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政府委員(
小野吉郎君) ただいま
久保委員から御指摘を受けた、最近三月から四月にかけましての
郵便貯金の
増加の
状況はあまり芳ばしくありません。これにはいろいろな
理由があるわけでございますが、的確にきめ手はこれだと、こう断定する
理由はなかなか見つからないわけでありまして、特に三月の
状況は、
金額にいたしまして四十億の赤になっております。これにはいろいろな
原因もありましょうが、主として
農村方面におけるところの
事情が非常に大きく響いておるのであります。と申しますのは、
昭和二十八
年度に非常に大きな
災害が各地にありました。その
災害の
救済のために
政府資金が
相当に二十八年の年末から二十九年初頭にかけまして出たわけであります。ちょうどたまたまことしの三月、四月
あたりがその
返済期になっておりまして、そういった
方面で
貯蓄源がかなりその
方面に振り向けられておるというような
現象が見受けられたわけであります。幸いなことには、二十九
年度には全然
災害としては目ぼしいものがなかったわけであります。そういった
関係で、そのつなぎの
代り資金になります
災害の
救済費にはさして目立ったものは出ておりません。加うるに、二十九
年度の
供出状況は二十八
年度に比べまして非常に促進いたしまして、大体平年ですと、三月、四月ごろまでかかるのでありますが、非常に早く促進いたしました結果、そういった
供米代金等の
農家収入が非常に繰り上って、一、二月に集中しているのでありまして、三月にはほとんどそういったものが入らないということで、三月の預
貯金の
状況は、
ひとり郵便貯金ばかりでなく、
農協方面におきましても非常に不振であったようであります。これはそういうような
状況でありますので、今
年度目標に対する非常な
心配材料にはならない、一時的の
現象であろうとわれわれは解釈しておるわけであります。越えて本
年度の四月におきまして、結局十三億の赤になったわけであります。昨年同期を見ますと、十六億の
黒字になっておりますので、都合約二十九億の開きが出て参ったわけでありますが、これも先ほど申し上げましたような
災害による
救済資金の
返済、あるいは
供米代金の非常な
早期の
収入のために、むしろ一、二月
あたりが前年あるいはその前、従来の例から見まして、
郵便貯金の例から見ましても、予想以上に
成績がよかったわけであります。御
承知の
通り、昨
年度郵便貯金の
目標は九百億でありましたが、これは
実績は千億を上回る
成績をおさめております。これはそういった
事情で、一月、二月
あたりの
成績が非常によかったことは、三、四月で当然
郵便貯金に吸収されるべきものが
早期に吸収された。しかも三、四月でそのような借金の
返済とかあるいは
供米代金の受け取りが少なかった。そういうような
不足分に実は払い下げられたというような
現象になっておるように思えるのであります。五月に入りまして、最近まであまり芳ばしくなかったのでありますが、
漸次回復して参りまして、現在のところ、五月一カ月を見ますと、ささやかながら
黒字を示しております。もっとも
郵便貯金の
増加の
状況は、月別に見ますと、四月、五月はさほど期待できない月であります。特に四月
あたりはそう期待できないのでありまして、昨年千億の
実績を上げましたと申しましても、四月はわずかに十六億の黒にしかなっておらない
状況であります。これから六月、七月となって参りますと、
上半の一番ピークになって参るわけであります。そういう
状況から、五月現在やや立ち直りの曙光が見えておりますので、六月、七月
あたりの
状況におきましてはさほど悲観しなくてもいいのじゃないか。加うるに、ただいま御
提案、御審議をいただいております
郵便貯金の
最高限度十万円を二十万円に上げていただくことによりまして、この
方面の吸収が期待されるわけでありますので、今
年度目標に対する
国民所得の
増加の割合、あるいは
支払い利子の当然の
増加分、そういうものを考慮いたしますと、他面いろいろマイナスの
要素もありますが、さほど
心配をいたしておらないような
状況でございます。