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1955-07-19 第22回国会 参議院 農林水産・商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十九日(火曜日)    午後二時二十一分開会     —————————————  委員氏名   農林水産委員    委員長     江田 三郎君    理事      秋山俊一郎君    理事      白波瀬米吉君    理事      三浦 辰雄君    理事      戸叶  武君    理事      千田  正君            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            田中 啓一君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            奥 むめお君            溝口 三郎君            森 八三一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            野溝  勝君            三橋八次郎君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君            鈴木 強平君   商工委員    委員長     吉野 信次君    理事      古池 信三君    理事      高橋  衛君    理事      山川 良一君    理事      三輪 貞治君            上原 正吉君            小野 義夫君            深水 六郎君            松平 勇雄君            加藤 正人君            河野 謙三君            上林 忠次君            海野 三朗君            栗山 良夫君            藤田  進君            上條 愛一君            小松 正雄君            白川 一雄君            苫米地義三君            石川 清一君     —————————————  出席者は左の通り。   農林水産委員    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            飯島連次郎君            森 八三一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            野溝  勝君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君            鈴木 強平君   商工委員    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君    委員            小野 義夫君            加藤 正人君            河野 謙三君            海野 三朗君            栗山 良夫君            藤田  進君            苫米地義三君   政府委員    食糧庁長官   清井  正君    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業省通商    局次長     大堀  弘君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○砂糖価格安定及び輸入に関する臨  時措置に関する法律案内閣送付、  予備審査)     —————————————   〔農林水産委員長江田三郎委員長席に着く〕
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) これより農林水産商工委員会連合審査会を開会いたします。  前例によりまして私が連合審査会委員長の職を務めさせていただきます。  それでは砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願いますが、なお本日の質疑商工委員の方を優先的に取り扱いたいと存じますから、さよう御了承願います。
  3. 吉野信次

    吉野信次君 まず委員長はじめ農林委員の方に、私どもにこの問題についての質疑をさせる機会をお与え下さったことをお礼を申し上げておきます。  それから実はこの間私どもの方の委員会似寄りのバナナの法案がかかっておりまして、この方はこちらの方にかかっておったのです。それで似寄りなものですから、はしなくも私の方の委員会でもこの砂糖についての質問が出ましたので、それでこちらにお願いをしたということであります。そのときにちょうど政府側からは課長さんがお一人お見えになっておったので、結局私ども質問に対する答弁要領を得なかったが、どうでしょう、きょうは政府委員の方、私のこの間お尋ねを申し上げたことをお調べになって、速記録をよくごらんになって一つやるだけの準備を整えておいでになりましたか。あるいはそうでなければ、もう一ぺん簡単に繰返しますが。
  4. 清井正

    政府委員清井正君) 慎重を期しますために、何でしたらもう一ぺんお尋ねいただきましてお答え申し上げたいと思います。
  5. 吉野信次

    吉野信次君 それではほかの同僚の委員からも質問がございますが、私の気付きました疑いの点だけをお尋ねします。少し変なお尋ねですが、価格安定帯ですね、この考え方はおそらくエコノメトリックス一つ考え方だろうと思いますが、ちょっと質問をする順序がございますので、いつごろからこういう学説が学者によって唱えられたかということをまずお尋ねします。ということは、これが行政面に現われて来たものですから、それから私も多少諸外国の物価統制についての経験もありますものですから、こういうエコノメトリックス一つの説を行政面というものに取り入れられたのですから、そこで私は実は率直に言うと、われわれは頭が古くて、学生時代にはそういう経済学はないのですから、それでいつごろからこういう説が行われてきたかということを伺いたいのです。というのは、これは経済実勢を示すものかどうかということについては学者の間にも私は議論があると思うのです。それだからちょっとそこを、だれかこの案をお立てになった方があるでしょう、それを伺いたいと思います。
  6. 清井正

    政府委員清井正君) ただいまの御質問にあるいは正確にお答え申し上げられないかもしれませんが、私ども考えました動機は、申すまでもなく、糖価の一般の経済界及び家計に及ぼす影響等を十分注意いたして参ったのでありますが、御承知の通り砂糖が大部分が輸入に待つということでありまして、しかも輸入関係で単に国内需要という問題のみならず、各国との貿易協定との関係等もございます。なかなかその間日本政府全体としては、やむを得ないことでありますが、いろいろその間に価格についてある程度の変動をみたことはやむを得ない事情であったと思います。しかしながら、その事情はやむを得ないといたしましても、一方また国内業者並びに費消者に及ぼす影響等も十分考えてやらなければならぬというふうに考えまして、今回一定の幅の間に砂糖消費者価格をおくことによりまして、価格の安定をできるだけはかるようにして行きますれば、現在の砂糖の生産、消費輸入等、総合的に考えて適切な方策ではないかというふうに考えまして提出いたした次第であります。
  7. 吉野信次

    吉野信次君 私の了解するところでは、砂糖値段が高くなったというのは、要するに統制経済で、為替を押えておるものですから、そこで自由に入らない。ですから国内で必要とするだけのものが入れば、そういうめちゃな上り方はしないのですから、要するにそういうために値段が非常に暴騰する、それをどう押えるかという問題と、それから食料品一つをここに価格安定帯というものを作って、この価格というものをきめるということは、これは観念が違うのですけれども、もし価格安定帯価格によってこれをやるというなら、まず国の行政の建前からいって、米もそうでしょうが、ほかの重要な食糧品について皆立てなくちゃならぬ。ひとり砂糖だけを取り上げてこれをやるという問題ではないと思う。砂糖の方はたまたま外貨というものが窮屈なために要るだけのものを入れないから、そのために非常に値が上った。これは事実であるけれども、その方をどうするかという問題と、それから食糧品としての問題なら砂糖のほかにもいろいろあるでしょう、あなたの御所管の品目についても……。そういうものをどういうふうにやるかという問題から、私は心がまえが、国の行政をする目的が違うと思うのです。のみならず、私の非常な疑問は、価格安定帯、このことは統計数字によってある程度の価格の何を現わしますけれども、その前提は、需要供給原則が自由に動くということが前提でなければいかぬと思う。そういう自由なサプライ・アンド・ディマンド原則が動く場合において、あの数理によってある程度の安定帯という帯ができまして、これでもって価格がある程度のものがきまるということはありますけれども砂糖の場合はこれは為替管理というものをやっておるのですから、サプライ・アンド。ディマンドの原則というものはこれは動かないのですね。これは長官お認めになっているでしょう。これは学問的にサプライ・アンド・ディマンドの何でもって動くものでないのですから、そういうときにこういう方法でやられるということが、私は学問的にも、学問的と言っては語弊があるが、理論的にも私はおかしいと思う。それだからむしろ砂糖の需給というものは、日本で一体砂糖が何万トン要るのか、それに対して為替関係でどれくらいしか入れられないのか、そこにつまり問題があるのであって、もし法外に値が上がるというなら、むしろそれをもう少し私は砂糖を入れたらいいと思う。この間現にあなたの方の説明員の方の説明にも、こういう何は作るけれども、それでも上る場合にはやはり砂糖をよけい入れてそれをやると、こうおっしゃっている。それだから私はこの価格の安定ということについてはそこが非常に疑問だと、こういうことを申し上げたのです。  それからもう一つの疑問は、とにかくある程度の幅の値をきめるのですから、その幅においての値段の上下しか許さないという制度をとりますと、砂糖取引所というものをどうするか、取引所というものは今現にあるわけですから、取引きの作用をどうだということをここで述べる必要もありません。また投機的にやる場合も取引所にかける場合もありましょうけれども、これは投機にもやはり経済的の動揺があるのですから、そうして幅をきめられては取引所というものは動かない、これは暫定法で何年間ということですけれども、少くとも砂糖取引所というものを何年かの間、開店休業にしなければならぬ。これは理論上の当然の結果です。幅をきめて解決をするということでないのですから、だからもしこれをやられるなら取引所始末はどうされるか、そこはどういうふうにやって行くか、この二点が私の質問要領であったのです。そこをよく一つ御研究になって答弁を願いたい。こういうことでございます。その二つの点について……。
  8. 清井正

    政府委員清井正君) お話の第一点の点は輸入総量の点であります。これは現在のおそらく外貨事情が許しまして、国民需要に呼応するだけの輸入ができますれば、これはまたおのずから事情が変って参るわけであります。私どもといたしましては、そういう事態ではございまするけれども、現在の外貨事情等からいたしまして、やむを得ず需要相当しただけの給供を与えるわけに行かないという現状にあるわけであります。私どもといたしましては、むろんこの価格の問題につきましては、だたいま御指摘ありました通り総量の問題が第一の問題だということはわかるのであります。ただ砂糖を入れる場合におきまして、たとえ一定範囲数量砂糖を入れるにいたしましても、それが年間平均的にずっと入って参りまして、あるいはそれが国内糖価にそのまま影響いたしまして、割合に平均的な価格、高いなら高いなりに平均的な価格で維持されるということでありますならばよろしいのですが、そうでないととろにまた問題があろうかと思うのであります。農林省の観点から見ますというと、時期別に相当浮動があったという実績があるわけであります。いろいろ申し上げましたけれども、総数量のほかに貿易上の問題があるわけでございます。これを私ども否定するわけではございません。そういった問題で、現実の問題として相当今までの過去の実績からいたしまして大きな価格一定のスタンドがありましても、その間において相当小さい波動があったわけであります。そういったようないわゆる小さな幅の動きというものは、できるだけこれを平均化させるということが、これは総数量を確保するという問題とは別に必要なんじゃないか。こういうような考え方からいたしまして、こういう総数量輸入は別問題といたしまして、そのきめられました範囲内においても、この小波動をなるべくなくすようにしようじゃないかということで、今回の安定帯の思想が出て参ったのであります。その価格範囲内において国内価格を安定させるということが、これが総数量の確保の問題と、いわゆる小波動をできるだけ少くすることこ寄与するのじゃないか、こういうような考え方からいたしたのであります。前段の御質問の、御指摘の点はよくわかるのでありますが、その前段をおきましても、小波動をなくしますということを前提として、いろいろ農林省といたしまして、通産省の方にもお願いいたしまして、なるべく平均的に、計画的に輸入していただくとか、いろいろ方法があろうと思います。この点は従来もやっておられたのでありますが、今後もやはりこれらの平均的な輸入をしまして、できるだけ国内糖価の安定に寄与したいという考え方からして、国内安定帯という考え方をとったわけであります。それから御指摘取引所の問題でありますが、なるほど取引所機能というものは、きわめて有効な機能を持っておりますことは私ども十分承知しておるのであります。ただ今回こういう措置をとりますというと、なるほど砂糖の問題につきましては、取引所機能というものが若干機能を喪失するといいますか、ある程度これが変貌を見るということは、これは率直に言ってあり得るかと思います。私どもこれを全然無視するわけではございませんが、ある一定の幅を置きまして、その幅の中においての取引所取引というものはあり得るのじゃないか、こういうような考え方を持っているのであります。その幅のいかんによりまして、いろいろ問題はありますけれども、私どもといたしましては、ある程度に幅を持たして行きたい、こう考えておりますので、その幅の範囲内においては取引所機能というものは確保し得るのじゃないかと、こう考えております。
  9. 吉野信次

    吉野信次君 大体あなたの方の意味はわかりましたけれども、しかしそれじゃ、今年は何か九十五万トンですかをお入れになった、値段が非常に上るというと、それをおふやしになりますか、おふやしになりませんか。この間の御説明では、そう一応やるけれども価格安定帯をきめるけれども、まだ上るときには、そこでなお輸入の方で増すという、こういうお話でありましたが、為替の実情がそういうふうに多少融通がつくものであれば、まずそういう手を僕は先に打つべきものだろうと思うのです。経済実勢をそのまま示すか、示さぬかということについて、いろいろ何かこういろ新らしい制度をお設けになるよりも、あなたが今お話になった通り為替の切り方、入れ方、いろいろそれは実際の商売について何がございましょうが、これは日本ばかりじゃないので、砂糖を入れるときは、そういうことはどこの国でもみなあるのですから、そういうふうにあるように実際の商売というものをみなやって、そしてなるべく価格というものが急に上がるということがないようにされるのであって、そしてそれでもなお足らぬときには政府でもって、たとえば五万トンよけい入れるとか、あるいは六万トンよけい入れるという声明なり、あるいは方策をとれば、不当の上り方というものはなくなる。そこが私の疑問というか、私の考えなんですね。そこで砂糖のみならず、重要な食糧品についてみんなそういう筆法にどれもこれもやる、それが農林省行政だということならこれはまた別問題です。だが砂糖だけについて、たまたま砂糖というものが問題になったからといって、そういう新らしい制度をしかれるというところに私は少しまだのみ込めない点があるわけなんです。それから第二の点のやつは、これは私が言うまでもなく、取引所というものが、上と下の幅をきめてその間でやれといっても、取引所作用というものはこれは動かない、幅があっても、その間で勝手にやったらいいだろうと、こうおっしゃっても、それは実際の方ではこれはやってみなければわかりませんけれども、理論的にも取引所というものは、そういう法外な上り下りがある、ことに投機でやるようなことまでみな平気でやるというような制度なんですから、幅をきめて、それをやれということはちょっとどうかと思うのですけれども、まあこれはそれ以上幾ら繰り返しても同じことかもしれませんけれども、そこに私の非常な疑問があるので、ただいまの御説明だけでは私の疑問は少しも釈然としないのですがね。
  10. 清井正

    政府委員清井正君) お話の御趣旨はよくわかるのでありますが、第一の点は、やはりもしも急に値上りをする場合には、輸入政府部内で措置するべく相談をいたしたいと思うのであります。従ってその点は先ほど私が申し上げたことと通ずるのでありますけれども、私ども考え方はあくまでも総輸入量と申しますか、小さい振れというものと別に考えておるのでありまして、なるほど一定価格安定帯を越しているときには、輸入をいたしますればある程度値下りができるわけであります。そこで一定安定価格帯の中に上げるわけでございますけれども、やはり私ども考え方といたしましては、総量とそれから総量をきめられた範囲内において小波動というものを別に考えまして、いわゆる小波動範囲を縮めるとでも申しますか、あるいはある一定範囲に押えようということが今度の価格安定帯の創意でございますので、お話し趣旨はわかりますが、たとえ総量を入れましても、やはり影響も少くなると思いますけれども、やはり私ども考え方はそうあってもいいのじゃないか、そういうふうな考え方をいたしておるわけであります。それから取引所の問題は、同様のことを申し上げるようでございますが、なるほど取引所機能というものはある程度阻害されることはあると思います。ありますけれども砂糖国民生活上の地位その他から申しまして、やはり一定価格安定帯の中で取引所機能というものがあり得ると考えます。その考えにおいてやって行きたい、そういうふうに考えておるわけであります。
  11. 吉野信次

    吉野信次君 もう一点だけ……。私の言うのは、取引所を尊重しろというのじゃないのですよ。こういう制度をおかれて取引所機能をさくようなことをやるなら、その始末をおやりになるべきじゃないか、こういうことなんです、私の言うのは……。ただほうっておいて、せっかく認可して同じ役所でほうっておいて、それはこういう行政だからお前の方ではほそぼそとやったらよかろうということでほうっておくということならいかぬじゃないか、こういうことなんです。取引所をどこまでも存続しなければならぬ、こういうことを言っておるのじゃないのです。それからくどいようですけれども価格安定帯というものの統計上のいろいろの数字の何が、これが自由主義経済サプライ・アンド・ディマンド需要供給原則が自由に働いて、そうして現われたものの数字が集積したものならいいけれども、とにかく為替管理をしているのですから、その原則の働かないようにしておいたやつですから、その年の為替関係によって為替がなければ市場に入れないこともあり得るわけですから、そういう点についてあなたのおっしゃるような安定帯というような理解が正しいかどうか。いわゆる経済実勢というものを示すものが現われるかどうか、こういうことに疑問があるということです。そこはどうでしょうか。
  12. 清井正

    政府委員清井正君) お話しの点は十分私もわかりまするけれども、これは同じことを重ねて御答弁を申し上げることになりますが、私どもといたしましては、先ほど来申し上げておるような考え方で、いわゆる大きい波動と小波動というものと分けて考え方をしておる、それから一定範囲内における取引所機能もあり得るというふうに考えております。そういうような形から価格帯を作りまして、その中に納まるように私ども行政措置をとって参るということによりまして、消費者並びに業者に対して一定の安定した形をとり得る、こういうように実は考えておるわけであります。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 今のお話しを聞いていると、吉野委員質問に対して、長官の答えはピントが合っていないように思うのです。要するに長官の方は、今提出された法律案あるいは法律案の構想について、みずからの考えが正しいということを力説されておるだけであって、そういう法律案を出すことに対する理論的な矛盾点を追及されておることについては、何ら言及をされていないように私は思います。もう一度私繰り返して伺っておきますが、要するに、ただいまの砂糖値段消費者に迷惑を及ぼすほどに動揺をするという最大の原因は、国内需要量の方が供給量より大きいということに原因があるということについては、これは否定なさらないでしょうね。その点はいかがですか。
  14. 清井正

    政府委員清井正君) その点が第一であるということは、私そう考えております。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 それが今度の砂糖問題が起きた一番大きな原因である。その原因を除去するには、需要供給とを完全に調整をとればいい、これが一つ解決策であろうと思う。これが一番大きな原因であるのに、ただいまいただいたこの実施要綱の付録についておるPという「供給見込量及び購買力に基き算出される価格」というのがありますが、これをずっと私最後まで今読んでみまするというと、一番重要な需要供給とがバランスがくずれておるために起きておるわけですから、その需要供給バランスのくずれ方というものが価格相当変動を与えるわけでありますから、従ってそのバランスのくずれ方、要するに需要供給不調和率とでもかりに申しますか、そういうものが重要な算式のエレメントにならなければいけないと思いますが、そういうものは一つも数式の中に入っていないのは、これは一体どういう考えですか。
  16. 清井正

    政府委員清井正君) 今の点は後刻調べましてお答え申し上げます。  第一の点は、先ほど私、吉野委員にお答え申し上げたと同様の趣旨をお答え申し上げるのでありますが、確かに価格変動の大きな原因は、需要供給がマッチしない、従って相当高目価格がきまっておるということにあることは私も認めておるわけであります。さればといって、非常に高くなりましたときに、一時の追加輸入はいたしますといたしましても、総体といたしましては市場にマッチするだけの砂糖輸入するだけの余地がないという前提があるわけであります。従ってその前提のもとにあるために今回の措置考えなければならないのでありますが、私ども過去の実例からいたしましても、やはり大きな価格変動と伴って小さい価格変動が季節的に時期的にあり得る、現にあったわけであります。そういう点を私どもといたしましては、できるだけ平均的にいたしまして、価格の差を少からしむることが消費者にとっても業者にとってもけっこうである、こういう考え方安定帯価格を作ろう、こういうわけであります。その点は吉野委員にお答え申し上げたと同様のお答えを申し上げるのであります。やはり総数量関係と、それから別な小波動関係考えておるわけであります。総数量関係は、輸入をある程度考えて行く、しかし小さい波動の問題はまた別途私ども考えておる措置でなし得るのじゃないか、こういうように考えておるわけであります。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 砂糖の問題が非常に世論化して取り上げられて来たのは、価格の小波動の問題ではなくて、大波動の問題からこういうことになってきたわけなんです。従って小波動価格が動いておるなら、別にだれもそんなに問題に私はしなかったと思う。たとえば、この算式を見ますると、P=P0×W×X1’と書いてありますが、非常に推定計数あるいは過去の実績計数を元にして出されてくるわけでありましょうけれども、これを見るというと、結局自由主義経済下において、為替統制をしないで必要なだけ砂糖供給して行く場合にはこういう算式が私は成り立つと思うので、今のように為替相当強い管理をやった場合に、この数式というものは私は成り立たないのじゃないかと思う。それだから、この点は今すぐ御即答願うのはむりかもしれぬ、私はそうむりでないと思いますがね、これを唯一の計算式として出されるわけですから、むりではないと思いますが、とにかく今言ったような人為的に、人為的というか、為替の割当関係によって投機的に動揺している価格というものを調整しようとするならば、その人為的に操作して行った為替関係の問題が重要なエレメントとして、この中へ計算に入らなければ間違いじゃないかという工合に私はどうしても考えざるを得ないわけです。
  18. 清井正

    政府委員清井正君) この算式の問題でございますが、これはもうすでに御説明申し上げたと思いますが、まあ法律に、砂糖供給見込み数量購買力に基いて一定の計算をするということが書いてあるわけでございますが、それを一つのやり方といたしまして、一定の算式をとりまして計算をいたしたものを一つの基準にすると、こういう考え方で第二項が書いてあるわけでございますが、この付録の算式も、これは要するに過去の昭和九年から十一年を基準としまして、そのころのいわゆる購買力と言いますか、過去の供給量国民一人当りの購買力並びにそのときの価格というものを、過去のデーターに当てはめまして、一定の算式によって、そういうふうな形でやればどういう価格になるだろうかという一つの算式といたしまして考案いたしたものがこの式でございます。もっともこの決定の基礎となる為替事情というものが、結局これに現われて、結果において現われている関係もございまして、為替そのものを入れたわけじゃございませんが、結果として現われている、こういう算式でございます。
  19. 栗山良夫

    栗山良夫君 私の御質問申し上げておるのは、そのことをもう少しあとで申し上げようと思ったのですが、これが大きな理由になるわけです。たとえばP0の意味というものは、昭和九年から昭和十一年の卸売価格の平均値と、こう出ている。昭和九年から昭和十一年は、御承知のように、日本のおそらく戦前における、昭和五、六年ごろの不景気から立ち上って、相当好況時代に入って、昭和十二年の支那事変の始まる前年で一番日本の調子がよかったときです。このときにおいては、たとえば砂糖輸入については為替の管理が行われておらなかった。完全にこれは需要供給原則のもとに市場操作が行われておったときであると私は確信いたします。そういうものがやはり一つの計算値になっており、さらにX1を出すための、a、b、cを出す計算式を見ますると、その係数ではそれぞれ註がついておって、「昭和元年から昭和十四年における」と書いてあります。この中で、昭和元年から昭和十四年までの経済事情というものは、昭和九年から昭和十一年までの経済事情とほとんど大差はないと思います。そういうときのものをバロメーターにとって、そうして今行われようとするのは、戦時中に行われた砂糖統制と同じように、そこまでは行かないにしても、需要供給原則から行けば、相当に強い統制経済式なもの、いわゆる需要に満たない供給をしようという考え方のもとに、一つの目的に向って、この算式ではどうも合わないんじゃないか、こういう私は感を深くするのです。従って、この点はまたあとでいずれお聞きいたしますが、そういう考えを私はこの数式で指摘をいたしますとともに、それでもなおかつ、そこまでもはっきりしているのに、なおかつ長官が自分の説を強く主張せられるということは、この価格安定帯を設けるという考え方、もうこういうむずかしいことをしなくても、必要量だけ輸入をして売ってやれば、自動的に価格が落ちつくのに、その一番やさしい方法を避けて、あえてむずかしい方法をせられようとしておることは、農林省のいわゆる行政面から出た事務的な構想が固まったのではなくして、一つの内閣の政策として、政治問題としてこういう工合に農林省へおりてきた考え方じゃないかと私ども考えざるを得ないのですけれども、その点は、長官は責任をもって一つお答えを願いたいと思います。
  20. 清井正

    政府委員清井正君) それは先ほどもちょっと触れたのでございますが、総量だけを追加輸入する、あるいは拡大することによって価格そのものが安定するかどうか、大きな観点から言えば、輸入をふやせば価格が落ちつくことは確かと思います。そうではございますけれども、過去の今までの実績と、それから過去の今までの価格の移動等の相場によって見て判断をいたしますというと、総量は入りましても、総量の入る一年間なら一年間の間における価格についていろいろの浮動がございます。これは原因はいろいろあると思いますけれども、やはり実地における浮動、将来また追加で入ってくるというような実地による浮動等もございますが、一方また、きめられたときにきまったようになかなか砂糖が入ってこないこともあり得るということがあるわけでございます。これは申すまでもなく砂糖輸入関係の国と貿易協定その他いろいろ問題がありまして、なかなか一生懸命やっておりますけれども、うまく行かない点もあるわけであります。そういうようなこともありまして、なるほど総量は入りましても、やはりその間月別等におきましてなかなか浮動があった実績があるわけでございます。そういうような観点を考えまして、総量総量として考えて行かなければなりませんが、同時に限られた範囲内における供給力というものも、なるたけこれは平均的に内地に輸入できるような方法関係各省で相談をしてやって行こうということにできるだけ努めて行くわけでございます。その価格安定帯をおきまして、そこで小波動をできるだけなくしまして、安定帯範囲内に砂糖価格がおさまるような措置輸入の面においてもいたします。その他のいろいろ措置をとりまして、消費者価格安定帯価格範囲内にするということが砂糖の政策上最もいい方法、最も現状に即するやり方であるというふうに考えまして、実は私ども立案いたしたようなわけでございます。
  21. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはいいのでありますが、そのことは、もう少しいい案があるけれども、やむを得ず、政策的な問題として、内閣の決定事項であったがゆえに、あなた方が苦労してここまで立案をして持ってこられたという工合に私ども受け取りたい。受け取りたいのじゃない、受け取らなければならぬような工合に考えるのですがね、その点はほんとうのところはどうですか。
  22. 清井正

    政府委員清井正君) 先ほどから何度も繰り返して申し上げるわけでございますけれども総量範囲内においてもなおかつ今言ったような浮動があり得る、現にあった事情がありますから、その実情に即しまして、できるだけ価格の安定を確保するために、一定価格安定帯を設けまして、それにマッチするような輸入考え数量についても、輸入の時期等についても考える。あるいは輸入方式等についても考えるということにいたし、大体法律等にも規定しておりますけれども、それに伴ういろいろな措置をとりまして、価格安定帯の中に消費者価格を安定せしめるようにいたしたいと考えているわけでございます。
  23. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういうふうにおっしゃるとですね、もう少しさかのぼって、終戦後のこの砂糖行政というものが食糧庁で扱われた場合に、純行政事務として純粋に扱われてきたのか、時の内閣の強い指導のもとに扱われてきたのかということを私は議論をしないと釈然とし得ないのですがね、われわれはまああなたがどう言われようと、吉田内閣当時から一つの内閣の強い政策の中へ砂糖行政というものが入って、そうして推進をさせられてきたことは幾多の事実でこれは承知をしております。従って今日はその問題は触れませんけれども、若干納得をし得ない点がただいまの中にあるわけです。次の質問に移りますから、これは打ち切りますが、このPという価格の算出される式というものは、外貨割当からくるところの需要供給バランスのくずれているその原因というものを計算式の中へ入れなくても、十分正確なものであるという工合に長官は御主張なさるかどうか、この点を一つ念のために伺っておきたいと思います。
  24. 清井正

    政府委員清井正君) 学問的にどうかと言われてもなかなか問題があろうと思いますけれども、私ども今度の安定帯価格を設定いたします場合に、過去の実績から考えました。すなわち過去の砂糖供給数量、それから購買力並びにそのときの糖価等から考えまして、将来こうあるべきであるという一定の算式を一つ作り出して、やはり一定の算式による価格というものが基準となってきまるのだということにいたしませんというと、いたずらにただ行政的に何しようというようなことではございませんということで、この価格安定帯を設定したわけでございます。御承知の通り、これは戦前でございまするから、相当為替の規制のないときが基準になっていることは事実であります。しかしながら、購買力と、それから供給数量価格とこの三つの関係は、たとえ為替の規制がありましても、規制のあるもとにおける一つの姿としてこういう計算式で表わしていいのじゃないかと、こういうような考え方をもちまして、その計算式に基く一つの計算を出してみた、こういうところで実は立案をいたしたわけでございます。
  25. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、それは私の指摘したところはお認めになって、戦争前の経済状況のもとにおける砂糖のことを是認せられながら、今行おうとすることは、戦前の計算式の中へ織り込まれる年度の状況とははなはだしく違っておる状況にある、従ってこういう計算式では間違いではないかという私の指摘に対して、状況は違ってはいる、違ってはいるが、しかしこの式で十分であると思うと、こういう話で、ちょっとそこに十分私をして納得させるだけの説明は足りないと思う。これはもし必要あればあとでもけっこうでありますが、もう少し丁寧に御説明を願いたいと私は思います。今の説明だけでは、この数式を見てみたところで、どうもそういう考え方が入っているとも思えないし、それから果してそういう工合にいくとも私は考えられない。
  26. 吉野信次

    吉野信次君 そういうことは申し上げにくいことですけれども、学問的かどうかというお話でしたけれども、大体この安定帯価格ということが変じゃないでしょうか。学問的というか、理論的の問題じゃないでしょうか。それゆえに私は理論上、経済学か何か知らぬが、そういう新らしい学問の何で、需要供給というものの原則が働かないときにこういうものをやっても、経済実勢というものを示すかどうかということを、まあ栗山委員はそれを具体的に数字をもってお示しになった。私の質問も同様なんでそこを伺っているのです。これは学問的かどうか知らぬけれども安定帯ということが、実は私どものような頭の古い者から言えば非常に学問的なんですね。それだから、学問的であるがゆえに学問的の私の疑問をあなたに今お問いしているわけです。それに対してどうも明確なお答えが得られないので実は重ね重ね御質問するわけですが、そこをはっきり……。それは、その為替統制ということをやって需要供給が動かなくとも、これでもって学問的にというか、あるいは理論的に、価格に関する限り経済実勢を示すに一向差しつかえないと、こうおっしゃられるわけですね。おっしゃられれば、私どもはそれ以上のことは頭がありませんから、そうかなと言って引っ込めるよりほか仕方がないのです。その点を実はもう一ぺんはっきりと御答弁を願いたいと思います。くどいようですが。
  27. 栗山良夫

    栗山良夫君 だから今の吉野委員長の御質問の、具体的な問題としては農林省はとにかくこの数式を出されているわけですから、この数式を一つ納得のできるように御説明を願えればいいのです。私ども納得できなければ内容を質問いたします。そういう工合にお願いしたい。
  28. 清井正

    政府委員清井正君) これは私が不十分な御答弁を申し上げて恐縮でありますが、まあ私の御答弁といたしましては、先ほど来申し上げておりますことを繰り返すことになるわけでございます。これは私といたしましては、要するに総数量のほかに、また総数量を確保いたしましてもやはり価格の浮動というととがある実態にありますので、その実態を押えまして、関係の商社並びに業界のためにはなるべく小波動糖価というものを安定するようにいたすことが、総量を確保させまして、需要供給のマッチをなるべくはかるということのほかに必要性があるであろうと、こういう観点からこの法案を立案いたしたようなわけでございます。従いまして、先ほど来御質問がありましたが、私どもといたしましては、やはり総数量を確保するほかに供給量を確保する必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。それからただいまの算式の点でございますが、これは私どもといたしましても、一見算式によって推定されるところの価格というものを基礎にいたしませねば、安定帯価格をきめる場合にも不適当であるということで、一定の算式をあみ出したわけでございまするが、もとより基準はこれは戦前の基準でございまするから、砂糖に対する外貨等の問題は戦前と違うということはその通りでございまして、それによって現われるところの数量価格等の算定は、この方式によっても十分現われるのではないか、こういうような考え方でこの価格の算式に使いますところの数式の立案をやったのでございます。なお御質問等によりましてまたお答えいたします。
  29. 栗山良夫

    栗山良夫君 御質問等によってじゃない、それを質問しているのですよ。まあそれで問題は、そうすると、長官の言われることはこういうことですか、あなたは先ほど繰り返して、小波動の調整をするということをおっしゃった。これは小波動の調整のための計算式であって、大波動がきたときには特別輸入をして、大波動の方は特別輸入供給するのだ、こういう考え方ですか、それならば私はわかりますけれども……。
  30. 清井正

    政府委員清井正君) 価格安定帯をこえて糖価が上るというような事態がきました場合には、さらに追加の緊急輸入等措置を講じまして、価格の安定をはかるということをいたしたいというので、これは政府部内でそういう方向へ行こうということは相談ができております。従いまして、もしも価格が上って参りましたような場合、安定帯が将来上りましたような場合には、総供給量を確保するという観点から砂糖につきましては緊急輸入をしたい、こういうふうに考えております。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 それならば私はわかりましたが、そういうことならば、先ほどから議論をしておるところに戻ってくるのですよ。なぜこんな小細工的なことをやらなければならないのか。大波動がくるならば輸入を確保して、そうして大波動を押える、そういう農林省の基本方針であるならば、初めからそれをおやりになったならば、鳩山内閣も自由主義経済を信奉されているわけでございますから、一番きれいで、ごりっぱで、みごとじゃありませんか、なぜそれをおやりにならないのですか。あえてわれわれが頭を暑いのにひねらなければよく意味のわからないような、そういうむずかしいことをおやわになる、そこのところの真意がよくわからない、こういうことです。
  32. 清井正

    政府委員清井正君) この点はただいまの砂糖事情にマッチする砂糖を入れるだけの外貨がございますれば、それは確かに問題の解決一つ方法であろうと思うのであります。しかしただいまの外貨事情からいたしまして、需要に応ずるだけの砂糖輸入ができないということが前提としてありますために、私どもといたしましてはその間の事情に即しまして、こういうような案を作成いたしましたのでありますが、ただしそういう場合特に値上りを見越して、安定帯価格が値上りする場合にはこうやることにいたしたい。結局外貨事情全体のやむを得ない事情という前提を置いてこういうことを考えております。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 わかりました。そうしますと、今非常に重要な発言をされたが、よくわかる、わかるが、外貨事情が悪くて需要供給原則を打ち出せるだけの外貨砂糖にとるわけにはいかない、従ってこういう窮屈なことをやらざるを得ぬということをおっしゃる。そうすれば今の国の考え方として、こういうこそくな手段を講じないで、もっと自由な格好において砂糖行政をやろうということであると外貨ということが問題になってくる。これはやはり政策の問題、内閣の政策の問題でありませんか。九十五万トンの砂糖を百万トンなり、百五万トンに、五万トンや十万トンくらいふやすくらいの外貨がないということは絶対にないと私は思う。やろうと思えばできないことはない。それがあえてできないということは、これは農林省行政事務の問題ではなくて、やはり内閣の政策の問題じゃないか、そういう工合にお考えになりませんか。
  34. 清井正

    政府委員清井正君) これは私どもといたしまして事務的に考えましても、これは今申し上げたように外貨が非常に窮屈な事情でありまするから、たとえ追加輸入をいたしますにしましても十分な追加輸入はできない。これは率直に言って考えられるのです。しかしとにかく安定帯価格が値上り傾向にあるときに追加輸入をいたしまして、これを値下げの方向に持って行くということはこれは事実だろうと思うのであります。しかし私ども考えまするのに、安定帯価格というものは総数量につきましては確かにそういうことも考えられますけれども、しかし小さいと申しますか、地域別等の価格をある一定範囲に押えるというためにはやはり価格安定帯の思想が当然あり得る、こういうように実は考えておるのでありまして、総数量による大きな値動きとともに、この制度によりましてある一定の幅の中に価格を押えるということは政策として考えられるんじゃないか、こういうふうに考えるのであります。
  35. 栗山良夫

    栗山良夫君 小波動のことはいいです。私わかりましたからいいし、小波動のことはそう砂糖消費者は問題にしないです。大波動のことが問題だから申し上げているわけです。きょうは農林大臣はお見えにならないのですか。大体政策の問題だということははっきりしてきましたから、やはり農林大臣にちょっと伺っておかないとよくわかりませんです。その点は長官ではそこまではやはりおっしゃりにくいでしょう。
  36. 江田三郎

    委員長江田三郎君) お答えしますが、農林大臣、大蔵大臣も請求はいたしましたけれども出て来ておられません。出て来られるかどうかわかりません。
  37. 栗山良夫

    栗山良夫君 実はこの前、長官のおいでにならないときに私が資料を要求をいたしまして、戦争前と戦争後と比較いたしまして砂糖の糖種別の生産高というものを示していただきたいと申し上げた。ただ当時この資料が不足しておったのは、いわゆる職業用と一般家庭用と言いますか、大衆用とそれの区分けの表を作っていただきたいと要求しておきましたが、この資料がまだ出ておりません。そこでそれができておればいただきたいと思いますが、まだ出ておりませんから、前にいただいたのについて長官お尋ねをいたします。それはその当時の私の質問はこういうことでありました。この表を見まするというと、いわゆる砂糖会社に入って精製された砂糖というものと精製しない輸入そのままの砂糖需要に供せられた砂糖との比率が戦争前と戦後とははなはだしくくずれております。この表を見まするというと、たとえば昭和九年におきましては中ザラと精白糖との全消費砂糖に対する比率は約八O%に及んでおります。精白糖が四O%でしたものが戦後の二十七年度は六七・二%、二十八年度七二・三%、こういう工合に非常に大きな数字になっておる。その反面黒糖でありますとか、白下糖であるとか、赤ザラとかいうもののパーセンテージは戦争前と比較すると非常に少いのであります。しかもこの数字は私どもは前にちょっと調べたときよりもまだ内輪の比率になっているように私ども見えるのです。それでどうしてこういう工合に終戦後には砂糖というものを全部精製しなければならないような工合に農林行政というものが変ってきたか。消費者砂糖が高いといって困っておりますが、われわれが子供の時代、私どもはいなかで育ったのでありますが、この精白糖などというものは三百六十五日特別な日以外は私どもの家庭では使わなかった。ほとんど白下糖とか、赤ザラだとか、こういういわゆる下級糖を使ったものです。ところが今では町の小売店で安い砂糖を求めようと思って、そういうものを買おうと思いましても全部精白糖だ。どうしてそういうような砂糖行政というものは行われるのか。もっと消費者の便利を考えますならば、いろいろな種類の砂糖を小売店の店頭に並べて需要者が自由に買えるようにされたらいいんじゃないか。どうしてそういう農林行政が行われないのか、これに大きな疑問を持っております。私どもが、これはおととしごろでありますが、一時問題になったときに聞きまするというと、外国から入ってくる砂糖は厚生省と農林省と打ち合せの結果衛生的に非常に悪い。従ってどうしてもそれを売るわけにいかないというので精製の道が講じられておるということを聞いたのであります。これは真実であるかどうか知りませんけれども、そういうことを当時相当確実な筋から聞いたことがあります。従ってそれらのことを含めて、戦後どうしてこれほど全部の需要量のうちの高い数量を製糖会社に入れて精製をしなければ需要者に渡すことができないのか、これについての一つ説明をいただきたいと思います。
  38. 清井正

    政府委員清井正君) 精白糖の割合が戦後非常にふえておるという御指摘でございますが、確かにこれは、私もくわしい知識はないのでございますけれども、おそらく戦前は粗糖、まあ色のついた赤糖と申しますか、赤砂糖と申しますか、色のついた砂糖相当消費しておった事実があるのであります。それはおそらく考えますに、おっしゃる通りのような、戦前は台湾の砂糖関係が割合に御承知のような事情でありましたために、たったいまの砂糖関係事情がだいぶ違っておったという事情があるのではないか。そこで台湾から製造されるところの赤砂糖といわれるものが内地、ことに農村方面において相当行き渡っておった事情があるように聞いておるのであります。台湾あたりの赤砂糖は、これはむしろ粗糖から切り離して精製するという工程でなしに、たしか地元でもってそのまま一貫作業で精製される砂糖であるように聞いておるのであります。そういうように台湾の砂糖が内地に入ってくる事情がただいまは違うというような事情がありまして、当時色のついた砂糖が一般にも農村方面にも相当これが使われておったという事情があったと思います。戦後になりまして、御承知の通り事情でありますので、その辺の事情も変っておりますし、ただいま内地で使いますところのいわゆるザラメ等につきましても、これは御承知の通りのように、製糖会社におきまして別途製造をいたしておるような事情であります。すなわち色のついた砂糖でありましても、戦前使いましたものとはおのずから性質が違っておるのではなかろうか、こういうふうな感じがいたしておるのであります。正確には係の方から御説明申し上げますが、そういうようなことでございます。やはり戦前と戦後と砂糖の流通関係、製造関係等がやはり違っておったことも一つ原因じゃないかと私は考えるわけであります。それからもう一つ、厚生省の関係で何かとめておるというような話でございましたが、これは昭和二十七年に、輸入粗糖の検査結果につきまして私の方に通知がありまして、それ以来厚生省の方で食品衛生法によって検査を実施いたしておるのであります。最近におきましても若干ダニなんかが砂糖の中に入っておるというような事実が証明をされておるのでありますが、それの保健衛生上の観点はまた別途十分検討いたさなければならぬ点もあろうかと思います。たしか事実といたしましては、昭和二十七年に厚生省の方から、直接粗糖を飲食の用に供することは望ましくない。適宜精製工程を施すというような方法をやるべきである。こういうようなことの文書がきていることは事実であります。その後ずっと引き続き厚生省の方で食品衛生法に基いて検査をいたし、最近におきましても、ただいま申し上げた通りダニが発見されるというような事実もあることだけはたしかであります。
  39. 栗山良夫

    栗山良夫君 そのダニというのは何匹くらいいたのですか。
  40. 清井正

    政府委員清井正君) 厚生省の検査結果の最近の数字によりますと、二十九年の七月二十二日に入りましたキューバ粗糖、これは百グラム中に十匹、それから台湾粗糖が百グラム中に十五匹、それから同じく台湾粗糖でありますが、二百三十匹、こういうような一応の検査結果が出ております。
  41. 栗山良夫

    栗山良夫君 終戦直後にアメリカ軍が日本ヘキューバ糖を大量に放出したことがありますね、食糧代替として……。あの時はダニはいなかったのですか、あのときは検査しなかったのですか。
  42. 清井正

    政府委員清井正君) 私もその点は存じておりませんが、おそらく検査がなかったのじゃないかと思いますが、詳細は存じておりません。
  43. 栗山良夫

    栗山良夫君 戦争前と砂糖の精製状態はいろいろ違うとおっしゃるのですが、戦後とにかくアメリカ軍が来てあれだけ大量の砂糖を、砂糖じゃない食糧の代替として配給した、米麦の代替として配給したのですが、全国の各家庭では数人の家族を持っているところは、とにかく一トンバケツを持って行って配給を受けて、そうしてあれを食べて、だれも一人もあのために死んだという人も、病気をしたという人もないと私は聞いておる。これは実績ですからね、相当長い間続きました、そういう実績があって国民が非常に喜んだわけですがね、戦後のなまなましい実績があるのに、このダニというものがどうしてそんなに問題になるのです。
  44. 清井正

    政府委員清井正君) どうしてなるかとおっしゃるとちょっと御返事に困りますが、事実輸入砂糧の中に、検査結果としてそういうものがおるということの結果だけ出ておるのであります。果してこれを食料に供する場合どの程度健康に害するかどうか、これはいろいろ議論があろう点かと思いますが、確かに厚生省の方から昭和二十七年に、そのまま飲食の用に供することは望ましくないという趣旨の通知は私どもいただいておるわけであります。その後厚生省としてもずっと制限するというような事実があることを申し上げます。
  45. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと長官、その点は大事な点ですからはっきりしていただきたいのですが、厚生省の方から、ダニがおるから直接飲食の用に供することは望ましくないと、こういう通牒が来たから、直接飲食の用に供することが望ましくないというのは、必ず精製しなければならぬという意味なのか、あるいは煮たきに使う場合には、これは直接飲食ということでなしにかまわぬというのか、もし煮たきに使うのはかまわぬということならば、何も栗山君が先ほど問題にしておるような全部精製しなくてもいいということが出てくるわけで、その点今後の政策に非常に大事な点ですから、これはこういうことを聞いているとか何とかいうことでなしに、もっとはっきりした答弁をなさった方がいいんじゃないですか。
  46. 栗山良夫

    栗山良夫君 これはかって商工委員会のときに私は質問しておりまして、次の機会には厚生省と農林省と立ち会いの上でその点は明白にしていただきたいということを私は強く申し上げてあるのです。商工委員会としておそらくきょうの連合委員会が最後だと思うのですね、だからやはり農林省、厚生省が出て来て、この問題をはっきりしていただきたいと思うのです。そうしないと、安定帯を幾ら作られても、これはやはり三盆白で精白糖なんですよ、しかし大勢の国民というのは、こういう上級糖でなくてもっと悪い赤ザラも食べればいいし、輸入原糖そのま安い値段で食べればそれに越したことはないのです。それを農林省がとめておれば私はゆゆしい問題だと思う。それですから、この点はやはりきょう明白にしていただきたい。
  47. 清井正

    政府委員清井正君) これはただいまお話し申しました通り、厚生省の見解を聞かないと私限りで確実な返事はできませんが、厚生省からのはっきりした文書では、本件は直接飲食の用に供することは望ましくないので、適宜精製工程を施す等の後、直接の消費者に渡すべきものと考える、こういう結論であります。従いまして、ただいま御質問の直接消費者が食べる場合と、それを煮たき等の用に使うものと、実際問題として差があるのではないか、私だけの考えでありますが、考えます。どの程度にこれを区別して処理されるべきものかということについては、私ちょっとここではっきり申上げられないのでありますから、確かに消費者が直接口にする場合と、原料と申しますか、煮たき等の原料に使います場合と、これの衛生上の見地から申しましても差があるのじゃないかということを私は考えておるのであります。程度につきましては、ちょっと私ここで申し上げかねる次第であります。
  48. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 長官、この問題はかつて農林委員会で、去年でありましたか、ここに河野農林委員なんかもおられますけれども、だいぶ問題になった点でありまして、そのときから一向はっきりしないのでして、厚生省の通牒をそのまま読めば直接飲食の用に供することは望ましくない、これは書いてあります。だから直接飲食の用というのなら、そのままなめたらいかぬけれども、おしるこに入れたり、おかずに入れるのはかまわぬというようにも解釈されるのです。それから精製ということは、適宜精製工程を施す等ということで、この中にも精製しなくてはならぬということに書いてないので、それをどうも農林省考え方は精製しなければならぬのだというように聞こえますが、その点は前から問題なんですが、まだこれははっきりできませんか。
  49. 清井正

    政府委員清井正君) 今お答え申し上げました以上のことはちょっとお答えできかねます。
  50. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちょっと委員長にお願いいたします。きょうは連合委員会で、私どもとしてはきょうしか発言する機会がないのですから、この問題については発言いたさないわけですが、きょうできるならば厚生省の責任者、それから農林省、それからできれば農林大臣の御出席を願って、もう一ぺん委員長のお骨折りで御出席を願って、そうして今問題になっている点、先ほど問題になった点などをもう少しはっきり商工委員会としてはしておきたいと私は思います。
  51. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今の栗山君の御要求はほかの委員の方も同じようにお考えになると思いますから、直ちにそういう手配はとりますけれども、はっきり出席されるかどうかということは、ちょっと向うの都合ですからわかりませんが、直ちに請求いたします。
  52. 河野謙三

    河野謙三君 私さっきから農林省答弁を聞いていて非常に不思議に思うことは、砂糖需要量というものを、あなたの方は売られるもりをもって需要量とお考えになっているように感ずるのですが、一体需要量というのはあなたの方はどういうお考えですか、売れるものをもって需要量考えるのですか、それとも何か理論的に、政令により何万トン輸入すればいいのだという一つの理論的なものを持っておられるのですか。
  53. 清井正

    政府委員清井正君) 大体私ども輸入計画を毎年々々通産省と御相談いたします場合には、やはり過去の輸入実績と同時に、過去に一人当りどのくらい消費したかというような数字等も勘案いたしておるわけであります。正確に申し上げますれば、やはり前年度までの一人当りの必要な消費量というようなことも一つ数字として出るわけでありますが、ただいまその数字についてはちょっとわかりませんが、仮に絶対量を確保いたします場合には百万トン以上、相当数字になるわけであります。そういうようなことも一つ需要量ということに私どもとしても数字的には考えなければならぬと思うのでありますが、今申し上げましたような事情で、なかなかそこまでの輸入考えられることができないということでありますので、そのお手元の数字にただいまなっている、こういうようなわけであります。
  54. 河野謙三

    河野謙三君 私が伺いたいのは、生理学的に必要カロリーから割り出して、砂糖というものは日本では最少幾ら要るのだという厚生省あたりとも打ち合せの結果の数字をお持ちになっておるのですか、私はその数字が必要だと思うのですよ。そういうものはお持ちになっていないのですか。
  55. 清井正

    政府委員清井正君) 正確に学問的にあるいはカロリー計算その他からいたしまして、一日一人当りどのくらい必要かということはただいま持ち合せておりません。過去の実績に応じて、過去の実績通り出すとすればどのくらいかという数字は今持ち合しておりません。
  56. 河野謙三

    河野謙三君 理論的に持ち合しておらぬわけですか。それでは戦争中、業務配給と家庭配給、こう分けて、家庭配給の数量というものは、国民が生きて行くための最小限度これだけなければならぬということから出したのでしょう。それは理論的にあったのじゃないのですか。  なお、続けて伺いますが、これは私の意見であり、同時に江田委員長の御意見と同一であると思うのですが、私はいかに外貨が多少緩和したからといって砂糖外貨をふやすことは絶対反対なんです。というのは、五十万トンでも六十万トンでも、私の気持からいえば戦事中やりました家庭配給プラスアルファ、このわれわれの経済の復興と引き続いてこれは復興に伴う栄養分を多少ふやしてやるという点において、戦争中の家庭配給にプラスアルファされるものは、私は二十万トンか、三十万トンであろうかしりませんけれども、それは国民の栄養を保持するに足るだけの理論的数字をもって私は外貨を押えるべきだと思う。そうしてその余った外貨はもっと工業用の原料、資材から農業用必要資材なり、こういうものに私は外貨を積極的に割り当てるべきだ、こう私は思う。そういう思想のもとに立って前内閣もやっておられたし、現内閣もその思想のもとに立ってこの砂糖行政措置をとられたのだ、またそうでなくてはいかぬと思う。それを先ほどからのお答えによると、大波動がもしあったら外貨割り当てをふやす。五万トンか十万トンふやすということは私はこの意味がわからない、余計なめたら病気になり、毒にたるのです。このくらいのことは厚生省なんかという役所があって、それに農林省の食糧関係の役所があって、それはむずかしいことでありましょう。正確なものは出ないでありましようが、国民の最小必要限度は理論的に何万トンというこの数字と窮屈な外貨とにらみ合せて、この砂糖を下落させるというものでなければならぬと思う。それはどこまでも先ほどから御答弁のように、大波動が出てきた場合に五万トンや十万トンのものを追加割り当てをして、そうして売れている数量に対してあとから追いかけるということですが、こういうことは間違いではないのですか。
  57. 清井正

    政府委員清井正君) お話の御趣旨よくわかるのですが、ただいまお話の計算する場合の理論的な数字ということよりも、過去の実績数字ということを基礎に置きまして、一人当り過去どのくらい要るか、あるいは前年度一人当りどのくらい消費したかということを基礎にいたしております。その点につきましては御批判を受けましたが、従って私の考えましたのは、ただいまの数字で申し上げますと、それだけ需要が多い、そういう観点から考えれば、若干の、五万トン十万トンという数字は申し上げませんけれども、若干のものを輸入してやらせるということも必要であるということを考えているわけであります。お話のような根本的な御批判に対しましては、私どもはそういうような理論的な数字ということではなしに、過去の事績の数字を基礎にしている、こういうことであります。
  58. 河野謙三

    河野謙三君 少し意見になって相済みませんけれども、あなたの方の農林省関係でも、もっと外貨さえあれば生産のために買いたいものがたくさんあるでしょう。こういう消費物資でなしに、こういう生産のために必要な原料資材に対して今さかなければならぬ外貨が、仮に緩和した現在でもなおかつ必要量が輸入されない、通産省関係も工業の原動力である重油さえも今日では割り当てを切ろうという、そういう場合に、もしこれが理論的にオーバーした数字砂糖を入れるということは、私はこんなことを政府がやってははなはだいかぬと思う。その辺について、砂糖が売れるからそれをもって需要量とする、その需要量に対して外貨割当を追加するというようなことであったならば私は絶対反対なんです。また同時に、これはここにお出での委員長はそういうことを最も強く主張をされた方です。かねて委員長農林委員会でそういう主張をされておったと思う、最近においても……。それはそのことをきめてもらわなければこの法案の審議は根本的にできぬと思う。それはどこまでも売れて行くものをもって需要量とするのだというこの原則は変えられませんか。
  59. 清井正

    政府委員清井正君) 売れて行くものをもって需要量とするというふうに、端的な表現でありますと、これははっきりしたお答えはできかねますが、私ども考え方といたしましては、根本的な御批判を受けましたけれども、理論的に衛生上と言いますか、保健厚生上幾ら要るのだという数字を押えるということでなく、一人当りの過去の需要量と言いますか、需要実績と申しますか、消費実績を元にして今までものを考えて参りましたということであります。ただ売れるからそれだけどんどん入れるのだという、そこまで突きつめて考えれば、そういうことにもなろうかと思いますが、しかし今までの考え方というものは、実績数字を基礎にしてとっている、こういうふうに御理解願いたいのであります。
  60. 藤田進

    藤田進君 今の数字に関連して、今過去の実績数字と、資料は日本内地砂糖消費高の資料が出ておりますが、これを見ますと、昭和九年から二十九年まで出ております。このどれを見ても今の答弁の基礎となる、過去の消費実績に基礎を置いて外貨割当をなす、その行政をやって行くと言われる点が出て来ないのです。たとえば二十八年で言えば一人当り十三キロ、二十九年は一年違いで十一キロになってみたり、昭和二十五年では四・八九キロになったり、二十一年、終戦の翌年のごときはO・二一と、こういうふうになっていて、過去の実績基準という説明はどうしても出てこないわけです。この点説明していただきたいことと、それからそれらに関する各国から輸入した歴年実績が出ているわけでありますが、キロ当りの……、この三枚刷りのプリント、これを見ても先ほどの栗山委員の御質問に対する御答弁等から、粗糖あるいは精製された割合等の御答弁が、主として台湾から輸入していたその割合か変ったように言われる、しかしこの数量から見ると必ずしもその説明が、二十一年以降しか出ていないけれども、その説明が裏づけとなっているのですね、こういった点を数字をあげて御答弁いただきたいと思います。
  61. 清井正

    政府委員清井正君) 先ほど私が過去の数字を基礎にしたと言ったことはちょっと語弊がありますが、と申しますのは、先ほど河野委員から理論的に保健衛生上、厚生上から計算したかというお話でありましたので、過去に消費した数字を基礎にして実績数字を計算したということを申し上げまして、過去の実績をそのままずっとやったということを申した意味じゃないのでありまして、この点私の表現が不十分でありました。私ども今回の割当、割当と申しますか、今回三十会計年度の九十五万トンの外貨額をきめる際には、二十九年度の一人当りの一応計算上出て参りましたところの消費実績の一人当りが一一・八五キログラムと計算上出ているわけであります。これを基礎にいたしまして、三十年度の砂糖外貨のワクを、これを勘案してきめたという意味のことを実は申し上げたわけであります。その点はずっと今までの過去の実績をそのまま平均並みに見たというのじゃないのでありますから、その点は御了解を願いたいと思います。それから先ほど砂糖のことについて申しましたのは、これまた私の説明不十分だと思いますが、数量的にどうだということを申し上げたのじゃないのでありまして、戦前に使っておられた砂糖、色のついた砂糖というものは、台湾から入って来た砂糖が大部分であった。それはいわゆる今、日本において使っている中ザラというものは、精製過程において精糖会社において作っているのでありますけれども、そのものは昔のいわゆる色のついた赤い砂糖と性質が違うのでありまして、台湾あたりで作ったものは、御承知の通りにこれは一貫作業でありますから、地元でもってできるわけでありますが、そういうものが台湾から日本に入って来て非常な消費をされておったという事情があったのであって、現在のような場合とちょっと事情が違うということで御説明申し上げましたので、数量的にその割合がどうこういうことを厳密に申し上げたわけじゃないのでありまして、そういうようなことで昔の色のついた砂糖と、現在の色のついた砂糖とは少し様子が違うように考えられるということを申し上げたのであります。
  62. 藤田進

    藤田進君 今の河野委員質問に対する答弁に関連してですが、過去の実績に基礎をおいて割当をやったという御答弁に間違いはなかったわけですが、今のさらに補足しての御説明を聞くと、三十年度は二十九年度の一人当りの消費量でたとえば一一・八五キロに基礎をおいてきめたと、こう言われているわけで、本年度の場合は一人当り幾らになるかということをお聞きしたいのと、それから河野委員の御質問は私の聞きたいところであったわけですが、これは砂糖輸入するための貴重な外貨の割当をする場合には、国民が必要とする摂取糖分の割合等からこれを基礎にして慎重に割当をすべきではないかと、これはいわば要約すれば割当の基本方針ですね、その基礎となるべきもののおきどころを質問されていたと思うのです。それが過去の実績に累積主義でいかれるとするならば、ここに出ている昭和二十五年あたりから考えてみましても、あえて昭和九年以降を考えて見なくても、戦時中は別としても、昭和二十五年あたりからいたしますと、非常な実績主義を基礎に持ってこられたようには見えないわけですね。ですから将来の方針としても、前年度の実績に立ってこれを参考としながらおやりになるのかどうかということを明確にしていただきたいと思います。過去においては、少くとも昭和二十五年以来過去の実績がどうも基礎になったようには数字から見て見えないわけなんです。
  63. 清井正

    政府委員清井正君) この点は御批判を受けたのでありますが、確かに三十年度の外貨のワクをきめますときには、二十九年度の実績の一人当り一一・八五キログラムをそのまま三十年度も維持するという建前で組んだのであります。従いまして、二十九年度そのままというような形になっているわけであります。しかしこれはあくまでも実績によってやったということでありまして、実績そのものに対する御批判といたしまして、栄養的見地あるいは理論的見地からどの程度必要であるかという観点から、もう一度見直してみるべきではないかという御批判の言葉をいただいたのでありますが、この点は私どもも十分勉強いたしまして、さらに一つ検討いたしてみたいと考えておりますが、ただいますぐにどうこうという確定的なことは申し上げられません。御趣旨の点は十分一つ考えてみたいと、こういうふうに考えております。
  64. 戸叶武

    戸叶武君 前に吉野さんから意見か展開せられ、さらに河野君から具体的な提議もされましたが、私はこの砂糖問題は枝葉末節の議論でなくて、砂糖行政をいかにやるかという根本的な論議から始まらなければ話にならぬと思うのです。それは学問的とか何とかいう意味でなくて、吉野さんが言われたように、需要供給との関係価格との結びつきの問題、それをにらみ合せながら、たとえば外貨においても、外貨によって制約されておるからというのが唯一の理由で、今までの砂糖の暴騰なんかに対しては政府は手が施せなかった。あるいはそれは口実であったかもしれない。それで今度河野農林大臣が就任したときの第一声というものは、米の問題、砂糖の問題、肥料の問題に対しては果断な施策を行うということが当初の声明なんです。この河野農林大臣からとにかくこの程度の法律案が出されてくるとはわれわれは思っていなかったのです。その心境の変化、それから基本的に砂糖行政に対してどういう考え方を持っておるのかということを承わらなければ、こういう本体がわからないうろこのような法案を審議してみても意義はないくらいです。私は今の食糧庁長官の話を聞いていても、実際こんな論議をやっていたのでは時間がとられるだけであって、さっぱり私はこの砂糖行政に対する根本的な問題に対して触れることができないと思うのです。私たちは農林大臣がここへ出ることをただ単に顔を見たいために要求するのではなくて、少くとも砂糖行政に対して断固たる処置をすると、場合によっては、いろいろな放言をいわゆる河野放言という形で放出されたけれども、一体どういう腹がまえでやられるのか、その点を明確にしなければ、私たちはあぜ道にやたらに入ってしまって、迷路の中でごまかされてしまう結果になるので、そういう点で、たとえば河野君が具体的な例をあげましたが、砂糖消費量は俗に百万トンないし百二十万トンと言われておるけれども、それはわれわれの生活に必要な量というよりは、お菓子や何かぜいたく品などに流れておる場合もあるので、それをしぼってあるいは七十万トン、八十万トンにするというような河野君の言うような行き方があるが、それに対しては、今度砂糖に対して相当統制を強化するなり、計画性を持たせなければそんなことはやって行けない。そうではなくて、吉野さんの言うように、今のような自由主義経済のもとにおいて、こんなようないろいろな試みをやってみたって、それによって価格というものが実際安定化するものではありはしない。事実上において外貨を使っちゃいけないというけれども、こういう政府自身が統制能力を持たないときに、やはり外貨を投げ出して外国から砂糖を買って需要供給バランスをとることによって、とにかく価格を安定させるよりほかにやり方は実際にないので、それを長官説明するのは苦しいようだけれども、それ以外にはないのだ、政府はいろいろなことがあるけれども、今までやってきたところを見ても、とにかく国際収支のバランスをとらなければいかぬ。外貨割当が窮屈だというような口実でもって、日本消費大衆に非常に迷惑をかけ、しかも外貨割当のからくり、原糖割当のからくり、開発銀行からの融資のからくり、国民にわからないごまかしをしてぼろいもうけをさせ、名古屋精糖その他の業者がやり、輸出業者がやり、その間におかしなものが介在して不明朗な砂糖行政がやられていた。それは河野さん、あるいは今の委員長なんかも一年あまりも追及して、これはもう議論しなくても速記録にもずいぶん残っておる。問題はその跡始末なんです。河野さんが農林大臣になって、この矛盾に向って一体何をやるかというその回答がなされず、明確な方針というものが示されないで、こんな形において、これを見ると、「この法律は、安定価格帯制度により砂糖価格の安定を図るとともに、砂糖輸入によって生ずべき利益の一部を徴収することを目的とする。」、これこそ大山鳴動ネズミ一匹と、こういう形で、私は昨年のあの砂糖の暴騰に対する緊急質問を昨年末やったときに、御承知のように、対資本利益率においては、フジ製糖が二百三十二割、日本精糖が九十九割、横浜精糖が三十三割、またその配当では、フジの六割を筆頭に、いずれも三、四割を占めた。巷間伝うるところによると、精糖会社が一年間に百億以上の金をもうけたのは、輸出業者その他を合わせて三百億くらいの金は動いたろうとまで言われておるようなこれは大問題なんです。こういうとにかく大山鳴動ネズミ一匹の砂糖行政というものは、委員会としてはほんとうはおかしくて論議の対象にならぬ。だけれども、これきりしかやれないのだというなら、私はあらためて承わるのだが、農林大臣がまかり出て、とにかくはっきりした砂糖行政に対する見解を明らかにしてもらいたい。それでなければ話が進められないと思う。これは先輩の吉野さんが言われたのでも、抽象的な学問、理論ではないと思う。この資本主義的な自由経済のもとにおける、われわれが企画性なり、統制なり、ナショナル・ガヴァメントを通じてのコントロールなりをどういうふうに具体的にしなければならぬかという結論的なものを出さなければならぬ段階に来ているので、そういう基本的な問題からわれわれは当って行かなければ進みようがないと思う。迷子になりたくない。
  65. 河野謙三

    河野謙三君 さっきの話の続きですが、清井さん、今度は私はごく通俗的に申しますが、過去の実績によって需要量を算出するということは、過去の実績というものは売れた数量ですよ。売れた数量を分析すると、たとえば百万トンの中で三十万トンか、三十五万トンが家庭の分でしょう。家庭需要でしょう。あとの六十万トン、七十万トンがいわゆる業務用でしょう。業務用の方では明治や森永というように、現在では広告屋さんのドル箱と言われる、広告によって物を売っているところへ、明治や森永が砂糖をなめろといって広告をして、そうして砂糖需要がふえておる、その需要量ですよ。なけなしの外貨で次から次に砂糖輸入の割当をふやしているということを政府がやっておる。いつ政府に森永、明治が頼んで砂糖外貨の割当を追加しているのかと、こういう皮肉も言いたくなる。そんなことでこの砂糖外貨需要量というものを私は出すべきじゃないと断じて思う。日本がもっとしっかり復興して、売れる物は幾らでも輸入してやれるという事態なら別ですけれども、そういうことは今後十年や十五年じゃこないのです。そういう意味で私は申し上げておる。これは今私はすぐ御答弁を求めようといたしませんけれども、そういう一つ理論的に出してくる需要量というものを一つ出して下さい。私は家庭配給のものがすなわち需要量だと思うのです。理論的の戦前の家庭配給そのままを私は需要量だと言いません。かりに戦前三十五万トン家庭配給しておったが、かりにその倍にしたって七十万トンじゃないですか。私は菓子屋の砂糖、料理屋の砂糖が一切いけないということじゃありません。だけれども、それらのものをかりに三十万トン、倍にしても九十万トン、百万トン、百五十万トンという数字にはならぬわけです。私はその大方の目安は、需要量というものは、自分では持っておるけれども、そういう理論的の需要量を出してもらいたい。それはきょうでなくてけっこうですから、あらためて商工委員会の方にでも出していただきたい、こう思います。  もう一つだけお尋ねしますが、現在の砂糖価格というものは、粗糖を輸入して、そうしてこれに精製の加工賃を加える。これを卸小売の適正口銭を加えて一体末端の最終価格というものは、理論的に出した末端の最終価格というものは幾らになるのでしょうか、もちろん粗糖の場合には産地別に違います。これを加重平均した輸入価格、これに対しまして精製加工賃、流通過程の加工賃を加えて幾らの数字が出るのでしょうか、これを一つ教えてもらいたい。それが不適正だからこういう問題が起ってくるのですから、現在の市価と理論的に出た末端消費者価格との開きというのはどのくらい出てくるのですか。
  66. 清井正

    政府委員清井正君) 理論的な市価はどのくらいかという御質問ですが、この点は非常にむずかしいことでございまして、どのくらいが現在の妥当な中間マージンであり、中間の工場経費であり、それによって出た結果がどうか、こういうことでございますが、私ども大体いわゆる安定価格帯を設定いたしました場合の標準価格は大体七十七、八円から八十円くらいの間に置いたらどうだろうか、こういうような考えをもってやっておるわけであれます。その価格が果して理想的なものであるかどうかということは、いろいろ御疑問のある点だろうと思いますけれども、一応そういうような形におきましてこれを考えてみますというと、その間に適当なマージン等が織り込まれるのじゃないだろうか、こういうような考え方を持っておるわけであります。もっともこの標準価格一定の幅を、先ほど申し上げましたように幅を持たせるわけでありますが、この標準が大体税込みで七十七、八円から八十円くらいに考えたらどうかと、一応こういうふうに私ども考えておるわけであります。
  67. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、逆算してあなたの方が想定している標準価格の七十七、八円ですか、その間において政府が精糖会社の超過利潤をとるわけですね、政府が取り上げる超過利潤というものをその安定価格の七十七、八円から引いたものは一体幾らになりますか、要するに理論的に出てくる数字と、あなたの方で安定価格考えておられる七十七、八円というもののこの差額というものが、要するにあなたの方で、政府の方で取り上げる価格でしょう、政府の取り上げる価格というものはわかっております。それを引きますと一体どのくらいになりますか。
  68. 清井正

    政府委員清井正君) 先ほど申しましたのは標準価格でございまして、標準価格が税込みで七十七、八円から八十円程度というふうに考えておりますが、これは差し当り差益徴収と言いますか、価格差を徴収する場合の基準といたしましては、そこから幾ら引いたかという形、と申しますのは、安定帯価格の幅の下限と標準価格との中間程度でもって押えたいと考えておりますので、下限がかりに四円といたしますると、七十八円といたしますれば七十四円ということになるわけでありますけれども、その七十八円と七十四円との間でもって差益徴収をするのがいわゆる安定帯価格考えたい、さように実は考えておるわけであります。かりにそういうふうにいたしました場合に、私ども考えますのに、原価といたしまして考えられますのは、平均に七十二円程度じゃないか、従いまして、七十二円と七十六円といたしますれば、その間で四円ございますが、四円から五円、その程度の価格が大体差益と申しますか、徴収し得るめどの価格になるのじゃないか、今のところはそういうふうに考えておるわけであります。
  69. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、精糖会社が適正な利潤をとる流通過程において、それぞれの段階を経て適正な口銭をとった場合には七十二円になる、しかるに私は政府の気持ちになって申し上げますが、七十二円ということになると、国内の農民の関係のサツマイモ、バレイショ、また澱粉等の生産に影響があるから、そこで安定価格のへそをもう少し上へ持って行った、そうしてそり差額は政府が超過利潤として取り上げる、こういうふうに、計数上は説明になるわけですか。
  70. 清井正

    政府委員清井正君) 大体安定帯価格の下限に相当する価格国内の大体水あめ、澱粉その他国内農産物の価格と見合った、大体価格になるようなふうに考えて行きたい、若干一、二円差がございますが、大体そのくらいに考えて行きたいというふうに私ども考えておるのであります。従いまして、差益の徴収の基準となります価格は、下限と標準価格との中間程度の価格で押えて考えて行きたいと思います。今後の価格水準によってもちろん勘案しなければなりませんけれども、現在の私ども考え方といたしましては、下限を大体農産物の価格と見合った価格で押える、従って標準価格と下限との中間はいわゆる差益徴収の基準価格というふうにいたしていったらどうだろうかという考え方でいっておるわけであります。
  71. 河野謙三

    河野謙三君 その裏返しのことをお考えになったことはありますか、たとえば農産物の安定価格維持のためにこういう措置をとった、それなら農産物、イモの生産者というものは農民の中の一部分でしょう、全国民の中から見れば非常に少い一部の者ですよ。それらの者の保護のために、全国民消費する砂糖の中の価格において、これらの一部のイモの生産者を保護するということが今の政府考え方ですが、逆に七十円なら七十円で売れる砂糖は七十円で売ってしまって、一方七十五円でなければ、砂糖価格が七十五円でなければイモを生産する農民が困るというならば、この困る農民だけ政府の財政支出か何かの方法でこれを保護する、砂糖価格はそのまま出し放しでそのままやってしまう、そうして一部のイモの生産者農民に対しては、政府が別に何かイモの生産維持のためにその農民に保護政策をやるという、この裏のことはお考えになりませんか、なったことはございませんか、私はその方が筋が通っておると思うのです。今のように一部のイモの生産者を育成するために、保護するために全国民砂糖価格の上において犠牲をしいて、そうしてこのイモの生産者を保護するということよりも、砂糖はすなおに出た価格で売らして、そうして一方イモの生産者は政府行政的な措置によってこれを保護するという、私はこの裏のことを政府が検討されたことがあるかどうかということをお尋ねしたい。
  72. 清井正

    政府委員清井正君) 実はまだ考えたことはないのであります。しかし御意見としては確かにそういう御意見であるわけでございます。これはただいま申し上げました通り、下限が大体農産物の価格と見合うということで考えておりますが、その程度でただいまのところはやって行きたいというふうに考えておるわけであります。一方また砂糖価格をさらに低めにいたしまして、よって生ずるところのイモ生産者に対する保護政策を極力講ずるということは、おそらく財政的な処置を要するかと思いますが、そういうようなことにつきましては、実は今までは考えたことはないのであります。やはり先ほど申し上げました通りのようなことで、糖価をこの程度でもって安定させるということを率直に申し上げます。そういうことを申し上げたわけであります。
  73. 戸叶武

    戸叶武君 私の前の発言は単に話しただけでないので、議事進行を意味するのですが、農林大臣が出ないで、ここでもって時間つぶしにいろいろな話をやっているのならば別ですけれども、この忙しいときに私はこの法案をはかどらせようとするならば、もっと政府は誠意をもって基本方針を明らかにしてもらわなければ審議に入れないと思うのです。善処して下さい。
  74. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと申し上げますが、先ほど栗山君の要求によりまして農林大臣と厚生省の公衆衛生局長の出席を求めましたが、農林大臣は連絡がつきません。それから厚生省は、公衆衛生局長は社会労働委員会に出席中のため食品衛生課長が見えております。それから戸叶君の御意見でございますが、本日はまだ予備審査の段階でございまして、大体商工委員の方々に御質疑を願う、こういうことで商工委員の方々を優先的にやっておりますので、なお商工委員の方々から御質問があれば、その方をもう少し続けていただきたいと思うのです。
  75. 栗山良夫

    栗山良夫君 厚生省の方から説明員がおいでになっているという話ですが、私は厚生省はやはり厚生大臣に確かめておきたいと思うのです。ほんとうは少くとも局長が、説明員がお知りにならないというわけじゃありませんよ。責任上やはり局長には少くともお尋ねをしておきたいと思います。それで今日どうしてもおいでにならないということになれば、まことに残念ですが、連合委員会の機会がありませんから、いずれまた商工委員会の方でこの問題をもう少し掘り下げて扱うように私はいたしたいと思います。農林大臣はもちろんお出かけを願いたいと思います。その点は委員長が非常に努力されたけれども、こられぬということになればやむを得ません。しかし農林省に私一言申し上げておきますが、この前商工委員会でいろいろ質疑がありまして、きょう聞いておりますと、河野君の御発言も、吉野委員長の御発言も、私どもの発言もほとんどこの前商工委員会で私どもがした発言なんです。資料的なものももちろん入っておりますにもかかわらず、きょう長官の御答弁というのは初めての質問のような態度で応接をせられ、しかも答弁がはなはだ不徹底な状況であります。はなはだもって私は遺憾と思います。もう少し農林当局は、商工委員会は直接の委員会ではありませんけれども、熱心にこの問題を審議しておるわけですから、もう少し誠実をもって御研究をいただき、そうして御答弁に立たれたい、これを強く要望しておきます。
  76. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なおただいま連絡がありまして、農林大臣はただいま三番町の分室でアメリカのマイヤー公使と会談中で、国会へ帰る時間は不明、こういうことでございます。なお栗山委員からいろいろお話がございましたが、私ども農林水産委員会でも、この法案については重大な関心をもちまして慎重に審議をしなければならぬと考えておりましたが、何しろ衆議院の委員会ではいまだ一回も審議いたさぬというような状態なので、会期も切迫しましたが、一体どういうことになるのか、私たちが予定しておりますような審議が行えないのじゃないかというような状態でございます。
  77. 海野三朗

    海野三朗君 私はごく簡単にお伺いしたい。すべて値段というものは、御承知のように需要供給関係できまるのであって、それも人為的に価格安定帯ということをここにおきめなさるのは実におかしいのであります。きめてみても品物が不足すればやはり高い方に売ってやるというのが、これが商人の通例でありますから、実に私はおかしいと思う。それを一点お答え願いたいのと、この付録に数学の式が出ておりますが、これは意味をなしていない。この付録の意味は要領の式です。これはロガリズムを持って来て説明せむとしているが、一体何をしておるのですか、全く意味をなさぬ。私はこの式を持ち出したのはだれだか知らぬけれども、実におかしいと思うのです。こういうふうなわけのわからない付録をお出しになって、あたかももっともであるかのごとき御答弁をなさるのは実に私は納得が行かないのであります。この点についてこの式のまず御答弁を願いましょう。P=P0×W×X1’と出ておる。この式にはバリヤブルが何ぼありましょうか。このような数式は全然なっていない。その次のlogX1=a+blogX2+clogX3これを等式に直せばlogX2乗b’logX3乗cとなってくる。どこからそういうふうなことを持って来られたのか、この下にるる記されておるけれども実におかしいのでありまして、これはわからない。どういうわけでこういう式をお立てになったのか。つまり私は数学の立場から一つ伺ったのでありますが、この点と、それから先に私がお伺いした安定帯なんというものは需要供給関係によって値段が定まるものである。幾ら政府が何だかんだと言うても、品物がなければ、値段は公定されてきまっておりましても、その値段で売り出しはしないのである。こういう事実を率直に御承知なくして安定帯なんという、実に紙を損するだけですよ、こんな資料を出しても……。私はそういうふうに考えまするが、御答弁をお伺いしたい。
  78. 清井正

    政府委員清井正君) 私は先ほど皆様にお答え申し上げましたことを再び申し上げることになるのでありますが、これは御承知のような御批判を得たのでありますけれども、私どもといたしましては、やはり砂糖価格のベースというものは供給量によって相当違って来るということは第一段階にあるわけであります。しかしそのほかに、さらに今までの経験にもかんがみまして、スムースに平均的になるべく砂糖供給をする、輸入を行うということにより、また非常に平均的に保持するというようなことによって、できるだけ価格を安定さして行きたいということのために価格安定帯の使途があるわけであります。そこで総体の外貨の問題と、それからそれをなるべく別々に平均的に価格を落ちつくようにいろいろの操作をして行く。輸入時期の操作、あるいは業者に対する一応の指導監督の操作等によりまして、時期別になるべく価格が安定するようにしてやって参るというので安定帯を設けたわけであります。申すまでもなくここに差益徴収という表がありまして、一定のたとえば幅がありまして、相当の金額の差益を徴収するわけであります。その徴収する場合の価格の見方によって実際においては消費者価格が左右されるわけであります。そういうような操作全体を含みまして安定帯価格の中に消費者価格を押えたいと、こういうようなわけでありまして、いろいろな価格操作、数量操作、あるいは外貨の操作等、総合勘案いたしまして、この間に砂糖価格を安定せしめたい、まあこういうような考え方であるわけであります。それから算式についてはいろいろの御批判がありまして、ただいまも御批判をいただいたのでありまするが、私どもといたしましては、御承知の通りのような戦前の一つ購買力供給量価格との三つの相関関係から将来の価格を求め、こういうロガリズムの入った式によって算定いたしました一定の算式に基く価格を出して行きたい、こういう考え方に基いてこの計算式を出したわけでございます。
  79. 海野三朗

    海野三朗君 私は、それではこの式のことについてはこれは保留しておきます。全然なっていない。これは追及したって底が見えていますからもう追及しません。しかしこういうようなことでおきめになっているというと、あなた方のお仕事はいつも机上プランであると思う。実際問題といたしましては、これは均衡を得ていないと思います。これは私除いておきますが、さて砂糖輸入価格は幾らで、精製料が幾らで、砂糖会社の取るお金、国家に税金として取るお金、それは幾らになっておりましょうか、一件大体何ぼになっておりましょうか。
  80. 清井正

    政府委員清井正君) 輸入価格につきましては、これは別途資料として差し上げておるわけでありまするが、相当地域によって輸入価格に差がございまして、それぞれの輸入地域から輸入いたしましたものにつきまして精製をいたしまして所要の値段をきめるわけでありまするが、大体私どもCIFでトン当り、オープン・アカウント地域からは百十二ドル、ポンド地域からは九十六ドル、ドル地域からは九十二ドルということに考えておるのであります。これを輸入港の倉庫渡しの斤当りの価格にいたしますと、オープン・アカウント地域が三十円七十八銭、ポンド地域が二十六円七十五銭、ドル地域が二十五円八十二銭というような価格になっているわけであります。この輸入価格相当の精製費用等を加え、さらに業者の流通経費等を加えまして所要の価格になってくるわけでありますが、この大体の標準的な価格は、一応ただいまの推算といたしましては、大体標準価格を七十八円から八十円の間に押えて行きたいというふうに考えておるのでございますが、その間に上下に相当の幅の金額を設けまして安定帯を設ける、そこで安定帯の下限と標準価格の中間程度の価格で押えまして、その価格とただいまの輸入価格に所要経費を足しましたものとの差額が差益徴収という形になるわけであります。現在のところ私どもは、大体斤当り五円程度の差益徴収になるのではないかと、こういうふうに考える次第でございます。
  81. 海野三朗

    海野三朗君 それでは、ただいまのお話では三十円から二十五円、いろいろありますが、それを七十八円から八十円で売ろう、そういたしますと、精製料は何ぼかかっておりますか、精製料を含めたのが三十円でありますか。
  82. 清井正

    政府委員清井正君) こまかい計算をちょっと私どもいたしておりませんが、ただいま申し上げました三十円七十八銭、二十六円七十五銭、二十五円八十二銭と申しましたのは、輸入港の倉庫渡しの価格でございます。輸入港の倉庫渡しの価格に対しまして、精製業者が精製をいたすわけでございますが、精製いたしました費用を加え、さらにその卸等の流通経費を加えまして、最後の価格が出るわけでございます。そこで消費税が加わりまして、一定価格が出るわけでございます。その価格の最後の標準価格を七十八円か八十円にいたしまして、それからすぐに下ったところを差益徴収の基準価格にいたしたい、実はこういうふうに考えているわけでございます。
  83. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 先ほど申しましたように、厚生省の公衆衛生局食品衛生課長が見えましたが、栗山委員の方は、食品衛生課長では、聞いてみたところでしようがないから、こういうことで、この問題についてはのちほどまた商工委員会の方で、厚生大臣に出てもらって十分聞く、こういうことでございましたが、ほかに食品衛生課長への御質問はございませんか。
  84. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの問題ですが、一斤に対して四円から五円というのが政府に納める金になるのですか、そうしますと、差額が非常に多くなるのだ。
  85. 清井正

    政府委員清井正君) 先ほど申し上げました七十八円から八十円と申しますのは、消費税が入っている価格でございます。従いまして、価格を計算いたします場合には、かりに七十八円といたしますと、消費税が二十八円ですから、差し引き五十円と比較していただくわけでございますが、五十円と輸入港の倉庫渡し斤当り三十円、二十六円、二十五円というものの比較になるわけでございます。その差額の間に適当な精製費を含めまして、五円は政府の差益として徴収することになりはしないか、五円程度ということでございます。
  86. 小野義夫

    小野義夫君 この案の政府のねらいというのは大体わかるのですが、それに包含せられた問題としてわれわれが研究を要するのは、一種の国民耐乏生活と言いますか、砂糖をなめたいからといってもどこまでも輸入しない、ある種の制限をする。さればといってこれは非常に価格は暴騰するようなことがあってはいかぬから、それを押えて、その間やむを得ず生ずるととろの差益というようなものは、製糖会社にこれを従来の放任主義ではなく、政府に吸収しよう、こういうので、なかなか巧妙な私は考え方ではあると思うのですけれども、どういたしましても、その根本の消費規正というものがある程度、これは私はかつての統制経済そっくりにやれというのではありませんけれども、ある種のワクを作って消費の規正を行おうということが先決であって、そうしてこれに加うるに暴利をとってはいかぬというような問題がくっついてくればその目的を達するのじゃないか。今日の実際の消費から、実例を申しましても、ただいま海野委員からも御質問のありましたごとく、この農民の階級でほんとうに砂糖を、アルコールのかわりに砂糖をという階級の消費量というものは、そのうちの三分の一にも該当しない。三十五万とか、四十万、他の七、八十万トンというような数が職業用といえば職業用、加工業用といえば加工業用、そのことがどういうふうに、国民衛生及び一般の家庭に及ぼす影響はどうであるか。最近のお菓子における糖分の存在のあり方というものは非常に不自然に糖がふえております。従いまして、皆さんも御体験であるかもしれませんが、もち菓子など昔は一個二個というものを食べられたものが、今日では二分の一しか食べられない、甘くてしようがない。これはもう皆偽わらざる通念的な考え方だろうと思う。でありますから、私は規正の上でも、農民の需要量はほんとうに必要な、農民階級が生活向上なり、あるいは子供を育てる上に必要なものは潤沢にやるがいいけれども、職業用に使うところのものをかようにふんだんにやる必要はない。この面に大きな規制的手段を講ずるということが、むしろ安定価格をとって政府に吸収するというのは、現内閣としても、われわれのかっての吉田内閣においても減税一点に終始しておった。減税ということで、いわゆる大衆の負担を軽減しようと、これは社会党の諸君も常にそういうふうに働いておいでになることです。そういう一般国民負担を軽減するという意味から申しましても、これは非常に逆行的な作用をなす。でありますから、今のようにそういう規制を伴って、そうしてむしろ価格の面は、暴利取締りという言葉は悪い言葉ですから現代向きでないでしょうが、ある種の、たとえば製糖会社のごときは私は配当制限を加えていいと思う。現にわれわれの関係する業務から申しますると、実際に肥料会社の中でも、配当が一割五分くらいは常識であって、もう二割なんというものはあり得ない、それでもこれは硫安に関せざる限り過燐酸のごときは何の法規もないのでございます。しかしながら、農林大臣のいわゆる行政的手腕をわれわれは信頼して業者はこれに協力しておるというのが現実です。非常に苦しい経営である。しかるに一方において輸入という、外貨割当というようなものを公器として、そうして非常に法人が、法人というのは個人と違って、大いにこういう収益などについてはみずから反省自粛すべきである。その法人が非常な利益をとっておる。これらこそ一つの適法な処置による、あるいは行政的な勧告によって、その勧告に応じないような人には何らかの行政措置をとるということこそ、私は今日この法案の趣旨に全く沿うものであって、この今出しておるところの法案は、先ほどからのわれわれの同僚議員の審議においてすこぶる不完全かつ不徹底のものであるということが大よそわかったようにも思うのでありますから、私は今これをすぐここで答弁を求めるものではありませんけれども、その点に一つ御研究をわずらわして、もしわれわれの手で何か修正の、いい完全なものができれば、それも各党の間で考えてもいいのですが、このままでの通過というものはよほど困難ではないかということを心配いたしておるものであります。どういうふうにお考えか、もしあったら政務次官から一つ答弁をいただきたい。
  87. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) ただいま砂糖統制をもっと強化しろというような御意見のように拝聴いたしたのであります。ただいまのところ統制を強化することはいかがかと考えております。
  88. 小野義夫

    小野義夫君 これは先ほどいろいろ論議がありましたけれども、なかなかもう暑いし、それから幾ら御当局と論議しても時間の無駄のように皆さんお考えのようですから、本日はこの程度にして、もう一ぺん改めて一つ連合委員会でも催していただければ、それに越したことはないのですが。
  89. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  90. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。いろいろ御質疑もあるようでございますが、本日の農林水産商工委員会連合審査会は一応これで終了いたすことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。よって連合審査会はこれで終了することに決定いたしました。  それではこれで散会いたします。    午後四時二十六分散会