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1955-03-30 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月三十日(水曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     荒木正三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            千田  正君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            関根 久藏君            田中 啓一君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            森 八三一君            江田 三郎君            三橋八次郎君            東   隆君            菊田 七平君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    農林大臣官房長 安田善一郎君    水産庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君    常任委員会専門    員       林  達磨君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (昭和三十年度農林水産関係暫定予  算に関する件)  (農林水産業に対する基本施策に関  する件)   —————————————
  2. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) ただいまから委員会を開きます。
  3. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 委員長及び皆さまのお許しを得たいと思いますことは、ただいま農林大臣は参議院の予算委員会に出ておりまして、溝口先生の御質問があるということを予定しておりますが、溝口先生の御了解を願いまして、先にこちらの方へ出て参りまして、一般的な構想その他につきまして、特に暫定予算につきまして御説明も申し上げ、また御質疑をお願いすることとしまして、特に暫定予算中心にいたしました慎重な御審議をお願いしたいと申しておりまするが、今しばらくの短時間の間、まだこちらへ来ることを御了承を得ませんので、その間場つなぎに、昭和三十年度暫定予算の、農林関係の分につきまして、事務当局としましての御説明を申し上げることをお許し願いたいと思います。従いまして暫定予算全体の政府組み方に関しまする政府方針とか、そのうちに含まれまする各費目等に関しまする政府といたしましての態度等につきましては大臣から申上げたり、お答え申し上げたりするのが筋だと思いますので、ごく事務的に申し上げたいと思うのであります。  便宜私どもで用意いたしました昭和三十年度暫定予算の概要と申しまするものと、同暫定予算についての総括表という事務的に書きました予算額、その予算額費目に応ずる区分につきまして、印刷したものを御配付申し上げましたが、それとほぼ同様になるわけでありますが、今回は会期と、その他政局との関係もあったように伺いまするが、次のような四月、五月分についての暫定予算を、案を組みまして、国会両院の御審議をお願いするようになっておるのであります。昭和三十年度予算につきましては、鋭意目下関係省の間で、特に農林省としましては大蔵省との間において、事務的に、また大臣との間におきまして編成方を急いでおるのでありまするが、暫定予算といたしましては、通俗的な、常識的な言葉でございまするけれども、一応政策的というな性格があるやに思われまする諸経費は除外をいたしまして、人件費事務費、その他経常的な経費大臣はこれを衆議院農林委員会におきましては、これもまた常識的用語によりまして純事務的と申し上げましたが、いずれも的確なる言葉の表現ではないかと思います。そういうものにつきまして組むのを原則としておるのであります。  その組み方といたしましては、標準予算、または二十九年度の当初予算でございません補正予算補正予算後の予算額を基準といたしまして、そしてこれを四月、五月中に、現実に支出を必要と認められるようなものを計上いたしておりまして、新しい要求を三十年度につきまして申し上げたり、そういう事項につきまする事業に伴う経費を、原則としては計上しないことにいたしました。これは額を、総金額最小限度にとどめようとすることと、暫定予算でありまするということ等を中心にいたしまして、また本予算をできるだけすみやかに政府としては編成をしまして御提案をし、御審議をお願いすることを前提にいたしまして、閣議の決定を得て、言いかえますると、そういう組み方をしようとする政府方針に従いまして、事務当局計数整理をして要求をしたものでございます。  この目下御審議をお願いしておりまする農林省所管一般会計予算総額は、百二十八億五千五百万円でございまして、このほかに総理府所管北海道公共事業費といたしまして六億七千百万円を農林関係として加えまするというと、農林関係一般会計暫定予算総額は百三十五億二千六百万円となっておる次第でございます。  その内容につきましておもな点を申し上げまするというと、中に先ほど申しましたうちの、取扱い上の例外が多少出て来るわけでございますが、それをも含めまして、まず食糧増産対策経費から申し上げまするというと、内地分といたしまして、二十億六千四百万円、北海道分といたしまして、五億七千七百万円を計上いたしました。これは国営事業継続事業地区の分でございまして、国営潅漑排水、開墾、干拓などを含んでいるわけでございまして、普通に言う直轄という分でございます。その四、五月の事業継続に必要なる経費農業機械整備費附帯事務費等のほかに、また失業対策事業として含まれている分でございまするが、鉱害復旧土地改良等事業でございます。鉱害復旧事業補助金一億二千六百万円を含んでいる次第でございます。これを裏から申しますると、県営、団体営補助事業について、暫定予算としては計上しておらんということになるのでございます。しかし災害復旧事業のほうは、事が緊急を要するものでもございまするし、季節性も比較的多いわけでございまするので、災害復旧事業費に関しましては、補助金を含めまして、四十三億八千五百万円を計上しているわけでございます。これは人件費事務費のような、あるいは直轄事業とは違いまして、前年度当初の予算額の三カ月分を計上しているのでございます。それによりまして、暫定予算でありまするが、災害復旧の進捗を、できるだけ期したい、支障を少からしめたいという方針でございます。  次に食糧増産以外の公共事業といたしまして、これも又国で直轄治山事業直轄漁港修築事業等経費といたしまして、公共事業費内地八千六百万円、北海道九千三百万円が計上されている次第でございます。この食糧増産費と、公共事業費を除きまする一般経費総額といたしましては、六十三億一千九百万円でございまして、この内訳は、人件費庁費旅費試験研究機関検査指導機関研究費などの経常的事務費のほかといたしまして、各種の農林関係特別会計に対しまする一般会計のごく暫定的な、この機関にはどうしても要るという繰り入れがあるわけでございます。農業共済保険、漁船再保険国有林野事業自作農創設特別措置、そういうものについておのおの特別会計がございますが、それに対する繰り入れ総額四十二億五百万円でございます。人件費につきましては、農林省職員人件費でございますが、この二カ月分といたしまして、十億三千四百万円、庁費旅費研究費といたしまして、経常的事務費が五億二千八百万円、補助金負担金分担金委託費等が五億五千万円でございまして、これらも最小限度というのを旨としました先ほどの政府方針に従いまするところの、二カ月分というものでございます。  その他の繰り入れにつきまして、特別会計繰り入れ一般につきましてはおのおの内容説明申し上げるのが筋かとも思いますが、御配付いたしました資料でいかがかと思いますので、必要に応じまして委員長その他各委員の御指示に従いまして御説明申し上げたらいかがかと存ずるのであります。  特別会計のほかといたしましては農林漁業金融公庫というものが一般会計特別会計と並びまして予算案としては重要項目でございまするが、この公庫におきましては四、五月中の貸付計画を三十億と予定いたしまして、この分は昨年実績の十二分の二よりちょっと少いかとも思いますが、三十億を計上いたしまして、この財源は資金運用部繰入金の十五億円、公庫自身回収金等十五億円を予定しておるのでございます。これは全面的に農林漁業金融公庫その他の類似の公庫政府の全体の財政金融投資計画が立っておりませんので、とりあえずの措置として必要な最小限度の分というものを見込んでおるわけでございます。  以上が今回御審議をお願いしておりまする暫定予算そのものの大要でございまするが、私どもといたしましても御慎重なる御審議をしていただきたく、すみやかに御協賛のほどを事務当局としてもお願いをいたしておる次第でございます。  補助金につきましてはいろいろ衆議院の方におきましても御意見がございましたが、一応可決を衆議院としてされたようでございますが、当委員会付帯決議どもありましたように、補助金に対しまして若干の問題があるかと思いますが、これはそのときも御説明を申し上げておるようなことでございまするが、農林省といたしましては従来ありました補助金政府政策上の要求等とおそらくマッチしなければなりませんでしょうけれども、ここに組み入れませんでした補助金を落す意味ではなしに、ぜひ新内閣方針に従いまして確保をいたしたいつもりでございまして、特に季節性のありまするものとか、補助金ではありまするが人件費のような性格とかいうような経常的なような性格を持つものは組むべきではなかったかという御意見も御批判もございましたが、中には大蔵省意見が一致しなくて本予算で必ずさらにお互いで折衝をしまして必要分を組む、又法令の精神にも背馳しないようにこれを組むということを予定してのことでございます。あわせまして又地方交付税交付金等につきまして三カ月相当分、これも別途計上されておるのが政府全体の暫定予算全部でございまして、これにさらに資金運用部資金活用等地方に行いまして、そうして実質上二十九年度から継続しておる事業を四月、五月から少くとも最小限度は続けて行けるようなことをも、その方法を加えて、意図しておることもこの裏にはつけ加わっているわけでございます。とりあえず純粋に農林関係部分だけの項目につきまして、事務的な説明を申し上げた次第であります。
  4. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) それでは質疑のある方は大臣が見えるまで御発言を願いたいと思います。
  5. 森八三一

    ○森八三一君 今の安田官房長の御説明に関連いたしまして、基本的なことにつきましてはいずれ大臣が来られましてから十分お伺いをいたしたいと思いますが、事務的にお伺いしておきたいことは、原則として直轄事業に関する部分だけはこの補正予算に盛り込みをしておるが、補助事業のような関係は計上しなかった。そのことの可否につきましては大臣との間に質疑応答をいたしたいと思いますが、そういうことの結果、いろいろの問題が巻き起りはしないか、たとえて申しますると、地方都道府県で行われておる試験研究のような事業は、一日も休むわけにいかない、継続されてゆくものと思うのでありますが、そういうような補助費は削られておるということになりますると、都道府県ではその対策をどういうようにとり進めていくかということが今非常に問題になる。それから今季節性というお話もございましたが、二十一臨時国会では例の季節に非常に密接に関係のあります健苗育成に関する立法をいたしたわけでございますが、これもやはり補助費ということに関連いたしますので、この暫定予算には計上されておらないということになりますると、さしあたって四、五という期間がこれで経過いたしますれば、そのあとへいってそういうことが明瞭になりましてもいかんとも施すすべがないというようなことになる危険があると思いますので、予算には盛り込まれておりませんでも何らか具体的な指導奨励に関する方針をお示しになるのかどうかといったような問題、それから人件費のようなものは大体不可避的なものとして考えたというように承知をいたすのでありますが、そうなりますると、改良普及事業に関する職員身分は、地方公務員でございますので補助費ということになる、これが組み込まれておりませんというとその身分の不安定という問題があるし、組み込まれておるといたしますればこの問題は二十国会で非常に問題になりまして農林省としては三分の二の助成をしていく方針であったのが、大蔵省との関係において二分の一に減らすことが問題になり、国会事業重要性に鑑みて三分の二ということに政府提案特例法を修正いたしました経緯もあったのでありますが、所用額の三分の二が計上されておるかどうか、そういったような点につきまして事務的にお伺いをいたしたいと思います。
  6. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 森委員の仰せられました第一点と、改良普及員とはやや御質問が同じようかとも思いますが、多少後者の場合には補助率の問題がつけ加わるかと思います。補助特例法関係がつけ加わっておると思いますが、全般的といたしまして先に一応政府方針に従いまして計上されました四月、五月の暫定予算でありましても、人件費及びこれに準ずる事務費事業費等の経常的な分が、補助金でありますものにつきまして、これはもともと地方費とか、地方交付税交付金とかを使用いたしまして、政府補助以外の分を賄っておりました性質が前年度来あるわけであります。これをむしろ御審議をお願いしております暫定予算としての四、五月分は、最小限度にとどめる方針とともに、この関係では地方公共団体資金繰りを緩和すると申しますか、その人なり、事務なり、事業なりが支障をきたしますることは、そういうことが極力ございませんように、地方公付税交付金農林には直接関係はありませんが、地方財政一般としては大きな関係を持ちまする関係から、義務教育費国庫負担金生活保護費、そういうものにつきましては約三カ月分が計上をされておりまして、なお、そのほかに先ほど御説明を申上げましたように、必要に応じまして資金運用部資金による地方庁への短期融資をして本予算を待つ、こういうことの措置がとられておることを御説明を申上げたいと思うのであります。季節性の点につきましては災害復旧等についてはすでに申上げましたようでありますが、たとえば保温折衷苗代その他の農業補助金については、特に農業等性質からいたしまして季節性がありまして時期を失すると将来いかに予算確保いたしましても十分に目的を達しないことがございますが、衆議院でも農林大臣及び別の日に政務次官から、暫定予算性質上やむを得ないこともありましたが、そういう措置がないようにすることが本旨で、努力いたしますと答えておりまするが、事務的にも、これを、支障最大限度になくしまするように、例をそれらにとりますると油紙等資材確保等もおおむねこれを完了を実はいたしておりまして、補助金の額と、そのやった実績とが合うか合わんかという細かい性格なり、これにつきまして問題があるかと思いますが、もともと農林省として健苗育成法等において、国会の御審議を経まして、また法を制定されました精神によりまして、大蔵当局に向ってその補助金要求中でございますが、意見がかなり合いませんので、合わなければ補助金を圧縮するという結果が出ることはまた私どものなすところでないと存じまして、資材手配を実施していただく、農家側について実施していただいて、支障なからしむる、これに不足のない補助金を本予算において早々政府が組みますれば、その補助金に基いて指導をすみやかにいたしたいと思います。大臣はそういう措置で遺憾のないように健苗育成増産目的暫定予算のために支障がないように指導的措置をし、あと予算措置を十分にとる、早期に十分にとる、そういうことをしたいと考えておる次第でございます。  改良普及員等補助金人件費であること、身分安定性に関しますることにつきましては、これは本予算要求としましてかねてから要求しておるのでありますが、こういう形の暫定予算が組まれることは必ずしも当初から事務当局としては意図しておりませんでしたけれども、四、五月分の暫定予算になったことでございまするので、その当初からの折衝経過になるわけであります。農林省といたしましては、暫定予算に組まれましても支障がないように農林省は努力するからという旨と、また大蔵省に向いましては補助率が昨年の特例法等措置がございまして、今回も農業改良普及員は除いて、前年度と同じ特例法の暫定的なる法律期限延長法律案をあわせて審議をお願いいたしておるのでありまするが、この法律案には勿論改良普及員は除かれております。予算要求としましては農林省としては予算単価の増額を加えて要求中であるわけであります。その旨を、国会の御審議を実は待つべき性質がありまするが、年度が変りまするとき、端的に申しますとあしたが三十一日でございます、そのときなどに期を逸せずに農林省あるいは農林大臣から、暫定予算はこういう経過であったこと、本予算ではこういう折衝をしておること、政府案としての予算が確定でもいたしますれば早く知らせる、その間についての政府の情勢なり農林省態度なりを示しまして、地方庁にもそれを認識、了解をしてもらい、また適当なる処置をとって行きたい、普及員に安心して働いていただくように措置しようと思って準備は整えておるわけであります。
  7. 森八三一

    ○森八三一君 大体今の事務当局の御苦労になっておることはよく了承いたしますが、最初はその健苗育成の問題ですが、昨年は御案内のように坪当り二十一円五十銭補助が出ている。あの法律議員提案成立をいたしまするその前後における事情は十分事務当局も御承知と存じますが、財務当局はああいうような法律成立することを極力忌避をいたしておったのであります。  そういうようないきさつから考えますると、ここに季節性のある予算が明確になっておりませんということは、本予算成立に当って、法律用語は御承知のように予算範囲内で云々、こういうようになっておりますので、財務当局のかねがねの構想とからんで参りまして、国会意思を無視するわけには参りませんから補助をするという建前は貫かれてもその総金額というものが非常に圧縮せられる。その結果はずっと続いて農林省の努力によって進んで参りました坪数にしても、一坪当り単価にしても非常に小さなものになる、こうなりますと第一線でこの事業普及奨励の任に当っている諸君あとでうそを言ったというようなことになりまして、今後農林省直接の担当官なり、あるいはその意を受けて活動いたします地方庁諸君は農民から信頼を失うというようなことの危険が巻き起ってくるのではないか、こう思うのでありまして、そこで年度早々農林省方針をお示しになる、その際には全国で坪数は幾らできるのだ、坪単価は昨年通り二十一円五十銭でやるのだということを具体的にお示しにならぬと、あの法律の制定のいきさつを考えますというと、どうも第一線で本当に親身になって働く連中は、精魂こめていけないということになる危険があると思うのでございますが、そういうような点について事務的には一体どういう取り運びをされるのかということ。それから改良普及員の問題についても義務教育関係義務教育国庫負担法に基いて法律的に義務を生じているからというので、暫定予算におきましても百四十五億五千九百万円の具体的な金額が盛り込まれている。改良普及員のほうはやはり法律によって三分の二をやる、こうきまっておるのですからこれもやはり当然組まるべきものであると思うのに、一方のほうは組み込んで、一方のほうは資金運用部資金等活用、あるいは地方税交付税等によって措置をするということになるというと、そこにどうも同じ人件費でも区別がされておるという、まことにこう一方のほうは非常に重いが、一方のほうはどうでもいいというようなことで軽く扱われておるということで、気分の上では割り切れんものが残る、こう思います。またそのことは別にいたしましても、法律に明示されているごとく三分の二は当然給与されるものということで地方庁がずっと経理を進めて参りますと、あとにいって三分の二もらえなくなってしまった場合には、さなきだに困難をしている地方財政の上に非常な禍根を累積するということになるので、その三分の二の見通しがございませんと、従来の例によるというと、三分の二でなくて四〇%とか、三九%にいっていないという実績があるのですから、非常に手違いを生ずるおそれがあると思うのですが、そういうようなことについてはどういったような運びでいかれるのか。これは事務当局に非常に御苦労な話でありまして、全体の予算の枠が決定しないためにはっきりは言い切れないし、はっきり言ってやらなければ地方庁としてはにっちもさっちもいかないというところに当面してしまう。もらえるつもりで進んでいったところがあとでもらえなくなった。しかし法律の規定の上ははっきり明文があるということになるというと、非常に問題を中央地方の間に起してくるということになると思うのですが、そんな点は一体どういうふうにさばいて行かれるか、事務当局としてこれは非常にむずかしい問題だと思うのでございます。
  8. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 御指摘のごとく非常に御同情を賜わっておりまする点について事務当局は非常に困っておりまして、国会へもぜひ応援をお願いしたいと思っておる次第でございますが、しかしながら平素農林大臣のそばにおりましたり、国会で正式に農林大臣が発言いたしましたりしたこと及び大蔵事務当局と私どもが話合いつつありますること等から、事務当局として申し上げられますことを申し上げますというと、今回の暫定予算補助金等原則としては組み入れなかったことが、その逆に、裏からいって、その補助金方法においても軽重の度合いにおいてもそういう意味政策を表わすものではないのでありまして、新内閣早々でもあり、暫定予算最小限度にとどめて本予算で新政府政策を入れた方針を早く御審議願い、また年間総予算のうちのそういう政策を割合たくさん入れたものを御審議願うという意味においてそうしたということを繰り返して申し上げておるのであります。また農林大臣としましては多少談話等が間違って受け取られたり、あるいは言い不足だったりなどして、それでこの暫定予算補助金を当面農林省だけでなしに各省を通じて、義務教育等例外はありますが、事務当局としては組んでないということから、食糧増産なり農業関係補助金なりの確保に熱意がないと、そういうふうに受け取られるのはまったく間違いでありまして、事務当局を督励してまた事務当局意見もよく聞いて確保をするつもりでございますということを答え、また申されておる次第であります。この金額補助率単価等につきまして、暫定予算をこういうようにいたした以上は本予算を御審議になって、その国会の御審議の結果を待たないと……、政府案内容をもちまして本予算に即しまして行政指導なり気持地方に表わしたり、当該関係者に安心と督励をいたしますることは、本当は形式上におきましては国会最高機関であることを尊重する建前と反対のことになるかと思うのでございますが、それを阻害をいたしません範囲内におきまして本予算に組まれた政府意思取扱い程度、こういうものはむしろほんとうはそのままというべきだろうと思いますが、農林省気持としては、そのものないしはそれ以上も確保したいつもりであるから、その程度までは少くとも安心して、また地方庁はそれ以上を確保するようにお願いしたいと、そういう指導をしたいものと、また文書も出したいものと思っておるのであります。そうしますると、地方財政との関係になりまするが、これは大蔵省におきましても、もちろん政府全体といたしましても、地方財政のより健全化をはかり、農業関係におきましても農業関係確保するように地方財政が健全化されることを総体におきまして研究中のことであると思います。
  9. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) ちょっとお諮りいたしますが、農林大臣も見えましたので、官房長に対する質問はここで一つあと回しにいたしまして、大臣から昨日申し合せをいたしましたように、現内閣農林水産行政について説明を聞く、そういうふうにいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) 御異議がないようですから、農林大臣にお願いいたします。
  11. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 大へん委員会の方は早くからお開きをいただくように御要請もあったようでありますが、御承知通り衆議院のほうで予算審議されておりましたし、また参議院の方も予算委員会が開かれておりましたために、私がこの委員会に出席が遅れておりましたので、また私といたしましても、おあずかりいたしております農林行政について、皆様方の御了解を得るためにいろいろ申上げますことが遅れましたことを、この機会におわびを申上げます。  この機会に私から一言申上げて御了解を得たいと思いますることは、昨年末農林大臣に就任いたしましてから、その後新聞紙上もしくは各種の演説会等におきましていろいろ私が放言をしておる、ないしは私の演説をいたしましたこと等につきましていろいろ御批判なり、ないしはまた誤解なりがあるような点がありまするので、この機会に率直に私の所信を表明いたしまして皆様方の御参考に供したいと思うのであります。いろいろございますが、それらにつきましては機会を得まして、お尋ねによりまして申上げることにさせていただきたいと思いますが、まず第一に私の考え方といたしましては、今までのわが国の農林行政の推進して参られましたあとを考えてみますると、私が今さら申上げるまでもなく、終戦以来国内的にもにわかに人口の増加もいたしましたし、またにわかに朝鮮、台湾が分離いたしました関係から、わが国の食糧政策に非常に大きな変化がありましたことは申上げるまでもありません。また世界的にも非常に食糧の不足をいたしておりました関係から、国内におきましてはまず何がなんでも食糧の増産をして、そうして国民生活の安定を期する方向に向って行かなければなりませんという見地に立たれて、朝野をあげて食糧増産に邁進せられましたことは、私は当然のことだと思うのであります。このためにはあらゆる犠牲を払ってこの確立に向って施策を講じ、努力をして参らなければならなかったことも、これまた当りまえのことと思うのであります。ところが今や世界的に考えましても、相当に食糧に対する各般の条件が違ってきておることは、あえて私が申上げるまでもないことでございまして、たとえて申しますれば、この点が往々にして誤解を招くのでございますけれども、あえて申上げますれば、世界的に食糧は非常に増産せられまして、たとえば麦のごときはある意味において私は生産過剰の状態に陥っておると思うのであります。米につきましても、今までぜひわが国であらゆる努力をして各国からの輸入に努力しなければならなかったというものが、今やわが国に対してどうして売り込もうか、どうして買ってもらおうかというような状態に変って参りましたことも御承知通りであります。従いまして価格等につきましても相当に安くなっておりますことも事実であります。そういうように国際的に食糧事情が変って参りましたことと、かたがたわが国の農業事情といたしまして、戦争以後只今申上げましたような国内の食糧事情等を十分認識いたしまして、わが国の農民諸君政府の戦争以来とって参りました供出制度について、十二分の協力をして参られましたことも今や以上申上げましたるような客観情勢の変化ないしは国内の各種の情勢の変化等によりまして、この食糧供出制度について供出の意欲がだんだん減退をして参りまするとともに、この制度に対して農民のあらゆる方面において協力の意思が薄れて参ったこともこれまた私は当りまえのことだと思うのであります。従って今日の段階におきまして、われわれどもといたしましては、この供出制度を相当の意味において変えて行かなければならないということも考えなければならないことだと思うのであります。かたがたわが国の各種の産業にわたって考えてみますると、それぞれの産業が、戦争もしくは終戦を契機にいたしまして、国家の総力を一点に集中する意味において、あらゆる努力を国民が傾けて参りました。それが終戦後十年になんなんとする今日におきましては、それぞれが各種各様にそれぞれの業界、それぞれの立場において、みずからの生活の安定の基準において努力しておられまするそのときに、農民だけが国家の要請に基いて食糧増産にのみ専念するということを、その点においてのみ協力をしていただきまするということについても、われわれといたしましてはこの点に十分な施策を講じなければならないということも考えなければならないと思うのであります。これを別の言葉で申上げますれば、米もしくはその他の主食の製造生産に従事しておられる農民諸君が、これを生産、製造する、耕作することによってみずからが一番大きな収入を上げることができる、これが農業であると、この農業に従事することによって完全にみずからの生活の安定の基礎もしくは農家の経済の確立を期することができるということが、第一に政府としても考えなければならぬことでございましょうし、また農民諸君の立場におかれましては、他にそれぞれ適当な、有利、確実なものがありますれば、その方面に順次転換させるということに対しても、われわれとしてもこれを考えなければならぬことではなかろうか、こういうふうに私は考えるのであります。また私のこの考えが違えば、いろいろ御意見を拝聴いたしまして、私は決してこれを修正するにやぶさかではございませんけれども、たとえて申しますれば、米を作るという国家の要請、ないしはまたドル払いで外国から米を買うということはいけないという国家の要請、この国家の要請に基いて、農民自身は依然として、いつまでも米を作っていかなければならないものであるというような考え方でなしに、米を作るそのことが、農家経済の安定もしくは生活の向上になるという現実に立って、米の増産指導をするということに考えていかなければなるまいと思うのであります。いわゆる従来とても私の今申上げたようなことになっておった面もあると考えますけれども、多少その間に違った面もあるような気もいたしますので、私といたしましては農家経済の安定、農民生活の確立という面に重点をおきまして、そこでどういうふうに私は考えるかと申しますると、戦前にすでに十分先輩諸君によって論議せられましたところでございまするように、農家の経営を多角的にいたしまして、たとえばサツマイモを作っておった畠に桑を作って、そうして蚕糸政策を確立いたしまして、そうして生糸の輸出増進をする、生糸の輸出増進をすることによってこの生糸の代金によって米を買って参る、麦を買って参るということも、あらゆる面から勘案いたしましてそのような途をとることも決して差しつかえないのじゃなかろうか、これは一例にあげたのでございますが、畜産の振興につきましても、これを多角経営の見地から参りまして、農家の経営を確立するという面から考えていかなければならぬのではなかろうか。どこまでもわが国の農家経済、農業生産の確立という意味から、農業政策を推進して参るというふうに考えて行きたいと、実は私は考えるのでございます。  そういう見地に立ちまして、もう一つ誤解がありまする点が従来ありますので、この機会に御了解を得ておきたいと考えますることは、外国の米が下った、麦が下った、安い米、安い麦を日本へ持ってきて、そうして日本の国内の麦の値を下げ、米の値を下げて、そうしてやっていこうというような考えを私が持っているやに伝えられる向きもありますけれども、これはたびたび機会がありまする際に、両院において私が発言いたします通り、絶対にそういうことは私は考えておりません。日本の米価の決定は、只今申上げますような意味合いにおいて米価の決定も許されるなら、して参らなければならんし、麦の値段についての指導についても、私は外国の麦の値段がどうあろうとも、それとこれとは別であって、わが国はわが国の独自の立場において全体の経済界の情勢、物価指数等その他いろいろ皆様方にすでに十分御審議をいただいておりますような米価、農産物価格の決定の方向に従って決定すべきものであって、外国の米麦の価格、世界の農産物の価格の騰落によってにわかにこれが推進されるものではないということについては、私は深くその点については考えておりますから、もしこの点について誤解があったならば御了承いただきたいと思うのであります。  さらにそういうふうな意味合いに立ちまして、私がしからばこれをどういうふうに具体的に農林政策として進めて参るかと申しますると、以上述べましたような基本的な原則に立ちまして、第一にやりたいと思いますることは、農家経済の確立のためには農家の一般農産物の生産費の引下げに深く施策を講じなければならない、生産費の引き下げに当っては、しからば何を考えて行くか、第一にこれは土地の改良におかなければならんことはあえて申上げるまでもありません。土地の改良をして反当収穫量の増大を期して、そうして生産費の引き下げをはかることは当然でございます。私はこの点について、よく世間に土地改良はもう放ってしまうのだというようなお話もございますけれども、その私が土地改良に対する意見は只今申上げますように生産費の引下げを基準にした土地改良はあくまでもこれは推進しなければならんのであって、ただそうでなしに、開墾によって、そうして非常に耕作の不便であるとか生産費の高くつくとかというようなものにまで入植者その他によって無理に雑穀その他のものを耕作させて行くようなことについては、多少考えて行かなければならんのではなかろうかと、この点については考えるのでございまして、土地改良その他によって生産費を引き下げ、反当収穫量を増して行くということについては、今後も引続いて全力をあげて行かなければ、生産費の引き下げにはならないということについては、私もそういう考えを持っておりますから、この点については御理解いただきたいとと思うのであります。  第二は、生産費引き下げの点に続き、農家経済の安定の点につきましては肥料、飼料、農器具、農薬、これら農業用資材の価格を引き下げて参りたい。この機会に一言お許しをいただいて肥料のことについて申上げてみたいと思うのであります。わずか硫安の五円や七円下げたところでそれが何になる、その通りでございます。その通りでございますが、とかく従来一部独占資本家と申しますか、一部の資本家によって肥料の価格が一方的に決定せられて一方的にこれが運営せられるようなきらいがありました。そういうことに対してあるいは農村側として、これは誤解があるといけませんから申上げておきますが、肥料審議会において決定せられます価格はどこまでも私はこれは最高価格と了承いたしております。従って、最高価格であります以上は最高価格にくぎづけになっておる肥料の価格が間違いなんでございまして、これは最高価格を幾分でも下廻って農家に取り引きされるということは絶対しなければならない、われわれが肥料の輸出を許可いたします場合において、最高価格を絶対に上廻ることは同意ができませんぞという一つの目安が肥料審議会によって決定せられる価格でございます。これを取り違えて、これが肥料の公定価格であるかのごとくに誤伝せられており、誤解せられておる向きもあるように私は考えますけれども、これは輸出の許可をいたします場合に、輸出してもこれより上には上らない、これより上に上るようなことがあったならば輸出に非常に支障があるのであるというような目安からきめたのであって、生産状況がよくなった、その他の状況がよくなれば当然これは価格の引き下げがあることが当り前だというような意味で私は考えたのでございまして、これは硫安、石灰窒素、過燐酸、カリその他の肥料全体にわたって私はできるだけ可能な値下げをしていただきますると同時に、政府といたしましても、この方面には格段の施策をいたしまして、今われわれが想像できまするような肥料の値下げでなしに、もっと大幅の肥料の値下げ、少くとも硫安を国際価格まではどうしても一日もすみやかに引き下げまして、そうしてわが国農家の生産せられるものにつきましては国際価格に近いとろまで生産費が下って、そうして価格が調節できるということに持って参らなければならないと思っておるのでございます。餌につきましてもいろいろ問題がございますけれども、これについても格段の努力を払って参りたいと思うのでございます。これらにつきましてはお尋ねがあります際に申し上げることにいたします。  さらにまた農機具、農薬等につきましても同様に考えております。ある人からの御注意がありまして農薬に対する補助金は思い切ってふやさなければいかん、こういう御注意もございましたが、私はこの機会に申し上げておきたいと思いますことは、農薬の問題については補助金も入り用でございます。補助金も入り用でございますけれども、従来の農薬の行政につきまして私は少しく考えてみなければならぬ点があると思いますので、これらにつきましては行政の指導その他によりまして、相当に効果を上げてみたいと考えておるのでございまして、もちろんそれだけでは十分でありませんから補助金等についても考えるべきことはむろん考えなければならないと思っております。そういうふうにしてこれらの生産資材の引き下げについて努力をいたし、さらに税金につきましても今農家の税金についてだんだん問題がありますることははなはだ遺憾でございまして、これにつきましては私といたしましては所期の目的に反するような方向にいっておりますので、最善を尽してこの問題の解決に努力いたしまするとともに、今回の内閣が考えておりまする減税に当りましては、特に農家に対する減税の方向に相当に実効の上りまするように考えてみたいと思っております。そういうふうにしてあらゆる面において可能な許されましたる努力をいたしまして、生産費のまず軽減をはかり、そうしてそれに引き続いて取引の改善をはかりまして、そうして農家の手取りをふやす、農家の売った値段と現金の支出の差額を大きくいたしまして農家の経済に寄与して参りたい、そういうことによって農村の繁栄が期せられるのではなかろうか。従いまして今米の値段を上げる、麦の値段を上げる……下げるということは私はさしあたり考えておりません。将来相当に経済界の変化ないしは生産費の引き下げが相当に効果をあげて参りまして、誰が見ても少し下げてもいいじゃないかということになれば別でございますけれども、私自身は米麦の価格を国際的な影響を受けて下げようというようなことは毛頭考えておりませんことも御了解をいただきたいと思うのでございます。そういうふうにして現在の価格に安定をすることが私は労働問題解決等の諸点から勘案いたしましても、どうしても経済界の安定、国民生活の安定は、すなわちわれわれがおあずかりしておりまする農業生産、農産物の価格の安定が基準であると考えまするので、農家の方々にも非常に御迷惑と考えますけれども、現在の価格になるべく安定できるものはがまんをしていただいて、そのかわりに政府といたしましては生産費の引き下げに全力をあげて努力するという方向で基本的に……むろんそれぞれの例外はございましょうけれども、私に関する限りそういう方向で努力して参りたいと考えておるのでございます。また今までの農産物の価格の安定につきましては、皆さんも御承知通りたとえば畜産物の価格のごときもここ数年間家畜の導入その他畜産振興というような意味におきまして、畜産振興については相当の努力が払われて参りましたけれども、畜産物の価格の安定の上において多少遺憾な点がございました。その盲点を突かれまして牛乳の価格の下落、卵の下落というような畜産製品の異常なる下落をみておりますることははなはだ遺憾に考えられますので、この点についてはこの機会を通じていずれ皆様方の御賛成、御協力を得まして、適当な施策を実現いたしたいと考えております。その他一般農産物につきまして、養蚕につきましては生糸の価格もしくは繭の価格等につきましてもこの国会でできますればぜひ安定方策について力を入れて参り、これら養蚕、畜産その他一般の、先ほど来申し上げました多角経営を推進して参ります上におきまして、これらの農産物の価格の安定につきましては政府としては特にこの機会に努力をいたしてみたいと考えておる次第でございまして、その他いろいろ申し上げなければならないこともあるかもしれませんが、大要申し上げまして皆様方の御了解を得たいと思う次第でございます。  いずれ折に触れましてまたお尋ねがありますれば所信を披瀝いたしまして御了解を得たいと思う次第であります。簡単にごあいさつを申上げまして御了解を得たいと思います。
  12. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの大臣の御方針と申しますか、今後農政を進めていこうとお考えになっておる方向に関連いたしまして二、三お伺いをいたしたいと思います。もちろん農家経営、農業経営を経済的に成立せしめていくように持っていかなければならぬことはこれはもう申すまでもないことで、ひとりこれは農業に限らぬと思います。中小企業にいたしましても、肥料工業にいたしましても、その生産の事業が経済的に成り立つように持っていく、そういうように進めていくことが誠意あることはこれは申すまでもないことと思います。当然のことであると思います。ただそのことと国内食糧の自給という問題とはこれは別の問題ではないか、今お話を聞きますると、必ずしも国内の食糧を自給するという方向はとらなくてもいいんだというように理解される。そのことが一体日本の置かれておる国際的な情勢から考えましてよろしいのかどうかという点についてもう少し国際的な関係等をにらみ合せて、それはただ現実の目先の情勢ではなくて、遠い将来を考えてそういうような方向が是認されるかどうかという点をお伺いをしたいと思うのでございます。まあイギリスのような国におきましても一九四八年でございますか、やはり国内における食糧の問題は自給の態勢を確立すべきであるということで、国をあげての食糧確保に関する施策が非常に強力に進められておるというような現実を思い合せますると、必ずしも外国食糧の生産事情が非常によくなったということに安心をして、それに依存をするというような考え方はいかがかと私考えまするのでありまして、この点をお伺いをいたしたいと思います。  それからそれに関連をいたしまして、昭和二十八年産の米は、北九州の水害、それに引き続いて全国的な冷害、さらに十三号台風というような未曽有の災害に逢着いたしましたので、非常に減産ということに関連をして一石五百五十円の凶作加算金が支給されたことは大臣も御案内だと思います。昭和二十九年産の米作は幸いにそういうような災害もなかったのでありますが、というて、数次にわたる台風の襲来もあり、北海道を初めといたしまして、これまたきわめて激甚な冷害に遭遇いたしましたので、平年作に対比いたしまして五%以上の減収であったということも御案内だと思います。といたしますると、昭和二十八年産米の措置にとられましたような凶作加算金というものが当然考えられなければならんと思うのであります。が、今回の暫定予算にはそういうようなことは盛り込まれておりませんのでありますが、この始末を一体どうおつげになるのかということを第二にお伺いいたします。  第三点に、政府から提案せられました予算説明書を拝見いたしますると、その基本的な考え方として、「暫定予算には、政策的な諸経費を除外し、」とこう述べられております。このことは前内閣の当時におきましても、前後二回にわたって暫定予算編成をされ、同様の説明がありまして、私ども暫定予算性格にかんがみましてそうあるべきであるというように受け取っておるが、しかしそのことは、ただ単に積極的に時の政府政策を織り込むということだけを言っておるものではなくて、消極的にも言われることであると思うのであります。そういたしまするとこの予算には法律その他で義務づけられておるものだけは補助費等について計上をしておるが、その他のものは一切計上しないということは、消極的に政策を織り込んでおるものであるというふうになるように思うのであります。まあそういうようなことはとにかくといたしまして、その結果が非常に大きな問題を招来しておるのではないか、例をあげますと、先刻も官房長に予算の事務的な説明に関連をいたしましてお伺いをいたしておったのでありますが、前国会におきましては、国会は食糧の増産確保いたしまするための手段として、しっかりした苗を育てることが急務であるということで、議員提案という形をもちまして、健苗育成に関する法律を制定いたしたのであります。このことは季節的にきわめて関係がありますので、その当時付帯決議といたしまして、両院はでき得ますれば昭和二十九年度中にも、三十年度に進めらるべき法律の要請していることを予算的に具体化すべしということを申しておったのであります。にもかかわりませず、今度の暫定予算にはその片鱗が出ておらぬ。ここであるいは六月まで暫定予算ということで推移をするようなことになるといたしますれば、このことは時期を失するということになるのであります。が、しかし法律があるのでありますから、これは政府義務づけられておる。早晩何らかの形で具体化されることは、これはわかると思う。しかしその法律予算範囲内において云々、こういうように規定をいたしておりますので、予算の額いかんによっては非常に思わざる手違いを招来する危険がないとは言えぬと思います。前年度までは坪当り二十一円五十銭の助成があった、それが今度は五円、六円というように削られる危険が理論的にはあると思うのであります。そうなりますと第一線指導している連中は非常に大へんなことで、法律まで国会が作って食糧増産のために考えていることだから、恐らくこれは前年通りの姿でやってくれるだろうというような期待のもとに指導奨励に当る者も一生懸命に苦労をする。受ける農民諸君もその気持で御努力願う。その結果が半数にも満たない助成金で打ち切られたということになりますと、ただ経済的な打撃だけでなくて、農林省を初めとして、地方庁指導奨励の任に当る諸君の言うことはうそだということで、指導者の信用というものを失墜する。このことが非常におそろしいので、これを一体どう解決していくのかという問題を、当面の問題として私は食糧の問題を痛切に感じますだけに、非常に憂えておるのでありますが、こういう問題は一体どういうふうにお考えになっておるのか。  まず以上三つの点についてお伺いいたします。
  13. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 第一の国内食糧の自給自足を目途として行くべきではないかということのように了承いたしますが、私も可能であれば、また可能ならしめるように努力はしなければいけませんということについては、私も異存はありません。その目途で行くべきが当然と思います。しかし私が先ほど申し上げましたことでもし誤解があったならばお考え直しを頂きたいと思いますことは、そういう方法でいくことができれば一番けっこうなことでございますけれども、その責任を、その義務を農村が負うという、農村の責任においてそういうことをやっていくということについては無理があるのじゃなかろうか、たとえば食糧の自給自足をしなければならぬからほかに農家としては収入の多いものがあっても、その国家的要請のために協力していかなければならないというようなことを義務づけられるということは、私はどうであろうかと、こういう意味合いで申し上げたのでありまして、そこで私はこの機会に御了解を得たいと思いますことは、ただいまのお話はもちろん国策としてこれの方向を推進することに決定していかなければならないと思うのであります。たとえば人口と食糧の問題をどう考えていくか。人口は今のように幾らでもどんどんふえてゆくのだが、それを食糧の増産が追っかけていっても到底追っかけきれるものではないと思うのであります。でありますからこの国内の食糧自給自足ということは、われわれ農村側において、もしくは農林省の施策において考慮しなければなりませんと同時に、他の面においても御協力を願う等々、一致してわが国の国策をそこに向けるようにしていかなければならないのではなかろうかと思うのでございます。ところが従来往々にして自給自足は農村における食糧の増産によってのみこれを要求せられる面がやや強過ぎたのじゃなかろうかとこう私は思うのであります。ところがこれは私は程度の問題と考えまして、御承知通り現在われわれは政治家といたしまして、世界の平和を祈念いたしますることにおいては皆同様でございますけれども、現実はそうではないじゃないかというようなこともわれわれ勘案のうちに入れなければならない。従いましてそういう場合において一方において自衛隊の費用をふやす、反面においては食糧の増産について考慮しておかなければならないのじゃなかろうかと、両々相待って行かなければなりませんことは考うべきことではないかと思います。しかし御案内の通り朝鮮から戦前に約八百万、台湾から四百万、千二、三百万石の外米を移入と申しますか、今なら輸入でありますが、入れて、七千万人の人口で適当に処理して参られた日本の食糧が、この戦後における急激なる人口の増加八千七百何十万人とか申されますが、とにかく九千万人に近い八千五‐七百万人の、にわかな人口の増加と、一方において一千万石以上の生産の供給のマイナスを一気にわが国内において解決しようということは非常に私はそこに無理がかかって来るというようなことでございまして、これは国策として一つどういう方向に行くかということを決定され、そうして国策的見地に立ってこの問題を解決するということでなければ、一農林大臣の所管においてこれを解決するということはなかなかむずかしいのじゃないかということを私は考えさせられるのでございます。そういう見地からいたしまして、今お示しになりますように、自給自足をしようという考えはないのかとおっしゃれば、決して私はないのではございません。それはそういう方向にいかなければならないと考えますけれども、それは非常に大きく農村にウエートをかけるというようなことになって、農家経済の安定をこれによって抑えてでも、その方向に強く進まなければならぬかどうかということになりますと、私はその点については現在の農村の事情から考えまして、多少考えさせられる点があるのではなかろうか。さらに申しますれば、わが国の産業の自立の見地から参りましても、そうして食糧の価格はもう少し高くしてよろしいということになれば、そこに増産可能の面が私は非常に生まれてくると思いますが、そこに食糧を無理してでも増産する農家の手取りをもう少し思い切ってふやしてもよろしいということになれば、さらに増産の可能な面も出てくると思いますが、そういうことになりますと、一方においてわが国の労働賃金の引き上げになり、そこに一般産業界における生産費の高騰になり、貿易の促進に支障をきたしてくるというような、私はそんなばかなことを申し上げる必要はないと思いますが、自立経済達成の上において非常に各方面に大きな影響を与えてくるのでございますから、これは経済全般の見地に立って考えていただかなければならんことであって、私といたしましては、今お示しになりましたような食糧の自給自足態勢の確立の方向にいくことには決して私は反対ではございません。そうあってほしいものと考えますけれども、これを一農林省の所管において担当するということは、あまりにも問題が大きいのではなかろうかというふうに考えますので、先ほど申し上げましたように、その点にはあえて深く触れなかったわけでございまして、私はそれに反対的な考えを持っておるというのではございませんから御了解願いたいと思うのでございます。  第二の減収加算の問題でございます。これは御承知通り私は従来の、従来と申してよろしいか、昨年そういう方向がとられたのでありますから、本年も当然計数の上からそういうことをしなければなるまいということをいち早く考えまして、大蔵当局とこの点についてしばしば折衝を重ねておる次第でございます。ところが大蔵省側の言うことをそのまま了承するわけではございませんけれども、昨年の米価の決定に当って二百円の加算がしてある、この中には諸般の情勢を勘案してこれを入れるのであるから、万一異常な減収があれば別でありますけれども、ある程度の場合にはそういうことをしないというような事務的な打ち合せもあったやに実は聞くのであります。これは前内閣時代のことでありますから、私はよくわかりませんが、そういうことのために交渉が非常に手間取っておりますので、この減収加算の問題を決して捨てたわけではございません。捨てたわけではございませんが、今なお大蔵当局折衝中であるということで御了解をいただきたいと思うのでございます。  第三の点は補助金のこの暫定予算への入れ方が消極的ではないかということのお示しでございます。これにつきましては衆議院農林委員会でもいろいろ御意見を拝聴いたしまして、確かにお示しのようなことはその通りと私は考えます。考えますが、ただ私たちの事情をお聞き取りいただきますならば、たとえば今お示しになりました保温苗代の問題につきましても、我々の要求いたしまする要求額と大蔵省の了承いたしまする大蔵省予算編成いたしまする数字との間に、意見の一致がなかなか得にくいのでございます。そういう意味合いから消極的に意見の一致をみないままでこれを予算の上に載せるということは、大蔵省側の言い分をどうしても了承しなければならんような羽目になりまする危険がありますので、私といたしましては農林省の主張を捨てるわけに参りませんから、そこでただいまこの予算の中にはそういう未解決の問題ないしはまた大蔵省側と私の方との意見の相違のある問題ということ等につきましては、これを早急に決定する時間的な余裕を許されませんものでございましたから、そういうような決して政策的なものではございませんものにつきましても、これを予算から落してありまして、そうして、これはなお進んで申し上げますれば、いずれ大蔵省側からは来月になりますれば、十五日ごろには予算を提出することになっておりますから、いずれにいたしましても四月のごく初めには両省の明年度予算折衝は確定するわけでございます。その確定を、四月の初めに確定をすることになるのであるから、そこで大体地方庁のほうにおいてもその見当を了承してもらうことはできるだろうということのために、地方交付金等の処置を少し大幅にいたしておきまして、そうして地方庁において適当な施策をしてもらう、ないしはまたこの保温苗代等のものにつきましては、従来の慣行からいきまして、大体補助金を交付いたしますのが七月ということになっておるそうでございますから、七月までは、予算が衆参両院を通過しなければわからんということになればその通りでございますけれども、何分今申し上げましたような次第で、これを二カ月分の予算に組む場合に、意見の一致しない問題があります、そういう問題を短時日の間にこれをまとめるということが、非常に私おあずかりいたしておりまする責任上了承のできない節がありまして、これの折衝を続けるというようなことがありましたものですから、大体今申し上げまする補助金については、これをこの予算の中から抜いた、そうして総括的に地方庁のほうに交付金等において向うに金繰りのできるようにしておいて、そうして予算がきまり次第それを地方のほうで見当をつけてやってもらうというようなことを、まあ違法な処置でございますけれども、大体地方行政を推進いたしまするには支障のないようなふうに行政指導でやっていけるのではなかろうか。そのほうがむしろ農村のために私はいいのじゃなかろうかと、ひとりぎめで、はなはだ恐縮でございますけれども、何分選挙が終りまして内閣ができましたのが非常に日がありませんもので、これらにつきまして非常に追い込まれた短時日の間に決定をして進めなければならんことでありましたために、問題を残したことにつきましては、むしろ決定を急ぎますことは私としては自分の責任上困る問題がありましたのでこれを残しましたので、決して補助金その他についてこれを削減する、削っちまうためにこの暫定予算の中に入れなかったということではないのでございまして、私はそれに同意をしてやったのではないのでございまして、その点は一つそういうことで御了承をいただきたいと思う次第でございます。
  14. 森八三一

    ○森八三一君 今の減収加算の問題ですが、これは大臣もその当時のいきさつは十分御存じと思います。昭和二十八年産の米価決定に当りまして、その当時の改進党が一千円の基本価額引上げを打ち出して予算の修正を行うということになったと思います。そこで基本米価を一千円上げるということになりますると、その当時の財政状況におきましては、二重米価ということを実施をしなければならぬというような形式論に発展をして参る危険があったので、自由党政府としては形式的に二重米価という線が打ち出されることは了承はしかねるということから、おそらくその当時日本自由党の有力なメンバーとして大臣もそのことに御参画になりまして、いわゆる保守三党の共同修正をお作りになったと思います。そのときには一千円を上げるかわりに完遂奨励金ということで、奨励金の形をとれば実質的には二重米価になると思いますが、形式的には二重米価ということにはならないということで、八百円の完遂奨励金ということに変ったのです。その内容としては、基本米価に組み入れてしまえば当然それは所得の対象となるわけでございますので、税の関係が生ずる。奨励金という格好をとれば、国会意思いかんによっては免税の措置もとられる、そういう措置をとることとすれば、八百円ということで実質的には基本米価一千円の引き上げと同じ効果を生ずるのではないかというようなまあ内容でです、八百円の完遂奨励金というものが組まれたように承知をいたしております。たしかその当時予算委員会におきましては……参議院の、そういうことに関係を持たれました衆議院側の各党のかたにお出ましをいただきましていきさつを聞いたのでありまして、今速記録を詳細に調べてみませんとはっきり私も確言はいたしかねますが、そういうようなふうの御発言であったと私は了承いたしております。そういたしますると、今基本米価を一千円今回は上げる、九千百二十円の三等米価にしたというときに、八百円であったものを二百円プラスして組み込んだのだから、すでに凶作加算金的なものは基本米価九千百二十円の中で措置をされておるという大蔵事務当局の主張というものは全く私には理解し得ないのであります。その当時の予算委員会審議の経緯から考えまして、もしそうであるといたしまするなれば、昨年度行われました完遂奨励金相当額というものは、当然免税の措置をとるべきであるというように思うのであります。その措置がとられませんければ、今おっしゃるようなことで、昨年と今年の米価が二つの取扱いを受けるということは、農民の諸君の非常に不信を招くという結果をおそれるのでありまして、この点はしっかり一つそういういきさつをお考え願って解決を願いたいと思うのであります。もし所得のうちから一部を控除することが税法上の建前をくずすということで異議があるといたしますれば、すでに二十一臨時国会におきましては、医者の所得のうち、ある一定部分を所得の対象にしないという特別立法も行われた先例もあることでございますので、完遂奨励金が無税の取扱いを受けておったその部分相当額を所得のうちからピック・アップして税の対象所得にしないという措置はこれは不可能なことでもない、前例があるということになるわけでございますので、その点は一つ早急に解決いたしまするように善処をお願いいたすのであります。それから食糧自給体制確立の問題につきましては、方針としてはそうあるべきだということを御肯定願ったのでありまして、その場合に、大臣のお話は、そういうことを国策としてきめてやっていくことは、そのしわ寄せが百姓にいくことをおそれる、こういう御意見であった、これは当然のことでありまして、国の要望が国内食糧自給を確立するということが必要であるということでありますならば、そのことに従事いたします農民諸君に、経済的なしわ寄せがいくということを避けていくというのが、当然私は政治であると思うのでありまして、そうならなければならんと思いますので、方針上確認をいただけるといたしますれば、その方針がお話の通り農民の負担と犠牲において行われない姿において進められていくようにお進めいただくということを希望いたすのであります。それからもう一つ補助金の問題に関連いたしまして、新しくお伺いいたしますが、政府の示された予算説明によりますると、義務教育国庫負担金ですか、これは義務教育費国庫負担法という法律があって、これは義務づけられておるから、それで補助費であってもこれはこの暫定予算に計上しておるのだ、こう説明されておる。ところが今私希望もし、大臣もおっしゃいましたように、食糧の自給を確立するということが可能であるならば、やっていかなければならんことだ、その方針の下に活動しておるところの改良普及員諸君の俸給給与というものは、これはやはり法律で三分の二を負担するということを義務づけられております。しかもこの二分の二という額は昨年の議会で大蔵省のほうから意見があったと思いますが、政府は二分の一に削減しようという特別措置法律提案いたしましたが、今の農村、農業の実情にかんがみて、改良普及員の活動は更に一そう推進すべきであるという考えのもとに、衆参両院ともその三分の二を二分の一に削減しようとする政府原案を、これを修正いたしまして、従来通り三分の二に据え置いたといういきさつもあり、極めて重要な内容のものであります。それが一方は義務教育費国庫負担法という法律義務づけられて組んだが、一方のほうは法律にやはり義務づけられておっても組んでおらないという措置をしておる、何とはなしに改良普及員というものは非常に軽い存在であるというようなふうに見えるのでありまして、必ずしも大臣のお考えがそうでないということは私も了承いたしますが、形の上から議論をいたしますると、法律義務づけられておる補助費だけは計上したとおっしゃいましたが、一部のものについては法律義務づけられておっても、そのことを実施されておらぬという現実です。この現実は改良普及負諸君にとって非常に情ない仕打ちであるというように思うのでありまして、これは一体どう御解決になるのか。そこで問題は三分の二という規定はございましても、従来三分の二が実際は支出されておらぬという現実なんです。これをこの暫定予算でどうするということではございませんが、新らしい三十年度の本予算編成をされるにつきましては、国会が二分の一に減そうという政府原案を修正して、三分の二に据え置くべしという意思決定をいたしましたことは、きわめて重大な内容であると思うのです。そのことを法律と同時に三十年度に実施をされるのかどうか、それが実施されるということでありますれば、この暫定予算においては補助費が組まれておりませんでも、地方庁におきましては安心をして交付税あるいは資金運用部資金等の融資等によりまして、この一、二カ月の間をまかなって行くことは可能であろうと思いますが、そういうことがはっきりいたしません限りは、ここに非常に大きな問題を巻き起すと思いますので、この点につきましても大臣の御方針をお伺いいたします。
  15. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私は御説明を申し上げるまでもなく、先ほどの減収加算の問題は、実は税のほうを計算いたしますると百五十何円くらい、百四十何用でしたか、百五十何円くらいになるそうであります。従って二百円の中には余分が出ますので、そこに問題が実は残ってくるわけなんでございます。なお、決してそれで私は弁明をしようという立場でないのでございますから御了解願います。  それからあと補助金の問題でございますが、決して教育費のほうが重くて農業改良普及員のほうが軽いという考えは私は毛頭持っておりません。持っておりませんが、何分先ほど申し上げましたようなことでございまして、大蔵当局の間には多少今御指摘のような点が、これはすでに御承知通り、ないことはないのでありまして、そういう意味合いで意見の一致がなかなかしにくいということで、これまた一様に実は農林省関係につきましてはあと回しにしたということでございまして、私が決して大蔵省の言い分を無条件に聞いておる、聞こうとしておるということは絶対にないのでございます。ただここで一言申し上げて御了解願いたいと思いますことは、われわれが出しまする補助率が、地方に参りまして必ずしもその通りにいきませんで、地方で人をふやして見たりなんかする場合があって、その方に回る場合があるものでございますから、それこれいろんな点を勘案いたしまして、御承知通りの実情でございますから、この際は今後のためにも、私も地方費から補助をさしておくということ自体が実はよくないのであって、そのためにいろいろせっかく設置いたしました人が別の方に使われてみたり、いろんな点が従来混淆する点が非常に多いのでございまして、そのために実は補助金の率の少いものはやめたらよかろうというような議論も出てくると思うのでございまして、組閣早々の際でございまして、思い切った措置はむろん私もとりにくいと思いますけれども、それらにつきましては、将来一つ十分検討いたしまして、そうして将来の確立を期していかなければなりません。と同時に、地方財政の窮乏の際でございますから、ただむやみにこちらから補助金をかぶせてやりますと、そのためにそれが思わん結果になって、実際におきましては、こういうことをここでこの機会に申し上げて適当かどうか知りませんけれども、会計検査院等の調査の結果、とかく農林省補助金の行方が問題になっている点が実は多いのでございます。そういうことで、われわれは非常にこれはぜひなければならん補助金であり、施策であると考えましても、最末端まで会計検査院等で調査してみますると、それがわれわれの意図する通りにいっておらん場合が相当に大きく実はだんだん出てきておるような実情になっておりますので、この機会に相当深く考えて、適当な時期にわれわれといたしましては抜本的な施策を講じなければならん問題が相当多いのじゃなかろうかと、こう思っておるのでございます、しかし今ここで私が申し上げましたことは、明年度予算についてそういうことを私の考えの中に全然入れてものを考えておらない。私はこういう早々の際でございますから、従来の施策について、なるべくそれをそういう方向で生かして行きまして、時期を得まして何とか皆様の御協力によって一つ考え直していかなければならんじゃなかろうかというふうに考えておりますことを申し上げて御了解を得たいと思っております。
  16. 千田正

    ○千田正君 今日は農林水産委員会であって、農林大臣は一般の御方針を述べられる予定で来られたと思いますが、今までのお述べになった分は、農林の問題については詳しくお述べになりましたが、水産問題は、今国際問題をはらんで非常に重大な段階に来ております。これに対する御方針等についてはまだ聞いておりませんが、これは一応あとになるのですか、それとも続いて本日農林大臣から御方針を承われるようになっているのでありますか。委員長から重ねて農林大臣とお打ち合せの上、ここではっきりしていただきたいと思います。
  17. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  18. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) 速記を始めて下さい。  続いて大臣の方から、水産行政について説明がございます。一応それを聞くことにいたします。
  19. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 先ほど申し上げました通り、私は実は農林関係の方も、例を農林関係に求めたのでございまして、水産行政につきましても、実は御案内の通りに、今日日本の水産各般の問題について考えてみまするのに、すべての点において行き詰っておる点が非常に私は多いと思うのであります。と申しますのは、私も余り実は……はっきり申し上げますが、水産を知っているような知らないような、わからない点が実は多いのであります。これは一つ御理解いただきたいと思うのでありますが、たとえば以西の底曳のことにつきましても、マグロ、カツオの問題につきましても、さらに北洋の漁業につきましても、たとえば今問題になっております四十七度線の問題につきましても、いろいろ遠洋漁業の問題について考えますると、どれもこれも今のままにほっておいてよろしいという問題は一つもないのでございます。さらにこれを近海、沿岸の漁業について見ますれば、さらに一そう問題は各種各様にわたって多いと思うのであります。さらにまたこれを漁業の基地の問題について考えてみましても、漁港の修理計画、さらに船だまりの問題、これらにつきましても、漁船の型がだんだん大きくなっておる、遠くに出て行かなければならんというような問題等々を勘案いたしますると、従来とって参りました水産に対する案をそのまま進めて参りますれば、むろんさしあたり一年や二年どこをどうしなければならんという問題はないかもしれませんけれども、そろそろ私は今からまたそれはそうじゃない、早くやらなければならんといっておしかりを受けるかもしれませんけれども、根本的にわが国の水産行政について基本的な施策を打ち出さなければいけないのではなかろうか、こう実は考えておるのでございます。これにつきましては私も非常に経験も知識も薄いのでございますから、特に大臣に就任いたしまするとともに、大日本水産会、その他沿岸もしくは遠洋方面の先輩を顧問に御就任をいただきまして、これらの方の御意見も十分尊重いたしまして、そうして善処いたしておるわけでございまして、これは実は昨日もこれらの顧問の一部の方にお集まりをいただきまして、いろいろ御意見を拝聴いたしまして、明年度予算の中には、漁業に関する根本的な対策を樹立するために審議会を作って、この審議会で十分検討を一つ願うことにいたしたいということでお願いを申し上げるとともに、私といたしましては、僅かではございますけれども、まあ審議会としては相当の予算要求いたしまして、そうして基本的なわが国の水産国策の樹立を一つ考えてみたいというふうに思っておるのでございます。当面さしあたりといたしましては、先ほど申し上げましたる通り、水産にいたしましても、生産費の合理化、引き下げについて努力をして参ることが必要であろうということのために、漁業用の油の値下げについて、これもまた僅かではございますけれども、トン当り五‐七百円の値下げを通産省と合議いたしまして、実現の運びに参っておる次第でございまして、その他漁業用の網でありますとか資材についても、そういうことができれば皆一つ努力をして参りたいというふうに考えまして、かたがたこれらの販売につきましても、流通過程に力を入れまして、そうして水産物の、たとえば市場の改善等についても、できれば明年度におきましては東京の市場、その他大都市の市場の改善について御協力がしてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。さらにまた具体的に申し上げますれば、すべての遠洋漁業につきまして、非常にこれが大きな権利になっておるというような感覚自体が間違いであると考えますので、これらのことにつきましても、特に審議会等において御調査を願っていかなければなるまい。こういうことを申し上げてどうかと思いますけれども、一応戦前の水産について、ある程度の方向が定められましたものが、戦後のこの混乱の時代において、これが全然くずれておる。くずれたことがいいのか、戦前のように方向を定めて指導したほうがいいのか、これらのことも考えてみなければならないと思うのでありまして、一例を以西底びきにとってみましても、あれだけたくさんの舟が出て行く。その舟が必ずしもうまくいかない。さらに李承晩ラインの問題があり、中共との問題があること等々を勘案いたしましても、何とかここで基本的に考えなければならんのではなかろうかというような問題が非常に多いのでございますけれども、それはひとり農林省で片のつかない問題も非常に多いのでありますから、これらの問題については十分関係方面とも協力いたし、かたがた民間有識の方々の御協力、御示唆によって方向を定めて、これに向って進んでいきたい、こう考えておるのでありまして、はなはだ申し上げますことはおそらく物足りないことでおしかりを受けるかもしれませんが、大体その辺で一つ御了承をいただきたいと思います。簡単でありますが……。
  20. 江田三郎

    ○江田三郎君 いろいろお尋ねしたいことがあるのでありますが、問題をしぼって、大臣の方で就任以来言っておられました砂糖それから大豆、そういうものの超過利得を吸い上げて、あるいは需給関係を合理化するということのために、新しい措置を考えておられるようですが、それは一体どういう構想なのか、その点を承わりたいと思います。新聞には通産省の考え方、農林省の考え方、こういうものが出ておりまして、その点がどういうように調整されるのかわかりませんが、私たちが見ておりますと、たとえば今大臣のほうでは、農業生産の進展のためには農家の支払う金を少くする、つまり低物価政策ということを考えておられると思うのでありますが、そういう考え方からいくと、砂糖の超過利得を国が吸い上げる。従って砂糖というものを高く、農民をも含めての消費者に与えるということは、これは両立しないのではないか。それからかりにまたそういうような超過利得を吸い上げましても、それを何に使われるかということが問題になるわけでして、通産省の案を見ますというと、輸出入銀行であるとか、あるいは一般会計のほうにこれを入れるのだ、こう言われる。しかし消費者の食生活からピンをはねる形の変った一つの消費税だと思いますが、そういうものがそんなところに使われるということになると、これは少し筋道がはずれているのではないか。どうも近ごろ砂糖のことを見ているというと、砂糖はもう農林省の所管からはずれたのじゃないかという気がちょいちょいするのであります。どうも通産省のほうで一切やっておられるように見受けられますが、その点は何しろ河野農林大臣ですから、いろいろ考えておられるので、そう簡単に引き下がるものではないと思いますが、そういう点、あなたのほうでどこへ持っていこうとしておられるのか。それから砂糖の問題と大豆の問題とは、これはまた違うと思うのでして、これも新聞だけを見ますというと、最初は大豆の超過利得というような言葉が出ておったが、近ごろはそういう言葉が消えて、大豆の需給関係の安定というような表現をされ、しかも十億だとか何ぼだったかしりませんでしたが、金だけはとるということになってくると、見ておってなかなかわけのわからん点が出てくるわけであります。さらに超過利得、超過利得というならば、今大臣言われました、漁業用の燃料油の問題、これについては御承知のように解散前の国会で、参議院の水産委員会としても、農林大臣、その他関係大臣あてに必需者である漁業協同組合のほうにそのための外貨を割り当てたらどうかという要請というか、決議ですか、出しておるわけです。それは一体その回答はどういうように考えておられるのか、もし漁業者のために一番安い石油を供給するのだというのなら、妙なところに超過利得を与えないで、こういう形でやっていただくことが一番すっきりするので、その点先ほどあなたのいろいろ大抱負を聞いておりまして、ちょっと割切れないような気がしますので、この際一つそういう問題についてのお考え方を伺いたいと思います。
  21. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 砂糖の問題から御説明申し上げます。実はこれはいろいろ誤解もあったようでございますし、業者もなかなか相当なものでございまして、今、通産、大蔵のほうに逃げて行きそうじゃないかというお話でございましたが、事実そういう傾向もないことではないのです。私のほうでやかましいことを言いますと外貨を通産省が割り当てて持っておるものでございますから、ないしはまた大蔵省がいろいろ予算関係等をいたしておりますから、向うのほうへ行きそうな格好もないことはないのでございますけれども、私といたしましては御承知通り砂糖の価格が下りすぎますと、あめの値段が下りまして、イモの値段が下ってくるわけでございます。これは御承知通りでございます。そういう関係からいたしまして、農産物の価格を安定する面から参りまして、カンショの価格の適正を期しまするためには、砂糖の価格を適当なところに安定させることがぜひ必要なのでございます。これはイモ切り干しの値段が最近非常に下ったのはそのためで、非常に困る、去年の夏から秋にかけてカンショを売り出しましたときには、澱粉の値段も砂糖の値段が高かったために、澱粉が高かった。そのためにイモは高かった。ところが砂糖の値段が下ったために、今度は切り干しイモの値段が下ってきたということ等々影響が、いろいろ一般農産物にあるわけでございます。そういう見地からいたしまして、かたがた国民生活の各般の情勢を勘案いたしまして、砂糖の価格はどの程度に安定さすことが一番適当かということを実は見当をつけておるわけでございます。そういう点からいたしますると、原糖を輸入いたしますと、その価格差が出て参りますので、これは価格差を狙っていたすのではありませんので、一方におきましては農産物の価格を安定させる安定法の精神から参りまして毛、適当なその間によって生ずる超過利潤につきましては、これを農林省で受け入れまして、それを一般国民生活安定の、それはまたいろいろ御議論もあるかもしれませんけれども、御承知通り現在の米の買い上げと売り渡しの食管会計の関係から参りますれば、現に赤字が出るような態勢になっておりまするので、国民生活の安定の一助にこれを加えていくことはどういうものだろうかと、これはまだ決定はいたしておりませんけれども、私の構想といたしましてはそういうように考えまして、これを通産とかその他経済閣僚にいろいろ懇談をいたしておる段階でございます。これは政府としての方針もまだ未決定でございます。ごく農林省としても素案でございますし、私としてはそういう構想を持っておる程度にお聞きとり願いたいと思うのでございます。  次に大豆でございますが、これは申すまでもなく菜種と非常に深い関係がございまして、菜種価格の安定をし、適正な価格にいくようにいたしまするためには、油の値段、さらには外国から入れて参りまする油用の大豆の価格ということに影響して参るわけでございます。かたがた国内の大豆の値段ともからみ合いまして、これまた適当な価格にこれを安定さす必要があるのでございます。そういうことにいたしますると、外国の大豆の値段等からいたしますると、この間に値幅が出て参るのでございまして、これについても今の砂糖と同様の意味合いにおいて、これを一つ今の国民の食生活の面に還元して参るということがいいのではなかろうかと、こういうふうにこれも砂糖の場合と同様な軽度において現在勘案いたしておる次第でございます。  第三番目に、漁業刑の油について前回の参議院の委員会で御決議があったそうでございますが、これにつきましては確かに全漁連にこの為替を割り当てることも一つの方法と考えます。考えますが、何分にいたしましてもこれも御承知通りタンクその他の設備も入り用でございますし、また漁業者自身の立場から申しますれば、いろいろ漁、不漁等によって現金の支払い、代金の支払い方法等々、取引きの実情から見まして、いろいろの問題も起って参りまするし、全体の漁業用の重油の中から全漁連取扱いの分との間に区別も起ってくるような事情でございますので、この漁業用の油を総括的に妥当公正な価格に落ち着けることが一番必要であるということで、実はいろいろ折衝も重ねて参ったのでございますが、まだ十分所期の目的を達成することにはなっておりませんけれども、順次そういう方向に持っていきたい。どうしてもそれが可能でない、できないという場合には、むろん一部であっても全漁連に直接輸入をしてもらって、可能な範囲のことをしていただくことが私は正しい行き方だと考えております。
  22. 江田三郎

    ○江田三郎君 今のお話しを聞きますと、砂糖の場合にはイモとのつり合い、大豆の場合には国内大豆とのつり合い、そういうところから価格を考えていくということですが、しかしそういうふうな、この価格を国が人為的にきめるということは果してできるのか、できないのか。それは一体はっきり一つの目標の値段というものをおきめになって、そこで半ば統制的なことをおやりになるのか。その点は一体どうお考えになりますか。  それからそういうようなことをしようと思ったところで、一体今後輸入量が幾らになるかということによって、それがどこまで維持できるかということが問題になる。これは私は今までの経済政策と、われわれは立場が違いますからまた別な考え方をしますが、あなたがたのような保守政党の立場のかたがたの経済政策としては大きな転換だと思うのですが、そういう価格統制的なことをお考えになっておやりになりますか。もしそうしないと、なんぼあなたのほうで狙いをおつけになったところで、輸入量の変化によってどういう変化が起るかわからんわけです。その点をどうお考えになっているかということ、それから砂糖の場合にイモとのかね合い、輸入大豆、国内大豆というような場合に、たとえば砂糖の場合には一体どの程度というものがあなたがお考えになるところの適当な価格なんですか。それを一つお聞かせ願いたいと思うのです。  それからさらにこの石油の問題につきましても何らか、もし今までおきめにならなかったことが、タンクの問題であったり、あるいは配給の問題であったり、あるいは支払いの問題だけだとおっしゃるのならば、しからばそういう条件が整った場合には、水産委員会がかってきめたような措置をおとりになるのか、そうではなしにほかのところに原因があるのではないのか。つまりあなたのほうがいろいろなことをお考えになっておりましても、先ほどもおっしゃいましたように、為替というものを通産省なりその他のところでにぎっておる。そこで農林省として手が出せないのじゃないかということなんです。これはまあ失礼なことを申しますけれども、どうも外から見ておるというと、まあ河野さんならおやりになると思いますけれども、今までの大臣ではそういうようなことができないような気がしますので、従ってわれわれはどうも為替に関係のある農林行政は、もうそろそろ通産省かどこかへお移しになったほうがいいのじゃないかというような気がしますからお聞きしますが、ほんとうにあなたのほうでこの漁業のために生産費の低下ということをお考えになっておるなら、今おっしゃったような五百円とか七百円とかいうような価格の引き下げよりも、この為替の割当をおやりになれば、もっとすっきりとした形で大巾な生産費の低下ができるわけです。そういう点はただあなたがおっしゃったような条件でいかんのですか、しからばその条件を整れえばいいのか。そうじゃなしに、その条件を整えても、この外貨というものは購入団体に割り当ててはいかん。私はもうすっきりするために実需者が外貨の割当を持つということが一番いいと思う。何のためにインポーターであるとか、あるいは一部の業者に超過利得を与えなければならんのか、この点が私にはわからん、この点を伺いたいと思います。
  23. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 最初の価格をどうきめるかという点でございますが、これは先ほどから申し上げましたように、国内のカンショの価格もしくは大豆、菜種につきましてはそれぞれの農産物価格の掲示価格がございます。菜種につきましては御承知通りです。そういうものから従いましてある程度の想定価格が出てくると私は思うのであります。で、そういうふうにしてきめるある程度の……。むろん一本に公定価格のようにきめるわけではございません、しからばその価格が維持できるか、こういうことでございますが、維持できるような可能な範囲、たとえば現在の情勢では維持できると私は思うのでありまして、それほど為替は窮屈でございませんし、またこういうもののためには優先して為替をとることは決して不可能ではないのでありまして、たとえば本日の新聞にも発表したのでございますが、今朝経済閣僚が寄りまして四月からの為替の割当をきめたのでございますが、この為替の割当によってある程度の価格の安定はできる。さらにその為替の決定によって安定ができなければ、予備金も持っておりますから、その予備の為替を使ってでもいける、こういうふうに一応考えております。しかしこれが非常に国際収支のバランスが悪くなりまして、今言う通りにそういうものを買おうと思っても買えんじゃないか、国内の需要を満たすことができんじゃないか、かって前内閣の当時に砂糖の価格の暴騰したような事態が起ったらどうするのか、こういうことが想定されますれば、そのときにはこれは私一存でございますけれども、私は全然ほかの施策によってこれをやらなければいかん、これを自由放任すべきものではないというふうに私は考えております。そういうことで今の問題は私は一応やって参りたい。  それからお示しのように実需者に為替は割り当てるのが一番いいのじゃないか、そういう方法も考えられると私は思います。そういうことは絶対にできないか、できなくはありません。やろうとすればできます。現にたとえば燐鉱石の場合のごときもやっておりますし、やっておる場合はあるのでございます。あるのでございますから、そういうことが一番円滑にいって一番いいのだと。行政判断をいたしますれば、私は決して通産省が為替をにぎっておるから農林物資には農林省にその発言権がない、その力がないということは、私は少くともそういうふうには考えておりませんので、私はぜひそうしなければ私の所期の目的は達成できないという認定をいたしますれば、私はそういうふうにやるというふうに考えておりまして、従って先ほども申し上げました通り、全漁連が持たなければ、その所期の目的はどうしても達成できないという想定に立ちますれば、そういうふうにしていかなければならんのだろうと私は考えております。しかしもしそこまでいかなくても、またはそれと同様の効果を上げられることができるならば、そういうこともいいのじゃないかということで、もうあまり生意気なことを申し上げておしかりを受けるかもしれませんけれども、私も就任、選挙もしくは予算というようなことでいろいろその日に追われておりまして、まだゆっくりとこの問題と取っ組んでやるような時日を持っておりませんものですから、はなはだ怠慢のようでございますけれども、暫く一つ時間をお与えいただきたいと考えておるのでございます。
  24. 江田三郎

    ○江田三郎君 もう一点。そうしますとあとの問題からいきますと、この油の問題については一月二十三日に参議院水産委員会から出した決議に対してはまだ問答がないのだ、そう了解していいわけでございますね。たとえば先ほど言われましたような当面五百円や七百円の値下げの措置をとっているということは回答ではなくて、この問題についてはあなたとして更に御検討中である、それからこの砂糖の問題については今おっしゃるような形でいきますと、どういうような値段をカンショとの関係で想定されるかわかりませんけれども政府としては一旦そういう想定値段をきめたならば、その値段が維持できるように輸入原料の払い下げ等の操作をやっていく。足らなければそのときに追加輸入すると、そういうことでございますか。ただ問題はそういうことになるとしましても、その吸い上げた超過利得をどこに使うかということは、これは依然として問題になると思います。  まあなかなかお元気な答弁を聞かしてもらって非常にけっこうなんですが、どうもいまのようにただこれが輸出入銀行へ持っていったり、一般会計へ持っていかれるということになると、まあ一般会計へ持っていくというのも理屈はいろいろ立ちますけれども、結果においては消費者から言うと、消費者に新しい形の消費税をかけてそれを一般会計へ持っていくと、こういうことになると思うのでして、その点は私どもとしましてはどういたしましても納得ができないわけです。先ほどのお話では米の食管会計の赤字の補てん等を構想として持っているということでございましたが、私はさらにそういうような食管会計の赤字というような消極的な意味だけでなしに、むしろ積極的に総合的な日本の食糧政策をどこへ持っていくのか。そこまで積極的な使い方がなければ、この吸い上げというものは少くとも消費者としては納得できないと思うのですが、その点一つどうお考えになりますか。まあ大豆の問題については一体これは砂糖とは違って、みそやしょうゆの原料にまでなるということになると、いよいよもってこれは消費者にとっては大きな負担で、おそらく今日はお見えになっておりませんけれども、奥さんなんかおられると、主婦連としてしゃもじを立ててまたあなたのところへ攻め寄せるということになると思うのでございまして、そういう点はもちろん慎重にやっていただきたいと思うのであります。
  25. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私の考えておりますのは、価格は相当下げたところで安定させるというつもりでございまして、砂糖にしても現在の価格を高く上げてその利潤をとろうというようなことは考えておりません。そろばんをはじいてどういうふうに出ますかしりませんけれども、少くとも現在の価格より高いところに安定させるということは考えておりません。でございますからこれを超過利潤、超過利得というようなことではないのでございまして、しゃもじを立てられるような価格にしようと考えておるのではないのでございます。  それから大豆の場合にいたしましても、現在のみそ、しょうゆの原料になっておりますその大豆粕もしくは大豆の値段自体が私は高過ぎるとこう思っておるのでございまして、これは中間にあります製油業者によってその利益が壟断せられておりますことがよろしくないのであって、これはむしろみその場合あるいはしょうゆの場合には、しょうゆ業者自身が政府から払い下げを受けて、そうして政府の方はこれを製油して、油をとったものをお使いなさいというようなふうにして払い下げ条件でもつけて払い下げをする、そうして価格の安定をしていけば、決してみそやしょうゆが今より高くなるというようなことは全然考えられないのでありますから、その点はそう御了解を願っておきたいと存ずるのであります。また大蔵省もしくは通産省が考えておりますように、私の言う通りにならない場合があるといたしましても、もし万一私の考えの通りになるといたしましても、価格の点は今申し上げたように政府がそれを超過利潤的に取るということについては絶対反対いたします。で私の考えといたしましては、どこまでもこれらの価格の安定値はあくまでも、砂糖の場合にはカンショとにらみ合せて考えてもらわなければならん、あまり安過ぎるとカンショの価格に非常な影響を来たしますから、これは考えてもらわなければならん。しかしそれ以上に高くして、国民の大部分でありまする農家の生活に不安を来たすというようなことには私は断じて同意をしないつもりであるのであります。ここまでは責任をもって申し上げることができる。これ風上のことは閣議の決定がありませんから、私の構想ということで、先ほど申し上げたようにお聞きとりいただきたい、こう御了解願いたいと思います。  それから水産委員会の御決議に対しましては、先般の値下げで、あれがすべての回答がそうでないかということについては御了解願っておきまして、私は時間の余裕をもちまして御趣旨に沿うて善処するつもりであります。さよう御承知を願いたいと思います。
  26. 田中啓一

    ○田中啓一君 今の砂糖、大豆の点でございますが、江田さんの御質問の中にも、これをもって総合食糧政策あるいは一面から申しますれば総合的な食生活の改善あるいは一面から言えば食糧増産というようなところへ触れておられたと思うのでありますが、そこでこの際お尋ね申し上げたいのは、大豆はいま高過ぎるということは大臣も御指摘になっておりましたが、実は安過ぎた場合もこれまであったわけであります。でありますから大豆の生産地方を廻ってみますと、高過ぎても困るが安過ぎても困るのだということを一様に申しておるのであります。これは国内産の大豆をやはり菜種同様安定物資に入れられたらどうだろうかということを考えるわけであります。幸い輸入のものはそうやろうと御着想になっておるようでありますが、同時にこれは国内産のものでもやはりそうすべきじゃないか、もちろん輸入のもので操作して十分だということも現在の段階では言えるかもしれませんが、私はもう一つ実は砂糖にしても大豆にしても国内でできるものなら何も外貨を払って輸入する必要はないと思います。大豆のごときも大体今でも半分は少くとも国内の大豆だけでまかなっておるし、半々というような調子でございますから、もう一息やれば、生産量から言えば三割かそこらを輸入しておる大豆を、国内でやれないわけはない。だいぶ私ども研究しましたところによりますと、農薬等も発達いたしまして国内には非常に広範な大豆の生産適地があるというようなふうに、思われますので、私はやはり一時輸入管理なりをやりまして、それから利益を生んだものは一般的な今申しました総合食糧対策というところへもっていくのも悪いことではありませんが、端的に大豆の増産にもっていくということはどうであろうか。  それから砂糖もまた同様でありまして、御承知のように今テンサイ糖というのは五%かそこらの自給力しかないのでありますけれども、しかしこれはもう国策をきめてぐんぐんやっていきますれば、酪農との関係からいきましても、当然私は大部分の砂糖の輸入というものに対して、自給でまかなうことができるようになり得る。現に戦後イタリアあたりまで砂糖は大部分自給しておるというようなふうに進んできておるわけであります。これはおそらくビートの栽培というものが進んだからであろうと思うのであります。でありますから私はせっかく重要食糧品の砂糖、大豆の安定ということをお考えになるならば、あわせて国内産のものについても安定させ、かつまたいわゆる食糧自給体制の確立へ向って、ひとり主食だけでなくて、この面にも一つ思い切って手をつけられる、こういうふうにお進め願うわけにはいかんのか、こういう熱烈な希望を持っておる。従って大臣の御所見を伺いたいという次第であります。
  27. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御指摘の点は私も同感でございます。しかし何を申しましても大豆にいたしましても出廻りが割合に少くございまして、まあ田中委員の御記憶はどうか知りませんが、私は大体二十万トンぐらいに記憶いたしております。今輸入いたしますものは約六十万トンに近いものを輸入しておる事情でございますから、まあそれであるから自給自足云々というだけではございません。増産に努力しなければなりませんことは当然でございますが、しかし急激にそういうこともなかなか困難と思いますので、大豆の価格の安定は、外国から入れる大豆等とも勘案いたしまして価格安定の面から増産の方向にいきますように一つ指導して参る、ないしはこれに対して特別の施策があるならば、むろん政府はこれに協力するのも、これはやぶさかではございません。さらに砂糖につきまして、テンサイ糖等、イタリアの生産事情等についてお話がございましたが、私も多少そういう話は聞き及びまして、ぜひそういうことを、イタリアの実情等を調べて、わが国でも東北、北海道方面に畜産とからんで持っていかなければならないのではなかろうかということも考えなくはないのでありますけれども、これまた何分いろいろ問題が多いものでございますから、まだそこまで手が廻りませんことでございまして、御意見に私は反対というのじゃないのでありますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  28. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 水産問題につきましてはたくさんお尋ねをしたい点がございますが、先ほど来石油の問題が出ましたから、関連いたしましてこの問題だけをお尋ねいたしたいと思います。  大臣も先般来農家の経済状態から考えまして、重油の値段を七百円とかお下げになるというような御計画を発表されておりますが、元来重油等につきましては、関税が免除されて参っております。ところでその免除期間が明日をもって切れることになっておりまして、その関税に関する法律は、これを延期する法律がたしか今日大蔵委員会にかかっていると思いますが、これは二カ月延期するという案だと承わっております。もし二カ月間だけで、あと十カ月、すなわち四、五と免除して六月からかけるということになりますと、おそらく七百円ぐらい、一割かけましても七百円ぐらいの課税になると思います。そうしますと、せっかく農家経済のために七百円下げたものが、一向下らないという格好になりますが、大臣は、これは現在通り、今回二カ月延ばしても、さらにあとを延ばして免除していくお考えでそういう案をお立てになっているか、その点を一点お伺いいたしたいと思います。
  29. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御指摘の通りでございまして、私といたしましては、さしあたりこの延長の法案を提出いたしておりますけれども、いずれ次の機会に、さらに引き続いてこれを延ばしていくということを閣議で大いに主張いたしたい、こう考えております。
  30. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 大へん心強いお答弁をいただきましてありがとうございました。大臣の閣内における地位をもってすれば必ずこれは御言明の通りに行えると存じますので、どうか一つ大いにがんばって、さようにやっていただきたいと思います。
  31. 千田正

    ○千田正君 大臣に、当面した問題、これは非常に、水産関係ばかりでなく国際関係を含んでおりますから、御決意のほどを伺いたいと思います。  それは午前中予算委員会でお尋ねいたしましたけれども、時間がありませんので、はっきりしたお答えをいただかなかったと思うのでありますが、例のビキニの被災による補償金の問題、これは今日に至ってもいまだに配分が決定しておらない。すでに昨年の二月、ビキニの原子爆弾の被害によってこうむった日本の漁民なりその他の業者なりというものの損害が非常に莫大であって、それがアメリカ側に通告したのは二十七億、これに対して前吉田内閣の場合は、折衝折衝を重ねたけれども、百五十万ドルあるいは百六十万ドル、こういうような折衝の過程であったわけであります。しかもそれがいわゆる国際公法の上からいって、あるいは国際法の立場からいって、これが補償金なのか、賠償金なのか、こういういろいろな法的を解釈からも、外務省を鞭撻してわれわれはアメリカ側に対しての申し入れを要求したのでありますが、向うの言い分は、補償でもなければ賠償でもない、いわゆる包金で、つかみ金で、適当に日本政府はわけてくれということで、よこされたのが、あなた方の内閣になってから二百万ドル、この二百万ドルは換言しますというと、日本の七億二千万円、日本側の損害として向うに通告してあるのは二十七億、こういうふうになりますというと、まことに半額にも満たないところの、向う側からの、賠償でもなければ補償でもない、つかみ金だ、これを一体どう分けるのか、いまだにその配分については決定しておらない。しかも業者が苦しいというので、これはこの二月でありましたか、一応そういう配分が決定するまでは、それじゃ政府はめんどうを見てやろうというので回してよこしたのが、いわゆる金融機関を通じて、あるいは県に預託しまして、預金部資金の運用ということになったのであります。しかもそれが利息をつける。県に対しまして御承知通り六分五厘大毛、それから金融機関に対しましては七分六厘乃至七分八厘に至るところの利息をつけて貸しておる。しかも明日三月三十一日限りである。こういう限定した貸し方をして、一応立てかえ払いでもなければ、あるいは救援金でもないような政府の援助でありますが、これは一体どうするのか、先ほどのあなたのお答えによりまするというと、明日で期限が切れるから、これはまた書きかえようという御趣旨のようでありまするが、これはまことにけっこうなことでありますけれども、一体この賠償、補償に似たような、日本の漁民なり漁業者が非常な損害をこうむったこういうものに対して、日本側が国内措置として、それを利息をつけて貸し付けるということは、果して一体政府の本道をいっているかどうか、この問題をはっきり私はお答えを願いたい。同時にまた今日に至っても配分は決定しておらん。決定しておらないとするならば、結局決定するまではやはりこの利息をつけた金を借りなければならない。そうして配分が決定した場合は、一体この利息のついたのがどうなるか。一体これは補償なんですか、賠償なんですか。政府がアメリカとの交渉をした結果二百万ドル獲得したところの金は一体賠償なのか補償なのか、あるいは日本に対するところの見舞金なのか、この辺の限界がはっきりしておりませんので、これを政府の立場から一つ明瞭にお答え願って、そういうふうに賠償や補償であったならば、その立てかえとして援助したところの金は利息をつけるべき問題じゃないのじゃないか、こういうわれわれは結論であなたにお伺いしたいのです。これが一点。  もう一点は、ただいま中共側に漁業の団体の代表者が漁業の話し合いに行っております。おそらく新聞紙の報道するところによるというと、だいぶ成功に近いというようなことを言っておりまするが、これは出発に際しまして参議院の水産委員会はその業者の代表者諸君を招きまして、国交が回復しないところの日中間における話し合いで実際に仕事ができるものであればまことにけっこうな話であるが、これはいやしくも国の威信にかかわるようなことをやってきてもらっては困る、十分独立日本の立場で公海の自由の原則というものを一つの建前としてりっぱな話し合いを進めてきてもらいたいということを一言釘を刺しております。この問題はやがて話し合いがついた、操業ができるのだというような問題になってきた場合に、いわゆる国際法上に守られておるところの公海自由の原則のもとにおいて操業が自由にできるのかできないのか、かりにできなかった場合において、日本の威信というものはどうなるか、それは業者間において民間の交渉であるからわれわれは知らんのだ、こうお言いなさるのか、それと、すぐそばには御承知通り李承晩の南鮮あるいは台湾の政府があります。第三国との、一体これの関連なしにこの問題が解決ついたとしても、将来起るであろうといういろいろな煩瑣な問題に対しては、政府は十分責任をとるつもりでおられるかどうか、こういう点について一言承わっておきたいと思うのであります。
  32. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) ただいまお尋ねになりました第一のビキニの問題でございますが、これは午前中に予算総会で私からお答えを申し上げました通りに、これが賠償であるか補償であるかというような点につきましては、私からお答えをすることはあまり適当ではないのじゃないか。これは一つどうかその当面の交渉国でありまする外務省、外務大臣からお答えをさしていただきたいと思います。ただし漁業者の困窮の事情にありまする立場、ないしまたこれに要する資金の運用の問題が明日に迫っておるものをどうするかということにつきましては、これもお答えを申し上げましたように、問題の解決までこれは当然資金については運用に御協力申し上げることが絶対われわれの務めであると考えまして、せっかく努力中でございます。その利息をとるのはどうだということでございますが、これは御承知通り資金運用部資金を運用しておるのでございますので、利息はお支払いいただかなければ、他の方面も同様でございますから、そうしていただかなければならんのではなかろうかと私は思うのでございます。  第二の中共に対する漁業の交渉でございますが、これも実は承わっておりましたが、私不敏にいたしまして、答弁をすることが適当でない。外務省方面から一つお聞きをいただくほうが直接、率直にお答え願えるだろうと思います。もし私にお答えをいたせということでございますれば、よく外務省方面とも打ち合せをして参りましてお答え申し上げますから次の機会にお譲りいただきたいと思います。
  33. 千田正

    ○千田正君 第一点のこれはまあ資金運用部資金のやりくりであるから、国のいわゆる税金をあれするのだから、利息は取る。これはまあ建前はそうでしょう。ただ配分の際ですね。こういう一応政府に対しては利息を払っておるのだから、利息を含めて配分されますかどうですか。仮に利息を含めて一千万円なら一千万円の損害に対して、これはそれに対して利息を含んで配分されるのですかどうですか。その点を承わっておきたい。
  34. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) ただいまの千田委員の御質問でございますが、現在資料を検討いたしまして、できる限りすみやかに決定をいたしたいということで内閣に設けられました打合会において鋭意検討いたしておるわけでありまして、その中には各種の事情が検討の対象になるだろうと思います。まだ打合会において結論を得ておらない状態であります。
  35. 千田正

    ○千田正君 第二点の中共との問題でありまするが、河野大臣はうまく逃げられたようでありますけれども、これは外務省のほうから聞いたほうがいいというお話しでありますが、実際は漁業でありまするから、あなたの行政管轄下にあるところの漁民がすなどりに行くのでありまして、そうして話合いがついて、仮に漁業に従事する、あるいは自由操業をするという、こういう場合には、まことにけっこうなことであります。ただし今までさえもわれわれは何回となく李承晩ラインと称するところの、向うの勝手にラインを引かれたところへ公海自由の原則のもとに行ってはつかまって非常な苦しい思いをする。更に最近の新聞報道によるというと、毛沢東政府は台湾政府に向って金門湾を中心にして攻撃を開始する。おそらく海上の不安は一そうつのってくるでありましょう。そういう海上を乗っ切ってあの周辺から北上して行って、さらに中国の海岸で漁業しなくちゃならないと、そういう事態を仮に黙認したとしましても、拿捕されたり、あるいは危害を加えられたり、あるいは資材を失ったり、こういう実際の損害を見た場合においては、農林省として黙って見ておるわけにいかないと思うのでありますが、そういう場合においては十分に保護するだけのお考えを持っておられるだろうと私は思っておりますけれども、その点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  36. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 現在中共に対しまして民間の漁業使節団が参って交渉をいたしておりますことは御承知通りでございます。またその交渉に参りまする経過につきましても、先般の当委員会においてもお聞き取り願ったことだろうと思います。その当時におきましては東海公海におきまする平和操業権の問題と拿捕船の返還の問題と海難防止、人命救助の問題、それから水産資源につきましての資料の交換というふうな問題について話し合いをするということで使節団が出発されたわけでありまして、現在交渉中でございまして、まだわれわれに詳細の内容が明確でございませんので、使節団が帰国いたしまして内容を十分承わってから政府としても考えて参りたいと、かように考えております。
  37. 森八三一

    ○森八三一君 先刻来大臣方針として、農林水産の今後の考え方は、それぞれの経営を経済的に安定せしめていくということを目途としてお進みになる。そこでそういうような構想でお進みになっておるときに、伺いますると、全国約百二十万と称せられておる零細な農民諸君唯一の現金収入の道である……まあ唯一と申し上げますと、非常に誇張し過ぎるかもしれませんが、非常に多くの部分を占めておるわら工品の問題であります。このことにつきましては昨日の衆議院農林委員会におきまして質疑がありまして、大臣からは御答弁があった模様でありますが、事は極めて重大でありまして、最近穀物の包装に麻袋を使おうというような意図があり、それが省内においても、仄聞するところによりますと、一部そういうようにすべきではないかというような研究も進められておるやに伺うのであります。これは仄聞でありますので、間違っておるかもしれませんが、非常に重要な問題でありまして、多数の零細農民諸君の副業を奪うというような結果になり、他面その原料はことごとく海外に求められるということになりますので、外貨の問題にも関連して来るということでございまして、極めて重要と思いますが、これに対する大臣のお考え方をまずもってお伺いをいたしたいと思います。
  38. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 昨日も衆議院委員会でそういう御発言がありまして、私は実は驚いたのでございます。私はそういう意図は全然持っておりません。また私は一遍も陳情を受けたこともないのでございます。従って私はそれに対してそういうふうなことを考えたこともなし、発言をしたこともないのであります。で、どういうわけでそういうふうなことが非常にやかましく言われるか、実は福岡県方面から陳情にお見えになった人もあるようでございまして、実は私自身が驚いているようなことでありまして、今御指摘のように農村の副業としてこれだけ大事な、また現金収入としての大きな問題についてこれを変革するようなことは、軽々に行うべきものでないということを私は自分で固くきめております。従ってこれは全体の農家に関係する問題でございますから、たとえそういうことをするほうがある程度いいとか悪いとかいうことが研究の結果出ましても、それを一食糧庁長官の権限で変えるとか、ないしはまた私一存で変えるとかする意思は持っておりません。これはしかるべき農業団体と相談をするとか、皆様方の御意見を徴するとかいうことによって私はやって参りたいと思っておるのでございまして、軽々にそういうことについて私が変革をするような決定をしようとは考えておりません。そういうことは決して私は軽率にいたしませんから、この点は一つさよう御承知おきいただきたいと思います。
  39. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの大臣の御言明で一応十分了承いたしました。いたしましたが、この問題は極めて関係する面が非常に大きい問題でありますので、慎重に取り扱っていただくという意味におきまして、この際当委員会意思をまとめて、はっきり農林大臣に申し入れをしておいていただくことが適当と私は考えますので、そういうような意味におきまして別にただいま大臣の言明に不信を持つわけではありません。十分了承はいたしましたけれども委員会意思をまとめて表現をいたしたいということで、一応案を作成いたしましたので、朗読いたします。お諮りいただきたいと思います。  以上でありますが、おはかりをいただきたいと思います。
  40. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 従来の食糧検査の規格通りの麻袋を使うことが許されておる分が、従来からの分はありますが、さらにそれを広範囲に従来では認められておらない米の供出などにまで使ったらどうだという運動はあるようでございまして、詳細は存じておりませんが、その運動をする向きが農業協同組合の一部につきまして働きかげまして、購入してもいい、購入するというような農協の判こを取って、それを添えまして、農林省事務当局に向って運動があったので、それを買う農協もあるから認めたらどうだという運動があったのですが、食糧庁におきましてもこの規格に関する規程を改正する準備はいたしておりません。あわせまして私のところにもそういう陳情がございましたので、むしろそういうのはとるところでないのではなかろうか、特にむしろそういう農協のお方々はわら工品のことをも考えて慎重に行われなければならぬのじゃないかというわけで、農林省事務当局のほうから農協の一部のお方々に慎重な態度をとられたほうがよろしかろうと警告を申し上げたのであります。
  41. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  42. 荒木正三郎

    委員長荒木正三郎君) 速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会