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1955-11-04 第22回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十一月四日(金曜日)    午後零時六分開会     —————————————    委員の異動 本日委員松本治一郎君及び木島虎藏君 辞任につき、その補欠として千葉信君 及び三好英之君を議長において指名し た。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            長島 銀藏君            宮田 重文君    委員            植竹 春彦君            中川 以良君            岡田 宗司君            加瀬  完君            千葉  信君            藤田  進君            松浦 清一君            松澤 兼人君            野本 品吉君            松原 一彦君            三好 英之君            堀  眞琴君   国務大臣   国 務 大 臣 大久保留次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    調達庁労務部長 海老塚政治君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君     —————————————   本日の会議に付した案件日本国との平和条約効力発生及  び日本国アメリカ合衆国との間の  安全保障条約第三条に基く行政協定  の実施等に伴い国家公務員法等の一  部を改正する等の法律の一部を改正  する法律案千葉信君外六名発議) ○公共企業体職員等共済組合法案(植  竹春彦君外三十七名発議)     —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  本日は継続審議になっておりまする二つの法律案審議していただきたいのでありますが、まず日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして御審議を願いたいと思います。ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  最初提案者に対して御質疑があれば提案者に対する御質疑を先にお願いしたいと思います。提案者に対する質疑はございませんか……。それでは便宜提案者に対する質疑もまだ出るかもしれませんが、それはあと回しにいたしまして政府側に対する質疑をしたいと思います。政府側に対する質疑があれば御発言願います。
  4. 千葉信

    千葉信君 調達庁の方にお尋ねいたします。駐留軍労務者に対する特別退職手当の問題について、御承知のように調達庁としても対軍交渉と言いますか、アメリカに向って交渉を継続されているはずです。また御承知のように国会としても案件継続審議になっておりまして、きょう審議することになっておるのでありますが、最初にお尋ねしたいのは、アメリカ側調達庁当局交渉経過ですね。まあ長官おいでになればかなり詳しいお尋ねができると思うのですが、きょう遺憾ながらおいでがないので、出席の皆さんの方から知っている限りを大体承わっておきたいと思います。
  5. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 実は先般福島長官が御出席になりまして、内閣委員会の、委員会としてでなく協議会としてこの問題につきましていろいろお話し合いがありましてからの対置折衝状況をあらまし私から申し上げておきたいと思います。  実はそのときの話もございましたが、本年の当初から駐留軍組合一つであります日駐労から中央労働委員会に対しまして、本件退職手当の問題につきまして中労委調停の申し入れがございました。中労委使用者側、すなわち調達庁並びに日駐労両者と再三にわたりまして会議を持ちまして、意見の聴取をはかった上、八月十日に調停案を出したわけでございます。その間、私ども調停案が出されますまで、米軍に対しまして中労委との交渉経過等につきましてはそのつど先方に連絡いたしまして、こういう状況になっているということを米軍に通報し、また米軍意見も聞きまして、中労委の方の会議に臨んだわけでございます。八月十日の中労委調停案内容につきましては、すでに御承知のことであると思いますので、詳しいことは申し上げる必要はないと思いますが、調停案本文におきまして、中労委調停案は「現行退職手当支給規程中、解雇の場合の退職手当について、国家公務員との均衡をはかる上から改訂の必要があることを認め、特に勤続三年未満に対しては最低保障の方途を講ずこと。」という本文を有しまする調停案を提示したわけでございます。私ども使用者側の一方といたしまして、アメリカ軍に対しましてこの調停案について使用者として受諾するかどうかということを調停案が出ましてからアメリカの面容を得るまでまあ三週間ばかりかかったわけでございますが、その間前々調達庁からアメリカ側に対して申し入れている考え方も述べまして、この調停案につきまして米軍側意見を聴して折衝を続けたのでございますが、駐留軍側の最終的な回答は、米軍側としてはすでに調達庁に対して使用者としての米軍立場を伝えた基本的な態度変りはない。すなわち本件退職手当の問題については、同一職種に従事する労務者について、駐留軍労務者国家公務員との比較した場合に、単に退職手当のみならずそれぞれが受けますすべての利益、具体的に申しますと、公務員については年金とかその他のもの、駐留軍労務者につきましては失業保険その他のものを含めて総金額において駐留軍労務者の方が劣っておるということが立証されない以上は、現行退職手当を改正する意思がない。ことに駐留軍労務者については現在支給されている給与ベース国家公務員比較して相当高額になっておる、こういうことが駐留軍労務者職務の不安定ということをカバーしているのだということを申しまして、従ってこの調停案は受諾することができないという態度を変えていないわけでありまして、中労委に対しまする使用主側意見としても、従って現在の退職手当を変更するという調停案は受諾できないという意味の同等を実は出したわけでございます。その後中労委の勧めもありまして、米軍側と、なおこの点について考慮余地はないだろうかということを数次にわたりましてその後もこのような折衝はいたしておりますが、現在までのところ米軍側先ほど申しました米軍側態度を少しも変えていないわけでございます。遺憾ながら米軍側の同意を得て退職金を、金額の総額ないし変更をするということはできないような状況にあります。
  6. 千葉信

    千葉信君 ただいまのお話を聞いていておわかりの通り、なかなかこの問題についてはアメリカ軍当局の方の態度が強硬なことは前と変りがない状態であることはよくわかりますが、しかし一方からいいますと向う考え態度はわかりますけれども、しかし日本政府といいますか、特別調達庁方針としては、これは必ずしもアメリカ軍当局が言っておる国家公務員均衡を得ておるという考えには、これは最初から賛成していないはずだし、調達庁としてもまた一定の方針をもって交渉を継続するのだと思う。特に問題になりますことは、アメリカ軍の方では一貫してその失業保険金の問題なんかもひっくるめて、盛んに主張しているようですが、しかし公務員の場合には、御承知のように最近は整理退職等の場合には、臨時待命制度とか特別待命制度かい制度による恩典も一応はあるわけです。そういう点から言いますと、どうも駐留軍労務者に対する退職手当の率の据え置きということは均衡を失しているということは、これはもう調停に待つまでもなくはっきりしていると思うのです。ですから、そういう事実がある以上はやっぱりこれは特別調達庁としてももっと積極的に交渉を重ねてもらわなきゃならぬと思うのですが、今の御答弁の最後にこれじゃもう如何ともしがたいという結論が出ているようですが、それは一体そういうふうにとっていいですか。交渉してももう交渉余地はないというようなお考えになっておられるように、今御答弁になっておられますが、そうじゃないでしょう。これはもう調達庁としては今後ともこの問題については真剣にといいますか、もっと積極的に交渉しなきゃならない案件だというふうには考えられているはずですね。その点どうです。(「さじを投げてしまったのかな、そこらが聞きたいんだがね」と呼ぶ者あり)
  7. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 退職金の具体的な資格になりますといろいろ問題があると思います。私どもも昨年来この問題について米軍折衝いたしておりますのもただいま説明いたします中にあります駐留軍調停案にも含まれておりますが、特にその三年未満の者について退職金だけを比較いたしますと、国家公務員比較して非常に劣っているのは事実でございまして、まずとりあえずこの問題だけでも解決いたしたいというつもりで、今まで折衝をいたしてきたわけでございます。これは日本政府考え方というよりも、むしろ使用主一つとしての調達庁考えと申した方が正確だとは思いますが、しかしながらただいま申し上げましたように、再三の交渉にもかかわらず、アメリカ軍は現在までその態度を変えておりません。しかし調達庁といたしましては、お話にありましたが、人員整理も決しておしまいになったわけじゃない、むしろこれから給料の引き上げというような問題に伴って人員整理も行われるのでございます。なお機会をねらって折衝する、こう考えております。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 ちょっと関連して。具体的に調達庁側としては今千葉委員の御質問した点、すなわち中労委調停案が出ておりますが、それらに対して基本的に駐留関係労務者の問題に対してどういうように……どういうようにと申しますのは、アメリカ軍が言っている点もこの点は調達庁自身としては甚だ不満である、中労委のこの点は妥当であると思うといったような、調達庁自身労務関係に対する中労委調停案に対する基本的な態度をもっと具体的にお話していただきたいと思う。
  9. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 公務員駐留軍労務者との退職金支給額の問題でございますが、これを数字でもって比較いたしますと、大体三年四カ月を境といたしまして、三年四カ月未満駐留軍労務者国家公務員比較して退職金が低くなっております。これは国家公務員退職手当について最低保障制度というのがあるためでございますが、そのために国家公務員よりも三年四カ月未満の者については著しく低くなっているのは事実でございます。しかしそれ以上の勤務年限の者につきましては、現在の平均給与ベースをもとにいたしまして比較いたしますと、駐留軍労務者の方が相当上回った退職手当を受けていることになっております。そういうような状態にありますので、ことに駐留軍労務者につきましては退職……ことに駐留軍引き揚げ等に伴います解雇におきます場合には、先任順序と申しまして、勤務年限の短かい労務者から解雇順位を先にするというようなことにきまっておりますので、さしあたり問題になっておりますこれら短かい勤務の者の退職手当について、いろいろ失業保険金、あるいはその他の関係があるといたしましても、退職金の増額ということを使用主側としてはするのが至当であるという考え調達庁は持っておりまして、そういう考えでもって米軍側折衝をいたしているわけでございます。
  10. 加瀬完

    加瀬完君 調達庁米軍側に対して折衝をしておる点は、今御説明のありました三年四カ月未満の者が低いから、これだけを何とかしたいということだけで、たとえば国家公務員ならば退職といいましても一応安定性がありまして、その退職を慫慂されたり、近い将来において大量また退職させられたりという条件は、今のところ薄い。しかし今問題になっております全駐労関係の方々になりますると、大量解雇の場合が非常に濃くなってきている。今までは年限の短かい者から解雇されたにいたしましても、必ずしもそこでとどまるわけには行かないという危険性が非常に強い、こういったような事柄といいますか、不安な身分上の状態というものは、今度の退職手当そのものを改訂する場合には、調達庁側態度としては、アメリカ軍に対して交渉条件あるいは交渉の過程にそういう話し合いをもって目的を達するような方法をとるといったようなことは、全然考えられておらなかったのか。こういう点をもう一度伺います。
  11. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 駐留軍労務者身分が非常に不安定である、勤務期間国家公務員比較して非常に短かい、従ってそういう不安定な職務にいる者については特に退職手当について考慮しなければならないということは、もう一年来私ども口をすっぱくしてアメリカ軍の方には申しております。申しておりますが、先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、アメリカ軍はその点は、駐留軍労務者給与ベース国家公務員比較してずいぶん高いじゃないか、たとえば先般北海道で、昨年の夏だったと思いますが、陸軍関係労務者整理があったときに調達庁は努力いたしまして、当時の自衛隊の協力を願いまして、相当解雇労務者自衛隊に吸収するようにいたしたのでございますが、その後空軍が同じ地域において労務者の需要を生じまして相当数の被解雇労務者アメリカ空軍雇用せられるようになったことがあるのでございますが、そのときに一たん自衛隊に入ると約束した者がほとんどやめてしまって、駐留軍労務者として再び米空軍に入った、こんな例を、まあ事実なんでございますが、こんな例を実は米軍があげまして、こういうように駐留軍労務者給与というものは非常にいいので、これは労務者不安定性をカバーして余りあるのだということを繰り返し先方は主張しているわけでございます。私どもの方は、そうはいっても、いろいろ駐留軍労務者の生活の不安定、雇用の不安定ということはぬぐい切れないことであるので、その点を十分考慮してくれなければならないということは再三主張はいたしておりますが、アメリカ軍は、給与ベースが相当それを見込して高くしてあるということを主張して譲らないまま対立の状態になっておるという状況でございます。
  12. 加瀬完

    加瀬完君 関連質問が長くなって恐縮でありますが、アメリカ軍の問答はよくわかりました。それを調達庁側でどう思っているかという点をもう一度はっきりとお答えいただきたいのです。といいますのは、今の給与がいいからこれは退職金が低くてもいい、それと見合せて今の給与を高くしているのだという、そういう給与体系というものは、現在はどこでも考えられておらないと思います。給与が高ければ退職の場合もまた退職手当給与に比例するということが常識であって、今給与が高いから、これはあらかじめやめさせるために給与を高くしてあるのだから、そのときには退職手当を払わない。そういうアメリカ軍言い分というものは、調達庁側としてはごもっともだとお考えになっておるのか。不安定性をカバーするのに余りあるというこういう御言葉で、アメリカ側立場を御説明なさいましたが、調達庁自身も、今の給与不安定性をカバーするのに十分であるから、これはアメリカ言い分が当然であって、それ以上は、中労委調停があろうともそれは受けられないという、こういう御態度であるのか。どちらでありますか。はっきりと、アメリカはそういうけれども、この問題は調達庁としてはこういうふうに考えて、これを基本線として交渉をしておるのだ、あるいは中労委の問題も受けて立っておるのだ、こういうはっきりした、アメリカではない、あなたがたの調達庁自身のお立場というものを、明確に説明をもう一度願いたいと思います。
  13. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 調達庁といたしましての立場をはっきり申し上げますと、これは今までずっと変らないわけでありますが、特に駐留軍労務者については、アメリカ軍の引き揚げに伴いまして解雇される、従って雇用が不安定であるということもありますし、また三年未満労務者につきましては、退職金公務員に比べて低いということもありますので、これらに該当する労務者については全部上げろということは非常にむずかしいことだとは思いますが、差し当り三年未満労務者については、国家公務員均衡のとれるような退職金に引き上げなければならない、そういう立場でずっと折衝を続けているわけであります。
  14. 千葉信

    千葉信君 関連質問の中から問題が少し出てきたようですが、お話を聞いておりますと、これは米軍側の言う意見を代弁して言っておられる点に関連してくるのですが、国家公務員駐留軍労務者と比べてみると、給与関係なんかでは非常に一方が有利になっているということは、これはアメリカ側言い分です。何か部長の話を聞いていると、それを事実として肯定しているかのような今の御答弁だと思う。この点については前にも調達庁長官とこの委員会で私はやり合ったことがあるのですがね。きょうの場合にはたしか労務部長ですか、労務部長がそういう考えを持っておられると非常に困るので私はお尋ねしたいと思うのですがね、一体国家公務員駐留軍労務者と比べて給与が非常に有利だということはどこから言えるかということなんです。おそらくおっしゃっていることは、両方の平均給与額をいきなり比べてみて、片っ方の平均給与額は多いからいいのだというような結論になっていると思うが、しかしこれは考えてもらわなければならぬのは、今その基準にしていろいろ給与考える場合にも、あるいはまた給与を上げたり下げたりするときの一つ考慮対象になっているやり方も、平均給与というものを対象にしていますが、しかしその平均給与金額だけを、こっちが高いこっちが安いということになったら、これは大へんだと思います。御承知のように政府部内の各省庁でも各省ごとに別々に平均給与を出したらみんな違います。それはどういうことかと言いますと、各省庁では勤務している職員構成内容が違いますし、年令も違うし、学歴も違うし、あるいはまた家族構成も違うし、勤務地も違う、だから各省庁片方では二万円近いところもあれば、片方は一万そこそこという日本政府の中の省庁でもそういうことがありますし、これは決してどっちの平均給与が高いとか、どっちの給与がいいとか悪いとかいうことの比較にはならないのです。これはその職員内容を全部基礎にして比較をしなければならない。それと同じことが駐留軍労務者国家公務員との比較の場合にもそれぞれ言えるわけです。駐留軍労務者の場合も勤続年数は短かいのですが、学歴と、年令なんかは相当高いと思うんです。ですからそういう点から簡単に、いや駐留軍労務者給与がいいとか、平均給与が高いからということを向うが言うときには、調達庁としてはそれに対して反駁できる正確な資料を持っていなければならないと思います。これは調べるということになれば、あなたの方の職員の場合だけを調査してはならないから、やはり国家公務員実態というものもあなたの方では十分調べて向うの方と折衝する資料を整えておかなければならぬ、そういう点については調達庁としては今までずっとやっておられますか。
  15. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 実は給与比較はおっしゃる通りいろいろの要素がありまして、なかなか比較がむずかしいということは事実でございます。ただ具体的にまあ例をあげて申しますと、先ほども申しました通り、当時の自衛隊が雇い入れて大体同じような仕事につけさせるというような場合に、まあ一番いい例になると思いますが、公務員アメリカ軍労務者給与比較ということになると思いますが、その場合、大体当時駐留軍労務者の受けております六割程度の、数字ははっきり覚えておりませんが、六割程度給与しか国家公務員については支給できなかった、これはいろいろまあガードだとかドライバーだとかいろいろ職種がありまして、たまたま北海道の場合においてどういう職種であったかはっきり覚えておりませんが、まあ低い給与しか与えることができなかった、こういう事実がございます。また私どもアメリカ軍折衝するためにそういうような資料をいろいろ集めたのでございます。中にはおっしゃる通り具体的職務内容が違いますために比較ができないものもあります。これはまあどっちが高い、どっちが低いというわけにはいかないわけでございますが、比較ができますものについてはやはり学歴でありますとか勤務年限でありますとか、そういうものを比べますと、どの程度駐留軍労務者の方が高いということは、いろいろ違うわけでございます、覚えておりませんけれども、事実駐留軍労務者の方が国家公務員として雇われております場合よりも高い給与を受けているような調査は出ております。
  16. 千葉信

    千葉信君 どうもそういう調査が完全に行われて、たとえば対象となる国家公務員の場合の給与状態平均給与はわかっているけれども実態調査というものはまだ現在もできていない格好なんです。実態調査抽出調査して、地方公務員の場合も国家公務員の場合にもあります。併しその実態について十分に調査されているということは、国家公務員の場合でもないのですよ。その国家公務員の場合でもないものを、あなたの方である程度また抽出調査でもって比較するという方法しか現在のところないと思うのです。だからその比較というやつは当てにならない。それから自衛隊に行く場合に、自衛隊の方の給与が安かった、高かったということを言われておりますが、そういう事態は何もその自衛隊に行く場合にそういう差がつくとか、国家公務員になる場合にそういうふうに差がつくということじゃなく、新しく採用される場合のその初任給関係等から行きますと、国家公務員自体の中で、やめて行って新しく採用される場合にもそういう事態が起るのです。だからそういう点も考えて、あまりそういう駐留軍労務者の大きな利益関係する問題を簡単に割り切らないで、もっと私は慎重な態度をとってもらいたいと思う。十分の調査をすればするほど、駐留軍労務者の採用当時の条件、それから駐留軍労務者の置かれている作業の環境、それから将来の見通し、そういう点なんかが考えられて初任給が決定して、昇給というものが決定して行く。ですから現在の既得権として、実績として一応の給与水準に達しているものを、これを簡単に割り切って、安いとか高いという結論を出すことはこれは非常に危険だと思う。これはこの前も長官ともこの委員会で十分に話し合ったところですから、まあこれ以上はやめますが、やはりあなたが労務部長であるというから私は一応これだけのことを申し上げるので、もっとこういう問題については慎重な態度を私はとってもらう必要があると思う。  まあこれはこのくらいにして、その次にお尋ねしたいことは、最近日本に駐留しているアメリカの軍隊の空軍費とか海軍費とか陸軍費とかのうちの陸軍費のようなものがだいぶ削減しているということがはっきりしていると思うのですが、その点どうなっていますか、陸軍費関係は。
  17. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 御質問の点、実は私どもといたしましても駐留軍労務者の削減に響いて参りますので、再三特に陸軍関係につきまして先方にその内容を明らかにしてくれるように要望したわけでございますが、アメリカ会計年度は申すまでもなく七月一日から始まっておるのでございまして、今になってわからないということは言えないのでございますが、令達が本年度は決定が非常におくれまして、私ども先月の初めに、十月の上旬だったと思いますが、軍に行きましたときに、ちょうど今日司令部から陸軍の方に予算令達があったんだということを言っておりました。で、そのときはまあ令達があったばかりであるから、従ってこれが駐留軍労務者にどういうふうな影響を及ぼすかということはわからないが、わかり次第調達庁の方に連絡をするという話でございました。その後再三米軍陸軍の方にその内容を知るために行きましたところ、つい最近駐留軍陸軍予算要求額に対して四八%削減されたということを申しております。それがそれでは労務者にどういうふうに響いてくるかということを尋ね、また要求額といってもまあ山かけその他があるだろうから昨年度予算と比べてどの程度削減になったんだということを聞いたのでございますが、そういう点については答えることは現在のところできない。なぜならば四八%というのは総額について四八%削減で、内容的にいうとまあいろいろの費目があるから四八%そのものがそのまま駐留軍労務者の減員ということにならないのはもちろんだ。しかしその数字がはっきりすればまたすぐ調達庁に連絡する。現在は各部隊ごとにその割り当てられた予算が通達されて、部隊は自己の任務の達成という形から、その予算で十分であるか不十分であるか、まあ足りないまでもやって行けるかということを検討中であって、部隊によっては復活要求等を陸軍司令部を通じて極東軍司令部の方に申し出ているものもあって、その調整をはかっているのが現在の段階である、こういうことでございました。でありますので、現在労務者がどの程度年度予算のために削減になるかというはっきりした数は申すことは先方も現在の段階ではできない、こういうような状況になっています。
  18. 千葉信

    千葉信君 そうすると、この四八%減というのは要求に対する減額の比率ですか。
  19. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) その通りでございます。
  20. 千葉信

    千葉信君 そうすると大体昨年の駐留軍陸軍費に比べてどれくらい減っているかということは、かいもくこちらの方としても見当つかないのですか。
  21. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) その点、先ほど申し上げましたように、すぐ私は昨年と比べて一体どうなんだ、要求額とじゃわからないから、昨年と比べてどうなんだということを尋ねたのでございますが、これは予算内容がいろいろな費目が分れているので、今わかっているのは総額について四八%減だということしかわかっていないと。昨年度に比べて私ども知りたいのは労務費がどういうふうになっているか、あるいは労務に関係する費用が昨年よりどれくらい少くなっているのかということなので、それを尋ねたわけでございますが、回答は現在わからないということであります。
  22. 千葉信

    千葉信君 まあ昨年度比だと問題がはっきりするのですが、要求額に対する減ということになると、どうもわれわれとしても雲をつかむような格好で、どれくらい一体その減額によっていろいろな問題が起ってくるかというその推測が非常に困難だ。しかしいずれにしても調達庁としても要求に対するこの減額の程度で一体また再び労務費等に大きななたがふるわれるおそれがあるかないか、その点にいってはどういうふうにお考えになっておりますか。
  23. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 実は駐留軍労務者の本年度の数につきましては、まあこの予算の問題が一つのポイントになるわけでございますが、極東軍司令部の方とも再三打ち合せをしているわけなのでございます。で、極東司令部といたしましては、当初の見積りでございまして、ただし予算がきまらないから、推測の数字だということは繰り返し申しているのでございますが、本年七月から来年六月までの米会計年度におきまする極東米軍の年間平均労務者数は十四万六千名である、こういうふうに申しております。ただいま十月一日現在の駐留軍労務者の数は大体十五万人、十五万七十人という数字になっております。十五万人ということになっておりまして、その予想から行きますと、また若干は、一万数千でございますね、来年の六月末までには減らさなければならないということになっております。まあくどく繰り返して申し上げるようでございますが、この最初の年間平均十四万六千というのは、予算がまだきまらない前に、実は日本政府予算をきめる必要から、米軍側向うができない、できないと言うのを、無理にどのくらいだと言って見積らして見積ってもらった数なのでございまして、はっきりその通りになるということは言うことはできません。予算令達になりましたから、それによりましてはっきりした数字はわかるだろうと思いますが、現在の様子はそういうことであります。
  24. 千葉信

    千葉信君 十月一日現在何人ですか。
  25. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 十五万七十人です。
  26. 千葉信

    千葉信君 そういうことになると、われわれどうもますます不安を感ぜざるを得ないのですが、見積りとして向うの方で本年度十四万六千人という考えを持っておられる。そしてまあ陸軍予算の要求について出したところが、その分から四八%も削られてきた。そういうことになりますと、大体推定として成り立つのは、この十四万六千人というのは四八%減にならない当時の労務者の数というふうに考えなければならないと思うのですが、この点は調達庁はどう考えておられますか。
  27. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) これは七月ごろアメリカから日米合同委員会に対して、こういうふうになるだろうと思うということを言ってきた数字でございます。先ほど申し上げましたように、予算額が減る、アメリカ軍が引き揚げて、それに伴って労務者が減るということは、当時はアメリカ軍としても見通していたわけでございまして、まあ一つの話によりますと、それと同じころ、来年六月には十三万一千くらいになるんじゃなかろうかということを、正式なあれではございませんが、言っているような担当係官もおりまして、そういうことを見通して年間十四万六千というふうに向う側は言っておるわけでございますので、予算のことははっきりはさまっておりませんが、それも頭に入れての数であると私どもは思っております。
  28. 千葉信

    千葉信君 どうもあなたにこの問題を聞いてみてもはっきりせぬとは思うけれども、しかしかような御答弁を聞いていても不安な問題だと私は思うのです。大体今の十五万七十人から、最初のその見通しの労務者の数からいいましても、十四万六千人というのですから、相当開きがある。しかもその十四万六千人も、実はまだ予算がはっきりしないうちに大体この程度だろうという見込みの数字である。ところが当時でさえも今十三万云々の数字も出ていますが、実際問題として予算が四八%も削られてきたということになると、これは四八%削られてもしかし当時の見込みの労務者数については変りはないのだということになる、こういうことになると、駐留軍労務者立場というものは非常にみじめなものになる。従ってまたそういう点からも調達庁としてもこういう事実の上に発生してくる労務者の不利益といいますか、気の毒な状態に対しては、この際よほどふんどしを締めてかかってもらわなければならぬ。まあそれはぜひ一つやってもらわなければならぬと思うけれども、ただ一つここで具体的にお尋ねしておきたいのは、今調達庁の方でどこどこに勤務している労務者に対してどういう手を打たなければならぬという、たとえばどこかの職場で何人切らなければならぬというような話が出たり、そういう見通しが具体的になってきている所は、一体どのくらいありますか。それから人員数は……。
  29. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 大体今年十二月までに陸軍関係解雇されます者は二千名ぐらいだと思っております。はっきりした資料はございませんから、少し違うかもしれません。実は退職金の問題ともからんでいるのでございますが、駐留軍労務者につきましては年末手当を十二月十五日在職の労務者に対して支給するということになっております。それで全駐労その他の組合の要求もございまして、私どもとしては退職金の増額も現在できていないような状況にあります。それでこの年末に首を切られることは労務者に対して非常に気の毒だ、少くとも年末手当を……年末手当は昨年まで一・二五カ月、本年は増額するということになれば一・五カ月、組合は二カ月分の要求を出しておりますが、この年末手当を支給した上で解雇をするようにいたしたいというふうに考えまして、先ほど申しましたように十月当初に軍から予算が大体きまったからという話がありました時、あるいはそれ以前から、どうぞこの解雇はできるだけ労務者が年末手当をもらってからにしてもらいたい、それまでは、年末手当をもらえるような状況になるまで解雇を引き延ばしてもらいたいということを申し出ておりましたところ、幸いにも、若干の例外はございました、これは部隊の閉鎖ですとか、あるいは予算上どうしてもやりくりがつかないということのためであると軍は申しておりますが、若干の例外はございましたが、大体この予算に伴う労務者解雇ということが、年末手当をもらってから、もらう資格を得てからというふうに引き延ばすことができまして、これははなはだささやかなことでございますが、退職金の問題とからんで、われわれとしては一つ努力を示したかいがあったと思っておる点でございます。これは米軍に対してばかりでなくて、BCFKにつきましても十二月一日から来年の一月七日ですか、一月七日までは解雇はしないというふうなことをBCFKの方でもきめまして、その間に在職しておる労務者についてはやはり年末手当を支給するというような措置をとることができたのであります。
  30. 千葉信

    千葉信君 ただいまの点では大いに調達庁の努力を多としますが、その調達庁の努力を多とされない、その分に入らない人は、一体二千人くらいのうち何人くらいあるのですか、それから職場はどうですか。
  31. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 大体十二月末まででございますので、大体もらえるのでございますが、二百人くらい十一月二十八日ごろ解雇になるのがございます。
  32. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 これは提案者たる千葉君にお尋ねしたいのですが、この提案はどういうわけで社会党とそれから労農党だけが提案者となったのですか、それをちょっと。
  33. 千葉信

    千葉信君 ここの席で答弁していいですか。
  34. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 ええけっこうです。
  35. 千葉信

    千葉信君 問題の性質から考えて、私どもこれはもう国民のだれもが公務員駐留軍労務者との間に給与上の不均衡があるということは、それは承服のできない点であることはもう御承知だと思います。ですから、どうしてもやはり日本労務者であろうとなかろうと、その点については均衡を得るようにすべきだということは、これは保守党といえども、その他の政策は別として、そういう筋の通った話については、私は本来同じ歩調でこういう問題を解決すべきだと考えていた。ですから、そういう角度から御提案申し上げましたこの法律案については、事前に十分保守党の皆さん方にも御相談申し上げて、できればこれは各党共同提案ということでこの問題を解決しようとしたのです。実際その努力をした。しかしその二十二国会の会期はそうゆっくりした会期でもないことが初めからはっきりいたしましたので、その努力が実を結ばない状態のまま会期の切迫というふうな条件の中で、やはりこれは一応話のついたところだけでもまず署名をしてもらって、この法律案を出そうということになったのです。
  36. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 今の千葉君のお話ですと、われわれ自由党とか、われわれ保守党はいかにも労働問題に無関心のようだという工合に御説明になるのですよ。事前に私どもはこの話を聞いたのだ。聞いたけれども出てきたこの提案そのものが、あなた方の方の党ばかりでできているから、実はどういうわけかということをお尋ねしたのです。事前に交渉したことは全部スポイルされたわけですか。
  37. 千葉信

    千葉信君 スポイルされたということではなくて、話はかなりある程度軌道に乗りかけていたのですが、乗りかけたまま容易に前進しなかった。今申し上げたようにそういう前進しないままでいつまでもその状態で努力を続けていると、これは会期がなくなってこの法律案を出す機会を失ってしまう、そういう時期にきたわけです。ですからもちろん今からでもおそくはないから、ぜひ一つ御賛成願いたいと思うのですが……。別に他意あったものじゃなく、事情、そういう事情だったものですから、ここで署名してある諸君だけを、発議者、賛成者ということで提案したわけです。こういう事情です。
  38. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) お諮りいたしますが、先ほど懇談的に話し合いをいたしましたように、もう一つ法律案につきましても多少の質疑をしていただきたいと思いましたが、一時になってしまいましたので、約一時間ほど休憩しまして、二時から再開をして、さらにお打ち合せの上で議事を進めたいと思います。御異議がなければそのようにいたしますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 休憩前に、海老塚労務部長からちょっと数字のことで言いたいということですから……。
  40. 海老塚政治

    説明員海老塚政治君) 先ほど十一月中に解雇になって解雇手当をもらえない者のことをちょっと申し上げましたが、事務の折棒をしましたのは、予算削減に対する解雇を延ばしてもらいたい、部隊の閉鎖はやむを得ないと思いますが、予算削減に伴うものでも、十一月中のはどうにもしようがないということがございまして、それに該当するのが約二百名というふうに御了解願いたいと思います。
  41. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 午後二時まで休憩します。    午後一時四分休憩      —————・—————    午後二時三十八分開会
  42. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 休憩前に引き続き、ただいまから委員会を開きます。  公共企業体職員等共済組合法案を議題といたします。本件継続審議になっておりますので、これに対しまして第二十二国会において提案者から御説明を伺いましたが、この機会に提案者に対しまして質疑のあります方はまず提案者に対する質疑をやっていただきまして、引き続いて本案についての政府の所見を求めて質疑をいたしたいと思いますから、最初提案者を代表して植竹さんがお見えでございますから、提案者に対する質疑から願いたいと思います。
  43. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 ちょっと速記をとめていただいて。
  44. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  45. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
  46. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 ただいまのお打合せによりまして、提案者に対する質問を次に譲って、まず政府に対して提案者からの質問を許されたわけでありますので、私は大久保国務大臣に政府といたされましてこの法律案に対するどういうお考えを持っておられますか、総括的な御意見を承わりたいと思います。
  47. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 委員長からも申し上げました通り、案の内容も微細な点につきましてはただいま大蔵省において検討しております。私よりも大蔵省の方が微細な点において研究がしてある。ただ私は総括的に見てこの案についての考えだけを一言申し上げてみたいと思います。それはこの案が出てきましたのは公共企業体、いわゆる三公社と言いますか、ごく一部分についての年金制度、共済組合年金制度であります。これはいずれもその事業を営んでおって相当の利益をおさめておる企業体であります。で、これと一般の公務員、ことに国家公務員はこれは事業も何もやっていない、専心に国家の仕事に従事しているものであります。こういう公務員の年金制度、恩給制度と言ってもいいのですが、年金制度と、こういうここに出ましたような公共企業体の制度等がどういう工合に調和していくか、なるべくならば同じく公務員もしくは公務員に準ずる仕事でありまするからして、できるならば公平の見地に立って同じようになるべく公平にしたいというのが私ども考えであります。ところがこの案を見ますると、現在の公務員よりも率が多くなっておる点がぼつぼつ見えておるものであります。これはどういう点であるかと言いますと、まず一点は給与の率が比較的多くなっている。一般の国家公務員の年金あるいは恩給に比べて多くなっている。これは多少掛金も多いからという議論になるかもしれませんが、その割合にしてはその給与が多い、金を多くもらっておるという疑いと言いますか、点があると思うのであります。で、これはできるならばやはり国家公務員であり、公共企業体の職員であっても大体において平均して給与した方がいいじゃないかと。もう一つの点をあげてみますと、たとえば肺病患者になった職員給与の期間の問題であります。この案に従いますと五カ年になっておる、現在は三カ年かかる、三カ年を五カ年、二カ年を延ばすという案、延ばすのはけっこうであります。けっこうでありますけれども、ほかの一般の公務員も三年を五年に延ばすということになると、これはなかなか私はむずかしい問題が起ってくると思う。従ってこういう点について、もう少しく一般公平の原則に立ってなるべく公平な措置ができますようにいたしたいという考えを持っておるのであります。しかし、しからばいつそういう案ができるかと突っ込まれるかもしれない、これはなかなかむずかしい問題だと思います。先日の委員会で申し上げましたが、政府はしばしば申し上げました通りこの公務員制度調査会を作って今研究しておる、その案ができまして、おそらく今月の半ばごろには公務員制度調査会としての案がまとまると思うのであります。これに基いてこの公務員制度を一新する意味において、公務員調査室という一つの部屋を求めて各省から事務官を置かれまして、専心に調査会においても求めた案の法文化を仕事するわけになっておるのであります。ところがこの公務員制度調査会の答申というのは全般にわたっておる非常に広範なものです。ですからあるいは恩給の問題あるいは年金の問題あるいは本俸の問題あるいはこの手当の問題と各方面にわたっておりますので、どれから先に手をつけるか、手をつけるにしても非常な大仕事です。これはおそらく二年か三年かからなければ完成しないだろう、こういう見通しを持っておるのでありますが、第一番に私の目をつけているのは手当の問題を解決しよう、この前も論議されました地域給の問題も、ずいぶん長い間論議されたのでありますが、まずこういう方面の手当から解決しようとしてかかっておるのであります。従って手当の次には何をやるかということもまだ考えておりませんのでありますけれども、あるいは恩給なり、あるいはこの年金の制度という、あるいは本俸、給与制度というようなものに入っていくのが順序ではないかとも考えておるのであります。いつできるかと言われるとそれは非常に困るのでありますが、なるべく急いでやりますけれども、まず手当の問題から入って順々に給与の問題、あるいはこの恩給の問題、あるいはこの年金の問題に入っていこうかという感じを持っておるのでありますが、なるべく急いで政府としても案を作らなくちゃならぬ。ことに先にも申しましたなるべく公務員、あるいは公務員に準ずるものが大体同じ率で公平の利益を受ける、年金の制度を受けるというようなことにしたいという考えを持っておるのであります。そういう考えのもとにこの案を見ますると、さっき申しました恩給、給与、あるいは年金の率がほかの一般の公務員よりずっといい、あるいは二割ないし三割くらいいいという点もあります。それから肺病患者の処遇にしてもいい、よくなるというような点がありますから、できまするならばこういう点を一つ一括してできるように工夫しなければならぬのじゃないだろうか、こういう原則から考えてみますれば、直ちにこの案に賛同するには政府としてはどうだろう、こういう感じを持っておるのであります。もとより案の内容給与を多くするという点から考えてみれば、反対する理由はないのでありますけれども、一般の公務員という点から考えてみれば、なるべく早い機会になるべく公平な原則で改正をするというのが妥当じゃなかろうか、こういう感じを持っております。一応私ども考えを申し上げておく次第でございます。
  48. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 大久保国務大臣から御説明がありましたが、大久保国務大臣は具体的に非常にこまかい点はあまりお詳しくないだろうと思いますので、この方針の問題について、もし大久保さんに御質問がある方は、この際にしていただいたらどうかと思います。
  49. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 じゃ大体の総括的な御方針について質問いたすのでありますが、今公平な、公務員についても公共企業体についても共通な、公平な制度を樹立したいという御意見については同感でありますが、さてそれがいつできるかわからない、おそらく二、三年かかるのじゃないかというお話なんです。その間こういったような重大な問題をブランクにしておくということは、あまりにこの公共企業体が発足してから今日まで時間が長過ぎる、もうとうに公共企業体が一体発足するときにこういう問題を解決しておくべきだと思う。それが今まで延びておる、その延びておる年限もおそらく大臣も御存じだろうと思う。専売公社も国鉄も二十四年から発足している、片方の電電公社の方は二十七年から発足している、その意味からいっても、あと二、三年ブランクにしておくということは非常に当を欠いている。こういうふうに思いますが、それに対する御意見をお伺いしたい。従ってそれに対する御意見にあわせて伺いたいのは、早急にこの法律案をまとめていかなければならない。多少はこの無理な点もあるかもしれない。それは後々是正するとしても、具体的なこの法律を早急に作ってそれで実施していかなければならないと考えます。それについて大臣の御意見を伺いたい。
  50. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 私が申し上げましたこの二年ないし三年かかりますということは、公務員制度の全般について全部の仕事が完了するのには二年ないし三年かかるだろうという予想を申し上げましたので、この議題になっております年金制度が二、三年かかるとは思っておりません。こういう給与の問題はまっ先に解決しなければならぬと思いますので、あるいはもっと早くできると思います。二、三年ということはそういう意味で私は申し上げたので、ほかの方面全部をひっくるめての話でありますから御了承を願いたいと思います。  なおこの案についての案の対案と言いますかは、大蔵省においても研究中の模様でありますからして、私の足りないところは大蔵省の係の方から説明を願いたいと思います。
  51. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 なるべく具体的な問題を申し上げたいので、大蔵省お見えになりますか。
  52. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御報告申し上げますが、大蔵省からは今、給与課長が見えたので、一昨日も局長または次長、それからできれば政務次官、大臣が来られなければ政務次官でも出て下さいということを要望しておいたのですが、今日の午後は政務次官、局長、次長とも何か大蔵省に関する重要な会議があって出られないから、それで給与課長がかわってお答えをいたしますということですから、それで給与課長からお聞きとり願いたいと思います。もし必要であれば給与課長から大蔵省の見解としてまとまったものを御説明になることができれば給与課長から聞いてもいいのじゃないかと思いますが、いかがでありましょう。
  53. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 その大蔵省の御意見というのは閣議にも出されました御意見でしょうか、ただ大蔵省の内部だけの御意見でしょうか。
  54. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) ただいままで大蔵省として固まっております意見は、先般閣議で決定いたしましたあの意見通りでございます。今後どう取り扱うかの点につきましてはまだ研究中でございます。
  55. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そうすると給与課長のこれから述べていただきたいと思いまするこの政府側の御意見というのは大蔵省の御意見というよりは、政府の代表意見として拝聴してお差しつかえありませんね。
  56. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 先般の閣議決定のラインでございますと、これは大蔵省ばかりでなく、政府全般の意見と御了承をいただきたいと思いますが、現在考えておりますこともそれをはずれていないわけです。
  57. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 それでは大蔵省給与課長から閣議決定に基きました御意見をなるべく詳細にお述べ願いたいと思います。
  58. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) そういうことに計らってよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは給与課長から先般閣議決定になったという要綱を中心にしてなるべく詳細に御説明伺いたいと思います。
  60. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 閣議決定の内容についてもう少い敷衍して説明するのでございますか。
  61. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) そういうことでございます。
  62. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 閣議決定の趣旨に沿いまして具体的に考え方を申し上げたいと思います。  第一にこの閣議決定の第一におきまして、本法案のねらいが恩給及び共済年金の二本建を一本の共済年金制度に統一しようというような目的だと書いてございますが、問題はその点についてはある程度公共企業体というものについての特殊性からやむを得ないのじゃないかというような感じがあるわけでございますが、問題はこの統一に際しまして、今日の年金なりあるいは恩給給付の水準を引き上げていこうという公社の、公社と言いますか、本法案の内容につきまして問題にいたしておる点があるということを一に概括的に申しておるわけでございます。  問題になりますのは二の(イ)にある点でございますが、「新共済年金の給付水準が、現行の恩給及び共済年金のそれに比較して三割以上割高であり、著しく均衡を失する。そのまま実施すれば、国及び地方の恩給及び共済年金制度にも波及する。」ということが書いてございます。この点につきましては現在の恩給、共済年金両方とも一番重要な年金であります退職年金に例をとってみますると、恩給でございますと十七年勤めると普通恩給がつく。その際は最終俸給の三三%。また共済年金でございますと二十年でやはり三三%の年金がつくように相なっておりまするが、この法案によりますると二十年勤めて四〇%ということでございます。で、その二十年以上勤めますとさらに加算がついて参るということになっておりますが、その加算率の点におきましても現行よりはよくなっている。三十年を勤めて、これからだんだん人々が長勤続になって参ります、なかなかやめない、長くなると三十年も勤める人がまた多くなるだろうと思いますが、その辺のところを比較いたしますと、たとえば恩給でありますと三割以上現行より高くなって参る、こういう結果に相なって参るわけでございます。年金制度が公共企業体職員についてよくなっていくということはそれ自体また一つの年金制度全般として問題があるわけでございます。公共企業体職員ばかりでなく、国家公務員あるいは民間の勤労者、こういうものを含めまして、果してこの際含めて考えました場合に、公共企業体職員だけこの年金給与水準の引き上げを行う積極的な理由があるであろうかということが問題になるわけであります。職員の広い意味の待遇、つまりたとえば公共企業体職員公務員に比していいのか悪いのか、あるいは民間勤労者よりも優遇されているかどうか、こういう問題はひとり年金制度ばかりでなく、現実の給与でございますとか、あるいは福利厚生施設の面、そうした面を総合的に考えまして判断をいたさなければならないわけでございます。現在のそうした広い意味の待遇を取り上げて考慮いたしますると、現在の公共企業体職員の待遇が国家公務員に比して劣るとは決して申されませんし、また民間勤労者に比較いたしまして悪いということも申されないだろう、かように考えるわけでございます。そうした場合に公共企業体職員の年金だけを特に取り上げましてさらにベース・アップをやる、水準の引き上げをはかるということは広い意味の公平の原則から言ってもなかなか納得しがたいのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。かりに現在のような状況で公共企業体の年金だけを引き上げ、待遇の面で決して悪いとは言えない公共企業体職員だけ年金の給付水準を引き上げるということにいたしますると、これは国及び地方の恩給年金制度、これにも当然波及いたして参ってくるわけであります。たとえば電電公社と従来一体でありました郵政省など、こういうところはすぐ問題になって参ろうかと思います。国家公務員地方公務員の年金制度もこれをそのまま放置しておくということは非常にむずかしい情勢に相なろうかと、こう思うわけでございます。(ロ)の「新共済年金制度実施に伴う公社の負担増加が大きく、経理に圧迫を加える。国及び地方に波及した場合の負担増加も極めて大きい。」経理面のことをうたっておるわけでございます。年金制度を実施いたしました場合にどれだけの負担がかかってくるかという問題でございますが、これはいろいろ年金制度の負担方式とか、あるいはそれに伴う積立金の方式とかいろいろな考え方があるわけでございます。現在の共済年金制度、これは改正じゃなく現行の共済年金制度では一つの平準保険料方式という計算を使っております。これは長い目で見ました場合に、どの程度の金がこの年金制度を実施するためにかかるかという長期間の所要額を算出いたしまして、それを現在及び将来の職員が均等に負担したとしたならば、どれくらい負担しなければならないだろうかという関係から負担の点をきめておるわけでございますから、これを一応平準保険料方式をとっております。これでいきますと、当初の負担はほんとうの必要額よりは多くはなりますが、先にいくに従って逆に少くなる。長い年限で見れば負担としては一定していると、こういう方式でございます。これを現在の共済年金法案で実施いたしておるわけでございますが、この新法案におきましては、こうした平準保険料方式——当初に金がかかるという方式——をとりませんで、これは非常に技術的な説明になって恐縮でございますけれども、修正賦課式と申しますか、年々の支出に必要な金額に若干の余裕を見た程度のものを公社として負担していこうという、こういう修正賦課式の方法をとっているわけでございます。これによりますると、必ずしも現行よりは増さないという案も考えられるわけでございます。つまり平準保険料方式で計算いたしますと、たとえば新法案実施で公社が百五、六十億負担しなければいかぬ。それが修正賦課式でやりまして、現実に必要な支出額だけまかなうに足るということにすれば、おそらく五十億前後であると思いますので、その間の幅をどれだけとるかということでございます。公社案としては承わっておりまするところによると、毎年五十億程度を数年間負担すると、そういうふうに内輪に考えておられます。そういう方式でとりますれば、なるほど現行よりは負担は減るということが考えられるわけでございます。ただ現在において負担を軽くしておくということは、将来において負担が大きい、将来の国鉄の企業経営のいかんによって、将来大きくなった負担が払えるか払えないか、まかなえるかまかなえないかという点が出てくるわけでございます。その辺に若干の、私どもといたしましては現行より負担が少くなるというような考え方は、少し危険性があるのじゃないかという感じがいたすわけでございます。そのほか公社で一応正式にはここに御提案になっておりませんが、いろいろな付属資料で拝見いたしましたところ、その計算基礎に対しましてもいろいろ疑問があるわけでございます。必ずしも公社は五十億でいいとおっしゃったって、その数字がかりに採用されるといたしましても、その数字にさらにプラス・アルファとなるべき数字考えられなければならない。当然考えるべき数字がオミットされて考えられておるわけでございます。その点に関して私どもといたしましては問題があるというふうに考えるわけでございます。長い目からいたしますと、いずれにいたしましても、給付が、恩給適用者についてはたとえば三十年以上勤めて三割も高くなる、こういうことになるわけであります。長い目で見てこれだけの支出額、負担の増ということは決してこれは避けることができない当然のことのわけなのであります。それで公社の負担という問題につきましても今日のような経営状況で果してそれでいいのかどうかということも疑問にいたしておるわけでございます。さらに同じような制度国家公務員地方公務員に請求されてやると仮定いたしました場合に、相当なひどい増加が一般会計、特別会計あるは地方の団体に出て参るわけでございます。この点が第二点でございます。  第三点といたしましては、これは年金制度の改正とは関係ないのでございますが、これに付随して新共済法案では医療その他の短給の水準の引き上げをはかっております。特に結核性疾患の療養の期間を三年から五年に延長するという問題がございます。この点は現在のまあ社会保険の通念といたしましてこれは三年という建前で民間の健康保険も国の共済保険も皆同じようにやっておるわけでございまして、これを今くずすということには大きな問題があるわけでございます。ことに民間の政府管掌の健康保険におきましてはすでに六十億でございますか赤字があります。これを解消し、再建、立て直しをやる場合にどうすればいいかということを政府は真剣に考えておるわけでございます。この状況のときにさらにその療養費の負担を来たすような国の三年から五年延長というようなことを公社の職員だけにやるということにはなかなか納得しがたい問題があるわけでございます。それから(ニ)に「以上のほか行き過ぎの点や、技術的に不備の点があり、経過規定もきわめて不十分である。」ということが書いてあります。技術的に不備な点と申しますと、たとえば公社職員がこの新年金制度が実施になりまして公社職員が国の、国家公務員になるとこれは大幅に人事交流があるわけでございます。また国家公務員から公社職員に戻る、その場合の年金制度については規定いたしておるのであります。逆に新法案実施によって公社職員国家公務員に帰ってくるというような場合の年金の通算措置について何ら触れてないわけでございます。新法案を実施しますと国から公社へ行けなくなるという封鎖的な年金制度になる、この点は若干問題があろうかと思います。まあそのほか技術的なこまかい点がございます。ちょっと問題になる点もあるわけでございます。ただこの「経過規定もきわめて不十分である。」この「経過規定」という言葉の言い回しでありますが、これは実は雑則という意味であります。法案で雑則の点を言っておるわけでございます。(ホ)にもう一つ大きな問題は、「本法案の主管大臣は各公社の主務大臣となっているが、政府機関の共済年金制度の統一的運営の上から適当でない。」これは役所の主管争いのようなことになって恐縮なことでございますが、今度の国鉄につきましては運輸大臣、それから専売について大蔵大臣、それから電電については郵政大臣、それぞれがこの新制度の実施の主務大臣になっているということになっておりますが、これは広い意味の社会保険制度の統一的運営という意味からはやはりどっかに統一して行なっていかなければならない問題じゃないか。現に厚生年金、あるいは健康保険というものはすべて厚生大臣の所管下にございます。それと同様にこの公社の社会保険制度であるこの共済制度につきましてもその監督官庁の所管大臣はどっかに一定しなければいかぬじゃないかという感じがいたすわけでございます。最後に(ヘ)「公務員制度調査会において、公務員の年金制度についても検討中であり、その結論を待つ必要がある。」この点は非常に重要な点でございます。現在恩給法と共済組合法は国鉄、電電、専売の三公社の年金制度であるばかりでなく国家公務員の年金制度の基本でございまするし、また地方公務員の年金制度の基本となっているわけでございます。その共通の基本法である恩給、共済年金制度をどう変えていくか、この問題につきましても公務員制度調査会において現在検討中で近くその答申が出るわけでございます。その結論を待ってどういうふうに処理していくか、これを待たないで早急に、先に公共企業体の職員だけでそういう線を出してしまうということにはなかなか問題がございます。私どもといたしましてはこの調面会の結論を待った上でにらみ合せてさらにその結論と公社の特殊性として何か考慮すべきものであるとすればそれにどういうふうに影響を加えていくか、こうした面で考慮いたしていくのがほんとうの筋道ではないか、かように考えておるわけであります。  もう一つ、これは閣議決定の線には乗ってない問題でございますが、一つ大きな問題といたしましては、現在の民間の厚生年金保険制度というのがございます。この厚生年金保険制度は現在の公務員の年金制度でございます。恩給や共済年金に比較いたしまして非常に給与水準が低くなっております。大体恩給、共済年金の六割程度のものとお考えいただけばいいかと思いますが、これが現在のところは厚生年金保険には大した受給者は発生いたしておりません。昭和三十五、六年になりますと制度が本格的に動きまして相当最の受給者が発生いたして参るわけでございます。その場合に現在の恩給、共済年金に比べても低位であるこの厚生年金保険制度のレベルをどう考えるかということが大きな問題として提起されてくるわけでございます。そうした問題を当面に控えておりながら公共企業体職員の年金水準だけをさらに引き上げるということはなかなかこの点にも問題がございます。広い意味の民間労務者、あるいは国家公務員、公共企業体職員、すべてをひっくるめまして年金制度の将来というものをもう少し慎重に考え、将来の国民所得の伸びでございますとか、あるいはそれぞれの財政負担力がどう変っていくか、そうしたものを十分な見通しを立てた上からでないと今公共企業体職員だけさらに年金水準を引上げてしまうという点にはなかなか問題があるだろうと、かような感じがいたすわけでございます。  最後に「公共企業体の年金制度については、国において以上の諸問題を考慮しつつ、合理的な具体案を早急に策定する。」ということになっております。これはやはり年金制度の統一の必要はやむを得ないということを認めておるわけでございます。では一体どういうラインで、ここに提起いたしましたような諸問題に触れない範囲で統一するにはどうしたらいいか、その具体案を現在研究いたしておるわけでございます。
  63. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと申し上げますが、大久保大臣が所用のために大体三時半くらいから退席したいという申し出がございましたので、なるべく国務大臣に対する質疑があれば、あるいは国務大臣を前にして政府側に尋ねることがあれば、そういう点を先にお願いした方が便宜だと思います。
  64. 千葉信

    千葉信君 今の答弁を聞いておると、大久保さんの答弁もそうだし、岸本君の答弁も僕は実に盗人たけだけしいと思うのですが、この法案に対する反対の理由として取り上げつつあるおもな点は、国家公務員その他と均衡を失するからいかぬ、なるほど現行制度の上から言えば、それは一応言えるかもしれません。しかしそれは公務員制度ができて、それからその公務員法に基いて恩給の問題をどうするか、退職手当の問題をどうするか、こういう点についてはちゃんと立法は国民にその手続まで約束し、そしてその手続が踏まれているのです。たとえば人事院から退職年金法に関する勧告なんか出ておるのです。聞いておると、そういう勧告が出たことを知っておるのか知らないのか知らぬけれども公務員に対する現行の退職年金法の率がこうだとか、だからこの法律均衡を失するからいかぬ、そうして最後には公務員制度調査会に逃げ込む、これは悪い方の水準と比較して、しかもその悪い方の額というのは、不利な方の水準というのは決して適正な措置を講ぜられて出た計算に基いているものじゃなくて、政府が怠慢至極で今日まで問題を遷延させたのである。そうして今になってから、こういう法律案が待ちくたびれて出た。ところがこれは均衡を失する、こんなふてぶてしい言い方ってないと思うのです。一体この法律案は、二十年に四〇%なんということは、人事院の勧告にちゃんと出ているのです。三年も四年も前のことです。それを今日までほったらかして、しかも政府の方では、何かあると、たとえば退職手当法のごときは、昭和二十五年ごろからもう直ちにその立法を行なっています、恩給の制度退職手当制度、共済組合の制度、これを抜本的にかえるから、だから一年間だけは暫定措置で間に合わせてもらいたい。何年もそういう格好で過してきている。そうしてしかも今日になってから、こういう立法がもう待ちくたびれて、これ以上待つことができないという格好でこういう法律案が出された、ところが自分たちが怠慢至極で、不正至極で今日まで問題を解決しないでおいて、公平を失する、こんなことは僕は理由にならぬと思う。どだいこの問題も含んで、最後の方へいって、国において以上の諸問題を考慮しつつ合理的な具体案を早急に策定するといっておる、一体これは何年かかっている。なるほど内閣がかわったかもしれない。しかしこういう問題に対する根拠の法律がちゃんとあって、しかも内閣がかわってもこういう問題については当然次の内閣はたとえ首班がかわりましても、どう処理するかということについて急がなければならぬことは、これは国民に対する責任だと思うのです。そして今聞いておると、この問題についても、今月の中旬ごろになってから、またもう一回いじって、最終的な検討を加える、順序からいうと、さっき聞いておると、手当の方は先にやる、これはあと回しだ、こういうやり方、一体いつになるかわからない。一体これは大久保さんに聞きたいのだけれども、こういう問題についてはなるほどあなたのおっしゃるように、現状では政府のそういう怠慢からこの法律案が実施されれば不公平になるかもしれない、しかしほんとうのやり方は、ああいう法律ができて、国家公務員法なら国家公務員法という法律ができて、それに基いた勧告が行われた、その勧告の線よりぐっと上回っているものならば、これはまあ不公平だということも言えるかもしれない。政府としてはこの際待ってもらいたいということも言えるかもしれない、これは反対だという態度をとらずに、できるものならば、順に解決していく、そうして順に解決していく必要のあることは、事は給与の問題なり、収入の問題なり所得の問題ですよ。そういう人たちの当然の権利と考えなければならぬ問題については、解決できるものなら順に解決しておいて、そうして最終的なこんどは公務員制度調査会なら調査会で一応の線を出すという格好で方針考えることはいいかもしれない。しかしたとえば恩給の問題にしても退職年金の問題にしても、はっきり国家公務員法という法律ができておる。これは国民に対する約束です。しかもそういう立法が行われておるのに、その立法に対しては全然尊重の態度をとらず実施もしない、しかもその法律自体さえも政府の方では法律ができて一回も実行しないで、今度は直ちに政府の思う通りの方向に法律をまた変えて行く、こんなあくどい方法はないと思うのです。ですから今度の問題なんかでも、政府として当然その勧告の率はあまり上回るのでなく、この程度のものに対しては、政府としてある程度この法律案を尊重するという態度をとって、そしてこれの解決を見つつ最終的な全体の問題についてはどう調整するか、ある程度の実績なり、ある程度既得権というものを尊重しながら、総合的な制度の調整をはかるというやり方を行くベきだと思う、しかも今回の場合にはそういう段階を行く、経過的の現在の段階において政府の方から明らかにこれに対する反対という対度をとることは、政府は人事院の勧告自体さえも尊重しないという不逞な態度を露骨にしておるものと言える。一体大蔵省で考えておる程度というのは、この法律が一番問題になっておる、四〇%の、この率なんかについて大蔵省はどの程度なら一体そろばんがとれると考えておるか、それから大久保さんの方からは今申し上げた点で法律を作っておいて、一回も実行しないで、その法律をやみからやみに流すような格好で、恩給の場合特にそうです、そういうやり方をしていいかどうか、大久保さんに聞いておきたい。
  65. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 今千葉さんの御説明を伺いましたが、よく考えてみるとあなたの議論も私の考えもそう違ってないと思う。(「全然違うよ」と呼ぶ者あり)私はね、なるべく公務員、企業体の職員ですね、できるならば一般的に公平な給与をやりたい、これ一つやってほかの方を少くしては済まない、こういう観点からできるなら全部一括して公平な給与をしたいというので苦慮している、こういう意味で申しておるのです。これを先にやってしまうとほかの方が必ず不公平になる、大部分から反対が起る、そういう不平を起させたくないから私はそう申し上げたのです。とにかくできる範囲においてこういう給与あるいは恩給を上げて満足させるという点においては私もあなたも一致しています。
  66. 千葉信

    千葉信君 大久保さん、あなたとんでもない勘違いをしておる。よく聞いてもらえばわかると思うのですが、この法律案が実際にいってなぜ不公平になるかという問題、その不公平になるのは政府が当然やらなければならぬことをやらないできているから、不公平が起るんです。政府が当然、たとえば人事院の勧告なら勧告を尊重し、もしくは政府が今まで何度も約束している退職手当法、共済組合法等を約束通りに実行していれば、若干の違いはかりにあるとしても、そんなに権衡を失するような結論は出ないわけです。この法律案が出ても、それをあなたの方でやらないでいて、今ごろになってこの法律案が通れば不公平になるなんて、それは不公平という言葉を利用しているだけに過ぎない。
  67. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 私はうそを言うのがきらいですし、うそを言うことができない方です。私は言ったことは実行します。公務員制度調査会がいつ結論を出す、それについての結論をいつ実行に移すと、もう調査会の答申が出ないうちから事務官を集めて、部屋を作って着手しているという始末です。この点は一つ誤解のないようにして下さい。
  68. 千葉信

    千葉信君 今の御答弁通りに、まあ大久保さんが非常にそういう点では誠実な人だということは僕は認める。誠実に、しかも今約束されたように、やがて公務員制度調査会で共済関係の立法についてもやるというほんとうの腹なら、公共企業体の関係でこれが一歩先んじたって、ちっとも問題は起らんじゃないですか。あなたが今はっきり約束されているならば、何か政府が、あなたがさっき言われるように、目の色を変えてこれに対して反対だという理由がないじゃないですか。しかもあなたは勘違いして、これが施行されれば他の方面から猛烈な反対が起ってくるなんということを言っておりますけれども、そんなことはありませんよ。それからこれによって不公平が生ずるとあなたが心配されている方々、その方々も含んで、これが実行されることは大歓迎なんですよ。あなたはそれを逆に考えて、反対が起る、不公平だと言っておられるけれども、もし反対だとか、不公平が起ることがかりにあるとすれば、あなたを取り巻いているちょっぴりした少数の方々で、国民全体から見ればごくちょっぴりした数であって、決してあなたが心配されるような反対も起らないし、不公平だと言って騒ぐ連中もいないんです。それならどうです、あなたこの際これをいさぎよく、どうせ公務員制度調査会の議を経て、最終的にあなたが今約束されるようにこれを実行される腹なら、これを一歩先んじて立法化が行われても、どだい人事院の勧告からいっても百分の四十です。この法律はそんなに不当な率でも水準でもないのです。どうですか。
  69. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 私は全体を公平にやりたいという趣旨、あなたはとにかく少しでもいいから先にやったらいいという意見の違いだけであって、これはほんとうの意見の相違なんですから、よく一つ考えてみましょう。
  70. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 大久保国務大臣にお尋ねいたします。この公社はこれは公共企業体なんです。政治機関じゃない、企業体なんです。公共性を持つと同時に独立採算制を持つ企業体なんです。そこで資本主義政党といたされまして、独立採算制に基いてこれを支弁し得るとすれば、やはりこの職員、従業員の給与というものは、それが非常な悪影響を及ぼすならともかく、合理性を持っている以上は、やはりこの独立採算の企業体の給与という立場において、そう他の公務員のことを心配なさらないでお考えになっていいのじゃないか、また他の公務員と全然同じであるとするならば、特に公共企業体という形態をとって運営して行く必要はないはずだと、かように考えられるのですが、その点について御意見を伺いたいです。
  71. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 公共企業体でありますことは今おっしゃった通りであります。それもやはり広い意味の政府職員の一部であります。他の、公務員であるかないかという議論はありますが、公務員でないということははっきりしていますけれども、いやしくもこの扱いについては、公務員に準して扱っておるものでありますからして、やはり私は公平の原則から考えまして、私の考えの方が正しいのじゃないかと、こう思っておるのです。ちょうど今千葉君と話したと同じような問題だと思うのです。
  72. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そうしますと今度は公平という問題について具体的に伺いたいので、時間が来たら私としては大久保大臣御退席になっても差しつかえないですが、その面前で質疑応答がなされればなお仕合せだと思いますが、第一に伺いたいのは、この約三割、三〇%割高になる新共済年金の方が、現行の恩給よりも給付高が大きい、共済年金よりも大きい、その額が約三割高になってくるというのですが、これは原案によれば、三割以上割高になっているというのは、三十年以上勤続者の場合ばかりで、そのほかはそれ以下になっているのじゃなかろうか、これは公社側の説明によれば、二十年勤続のものは一三%上って行くにすぎない、こういったような点も大蔵省側として十分検討を要するのじゃないか。一体昔の、第二次世界大戦以前の状態でありますと、逓信省を長いこと勤めた人も、それから大蔵省を長いこと勤め上げた一般の職員も、また鉄道職員ども、やめれば恩給をもらって、退職金と恩給とで独立した家屋ぐらい建てて、それで余生を楽に送り得た、今日はまあ資材や何かずいぶん高くなって、建築費用も高いのですから、なかなかむずかしいのでありましょうけれども、やはりそれに近い給与水準を持たせて行くということが望ましいので、財政的にできればやはりそこまで給与水準を上げて行くべきだと思う。幸い公共企業体の今度の新法孝の方針によれば、それがまずまずできて行く、だからむしろほかの一般公務員給与水準も、今度の新しい法案をむしろモデルとして、公務員給与水準について考え直す必要があるのじゃないだろうか、今回の方がよほど公共企業体の職員についても、一般公務員についても、ずっとこの法案の方がモデル標準として適切である、かように考えているのですが、どうして今度の方が工合悪くて、現在の公務員給与制度の方がよいのであるか、それは単に財政的の理由以外に、何かほかに理由があるでしょうか。これは大久保大臣から承わりたいと思います。あるいは給与課長からでもけっこうです。
  73. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) ただいまの植竹先生の御質問のうちで三十年以上の三割以上割高、これは御指摘の通りでございまして、閣議決定の文句が非常に誤解を招くと思います。大体今度は五十五歳で年金がつくことになっておりますので、大体みな新制高校を卒業してくれば、三十年以上勤めるようになっております。そういう点考慮いたしまして、三十年以上を更新いたしたわけです。御指摘のように短期間の勤続者については、これほどにはもちろん参らないわけであります。今度の新共済年金制度が非常にけっこうな案だということでございますが、これは先ほどちょっと申し上げましたが、やはり広い意味におきましての職員の待遇、こういうものが公共企業体職員、民間あるいは国家公務員、こういうものとバランスがとれているかどうか、つまり大きな意味の国民所得の分配の一つの形でございますから、あまりあるところだけが非常に飛び抜けた分配を受けるということは、やはり問題があるのではなかろうか、かように考えるわけでございます。現在の公社の問題はその広い意味の待遇にまで行くと、また話が少し広がり過ぎますので、退職給与だけに限定して考えましても、現在の公社職員あるいは国家公務員、これには恩給、共済年金のほかに退職手当がございます。これをプラスしたところの総合的な退職給与、これは民間企業体と比べて悪いかといいますと、必ずしも悪くないのでございます。勤続年限が長くなればなるほど非常に有利であります。特に民間企業体におきましても、退職年金制度を団体協約によって実施する、これは相当の大企業でございます。一般の企業の給与規定では、そうした団体協約が成立しないと、こういうわけでございます。非常に恩給、共済年金に比較して割の悪い厚生年金制度があるというだけでございます。そういう点から見ますというと、広く民間企業を対象にした場合、公務員なり公共企業体職員給与関係、年金制度が、決してそれを下回るものと考えていないわけであります。また公共企業体職員国家公務員比較いたしましても、年金制度の面では共通ではございますが、給与レベルが若干国家公務員より公共企業体職員がよろしいというので、従って同じ年金の率でございましても、支給額は多いわけであります。また退職手当の運用におきましても、国家公務員の場合、整理退職という非常に高率の退職手当を受けるには相当制限がございますが、公社の場合には合理的に御運営になっておるという面もございまして、総合的に問題を考えますと退職手当、広い意味の退職給与としましては、やはり公社職員の方がかなり恵まれているというふうに私どもは判断いたしておるわけであります。
  74. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 その恵まれておるからいいのじゃないか、だからむしろこれを標準にして公務員制度の方を考え直す方がいいのじゃないか、これは意見の相違になりますから、この点はこの程度にいたします。  次に結核対策ですが、この結核対策は非常に重要だからむしろこの新しい今度の法案のようなやり方の方がいいのじゃないでしょうか。今度の法案によりますれば、運営規則の許す範囲内で五年程度延長し得る道を講じたので、組合財政の許す限りこの結核の療養というものは十分にやるべきじゃないでしょうか。健康保険の赤字は確かにありますけれども、健康保険の赤字の対策については別途今考えられて、これは必ず何とか成案を見ることだろうと思うのです。健康保険の赤字を見て、結核対策の今度の織り込まれた法案の内容の是非を云々する心配はないのじゃないかと、さように思いますが、もう一ぺんその点について給与課長のお考えを伺いたい。
  75. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 結核対策の問題は先生御承知通り、非常に重要な問題でございます。現在健康保険あるいは国の共済保険ばかりでなく健康保険におきましてもこの結核療養費というものの占める割合が非常に大きくなっておるわけでございます。これをどうするか、大きな問題でございますが、これはまあ厚生省においても現在健康保険というものを根本的にどう持って行くか、結核対策を含めましておのおの今検討中でございます。まあその結論を尊重いたさなければならないのじゃないかと考えるわけでありますが、結核患者だけをとって、これを大切にしろと、そのお気持はよくわかります。私たちもそれは必要だろうと思うのでございますが、ただ、今の三年というものをさらに五年に延長したからといって、これは結核対策になるか、これは非常に問題があるのじゃないか。特に一番過去の経過から考えまして非常に私ども心配いたしますのは、もとは公務員の方は共済保険では結核療養期間が三年であったのです。その当時健康保険は二年であったわけであります。公務員ばかり三年にするのはけしてからぬ、民間も三年にしようとつい最近、一昨年でございましたか、延長になったわけでございます。三年になりました期間延長に伴いまして、相当療養費の負担が出て参っておるわけでございます。これが健康保険の、特に政府管掌の健康保険で最近の赤字の一つの原因になっておる。健康保険療養者、あるいは使用者側両方の負担能力をこえた赤字の問題が出ておるわけであります。これは相当大きな数字を療養者が持っておるわけでございます。かりに現在公社の三年をさらに五年にいたしますと、これは直ちにやはり国の方に、健康保険の赤字の問題にも波及いたして参ります。国家公務員の場合にもこれは実は三年を五年に延ばすという問題はあるのでございます。ところがやはり保険料率をほとんど最大限度まで持って参りましても、なお非常に経営が苦しいという国家公務員共済組合が多いわけでございます。それをさらに五年に延長をするということは、経営上とうていできない現況でございます。まあ波及するところもなかなか多うございまして、国全般のこうした医療制度をどう持って行くかということをやはり前提に考えてみませんと、公社だけを五年でいいという判断はなかなか出にくいのじゃないかと考えております。
  76. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 ただいまの点も意見の相違として承わっておきます。  それから次に主管大臣の問題でありますが、今私立学校の教職員の共済組合は、これは文部大臣の所管だと思いますが、さようですか。
  77. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 文部大臣でございます。
  78. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 市町村の職員は。
  79. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 自治庁でございます。
  80. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そうすると、監督機関はそれぞれみんなその主管の大臣が恩給あるいは共済組合関係のことを見ておるわけでございますね。この公共企業体につきましても、やはり専売は大蔵大臣、電電は郵政、それから今度の、こっちの国鉄の方は運輸大臣で差しつかえないと思うのですが、どうして公共企業体だけ大蔵大臣でなくてはいけないのか。また合理化審議会の方でもこの監督機関の一元化を望んでおるという趣旨からいっても、国鉄はやはり運輸大臣の監督で一向差しつかえないのじゃないか、その方がよく監督できると思うのですが、それならどうして大蔵大臣にする必要があるかということを一つ
  81. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 先ほど監督大臣の統一ということを申しましたが、これは大蔵大臣ということを申し上げたわけではございませんので、ただどこかに統一する必要があるのじゃないかということで申し上げたのでございます。なぜ公社の主務大臣ではまずいかということでございますが、これはやはり考え方の相違であろうかと思います。どちらか制度を、主務大臣とするか、あるいは統一的な大臣を置くか、どっちが制度の円滑な運営に資するか、これはいろいろ見方もあろうかと思いますが、ただ実際の問題としてこの年金新法案を実施する上の問題といたしまして、これは運営規則に譲っておる面が非常に多いのでございます。実施上の問題として、同じ公社が共済組合法として統一した制度でやりながら実施細目の面で非常に技術的に違った面が出てくるというのは、これはまたお互い同士の問題を将来に残す面が出ておるのであります。実施上の統一ということにつきましては、どこかに主務大臣、監督主管大臣を一括して置いた方がやはり便利ではないだろうか、かように考えております。
  82. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 私としては以上の問題を含めまして、かつそのほかに在職年数の通算の問題、あるいは国及び地方の負担増加に対する問題、この公社自体の負担増加の問題、公社の経理を圧迫するかどうかというふうな点につきましては、一切これをただいまの公社側ではどういうふうに思っているかということを次に質問いたしたいと思いますけれども、他の委員諸君の御質疑の後に質問いたしたいと思います。
  83. 千葉信

    千葉信君 所管の問題が出ましたからこの際明らかにしておきたいと思うのですが、大久保さんはたしか就任早々国務大臣として給与を担当するということが閣議で決定されたはずですが、そのあと大久保さんの担当について何か閣議で変更がありましたか。
  84. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) その後別に変更したことはありません。聞きません。ただ給与担当というのは、いつか委員会で申し上げた通りすこぶる不明瞭で、私の方の給与担当といっても予算にちっとも触れていない、予算はどうかというと、各省は大蔵省に直接要求しておる。そういう希望だけは言うことはあるけれども、たとえば昇給昇格の予算を上げてくれということは言うけれども、実際の交渉は各省が大蔵省と直接やってしまうというような工合で、これはその正確な担当といっても、普通の担当とは違って妙な感じなんです。そこでこれはどうも不徹底でいかぬというので、今行政審議会で問題になっております。内閣に人事局というものを置いたらどうか、本然の正確な人事の仕事は仕事として置く。そのほかの人事の問題は人事局に持ってきたらどうかという議論も起っておる。そういうふうな状態で、担当といっても、そこは何だかはっきりしないんです。その点だけは申し上げておきます。
  85. 千葉信

    千葉信君 これは担当がはっきりしないということは、かなり不届きしごくな話だと思います。内閣法によっても、国家行政組織法によっても、各省設置法によっても、どの大臣が何を担当するか、何を分掌するかということは、これは法律に基いて明確になっていなければならない。ところが、この間内閣委員会で、西田調達庁担当大臣が、調達庁関係については、これは調達庁長官に聞いてくれ、閣議にも出て発言しております。おれに聞いたってわからぬという答弁である。それが実は所管大臣の答弁なんです。ところが今度はそれと逆に、大久保さんの場合には、どういうものかしらぬけれども、自分の担当外の問題についてまで、しょっちゅう答弁に出てきておる。一体この共済組合法はどこが所管しているんですか。大蔵大臣ですか。恩給の問題については、これは現在経過措置として総理府設置法の中に、これは総理大臣なり、総理大臣の代理としての国務大臣もしくはまた官房長官、一般職の場合には人事院がやる。給与の場合については、これは大久保さんが、閣議で、給与についての担当ということになっておりますから、これはいいのですけれども、一体どこからどこまでがどの大臣の責任なのか、所管の明確でない大臣に向って質問してみても、これは責任ある答弁がもらえないと思う。きょうの答弁なんか聞いておって、僕は失敬だけれども、大久保さんはこの共済組合法の関係なんかについても、大体大蔵省にこまかいところは答弁をさせるということで、非常に上手にやっておられるけれども、実際はあまり仕事がたくさんあるので、答弁できる勉強をするひまもないし、所管も自分の所管でない。従ってそうなると、国会における答弁について、一体責任を取ってくれるのかくれないのか、それもわからぬ。その点どうでしょうね。大久保さんは給与担当大臣ということで、共済組合法の関係等はあなたに関係ないはずであります。恩給の関係についても、これは給与じゃない。広義の意味の給与だというかもしれないけれども、これは総理府設置法にある。この点どうでしょうね。私の方で大久保さんにこういうことを言うのは少し無理かもしらぬけれども、閣議でそういう点なんかもっとはっきりしてもらって、そうして安んじてわれわれが質問できるような格好にして出てきてもらいたいと思うんです。
  86. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) これは千葉さんが言われた通り、問題がありまして、実際の取扱いは給与課長のところでやっておるのは事実であります。事実でありますけれども、やはり年金を給与するという点からいえば、これはやはり私の方なんです。
  87. 千葉信

    千葉信君 大蔵省設置法を知っておりますか。(「給与ですか」と呼ぶ者あり)
  88. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) そういう関係で、給与ですけれども、全部が給与じゃないけれども、年金給与、恩給と同じ性格を引いた給与ですから、やはり私どもの方で関係を持つというので、相談した結果そういう工合になりました。
  89. 千葉信

    千葉信君 じょうだんじゃない。大臣は大蔵省設置法なんか知らないんですか。
  90. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) いや、そういう解釈です。
  91. 千葉信

    千葉信君 そういう解釈では法律を乱しているじゃありませんか。大蔵省設置法をどうするんですか。大臣が先頭に立って法律を乱していいんですか。重大問題ですよ。
  92. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 給与関係を持っているから。
  93. 千葉信

    千葉信君 給与じゃありません。大蔵省設置法にちゃんときまっているじゃないですか。事ごとにそういう態度である。あなたにしろ、西田国務大臣もそうです。それでいいんですか、大久保さん、閣議に諮って、ちゃんと相談していらっしゃい。責任の所在が不明確でほんとうの民主政治ができますか。少し酷だけれども、大臣帰って、その点一つはっきりしてもらいたい。国会としてはやはり相当困ります。御答弁がないようですから、あとで考慮してもらいたい。
  94. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) お諮りいたしますが、先ほど申し上げたように、大久保大臣が他の用件で、どうしても出なければならぬ。それで三時半ごろからということですから、特にきょう質問をしておきたいという方は御発言を願いますが、できれば次の機会に譲って、大久保国務大臣の退席を願うようにしたらどうかと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは御退席を願います。  ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止
  96. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会