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1955-07-26 第22回国会 参議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十六日(火曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————    委員の異動 七月二十二日委員森崎隆君辞任につ き、その補欠として小林孝平君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     瀧井治三郎君    理事            左藤 義詮君            永岡 光治君            三木 治朗君    委員            西川彌平治君            島津 忠彦君            野田 俊作君            久保  等君            八木 秀次君            石坂 豊一君            八木 幸吉君   衆議院議員    逓信委員長   松前 重義君           橋本登美三郎君            廣瀬 正雄君   国務大臣    郵 政 大 臣 松田竹千代君   政府委員    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本電信電話公社法の一部を改正す  る法律案衆議院提出) ○日本放送協会昭和二十八年度財産目  録、貸借対照表及び損益計算書並び  にこれに関する説明書内閣提出)     —————————————
  2. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それでは逓信委員会を開催いたします。  本日は日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  前回に引き続き質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 皆さん一つ御了解願いたいのと、まあ今日が最後の呼び出しでありますから、補足説明を加えておきたいと思います。  最初に実は私たち委員会立法でこの法案ができまする際に、一つにはこれは委員会立法ではありまするが、皆さんと何か連絡の点について十分に考慮をしなかったということについて、いろいろな誤解を生んだ点をはなはだ相済まないと思っております。  それから実は御承知のように、この法案委員会立法になっておるのでありまするからして、こういうような法案を作りたいという考え方でこれが小委員会に出ましたのは五月の七日でありますからして、世間でいうように何も唐突としてこの案が出てきたのではないのでありますから、そういう工合委員会立法にしようという建前があったものですからして、具体的な、正式案ができるまでに非常に時間を要した。その間、たとえて申し上げますれば、民主党にいたしましても数回政調会にかけておる。私の方でも政調会に二回ないし三回かける、こういうような段取りを経て、最後にああいう案がまとまったものでありますからして、しかもだいぶおくれたものですから、そういう案がまとまる直前にでも、実は参議院皆さんに一応こういう考えを持っておる、こういう点の御了承を願うべき点があったろうと思います。そういう点からして一応皆さんからいろいろな点について御指摘がありましたので、われわれ委員会としては多少恐縮であったということについては御了承願いたい。  もう一つはこの法案提案説明についてやはり両二回皆さんから呼ばれて、提案理由について御説明を聞かれましたが、その提案理由説明が実は私も十分に、ちょうどその前に委員会におくれて、事前に提案理由というものを十分に審議する私自身としては機会がなかったものですから、もちろんその提案理由が間違っておるという意味ではなくして、言葉の現われ方があるいは皆さんから御理解の何といいましょうか、疑問あるいは誤解を受けるような点がなきにしもあらずと考えるのであります。というのは、私は従来はそうも考えなかったのですが、今日の朝日新聞の論説を見たところが、議員立法の一把一からげに書かれておりまする中に、国際会社法に関するものも書かれておる、いわゆる議員立法おみやげ案として。ところが提案理由が、多少そういう点で皆さんからこの前にいろいろ御議論がありましたが、どうも提案理由が明確でないのではないかという御議論がありました。私は従って当時最初のときに大体の補足説明をしておいたのでありますが、あの法律案は御承知のように、まあ朝日新聞などでは民営方式官営方式に変える、わずか二カ年間で官営方式に変えるということは、あまり見識がないのじゃないか、こういう議論のようであります。しかしこの法律案は従来の民営方式官営方式に変えるという考え方は全然考えておらない。法律案を御審議願って十分おわかりと思いまするが、従来の官営方式民営方式に変えて、過去二年間実績をあげて参ったのでありますが、その民営方式を改めて、この機会官営方式に変える第一歩として、この法案を出したのじゃない、こういうことを一つ御了解願いたい。というのは、いろいろあの法案の作成に当って議論が出ましたが、また個人の中にはそういう考え方を持っている人がないとは言えませんけれども、委員会として各党の最大公約数としてまとまった考え方は、要するに民営方式を変えるものではない。まず第一には、いわゆる国が持っている株の処分というものは、法律で速かに処分すべしとなっているにかかわらず、なお二年有余たっても処分ができていないということが一つ。もう一つは、国際会社法の第四条をごらんになるとおわかりになるかと思いますが、その四条では、国又は地方公共団体がこの株を持ってよろしいという規定になっております。従って国も持っておるわけですが、その国並びに地方公共団体に準ずる、あるいはそれよりも権力的には低い公社がこういう株を持つということについては、国際会社法の方から見れば何ら差しつかえない、なぜそれが持てないかといいますと、その公社法の中にその規定がない。こういうことから持てない。従って公社法改正を行うのが適当である、こういう見解に達したのであります。当時いろいろ公社法にはそういう法律を作らないで、あるいは会社法の一部を直すとか会社法付則を直すことによってもいいのじゃないかという議論がありました。そうなりますと、会社一つ制肘を加える、こういう考え方になっても困りますからして、電々公社法改正して、会社法改正する必要はないのであって、会社法は当然、国または地方公共団体、すなわち公社も持てるという建前法律ができておるのであるから、従って公社法の一部を改正することによって、これが一つの処理が行われる。もう一つの第二の理由といたしましては、これは提案理由説明にもありますが、一応安定株主といいましょうか、ある程度理解のある株主が、ああいうような公共的性格を持つ、通信事業という特殊な事業でありますから、それに理解のある株主があるという必要がある。というのは、昨年参議院の各位においても御視察を願ったと思いますが、私も昨年九州四国方面視察をいたしました際に、将来のこの国際電信電話のルートは、現在のマイクロウェーブをだんだんと延ばして参りまして、四国までいっておりますが、九州の鹿児島の南端まで延ばして、そうして、外国国際マイクロウェーブのこれらと接触するような将来の考え方を持っておるわけであります。かつまた欧州方面における国際電話通信現状は、大体において今具体的に、進歩的に進められているのは、同軸ケーブルによって国際電信電話というものはつながれておる。もう短波の時代はだんだんと過ぎ去りつつある。であるから、日本の場合においても同軸ケーブルももちろんやっておりますが、一応マイクロウェーブが先に出ておりますから、マイクロウェーブをまず国内の縦貫を行なって、これらを将来東南アジアを通じての国際マイクロウェーブ、こういうことにつながっていくのが将来の電信電話事業一つ見通しであります。そういうことから考えますと、どうしてもこれは技術的にもあるいは企業的にも、その経営体は、従来のように、国際会社民営でけっこうである、また私は、それでもっていくべきものと考えております。しかしこれの技術上の交換とか、そういう面においては、やはり事業の同じような性質である電信電話公社国際電信電話株式会社とは、お互い友好関係にある、かつまた連係の状態にあることの方が望ましい。今申したように、近い将来において、マイクロウェーブを通じて国際電信電話事業というものは結ばれる傾向にある、こういう点から考えましても、今までのように公社国際電信電話会社が切り離されておる状態は好ましくない。一方には安定株主としての善意としての株主を認めよう、こういうような三つの考え方から株を持つことを認めようという考え方であって、あくまでも衆議院委員会立法というものは、将来会社公社にする考えは持っておりません。個人的にそういう意見を述べる者もありましても、それは、委員会立法としてはそういう考え方を持っておらないと、こういうことを一つ十分御了承を願いたいのであります。  はなはだそういう点について、いわゆるこの法案提案理由の内容につきましても、皆さん十分納得のできないような説明をいたしたことにつきましては、まことに申しわけない次第であって、その点について十分に御了承をこの機会に願い、どうぞそういう点を一つ十分に御了承の上、せっかく、委員会立法であって、これは単なる議員立法じゃないのでありますからして、はなはだ虫のいい考えでありましょうが、将来の衆議院参議院のためにも、一つ了承願って、われわれの落度のあった点については十分御説明申し上げ、あるいは遺憾の点については御釈明申し上げますからして、どうかこの法案については、一つ何とぞ委員会立法という大きな題目のためにも御了承を願いたいと思うのであります。
  4. 八木幸吉

    八木幸吉君 この前の本委員会が終りましてから、大蔵大臣それから郵政大臣にお越しをいただいて、配当の問題を伺おうと、と申しますのは、元来この法案最初提案理由等を拝見いたしてみますと、結局金の問題が一番中心問題であって、あの国際電信電話株式会社法案付則に、なるべく早く電信電話公社割当てられた株を処分するということだけが詳しく書いてございまして、処分のできない場合の配当金処置については規定がないがために、その配当金は国家に帰属しているという不合理が生じている、ついてはこの問題を解決すれば、この法案問題点大半は解決するのではないかとわれわれは考えるわけで、それについての改正案、実は皆さんと御相談の上で用意したわけでございますが、一ぺん大蔵当局意見を聞いてみようじゃないか、できれば政府案で出す方がすべてがスムースにいくのではないか、それで大蔵大臣お話を聞いてみょうということで別かれたわけでございます。先ほど承わってみますと、大蔵大臣大蔵委員会の方でぜひ手が離せない、それでは政務次官お話を聞いてみようじゃないかということであったのですが、政務次官はまだお見えになりません。郵政大臣はお忙しいのに御出席になっておりますけれども、一つ大蔵政務次官をこの場合ここにおいでをいただいて、一応そのお話を伺ってみたいと思いますが、いかがでしょう。——今伺いますと、大蔵政務次官衆議院の方の委員会に出る必要があるのでここにこれないということでありますので、本来ならば財源関係の問題でございますから、大蔵省の方のお話を聞くのがまず筋道だと私は考えるのでございますけれども、さような事情であればいたし方ございませんから、幸いに郵政大臣がお見えになっておりますから、もし郵政大臣の方で何かお話連絡があれば承わってみたい、かように存ずるのであります。  その問題はこの付則の中に配当に関する規定がないから、政府がこの国際電信電話株式会社付則の第二十項の規定で譲り受けた株式について利益配当を受けたら、その額に相当する額を公社に交付しろ、こういったような付則の一項を追加する法律案を設けて、さように処理したらいいと存ずるのでございますが、郵政大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  5. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 国際電会社の現在政府の保有する株式に対する配当の金をこれを電々公社に移すという、それには法律措置を必要とするでありましょうが、大蔵当局において予算措置は講じられるということでございまするならば、郵政省としてはむろん賛成でございます。
  6. 八木幸吉

    八木幸吉君 この問題について何か事務当局間にでもお話し合いがあったといったようなことはお耳に入っておりませんか。
  7. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 当初その話をいたしましたところが、大蔵当局においても初めは軽く考えておったのか、異議のないような話を一応伺っておったのです。自後その問題出てきたから直接に折衝いたしております。
  8. 八木幸吉

    八木幸吉君 この問題が本法案出発点から言って非常に大きな関係を私は持っていると思いますので、大蔵大臣都合のついたときに、あらためてこの委員会に御出席をいただいて、政府財源措置はどうされるか、今郵政大臣お話になったように、当初と同じように配当公社に電々会社に渡すということに御賛成であるかどうかということを一つ伺って、賛成だということならば、それの法的処置を至急に、委員会でも御協力をいただいて、これを法制化すれば、問題の大半は解決するのじゃないかと私は思いますが、どうか一つ委員長におかれましても、大蔵大臣都合をなるべく早くつけていただいて、当委員会でその問題に対する質疑をいたしたいという希望を、この際お述べいたしておきます。
  9. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 他に御発言ございませんか。
  10. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の橋本さんのお話し々ちょっと伺って、一、二点伺ってみたいと思います。第一点としては、今までは電々公社国際電信電話会社と切り離されておったから技術的に大へん不都合が生じたといったような今御説明があったように伺ったのですが、この間の参考人意見を拝聴しましたときに、梶井総裁なりあるいは渋沢社長なりのお話では、両者が大へん連携もうまくいっているし、円滑にいっている。今橋本委員が仰せられたような、さような問題はないかのごとき印象を実は私受けておるのですが、今連携が必ずしもどうもうまくいってない、だから株を持つ必要があるのだというふうに伺ったのですが、どうもちょっとそのところが両最高首脳部の当委員会において表明された意見と少しく食い違っておるような気がいたします。それが一つ。  それからもう一つ伺いたいのは、公社にする考えは全然持っていないのだ、こういうお話であったのでありますが、この間の梶井総裁お話でも、アメリカを除いて諸外国では国内国外両方通信事業というものは統一されておるのだ、それではどうしようというのかと私伺ったら、それはお立場もありましたので御明答がなかったわけでありますが、先般も当委員会石坂委員からもお話しがございましたが、またほかの方からも私そういう意見を聞いたのでありますが、これは通信事業というものは国内国外一本にするのが理想であって、今から二、三年前に国際電信電話株式会社民営にしたのは間違っておったのだ、これは国策の一つの変換の一過程として考えるのだ、こういうことであれば、その立場意見によって違いがありますし、私はその線には反対でありますけれども、一応筋が通っているのでありますが、公社には全然する考えはないのだ、関係を密接にするために株を持つ必要があるのだという点では、どうも私ちょっと納得いきかねるように思うので、幸い御教示をいただければと思います。
  11. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 八木さんのお話の第一点の方ですが、少し私の説明が足らぬためにあるいは誤解されたかと思います。現在連携が悪くて成績があがらぬということは申し上げておりませんので、要するにこれからの国際電信電話事業というものは、現在やっておりまする短波だけではなくなる。というのは世界の趨勢が世界マイクロウェーブでつなごう、その上将来において同軸ケーブルでつなごう、こういう傾向になってきておる。今のところは国際会社ではマイクロウェーブを作っておりませんし、その技術者もおりません。電信電話公社及びNHKがマイクロウェーブに関する技術を持っておるわけなんであります。この間、視察をいたしました結果から見ても、マイクロウェーブでもつてだんだん将来の国際電信電話というものがつながれることが相当の力になって参りますというと、将来そういう意味においても技術提携といいますか、お互いに助け合うということが非常に出てくるのじゃないか。短波だけなら今の国際会社で十分であります。マイクロウェーブになりますと、現在の会社ではマイクロウェーブを扱っておりませんからして、あらためてそれらを技術者を養成したりあるいは施設をこしらえたり、こういうことになりますけれども、日本の国の現状から見てなかなかそういうような方面に多大な資本を投下するということがいいか悪いかということも一つの問題になりましょう。かつまた現実にすでに電々公社の方でもマイクロウェーブを作りつつある。従貫のマイクロウェーブもできようとしております。そういう点で将来を考えるというと、やはりそこにはコンネクションといいますか、お互い友好関係があった方がいいじゃないか、そういう意味も含んでおるのです。そういう意味から現在決して会社との間が悪いということを申し上げたのじゃないのであります。足らぬところがあったため誤解があったのじゃないかと思います。  第二の点ですが、前提とし七お断りしておいたのは、電々公社法改正というこの法律の中には、いわゆる会社公社に直すとかあるいは一本の公社の中に入れるのだとか、こういう考え方を持っておらない。というのは、もちろんこの私からあとでその点につきましては発立案に当っていろいろ議論は出たのです。出ましたけれども、それは民営方式として会社が発足して日もまだ浅いのであるからして、しかもその間において成績が上っておらぬかというと、ある程度成績も上っておる。であるからして、これを公社に一元化したりもしくは公社と別にこれを作り上げる、こういう考え方は必要はなかろうというのでもって、一部の意見はありましたが、委員会全体としてこの公社に持っていくとかあるいは公社に統合するという形をこの法案に表わさない。要するに株の処分の問題と、今申しましたような将来の技術提携とか、あるいは第二に安定株主の問題、こういう点において意見が一致した、こういう意味であります。御了承願います。
  12. 八木幸吉

    八木幸吉君 この前の委員会で私途中で予算委員会関係がありまして失礼いたしたのですが、何かそのうち、今橋本先生のお言葉の中にちょっとそれに似たようなことがありましたが、だれか提案者の中で、将来一本にする方がよろしいのだという意見の表明がありましたのですか。私速記録をよく拝見しておらぬものですから……。
  13. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 私ちょうどほかに用事があっておりませんでしたが、廣瀬君が出ておりましたので……。
  14. 廣瀬正雄

    衆議院議員廣瀬正雄君) その問題につきましては、私の属しております民主党の代議士であります齋藤君が出ておりまして、さようなことを申したのでありますが、それは単なる個人意見でありまして、委員会としてのまとまった意見ではないのであります。私から後でその点につきましては発言を求めまして訂正をいたしておるわけであります。
  15. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからもう一つ伺いたいのですが、国際電信電話株式会社ができた今から両三年前の委員会での御発言を何かで読みましたところ、橋本先生は非常にこれに御賛成であって、御賛成討論をしておられるように承わったのです。今技術的の話がありましたが、私技術的のことは全然しろうとでありますからよくわかりませんが、将来そういったやはり一本化すれば都合がいいというようなことは当時予見されておらなかったのかどうか、もしくは民営案に御賛成になったのが、今度株を持つことに御賛成になっておるのはお立場が多少お変りになったのか、その辺のところは、実はあのときはこういう事情があってそうしたが、今はこういうふうに思うようになったということを一つ説明していただければ、われわれの理解の上に非常に幸いだと思います。
  16. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 当時八木さんのおっしゃるように、いわゆる民営案について賛成をして、賛成討論をやっております。現在の立場も変っておりませんが、当時あれを民営にするについてはいろいろ議会内でも議論がありました。というのは相当もうかっておる事業である。これを公社内の収入分析から見るというと、画然とはわからぬけれども、十五億円幾らか利益を上げておる。そういう利益を上げておるものを分離して、もうからないものだけ残しては、ますます国内電信電話事業というものは窮屈になりはしないか、こういうような意見一つあって、もちろんこれは事業が同じであるから、同一事業であるから分けるべきではないという議論もありました。この二つの理由からして反対があったわけであります。しかし私は一応国際電信電話会社民営にするというのは、何といっても、国際情勢において十分なる活動をせしめるためには官営組織ではなかなか仕事がやりにくい、自由闊達にやるためには民営組織がよろしい、こういう意味で自由党としては全面的に民営論立場をとり私も賛成したのです。当時は、問題になっておる株ですが、株が委員会にかかっておりますときに、大体五百円株がおそらく七百円ぐらいで売れるだろう、こういう工合に世評は非常に盛んであった。というのは、結局三十二億七千万円と評価委員会できめられましたが、これは三十二万七千万円どころでなくして、五十億も、あるいはもっとするものではないか、であるからそれが三十二億七千万円ぐらいに評価されたのならば、当然五百円株は七百円にも七百五十円にもなるのではないか、従ってこの処分というものは非常に簡単に喜んでできるだろう、こういう見通しだったのです。ところが二十八年の七月にいよいよ株の公開と言いますか、割当でありますが、公開割当をいたしました。ところが結果においてはこのうち十八億何千万円しか引受手がなかった、残った十四億七千万円ばかり割当ができなかったということでもって、ちょっと最初見通しというものが悪かったわけであります。昨年の昭和二十九年の三月に再びこれの公開を大阪、東京等でやってみたがやはり売れない、一千万円ちょっと欠ける。こういうことからして私はもちろん民営方法を変えるという気はありません。当時なぜそれならば法律でもって一部大蔵省に移したかと言いますれば、もしこれを移さないというと、一人で三十二億七千万円という株主ができてしまう。そのうち一部分を公社に残して一部を大蔵省に株を移譲するということも、実際上は見通しからいって、全部売れるという見通しであったものですから、そんな必要もなかろう、ことにそのときの予算では全部売れるという見通しのもとに、その全額を公社の建設の方に回すというふうな予算ができておった。そういう状態になっておりましたからして、そんなに相当安定株主ができるのなら、これでよかろうという考え方で、必ずしも公社が持って悪いという見解で、大蔵省に全部回したのじゃない。従って民営方式の私たち考えは変えておりませんけれども、一応その株が売れない状態であり、かつまたむやみにこの株の配当をしなければならんということも、公共的な性格から見ても無理がありますし、当時の評価委員会では、御承知のように、資料がお回りになったでありましょうが、大体においてこの会社は八分五厘見当が妥当である、こういう見解を当時の財界人の方々の集まった評価委員会及び設立委員会で、そういう結論が出ておる、こういうところから見ても、ただ株を消化するために一割二分、一割五分配当をするということが公共事業として果して妥当であるかどうかということが言えるわけですからして、その後の情勢から見ても、なかなかこの株を全部売り切るということはむずかしい、こういう点から見れば、この一部分を公社に残すということは、先ほど申しましたような意味から言っても、意味があるのじゃないか、決して民営方式を変えるのじゃないですが、その安定株主についても、会社将来の事業見通しの上から言っても適当である、こういう意味で今回の法案提案者の一人になったわけであって、民営方式を変えるという建前ではないのでありますからして、従って私の前の考え方も現在の考え方も変っておらないと、こう御了承を願いたいと思います。
  17. 八木幸吉

    八木幸吉君 私は日本電々公社の建設改良資金というものは今でもやはり相当巨額のものが切実に必要であると、こういう点では国際電信電話株式会社ができた当時と少しも変っていないのじゃないかと、こう承知いたしておるのですが、そこで株が売れれば全部売った方がいいじゃないか、八分の配当では全部売るということは困難かもしれないから、一部株を電々公社に持たしておいても悪くないのじゃないか、こういったような消極的なつまり意味合いで五分の一持たせるのだ、こういうふうにちょっと受け取れるのですが、もしそうでなければ、一体いわゆる安定、私はこの間どなたからか説明がありましたので、安定というのは、大株主ができるということではなくて、会社の株価の上り下りにかかわらず、その会社を見込んで株を持っているというのがほんとうの安定株主であって、株を持っている心持ちが安定であるか安定でないかということで分けるべきで、株数の多少には関係ない、こう私は思っておるのですが、どうも株を一刻も早く処分するという観点と公社が株を相当持続して持つということとは相入れない考え方だろうと、こう思うのですが、その点はいかがでございましょうか、売れないから持たせる、同じ持たせるのだから公社がいいのだ、こういう考えであるのか、売れるのなら売ってしまって、会社の建設資金に振り向けるというのがいいというお考えなのか、この間電々公社梶井総裁にこの点伺いましたら、まず金をつくるのが第一で、安定株式にするということには別に異議はないといったような消極的な御表現があったわけでありますが、提案者の方のお考え方としては、その間をどういうふうに一体御説明になるのか、どうも私は考え方としても相反した考え方だ、株を持つということと売るということ、これは違っているのだと、こう思わざるを得ないのですが、ごくもっと悪評をすれば、十四億では市場株とならないから、半分の七億でとめるという近頃はやりのやりかたとは、まさかそんなことではないと思われるのですが、どうも論理的に納得がいきかねるのです。
  18. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) それは原則的には八木さんのお話の通りなんですが、実はあの法律案で御承知のように、五分の一を持たなければならないという法律を作りますというと、何と言いますか、支配権が強まったりあるいは安定的な性格が非常に出てくる、しかしそうすれば、五分の一が安定であり、十分の一が安定であると言うことはできませんが、そういう強い表現でいくと、かえって会社の方でも心配したり誤解を生むだろうということから、一応五分の一を超えてはならないというやわらかい表現になっておるわけでありますが、そこで実はこの前段議院で参考人として渋沢社長にお出でを願ったときに、渋沢さんからは五分の一くらいは公社が持ってもらってもけっこうだというお話があったわけであります。私の手元にも渋沢さんから五分の一くらいにとめてほしいというようなプリントでもっての文書がありますが、もちろんそれには理由として、市場性というものを上げたいからして五分の一全部を移されたい、市場性が出ていないから従って五分の一程度にとめてもらって、五分の一はできるだけ早く売るようにしてもらいたいという内容であります。ただ五分の一持つということも一年くらい待ってほしいという条件付でありますが、とにかく五分の一は公社が持ってもけっこうである、こういう意味のプリントが私の手元にもあります。そういう考え方で、いわゆる公社というものであれば、何と言っても、これは今まで仕事をしておった事業者でありますからして、通信事業には一番理解がある、であるからして配当を高くして配当をもうけようという考え方もおそらく公社にもありますまいし、かつまた特に株主総会に臨んで配当を高くしろ、こういう要件を言う株主でもわれわれはないと思うのです。一番電信事業については理解があるわけですからして、できるだけ設備の改善とかあるいは従業員の待遇改善とかあるいは料金の引下げの方面に主力をおいて、配当の方は第二の考え方をするであろうと思うのです。そういう意味においては、今八木さんのおっしゃったような安定株主としては、従来国際会社が持っておられる株主よりも、より数段すぐれた安定株主になるであろう、こういうことを私たち公社に期待をしたわけであります。かつまた今申し上げましたように、決して公社はそう言いましても、株主総会に出て株主権を行使するかどうかということになりますと、私は梶井総裁からは直接に意見を聞いておりませんが、従来から、前に大蔵省が株を持っていた場合も、白紙委任状を実際は出しているようです。五分の一という多数を持っておるせいもありましょうが、白紙委任状を出しております。従いまして実際上の株主総会での運用というものは、国がそういう白紙委任状を出しているから、公社の方でも白紙委任状を出して、そしていわゆる大株主の特権を百パーセント発揮するという考え方はやらないじゃなかろうか、これは私個人の推測でありますが、現在政府の持っている点から考えても、そういう行動に出るのじゃなかろうか、でありますから、会社の一部が心配しているように、公社会社を支配するというような考え方は全然出てこないのじゃなかろうか、こういう意味でもって五分の一程度は持っておってよろしいし、もちろん公社の財政いかんによってはもっと売る場合もありましょうが、五分の一が十分の一になってもある程度の株を持つことによって安定株主の使命を果す。こういうような意義を私はこの法律によって持つことができるのではなかろうか、こう考えたわけであります。
  19. 八木幸吉

    八木幸吉君 私も渋沢社長衆議院でのお話速記録で拝見したのですが、その意味はちょっと今のと違っているのじゃないかと思うのです。というのはどうでもこの株を公社に持たせるというのであれば、少くとも五分の一以下にしてもらいたい。それは市場株の関係もあるから、なおかつこの株は議決権も放棄しておられることであるからという一つの条件づきでその発言があったと思うのと、あの発言の一番重安なポイントは、しかし一年待ってくれ、一年待ってくれさえすればその間に売ってしまって金にして電々公社に渡してしまうから、もうこれは法律をお通しになるならお通しになってもいいが、一年待ってくれ、その問で勝負しようじゃないかというような、非常に俗な言葉ですへれども、受身の立場ですからして、まあ五分の一でもって一つかんにんしてもらいたいというようなお話じゃないかと私は読んだのですが。
  20. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) そういうような考え方であろうと思います。
  21. 八木幸吉

    八木幸吉君 それはそのくらいにしておきまして、私非常に簡単ですが、株を売って金にするということと、株主になるというのは考え方として逆なんですね。だから売らせるということと安定株主になさるということは逆なんで、これは電々公社の方に聞いた方がいいかもしれませんが、どうもそこのところがすっきりしない、こう思うのです。  それからもう一つ配当なんか別にというお話がありましたけれども、これは早く売れなければどうしたって電々公社配当をやるのが当り前なんで、約一億一千五百万円になりますか、二十八年からずっとくればおそてらく本年も入れて三億三千万ほどになるでしょうけれども、この株の配当金公社にやるようにまず法律改正をなぜその点を先におやりにならぬか。問題が逆じゃないかと私は思うのですが、その配当金に対する法律改正案をお出しにならなかったについては何か理由がおありになりますか。
  22. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) その株の配当の問題も一応立案途上において委員の中から意見が出ました。そこで大蔵省並びに郵政当局を呼びまして、とにかくまあ従来の現行法ではすみやかに売れということになっておるのだから、そこでこれが売れる見込がつくかと言ったところが、郵政当局は再三にわたって大蔵省に要請はしておるけれども、実際上売れない、また大蔵省当局もこの一年間においてこれだけの株が全部処分できる自信は持っておらない、こういうお話なんです。そういう点から考えても、まあ会社側では一年待ってくれれば売れるということを非公式には言っておるようですが、まあ一応大蔵省の持っておる株で、会社が持っておる株じゃありませんから、一応大蔵省なり郵政省が主導権を持っておるわけですから、その方の意見をわれわれは尊重しなければなりませんから、その結果は今申し上げたように、大蔵省もこの一年間ではとても売れない、郵政省の方もとても見込みがない、こういうお話ですから、それならば会社は一応ある程度売れるとこう言っておるのだから、全部を移さずに、一部分のものを、いわゆる半額を移して、半額は一つ会社もそう言っておるし、大蔵省も幾らか売れると言っておるからここで様子を見よう。で配当の問題については、当時すでにこの法案を出そうというときにはもう予算ができてしまって、衆議院を通過してしまっておる。そういうふうな状態でありますからして、配当に関する法律案を出しましても、今後のことは処理できますけれども、さかのぼって処理するということは非常に困難である。というのは財政の問題にからんできます。その金は一般会計で使っておりますからして、二億二千五百万という金でありますけれども、それにしてもその金を今度は新たに生み出すということになりますからして、そこに少し無理が出てくる。こういうことからして、一応株の配当についてはこれをあまり深い論議をしなかったのであります。ただこれからの配当について、要するに委員会としては、一応これを公社に移したものの配当公社に入るわけですから、これからの問題については配当のことはあまり考えなくてもよろしい。ただ五分の一が残りますからして、五分の一の配当が十二月に配当があるわけであります。これをどうするかはいろいろ議論がありますけれども、まあこいつは売れるといっているが、果して売れるかどうかわかりませんから、もう少し様子を見てからでも五分の一の将来の配当について考えてもよかろう。まずもってこの根本の問題をきめよう、大筋の問題をきめよう。大筋の問題としては、二分の一を公社に移し、二分の一をできるだけ早く売る、こういう建前でやってみよう、こういう考え方なんです。
  23. 八木幸吉

    八木幸吉君 五分の一かりに原案通り法律が成立しましても、七億円がやはり大蔵省の手に残る、約五千六百万円ですか、配当が、今と同じ配当率であれば……、結局売れなければその配当の問題が起ってくる。そこでこの際、配当金の帰属に関する法律の制定をやっていけば、どちらにころんだところが非常にトラブルの根を断つのだ、こういう気持であるわけなんですが、そういう法律の制定に対して御賛成ですか、あるいはその必要が今はないというお考えですか、最後一つ
  24. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 従ってこの法律案を通していただいて、そうしてなおかつ五分の一がすみやかに処分できなくて残ったというときにおいては、この配当金については公社に交付するというような、こういうような法律案ができることについてはもちろん賛成であります。ただわれわれとしては、ことに会社側の方では、いや売れるとこう言っておるものですから、売れるという考え方なら少し様子を見ようというので、その五分の一については様子を見るという建前で残したのでありますから、万一売れ残ったということも考えて、この法案を通した上、なお五分の一について配当の所属をきめていただくということであれば、もちろんけっこうであります。
  25. 八木幸吉

    八木幸吉君 今残った場合というお話ですが、残るか残らぬかは将来の問題で、この法律ができたときでも配当の問題は起らないという予想のもとにおそらくできたんだろうが、実際はこうだ。将来のことはわかりませんから、それに対応するために、今直ちにその配当金に対する法案を作ることに賛成ですか、その必要はないというお考えですか。
  26. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) この法案を通していただきまして、なお五分の一残りますね、残るというのは、五分の一の株が残るという意味です。その五分の一残った株に対してのそういうような配当の所属をきめるような法律案を作ってもらうことについては、もちろんこれはわれわれ委員会としても賛成なんです。ただしばらく、会社も売る々々といっておりますから、せっかく会社も売る々々といっているのだから、会社の方の顔を立てて、もう少し様子を見てみよう、大蔵省も協力してやりましょうから、残りの七億ぐらいはあるいはうまくいけば処分ができると思いますから、今直ちに法律を……、八木さんのおっしゃるようなお考え方でありますれば、付則の中にもう一つそれをつけ加えればよかったと思います。
  27. 八木幸吉

    八木幸吉君 この法律が成立するかしないかは別問題として、配当金の問題をここできめるということは、禍の根を断つというので、私は問題がないと思いますが、法律の成立と何か関係がありますか。
  28. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 一応原則として私どもも衆議院委員会ではこの株の処分ということが一つと、もう一つは、将来の電信事業の発展性、技術の発展性から見て、技術的な提携とか連携というものが必要である。すなわち友好的な関係に置く必要があろう。これが二点。第三点が同業的な性格を持った公社であるからして、電信事業に対しては非常に理解がある、こういうようなものに株をある程度持たそうということの方が、将来のためにもよろしい。こういう三点から法律案ができておる。単なる株の処分だけから見れば、おっしゃることに持っていってもいいのですが、そうではなくて、この衆議院を通過した法律案はこの三点の要素からできておるから、従ってこの法律案はぜひとも皆さんの御協力を得て通したい。そうして残りの五分の一強の問題については、おっしゃるような御意見によって別な法律案ができても私はけっこうでしょうし、この国会でなくても、一応これは来年度の予算の編成に関係しますから、従って臨時国会もしくは通常国会において制定せられても間に合う、こういうふうに解釈しております。
  29. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 他に御発言はございませんか。  それでは本件につきましては本日はこの程度にとどめることにいたします。
  30. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 次に、日本放送協会昭和二十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。  本日は郵政省当局のほか、日本放送協会から参考人として岡部理事及び栃沢経理局長が出席されておりますから、御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  31. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は郵政当局に特にこれは一つ基本方針と、今までのやってこられた実績をお尋ねしたいのですが、ラジオ・サービスセンター、こういう問題は郵政当局は承知の上でやったのかどうか。郵政大臣はかわられたのですが、従来からこういう問題についてどういう監督の方針をとって具体的にやってこられたか、その経過を説明をしていただきたい。
  32. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) ラジオ・サービス・センターにつきましては郵政当局は聞いておりません。
  33. 永岡光治

    ○永岡光治君 郵政大臣の監督をどういうように解釈しておるのでしょうか。郵政当局はもし知らないとすればこれは職務怠慢と言わざるを得ないと思うのでありますが、どのようにお考えになりますか。
  34. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 御質問の趣旨をもう一遍伺いたい、どういう……。
  35. 永岡光治

    ○永岡光治君 ラジオ・サービス・センダーがもうすでにでき上っているわけですが、お話しによれば、こういうことを全然知らなかった、それでは郵政大臣の監督権を、国会はこういうこともあろうかと思って、やはり十分一つ監督していただきたいということで権限を郵政大臣に持たしているわけですよ。ところが、私たちにしても非常な不満のような内容なんで、あなたは郵政省としてはこういうことを全然知らなかったということであれば、私は郵政大臣の持っている監督権を十分に行使していないのじゃないか、ですからそういう点から考えて、しかもこれは会計検査院が指摘しているのですよ。はなはだ職務怠慢ではないかと思うのですが、どのように考えておりますか。……御答弁いただけないところをみると……。大臣が来られたから、それでは大臣に……。
  36. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) なおもう一度今の質問を繰り返して下さい。
  37. 永岡光治

    ○永岡光治君 大臣に一つお尋ねするわけですが、会計検査院から指摘されておりますものに端を発して私たちが検討を進めた結果、ラジオ・サービス・センターの設置の問題について非常に不明朗なものを感ずるわけです。ほとんど過半というか、八割以上のものを大体NHKが出資をしておる。しかもその借料を払っておる。しかもその返還に至っては三年間据え置きして、十二年間の均等償還、こういうことであれば、なぜみずから作らんかということの疑問を持つわけですが、会計検査院もいろいろ疑問を持って指摘しておりますけれども、問題はこういうこともあろうかということで、郵政大臣にNHKの監督権を今日国会は認めてあるわけでございます。そこでこれは会計検査院の指摘事項にもあるわけなんですが、郵政大臣はどのように監督権を発動されておるかということ、今までこういうことを放置してきたわけで、今お伺いしたところが、電波監理局長は全然知らなかった、こういうようなお話なんです。これでは郵政大臣の監督権が十分行使されていない、職務怠慢ではないか、こういうことで私は今それを追及しておるわけですが、大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  38. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ラジオ・サービス・センターでございましたか、あの建物の件につきまして、NHKから大部分の出資をしておるにもかかわらず、何年か後にはその所有権がラジオ・サービス・センターの方へ移っていくというような姿は、私もはなはだいけないと、かように考えておる次第でありまして、できる限り早くすみやかにNHKの所有に移すべき手段をとるべきものであると私は考えております。  私も実は国会に問題になるまでに、いずれからも報告を受けなかったような次第でありまして、まことに怠慢とおしかりを受けても仕方がない次第であります。
  39. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは私一つ郵政大臣に御注意を喚起いたしたいと思うので、はなはだ僭越でございますけれども、どうもそういう気がしてしようがないのですが、郵政大臣が監督の権限を持っておられる、公社に対する監督、NHKに対する監督、あるいは国際電々に対する監督、こういうものを具体的にどのように行使されておるかということについてとんと報告もないわけで、非常に私たちは不満に思っておるわけですが、一年に大体定期的にどういうふうにこの日程を組んで監督をしておるのか、そういう点について一つ郵政大臣から、こういう方針で、具体的にこういう方法で、たとえば一年の何月から何月までというように期限を切って監督をしておるとか、そういう具体的なことをお尋ねしたいわけですが、そういう計画をされて実行してきておりますか。昨年及び一昨年のもし内容がわかっておれば、この際明確にしていただきたいと思います。
  40. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) この問題は国会に出ましたときに、委員会において問題になれましたときに、私はその翌日すぐにNHKに、放送法の根拠について、その係の者を呼んで郵政大臣の権限に属することを実は調べてみたのであります。何項目かございまするが、その事業の内容にわたっての指示監督をするという面は私はきわめて薄いように感じた。そこで国会においてその予算の承認を願い、交付金の御承認を願いしておる建前、また監督していかなければならんという建前から、この点もむしろ強化されることが望ましいという考えを今持っておるような次第でございまして、やがて今検討いたしておりまする、来たるべき国会において提案したいと考えております放送法改正の際において、それらの点も十分考慮してやって参りたい、かように考えております。
  41. 左藤義詮

    左藤義詮君 ちょっと関連をして。放送法の今お話が出ましたが、NHKに対する郵政大臣の監督について非常に権限が薄いと言われたんですが、関係がはっきりしていないというお話でございますが、NHKの予算は、郵政大臣がこれを十分ごらんになった上で国会に御提案になる。これを審議するときにも郵政大臣がお立ち会いになる。その予算の使途について、こういうふうに会計検査院から指摘された、一体直接の監督官庁である郵政大臣が十分にそういうことに目が届かなかったので、会計検査院のお世話になっておる。会計検査院からこういう報告をいただいて、われわれとしては今ここで問題にしておるということでございますが、私はどうも国会で問題になったから調べてみたが、どうも権限が薄いというようなことは、非常に私は監督ということが全くこれは無意味になってしまう。ことにただいま新任ではありますけれども、大臣のそばの監理局長が、全然そういうことを知らない、現在会計検査院がこういう報告を出し、しかも衆議院でも参議院でもこれが問題になっておるのに、所管の局長が現在においても何もこのことは存じませんというようなことは、私は新任であろうとも、はなはだ無責任なことだと思います。
  42. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) もちろんわれわれといたしまして、いやしくも所管であるNHKの事業の全般にわたってすべてよく調査して、その監督の趣旨を徹底しなければならぬことは申すまでもありません。従っておしかりを受けても、これは当然でございます。それゆえに私は先刻も申し上げましたように——しかし事実の問題を申し上げたのでありまして、私もいまだその報告を……、本委員会において質疑があって初めてそういう事実を発見して驚いた次第でありまして、この点は十分今後遺憾のないように注意して参りたいと考えております。
  43. 左藤義詮

    左藤義詮君 NHKの予算あるいは決算をわれわれ審議いたしますのは、やはり郵政省を経由しておるわけでございまして、これに対して郵政大臣意見を付して国会の承認を求めるわけですが、それがめくら判であっては、われわれ国会議員としては迷惑なのでありまして、そのためにこそ私は郵政省があり、電波監理局があるのでありますから、その局長自身が、これだけ衆参両院でも問題になっておられて、われわれが心配しておるのに、会計検査院から公然と公文書として指摘されておるのに、一向存じませんというようなことは、全くこれはロボットであります。はなはだ私は職務怠慢だと言わざるを得ない。みずからの職責をみずから否定するものであります。その点をもう少し……私は特に局長がああいう答弁では困ると思います。
  44. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 今申し上げますように、事実そういうことは、そのことが起るまで存じませんということを申し上げたのでありまして、起ると同時に私どもは直ちに報告を受けて、それを承知すればよろしいのでありますけれども、そういうことでなかったことはまことに遺憾とする。むろん怠慢ではないかと仰せられればごもっともと申し上げざるを得ませんけれども、事実の問題としてそういうことでありまして、まことに申しわけありません。今後そういうことに十分注意をして、できる限りそういうことに対して万遺憾のないようにしたい、こう考えております。
  45. 左藤義詮

    左藤義詮君 大臣から非常に恐縮したお話でございましたが、今後のこともございますので、局長から、私は直接この業務を担当なさる、非常な抱負を持ち、期待をもって迎えられた局長から、先ほどの御発言をお取り消しになるなり、あるいは今後のNHKに対する御監督をどういうふうになさるのでありますか、はっきり承わっておきたいと思います。
  46. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) さっき内容が不明確で申しわけないのでありますが、ラジオ・サービス・センターが新たにビルディングを作ったというそういう情報は私聞いておりません。NHKがやっておりまする事業その他につきましての御報告は受けておるわけであります。ただし、先ほど大臣が申し上げますように、郵政省には、この日本放送協会を監督し命令するような権限等につきましては、放送法に何ら明確な根拠がないのであります。今これをいかにしてこの放送協会の業務あるいは予算の執行等について、郵政省におきましては、放送法の改正あるいはその他の方法によってこれを実施したいということで、今勉強中でございます。しばらくお待ちを願いたいと思います。
  47. 左藤義詮

    左藤義詮君 私どもも放送法の建前から、番組の面とか、そういう内容についての役所の干渉のあることはいけない。あくまで番組編集の自由ということを守らなければならないという点は、私どもはかねてから主張しておるところでございますけれども、その業務関係等につきましては、予算はごらんになり、決算も報告をお受けになる、その予算、決算に意見を付して国会の承認をお求めになるのでありますから、そういう点から、ただいま問題になっておりますることでありますから、あくまで会計検査院のお世話にならなくても、十分私は御津意になるべきだと思いますが、それが法律の上に、番組編集の自由を侵さないということの意味からいたして、そういう消極面だけおとりになって、ただめくら判だけ押していればいいのだ、国会の審議にしろ、われわれはただ窓口を通るだけなんだから、もし予算の不正があるならば、あるいはこれに疑義があるならば、会計検査院に行けばいいということでは、私はむしろ郵政省がない方がいいと思う。そういう点は、放送法にないからというて、現に予算、決算のちゃんと報告をお受けになるのでありますから、もう少しそういう点は実質的な役所としての責任をお果しになるべきだと思います。  またこれと関連いたしまして、放送法がいろいろ不備である、何とかしなければいけない。ことに電波の非常な驚異的な進歩に対して、現在の放送法ではカバーし切れない。特に民間放送というもののその後の発展を、今の放送法ではまかない切れないということは、前からの議論でございまして、これには郵政省におきまして委員会をお作りになって、着々と放送法の改正の御準備はしていらっしゃる。私どもはこの国会でも御提案になるかと思ったのでありますが、ただいまのような法の不備ということをお感じになるなら、なおさらのこと、この放送法改正について……。衆議院では特に委員会に小委員会まで作ってやったのでありますが、どうも議員提案としていろいろ議論がございますが、先ほどの国際の問題でもそうですが、私どもはこの放送法につきましては、政府としては重大な関心をお持ちになって、これはマスコミの非常に大きな問題でありますから、新局長も来られたのでありますので、鋭意委員会を督励せられて、臨時国会とは申しませんが、少くとも次の通常国会にはぜひ御提案になるように、ただいまいろいろのことが問題になりますれば、そういう点、大臣のお言葉もございますように、この不備を是正するような、さような意図をお持てになっておるかどうか、この放送法改正に対する政府の御所信をこの機会にお伺いしたいと思います。
  48. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お話のように、電波界の急激な躍進と申しますか、発展に伴って、現在の放送法のできました当時と今日と比べてみまするならば隔世の感があります。従って現在の放送法というものは時代おくれの感があるということは痛切に感じておる次第でありまして、先ほど申し上げましたような現在の不備を補うのみならず、今日の発展せる過程、また今後さらに飛躍してどこまで発展するかわからないと考えられるような電波界の将来の情勢をも十分に見きわめて、完璧と思われるようなものをこの通常国会に十分に研究の上準備して提案いたしたいという考えであることを申し上げておきます。
  49. 永岡光治

    ○永岡光治君 郵政大臣の権限において監督をするということになっておりますが、放送協会にしても、国際電々にしても、こういうことをしてはいけないという禁止規定がない以上は、監督権は総括的に一応あるものと見ていいと思います。これも不備という問題があれば、それも法律の解釈でいろいろありましょうが、私はこの機会にはこまかく言いませんけれども、実はたとえばNHKのテレビ・センターの問題とか、あるいはまた国際電々にしても、これは実は委員会ではあまり口にしたくないけれども、相当不明朗なものがあるわけなんです。だから私たちはこの際国際電々の株はやはり日本電々に持たせなければ危いぞということを憂えるからこそ私たちはこの問題を心配しているわけですけれども、そういう問題もあって、国際電々もあなたが監督されるわけですから、あるいは電々公社についても郵政大臣が監督される立場に立っておられるので、どうか法律改正の際にはそういうこまかいものに行き渡るまで不備のないように御考慮をいただきたいということと同時に、法律のできる間までも、どうか一つ定期的に誤りのない監督を具体的に私は発動していただきたい、こういうことを特に要望いたしておきたいと思うのであります。
  50. 八木幸吉

    八木幸吉君 釈迦に説法になりますけれども、放送法の第三十七条の一項に「協会は、毎事業年度の収支予算事業計画及び資金計画を作成し、郵政大臣に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」、二項に、「郵政大臣が前項の収支予算事業計画及び資金計画を受理したときは、これを検討して意見を附し、内閣を経て国会に提出し、その承認を受けなければならない。」と、こういう規定がございますが、先ほどの電波監理局長のお話では、ラジオ・センターの話は全然知らないのだとおっしゃいましたけれども、これはこの法律の条項の資金計画に私は関係を持つと思うのは、ラジオ・センターは一億三千五百万円で建物を建てるに対して、NHKは八千五百万円を支出して、しかもこれは無利子だ、結局はその建物は家賃を払って、その金でとられてしまうのだと、こういう契約なんですが、そのときになぜNHKが自分で建物を建てなかったかといえば、建設予算がなかったからだというふうに仄聞しているのであります。八千五百万円の金を無利子で貸し付けるということも、これは一つのNHKとしてはかなり大きな問題でもあるし、建設予算があるとかないとかいうことも、これは事業計画の一つの大きなものでありますから、当然NHKとしては郵政省に相談しなくちゃならない。それを電波局長が何も御存じないというのは、NHKがそのことを相談しなかったのが悪かったのか、ある程度相談したけれども、電波局の方でそれを取り上げなかったのか、どちらに一体そごがあったのか。とにかく八千五百万円の金をただで貸すというようなことは大きな問題だし、一億三千五百万円の建物を建てるための予算をとるということも大きな問題だし、知らなかったということは私は言えないものじゃないか。当然これは郵政大臣に報告をして、その裁決を得るという事項に私は該当すると思うのですが、その点局長いかがですか。
  51. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) きわめて遺憾に存じますが、私は就任しましてしばらくたちまして、ラジオ・サービス・センターがかような、ビルディング建造の計画をやって、日本放送協会が出資をしたという話を聞きました。先ほどから申し上げます通り、NHKの収支予算、全体の事業計画等につきましては国会の承認を経て行われておるのでありまするから、何らかの方法をもってわれわれはこれをその承認の線に沿うてそのことが実現するように努力すべき義務を負っておるわけであります。そういう意味におきまして、ただいまのラジオ・サービス・センターの建築の問題につきまして、私どもが十分に知っておらぬということにつきましては、まことに遺憾に存じます。ただし、これはただいま御指摘の放送法三十七条の中にありまするのは、全体の事業計画、大ワクについて言っておるのでありまして、細部について言っておるのではないと思います。しかし、私どもはいろいろな方法をもって、何とかしてこの御承認が実現するようにあらゆる努力を払いたいと思っております。
  52. 八木幸吉

    八木幸吉君 何か国会に責任をかけるような今御答弁でありましたけれども、とにかく八千五百万円の金をただで貸すというのに、それを黙っておってあとで聞いたというようなことは、どうも私はこれは非常に怠慢だと思います。一体国会が審議する材料をお出しになるのはあなた方なんで、これは建設計画に当然組んで、そうして国会の承認を得べきもので、建設計画に組まないからといって、八千五百万円の金をただ貸して、おまけに年に千八百万円も家賃を払うと、そんなふざけた一体契約を黙って見ておって監督なんというのはちゃんちゃらおかしいと私は思うのです。非常に言葉がきたなくなりまして相済みませぬけれども、どうも今の御説明は国会に責任を負わされたようで、私ははなはだ不満足でありますが、もう少し地道な、就任早々というようなことを言われたのですが、当然引き継ぎがあってしかるべきで、知らないなんということは問題にならぬので、もうちょっと謙虚な気持で答弁をいただきたいと思いますね。
  53. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 発言が悪うございまして、国会に責任を負わせるというような印象を与えたことは、はなはだ申しわけなく存じます。本件につきまして、私就任早々でございまして、詳しくは実情を聞いておりません。日本放送協会の幹部とよく話し合いをしまして、実情を確めました上におきまして善処するように、また御希望の線に沿うていたすように努力したいと思います。
  54. 八木幸吉

    八木幸吉君 NHKと相談してもらう必要はないのです。あなたが最近におかわりになったなら、前任者との引き継ぎが不完全であったという点が問題なので、御希望に沿うのではないので、もう少しこれは責任を明らかにしてもらいたいということを私は言っておるので、どうも話のポイントが非常に違うように思うのですが、これ以上もう追及しても、時間もありませんし、大臣簡単に今の質疑応答に対する御意見を伺いたい。
  55. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) まず正直に申し上げて、まことに怠慢でございました。その点は申しわけがございません。自今さようなことのないように十分に監督の責任を果して参りたいと考えております。
  56. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからもう一つ大臣にこれは希望を申し上げておきます。たとえば会計検査院から日本放送協会に注意が出ております。その手紙のコピイはむろん郵政省にきておると思います。先ほどの大臣のお話しですと、国会で問題になって初めて知ったという非常に正直なお話しがありましたが、こういったようなほかの点もあると思いますが、会計検査院からいわゆる公社等に注意が出た場合のコピイがきましたら、下のところでとまらないように、ぜひ一応大臣が、必ずおれのところに持ってこいということでお目通しを願って、お指図を願う、途中でこれがとまってしまわないように、これは会計検査院だけではございません。行政管理庁の監察部の注意にいたしましても、やはり大臣が一応ポイントだけは目をお通しになる、そして指示をお与えになるというふうに制度を一つ、すべてを大臣のところで決裁されるようなしきたりに今後なさることをお願いをいたしておきます。
  57. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お話しのように、全く私の方でせっかく勉強するつもりでありましても、報告がないとなかなか全般に目を通すということもできません。従って今までも数回何もかも報告を逐次早くするようにということは申しておる次第でございまして、これまた申しわけのようなことを申し上げて恐縮でございますけれども、何分にも郵便やあるいは保険の問題と違いまして、電波に関係する問題は急激な発展でございます。従ってこれに対するスタッフ、あるいはこれに対する全般の機構がただ背伸びをしておるという形であるということは、私は認めておる次第でありまして、これを全般的に強化して、今後ますます発展してゆくと思われるこの電波関係の仕事に対して十分にこれは対応できるようにいたして参りたい、かように考えております。
  58. 八木幸吉

    八木幸吉君 大へん率直なお話しを伺ってありがとうございました。
  59. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ほかに御発言はございませんか。  本件につきましては本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時三分散会