは、これは別のことである、こういうふうに思っているわけでございます。
  59. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今の森崎委員への答弁の中で、ちょっと関連して聞いておきますが、この際旱魃に対する恒久策を考える。災いを転じて福となすというようなことを言われましたが、そのときに畑潅のことを盛んに言われますが、従来そういう地帯の旱魃地帯において、老朽溜池の復旧ということが相当問題になって、農地局の方でも老朽溜池の復旧に関して別途立法措置が必要なのじゃないか、こういう意見もありましたが、そういうことは、今度はどうなりますか、問題になっていますか。
  60. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) ただいま例として申し上げたのですが、そのことにつきましては、財務当局もかなり賛成しておることでございますので、具体化について、場合によれば法案提出をも考究中であります。
  61. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは午前中の委員会はこれで休憩いたします。午後は二時から開会いたします。    午後零時五十九分休憩    ————・————    午後二時十六分開会
  62. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは、ただいまから委員会を再開いたします。  最初に、コカコーラの輸入の件を議題にいたします。  この問題につきまして田中委員から発言が求められておりますので、この際御発言を願います。
  63. 田中啓一

    ○田中啓一君 清涼飲料といいますか、あるいはジュースと称するもの、そういったふうのものの輸入政策あるいは内地における生産というようなものは農林省の所管であろうと、こう思うのでございますが、コカコーラの輸入の許可申請というのがまあだいぶ前からあったように承知しておるのでありますが、それに対して政府において輸入をある程度認めようというような方針をお立てになったというようなふうにもお伺いしたし、どの段階にあるのか、まあはっきりしないようなふうにも伺うのでありますが、この従来の経緯並びに現在の段階につきましてまずお聞きしたいと思います。
  64. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 田中委員の御発言でありますが、清涼飲料品につきましての所管は御説の通り農林省であります。ただ輸出入の関係におきまして、どれだけのものを輸入するかという問題につきまして、たとえば具体的に申し上げますれば、ある一つの飲料水の原料品につきまして、どれだけの輸入をし、従ってそれについて現実にどれだけ材料を割り当てるかという問題につきましては、これは通産省でありますけれども、もちろん飲料水自体につきましての国内の問題につきましてば農林省であります。従いまして、いわゆるただいま御発言がありましたコカコーラの原液の輸入の問題につきましても、これは御承知通りに、本国会におきましても、またいろいろな方面から現在まで御論議がございまして、今日までは一応輸入はいたさないというような方針で参ったと思うのであります。ただ最近におきまして、現在はいわゆる軍納品と申しますか、無為替で進駐軍の用に直接供するものだけは、これは例外として輸入いたしておりまするが、それ以外のものにつきましては、いわゆる輸入禁止の状態に相なっておるのでありまするが、本問題自体につきまして、いろいろの方面から、あるいは輸入して差しつかえない、またこれは反面非常に国内的な問題でもあるので、輸入は厳に慣しむべきであるというようないろいろの意見があるのであります。同時に最近に至りまして、コカコーラの本社が、いわゆる軍納品以外に何と申しまするか、日本にある外人を主体として販売を認める限りにおきましては、いわゆるアメリカのコカコーラの販売権、これはアメリカの本社が日本にあります関係の会社に、アメリカといたしましては独占的にやっておるのでありまするが、その販売権を日本側に譲渡してもよろしい、こういうような話がありまして、そういうような観点から、それはもちろんドル関係が伴ってくるのでありまするが、そういうような関係から、最近に至りまして、ぜひコカコーラの輸入をある程度認めてほしいというような御論議があるのであります。これらにつきましては、私どもの方で慎重に目下検討いたしておる次第であります。
  65. 田中啓一

    ○田中啓一君 その軍納の問題なんですが、今度輸入を許可すれば、従来無為替で入っておりました軍納品ばどういうふうになるのでございましょうか、つまり今度の輸入、今度といいますか、今後アメリカのコカコーラの製造元と特約をする日本の会社というものが軍納品をやるようになるのでありますか、それは依然として従来通り何か機関があって、無為替輸入をやって軍には納める、それとは別に今ちょっとお話も出たかと思いますが、日本にいる外人向きのコカコーラを特約会社が輸入を許可してもらってやると、結局日本の国内で消費されておったコカコーラの分量が輸入為替の分だけふえる、こういうことになるのでありますか、その辺の事情をお伺いしたいと思います。
  66. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 現在は軍納品につきましては、ただいまお話通り無為替で持って参りまして、コカコーラの会社自体が日本におきましてそれを製造いたしまして軍に納めておるのでありまするが、今後いわゆる外人等を中心といたしまして、ある程度の市販というものを許してもらえれば、軍納も含めて日本の商社にその営業権と申しまするか、製造権と申しまするか、そういうような販売権を譲渡する、こういうふうな事情に相なっておるわけでございます。
  67. 田中啓一

    ○田中啓一君 そうしますと、仮に五万ドルとか、十万ドルとかというような外貨割当をなされば、それを元にしたものの中から軍納品も出る、こういう勘定になるわけですか。
  68. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 販売権自体といたしましては、もちろん日本の商社にこれを譲り渡すのでありまするが、ただいまの五万トンでありますとか、十万トンであるとかというようなものは、新たに追加をしてほしいという数量でありまして、数量自体といたしましては、軍納のものは別ということに相なるわけであります。
  69. 田中啓一

    ○田中啓一君 そうすると、結局日本におる外人を目的と言ったっで、一応物を販売する消費対象、あるいは需要の調査というようなことをやります場合には、どういう向きがこれを消費してくれるだろうか、余り経験のない者はなかなか食いつきませんから、これまでコカコーラを飲んだことがあって、かつコカコーラにかつえている向きは、これは外人だろう。こういうことで、外人の消費がこのくらいはあるだろうというような目当てはたれでもつけることだと思うのですね。ですから従来無為替輸入の分と、それから新しく外貨を割り当てようとするものと合わせたものが日本で消費されるようになるわけで、どうもその外貨割当の分は、今のようにここらを目当てにしているというだけのことで、売り出したら別段外人以外に買ってならぬということもなければ、たれでも買って飲むということにはなるだろうと思うのですが、その辺はどういう大体御方針でおられますか。
  70. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) ただいまの御指摘の点が、私どもといたしまして目下検討いたしておる一つの重要な点であるのでありまして、実は私どもといたしましては、主として外人、できることなら全部日本にいる外人あるいは日本に寄港する船舶の職員、こういうような者に実は限定いたしたい、かように考えておるのでありまするが、その方法といたしまして、ただいまお話のようにこれが一般の市場に多く出回って、内地のいわゆる清涼飲料業というものに重大なる、何と申しまするか、障害を与えるというようなことがあるかないかというような点について今検討いたしているのであります。私どもといたしまして、一応外人専用のホテルその他外人が主として出入りいたしまするいろいろないわゆる施設、こういうものに限定をいたしまして、その販売を許可の条件といたしましたならばいかがなものであろうかというような点も実は検討いたしておるのでございます。ただ御質問のような憂いがありまするので、慎重に検討いたしておる次第でございます。
  71. 田中啓一

    ○田中啓一君 そこで輸入をすれば、そうやっておよそ向きを考えて、また研究の結果あるいは外貨割当の許可条件にしようとも考えるというお話でございますが、このコカコーラというものの成分ですね、私は飲んだことがないのです。それからまたあんまり詳しく知らぬのでありますが、名前がコカコーラでありますから、何かカフェインの類のものが入っておるのではなかろうかと思うのです。しかしそれは私は当てずっぽうで、字からそう思うだけのことでありますから、これはどういう成分のものか、つまり大へんいいものか、何かまたコカというような字がつくと、大へん神経過敏になるわけなんですがね。厚生省の方の所管事項になるかもしれませんが、しかし農林省の方もこれは一般大衆もちっとは飲むかもしれぬと思われるものを輸入する以上は、成分等ももちろん御承知だろうと思うのです。栄養関係なり、衛生関係なり、どういうことになるものであるか、それを一つこの辺で御説明願いたいと思います。
  72. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) あるいは詳しいことは専門家からお答えした方がよろしいかと思いますけれども、私が承知いたしておりまする範囲内でお答えいたしますれば、主として砂糖分が多いようでございます。それに若干カフェインが入っております。それから燐酸分が少々入っております。
  73. 田中啓一

    ○田中啓一君 まあカフェインだろうと私も実は思っておったのですが、コーヒーにしましても、お茶にしましても、カフェインの入っておるものを平生飲んでおるわけであります。だからコーヒーを輸入しておる以上、カフェインが入っておるものを輸入しちゃならぬという理屈は立たぬと思うのでありますが、しかしまあカフェインの、どの程度入っておるか存じませんが、入っておる量ですね。これはあまり多いものをどんどん飲むことは好ましいことじゃないのですね。コーヒーでも、しまいには中毒的な状態になるようなものでありまして、そういう点も私はお考え願わなきゃいかぬのじゃないか。ハイカラな名前がつくと、ずいぶん飛びつく癖のある日本人なんです。でありますから、これはまあ一つのそういった厚生省的の見地からの話であります。  もう一つ非常に私重大な関係があると思うのは、日本でぼつぼつ出かかって参りました果汁との関係なんですね。これは飲ませたいものなんです。で、現在あります果汁というものが、それほど栄養的見地からいって役に立つか立たないか、現状のことは私よく存じませんが、野菜、果物というものの摂取量が日本人は足らぬといい、それからまた野菜、果物を作る方から申しますれば、どうしてもこれは何か加工品で、しかも野菜、果物をなまで食ったと同じような価値のあるものを加工して作って、そうしてそれを飲んだり食べたりしてもらう。そうして豊凶の調節をして行く、そうでなくとも、百姓の作り方がなかなか自主的な統制がとれなくて、そうして今年のようにキャベツが捨てるほど安くなってしまう、キャベツは果汁になるかどうか知りませんですよ。一例なんであります。でありますからどうしても果物、野菜というものは、そういった生鮮な野菜、果物と同じような価値のある加工品を作って食べてもらわなければ、消費者からいってもいかぬし、生産者からいってもいかぬじゃないか。しかしまあ一方、農産物の価格の安定ということについて、今非常に根本的大規模に御心配をしていらっしゃる農林省としまして、その方へ向って行くべき果汁というものと、これは相当関係があるんじゃないか。でありますから、コカコーラには限らず、政府の方へどんなものの輸入許可申請が出ておるか存じませんが、外国には果汁も相当いろいろないいものがあるようであります。また果汁といわないでコカコーラに似たようなものだとてあり得ることだと私は思うのです。例の何といいますか、ミカン水に似たような、今どこにでもあります黄色のバヤリース・ジュースというのですか、あれなども一時は輸入品であったやつで、一応格好だけでも国産品になったというようなことで、そういうふうに一生懸命向けておられたと思われるのであります。そういう点をよほど御考慮を願わなければならず、今までの局長の御答弁の中にも、そういうことが現われてきたのでありますが、これとの関係をもう少し明確に一つ御答弁を願い、かつまた、そういった日本の果汁の育成についての御意見もあればお伺いいたしたいと思うわけであります。
  74. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) ただいま田中委員よりコカコーラの輸入に関しまして、特に日本の農産物、これとの関係におきまして御意見を承わったのでありますが、最もこれに関係のありますのは、いわゆるミカンを原料にいたしましたジュースじゃないかと思うのであります。御承知のように最近ミカンは年々増産の傾向にあるのでありまして、この増産の態勢を伸ばしますことは、わが国の輸出自体を伸ばすばかりでなしに、農家経営にとりましても、きわめて重要なことでありますので、私ども今後ともミカンの生産増加につきましては、できるだけ努力をいたしたい、かように考えておるのであります。同時に、ただいまお話がありましたように、豊凶の差、その他国内におきまして売れ行き不振の場合に、これを原料として一時貯蔵し、かつそれを一般消費に回す、この点はまことにミカンの生産を増加する上には必要なことじゃないだろうか、かように同じような考えを持っておるのであります。従いまして、私どもといたしましては、こういう国内産業に影響を及ぼすようなことにつきましては、できるだけこれは避けたいというように考えておるのでありまするが、ただいまコカコーラの問題につきましては、先ほどもお話し申し上げました通り、例の外貨の問題、特に販売権を日本側に譲り渡すというようなこともありまするし、しかしながら、他方、これがただいま申し上げましたように、内地の特にミカンのジュースとの関係におきまして障害になるということになりますと、これは問題でありますので、この点につきましては、販売の方法にりきまして、先ほど申し上げましたような規制を加えると同時に、コカコーラの原液輸入数量が非常に問題じゃなかろうかと思うのであります。これを相当多量に輸入するということになりますわば、自然とこれが一般市販というものに大量的にしみ出てくるというようなことも考えられまするので、どの辺の数量にしぼって、数量をしぼると同時に、販売方法その他の条件をどういうふうにしぼったならば、生鮮飲料全体、特に、ミカンのジュース等の関係におきまして弊害が発生するかどうかという点につきまして、二つの点を中心として考慮いたしておる次第でございます。
  75. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 外務大臣が見えましたから、そちらの方の議題に変りたいと思いますが、今の問題まだありますか。
  76. 田中啓一

    ○田中啓一君 それでは中止したらどうですか。   —————————————
  77. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それじゃ一時今の問題はちょっと預かりまして、外務大臣がお見えになりましたから、インドネシアにおける日本漁船抑留の件と韓国抑留船員及び漁船送還の件を議題にいたします。  この件につきましては、八月十七日の委員会におきまして議題に供しまして、インドネシアの漁船抑留の件は、その後漁船及び船員が釈放せられたということをわれわれも聞きましたけれども、八月十七日の委員会で、アジア局長から、この問題については損害の賠償問題が起り得ると思う、こういう趣旨の御発言もありましたので、その後その点についてどういうような措置を講ぜられておるかということを政府からお聞きしたいのと、それから韓国抑留船員及び漁船送還の件につきましても、当委員会で抑留船員及び漁船の早期送還並びに待遇改善、公海における漁業の安全操業、この二点を委員会の総意による決議として政府に申し入れをしたわけでございまして、この韓国の問題につきましては、外務大臣の御出席を得なかったので、その後政府の返事も承わっておりませんので、本日外務大臣お見えになりましたから、ただいま申しました韓国の抑留船員及び漁船の問題とインドネシアの問題につきまして政府の御所見を伺いたいと思います。
  78. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) 第二の問題の韓国における漁夫の抑留の問題、これはずいぶん長い懸案の問題になっておるわけであります。これはもうあくまで第一にこの漁夫の待遇の改善、それからこれを送還してもらうということについて強くこれは話し合いをしておるのでございます。これをぜひ解決をいたしたいと、こういうふうに出行えております。最近私は留守をいたしておりまするので、その最近の交渉の経緯はアジア局長から御報告を申し上げさせます。  それからインドネシアの問題、これは私はちょっとその問題をよく承知をいたしておりませんから、これはアジア局長からお答えすることにいたします。どうかお許しをお願いいたします。
  79. 中川融

    説明員(中川融君) インドネシアに抑留されでおりました第三繁栄丸の件でございますが、これは約一カ月近くも釈放に手間取りましたが、先月の末にようよう釈放になりました。これはジャカルタでいろいろ交渉したのでありますが、なかなからちがあかず、結局先方の政府当局者と、それから日本の領事館員が同道いたしまして、現地へ飛行機で飛んで行きまして、そうして現地で現地官憲と折衝いたしまして、両三日交渉の結果、釈放されたのでございます。これが果して先方の過失に基く抑留であるということであれば、国際法上損害補償要求の権利を生ずるのではないかと、かように考えていたのでございます。しかしこれは先般の委員会でも御報告申し上げました通り、詳細な状況の報告を入手してから慎重に検討してみたいということを申し上げたのでございます。その後詳細な報告がしばらく来るのに時間がかかりましたが、一両日前に入手いたしました。これによって見ますと、結局インドネシア政府当局は決して悪意があったわけではない。これは非常にこちらからの要請に基きまして、現地に再三電報を打ちまして、現地官憲に日本漁夫及び漁船を釈放するようにということを訓令しております。これを受け取りました現地当局が、要するに国際慣例にうといというようなことから、そういう訓令を受けながらも、なかなかすばやい措置をとらなかったということが真相のようでございます。なおこの訓令の電報等の到達も、ジャカルタから現地まで到達するのに、少くとも三日間はかかっておったという事実も現地に行きました結果判明いたしております。これらも一つの遅延の原因と思いますが、現地官憲が、どういうわけでこのようなインドネシア人の人命を救助した日本の船が入ったのにかかわらず、これの出港を許さなかったかということをいろいろ詰問をいたしてみますと、それば人命救助をしてくれたのはありがたいけれども、この辺は海賊の非常な巣である、いろいろなことで外国の船が入って来る、そういうことから外国船に対しては一般的に非常に猜疑の目をもって見ておる、なおこの救助した水域が果して公海であったのか、インドネシアの領海であったのか等の事情もこの際詳細に調べて見なければわからない、いろいろそういう事情を陳弁いたしておりました。国際法上海難救助ということがいかなる他のことにも優先する人道上の問題であって、これらに対しては、たとえ事前のこの通告がなくても、港に入った場合にこれに対して便宜を供与するというのが当然の措置であるべきにかかわらず、さようなことについてはどうも認識がきわめてうとかったというような事情がいろいろ判明いたしました。まさしくこれはわれわれの水準から見れば許されざる措置でございます。と同時にインドネシアというのがごく最近独立いたした国でありまして、そのような事情を中央の政府はこれはよく知っておりましょう。しかしながら、広い全国のいろいろの島におきます現地官憲がそのような事情を十分知らなかった、認識がなかったということも、これはある意味で恕すべき点があるのではないかと考えます。しかしこのような理由によって、正当過ぎる理由によって入りました日本の船が、これが出港を許されなかったがゆえに非常な損害を受けた、これも見のがすことのできない事実でございますので、海上保安庁、水産庁、あるいは直接の被害を受けられた業者の方々と十分御相談して、今後の措置についてどのような措置をとるか慎重に検討いたしたいと、かように考えております。  なお、韓国に抑留されております漁夫の方々の釈放の件でありますが、これは前国会の末期におきまして、何とか早く片づけたい、韓国側もある程度は何とか善処する空気があるようにも見受けられるということを申し上げたのでございますが、その後再三これを督促いたしておりますが、今もってこれが解決に至らないのははなはだ遺憾でございます。韓国側がどうして釈放しないのか、帰国を許さないのかということも全く理由がわからないのでありまして、まずどういう理由で一体すでに刑期を終った者を帰さないのかということを質問いたしました。その理由をとにかく明らかにしてもらいたい。もちろん帰すことが先決でございますが、なかなか帰さないとすれば、その理由は何なのかということを問いただしておるのでございますが、これに対しても、すでに一カ月以上になるはかかわらず、何らの返事をよこしていないのでございます。新聞報道によれば、あるいは日本が大村に収容しております韓国人を釈放しないがゆえに、日本の漁夫を釈放しないのだ、帰国を許さないのだということを言う報道もございますし、また日本が北鮮といろいろ貿易上の取引その他をやる気配があるがゆえに、これを帰国せしめないのだという報道もありますし、あるいは中共と何か貿易のいろいろの話を民間でやっておる、あれがけしからないのだ、あるいは日ソ交渉がいかぬのだ、いろいろの説が出ておりますが、いずれも新聞に載っておる説でありまして、はっきりとした韓国政府の意図であるという通報は接していないのであります。従って、ただいまは急速にこの漁夫の方々の帰国を許すことということを先方に交渉を継続いたしておりますが、なお一体どういう理由なのかということも韓国側の真意を問いただすことをやっておるのであります。当初の予想に反しまして、帰国がはかどらないのははなはだ遺憾でございますが、今後ともこの交渉を、ただいま大臣の申されましたように強力に推進して行きたいと、かように考えております。
  80. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと、外務大臣は三時から何か渉外事項があって、ぜひそちらの方へ参られたいと、こういうことでございますから、お含みの上簡潔に御質問願います。
  81. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 日韓問題につきましては、ちょうど外務大臣がアメリカに御出発の少し前にございました前委員会において、ぜひ御出席をいただいて当局の御意見を十分承わりたい、われわれの意見も申し上げたいと思っておりましたが、その機会を得ませんので、お帰りになった本日、あらためてお伺いするわけであります。  この問題につきましては、もうしばしば国会でも、あるいはまた民間からも陳情がございまして、事情につきましては今さら私どもが内容を申し上げる必要はございませんが、ともかくも最近八月に至りまして十二隻、七月に一隻という拿捕がございました。われわれといたしましては、国会中においていろいろ当局お尋ねをいたしました際に、衆議院においては八月十五日まで待ってくれ、そうすれば何らかの方途があるかのごときお話がございました。実はそういうことを非常に期待しておりましたところが、それにこたえたものは十二隻の拿捕でございました。そうしてその間送還されて参りました少数の漁夫の乗組員の話を聞きますというと、向うの刑務所における処遇、また刑期を終って収容されておる者の処遇は、まことにどうもわれわれが聞くにたえない残酷な扱いをしておるということでございます。われわれといたしましては、とうてい人道上からも許すベからざる問題である。何らかの手によってこれを解決するのでなければ黙視することばできない。これで業者も非常に憤激をいたしております。先ほどこの委員会が始まります前に、山口、九州の直接関係を持っております七つの市の協議会がございます。この七つの市も、これらの抑留あるいは拿捕によりまして市の財政上にも大きな影響を受けておるので、しばしばこれらの問題を取り上げて対策を講じておりました。昨日から上京いたしまして七市の議員十数名が手分けをして陳情を申しておるような実情であります。私どもは外相はアメリカにおいでになりまして、かの地においてアメリカ当局とこの問題については何らかの話合いをされたのではないかということを想像しております。もし何らかのお話がありましたならば、どういうふうにお話をなさったか。またアメリカとしてこの問題に対してどういう関心を持っておられるかということを承わりたい。  もう一つは、外相が向うにおられます時分の談話として、久保田発言を取り消すこと、及び韓国に対する財産の請求権も放棄してもよいといったような御意図を話されたかに新聞報道がございました。これはどういう意図のもとになされたものであるか、それによって何らかの進展が見られたのであるか、あるいは日韓会談の糸口を求められたのであるか、それらの点について外相の御答弁を承わりたいと思うのであります。
  82. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) 韓国との関係を正常化したいというこの熱意は引き続き持っておるわけでございます。これはもうたびたび御説明した通りに、これはぜひやって、そうしてそれとともにいろいろ懸案の問題も解決する大きな基礎を作りたい、こう考えて進んでいるわけでございます。そこでこの問題につきましては、米国側も非常な関心を持っております。日韓の関係はぜひ常態に復してもらうようにすることがアメリカとしては非常に希望しているのだということははっきりしております。ただそれならば、アメリカ側としてどういう見込みを持っているか、こういうことを聞いてみますというと、朝鮮の事情もむずかしい、李承晩大統領の意見もなかなか強硬である、まあしばらく時期を見て、時期の好転するように一つ大いにわれわれも努力してみて、そうしてその時期を待とうじゃないかというような考え方であることを私は見つけました。  それから私のプレス・クラブにおける質問応答で、とっさにいろいろな質問をたくさんの新聞記者の方々がやりました。そのうちの朝鮮の関係の人でございましたか、朝鮮の関係をどうするか、こういう質問でございました。私は韓国との関係は、これを正常化することに非常な努力をしているのである、こう答えました。そこでその際に突然、久保田発言はどうするのであるか、韓国における財産の問題をどうするのであるかというような質問をたたみかけて来ました。私はこれに対して、以上のようなわれわれの方針であるから、韓国との国交正常化の交渉については、日本側としてはでき得るだけの忍耐と、また妥協的態度をもってこれに臨んでいる次第である、しかし長い間の交渉も一向進まない、こういう返事をしたのでございます。それが久保田発言を取り消すとか、財産権を放棄するとかというようなことに伝わったらしゅうございますが、これはまたあとから、そういうことでないと言って新聞社自身が取り消したということも聞いております。どういう工合にこちらに伝わりましたか、そこまでまだ何しておりませんが、さようなことでございますから、どうぞ御了承を願います。
  83. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 時間がないようでございますから簡単に御質問いたしますが、私ども考えといたしましては、一番困っておるのは李承晩ラインによる漁業の問題であります。その他の問題については、そうまでわれわれは困っておりません。従って韓国としては一番の責め道具をもって日本をいじめておるという恰好でありますが、この李ライン問題を解決するには、どうしても李ラインだけの問題の解決はむずかしいのじゃないか、総合的と申しますか、いわゆる国交調整という問題になって来なければならぬ。そうなりますというと、どうしても日韓会談が開かれなければ話にならないと思うのですが、その日韓会談を開くという意味において、今、外相の御答弁のありましたような御発表をなすったのであろうと思います。そういうことに対しまして、韓国側として何らかの反響があったかどうか、何らの反響がないのであるか、依然として日韓会談は見当がつかないのであるか。つまり今のところ何らの処置なしという状態にあるのか、その点どういう見込みであるか。
  84. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) まだ的確な反響はございません。しかし日本側としては終始一貫さような態度をもって、そうしてその反響のなるたけ早く来ることを助長して行きたい、こう考えております。
  85. 千田正

    ○千田正君 私は外務大臣に、特に鳩山内閣の最も有力なる閣僚の一人であるところの外務大臣としてお尋ねするのであります。  日韓問題につきましては、同僚秋山君からも過去の問題についていろいろお尋ねがありました。私は現実にもっと突っ込んで、鳩山内閣の性格としてこの問題をどう取り扱うかという点についてお尋ねしたいのであります。それは今、日韓会談ば実際においては中止中であると承知しておりますが、それには間違いございませんか。
  86. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) そうです。
  87. 千田正

    ○千田正君 日韓会談ば中止しており、しかし一方においては日韓間の貿易は相変らず継続されておると、私はさように承知しておりますが、その点はいかがでございますか。
  88. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) 継続しております。
  89. 千田正

    ○千田正君 私はさように承知しております。そこで外務大臣の関係から言いますならば、一日も早く正常なる国交を回復して、そうして平和裏に日本と韓国との間におけるところの両民族の交流を一日も早く軌道に乗せたい、それは大臣ばかりでなく、国民ひとしく願うところでございます。しかしながら、片方においてそのような問題が起きておる、これは人道上まことに許すべからざる問題であると同時に、われわれとしては、このしわ寄せが最も苦しい立場にあるところの漁民に寄せられて来ておる。そこにわれわれ農林水産委員会が取り上げて、大臣のお答えを特に聞きたいと思うのはその点でありますが、一方においては貿易をやっておる、一方においては外交上の国と国との話し合いがつかない。で、先般もこの農林委員会において非常な問題が起きたのは韓国からノリを輸入する。このノリを輸入するというと、日本の国内におけるところの零細なる沿岸のノリの業者が非常な圧迫を受ける。韓国のノリを入れてもらっては困る、こういうので極力このノリの業者は韓国のノリの輸入に対して反対をしたのであります。しかしながら、通産当局から言いますと、韓国の貿易のいわゆるアンバランスの立場から、何とかして韓国のノリを入れて、そうして韓国側との貿易のアンバランスを調整しよう、こういうような産業上の一つの問題がある。こういうような問題の片っ方においては、こうした不幸な人道上の問題が起きておる。一体今現在の鳩山内閣としては、こうした一方においては手を結び、一方においては国民が泣いておる、この点をどういうふうに調整するか。私は最も苦しい水産者の代表といたしまして、このしわ寄せば、ことごとく李承晩ラインと称せられるところの勝手なラインの中に苦しみつつあるところの漁民にとっては耐えられないところの問題であります。日本の国策上、閣僚の一人としてあなたは日本のいわゆる内閣として、一方においては話し合いができない。しかし一方においては韓国のためといいまするか、あるいは両国親善のためといいまするか、この日本としては要らないノリまでも買わなくちゃならない。こういう立場に置かせられておるという点を御考慮なすって、一体この拿捕された漁民の解放と同時に、これに対して国内の補償、もし帰って来なかったらどうするか、こういう問題についてのあなたの御意見を一応伺っておきたいと思うのであります。
  90. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) 漁民の状態は、これはもう私どもの方もその状態をつぶさに調査をいたしております。まことにこれはお気の毒な状態であると思いますので、これは全力を注いで、その送還と申しますか、救出と申しますか、これはやらなければならぬと、こう考えております。そしてそういうふうに施策を進めて行くつもりでおります。がしかし、今ノリの問題と漁民の問題が全然、何といいますか、うらはらの問題であると、ノリの輸入が一方に行われておって漁民が苦しんでおる。私は朝鮮の国交の問題は、これは全般的に全部の問題に関連して考えなければならぬように実は思っておるのでありまして、国交の調節をやるということは、すなわち漁民の救出の大きな基礎を作るのだと、まあこういうふうに考えておるのであります。国交の調節をやるという場合に、これはまあものによっては考えなければなりませんけれども、貿易等のこともただじゃ留易をやらないということが国交の調節になるかというと、そうも参りません。そこですべての問題をよく考えて、おのおの競合して目的を達するようにして行かなければならぬというように考えますので、さような方向に施策を進めて行くつもりでございます。
  91. 千田正

    ○千田正君 今の外務大臣のお言葉をお返しするようでありまするが、これは現在においてもソ連と日本の国交をただいま軌道に乗せようと御努力になっておることはよくわかります。ソ連に残っておるところの戦犯、これはまあ戦争の犠牲者であります。これは当時のいわゆる戦争の犠牲者である。一方この問題は平和におけるところの犠牲者であるが、その処遇においては戦犯と何ら異なることのないところの処遇を受けておる。そういう立場にあった場合に、一体国民としてこうした外国の手によって何ら罪なき者が牢獄につながれ、あるいは非常な虐待を受けておるということに対して黙視するわけには行かない。それをどうしたら一体解放できるのか、釈放できるのか、これはもちろんあなた方の外交手腕に待つのは最もよろしいのでありますが、国民のわれわれとしては、ただあなた方にだけまかしておくのではなくて、われわれもまた協力しなければならぬ。しかし片一方において、私の言わんとすることは、貿易もよろしいが、こればことごとくそのしわ寄せが漁業というものにかかって来ておる。現在の状況ばしわ寄せが漁業という問題にかかって来ておる。日本の産業のうちの、ことに漁業というところにそのしわ寄せが来、そうしてその漁業にたずさわるものが一番みじめな立場に置かれておる。だから鳩山内閣としては、その施策としてどう一体漁業者に対して考えているのか。そこであるいは閣僚懇談会、あるいはその他にもあなたから、農林大臣なり大蔵大臣なり、そうした実際の行政の管掌をされているところの大臣に対して、あなたの立場から特にこの問題についての、漁民に対する、留守家族とか、あるいはそういう問題に対する善処の方法を強く打ち出してもらわないと、なかなか漁民はこのままでは泣き寝入りになってしまう。この点われわれは漁業の代表者として強く要望するのであります。
  92. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) わかりました。決して国交調整を先にやって漁業者の救出をあとにする、そういうことは決して考えておりません。これはあくまでその方に施策を進めなければならぬと思います。なお国内的な処置の問題も、今お話がありました御趣旨に沿うてわれわれも十分何してみましょう。ほかの閣僚とも相談をいたしまして、その問題を処理することにいたします。
  93. 千田正

    ○千田正君 日ソ関係のことを聞いてよろしいですか。
  94. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 時間がないようですから……。
  95. 千田正

    ○千田正君 簡単に……。ただいま日ソ交渉の最中でありますが、この表にあります通り、ソ連側に拿捕された船舶並びに未帰還の漁夫がおるのであります。交渉の過程においてこの問題ももちろん出されておると思いますが、この問題の現在の進捗状況はどういうふうになつでおりますか。もしおわかりでございましたならば、この点についてお答、えを願いたいと思います。
  96. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) むろんロンーンにおいて松本全権がこの問題に触れておりますが、最近のその結果については、私ちょっとそれを申し上げる今材料を、私留守中でございましたので、またこれは調べて、もしアジア局長で知っておりましたらお答、えさして……。これは確かに持ち出しておるわけでございます。
  97. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なおこの問題につきましては、ほかに御質問があると思いますが、先ほども申しましたような大臣の方の事情でございますから、後日また取り上げるといたしまして、ただ、ただいま千田委員からの質問に大臣もお答えになりましたが、この問題を韓国との対外関係だけでなしに、それに伴うところの内部の、国内においても漁業者の損害の補償の問題、あるいはその他の問題についても政府としてもお考えになる、こういうことでございましたが、そういう点につきましては、関係漁業団体からの陳情もいずれ政府の方に行っておると思いますから、外務大臣として水産庁なり、その他関係方面と御協議せられまして、国内における当面のこの関係者の救済措置につきましても万全の措置をおとりになることをお願いしておきます。  それではこの問題はまた後日にあらためて取り上げることにいたします。  今の問題につきまして、なお水産庁長官か、アジア局長お尋ねの点がありますか、よろしいですか。
  98. 千田正

    ○千田正君 中川局長お尋ねいたしますが、今のソ連との問題ですね。本年も拿捕されたり、あるいは中には釈放されたものもある、あるいは漁具を没収される、漁獲物を没収されたものもある。その詳細は水産庁あるいは海上保安庁その他から報告がなされておると思いますが、これは北洋漁業がさらに進展するに従って、ますますこういう問題は日ソ間において起きてくると思います。それで今年、ただいま外務大臣もおっしゃった通り、ロンドンにおいてとうした問題も爼上に載せて、お互いの議題として協議中である、こういうお答えでありましたが、現在まあこれから起る問題に対する処置も伺っておきたいのですが、それははっきり軌道に乗らなければ出てこない問題と思いますが、今までの逮捕され、そして帰らないこの漁夫並びに船、漁具というような、これは一つの漁民にとっては唯一の財産でありますが、これらに対する償還方法に対しては、どういうふうに外務省としては考えておられるか、この点を一応承わっておきたいと思います。
  99. 中川融

    説明員(中川融君) 今お尋ねの先方につかまっております日本の漁夫の方及びその使っておられた船、あるいはその他の船具、漁具等の返還問題につきましては、これは日ソ交渉の当初から、松本全権から先方に申し入れておるのであります。先方も決してこの問題を拒否しておるわけではないのでありまして、もちろんこの一環の問題として議題となって続いてきておるのでありますが、日本側が最近までは、その問題も急を要する問題でございますが、終戦の際から抑留されておりますいわゆる被抑留者、この問題を先決問題として先方と討議しておりました関係上、先方の返事、ただいまの船員とか、漁夫の方々、船具あるいは船舶の返還問題等に対する先方の回答が遅れておりました。いまだその回答を受け取っていない、先方からよこしていないのでございます。しかしながら、大体会談の内容も一般抑留邦人の問題から順次その他の問題に移ってきておりますので、この問題に対する先方の回答も遠からず反応が出てくるのではないかと思っております。大体の受けている印象といたしましては、日本とソ連との間の全般的な漁業の調整問題ということの一環として、先方は少くとも船舶、つまり今まで帰ってきていない船舶とか、漁具とかの問題は、そのように考えておるのではないか、しかしながら、従来から順次返還されておりました漁夫の方々、あるいは船舶でも返還してきておるのがあるのでございますが、こういう種類のことは、この会談と並行してやはり今後も行われていくのではないか、かように観察いたしております。結局根本的な問題はこの日ソ間の全般的な漁業調整の問題と関連する、順次抑留されております人たちの釈放及び船舶の帰還等は、必ずしもそれとは関連は持っていないように思っておりますが、しかし根本的にはやはりその全般の問題と一緒に先方は律したいという考えのようでございます。
  100. 千田正

    ○千田正君 この間ソ連側の抑留しておる氏名及び人数の発表がありましたが、戦犯を除いてその他が三百数十名ありましたが、そのうちにかつて漁業等において逮捕抑留されたという人は一人も入っておらないのですか、これはどういうふうになっておりますか。
  101. 中川融

    説明員(中川融君) われわれが調査いたしました結果といたしまして、先方から提示を受けました軍人が千十一名、民間人三百五十四名でございますが、その三百五十四名の中に、どうも日本から戦後におきまして、たとえば密航した人であるとか、及び先方に拿捕されました漁船の漁夫の方々等が相当数いるようでございます。これは調査中でございますので、まだ的確に結論は出ませんが、今までの判断では、こういう種類の方が四十人近く入っているのではないか、必ずしも戦争中からおられた人ばかりではないというふうに見られております。   —————————————
  102. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは、この問題はこの程度にしておきまして、先ほど中途でちょっと中止いたしましたコカコーラ輸入の件を、先ほどに引き続きまして議題にいたします。
  103. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 先ほど田中委員からいろいろと聞きただしておりましたが、私は嗜好品というものを輸入するために、なけなしの外貨を使うということについて、進んで好むものではありませんけれども、一つ聞きたいことは、先ほど来説明を聞いていると、いわゆる原料というものを入れて、そうしてこっちに製造所を設けて、それを売れば相当いわゆる観光客あるいは船員の方々等に対しで、何と申しますか、はける、相当はける。であるから、従って何か結果は相当に外貨を稼ぐという形になるのだといったようなことにもとれる説明があったのですが、その関係はどうなんですか。軍人の方は、現在駐留軍に対しては、おそらく委託加工というような形でやられるのだろうと思うのだけれども、船員だとか、あるいはいわゆる外人の観光客その他の在留人ですね、それらに対しては日本製がはける、こういうのですね、この点はどういうふうに考えられておるのか、その点をお聞きしたい。
  104. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 私からお答えいたします。先ほど軍納を日本側に引き渡すことによりまして、外貨の収入があると申し上げたわけですが、現在はコカコーラの会社が、日本に子会社と申しますか、会社を作りまして、そこが原料を持ってきて軍納いたしておるわけですけれども、それを日本側に引き渡すといたしますと、若干のコカコーラを作る会社、これは日本の法人に当然なるわけでございますが、この日本の法人がコカコーラの本社から原液を輸入して、そうして軍隊に納めるということになるわけですが、その間の加工賃がドルで取得できる、そういうことを申し上げたわけであります。観光客でありますとか、船員にコカコーラを飲まして、直接ドルを取得するということではございません。
  105. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そうですが、そのことは間接には私はやはりドルとの関係があるのかと思ったのです。私は当然回り回って、ワン・クッションは使うけれども、あるように思われるのですが、その点と、それから元来輸入した材料に対して、どのくらいの、たとえば外貨獲得という格好になるのですか、その点をもう少し数字といいますか、あるいは比率といったようなことで御説明願えませんか。
  106. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) たとえば一般用のコカコーラを、外国船の船員やあるいは観光客が飲むといたしますと、当然ドルを持ってきて、それを日本の円に換えてコカコーラを飲むということになりますから、御指摘のような回り回ってドルの収入にはなるわけでございます。ただ私が申し上げましたのは、直接ドルの収入にはなりませんということを申し上げたのであります。間接には回り回ってドルの収入になることはたしかです。それから軍納を日本側に引き渡す結果、どの程度ドルの収入がふえるかということは、実は私の方でまだ正確な点は確めてはおりません。これは目下この問題は全体として検討中でございますから、こまかい検討はいたしておりませんけれども、かりに軍納のものが五十万ケースといたしますと、おそらくはワン・ケースについて五十セント内外の加工賃がおりるのではないかと考えております。従ってワン・ケース五十セントで五十万箱といたしますれば、二十五万ドルのドルの取得がある、そういうことになるわけです。
  107. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 先ほど来いわゆる柑橘を主とするジュース、あるいはその他ブドウ等との関係で、ひいては農業の産物の、それらの果実栽培者を圧迫するのではないかという問題がある、これについては私は時間がないからくどく言わないが、第十六国会の衆議院の農林委員会の速記録第十三号を読むと、コピーで明らかなんです。日本果汁協会が出されている反対陳情の最後に載っておるこのコピーで、今は政務次官であられる吉川久衛さん、それから通産の松尾君、あるいは小倉局長さん、新沢さん、こういう連中で応答があるから、これを繰返しませんが、こういった用心をしながらやってくるということになりますれば、今の五十万ケースというと、直接の委託費の問題に一体どのくらい、こういったある程要しまった版路でいく場合どのぐらい一体外人あるいは船舶に使う外人、この外人方面に一番売れるというふうに想像されるのですが、その想像される数量が仮に同様五十万なら五十万ということになれば、その原液を入れるために使う外貨と、それによってワン・クッション使うのだけれども、結局は回り回って円貨を、ドル貨といいますか、外貨が落ちるのの比率というのはおよそどのくらいに考え得るものか。私はそこでお聞きしたい。私はジュースを売るといっても、やっぱりオレンジというものとコカコーラというものは、同じくなるほど清涼飲料水には違いないけれども、やっぱり嗜好が違うのですから、日本のジュースがあるから、お前さんジュース類はコカコーラを使わなくても、これを船へ乗せて行けばいいじゃないかというようなことも言えないし、そういうような関係、あるいはコカコーラというものが持つ一つの清涼飲料水としての値打等を考えて、場合によってはそう必ずしも私は潔癖に、絶対困るんだといったようなふうな考え方は、この際もう少し掘り下げて考えてもいい問題だというような気がしますから、私はそんなことを聞きたい。
  108. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) ただいまの御質問でございますが、このコカコーラの原液を一般用に輸入するかどうかということを検討いたします際に、当然私たち問題にいたして、善後策といいますか、対策を考えなければなりませんものは、第一に国内の清涼飲料水のラムネ、サイダー関係、それからもう一つは、先ほどから御指摘になっております果汁と申しますか、ジュース関系です。それでまあどの程度コカコーラを入れるかどうかということを検討いたします際に、仮に年間五万ドルとか、あるいは十万ドルとかいうふうに見当をいたしているわけでございますけれども、仮に年間十万ドルといたしますと、それからできますところのコカコーラの数量は大体四、五十万ケースというふうに私は考えております。これは物品税といいますか、清原飲料水の税金でございますか、そこで完全にチェックできまずから、もしも輸入を認めるといたしますれば十万ドル、何十万ケースというふうに、原液ばかりではございませんで、製品の量も押えるということになるかと存じます。それは主としてホテル、外人の泊っておりますホテルとか、あるいは船舶とかいうところで販売させるということになりますが、現在日本におりますところの外人は約二万人でございます。これは常時滞在の韓国人と中国人を除きますと約二万人という数字だと考えられます。これ以外に個々に日本に観光あるいは訪問に参りまするところの外国人、これも韓国人と中国人を除きまして十五、六万人というふうに計算をいたします。それから日本に参りますところの外国の船舶は大体一万隻内外というふうに考えますけれども、以上申し上げました数と四、五十万ケースというものを見合いますと、大体は外国人専門のホテル、まあ何十何百ございますか、それとあるいは飛行場とか、船舶とかいうふうに限定いたしますと、外へ絶対流れないということは私はこれは申し上げられませんけれども、大体はそういうところに納まるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。それからまあ果汁の問題は、実はこの問題を検討いたしますときになかなかむずかしい問題があるかと存ぜられますが、現在果汁の製品の量は大体六百万箱というふうに推算されます。そうしますと、コカコーラが仮に十万ドルといたしまして、四、五十万ケースでございますから、数量としてはそれほど大きな問題はございませんけれども農林省といたしましては、ミカンの栽培なり、あるいは果汁の製造業の振興というものを考えますと、影響がありませんとは申し上げられませんので、コカコーラの輸入を仮に許すといたしますれば、たとえばコカコーラの製造の会社に果汁の製造も合わせて行なわさせるというふうな、そういう条件をつけることも、この問題と関連産業との調整の一つの問題になろうかと考えております。
  109. 千田正

    ○千田正君 果汁協会その他はこういう反対をしているようですが、バヤリースという例のオレンジの会社でレッテルを貼っているオレンジ・ジュースがありますが、あれはやはりこういったコカコーラと同じような形式で許可しているのですか。そのほかにまたトマト・ジュースのようなものがあり、むしろこれこそ果汁というような問題からいえば、やはり相当に競争相手になる問題じゃないか、その点はどういうふうになっているのですか。
  110. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) バヤリース・オレンジは現在国内産のミカンを使って原液を作っておりますので、原液の輸入は認めておりません。ただ日本のミカンあるいは夏柑だけですと、いわゆるバヤリースの味が出ない、こういう問題がございますので、香料として、フェーバーです、香料として、たしか数千ドル程度の輸入は認めております。
  111. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 コカコーラを輸入許可いたしまするといろいろな影響がありますことはもちろんでございますが、国内の果汁の製造会社あるいは農村工業あるいはその他果樹の栽培者等に及ぼす影響というものは非常に多いのみならず、国民の保健上に及ぼす影響というものなども十分考えなければならぬ問題であると思うのでございます。ミカンの柑橘類の生産量も、今まで一億五千万貫、年々五百万貫ないし一千万貫増加の傾向にあるというわけでございますが、いずれ青果のみでこれを消費するとしますれば結局値下りで農業経営不振というような、農家が大なる影響をこうむっておるものでございます。果汁などは大いにこれから発展しなければならぬ問題であるのにもかかわらず、コカコーラなどを輸入いたしまして、それらの業に対して悪い影響を受けさせるというようなことになりますると、今いろいろ輸入することについてこういう利益がある、こういう得点があるという説明は聞きましたけれども農林省といたしましてはむしろ私の申し上げました方面の影響ということを重要に考えていただきまして、この輸入ということに対しましては、やはり多少外貨の獲得云々というような問題ではなくて、国民の保健衛生というものから考えましても、あるいは果樹の日本の経営上の重要性から考えましても、禁止すべきものであると思うのでありますけれども、その辺に対しましてどういうお考えを持っておるか、あるいはまた果樹がそういうような状態でどんどん増産になって行くというようなことにつきましては、この輸出、あるいはこういうものの製造という方面に、日本の果樹が値段が下らぬような対策を何か持って、こういうことをおやりになるのであるか、その辺をお聞きしたいと思います。
  112. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) コカコーラの輸入問題につきましては、ただいま御意見通り内地産業、特に果樹園芸の振興という立場から慎重を期すべきだという点はまことに御意見通りと思うものであります。ただ先ほど来申し上げましたような事情によりまして、この際相当のドル獲得ができるという点もございますが、同時に内地におりまする外人関係者等におきましてはいわゆるコカコーラという飲料につきまして、非常な嗜好性と申しますか、要望が強いということがあるのであります。そういうような点がありまして、目下これらの点についてはただいま御意見等もありますが、私どもといたしましては慎重に検討をいたしているのでありまして、もしやるといたしましてもこれは内地産業にはできるだけ影響のないような数量並びに方法で実施して行きたい、かように考えておるのであります。この点を目下慎重検討いたしております。
  113. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今局長お話もありましたし、さっきからいろいろ御答弁がありましたが、輸入いたしましても外人のみに飲ませるのだからいいじゃないかと、こういうようなことをお答えになっておるようでございますが、しからば外人のみに飲ませまして日本人に飲ませないというそういう方法につきまして何かお考えがございますか、いかがでございますか。
  114. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) これはもう絶対にいわゆる日本人向きにならないという点につきましては、ただいま経済課長が申し上げましたように絶対にそういうことはないということは申し上げかねると思いまするが、私どもといたしましてはもしやるということに相なりますれば、できるだけ数量の点につきまして考慮を払いますと同時に、販売先につきましても何と申しますか、条件と申しまするか、これらの点につきまして、あるいは外人が泊っておる旅館あるいは飛行場でありますとか、あるいは船舶でありますとか、そういうようなものを対象といたしまして配給をするような条件をつけて参りたい、かように一応考えておる次第でありまして、それが内地一般人に広く使われるというようなことは絶対に防止いたしたいと考えております。
  115. 千田正

    ○千田正君 農林省に特に私はお願いしたいのですが、こういう問題が出てきた場合に、私は実際汽車の中で、あるいは途中でも、あるいはその辺で、のどがかわいたから飲もうというような場合に、どうも実際農民生産されておるところの果汁が飲料水の中へ十分に使われておるかというと私は使われていないと思う。私は生産者の立場からいうと、はなはだ残念だと思う。砂糖水の方が多くて実際果汁らしきものが入っていないのが多い。これはやはり外国品などと比べてそこにまたいろいろな問題が起きてくるのであって、やはり国内の果汁に対しても十分な指導をしてやって、外国品に負けないようなもので駆逐して行かなければならぬと思いますが、こういう点はいかがでありますか。
  116. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) ただいまの御意見の点は主として農産品、特にミカンンを原料といたしましたジュースの問題ではないかと思うのでありますが、御指摘のようにミカン・ジュースにつきましてはミカンの原液を含有している量が非常に少なかったのであります。もちろん農業協同組合等において生産をいたしておりまするジュースにつきましては、相当の数量を含有いたしておるのでありまするが、その他のいわゆる一般の品物につきましては含有率が非常に少い。従ってこれが保健的な観点、その他ミカンの生産の振興という点から見れば非常に遺憾であるというような点もありましたので、寄り寄り業界と相談をいたしまして、ミカンのジュースの一般市販につきまして、先般農林規格を制定することといたしたのであります。従って農林規格によりまして一〇%、一五%、二〇%、二五%というようなふうな規格を設けまして、一〇%以上を合格品とする、こういうふうにいたしたのでありまして、そういうような農林規格を作りまして、ミカンの原液というものをジュースという場合にはできるだけ多く混入してもらうように業界にも訴え、それが翻って市販に出ましたときに農林規格としてりっぱな合格品として格づけになりますので、だんだんそういうような含有量の多いものが消費されるというようなことをもねらいまして、先般そういうような規格を作りまして、目下準備をいたしておる次第でございます。
  117. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 経済局長農林当局説明を伺っていると、大体許可をするという方向あるいはそういう内意のもとに研究が遂げられておるように私どもには響くんですが、そういうことなんですか。
  118. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 御承知のようにコカコーラの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、この際輸入すべきであるという御意見と、これはいろいろ問題があるので差し控えるべきであるという御意見とあるのであります。もちろんその点につきまして、しからば輸入するという立場に立った場合には、それが内地の産業その他日本の特に農産品に対する影響はどうかという点の、一つの何と申しまするか、考え方をきめまする場合の一つの要素といたしまして検討いたしておるわけでありまして、必ずこれは輸入するという立場に立って、そういうことのきまった上でやっておるというわけではございません。その点も比較考量いたしまして、先ほど申し上げましたようないろいろ販売権の問題、あるいは直接には進駐軍、間接には外人と、こういうような関係になりますので、また国際的に交流も非常に何と申しまするか、人の出入り等も非常に多くなっておりますので、これらの点を勘案いたしまして、この際どういうふうな方針をとるべきかということを研究いたしたいと考えます。
  119. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それじゃまだ内定をしてないということですから、私はそういうふうにただいまの発言をとって、一応の今までの答弁を了承いたしますが、最後に私ははっきりこの点を農林委員としての要望しておきたいことは、今も御説明にありましたように、ジュース類に対する規格まで今度制定をして、日本の果樹園芸を保護しようとしておる農林当局が、もしこれを入れることを許可するとすれば、一体保護政策はどういうふうに考えておるかという館委員質問に対しては、別に明確な裏づけがなかった。そういう明確な果汁行政に対する裏づけもなしに研究するのだと、研究の結果よかったら入れるのだということだったら、われわれとしては納得できない。ですからもし入れるときめるなら、そういう裏づけをわれわれ農林委員会にはっきりと農林当局は示していただいて、しかる後にこれを入れるか入れないかということをきめていただくことを私は強く要望して、この問題については質問を打ち切っておきます。  なお、ただもう一つ、私の杞憂かもしれませんが、もしかりにこれを入れることを許可すれば、ペプシ・コーラであるとかあるいはこの前から輸入の許可申請等がなされておった同様の外国品が、きびすを接して輸入申請をしてきた場合にどうやってこれを断わるか、こういったことについても十分の考慮がなされておると思うけれども、こういう点についてもわれわれを納得させるだけの理由を準備して、次の委員会か、許可をされる前に、こういうことを明確にしていただかなければ、入れることを決定することについては私は断じて賛成できない。
  120. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この問題につきましては、委員皆さんの発言のように、よほど慎重に考えなければならぬということであり、さらにこの際積極的に健全な果汁の発達に農林省としては力をいたすべきだということでありますが、その点農林省としてもよくお考えになっていただきたいと思います。なお十六国会で吉川政務次官はコカコーラの輸入には反対なんで、最近吉川さんがそうではないのだという説もありますが、吉川さんがそういう御変説をなさることはないと思いますから、よく政務次官と打ち合せてやっていただきたいと思います。   —————————————
  121. 江田三郎

    委員長江田三郎君) さらに、次に砂糖の需給及び価格の件を議題といたします。  最近の新聞によりますと、去る第二十二特別国会において審議未了となりました砂糖の価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案の不成立に伴う行政措置が、このほど政府の方で決定されておるので、本日はこれらの措置並びにこれとあわせて、最近の砂糖事情、特にこの末端の小売価格が非常に高騰しておるというような問題につきまして、今後の方針等につきまして当局から説明を聞くことにいたしたいと思います。
  122. 清井正

    説明員(清井正君) ただいま委員長からお話がございましたのでありますが、去る八月の二日に閣議において了解事項といたしまして、砂糖及び特定の物資に関する法律案が審議未了に終ったけれども政府提案の法律案の趣旨にのっとり、砂糖等の超過利潤はこれを供出せしめる趣旨のもとに、所要の行政措置をとるものとする、本件の具体的実施については関係各省協議の上行うものとするという閣議の了解が去る八月二日にあったのであります。すなわち、前の国会におきまして御審議を願いました砂糖に関する法律案が御承知のような状況になったのでありますが、超過利潤が依然としてありまする状況にかんがみまして、政府提出の法律案の趣旨にのっとりまして、この超過利潤を供出せしめる趣旨のもとに行政措置をとるということが閣議了解になったのであります。その閣議了解に基きまして、九月十二日に通商産業省、大蔵省農林省三省の共同をもちまして、砂糖の差益金の処理要領というものを、次官会議において決定をいたしたような次第でございます。その趣旨は、ただいま私が申し上げました八月二日の閣議了解の趣旨にのっとりまして、超過利潤は精製の上白一斤当り七十六円を基準といたしまして、これを政府に供出させることといたし、別紙の要領によって実施をする、あわせて砂糖の価格は、おおむね八十二円から七十四円の間に安定させることを目標とする、こういう目標のもとに砂糖の差益金の処理要領が決定をいたしたようであります。  書類といたしましては相当長いものでございますが、要するにその趣旨といたしまするところは、輸入業者及びメーカー、すなわち精糖業者なり再製糖業者を言うのでありますが、輸入業者およびメーカーは外貨資金の割当を受けるに際しまして、念書と銀行の連帯保証状を自発的に政府に提出するということをもって始まっているのであります。その念書等につきましては、あるいはお手元に資料が御配付申し上げてありますので、そこでごらんを願えるかと存ずるのでありますが、それぞれの念書および銀行の連帯保証状の提出者及び提出先および保管者は、それぞれの輸入割当方式によりまして変わっているのであります。輸入業者の割当の場合は、提出者は輸入業者であり、提出先は通商産業大臣であり、保管者は日本砂糖輸出入協議会、それから発註書による割当の場合は、提出者は輸入業者およびメーカーの連名でありまして、通産大臣に対してやるわけでありまして、その保管者ば、日本精糖工業会のメンバーは日本精糖工業会、日本精糖協会のメンバーは日本精糖協会、再製糖の場合はそれぞれその協会ということにいたしまして、提出をいたすような手続に相なっているのであります。なお、政府に供出する金額の算定標準は、メーカーの販売価格が七十六円ということを基準といたしまして、算定の基準を作りまして、一応金額を自動的に算出できるような形にいたしているのであります。その金額はお手元に配付しておりまする資料の別表第二といたしまして、一番うしろにつけてございますが、斤当り七十六円の販売価格から逆算いたしまして、斤当り二十八円の消費税を引きまして、それを粗糖換算九三%の換算をいたしまして、さらにそれから所要の輸入単価、輸入税、輸入諸掛り、それから精糖の費用等を差し引きましたものに数量をかけて、金額を算出いたすということに相なっているような次第でございます。なおこれに関連しまして連帯保証状の要件あるいは保管者の責任等事務的な点をこまかく規定をいたしているようなことでございます。  以上のような処置によりまして、一定の七十六円というものを基準といたしまして、砂糖を輸入いたしたものが、その一定金額を供出するということにいたしまして、そうして供出者はその供出金を政府の指示に従って処分する旨の念書を出すということに相なっているのでありまして、その処分につきましては、追って政府の指示に従って行うということによって、砂糖の差益金の供出を出させるということを行政措置として決定いたしたような次第でございます。砂糖についての最近のことについて一応御説明を申し上げておく次第でございます。
  123. 東隆

    ○東隆君 私は今の砂糖の説明を聞きまして不思議に思いますことは、法律が提案されて、そして通過を見ないのでありますから、その以前に行われた各精製会社その他がリザーブをしておりましたもの、その金というものは結局小売価格に加えられて発売されておるわけですね。従ってその行為は私は独占禁止法にひっかかるような行動でないかと思います。独占禁止法にひっかかりませんか。それから法律が通過いたしません。そこで政府は行政的措置でもって閣議でもって決定をしたことによってそれを裏づけて行こうとしておるのですが、それも私はやはり独占禁止法にひっかかるのではないかと思います。政府が中に入って、そして独占禁止法にひっかかるようなことをやらしておることになりませんか。これは私非常に重要な問題で、政府みずからが法律違反のことをやらせることになると思います。そういうようなことになると重大な問題になると思います。
  124. 清井正

    説明員(清井正君) ただいまの御質問でございますが、独占禁止法にひっかかるのではないかという点でございますが、私どもはこういうふうに実は考えておるのでございます。これは御承知通り、ここにも書いてございます通り、大体一斤当り七十六円というものを基準といたしておるのでありますが、これは過去の大体国民所得であるとか、あるいは生産数量であるとか、需要量であるとか、いろいろなものを参酌いたしまして一定の算式に基きまして、そして計数を出しまして、それに過去の糖価の変動率を見まして大体七十六円ぐらいの見当とするということでいたしまして、そしてそれでその価格が小売として売れるということを前提といたしまして、そうして輸入価格との差があまりにもひどい差であるから、それで七十六円と輸入価格の差額から一定経費を引いた残りのものを差益として供出させるということになるわけであります。で小売価格がその分だけ高くなるということでなくて、むしろ一定の七十六円ということから逆算いたしまして、ただいま申し上げました通り、輸入原価、税、諸掛り、控除経費等をずっと差し引きまして、そして差し引いた残りを供出として措置をするということにいたすという一応の考え方でありますので、私どもといたしましてはこれが独占禁止法にかかるというような措置には考えていない、こういうふうに思っております。なお、法律等に基きまして、先般御審議願ったのでありますが、今期は御承知のような状況になりまして、なお法律通りませんでしたけれども、現実の事態といたしまして相当砂糖の輸入価格と国内糖価との間に差がございます。その差を現実的な根拠といたしまして、今日の行政措置として出すというようなことにいたしたわけでございまして、決して出しました差益金額か消費者価格かその部分だけ上がるということではなくて、あくまで七十六円を、生産価格を基準といたしまして逆算した価格でやるということにやっておりますので、御指摘のようなことにはならないと私ども考えておる次第でございます。
  125. 東隆

    ○東隆君 私は今お答えになったことを深くせんさくをする必要ないと思いますけれども、しかしもしこの形をとらないで相当量を輸入をされるということが起きますると、消費税をそのままにすれば当然価格は下ってこなければならぬはずであります。それからその事前においても当然価格は下らなければならないのにかかわらず、人為的に価格が維持されたと、価格維持、農産物の価格安定法のようなああいうような法律も何もなくて、そうして単に話合いでもってそれがきまってきた。だからこれはメーカーが談合をして、そうして価格をきめた、こういうふうに考えられてもいたし方ないような形でもって砂糖の価格を形成された。しかもそれは最低価格で、それ以上の価格ではない。こういうことになりますると、これは明らかに独占禁止法の中のいろいろな条項がありますが、その中に触れると考えられますが、これはどうもだいぶ疑問があるのですが、法律的にいろいろな解釈は私不得手でありますからできませんけれども研究を願いたいと思います。
  126. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまの東君からこういう措置が独禁法に触れるのではないかという御質問があったわけですが、さらにそれだけでなしに、国会へ提出された法案が審議未了になったものをそれとほとんど同じようなことを行政措置としてやるという場合に、一体行政というものはどこまで幅を持ち得るのか、どういうようなこれに強制力があるかというような根本的な問題が出て参りますが、その根本問題につきましては私どもも本日これを新聞ではざっと要綱だけ見ましたけれども、正規なものは本日見ただけでございますので、お互いにもっと研究いたしまして、この次の委員会ででも問題にしたらどうかと、こう思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 江田三郎

    委員長江田三郎君) では、ちょっとそのついでにお伺いしておきたいのは、今の扱いはそういう工合にいたしますが、最近の生産市場の方の価格が五十円前後であるのに末端での小売価格というものは非常に高いのですが、そういうようなことはなぜ一体そういうことになるのか、従来の状態から見ると、生産と比べて末端の小売価格は高過ぎるように思うのですが、なぜそういうことになっておるのですか、それに対しては政府としてどういう措置をやろうとしておるのか、その点はどうですか。
  128. 清井正

    説明員(清井正君) ただいま御指摘のありました点でありますが、この点はこの資料にも添付しておきましたのは、これは東京の実物というよりも砂糖取引所当月限の価格推移を、添付資料の一番うしろに差し上げてございますが、これによりますと三十年の一月から九月の最低最高の平均が書いてありまして、昨年に比較をいたしてあるのでございます。これはまあ二十八年の砂糖消費税は未納として計算してありますが、これによりますと最近の七月、八月、九月、四月は一時高うございましたが、その後五十円台、七月はちょっと落ちまして、八月は五十一円三十銭、九月が五十二円四十銭ということになっておるわけであります。そのほかに消費税が二十八円ここに加わるのであります。そういうことになっておるのでありますが、これは取引所の相場であるのであります。それから最近の現物の市場相場といたしまして、ごく最近の日にち別の数字を一つ当ってみたのでありますが、それによりますと、たとえば九月の、ちょっと長くなりますが、九月一日からの現物相場を見ますと、九月一日が八十三円五十銭、二日は八十二円九十銭、三日が八十二円四十銭、それから四日ば休みで五日が八十二円六十銭、六日が八十二円三十銭、七日が八十一円八十銭、八日が八十一円四十銭、九日八十一円五十銭、十日八十一円四十銭、十一日休みで、十二日が八十円九十銭、十三日八十円七十銭、ちょっと最近落ち目になっておるのであります。そういうような相場の現況を示して、これは仲間相場の現物の相場でございます。ただいま委員長御指摘になりました点は、一時取引所の相場と現物の相場とがやや開きを示したということが確かにあるのでございます。たとえば八月の中旬以降相当取引所相場と現物相場が差がありまして、特に八月の一番高いとき、八月十七、十八日あたりは八十七円、それから十九日は八十七円八十銭というのが一番高いのでありまして、最近はそれが八十円七十銭という、大幅に約七円方下っておるのであります。こういうような取引所の相場と現物とが非常に差がございまして、私どもといたしましては、これは輸入計画に基く実際上砂糖の輸入というものがなかなか一時思わしくなかったというような事態がございましたので、この現物相場の非常に高い金額に対処いたしますために、先に通産とも連絡をいたしまして十三万トンばかりの追加の輸入をとりあえずいたすというような措置をとりまして、その供給力の増強を期待いたしたのであります。その数字が十三万トンの増加分がさらに今後二、三カ月の間にこっちに入って参るような状態になりますので、相場もある程度落ちて参る方向に向っておる、こういうふうに実は考えておるのであります。特にそのころの取引所の相場といたしましても、先ほど申し上げた通り、取引所の相場が五十一円でございますが、十月限り、十一月限り、十二月限りの値段がそれぞれ四十六円から、高いところで四十八円、そういうところに実は下ってきておるような状況でございますので、追加輸入の効果も逐次現われて参っておる、こういうふうに実は考えておる次第でございまして、一時委員長の御指摘のありましたようなものは、その後われわれとしましても、供給増という形によって、相場の数字の示す通り措置をして参った次第でございます。
  129. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではこの問題につきましては本日はこの対策の説明を聞いたというにとどめまして、次の委員会で本質的な問題については御検討を願うことにいたしてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 江田三郎

    委員長江田三郎君) じゃさよういたします。   —————————————
  131. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に明治パン戸田工場の件でございますが、これは過般の委員会の際に陳情がございましたが、この問題について田中委員から発言を求められておりますので、この際御発言を願うことにいたします。
  132. 田中啓一

    ○田中啓一君 食パンの消費というものが漸次ふえて参りまして、議会、政府あるいは世論というようなものがいわゆる粉食というものを食生活の改善の重要な一つの要素として勧めるということが漸次現われてきておることはまことに喜ばしいことなんでありますが、そうしてまた食パンの品質というものも漸次改良され、またこれが経営あるいは規模というような面につきましても相当資金も投ぜられ、改善の顕著なるものがあると思うのであります。そこへ持ってきて、ここ二、三年前からアメリカから非常に高能率な製パンの機械を入れましてそうしてやるという問題が起きて参りまして、これが従来の製パン業者との関係において果して適当であるかどうかというようなことが論じられてきたのでありますが、政府のこれに対してとってこられました措置というものは、これまでどういうものであり、現在どういうことになっておるのか。まずこの製パンの現状に対して、この輸入機械というものによってもしやれば、どういう効果があるのかという点も明らかにしていただきたいと思いますし、またいずれ輸入をすることでありますから、外貨割当もやらなければならぬのでありまして、そういったことがどうなっておりますか。この今問題になりましたのは、いわゆる明治乳業の系統で戸田に工場を起してやるという話がありますのに対して、従来の製パン業者から、それは困るというような陳情のあったことも事実でございまして、そういうことも動機になっておるのでありますが、しかしもっと高所大所から一つこれらに対する、今私が申しましたようなのが要点になるわけでありますが、一つ政府の御見解をまず伺いたいと思う次第であります。
  133. 清井正

    説明員(清井正君) 私ども考え方と申しましても、なかなかむずかしい点でございますが、実は明治パンの問題は、ただいま田中委員からお話があったように、非常に問題になったことであります。これはまあ御承知のような、何と言いますか、粉食の奨励と申しますか、あるいはそういったようないわゆる大きな観点から申しますと、いわゆる粉食を普及徹底することはけっこうである、従ってそのためには品質のよい安いパンが消費者に供給されることはけっこうなことと言わざるを得ない、明治パンもそういうような観点から工業的な方法により、大量生産によって合理的にパンの製造販売をしたい、こういうことのために作ったものと私は考えるのであります。しかし、これはなるほどそういうような目的をもって一つの企業が行われるということはけっこうなことでありますが、同時にまた現に現在のパン製造業者は相当中小業者が多いわけであります。そういったようなパン製造業者の関係も十分円滑にして行かなければならぬことは、これまた当然のことであるのであります。従ってただいま申し上げたような大よそ企業的にパンを、良質なものを安く供給するという目的はけっこうでありますが、同時に現在中小企業のもとに、家庭工業的な色彩の強いパン製造業者との関係が円滑なる関係において作るということも必要であるという両方の形にあるわけであります。私どもといたしましてはそういった面で本来の趣旨達成を行うとともに、従来の中小企業との関係を緊密にするということのためには、いかなる方法であるべきかということを十分これは措置すべきではあるまいか、こういうふうに考えておるわけであります。明治パンの問題は、これは昨年四月ころと申しますか、もっと計画は前からあったわけでございますけれども、四月ごろからずっと起って参りまして、ただいま申し上げたような趣旨でできますために、相当関係製パン業者が反対を実はいたして、当時、昨年の七月あたりから相当強い反対陳情が私どもの方にもあったわけであります。そこで私どもといたしましては、農林省顧問の荷見安氏に明治パンの会社とそれから中小の製パン業者の反対をされておる方々との間の関係の調整をはかるために、ごあっせんを実は御依頼申し上げたのであります。その間いろいろごあっせん願いまして、昨年の十二月九日に両方の、と申しますかいろいろお話合いをつけまして、申入れの形でこれは代表者と申しますか、明治パンの代表者の植垣氏から荷見さんに対するところの申入書という形で一応解決がついたのであります。  その申入書の内容はここにございますが、要するに七項目に分れておりまして、その第一項目は明治パンの名称変更について考えたいという点が一つ。それから第二項目は、相当これは製造能力もあるのだけれども、市場の混乱を防上するために生産数量を日産三万斤程度に押えるという点が一つ。それから第三点は、共存共栄の立場から、既存製パン業者との間に混乱を来たすような乱売等は行わないという点が一つ。それから第四番目は、製品の販売については原則的にはパン業者を通じて消費者に販売するとともに、工場地域の地元に対しては特に既存製パン業者との間に混乱を起さないように留意するということが一つ。それから第五番目は、輸入機械化パン工場の名を借り、必要以上の誇大宣伝は行わないものとし、一般パン食普及宣伝のため製パン業者と協力してパン食増進に努める。それから第六は、工場建設地はそのときの予定は大田区になっておりますが、適当な建設地があれば考慮する。それから第七番目は、今後の運営については既存パン業者と共存共栄の実をあげるために当会社内に運営委員会を設けて既存パン業者との間の円滑を期するというこの七項目にわたりまする申入書が明治パンの社長の植垣氏から荷見さんに出されまして、そこで同時に製パン業者の反対をされておった反対期成同盟を解散をいたしたいということで、一応この話はきまりがついたわけであります。ところがおそらくこの中にあります通りこの工場建設地を大田区といたしておったのでありますが、その後大田区では手狭な関係もあって、埼玉県の戸田町にこれを移すということを決定をいたしておったところが、地元埼玉県の戸田町、東京都内の業者が再び反対をされたということが実態だろうと私は思うのであります。そういうことで非常に反対してきておられたのでありますが、私どもといたしましてはこれは直接今すぐどうこうというふうな性質の問題ではないと考えております。この問題の経緯からしてが、私ども陳情がありましたけれども、結局荷見さんに中に立っていただいて反対の中小業者と明治パンとの間に一応話合いは済んだのであります。ところが建設地が変って工場建設地のことでまた地元の反対の業者が問題を起した、こういうことであります。私どもといいたしましてはすぐにこれをどうこうということを申し上げる用意はございませんが、要するに明治パンというような名を入れず、こういう機械化的なパンの製造工業によってパンがより安い、品質のいいものが供給されれば、これはもうけっこうなことでありますけれども、これまた先ほど冒頭に申し上げましたような既存パン業者との間の関係考える必要がある。従って両方の間の円滑を期するように一つ業界同志で十分話合いをして、この問題を円滑に解決をしていただくということが何といっても一番先の問題であるというふうに私は考えております。最近の業界の御陳情等については私どもまだ詳しく実は存じておりません。こういうような動きがあって、盛んな反対運動があるということは十分承知をいたしております。しかし問題がこういうような経過をたどってきており、昨年十一月に一応けりがついたような状態であります。今言ったような状態でありまして、業界で円滑化この問題がおさまりますように私どもは期待をいたしておるのでありまして、しばらく私どもといたしましてはこの問題については静観をいたして参りたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  134. 田中啓一

    ○田中啓一君 で、結局昨年の十二月業界同志の話がついたものとして、農林省外国から製パン機械を輸入することに対して外貨割当をされたのでありますか、どうでありますか。また幾らされたのでありますか、それを伺いたいことが一つと。  それからまたそれ以前にもパンの製造機械について外国から輸入を許可したことがあるのかどうか、そういった経緯を一つ御説明願いたいと思います。直接長官でなくても、よく知っておられる方からでもけっこうであります。何も方針の問題ではないので……。
  135. 清井正

    説明員(清井正君) この点につきましては先般関税定率法の改正法律によって、昨年の三月に早急でもって制定されまして、この際重要機械類の関税について免除をするという新らしい制度を作ってもらっておるわけなんですが、この中に一項目を入れまして、パン製造装置のうち、非常に詳しく書いてございますが、機械的なパン装置一連のものですが、これは免税をするというふうに加えてもらっておるわけであります。これは何も明治パンだけの問題ではなくて、日本にいいパンを作るために輸入した機械は全部免税をする、こういうことになるのですから、今後この会社に限らず、パン機械を輸入する際は従ってこれによって全部免税をするわけであります。こういった点、詳しくは存じませんが、いろいろこれによって適用されまして、優秀な機械を入れた業者が二、三あるように私聞いておるのであります。当該の場合は一応申請としては二十九万千五百七十二ドルというのがこの明治パンが輸入したいという製パン機械の総金額であります。二十九万ドルになっております。現在はそのうちごく一部が輸入されておって、まだ一部だけしか輸入が実現されていない、こういうふうな状況になっておるわけであります。
  136. 田中啓一

    ○田中啓一君 そうすると二十九万何千ドルというのでありますから、一口に言って三十万ドルの機械、こういうことになりますけれども、そこでまあこの機械の効能は良質のパンを安くと言っておられるのですが、そうしてまた協定書には乱売をしてはならぬというので、たとえ安くできても安く売っちゃならぬという協定になっておるわけですね。まあこれも実際問題としてやむを得ないことと思いますが、そこでその機械を使って、そうしてそういう業者協定なんということにかかわらず精一ぱいに良質のパンを安く売るということになりましたならば、現在の食パン価格というのはおよそ何パーセントぐらい下げて売れることになるのでありますか。
  137. 清井正

    説明員(清井正君) その点はどういうふうになりますか、私どもはっきり申し上げられません。まあ大がい一斤三十円ぐらい前後で売っておるようでありますけれども、これは私どもといたしましては全くやっておりません関係で、果してどの程度に下るものでありまするか、これはちょっと簡単には申し上げられぬと思いますが、まあ要するに本来の趣旨は、まあ良質のパンを安く売るということを主にしてできておるわけであります。当然今までのパンよりも安くなり、かつ品質がよくならなければならぬ建前のものであります。しかしこれはこういうふうにいろいろのことにつきまして措置をしなければならぬ部分があるのでありますから、その間具体的にどういうふうになりますか、これはまあパン機械を入れたばかりのことで、敷地がきまろうかということで敷地の問題で問題を起しておるのでありますから、これからまだまだ先の問題であります。抽象的に下るとは言えるでありましょうけれども、果して具体的に販売価格はどの程度下るか、これはただに生産費だけの問題ではないのであります。ちょっと私ここで申し上げかねるわけであります。
  138. 田中啓一

    ○田中啓一君 もう私は実はもっと高い機械かと思っておったのです。それでまあこの機械をそれじゃフルに使いましてそうしてパンを焼いた場合に、現在東京都内で売られておるところのパンのどれくらいの分量ができる見込の機械でありますか。今度はその方面からお伺いしたい。これは私はもう長官はそこまで知られるのは当然のことであるけれども、係の人は当然知っておられると思う。
  139. 清井正

    説明員(清井正君) 実は知っていないのでありますが、その機械を得ますと能力は一日九万斤の能力があるというふうにいわれておるのであります。能力一ぱいが九万斤というふうに先ほど申し上げましたが、日産三万斤ぐらいで能力を押えようというので、既存業者との摩擦を調整しようというようにいたしておるようなわけでありまして、果して九万斤というのがどの程度を占めるものかちょっと恐縮でありますが、私存じておりませんが、能力があるということと、実際やる場合にどうするかということとはおのずからそこに調整の問題があると思うのであります。果して能力一ぱいにやった場合にどうということは、知っておりますものが計算をしまして、詳しく申し上げますが、この問題自体が非常に私どもといたしましては、むしろ業界の中のあっせん協力による解決を望んでおりましたので、政府自体がああせえ、こうせえという問題でないという態度でおります。今後もそういうような態度で行きたいと思っておりますけれども、われわれといたしましては結局今のような線でもつてやって行くのが一番いいということで今後も進みたいと考えております。
  140. 田中啓一

    ○田中啓一君 一日九万斤の能力ということはおのづから東京ではどれくらいパンが一日消費されているかすぐ出てくるので、係りの人がよく知っていると思います。それは後ほどまた伺うことにしまして、結局農林省が三十万ドルの外貨割当をしたということは業界同士が自主的に荷見さんのあっせんによっての協定があったからやったわけなんです。それを前提にしておるのでありますが、その協定というのがその後守られておるのか、守られておらないのかその点は一体どうなのでありますか。またもし守られてないとすれば、農林省は口をきくつもりでおられますか。それを一つはっきり伺いたいと思う。
  141. 清井正

    説明員(清井正君) どういうふうに理解をいたしますか、私どもとしましては、この申し入れの関係が、主としてこれは、何と申しますか、できてからのあとの問題がだいぶ多いのでありまして、名称変更の問題、運営管理の問題があるのでありますが、工場敷地の問題は前の問題でありますが、その後の問題は別の問題でありますから、工場が実際できて、実際パンを作って売るときの問題であります。今は敷地を、これが今問題でありますから、問題にならないのでありますが、果してこれがどうなるかということはわかりませんが、要するにこの精神というものが、果してうまく守られているかどうかということについては、これはやはり業界の円滑な運営を期するという意味においては、私どもは関心を持たざるを得ないのであります。そうかといってすぐこの問題について、この点はこうでなければいけないからと、役所が乗り出すということに行けるものかどうか、私も自信はないのでありまして、前回荷見さんが中に立ってまとめられたのでありますが、役所は第三者的立場に立っておった。この問題は事態の推移を見て、実態を明らかにしないと、役所自体が入ってあっせんをするということはちょっと申し上げ兼ねると思っております。
  142. 田中啓一

    ○田中啓一君 そこで非常に役所として心配されたのは、現在私はどれくらいの既存の業者があるか存じませんが、一方が非常に優秀な機械を持ってやって行く。一応は値段もあまり下げはしませんと言って、何と申しますか自重をしているものの、商売でありますから、それは売れる方がよいので、できるだけ作って安くする、こういうことにもむろんなり得ると思いますし、また消費者から言えばその方がけっこうだ。パンはいいものが安くなればそれに越したことはないのでありますから、どうしても既存業者というものがなかなか明治乳業がやるようなことば個々の人は資本力を持たぬのでありますから、いかに工程の合理化、製造の合理化をやると申しましても、たとえば三十万ドルでもこれは大金になる。結局は組合を作ってそうしてまた自分らもそういった安いパンを作って行くということに私はなるのかと思うのですが、しかしなかなかこれもそう簡単に行くものでないと思いますけれども、まあそういう筋で行くより仕方がないのではないか、こう思うのです。そういう場合には、特に今の中小企業の対策として中小企業庁を作ってやっているわけでありますから、そしてまた実にやかましい議会、いつの議会でも中小企業対策が問題にならなかったことはなし、かつまたどの政党でもこれを掲げざる政党はなし、こういう状態であるのでありますから、そういう見地に立ちまして、これはなかなか三十万ドルでも政府が放っておいては資金はまかなえないと思いますが、そういう場合には、政府はそういった資金についても相当めんどうを見るというような御決心がございますか、いかがでありますか。一つ伺いたいと思います。
  143. 清井正

    説明員(清井正君) パン食という観点からだけ見ますれば、いいものが安く売られることはけっこうでありますが、同時にただいまお話通り中小企業の対策という観点からの調整をとらなければならぬということは緊要であります。その間の調整をどうするかということが本問題でありまして、単に明治乳業だけの問題ではないのでありまして、本質はそういうところにあるのであります。そういう点から私どももこの問題につきましては、その本質的な問題にまで突っ込んで考えますと、いろいろ問題があるわけであります。そこでわれわれとしましても、ただ従来の考え方と申しますか、従来のこの種問題の処理のいたし方の経緯から考えますと、一応とにかく困った問題が、敷地の関係では再燃いたすということもありますし、この点の処理の経緯の具体的問題といたしましては、なかなかむずかしい問題がありまして、容易に役所が簡単にタッチしてどうこうというのは、非常にむずかしい問題があろうかと思うのであります。一方翻って中小企業対策といたしましていろいろなまたこれに関連する諸般の問題があるというようなことになります。そうしてそれに対する措置を私どもがまた別途の観点からいたさなければなりません。ことに中小企業の振興という立場から、こういうような中小企業者の資金関係等について応援するかどうかという問題につきましては、これは申すまでもなく、いわゆる中小企業対策というような観点からとともに、同時にまた消費者に対する価格の低廉な、品質のよいものを供給するという二つの方から考えなければならぬと思いますが、そういう点で、またそれらの中小企業者の方々の間の一つの企画等でもございますれば、これについて私どももできるだけの措置をとって応援することにやぶさかでない、こういうように考えるのであります。ただ具体的にどうこうということは、私は存じませんので、はっきり申し上げられませんけれども、私ども考え方といたしましては、そういう方向に考えて行かなければならぬと考えております。
  144. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとこの問題はこの程度にしまして、なお時間がおそくなりましたが、もう一つ御協力願います。   —————————————
  145. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次の日程によりますと澱粉の価格の点でございますが、これは十六日の委員会のときにマイロの輸入及びカンショ価格の件が議題にございますから、その節一緒に取り扱うことにいたしまして、もう一つ米穀の検査の件を議題にいたします。  この問題の経緯につきましては、すでに御了承の通りでありまして、過般の委員会におきまして、米の検査の件につきまして再度決議が行われておりますが、この決議に対しまして、その後当局においてどういう措置をおとりになっているかということを伺いたいのと、またこの機会に本年度の予約集荷の方は相当予定を上廻っており、さらにこれが出来秋までにはまだまだ政府の手元に集まる米が多くなると思います、これに関連して、すでに民間の各方面で家庭配給の量をふやせという、こういう要望も出ておりますが、かような点について、食糧庁としてどういうふうなお考えを持っておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
  146. 清井正

    説明員(清井正君) 検査の問題につきましては、再度当委員会の御決議をいただいて恐縮に存じておるのでありますが、この問題につきましては過般九月七日に、いわゆる本年度の標準品の査定会を実はいたしまして、一応の標準品をきめたのであります。割合に今年は作がいいと申しますか、ために割合に品質の優良なものが平均的に集まったような事情であります。私どもといたしましては先般申し上げました通り、規格につきましては、数字的なものはなかなか今すぐにつかむというようなことはできなかった状態でございますけれども、いわゆる標準品の取扱いにつきまして、御決議の趣旨に沿って標準品の決定に当って考慮したつもりであります。特に整粒等につきましても、いわゆる標準品となるところのお米の充実度でありますとか、あるいは皮の部分の硬軟、あるいは米の粒揃い等によりまして、査定するものにつきましては、できるだけ当委員会の御決議の趣旨に沿ってやったつもりであります。それによりまして標準品を決定いたしまして、ただいま各事務所にその標準品に基くところの見本の発送を実はいたしておりまして、各県ではその標準品に従って一応標準品を決定いたす段階になっておるのでありまして、なお私どもといたしましては特に今年の割に作がいいというときになりますと、一般的に品質が良好になってきますので、うっかりいたしますと質のいいときに、質のいい標準品をきめる、こういうことになりがちであります。無意識のうちにも判定がきつくなるということが従来往々にあるのでありますが、そういうことでなしに、実際の標準品に従って正確に、適正に検査を行うようにという指導をいたして参っております。なお今後、その点を徹底をいたして参りたいと考えておるのであります。なお、県の標準品のそれぞれの決定に当りましても、先般の委員会の御趣旨に沿いまして、実情に即して標準品をきめて参りまして、それによって検査の適正を期して参りたい、こういうふうに実は考えでおる次第であります。  なお、もう一つ委員長からお話のありました増配の問題でありますが、申すまでもなく今年の予約数量が二千七百七十五万石になりまして、二千三百五十という当初の予定よりも約四百万石ばかりふえたのでございます。それについて増配をしろという意味の御意見等をしばしば伺っており、また御陳情等も伺っておるのでありますが、私どもといたしましては結論的に申しまするというと、まだその分の決定はいたしておりません。ただ申し上げたいことは、かりに一日分増配するといたしますると、全国で百八十万石、約百九十万石近い米が要るのであります。消費県だけにいたしましても約百万石の米が要るのであります。そういうふうな次第でありますので、その点が非常に数量が要るという問題、これを一日やってすぐやめるというわけに行きませんので、かりにやるといたしますれば、ある程度続けなければいかぬということになりますので、一年間一日配給いたしますと、百八十万石要る、こういうような数字も出るのであります。一方また政府の持ち越し米のごときも、申すまでもなく本米穀年度の終りは、当初は十三万トン、九十万石程度のものを持ち越すつもりであったのでありますが、これまた二十九年産米の買い入れが予定より少い、予定より下回るということがありまして、なかなかその持ち越しが容易なことではないのであります。従ってそういうような事務的ないろいろな観点から考えて行かなければならぬ点がありますので、予定よりふえました分を、これを直ちに配給量の増に充てるということにつきましては、まだ決定をいたしていないのであります。いろいろな事情等を十分考えて行かなければならぬのであります。なお、御承知通りただいまは申し込みが集まりましたのでありまして、今後これから具体的数量を見るのであります。そういうような点も十分考えて行かなければならぬのでありまして、そういうことを十分伺っておりますけれども、われわれといたしましてもまだ結論に達していないと、こういうふうに申し上げるのが結論でございます。御了承願います。
  147. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御質問ございませんか。  ちょっとお尋ねしておきますが、政府の方でどういうお見通しを立てておられるかしれませんが、八月三十一日までに二千七百七十万石、これは大臣は第二次、第三次、第四次と次々と予約をして、今年のできた米は消費量以外は全部政府の方へ予約で出してもらうのだ、そういうような方針を明らかにしておられましたので、おそらく現在の八月三十一日の二千七百七十万石というのは、年内あるいは来年一月頃までに西の方の米ががっちりできるまでには三千万石をこす量は可能である、こう思うのでありますが、たまたま本委員会で農林大臣に、もし二千三百五十万石以上の米が集まった場合には、それは増配に充てるのか、あるいはどうするのかということを質問したら、そのときの大臣の答弁は、増配に充てる分もありますし、備蓄をする分もあります、こういうことで答弁をされているわけです。大体今度の予約の問題につきましても、食糧庁長官と農林大臣はこの前にもいささか違った方針を出されたのですが、私は大臣が予定以上に、二千三百五十万石以上集まった場合に、増配も考えなければならぬという趣旨からいえば、今でも四百万石以上で、私の見通しが間違いだとおっしゃるかもしれませんが、もうこれで災害は大してないのじゃないかと思いますが、そうなると六百万石、七百万石というようなものが余分に集まるというようなことになると、当然大臣の言明の線からいって、増配ということにならざるを得ぬと思うのですが、それは大臣の答えは大臣の答え、長官は長官ということで二本建でおやりになるのでございますか。
  148. 清井正

    説明員(清井正君) 私のただいま申し上げましたのは、ただいま委員長が御指摘になりました通り、数量的には相当の数量が政府の手に集まるのじゃないかという見通しが立つのであります。ただ、何しろ非常にかたいことを申しますが、まだこれは申し込みの段階でございまして、まだ具体的に数量をつかんでいるわけじゃないのでございまして、今後引き続いてこの秋から冬にかけて具体的数量をつかむという努力が必要であるのであります。  しかも一方に政府の持ち越し米が非常に少いという現実においてでございます。かたがた一方に豊作でございますから、ぜひ増配をしろという強い要望があるのでございます。そこで私どもといたしましては、これをどういうふうに予定以上の政府に集まった数量を措置するかということにつきましては、いろいろ私どもといたしましても事務的な観点からも研究を実はいたしておるのでございますが、ただいま申し上げましたような観点もございますので、まだ結論に達していないのであります。なお一つ十分検討いたしまして、この二千三百五十万以上集まった分につきまして、どういうふうな措置をとるかということにつきまして結論を得たいと、こういうふうに私は考えておりますが、本日のところはどちらともまだ結論を出していない、こういうふうな状況でございますので、御了承願います。
  149. 江田三郎

    委員長江田三郎君) もう一ぺん申しますが、長官は非常にかたく事務的にものをお考えになっていらっしゃるのですが、大体今年夏あれだけ暑いのを皆しんぼうしましたが、おそらく消費者の気持の中には、暑かったけれども米がたくさんとれたのだ、これでもっと配給がふえるのだ、あるいはやみ値も下るのだということを十人が十人思っているのじゃないかと思うのでして、私どもが聞いた範囲では皆やみ値は下るし、配給もふえるし暑うても、これでけっこうでございますと、こういうようなことを言っておるのですが、そういう期待を裏切るようなことは私はこれは政治ではないのじゃないかという気がするのでして、あなたの方が事務的な立場から非常に慎重な方針をお待ちになることも、それも当然かもしれませんが、やはり豊年というものは国民全体が喜べるような豊年にして行かぬと、ほんとうに民の心と違った方向に行きやしないかと思うのでして、その点は十分お考えになっておいていただきたいと思います。私はそれを要望しておきます。
  150. 奥むめお

    ○奥むめお君 ちょうど長官がおいでになる際ですから、私も委員長につけ足して要望しておきたいと思います。ことしの豊作は長官自身もお認めになっていらっしゃる。消費者としましてもいつも今まで凶作のときのしわ寄せは消費者にきた。そのほか米価がきまるたびに結局押しつけられた結果は、消費者の米価にきているわけです。今度初めて非常な豊作の予想を持っておりますわけですが、今度こそ生産者もうれしいし、消費者もうれしい秋がくるのだということで、非常に喜んでおるわけです。それを何としても消費者に潤いを与えてもらうように公平にやってきめてもらいたい。これは消費者のすべての願いだと言わねばならないと思います。それじゃそれは何であるかといえば、やはり今までしんぼうしていた配給量の増配だと思います。農林大臣もこの委員会でそういう声明をしておいでになったと聞きますと、私なおこれは見込みのあることだ、また量からいってできなければならぬと思います。今は予約であってきまらなければわからないとおっしゃるのは、私は食糧庁長官の言とも思われないのでありますが、何としても今度は増配でこたえて行こうという気持で一つ米を確保して、そして対策を早くきめてもらって、国民に発表してもらいたいと思います。しかし増配してもらったからといって、それだけ予定よりもよけい買うようになったのだから、消費者米価が上るのだといわれたのじゃまたこれは困る、簡単に考えるときにはそれ豊年だといって喜ぶのですけれども、ちょっと深く考えますと、政府はまた今度は初めの予定よりもよけい買い上げるとしたら、予算も底をついておるのだから、それだけ消費者がおんぶしてくれなければ困る、米価を上げるのも当然だといわれそうな気配もあると思うのです。ですからこの豊作の喜びが、今度消費者の米価つり上げにならぬとも限らぬ。新聞なんかにも実際指摘されておるようですが……。ですから私ども消費者の米価つり上げにならぬとも限らぬ。新聞なんかにも実際指摘されておるようですが……。ですから私どもからいうと、この際は豊作の喜びは生産者、消費者に公平に分けらるべきだ。それから消費者米価としましては絶対に上げる理由はないということ、増配はできるはずだということを私ここで申し上げておきたい、ぜひその要望に従って一つ親切な対策を考えていただきたいと思うのでございます。いかがでございますか。
  151. 清井正

    説明員(清井正君) 今私ここではっきり申し上げられないのでございますが、まあ数字等につきましては先ほど私が委員長に申し上げた通りでございまして、今までの配給基準量をそのままとすれば二千三百五十万石であったのでありますが、一応それが相当の数量にふえたということで、結局これは政府の持ち越しとして取っておくか、配給をふやすか、どっちかしか方法がないわけであります。こういうことにつきまして、先ほど委員長にお答え申し上げました通り、ただいま検討いたしておる最中でございます。なお、消費者価格等につきましても、それはまあ現在の消費者価格で維持することといたしまして、先般米価を引き上げることにつきましていろいろ交渉したのでありますが、今後いろいろの問題に関連いたしまして消費者価格の問題もあるいは議論になるかもしれません。これはまた重要な問題でありまして、私ここで何とも申し上げられません。御意見の御趣旨は十分拝聴いたしておきたいと思います。
  152. 清澤俊英

    清澤俊英君 検査の標準ですね、どうもあの先般のお話のときからも、委員会の意向を入れて、ぜひ趣旨に沿うようにする、こういうお話でありましたが、現に私らのところでも売り渡しが始まっておるので、毎日検査が行われておるので、非常に強化せられた検査標準でやられておるので、現に憤慨していますが、どうも今おっしゃることは、お話とだいぶ違っておるところが出てきておる。この間の約束通り一つ標準米をどういう標準で御通達になったか、それをちょうだいできませんですか。
  153. 清井正

    説明員(清井正君) ちょっと実はただいま数字を持っておりませんが、どういう程度のことになりますか。私どものところに報告の参っておりますのは、ことしは相当、今までの検査の状況からいたしましても、三等以上のパーセントは非常に高くなるということはきておるのであります。ただいまのお話と逆なお話でございまして、なお帰ってよく検討いたしてお答えをいたさなければならぬと思うのでありますが、おそらく私の聞いておる範囲では相当、まあ三等以上の割合が今までよりも高くなるだろうということが、現在までの検査の実績に徴して考えられる、こう実は報告を受けておりますが、なお一つ帰りましてよく調査いたしまして……。
  154. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは天気工合ですからそういうことが出るのは当り前でしょう。農民が期待したものから見れば検査が厳重だ、その率じゃ問題にならない。破天荒の天候に恵まれておるのですが、非常に検査標準が厳格だということは私のところにも参考資料はあります。きょう持ってくるのをちょっと忘れておりましたか、一ぺんそれはお伺いしようと思っておりました。
  155. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それじゃこの程度でよろしうございますか。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後四時四十八分散会    ————・————