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1955-05-31 第22回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

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  1. 簡易生命保険法の一部を改正する法 (会議録情報)

    昭和三十年五月三十一日(火曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————   委員の異動 五月二十五日委員廣瀬久忠君辞任につ き、その補欠として宇垣一成君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     瀧井治三郎君    理事            左藤 義詮君            柏木 庫治君            永岡 光治君            三木 治朗君    委員           大野木秀次郎君            西川彌平治君            島津 忠彦君            野田 俊作君            久保  等君            小林 孝平君            八木 秀次君            石坂 豊一君            最上 英子君            市川 房枝君   国務大臣    郵 政 大 臣 松田竹千代君   国 務 大 臣 大久保留次郎君   政府委員    人  事  官 入江誠一郎君    郵政省貯金局長 小野 吉郎君    郵政省簡易保険    局長      白根 玉喜君    郵政省電波監理    局長      長谷 慎一君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   説明員    人事院給与局次    長       慶徳 庄意君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○簡易生命保険法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○郵便年金法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○郵便貯金法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○郵便振替貯金法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○郵政事業運営実情に関する調査の  件(郵政部内職員退職年金に関す  る件)     —————————————
  2. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) それでは逓信委員会を開会いたします。  本日はまず簡易生命保険法の一部を改正する法律案郵便年金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。  なお去る五月二十六日衆議院において簡易生命保険法の一部を改正する法律案は、第三十一条第二項の改正規定中、第四号削除修正を加え修正議決、他はいずれも内閣提出原案通り可決上本院送付、即時本審査のため本委員会に付託されたものであります。  それでは前回に引き続き質疑をお願いいたします。
  3. 久保等君(久保等)

    久保等君 この前の委員会でお尋ねをしておいたのですが、例の簡易保険法の一部を改正する法律案の第三十一条、これの第二項に規定しようとする、四つばかりございますが、それに該当する今までの実績といいますか、金額の上での御説明をちょっと願いたいと思います。
  4. 政府委員(白根玉喜君)(白根玉喜)

    政府委員白根玉喜君) 先般の御質問のあの各項目の点について金額はどうかというお話でございましたのでありますが、実はあの条文をごらん下さればよくわかるのでありますが、あの項目に該当するものにつきましては倍額支払いをやらないことになっております。従いまして実はいろいろ調べてみたのでありますが、倍額支払いをやるケースに対する金額はわかるのでありますが、倍額支払いをやらないものに対する金額はなかなか推定その他がありまして、わかりかねるのでございまして、倍額支払いをやるに対しまして例外を設けまして、左記各項に該当するものにつきましては倍額支払いをやらないことになっております。  さて、やらないところのケースがどのくらいかというと、実はいろいろ調べてみたわけでありますが、現場の郵便局に照会もしなければなりませんし、また払わない場合でございますからちょっとわかりかねるのであります。
  5. 久保等君(久保等)

    久保等君 その第二項の第一号に当ります「疾病を直接の原因とする事故によって死亡した」という場合には、今度新しく倍額支払い適用から除外しようということだったと思います。二、三はこれは従来三十一条の第三項でしたか規定せられておるようですが、今度特に新しくつけ加えるということになります項目は、まあ第四号の場合を別にして考えた場合には、第一号は特に新しく規定せられた条項だと思うのですが、これは具体的に御説明願うとどういうことになりますか。
  6. 政府委員(白根玉喜君)(白根玉喜)

    政府委員白根玉喜君) 実はおっしゃる通りに従来の条文にはその条文がなかったのであります。しかしながら、御承知のように簡易生命保険郵便年金審査会というものがございまして、裁決例によりまして、疾病を直接の原因とするものは従来とも払わないことになっておったわけでございます。従いましてそれが確定する以上は法文に書いた方がよかろう。従来とも裁決例ではさような場合については倍額支払いをやらないことに相なっておったのでございます。それならはっきり書いたらいいじゃないかということで書いたわけでございます。
  7. 久保等君(久保等)

    久保等君 ですから私、ただいまの第二項第一号に該当する事項について従来運用面で実際倍額支払いをやっておらないという御説明なんですが、その倍額支払いをやったやらないは別として、これに該当するような事例がどのくらい実際今までの実績からあるのか、その事例を御説明願いたいと思います。特にこの「疾病を直接の原因とする事故によって死亡した」という、一見わかりにくいような字句を使っておるのですが、具体的にはまあ一、二想定がつくのですが、実際の運用面で今まで当面せられた経験からいって、具体的にどういうような事態があったのか、それを一つ説明願いたい。
  8. 政府委員(白根玉喜君)(白根玉喜)

    政府委員白根玉喜君) 実はかような場合におきましては、裁決例を各地方保険局に通知いたしまして、それによって倍額支払いをやっておらないわけでございまして、従いまして、本省にはそういう申請がきたときのケースはわかりますけれども、裁判例によって各地方保険局なり郵政局なりで倍額支払いをしないで、なおかつ加入者の側から異議の申し立てと申しますか、不服の申し立てがあったケースはわかりますけれども、もっともだというのでそのまま承服したのも相当あるわけでございます。従いましてそういう平穏裏に済んだ数字は実はわかりかねるのでございますが。
  9. 久保等君(久保等)

    久保等君 この第一号に当るただいまの問題ですが、これはもちろん病気であるということが事故というか、死亡を招いた相当大きな原因になっておるわけですけれども、しかしまた反面、やはり何と言っても疾病以外の何といいますか、事故、これと競合して結局死亡という結果が出て参る場合だと思うのです。そうすると一がいに普通の通常の病気死亡したという場合とは違って、それに新しい何か特殊の不可抗力的な、あるいはまた不慮事故というようなものが競合して死亡という結果になったのです。そうするとこれは相当デリケートな問題で、簡単にはその場合には倍額支払いはしないのだということは、私は従来の規定から、特に明定されておらぬ限りにおいては、やはり依然相当疑義があるのじゃないかと思うのです。それとまた今回この倍額規定適用からはずすといわれることについても、いわばやはり不慮事態がこれにプラスされて死亡という結果を招いた場合なんですが、単に自分がかねがね持っておった疾病原因して、そのことによって死んでしまったのだと言い切れない問題があるところの事故そのものについても、相当考えさせられる面があるのじゃないかと思うのです。そういう点について半々程度の二つの原因によって死んだ場合、疾病と、それからもう一つそれにプラスされる、たとえばてんかん持ちの被保険者てんかんを起してあるいは汽車にひかれて死んだというのですが、これはいかにてんかんを起しても、汽車が来なければ死ななかったので、やはり汽車にひかれたということが直接のやはり死亡を招いたということになるとすると、この倍額支払い規定の精神からいくならば、やはり不慮事故によって死んだと百パーセントは言えないにしても、相当のパーセンテージはやはり不慮事故によって死んだということになると思います。そうすると全面的に倍額支払い規定から除外していいかどうかということになると、やはり私は相当問題があるのじゃないかと思うのです。そこらの点についての御所見を一つお伺いしたいと思うのです。
  10. 政府委員(白根玉喜君)(白根玉喜)

    政府委員白根玉喜君) 実際問題といたしまして、おっしゃるように裁決例では、ホームにおりましててんかんの発作によりまして落ちまして、汽車にひかれて死んだという場合が出て参っておるのでございます。しかしてんかんによって死んだということだけで、それだけで倍額支払いをしないということでなくて、事実認定をしまして、それでてんかんによる疾病が主たる原因になって、それで死んだのだという認定をしたときに払わないわけでございます。むしろ不慮事故の方が六〇%なり八〇%なり、その方が多いときは、事実認定の結果、これは不慮事故というのは本文にあるわけでございますから、その方で倍額支払いをする場合もあるわけでございます。しかし疾病を直接の原因にして死んだという要素相当強いときに払わないことになっておるのでございます。ほかの原因に競合する場合におきましては、競合する度合がどちらが多いかということでやるわけでございまして、久保先生のおっしゃるように、事実認定の際におきまして、そこは慎重にするわけでございまして、疾病を直接の原因にしたということで軽いてんかんがあった、ところが汽車の方で、相当まあ向うの方が発車なり停車なりに変なやり方をやった。むしろその方にウエートがかかって、もう不慮事故という色彩が強いというときには倍額支払いをすることになっております。ただ従いまして、ここで疾病を直接の原因にしたときはいかなる場合においても倍額支払いをせずというのではなくて、不慮事故要素相当多いときは払うということになっておるのでございまして、これは事実認定で右にするか左にするかという問題が起るわけであります。
  11. 久保等君(久保等)

    久保等君 それから十八条の第二号の保険料計算基礎になっておる予定利率を今回改正案によって引き上げよう、五厘ばかり引き上げて、年四分に一応予定利率を引き上げようという問題なんですが、この問題は、昨今の経済事情によってこういう形にするといわれるのですが、もちろん私はその点について賛成をするわけですし、被保険者にとってまことに有利であり、非常に好ましいことだと思うのです。ただしかし今回出されて参ったということについて、今日の金融市場金利の問題の動向を眺めて見た場合には、私は果してこういう金利がむしろ漸高する、漸次高くなっていくという趨勢にあるか、それとも低くなっていく趨勢にあるかということになると、むしろいろいろ金利の面が安くなっていくのじゃないかというような情勢にあるときに、こういったような情勢とは相反するような形に今度措置しようとするのですが、だからもしこの改正を行うとするならば、どちらかといえば、時期的には若干おそきに失したのじゃないかという気がするわけなんです。それで被保険者にとってもちろん有利なことであり、けっこうなことなんですが、ただこちらに提案せられておりまする趣旨から参りまするならば、私はちょっと経済事情とは別問題として、もちろん保険事業の経営の実態から考えてこういった問題は割り出さなければならない問題ですから、単に客観的な経済事情の変動だけによってこういう問題を考えていくわけには参らないと思うのです。がしかし、まあ今回ここに特に取り上げられましたことについて、何か客観的な経済情勢とはある程度引き離された形でここに出されて参ったのじゃないかというような気がするわけなんですが、この年四分という問題は、ただいまの情勢からすると相当恒久的な、相当将来長期にわたってこれでやっていくという御判断なのか、それともきわめて最近の、昨今のそれこそ事情だけを十分考えられたものであって、そういう長い将来の見通しは第二義的に考えておられるのかどうか、そのあたりの御説明を少し伺いたいと思います。
  12. 政府委員(白根玉喜君)(白根玉喜)

    政府委員白根玉喜君) おっしゃる通り金利は将来下る傾向にあることを否定するものではないのであります。従いましてこの点は慎重にやらなければならんことはおっしゃる通りであると存ずるわけでございます。従ってそういう今の時期は悪いのじゃないかという御説もある程度もっともであると思います。しかしわれわれといたしましては、終戦以来金利相当高い時代がありまして、金利安定度もある程度見きわめなければならないというので少しおくれたわけでございますが、まあ見通しの問題であるいは将来間違うことがあるかもしれぬと思いますが、われわれといたしましては、戦前を戦後に比較いたしまして、戦前はやはり相当金利関係としては安定度が強かったのじゃなかろうかと思うわけでございます。経済の底はだいぶ御承知のように薄いものでございます。薄くなれば金利戦前よりも安くなるということにはならないのじゃないかというような見通しも立つわけでございます。戦前におきましても四分を割ったことは全然ございません。戦後もございません。しかも運用の面は戦後のことを申し上げますと、預金部に預けて資金運用部に肩がわりして預けた時代については、向うからの金利は安い金利でもらっておったわけです。ところが現在の簡易保険運用の面におきまして最低六分五厘になっております。その六分五厘はあるいはある程度下ることもあり得ると思います。しかし一面、いずれにしましても四分ということはないと思うのでございます。ワクを拡げていただく法案も御提案しておりますが、場合によりましてはある程度高いところも出る場合もあり得ると思うわけでございます。従いまして戦前戦後を通じまして、しかも将来を見通しまして、四分程の予定利率にすることは、これは安全であろうという前提でやったわけでございまして、加入者に対する利益でもありますし、しかも将来の見通しといたしまして、戦前戦後、ただいままでの実績では四分を割ったことは運用利回りとしてはないわけでございます。なるほど金利はある程度下って参りますが、下っていきましても、戦前程度ぐらいで安定するのじゃなかろうか、戦前程度に安定すれば、やはり四分程度はまあ確実に将来いき得る。もし万一特別のことが起りまして、四分を割らなければならないような経済情勢になれば、また御提案申し上げまして、これを改善していくことになると思いますが、そういうことはわれわれといたしましては見通しとしてはない。従って四分は将来ともこれは維持したい、こういうような考え方でございます。
  13. 久保等君(久保等)

    久保等君 それじゃ私まだ二、三ありますからついでにちょっと質問いたしたいと思います。  次に郵便年金法の一部を改正する法律案ですが、非常にまあしろうとくさい質問なんですけれども、第十四条のところに年金最高額が制限せられておるわけなんですが、今回第十四条第一項の十二万円を二十四万円に改めるという改正案が出されておるのですが、もちろんこの金額漸次十二万円に引き上ってきた今までの経過を考えると、事務的な手続、その他のことを考えながら十二万円という現行規定になっておるのだろうと思いますが、今回さらにその倍額の二十四万円に改められておるわけです。ところが一般常識から考えると、十二万円だとか二十四万円だとかいう半端な金額は、これはまあどちらかというと、扱い上も非常に煩項であろうし、それからまた一般社会通念からしても、年金最高額といえば、二十万円あるいは三十万円といったような、やはりまとまった金額の方が、国民の実際面からいっても、非常に私は便利でもあるし、またそういうまとまった金額であってもいいのじゃないかと思いますが、それをことさらに十二万円あるいは二十四万円というような金額になっておることは、非常に何かにつけて、私は国民にとって、また実際年金に加入した加入者にとって不利益じゃないかと思うのですが、何か十二万円、二十四万円というような、倍率の形で引き上げられているということが、必要やむを得ない事情でもあるのかどうか、承わりたいのであります。
  14. 政府委員(白根玉喜君)(白根玉喜)

    政府委員白根玉喜君) 実は年金の利用の実際を見ますと、一時払いとかいうケースよりも、月掛が実は多いわけであります。従いまして毎月月々払っていただくケースの種類の方が多いわけであります。従いまして十二カ月でございますので、十二の倍数でやるのがいいのじゃなかろうかと、こういう意味で、従来ともそういうふうにやっておるわけであります。
  15. 久保等君(久保等)

    久保等君 それから次に、これは直接法案とは関係ないと思うのですが、郵便貯金の問題でちょっとお伺いしたいと思うのですが、最近の新聞等で報道せられるところによりますと、郵便貯金の最近の実績があまりどうも予定より振わないのじゃないかというような面が危惧されているように見受けられるのですが、特に最近の三月の貯金実情、これがまあ、この前新聞でちょっと報道せられておったようですが、また何かけさあたり新聞を見ても、四月の貯金実績も、これもまた前年度よりも非常に下回っておるということがいわれておる。非常にこれはまあ今日デフレ政策なりあるいは緊縮予算ということで、まあ窮屈な国家財政になって参っておるのですが、やはり何といっても、いろいろ政府財政投融資の問題にいたしましても貯金に依存する面が非常に大きいと思うのですが、まあそういう点から考えますると、政府でも貯蓄増強運動をやっておりますような昨今の実情のもとにおいて、貯金がどういう方向をたどるかということは非常に重要な問題だろうと思う。それで三月あるいは四月の貯金があまり振わないという事態が出て参っておるのですが、この問題についてどういうふうに当局では見ておられるのか、御説明一つ伺いたいと思います。
  16. 政府委員(小野吉郎君)(小野吉郎)

    政府委員小野吉郎君) ただいま久保委員から御指摘を受けた、最近三月から四月にかけましての郵便貯金増加状況はあまり芳ばしくありません。これにはいろいろな理由があるわけでございますが、的確にきめ手はこれだと、こう断定する理由はなかなか見つからないわけでありまして、特に三月の状況は、金額にいたしまして四十億の赤になっております。これにはいろいろな原因もありましょうが、主として農村方面におけるところの事情が非常に大きく響いておるのであります。と申しますのは、昭和二十八年度に非常に大きな災害が各地にありました。その災害救済のために政府資金相当に二十八年の年末から二十九年初頭にかけまして出たわけであります。ちょうどたまたまことしの三月、四月あたりがその返済期になっておりまして、そういった方面貯蓄源がかなりその方面に振り向けられておるというような現象が見受けられたわけであります。幸いなことには、二十九年度には全然災害としては目ぼしいものがなかったわけであります。そういった関係で、そのつなぎの代り資金になります災害救済費にはさして目立ったものは出ておりません。加うるに、二十九年度供出状況は二十八年度に比べまして非常に促進いたしまして、大体平年ですと、三月、四月ごろまでかかるのでありますが、非常に早く促進いたしました結果、そういった供米代金等農家収入が非常に繰り上って、一、二月に集中しているのでありまして、三月にはほとんどそういったものが入らないということで、三月の預貯金状況は、ひとり郵便貯金ばかりでなく、農協方面におきましても非常に不振であったようであります。これはそういうような状況でありますので、今年度目標に対する非常な心配材料にはならない、一時的の現象であろうとわれわれは解釈しておるわけであります。越えて本年度の四月におきまして、結局十三億の赤になったわけであります。昨年同期を見ますと、十六億の黒字になっておりますので、都合約二十九億の開きが出て参ったわけでありますが、これも先ほど申し上げましたような災害による救済資金返済、あるいは供米代金の非常な早期収入のために、むしろ一、二月あたりが前年あるいはその前、従来の例から見まして、郵便貯金の例から見ましても、予想以上に成績がよかったわけであります。御承知通り、昨年度郵便貯金目標は九百億でありましたが、これは実績は千億を上回る成績をおさめております。これはそういった事情で、一月、二月あたり成績が非常によかったことは、三、四月で当然郵便貯金に吸収されるべきものが早期に吸収された。しかも三、四月でそのような借金の返済とかあるいは供米代金の受け取りが少なかった。そういうような不足分に実は払い下げられたというような現象になっておるように思えるのであります。五月に入りまして、最近まであまり芳ばしくなかったのでありますが、漸次回復して参りまして、現在のところ、五月一カ月を見ますと、ささやかながら黒字を示しております。もっとも郵便貯金増加状況は、月別に見ますと、四月、五月はさほど期待できない月であります。特に四月あたりはそう期待できないのでありまして、昨年千億の実績を上げましたと申しましても、四月はわずかに十六億の黒にしかなっておらない状況であります。これから六月、七月となって参りますと、上半の一番ピークになって参るわけであります。そういう状況から、五月現在やや立ち直りの曙光が見えておりますので、六月、七月あたり状況におきましてはさほど悲観しなくてもいいのじゃないか。加うるに、ただいま御提案、御審議をいただいております郵便貯金最高限度十万円を二十万円に上げていただくことによりまして、この方面の吸収が期待されるわけでありますので、今年度目標に対する国民所得増加の割合、あるいは支払い利子の当然の増加分、そういうものを考慮いたしますと、他面いろいろマイナスの要素もありますが、さほど心配をいたしておらないような状況でございます。
  17. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 ここに提案理由説明にあるわけですが、簡易生命保険法の一部改正についてですけれども、従来、簡易生命保険経験死亡率をもとにして、保険料の料率を計算することになっておりましたが、今度改めて、厚生省の発表によるものを用いることに改めておりますが、その理由としては、両者の死亡率が近づいているからこっちを採用するのだというお話ですが、この点はどうですか。従来、いつごろから大体こういう傾向をたどっていって、将来ともこれで進んで間違いないのか、多分間違いないという見当のもとにやったものと想像されますけれども、一応念のために聞いておきたいと思います。
  18. 政府委員(白根玉喜君)(白根玉喜)

    政府委員白根玉喜君) 御承知のように現在、現行法では経験死亡率を中心にしてやっておるわけでございます。それを私どもでは予定死亡率といっておりますが、その予定死亡率に比較いたしまして、現在は平均いたしまして約四〇%になっております。六〇%は低くなっておるわけでございます。従いまして本年度の経費といたしますと、大体、削減期間の問題もこめまして約六十一億程度の金が浮いておるわけであります。  さてその情勢は、お手元の法案の資料の十五ページを御覧になっていただけばおわかりのように、簡易保険の実際死亡率と、それから第九回生命表死亡率、これは今度の法案でタッチするものでございますが、大体御承知のように、ほとんどまだこの第九回生命表死亡率よりも簡易保険の実際死亡率の方がずっとまだ低いわけであります。従いましてその後まだ公式には調査をしておりませんが、特殊の機関で調べておりますところによりますと、さらに国民死亡率も下って参っておる模様でございます。従いまして死亡率はまだまだ下るのじゃなかろうか。多少下るという認定が間違ったといたしましても、第九回生命表よりも実際死亡率の方がずっと低いわけでございます。まだまだ見通しといたしましては死亡率の低下はさらにいくんではなかろうか。先進国でもまだまだ死亡率は下っていっておるわけでございます。従いまして、しかも実際死亡率とのにらみ合わせにおきましてもよく似て参っておるわけでありまして、これを採用いたしましても万々心配はない、こういう考えであります。
  19. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 そこでこの料率によって計算されまするところの簡易生命保険保険料と、民間の保険会社の保険料と、大体代表的なものを比較いたしまして、どのくらいの開きになりましょうか。二三で結構でございますが……。  それじゃあとで結構でございます。次いでお尋ねしたいわけですが、これは大臣の方からちょっとお答え願いたいと思うのですが、この保険関係にありまして、これは後ほど審議されるでありましょう運用法の関係関係いたして参りますけれども、ただいま国会では住宅公団法というものが成立するかどうかということを危ぶまれておるというのが今日の状況ですが、この資金計画によりますと、公団の方に二十億の融資を予定いたしておりますが、もしこの公団法というのが成立を見なかった暁は、一体どういうお考えでありますか。
  20. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) その場合は投資計画の方に変更をしていかなければならないと考えております。
  21. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 投資計画というと、あまりはっきりわからないのですが、住宅金融公庫の方に回すのでしょうか、あるいは地方公共団体の方に回すのでしょうか、あるいはまた……。
  22. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) それは一部は地方自治体の方に回すようにもなりましょうし、一部は通用部資金等の方へも回すことになろうと考えております。
  23. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 運用部の方に回ることはないと思うのですが、前から大臣がしばしば約束をいたしておりますように、この局舎関係にはさらに、これでは不十分だと思うから努力すると言っておるのですが、これは当然回してしかるべきだと思うのです。
  24. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) これは全体として考えてみますというと、そういう方面に回したいと思いますけれども、その方面では、大体局舎改善に対する費用は、今のところで予定された額をもってやるつもりでおります。
  25. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 この前の委員会における大臣の答弁では、これでは不十分だと思うのだ、将来の補正等も一応考えられると思うし、もし資金計画の変更を要するという場合には、当然これは考慮の対象になるのだと答弁をしておられるのですが、まさか大臣は食言はしないだろうと思うのですが、やるだろうと思うのですが、どうでしょうか。
  26. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) そういうことは考えられると思いますけれども、現在のところでは予定計画通りに進めたいと思います。
  27. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 それはちょっとおかしいのですが、大臣はこれはやむを得ないということですが、この前の私の質問に対しては、たとえば私はこういう質問をしたわけです。暫定予算が次から次へと出てくるということになると、少くとも今日まで六月まで暫定予算です。そうするとこの消化を果してし切れるかどうか。年度内にし切れるかどうかということになると、若干の疑問があるのじゃなかろうか。あるいはまた臨時国会等で補正というような場合も考えられるが、その際には当然これはもう一桁なんということでなしに、特別考慮をしなきゃならぬだろうという私の質問に対して、大臣は、そういうように私も考えるので、できるだけそういう一つの対象に考慮したい、こういうことを答弁しておるのですから、私は当然これは、もしこの公団に対するところの融資の問題が実現できないという暁においては、やはり考慮の対象になる、私はこう考えるのですが、どうですか。
  28. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) 気持の上では、とにかく局舎の老朽しておるものが非常に多いのでありますから、幾らかでもそちらに回したいという気持は持っておる。しかしながらあなたも御承知通り、国家資金の非常に逼迫しておる場合において、非常にそうした面に今日より逼迫している、局舎以上に緊急を要するような面も出ておるかに思われるのですから、これを少しばかりその方に回すことによって、それで非常な大進展を見せるかというと、必ずしもそうも言えない。だからして今のところではまあ予定計画通りやっていくつもりでありまするけれども、また繰り返して申し上げますけれども、決してあなたと考えは違っておりません。そういう方面も、局舎改善に対しても金を回していきたいという考えは十分持っておるということだけを申し上げておきます。
  29. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 これはやはり日本住宅公団ができるという想定のもとに作られた資金計画だろうと思うのです。それがもし実現できないと、これはひとり住宅公団でありません。あとは大体まあその程度でやられると思うのですが、こういう新らしい法律の制定によって初めて融資ができるというような性質のものについては、そのもとがだめになるということになれば、当然これは大臣としてもこういう資金は、もしこれがだめになるとこうなるのだという、一つの私は腹づもりがなければならんと思う。それでなければ無責任ですよ。これはあるんじゃないですか。今から作ろうという対象なんですから……。もちろん私たちはこれができることは望んでおりまするけれども、もしこれがだめになるという場合においては、当然考えられるこの対象からはずれるのですから、その際にはあらためて、こうしなければならんというような腹がないと、資金計画はうまくいかないと思う。そういう意味で、私はこの席上で大臣がはっきり答弁できなければ、次の機会でもよろしいですけれども、ぜひとも第一項目にあげられておりまする局舎計画についても十分一つ考慮してもらいたいということを要望して、次の質問をいたします。  ところで郵便年金の問題でございますが、第三十四条でございますが、これはただし書きの中で一万二千円というものを二万四千円に引上げております、例の差し押えから除外する条項に当っております金額でありますが、ところが同じ項のただし書きの中で、五万円を十五万円ということに改められておりますが、一方では一万二千円から二万四千円になり、一方では五万円が十五万円になり、一方が二倍、一方が三倍になっておる。これはちょっと矛盾したのじゃないですか。何かここに具体的にはっきりした根拠があるのですか。
  30. 政府委員(白根玉喜君)(白根玉喜)

    政府委員白根玉喜君) まず十二万を二十四万にした理由を御説明申し上げますと、これはやはり恩給のベース・アップあたりも参考にいたしまして、また現在の実際の面も考えまして二倍程度でいいじゃないか。基準年度から比較いたしますと相当大きな金になるものと考えますが、実際の利用者はそこまでいかないのでございます。経済の負担の面からいいまして、実際この利用度のないものまでも上げる必要はないのじゃないか、また恩給のベースアップ等との比較からいたしましても、二倍程度がいいのじゃないかというので十二万円を二十四万円に上げたわけであります。  あとの返還金の問題は、御承知のように死亡したときとか、それから解約のときとか、主として死亡したときに払うのでございます。そうなりますと、死亡したときは遺家族の関係も考えなければならんわけでありまして、従いまして返還金のときは遺家族等の関係を考えまして、従来とも簡易保険の最高制限額にマッチしておったわけでございます。ただこの前八万円を十五万円に上げたときには改正しなかったわけでありますが、返還金に手をつける際におきましては、従来の簡易保険の最高制限額にマッチしてやるという方針でやったわけであります。  それから次いで、先ほどの御説明が漏れたわけでありますが、民間の保険料との比較でございますが、たとえば全期払い込みの十五万円養老を例にして申し上げますと、契約年齢が十歳の際におきましては、簡保が改正いたしまして五百四十五円でございます。民間との差額は四十円程度安くなっております。それから二十歳になりますと四十一円程度安くなっております。三十歳になると二十七円程度安くなる。四十歳にいきますと三十五円安くなる、五十歳にいきますと五十一円安くなっております。大体民間の保険料に比較いたしまして、平均いたしまして七分程度安くなっております。しかし一面民間では御承知のように利益配当は高い。従いまして利益配当と保険料とを合算いたしまして、正味保険料で見ますと、まだまだこちらの方がある程度低くなっております。また農協と比較いたしましても保険料はこちらの方が安くなっております。
  31. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 質問を続けます。今、郵便年金が現在の十二万円から二十四万円に引き上げられたわけですが、そうしてまた貯金の場合も十万円から二十万円に引き上げられた。保険のみが現状の据え置きになっておりますが、現在の情勢から比べますれば、従来から問題になったことでありますけれども、八万円の関係が十三万円になったということもありまして、きわめて端数もありますが、これは非常に低きに失していると思うのでありますが、引き上げる意思は持っておいでにならないのですか、どうですか、大臣、どうでしょう。
  32. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) そういう意思はないことはありません。そういう考え方もありました。しかし昨年引き上げたのでございますから、ここのところは一応見送って、近い将来また考える、こういう考え方でございます。
  33. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 近い将来に引き上げる用意を持っておいでになるわけですか、念のためお伺いいたします。
  34. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) さようでございます。
  35. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 そこで郵便貯金の制限額の問題に移りたいと思うのですが、十万円が二十万円に引き上げられておりますが、先ほど久保委員からも質問いたしておりましたが、必ずしも貯金の預入高があまりいい成績にないようだというお話でありましたが、私たちが地方に参りまして、利用者の立場の考えをいろいろ聞いて参りますと、単なる預け入れだけでは興味がないのだ。少くとも預けている者は、金額はいろいろ制限されましょうけれども、一応やはり貸し出しをやってもらいたいということが非常に強いのです。こういう問題について、特に当局の方で考えておいでになりましょうか。利用者の人たちの間では、預けるだけでは困るので、銀行と同じようにある程度貸してもらいたい。
  36. 政府委員(小野吉郎君)(小野吉郎)

    政府委員小野吉郎君) 永岡委員御指摘の何がしかの貸し付けができれば、預金利用者に非常に利益を増すであろうということは、われわれも同様に考え、また地方もそういう要望が非常に強いわけでありますが、問題は非常に重要な問題でありますから、そういう点の正式な意見はどうだという結論は、まだ現在出し得ない状況でございます。  なお私見にわたるでありましょうけれども、つけ加えて申し上げますが、郵便貯金会計の現在の財政の内容から申しますと、これはほんとうに企業経営の面から出る赤字とは関連いたしませんが、しかし郵便貯金特別会計の歳入歳出の建前から申しますと、年々赤字を続けて参っております。二十九年度もそうであります。三十年度におきましても、現在高の増加によって収入の面はふえるのでありますが、やはり支払い利子増加、あるいは所要の事務経費の増加等の関係から申しまして、郵便貯金特別会計歳入のみをもってしてはこれはカバーできないものが約四十四億円あります。これはあげて郵便貯金の歳入以外の面から補てんを受けているような状況であります。そういった資金面から完全に自立できる建前になりませんと、これはなかなか今の問題も、そういった面からもむずかしいのではないかと考えるわけであります。いずれにいたしましても郵便貯金運用の面は、簡易保険のそれとは違いまして、事業開始以来、全然郵政関係運用にタッチしたことはございません。タッチと申しますのは、現在資金運用部運用審議会がありまして、それに大臣が副会長になっておられまして、次官が委員になって、簡易保険局長貯金局長が幹事になっておりまして、その面ではタッチしておりますが、所管省として、運用の計画、立案その他の実際の事務をやることはないのでございます。非常に重大な問題でありますから、かなり研究を要する問題とは考えておりますが、現在結論をどうこうというところまでにはなっておらないことを御了承願います。
  37. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 事務当局のお話しによりますと、非常に重大な問題だということで、研究の段階だというようなことでありますけれども、保険の面についてもすでに貸し付けをやっております。さらにまた資金という一つの大きなプールの中で、それで貸し出されておりますから、預金者の方で自分が借りられないで、自分が預けた金を他の金融機関の方に、あるいは他の産業の方にどんどん投資するということは、やはりおもしろくない印象を受けるのです。だからその限度はいろいろあろうかと思うのですけれども、やはり自分たち預入者にも一つ貸してもらいたいということは当然の要求だろうと思う。これは金融機関のまた本質でなければならぬ。ただ預かるだけが金融機関であってはならぬと思います。  そういう意味で重ねてお尋ねいたしますが、非常に重要な問題で結論を得ていないというのは、重要な問題というのはどういう点が主として問題になっておるのでしょうか。
  38. 政府委員(小野吉郎君)(小野吉郎)

    政府委員小野吉郎君) 重要な問題と申しますのは、これは事務的に解決のつく問題ではないのでありまして、非常に大きな政治的問題だろうと思います。それでもちろん、永岡委員の今の御質問を通じて印象を受けましたことは、いわゆる運用、広い意味におけるそういった第三者に貸し付ける運用ではなく、預入者に対して何か不時の必要な場合に貸し出す方法はないものかどうか、簡易保険のいわゆる契約者貸付に類似した制度は郵便貯金で打ち立てられないかどうか、こういう点にあると思いますが、この面はかなり考える必要もあろうかと思います。ただ郵便貯金の面から申しますと、払い戻しということがあるのでありまして、実際にそういった簡易保険の契約者貸付の例に準じた制度を開きましても、別段高い利子を払わなくても、自分の貯金ならいつでも払い戻せばいい、こういうような便利な方法があるだろうと思います。その面からいって、実際の計画上に非常にむずかしい点があろうかと思います。
  39. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 これはもちろん自分の預けている金額の範囲内で払い戻すことは当然だと思う。私の申し上げておるのは、それをこえて、あるいは団体を作るとか何とかいう場合にいろいろのことはありましょう。ありましょうが、いずれにいたしましても貸付制度がなければ金融機関の二つの特質のうちの一つがなくなっていくと思うのですが、これは一つ特に考慮していただかなければならぬ。そういうことで特に一つこれは御研究になって、何とか実現をしていただきたいということをお願いをしておきます。これは大臣に特にお願いしておきます。  そこでもう一つ質問をいたしますが、ただいまもちょっと答弁の中に触れられておりましたように、貯金の会計は赤字だとよく言われる。これはまあ金融の問題が起りますと、私たち委員会でも伺うことは、やはり貯金会計が非常に赤字だ、そのために思うような金融もできない。こういうような一つ理由があげられております。そういう関係から重ねてお尋ねするわけですが、この赤字の解消の方法はないのでしょうか。今事務当局から答弁のありましたように、ほんとうの赤字であるかどうかということについては、その要素を検討してみる場合に非常に問題があると言っておりました。その通りだと私も考えております。これは引き合うだけのものをやはりやらなくちゃいけないと思うのですが、その点の一つ解決の方法は考えているのでしょうか。これは長い間にわたっての懸案だと思うのですが、大体およその結論が出るころじゃないかと思っております。その点一つお伺いいたします。
  40. 政府委員(小野吉郎君)(小野吉郎)

    政府委員小野吉郎君) お尋ねの郵便貯金会計の自立の問題でありますが、赤字解消の問題でありますが、これはいろいろ国の再建整備の一般の例に変りない面もあろうかと思います。郵便貯金の運営の面においてそういった合理化をはかっていく、こういうことはまず第一に基本国策として進めなければなりません。従来そういった面で非常に鋭意努力いたしまして、現在の状況で申しますと、ほとんどそういった面から期待し得るものは非常にないように思うわけであります。歳出の大半は預入者に対する支払い利子でありまして、これは利子の引き下げをやる以外にはその面からくるコストの低下はあり得ません。現在の状況から申しますと、まだ郵便貯金の利子を引き下げる段階ではないと思うのでありまして、これは昭和二十七年に利子の引き上げを行いまして、全面的な引き上げを行いましたが、この際における引き上げのそれは、民間の金融機関の利子との関係において調整をとりまして引き上げたものであります。一般のそういった預入の金利が引き下る、こういう傾向にならない限りは、郵便貯金だけで金利を現在低い方面修正することは、これは不利でもありますし、また直すべきではないと思います。また残余の事務費の関係でありますが、これはまた非常に切りつまった定員をもって切りつまった経費で運営をいたしておりますが、この面からくる節約額は非常に微々たるもので、今日の赤字解消の対象といたしましてはほとんど期待できない、かように申し上げていいかと思います。そうしますと残る問題は赤字解消に積極策をとらなければならぬ。これはやはり何と申しましても郵便貯金の現在高を増加していく、こういう以外にないわけでありまして、その点から年々郵便貯金の現在高をふやしていく。その面から、利子の率は、これはきめられた率で動かしにくいものでありますが、経営の、いわゆる利子を除きましたあとの事務費の率におきましては、年々低下の傾向をたどり、好ましい傾向をたどっておりまして、総体で申しますと、三十年度予算では七分一厘一毛、これが郵便貯金の経営コストになっております。実際はその金は全部資金運用部に入りまして運用されるわけであります。資金運用部の平均の利回りは六分五厘弱という今日の状況でありまして、その面から申しますと、依然赤字であることには間違いないわけでありますが、われわれもいろいろそういった赤字解消の面から郵便貯金の自立長期計画を検討しているわけでありますが、何と申しましても積極的に郵便貯金の現在高をふやして、その面からコストの低下をはかっていくという以外に方法がない、かように考えております。
  41. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 そこで解消の積極的な方法の一つとして考えられることは、貯金高を上げることだ、こういう御説明でありましたが、これは聞くところによりますると、預金部からの繰り入れの事務費ですが、これは金額通り毎年同じ率で繰り入れられていないかに承わっていますが、年々率を一厘……、率はあまりよくわかりませんが、少し下げて繰り入れるということになって参りますと、これは幾ら切りつめてもだめで、赤字はそういうところに原因があるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。これは貯金会計としての赤字のことを言っている……。
  42. 政府委員(小野吉郎君)(小野吉郎)

    政府委員小野吉郎君) 御指摘のような面は確かにあるわけであります。当初郵便貯金特別会計のために資金運用部特別会計ができました際の率は、いろいろな経緯がありますが、各種経営のために、これは厚生省関係の各種の預託高、郵政省関係では郵便、簡易保険並びに郵便貯金の預託高に比べまして一率五分五厘の利子をもらっておるわけであります。これで郵便貯金のコストは一番最高で八分何厘が、漸次今日下りまして、七分一厘一毛になっておりますが、五分五厘ではとうてい経営は成り立たないわけであります。よくよく現在高がふえない限り、これはそう早期にそういった状況を実現することは困難であります。その後そういった状況で、不足分をすべて一般会計から補てんを受けておったわけであります。それが郵便貯金のいわゆる繰り入れの預託利子率におきましてもわれわれ疑問を持ちまして、いろいろ大蔵省と折衝いたしました結果、昭和二十七年でありましたか、七年度を初年度といたしまして、資金運用部のそういった利子支払いに対する特別立法をしていただいたわけであります。初年度六分五厘とやったわけであります。そして将来五年の間に漸次低下して五分五厘まで下げる、こういう特別立法ができたわけであります。当時の六分五厘と申しますと、当時まで資金運用部全体の利回りはそこまでいっておらなかったのでありまして、勢いほかの面の資金の五分五厘と、実際運用利回りとの差額が郵便貯金の方に現実には肩がわりされているというような状況になっているのであります。それが漸次六分五厘が下りまして、三十年度予算では六分二厘で計算しております。これは当然現在の所要のコストから申しましてはるかに下回っておりますので、金額にして先ほど申し上げましたような四十数億円の赤字が出るわけであります。しかしこれは全部資金運用部の他の黒字をもってカバーする、こういうことになっておりまして、現実には赤字でありますが、これはそういった特別会計への歳入歳出の建前上の赤字でありまして、実際の貯金事業運営の実情には不便を来たさないような、一般会計の繰り入れ、あるいは最近には資金運用部黒字を充てて郵便貯金に繰り入れると、こういう状況で措置して参っております。
  43. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 そこで、これは大臣の方にお願いかたがた御決意のほどを一つお尋ねしたいわけですけれども、確かに国の産業助成のための資金計画の一環として考えなければならぬでありましょう。これは私も認めますが、そういう範囲内でも今日まで貯金会計の赤字ということがいろいろ論議されておりまして、先ほども事務当局から答弁の中にありましたように、積極的にこの預金高を上げなければならぬというお話がありましたが、そういうことを期待する意味におきましても、働く従業員の熱意を燃やさなければなりません。その従業員の熱意を燃やすためにも、繰り入れの金額が非常に少いということであっては、自然意気消沈して参りますので、どうか一つこの点は、今貯金局長の方から五年の後には五分五厘に引き下げるというお話であったようでありますが、この方針を近い将来変えてもらって、潤沢ということを私どもは希望いたしませんが、まあまあこれでやっていけるという程度のものにぜひ一つやっていただきたい。このことを特に大臣にお願いかたがた御所見を承わりたいと思います。
  44. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) 貯金関係の従業員が働いても働いても、依然として赤字であるということであるならば、自然働きがいがないわけでありますから、そういう状態に置いておくことはまことに残念でございまして、当局から御説明いたしましたように、今後はそうした面に対してより適切な手段を講じて、従業員が希望を持って、あなたのおっしゃるように、熱意を持って働けるような方向に持っていきたいと思います。
  45. 左藤義詮君(左藤義詮)

    左藤義詮君 ただいま金利お話が出たのでありますが、最近の傾向、これは日本の底の浅い経済をだんだん強めていくためにも必然の要請でありますし、現内閣もその方針をおとりになっておるようですが、一般銀行に金利引き下げをしきりに要請している。生命保険協会等にもそういう働きかけが大蔵省等からあるようでありますが、こういうことに対して、大臣は大蔵省と十分連絡をとっておいでになるかどうか。この御提案になるについても大蔵省、特に銀行局等と緊密な打ち合せをとっておいでになるか、その点の経過並びに今後の見通し等について伺っておきたい。
  46. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) 左藤委員の御指摘の点は、十分連絡をとってやっておるのであります。今後の見通しいかんということでございまするけれども、むろん現在でも郵政関係事業は現業庁としてきわめて健全なる発達を遂げてきた。その伝統に基いて、これはあくまでもこの健全性をより一そう高めて、その事業の目的を達成するようにやっていきたいと考えております。
  47. 左藤義詮君(左藤義詮)

    左藤義詮君 ただいま局長から六分五厘までは楽に運用できるというようなお話でございましたが、私は銀行や民間保険に、そういう政府の方針として金利の低下のいろいろ促進をされる以上は、まず政府が範をお示しになるべきだと思うのでありますが、そういう点で、今後この運用を、ただ利回りさえよければいいということでいらっしゃるのか、やはりそういう日本経済の要請するところに政府みずから率先して協力するというような御方針であるのか、その点大臣は大蔵省と十分連絡をとっているとおっしゃいますが、どういうふうに連絡をとっていらっしゃるのですか。
  48. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) 現業庁として一面独立採算制をとって、そうして自立していける建前も堅持していかなければならぬとともに、また一面国家財政の要請に応ずるというような意味において、政府の方針に順応していく部面もあると考えております。それらの点について調整をはかっていきたい、かように考えてやっております。
  49. 左藤義詮君(左藤義詮)

    左藤義詮君 現在この簡保の運用の対象がきまっておりますが、これの対象をいろいろ広げようというようなことで、もう一つ法案が出ているわけでありますが、将来いろいろ運用の対象等も私はだんだん広げていくべきものだと思うのでありますが、そういう点からも、今局長は事務的には六分五厘大丈夫だと、こう言っておりますが、大臣が大蔵省と緊密な連絡をとっているとおっしゃるが、どこまでおとりになっているか、はなはだ私は心もとないと思うのでありますが、まあしかしおとりになったとして、それでは六分五厘というものをどういうふうに見通しておられるのであるか、それがだんだん政府の方針に協力せられて低下していっても、この御計画に差しつかえないかどうか。この法案の御説明にあるようなことで差しつかえないのであるかどうか、そういう点を十分連絡をとっていらっしゃるようにうかがえないのです。
  50. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) 明白に今日の大蔵当局の方針として、金利の引き下げをうたっておられるのでありますが、今大蔵当局から、六分五厘はむろん大丈夫であるのみならず、それ以下に下ってもやっていけるという考えでいるのでございまして、むろんわれわれも今日の経済、財政状態、金融の状態から考えてみて、大蔵省の方針を汲んでいって、同調していって大丈夫という考えを持っているわけでございます。
  51. 左藤義詮君(左藤義詮)

    左藤義詮君 もう一つ法案が残っておりますから、そのときでもいいのですが、私はただいまどうも大臣のおっしゃることが、もう少し具体的にどういう方針で、どういうふうに銀行局と協議しておるのか、これは実は準備等でこの法案は急ぐようでありますから、私は別にこだわりませんが、大蔵当局、銀行局長あたりにも来てもらって、こういう日本の金融、金利の問題ですね、根本的に私は検討すべき問題がたくさんあると思うのであります。どうもそういう点が、私は大へん失礼でありますが、大臣の今の答弁でははなはだどうもはっきりしない。もう少し私は大蔵省とこういうふうに打ち合せをして、こういうように将来持っていくのだが、しかしわれわれはこう持っていくのだと、そういう御説明が不十分だと思います。何か事務当局の方でももしありましたら……。
  52. 政府委員(白根玉喜君)(白根玉喜)

    政府委員白根玉喜君) 先ほど私が申し上げましたのは、簡易保険保険料の算定基礎としての三分五厘を四分に上げるのが大丈夫かという御質問にお答えしたわけでございまして、四分程度は大丈夫だと申したわけであります。六分五厘が大丈夫だと言ったわけではないのであります。それはその理由といたしましては、これは見通しの問題で、私見にわたるかもしれませんけれども、戦前はやはり経済の底が相当深かったと思うわけでございます。戦後に比較して信用形態も相当あったと思うわけでございます。そういたしますと、やはり戦前金利以下に戦後落ちついていくということは、大体見通しとしてないのじゃなかろうか。もしそういたしますと、戦前におきましても簡易保険運用利回りは四分以上になっておったのです、戦前におきましても。戦後も四分以下になることはないだろう。従いまして、なるほど運用対象の金利は、これは場合によりましては、民間の金利を下げるならある程度下げることができるかもしらんけれども、ただいまのところでは、大蔵省といたしまして、ただ運用面の技術の問題でございますが、この面については、やはり研究はしておりますが、上げる方でなくて、下げることがあり得るかということの研究はしております。しておりますが、それをかりに実現いたしましても、四分の予定利率を割るようなことはなかろうと、こういう考え方でございまして、運用の面、運用の技術については、やはり今まで出ておる格好の面がかりに実現いたしましても、四分は割らないだろうという見通しで御提案をしたわけでございます。
  53. 柏木庫治君(柏木庫治)

    ○柏木庫治君 時間も大分迫りましたし、質問相当出たと思うのでありますが、今日はほかの法案もいろいろ質問がありますので、質疑はまあここらで一つ打ち切って……。
  54. 左藤義詮君(左藤義詮)

    左藤義詮君 私まだ質問中なんです。柏木委員の御動議もございますので、私、異議はございませんが、いずれ積立金の運用に関する法律が残っておりますので、その際に日本の金利体制全体の問題について、これは大蔵省からもぜひおいでいただきまして、十分質疑をしたいと思いますので、その点一つ郵政当局もよく研究をしていただきます。ただ目先だけでなしに、将来の問題、とにかく日本の経済全体とマッチするような相当長期の見通しについても十分私は検討していただくことを希望いたしまして、そういう意味でこの質問を保留いたします。
  55. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) ほかに御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより四案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお付帯決議の御意見がありますれば、慣例によってこれは討論中にお述べを願います。ほかに御発言はございませんか。
  57. 左藤義詮君(左藤義詮)

    左藤義詮君 ただいま議題になっております四案、運用法律案を除きまして、四案につきましてそれぞれ当局の説明を伺いまして、現在の経済事情、あるいは国民生活の上から見まして、いかにも妥当な提案だと存じます。  ただ、簡易生命保険法改正につきましては、政府提案に対して衆議院修正を加えられまして、これはこの政府提案によって十歳未満の倍額支払いをやめて、それがサービス・ダウンにならないように、何とか一つしんぼうしてこれを続けていけないかという御趣旨でございまして、私どももその点もっともだと思うのでありますが、そのために将来非常に簡易生命保険そのものの基礎に影響するようなことになって参りますれば、これはあらためて私はまたこの法律を再検討すべきだと思いますが、現在のところでは、一つ当局の努力によりまして、しっかりこの事業の御勉強を願って、衆議院修正のごとくにこの点は一つ維持していただきたいと思います。  そういう点からも、この法案の審議中にもしばしばお話しになっておりまする最高制限額ですが、ただいま大臣は、昨年改めたばかりだからと、非常に御遠慮をしておられるようでありますが、これは私はわが国の経済実情から見ましても、また、実際国民の要望しておるところを聞きましても、これはすみやかに私は制限額をもう少し上げられるべきだ。永岡委員の先ほどの質疑に対しても、近い将来に努力するというお話でございますが、その近い将来ということが私はできるだけ最近であるべきだと思うのでありまして、そういう点にかんがみまして、最高制限額を上げてゆく、そうして国民へのサービスについてはできるだけ将来努力してゆく、衆議院修正もできるだけこれで支障のないように実行していただくということを私は要望したいと思うのであります。  そういう意味におきまして、この四案に対して私は賛成をいたすものでありますが、これに付帯決議をつけたいと思います。その案を朗読いたします。    附帯決議(案)   現行簡易生命保険金の最高制限額は、最近のわが国経済の実状にかんがみ、国民の生活の安定、福祉の増進を図る上に不充分である。よって政府は速かにこの制限額を引上げるよう措置すべきである。  以上の付帯決議を付しまして、四案に賛成をいたしたいと思います。
  58. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 私も衆議院から送付されました簡易生命保険法の一部を改正する法律案外三件、あわせて四案に対しまして賛成をするものであります。  ただ質疑の中で明確になりましたように、しかもまた、ただいま左藤議員の方から付帯決議として提案されておりまするように、しかも郵政大臣は、簡易生命保険の最高制限額については非常に低いので、きわめて近々のうちに引き上げることについて政府提案をしたい、こういう意向の答弁を承わりましたのでありますから、特にこの付帯決議を付して私も賛成いたしますが、この提案する時機ですが、きわめて近々でありまするが、できることならば、次の国会には必ず引き上げの、最高制限額引き上げの法律案政府提案として出ることを特に期待をいたしまして、本四案に賛成をいたすものであります。
  59. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。簡易生命保険法の一部を改正する法律案郵便年金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、以上四案全部を問題に供します。右四案を衆議院送付原案通り可決するに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  61. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) 全会一致と認めます。よって簡易生命保険法の一部を改正する法律案外三案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、さきの討論中に述べられました左藤君提出の付帯決議案を問題といたします。左藤君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに御賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  62. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) 全会一致と認めます。よって左藤君提出の付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容及び本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) 御異議ないものと認めます。  それから報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりますから、四案を可とされました方は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     左藤 義詮  柏木 庫治     永岡 光治 大野木秀次郎     西川彌平治  島津 忠彦     野田 俊作  久保  等     小林 孝平  八木 秀次     石坂 豊一  最上 英子     市川 房枝
  64. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) それではこの際、さきの付帯決議に対して郵政大臣から御所信を承わりたいと存じます。
  65. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) ただいま御決議になりました御趣旨に対しては、十分その趣旨を体してこれを実行したいと思います。     —————————————
  66. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) それでは次に、本委員会調査に関連いたしまして、先日来永岡委員から御要求のありました件について……、ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  67. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) 速記を始めて。  それでは本日は入江人事官がお見えになっておりますから、この際御質問を願います。
  68. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 それでは人事官の方に御質問申し上げますが、実は退職年金法の制定の問題です。これは一昨年の十一月に、政府及び国会に対しまして、新らしい観点に立ったところの退職年金法の要綱を人事院で定められまして、こういうところで一つ新らしい退職年金法を作ってほしいということを勧告をいたしております。ところが、これも政府は、後ほど出るだろうと思うのでありますが、今日どういう状況になっているか、ただしたいと思いますが、その前に、一つ人事院の方で勧告をして、それが今日どういう状況にあるかといいますと、実施をされていないという段階でありますので、これはやはり人事院の性格からいたしまして、勧告したらあとはどうなってもいいということでは、私は済まされないだろうと思う。できるだけ人事院の意向が尊重されて、実現されるという努力をされなければならないと思いますが、今日どういう経緯をたどっているか、人事官として承知されておる程度、そこであなたが今後どういうように努力されようとしておるか、その点を一つただしたいと思います。
  69. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) ただいまお話通り退職年金につきましては、一昨年十一月、国会及び政府に勧告をいたしまして、その後人事院といたしましても、その勧告の内容が一日も早く実現していただけるように、政府の方とも折衝いたしておるわけであります。それにつきまして、御存じの通り、昨年退職年金法と給与準則、その二つを、政府としてもどういうふうに取り上げるかということを考えなければならぬということも一つの大きな理由になりまして、公務員制度調査会というものができまして、しかしながら、その退職年金法なり給与準則を考えるについても、やはりこれは公務員制度の根本問題にも関係するというようなこともありまして、公務員制度調査会においてただいま公務員制度全般について検討しておるわけでございます。そのうちの一つ項目として退職年金の問題もございまして、ただいま小委員会に付託いたしまして、公務員制度全般の問題とあわせて御検討中のようでございます。人事院といたしましては、もちろんそういうふうな事情で、ただいま公務員制度調査会へかかっておりますので、総裁がその委員の一人になっておりますので、公務員制度調査会を通じて、勧告の退職年金法が実現することを希望しておるような次第でございます。
  70. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 これは総裁が委員に加わっておるようでございますが、その手伝いといいましょうか、下の実際の仕事をやっておるといいましょうか、そういう立場に立つ方々に、人事院からやはりこの構成の、たとえば幹事とか理事とか、そういう形で入っておるのじゃないですか。
  71. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) さようでございます。人事院事務総長と給与局長、任用局長が幹事になって入っております。
  72. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 そうしますと、今日までの経過は相当詳しく御承知だろうと思うのでありますから、一つ今日はどういう程度まで進んでおるか。少くとも、私は公務員制度全部の問題についてはいずれ機会を改めてお尋ねいたしたいと思いますが、今日は時間の関係もございますので、退職年金、この問題に限定をいたしまして、その経過をお尋ねしたいと思います。
  73. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) 私の存じております限りにおきましては、やはり退職年金につきましても小委員会で今検討しておりますので、まだ具体的に人事院の勧告の退職年金法の内容をどういうふうに取り上げるかというこまかいところまではさまっておりませんように伺っております。
  74. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 細部にわたっては、過渡的な問題もありましょうし、いろいろとらえがたい問題もございましょうから、私はそういうこまかい問題、こまかいと言っては何ですが、長い期間相当細部にわたって討論されると思いますから、その結論を今明日中に期待することは困難だと思います。今日の私のお尋ねいたしたいことは、人事院の勧告されたあの大綱を大体認めて、その上に立っていろいろ検討されておるのかどうか、全然あれは問題にしていないという新らしい観点でやっておるのかどうか。
  75. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) もちろん全然問題にしていないとか、そういうことはございませんので、人事院の勧告がありましたことを前提にして検討されておるわけでございます。ただ、新聞紙上あたりでも御存じの通り、公務員の範囲でございますとか、そういう基本問題が公務員制度の重要問題として検討の対象になっておりますので、こういう問題とからんで退職年金の問題も考えることになると思います。従って人事院の勧告案の詳細のところには今日まだ入っておらぬように私は承知いたしております。
  76. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 いろいろな範囲の問題も一つの議題になっておりましょうが、今あなた方が感じておる空気といいますか、察知しておるあるいは将来の見通しと申しますか、そういうことを前提にして御答弁願えるでしょうか。大体人事院の勧告というものが基本になって、そうして検討を進められると、こう解釈してよろしゅうございますか。
  77. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) さようでございます。人事院の勧告案が一つの基礎になって検討されると思います。
  78. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 そこでそういう状況であれば、特に私たちも、さらに人事院の方も、ましてや総裁がこの中の委員であれば、それだけに早くこれを一つ実を結んでいただきたいと希望するわけでありますが、御承知通り、今日は在職者についての給与問題についてはそれぞれ曲りなりにも何とか運動を進めております。十分とはいいませんが、運動を進めております。退職の問題については、これは退職した次の日から路頭に迷うという今日の経済情勢から考えて、きわめて退職者の状況はお気の毒であります。そういう観点から、私は在職中のときと同様に退職後における生活の保障についてのことと、退職年金の制度はもっともっと重視されなければならないと私は考えております。そういう意味から、ぜひともこれは早急に一つ案を諮問をいただいて、一方公務員制度調査会で諮問をいただくと同時に、それとは別個に、何と申しましてもこれは性格からいえば、人事院の性格というものは調査会の性格と非常に違うように私は思います。公務員の保護機関として作られた人事院と、それから政府一つの態度をきめるために、参考として意見を聞くというところの諮問機関と私は非常に大きな違いがあると思っておりますから、そういう意味で、人事院は人事院なりで、自分の勧告したものを、私はでたらめに勧告したものではないと思うのです、しっかりした資料に基いて権威ある、信念ある勧告をされておることでありますから、それが実現されるように努力することは、これは当然だと思います。早急に一つ、これは調査会は調査会でやりましょうが、人事院は人事院としての立場でこれが実現を見るように努力をしていただきたい。この点を一つ要望かたがた人事官の御所見を承わりたいと思います。
  79. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) この問題は全く永岡さんの仰せられる通りでございまして、われわれといたしましても、公務員法の根本精神といたしまして、在職中の給与と並んで退職者の給与ということが非常に大事なものだと痛感いたしておりますので、公務員制度調査会は調査会として、人事院としても、これが一日も早く実現されることを期待しておるわけであります。  もっとも御存じの通り国会と政府提案と申しますか、案を提出いたしまして、提出したのと同時に、そのころ衆参に人事委員会がございまして、国会でも十分時間をかけまして御説明申し上げまして、内容について御納得のいくようにお願いをしておるわけでありまして、そういうふうな方法で国会にも御了解をお願いし、政府の方へは、先ほど申し上げました通り、内容について御審議をお願いして、ただいまの公務員制度調査会にかかっておるような次第でございます。今後もなお努力いたしたいと思います。
  80. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 大体見通しはこの年内に実現できるような見通しでございましょうか。
  81. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) 結局公務員制度調査会の審議の経過いかんということにかかりますので、ただいまのところ見当がつきませんでございます。
  82. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 目途は大体どの程度に置いておるんでしょうか、いつごろまでにこれを実現しようということで……。
  83. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) これは調査会の審議の経過によることでございますから、われわれ的確に判断がつきませんけれども、公務員制度全般について早急に案をまとめて、答申をして、次の国会にでも間に合わせたいというような目途で進んでおられるように伺っておりますけれども、私直接関係いたしておりませんので、詳細なことは存じませんでございます。
  84. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 これは特に早急に一つ実現を見るように最善の努力をお願いしまして、これと関係のあります問題について若干質問を進めてみたいと思うのです。  今、郵政職員の中に従来逓信手あるいは通信手と呼ばれておる待遇官吏です。待遇官吏の今日まだ新しい退職年金法ができておりませんから、在来の恩給法に基いて退職後におけるところの恩給をもらっておるということになるわけですが、同じ待遇官吏でありながら、特定局の特定局長は、在職中の二分の一が認められておりますが、しかし待遇官吏である逓信手、通信手には全然認められておりません。これは私は非常に片手落ちだと思います。理屈もいろいろあると思いますが、とにもかくにもこれは片手落ちだと思います。これは早急に解決してほしいという声が部内にほうはいとして起っております。これは長い間の懸案でありまするから、そういう意味で早急に解決をはからなければならんと思いますが、この点について私は人事官としても関心を持って善処していただかなければならんと思うのですが、これを恩給年限の計算の中に通算するということについて何か反対でもあるんでしょうか。
  85. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) ただいまお示しの通信手、それから逓信手、あるいは特定郵便局長の問題、これは人事院の勧告いたしました案には、大体ただいまの御期待通り通算するような方針で勧告いたしておるはずでございます。なお詳細については部長が参っておりますので、御説明いたさせます。
  86. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 それでは今あの勧告案ではあるいはそうなっておるのかもしれませんが、内容を詳細承知しておらないのではなはだ申しわけないのですが、現に新しい退職年金制度ができない限り、今日の恩給制度で律せられるわけですから、今逓信手、通信手として長い間勤めておった人は恩給年限の計算の中に入らないのです。従って三級官になったあの当時からやっと通算せられ、あるいは判任官に昔なった、あの当時から、そこが出発点で計算されておりますために、五十五になっても、あるいは六十になっても、とにかく特定局の中の方々にはおそらく六十過ぎて退職しても恩給にならない人がかなりたくさんある。しかしこの待遇官吏である通信手、逓信手の年限を計算して通算して下さるならば、優に恩給が付くという、今日非常に不遇な方が現実にはたくさんあるわけです。こういった問題を解決しなければなりませんので、今すぐこれを解決してほしいと思うんですが、どうでしょうか。
  87. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) これは何でございます。お話通り、結局現行法の建前では直ちにこれが困難でございますので、まあ人事院といたしましては、方針はお話しの通りごもっともでございますので、これを改正していただくように勧告しておるわけです。そこで勧告の内容が実現するまでこれをどうするかということでございますが、これは現行恩給法の改正になるんだと思いますが、恩給局におきましてこういう問題、この問題のみならず、一般職公務員等についてもいろいろありますので、これをあわせて勧告しておるようなわけでございまして、これ自体をどうするかということは、結局現在の組織の問題といたしましては、内閣あるいは恩給局の所管で考えてもらわなければならんことだと思います。
  88. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 そこで主管大臣であれば、こういう職員をかかえておられる主管大臣である郵政大臣は、閣僚の一員として早急に解決をはかっていただかなければならんと思うんですが、郵政大臣はどういうお考えでしょうか。
  89. 国務大臣(松田竹千代君)(松田竹千代)

    ○国務大臣(松田竹千代君) 私実は退職年金のことは今初めて伺うんですが、報告も何も聞いておりませんから、今お話しの人事院勧告案の内容なり、あるいは公務員調査会の意向なり、また当局の話を十分に聞いて、一つ検討してゆきたいと思います。
  90. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 それで私が今問題としておりますことは、特定局の場合でも、待遇官吏である逓信手、通信手の場合でも、今人事院が勧告されておるように、勧告通りに実現されれば、両者問題はないわけでありますが、同じ待遇官吏でありながら、今日特定局の場合に二分の一を一応計算しておるが、たまたま通信手、逓信手という待遇官吏は全然これは計算に入れていないという片手落ちになっておるわけです。これは法律の改正といいましょうか、法律の改正でなくて、人事院規則か何かで適当な措置が講じられませんか。
  91. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) この問題は、やはり恩給法関係の問題は法律事項でございまして、人事院規則ではどうにもなりません。
  92. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 給与担当大臣の大久保大臣が見えられましたが、私は一つお尋ねしたいのですが、ただいま人事官の方に質問いたしておりますが、それは退職年金の問題ですが、一昨年の十一月に国会と政府に勧告いたしておりますが、依然として実現を見ていない。これは一つ人事官としても勧告をした以上、やはり勧告のしっ放しでなくて、その実現を期すという意味で努力をお願いしなければならぬ、こういうことで今お願いしているわけです。とりわけ、これは公務員制度調査会で今問題になっておるというお話でございましたが、昨日私は予算委員会で大久保大臣に質問いたしましたように、公務員制度調査会という性格と人事院という性格とは非常に違いがあるわけです。調査会というのは、これはどこまでも政府の態度を決定する諮問機関です。しかし人事院というものは、公務員法によって公務員の立場を保護するために作られた、しかもりっぱな、これは長い伝統を持っておる権威ある機関です。この勧告には従わなければならぬという非常に強い規定まであるわけでありますので、どうしてもこれは調査会とは別個に、人事院の方でも実現のために努力してもらいたいということを私はお願いしておるわけでありますが、これは大久保大臣の方にも特にこの問題をお願いしなければならぬと思うのですが、今この退職年金の問題はどのように進捗をいたしておりますか、給与担当大臣であります大久保大臣にお尋ねいたします。
  93. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) ただいまの年金、新しい年金の問題につきまして、人事院からの勧告は確かにありました。その内容もざっと拝見いたしました。しかしこれはやはり公務員制度の一環として、給与に密接な関係を持っておるし、また恩給にも密接な関係を持っておりますので、やはり私の考えといたしましては、一面においては人事院の勧告を尊重すると同時に、やはり公務員制度調査会の意向を一応確かめたいと存じまして、調査会の方に調査の一項目としてお願いをしておる次第でございます。ただいま公務員制度は小委員会を作ってこの問題について、この問題だけではありません、給与の問題についてせっかく勉強しております。一週間に一ぺんずつ毎週開会しております。ですから私もなるべく急いで解決いたしたいと存じまして、小委員会の方へも開会を督促しておるような次第でございます。  大体の経過は以上の通りでございます。
  94. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 そこで、これはもう何回も言うことですが、人事院の勧告もさることながら、調査会の方へ一応意見を諮問しておるからというお話ですから、論議はいたしませんが、やっぱり勧告という制度と、勧告というこの権威は、調査会の意見があろうとなかろうとにかかわらず、政府はこれを尊重するという立場に立たなければならぬわけです。これは重ねて大臣の方へ、はなはだ失礼な言い分かもしれませんけれども、これは一つ考えを改めていただかなければならぬと思います。よく一つ公務員法を御勉強いただきたいと思いますが、そこで一週間一回ずつ勉強されておるということははなはだけっこうでありますが、この問題について、私は退職年金の問題についてだけ、今日はこれに限定いたしましてまず質問いたしたいのでありますが、人事院から勧告をされました退職年金制度が、あれが基本になって検討を進められておりますかどうか、これをまず一つお尋ねをいたします。
  95. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) その内容は私一々干渉いたしませんで、委員会の自由意思にまかせて、自由な討議によって研究しております。もちろんこれは一つの案として入っていると思います。
  96. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 これは単なる参考意見と違うのですから、勧告ですから、だからもちろんその案の中に一つありますということでなくて、大臣はこまかい報告まだ受けていないとすれば、これは事務当局の怠慢だと思うのですが、担当大臣であるあなたが、どう進捗をしているか、しかも大きな基本の問題を、人事院の勧告を基本にしてこれを討議しているかどうかという問題について知らないということでは、これは職務怠慢となじられてもしようがないと思う。これは一つ事務当局の方が見えておりますが、これはどうなっているのです。人事院の勧告が基本になって討議されていないのですか。もしそうでないとすれば問題ですよ、これは……。
  97. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) それはもちろん、これは常識の判断ですが、もちろんこれを有力なる参考意見としてやっていることと存じております。人事院の勧告は決して……。
  98. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 参考じゃないですよ。
  99. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) いや、それは委員の考えは私どもは有力なる意見として尊重しております。また、たとえ公務員制度の調査会の成案がいかがであろうとも、十分に尊重する所存でございます。
  100. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 まあ調査会の結論がいかがであろうとも、十分尊重するということは、私はその通りでいいと思うのですが、そこで大臣が督励されていると思うのですが、結論はいつごろですか。結論というのは、いつごろ実施するという目途がなければ、のんべんだらりと一週間に一回やっても始まらない。目途があれば、二回になる場合も、ことによったら三回にしなければならぬ場合もある。そこで初めて私は熱意があると認めなければならぬと思う。いつごろの目途でおりますか。
  101. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) いつごろと、月日をはっきり申し上げることはできませんですが、なるべく急いで……。
  102. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 日は要りません。およそ何月ごろ予定しておりますか。
  103. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) これははっきり申し上げるのはなかなか苦しいのですが、なるべく急いでやらせます。なるべく急いでやらせまして、なるべく急いで報告したいと思います。
  104. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 なるべく早く、なるべくおそくなっちゃ困りますから、なるべく早くにきまっていますが、この会期中に間に合わすような熱意を持っておられますか、具体的にお尋ねいたします。
  105. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) この会期中ということも……。いつまでにやりますか、わかりませんですけれども、これはもうはっきりちょっと私言いかねるのです。
  106. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 会期中は困難だというのですか。
  107. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 見通しははっきりつきません。そこまでの……。
  108. 久保等君(久保等)

    久保等君 関連して大久保国務大臣に。ただいまの問題なんですが、私は公務員制度調査会にただいまの退職年金制度の問題を付託するに当って、やはり政府当局そのものが、時期の問題等については当然考慮して、いつごろまでにとにかく成案を得てもらいたいというようなことは、これはもう当然当初国家公務員制度調査会に付託する際に、そういった希望は述べられていると思うのです。ただ漫然と、調査会で一つ検討してくれというような、そういうことは、これはもう私は非常に、何といいますか、ずさんというか、誠意がないというか、非常に残念だと思うのですよ。少くとも調査会での検討という問題は、いわば専門的な立場で、しかもいろいろ政治的な考慮とか、そういったものは一切排除して、おそらくこれが純粋に専門家的な立場で検討を加えていると思うのです。従ってこれらについての成案というのは、一刻も早く成案を得なければならぬでしょうし、当然これは担当国務大臣としての大久保さんは、そういった基本的な方針だけは明示してあろうと思うのです。そうしなければ、漫然と、いつまでもとにかく検討して下さい、ストップがかかったら一つやめて下さいというようなことでは、結論がなかなか出て参らないであろうと思います。政府として半年なら半年、当初三カ月なら三カ月以内にぜひとも結論を出してもらいたいというようなことで、やはり制度調査会で検討させるように私はしなければならぬだろうと思うのです。従ってその点については当初からの経緯というものについて、どういう方針でやっておられるのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  109. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 調査会にかけておる事柄は公務員全般の問題でありまして、非常に広汎にわたっております。たとえば任用から、給与はもちろん、あるいは恩給、あるいは懲罰というような各般にわたっておりまするので、これはなかなか急いで、やはりなかなか間に合いませんのです。従って先に申しました通り、非常に急がせております。もちろんできるだけ早くということを注文しておりますけれども、いつまでということを言明するのは非常に苦しいのです。この点は一つ御了解願います。
  110. 久保等君(久保等)

    久保等君 苦しいというよりも何よりも、しかも政府が積極的に国家公務員制度調査会に公務員制度全般の問題について付議して検討させるということは、これは私は一応話の筋道として理解できるのです。しかし、問題になっておる退職年金制度の問題については、これは少くとも人事院でもって勧告がなされておるということは、一つの動かすべからざるものである、しかも政府として、従属関係にない。独立した権威のある人事院というものが勧告したその問題を、どう扱うかという事態政府は直面しておる問題だと思うのです。従って政府としては、なおそれに関連した国家公務員制度全般の問題についてもこの際検討したいのだということで、付加して制度全般の検討が制度調査会においてなされておるものだと思うのです。そうするならば、少くともそのできた経緯、それから当面する問題というものも、おのずからそこに非常に大きなはっきりした目標が私はあるだろうと思うのです。従って全般の問題が全部一つの成案を得ない限り、この退職年金制度の問題についてはいつ結論が出るかわからないのだということでは、それならば人事院から出された勧告というものをどう政府は考えておるのか。政府は少くともこの人事院の勧告を無視するということは言えないだろうし、尊重しないということももちろん言えないだろう。これは単に尊重するとかしないとかいう言葉のやりとりの問題ではなくて、われわれ少くとも法律を素直に解釈するならば、政府として私は重大なる拘束を受ける人事院勧告だと思うのです。まあこれは最小限度に見積っても……。従って政府が少くとも人事院勧告をほんとうに誠意をもって尊重するのだという考え方からするならば、せめて検討を加えるにしても、私は早急にこの問題についての結論を出してもらいたい。従って制度調査会としては何月ごろまでに大体の結論を出してもらいたいということくらいは明示して調査会の検討をまかせないと、まあとにかく話は非常に幅が広いのだ、問題は非常に幅が広いのだから、まあとにかくできるだけという程度の指示の仕方では、私は担当大臣として、非常に誠意がある検討を加えておるとは御説明できないのじゃないかと思うのです。従って問題は非常に広汎にわたるし、いろいろ関連事項があることはもちろん私どももわかるわけなんですが、しかし焦点は一応はっきりしている。しかも出されておる勧告の焦点というものも明確になっておると思うのです。従ってその問題に対して、少くともこれは何月ごろまでに一応結論を出すということくらいは、大臣、政府はどう腹をきめるかというその前に、少くとも私は決定を見ておらなければならん問題だと思うのです。それをただ事はいろいろ各般に関連をするからということによって、その時期すらも全然明示せられておらない。またいつごろ成案が得られるかわからないというようなことでは、これは非常に職務怠慢だというそしりを免れないと思うのですが、その点はいかがですか。
  111. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 人事院から勧告を受けました案には、公務員の給与に関する問題の一つとして地域給の問題があります。これも議会を通じての議論になっておりますが、これは参議院も衆議院も両方で論議されておる。こういう問題の解決も迫られております。でありますから、年金ばかりを取り上げて進めるというのも、すべての問題の、こういう問題の一貫性を欠くようなきらいもありまするので、なるべく早くやります。もしどうしても小委員会が進行がおそいようであったならば、あるいは別個の給与に関する小委員会を作って進行をはかってもいいという考えを持っております。とにかく進行をはかるようにしたいと思います。従っていつという明言はちょっと今のところ申し上げかねると思います。おそらく余り長引くと言ったならば不満足であろうし、短く言ったならば、これは委員から叱られる。これはなかなかむずかしいのです。
  112. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 どうも大臣は少しおかしいと私は思う。地域給は昨年の五月の二十九日、それから退職年金は一昨年です。これは大臣、何回も何回も勧告したものを、ずっと寄せ集めて、一ぺんにやろうという、そういう考え方がどうもおかしいと思う。勧告を受けたらすぐその問題について政府の態度をきめなければならない。これは人事院を尊重する、人事院の勧告を尊重するという建前でなければならないと思う。従ってこれは地域給の問題を切り離してけっこうです。しかしこの地域給の問題は国会で取り上げてやっておるので、政府の態度もありましょうけれども、人事院勧告は尊重するということに尽きるのです。ただあれでいいだろう、悪いだろうということでは済まされないと思う。従って退職年金の問題については小委員会が作られているので、早急に一つ結論を出してもらう。その結論は、今会期中を目途としてもらいたい。今会期中は、これは大臣、六月にちょっと終りそうにありません。やはり七月に入りますので、一つ六月末を目途に結論を出す。それで誠意を示して、なお若干の結論が出なければ、これは私どももその程度は認めるにやぶさかでないと思う。一応それを目途にきめてもらいたい。六月ごろを一つ目途に叱咤勉励をする、激励をするということで、こういうことでどうですか。
  113. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 御希望の点になるべく沿うようにせいぜい努力いたします。どうぞ御了承願います。
  114. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 そこで大久保大臣に、問題になっております郵政職員について新しい退職年金制度ができないために、今、現行の恩給法によって退職時における恩給というものが行われておる。ところが昔でいう三等局、今では特定局といっておるが、あすこの局長さんは在職中の年限の半分は、これは恩給の年限に計算されるわけです。この特定局長は待遇官吏であるから、判任官待遇の身分を持っておるのでいいが、ところが、同じ特定局の職員でありながら、逓信手、通信手という制度がある。この逓信手、通信手は判任官待遇です。同じ待遇官吏で、いろいろ理屈は言えると思う。待遇官吏の問題についてはどうだこうだと、いろいろ論議があるだろうと思いますが、とにもかくにも、判任官待遇官吏であることには間違いない。しかしその通信手、逓信手の方々、こういう判任官待遇の方々は、全部が一つも恩給の年限の計算の中に加えられないのです。現在の恩給法では非常に不合理を来たしている。そのためにたまたま同じ郵政事業に身を挺しながら、特定局従業員であったために、永年勤続して、六十二、三歳、六十を過ぎてやめても、なお恩給にあずかり得ない方々がたくさんある。もし通信手、逓信手という、こういう待遇官吏の身分をせめて特定局長と同様な取扱いをしますならば、これは恩給の恩典に浴する方がたくさんあるのです。こういう問題を特定局長並みに、同じ職員ですから、待遇官吏の恩給年限の計算については同等な取扱いをしてもらいたい。こういうことを私はお願いしておるのです。これは大久保大臣、どのように考えられますか。その通りだとお考えになりますか。
  115. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 通信手の問題でございますが、これはおそらく身分の関係から、恩給支給にはどうかという疑問が起って実行に至らないことと思いますが、御希望がありまするので、調査してみたいと思います。
  116. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 調査してみたいというのではなくて、それは現実の問題として、そういう待遇官吏であった、三級官という制度がしかれて、この制度がなくなりましたが、従来の年限が全然計算されていないために、今日これの恩給の恩典に浴しないわけですから、これを一つ解決してもらいたいと思うのです。これは大臣は反対される理由はないと思うのですが、どうでしょうか。その通りだというふうに賛成できる問題だと思います。
  117. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) いや、いま一応は身分の問題にひっかかってくると思いますから、よくとくと相談します。
  118. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 ちょっと相談する、これはこの次の委員会あたり一つ大臣、給与大臣としての所見を明確にしていただきたいと思うのです。これは重ねて申し上げますが、そういう事情があるために、早急にこれの解決をはかってもらいたい。新らしい退職年金制度ができれば、それは前提の問題として考慮を払え、人事院の勧告からもこれは同等に取り扱え、そういうものを含めて解決をはかるような勧告が出ているのでありますから、私は新らしい退職年金制度ができれば問題ないと思うのですが、今、できる間までのこの不遇な取り扱いを解決していただきたいということを重ねて一つお願いしておきます。ぜひこの次の委員会にはっきり一つ私の要望に沿うような御答弁をいただきたいと思うのです。  そこで給与大臣及び人事官がおいででありますので、もうあと時間を取らせません。ごくわずかでございますが、もう少し明確にしたいことがあるわけですが、これは人事院の方にお尋ねするわけですが、勧告ですね。毎年一度あれは報告ないしは勧告をするという法律の建前になっておると思うのでありますが、今年度における人事院の勧告ないしは報告はいつごろになりますか。
  119. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) 御存じの通り毎年一回勧告または報告するという法律の建前になっておりまして、現在その基礎になりまする民間給与の調査をいたしております。ただいま鋭意進めておりますので、その結果を見て態度をきめたいと思います。
  120. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 大体どういう見通しでございましょうか。やはりべースの改訂を必要とするというものになりそうですか。およそ私はもうこの段階になれば、結論は出ておるのではないかと思うのですが、どうでしょう。
  121. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) 民間給与調査の結果を待ちませんと結論は出ませんので、ただいま態度は全然きまっておりません。
  122. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 それならば一つ期末手当の問題について。これは郵政大臣も給与担当大臣も、それから公務員の保護の立場に立つ人事官もおいでになるけわですが、御承知通り民間では五万円、六万円という夏季手当の支給されておるのも、一昨日の朝日夕刊を御覧になりますとたくさんございます、これは。公務員は〇・七五、しかも税金をその中からとられる。しかもお盆を控えておるということで、きわめて気の毒な状況にありますので、何とかこれは解決をしてほしい。従って〇・七五を、まあ公務員全体としては非常にささやかな要求で一カ月分にしてくれ、こういうのですから、あと〇・二五つけ加えてくれ、ささやかな要求ですが、これは希望です。私の政府に対する質問によれば、今直ちにはできない、公務員制度調査会等で研究をしているから、これも一括して何とかやりたいというような大久保大臣の御答弁のように私は承わりましたが、これはしかし時期が過ぎますとあまり意味のないことでありますので、少くとも一昨年もこれはとられました繰り上げ支給ということ、年末の手当から繰り上げ支給しております。一昨年は明らかに。昨月も〇・七五ではありましたけれども、各省ともそれぞれ何らかの便宜一措置を講じて、一部の増額を実質上これは行なっております。従って今年においても私はそれはでき得るものだと考えておりますが、繰り上げ支給という問題は当然行い得ると思いますが、これはどうでしょうか。六月中には行い得ないにいたしましても、六月に予算が通過しますならば、当然私はやってやれない行政措置ではないと思うのですが、とれないとお考えですか。それともやればできると思っておりましょうか。これは大久保大臣及び郵政大臣にお尋ねいたします。
  123. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) この問題は昨日の予算委員会で問題になりまして、お答え申し上げておきましたのですが、本年度の夏季手当は、大体仰せの通り、法規の通り〇・七五ということで実行いたしたい。従って増額をする考えは今のところございませんという答弁をしておきました。その理由といたしましては、きのう申し上げました通りに、第一番には、物価の指数が大体において横ばいの状況にあるという一点と、もう一つは、政府の目下提案しております減税によって、一般の公務員は多少なりとも減税されることがありまするので、こういう点を考えまして、まず現状でいいのじゃないだろうかという意味の御答弁を申し上げた次第であります。昨日と今日、別に変った考えはございません。世間の一般、ことに新聞の記事は景気のいいことを書いてあるのもあれば、実際はそれよりずっと悪いものもある。私は新聞の記事だけをもってただちに世間一般の民間の給与がよくなったということは信じません。大体において横ばいになっておるという常識の線を守っておる次第でございます。
  124. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 私は、大久保大臣が一つそういう御答弁になるとまた論議は別な方向に発展するわけですが、これは大臣は物価が横ばいだからいいのだということを言っておりますが、これは物価が横ばいであることは去年もそうだった。しかしあれでは十分でない、何とか努力したいと、こういうことであったわけです。一昨年もそうです。一昨年はむしろ上昇傾向にあったわけです。何とかしたい。それで繰り上げ支給をやったわけです。私がお尋ねするのは、きのう大臣も十分でないということを認めておりますだけに、繰り上げ支給という制度はとってとれない措置ではないのではないかということを言った。やればできるのじゃないか。やれないというのですか、やれるというのか、そういう方法はとれるか、とれないかということを質問しておるわけです。
  125. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 私は先ほど申し上げました通りに、これは法律にきまっておりますからして、法律を改正すればできぬとは申さない、改正すればできるのです。けれどもそれだけの改正をする時期であるかという時の問題について、私はまず現状維持でいいじゃないだろうかという考えを持っております。
  126. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 それは法律を改正するにこしたことはない。ほとんど文句はないのですね。しかしこれは一昨年法律改正なしでやったのです。だからやれないことはないのじゃないか。これは一つぜひそういう制度が、制度といいますか、制度がなくても、やってやれないことはないということは言えると思うのです。それでもやってやれないのでしょうか。一昨年はやったし、ことしとろうとすればとれないことはない。とれないのでしょうか、やれないのですか。やっぱり法律を改正しなければやれないのでしょうか、どうなんですか。その点をもう一度確かめたいと思います。
  127. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) これはやはり正当の手続としてはやはり法律の改正が必要かと思います。
  128. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 正当な手続はそうです。給与法にきめられておりますから、その通りなんです。だが便法措置を一昨年講じたのです、二十八年に。だからできないことはないのじゃないかというのです。一年間の給与はきまっているのですよ。年末を繰り上げ支給すればいいじゃないか。それはできないからやる気がないというなら、そのままでいい。できるけれどもやる気はないのだ、こういうことなんですか。それともやりたいのだけれども、そういうことはできないのだ、どっちなんでしょうか。
  129. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 法律の改正をいたしますれば、不可能とは申しません。けれども、ただその時期でない、こう思っているのです。
  130. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 その時期でないというと、いつそれじゃおやりになるのです。その時期はいつならば……。
  131. 国務大臣(大久保留次郎君)(大久保留次郎)

    ○国務大臣(大久保留次郎君) それは世の中の情勢を見た上で判断したいと思います。
  132. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 世の中の情勢と言っても、それはどうも困りましたね。今早急に、困っておるのは夏季手当の問題です。これはこれ以上論議しましても、同じ論議を繰り返すだけでありますから、私はこれ以上は質問いたしませんが、どうか一つこの特別の措置を講じて、特別な考慮を払っていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問は終ります。  最後に、これは研究課題として、次に御答弁を願いたいと思うのですが、資料をいただきたいと思うのですが、それは人事院の方にありますか、あるいは給与関係の恩給の方にあるか、わかりませんが、例の国庫納金として積み立てておりますが、政府が一般の公務員の納付金に対して何倍でしたか、その比率は覚えておりませんが、納付金が二で政府が八になるか、あるいは納付金が三で政府が七になるか、知りませんが、政府はその分担金を積み立てて、どういうように運営しているか、国庫納金を公務員がずっと払っておりますね、それを政府は分担しなければならない。それを積み立てて、どういうように運用しているか、その資料を、もしなかったら今日でなくてもけっこうですが、あとでいただきたい。
  133. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) ただいまこまかい資料は持っておりませんが、ただいま建前といたしましては、国庫納金は国の歳入として入ります。その国庫負担と公務員の負担とは、ただいまお話しの通り、大体において二と八くらいになるのでありますが、国庫負担のものは歳出として出し、国庫納金は歳入として組み入れまして、それは特別な積立金としては扱っておらないのであります。
  134. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 もしそうだとすれば、これは重要な問題だと思う。一方公務員から納付したものは積み立てて運用しているわけですね。
  135. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) 恩給法の関係は積み立てておりません。だからむろん利子をつけて運用しているということはございません。国の歳入として入っております。これはただ、いわゆる保険数理的な現在の恩給の給付ではございませんで、国庫納金というものは国の歳入として、とにかく、いわゆる醵出金制度でございませんから、入りまして、それとまた無関係に、全額を国が恩給の費用を負担する、そういう建前になっております。でございますから、保険制度のように、一定の資金へ公務員と国とが醵出いたしまして、これを積立金として運用する制度をとっておりませんので、まあ今度の人事院の勧告案といたしましては、保険数理的なものを提案いたしておりますけれども、現行の制度はさようでございます。
  136. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 これはあとで明確にいたしたいと思うのですが、そういたしますと、政府の負担が果して八になるのか、七になるのか、わからんわけですか、六になってくるか……。現実の問題としては、それを実際支出しているかどうか、決算によらなければわからんということになりますか。
  137. 政府委員(入江誠一郎君)(入江誠一郎)

    政府委員入江誠一郎君) その問題は、やはり恩給によって支出する金額、それから公務員が納付する金額はわかりますから、国庫と公務員との負担割合というものはわかっておりますので、それがただいまお話しの通り、大体二と八、正確に言えば一・九とか何とかということになっていると思います。
  138. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 これはもう少し私は明確にいたしたいと思うので、今日はこれ以上追及いたしませんが、国庫納金ということになれば、納付したその資金は恩給の財源に充てられる性質の金だと思うのですね。それは毎月々々給料の中から引かれて、あれはおそらく特別会計か何かになっていて、そこに納骨されていると思うんですが……。
  139. 説明員(慶徳庄意君)(慶徳庄意)

    説明員(慶徳庄意君) 現在国家公務員は、御承知通り恩給法の適用を受けるものと、それから共済組合法の適用を受けるのと、二つに分れているわけです。それで、先ほど入江人事官から御答弁いたしましたのが、恩給法の適用を受ける方です。共済組合法の適用を受けるのが御指摘のように積立金方式をとります。ただ官吏の恩給法の適用を受けるものにつきましては、沿革的事情がございまして、積立金方式をとっていない。と申しますことは、一番最初恩給制度ができました当時は、国庫納付金制度というものがございませんで、一切がっさい国が一方的負担という体系でいきまして、その後に漸次国庫納付金というような形の制度ができまして、現在のところ二%まで増額されてきているというような沿革をたどっております。従いまして、そのような沿革的な事情もございますので、名称そのものも共済組合のような掛金という名称を避けまして、御承知のような国庫納付金というようなやり方をとっているわけです。従ってこの国庫納付金は共済組合のやり方と全然違いまして、先ほど入江人事官から御答弁申し上げましたように、積立金方式は全然とらない、一切国の歳入で、その代り恩給法の給付は全部国の一方的な負担において支出をするという体系になっておりますので、恩給制度に関する限りは特別会計制度も何もとっておらない。一般会計で一切を支弁しているという現状でございます。
  140. 永岡光治君(永岡光治)

    永岡光治君 これはわかりました。しかしこれは将来の問題としてだいぶ問題があろうかと思う。従って私は、現状はこうなっているということは承知いたします。しかしこれは何らかの解決をみなければなりませんし、共済制度と比較しますならば、片手落ちのような気がいたします。今の国庫納付金制度を共済制度にして納めるならば、もっと私は恵まれた恩給制度、ないしは退職金制度が実施されると思います。これは一つ給与担当大臣がおられますので、こういうような事情を十分御考慮願いまして、人事院の勧告についてはぜひとも一つ実現を期していただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終ります。
  141. 委員長(瀧井治三郎君)(瀧井治三郎)

    委員長瀧井治三郎君) 他に御発言もございませんか。それでは次回の委員会は六月七日、午前十時から開会いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会