○三浦
辰雄君 きのう来、河野大臣の
農林、
水産に対する基本的な問題をお聞きしておりました。ところが林業
関係についてはどなたからも発言がありませんので、私、大まかな、基本的なところだけ二、三お尋ねしたいと思います。
大臣が昨年第一次鳩山内閣のときに御就任になられて、林業についても非常に御理解があった。特に国労造林のごときは、大いに推進しなければならん。とにかく今日の国土の保全からいっても、森林資源の確保からいっても、とにかくああいったむだな山林というものをまだまだよくすれば幾らでもよくなるような山をそのままにしておくというのはもったいない話だ。これはだれが植えてもいいのだ。これは
一つ大いに国営でもって全額出してまでこれを緑にすべきだという
お話をされ、又林道の問題については、こういう狭くなった土地をどこまでも集約的に高度に利用するためには、道がなくて荒っぽく、あるいは放置されて利用されないという山林は、まことに嘆かわしい。
一つ大いにこれは道をつけて、いわゆる山林に萎靡なからしめるといったような形に持っていかなければならんような
お話がありまして、これは農山村の者は非常に心強く河野大臣ならやってくれるだろうというようなことで非常な期待をして今日もおるわけなんです。ところがだんだん予算との関連等からいたしまして、そう一挙には思うようにはいかない。だんだんこれを慎重に実効の出るような方向に持っていかなければならんというようなことになって、今日は国営造林というものは、先ず第一にはいわゆる官行造林、従来からあった官行造林式な形で持っていくより、さしあたりはしようがないじゃないかというようなふうにも聞いているわけなんです。でありますからこの国営造林というものあるいは林道網の拡充という問題について、大臣はさしあたりとしてはどういうふうに
考えていこうと思っておられるか、この点を
一つと、それからこれはやはり造林の進行に関連してでありますが、いわゆる未墾地を買収して農耕地をふやして行く、そうして食糧の自給態勢を
強化することとあわせて、海外その他から引き揚げた、あるいは人口の多くなった二、三男の対策に非常に力を入れて、戦後絶えずやってきたのは御承知の通りであります。ところがこの予算
関係は結局各府県からいうと割り当てられたといったような恰好で、事実入植もいかがかと思われる、現に放置されているような問題がずいぶんやかましくて、ために山林の植林地はこれは危なくてできないという声さえまだ残っている。ところがどんどん入植して成果が上っているかというと、御承知の通りにただでさえなかなか容易でない農業が、環境の悪い所でありますために、なかなか入りたがらない。入った
人たちも非常にその日その日を心配しながら食うや食わずである。こういうような
関係になっているのに、昨年あたりはこれらに関する予算として問題がやかましかった予算に十一億何がしというものをこの
関係に出しておる。そういった買い過ぎてあるところの、北海道だけでも四十万町歩以上ございます。買い過ぎていてまだ入らない、つまり入植を待っているけれ
ども誰も使ってくれない。しかも開拓財産になっておるからして何とも利用のできない、そういうようなものがあるのでありますから、私はこの際にあの未墾地買収に対するところの買収経費、いつそれが使われるかわからないようなものに対する買収経費なんというものは、この際一、二年、何年かストップして、それがだんだん入植して農業
関係がよくなって、あるいはそれに対する技術の進歩等によって営農ができるというような環境になって、それが満ちたならば……、足りなくなったならば増して買い足しをしなければならんと思いますが、しばらくはそれを停止するというくらいな
考え方があっていいのじゃないかと思うのです。これは農業との関連でありますが、この点についてどういうふうにお
考えになられるか、これが第二、それからもう
一つは保安林を昨年来国自身が買い上げて、治山治水など重要なところはみずからの力でもってこれを国有林として、工事も必要であればどしどしやっていく、こういう制度になっておるのであります。私はこの問題についてはまあ明治維新の際に藩有であったところの山林を国有林として、爾来いろいろの
意味において、ある
意味の開放をやられましたけれ
ども、そのおもな骨格というものは依然としてやはりあの当時藩有であったところの山林というものが国有林の主体をなしている。ところがそれでは今日の荒れた
日本としては、あるいは近代国家として不十分だということから、あの政策が出たわけなんですが、根本はやはり国有林の性格をはっきり
検討して、そうして近代国家として配置を新たにすべきものがあるのではなかろうか。たとえば兵庫県、岡山、広島などの方面へ参りますと、あの背梁山脈というものはいわゆる地はだを出しちゃって、そうしてあるいは五割補助するから、あるいは六割補助するからといってもどうも金にならん、そろばんにのらないものを、なかなかそれをすみやかにやれといってもやらない。そうなればその下にある熟田、田畑というものは被害を水害のたびにこうむるし、市街地までああいうような調子である。従いましてこれは地元
関係だけにその負担においてやれといったって、何がしかの補助においてやれといっても無理なんです。そうなれば全体国としての責任においてこれはともかく国土保全をやっていかなければならない。あわせて資源の培養の土地にしなければならない、こういうことになりますので、私は国有林の再
検討とその配置というような問題が基本にあると思うのですけれ
ども、そのおのずからの線に従って手っとり早く、極端なところの保安林これを買って、その上に国みずから工事をするという問題、これをどういうふうにお
考えになられますか。私はこれはやはり基本的な問題を河野大臣のときに
研究になり、少くとも措置せられ、将来五十年、百年の後にはこの姿になるんだ、それへ移行する過程においてわれわれは財政と見合い、国情と見合ってその線でこれを表わすんだという、何といいますか、しっかりした方針のもとにあの保安林官営は進められるべきものだと私はこういうふうに思うのです。これについてどういうふうにお
考えになるか、私は基本的な
考え方でけっこうなんであります。
それからもう一ぺん最後に。昨年の九月二十六日の十五号台風というものは非常に意外の被害を
日本に与えた。それであの青函連絡の各線、あるいは洞爺丸、得に洞爺丸などは千百名の生命さえ失った。ああいうことであの十五号台風というものは実に洞爺丸に集中された感があるのですけれ
ども、御承知の通りに北海道では六千万石というまるで
日本の一カ年伐採量の半分、六千万石というものが大被害を受けて、ために国君林としてはてんやわんや、大臣も非常にその被害の御処理なり復旧なりについては御心配になっていることを聞いております。どうか、あれは私はいわばあの災いを転じて福となすような
意味で北海道林政、ことに針葉樹の故郷のようなあの北海道の山を、この際に最後の植林まで入れた大計画で救っていただきたい。苗木な
ども種をまいてから四年たたなければ、エゾ、トドというものは山に植えられないのです。でありますから伐採したあといつまでも置いておけばあれはクマザサという特有な、植えようにも非常な金のかかる腕力でやらなければならないような跡始末のことになるのですから、整理し次第あるいは天然の力を借り、あるいはやむを得ないところは人工で、立派な山にしていくことが、私は今後非常な問題になると思うのでありますので、そういう面に沿うて三十年度からぜひあの最後の大造林をし、火災を防ぎ、虫害を防ぎ、そうしてあの被害を受けた六千万石のものはできるだけ腐らせないで使わせるという一連の計画を是非進めていただきたいと思うのですが、こういった大まかなことでありまするが、この四点について基本的なお
考えの点をお聞きしたい。