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政府委員(園田直君) お答えする前に先ほどの問題をおわび申し上げますが、先ほど参事官から申し上げましたのは、答弁の表現が非常に
工合が悪くておしかりを受けておりますが、御指摘のごとく、
松原機関の失敗で、
松原機関がどのような構成でございましょうとも、
政府がそれの損失の補償をしますについては、損失補償の
法律もしくはその他議会の認可を受けてやります。あるいはまた
松原機関の失敗によって相手国に損害を与えた場合には、相手国と
わが国との折衝によって、それに基いて議会の許しを得て支払いをやって行くのが当然でございまして、参事官の述べました点は、抽象的に、
松原機関が非常に働いて失敗をしたから、かわいそうであるから何とかしてやらなければならぬという気持をそのまま答弁申し上げておしかりを受けたものと思います。二百万の支出がどのような支出になっておりますか、私政務次官に就任以来の
一般の支出については、大体百万円以上のものについては記憶しておりますが、就任以前のことでありまして、多分出ておるとすれば、そのような損失補償の名目で出ておるのじゃなくて、
現地工作費その他の
形式で出ているのじゃないかと思いますが、詳細についてはわかりませんので、この点についてはあとでよく調査をして御報告申し上げたいと思います。
それから第二番目の、
外務省から出しておりまする情報に対する御注意でございますが、御指摘のごとく、主観を交え
希望的観測をもって情報を作りますことは、これは情報の最大の失敗でございます。ただし、諸情勢の判断によって
日本の国是に基き、こうこう、こういう情勢であるから、
日本はこうしなければならぬという判決を与えるということは、これは情報に許された権限であると私は
考えております。いずれにしましても、このお配りしておりまする「世界の動き」というものは、そういう国家の国是に基く判決を御報告申し上げるべきものではなく、またそれは議会によって御
審議を願うために、この情報は
希望的観測もしくは主観を交えずして、事実ありのままを御報告申し上げるべきであります。今南ヴェトナムを防禦するためには何かそういう工作費を使っておるかということでありますが、決してそのようなことはございません。そのような工作費は使っておりませんが、表現の仕方はこれは十分検討いたしまして、情報局長によく御趣旨のあるところを伝えまして、自己の有する
思想なり主観によって、お配りする資料等にそういう色彩を加えないことは私も当然と
考えますので、御注意の点はそれで御了承願いたいと
考えます。
なお次にお尋ねのありました問題は、非常に大事な大きな問題でございまして、あるいはその御質問に当を得たお答えができないかもわかりませんが、われわれ
外務省として
考えておりまする点は、
移民というものが今質的にも量的にもばかりでなく、大きな方針が転換をしなければならぬ時期であるとわれわれは
考えております。その
移民は単なる
日本国内の人口問題であるとか、あるいは午前申し上げました各種の問題は、これは
日本国内から申し上げる具体的な問題でございまするが、もっと大きな理想面から言いますると、やはり戦後の世界平和という点から、
一つの富なり、
一つの人員の配置というものが、みんなの協力によってひとしく分布されるという天下の私はそういう大きな筋道から、
移民の相手の出先き場所あるいは
移民個所というものは出てこなければならぬものだと
考えております。そういう筋から
考えまして、今日やっておりまする
移民の相手というものは、必ずしもそういう方向に沿っておるものではございませんが、御
承知の
通りに、戦後の国交
関係の問題あるいは今日までのいきさつ等ございまして、
移民を今このまま中止する
段階ではなくて、むしろ今までのものを是正しつつ拡大しなければならぬことは皆さんひとしく御支持願っておるところでございますので、今までやっておる点をとりあえずやりつつ、大きな計画のもとに転換しなければならぬ。かように
考えております。従いまして、
中南米ばかりではなくて、東南アジアあるいは隣国、あるいは先ほど御指摘になりました
方面等につきしましては、ただ単に
移民の分野からばかりでなく、あるいは賠償の問題、あるいはこの賠償を具体的に実施をいたしまする労務、あるいは
経済開発の問題等からもからみ合わして
移民の問題を進めて行かなければならぬと
考えております。お答えになりますかどうかわかりませんが、以上お答えを申し上げます。