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1955-03-31 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月三十一日(木曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     荒木正三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            奥 むめお君            森 八三一君            江田 三郎君            三橋八次郎君            東   隆君            菊田 七平君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    法制局次長   高辻 正己君    内閣総理大臣官    房審議室統轄参    事官      田上 辰雄君    水産庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    通商産業省通商    局次長     大堀  弘君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (漁業用石油に関する件)  (農業所得に対する適正課税に関す  る件)  (ビキニ水爆実験損害補償に関す  る件)  (農林水産業に対する基本施策に関  する件)   —————————————
  2. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) それではただいまから委員会を開会いたします。
  3. 千田正

    千田正君 先般前国会におきまして衆議院の水産委員会、また本院の水産委員会から石油輸入外貨割当について、全国漁業協同組合にその実需に応じて外貨を割り当てるべきであるということを、決議をもって政府当局に申し入れたのでありまするが、その後の政府間の折衝について一応伺っておきたいと思いまするが、通産省立場からその後はどういうふうに一体交渉が進んでおるのか、国会決議を尊重されて、十分にその意を体して、各当事者である行政官庁間において十分に打ち合せが済んでおると思いますので、その間の経過の御報告を伺いたいと思うのであります。
  4. 川上為治

    説明員川上為治君) ただいまお話がありましたように、この前のこの委員会におきまして、全漁連関係に対しまして石油輸入外貨を与えてもらいたいというようなお話がありましたが、またそういう決議があったのでありますが、その決議に対しましては、私どもといたしましては尊重いたしまして、いろいろ検討をいたしたのでありますけれども、この石油外貨割当は最近におきましてはどちらかと申しますと、まあ非常に細分されておるという点もありまして、私どもの方としましてはそのためにいろいろな弊害も起きておりますので、むしろもっと輸入業者を少くしたほうがいいんじゃないかというような考え方も持っておる最中でありますので、全漁連に対しまして外貨を割り当てるということも、そういう点も考えまして、これは慎重に検討しなければならないというふうに考えておりまして、今のところ農林省ともいろいろ相談をいたしましたが、私どもの方としましては全漁連に対しまして外貨を割り当てるということを今のところは考えておりません。ただ重油価格が最近上っておる。これを何とかして引き下げて、特に小規模の漁業者に対しましては値段もある程度引き下げてあげなくちゃいけないということで、二月の二十五日でありますか、農林省といろいろ相談をいたしまして、大体現在の価格よりも重油につきましては七百円程度引き下げるということにいたしまして、これは四月の一日からこれを実行するということに農林省との間に話をきめたわけであります。  現在各地区別価格、この七百円程度と申しますのは、全国平均引き下げ率でありますので、これを北海道あるいは東北という各地区別に、あるいは千円程度なりあるいは五百円程度なりということに相なるわけでありますが、この具体的な細目につきましてはいろいろ話し合いをしておりまして、この四月一日から必ず実行できるように今相談をいたしております。大体地区別価格なりあるいは数量なりそうした問題につきましては、農林省との間に大体話しはもうついているのですが、きょうも最後の細目について打ち合せをいたしておりまして、四月の一日からこれが必ず実現されるように私どものほうではやりたいというふうに考えております。もちろんこの問題につきましては石油業界のほうでも協力をいたしておりまして、この二月の二十五日には全国石油組合の協会のほうからこれに対しまして協力をするという発表もいたしておるわけでございます。  先ほど御質問のありました問題につきましては、今申し上げましたように外貨割当につきましてはわれわれとしてはまだ研究を十分しなければなりませんが、通産省としてはいろいろな問題が現在ありますので、全漁連に対しまして外貨割当をするわけにはいかないというまあ考えでありますが、価格引き下げにつきましてはわれわれとしましては十分一つ今後におきましても協力していきたいという考えでおります。
  5. 千田正

    千田正君 まあ通産省立場からはそうおっしゃられるのはあるいは当然かもしれませんが、おのずからその観点がわれわれとは違う。と言うのは、ある価格引き下げをして協力する、約七百円か、その程度値段を下げるというのでありますが、その値段を上げたのは、実際を言うと業者であって、昨年の八月ごろ非常に高いところまで自分らで値上げしておった。それを下げるといってもそれは下げるということは自粛であって、ちっとも協力という意味にはならない。昨年、一昨年以降からの関税その他を調べてみましても、上げなくちゃならない理由一つもないにもかかわらず、中間におけるところの、搾取しておるところの石油業者自分らの利益のためにそれを上げておる。その高いところまで行ったものを五百円なり七百円下げるといっても、それは協力じゃなくて自粛であります。  もう一つは、これは農林省通産省とおのずからその行政の面において違うかもしれませんが、農林関係から申しますというと、たとえば日韓間の貿易の問題にしましても、韓国ノリ輸入する、輸入しなければ通産省から指令を出しておったところの韓国との貿易は片手落ちになって韓国からなかなかとれない。いわゆる貿易の決算じりは貸方になっておって、どうしてもそのあれはとれないから、せめて韓国からノリ輸入でもして日本が貸付になっておるところの金を決済しようともこういう考えがある。しかしながらそれはあくまでも韓国ノリを入れるということは、日本水産業者の圧迫であって、日本水産業者の、少くとも苦しい沿岸漁民犠牲によって国際じりを抹殺しようと、こういう考えである。われわれから見ればほんとうに生産業者が苦しんで、さらに韓国からノリでも入って来るというと値段がまたがた落ちしてしまって生産が成り立たない。そういう犠牲を忍んでまでも国際貿易じりをある程度調整しなければならないという立場に立っておる。にもかかわらず、石油業者のいわゆる中間業者というものは一体何を生産に対して寄与しておるのか。自分らの勝手なときにどんどん値段を上げた。そしてこちらから申し入れるというとやむなく協力しますといって自粛程度値段を下げる。これは下げるのは当然であって、関税その他をしさいに検討して、その価格は妥当であるかどうかということを検討したならば、もっともっと下げなければならない。私はそういう点において、あるいは通産省立場からいえば商権擁護立場であり、業者を保護しなければならないという立場をあなたの立場から言われると思いますが、われわれから言いまするというと、非常な苦しい立場におるところの生産業者を、いわゆる水産なり農林なりという業者を圧迫してまでも、いわゆるそうした石油業者に寄与しなければならないという理由一つも私はないと思う。そこでお互いにそういう立場におって国の生産なり貿易なりという問題をスムースに運ぶために、政府当局間において十分にこれは調整しなければならない。そういうことに協力してほしいということをあの決議の中にも織り込んであなたがたに申し入れてあるのでありまして、値段を下げたらそれでいいだろうということではない。私から言いまするならば、これは国家経済の根底をなす一つの部門であるから、十分に検討して、おのおののセクショナリズムを打破して、そうして日本生産を助長しながら、かつまた国際貿易というものにおけるバランスも十分考えてやらなくちゃならない。そういう観点からいわゆる執行機関であるところの各官庁はやるべきであって、セクショナリズムによって対立することはわれわれは喜びません。でありまするから、値段を下げるといっても、あなたの下げると言うのは、われわれから言えば、かって勝手に業者の上げた値段を一応自粛するという程度にしか過ぎないのでありまして、これを十分検討していただいて、同時に全漁連に割り当てろということは、一面においては全部をくれと言うのじゃない。実需においていわゆる全漁連の系統を通じて実際の零細な漁民に提供する、これがいわゆる全漁連の機能である、また漁業協同組合の法的に許された、またその主眼の一つの育成、達成のためにもそういう面を考えておかなければならんという意味において、当委員会としましては決議文を差し上げたわけであります。でありまするから、ただいま御検討中であるとするならば、もう少し掘り下げて、ただ値段を下げたからいいのだ、こういうことじゃなく、もう少し関税あるいはそのルート、あるいは実需者における場合においてはどういう程度にそれが生産に寄与するかというような点まで掘り下げて考えてこれは善処していただきたい。この点を強く要望いたしまして、もう少し研究をしていただきたいと思うのであります。
  6. 江田三郎

    江田三郎君 私石油の問題よくわからんから聞くのですが、一体今の石油国際価格、それからいろんな輸入に伴う諸がかりを加えて、適正利潤をまああなたのほうでどのくらい見込むかしれませんが、そういうことにしますと、どのくらいな相場適正価格ということになるのですか、日本市場において。
  7. 川上為治

    説明員川上為治君) これは石油にもいろいろその種類がありまして、たとえば重油にしましてもA重油B重油C重油とありまして、まあ主として漁船関係A重油が使われておるのですが、B重油もある程度使われておるというわけでございますが、A、B、Cの重油の中でA重油は比較的高いわけであります。C重油が一番低いのでありますけれども価格につきましては大体FOB価格というのはそんなに動きませんけれどもCIF価格、すなわちフレイトにつきましてはしょっちゅう動いておるのでありまして、またA重油そのものにつきましても方々から入れておりますし、たとえばアラビアからも入れておりますし、あるいはアメリカからも入れておりますし、いろいろな方面から入れておりますので、一がいにどの価格が最も適正であるということを言うことはなかなかむずかしいのでありますが、われわれの方では一応今度引下げました程度、すなわち一万四千五百円から一万五千円以内というところが、業界の一応の利潤考え、また最近特に漁業関係につきましては貸倒れが非常にありますので、そういう点も考慮いたしまするというと、今申上げました程度価格が一応適当の価格ではないかというふうに考えておるのでありますが、これは相当突っ込んで検討をしてみませんというと、なかなかどの価格が適正であるかということはむずかしい問題でありまして、現在われわれは権限的にも徹底的にそれを調べ上げるという権限もなかなか持っておりませんし、あるいは精製業業精製費につきましても、これを徹底的に調べるというような権限もまだ持っておりませんので、一応常識的と申しますか、われわれが一応考え得たところでは、今申上げましたようなところが適当な価格ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  8. 江田三郎

    江田三郎君 どうも通産省の方に聞くと大体どういう問題についても今あなたのおっしゃるような答弁をされるのです。権限がないから生産費がわからん、肥料の場合でもそういうことを言われる、砂糖の問題についてもそういうことを言われる、しかも見ておるというと、肥料でも砂糖でも、石油でも、会社はそれぞれまず普通の経済界平均利潤以上のものを上げておるようにわれわれは見受けるわけです。ところがあなたがたの方は、それはどうもよくわからない、わからんと言われながら五百円なり七百円なりというようなものを数字として出してこられる。七百円ということをおきめになっても、五百円ということをおきめになっても、根拠があってやっておられるのだろうと思うので、わからんでそういうことを私はやれるわけはないと思う。FOB価格がきまっておっても、CIF価格のほうはいろいろ変動があるというのはよろしいが、しからばCIF価格のほうで、その後の今おっしゃったような、貸倒れ危険性とか何とかということをおっしゃいましたが、CIF価格以降の諸掛りというものはどのくらいが妥当だとお考えになっておるか。
  9. 川上為治

    説明員川上為治君) 私のほうとしましては先ほども申し上げましたように大体のところは一応検討をしておるんですが、それ以上に細かく突っ込んではなかなかわからない点もあるわけでございまして、物価庁が前にあった時分におきましては、これは権限も持っておりまして相当突っ込んで調べることもできたわけでございますけれども、現在におきましてはそういう仕組みになっておりませんので、まあ大体当時の資料なんかをもって、現在大体どれくらいが適当であろうかという判断でやっておるわけでありまして、非常に私どもの方としましては細かく突っ込んで調べることができないということを申し上げておるわけでありまして、決して全然根拠なしにこれくらいがよかろうということを申し上げておるわけではございません。実はきょうCIF価格以降についての細かい資料を私持ってきておりませんので、大体どれくらいと……精製費はどれくらい、何がどれくらいということを申し上げられないのですが、これは今資料を持っておりませんので何とも申し上げられませんけれども、まあ私のほうとしましては今回引き下げました七百円程度、これは見方によりましてはまだ非常に甘いんじゃないかというような見方もありますけれども先ほども申し上げましたように貸し倒れの問題とかいろいろな問題もありますので、さしあたりこの程度でというようなことでやっておるわけでございます。
  10. 江田三郎

    江田三郎君 ほかのこととは違って鉱山局長をしておられれば、しかも今こういうことが問題になっておれば、資料を持っておいでにならなくても私は頭の中でそんなものははっきりしていると思うのです。しかし資料がなければお答えできないのなら、改めてどういうようなことになっているのか。このFOB現状それから運賃なり保険料の問題、CIF以降の問題、こういうことについてあなた方が見ておられるところの資料を提出していただきたいと思うのです。それからさらに最近二カ年間の石油海外市況と国内の市況との動きを資料として出していただきたいと思います。そういうことについてわれわれもう少し調べていきたいと思いますが、と本かく私どもが聞いていると、まあしろうとだからわかりませんが、われわれ聞かされるところによると一万四千五百円とか一万五千円とかいう相場よりもまだずっと下っていいように思うのです。これは従来肥料の問題についても同じような問題が起きておる。通産省の方は肥料メーカー立場に立っておられる、と言っては失礼かもしれませんけれども、大体そういうようなことが明瞭になっているわけです。従って農林省立場と違う、消費者立場と違う、そういうなことがいつでも起ってきているわけです。われわれはあなたの方から今一万四千五百円から一万五千円が適正な価格だと言われても、そう納得できないんです。改めてそういう資料を出していただきたいと思います。  それからこれはあなたのお仕事領分よりも通商局長のお仕事領分になると思うのですが、先ほど言われましたように、現在外貨割当が細分化されているために弊害があるというお話がありましたが、一体どういう弊害があるのか。弊害ということになれば、今ここでやかましく言われれば、七百円を下げなければならんということも一つ弊害なのか、一体どういう弊害があるのかということを聞きたいのです。あなた方の弊害というのはただインポーターなり石油業者のための弊害であるのか、あるいは国民経済全体のための弊害なのか、言われてから七百円下げなければならんということは弊害とお考えになっていないのか。さらに外貨割当全漁連に与えることによってもしこれを下げるということになれば、それは弊害であるのかないか、いろいろ立場によって弊害が違うと思うのです。一体どういう弊害があるのかということをお聞きしたいと思います。
  11. 川上為治

    説明員川上為治君) 現在重油輸入業者と申しますか、外貨割当を受けておる商社はたしか二十五社か六社かあります。もちろんその中には非常に大きな商社外貨割当の非常に大きいものもあるわけですけれども、相当な数が非常に小さな割当を受けているわけでありまして、ほとんど船を毎月一船、あるいは二月に一船出すということもできないというような割当になっているわけであります。従いましてそういうような輸入業者は年にわずか一ぺんか二へんしか輸入ができないというような状態になるわけなんですが、結局そういう人たちは河か非常に大きな輸入業者に対しまして頼んで一緒に油を入れてくるというようなことをやっておりまして、自然それが船の分割とかいうような問題などが起きまして、これは船賃の問題とか、いろいろな問題に関連をいたして参りまして、決してこれはいいことではないというようなふうにわれわれは考えるのでありまして、やはりもっと強力な商社が月に少くとも一船くらいずつは常に出して輸入をするというようなことにしなければいけないのではないかというようなふうに考えているのであります。またいろいろなタンクの施設なり、そういう点から申しましても、やはり相当のタンクを持っていて、十分その輸入したものを配給し得るような力を持っているものがやはりこの仕事に対しまして当らなければいけないのではないかというようなふうに考えるのであります。今申し上げましたように、輸入業者が非常に多くて、非常に細分されて、船も、実は一般を何人かで分けているというようなことは、やはり輸入業として私はまずいことではないかと考えておりますのて、私どもの方としましては、もっとこれは減らして、今よく言われます商社強化といいますか、そういうことをやはりやっていかなければいけないのではないかというように考えるのであります。商社強化というものは単に石油だけでなくて、あらゆるものにつきましてももっと商社強化しなければ、日本輸入なり、あるいは輸出というものはなかなかうまくいかんということを言われているのでありますが、やはり石油につきましても、余り細分するということはそういう点からいいましてもよくないことではないかというふうに考えているのであります。
  12. 江田三郎

    江田三郎君 年に一ぱいくらいしか船を使わぬ輸入業者もあるというようなために弊害が起るということは、それはあり得ると思います。しかし今全漁連の方で言っているのは、二十万トンというふうに私は聞いているのですが、これをお認めになるということは、年に一ぱいの船というようなことではなくて、相当まとまった数量でありますから、従って今あなた方が言われたようなことにはちょっと該当しないのじゃないかと思います。そこで一体全漁連の二十万トンというものを許可できないのは、二十万トンでは少いから許可できない、弱少だというような、一つ数量としてはまとまり方が少いという意味なんですか。あとでちょっと言われましたような、このタンクだとか、あるいは何だとか、輸入後の処置についてお話のような難点があるのか。あればどちらに難点があるのか。
  13. 川上為治

    説明員川上為治君) まあこれはいろいろな点から私は検討しなければならないと思うのであります。現在重油につきましては石炭との関係なんかで、あるいは外貨全体の問題から、これをどんどんふやすというような状況にはないわけであります。もちろん漁業関係につきましては、これは何とかして確保しなければならぬということになっておりますけれども重油全体といたしましてはむしろ減らされているというような状態にあるわけでございます。たとえば今年の外貨割当につきましては、五百三十七万キロリットルで押えてきたわけでありますけれども、三十年度におきましてはおそらく五百十万くらいになるのではないが、大体そういうふうに大蔵省にわれわれの方では話をしてあるわけなんですが、むしろ今年よりも、来年の外貨割当は少くなるというような状態にあるわけであります。そうしてもうすでに外貨割当を受けている商社が、先ほど申し上げましたように二十五件くらいあるわけなんですが、だんだん減らされていきますというと、そういう業者割当分というものもだんだん減らされていくということに相なるわけでありまして、もちろん私は単にそういう業者商権擁護だけを考えているわけではありませんけれども割当が減りますというと、従業員あるいはタンクの施設、いろいろな点からいいまして、やはりそれだけ非常に問題を起すということになりますので、私の方としましては、現在の輸入業者をそんなに減らしたくない。従って全漁連につきましてもそういう意味からも私の方としましてはほかに値段をこれは下げるということが私は一番大事な問題ではないかというふうに考えますので、そういう措置をとりますならば、外貨割当を、そういう窮屈な際でありますので、あえてする必要はないのじゃないかというような点も裏、えられますし、また全漁連そのもの外貨を割り当てました場合に、果してうまく配給するであろうかという点につきましては、いろいろわれわれの方でも意見もありますし、実は全漁連の方からも話をいろいろ伺っておりますけれども、しかしなかなか納得し得ない点が多々あるわけでございまして、これはいろいろ説明も求めていた一わけなんですが、われわれとしては今日まで十分納得し得るような説明も聞いておりませんので、そういういろいろな点から見まして、全漁連に今外貨を割り当てるということは、私どもの方としましてはこれは考えていないというわけでございます。
  14. 江田三郎

    江田三郎君 今あなた方の話を聞いていると、終始一貫、いろいろな表現はされますけれども、やはり輸入業者なり、あるいはその他のあなた方関係業者擁護ということに尽きているわけです。かりに全漁連外貨を割り当ててうまく輸入できるかどうか、そういうことに心配があるというなら、直接外貨を割り当てて、そうして全漁連がそれをもって輸入するという方法でなくても、あるいは全漁連発注証明によって商社の方が輸入をする。とにかく漁業関係石油のワクというものを一本出してしまう。そういうようなやり方だってあるわけで、合理的にやろうと思えば幾らだって方法があるわけです。問題はあなた方が一万五千円とか一万四千五百円とかと言っておりますけれども、そういう価格が納得できないというわけです。今の漁業の置かれている赤字の漁業現状と、それから石油関係業者がどれだけの配当をし、どれだけの利潤を上げているかということを見比べるというと、どう考えてみても納得できないということになる。そこで一つ通商局の方からおいでになっているから伺いますけれども、今鉱山局長の言っておられるのは、むしろ通商局の方の考え方によって左右されると思うから聞くのですが、どうもあなた方の方のやり方は、ひとりこの石油に限らず、商社というものに非常に重点を置き過ぎているのではないかということなんです。何かというとインポーター強化しなければ日本国際貿易はうまくいかんというようなことを言われますけれども、そういう言葉の中に、言葉は言葉でいいのですけれども、現実はたくさんの弊害を生んでいるわけです。石油の問題、いろいろ繰り返して申し上げますが、文句をつけられれば五百円でも七百円でも下げる措置をとらなければならぬということが、もう一つ弊害なんです。しかもそれを下げるといったって、四月一日からどういう方法でお下げになるか知りませんが、一体それは法的根拠があるのかどうか。どういう法的根拠で下げさすことができるのか。法律に基かずして行政指導だけでそういうことをおやりになるには限度があると思う。もし法律に基かずして行政指導だけで何でもかんでもやるということになれば、行政指導で値段を五百円でも七百円でも下げさすということを今後どんどんおやりになるということになれば、これは考え方によると官僚フアッショということも言えぬことはないと思う。やはり私は法律に基いて物事がきっぱりときまっていくというやり方をしなければならないと思う。しかも鉱山局長お話しのように、ほんとうに五百円がいいか、七百円がいいか、何ぼがいいかということについての確たる自信はない。ただ今までの物価庁当時の頃から見て、このくらいが妥当であろうという常識的判断をしてやるだけだということなんです。そういう行き方というものは限界があると思うのです。一体この通商局の方は実需者というものをどうお考えになるかということなんです。実需者インポーター関係をどうお考えになるか、たとえば先般の中共からの大豆輸入にしましても、ああいうような、内容はあなた御承知と思いますが、一体商社の取り分というのは、あれが妥当かどうかということなんです。われわれから考えるとあんなべらぼうな商社の取り分というのはないと思うのです。そういうことを今の鉱山局長お話によりますと、さらに輸入業者を少くしていく、一方において今日の新聞に出ておりますように、三井の合同ができた、だんだん、だんだんこのごろ大きくなってしまって、あなた方はインポーターを育成強化するのだと言っておるけれども、育成強化じゃなしに、向うがあなた方の手に負えぬような大きなものになってしまう。今度はあなた方が育成強化しようとしておったのが、向うの方からあなた方を指揮命令するということに私はなりはしないかと思うのです。大へんなことになってくると思うのです。そういうことが進むに従って実需者というものが忘れられて、インポーターだけ、業者だけが独走する、勝手な利潤をあげる、国民生活に一番関係のある大豆のようなものでもそうで、ああいう行き方は今後もあれをお続けになろうとお考えになっているのですか。そういうことについて一つ通商局長のお考えを承わりたい。
  15. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) ただいまの御質問でございますが、私ども関係いたします問題は商社に対する割当の問題かと思うのでありますが、まあ通商局といたしましては、貿易商社強化問題ということはかねがねの方針といたしまして現在でもその方向に進めておるわけでございまして、ただいま御質問のような大商社ができたら手に負えなくなるのじゃないかというお話もございますけれども国際貿易の一般の現状から参りますると、非常に終戦後の分割政策によって国際的な競争力が非常に弱体化いたしまして、ことに中小のものが非常な競争をしてお互いに出血をしていくという現状でございますので、私どもといたしましてはやはり貿易に関する限りは国際的に十分の競争力を持ちますためには、ある程度業界の秩序というものも考えて参らなきゃならん、そういうふうに考えておりますし、商社はある程度強化して参らなきゃならん、こう考えておりますが、しかしながらただいまの外貨割当の問題に関係いたしまして、結局為替管理を実施いたしまして輸入が制限されております限りは、若干国内価格国際価格に比べて高くなるという場合があり得るわけでございます。そこで為替割当をどこに与えるかということによって、為替割当を受けた人がある程度利益を得るというのが実態だと存じます。これはただいま問題になっております石油に限らず、一般の場合に相当現実にあるわけでございます。この問題につきましては私どもは本年度は外貨予算の編成方針もできるだけ必要なものは十分に確保するという方針によりまして編成いたしまして、あまりそういった国内の価格が上りますような方向を避けて参りたいという考え方でやって参っておりますが、その場合に割当をメーカーにやるか、あるいは商社にやるかというような問題でお互いに既得権をば争い合っておるというのが現状でございます。私どもといたしましては、この問題を商社割当を与えて商社に利益を与えるのだ、そういうことによって商社強化するのだ、こういう考え方はとっておるわけではございませんで、むしろ国際貿易の正常化という方向から参りますというと、輸入契約をして為替を取り組む人に対して為替の割当をするのが正常であろうという考え方に立っての行政上の整理をいたしたいという考え方で進めております。たとえばただいまお話のありました中共の場合は、これは特殊なケースでございまして、バーター契約で中共との取引を行なっております関係上、物を輸出した人、輸出できる人に対して輸入割当を行なっております。これは中共大豆が非常に値段が高いわけでありますけれども、見返り物資が中共に出ますので、見返り物資を出し得る人に対して輸入外貨割当をする、こういう運用でアメリカから大豆が参ります場合にはストレートでドルを払っていかなければならない。中共から参ります場合は値段が高いけれども見返り物資が出る。従って外貨の節約になるということで、中共の場合にはバーター方式によりまして為替の許可をいたしております。従いましてこの場合には輸出を行う商社に対して外貨割当が行くわけでございます。具体的ケースとして、あるいは利益が出た場合もあるか、それはよく存じませんが、若干利益が出ておる場合があるんじゃないかと思いますけれども、輸出の振興、見返り物資が出るという前提に立って私どもは為替の許可を与えておる次第でございます。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 今おっしゃるように三百六十円のドルが、輸入した場合には円の実勢からみてとにかく輸入すればもうかるということははっきりしていますわね。それはあなたの方ではバーターでどうだとか、スイッチでどうだとか言われますけれども、バーターで何ぼ損する、スイッチで何ぼ損するからそれを見てやらなければならぬと言われますけれども、実際はみなもうけ過ぎると思いますよ。商社の横暴ということは今どこへいってもの声じゃないですか。あなた方はその声は十分お聞きになっておると思うのです。そこでそういうような業者だけに何もかも、インポーターだけにドルを割当てるのじゃないということになるなら、それならば、先ほどちょっと申しましたように、たとえば漁業関係についても全漁連というものを、全体の漁業関係の代表的団体というものを認めるということになれば、そこへ一定の数量というものを与えて、そうしてそこからの発注証明によって業者輸入するという方式をおとりになるお考えございませんか。あるいはそういうことはあなた方の方針も個々ばらばらでないと思うのでして、一貫しておやりになると思うのです。もしそういうようなことをおやりにならんで、業者だけ、インポーターだけおやりになるということなら、今後砂糖の問題についても全部インポーター一本でお行きになりますかどうか、その点どういう工合になりますか。
  17. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 石油に関しましては先般来需要家に割当をすべしという御意見がございますことを承知いたしておりますが、石油の需要の範囲が非常に広汎でございましてかりに漁業用ということになりますれば、製鉄用、その他各需要家が全部割当の要求をいたして参る、これは取引地の為替割当行政の混乱を来たすという見地におきまして、私どもといたしましては石油に関しましてはこの際需要家に割当をするという考え方はございません。  なお一般の物資につきまして私どもは為替の割当はできるだけ輸入契約をし、為替取り組みをする人に対して為替割当をするという方向に逐次持って参りたいという考え方をとっております。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 しからばそういう一貫した方針として、今聞きました砂糖なんかについても砂糖業者発注証明という形式はとらんで、全部インポーター一本で行かれますか。
  19. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 現在まである程度製造工業者に対して原料割当の形で割当てておりますケースがございますが、その場合につきましては実情に即してやって参る以外にないと考えております。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると実情に即しているわけじゃないじゃないですか、これでもはっきりしているでしょう。同じような需要者であっても、製糖工業という場合には製糖工業の発注証明輸入さして行くのだと、そういうケースを認めているのだ。漁業関係の小さな零細漁業の団体である全漁連に対してはそういうものはやっていかない。しかも漁業関係でも大きな漁業者になると自分で勝手なことをやっているじゃありませんか。もしもこれが大きな漁業者の団体であれば、あなた方は恐らく発注証明という形式をおとりになると思うのです。砂糖のような大資本の場合には要求を聞き、そして零細な漁業者の場合にはその要求を踏みにじっていく、一貫しているものは大きなものの前にだけ頭を下げるということが一貫しているのじゃないですか。そういうことで大きな業者だけを肥えふとらせることが、日本国民経済を豊かにする道とお考えになっているのですか。もう少しこの問題について……私ども全漁連の問題については回答は一つしかないとは申しません、いろいろな行き方があると思います、しかし七百円下げるということをもって足りるとは思っておりません。もっと別な方法をお考えになることはできませんか。お二人の間で一つ相談願いたい。なお当参議院の水産委員会から一月二十三日に出しているものに対してどういう御回答をなさいますか。あるいは今鉱山局長が言われました七百円下げるということが最終的な回答ですかどうか。農林大臣は七百円下げるという措置は最終的な回答ではないのだ、さらに外貨割当その他の方法についても考慮するということをきのうの委員会で言われましたが、政府部内において農林省通産省とは違った意見を持っておるのですか、その点どうですか。
  21. 川上為治

    説明員川上為治君) 先ほどからいろいろ申し上げますように、私どものほうとしましては、さしあたり七百円下げる、そして零細な業者に対しまして少しでも貢献しょうというような措置をとったわけでございますが、割当の問題につきましては先ほども再々申し上げましたように、私ども自身としまして、いろいろな問題から考えて、今全漁連に対しまして外貨割当てるということは妥当でないというふうに考えておるのでありますが、これは先ほども申し上げました通り、全漁連自体において果して適正な価格で、また非常に今うまく配給ができるかどうかという点、あるいは果してこの油の輸入がうまくできるかどうかという点についても私自身としましても相当疑問を持っております。これに対しましていろいろ話も聞いておりますけれども、私自身納得も十分しておりませんし、またそれ以外に先ほど申し上げましたように、いろいろな問題がありますので、非常にこの油の数量が多くてどんどんふえていくというような場合と現在におきましては非常に違っておりますので、私どもの方としましては、今外貨割当をするということは考えておりませんが、ただ外貨割当をしなくても、ほかに何かもっと方法はないかというような問題につきましては、十分我々としては検討して行きたいというふうに考えております。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 いろいろありますけれども、私ばかり言ってもいけませんから私はやめますけれども、改めて先ほど申し上げました資料通産省の方からお出しを願いまして、その後さらにこの問題を続けて行きたいと思いますが、一つ文書による二十三日の申し入れがあるわけですから、これにつきましてはいずれあなた方のほうでも文書によって御回答なさると思うが、その御回答に当って私は先ほど申し上げましたように、答は一つじゃないと思います、いろいろ方法があると思います、今あなた方がおやりになろうとする七百円下げるのだ、五百円下げるのだという程度のものはわれわれとしては納得できない、しかしあなた方のほうから資料を頂いてその数字が納得できる数字になるかも知れませんけれども、少くとも私どもが今まで聞いた範囲では、それではあまり適切な措置とは考えられませんので、その回答をされるときには、十分あらゆる面で方法考えて御回答を願いたいと思います。まあ、資料をいただいてさらにまたそのときに質問を続けますから、ほかのお方がありますから私これでやめます。
  23. 千田正

    千田正君 一点だけ。これは申し入れたことですが、通産局次長もおりますし、鉱山局長もよく聞いていただきたい。これは参議院のみならず衆議院の水産委員会からも決議を出して政府に申し入れている。あなた方は大臣の意向を汲んでそういう御答弁をなすっているかも知れないけれども、あなたがた執行機関立場として、自分らだけでこうやりたいのだということでは僕らは国会の権威のためにそういうことは了承できないのです。大体のことは今江田君の御質疑で、江田君の意見と大体私は同じですが、もっと慎重に研究されて、農林省通産省と十分に研究して答えをいただきたい。ここで割当てませんとか、割当の意思はありませんとか言っても、それはあなた方の執行機関立場で、立法機関のわれわれとしてはそういうことは国民全体の利益のために、又生産擁護のために特に我々は決議をもってあなた方のほうへ通達してあるのですから、その点を十分考えまして、十分御検討してお答えを願いたいと思います。
  24. 東隆

    ○東隆君 私も伺いたいと思うのですが、先ほど業者が細分されているというのを、これを減す考えだというお考えですが、私はもちろん減すほうがいいと思いますが、これは商社関係を減すべきで、そうして加えるものは全漁連のようなものを加えて行けば一本で間に合うのですから、こういうようなものをふやしていって、そうして商社を減していく、こういう考え方をとるのがこれがいい、そういう考えになるのです。  それから先ほど適正価格で配給ができるかどうかわからないと、こういう問題ですが、これは私は商社が配給をするよりずっと安い価格で配給ができるという考え方で全漁連外貨割当を要求しているのであって、この心配は私はないと思います。かえって適正価格というよりか、業者は暴利をむさぼっていると思うのですが、それを避けるのには役立つと思いますけれども、決して適正価格で配給ができるかどうか疑問だなんという、そういうことはこれは非常に間違った考え方でないかと、こう思います。  それからその次に油の輸入ができるかどうかということを心配されているようですが、私は全漁連外貨割当を受けてそうして石油を買うときに、輸入をするときに、これができないということはないと思う。私は十分にこれはその方面でもし全漁連そのものができないといたしましても、業者の方で十分にかわって仕事をやってくれるものがある。これはそう心配をする必要はない。それから油が次第に減って行くのだから割当てないということを言われましたが、これは私は業者本位の考え方であって、決して日本の産業を発達させるなんという、そういう考え方じゃない。で、通商局の方じゃよくおわかりだろうと思うのですが、輸出業者の方はあまり利益を上げておらない。輸入業者が利益を上げている。今までの貿易業者状態考えてみたときに、輸入をする方は発達をするけれども、輸出をする方は非常にどっちかというとマイナスになっている。これは今までの状態をずっと考えてみればわかるのです。そういうような場合に、私はこの輸入するものは必要だから輸入するので、だからはけることは十分にわかっているわけです。そういうような関係輸入業者は失敗をしないというので、油が減ってくれば減ってくるほど全漁連のような場合は、これは非常に重要な役割をしてくるわけです。これはどうしても必要なんですから、そこへ適正に配給をし得るところの機構を持ったものが輸入をしなきゃいかん。減ってくれば減ってくるほどこの機構を大きくして、そうしてそこに適正な配給をしていくという機構を生かしていかなきゃならん。それをやらないで利潤を追求する会社にそれをやらせる、こういうことになれば、ますますこれは混乱を来たして皆さんが価格を下げようとこう抑制をされても、そういうふうにされても逆の現象が起きてくる、減ってくれば。だからこれはその逆の考え方で、業者擁護するという考え方以外の何ものでもないと思うのです。  それから焦げつきがあるから配給しないというのは、これは協同組合の関係考えてきたときに、資材を提供するから、その生産をされたものを協同組合に出すと、こういう形ができてくる。ところが別なものが資材を供給して、そうして生産されたものを協同組合がとらないと、とり得ないという形になると、これは非常に仕事がしずらくなる。だから協同組合の仕事というものは、生産資材を提供して、そうして生産されたものを集めて、そうしてそれを出荷をするとこういう体制なんです。だから非常に違っておるのです、考え方が。焦げつきができてくるということは何かといったら、全漁連外貨割当てないから焦げつきができておる。考え方が違うのです。焦げつきをなくするためにはどうすればいいかという問題は、そういう考え方からいくべきだと思う。それから協同組合の金融は、これは御承知のように、協同組合金融でやっておるわけです。そこへ業者の手を通して配給をされるものは、これは協同組合金融じゃありません。従ってその間に金融の円滑が中断されるのですから、疏通の行われないということも考えられましょう。だから外貨割当々することによって、初めて協同組合の焦げつきが解消されていく。だからこれも考え方が違っておるわけです。私は、先ほどから全漁連に割り当てないという理由をあげられておりますが、そのあげられている理由はことごとくどうも考え方が違っておると思う。理由にならないと思う。こういうふうに考えますが、その点はどうですか。
  25. 川上為治

    説明員川上為治君) まあいろいろ考え方なり、見方なりあると思うのですが、その最後の焦げつきの問題については、それと全漁連外貨の問題というのをとやかく私申し上げたのじゃなくて、値段を非常に安くするということができないというその理由の中に、貸し倒れのやつが相当あるので、そういう危険性というものを相当考えて、値段というのは考えなければならんということを申し上げたわけでありまして、全漁連外貨を割り当てる問題と結びつけて申し上げたわけではないのであります。私はこの問題につきましては、いろいろ御議論もあろうと思うのですが、私どもの方としまして、今日までいろいろ検討して参りました結果は、まだ全漁連にどうしても外貨を割り当てなければならんという理由が、どうしてもわれわれの方として納得できないということを申し上げておるわけでありまして、もちろんこの問題につきましては、今後とも十分検討研究農林省との間にもやって参りますけれども、現在のところは先ほども申し上げましたように、どうしても外貨を割り当てなければならんというふうには、私の方としましては考えていないということを申し上げたわけであります。
  26. 田中啓一

    ○田中啓一君 だんだん伺いましたが、幸いきょうは事務当局の中心になっておられる方が御両所おいででありまして、そこで全漁連に、にわかに外貨を割り当てる結論にはなかなか至らないという御答弁でございます。その理由というものが、今一、玉東さんから御質問のあったような点もあげられましたが、その他いろいろというようなことであり、それからまた全漁連を呼んで聞いてみたが、どうもなかなか自分らは了承できない、こうおっしゃる。われわれの方は逆に今御両所のお説を伺いましてもちっとも納得はできない、こういうことなんです。でありますからせめて今日は事務当局から見られて、全漁連に対して外貨割当をすることはこの点この点この点、これがどうもいけないんだということをはっきり理由を私は出して御説明願いたいと思う。それがまず第一段階だと私は思う。押問答よりも一つ忌憚なくその理由を御説明願いたい。その方が結論に達するには早道だと思う。一つ鉱山局長、あるいは通商局の次長両方からそれぞれお立場も私はあろうと思いますが、はっきり一つ理由全漁連を呼んで聞いてみたがこういうことを言っておる、この点は不安だと、こういうように一つはっきり言っていただきたい。
  27. 川上為治

    説明員川上為治君) 先ほどからいろいろ申し上げましたが、これは御納得が行きませんということは、はなはだ私の不徳のあれだと思うのですが、いろいろな点が考えられるのですが、先ほども申し上げましたように、外貨をあまり細分するということは、輸入を円滑に、また安い油をという点からいってもこれはよくない。ですからむしろ輸入業者の数を多くするということはわれわれとしては好ましくない、なるべく商社の数は少くしたいのですが、もちろんこれは独占的になってはいけませんので、ある程度のやはり競争を持たせる必要がありますからして、あまり少くするということもどうかと思うのですけれども、あまり現在みたいに細分されておるということは、これはよくないという点から言いましても、全漁連をこの際入れるということは、われわれとしてはどうかと思うという点も一つであります。  それからこの輸入業者にしましても配給業者にしましてもそうでありますけれども、すべてタンクを持ち、施設を持ち従業員もかかえてやっておるのでありまして、現在みたいに全体の数量がだんだん減って参りますと、そういう業者におきましてはそういう施設をかかえ、あるいはまたその施設についての建設費なんかの金利負担というものも非常に莫大なものでありますので、そういうものをちゃんとになっておりまして、それからまた従業員も相当持っておるというようなものに対しましてだんだん外貨を減らして、そうしてその販売量を少くするということは、これまた私は草に輸入業者擁護というだけの観点ではありませんで、社会問題から考えましてもやはり問題ではないかというふうに考えられるわけであります。それから全漁連それ自体におきましても、現在タンクをそう私は持っておるというふうには聞いておりません。これからもちろん作れば別でありますけれども、現在そうタンクを持っておるということも聞いておりません。また輸入そのものにつきましても、従来もちろん元売業者としての資格はかって与えられたことはありましょうけれども輸入業者としては私は一ぺんも今まで認められなかったというふうに聞いておりますし、輸入業者としての専門的な手腕なり才能を持っておるかどうかという点についても、私はいろいろ疑問があるんじゃないか。特に石油国際的な商品でありますので、また品質その他にいろいろ問題がありますので、果して私はインポーターとしての十分な活躍ができるかどうかという点についても相当疑問があるんじゃないかというふうに考えます。それから配給そのものにつきましても、これは私が直接やったわけじゃありませんが、私の部下が全漁連に対しましてどういう値段でどういう方法で販売するか、そういう具体的なやり方について詳細承わりたいということも言ったのですが、なかなかそれについての的確な資料も今までお出しになっていないというようなこと、まあそういういろんな点から見まして、また先ほど通商局の次長から話がありましたように、全連連を認めるというと結局鉄鋼の団体であるとかいろんなところがまた出て参りまして、どうしてもそれとけじめをつけて全漁連だけ認めるというようなことはなかなかむずかしい問題があるというふうに、いろんな点からこれは考えまして、私は現在におきまして全漁連外貨割当てることがいいかどうかという点については非常に疑問に考えておるわけであります。
  28. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  29. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) 速記をつけて。
  30. 田中啓一

    ○田中啓一君 私この際農業所得に対する適正課税に関する件につき政府に申し入れの決議一つお願いしたいと存じます。  まず案文を朗読いたします。    農業所得に対する適正課税に関する件  昭和二十九年度の農業所得に対する課税は、予想外に過重であって農家経済に深刻な影響を及ぼしている実情にかんがみ、政府は、速かに未申告農家及び確定申告を行った農家を通じて再調査を認め、課税の適正を期し、申告並びに徴収猶予等必要な措置を講ぜられたい。  右申入する。   昭和三十年二月三十一日       参議院農林水産委員会    農林大臣河野 一郎殿    大蔵大臣一萬田尚登殿 各宛 となっております。
  31. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) 田中君提出の申し入れについてお諮りをいたします。もし御意見がございましたらお述べを願いたいと思います。御異議がなければ決定いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) では決定をいたします。  それでは一時三十分まで休憩いたしまして、一時三十分から再開いたします。    午後零時四分休憩    ————・————    午後二時二十七分開会
  33. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) それではお待たせいたしました。ただいまから委員会を開会いたします。  官房長官が見えましたから、質疑のある方は御発言を願います。
  34. 千田正

    千田正君 官房長官に特にお伺いしたいと思いますのは、内閣審議会で御検討中のビキニの補償の作業ですね、この問題でありますが、ただいまも外務大臣と予算委員会においていろいろ質問をして、そのお答えをいただいたのでありますが、これはアメリカ側との交渉の結論としましては、補償として、何といいますか、法律上には関係なく、慰謝料として日本側に陳謝の意を表するという意味でこの方は出すのだと、こういう公文書でありますが、そうしますというと、これは、こういうような問題が起きた場合には、今後かりに起きたとしますれば、国際的な法律上の請求権というものは、おそらくこのままこの問題を前提としますというと、日本側でうやむやのうちに慰謝料で我慢するのだ、こういう結論になると思いますが、その点のお考えはどういうふうでございますか。
  35. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) その法律解釈の問題になりますと、私から答弁することが妥当とは思われませんが、これは御承知のように吉田内閣当時からの懸案が引き続きまして第一次鳩山内閣に至りまして早々に結着をみたということであります。外交経緯の状況を見てみますというと、これは本来ならば、国際法上どうあるべきか、すなわち法律上の責任と、その責任に伴うところの補償ということに行くのが、これは法理論士からは当然だろうと思います。その見地に立ちまして、日本政府は吉田内閣当時から追及しましたが、これはどうしても見解の相違のために解決ができないということが一つと、それから従来もこうした類似の、もちろん原爆ということは初めてのことでありまするが、国際間における国家の責任とその法的解釈の問題については、いつでも紛争のために、実質上解決ができないために、補償する場合においても、法律上の責任という立場をとらずして、あるいは善意に基いてとか、あるいはまたいろいろの抽象的な道義上の立場においてとか、こういうようなことで解決しているように聞いているのでございます。そういう観点からいたしまして、この問題を注理論上の正確を期してどこまでも立場を堅持して参りますというと、いつこの問題が解決されるかわからない。また被害を受けた人においてもすみやかなる解決を望んだという諸般の状況を勘案して、当時政府は実質上の補償を内容とする慰謝料という形において政治的解決をすることが、これは当時の状況としてはやむを得ざるものとして交換公文をかわし、あのような結論になったと、かように聞いておるのでございます。現在私の方の所管は外務大臣でありませんので、その経緯の具体的な内容については責任をもって申し上げるわけには参りませんが、私の承知しているのはただいま申し上げた通りでございます。
  36. 千田正

    千田正君 官房長官とここで国際法あるいは日本の自主権の問題について法律論争をしようとは私も考えておりません。それは長い間われわれも研究しておりまして非常に疑義がある点でありますから、これは何もアメリカに対してのみこういう問題を請求するのじゃなくて、将来とも原爆を持っておる国からあるいは同じような問題で日本が被害を受けるであろうということを杞憂を持って想像されますので、そういう場合に日本の自主権を放棄するかのような外交交渉をしていたのでは、日本の国民のためにまことに残念だ、こういう観点から私は考えて、一応内閣の大番頭さんであるあなたから今後の政府の方針を聞いておきたかったのであります。  それで官房長官の現在担当されておる方面に私は移ってお伺いいたしますが、これが慰謝料だ、こういうふうに現在のところは解されておりますが、それでこの配分についてであります。当時の損害額は流通問題を含めまして二十七億をアメリカ側に通告をしておるのであります。それに対しましてアメリカ側は二百万ドルでがまんしてもらいたい、これは最大の謝意の表現である、こういうことでありました。二百万ドルと申しますというと、七億二千万円、これでは実際損害を受けた人たちは承知しない。かりにその算定の基礎をどこに置くかといいまするというと、いろいろな基準があると思いますが、それにしても七億二千万程度では帯に短かくたすきには長いというので、この足りない問題については国内処置をするお考えでおらるるかどうか。この一点をまず聞きたいということと、それから先般昨年の九月以降静岡、神奈川等に対しまして損害を受けたカツオ、マグロ業者その他に対しては、一応県を通じてあるいは市中銀行を通じて預託をしまして、政府の預金部資金で一応片づけて、それでまあアメリカ側から現ナマが来たならばそのとき一応割り振りするから、その間がまんしろ、これでとりあえずの操業の役に立てろという政府としては親心として預金部資金を出したろうと思いますが、それがまあ大体業者人たちはもうアメリカ側から金が入ったそうだし、今までのは当然もう利息のつく金じゃないか、現実にわれわれの補償の慰謝料というものがくるものだという考えのもとに、無理して政府から借りた金はきょうまでの期限でありますから、この利息のつく金は無理しても返す、こういうので返しております。しかし逆に操業の時期はどんどん迫っておりますから、高利で借りてまでもとにかく返した分の穴埋めに何とかして金繰りをしなければならぬ。しかし政府の方としてはいつ一体この補償の金額を定めて、損害を受けた人たちに対して渡すのか、これがかいもく見当がつかないのであります。そうしますというと、また政府に頼んで金を借りなければならぬ、あるいは市中銀行に頼んで高利の金を借りなければならない、これであっては実際に道義上とはいうものの、よこされた金というものは政府に停滞をしておる、損害を受けた人たちは利息のついた金を政府から借りて払ってゆかなければならん、これでははなはだ矛盾した行き方だろうと思いますので、ただいまあなたのお手元において十分御検討になっておると思いますが、一日もすみやかにこの問題を解決してほしい、それには一応の案ができておられるかどうか、一体いつごろになったらこれが解決できるのか、この目安がつかない限りにおいては、やはり高利の金を借りて業者があるいは漁民が苦しんで漁家経営をやって行かなければならぬ、この点をはっきりしていただきたいと思うのであります。
  37. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) まず第一問でございまするが、被害者の要請を取りまとめて政府がアメリカ側に要求した二十七億と、現実に受領をしました二百万ドルすなわち七億二千万円との間の差があまりに大きいために、その差額と申しますか、その点は政府が不足分を補償するかどうかという問題でございまするが、これはすでに政府としてもいろいろ検討しましたけれども、この問題について特別に政府が別個に補償の措置をとるという決定はいたしておらないのであります。このワク内においてこの問題を解決するという基本的態度をきめられまして、この配分をするために、これは関係各省が非常にいろいろ錯雑しておりまするために、本来ならばこれは各省同士で話していいことでありまするが、それには事務的にも若干紛争を来たすというために、内閣に打合会というものを設けまして、各省の次官並びに局長と、私も参画しまして、私がその打合会長という職責を承わっておるのであります。  ところでこの配分につきましては、御指摘のように被害を受けた方々の要求額と、現実に支払うべきところの金との間に非常に差がありまするので、しかもこれを政府に一任されたからといって、政府が一方的にきめて、そうして押しつけるということも、これもなかなか困難な問題でございます。そこでやはり被害を受けた方々についても、了解と納得を得て、しかる後配分しなければならないというために、特にこれは農林省水産関係において直接漁撈に携わった人々の損害、流通業務の関係の問題と、それからまた厚生省関係の現実に身体の障害を受けたものと、あるいは運輸省関係の問題、こうなりますというと、おのおのその自己の立場を主張するために、再三やりましてもまだなかなか妥結しておりません。しかしながら御指摘の通りこれはじんぜん日を送るということはどうしてもできませんので、現在私の気持としては少くともこの四月中には、でき得れば私は四月の中旬までには、何とか各省の協力と、それから被害を受けた各種団体の方々の御了承のもとに、最後的決定をいたしたい、かように思ってせっかく今関係事務当局並びに関係団体の人々と話し合いを進めておる状況でございます。なお三月末日をもちまして、政府があっせんをして融資をいたした問題は切れますので、実はこれについては一週間前からこの問題の処理のために水産庁並びに大蔵省に申し入れをいたしまして、これは政府の責任において肩がわりしなければならないものという考えであっせんしております。大蔵大臣もぜひそうすべきが至当だと考えて事務当局に命じてやっておるような状況であります。ごく近日中にその手配別とられるものと私は信じておる次第でございます。
  38. 千田正

    千田正君 それでまあ腑に落ちないといえば腑に落ちないのですが、あなたの方で早く決定していただかないというと、結局早く決定さえしてもらえればある程度の補償の額が損害を受けた人たちに廻る、これはもちろん利息のつかない金であります。ところがそれまで、あなたの方の決定が延びれば延びるほど、金利のついた金を借りてやっていかなければならない。国としてはおそらく預金部資金でありますから、日本の国民から出たものから貸してあるから、ただというわけにはいかない、最低の利子でもこうやってつけてやっておる。ところが受ける方の感じは、われわれは生命を失い、あるいはいろいろな損害を受けてやっておるのに、利息をつけてまでアメリカから受け取った損害賠償のあれがくるまで待っていなければならないというそんなばかなことがあるか、これは当然そう考えるのが普通だろうと思うのでありまして、それを一日も早く決定してもらいたい。これは再三先ほどから申し上げておりますが、そこで昨日あなたの御答弁を予算委員会でいただきましたが、これは絶対に行政費は差し引かないというお考えはきのう伺いましたが、確かにそうでありますか。
  39. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 純然たる行政費というものは、これはこの中からとらないという見解をもって進んでおる次第でございます。
  40. 千田正

    千田正君 かつて焼津へ入ったあの最初に被爆を受けましたところの第五福龍丸の買い上げというような問題に対する措置は、あれは全然今度の補償、慰謝料の中からは支払われず、別個な会計のもとに考える、こうお考えになっておられますか。どうですか。
  41. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) この問題は考えようによって二様に考えられるのでございまして、あれは直接被害を受けたものである、従ってそれに対する慰謝料、補償として考える場合においては、これは行政費にはなりません。しかしもう一歩進んでその問題を離れて政治的に考えまして、この七億二千万円の金を被害を受けた人々にできるだけ多くやるという観点からするならば、補償関係とちょっと離れて、これは学術研究資料として政府が買い上げても差しつかえないものと私は考えるのであります。その意味において大蔵省あたりの見解と若干違っておりまするが、私といたしましては解釈上はこれは補償の中に含むべきものとも思われまするが、にもかかわらずこれが学術研究資料として政府行政費として考えることもできるから、ぜひそうしたいと私は考えてそういうように推進しておるような状況でございます。
  42. 千田正

    千田正君 最近私は方々から陳情を受けておるのですが、ことにカツオ、マグロの漁業組合その他からの要求は、一応政府の金融措置によって各県並びに市中銀行に預託された金を使った、使ったが早く内閣で決定してもらえるものだと思っているので、無理してお返しした、この三月三十一日が期限ですから……、さてそのあとのことは決定しない、一体どうなるのかということは、先ほどから繰返して申し上げておりますが、この配分の基準というものを一体どこに置いて順位をきめてやっておられるのか、そういうことが一つのおくれる原因じゃないだろうか、一体おくれるネックになっているのは何か、今日までおくれている最大の原因というものは何かということをはっきり検討しておられると思いますが、その点はどこが一体配分がおくれたという理由になるのですか、伺っておきたい。
  43. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) これはいろいろの原因があるようでありますが、一番大きな問題は御指摘の通り基準の問題が一つございます。それは間接被害というものをどの程度まで見るべきか、即ち流通関係でございますれば卸売業者はもとより、小売、さらにまたはすし歴とか食堂に至るまで被害を受けたと見る場合には、これは非常に広範になって参るのでございます。それからまたさらに拡張解釈をするならば、原爆の被害のために天候状況が悪くなったというような議論も出てくるとなりますと、これは非常に困る。従って基準の置き方が非常に議論がありますけれども、しかしこれについてはおおむね先ほど御指摘になりました二十七億を政府が一応算定した場合における要求が直接、間接の立場においてこれが算定されておりますので、金額は別としまして、あの当時直接、間接の被害としてとり上げられたものをまず基準として考えるべきだという点にはようやくこれは意見の一致を見つつあるわけであります。  その次には基準がきまりましても今度は配分の問題でございます。直接被害を受けましたところの漁撈者の方が何としても自分たちが最大の犠牲者である、従ってこれは当然に優先的にやらるべきだという見解をとっておるわけでございます。ところが被害者の立場におきましても船はやられた、人員の損傷を受けたということが第一優先だという見解と、それからそれもさることながら、しかし漁業を営むことができなくなったというために生業関係がディスターヴされたという意味においてはもっと広く考えなければならないという観点で、基準が大体はきまりましても今度は量の問題、ウェイトをどこに置くかということでこれはいろいろと議論がなされておるのでございます。しかしこれは幾ら議論をいたしましても解決のできない問題といえば問題でございましょう。そこでこれはどこまでもやはり総合的な立場からある程度の御了解を得たならば、これは裁断といえばはなはだ言葉が過ぎるのでありまするけれども、各省の了解のもとに決断をしなければ、なかなかこれはできないのじゃないか、かように考えておるのであります。そのためには関係各省だけではいけませんので、どうしても関係団体の御理解を得てやらなければいけないので、そのために実は直接関係省庁の担当者からその了解工作と申しますか、それを今やってもらっておるという段階でございます。私の手元におきましてそうしたところの条件がそなわらずして、これはこれでやれというふうに、政府の予算編成のときにこれで行くという腹だけで行けないところに難点がございまして、その点を苦慮しておる次第でございます。
  44. 千田正

    千田正君 大体わかりますが、ただそうしますと先ほどの官房長官のお答えの中に、二百万ドル、これ以上はもうアメリカからもらった金以外は出さない、これを配分したらあとは国内措置ということには考えないというお考えですか、それとも配分をしてなお十分その点は気の毒だ、これは当然国としてある程度みてやらなくちゃならない。しかしアメリカからきた金はこれに足りないのだ、その面はやはり特別の金融措置か何かによってそうしてみていくというようなお考えを持っておられますか。もう二百万ドルなら二百万ドルを配分したら、あとはもうお前たち勝手にやれという考えでおられますか、その辺はどうなんです。
  45. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) これは私の権限であるかどうかはわかりませんが、私はこの問題を解決するためには純然たる事務的なことでは不可能だと、こう考えておったのであります。その意味に驚きまして先ほど申しましたように解釈上はこれはこの二百万ドルから支払っていいものであっても、政府立場からして拡張解釈するならば、政府行政負担でやることが可能であるならば、むしろその解釈をとるべしということで、実は各省を私は指導しているような形であります。従いましてこの慰謝料の配分については、この範囲内でやります。しかしまた足らない部分について政府が別個の国家予算から出すということはこれは不可能だという立場にありまするので、ただいま御指摘になりました金融の問題とかあるいはまた水産関係では水産の助長あるいは指導という面においてあるいはこのビキニというものを直接対象にしなくとも、そうした被害を受けた人々の漁業組合か何かについては一般の行政指導あるいは補助等がなされ得る条件があるならば、できるだけそういう方面を加味してやってほしい、これは厚生省関係についても同様なる観点をもって政治的にこれらの被害を受けた人々に対しまして政府が一般的になし得る補助、助成等ができ得るだけこの方面に適用されるごとくに考慮してほしいこういうことで、まあ指導いたしておる状況でございます。
  46. 千田正

    千田正君 ほかの方々の御質問もあると思いますが、最後に一点だけ。これは非常にある考えからいえば重大な問題でありまして、今のように政府のほうで官房長官のようにお考えになればまた別ですけれども、法律的にあくまでもあるいは事務的に片づけようとこういうことだけでは解決つかないと思うのです。それはなぜかというと、そんな二十七億であるということは、その要求はともかくとしまして、一方のアメリカ側に対しては通告しておりますわね、政府の責任上日本の損害を受けたものは総額において二十七億である。これに対して何とか考えろということは外交上しばしば折衝しておったのにかかわらず、向うはまあ二百万ドルでがまんしてもらいたい。七億二千万円でがまんしてもらいたい、これで了解点に達した。ただそうするというとあとの約二十億というものはどうするか、こういう問題になってくるというと、政府が二十七億ということを当然日本の損害として認めている。ところが一方請求権においては放棄したようなふうにも見られる形においてアメリカとの間には了解しておる。国内の処置はどうかといいまするというと、もらった分しか配分できないのだ、こうなるというと、憲法的な解釈からいいまするというと、国民の財産、これに対しては国民は当然要求する権利がある。ただしこれはいわゆる社会あるいは国民の全般的な、自分ら以外の全般の福祉のためには犠牲になることがあるけれども、そうでない限りにおいては行政訴訟でもとり得るところの性質の問題であります。そういうような法律的な解釈からいえばこの損害の請求というものはアメリカに対して損害を請求したけれどもいれられなかった場合に、国内として政府が当然その義務を果さなければならない。しかしそういう財政的なあれもない、十分なあれもないから何かしてがまんしてくれということであれば、その措置をいわゆる政府の道義心なり良心によって考えてもらわなければならない。これは先ほどあなたのおっしゃった事務的な措置でない、何らかの広い範囲において考慮しなければならないという問題に遭遇すると思うのであります。その場合にもう少しこれを深く研究されまして、一日も早くとにかく配分を決定されることと、その決定された配分では満足しない状況ですから、それに対してはどういうふうな措置をとるということをはっきり政府内でまとめまして、これを発表するなり、その事務的処理に今度はまかせるなりして、あなたがたの意のあるところを示してもらいたい。これを特にお願いします。それで先ほどからお答えをいただきますというと、この四月中には何とかするということでありますが、重ねてお尋ねいたしますが、本当に四月中には配分を決定されるというかたい御決心でございますかどうか、重ねてはなはだ失礼ですがお伺いしておきます。
  47. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 私は実際先ほど申したように、実は権限を持たざるいわば打合会の連絡の役を務めているので、まことに、はなはだ弱体の形におけるところのチェアマンでございます。しかし私の考えとしましては、この問題は先ほど申しましたいろいろの理由によって困難ではあるけれども、しかしその困難な問題は時日を延ばせば解決するという問題でも私はないと考えるのです。従って今日の情勢から見るならば、私は四月中にはぜひ解決すべきものなりと自分考え方によって、関係各省の事務当局はもとよりのこと、閣僚の方々に対してその決意をもって協力してもらうことを私は要請しておるわけであります。従いまして、ここで私が全責任をもって四月中に解決すると言うことは少し僭越なことになると思いますが、私は少くとも四月中に解決したい、こう考えておる次第でございます。
  48. 千田正

    千田正君 どうも官房長官、最後のときにうまく逃げられたような格好なんですが、誰がしからば責任をもってその決定をなさるのですか。誰が責任をもってこの配分の決定をなさるのですか。内閣総理大臣ですか。私は内閣審議会なりその打合会なりの会長であるあなたがとりまとめて決定しなければこの問題は解決しないと思うのですが、どうなんです。
  49. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) これは責任問題を法制上議論するならば、それは内閣が連帯の責任によってやることである。従って内閣総理大臣が最終的の責任者ではありましょう。しかし現在の問題としまして、これは関係各層の、関係大臣の決意と了解のもとにこれをやることであります。私はいわば事務的な責任を負っているわけでございます。従ってその意味において追及されるならば、私がとりまとめ役としての責任は非常に重大なものと考えます。
  50. 千田正

    千田正君 事務的な問題においては内閣官房長官は、おそらく内閣総理大臣に次いで事務的なとりまとめの責任を持たれるので、これを十分果してもらいたいと私は思います。  それからもう一つは、きのう河野農林大臣は、この三月三十一日に切れるこうした特別融資の問題は、さらに引き続いて書きかえの用意をしておるとこれは実際明日からでも借りられるというような準備はやっておられるのですかどうですか。その点を伺っておきたい。
  51. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) あすからすぐにその全額を切りかえるということは断言はできませんけれども、これは手続の問題もまだあるようでございますので。しかし借りかえをさせるということについての了承は、水産庁と大蔵省に手配して了承をただしております。
  52. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 事務的なお答えをいたします。  ただいまの三月三十一日に切れまする暫定的な融資につきましては、借りかえにつきまして金融当局とこれは預金部資金になろうかと思いますが、その点についてはいろいろ交渉をいたしておるという段階でございまして、できるだけ早く目的を達するようにわれわれとしても努力いたしたいとかように、考えております。
  53. 森八三一

    ○森八三一君 予算委員会で十分論議があったと思いますので、あるいは重復するかもしれませんが、官房長官に一点お伺いしておきたいと思います。と申し上げますのは、予算を編成するときに、そのときの国状にかんがみて、租税が最も効率的に使われるようにされなければならんということはよくわかります。当然であると思います。そこでこの四、五、二カ月分の暫定予算を編成され、国会に提案をされた政府の気持は私もよく理解をいたします。がしかし過去における数次にわたる暫定予算の慣行と申しますか、基本的態度としてとられて来た姿は、そのときの内閣の政府の持っておる政策を織り込まないで、きわめて事務的にそうして進んで参った、今度の予算の説明を見ましても、「政策的な諸経費を除外し、」こういうようにはっきりと政府の方針を明示せられております。よく検討いたしますると、なるほど現内閣がいろいろ国民に向って約束をせられておりまする積極的な面については出ておりません。おりませんが、過去において行われて参りましたいろいろの施策が盛り込まれておらない。これは見方によりますると消極的に、やはり政府の方針がここににじみ出ておるというようにも思われるので、政策を織り込まないという表題に矛盾をしておるのではないかというように私どもは受け取っておるのであります。そこで具体的に申し上げますと、諸般の補助金の問題でございますが、これは一体今後どういうふうに取り扱って行くのかどうかということをまず最初に基本的な考え方としてお伺いをいたします。
  54. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) これは大蔵大臣との間において予算審議で十分審議をしたのでありますから、私から申し上げるのはいかがかと思いますが、しかしこれは内閣のスポークスマンという立場においての御質問だと思いますので、これは私が先回衆議院並びに参議院における議運において性格の問題を御質問になった場合におきまして、原則としてこれは事務的なものでございますが、若干の政策的なものが含まれておるということは否定できないというように申し上げて御了承を得ておったわけでございます。御指摘のように消極的な意味における、いわゆる補助金問題について若干の政府の意図と申しますか、これについて研究中でありまするがゆえにこれを計上しなかったということは御指摘の通りだと思います。しかしこの補助金を従来通りそのまま踏襲するという考えはないということが、そこに表示されているものと御解釈願いたいと思います。この補助金の問題につきましては有効適切なる方面に重点的に施行したい、こういうことが公約の一つでございましたので、それが具体的に表示されないで、消極的にその問題を検討するために、これは予算化しないで、そうしてこの問題は暫定的に融資あるいは交付税の配分等において考慮するという態度をとっておるような次第でございます。
  55. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、法律で義務づけられておる補助費等につきまして、この暫定予算に表われておりません分が四‐五、二カ月経過したあとで、今お尋ねのようなことで再検討の結果変るということになりますると、これは当然法律そのものを改正するという手段を取らなければならんと思う、そのことは改正した後に法律の効果が生ずべきであって、遡及をして行くわけには参りかねると思うのであります。そこでそういうふうな形におかれておるものを予算に組み込まれておらない、当然義務づけられておることでありますので、地方庁等におきましては、法律に明示されておる額は、必ずこれは、少くとも法律改正になるまでは受け得るものという感覚に基いて、それぞれの処理をすると思います。そのあとで法律が改正になりましたならば別問題で、改正にならない限りは現在の法律に明示されておる額は次の本予算に必ず計上されるということを約束されている、こういうように理解してよろしいかどうか。
  56. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) どうもこれは大蔵大臣と予算委員会においていろいろ問答したことでありますので、それによっていただきたいと思います。
  57. 森八三一

    ○森八三一君 これは、大蔵大臣はまあ予算を編成しておやりになる当面の責任者でございますが、内閣全体としては今申し上げた義務づけられておるものをどう処理するかということは、これはもうきわめて事務的に解釈されていいのではないか、義務づけられておるもので、暫定予算には計上されておらない、その計上されておらない期間が経過したあとで、法律がどういうように修正されますか、維持されますか、これは国会の意思でございますから別問題でございます。それまでは少くともこの予算にはございませんでも、次に提案されるであろう本予算には、新しい方針としてそういうものは、交付をしないという法律論を無視して、そして予算をお出しになる、それはいいと思います。それまでは当然内閣としては、政府としては、経過月数に対する所要経費というものは法律の定めておる限界においての予算は編成する義務がある、それは大蔵大臣という問題ではなくて、事務的に私はそうなると思うのでございますが、少くとも予算の説明書にございます第三項に、「補助費については、義務的なものであつて、」云々と書いてある。これはその実例が次々と出ております。生活保護費についても法律があり、児童保護費については児童福祉法があるというように法律を明示して、こういうふうに法律で義務づけられておりますので、こういうものは補助費であっても計上しておりますということであります。ところが義務づけられておるもののうちで、これに盛り込まれておらんものがある。その始末を一体どうするのか、これはその経過月数に対する部分だけは、新しい政府の方針を国会が了承いたしまするか、いたしませんかという結論の出るまでは、これは当然法律で規定されておる限界に義務を生じておる。こう理解いたしますが、いかがでございますか。
  58. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 法律上の問題ですから、法制局次長がおりますから。
  59. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 私かわりまして御答弁さしていただきます。  予算と法律との関係に関連する問題でございますが、ただいま仰せになりましたように、暫定予算については、法律上の義務に基くものは御説の通り載っかっております。それからまた三月三十一日、きょうまで、臨時的に延期されておりました諸般の補助金等に対する立法、これにつきましては、御承知の通りに四月五月、両月にわたる分として、さらに延期をお願いしておるわけでございます。それらにつきましては問題はございませんが、そのほかに法律上の義務に基くもので、現在載っかっていないものがあるのではないか、こういう仰せのように承わりましたが、それらにつきてましても、ごく大ざっぱに申し上げれば、今のようなことでございますけれども、さらにその法律の内容に立ち至って考えてみますと、それぞれ予算の範囲内とかいうような文言が書いてあるのがございます。これらにつきましては、実は予算でそれが認められているか認められていないか、その範囲内でということになっておりますから、違法の問題は起らないと思います。そのほかの問題につきましてはやはり補助をするとかいうような文句がありましても、やはり補助の原因が発生する時期がもちろんおくれるようなものにつきましては、その後に立法の措置をとればこれは問題ないと考えております。
  60. 森八三一

    ○森八三一君 今の予算の範囲内で云云というのでありますれば、これは私もあえてこういう質問はいたしません。きちんと法律で幾らということが明示されておる。これはもう明確に政府は責任を持っておると思うのです。法律がそういうことをきめておるのですから。そのものをここに計上しておらないという問題。それからそのものを使用する時期があとだからあとで始末をしていいということではなくって、それが人件費であるとかもう四月一日にはそのものは現存しておる公務員である、地方公務員であるという、その給与すらもここに落ちておる。そこで私はあとへいってその法律に明示しておる額が交付されないというようなことになりますると、これは非常に大きな問題を巻き起す。それでなくても地方自治体は非常に赤字で困難をしておる。非常に政府も御心配を願っておるようでございますが、そういうやさきに法律できまっておるきちんと数字の示されたそのものが、しかも人件費的な存在であって、その対象となる人は府県別に何人々々ということで政府のほうから明示された人がおる、その俸給額に対する法律規定の補助費が計上されておらん。それが数カ月経過されたあとで新しい大針としてお変えになるということは、これはまた別問題ですが、その変わるまでの間これは一体どう始末なさるのか、これは別に大蔵大臣の問題でなくって事務的な問題だと思うのです。
  61. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 法律上措置すべきものは措置することは当然でありまするが、政府といたしましては私はこまいことはよくわかりませんけれども、法律違反を政府がやられるとは思っておりませんので、それは善処すべきものと思う。また当然やられることと私は考えております。
  62. 青山正一

    ○青山正一君 先ほど千田さんの問題に関連いたしまして根本長官にお伺いしたいと思いますが、この原爆の実験、これはまあ禁止すべきでありますが、しかし今後もそういうことはあり得るだろうと思うのであります。そうなるとしますと、たとえばこの漁業あたりは、漁業の整備に対しましても国家的にいろいろ補償の道を講じておる、こういうことが何度も操り返されますと、先ほど千田委員がおっしゃったようにまあいろいろな厄介な問題も出てくる。これを外国との折衝、そういった当事者の折衝は折衝としまして国内的に何か特別措置法を考えてやるべきが僕は本当だろうと思うのです。その点は先ほどからおそらく千田君のあなたにおっしゃった意味合いにも含んでおられるだろうと思うのですが、こういった点について、つまり特別に何か措置法を考えるべきが本当だろうと思うのですが、どうでしょうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  63. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) ビキニの実験は今後政府としても予算委員会において総理から御説明になったように禁止してほしいという申し入れをしたそうでありますが、また今後も続けるでありましょう。しかし現実にそれにもかかわらず行われた場合においては、万全の策を講ずることを要請しても、もし類似の傷害が起った場合における次善の措置として、何らか国内的に立法措置を講ずべきであるとの御意見でありまするが、これについては主として漁業関係が対象の問題でありまするので、そのために特別立法をするかいなかについては農林大臣から一つ答弁をしてもらわなければ、私が今ここで申し上げることは若干困難でございまして、この問題について実は政府において特別立法すべきかいなかについてまだ議題になっておりませんので、現段階におきましてはするとかしないとかいうことを私が申し上げることはできないのでございます。
  64. 奥むめお

    ○奥むめお君 根本長官にお伺いいたします。前の政府の時代に黄変米の有毒なものを含みますその黄変米をためしについておりました。これをどうしてつくのかということを私どもが問い合せましたところが、ひた隠しに隠してついていない、こういう答弁でございました。ところが最近また十万トンあまりの黄変米を各地でついているのですが、政府はそれに対して閣議で何かおきめになってこれをお始めになったのか、どうですか。
  65. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 黄変米の措置について最近閣議において何か議題になり、きめたことがあるかということでありまするが、これは閣議ではまだ議題になって措置その他については決定いたしておらないのでございます。
  66. 奥むめお

    ○奥むめお君 あなたのお知りになる範囲で、今黄変米はどうなっておりますか。
  67. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 黄変米の問題については、私現在直接タッチしておりませんので、この前の予算委員会において問題になったのを、まあ政府委員立場において聞いておる以外には、実は承知いたしていないのでございます。
  68. 奥むめお

    ○奥むめお君 それじゃこの際いい機会でございますから、政府の方針もお考えになって、そうしてお調べいただきたいと思います。それは現に各地で再搗精を急いでいらっしゃり、もうできたのじゃないかと思います。それから民主党は選挙当時私どもの主婦連合会が問い合せました文書の上の回答の中にも、黄変米の配給はしないとはっきり書いてある。それから全国の婦人会の代表が集まって公明選挙中央会議をしましたときにも、今厚生大臣をしていらっしゃる川崎さんが代表して出ておいでになって、そういう質問に対して、はっきり黄変米は配給しない、こう言っております。それから黄変毒については科学者の特別審議会といいましたか、これがそのままになっておりまして、まだ結論が出ていないはずでございます。また結論が出まして、まあ中に少数反対意見がありますけれども、その少数反対意見は多数の力で説伏されてしまうのじゃないかとわれわれは見ておりますが、しかしそれにしても再搗精を秘密裏に進めて、そうして配給しょうという準備を新しい内閣も進めなさるということに対して、非常にわれわれは遺憾の意を表しておるわけであります。その問題について農林大臣から、はっきり質問をし、答弁をとりたいと思っておりますけれども農林大臣に十回以上面会を申し込んでたまたま日をおきめになったこともあったけれども、その日も都合が悪いと言って誠意をもって一度も会うという日をおきめにならないで今日に至っております。私はこの黄変米の問題というものは今日は非常な社会問題になっている、また政治問題に化していると思うのですが、こういう大きな政治問題になって民心の不安を醸成しておりますこの問題を秘密のうちに再搗精させる、そうしてこれを処分しようとするというこの誠意のない態度に対して、政府は反省なさる必要があると思う。またぜひ反省してもらいたいと思う。また私どもが調べました少数の資料からしましても、再搗精しているときに非常にたくさんのくず米が出るわけなんです。これはほとんどそのままで払い下げるのと再搗精してくず米をたくさん出すのとどっちが国損が大きいか、ちょっとわからないくらいに問題を含んでいると思います。ですから、こういう政治問題化した黄変米の問題は、よほど慎重にお考えになって、その処分をはっきり国民が納得行くような方法でこの処分をおきめいただくように私ども要望いたします。またそれについて誠意のあるお考えを聞きたいと思います。いかがでございますか。
  69. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 黄変米の重大性については、国民とともに政府は特別な関心を持っておるのでございまするが、この問題の具体的処理については河野農林大臣が全責任を持ってやっておるのでございますので、本委員会にいずれ出席されてこれに対する農林大臣の所見が明らかにされると存じまするので、私からそれをどうするということはできませんので、本日の奥委員の質問の状況をよく農林大臣に伝えまして、明確なる答弁がすみやかになされるように私から申し上げておきたいと思います。
  70. 奥むめお

    ○奥むめお君 この問題はたまたま厚生省と農林省と両方に関連のある問題でございますから、私特に長官のおいでになった席で申し上げることができたのを非常に喜びとするわけでございます。よろしくお願いいたします。
  71. 千田正

    千田正君 官房長官に昨日この農林委員会から、今のアメリカ側のビキニの補償に対する配分に対する資料ですね、それを委員長から請求されておると思いますが、それに対して事務当局からは出せない、こういう御回答のようでありますが、これは準備がなくて出せないのか、あるいは秘密にいろいろな事項にわたるために出せないのか、あるいはそのうちに出してくるのか、現段階では出せないというのか、この辺はどうなのでありますか、一応聞かしていただきたい。
  72. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 今水産庁長官にちょっと聞いて見ましたらば、配分の資料と言われたので、配分が決定していないので出せないと申したそうでありまするが、配分に関連してこれこれの資料を出せと言われますれば、それに関連して準備の整っているものは当然これは出すことができると思います。ちょっと田上参事官から答弁いたさせます。
  73. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 損害の資料は対米関係の際に一応出しているのがありまして、それが二十六億になっておるのは御承知の通りであります。しかしその内容につきましては実は外務省のほうで従来対米関係でありますので一切の数字的な整理をいたしておる。これは私ここで存じませんので申し上げられませんが、しかし現在その後打合会において集めておりまする資料につきまして申し上げますならば、大体やはり約二十七億になるわけであります。しかしながらその内容は実は数字的に始終動いておるわけでございます。たとえば福龍丸関係の被害を受けました患者の問題につきましても、今後の病状の見通しあるいは治療の仕方等につきましてもいろいろ議論がございまして、それによって数字は動いておるわけでございます。その点についてなお担当の方面ではっきりした決定的な資料が出し得ない、つまり資料としていろいろあるというふうなことで、動かない数字というものはまだ出ておらないのであります。また一面流通業者のマグロの値下りの損害につきましても、これは非常に範囲が広いわけでございますし、また損害の期間の引き方だとか損害の見方等につきましていろいろ数字の動きがある。なおそれにつきまして各省間の意見の一致しておらない点もございますので、的確な資料はできかねるような状態でございます。大体は総額として二十七億程度のものが一応被害額としまして各省から提出されております。ただいま申しましたように内訳の点につきましてはそういうふうに動く数字が非常に多いものでございますから、的確な資料をただいまのところはお出しできないような状態であることを御了解いただきたいと思います。
  74. 千田正

    千田正君 事務当局が的確な資料がなければ、官房長官、それは制定のしょうがないじゃないですか。あなたはどういうふうに調整するかしれませんが。何もそれが最終段階じゃないんだ、各省からこういう要求が出ておる、こういう請求が出ておるんだ、この総額は二十七億なら二十七億になるのだと、一応の第一回の目安なら目安だけは、この程度のものだということだけは、私は出せると思う。何もそんなことを秘密にする必要はない。
  75. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 各省の要求はあるのだそうです。もちろんこれはあるのが当然でございます。ただ、それを発表しますと解決のためにかえって紛争の種になるという意味において実はしばらく猶予をしていただきたいという気持でございまして、もとよりこれは資料はございます。私も見ておりまするが、これが折衝の過程において査定の資料としてはかなり実は変動があるために、これがかえって最終的に結論を出す場合における政治的紛争の種になる、こういうような意味において御猶予を願うということだそうでございます。
  76. 千田正

    千田正君 とにかく早く決定していただきたい。これはもう昨年の二月損害をこうむって以来一年数カ月になり、なおかつ解決ができないわけで、まことに遺憾なことでありますから、資料もいよいよ決定が大体これでよしとなったら、委員会が要求しておるのですから、出していただきたい。
  77. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) 官房長官に対する御質疑はこれでございませんか。それじゃ……。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  78. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) 速記をつけて下さい。  農林大臣がお見えになりましたから質疑のある方は順次御発言を願います。
  79. 青山正一

    ○青山正一君 昨日農林大臣からいろいろ御抱負を承わりましたのですが、水産関係の問題について二、三お尋ねいたしたいと思います。  第一点は中央卸売市場法改正の問題であります。この市場法は大正十二年の制定のもので、その後社会、経済情勢に適合しない点が非常に多いわけでありますが、それでこれを改正すべきであるとの世論が非常に高いのであります。ところが農林当局はこの流通面に非常に関心が薄い、熱意を示されていないというので、むしろこの中央卸売市場の問題は通産省に移管しようというようなふうなことでいろいろ市場長会議にも相当問題になっておるわけであります。そこで私は、この生産から流通に至るまでこれは一貫して農林省はもっと積極的に御配慮あってしかるべきだと、こういうふうに考えております。この中央卸売市場法改正に関する農林大臣の一つ御見解を承わりたいと思います。  それから第二点は東南アジアの漁業の問題であります。最近セイロンとの合弁漁業が大体成立したようでありますが、フィリピンとかあるいはタイ、インドネシア、こういったところ、いわゆる東南アジアにおける邦人漁業進出に関しまして、農林大臣はどんなお考えを持っておられるか、その点について承わりたいと思います。また、これは別問題でありますが、大臣と最も御懇意を願っておられますところの、非常に関係の深い、あるいは農林次官などと自他共に許しておられた松田鐵藏氏が先ごろ英国旗下で操業する計画を持っておられたようでありますが、農林省もそれにだいぶ同調しておられた模様でありますが、農林大臣はこの計画に対してどう考えておられますか、その点について承わりたいと思います。  それから第三点は拿捕の問題でありますが、最近新聞紙上を非常ににぎわしておりますところの北海道根室方面においてわが漁船が八隻ですか、相次いで捕えられておるというような報告がありますが、これは一時平穏であったこの方面にこのように起ったこの事情、あるいは今後の対策について一つ承わりたいと思います。  それから第四点は、これもやはり相当問題になっておりますが、日韓会談の問題であります。最近再開されるというような問題もあるわけでありますが、この李承晩ラインに対するわが方の主張を、これは絶対に漁業関係からして李承晩ラインは因ると、こういうふうな意見でありますが、ところがその意見を一応放棄するように世上伝えられておるのでありますが、これに対する農林大臣の所見を承わりたいと思います。以上四点です。
  80. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 第一の中央卸売市場法の改正の問題でございますが、これは私も御意見と全く同感でございまして、先般名古屋の市場を視察いたしました際に、いろいろ関係の方からのお話も承わりまして、時をみまして是非これに着手しなければならないだろうと私も考えております。いずれまたそういう際には一つ御意見を拝聴いたしたいと考えます。  第二の東南アジアの漁場開発の問題でございまして、特にセイロンの問題をお取り上げになったのてございますが、これは私は御承知の通り私の先輩であります鈴木英雄氏あたりが最も熱心に主張しておられまするし、神奈川当局も非常にこれに協力をしておられるようでありますが、農林省におきましてもこういうことは大へんけっこうなことであるから、これには協力を惜しまないものであるとお答え申し上げて差しつかえないと思うのであります。  第三番のソ連関係の拿捕その他の問題でございますが、これは御承知の通り現内閣といたしましては日ソ間のすべての問題についてなるべく理解ある両国間の関係に持っていきたいというふうに外務当局並びに特に総理はそういう、かうにお考えのようでございますし、私もぜひそうあらねばならんと思います。先般衆議院の農林委員会におきましても、今回の北洋出漁の問題につきましては特にソ連側の十分なる了解を得る必要があるだろう、そのためには適当な人にソ連の方に行っていただいて何とかしなければいかんのじゃなかろうかというようなお話もありましたので、私もできればそういうことをする方がよかろうということをお答え申し上げたのでございますが、それこれ合わせまして、ぜひ一つ理解ある出漁の態勢に持っていきたい、並びにこういう問題につきましても十分了解を得るということが必要ではないかと考えております。  第四番目は韓国漁業問題でございますが、これは御承知の通り李承晩ラインの問題等、特にわれわれ水産のほうといたしましては非常に困る問題でございます。しかしながら従来日韓関係がいろいろの問題において行き詰っている問題が多いのでございますけれども、最近韓国側から米を少し買うようにという交渉を私は受けております。この問題につきましても、私は他の各国から米を買います問題とからめまして、そうして今価格の問題でまだ折り合いがつきませんので交渉中でございます。そういうことで先方からも少し米をこちらへ買うようにということでございますので、私の立場を率直に申し上げますれば、私は食糧管理局をおあずかりをしておりまする立場から、経済的に価格を割り出して、私としてはこれに応じなければならん立場にありますが、しかしこれは別に内閣におきまして他の施策によってこの価格を決定するということならば、それに私は異存がないというふうに申しているのでございますけれども、この李承晩ラインの問題等もそういうふうに日韓の間におきまして経済関係がだんだん密接になって参りますれば、おのずからこういう問題につきましてもある程度の了解が得られるのじゃなかろうかと思うのでございまして、これはしかし私の一方的な希望的な観測でございまして、その他は一に外交交渉に譲らなければなるまいと思うのでございますが、私といたしましては決して李承晩ラインを全面的に了承の上で進むことが妥当なりという見解はとりたくないと思っております。大体お答え申し上げます。
  81. 青山正一

    ○青山正一君 今の御答弁一点落ちておりますのでありますが、この松田鐵藏さんのあの問題です。
  82. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) アルゼンチンに対する漁業合弁若しくは出漁の問題でございますが、これも大へんけっこうなことと思いまして、御承知の通りわが国の近海におきまする漁業がだんだん行き詰っておりますので、なるベく遠くまで出かけて行って魚をとってくる、もしくは日本のこういういい技術を持って参りまして、先方に行ってそういうことをするということは、全面的に、その地域がどこであろうと、農林省としてはこれを支持しなければなるまいとこう考えております。
  83. 青山正一

    ○青山正一君 もちろん今農林大臣のおっしゃったように、アルゼンチンの出漁の問題もわれわれ漁業者としても非常にこれはけっこうだと、こういうふうに考えております。また英国旗下の問題、先ほどお聞きしたのはこれは英国旗下の問題です。英国旗下で漁業をやるという問題でありますが、これもある意味合いではこれは話し合いは通ずるかもしれませんが、しかしこういった問題は利権に結びつくということは僕はいけないと、こういうふうに考えております。たとえば、あなたと御関係の深い松田鐵藏代議士が英国旗下で操業をやろうという計画を出しまして、だいぶ世間をにぎわしておりまするが、それはいけないということで農林大臣からけられた。しかしそのかわりに、独航船と申しますか調査船を五隻もらったんだというようなふうなことで、本人が相当あちらこちらと言いふらしているわけですが、ああいった独航船にしましてもあるいは調査船にしましても、これは一トン当り十万円という莫大な権利がついておる。八十トンにすれば八百万円である。そいつを五隻にすれば四千万円である。そういった英国旗下の操業をやってもらっては困る、そのかわりにお前にこういった漁業権をやろうと、水産庁あたりもそういったもし船があれば許そうというようなふうなことで何か進んでおるようなことを聞いておりますのですが、吉田さんが側近が悪いとこういうふうにいろいろ攻撃されておりまするが、私はずいぶん河野さんの識見を承わっておりましたが、こんな人が農林大臣にならなければいけないというようなふうなことで私も大へん喜んでおったわけでありますが、しかしあなたの側近者にこういった方がおられまして、そしてそいつを利権に結びつけていこうというようなことになりますと、しかもこれは世間周知の事実であります。そういうふうなことになりますと、せっかくの河野さんの人格を傷つける、こういうふうに考えておりますのですが、これはアルゼンチンの漁業もけっこうです、しかしその奥に何かある、あるいは英国旗下の操業もこれはけっこうだ、しかしその奥に何かある、そういうふうなことを、あるいは世間に思われたり、あるいは業界に思われたりすることは、せっかくの河野さんのいさおしに傷がつく、こういうふうに私は考えますが、その点についての河野さんの御意見を承わりたいと思います。
  84. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 英国旗を持って北洋に出漁するという話がだんだん前内閣当時に進んでおりましたことを聞きまして、私ははなはだ遺憾に思っておったのでございます。ところが、これはどうしてもそういうことをしてもらっては困るというようなことから、私一存では扱いかねますので、これについての可否は党の政調会長できめてもらいたいということで、実は党の政調会長にお願いをいたしました。ところが前内閣以来準備を進められて参りましたので、なかなか決定が困難のようでございましたので、私の意見も徴されましたので、私はこれには賛成はできませんとこう申し上げたのでございます。ところが今この問題と、それをやめたからその代償として独航船をやることにしたというふうに御判断でございますけれども、これは必ずしも代償というようなことを私は考えておりません。おりませんが、今申し上げましたように、英国旗で出漁されるということが既定の事実としまして相当に進んでおりましたことは御承知の通りであります。そういうようなことでございますので、われわれ農林行政を担当いたします者といたしましては、こういう何かしらんが理論を超越した問題のありますことは、いたずらに業界を混乱いたしまするし、非常に私は遺憾に考えまして、ぜひやめてくれということでやめてもらったわけでございます。こういうことでございまして、それをやめる代償としてやったのだろうということでございますが、私は決してそういう意味ではないのでございまして、まあ非常に事情にお詳しい青山さんに諸般の情勢については一つお察しを願いますが、私はお話の通りに問題の処理は明朗にしてやって参りたいということに考えでおりますから、どうか今後とも一つ御注意をいただきまして、ぜひやって参りたいと考えております。
  85. 青山正一

    ○青山正一君 これは農林大臣のお気持ははっきりしておって非常によろしゅうございます。また、わかります。しかし世間では、この五隻の調査船をやるということについてはこれは非常に問題にしておる。業界においても非常に問題にしておる。おそらく新聞社のお方もみんなその点を知っておる。結局これはまあいろんな理由でそういうふうなことになったのだろうと思いますが、今各県下に一隻の独航船の割り当てを受けるにしましても、相当の努力がなければそうした独航船が与えられないというところにもってきて、一代議士か、あるいは代議士の縁故かどうかしりませんが、そういった関係に五隻の調査船とか、あるいは独航船の権利をやる。先ほど申し上げたように、一トン当り十万円、扱う権利だけで船体は別です。権利だけで十万円であります。それをそういう者だけにやるということになりますと、非常な誤解が生まれやすい。あのアルゼンチンの漁業の問題にしましても、龍頭蛇尾になっております。あるいはこの英国旗下のあれも、決して政府はそういうことを考えていないということは、その当時の速記録を見てもこれははっきりしておりますが、当時はどういうふうにお考えになっておられたかしりませんが、おそらく松田さんや一部の人に動かされておるのかもしれませんが、そういうふうに考えておられたということは事実かもしれませんが、こういうことはありようがないというふうにこれは結論づけられておった。ところが世間では今、その代償としてそういうものを与えるのだというふうなことで、ここにも新聞社のお方もおられると思いますが、みなそういうふうにとっておられる。ですからできるだけこういった誤解されるようなことに、あまり手をつけられないことが僕はいいのじゃないかというふうに考えております。一応御注意までに申し上げておきます。
  86. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御注意はよく承わっておきまして、私といたしましては、だんだん北洋の問題等につきましても、一般水産界に、たとえばマグロ、カツオにしましても、権利がついておる。こういう権利のついておるという体制がよろしくないのでございまして、そういうことをどうすればなくなるようになるだろうかというふうに実は考えておるのでございます。たとえば北洋の出漁にしましても、あまりむやみに船を出すわけにもいかず、これを押えれば、権利がつくということは非常に遺憾なことでございまして、今回の北洋出漁につきましても、独航船の数は事務的に、技術的にきまってくる。そうしてそれを集約して、どういうふうにもっていくというふうにしたのでございます。現在の北洋の出漁をああいうままで将来も続けていいか悪いかということにつきましては、いろいろ権威ある方々の御意見も承わらなければならないと私は思っております。  そういうことでございまして、今御注意のありましたようなことにつきましても、十分今後善処して搾りたいと思いますから、御了承いただきたいと思います。
  87. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 きのう来、河野大臣の農林水産に対する基本的な問題をお聞きしておりました。ところが林業関係についてはどなたからも発言がありませんので、私、大まかな、基本的なところだけ二、三お尋ねしたいと思います。  大臣が昨年第一次鳩山内閣のときに御就任になられて、林業についても非常に御理解があった。特に国労造林のごときは、大いに推進しなければならん。とにかく今日の国土の保全からいっても、森林資源の確保からいっても、とにかくああいったむだな山林というものをまだまだよくすれば幾らでもよくなるような山をそのままにしておくというのはもったいない話だ。これはだれが植えてもいいのだ。これは一つ大いに国営でもって全額出してまでこれを緑にすべきだというお話をされ、又林道の問題については、こういう狭くなった土地をどこまでも集約的に高度に利用するためには、道がなくて荒っぽく、あるいは放置されて利用されないという山林は、まことに嘆かわしい。一つ大いにこれは道をつけて、いわゆる山林に萎靡なからしめるといったような形に持っていかなければならんようなお話がありまして、これは農山村の者は非常に心強く河野大臣ならやってくれるだろうというようなことで非常な期待をして今日もおるわけなんです。ところがだんだん予算との関連等からいたしまして、そう一挙には思うようにはいかない。だんだんこれを慎重に実効の出るような方向に持っていかなければならんというようなことになって、今日は国営造林というものは、先ず第一にはいわゆる官行造林、従来からあった官行造林式な形で持っていくより、さしあたりはしようがないじゃないかというようなふうにも聞いているわけなんです。でありますからこの国営造林というものあるいは林道網の拡充という問題について、大臣はさしあたりとしてはどういうふうに考えていこうと思っておられるか、この点を一つと、それからこれはやはり造林の進行に関連してでありますが、いわゆる未墾地を買収して農耕地をふやして行く、そうして食糧の自給態勢を強化することとあわせて、海外その他から引き揚げた、あるいは人口の多くなった二、三男の対策に非常に力を入れて、戦後絶えずやってきたのは御承知の通りであります。ところがこの予算関係は結局各府県からいうと割り当てられたといったような恰好で、事実入植もいかがかと思われる、現に放置されているような問題がずいぶんやかましくて、ために山林の植林地はこれは危なくてできないという声さえまだ残っている。ところがどんどん入植して成果が上っているかというと、御承知の通りにただでさえなかなか容易でない農業が、環境の悪い所でありますために、なかなか入りたがらない。入った人たちも非常にその日その日を心配しながら食うや食わずである。こういうような関係になっているのに、昨年あたりはこれらに関する予算として問題がやかましかった予算に十一億何がしというものをこの関係に出しておる。そういった買い過ぎてあるところの、北海道だけでも四十万町歩以上ございます。買い過ぎていてまだ入らない、つまり入植を待っているけれども誰も使ってくれない。しかも開拓財産になっておるからして何とも利用のできない、そういうようなものがあるのでありますから、私はこの際にあの未墾地買収に対するところの買収経費、いつそれが使われるかわからないようなものに対する買収経費なんというものは、この際一、二年、何年かストップして、それがだんだん入植して農業関係がよくなって、あるいはそれに対する技術の進歩等によって営農ができるというような環境になって、それが満ちたならば……、足りなくなったならば増して買い足しをしなければならんと思いますが、しばらくはそれを停止するというくらいな考え方があっていいのじゃないかと思うのです。これは農業との関連でありますが、この点についてどういうふうにお考えになられるか、これが第二、それからもう一つは保安林を昨年来国自身が買い上げて、治山治水など重要なところはみずからの力でもってこれを国有林として、工事も必要であればどしどしやっていく、こういう制度になっておるのであります。私はこの問題についてはまあ明治維新の際に藩有であったところの山林を国有林として、爾来いろいろの意味において、ある意味の開放をやられましたけれども、そのおもな骨格というものは依然としてやはりあの当時藩有であったところの山林というものが国有林の主体をなしている。ところがそれでは今日の荒れた日本としては、あるいは近代国家として不十分だということから、あの政策が出たわけなんですが、根本はやはり国有林の性格をはっきり検討して、そうして近代国家として配置を新たにすべきものがあるのではなかろうか。たとえば兵庫県、岡山、広島などの方面へ参りますと、あの背梁山脈というものはいわゆる地はだを出しちゃって、そうしてあるいは五割補助するから、あるいは六割補助するからといってもどうも金にならん、そろばんにのらないものを、なかなかそれをすみやかにやれといってもやらない。そうなればその下にある熟田、田畑というものは被害を水害のたびにこうむるし、市街地までああいうような調子である。従いましてこれは地元関係だけにその負担においてやれといったって、何がしかの補助においてやれといっても無理なんです。そうなれば全体国としての責任においてこれはともかく国土保全をやっていかなければならない。あわせて資源の培養の土地にしなければならない、こういうことになりますので、私は国有林の再検討とその配置というような問題が基本にあると思うのですけれども、そのおのずからの線に従って手っとり早く、極端なところの保安林これを買って、その上に国みずから工事をするという問題、これをどういうふうにお考えになられますか。私はこれはやはり基本的な問題を河野大臣のときに研究になり、少くとも措置せられ、将来五十年、百年の後にはこの姿になるんだ、それへ移行する過程においてわれわれは財政と見合い、国情と見合ってその線でこれを表わすんだという、何といいますか、しっかりした方針のもとにあの保安林官営は進められるべきものだと私はこういうふうに思うのです。これについてどういうふうにお考えになるか、私は基本的な考え方でけっこうなんであります。  それからもう一ぺん最後に。昨年の九月二十六日の十五号台風というものは非常に意外の被害を日本に与えた。それであの青函連絡の各線、あるいは洞爺丸、得に洞爺丸などは千百名の生命さえ失った。ああいうことであの十五号台風というものは実に洞爺丸に集中された感があるのですけれども、御承知の通りに北海道では六千万石というまるで日本の一カ年伐採量の半分、六千万石というものが大被害を受けて、ために国君林としてはてんやわんや、大臣も非常にその被害の御処理なり復旧なりについては御心配になっていることを聞いております。どうか、あれは私はいわばあの災いを転じて福となすような意味で北海道林政、ことに針葉樹の故郷のようなあの北海道の山を、この際に最後の植林まで入れた大計画で救っていただきたい。苗木なども種をまいてから四年たたなければ、エゾ、トドというものは山に植えられないのです。でありますから伐採したあといつまでも置いておけばあれはクマザサという特有な、植えようにも非常な金のかかる腕力でやらなければならないような跡始末のことになるのですから、整理し次第あるいは天然の力を借り、あるいはやむを得ないところは人工で、立派な山にしていくことが、私は今後非常な問題になると思うのでありますので、そういう面に沿うて三十年度からぜひあの最後の大造林をし、火災を防ぎ、虫害を防ぎ、そうしてあの被害を受けた六千万石のものはできるだけ腐らせないで使わせるという一連の計画を是非進めていただきたいと思うのですが、こういった大まかなことでありまするが、この四点について基本的なお考えの点をお聞きしたい。
  88. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 四点につきましていろいろ質問、御意見を拝聴いたしましたが、大体御意見に属すると思いますることにつきまして、私も全く意見は同感であります。  私からこの際申上げておきたいと思いますことは、私の考えは少し飛躍しておるかもしれませんけれども、大体従来の政府のとって参りました林政というものはどうも私は中途半端であったのじゃないか。特に林野庁、これは専門家の諸君にこういうことを申し上げて恐縮でございますが、林野庁のやっておりますことが一体切りやすい、まあ切れるところの山を切って、そうして国内の木材の資源を国民に提供するという後目が一体何パーセントを占めておるのか、山に木を植えるということが何パーセントなのか、そういう点において私はどうもはっきりしてないのじゃないか。山に木がありさえすればその木を切って国民に木材を供給するということは民営でもけっこういけるのじゃないか。国家としてやらなければならんことは山に木を植えるということが一番必要であって、植えた木を育てて山を青くしておくということ、水源涵養、国土保全の面に一番強く林野庁の責任があるのではなかろうか。政府としてのなすべきことはこの方面に一番強く力をいれればいいのではなかろうかと実は私は思うのでございます。そういう意味からいたしまして、第一点に御質問になりました国営造林の問題でございますが、私は林野庁の当局ともいろいろ意見の交換をいたしまして、日本の現在植林可能な所であって、そうして現在山に木がうまくはえてないという所を全部一体植えちまうという計画を立てたらどうだろう。それをするのに一体何年かかって、どのくらい金がかかるのか、一つ計画を立ててみてくれ、こういうことをお願いしているわけであります。その案もだんだんできて参りまして、私としては明年度にぜひその一部分を一つ実現していきたいということで、せっかく目下大蔵省方面にもその意思を伝えますると同時に、実現して参りたい、こう考えておるわけであります。何さま組閣早々のことでございまするし、準備も十分できませんので、第一年度としては十分なことはできませんけれども、これは一つの計画に載せてやっていくようにしていきたいものだと、こう考えておるわけでございます。  第二の入植の問題でございますが、これはお計の通り山林政策の面から考えますることと、現在のわが国の食糧事情もしくは農村の人口等から考えますると、ここに両面から判断いたしまして割り切った答案を私は書きにくいと思うのであります。しかしこれは国内の情勢の変化等と対応して考えていかなければならないことと考えております。実情に即応していくべきものであって、これを一つの方針を立ててこれでいくのだということはなかなかむずかしい。しからば現在の情勢はどうか、これはこの案が考えられ、これが実行せられました当時と今日とでは、情勢が非常に変っておりますることは私は認めて差しつかえないと思うのであります。さればと申して、ただいまお示しになりましたように、にわかにこれを百八十度転換いたしまして、そうして両三年これをやめたらどうだということも少し行き過ぎではないかと思いますので、これらにつきましては事情に即応して善処して参りたいということ以上には困難だと思うのでございまして、これらにつきましては十分委員各位の御意見も拝聴いたしまして実情に合うようにやって参りたいと、こう考えております。  第三番目の国有林の問題もしくは保安林の問題、これらは第一の問題についてお答え申上げましたことで基本的にはそういう考えのもとに、お示しになりました中国地方の問題等も片づけていける。ただしここに多少お尋ねの点と私と意見が違うといえば違うと考えられますことは、従来の考え自分で土地を持って、国家が土地を買い上げて自分の土地へ木を植えていくという考え方が非常に強かったようでございますけれども、しかし何も国有地にしなきゃならぬ理屈はないのであって、民有地であろうが国有地であろうが、それが公有地であろうが、入り合いの山であろうが、そういうことは差しつかえない。ただ国家として必要なことは、水源の涵養、国土保全ということなのでありまするから、そういう意味で片のつくものは片づけたらいいじゃないか。そうして全額で植えなければならん場所は全額で植えたらいいじゃないか、こういうふうに大ざっぱに考えておるわけでありまして、これも一々今までのやり方響とも十分勘案いたしまして持っていかなきゃならぬ点がありますることは御承知の通りでございまして、それらをどういうふうに持っていったらば摩擦が少く実現できるかということ等につきましては、十分配意しなければなりませんことと考えております。  最後に北海道の風倒木の問題でございますが、これの扱いにつきましてはただいまお話の通り考えていかなければならないと思っております。そういうことにつきましてはよろしく一つ御指導願いたいと思っております。私それに対しまして全く同感でございます。
  89. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  90. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) では速記をつけて。
  91. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今のお考えで私も大体わかるのですが、未墾地の問題です。これは私は今入植問題、あるいは開墾問題をやめろという問題じゃないのです。受け入れるところのものだけが非常にたくさん買ってあって、そうして入って来る者はない、非常に少いと、それだのになおかつ先へ先へと進んでいくというのは、いわゆる今の国費を、忙しい国費を流していくと同じことだと、こういう意味合いにおいて私はしばらくその点は、きわめて消極的に、むしろ思い切って一、二年休むということにいった方がいいんではないか、そうして、それからもし廻すことができれば、先般来非常に問題になっておりますせっかく入植した諸君があと一段というところでやれるのにやれてないと、そういう方に廻した方が生きた金になるのじゃないか、こういう意味であります。
  92. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) よく承わりましてさっそく調査いたしまして善処することにいたします。
  93. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) ではこれでしばらく休憩いたします。    午後四時十七分休憩   〔休憩後開会に至らなかった。〕