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政府委員(
中川融君) ただいま御
質問のビルマとの賠償実施細目協定の進捗
状況でございますが、これは四月十六日発効と同時にできるだけ実施したいということで、すでにそれ以前より案を作りまして
先方と交渉したのでございます。
先方の係官がちょうどアメリカに出張中というようなことで、
現実の交渉は三月になりまして始まったのであります。いろいろ初めのらちは
日本側の案と向側の
考え方との間にある程度の開きがありまして、たとえば一例を申し上げますれば、
日本側は賠償物資をビルマ側が調達いたしますに当りまして、その契約の
内容を審査いたしまして、たとえば契約の価格が非常に不当に低廉であるというような場合には、
日本側としてはこれをビルマ側に話しまして、そういうものを適正価格に直すというような処置をとりたいと、かようなことも
考えまして、そのような案も入っていたのでありますが、これは
日本側としては、むしろビルマ側に
業者の適正な価格のものが行くということが、将来長い間の日緬
関係に好影響を与えるだろうというような気持から、さようなことを
考えたのでありますが、
先方はできるだけ普通の商売と同じような方法でやりたい、従って少しぐらい価格が安くても、そのようなことは
日本政府が一々干渉すべきではないのではないかというような議論もありまして、それらの点はその後の交渉によりまして漸次歩み寄りまして、
日本側もしいてそのような価格のチェック等はしない、
日本の法令に従って出される限りそれを承認するというふうに変って参りました。今一つ残っております問題は、
現実に支払いいたします際に、
日本側はビルマ賠償協定の
趣旨にかんがみまして
日本側において直接支払う、
日本の
業者に支払いをする。ビルマにビルマ側の欲する品物が行ったという確証が来ました場合に、
日本側の手で支払いをするということを言っておりましたのに対しまして、向う側が必要な代金というものをビルマ側の手に移しかえて、ビルマ側の手でこれを支払いたいということを言っております点が残ったただ一つの問題であります。この点はいろいろ
日本側にも法規上の建前というものがございますので、
政府の金をそのままビルマ側に渡すというわけにも行きませんので、この点は目下話し合いによりまして、両方歩み寄りまして、できるだけ
先方がそういうことを主張いたします根拠と、そこにあります気持としては、できるだけ契約というものを自由にやらしたい、支払いも自由にやらしたいということでございますので、その
趣旨を十分汲みまして、ビルマ側が安心するような方法によって、しかし
日本の法規の建前をくずすことなくこれを実施したい、かようなことで目下
先方と話し合いをいたしております。これが残っております唯一の問題でございますので、近く遠からずと申しますか、ごく近くこの問題も解決するであろうと私たちは見通しを立てております。なおこの実施細目自体が本ぎまりになります前でも、すでに懸案となっておりますビルマ開発の事業等で、
日本の
業者がすでに契約を事実上結んでおるものがございます。かようなものを四月十五日以後は賠償に繰り入れて実施したいという希望が
先方にありますので、それら当面の懸案になっておるのにつきましては、暫定方式というものをきめまして、そうして将来の本格的な細目協定を決してそれによって拘束するものではないという了解のもとに暫定取りきめをいたしまして、これでとりあえず実施の道を開きたい、かように
考えまして、暫定取りきめの方式はもうビルマ側と実質的に全部話し合いがついております。ビルマ側との間に話し合いがついておりますのでもうすでにこれは発足し得る段階になっております。さようなことで、できるだけ賠償実施細目の締結を急ぎたい、かように
考えて努力しておるところでございます。