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1955-07-21 第22回国会 参議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十一日(木曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     瀧井治三郎君    理事            左藤 義詮君            柏木 庫治君            永岡 光治君            三木 治朗君    委員           大野木秀次郎君            西川平治君            島津 忠彦君            津島 壽一君            野田 俊作君            久保  等君            八木 秀次君            石坂 豊一君            八木 幸吉君   衆議院議員    逓信委員長   松前 重義君           橋本登美三郎君            廣瀬 正雄君            齋藤 憲三君   国務大臣    郵 政 大 臣 松田竹千代君   政府委員    郵政省簡易保険    局長      白根 玉喜君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   説明員    郵政省電気通信    監理官     行広 清美君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○簡易生命保険及び郵便年金積立金  の運用に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○日本電信電話公社法の一部を改正す  る法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 逓信委員会を開会いたします。  本日はまず簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は一昨十九日、衆議院におきまして、同法第三条第一項の改正規定中、長期信用銀行の発行する債券に対する積立金運用規定が削除修正されまして、即日本委員会に本審査のため付託されたものであります。  なお衆議院逓信委員会におきましては、本案に対してお手元に差し上げました内容付帯決議が行われましたので、念のためにお知らせいたしておきます。  それでは予備審査中に引き続いて本案質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  3. 三木治朗

    三木治朗君 この原案衆議院でもって六の一部を削除したのでありますが、この長期信用銀行法という削除された、このいわゆる長期貸付はしないという工合に解釈してよろしいですか。
  4. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) この法律運用対象を拡張する一つといたしまして、実は政府原案では六号といたしまして、長期信用銀行法第二条に規定する長期信用銀行をも含んでおったわけであります。従いましてこれが通過いたしますと、将来長期の面にも投資することに相なっておったわけでありますが、衆議院におきまして修正された結果、これは修正されますと、その方に対する長期融資はできないことに相なります。しかしながら金融債には銘柄が四つございまして、長期信用銀行法第二条に規定するのは、具体的に申し上げますと、長期信用銀行興業銀行であります。これに対する長期は、この修正案通り御可決いただきますと、長期融資はできないことになります。しかしながら農業中金商工中金にはできることに相なっておりますので、しかも金利は、そもそもこれをお願いしたいという政府原案考え方は、利回り向上を大体当てにしておったわけであります。その利回りの面から申しますと、農業中金商工中金も同じでございます。従いまして本年度は御承知のように、国会の予算修正によりまして、金融債はやらないことになったのです。本年度におきましては、この条文があるとないとにかかわらず、投資はできないことになっております。なお来年度以降におきましても、四銘柄のうちの農業中金商工中金はあるわけであります。従いましてその方面に対しまして資金運用部資金を御遠慮いただきまして、私の方の資金を集中的にやるということになりますと、ここ当分の間は問題ないと考えております。
  5. 三木治朗

    三木治朗君 この修正によって、局舎建設に、この前の説明では五億使うことになっていたのですが、その方はふやすことになるのですか、ならないのですか。
  6. 白根玉喜

    政府委員白根玉喜君) この条文の削除によりまして、局舎の面には全然関係ございません。むしろ資金投資対象が四銘柄であるときに比較いたしますと、資金的に見ますと、局舎重点が置き得るような面も考えられるのでございまして、悪い影響は全然ございません。
  7. 三木治朗

    三木治朗君 私ども視察に参りまして、ずいぶんひどい局舎をたくさん見ておって、そうして大体資金運用部からこの簡保の金をこっちに移す場合に、私ども考え方では、この郵政事業が最も文化の先端を行っているのに、ああいう局舎を残しておくことは、日本文化の上にもはなはだ悪い影響があるし、それから預金事業を今日扱っておるが、預ける預金者の信頼の程度にも非常に悪い影響があるのではないかというような点から、むしろこの簡保の金を郵政で扱うことによって局舎改善もできるのだろうという意味も多分に含んで、この何というか、大蔵省から奪回するのに骨を折ったわけなんです。ところがなかなかどうも局舎改善が思うにまかせない現状にあるのであって、衆議院付帯決議がありますが、この百分の三以上をその方に回すという決議がついているのですが、これは来年度から確実に実行ができるものであるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  8. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お話しのように、私どもも実際に現場において老朽局舎を見まするときには、当委員会においてもしばしば局舎改善のためにもっと努力しなければいかんじゃないかという御叱正に対して、まことにもっともであるということを痛感いたしておる次第でございまして、従いまして、この局舎の古いもの、また特に急を要するものに対しては、何としてもこれが改築をやっていかなければならぬと考えまして、郵政省におきましても、少くとも七、八年の間に何とか全部老朽局舎を新しくしていく策を立てまして、そうして毎年、今衆議院決議にもございました、今御指摘通りに、これを完全に老朽局舎を解消して新しくしていきたいと、こういう考えであります。
  9. 八木幸吉

    八木幸吉君 郵政大臣にお伺いいたしますが、この金は郵政省従業員住宅建築に直接もしくは間接投資ができますのですか。
  10. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 今のところでは、住宅の方に直接に貸し付けていくという建前にはちょっと無理ではないかと思います。
  11. 八木幸吉

    八木幸吉君 今いろいろ庁舎の話が三木先生から出ましたが、庁舎も必要かもしれぬけれども従業員住宅の方はもっとも必要じゃないかと実は思っておるのであります。有利確実な方法があれば、住宅建設の方にこの金をある程度使い得る。直接でなければ、たとえば住宅公団に貸し付けて、それをさらにその方面に配付するといったような方法で、むろんこの金があやふやになれば非常に困りますから、有利であり、かつ確実であるということが条件でありますけれども、建物よりも住宅の方が先決だ、私はこういうことを常に考えておりますので、直接この法案をどうしろというだけの知識もなし、研究もいたしておりませんから、何とも申し上げかねますけれども、そういった方面の御配慮をこの際大臣にお願いしておきたい、かように存じます。
  12. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 将来そういう方面にもこの金が運用できるように特に留意して骨折っていきたいと考えております。そういう心がまえから、住宅公団の貸し付けをやっていくような次第であります。
  13. 柏木庫治

    柏木庫治君 もとより大臣も御存じでありましょうが、今の局員の住宅問題ですが、実際東京郵便局沼津附近から来ておる。こちらは大宮、甲府からも来ておるというのがあるのですが、これなんかは、おそらく一日に六時間汽車に乗っておる。そうすると実際面からいうて、一人前の働きは私はできていないと思う。そういうことが続き得ることでないのでありますから、今の局員住宅問題はなるべくというようなことでなく、直接できぬならば、間接にでもできるように、これは真剣に御考慮いただきたいと思うのであります。  いま一つ、今の局舎の問題で、これは三木さんが衆議院付帯決議と関連して局舎問題をおっしゃられて、郵政大臣のさっきの答弁であったのですが、これは実際来年くらいからやるのですか。そのおおよそ、三%くらいのものをもってほんとうにやる、とにかく言いのがれでなくて、ほんとうにやるのかやらぬのか、一つ心持ちを打ちあけて下さい。
  14. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ほんとうにやるわけでございます。(笑声)これは決して言いのがれではありませんで、私どももその必要をほんとうに痛感いたしております次第でありまして、またこの郵便局舎はただ老朽ということだけでなくて、実際に貴重な国民の金を預っておる、また大事な郵便物を預っておるのでありまして、これが一朝火災にでもなったならば、まことに心配な点はこれでございまして、従って中都市以上のところでは、今後建てるものは全部コンクリートにしていくという建前をとっておりまするし、事実また僻陬の地域にありましても、格別の防火地域というようなところにはそういう考え方をもっていたしております。  また切実に、今三木委員より御指摘になりましたように、私ども現場を見て特に痛感いたしておる次第でございまして、これはたびたび、もう長年本委員会においても決議をいただいておる次第でありまして、これはもうあだやおろそかの考えではございませんで、真剣にこれは何とかして解消していきたい、かように考えております。
  15. 柏木庫治

    柏木庫治君 よくわかりました。これは郵政省内部のあなた方が御覧になって、郵政省あり方としてこれをやるので、そうすると付帯決議がついたからやるというのじゃないのですね。付帯決議に動かされてではなくて、郵政省自体あり方としてやる、こういうことですね。
  16. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ええ。それに私ども、まあ時間がありませんのであまりたくさんは見ておりませんけれども局舎が古い局舎から新築されてりっぱになりまするというと、直ちにそれが貯金に響いて参っておる。そういう点から考えてみましても、当年の貯金のワクも大幅に目標を大きくされておるという点から考えてみましても、そういう点から考えてみましても、これを解決していかなければならぬ、こういうふうに私ども考えております。
  17. 柏木庫治

    柏木庫治君 私は一つ希望を申し上げておきますが、実際東京の戦災後そのためにみんな住宅を失った人もありますので、これに対して郵政省は極力アパートなんかを作って努力しておることもよくわかるのですが、しかもまだそれに入れずに、二時間もかかってこちらへ来ておるという者もあるし、それから東京から逆にそういう地方に行っている者があるわけですね。だから私はこれを勤務先を変えさしたらば、双方が四時間も汽車に乗らずに済むことになるのだが、それはどうかということを聞くと、なかなかむずかしい。やはり家族の関係で、しかし個人としてむずかしいからというので、一日六時間も汽車を利用するところに自分の都合でおって、完全なる勤務ができて、本人のほんとうの能力が出ておるとは思えませんので、早急にそういう人をおのおのの任地に住めるようにするか、それが当らないならば、やはり任地を変えてでもこれは仕事中心にやるべきだと考えますので、両方照し合せて、ほんとう働き中心とした運びにやってもらいたいと思います。希望だけ申し上げておきます。
  18. 永岡光治

    永岡光治君 私はこの際大臣一つもう一度御決意のほどを確かめておきたいと思うのですが、今ほとんど各党の代表から、局舎整備の問題に重点を置け、それから住宅の問題に、どういう形でもいいが、直接なり間接なり、やはり同じようにこの資金が使われて然るべきではないかという強い要望があったわけで、おそらく郵政職員はこの発言を聞いて感激しているだろうと思うのでありますが、その意味でさらに大臣の御決意を促したいのでありますが、実は衆議院満場一致付帯決議がなされておりますが、本院ではあえて同じものをやる必要はなかろう、繰り返す必要はなかろう、付帯決議として付けることはなかろう、その煩を避ける意味で、省略して、大臣の御決意を明確にした上で満場一致賛成していきたい、こういう考えであるわけでありますので、御決意をお尋ねするわけであります。  衆議院では明らかに百分の三以上というものをぜひとも来年度から国に対して貸し付けるようにしてほしい。これは大臣も思いつきや、あだやおろそかにやるものではない。ほんとう実行する決意で、これはそういう考えでおるのだということでありまして、さらに衆議院答弁の中には、大蔵大臣も了解してくれているのでございますという答弁もありましたが、大蔵大臣と折衝の上で確認されて、来年度から必ずこの問題は実行するという考えであるかどうか、まずもう一度この点明確に御答弁をいただきたいと思います。
  19. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) この付帯決議につきまして、特に私は大蔵大臣と話し合いまして、どうしても局舎改善に徹していかなければならんということをいろいろ話し合いました。初めは大蔵大臣もなかなか容易にわかってくれそうでなかったのでありますが、だんだん説明いたしましたところ、それはやむを得ない、どれくらいの金になるだろう、これこれの程度の金になる、それくらいなら何とかしなければならんということで、ほんとうに了解されたわけでありまするから、必ずこの決議の次第は実行に移すことができると、私は確信いたしております。
  20. 永岡光治

    永岡光治君 そこでもう一つ衆議院の方で問題になった点でございますが、実はこの百分の三の中の約半額は、特定局関係局舎整備に振り向けてほしいという要望がありました。これは大臣も御承知通り東京都内大阪市内、こういう大都市の中の特定局は御承知通り局舎を建てたくても敷地が高い、建築費が高い、そのために建てられない。そのために狭隘なところで仕事をしなければならない。しかもその取り扱い量が非常に多いので、公衆には非常に御迷惑をかけております。どうしても特定局整備という問題については、全国一万四、五千からというものを考えてみましても、やはり政府の方で手をつけて上げなければ、局長自身の、自力でお前まかなってやれと要望してみたところで、実現はなかなか困難だと思っておりますので、先ほど大臣が申されましたように、貯金を預る、保険金を預る、郵便を預る、通信を預るという重大なる国民サービス機関ですから、そういう意味で、ぜひともこれは政府が熱意をもって解決しなければならぬと思うわけでございますが、大臣衆議院における百分の三のこの資金の中で、半額をどうしても特定局整備の方に割いてほしい、こういうお話がありましたが、そういう考えでおるということを言明されておりますが、その点もあらためて御確認申し上げてよろしゅうございましょうか。
  21. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 局舎新築改善計画につきまして、特にこれこれを普通局特定局として明確に区別はいたしてはおりませんけれども、その区別なく、緊急度に従って公平に処理して参るつもりでございますが、先般来当委員会において御説明申し上げました改善計画が、大体七、八年の計画でおりまするが、順調に進みまするならば、特定局関係におきましても、平均年約八億円くらいのものを回していかなければならぬ、そうすることによって、まあ七、八年の間に大体解消していく、こういう考え方であることを申し上げておきたいと思います。
  22. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ほかに御質疑はございませんか。別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  24. 西川彌平治

    西川平治君 私は自由党を代表いたしまして、ただいま御提案になっております簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案でございますが、衆議院修正によりまして参っておりますこの法案に対しまして賛成をするものでございます。  先ほど来、委員の方からいろいろと御質疑がございましたことで、特にこの郵便局舎建設をはかるために、来年度から積立金運用総額の百分の三を下らない金額をということが強く衆議院によっても出ておりますが、この点は、大臣がただいまはっきり御答弁になりましたように、一つこの際やっていただくことを強く要望いたしまして、賛成するものでございます。
  25. 永岡光治

    永岡光治君 私はただいまの自由党を代表しての西川委員提案賛成するものであります。  さらにとりわけこの局舎問題についても触れられておりました質疑の中でも明確になりましたように、来年度からはその方針で進むということを特に私ははっきりここで明確にした上に、さらに八木委員からも強く要望されております。あるいは柏木委員からも強く要望されております郵政職員住宅建設方面にも、きわめて近い将来、直接間接にこの問題に振り向けられるように、実現できることを要望いたしまして、この法案賛成をするものであります。
  26. 柏木庫治

    柏木庫治君 私は郵政省の出された原案の方がほんとうはよいと思います。まずい修正であると考えるのであります。最近に五万円から八万円になって、さらにその倍額の、保険金は十五万円に上ったのでありますが、こういうように金額が上りますと、そこから生まれてくる膨大な金が不生産的なものだけに入っていくことは私は好ましくないと思うのであります。この程度運用を拡げたことは、非常に郵政省当局が時を得た、また正しいことで、簡易保険であるが、しかも日本の財界から見た簡易保険という一つの事実を織り込まれたようでありまして、実際は私は原案の方がよいと考えております。また実際委員の仲間で、今よりももっと、十五万円をもっとふやせというような声があったのでありますので、なおのことこの方がいいと思いますけれども、私どもの方でいろいろ研究しまして、まず今のところ十五万円ならばまあここらでしんぼうしようじゃないかというような話し合いもできましたので、原案衆議院修正とどちらがいいと言えば、私ども原案の方がよいと思いますけれども、この際諸般の事情をしんしゃくいたしまして、この衆議院修正案賛成をいたします。
  27. 三木治朗

    三木治朗君 この積立金運用に関しましては、郵政省にこの運用権をまあとる際に、ずいぶん資金部運用の問題についてはこれは一元的に行う方が正しいのだ、その方がいいのだという議論がたくさんあったのです。それに反対して、こうやって郵政省運用することになったのでありまして、この点から考えまして非常に責任のあることだと思うのであります。従ってこの運用に際しましては最も厳正に、適切に、誤まりない運用をしていただかなければならないと思わけです。こういう意味で、その重要なことをよく当局はお考えになって、誤まりないようにやっていただくことの希望を付しまして、本案賛成いたします。
  28. 石坂豊一

    石坂豊一君 私は本案に対しまして、衆議院から修正回付された原案賛成いたします。
  29. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 他に御発言はございませんか。——他に御発言はないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決を行います。簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案衆議院送付原案通り可決することに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手
  31. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 全回一致と認めます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長口頭報告内容及び報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 御異議ないものと認めます。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされました方は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     左藤 義詮  柏木 庫治     永岡 光治  三木 治朗     西川平治  島津 忠彦     津島 壽一  野田 俊作     久保  等  八木 秀次     石坂 豊一  八木 幸吉   —————————————
  33. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 次に、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引続き質疑を行います。本日は提出者のほか、郵政省及び日本電信電話公社当局からも御出席になっておりますから、順次御質疑をお願いいたします。——日本電信電話公社法の一部を改正する法律案議題にいたしましたが御発言はございませんか。
  34. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 釈明を一つ。この前の委員会において久保さんから質問がありました答申案の問題ですが、あれは一応形式上あやまらなければなりません。しかし実際上は今日ここにも八木先生がおいでになりますから、御承認願えると思うのですが、小委員会では一応そこではそういう結論になったのです。そのあとでいろいろ調べたところが、当時占領下であって、GHQがこの分離意向については好ましくないというような意見もあり、そこでもって私はそれ以後の委員会には出なかったものですから、結論を、答申案内容を見ずにしまったものですからして、一応小委員会で最後にはそういうふうになったんですが、そういうような意向があっていわゆる分離案としては出さなかった、こういう事情にあったことを御了承を願います。答申としては一体案として出している、こういうことであります。
  35. 三木治朗

    三木治朗君 せんだって来の委員会におきましていろいろ質疑応答、あるいは参考人意見等を聞いたのでありますが、どうもまだ十分納得のゆくところまで参っておりません。従って私どもの控室としては相当議論が多うございまして、まだもう少し検討しなければならんと思いますが、それには一ぺん現地視察どもしてみる必要があるのじゃないかと思いますし、そのことを一つおきめを願いたいと思います。現地視察の問題。
  36. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ただいま三木委員より現地視察という御意見が出ておりますが、委員各位いかがでございますか。
  37. 柏木庫治

    柏木庫治君 参考人からいろいろのことを承わりまして、あれをもう一つ仔細に調べて研究も実際にまだ十分落ち着いてみんなできていないと思うのでありますが、ただいま三木委員から発言がありました視察というようなことは、非常に判断する上において必要であると思いますので、今の三木君の発言賛成いたします。
  38. 永岡光治

    永岡光治君 視察必ずしも反対いたしません、けっこうです。賛成でありますが、ただこの前理事会で申し合せいたしましたように、会期も切迫いたしておりまするし、早急に結論を出さなければならんと思うのでありますので、結論はこの前の予定通り二十六、二十七日までに出すという前提のもとに視察の日程を組んでいただく、こういう条件であれば賛成いたします。
  39. 久保等

    久保等君 私も現場視察されることはけっこうだと思いますし、最近場所国際電会社そのものが移転をしたというようなことで、非常に近い場所ですから、これはまあほんの数時間あれば簡単に現場視察もできると思いますから、それは一つ特にこの法案の審議のさして時間を割愛しなければならないということもないでしょうし、私けっこうだと思います。  なおほかの委員の方々から御質問がなければ、私先般十九日の参考人をいろいろ集めまして御意見をお聞きした中から、数点やはり確かめておきたいと思いますので、質問いたしたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  40. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それでは審議に差しつかえない程度視察をするということで御異議ございませんですか。
  41. 西川彌平治

    西川平治君 ただいま審議を二十六日までに終らせるというような理事会のお話があるというように承ったのでありますが、もちろん審議を迅速にいたしまして、一日も早くこの議案を上げることに対しては、私も賛成でありますが、全くこの問題は非常な微妙な問題を含んでいるのでありますので、果して二十六日に上げるということを前提として審議をいたしましても、あるいは私は、われわれの考えをいろいろ考えれば考えるほど複雑なものがありますので、二十六日にどうしても上げなければならんというような期日を切るということはいかがなものと思います。
  42. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 大体の目途として、先生方もできるだけの御勉強を願って、早くこれの決をとるような方向に御努力願いたいという方針のもとに一つ進行さしていただく、かように存じております。
  43. 永岡光治

    永岡光治君 ただいまの西川委員の御発言ですが、私もやはり疑問があるとすればたださなければならんと思いますので、慎重な審議には賛成です。ただ、会期が何と申しましても三十日で切れるのですから、これが依然として審議未了の形でゆくということは好ましくない、こういうことでありますので、もし質疑があれば今もしてもらうし、さらにまた困るというのであれば明日も続けてもらうし、毎日のように委員会を開いていただいてけっこうだと思うのです。やはり会期中に上げるというこの前の申し合せ、大体二十七日にはこの委員会結論を出そう、討論採決をやるという段取りに持っていくというお話があったのです。そういうふうに一つ
  44. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 新聞を通して見ますと、また一週間くらいは何とか延びるのじゃないかというようなことも出ております。新聞のことで当てになりませんが、新聞はさておいて、ぜひ一つ先生方も御勉強願って、なるべく一つ早く上げるべく御努力願いたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
  45. 久保等

    久保等君 私も数点、先般の参考人の御意見をお伺いして、特に提案者等にもお伺いしておきたいと思うのですが、先般、特に今度の問題に直接関係のあります国際電々会社の社長の陳述の中に、衆議院において当初議員立法の形で提案せられた原案というものが、いろいろ数度にわたって審議の途中において修正といいますか、態度が変って参ったということ、このことに対して非常に納得できない、不審の念を抱かざるを得ないというようなことが述べられておったわけでありますが、確かに一応形の表面的な面から見ると、われわれもそういった、何かそこに一貫した議員立法の趣旨というものがないのではないかという印象を受ける面もあるわけですが、そういったような点については、これはやはり私は提案者としても十分にその実際の実情等を御説明願っておく方が、非常に参議院として、当逓信委員会が審議をいたします際に重要なことではないかと思うわけなんです。そういう点で提案者のお考え一つ承わってみたいと思うのです。
  46. 松前重義

    衆議院議員(松前重義君) 今回の法律案について特に渋沢社長が、今度の法律案は数次にわたって改正やら修正をされてしまって、非常に不可解な感じを持たざるを得ない、こういうまことにわれわれとしては了解しがたい発言をいたしておるそうであります。この点につきましてここに釈明を申し上げまするが、今回の法律案委員会立法でありまして、委員会で議決されまして初めて法律案となったのであります。私法律案の作成に当りましては、幾度か練りかえされて、甲論乙駁、最善を尽しまするのは当然のことでございます。これは当然の成り行きであると私どもは思うのであります。衆議院でさきに参考人を呼びまして、その方方から聴取いたしましたところによりますと、最初に、議決権がないというようなことを考えてみますと、この株の性格に対しまして議決権がないのはよろしくない、すべからく議決権を持たすべきであるという商大の古川教授の非常に積極的な御意見があったのであります。そうして第二に、七億程度であるならば、公社が保有してよろしいという渋沢社長御自身の御意見をも参照いたしたものであります。こういう意味においてこれらの参考人意見を参酌いたしまして、そうして最後の委員会において結論を得た次第であります。もちろんその間におきましては、各党それぞれみずからの党に持って帰って、あるいは政務調査会や政策審議会等に諮り、党の機関に諮って決定しなければならないのでありますから、この間においてこれらを参照いたしまして、そうしてこれらを参酌した上において各党とも持ち寄ってこの結論に到達した次第であります。  大体このようないきさつでございますの、御了承願いたいと思います。
  47. 久保等

    久保等君 それからまた衆議院では付帯決議をしておられるわけですが、その付帯決議は、この国際電信電話事業は申すまでもなく、公共事業であり、非常に重要な通信事業でありますだけに、これの株の配当の問題についてはやはり十分に考えて参らなければならない。言葉をかえて言えば、みだりに増配というようなことを行ってはならないといったような趣旨がまず最初に項目にあげられておるようですが、引き続いて、第二項として、及び現在保有されておりまする株、特に衆議院の場合においては、結論として五分の四を公社に持たす、残りの五分の一程度のものは従来通りの大蔵省が保有するという形でありますから、五分の一程度の大蔵省保有のものについてはすみやかに処分しなければならないわけですが、その問題について、できるだけすみやかに処分せよといったような項目が二項目としてうたわれておるようですが、そのことについて十九日の参考人の方々の意見の中に、その件は、一項と二項とがむしろ矛盾するのだというような意味で、これまた非常に納得できない点の一つというような意見が述べられておったのですが、確かに見方によっては一面そういうこともいえると思うのですが、私は衆議院のこれまたやはり決議の方でも、真意というものが那辺にあるのか、そういった誤解を招いておりまする向きもあるようであります。また確かに現実問題として早急に処分をしなければならない。ところがやはり株の利回りの点においては従来のをやはり堅持していくべきだという見解の上に立てば、非常にむずかしい問題もあるかと思うのですが、その決議をされました一項、二項の点についてどういうお考えであるのか、やはりその点も十分一つ説明を願いたいと思います。
  48. 松前重義

    衆議院議員(松前重義君) ただいまの御質問は、先般の参考人意見の中から多少の増配をしても差しつかえないではないか、これは原安三郎さんであるということを私はあとで聞いたのであります。こういう御意見があったということであります。それと付帯決議の第一とはまるで相反しているではないか、こういう御質問のようにお伺いいたします。第二項の、株の消化にいわゆる配当を制限しては支障をきたすのではないか、だからこれは矛盾があるのではないか、こういうふうな御質問のように伺うのでありますが、私国際電信電話株式会社の性格といたしましては、もし利益があるといたしますれば、これが独占企業である、国家の重要なる公共企業でありまする建前からいたしまして、まっ先にサービスの向上と、料金の引き下げ及び設備の近代化に充てるのが当然だと思うのであります。特に電気通信は技術の進歩速度が早いのでありまして、設備の取りかえに備えて社内留保につとむべきことは当然のことと言わなければなりません。配当の引上げはこの見地から極力抑制いたしまして、これらの方向にその利益を回すべきであるということはもちろんであると思うのであります。  かつ、この会社の適正な配当率というものは、最初にこの会社が設立いたされまする当時の設立委員によりまして、たぶん原安三郎さんも設立委員であったと記憶いたしておりまするが、その設立委員によりまして八分五厘が適当であると決定せられております。それによって資本もこの八分五厘の配当を逆算いたしまして資本を評価されておるのでありまするから、設立後短期間に増配をはかるようなことは、これは会社設立の根本の趣旨に反するものであると考えるものでありまして、こういう意味からいたしまして、本会社も独占企業であり、公共企業の一つである。しかも国際通信という国家の玄関を背負っているものである、こういう建前からしまして、またそのサービスの向上その他の重要性から考えて、設備の近代化等から考えましても、当初の設立委員によって一応ここに適当であるとされましたところの八分五厘の配当、これを逆算して評価されたところの資本金、これらのことを考えてみましても、この根本方針を堅持することは当然のことであるというふうに考えまして、このような決議をいたし、そうして法案の決定をいたしたような次第でございます。  それからもう一つはすみやかに処分する必要がある。これと株の値上げをしないということと矛盾するのではないかというような御質問がありましたけれども、これらの問題は日本の経済界の動向とその後におけるそれらの情勢によりまして、その結論が今日のような状態になっておるのでありまして、すみやかに処分するということをここに決定をいたしましたのは、これは現行法の精神を尊重いたす、こういうつもりでここに決議をいたしような次第であまりす。
  49. 久保等

    久保等君 第二項のすみやかに処分をすべきであるという問題についてなんですが、私も十九日の日、特に証券界の専門家等に当委員会出席を願って、意見を聞いたところによりますると、やはり株の処分できなかった原因は、その配当のいい悪いということよりも、市場そのものの事情にあったのだという御説明もあったのです。しかしまた別の見方からすれば、先ほどもちょっと申し上げたような疑問が持たれるという意見を他の参考人の方から述べられたわけなんですが、今の御説明も、何ですか、そうすると、やはりすみやかに処分せよというそのことは、従来の配当を一応まあ堅持しようといいますか、従来の配当のままでも、経済市場、金融市場そのものも過去の事情とは若干違った事情になって参っておるし、また努力いかんによっては、十分に、まあすみやかにいわゆる処分するという、そのことが実現できるんじゃないかという御判断に立っておるのでしょうが、特に私一項と二項との関連性を、それぞれの項目についての御説明よりも、むしろその両者の関連性の面を、一と二が決して矛盾しないのだという点についての御説明を、もう少しお伺いいたしたいと思うのであります。
  50. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 衆議院委員長説明を補足して申し上げます。  今久保さんのおっしゃるように、原則論としては証券市場に非常に変化があったということが先ず原則論としては言えると思うのです。そこでこの法案に残りの五分の一強をすみやかに処分してということを付けたのは、一応もとの法律を尊重するということが一つ建前である。問題はこの公共的な企業である国際電信電話会社がこの株を売らんがために特別な増配をして、そうしてやることが妥当かどうかという、この国際電信電話会社のその根本的な性質につながっております。先ほどから委員長が言われましたように、これは特殊法人である。独占事業であり、かつまた公共的な性格を多分に持った会社である。こういう会社が先ず第一になさなければならぬことは、サービスの改善であり、なおかつサービスの改善が大体適当なところにいったときには、日本の対外貿易を伸展せしめるためにも、まず料金の値下げを行うべきである。そして他の国際電信電話会社、いわゆる国外の同種類の会社に対して競争できるような状態を作ってから、初めて株の増配に取りかかるのが、この種の会社の使命でなくてはならぬ。原さんがおっしゃったことはすみやかに処分するというのには、どうしても株の配当を上げなければ処分できないのだ、こういうことでありますが、当時この法律を作ったときには、当時の考え方では証券市場においても少くとも八分五厘程度であれば、これは売れるという成算のもとに、八分五厘というものを当時の設立委員会でもってきめておる。かつまたそれが公共事業としての国際電信電話会社の原則だ。それでまずわれわれはその原則を尊重しなければならぬ。営利会社ではあるけれども、商法の規定によってできておる会社ではなくして、これは特別立法によってできておる特殊法人である。たとえば日本航空会社と同様な特殊法人である。こういう建前からして、どこに重点を置くかといえば、やはりサービスの改善並びに使用料金の値下げに重点を置くべきである。そうしてなおかつ売れない場合は、政府において考えるべきものだ、この点は衆議院委員会として、決定した意見ではありませんが、一応われわれの方で考えていることは、もしそういうような使命、いわゆる株の処分ができないという場合においては、当然政府において、この処分のことについて考えなければならぬ、というのはどういうことかといえば、御承知のように昭和石油のごとき純然たる営利会社ですらも、政府は株を、金を出して買っておる。日本航空会社についてはもちろん同様である、こういうような措置をしておるのですからして、従って公共的な大きな使命を持っている国際電信電話会社のごときものは、無理に配当を上げて株を売るというような、そういう根本、本末を転倒したやり方をしてはいかぬのであって、できるだけ適正なと申しましようか。その公共企業体として相当の配当以上は、これはできるだけ押えるべきである。であるからして、御承知のように国際会社法の中でも、利益の処分については郵政大臣の認可を必要としている。こういうことは明らかに、いわゆるみだりに増配をしてはいけないということを暗にこの法案が示している。それでありますからして、もしこれが今御疑問のように、売れなかった場合どうするのだという場合においては、政府は積極的にこの残った株の処分についてあらためて考えるべきである。しかしながらこの間の参考人意見では、当分の間置いてもらえれば売れるということを言っておられる。であるから、売れるなら売っておもらいになったらけっこうである。しかしながらとうていわれわれの見通しでは五分の二というものは売れない。であるからして、五分の一は公社に移し、かつまた安定株主としての使命を全うしよう。残りの五分の一強を政府並びに会社が考えてもらったらいいのでありますが、会社が考えるべき性質のものではなくして、法律の上からいえば、売れるか売れないかということは政府仕事であって、これは政府考えなければならぬことである。こういう点からして、この間においては表面上は矛盾があるようでありますが、その実態においては、私たちは矛盾がないと、こういうふうに考えております。
  51. 久保等

    久保等君 今日は郵政大臣は……。
  52. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 事情によれば呼びます。
  53. 久保等

    久保等君 この前郵政大臣からの本案に対する見解が簡単に述べられておったのですが、特に今次のこの法案が議員立法の形で出されることについて、これに関した問題についてかねがね郵政当局でも検討を加えておったのだというような御説明があったのですが、今日すでにこうした形で衆議院の方は全会一致でもって本案が通過をして、こちらへ参っておるわけなんです。少くとも郵政大臣は、これは従来からいろいろ研究を重ねておったというような先般の御発言もありまするだけに、私はやはりこの際は郵政当局としても明確な見解を持っておられると思いますし、やはり本案の執行に当っての政府としての直接責任者であります郵政大臣が、どう考えるかといったことも非常に重要な問題だと思います。郵政大臣から、でき得れば当然見解が表明せられてしかるべきだと思うのですが、もし監理官の方から御答弁願えるならば御答弁願って、郵政当局として、郵政大臣としてどう考えているのか、この点は一つぜひ十分にその見解のほどを御説明願いたいと思います。
  54. 行広清美

    説明員(行広清美君) 本法律案につきましては、郵政省といたしましても検討を加えてございます。その結果、十四日の次官会議、また十五日の閣議に本法律案につきましては、郵政大臣としては異議がないという意見を添えまして報告をいたしたような次第でございます。そういたしまして、次官会議、閣議におきまして、それぞれ了承を得ておる次第でございます。
  55. 永岡光治

    永岡光治君 関連質問。  ただいまの監理官説明では異議がなといいう御答弁ですが、望ましいのですか、それとも望ましくないのですか。積極的に望むのですか。それとも出たから、悪いものでないから受け入れようとそういう程度ですか。その辺のところはどういうことなんですか。
  56. 行広清美

    説明員(行広清美君) 従来政府が持っておりました株の処分ができておらないという実情でございまするし、また会社の事業の特殊性から考えまして、今回の法律案はその事態を解決するところの一つ方法であるというふうに考えるのでございまして、その意味におきまして、郵政大臣といたしましては、異議がないというふうに考えた次第であります。
  57. 永岡光治

    永岡光治君 いや、私の質問は望ましいのか、望ましくないのか、出たからまあ受け身でやむを得ないからというので異議がないというのか。それともやっぱりこれは望ましいという意味異議がないのか、どちらなのか、明確にしてもらいたい。
  58. 行広清美

    説明員(行広清美君) お答え申し上げます。本案のような問題の解決の仕方もあると考えられるのでございますし、従って政府といたしましていろいろと検討をしておった段階でございますが、今度のような法案考えというものは、事態を解決するところの方法といたしまして適当ではないか、従ってこれは望ましいものではないかというふうに考える次第でございます。
  59. 永岡光治

    永岡光治君 望ましいという……(笑声)望ましいものではないかというのはどういう意味ですか。望ましいものなんですか。どうもややもたもたしておるのですが、これは簡単ですから、イエスかノーか、明確にしてもらいたい。
  60. 行広清美

    説明員(行広清美君) どうも表現の点につきましてちょっと異論がありますが、政府といたしましては、このような考え方は事態を解決する一つ方法であり、適当であるというふうに考えまして望ましい方法であるというふうに考えております。
  61. 八木秀次

    八木秀次君 今まですでに質疑応答があったかもしれませんが、先ほど提案者の御発言を聞きまして、この際、一点提案者に伺いたい。  衆議院委員会法案が最後の形になるまでには、何度も修正されたという御説明でございますから、相当練りに練ってお考えになったことと思うのでございますが、ところが今まで政府保有の株式に対する利益配当、これは国庫に入っているらしいのでございます。そこでこの際、公社法の一部を改正なさるときに、最初の案のように総株数の四割を公社に渡すなら問題は起りませんが、二割を公社に渡して、二割は政府が持っておるとすれば、政府は今後といえども、その二割に対しての利益配当を受けることになるのでございますが、提案者はそのように政府に利益配当を受けさせたままにしておくということが適当とお考えになったのでありましょうか、その点について何らはっきりしたものがこの改正法案に出ておりませんが、わざとそれは出さないでおくというようなお考えがあったのでございますか。練りに練った法案ならば、その点もついでにはっきりすべきものではなかろうかと思うのでございます。その辺の事情提案者から御説明願いたいと思います。
  62. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 私から補足説明を申し上げます。  これはもちろん委員会においても、その点についていろいろ研究しました。研究しましたが、一つには立法措置が要るということと、もう一つは予算がすでに通過をしてしまいまして、これを本年度の配当金から公社に渡すということになれば、補正予算の道を講ずるか、もしくは予備金のうちから出さなければならぬ。しかしこの種のものを予備金のうちから出すということは不適当である。しからばこれを補正予算に持ってくるかと言えば、これもまた果して補正予算が行われるかどうかわかりませんので、従ってこの種のことを同じく加えて立法措置を行うということは、政府にとっても非常に迷惑であろうし、事実上これが実現はなかなかむずかしい問題になりはしないかということと、予算を伴うことは今申したようになる。こういうことからして、一応取り上げたのですが、従ってわれわれの見通しとしては、会社側あるいは関係者の方では本年度内において処分ができるようなことを言っておられますからして、もしそれに反してできなかった場合においては、当然政府はこれが措置を来年度予算において講ずる、あるいは立法的な措置を講ずるであろう、講じなければこれは非常におかしなものになりますから、当然講ずるであろう、こう考えましたので、実はこの問題はこの法案には触れなかったのであります。のみならず、これに関連してですが、実はこれは政府の怠慢ですが、監理官がいますけれども、昭和二十九年の予算に対しましても、これが売れないことを見通しておる。売れないことを見通しておりますからして、これを売ったものを二十九年度の電々公社に交付するような予算ができておらなかった。しなかった。しなかったというのは、売れないという立場からの見通しである。昭和三十年度の予算につきましても、この株が売れないという前提で電々公社の予算に組んでおりませんから、当然政府としても売れないという前提に立つのであるからして、すでに当時立法的措置を講じておくべきはずであったにかかわらず、政府がどういう理由であるか知りませんが、行わなかった。こういうことがありましたので、今度衆議院におけるこの一部改正法案によって、政府としても考慮されておるようでありますからして、もし残ったものが本年度内において処分がつかなかった場合においては、当然政府はこれの解決案というものを考えるであろう、こういう前提のもとにこれには触れなかったわけでございます。
  63. 永岡光治

    永岡光治君 関連質問。そういたしますと、配当金の問題とか、こういう問題はあれですか、将来補正予算を組まれる際、あるいはまた通常国会において来年度予算が審議される場合には、その点は政府の方で考慮されるべく、まあ自由党ないしは民主党に所属されておる逓信委に籍を置いておられる方々は努力される。もしその予算が組まれなければ、この法律案と同様議員立法において行うという、こういう決意をお持ちになっておると解釈してよろしいのでございますか。
  64. 松前重義

    衆議院議員(松前重義君) ただいまお話しがありました通り政府において考慮しなければ、委員会において議員立法によってやらなくちゃならぬと思っております。
  65. 久保等

    久保等君 ただいまの問題、やはり私一つの重要な問題だと思うのです。これに対して郵政大臣等から私は考え方を明確に伺っておきたいと思うのです。監理官がおいでになるなら監理官にお答え願ってもいいんですが、私は少なくともこういった内閣、政府そのものにとっても、少なくとも予算を伴う問題でありますし、それから先般大蔵省からの局長説明によりますと、先ずやはり予算的な問題もさることながら、立法上の問題も考慮せられなければならぬのじゃないかというような答弁があったと思うのですが、やはりあり方としては、立法措置の問題についても、当然これは政府も積極的に私は改正案なら改正案を国会に出して、そして審議をやはり国会にかけるという積極的な態度がなければならぬと思うのです。今衆議院提案者の方からも御意見がありましたが、たしかにこの問題については政府当局が非常に大きな怠慢を今日までおかして参っていると思うのです。みずからやるべきことを何ら積極的に取り上げなかったという点が、今日非常にこういった問題にまで発展して参っていると思うのですが、もう少しやはり政府そのものがこういった問題については、具体的な提案を国会にすべきだと思う。ただいまの配当の問題、これについても先般の当委員会でも全く政府がネコババをきめて今日まできているのではないか。大蔵当局が今日までほほかむりで、入ってくるものは少しでもちょうだいしようというような考え方でやっているのじゃないかというような御質問も出たことですが、私はこの問題に対して、当委員会でも、もし政府がこの問題を取り上げないとするならば、議員立法をもあえてしなければならないじゃないかという空気も非常に強いわけなんです。従って当然政府意向を私は明確にお伺いしておく必要があると思います。
  66. 行広清美

    説明員(行広清美君) 郵政大臣は今不在でございますので、私がちょっとかわりに事務的に連絡いたしました範囲でのお話をとりあえず申し上げておきたいと思います。
  67. 久保等

    久保等君 責任を持って答弁を願えるのならけっこうです。
  68. 行広清美

    説明員(行広清美君) この配当の問題でございますが、会社法の制定の当時におきましては、相当長期間にわたりまして、株式の売却ができないというふうなことは予想されなかったことではないかというふうに考えます。従いましてその当時の立法の中に未処分の期間におきまして、その配当を公社に交付するというふうな規定をおかなかったものと考えているのでございます。ところがその後の実情からみますと、御承知のように現在未処分のままで残っている株が相当数あるわけでございます。従って今後におきましても、未処分の株が残るということになりますれば、少なくともこれらの株に対しまして、配当を公社に交付するということが適当ではないかというふうに考えている次第でございます。従来大蔵省におきましても、この点については検討を加えて参っているようなふうに聞いているのでございますが、私どもといたしましては、財政状態の許す範囲におきまして、何らかの措置によりまして、公社に配当に値する金額を交付するところの措置を取る必要があるのではないかというふうに考えているのでございます。この点大蔵省の関係方面にも話をしているような次第でございます。
  69. 石坂豊一

    石坂豊一君 大てい皆さんの御質疑にもそれぞれ御答弁がありましたけれども、どうも私どもはまだ理解に苦しむ点が多々あるのでありまして、まことにざっくばらんな話ですけれども、私も衆議院で厄介になっておった関係上、衆議院決議はきわめて尊重しなければならぬという考えはかって捨てたことはないのです。ところがこの衆議院提案になっておりますのは、この間から理由を承わって、ことに本委員会において参考人を呼んで数多くの人から意見を聞いたところによりましても、どうもこの理由がわからない、ますますわからない。先ず第一に私の考えるところは、この株式の移動については、国際電信電話会社というものを第一に考えていかなければならぬ、もう一点の立場から言えば、この株を五分の一公社に持たせるのですから、公社の場合からもまた考えてみなければならぬわけで、その関係者を皆呼んでみますと、そのうちで一番に私どもがあげなければならぬのは、国際電信電話会社の社長の意見というものは、これは言葉はおだやかであり、国会にたてついてはいかぬと思うものだから、非常に丁寧にやわらかに言うておりますけれども、それをつづめてみると、非常に熱烈なる反対であります。何もこの株式というものは、今政府が持っているけれども、年をふればこれは必ず相当の値が出て純粋に民間会社になり得るものであるから、今あわててこれを移動していかんならんことはない。第二に、またこれを国家の威力が加わるところの公社に持たせるということは、どうもこれを民有民営に移した趣旨と違うのであるからその点においてもいかぬ、まだいろいろありますが、そういうこと。それからこの発案の趣旨である株式の安定をはからなければならぬということ、不安であるから会社の経営に悪い影響を及ぼすというような意味を書いてありますが、その点については証券界の権威であるところの山一証券の小池君は、何もそんなことはない、これは初めに割当して、大きな五百円株を相当割当してあるから、今はもうからぬけれども、後日これは相当に動くものである、その点国民の持つ資産株としては適当なものである、こう言うのです。みなこの趣旨は衆議院から持って来ている。またこの間趣旨弁明された理由と全然反対のことばかり承わっている。しかも今度は株を持つ電々公社総裁の意見はどうだというと、これはどうしても公社に持たしてもらわなければならぬというのではない、この法律が通れば自分はかようかような意見でこれを運営して、でなければ売って、その金を設備資金に充てる便法もあると、いろいろなことをおっしゃるが、何もこれもぜひ持たしてもらわなければならぬというのではない。どこからこれは降ってわいた案であるか、われわれはどうしても合点がいかない。われわれは電信電話会社に対しては日々御厄介になっているので、これを尊敬して、これを信頼し、どこまでもその発達を希望する、そういうわけでありますので、平時に日々電信電話の厄介にならぬことはない一人であります。ためになることなら私は双手をあげて賛成するけれども、そのためにもならない。何といえば、それの五分の一を保有して持っているのじゃないのですから、都合が悪ければどこへでも売っていいというので、そうすると、発議者の趣旨も徹底しないということになる。そういうわけで一つもこの理由はわれわれにはぴんとこないのであります。そういうわけでありますので、それはお前の思い違いだ、年がいったから大ていどうかなっているのだろうというようなわけで教えていただけるなら、大いに検討しますけれども、先ほど来からの質疑を承わると、またこの間の発案の趣旨では、私はその点において一つ合点がいかない。のみならずこの間参考人を呼んで聞いたところによりますと、この案に賛成のものは……。
  70. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) お話中ですが簡単にして一つ願います。
  71. 石坂豊一

    石坂豊一君 それではそれを一つ
  72. 松前重義

    衆議院議員(松前重義君) 石坂先生の御意見を承わったのでありますが、どうぞ一つ御遠慮なく御質疑をお願いします。だいぶわからないところがたくさんあるというお話でございますが、幾らでも答弁いたしますから、どうぞ一つ御遠慮なく逐条御質疑を願います。そしてもし御納得いきますれば、ぜひ御賛成を願いたいと思います。
  73. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 他に御質疑はございませんか。
  74. 三木治朗

    三木治朗君 今石坂さんのおっしゃったように、私どももまだ十分に納得がいかないのでありますが、要するにこの法案が大体公社の五カ年計画で多額の資金に困難を感じている。これは御承知通りなんですが、その面に対して何らかの貢献するところがあるのかというとないようでありますが、公社のこの五カ年計画、多額の資金の入り用な面について提案者はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  75. 松前重義

    衆議院議員(松前重義君) 問題は、私は必ずしも資金だけではないと思うのであります。この問題の中心は何度も説明がありましたように、すみやかにこれを処分して公社の建設資金に充てるということに初めなっておったのが、なかなか処分できないで五分の二ぐらい残っておるという、政府のこれは不可能であるという場合によってはたまたまあるかもしれない。先ほど橋本登美三郎君のお話によりましても、政府はあらかじめこの配当が入ってくるということを見越して予算を組んでおる。売らないつもりだったかもしれない、売れない方がいいと思ったかもしれない。そういうことはもともとこの会社設立の当初における法案の精神に反するわけです。ですから二年もたった今日において、どうかこれをしなければならないという声が起ってくるのは当然のことであると思うのです。そういう意味からいたしまして、できるなら公社にあと全部を持たせても差しつかえないというような考え方も私ども個人としましてはしましたけれども、これに対してとにかくあまりうんと持たせれば相当の支配力が出るだろうから、その半分ぐらいにしたらどうだろうかというような見当でこの法案ができておるわけであります。ですから、しかもまたただいま石坂先生のお話がありましたように、政府が、あるいは政府機関がこれを支配するというような発言権を持つことはよろしくないというようなお話もございましたけれども、会社法の第四条には、「会社の株式は、記名式とし、政府、地方公共団体、日本国民又は日本国法人であって社員、株主若しくは業務を執行する役員の半数以上、資本若しくは出資の半額以上若しくは議決権の過半数が外国人若しくは外国法人に属さないものに限り、所有することができる」、こういうふうに書いてあるのでありまして、政府の保有を会社法において許しておるのであります。でありますから、そもそもこの会社法そのものを今変えるというなら別問題でありますけれども、変えて政府は出してはいかぬ、持ってはいかぬ、あるいは政府機関である公社も持ってはいかぬと、こういうことを言うならば別問題でありますけれども、しかし現在のところこの会社法の精神を尊重していく上において、政府並びに政府関係機関のこれに対するある程度発言権を持つということはむしろこれは妥当なことでなければならない。私どもは一応解釈しておるわけであります。
  76. 三木治朗

    三木治朗君 私のお尋ねしたのとちょっとお答えが違っているのですけれども、私のお聞きしているのは、公社が非常に資金を得ることに困難を感じている今日、この法律のできることによって、公社が資金獲得に何らかの貢献するところがあるのかないのかということをお伺いしているんです。これは資金獲得に関係はないと解釈してもよろしいのですか。
  77. 松前重義

    衆議院議員(松前重義君) 資金獲得の問題とこれとは別個の問題になっております。安定株主を作って、そうしてやろうということになっております。
  78. 三木治朗

    三木治朗君 それに資金獲得のために関係がないということになると、いわゆる公社と会社の緊密なる連絡を促進するといいますか、より一そう緊密な連絡を得るために必要なということになるわけですか。
  79. 松前重義

    衆議院議員(松前重義君) その通りであります。
  80. 三木治朗

    三木治朗君 そうすると、まあ一昨日も参考人意見等を聞きますと、利用者側の人々の意見は、公社が株を持つことによって何らかのやっぱり圧力を感じて、かえってサービスの低下を来たすのじゃないかというような意見がずいぶん多かったのです。それから先ほど橋本さんがおっしゃいましたけれども、いわゆる利用者の料金の値下げということは、これは国際的にきまっておって、勝手に下げることのできないものだ。従ってその会社がやっておれば、ますますサービスの面に貢献してだんだんにサービスがよくなっていくのだ、これはもう明らかだ。それがもし公社が株式を持つということになるとそういう面にどうしてもいろいろ支障があるというような意見があったのですが、そういう点はどういう御解釈ですか。
  81. 松前重義

    衆議院議員(松前重義君) その問題は、私は二つに分けることができると思います。第一は、今日起っているいろいろ会社側の意見というものは、私は歴史の瞬間の現象であると思う。長い目から見ますると、通信という大きな立場から見て、その連係を緊密にし、相互に手をとり合っていく態勢を作っておかなければ、これはいかぬと思う。先だって最初の御説明のときにも申し上げましたように津島先生に対する御説明でありましたが、これは諸外国においてもすべて通信というものをこんなに全く関係のないような姿に分離するような国は珍らしいどころじゃない、一つもありません。これはとんでもない。私は株式会社ができたときのやり方であると、これは個人の意見でありますがそう思う。どうしてもここに関係を持たしておかなければならないということを感じたために、当時このような立法をされた方々も、まあこのくらいのところはというところになったのではないかと私は想像しております。でありまして、長い目から見ますると、現在の瞬間的ないろいろな運動が行われているような話も聞くのでありまするけれども、しかし長い目で見れば、私はこの法案というものをここに御承認願うということによって、両社の関係は緊密になるべきものである。またならなければならないと思う。賢明なる会社当局であるならば、また私はあると思うのでありますが、むしろお互いにそこに緊密さを、具体的に株を通じて持つということによって、ますます事業のサービスが上らなければならない。と同時にまた必ず上げていただくものであると思う。また上げないような人間が経営するならば、これはとんでもないことだと私は思う。片方は何となれば政府の血液が通じているものです。政府の血液が悪いというならば、根本的に政府はくつがえされなければならないということはわかるのであります。私はむしろ提出いたしました法案のいわゆる五分の一の株を公社に持たせるということです。そのことがかえってサービスの向上にも貢献しなければならない。こういうふうな考え方を持つのでありまして、国の構造のあり方に対して多少会社の方で、もしそういうことをおっしゃった方がおいでになるとすれば、国の見方、国民としての立場における感覚が違うかもしれないけれども、私はそういうふうに確信しております。
  82. 三木治朗

    三木治朗君 私は、この公社が株を持ってはいけないと言っているのではないので、公社が株を持つことは、これはある意味において適当なことだと考えるのであります。これは、この法案によって利するところのものは、結局緊密な連絡がますますよくなるというのでありますが、会社側の参考人意見としては、今まででも非常にうまくいっているし、しかも会社の全員が反対しているというのに、これを強行して、目的であるところの公社と会社の緊密な連絡というものが、よりよくなるという判断が生れてこないのですか、その点どうでございますか。
  83. 松前重義

    衆議院議員(松前重義君) 会社の全員が、これをよろこぶように会社の指導者は指導してもらいたい。そういう日本の国を作りたいと私どもは念願しております。そういう人によって指導していただきたいと思うのです。
  84. 柏木庫治

    柏木庫治君 今の説明を伺いましても、今ある全部をもし公社が持って、そして公社が支配的な位置に立つのは不適当と認めたから五分の一持たせる、こういう意味でありますが、大体ほとんど世界の文明国の株式会社というものは、一人が一%以上持つことは、もうすでに株式のあり方としては好ましいあり方ではない。どこの国でも一〇%も二〇%も個人の会社で持っているなんということは実際はない。これは株式会社のほんとうの本質に反するものです。そして、今の長い目で見たらと申しますが、支配的位置に立つことは不適当であるというが、五分の一持ちますと、少くとも半分以上は支配的の位置に立つのです。だからというので五分の一にしたということは、あなた方立案者は、株をよけい持たしたら、やはり支配的位置になる、それをおそれて五分の一にした、支配的の立場に立たないようにということでありますが、全支配的の位置には、立たなくても、相当にこれがものをいうのでありまして、今の長い目で見たら、ここからトラブルが起ってくる。あなたのいうのとちょうど反対で、長い目で見ますとそれが一番起ってくる。今のところ、会社と連携の問題は、梶井総裁も、少しも今までトラブルはない、実によく連携していると、はっきり言っているのです。また社長の方も少しもないと言うておりますのに、長い目で見てトラブルを起す種を今ここでまくように、この法案で私は考える。でありますから、これはあなたの方も意見ならこちらも意見になりますけれども、実際石坂さんがおっしるように、これは何も利益するものがない。実際公社が株をこんなに多量に持つと申しますが、私は、この前、梶井総裁に、たとえば一つの問題として、市がたくさんできた。市がたくさんできたのに、市内電話をかけるのに市外通話をかけなければならない。これなんかは、市になったのだから極力早くそのサービスができるようにやったらどうかという質問に対して、一カ年にそういうものに使える金が五億しかない。それでできないのだ。何とか極力自分も一生懸命にやるとおっしゃったのでありますが、ここへ十四億というような大きな金が眠っておって、われわれが配当だけでも公社に回わしたらどうかと今も言うくらいですけれども、当然公社にくるべきものなら、金の必要な公社がどうして今までそれをとらなったか、とるように努力をしなかったかということを考えてみましても、この資金が公社に返って、そうして公社の五カ年計画一つに使われるということなら、非常に立派な法案であり、好ましいことであります。けれども、そうではなくて、こんな金を今までじっとしておいたのでありますから、公社側からいえば、ここに金が現金となって自分の方に入ってくるよう、せっかくこういう法案が出たことを種として、またこの法案も、ここ一、二年の間に早く現金化せよ、そうして公社の資金に回せと、こういうのなら、誰でも、なるほどこれが電話及び電信のサービスになるかというならば、受益者が国民であるし、同時に公社でもありますから、何もトラブルはないのでありますけれども、持つ必要がない、しかし法律通りますれば持てというのだから持つのだから持つのだと、ほんとうのところ、どこからこういうことをしなければならぬのかというような疑問がいたして、利益するものがないのじゃないか。こういう点において私は実際、大臣に本式に意見を承わりたいと思っております。
  85. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お尋ねの趣旨は、私は、はっきりつかんでおらぬのでありますが、この株式を公社が持つことによって公社の資金面がそれだけ助かることになるのではないか、そういうことに対して株を……。
  86. 柏木庫治

    柏木庫治君 いや、そうじゃない。これが現金化されて、そうして公社にこの金が入っていくということならば、公社の利益にもなり、第一、国民の電信電話を使うもののためにもなる。株が移動して公社が持ったからというて、これが安定株と、実際安定株というのは、一人が一%以上持つことは安定株にならない、これは定義ではないのですけれど常識になっておる。だから、もし、こういうような場合に、公社が持っており、今度それが議員立法でそれを売って現金化せよといえば、またたくさん持っておるから直ちに移動が始まるので、少しも安定ではない。大蔵省が持っておってもこういう法案ができれば直ちにしなければならぬから、やはり安定株ではない。ほんとうの安定株というものは、株式会社が、皆の者が、あとできれば一%以上持たないように多くの人が持っておるのが安定株だ、だから安定にもならぬ。そうして公社も利益せぬ。電々会社も利益をしない。
  87. 齋藤憲三

    衆議院議員(齋藤憲三君) 私は民主党の齋藤でございますが、私の先輩の石坂さんの御質問の中には、その提案の趣旨がはっきりしないと、こういうお話がございましたので、こういう蛇足はつけ加える必要はないと思いますが、一応わが党内においてこの問題を取り扱いました経緯の一端を一つ説明申し上げたいと思うのでございます。  これは、株券をどうするとか、こうするとかいう問題が本質論ではないのであります。わが国の電気通信行政というものをどう持っていくかという根本問題に触れて、われわれは論議をいたしたのでございまして、われわれから申しますると、日本電々公社と国際電信電話株式会社が分離せられた形にあるということが、根本的にこれはいけないという考えに立っておるのであります。それでございまするから、いろいろな論議が重ねられましたけれども、結局この際五分の一の株式を日本電信電話公社に所有せしめて、ここに唇歯輔車の関係を持たせながら、これは日本の電信電話行政というものに一貫性を持たした方がいい、こういう考え方が圧倒的に強くなったのであります。それでわが党も、これは満場一致でこの法案がいいということの結論になったのであります。それで、これはまあいろいろな御議論がございましょうが、われわれから言わせますると、この日本電信電話公社と国際電信電話株式会社というものは、どっちが栄えて、どっちが衰えるということは、これはできない関係にある。これはもう今日お話を申し上げるまでもなく、これを前のような有線電話の時代ではないのでありまして、国内電話も今はすべて無線電話にかわりつつある。マイクロウェーブで全部の主幹線がやられんとしてこれは計画されておる。これは世界もマイクロウェーブでいく。国内電話であるとか、国際電話であるとかいう感覚というものは、これはもう少したつと、けじめがつかなくなってしまう。そこで私たちは、そういう事態を見ますと、これは国内電話をやるものであるとか、これは国際電話をやるものであるとかいう区別のしがたい時代が遠からずやってくるのではないか、こうもまあ一つ考えられるのであります。  それからもう一つは、逆に株式の保有者であります。どうして一体、日本電信電話公社に株式を保有させることがいけないのか、どうして利益がないのか、この主張であります。私は国際電信電話株式会社の株式を保有する最適任者は、これは私は日本電信電話公社だと、そう考えておる。もし国際電信電話株式会社の株券を日本電信電話公社が所有して、そうしてその営業状態に圧力が加わるというような日本の電気通信行政であったならば、これはまことに悲しむべきことであります。利益の配当はすべて日本の電信電話事業の発達にこれは使用されていかなければならぬものであって、電信電話事業に関係のないものが株式を所有するということによって独占事業の利益を持っていくということは私はいかぬと、こう思っておる。それでありまするから、できますることならば、なるべく多く日本電信電話公社がこの株式を所有して、公正なる立場において日本の電信電話行政というものが行われて、もしそこに利益があったならば、その利益によって、さらに日本の国内及び国際間の電信電話事業の発達のためにこれは投資されるべきものである。決して関係のないものにその利益は持っていかれるべきものではない。これは御承知通り、今日、国際電信電話株式会社は相当の利益があります。将来もあるでありましょう。これは国際間に規定せられたところの料金によって独占事業でありますから、そういう点から考えまして、私たちはいろいろな議論を重ねたのであります。その議論を重ねている間にいろいろな案が出て参りましたから、外部から見ますると、何回もこれは変改したように見えますけれども、あれは議論を重ねている段階においてお互いの案を持ち寄っただけでありまして、最後の案決定というものはこの案に落ちついて、これが満場一致で通過いたしたのであります。でありまするから、決してこれは単なる株式をあっちへやるとか、こっちへやるとかいうことの問題でなく、もっと根本に、日本の電気通信行政というものは世界の大勢と対比していかにあるべきかという、その根本問題から出発いたしたのでございますから、どうかこの点は何とぞ十分に御了解を願いたいと考えております。
  88. 左藤義詮

    左藤義詮君 ちょっと関連して、ただいま与党であり衆議院の第一党でございます民主党として、党議が御決定になった。その党議は、国内の公社と国際の会社と二本建てはいけない。すみやかにというか、できるだけというか、将来はこれは一本になさる御方針である、かように伺えたのでありますが、そういう党議を御決定になったということに伺ってよろしゅうございますか。
  89. 齋藤憲三

    衆議院議員(齋藤憲三君) いや、私はそう考えております。私はその方が望ましい姿である。しかしその根本問題に対するところの党議はまだ決定しておりません。
  90. 左藤義詮

    左藤義詮君 私は個人の意見を伺ったのではなしに、ただいまの御意見は、党として、こういうものが二つあることはいけないということが党議できまったというふうに伺ったのでございますが、そうではないのですか。
  91. 齋藤憲三

    衆議院議員(齋藤憲三君) そういう議論が活発に行われたのです。われわれもそれを主張した一人であります。ところが今根本問題に直ちに触れていくということはなかなか非常の困難な問題があるが、とにかくこの五分の一というものを日本電信電話公社に保有させるということは、これは適当であるという党議にきまったのであります。ですから、今の二本建ての問題がこのままに将来も置かれているのがいいか悪いかということは、これは、これから論議が行われることであると私は思うのですが、まだ党議としては何らそこに言及されておらぬのであります。
  92. 左藤義詮

    左藤義詮君 先ほどの話では、党議としては二本建てがいけないということがきまったようですから、ちょっときょうは伺ったのでありますが、御説明によりまして、そこまでは党議としてはきまってない。党議としてきまれば、私、与党でありますから、政府案としてお出しになる、一本案をお出しになるべきだと思いますが、そこまではきまってない。しかし、そういうことがその後において一本になるという党の空気が強いので、まずその第一着手として、今度の法案を党議として御決定になった、かように了承してよろしゅうございますか。
  93. 齋藤憲三

    衆議院議員(齋藤憲三君) それは、そういうふうに御了解を願いたくないのです、そう深く。私たちは、そういうふうに主張いたしておりますけれども、ただ私たちは、この法案に非常な期待をかけましたことは、あくまでも先ほど申し上げました通りに、国内及び国際の電信電話というものは、これはどっちが栄え、どっちが衰えるということのない、唇歯輔車の関係にあって、これは将来電信電話の体制というものが発達して参りますと、お互いに区別のしがたいような場面がたくさん出てくるだろう。それでございますから、この際できるならば、日本電信電話公社と、それから国際電信電話株式会社とは、唇歯輔車の関係に、緊密な連繋を持つことが一番いい、そういう観点から考えますと、安定株主として日本電信電話公社が国際電信電話株式会社の株を所有するということが一番適当である、こういうふうにわれわれは考えておる。これの主張によってお互いの間の意見が調整せられまして、ついに五分の一の株式を電々公社が持つことがこの際適当であるという結論に到達いたしました。その他たくさんの議論が出ました。たとえて申しますれば、これを政府提案に持っていくのも一つ方法であるが、この際われわれ委員会としては、日本の電信電話行政のあり方を、いわゆる委員会の意思として反映せしめるのも一つ方法ではないかというようなことを私も考えましたので、私は議員立法に賛成をいたしたのであります。要するに、これは申し上げる必要もないと思いますが、われわれの委員会の中に流れております超党派的な一つの空気は、特に電波のごときは、これは国民の電波であって、これは最も大切に国家の意思を反映して、この電波というものは使用せらるべきものである。これがわれわれの中に超党派的に流れておる思想であります。この点から考えましても、こういう結論を生み出したということは、私は今日において最も妥当な結論であったと、さように考えておる次第であります。
  94. 石坂豊一

    石坂豊一君 ただいまの御説明でよほどはっきりしました。私もそういう説明があるかと思いまして、これは単に株式の移動でなしに、国策の変更だ、いわゆる海外に対する国際間の通信はすべて民有民営でいくという方針を、さらに折衷主義で、国家の権力を加えてそれを制圧していく、こういうふうに変っていくのだ、それならば、郵政大臣提案者となって、国策の変更は内閣の閣議でもきめて、そうして持っていくべきものではないか。それは国会でもきめられぬことはないけれども、そういう重大なることを国会に委任なさる、国会がその通りきめればそれでよしと言うておるべきものではない。どう思うておるか。郵政大臣は、それは今のほうがいいという非常にあっさりした答弁であったのですが、それで、あなたのような趣意は、この趣意書には一つも書いてないのだ。そうすると、趣旨書を書き直すか、この間の御説明を変更なさらなければならんことになる。そういう御説明ではないのです。そうなると、ことに二カ年前にこれを改組したことにさかのぼって、平和国家道義国家として、国際間の通信は大てい国家のやっているような民営でやっていくという方針を変えていくのでありますから、全然これは話が違ってくることになる。それは趣意書に一つも触れていないのです。そういう御趣旨ならこれを書き直すべきものなんです。
  95. 廣瀬正雄

    衆議院議員(廣瀬正雄君) 石坂先生の御説明ですが、私、同じ民主党員でありますので、私から御説明したいと思っております。ただいまの齋藤理事のお答えは個人的な見解もだいぶ入っておるのでございまして、党といたしましては左藤委員からの重ねての御質問にお答えした通りであります。今回の法律案を出すことになりましたのは、安定株式を公社に作りたいということと、売れない株式を処分したい、一部それを電々公社に持たせたいという考えからやったわけなんであります。党としましては、さようなことで、この法律案を出すことに党議が決定いたしたわけでございます。  それから国策の変更ではないかというお尋ねでございますが、あるいは考え方によりましては、従来よりも、今度の株式を五分の一議決権をつけ加えまして持たせることによりまして公社と電々会社との関連というものが一そう強力になって参ります。さような意味におきましては、あるいは国策の多少の変更であるというように考えられないこともないと思うのでありますが、それはいろいろ解釈があると思っております。しかし、たとえ国策の変更をもたらすような法律案でありましても、国会議員が委員会の提出ということで国策に影響を及ぼすような法律案を出してはならないというようなことはないと思いまして、私はさようなことはちっとも差しつかえないと思っております。  それから、これはいささか党の内輪話になって参りますけれども、これを政府提出ということにいたしますと、あるいは両派社会党はかような法律案では了承してくれない、もう一気に国際電々会社を公社に持っていけというようなことに議論が飛躍いたしまして、法律案が通らないというようなことにならないとも限らない。これは私個人の憂慮でありますけれども、というようなことも心配いたしまして委員会提出をいたしたわけであります。
  96. 柏木庫治

    柏木庫治君 もうだいぶいろいろの質問が出たのでありますが、実際を申しますと、私ども、あの参考人の言うたこと、その他で、まだ私ども自身もいろいろ研究の足らないところもあります。それから提案者が個人の意見を堂々と言っておられますが、別に個人の意見を聞いているわけじゃないのでありますから、提案者の方も、どう考えてみてもあまりほめた答弁ぶりでないと考えられますので、もう少しお互いに研究することにして、きょうはこの程度一つ散会にしていただきたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  97. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会    ————・————