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衆議院議員(齋藤憲三君) 私は民主党の齋藤でございますが、私の先輩の
石坂さんの御
質問の中には、その
提案の趣旨がはっきりしないと、こういうお話がございましたので、こういう蛇足はつけ加える必要はないと思いますが、一応わが党内においてこの問題を取り扱いました経緯の一端を
一つ御
説明申し上げたいと思うのでございます。
これは、株券をどうするとか、こうするとかいう問題が本質論ではないのであります。わが国の電気
通信行政というものをどう持っていくかという根本問題に触れて、われわれは論議をいたしたのでございまして、われわれから申しますると、
日本電々公社と
国際電信電話株式会社が
分離せられた形にあるということが、根本的にこれはいけないという
考えに立っておるのであります。それでございまするから、いろいろな論議が重ねられましたけれ
ども、結局この際五分の一の株式を
日本電信電話公社に所有せしめて、ここに唇歯輔車の
関係を持たせながら、これは
日本の電信電話行政というものに一貫性を持たした方がいい、こういう
考え方が圧倒的に強くなったのであります。それでわが党も、これは
満場一致でこの
法案がいいということの
結論になったのであります。それで、これはまあいろいろな御
議論がございましょうが、われわれから言わせますると、この
日本電信電話公社と
国際電信電話株式会社というものは、どっちが栄えて、どっちが衰えるということは、これはできない
関係にある。これはもう今日お話を申し上げるまでもなく、これを前のような有線電話の時代ではないのでありまして、国内電話も今はすべて無線電話にかわりつつある。マイクロウェーブで全部の主幹線がやられんとしてこれは
計画されておる。これは世界もマイクロウェーブでいく。国内電話であるとか、
国際電話であるとかいう感覚というものは、これはもう少したつと、けじめがつかなくなってしまう。そこで私たちは、そういう事態を見ますと、これは国内電話をやるものであるとか、これは
国際電話をやるものであるとかいう
区別のしがたい時代が遠からずやってくるのではないか、こうもまあ
一つ考えられるのであります。
それからもう
一つは、逆に株式の保有者であります。どうして一体、
日本電信電話公社に株式を保有させることがいけないのか、どうして利益がないのか、この主張であります。私は
国際電信電話株式会社の株式を保有する最適任者は、これは私は
日本電信電話公社だと、そう
考えておる。もし
国際電信電話株式会社の株券を
日本電信電話公社が所有して、そうしてその営業状態に圧力が加わるというような
日本の電気
通信行政であったならば、これはまことに悲しむべきことであります。利益の配当はすべて
日本の電信電話事業の発達にこれは使用されていかなければならぬものであって、電信電話事業に
関係のないものが株式を所有するということによって独占事業の利益を持っていくということは私はいかぬと、こう思っておる。それでありまするから、できますることならば、なるべく多く
日本電信電話公社がこの株式を所有して、公正なる立場において
日本の電信電話行政というものが行われて、もしそこに利益があったならば、その利益によって、さらに
日本の国内及び国際間の電信電話事業の発達のためにこれは
投資されるべきものである。決して
関係のないものにその利益は持っていかれるべきものではない。これは御
承知の
通り、今日、
国際電信電話株式会社は相当の利益があります。将来もあるでありましょう。これは国際間に
規定せられたところの料金によって独占事業でありますから、そういう点から
考えまして、私たちはいろいろな
議論を重ねたのであります。その
議論を重ねている間にいろいろな案が出て参りましたから、外部から見ますると、何回もこれは変改したように見えますけれ
ども、あれは
議論を重ねている段階においてお互いの案を持ち寄っただけでありまして、最後の案決定というものはこの案に落ちついて、これが
満場一致で通過いたしたのであります。でありまするから、決してこれは単なる株式をあっちへやるとか、こっちへやるとかいうことの問題でなく、もっと根本に、
日本の電気
通信行政というものは世界の大勢と対比していかにあるべきかという、その根本問題から出発いたしたのでございますから、どうかこの点は何とぞ十分に御了解を願いたいと
考えております。