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衆議院議員(
高橋等君) 先ほど来
大臣に御
質問でありましたから、私はお答えすることを御遠慮申し上げておったのでありますが、ちょうど先ほどの
根本問題に入ったようですから一応お答えをいたしておきたいと思うのです。実は
援護法を作りまするときに、どういうような振り割りにして行こうかというので、いろいろとあのときは案を実は持ったのでありますが、その中で、
生活に困られておる方と
生活に困られない方とを振り分けて、
生活に困られておる方に
年金を出すようにしたらどうだろうか、
生活にお困りでない方は
一つ精神的な面で
国家財政の点からいってもお許しを願ったらどうだろうかというようなことも実は
意見の中には出たのであります。ところか当時の
遺族会の
人々は、この全国の
遺族の要望と申しまするのは、そういう貧しいから金を出してくれとか何とかというのではないので、国のためにわれわれは奉仕して、そうしてわれわれのむすこや夫は散華したのだ、だから
生活に困っておるからという点に重点を置かないで、国で
補償するという観点で、
恩給という
制度によって従来と同じような解決をしてもらいたいというこれは強い要望でございます。たとえば、これは余談になるかもしれませんが、当時の全国
遺族大会なんかへ行かれまして、この
社会保障というようなことを一口でも言いますと、先の演説をはばむぐらい、実はその点については要望がはっきりといたしておったわけなんです。そこでわれわれとしましても、
公務員としてなくなられ、しかもそれが公務としてなくなっておるのであるから、これは
恩給を従来やっておる
一般文官と同じような公務扶助料という
考え方、また過表においてやっておった
軍人の公務扶助料という立て方で行くのが正しいと
考え、たまたまこれらの問題が合致をいたしまして、今の
恩給制度かでき、そうして
恩給制度の
基礎となる仮定俸給というものを
恩給特例審議会によりまして、過去におきまする
給与をこれを引き直しまして、そうして仮定俸給をきめたそのものを
基礎にして、実はこのたびの、まだ
改正になってない二十八年の
恩給法というものの兵その他の者が、兵長以下の二万六千七百円というような
金額が出てきたわけでございます。この
金額が私はこのたびの
文官恩給との是正をここでいたしましたにしましても、御指摘のように、この
金額をもって十分であるとは私は決して
考えておらないのです。やはりこれは
戦争の
犠牲になられた
方々に報いるにははなはだ私は乏しい、わびしいものであるということを
考えております。しかし今
大臣が申されたように、一面においては
国家財政の点も
考えねばならぬし、また一面におきましては、この
犠牲者の中でも
生活にお困りにならない方と、そうして非常にお困りになる方というものが出て参りまして、また当時における貨幣価値と農村における問題とはまたおのずから違うのでございます。同じ五万円の
恩給を年額受けておられましても、農村における五万円というものと都会における五万円では非常に受ける方は違う。まあいろいろな
意味でここで
考えてみなければならぬことが起っておりますが、この
金額をそれならば引上げまして、困っておる方も困っておらない方も均霑して全部同じように出すということをやりますと、これは大へんな金になるだろう。ただ将来
考えねばなりませぬ点は、これは将来というか、今すぐでも
考えたいと思う、国の財政が許せば
考えたいと思いまする点は、たとえばこの前の
内閣と社会労働の連合の
委員会でもお答えをいたしておきましたが、これは私の
考え方としてお聞き取りを願いたいのですが、
戦争でたとえば一人むすこをなくしたり、あるいは三人むすこをなくして全然身寄りのない年寄りたちがだんだんこれから年をとって参ります。あるいは未亡人の問題もあるでしょう、こうした
方々に対しましては、私は何か
恩給の割増金というようなものでも
考えて、こうした
方々には少くとも将来の
生活の
保障を何らかの形でやらなければならぬということは
考えますが、今の下級者の
恩給の
金額は必しも満足すべきものではございませんけれ
ども、過去からのいろいろな事実を積み重ねて仮定俸給を作って行って、一応こうしたもので御満足を願っておきたい、こういうつもりでおるわけです。また衆議院におきましては、
議論の中でやはりあなたの所属されておりまする党の方から、この応召兵というものは、実は軍隊でもらっておった
金額よりも収入は実際は非常に多いのだ、だからその収入を
基礎にすべきじゃないかという御
議論も一応は承った、それに対しまして、私もいろいろの
立場で
考えられるけれ
ども、たとえば会社の重役をなさっておられたとすれば、その重役として持っておられた株は戦死をされてもされなくても家族に残るし、いろいろな点も
考えられるので、こうずっと公平にならして行ってみると、ここら辺で満足を願わなければならぬと、こう
考えるのだという御答弁を申し上げておるようなわけで、一応そう申し上げておきます。