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1955-07-21 第22回国会 参議院 内閣委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十一日(木曜日)午 前十時四十六分開会     ―――――――――――――    委員の異動 七月二十日委員小柳牧術者辞任につ き、その補欠として木島虎藏君を議長 において指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            長島 銀藏君            宮田 重文君            木下 源吾君            松原 一彦君    委員            木村篤太郎君            中川 以良君            中山 寿彦君            野本 品吉君            加瀬  完君            千葉  信君            松本治一郎君            田畑 金光君            松浦 清一君            木島 虎藏君            堀  眞琴君   衆議院議員            畠山 鶴吉君            高橋  等君   国務大臣    運 輸 大 臣 三木 武夫君   国 務 大 臣 大久保留次郎君   政府委員    総理府恩給局長 三橋 則雄君    行政管理庁次長 山中 徳二君    運輸大臣官房長 山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 ○運輸省設置法の一部を敗走する法律  案(衆議院提出) ○恩給法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案山下義信外三名  発議) ○恩給法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案衆議院提出)     ―――――――――――――
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから内閣委員会を開きます。  まず運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、衆議院議員畠山鶴吉君以下二名の提案にかかるものでございます。発議者から提案理由説明を聞きたいと存じます。
  3. 畠山鶴吉

    衆議院議員畠山鶴吉君) ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案につき、提案者を代表いたしまして提案理由を御説明申し上げます。  本法案は、国際観光事業重要性にかんがみ、観光行政を強力に遂行せしめる必要上、現在運輸省にあります観光部観光局昇格させるため、運輸省設置法に所要の改正を加えようとするものであります。  国際観光事業振興が、文化の交流、国際親善の増進に貢献するところが少くないことは、今さら申し上げるまでもないのでありますが、さらに外貨獲得という面におきまして、わが国経済自立達成上大きな役割を持っておるのであります。現に昭和二十九年の観光収入は三千九百万ドル、約百四十億円に上り、戦前最盛期たる昭和十一年の実績に比し、約二五%の増加となっております。しかも内閣観光事業審議会の想定によれば、もし今後十分な振興策を行うならば、三年後の昭和三十三年には約七千万ドル、約二百五十億円の収入を上げることは必ずしも困難ではないのであります。しかしながら、これがためには、対外的には関係各国と緊密な連繋を保ち、積極的に外客誘致策を講ずるの要があり、国内的には受入体制整備しなければならないのであります。  戦後欧洲各国においては、観光事業指導育成に当らしめるため、あるいは一省を創設し、あるいは一局を設置いたしまして、大きな成果を上げておるのであります。しかるにわが国におきましては、昭和五年鉄道省外局として国際観光局設置せられ、昭和十七年戦時体制に伴い同局は廃止せられたのでありますが、戦後、運輸省鉄道総局観光課を経て運輸大臣官房観光部設置せられ、現在に至っておるのであります。しかしながら、最近における国際観光事業振興要望にこたえるには十分ではないのみならず、部という組織国家行政組織法の規定により、当分の間置くことができるということになっておるのでありまして、重要国策を所掌する部であるにもかかわらず、行政改革のつど縮小の対象となる状態現在政府は、官設観光機関国際同盟及びその地域別委員会に加盟し、あるいは理事国として、あるいは有力なるメンバーとして、国際的に活躍いたしておるのでありまして、国際会談が相次いで開催せられるときに当り、わが国観光行政機関の基礎が不安定であるということは、国際的提携促進上良好なる結果を招来するとは考えられないのであります。  一方米国は、戦後海外経済援助の一方途として自国民海外旅行を奨励しており、欧洲各国はこれにより莫大な観光収入をあげて経済復興に寄与しているのでありまして、米国国会及び政府は、過般新設された商務省の観光局を通じて、わが国受け入れ態勢整備及び対米観光宣伝積極化を慫慂して参っているのであります。この情勢に対処するためにも、わが国観光行政機構強化ということは当然考慮されなければならないのであります。  観光行政機構強化については、内閣観光事業審議会もしばしば建議し、過日衆議院運輸委員会においてもこれに関し決議しているのでありますが、今や民間機関はいち早く再編成を断行いたしまして、国際観光事業振興をはかろうとしているのでありまして、政府機関が旧態のままじんぜんしていることは、策として当を得たものとは言い得ないのであります。  以上申し上げました趣旨により、さしあたり運輸省観光部観光局昇格せしめようとするのでありますが、国家財政状態も十分に考慮し、人員及び予算増加を来たさないことといたしております。何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 引き続き本案につきまして御質疑のある方は順次御発言を願います。政府側からは三木運輸大臣のほか、政府委員として運輸省山内官房長行政管理庁山中次長が見えております。
  5. 長島銀藏

    長島銀藏君 提案者お尋ねいたしますが、観光部を局とするのは人員及び予算増加前提ではないかと考えられるのでありますが、その点について御説明を願いたい。
  6. 畠山鶴吉

    衆議院議員畠山鶴吉君) ただいまお尋ねの点はごもっともなことと存じますが、この観光局設置することに当りましては、提案者といたしまして、国内財政経済の問題と国際観光事業の面とを対照いたしましたときに、これでは満足できないのでありますが、現在政府政策緊縮政策に置かれまして、これらの点を非常にやかましく言うておるような状態にありますので、提案所といたしましては、不満足ながら、とりあえずこの観光行政をもっと強化する第一歩として観光局昇格をお願いした次第でございますが、もとよりこれは予算の問題、あるいは人員の問題いろいろの点があげられるのでありますが、とりあえず、これらの点は一応表面に現わさず、この昇格によって現在のままもっと運営を強化する目的をもって提案いたした次第でございます。
  7. 長島銀藏

    長島銀藏君 それはついでにもう一、二点お伺いいたしますが、わが国における観光行政機構変遷につきましては、私ども内閣委員としてよく存じておりませんので、この点につきまして簡単に行政機構め変遷お尋ねいたしたいと思います。
  8. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 行政機構変遷の問題でありますので、私からお答えいたしておきます。  御承知通り戦前におきまするわが国観光行政といいますものは非常にはなやかな面がありましたわけでありまして、初めにできましたのは昭和五年四月、当時鉄道省でございましたが、鉄道省外局といたしまして国際観光局というものが初めて日本設置をされたわけでございます。その後その国際観光局が諸外国に対しまして、日本国情宣伝、あるいは観光を通しました貿易の面におきまして相当の業績を残したのでございますが、大東亜戦争が起りまして戦争が苛烈になるに従いまして、昭和十七年廃局になったわけでございます。戦後早急にこの観光による貿易改善の議が興りまして、当時すでに観光局宣伝の用に復活した方がいいじゃないかというような議論も起ったわけでありますが、とりあえず、まず戦後そういう一般状態がまた習熟しておりませんので、昭和三十一年の六月に運輸省鉄道総局の中に観光課というものができたわけでございます。それが二十一年の六月でございます。次ぎまして昭和二十四年の六月に、当時政府行政機構を全面的に改革されたわけでございます。その際にも観光局ということを運輸省といたましては考えたわけでございますが、課から局というのも一足飛びにはなかなか実現が困難でございまして、部に昇格いたしまして現在に至っておるというのが観光行政組織の大要でございます。
  9. 長島銀藏

    長島銀藏君 今度機構整備いたしまして、ますます観光事業というものにつきまして発展を望まれるわけでございますが、外客来訪状況及び観光収入の今後の見通しにつきまして、先ほど提案理由説明にもございましたが、もう少し詳しく伺っておきたいと思います。
  10. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) こまかい数字は別に持っておりますが、大体の大勢を御説明申し上げたいと思います。昨年度、昭和二十九年でございます。が、その来訪の客の数は全部で八万七千でございます。観光収入が約三十八百五十万ドル、こういう計算になっております。この数字戦前最高の記録を出しました昭和十一年に比べますと非常に多くなっているわけでございます。これは数字の上で大きくなっておりまして、物価の関係もドルで比べておりますので、その辺があると思いますが、そういう事情があるにいたしましても、昭和十一年の事績に比べまして、非常に大幅な増加を来たしているわけでございます。将来の見通しといたしましては、今後この観光行政に国が十分な振興策を講じますれば、現在の世界の観光情勢とにらみ合せまして、相当飛躍的に増加されるであろうということは十分期待できるわけでございまして、内閣観光事業審議会の御推定におきましては、三年後の昭和三十三年には、施策が適切であれば、約七千万ドルにあがるのではないか、これは邦貨にいたしますと約二百五十億円くらいのものになりますが、そのためには前提といたしまして、相当大きな努力をしなければならないということを言われております。また余談でございますが、従前の日本貿易におきましては、一応輸出入の赤は、船によります外貨収入とこの観光収入というものによりまして、大体穴を埋めていたという状態でございまして、今後運輸省といたしましても、この日本貿易を勘案いたしまして、この面の外貨収入について十分努力いたしたいと考えております。
  11. 長島銀藏

    長島銀藏君 ただいまの御説明収入の点はわかりましたが、観光行政強化推進という問題と、それから昇格後における各省観光行政との調整はどういうふうにやって行かれるお考えでありますか、その点をちょっと承わっておきたいと思います。
  12. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 観光行政につきまして、よく観光行政一元化ということが言われるのでございますが、われわれ行政官といたしまして、それでは観光行政というものは何かということを考えますと、理論的には一般各省に分属しているというふうには見えるわけでございますが、真の意味の観光行政というものは、現存観光部に集中しているわけでございまして、内容的に申し上げますと、まず一番必要なのは対外宣伝という面が観光におきまして大きな問題でございますのと、それから国内受け入れの問題がございます。これは国際観光に従属する問題でございますが、国内観光におきましては、ホテル、旅館というものの受け入れを中核といたしましたその受け入れ整備改善という問題がございます。そのほか旅行あっせん業でありますとか、あるいは通訳業、あるいは旅行に対します障害、これは何と言いますか、一般的な問題も含まれるわけでございますが、道路整備であるとか、一般交通の問題になるわけでありますが、そのほか旅行経費をどうして軽減するかということも、これは一つ旅行の何と言いますか、文化宣伝の面にかかる問題でございます。あるいは観光教育の普及と言いまして、小学生の集団的な旅行でございますとか、そういう面が大体におきまして観光行政の主たるものをなすわけでございまして、そのほかにそれではどういうものがあるかと申しますと、国立公園の問題、おるいは道路をいかに整備するかという問題、文化財の保護保存をどうするかということは、一応各所管の省に属しておるのでございます。これはいわば観光関係業務でございまして、観光行政一体でございませんが、これらのものは全部もちろん観光関係業務でございますから、観光業務に関連がありますが、この面まで一緒にしてやる必要はないのではなかろうか。それぞれの所管省におきまして、それぞれの分野を伸長していただき、各省間の連絡によってやるということは、観光行政たけでなくて、他の一般行政分野に当然起り得るのでございまして、国家行政というものも非常に有機的でございますので、線を引きまして、ここの分野、ここの分野と割り切れないのが相当あるのでございまして、これは単に観光行政分野だけの特別の現象ではないのでございまして、ほかの一般行政と同じように、各官庁が有機的に連絡するということによって十分われわれは目的を達し得ると、かように考えている次第でございます。
  13. 畠山鶴吉

    衆議院議員畠山鶴吉君) ただいま観光行政一元化についてお尋ねでありましたが、私はこれに付言して一言御了解をいただきたいと思うのであります。  この観光問題につきましては、今始まったことではございません。私は第五国会のときに、衆議院の中に観光特別委員会というものを設置いたしまして、観光行政をどうしても推進しなければいけないと考えまして設置いたしましたが、不幸にいたしましてこれが第七国会で消滅されまして、そうしてその後は観光小委員会等もできましたが、これまたどうもつぶされてしまいまして、ただいまの国会におきましてようやく観光小委員会設置いたしまして、また再びこの観光行政を取り上げて参ったのでございますが、今や日本はもう焼け残った四つの島で八千有余方国民がどうして食うかということ、今、国の経済問題につきましては、また予算問題につきましては、私が申し上げるまでもないことでございますので申し上げませんが、今の予算をどう拡げましても、どう取り合いましても、これは増減のある問題ではございません。私の申し上げたいことは、国内観光というものは一応捨てまして、国際観光という面をもう少し助長させまして、もっと協力にしていただきまして、そうして外貨獲得をはかる方法を講じていただきたいというのが今回の観光局昇格さしていただく第一歩でございます。これではもちろん十分でないのでございますが、先ほど申し上げましたような事情で、やむを得ないとは存じますが、どうしてもこの際国際お客様と、外国の人ともう少し親密な方法をとりまして、日本外客をたくさん誘致いたしまして、そうして日本の風光、またいろいろの特有の資源によって外国の人に親しまれるような政策をとる、もう日本にはこれ以外に私は資源がないと思うのでありますが、幸い私ども関係しております地方、富士山を中心といたしました箱根、あるいは伊豆方面をいたしまして、もっと健全な観光地としてこの目的を達成したいのでございますが、御承知のような状態で、まあこれらも行き悩んでいるような状態でありますが、よく外国お客様熱海方面に参りまして、なぜ日本はもう少し外国のわれわれを呼ぶようにしてくれないのだ、もう少し旅館を安くしてくれないのだ、もう少し交通を親切に扱ってくれないのだと申しておりますが、まあ私に言わせるなら、もし政府が、国家がこの宿泊等につきまして、何かクーポン券みたいなものを発行して外客には安くしてやる、また交通問題にしても、国鉄がもう少しサービスをよくして、取り扱いをもう少し親切にする、現在は外国から来ますお客様から周旋料はあべこべに取っている、手数料外国お客様から取っている、これは取るどころじゃない、手数料を負担してやって外国お客様を誘致するならば、これは原料はいらないお客様ですから、落ちた金がそっくり国内収入になるのでございますから、どうかかような点をお含み願いまして、どうぞこの局に昇格の点を特に御留意をお願い申し上げる次第でございます。
  14. 長島銀藏

    長島銀藏君 もう一点、これは私の私見に属することでございますが、これは運輸大臣にお伺いしたいと思います。私は昨年ヨーロッパを一回りぐるっと回ったのでありますが、そのときに日本観光外客誘致という方面のポスターなり、何なりはどこでも見ないのですが、最後にヘルシンキ港の角に家がございました。そこに富士山の絵が一つだけあったのです。それで、どこの駅を見ましても、まあロンドンであろうが、ベルリンであろうが、どこの駅を見ましても、諸外国のポスターというものは各国ともきそって出ておる、日本のはどこにもない。ただいま申し上げた通りヘルシンキの港の、それも待合室でも何でもない、一軒のオフィスの窓口にそれがあった程度です。これではどうも外人に日本認識してもらうということは非常にほど遠い話のように考えるのでございますが、大臣はこういう点につきまして、この方面一つどんなふうなお考えをお持ちでございますか。一つ……。
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 観光事業というものが貿易のように目に見えないのですね。そこにやはり日本のような、あれもしなければならぬ、これもしなければならぬという仕事が多い国では、どうしても行政の面においてこれがうとんぜられておる、それで海外宣伝についても、まあ費用ども、これは外貨収入からいえばもう少し観光事業に対する費用は出してよろしいのですが、なかなかやはり予算折衝などをしておりますと、何か観光事業というと、貿易などに比べると、貿易なのですけれども、しかし現実に目に見えないものですから、なかなかうまくいかない。ことしも予算折衝に相当私は努力をしましたけれども、昨年並みに落ちつけることがようやくでございました。しかしお説のように、この海外宣伝というものが非常に弱体です。そこにことしはいろいろな観光の、国際観光に関する団体が分れておりましたの今度一本にしまして、国際観光協会というもの一本にしまして、そうして、まあ機構強化もなりましたので、その政府の補助の点については遺憾の点がございますが、これは将来解決しなければならぬが、機構強化して、長島さんが以前にごらんになったときよりかも多少海外宣伝改善ができるのではないかと期待をいたしておる次第でございます。
  16. 木下源吾

    木下源吾君 今の観光のことについていろいろ御説明を伺ったが、思うに日本といえば富士山です。ところがこの富士山がこの頃大砲たまでむちゃくちゃにやられておるのです。この間も北富士に私は行ってみました。それからこの間またこっちで、東富士の御殿場の方の人たちに、参議院の内閣委員会参考人として来てもらっていろいろ聞いたのだが、ここも写真などをみんなに見せられた。天然なこういう木がほとんどたまで折れておる。大体普通の国民、そういうものがあそこに行って何か一本でも高山植物でもとって来たらえらい目に会うのだ。ところが大砲たまでこういう木がどんどん倒れた写真がある。いずれにいたしましても、一方で一生懸命骨折ってやろうとする、一方ではそんなことが行われておる。こういう矛盾は一体どういうわけなんですか。そこに先ほど来の一元化とか、何とかいう話が強く浮き上るのではないか、こう思うのです。一体観光を一生懸命今やろうとする運輸省、私はまことにけっこうだと思うのですが、なぜ一体富士山を、日本観光のほんとうの象徴でしょうが、ああいうことをさしておくのを黙って見ておられるのか、何か運輸省でこれに対する方策を講じたことはありますか、それを一つ大臣にお伺いしたい。
  17. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) なかなかむずかしい御質問でございますが、これは日米行政協定に基くものでございまして、それはできる限り観光の地帯というものが、そういうふうな、何と申しますか、演習場などにならないことが好ましいという原則はわれわれとして考えるのでございますが、やはりここにはいろいろ日米行政協定上の制約がございまして、どうも運輸省観光局一つ考え方の視野を越えるような問題になってくる場合があるわけでおります。しかしお説のことはごもっともであります。まあ今後そういうことにわれわれの発言をする場合があれば、そういう観光事業観光行政をやっております私ども立場としては意見は申し述べたいと思いますが、それは観光事業という見地ばかりでなく、いろいろやはり国の防衛というものを日米行政協定によってやっておる以上は、これはそういう点の現在の日本状態ということも無視できないものがあるということは御了承を賜わりたいのでございます。
  18. 木下源吾

    木下源吾君 まあ三木大臣のそう言われることは、立場上そうであろうと思うのだが、大体あなたは今の日米協定日米安全保障条約、これにはあなたは賛成しているのですが、当然こういうことになるということは当時お考えにならなかったと思うのです。こういうことになるのならば、なかなかそれは容易にあの場合賛成できないと私は思うのだが、賛成してしまったから、まあやむを得ないとしても、やはり努力をして、これを積極的に努力をせられて、私はああいうことをやめてもらうことにしたらどうかと思う。この点を一つどうですか、改めてもう一ぺんお伺いしたい。
  19. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 原則論としてはお話通りだと思いますが、しかしいろいろ観光という見地のみで一切のものを貫くことはなかなか困難でございます。国の防衛というものが日米行政協定によっている以上は、そのウエートというものがかなり重いウエートになるわけでございますから、従って原則論としてそういうことはできるだけ避けてもらうような努力、熱意を持つべきだというお話に対しては私もその通りだと思いますけれども、具体的な地域を指して、これをどうということになって参りますと、全般の問題とも睨み合せて考えなければなりませんので、ここでさようにいたしますというお約束はいたしかねるのでございます。
  20. 木下源吾

    木下源吾君 私はだから富士山をとっておるのです。日本の頭脳というか、心臓というか、観光に対して……。そればかりではない。国民のあれは免徴ですから、日本人の……。で、あなたが言われる点は普遍的な場合はそれでもいいと思うのですけれども富士山だから特に今私は申し上げるのです。これはぜひお考えを願って、いま一ぺんあなたが行ってごらんになって何してもらいたい。というのは、観光に行く人をとめているのですよ。この間私の参りましたときにもどんどん射撃しておるから道路を通行させないのです。われわれ国会議員もとめられてしまうのです。で、まあ交渉してようよう行って実情を見ましたけれども、これでは観光は、まあ文字通り見るのですが、見ることも何もできない。それでまあ国内の人は何とかかんとか言うて、七月一日から大砲を撃たないようにしてもらうというようなことで、今ぼつぼつやっておるようなわけで、これは大体観光を阻害することは明瞭ですね。これはあらゆる点から、精神的に見ても経済的に見ても実際面から言っても、あれは演習場としてやるということになれば私はやめてもらわなければいけないのじゃないか。これは今あなたの言ったのは一般的なお話しです。富士山ということに対してだけは、これは内閣こぞって、何も行政協定をあなた方おやりになったからといって、実際やってみて、こういうことになっておるということを感じたなら、この点を訂正するということをするのが、できるだけの努力をせられることは何の不思議ないと思う。これは半ば要望でありますが、三木さんはだな、内閣においても非常ウエートの重い国務大臣であるから、特にこの機会に伺っておきます。そこで今提案者畠山さんのお話しでは、富士山を中心として伊豆半島とか、私は日本は全部元来観光地でやってよろしいと思う。九州から、あるいは紀伊半島から、あるいは伊豆半島から、あるいは北の方へいきましても陸前から、あるいは北海道から、これは世界で得がたい自然の観光地だ。これにわずかに人工を加えるならば、私は世界のうちでも日本は優秀な観光地であるということは、私は自負してよろしいと思うのです。そこで提案者が一例に、伊豆半島をとられたり、富士山をとられたから、今お尋ねしておるのですが、一体下田から三浦に通る道路、これはペルリが参りましたろう、そうしてあそこを通ったのでしょう。私はたまたま湯河島に関係がありますが、あの道路、今自動車とバスがすれ違って通ることがほとんど困難ですね。こちらから行く、向うから来れば、オーライ、オーライばかり言っておって、さっぱり進まない。あれはオーライ道路と私は言っている。オーライ、オーライばかり言っている。一体ああいうような由緒ある道路じゃありませんか。しかもこちらの東海山岸は鉄道がまだ貫通しておりませんし、西海岸もあの通りでありますし、そうしてペルリがやって来て、あそこを通った唯一の道路である。それで新聞を見ますと、何かスカイ・ラインの道路を作るとか言っているが、これは何されるかわからない。何百年前からの通路のままですよ。一体ああいうことをしておって、観光観光と言って矛盾がございませんか、畠山さん、あなたにお尋ねする。
  21. 畠山鶴吉

    衆議院議員畠山鶴吉君) ただいま木下先輩から伊豆地方の問題を出したために、手きびしい御質問を受けましたが、あの道路は、私はお説の通り、年中通るたびに頭が痛くなる。とにかく道路よりみば車の方が大きいのです。まあ申し上げるまでもない大きな問題でありまして、私はあの地方のことを申し上げたくないが、そんな意味もありましたので一言申し上げて失礼をいたしましたが、言うまでもなく日本国全体にかようなところがありますので、ただ伊豆だけの問題を取り上げるわけにいきませんが、一応対象といたしまして、観光局昇格さしていただきますならば、日本全体を取り上げて、まずこの観光事業は、現在の段階におきましては道路整備いたしまして、風光明媚を活用するということが一番大きな問題だと考えておりますので、ぜひとも私どもは絶対御趣旨に賛成でございますから、御協力を特に切望申し上げます。
  22. 木下源吾

    木下源吾君 これは大臣お忙しいでしょうが、きょうは少しがまんして話を伺いましょう。先ほどから私がお尋ねしておることは、中心がやはり戦争か平和かですよ。実際問題としてはね。そこで、しかし戦争である場合には文化を進める面もあったかもしらぬ。今の修禅寺からあの向うの方へは、どうしてもあれはやはり電車を延ばすべきところなんです。戦時中もう少しで延ばすという案になっておったらしい。それが平和になったからまあやめた、これはよろしい。これはいろいろな事情で……。しかし今観光ということがこうクローズ・アップしてき、かりに一カ年に百五十億、二百億も金をあげるということになれば、やはり基本方針ということを立てて、平和でもやはり鉄道は直るぞ、道路は作るぞ、これをやってもらわなければいかぬ。今までは富士山の問題は国防だと言われた。それも一つの理屈でありますけれども、これはやはり平和のときには、こういうときにはどちらが先かの問題ですよ。そこに初めて演習をやめてもらいたいという私は理論的根拠が生れてくると思う。こういう点について何か御検討なさっているかどうか、これを伺ってみたいと思う。
  23. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どうも今日の世界情勢は平和というものが……当分世界の大戦争というものを私は考えていない。やはりある程度のこれは永久というわけにも行きますまいけれども、当分世界の平和が確立されて行くだろうと思う。四巨頭会談等においても、やはり平和の前進であるというように世界情勢を判断しておるわけです。そういう世界環境の中で今日の政治を考えてみなければならぬということは、木下さんのお説の通り同感でございます。そういう点で今後観光、いわゆる平和に通ずるもの、観光というものは平和に通ずる仕事でございますから、道路整備、あるいは電車、あるいは汽車等のそういう問題の今後の計画をいたしまするについて、やはり平和というものを前提にして力を入れて行きたいと思うのでございます。ことに御指摘の伊豆半島附近は、これはまあ適格地であります。日本観光の適格地が多いわけでございますけれども、しかし特に伊豆半島付近は観光地として優秀な地域であることは間違いがないのです。こういう点の道路整備したり、交通整備して行くということは、これはぜひ早急に取り上げてやりたいと、こう考えておるのでございます。
  24. 木下源吾

    木下源吾君 そこまで行きましたから、具体的にそこをちょっと伸ばしますがね、あの駿豆鉄道というものは堤前衆議院議長のですね、そして国鉄が一部間借りをしているんだね。そういうことになっておるように私は思っておるんです。これはもう少し国鉄として研究をして、鉄道の方ではっきりしたことをやらにゃならない。それと同時に、伸ばすにしてもこれはやはり駿豆とか、そういうものに依存するのか、国鉄がやはり伸ばしたいと思ってもできないのか、こういう点についてお聞きしておきたいと思う。
  25. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 現在伊豆地方にござましては、御指摘の通り土曜、日曜に東京駅から駿豆鉄道を通りまして直通の電車を通しております。これは間借りをしているというような御所見もあるいは当っているかもしれませんが、実は国鉄の車が駿豆の線を借りまして入っておるわけでございます。何と言いますか、これは直通運転の契約をしてやっておるわけでございます。(「不見識だね」と呼ぶ者あり)これは単に駿豆だけではないのでございまして、たとえば今御指摘になりました富士山麓鉄道とも、そういう契約によりましてやっておりますことは、やはり観光地に行きます場合に乗りかえて行くというよりも、直通で行くという魅力が非常に大きいために、特別のそういう観光電車、あるいは列車につきましては、各方面でそういう形体をとっておるわけであります。これは国鉄がそういう観光客の利用を考えましてやっておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  26. 木下源吾

    木下源吾君 これはやはり重大な問題を含んでおると思うのですよ。私は北海道ですがね、鉄道を敷く場合に、従来はやはり鉄道を敷設すれば、そこから資源が出て、そうして国鉄も収益が上る。効率が上る。こういうことも多分に含んで北海道開拓をやった。ところが昨今になったら、この線は今赤字だとか、何とか言って、これはまあ財政の都合によってやむを得ない、そういうことに理由づけていると思うのだが、この方針が終戦後しばらくの間は占領軍の方の方針として、とにかく新線より改良して行かにゃならぬというようなことで大分押えられておった時代がある。この時期においては日本の方針というものも行われない。これはやむを得ないけれども、少くも今日になってみれば自主的に行かにゃならぬ、国鉄は……。その場合において国鉄はみずからこの収入を上げるように開拓して、同時に国民の利便というものを念頭において、そうして敷設をするとか、そういう方面に行かにゃならぬじゃないか、今のお話は旅客の便利、旅客の便利よりもはなはだ不便なやつをいやいやながら、国鉄があとからついてそういうことをやっておるようじゃないですかね。進んで観光地にするというなら、一つ目的があるんですから、これをやるならばどのくらいの収入が上る、バランスはどうだということの先を見越し、調査は何もお客がなかろうが、何も荷物がなかろうが、そのくらいの方針を立てなきゃいかぬのじゃないか。こういうふうに私は思うのですが、今もやはり従来のような現実のつまり効率、そういうものばかりで国鉄はいろいろ経営をやっておるかどうか、こういうことを一つお伺いしたいのです。運輸相の意見を聞きたい。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、国鉄の財政が相当に苦しくなって参りまして、これはまあいろいろ国鉄自身にも、私は今できる限り国鉄がああいう大きな世帯でありますから、これは私企業的な感覚で考えて行けば、経営の合理化の余地というものは相当あるのじゃないか、こういうことで徹底した合理化を要請をしておるわけであります。ところが二面において運賃の問題等も、これは皆国会でおきめを願うわけでございますから、どうしても政府自体としても運賃というものは抑制して行きたいというのが歴代政府の方針になっているようでございます。諸物価の騰貴率に比べますと、鉄道運賃というものが一番低位にあるということは事実なのであります。そこで鉄道自体が自己資本というものを持っていない。減価償却も思うようにできません。それができれば、改良あるいは新線建設等にも資本的な余裕ができれば、自己資本でやることが建前ですけれども、それは改良費にも事欠くということで、新線までには自己資本でやるなどということはとても考えられない。それでこの予算の中で、新線建設というものを今年も三十億の新線建設費用をいただいたわけでございますが、今までやりかけておる線が二十三線ある。北海道にも線ばかりあるのでございます。この二十三線というものを経済スピードでやることも困難なくらい資金がないのであります。ことに今御指摘の北海道のごときは、まず私は鉄道建設というものが北海道開発の前提になるのじゃないか、従って大久保大臣にも、いろいろ北海道開発庁などのお仕事の中で、やはり少し鉄道建設などに北海道の開発の費用というものが回せないものかというようなお話もしたのでありますが、とにかくこういう状態ではなかなか、もうすでにやりかけている線が経済スピードでやれないという状態でありますので、鉄道建設については何らかの新しい構想で考えないと、ここに観光地として非常に鉄道を敷設することが必要だといっても、今持っている新線建設に決定されているその線の工事を維持することをもてあましている状態なんでありまして、そこで新しい手を出すということもできないのでありますので、新線建設については、少くとも明年度は新しい一つの構想を考えてみたい。今のままではなかなか、ここがほしいからといったって容易なことでないということで、いろいろ検討を加えている次第でございます。
  28. 木下源吾

    木下源吾君 いろいろ御心配になっているようでありますが、とにかく今の駿豆であろうが、山麓であろうが、必要なんですね、旅客を運ぶということは……、ところが民間にくっついているのだな、民間がやったそのあとを仕方がないから間借りしてでもついていく、こういうようになっているてそういう態度を私は改めて、進んで鉄道を敷設して行ったらどうか、なぜなれば、そういう財政資金と言いますか、そういうような資金を民間にどんどん流して、鉄通の敷設なら敷設に一つの、どんどんというか、ワクを作っておやりになっているのならいいのですけれども、今の融資というものは、そういう方面に行っておらぬと思うのです。一方において民間にそういった融資、そういうものの道を開いておらぬし、他面において鉄道は民間のけつを持って歩いて、そうしてやっているというようなことでは、私はいつまでたったって鉄道は、観光までも含めて完成していくものじゃない、こう考えるのです。これはあなたの新進気鋭な何でここは一つやってもらわぬと、金がないから、金がないからと言って、ほかの方には十分な金がある、これは相対的ですよ。鉄道だけをそんなことをして不便を感じて、そうして一方においては観光で金を上げて行こう、これは無理です。実際無理ですよ。この点を一つ……。  そこで私はお尋ねしたいのですが、新線ばかりではありません。昨今輸送関係旅行者が非常な不安を持っている。昨年の洞爺丸、今年の紫雲丸、その他鉄道の事故、あるは自動車の事故、非常に不安なんです。こういう不安を一つ一つ取り除くために、こういう一体特別な注意を払っておるか、特別な方策、何をやっているかということを私は一つお尋ねしたいのです。一つ取り上げていくならば気象の問題ですよ、この気象の問題なども、この間もこの委員会に官房長にも来てもらっていろいろ言うた。結論として、あんなことではだめだ、もう少し気象に対しては注意を払わなければいかぬ。注意というか、関心を持って、そうして技術を縦横に、今日の科学を駆使するような、そういう機構を持たなければならぬと思うのです。夕べも十一号がこっちからくるのだ、私は聞いておって、もう上陸するような気持でおった。乾パンを何万とか、食糧を何万とか言うて放送しているから、もうあの通りだったら、きょうあたり東京は半分くらい海になっておる、こういうような予報ですね。けさ目がさめて、よその方へ逃げて行った、こう言うからやれやれと言って安心しておりますが、これほど今日の国民は気象に対して非常な関心を持っておるわけです。この気象に対して、御承知通り定点観測もそのままでしょう。それから今の高い所の観測ですか、これも今にもうなくなってしまうのでしょう。そういう状況があるのじゃないですか。それでこれについては政府としては予算なんというものは微々たるものです。アメリカの何にたよってみたり、そうしてたまに出かけて行けば命がけで大洋に出て観測しなければならぬ、そういう新聞を見る。いずれにしてもたよりないですな。こういうような交通に対する不安を国民がことごとく持っておる。これに対して、運輸省所管ですよ。運輸省はどういうような一体対策を立てておるのか。あるいは従来のしきたりで、金がないから、今のように金がないからと言って、もうしようがないとあきらめてやっておるのか、こういう点も一つこの機会に聞かせていただきたい。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり交通機関のサービスの第一は人命の尊重である。ところが相次いでいろいろ大きな事故が起りまして、事故が起きた後の連絡船などについては相当な改善を加えまして、気象の連絡、あるいはまた機構の上においても船舶部というものを独立させまして強化させ、機構的にも強化いたしまして、また船員あるいは乗客の方々にもそのときどきの天候の変化に応じて一つの非常態勢をとるような措置もとることにいたしまして、まあ気象の点につきましては、お説の通り非常に気象の変化の激しい日本でありますから、これは一段と力を入れなければならぬのでありますが、まあ御指摘の定点観測につきましては十八億ほどの資金が要るわけであります。そういう点で財政上の都合で今年は見送ったのでありますが、部分的にはいろいろ強化をいたしまして、それが見送りになったことを補うような強化はいたしたのでございますが、しかしまだまだ、これは不十分であります。どうしてもこういうふうな、目に見えないけれども、はかり知れない利益を国民に与えるような気象業務をますます充実して行かなければならぬと思います。とにかくまあ交通機関を預かる者としては、これは事故が起ればすぐ人命に影響するわけでありますから、いろいろ鉄道につきましても改良を加えたいようなところもございますけれども、いろいろ財政上の制約を受けておるが、その制約を受けた条件のもとで、この交通輸送の万全の措置をとるだけの準備はいたしておるのでございまして、いま直ちに日本の輸送関係が非常な危機になるというふうには、危機であるというふうには考えておりませんが、しかしこれはいろいろな、どの点だけということにはいかない、総合的にいろいろ考えなければなりませんので、財政の許す範囲内で万全を期して参りたいと、こう考えております。
  30. 木下源吾

    木下源吾君 財政問題が一番ですよ。そんなことを言っておったってだめですよ。運賃が安いと言いますけれども、御承知通り、今日国鉄の経営で一番困っておるのは定期でしょう。定期が大部分を占めておるのです。これは安い、これは安ければ定期を値上げしなければならぬ、収入を多く上げる。しかしこれは一般的に国民全体の利益という見解から行けば、それは手をつけられぬから、そうすると、このような公共性を持ったものは少くも一般会計からこれは出すべきではないか。現在一方においては運賃は公共のために安くしておきながら、一方においてもう今では限界に来ておるのですよ。不完全なもので人命を脅威にさらしておる。こういう点を改善するというのでなければ財源問題は解決しないと思う。あなたがお調べになればわかることです。国鉄な監督しておられるのだから……。日本の運賃は安い。安い中で何が一体このように赤字になっておるか、それは当然定期ですよ。これはもう私が指摘するまでもありますまい、高いものもありますよ。別に津軽海峡のあすこの船の中の運賃は四倍も取っておる、何も安くはありませんぞ。そういうようなものを整理をして、そうして定期などを利用する者は一般大衆である、大衆が利益するためにはこれは一般会計から国は金を出す、これは当りまえだ。そういうようなところに大臣の力をもってメスを入れて、そうして一般の利用者に対しては従来と変らない、しかも改善はできて行くというふうにしてもらわなければならぬ。ここでも財源がないとあなたが言うならば、財源に対してはもっともっと私は検討する余地がたくさんあると思うのです。努力をしておられないのじゃないか、大臣は……。どうだね。私はあなたに期待しておったのですがね。(答声)ほんとうですよ。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) なかなか鉄道というものが、公共企業体という企業の形態になりまして独立採算制というものが一方において要求される。昔のような、もう鉄道省のようなことでおれば、今お話しのように、国の予算の中から赤字が出てくればそれを補てんする形式は、これは当然考えられたのでありますが、今は一つの企業体として、独立の企業体として採算を自分でできるだけとるようにという建前で、その赤を政府がこれを補助するという建前になっていないものでありますから、借入金のような形式で出しておる、だから実にやりにくい。一方において、今、木下さんも御指摘のように、定期は上げてはいかぬとおっしゃるわけです。これは公共性があるから上げてはいかぬとおっしゃるわけです。一方において、独立採算でやれということが公共企業体の大きな原則になっておる。一方においては運賃は公共性の見地から上げるな。この二つの要請の前に全く公共企業体というものは今非常な苦境にあるわけであります。そこで私は今運輸省に、この暑い中を毎週寄りまして、経営調査会というものを設けまして、そうして公共企業体というものについても検討を加えておるのであります。根本的にこの機会に鉄道の経営というものに一つ検討を加えて、すみやかに鉄道の経常をどうして行くかということについて、新しい一つ考え方のもとに軌道に乗せなければこれは行き詰ってくると、こういう状態で……。
  32. 木下源吾

    木下源吾君 もう行き詰まっておる。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろ御判断では行き詰まっておるとおっしゃることもそれはよくわかります。こういうことで改革を加えて行きたいということで連日検討を加えて、これもだらだらやるというのでなしに、六カ月という閣議の了承によりまして調査会を設けて、非常に熱心に委員の方に御調査を願っております。運輸当局としてもそれと並行して検討を加えており、何らかの鉄道の経営についても一つの軌道に乗せて行く努力は必ずいたしたいと考えております。
  34. 木下源吾

    木下源吾君 おそらく、あなた国鉄総裁ならそれでいい、運輸大臣なんだから、というのはですね、国鉄の場合は独立採算と言っておっても、一方においては予算上、資金上できぬときには大蔵大臣がそこのところを押える権利を特っておる、政府が……。こうして見れば、これは完全な独立採算制の企業体ではない、そうでございましょう。そこにあなたの役割があると思うのだな、重大な政治的な役割があるのです。よくみんなおっしゃる、占領当時におけるところの行き過ぎを是正するとか、わが国の国情に合わないとか、こんなものこそ国情に合わぬ、アメリカは日本に対して鉄道が発達したり、産業が盛んになったりすることを抑制するためのアメリカの方針でやったでしょう、これこそまっ先に直さなければいかぬですよ、そうして日本の場合は、公共的な一切のものはやっぱり政府はこれに対して補助金を出すとか、何とかほかのものをやっておるのですから、国鉄に対して政府から出す理屈がちゃんと立ちておる問題なんだ、そうでなかったならば上げるぞと、こう言うよりほかないのです。これくらいのことを解決してもらわなければ非常に不安である、で、私は今昨年来あたりから起きておる顕著な事例で非常に国民が恐怖しておる、心配しておると言っておるのは人命に関する問題でありますが、そうではなく、気象のごときはさらにこれは産業上の気象というようなことは、私は決して平生でも等閑に付しておくべき問題ではない、日本のようなこういう集約的に生産を上げなければならぬ。農民の場合でも、あるいは漁民の場合でも人間の力によって手によって気象を、気候までも改革して変化させるという段階にきておると思うのです。そうしなかったならば生産は増強しませんよ。そういうことが一にかかって私は気象の肩にかかっておる重大な使命だと思っておる、人命の問題などもっと積極的に、産業のためにも私は気象をこんなに等閑視しておいてはいかぬ、この間あたり中国から何か二、三回放送しておる、私はこれは進んで、この前も言ったのですが、もっと進んで、向うからこの面だけでも話し合う、国交調整ができておらぬでもこの面だけ話し合って、正確なものをお互いに取り合ってやるということにしたらどうかと、こういうように、私は日本の場合みんなが目先で金がもうからぬければ、いろいろなことをみなさんおっしゃっておりますが、それをもう一つ突き進めて行けば、目先の問題だけでなく、国会体の利益のために私は必要な問題だと、こう考えておる、だから気象なんというものは、今ここで観光部を局にせられるとの御発案だ、私は気象だってこの間外局にしたらどうか、ああいうような古ぼけた連中ばかり押し込めていてもしようがない、もう少し潤達に生きるような行政をやって行かれ、そうして技術も伸びるようにしたらどうか、それで私はそこでお伺いしておる、これに対しては考慮するということで、何か官房長のお話を承わったが、ただおざなりに私は聞いて質問しておるように、答弁を伺っておるようにお考えになったら私は非常に困る、気象問題などについては日本は絶対ですよ、ですからこれも外局なら外局にして、内容ももっと何しなければならぬ、こういうことをあなたに申し上げることは非常に釈迦に説法だと思うけれども、私は昨日も浦和地方裁判所に参りましたよ、裁判官訴追委員会で……。そうして裁判官を裁判してきたようなわけですが、家庭裁判所というものは裁判長が一人おって、経理一人、雇いの事務官と四人しかおらぬのですね、その結果はどうかというと、一千件余りあって、いろいろな略式命令などというものは処理できないで三百何十件というものはやみからやみに箱の中に入れて、それで失効してしまった。そのために判事を追及するわけなんですが、だんだん調べてみると、やっぱりここにも必要な人手が足りない。余るところにはごしゃごしゃ余っておるし、ないところにはそういうものですよ、それは罪になった者が三百何十件無罪になるのだからいいでしょう。やれないで時効にかかったから……。けれどもそのためにできておる機構ならば、私はこれは責任を追及さるべきだと思う。あの気象などの場合でも、この前の行政整理のときに、船には船長がおり、機関長がおり、水夫が要ることはわかっておる。一律にやったら船長もいなくなってしまうでしょう、一律に言えば……。そういうような机上で無謀なことばかりやらぬで、もっと生きた、ほんとうに人命やら、日本の産業のためにも外貨獲得するというならば、この場合でも私は局をただ名目だけ引き上げて交際費を余計かけたり、そうして権威をつける問題ではなく、内容においてもう少し実はやってもらわなきゃいかぬ。こう考えるわけなんです。それで御質問しておる。観光が必要である、そうして観光が唯一の日本の今の収入であることもわかる。それで観光即教育ですね、そうしてこれは同時に交通と関連するし、あるいは教育面の全体とも関係するし、あるいは保健上の問題とも関係するし、一切の面に総合的におやりになるという、この計画に対しては私は賛意を表するが、ただここへ持ってきて機構だとか、設置法をいじくるときに表面だけ、形式だけではわれわれは賛成できない。一つでもいいから、内容においてこういうことをやった、やるのだということを明らかにしてもらいたい、こういうように思うわけです。くどいように御質問しておりますが、何らかのわれわれの声も、われわれの代表する声も一つ聞いてもらって、最後に私はもう一つお伺いしたいのですが、今公社の共済組合の問題が出ておりますから、  これに対して大臣の所感を一つ承わっておきます。
  35. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 公社の職員が恩給の適用を受けておる人と、そうでない人とがあって、これがいろいろな点でアンバランスになっている、これを一律にしたいという考え方はあるわけでございます。しかしこの影響は一般国家公務員にも影響するわけでございまして、まあ公共企業体は国家公務員とは別だという建前にはなっておりますけれども、これは性質上よく似ておるわけでございますので、全般の恩給、公務員の恩給制度ともにらみ合さなければなりませんので、これは議員提出の法案としてお出しになっておるようでございますので、まあ政府としては全般の問題とにらみ合わせて問題の検討をいたしておる途中でございます。今従って政府の見解として、この議員提出の法案に対して賛否を申し上げる段階になっていないのでございます。
  36. 木島虎藏

    木島虎藏君 提案者畠山さんにお尋ねしたいのですが、今度のこの案を提案なされたときに、先ほど提案理由を聞いておりますと、日本の自然的な観光資源を大いに紹介するというお話があったようですが、諸外国で見ますと、いろんな観光設備をしまして、たとえば観楽境と申しますか、あるいは娯楽境と申しますか、そういうものを特に設置して外客を誘致するような、ポルトガルのリスボンの郊外でもやっておりますし、それからその他イタリアとか、方々でやっておりますが、そういうことまでお考えになって提案されたのですか、どうですか、その点一つ……。
  37. 畠山鶴吉

    衆議院議員畠山鶴吉君) 今のお尋ねにつきまして、私として考えないことはございませんが、先ほど来申し上げております通り日本観光政策というものがあまり貧弱なために、これを何とか一歩推進したいためにこの局の問題が出たのですが、ただいま木下さんからも御質疑がございました通り、態勢が整っていないのじゃないか、ごもっともであります。今お尋ねのようなこの施設についてのお尋ねがございましたが、まず外国の例を私どもが見てみますと、あまりにも日本外国との相違があるということと、それからその国々によって特長を生かした観光施設をしておりますので、一がいにこれを破り上げることはでてきませんが、まず終戦後の十年の形を見たときに、まず言葉でこれを答弁さしていただくなら、忍ぶところを忍んできた、学ぶところを学んできた、しかしこの忍ぶ、学ぶという言葉のうちに、もう一歩進んだ国際親善文化の交流という点から考えたときに、観光政策の基本をもっと強力に推進したらいいだろうということでありますが、そのただいま御指摘の施設でございますが、施設はもう数限りのないほどいろいろな考えは浮んでおりますが、まだこれぞという具体的なことを申し上げましても、ちょっとお月様に石をぶつけるような話で、どうも笑われるような形になりますので、私どもといたしましては今申し上げることはどっちかというと差し控えたいと考えますが、お尋ね通り、何らかここにその施設においてりっぱな日本的な、外国人があっとするような観光施設ができますように私は期待をいたしておる次第でございます。
  38. 松原一彦

    ○松原一彦君 提案者に伺いますが、この法案を拝見する限りにおいて、費用も要らないし、看板も金看板になりますから別にこだわらないわけでありますが、この法案の手続き及び機構の問題から考えますというと、現行の国家行政組織法の一部の変更であって、お示しの通りに部というものは本来総理府及び各省にはないのがほんとうである、当分の間仮においてある姿になっておるのでありますから、部を局にすることについてはまず当然だと言ってもいい、縮小して課化する場合もありましょうが、これはずいぶん従来論じられて、やかましく論じてきた問題でありますが、こういうようなことは大局から見て政府提案すべきものだと私は思うのです。そうでなければ行政機構というものの大きな筋道の上からして、部分的にかように議員提案としていじられるということは果して妥当であるかどうか、この点が一つ。もう一つは、議員が御提案になるのは何を提案せられようとも差しつかえはありませんが、この法案が衆議院では運輸委員会において審議せられて、行政機構審議する内閣委員会を通っていないのであります。もし運輸省のことであるからして運輸委員会が組織を論じ、かつそれをば審議して部を局にするといったような機構にまで入るということになるというと、御承知通りに、この対象をなす厚生省には国立公園部があるのであります。農林省では何十人という機構を持っておるあの例の統計調査部があるのであります。これもまあかねてやかましい問題になっておる。そのほか運輸省内にもまだあるし、通商産業省の中にも部があって、各省委員会がそれぞれこういうものを決議をして持ち出すといったようなことが、果して日本行政機構というものの上から見て穏当であるかどうか、これは一つの特例であるのか、あるいは衆議院においては今後もかように部局の変更を、その担当の常任委員会が今後もお扱いになるようなことになっておるのかどうか、参議院ではそういうふうなことはすこぶる奇怪に考えるのでありますが、この点に対する提案者の御所見を伺いたい。
  39. 畠山鶴吉

    衆議院議員畠山鶴吉君) この機構につきましてはあまり詳しいことは存じませんが、この局の昇格に対しますところの衆議院の今日までの経過の概要を率直に申し上げまして、御了解をいただきたいと思います。先ほどもちょっと申し上げましたが、衆議院観光特別委員会を作りましたが、これも流産の形で終り、その後におきましても観光行政というものは一向に進行いたしておりません、御承知通りでございます。今回ははからずもこの問題が持ち上りまして、運輸大臣もここにおられますが、まず観光事業は、厚生省には国立公園部があり、また運輸省にも観光部があり、また通産その他にもいろいろ関係の部署があるようなふうになっておりますが、要するに所管争いみたような立場におかれておりますので、これでは一つ観光行政が進行しないから、何らかこの方法をとりたいというので、去る運輸常任委員会におきまして審議をいたしまして、それで皆さん協力されまして、それでまず観光行政一元化をはかるために別紙の決議をしようじゃないかというので、お手元にあるか存じませんが、その決議書によって決議をいたしたのでございます。その決議の結果におきまして、運輸大臣及び運輸政務次官がこれを担当いたしまして、すみやかに関係方面の御了解々得るはずであったのでございますが、たまたまここに、内容を申し上げてまことに恐縮でございますが、私の聞くところでは、運輸政務次官が民主党の総務会にかけましたところ、これがどうも反対者が多かったために逆行の形になりまして、またこれが運輸委員会へ舞戻りまして、私どもはその提案者じゃありません、発案者といたしまして、この問題を取り上げなければならないような機運に追い込まれまして、不原則かも知れませんけれども提案者としてこの昇格の問題を取り上げても、どうやら取り上げていただけるのではないかというような機運が生じましたために、これを提案いたしたのでございます。提案いたしまして、これまた運輸常任委員会に諮りました結果、常任委員会はこれを満場一致をもって承認をいただいたのでございますが、この問題が時間の関係と日にちの関係で、衆議院内閣委員会へお諮りするのが当然でありました。ところが衆議院内閣委員会はいろいろ重要な用件が重なっておりますので、この問題は遅れる、そうすると、審議未了に終る形があるが、それでは困るから、また要求を申し入れましたところ、それでは議運の委員会におきまして、まあこの際は大して大きな問題でもなし、であるから運輸常任委員会にこれをまた逆戻り審議をして、そうして参議院の方ヘ送っていただくような手続をという内輪の話ができまして、それで今申し上げましたように、運輸委員会に逆戻り審議をいたしました結果におきまして、多数をもってこれが可決されました。その翌日すぐ衆議院の本会議にこれを諮って可決をいたした次第でございまして、この内容の事情につきましては、今申し上げましたような事情にございますので、多少敷衍的なことにはなっておるようでございますが、決してこの間におきまして変な事情はからんでおりません。大体衆議院といたしましては各部御了解をしていただきまして、今日の運びに至った次第でございます。ありのままに申し上げた次第でございますから、御了承をいただきたいと思います。
  40. 松原一彦

    ○松原一彦君 この決議を拝見しますというと、「かるが故に政府は、この際速かに観光機構強化拡充し、更に観光行政一元化を図り、以って観光行政の積極的推進を」はかれと、こういうてこの決議文を政府に突きつけてあるのだからして、当然政府は閣議をもってこの決議文に対処する方策を講じなくちゃならぬと思うのです。それに政府の方からは大きな行政機構の一部の変更を提案せず、また与党はこれを否認したと今お話しになった。私は詳しいことは知らぬのですが、と言われて、そうして異例のように私には聞かれる経過を通ってここに来ておるということ、これは一つの特例と見ていいのでございますか。将来、さっきから私の心配しまするのは、各省の常任委員会がその省の機構を変更するような提案をいたし、その常任委員会ごとにもしやるとすれば、今度は厚生省は国立公園部を国立公園局と必ず私は要求するようた機運が動かざるを得ないのじゃないかと思う。たとえば今回御変更になる観光部は四十四名の定員でありますが、厚生省の国立公園部は百六十一名の定員を持っておるのであります。定員としては六十五名でありますけれども、その他常勤者がたくさんおりますので、百六十二名となっておる。これは私はかような動かし方による御提案は特例中の特例ではないかと思うのでありますが、そう考えて差しつかえございませんかどうか。今後もこういうふうな形をもって各省ことに機構を動かして行くようなふうに衆議院の方ではおやりになるのかどうか、念のために伺っておきます。
  41. 畠山鶴吉

    衆議院議員畠山鶴吉君) 御指摘の点はごもっともでございますが、私といたしまして、はさような法律的素養が……、あまり研究しておりませんので、お答えにはなはだ敷衍的のことがあると存じますが、今伺えば多少特例的のような感も浮かびますので、お問いの通りだ申し上げるよりほかはないと考えます。
  42. 松原一彦

    ○松原一彦君 三木運輸大臣国務大臣としてお尋ね申すことは私は遠慮します。と言うのは、それはお困りになるだろうと思う、この問題をここで御答弁になることは……。でありますから、私はその内容を言っておるのじゃないのであります。手続の問題でありますので、そこで川島行政管理庁の長官の御出席によって、政府の御同意を求めて、しかるのちにわれわれは賛否を決したいと思います。一つ川島長官の御出席を求めます。お差しつかえがあったら、次の機会にでも……。
  43. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 本日は川島長官の出席を求めましたが、衆議院関係法律案審議をしておられるので、きょうは出席できないということでございました。
  44. 松原一彦

    ○松原一彦君 では次の機会に……。
  45. 千葉信

    ○千葉信君 私はこの際三木さんにお尋ねしておきたい。お尋ね申し上げたい点は、先ほど長島君の方から提案者に対して質問をしました問題に関連をしております。先ほど提案者の御説明を聞いておりますと、政府の財政緊縮方針等も考慮し、今回の法律提案に当っては、特に予算等もこの提案によって増額されるようなことのないように考慮しておる。従ってまた人員の点でも、この提案理由説明によりましても、現在の定員でそのまま観光部観光局昇格させるだけだ。一方、そういう説明でありながら、日本における観光事業に伴うところの国富と言いますか、外貨獲得と言いますか、観光事業審議会の想定によっても、昭和三十三年にはほとんど倍近い収益だ、まあこういうお説なんです。ところでこの法律案提案の趣旨によるやり方で行きますと、予算もふやさなければ、定員も増さない。一体これに対しては運輸省はこの法律案が通った場合、差しあたってはこの法律案の趣旨の通り、まあ予算も伴わないし、人も当分はそのままという格好になる。もしそれを運輸省で、運輸省限りで定員の差し繰りをしたりするということになれば、これは結論から行けば、他の部局にそういう冗員があったのかということになるのです。まあしかしそういう格好でこの法律提案理由説明をされて、そのままうのみにして通したということになれば、これは問題が残ると思います。どうしてかというと、かりに政府の方で行政等についてばなるべく膨張を避けるという一般方針はわかりますが、しかし問題によりけりだと思う。こういうふうに年間に、まあこれはまだそういう事実が発生したわけではありませんが、昭和三十三年には二百五十億円も収益をあげることのできるこういう観光事業、従ってその観光行政等は相当重視されておも。そういうことになりますと、問題によりけりで、こういう問題についてば一般的な行政費の圧縮などと関連せずに、やはり問題ごとに重点的に人員も配置しなければならない。そしてまた先ほど観光ポスターの話がありましたが、まあこういうポスターの話も一例ですが、これは観光協会でやるか、あるいは運輸省でおやりになるか別として、そういう点にある程度の予算をやはり計上するという方策をとるということが、国にとってもいいことになる、こういうことになると思うのですが、従って今直ちにどうしろ、こうしろということじゃない。この際この法律が通過したのちにおける将来の運輸省の方針ですね。予算の点もしくは機構の点、人員の点等について、この際通った場合の御覚悟のほどをお伺いしたい。
  46. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) もしこの設置法の一部改正案が通過いたしますれば、そういうことに実施せざるを得ないわけでおります。しかし本年度の予算すでに通過をしておるわけでございますから、本年度の予算では、あるいは定員をふやしましたりするようなことは、できないわけであります。しかしこれが私はやはり観光事業というものは単に、まあ外貨収入のみならず、文化交流の面からも重視をして行くことが平和に通ずる一つの政治のあり方である。まあこういう点で力を入れて行かなければならぬと考えておりますから、明年度以後の予算につきましては、やはり観光局予算は拡充をしたいという考え方でございます。人員等もこの点は今考えておりませんが、しかし必要があればそういうことも起り得ると思うのでございます。
  47. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  48. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  午後一時半まで休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ―――――・―――――    午後二時十四分開会
  49. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(参第一二号)、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(衆第二八号)を一括して議題といたします。  本日は大久保国務大臣が御出席でありますが、参議院の予算委員会の力で大久保国務大臣の出席要求がありますので、大体四時頃まで大久保国務大臣に対する質疑をしていただきたいと思います。四時になったら大久保国務大臣予算委員会の方に出なければならないそうでありますから、御了承願います。
  50. 木下源吾

    木下源吾君 この場合大久保給与大臣一つ……今給与に関してこの委員会に付託になっている石炭手当の免税だとか、薪炭手当の何とか、そういうのが付託になって審議しているのですが、これはまあ一部地方的の問題であります。そういうことで今でなくても私はお聞きしようと思っているのですが、実は今給与体系というか、給与制度について審議会でやっておる。私の問題点は特殊なところで勤務しておるものに対する給与です。従来、元樺太は、日本領土であったときは御承知通り増俸八割です。これは何のためということは、今のように科学的だとか、何とかいう研究じゃないんだ。その当時はとにかくそれくらいやらなければ行き手がないですよ、役人は……。それはまた寒いも寒いしね、中央の文化と非常に離れておりますしね、そういういろいろのことで八割増俸だったもんです。そこで今度は北海道ですが、御承知のように北海道というと寒いことの代表になっておる。今でも北海道でも根室の地方だとか、あるいは北見の奥だとか、こういう所には全く行きたがらぬです。たとえばサケ、マスの孵化場というような所はクマと取っ組むような所ですから、こういう所へは行きたがらない。そこでああいう特殊な所、寒くて衣食存に対しても特に生活費がよけい要るわけですね、なかんずく寒いことに対しては石炭で暖を取らんければとうてい冬やって行けない、で、石炭手当の法律二百号、あれは当時私が中心になって法律を何して皆さんにお願いして成立さしていただいたんたが、あの石炭という燃料は北海道では実に生活の一部なんです。戦争中に非常に石炭が不足で、政府が石炭を非常に大切に尊重しておったときでも、石炭の配給を特に北海道には百五十万トンとか、百八十万トンとかいう配給量を別ワクで確保しまして、そうして一戸当り一トンとか、一トン半とか、二トンとかいう配給制度をやっておった。これらを見てもいかに寒地における暖房用の生活に必要であるかはもう明らかである、そのほかいろいろ寒い学校の生徒の通学においても、とうてい普通の靴などではだめなんです。かたがた生活には非常に余分のものがかかるので、給与の面で北海道に対する給与を別に一つ今度の給与体系整備に際して、北海道というものに対する別の在勤手当と言いますか、かつて樺太の公務員に対して、そのころは官吏ですか、その官吏に対して行なったように、何ぼ余計かかるとか、何とか計算をせんければなりませんが、そうでなければ樺太に行って勤務する者はおらなかった、いやだと言うて行かなかった、それが限界ですよ、樺太八割の増俸は……。そういう意味で何とか北海道の公務員に対して一つ給与体系を整備されるときに、今いろいろ御調査になっておると言うが、その点を一つやってもらう意思があるかないかというより、やってもらいたいのです。そういうことをぜひ一つ何していただければ、今のような問題、石炭手当とか、新炭手立とか、いろいろそういう問題を、複雑と思われるようなものが解消するのじゃないかと、こういうふうに考えておるわけです。もちろんそれにしても僻陬のところもあるし、それよりももっといいところもある、いろいろ複雑な面もあるけれども、とにかく海を隔てた北海道としての給与に対して、制度として一つ何か考える必要があるのじゃないかと、こう思うのですが、これに対してあなたは北海道開発庁長官でもありますし、かたがた一つ御所見を伺っておくにいい機会だと思いまして、はなはだほかの方に御迷惑でありますが、一つお願いしたいと思います。
  51. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 給与の問題が出ましたが、給与は前にも申し上げたかと存じますが、手当が今日の制度においては九つか、十あるのです。非常に複雑をきわめているので、これをもう少し簡素化して数を少くしたらどうか、そのためには手当を減らすということが問題だ、減らさぬようにして簡素化したらどうかということが台頭しておりまして、おそらくそういう方向に向って進むことと思うのでありますが、北海道は特殊地域であるということは、これは単に公務員ばかりではありません。北海道の住民の薪炭手当の問題についての減免の問題も起っております。この点は十分考慮しなければならぬと考えております。
  52. 木下源吾

    木下源吾君 そういうお考えに北海道にとっては非常にありがたいのですが、私のお尋ねしておるのは、今いろいろ給与に関することで審議会等を経て政府が簡素化するというお考えを持っておるようであるから、その機会において、北海道の特殊性にかんがみて北海道の給与を特に考えてもらえるかどうかと、こういうことをお尋ねしておるわけでありまして、これを考えてもらえるということになりますれば、われわれもしまた御協力申し上げて、一つ北海道の給与というものについての制度の確立のために努力したいと、こう考えておるわけであります。
  53. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) ただいま申しました通り、北海道が特殊地域であるということは十分よく承知しております。この点はよく含んで研究してみたいと思います。
  54. 野本品吉

    ○野本品吉君 大へん私ばかり時間をいただいて恐縮ですから、要点だけお伺いしておきたいと思っております。これはこの前もちょっと触れたのですが、昭和二十一年法律第三十一号による改正前の恩給法の別表の第一号表の問題なんです。恩給局長さんからの御説明がありましたように、この各階等に応じまして仮定俸給の年額は、恩給の最短年限である十一年のものの恩給額を三倍にしたものがこの仮定俸給年額になっておる。そこで一つ問題が考えられるわけですが、旧軍人軍属その他にこれを適用して行くことについて、私は今この際はとやこう申しませんが、十一年で恩給になった、その恩給額の三倍で行くということになると、ここに一般公務員と非常に条件が違ってくるものが出てくる。と申しますのは、一般公務員はかりに学校を出て就職した。就職の第一年に百円の俸給をもらっておった。その者が何か事故によりまして公務扶助料その他をもらわなければならない事態が起った。そうするというと、一般公務員のものは第一年の初任給が公務扶助料計算の基礎になる。軍人は十一年のときの給料が基礎になる。これは相当考えてみる値打ちのある問題点ではないかと、かように思うのですが、これは恩給局長さんはどういうふうにお考えになりますか。
  55. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) ただいまの公務のために公務員が傷痍疾病を受けて、その傷痍疾病のために死んだ場合、その遺族に給さてれるいわゆる公務扶助料を前提として軍人の場合と文官の場合との俸給、恩給年額の基礎となる俸給について御質問があったのでございますが、文官の場合におきましても公務扶助料はその冷戦年数のいかんにかかわらず、たとえて申しますならば一年ならば一年、二年ならば二年在職しておったといたしましても、十七年在職した場合における普通恩給、その普通恩給を元にして公務扶助料の金額が計算されるのでございます。軍人の場合でございますると、あるいは少尉ならば少尉、あるいは中尉ならば中尉になって、の少尉、中尉として受ける俸給が、わずかの軍人としての在職年で、軍人としてわずかしか在職しなくて受けたものでありましても、少尉、中尉として公務に従事して死んだ場合におきましては、十三年在職して退職した場合における普通恩給、その普通恩給が元になって公務扶助料の金額が計算されるのでございます。従いまして、かく考えて参りまするというと、軍人の場合だけが特に有利な取扱いをされるということにはならないのではないかという気がいたすのでございます。これは軍人の仮定俸給にからんで来ている問題だと思いますが、軍人の仮定俸給はこの閥も申し上げましたように、従来、従来と申しましても昭和八年前でございまするが、在職年別にまた階級別に普通恩給年額がきめられておりましたのを、終戦前のような仮定俸給を前提として計算し直す制度を作りまするときに、階等別在職年別定額制を仮定俸給を基礎として恩給を計算する制度とする関係からして、従来の恩給を逆算して仮定俸給の金額をはじき出したのでございますが、その仮定俸給の金額は確かに今仰せられまするように、中尉なら中尉、大尉なら大尉として最短在職年でもって普通恩給を給される場合には、確かに仮定俸給の金額は恩給の三倍の金額になっておったのでありますが、現実に在職年を考えました場合においては、十一年でその恩給が給されることになっておりましたけれども、文官の場合と違いまして、皆様も御承知のように、中尉なんかは同じ階級に七年も八年も据え置かれておったような実情でございまして、従って俸給は一般文官に比べまするというと、その上り工合は割合に少なかったのじゃないかというように私は思っているのであります。大尉におきましても、数年たたなければ少佐になれないというようなことでございまして、文官に比較しまして俸給の昇給はそうたびたびはなかったように思うのでございます。そういうことからいたしまして、お話のように確かに十一年でもらう恩給を土台として考えました場合は、お話のように十一年の俸給が前提となっているように思われるのでありますが、実際の軍人の人事行政の面から考えました場合、十一年以上在職してその俸給をもらう者もあって、文官の恩給年額を計算する基礎となっている俸給と軍人の恩給年額計算の基礎となっているものと比べました場合、どちらが有利であるかということにつきましてはやはり……。
  56. 野本品吉

    ○野本品吉君 文官の場合の公務扶助料は十一年勤めたものとして計算される。しかしその計算の基礎は初任給で行くのでしょう。
  57. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 公務のために死亡したものでありますれば、その死亡のときに受けた俸給をもって計算されます。
  58. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこに問題がある。たとえばこの間瀬戸内海で若い先生が例の海難事故によってなくなられた。そのなくなられた若い先生の公務扶助料は、その先生が現在受けておる俸給が恩給算定の基準金額になる。ところが軍人が死んだ場合には、十一年勤務したその段階において到達した俸給が恩給計算の基準になる。これは私はどう考えても公平な扱いであるとは考えられないのですが、いかがでしょうか。
  59. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 私が最初申し上げましたのは説明が少し行き届かなかったかと思いますが、恩給年額計算の基礎になっておる仮定俸給につきまして、今、野本委員のような御意見も立つかと思いますけれども、私が申し上げましたように、中尉なら中尉としてもらうところの俸給が、果して十一年軍隊に勤めてもらう場合の俸給であるのか、あるいはまた相当年数在職して給される俸給であるかということについては、これについては私は一がいにどちらであるとは言えないことであって、いろいろの場合があるのじゃないかと思います。軍人としてのその人の閲歴によっていろいろじゃないかと思います。大尉になるにしましても相当の年数勤務しなければ大尉になれない人もあるでし上うし、あるいは十一年、十二年で大尉になる人もあることと思います。それからまた、今の例を引かれました文官の場合でございますが、その文官の方のもらわれております俸給につきましても、その俸給をもらうにつきましては人によってはわずかな在職でもってその俸給を給せられる人もありましょうし、あるいは相当長く在職しなければ給与に到達しない人もあるかと思いますが。
  60. 野本品吉

    ○野本品吉君 そういう御説明だというと、まことにはっきりしないのですが、私は問題の焦点をはっきり具体的にさらに申しますが、要するに、いずれにしましても十一年で恩給になったその恩給の三倍が仮定俸給の年額として決定された。それから厳密に言ってそれが十一年であるか、十三年であるかは別としまして、師範学校を出て間もないものが子供のために殉職して死んだ場合に、卒業後一、二年の俸給が基礎になって公務扶助料というものが計算されれば、その間に相当な幅のあるという事実はこれは否定することができないと思うのですが、いかがでしょうか。
  61. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今専門学校を卒業されましたというお話でありましたが、専門学校を卒業してもらわれるところの俸給は、私が申し上げますように、ある公務員におきましては、相当長く勤務しなければその俸給ばもらえないかと思うのであります。また軍人の場合でございますると、下士官兵、将校という、こういう階級のことを考えますると、少尉なら少尉という俸給につきましても、士官学校を出てすぐに少尉になった人は、軍隊の在職年は短かくしてその俸給を給されることになったでありましょうが、下士官、兵とだんだんと昇進した方にありましては、少尉としての俸給を受けられるまでには相当長く軍人として在職されたということも想像されるのでございまして、今おっしゃるような違いはないのじゃないかという気がするのですが。
  62. 野本品吉

    ○野本品吉君 これはまあ見解の相通というような工合になってきておるのですが、ここに私は大きな問題があるということだけを自信を持って指摘しておきたいと思います。それからもう一つお伺いします。さっき私は恩給局長さんから出たから申すのです。これは言うつもりじゃなかったのですが、軍人の場合に、同じ中尉でもその間にたくさんの段階があって、そこへ行くまでに相当の時間がかかる、と言いますのは、それはかって軍人に対する給与と文官に対する給与とで著しい相違のあったときの事実があるわけですが、私は軍人の増俸で当分給というのがあったということを聞かない。ところが一般公務員の増俸は、五円上げるのを三年ぐらいかけて当分何円、当分何円と、こういうのがあった。軍人に当分給というのがあったということを私は寡聞にして聞いておらないので、増俸その他の問題につきまして、いろいろの御意見はこれは別といたしまして、そういうお話がありましたから、文官には当分給があったけれども、そうしてそれが非常に悪用されたけれども軍人にはそういうものがなかったということだけをここで一つ申し上げておきます。それから次にお伺いしたいと思いますのは、これは衆議院からの付帯決議の問題ですが、衆議院で軍人の恩給の改正をします場合に、昭和二十三年の六月を境とした古いものと新しいものとの非常なアンバランスを急速に調整しなければいけないという付帯決議がついておるわけですが、この付帯決議につきましては、政府当局及び恩給局の専務当局もこれをはっきりと承認されておるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  63. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) ただいまお尋ねの付帯決議の問題でありますが、これは実はこの恩給法の改正は、衆議院内閣委員会にかかりましたときに、委員の各位からとの問題について質問が出ました。で、一応二十三年六月一十日以前と以後の問題については、二十七年でしたか、法律によって多少是正されたけれども、またどうも多少問題が残っておるという話でありました。そこで、最後にこの案をきめまするときに、これは各派を超越して各党ともこの付帯決議をつけようとすることに賛成であったのであります。そうして委員会におきましても、この決議は全会一致と言いますか、に到達しておるような次第でございます。その際も私は賛同の意思を表しました。なおまた本会議におきましても、これまたこの決議は全会一致をもって通っておるというような形でありまして、決議としてはまことに尊重すべき決議であると考えられます。私はこの決議がつけられました以上は、この決議の趣旨に賛成いたしまして、なるべく早く、二十三年六月三十日以前と以後の恩給を給付されておる人のでこぼこと言いますか、それについて研究をして、でこぼこの是正をすることに十分努力いたしたいという考えを持っております。私の考えをはっきりとこの際申し上げておきたいと存じます。
  64. 野本品吉

    ○野本品吉君 実は私の手元へ、つい最近ですが、これは偶然にも恩給局長のおひざ元であります。御出身地であります佐賀県で千二百二十八人の古い恩給受給者と、それから五百四十六人の二十三年六月以後の退職者につきまして克明な調査をした資料が、ちょうどきのう私の手に入ったわけでございます。これらを見ますというと、いよいよますますこの不均衡の、理屈はいずれにしましても、大きな問題として考えなければならないという具体的な事実が目の前に出てきておるわけです。まあ一つの例を申しますというと、二十三年の六月以前の退職者というものは、千二百二十八人中の八八%までが仮定俸の十九万円前後のところにおる。それからその後の退職者というものは五百四十六人中の四百三十八人まで二十万円から三十五万円のところにおるということなんです。この事実は、これは理屈はどうあろうとも、これでいいというわけにはいかない。それからもう一つ、古くやめた人等は大体年齢的に見まして、一般公務員とすれば少くも三十五年、三十年、三十五年勤めてやめた人が相当あるわけなんです。で、現在六十五歳あるいは七十歳というような高齢者が多いわけです。そうすると、経済的な能力の補てんという考え方からすれば、この辺の人の経済能力というものば何もないので、ゼロなんで、従ってこれらの階層の人に対しまして、あたたかい便法をもってやらなければならぬということは、これば当然だと思うのですが、従来この点につきましては、いろいろと政府でも御心配下さっておったのですが、事務当局としての局長さんには、またいろいろの御意見もあるかもしれませんが、かような事実の存在しておるということ、この存在する事実に対して何らか対処すべきであるというふうなお考えをお持ちであるかどうかも、この際はっきり私お聞きしておきたいと思います。
  65. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今、大久保国務大臣から御答弁がございましたように、衆議院におきまする付帯決議につきましては、大臣のお考えの御趣旨を体しまして、私といたしましては十分に調査検討いたしまして、調査検討の結果を待って、具体的な適切な措置を講ぜられるように意見を具申したいと思っておるわけでございます。野本委員承知のように、この問題につきましてはいろいろむずかしい問題がございますのでございますが、私といたしましては、できる限りの努力をいたしまして、この問題の解決に努力を傾けたいと思っておりますが、今ここにはっきりと、こういうふうな解決の案がございますと言ってお見せするような案は実は持ち合せておりませんのでございまして、今佐賀県の例を言って具体的にお話しでございましたが、そういうような資料がございましたならば、おそれ入りますが、私の方にいただかしていただきますれば、十分に検討いたしまして、そうして適切なる案を立てるように努力いたしたいと思っておるのでございます。
  66. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは大臣に一応私の力から申し上げておきたいと思いますが、今までこの問題が、どう処理されておったかということの経過を、多分御存じであると思いますけれども、一応申し上げておきます。二十三年に、当時の恩給受給者は平均月額三十円そこそこで、あのインフレーションの中で生活しろということで、この苦しい生活を以ておることができませんので、ちょっと先輩の松原さん等と、私どもはこれらの問題を何とか考えてやらなくちゃなるまいというのでやりましたのが、そもそも恩給に関係して参りました元であるわけです。ところが二十三年の三千七百円ベースのときは、二十三年の六月に俸給が改訂され、七月から三千七百円ベースになったのでありますが、実際に恩給が改訂支給されましたのは十月であるわけです。次に六千三百円ベースのときも約一カ年間という間変えなかった、八千円ベースのときと一万円ベースにきりかえられましたときは、この主張の正当性を政府国会も認められまして、政府提案としてこの問題が処理されてきた。その後のベース改訂等がありましたが、いつも一年、二年とおくれてきた場合に、これはまあいろいろ世間がやかましくいう事情があるのですが、今度はすでに一万五千円ベースが実施されまして、二年近くなるわけですが、依然として、一万二千円ベースにおかれ、しかもその一万二千円ベースの中に古いものが、ちょうど谷底に落ちたような状態になって、大ぜいの年とった公務員の諸君が呻吟している。それが実情であるわけです。大臣がこの問題について急速に何とか指掛されようとする御誠意に対しまして、私は心から敬意を払う次第でございますが、そこで急速といったところで、いつからということになりますというと、そこに逃げ場が相当ありますのですが、この問題はいろいろ総合して考えてみますというと、なるべく早くというようなことで、甘く考えられておりますことを許されるような問題ではないと思いますので、さらに大臣一つ御決心をお伺いしたい。
  67. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 実はこの問題は、先ほど来恩給局長から問題を聞きまして、なかなかむずかし問題が存在していると思います。私の方は先申しました通り、早速調査にかかって誠心誠意解決したいと思うのでありますが、調査に多少の日子を要するのじゃないだろうかという疑念を持っております。ですから、これをこの次の議会にかけるとすれば、わずか三、四カ月の日数しかございませんので、その間にこの議案がまとまるかどうかはわかりませんのですが、それまではっきり申し上げることは困難と思いますけれども、なるべくできるだけすみやかに早くしたいという決心だけはしておりまして、この点は一つおまかせを願いたいと思うのであります。
  68. 野本品吉

    ○野本品吉君 提案者であります高橋さんにお伺いいたしたいと思います。大臣は、ただいまお聞きのように非常な熱意をもってこの問題に当ろうとする御方針のようでありますが、この点につきまして、提案者であります自由党及びまあ民主党のことを聞くことは無理だかしれませんが、自由党はどういうお考えでありますか、これをはっきりと伺いたい。
  69. 高橋等

    衆議院議員(高橋等君) 国会でこの付帯決議を衆議院でつけましたときの全員の気持は、次の国会においてこれを実現いたすというつもりでこの決議がついているものと私は了解いたしております。それで自由党の方におきましても、この点はそういたしたいと考えております。民主党の方も、これは他党ではありますが、清瀬政調会長が党の意向として、新聞へ最終的意見を軍人恩給について発表されたときも、この問題を早急に解決するということをおっしゃっておりますから、われわれと同じお考えだと思います。まあ大臣の力から政府の当面の責任者として、今後予算の振りわり、折衝をなされなければならない立場ですから、幾分含みのあるお言葉のうに思いますが、党としての立場、また委員会のこの決議を全員一致で可決いたしましたその気持は、そうしたものであることを申し上げておきたいと思います。
  70. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいま自由党のお気持もお聞きしたわけですが、なるほどこの問題の解決にはいろいろと研究を必要とする意のありますことも私どもにも一応わかっております。しかし、ここでいわゆる調査研究ということに籍口されて、来年の予算にも計上せず、この次の国会にも取り上げられないというようなことになりますというと、今の言葉はこれは、時の逃げ口上というふうに考えられても仕方がないのですが、これは法律としての技術的な細部にわたる研究には時間を必要とすると思うのでありますけれども、三十一年度の予算編成の際に、この問題を処断するための予算要求をされるだけの御誠意がありますかどうか、これもはっきり承わっておきたい。
  71. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 私はなるべくやりたいと思いますけれども、調査がいつになるか今すぐ断言はできてないのです。必ずやりますというまできつく言うことはできないのでありますが、とにかく案ができ次第予算確保に努力いたします。
  72. 野本品吉

    ○野本品吉君 それでは恩給局長さんにお伺いいたしますが、局長さんの専門的な立場、それから事務当局としての立場から、この研究調査にどのくらいの日子を必要とするか、そのお見込みをお伺いしたい。
  73. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 相当の調査を要することになりまするか、あるいは簡単な調査になるか、またどれくらいの日数があれば結論が出るかどうかということについては、はっきりしたことを申し上げることはいたしかねるのでありますが、しかしじんぜんとして延ばして、そうして結論を出すことをちゅうちょするというようなことは決していたしません。何かの結論を出しまして、そしてこの問題につきまして意見を具申するように、はっきりするようにいたします。その意見の具申は今のお話もございまするので、私としましてはできるならば来年の予算に間に合うようにいたしたいと思います。はっきりと、必ず間に合わせると、こういうことを断定することはできません。しかしそういう気持は申し上げておきます。
  74. 加瀬完

    ○加瀬完君 今、野本委員の御質問に対する恩給局長の御答弁でございますが、いわゆる軍人恩給といわれておるものの一部修正によりまする新しい施行基準というものがきまることになりますれば、従来いわゆる文官恩給というものに対するでこぼこができるし、あるいは不公平な点ができるのじゃないかという研究は、当然恩給局としては事前に行われておらなければならないはずのものであろうと思う。しかも今の野本委員の御指摘になりました点は、その意味において何もきのうきょうの問題ではない、当然恩給局としてはどういう意向であり、その該当人員はどれくらいでという調査はすでになされておらなければならない事柄ではないかと私は思うのです。で、こういう点、これから調査をしなければ、どれくらい時間がかかって、どういう具体的な問題が生ずるかということは全然おわかりになっておらないのですか。
  75. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今の御質問を伺っておりますと二つの問題があると思うのです。第一点は、文官と軍人との間においてでこぼこが生ずるのじゃないかというような御趣旨の御質問であったか思います。この第一点は、私の聞き違いであったら別でございますが、その点については私は今度は問題は起らないと思います。それから第一の点は、文官の間におきますところのいわゆる恩給の不均衡といわれておる問題であります。これについては御質問された方も御承知かと思いますが、これについては昭和二十七年でございまするが、いわゆる不均衡是正に関する法律国会において成立いたしまして、一応不均衡は是正されております。その不均衡とは一体どういう意味かということが問題になると思うのです。その当時いろいろ論議されましたことから、御承知のように、従来の、すなわち昭和二十三年六月三十日以前に退職した人たちの受けておった俸給の給与体系と、それからその後における給与体系とは非常に変って来ております。たとえば一万円ベースが一万二円になる、一万二千円ベースが一万五千円ベースになるという場合でございますと、俸給号俸のその金額が水増し的に増額されているだけでございます。従って恩給の増額も比較的容易でございます。ところが昭和二十三年六月三十日以前の給与体系とその後の給与体系が違いますために、昭和二十三年六月三十日以前にかって百円なら百円の俸給を受けておった者は、昭和二十三年六月三十日以後における給与体系を前提といたしまして恩給を増額する場合において、一体どのところの俸給号俸にその俸給を合わせるかということが問題になると思います。その合わせる、すなわち対応俸給を作る、その対応俸給の作り方につきましては、たとえばある人は百円を八千円に持って行ったらいいじゃないかという意見の人も出てくると思います。あるいは五千円のところに持って行くのが至当だという人も出てくると思います。五千円のところが至当だという人から申しますと、八千円のところに持って行くのは甘過ぎるということになると思います。それから八千円のところに持って行ったらという人から申しますと、五千円に持って行くというのはあまりに辛過ぎるということになると思います。そういうような少し酷であるとか、あるいは少し甘過ぎるとか、俗な言葉でございますが、そういうようなことはたしかに私はあると思うのです。そういうなような意味における不均衡でございますれば、これはたしかにあるかもしれません。見方によっていろいろな相違がございましょうから。それからまたいろいろむずかしい技術的テクニックの問題もございますから、いろいろ人によっては見方が違ってくるかもしれませんが、そういうように対応俸給に幅のあることを考えますと、その幅を全然無視してしまって、対応俸給が作られているのじゃないのであります。幅のあることを前提として考えますならば、必ずしも不均衡があるとは申されません。これにつきましてはいろいろまた議論があることだろうと思いますが、ですからしてこの問題は、不均衡というものを非常に厳格に考えるかどうかということにも相なるかと思うのです。私が申し上げましたのは、そういうような問題があるのでございまするからして、均衡はとれておると思っておりまするけれども、俗な言葉で申しますと、辛いところがあって是正すべき点があるなら、これは是正すべきだろうという、私はこういうゆとりのある考え方を持っていますから、かかる考えで申し上げたのが一つであります。  それからそう手数がかからないじゃないかというお話でありますが、御歌知のように、恩給には恩給局長の裁定する恩給と都道府県知事の裁定する恩給が刈るということば御承知通りだと思います。都道府県知事の裁定する恩給について考えますと、この問題は大きくなって来ていると思うのです。都道府県知事の裁定する恩給につきまして、これが一体どういうふりな状況になっているかということにつきましては、都道府県知事の裁定の統計資料を収集しなければなりません、これはなかなか困難な状況に刈るのであります。今ここで野本委員の仰せられましたのは、これは佐賀県の例でございます。佐賀県の例が全国共通のものであるかと言いますと、私は必ずしもそうは言えないのじゃないかと思います。事情が県によって違いますことはやむな得ないことと思います。そうしますと、地方各店県全部をならして、何か平均的なものを見出さなければならぬことになります。これにはなかなか大がかりな調査を要することと思います。そういうことであるといたしますれば、担当な調査研究をしなければ結論はなかなか出て来ないのじゃないかと思います。私はこの問題につきましては、いつぞやこの委員会でも申し上げたのでございますが、いわゆる公務員の俸給が引き上げられる。いわゆる俗な言葉で言いますると、ベース・アップと申しますが、ベース・アップに伴うところの増額の問題につきましては大体解決しやすいのであります。ところが公務員の処遇がいろいろな点で改善されてきております。処遇の改善された人と改善されていない人との間における恩給に差が出てきております。そういう問題の解決が非常に困難をきわめてきている問題でございます。そういう問題を掘り下げて解決して行くということになりますと、なかなか困難なことでございますので、私は非常にむずかしい問題じゃないかということを前提といたしまして、ゆとりのある答弁をいたした次第でございます。
  76. 加瀬完

    ○加瀬完君 私の指摘したいのは、たとえば高橋さんが御提案説明でなさいましたような、こういう法律の一部改正が出て参る、そうなって参りますると、これは政府提案ではありませんから、提案者立場によりまして、恩給全体から見ての公平ということよりは、ある点にウェートがかかるということば、当然そこにかけての法律なんですから、そういう結果が生ずるのは当然だと思う。そこはそういう場合に、結局立案の前提において、恩給局なり、あるいはその他において、そういうふうな条文になりますと、こういうふうな他との均衡を失するといったようなことをせられては、恩給を改正して行くたびに、他の恩給受給者との間のでこぼこというものは当然生まれてくる傾向が生ずると思う。そうであれば、恩給局は恩給の実態を調査することが主たる任務ではないのでございましょうけれども、都道府県知事の裁定の分であろうとも何であろうとも、現状において支給されている恩給というものは実態をつかめるわけですから、もう少し資料を十二分に収集しておかれまして、この開顕についてはこういう問題が生ずるのだ、この問題についての不均衡と言えばこの点だ、しかしこれは、こういうふうにすれば解決できるといった具体的なものを持っておらなくては、私はどうも恩総局としての恩給体系の、給与体系の公平を期するということがちょっとむずかしくなってくるのではないかという一つの疑問を持ったのであります。
  77. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今度のこの法案が成立しました場合におきましては、旧軍人の方々の恩給が増額されることになりますが、この法案が通って旧軍人関係の恩給が増額されることによりまして、ほかの文官関係の恩給に好ましからざる影響を及ぼして、そうして、恩給全体として不釣り合いになるというようなことは考えておりません。
  78. 加瀬完

    ○加瀬完君 私はそこまで言おうとしてはおらない。一応それがいいとか、悪いとかいう意思表示をしているのではない。しかしながら、旧軍人が、今までよりもある程度恩給においては恵まれた条件が与えられる。そうすると、文官恩給を受けておる者にとりましては、文官恩給の受給者にもこういう点を直してもらいたいところがあるのだ、こういう点の希望があるのだということをそれぞれ持っていると思う。たとえば今、野本委員の指摘いたしましたような点にいたしましても……。そういたしますと、一応軍人恩給にしましても、旧軍人恩給というものを取り上げるなら、文官の受給者側にとりましては、自分たちの問題になっている点をあわせて何か考えてもらえないかという希望が出てくるのは当然だと思う。そういう点ですね。この旧軍人恩給の一部改正をする方々は、そこまで考える必要もなければ、また考えられない問題かも知れない。しかし恩給局としては、こういう問題が出ますれば、文官恩給の面で、こういう点がまだ解決されないであるから、あの点が当然出てくるのではないかという考慮は当然持たれていいと思うのだけれども、野本委員の御指摘のような点は、恩給局長はりそれはどこの場合考える必要はない、こういうことなのかということなんです。
  79. 高橋等

    衆議院議員(高橋等君) ちょっと私からお答えをしておきたいと思うことは、提案者はそこまで問題を考えなかったかといいますと、そうではない。
  80. 加瀬完

    ○加瀬完君 考えなくてもよろしい、あなた方の立場としては……。
  81. 高橋等

    衆議院議員(高橋等君) われわれはそう言われるから申し上げたので、全般にわたっての問題を考慮の上で実はやっております。なお御質問があれば……。
  82. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今の問題の点につきましては、いろいろ伺っておるのでありまするが、具体的なものはつかみ得ないでいるのです。今お話のきちんとした具体的なものをつかみ得ますならば、私としてはその対策を講ずることにつまましてやぶさかではないのであります。
  83. 加瀬完

    ○加瀬完君 恩給局の仕事に立ち入って伺うのでありますが、ただ支給することだけなんですか。それとも恩給給与体系というものの不公平、あるいは不満、あるいは希望、こういうものに対し、ての調査研究というのは全然なさらなくてもよろしいのですか。
  84. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) そんなことはございません。
  85. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうであれば、今のような問題は、恩給局として、もう少しある程度のものを持っておってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  86. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今の問題につきましては いろいろ問題があるということを耳にしまするたびに、いろいろと研究はしておりますけれども、その結論的な確信を得ておりません、こういうことを申し上げているのでございまして、それでいろいろの点につきまして、具体的に何かお気づきのことがありますなら承わりましょうと、こういうことを申し上げているわけであります。
  87. 松原一彦

    ○松原一彦君 関連して伺いますが、恩給局長に伺うのですが、恩給局長は専門家であって、この問題の発生当時から今日までの経過はもう一番日本で詳しく知っておいでになる。しかも局長はこのベース・アップが六回行われた間において、昭和二十五年の一月一日のときと、昭和二十八年の一月一日のときの二回のは非常な努力をもって、単なるベース・アップに伴うスライド・アップでなく、不均衡是正を加味したる改訂をやっておられる。だから今聞いておると言われますけれども、聞いておるのではなくて、はっきり認識を私はしておられるものと確信しておる、そのたびに、ベース・アップのあるたびごとに非常な苦労をもって調整をはかってきたが追いつかないというのが現実である。そこで今度の軍人恩給が、文官恩給を基準として一万二千円ベースに上げられたというそのことについては、いろいろ議論があるが、それば除いて、一万二千円ベースに上げられた基準となるものは、昭和二十三年七月一日以後の文官であって、その昭和二十三年七月一日以後の文官が基準であるそこに議論はあっても、一応その線に軍人のベースを一致させ、そうして今まで若干の格下げになっておったと称するものを是正して均衡を取らせようということになった。これはまあ提案者も御説明になった通りであります。ところがそうなるというと、文官の中の三十三年の六月三十日以前、恩給局長が一回にわたって是正しようとせられた対象の人人の恩給は、今度の軍人恩給よりもぐっと下回らざるを得ない。これはもう最近における常識であって、衆参両院の議員諸君があらゆる世評や、事実や、実態調査等から認められ、三橋恩給局長も開いているではない、はっきり実態を把握しておいでになる。ただそこに議論のあるのは、いかなる額がそれに一番適当であるかについては議論がある。ごく古い、はとんど昭和十年代にやめたよりな人、三十年前後にやめたようなもの等の間には、なおいろいろ議論があろうから、その額については考慮を要する点があるにしましても、数カ月かからなければその結論が出ないというはずのものではないと思うのでありますからして、せっかく提案者もそう言っておられる、大久保国務相も、極力調査ができれば明年度の予算にも計上する、要求すると言っておられるのだから、そうなると責任ば三橋恩給局長に帰することになる。私は数一月を要しなければ結論が出ないということは、この際ないだろうと確信しております。どうか努力して、せっかく文武の均衡を一応頭をそろえようというときに、一部の陥没があることは私は許されぬと思う。このことについては数カ月を要するなどということを言われないで、資料は日本退職公務員連盟の方には山ほど集まっておるのでありますから、そういうものをばお取り寄せになって御決定の上に、大久保国務相にも希望いたしますが、どうか衆参両院の議員が一致して、だれ一人反対のないこの要求に対しましては、その実現に対してかたい決意をもってどうかお取り計らいを願いたいということをば希望いたしておきます。
  88. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいま松原委員から非常に御理解のある御発言があったのでありますが、かって人事院が新しい退職年金制度の勧告をいたしますときに、全国の状況がどうなっているのだかということを正確に把握することができない、そこで人事院が調査事項、調査上の注意等を一切人事院の手によって作りましたカードを、全国の退職公務員の諸君が真夏に各府県の書庫へ、県庁の書類の庫に入りまして、これの調査に協力したことがあります。私は今、恩給局長が調査ば容易でない、各府県の事情をどう調べるあか容易でないということをおっしゃいましたが、もし必要とされますならば、調査の形式、内応等をそちらでお考え下すって、そうして全国都道府県のこれらの問題についての強い要求を持っている人の中には、かって県庁で恩給事務を担当しておった者もある、かって役所でこういうことに関係しておった者もありますから、私は恩給局が調査しようとする項目を明示されますならば、必要に応じては各府県の事務的にたんのうなる者に集まっていただいて、恩給局からの調査上の指導講習でも開いて、半月か二十日のうちにそういう方式によれば調査ができる、そういうことを必要とする場合におやり下さいますか、これを恩給局長に……。
  89. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 調査の方法によりまして、必要により、場合によりましては、あるいはかって人事院が御協力を求めましたようなことで御協力を求めるかもしれませんが、その場合はよろしくお願いいたします。
  90. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 三橋局長に、これは大事な問題ですから、私ちょっと補足して伺いたいりですが、今、加瀬委員、それから野本委員、松原委員、いずれも同じ趣旨のことを質問しておられるのですが、大久保国務大臣の御意志もわかったし、提案者の自由党側の御意思も少くともわかったのですが、この決議にありますように、「二十三年六月二十三日以前に給与事由の生じた公務員の恩給は、それ以後のものと比較して低きに失するにより、」と書いてありますね。結局低いのだという事実を基礎として今日措置を要求しているわけです。恩給局長は従来、もうすでにそれはベース・アップされているので低くはないのだという前提で今までこられたと思いますが、この決議がありまして、参議院はどうなるかわかりませんが、衆議院のこの決議について今のような御答弁があったということは、恩給局長自身も、二十三年六月三十日以前の給与というものは、これは低いのだという事実をお認めになっておやりになるのかどうか。そうならざるを得ないのですが、やはり従来のように低くはないのだというお考えで進まれると、非常にこの決議の趣旨とは違ってくるのです。この点はこれは事務当局ですから、そういうことは万あるまいと思うのですが、低いという事実をあなたはやはりお認めになって今後の作業を進めて行かれるかどうか、この点はここではっきりしていただきたいと思う。
  91. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) その点につきましては、弘前の内閣委員会におきまして、不均衡の問題について所信を述べたと思いますが、また先ほどちょっと触れましたのでございますが、二つの面いら考えて行かなければならないものがあると思うのであります。その一つは、非常に大ざつぱなものの言い方でございますが、先ほど申し上げましたように、公務員のいわゆる俸給のベース・アップに伴う恩給の増額というふうな点の問題でございます。それからもう一つは、一般の公務員の中である特殊の公務、ある職種にもるところの公務員は特に処遇が改善される、こういうふうな場合が刈るのでございます。その処遇改善の恩恵に浴したものと、それから処遇改善の恩恵に浴しないで退職したものとを比較いたしますれば、その恩恵に浴してやめた人の恩給というものは、済しないでやめた人の恩給と比較してよくなっておるのは、これは当り前だと思います。そこで今度このいわゆる不均衡是正の問題を私とも考えまする場合において、その処遇、改善の恩恵に浴しなかった人も、処遇改善の恩恵に浴した人と同様に恩給を増額しよう、こういうような見地に立って考えまするならば、これは一つの見解かもわかりませんが、なかなかむずかしい問題だと思うのです。今度の衆議院の付帯決議がそういうことを考えられておるかどうか、これは私はまだはっきり存じておりません、その点は……。それからその次の問題は、いわゆるベース・アップに伴う恩給の増額の問題でございます。これにつきましては、先ほど私から申し上げましたように、昭和二十七年、いわゆる不均衡是正の法律によって一応の解決を見ておるのでございますけれども、その対応俸給の作り方の点につきまして、なお是正を要する点があるとするならば、それは改めますということ、これは私がはっきりと喧し上げておるところであります。それでこの衆議院の付帯決議というものが、その点において若干低く、改むべき点がある、こういう前提についてのお話であるとするならは、あの対応俸給が作られておるときから、すでに上の方は低くなっておるというのは事実なんです。あのときの経過から見まして、低いことは事実なんです。しかし全般的に対広俸給の作り方が低くなって、是正すべき点があるかどうかにつきましては、なお考えなければならない問題点があると思っております。今の委員長の御質問の点については、今二つに分けまして御説明申し上げましたが、その二つ全体にわたって低いものがあるから、これを改めるということを前提として局長は考えておるかと、こう言われましたとすれば、私は前段の問題につきましては、それを改善するまでに私の考えをまとめるに至っておりません。しかし後段の点につきましては、いわゆる不均衡の問題ですが、狭い意味の不均衡でございますが、この点につきましては、これは私は改むべきものは、一ぺんよく検討して、改むべきものは改めようということを絶えず言っておるわけであります。それは若干あるかもわからぬところでございまするから、あるとすると、これを是正する方法としてどういうふうにするかということが問題じやないかと思っております。
  92. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それで大体わかりましたが、私はもちろんあとの問題を言っているのですが、従来の恩給局の態度は、低きに失していない、これでちゃんと均衡を得てるんだという前提で今まではこられたわけです。ですからとれは高橋君にもよくその趣旨を徹底しておいていただきたいのですが、そういう不均衡があるから、こういう措置をしろということを衆議院は全会一致でこれは要望されたのだと私は思うのですが、その点についての、もしあるならばというような恩給局長の御答弁ですが、そうでなくて、これはあるんだということを前提として今後の措置々進められるなら、私は松原委員、野本委員、加瀬委員等の言われるように、もっと調査も進捗するだろうし、次の国会に間に合うだろうということも考えられるので、そういう前提の問題を今さら論議されないで、この国会衆議院における意思が決定したならば、その前提のもとにあなたもお考え直し願わないと困るという点を強く申し上げているわけなんでして、私から質問することはありませんが、この点は重大な問題ですから、大久保国務大臣も、恩給局長との関係において、そういうふうな意味で一つ指導をしていただきたいと思います。
  93. 野本品吉

    ○野本品吉君 そてこで、これは大事な点ですから、くどいようになりますが、さらにお伺いしたいのですが、昭和三十一年度の予算編成の時期までに、恩給局の努力によって、かくすることが適当であるという案が整いました場合に、大臣は堂々と予算要求をされる御決心がありますか。
  94. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 案ができましたならば予算要求いたします。
  95. 野本品吉

    ○野本品吉君 それから、私は誤解を避けるために一応申し上げておきたいのですが、私どもがこの軍人恩給に反対するとか何とか、軍人恩給との対立関係において公務員の不均衡の是正をしようというような気持は実はないのです。大体が軍人の恩給と公務員の恩給とが非常に不公平であるというような前提そのものに対して根本的な疑問を持っているのですが、私が今申している気持は、軍人と文官との比較は今の段階ではできないのです。なぜかと申しますというと、文官の内部に不均衡があるのですから、文官の内部が調整されて、これで一応文官の問題は片がついた、そういう段階において初めて軍人との比較論というものができるのだというふうに私は考えておりましたから、従って軍人の恩給を、増額の必要を認めないとか何とか、そういうような気持は全然ない。もともと、前回も申しましたように、両方は別にすべきだという私は建前をとっておりますから、そこでさらにお伺いいたしておきたいと思いますことは、今、委員長から言われました、この公務員の内部に恩給額の不均衡があるという事実をはっきりと認めて、この問題の調査研究に当っていただきたいということを希望いたします。それで恩給の本旨から言えば、先ほども申しましたが、長いこと公務に従うことによって失われた経済的な獲得能力というものを補うということになりますと、年取った人がこの状態にあるということは、また置くということは、恩給制度そのものの本旨にも合わないと私は考えるわけです。そういう恩給の本旨から見ても、当然この問題は処置すべきであるという私の見解に対しまして、恩給局長はどういうふうにお考えになりますか。
  96. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) これは先ほどどなたかの御質問の際にもお答えいたしましたように、今の不均衡を直すと言う問題につきましては、この前のいわゆる不均衡是正に関する法律によりまして、一応均衡がとれることになっていると思います。その均衡のとり方について、均衡をとるについて一つの幅がある、その幅の中において新旧の俸給を対応させるについて、その対応させ方について少し甘い、辛いの程度の差があるだけじゃなかろうか、その幅を越えてしまって、そうしてつり合いのとれないものになってしまっているならば、これはもちろん不均衡として大きな問題になると思いまするが、その当時におきまして、相当練られまして作られたものだと思っておるのでありまして、均衡はとれておると思います。今申し上げましたように、甘い辛いのところを少し直さなければならないというような問題は、あるいはあるかもしれない、こういうふうなことは考えておるのでございますけれども、不均衡として、これは言葉の言い回し方かもわかりませんが、特にはなはだしい不均衡というようなことがあるとは考えていないのであります。さようでございますから、今、野本委員の仰せられましたそういうようなお気持のことはよくわかりまするから、そのお気持に副うようなふうにはできるだけの努力はいたすつもりでございます。
  97. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこで前に一応そういう措置がとられたという話しですが、私もそのことはよく承知いたしております。衆議院議員の圧倒的な多数の人たちの発案によりまして、この問題を一挙に解決しようという提案がなされたわけで、当時の事情考えますというと、結局最後になりまして金が十億前後きり出せないからというので、その金に合わせるような措置がとられたのであります。従ってあのときの精神、あのときの行き方というものは、やはり問題として未解決のまま残されておるというのが私は実情である、あれの延長線としてこの問題は考えらるべきだと思うのですが、これは提案者はどうお考えになりますか。
  98. 高橋等

    衆議院議員(高橋等君) 沿革を考えますと、当時の事情は全くおっしゃった通りでございます。全く野本先生のおっしゃる通りでございます。
  99. 野本品吉

    ○野本品吉君 この問題は非常に大きな問題でありまするから、恩給局長及び大臣もこの問題について熱心にお考え下すっておるというお気持は十分わかっておりますが、私はさらに私の考え方を整えまして、次の機会にさらにこの点を明確にいたしたいと思います。  それからもう一つこの法案について御質問申し上げます。第二十九条の二、ここで例の「裁定庁がこれを在職中に公務のため負傷し、又は疾病にかかった場合と同視することを相当と認めたときは、その者を在職中に公務のため負傷し、又は疾病にかかったものとみなし、その者又はその遺族に対し相当の恩給を給するものとする。」、ここでこの相当と認めるという認定の基準はどういうところにあるのですか。
  100. 高橋等

    衆議院議員(高橋等君) 条文のこまかい点は、一つ法制局から説明をお聞き願います。
  101. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) これは「公務のために負傷し、又は疾病にかかつた場合」ではございませんので、厳格に言いますと、そうではございませんので、従って公務のための傷病、疾病と同視することを相当と認定しなければ、公務扶助料と同額の扶助料を出すことは困難ではないか、こういうようなことからいたしまして、どうしても裁定庁において一応相当と認定する、その認定の余地を与える必要があるんではなかろうか、こういうことからしてそのようにいたしたのであります。この案が練られるときにいろいろ私も相談にあずかりました。そのときこの裁定官が同視することを相当と認めるということを抜きにして、公務のための傷病恩給を給する、こういうふうに書いてしまったらという意見もないではなかったのでありますが、それはどうも行き過ぎじゃなかろうか、こういうようなことから、かような案文にされましたのであります。
  102. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこで相当と認めるということの前に、「自己の責に帰することができない事由により負傷し、又は疾病にかかった場合」というのはだれが認めるのですか。
  103. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) この「自己の責に帰することができない事由」ということの法文の用事例の問題になるのでありますが、これは援護法のときに初めて使われております。そこで援護法の用事例に従いましてこういうような字句を使ったのでございまするが、一般の例でございまするならば、公務のために云々と、こう書くべきところです。ところが公務のため云々ということは、拘禁中のことでありますから書けないのです。そうしまするというと、どういう場合に限定してこの規定を設けるかということになってくるわけでございます。そこで第一段といたしまして、「自己の責に帰することができない」ということでしぼって、その次にはこれを裁定庁において公務のための傷病と同視することを認めた場合でしぼって、こういうふうに二段のしぼり方をしてその規定を設けることにしたのでございます。
  104. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうすると、結局これをよく考えて行きますと、大体旧軍人軍属その他に対しましては、もう無条件にこういう認定をするということと内容的には同じだというふうに考えられるのですがどうでしょうか。
  105. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 法律の条文から言いますると、こういう字句を使っておりまするから、法律的には無条件ということは言い得ないのでございます。私はこの案のできまする際に、拘禁中において公務傷病にかかった人はどのくらいあるかということを調べましたところによりますと、そうむちゃに多い数ではありません。ほんとうに自分の故意、過失から傷病にかかったという人はありませんから、結局は拘禁所には入っておった人で、作業で傷病になった人には、全部公務のために傷病、疾病にかかった場合と同じような恩給が行くようなことになるのじゃないかと考えております。
  106. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つは、拘禁中の期間というものは恩給の年限に通算するということですよね。そこで私の、まあ普通の常識として考えますことは、かって戦争中、県等におきまする有能な行政官、事務系統あるいは教育系統、それらの人たちが南方の司政官として皆動員された。ところがその動因というものの司政官としての外地勤務が在職年数に通算されておらぬと思うのですが、これは間違いですか。
  107. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 司政官の在職年数はすべて通算しないのではなくして、ある一定の制限、御承知通りの軍人と同じような一定の制限のもとに通算することになっております。
  108. 野本品吉

    ○野本品吉君 その制限というのはどういうことですか。
  109. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 御承知通り、軍人と同様に、引き続き七年以上の在職ということに限定されております。
  110. 野本品吉

    ○野本品吉君 これはまあ決して私は拘禁されておる人を犯罪人扱いしたい気持はそうないのですけれども、かっての戦争指導者として、国民感情から言えば、相当考えさせられておる人たちの拘禁中の期間というものが通算される。一方内地におりさえすれば満足に勤続できて、そして有能な行政官として退職するときに恩給がもらえた。司政官として働いたためにその年限が足りなくなって、恩給を受けることができないというような事態が考えられるのでありますが、そういうことはありませんですか。
  111. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) ちょっと最後のところをもう一度……。
  112. 野本品吉

    ○野本品吉君 司政官として一カ年在職しておった、外地で……。内地におればそれはずっと継続して恩給になったのです。ところが司政官として在職期間が通算されないことによって恩給権が生じないというような気の毒な人ができるのではないかということをおそれるのですが、そういうことはありませんか。
  113. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 司政官の場合におきましては、司政官の在職年がまん中にあり、前後に文官の在職年がある場合には、その場合におきましては、その司政官の在職年が短かくても通算される。恩給の実在年数に算入されておるのであります。ただ御承知のように、軍の履歴整理が十分にできていない、軍の人事記録が十分整っていないということも一つ理由とされまして、先ほど説明申し上げましたように、司政官の在職年の取扱いにつきまして、軍人と同様に一定の制限が今までつけられておったのは事実でございます。そこで今のお話しのように、在職年が切れて、司政官だけ一年しかなかったというような場合におきましては、今、野本委員の仰せられるようなことも出てくると思います。
  114. 野本品吉

    ○野本品吉君 そういう人たちに対する救済の措置というものが、これは当然考えられてしかるべきだと思うのです。いかがでしょうか。
  115. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) それは当然今後改善をして行くべき問題の一つだろうと私は思っております。
  116. 野本品吉

    ○野本品吉君 さらに同じようなことでありますが、私はあの退職公務員の人たち、それからその他にもあるのですが、非常にお気の毒な人はもう一つ特高関係の警察の人です。その特高関係の警察の人をあごで指揮しておりました上局の人は免れておる。不幸にして終戦当時特高におったがゆえをもって非常な不利な待遇を受けておる者がある。これらの者に対して当然考慮が払わるべきだと思いますが、恩給局長どうお考えになりますか。
  117. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今の不利益な取扱いを受けておる、それをどうするかということの御質問でございまするが、この不利益というのは、私今ちょっと頭に浮んだところでは、追放解除されたときにおける恩給の取扱いにつきまして、一時金を受けた人について、追放になったときの俸給が解除のときに幾らに増額され、幾らの俸給になったかを想定して、つまり多くなった俸給を想定して、それを前提として一時恩給の金額を計算して恩給を支給されるべきであったのにかかわらず、追放になった当時の、すなわち俸給支給の水準の低かった当時のその俸給を前提として、一時恩給の金額を計算して一時恩給が払われているが、これは追放解除のときの恩給としては酷ではなかったか、こういう御趣旨の質問ではなかったかと思うのでございますが、その当時におきましてGHQとこの問題に関しまして折衝に当ったのでありまするが、確かにその当時におきましては、私も野本委員と同じような気持を持たないでもなかったのでありますが、その当時GHQのいろいろな関係からいたしまして、追放当時における恩給の支払いをとめられておったという見地からして、その金だけの支払いが許された、こういうことで、追放当時における少い俸給を基礎といたしまして恩給金額を計算して、言いかえますと、追放当時に受くべかりし一時恩給の金を、後刻相当年数たってから支払われたということになったのであります。確かにこの問題につきましては、野本委員の仰せられるような気も一応しないではないのでございまするが、何と申しましても、これは数年前に一応その当時に情勢において片をつけられてしまった問題でございまするので、今これだけを取り上げまして処理することがいいかどうかにつきましては非常に疑問を持っておるのでございます。占領下におきましては、いろいろな問題がございまするので、かりにこういう問題を取り上げるといたしましても、ほかのいろいろな問題と総合して取り上げなければいけない問題になるのではなかろうか、そういうような見地からいたしまして、私たちといたしましては、占領下において処理をしてしまった問題として、一応今日までは見送ったような形でございます。   〔委員長退席、理事宮田重文君着席〕
  118. 野本品吉

    ○野本品吉君 ここにもやはり一応の考慮を払わなければならない問題があるということはお認めになっておるようでございますから、私も全くその必要を感じて、特にそういうことを私が申しますのは、その下級の特高警察の人たちを指揮しておりました人たちがほとんど無傷でこういう点が扱われておって、現場におって特高をやっておったからということだけで気の毒な人ができているので、まあ一応今そういうことを申し上げた。  それからもう一つ、これは大へん意地の悪いような質問でありますが、ちょっとお聞きしたい。これは今度の改正案で大将、中将、少将は二階級二号俸上げた。その次は三号俸たという。そこでこれも御意見のあるところだと思いますが、大将の二号俸増は恩給実額としてどれくらいの増額になるか。
  119. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 普通恩給について申し上げますというと、大将の普通恩給は現行が十六万四千八百円でございます。これは大将のかりに、こういうことば実際ないかもしれませんが、最短在職年しか在職されないとして計算した金額でございます。それが今回この法律が施行されるといたしますと、今年の十月から来年の六月三十日までは暫定的だ措置がとられておりますので、二十万三千四百円、それが来年の七月一日以後になりますと二十四万二千円になります。そこで増加額がどれくらいになるかと申しますと、来年の七月一日以後になりますと七万七千二百円、それから今年の十月一日から来年の六月三十日までは三万八千六百円になるのでございます。
  120. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう私ばかり伺っておっては済みませんから、一応この辺で打ち切っておこうと思います。
  121. 宮田重文

    理事(宮田重文君) 速記をとめて。   〔理事宮田重文君退席、委員長着席〕    午後三時五十三分速記中止      ―――――・―――――    午後四時四十二分速記開始
  122. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会      ―――――・―――――