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1955-03-29 第22回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十九日(火曜日)    午後一時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     瀧井治三郎君    理事            左藤 義詮君            柏木 庫治君            永岡 光治君            三木 治朗君    委員           大野木秀次郎君            西川彌平治君            島津 忠彦君            津島 壽一君            寺尾  豊君            野田 俊作君            久保  等君            小林 孝平君            八木 秀次君            石坂 豊一君            最上 英子君            市川 房枝君   国務大臣    郵 政 大 臣 松田竹千代君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   説明員    郵政省電波監理    局長      長谷 慎一君   参考人    日本放送協会会    長       古恒 鉄郎君    日本放送協会理    事       岡部 重信君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付)   —————————————
  2. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それではこれより逓信委員会を開催いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題にいたします。  御承知通り、本件は昨日衆議院において承認せられ、即ち日本院送付、本委員会に正式に付託されました。それではこれより前回に引き続き質疑を行います。郵政省当局のほか、参考人として日本放送協会の古垣会長並びに岡部理事が出席されておりますから、順次御発言をお願いいたします。
  3. 久保等

    久保等君 私少し放送協会のほうへお尋ねしたいと思いますが、まあ今度の予算の中には、特に従来電通委員会でありました当時、前年度の、前年度と申しますか、本年度予算になるわけですが、昭和二十九年度予算審議がなされました際に、特にやかましく委員会でも申しておりました難聴地域解消の問題についてでありまするが、二、三御質問をいたしたいと思うのでございます。昨年の二十九年度予算が当国会審議せられました際に、当時の状況等がいろいろ説明せられておったわけなんですが、昨日の会長のいろいろと御説明の中にも、難聴地域の問題は非常に強調して説明がなされておるわけですが、本年度難聴地域解消についての予算、これは中継放送所の二局ばかりの建設だとか、それから福岡ほか三局の増力問題等があげられているのですけれども、本年のこの新しく設けられます放送所局名だとか、あるいは増力となるところの具体的な説明等もお伺いしたいと思いますが、その前に、昨年のちょうど今ごろでありましたか、三月ごろに説明せられておりました現状によりますと、何か第一放送が当時九八・六%程度可聴区域、それから第二放送の場合に九四・五%というようなことが大臣の御説明の中にもあったように記憶するのですが、その後本年度予算の中で、できるだけ予算の中を差し繰って難聴地域解消の問題については努力をしようというようなお話があったんですが、本年度における予算執行面において、この難聴地域解消の問題についてどの程度努力せられたのか、一つ説明を承わりたいと思います。
  4. 岡部重信

    参考人岡部重信君) お答え申上げます。ただいまお話通り、二十九年度予算を御審議いただきましたときに、放送協会使命に照らし、難聴地域解消ということに努めなければいけないという附帯決議をいたされまして、これに基きまして、私どもとしましても、当時としては新しい建設は国の政策にもかんがみ、一応取りやめたのでありますが、資金の余裕さえつくならば、できるだけ御要望に沿いたいと存じまして、それから大いに研究いたしまして、本年、二十九年度におきましては、増力電力を増しました局が一局と、それから百ワット以下の局を四局、それから第二放送のまだないところへ第二放送をつけ加えました局が二つ、結局合計八局の新設または増設をいたしました。それでその経費は三千万円と予想いたしておるわけでございます。  以上が二十九年度予算執行に当りまして実施いたしましたものでございます。  その他アンテナの能率を改善して聴取改善をはかるというような施策も施したわけでございますが、おもなる施策といたしましては、ただいま申し上げたような次第でございまして、それによりまして、全国世帯数のうち、第  一放送が九八・六%、第二が九三・七%というカバレージになるという計算でございます。  それから三十年度につきましては、ただいまお話のございましたように、福岡県の局につきまして、これをただいま十キロでございますが、五十キロにして、熊本なり長崎あたり難聴区域解消する。なお静岡、秋田、それから四国の中村も増力いたしまして、それから新設といたしましては二局増設する。なお第二放送についてまだない所に増設する。その経費は一億九千二百五十万円をただいま御審議願っておりますところの建設費に計上した次第でございます。これによりまして大体第一放送が九八・九%のカバレージと申しますか、全国世帯のうちの九八・九%は聞き得るようになる。第二放送は若干落ちますが、九四・二%というカバレージになる。そういたしましてさらに三十一年度以後において増力する局をただいま予定といたしましては札幌、飯田、それから場合によりますと四国の高知、それから小さな局では十一カ所ほどの新設をする。そうしましてその結果は大体において……、なお申し落しましたが、第二放送も若干増設することにしまして、三十一年度から三十三年度にわたりましてそれらを増設しますと、全国世帯数のうち九九・五%が第一放送カバレージとなり、第二放送は九七・一%になる。これらによって大体において難聴地区の救済は一応ある意味において目標を達することができるということになるかと思うのでございます。そうしてこの計画の完成後に電波の実際の分布状況、それから受信機普及状況、雑音の状況などを勘案いたしましてその後の建設計画をするというような考え方で目下進めておる次第でございます。
  5. 久保等

    久保等君 まあ最終の昭和三十三年度で、ただいま最後に言われたような第一放送の場合に九九・五%、第二放送の場合に九七・一%というところにまで持っていきたいということなんですが、そこまで持っていくと、難聴地域に残されまする世帯数というのはどのくらいになりますか。これはまあ数字的にはじけばわかると思うのですが、どの程度に数字的にはなるのですか。
  6. 岡部重信

    参考人岡部重信君) ただいまちょっと……。
  7. 久保等

    久保等君 そうですか。それから三十年度中継放送所を二局建設すると言われるのですが、そこもどこなのか、ちょっとお聞かせ願いたいのですが、それとなおこれに関連して、まあきょうでなくてけっこうなんですが、資料を後ほど一つお願いしたいと思うのですが、ただいま御答弁を保留になられました問題もその際にお出し願ってもけっこうですが、三十三年度までの計画を具体的に局名関係資料も添えて、当面考えておりまする三十三年度までの計画一つお示し願いたいと思うのです。
  8. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 私実はただいま久保さんの御質問につきまして申し落しまして、まことに失礼いたしましたが、資料といたしまして、昨日差し上げた中の六番目に、日本放送協会標準放送網計画についてというのがございますが、これに考え方建設の順序がございますので、御覧いただけばけっこうだと存じます。  それからお尋ねの、いわゆる三十三年におきました場合の世帯数、要するにまだカバーされない世帯の数でございますが、申し上げますと、第一放送が八万三千、第二放送が四十八万、かような数字になるわけでございます。
  9. 久保等

    久保等君 まあ資料の問題はすでに手元にいただいておるそうですから、私ちょっとその点十分に調べておらなかったので、その点はけっこうですが、まあ今御説明によると、当面の問題にしておりまする目標が、第一放送の場合に九九・五%、それから第二放送の場合が九七・一%というところに目標を置いて、それに対する年次計画等をお立てになっておるようですから、まああと残された問題は、これはきわめて非常にむずかしい、建設面でいろいろと経済的な問題との比較もあるでしょうし、三十三年度の終了後にさらにまあ今日予想されなかったような条件についての問題等もかみ合せて検討したいというお話で、難聴地域解消の問題について少くとも二十九年度以降特にいろいろ放送協会でも増力をせられた御努力の跡は私ども認めるわけなんですが、少くとも本年度予算総額一億九千万円余り、約二億近い予算を計上しておられるわけですから、少くとも二十九年度よりもここに上つておるような大幅な少くとも解消が期待できると思うのですけれども、しかし、少くともこの前の電通委員会でも二十九年度予算審議をいたすに当つてやかましく言われておった点から考えますると、最重点的にこの問題についての努力を払われなければならないと考えるのですが、その面から見ると、二億円弱というこの面に対する予算の計上という点が最大限であったかどうか、若干私もその点は疑問があるわけなんです。三十三年度ということになりますと四カ年計画、三十年度含めて四カ年計画ということになると思いますが、何とかさらに予算実施面に当ってはもう少し努力して行けるのかどうか、そのあたりの事情もお伺いしたいと思うんですが。
  10. 岡部重信

    参考人岡部重信君) お話通り、私どもといたしてもよく聞えない地域に対して聞えるようにするということは最大の使命でございますので、できるだけこれに力をいたす所存でございます。ただ一億九千二百万じゃ少いじゃないかというお話につきましては、私どもといたしましても、できればもっとこの建設を早急にしたいということにおいては変りはないのでございまして、本年度ただいま御指摘通り予定といたしまして三千万円ほどこの建設のほうに資金を振り向けるわけでございますので、御趣旨のあるところを私どもも十分尊重いたしまして、なお一層の努力を続けて、お説の通り四年のものをできれば三年にもし、できるだけ早く国民のために努力いたしたい、かように考えている次第でございますから、何とぞ御了承をお願いしたいと存ずる次第でございます。
  11. 久保等

    久保等君 予算がかりに今御提出になっておる型できまっても、さらにその実行面に当って、できるだけ私の申し上げておるような方向努力をいたしたいというお話でございますから、その点については私もぜひ一つそういう実施面においても工夫をこらしていただいて、できるだけ一つその目標が達成できる期間を短縮するような御努力を願いたいと思います。  それから次にお尋ねしたい点なんですが、これは昨日の委員会でもいろいろ答弁がなされておったのですが、国際放送の問題です。この国際放送の問題については、非常に大臣も特に力を入れておられるように承わっておりますが、前年度予算というよりも二十九年度予算ですが、二十九年度予算と三十年度予算、これを比較いたしてみた場合に、二十九年度の場合におきましては、具体的に国際放送の場合に時間も二時間ばかり延長し、あるいはまた方向にしても二方向ふやすというようなことで、二十八年度よりも二十九年度はそういう形で国際放送に具体的に計画が拡張せられておるんですが、本年度、三十年度予算におきましては、その点特に内容を充実するんだというような御説明があったんですが、ただそういった以上に、二十九年と同じように、こういつた時間なりあるいはまた放送方向の増加というようなことをなぜ考えられなかったのか、こういった方面については差し当ってふやす必要もないというふうにお考えなのかどうなのか。金額の面を見ますと、確かに二十九年度予算が計上せられて、二十八年度と比較いたしまして、二十九年度のふえた予算額と、三十年度予算額というものは、金額の面ではだいぶふえておるように思うんです。きのう大臣の御説明では、前年度政府交付金の場合においては、二十九年度のものをそのまま大体踏襲して計上しておるんだというお話なんですが、しかし金額の面で約三千万円近いんですが、二千八百六十九万円ばかり三十年度予算は二十九年度よりもふえておるようであります。二十九年度予算は、その前年度予算よりも一千万円足らず、九百三万円程度しかふえておらなかったのですが、しかしなおかつその中で、ただいま申し上げたように、二十九年度の場合は二時間、二方向ふやしたというような内容であったと思うのですが、本年度の場合のこの予算増、二十九年度に対する予算増というものは、どういう方向に主として具体的には使われる予算なのか、もう少し具体的に一つ説明を願いたいと思います。
  12. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 少しこまかい話になるかもしれませんが、一つは、方向を一方向新たに国際放送として創設したものがございます。それから一つには、使用をいたします国語を従来よりふやした、それから使用電力をふやしたという、おもなものはその三点でございます。それで方向を増したということにつきましては、南西諸島方面に対しまして、従来内地短波連絡がおのずから聞えていたというような点がございましたが、台湾、沖繩方面等日本語を解する人がたくさんおられるのであります。それで日本放送を聞いておるかたがたが相当あるようございます。それで従来は内地のがそのまま流れていくということが多かったのですが、さらにこれを検討いたしまして、ニュースについては特に新たに編集しまして、この電波に乗せるということが妥当でないかというような考え方によりまして、今後これを国際放送として一月四時間電波を発射するということでございます。それから使用国語につきましては、従来十二カ国語使用しておりましたが、その国語をさらに増しまして、十九カ国語にいたしたい。使用電力につきましては、ただいま使用している電力が五十キロ・ワットと二十キロ・ワットでございますが、その使い方を、二十キロ・ワットが比較的多かったのが、五十キロ・ワットを比較的多くするというのがおもな改訂でございます。  大体以上であります。
  13. 久保等

    久保等君 まあそういう御説明は、きのうの会長の御説明では私なかったように実は思ったのでお尋ねしたのですが、使用相手国語七カ国ばかりを三十年度予算でふやそうというようなお話ですし、具体的にわかったのですが、そこでこの政府交付金の問題ですけれども政府交付金放送法建前から参りますと、政府としては実費総額交付するという建前にできているようなんですが、実際問題としては政府交付金だけではやり得ないのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか、放送協会のかたにお尋ねします。
  14. 岡部重信

    参考人岡部重信君) お話通りでございまして、二十九年度におきましては、大体政府交付金のほかに四千百万円ほど、それから三十年度は七千三百万円ほど、これを負担するという計算にいたしてこの予算編成いたしております。
  15. 久保等

    久保等君 郵政当局の方へお伺いしたいと思うのですが、今お伺いしたようなことで、実際のやはり放送協会としての経費というものは、実際の使用額よりも上回っておるという実情なんですが、政府考え方としては、こういったやはり国際放送、特に国策といいますか、国内的な問題ではなくて、特に国際関係問題等を重要視する政府立場から国際放送をやらせるのだという考え方で、放送の中でも、NHKに特に国際放送を指示してやらせておるという建前からいたしまして、当然実費補償がなされなければならないと思うのですけれども、昨年度、二十九年度の場合においてもそうですし、三十年度のこの予算の中でも、やはり四千万円なりあるいは七千万円程度、いわば放送協会の他の予算面にしわ寄せされておるという形になっておると思うのですが、こういう建前、少くとも好ましくないと思うのですが、政府としてはどんなふうに考えておられるのか、一つそのお考え方を承わりたいと思うのですが。
  16. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申し上げます。御承知のように海外放送はだいぶ以前から実施されております。その新しい放送法によります新法人としてのNHKに戦後切りかえられます前には、御承知のように政府から命令とか、あるいは交付金交付というようなことがなしに、NHKみずからの力で、みずからの経費で、非常に広範囲な活発な国際放送実施されてきておったことは御承知通りだと存じます。戦争後、新法人としてNHKが発足されてから後は、当時進駐軍の命令によりまして、海外放送は禁じられておったんでありますが、その後、昭和二十七年からそういう当局の了解を遂げまして、日本海外放送を開始することになったのでありますが、そのときには、一応、放送法にのっとりまして、国が国際放送実施放送協会命令することができるという、放送法三十三条に該当条文がございますので、その条文にのっとりまして、放送協会郵政大臣国際放送実施命令をし、それに必要な費用交付金として、やはり放送法三十五条の規定によりまして交付をしてきて実施をしてもらってきておるわけであります。一方、放送協会自体として、財政その他が許されるならば、政府命令ということがなしでも国際放送はやり得る建前になっているものと私ども考えられますが、一応現在のところでは、政府命令の規模に従って国際放送をやっておられる。従いまして政府としましても、その国際放送実施に必要な費用交付金という形で交付するということを建前として計画も立て、実施命令も差し上げておるというのが実情でございます。  しかし実際それならば、この政府からの交付金をもって現在放送協会実施されておる国際放送関係費用が全部まかなわれておるかということになりますと、御指摘もありましたが、その点は開きがございます。その開きがどうして起っておるかという点を申し上げますと、政府といたしましては、国際放送実施命令をいたしておりますのに、どの方向に向って何時間、何語をもって使用してやれと、そういうような事柄を指示しておりますが、その番組内容は、どこまでも放送協会の責任において番組編成されて実施される。政府番組編成の細部にまで介入することは、放送の実効をあげるという意味におきましてもいろいろ疑問がございますので、放送内容というものには一々関係をしない、そういう考え方で、放送実施協会に委託しておるわけでありますが、従いまして、交付金算定根拠は、使用する機械の費用、それから何時間放送するかということについての人件費、及び番組編成するにおきまして、ニュース解説等は適当にやっていただくようにということを命令書の中にもうたっておりますので、そういうことに必要なための人件費等は詳細検討しまして、交付金算定根拠といたしております。しかし、実際には放送協会国際放送実施されるに当りましては、何と申しましょうか、音楽とかあるいはその他のいわゆるよく聞いてもらえるだけの番組編成するということのために、政府交付金だけでは足りない面は協会みずからの金でこれにある程度費用を付加して実施されてきておるので、そういう関係からいたしまして、政府からの交付金と、協会が実際に国際放送使用されておる金額との差が出てきたわけでございます。言葉をかえますというと、くどいようでございますが、番組編成費の点でそういう差が出ておる、こういうふうに御了解願ったならばよろしいと思います。  なお、これは政府といたしましては、もちろん国際放送実施に必要な金額は全部差し上げたい、こういう気持はもちろん持っておるのでありますが、いろいろ協会国際放送実施命令という形でお願いをする場合のその範囲、その内容、どこまでを国が規定するかというようなこととも関連をして参りまして、いろいろ私どもも将来の研究問題の一つではないかと思っております。現状のままを御報告申し上げれば、今申し上げた通りでございます。
  17. 久保等

    久保等君 その問題については、私はいろいろ考え方もあると思うのですが、特に国際放送が、これはまあすでにきのうあたりの御説明を伺っておっても言われておりますように、いろいろ国家的に考えまして、政府としても非常に重要視しなければならない私は問題だと思うのですが、ところが、その国際放送に必要な経費というものが、放送協会で相当負担しなければならん。数字的に考えてみましても、少くとも五割、あるいはそれ以上のものが、前年度の場合等においてはもう少し比率からいけば相当な金額になると思うのですが、政府交付金放送協会との差がほんのわずかしかないという程度の、放送協会負担をしているという実情から考えますと、放送協会のもちろん収入はすべて一にかかって聴取者聴取料にかかってくるということになって参れば、当然国際放送の必要とする予算相当金額国内聴取者負担でまかなわれておるという結果になっておると思うのです。少くとも政府がやはり国際放送というものを法規的に考えましても、放送法条文等から見れば、国際放送費用負担というような条項も、あげて特に費用は国家が負担するのだ、国が負担するのだというような明文もあるくらいですから、そういう立場からいけば、全額かりに一銭も切れないように政府の方で交付しなければならんというようなこともどうかと思いますが、しかし今言われるように、番組編成の自由が残されておるから、放送協会として当然これはある程度負担してもらわなければならないのじゃないかという解釈は、私は相当問題があると思うのです。少くとも国外放送海外放送というものが、国内聴取者自体立場から考えるならば、関心のあまりない問題なんですが、それらの国内聴取者聴取料でもってまかなわされて参るということが実際問題からいっても問題があると思います。それから法律的な基礎の面からゆけば、とにかく全額政府交付金でもってやらせるのだという立場をとることが、これは理論的にも正しいと思います。それからまた現実から考えても、そのほうが正しいのじゃないかと思うのですが、今までのやってきた経過を見ますと、六割ないしは七割弱程度のものを政府交付しておるという結果になってきておる。この点についてはやはり政府そのものがもう少し国際放送について、大臣そのもの国際放送の問題についても強調しておられまするように、非常に重要な、しかも日本が今後ますます国際親善を深め、また大いに貿易の振興をはかってゆかなければならぬというような問題をかかえておりまするだけに、電波の対外的に国際的に与える影響、またその効果というものは非常にはかり知れないものが私はあると思う。従って少くとも放送協会に対して、私は国際放送として必要な所要の経費はとにかく全額国負担する。しかしそれでもなおかつ放送協会として、政府のそうした積極的な意図に対して、放送協会としても若干の経費負担してもやってゆくという方向に持ってゆかないと、単に国際放送経費が一億円なら一億円ということがわかっていても、政府としてはそれに対して六千万円か七千万円程度で一応政府負担したのだというようなことを、従来の経過から考えましても、三十年度予算におきましてもそういう結果になってきておることは、少くとも大臣の言われておる気分といいますか、気持、心がまえという点から見ても、私は相当ギャップがあるのじゃないかというふうに考えるのです。その点事実の今までの経過については、電波監理局長から今御説明があって、私ども承知をいたしておるのですが、今後ともこういった考え方で行かれるということは、私は放送建前からいっても、むしろ政府としては消極的に過ぎるのじゃないかというふうに考えるわけなんです。私は二十九年度予算の場合でもそのことをちょっと指摘して御質問を申し上げたと思っておるのですが、全額国負担で行くという建前を、もう少し数字的にも表わすべきじゃないかと思うので、重ねて電波監理局長にお考えを承わりたいと思う。
  18. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申し上げます。先ほど私から御説明申し上げますのに多少言葉の足りなかった点等もございますので、ただいまの御質問に対してお答えを申し上げると同時に、少し補足的に申し上げたいと思います。  昨日の当委員会におきましても、大臣なり私から御報告申し上げましたように、政府といたしましては現在の国際放送の規模ではまだ十分ではない、こういうふうに考えておりまして、三十年度政府の本予算におきましても、これを一そう拡充するように郵政省としては努力をいたす考えで、いろいろ関係方面とも折衝しておるということを申し上げましたが、その考え方といたしましては、ただいま久保委員からお話しになりましたように、政府としては国際放送に必要な経費というものは、全額と申しますか、ほとんど全部のものは政府交付金の形で協会交付する、こういう考え方で実は進めておるのでございます。しかし国の予算関係もございますので、どの程度になるか、まだ予断はできませんけれども、私どもといたしましては、そういうつもりで努力をいたしてゆく考えでございます。  なお先ほど私が御説明申し上げました中で、放送協会国際放送使用する計画予算上に計上されておる金額政府交付金との間の差が非常にあるのは、番組編成費が大部分であるから、政府としてはやむを得ない、こういうふうに考えておるという工合に御了解願ったようでありますが、そういうつもりで申し上げたのではないのでございまして、どの点から差が出てくるかと申しますと、おもに番組編成費用という点から、算定根拠というものは、政府交付金の算定の上には予測できないものがございますために、結果的にはそういうものが出てきておる、それを私どもとして是認をし、将来もこれを認めてゆくという考え方ではなしに、そういう数字の食い違いが出ておるのはどこに原因があるかというと、その点なのであって、機械の使用料とか、その他どうしても動かすべからざる費用というものは相互に一致いたしております。その点を御説明申し上げたつもりでありますから、多少言葉が足りませんでしたので補足させていただきます。
  19. 久保等

    久保等君 今の最後のところの御説明だと、そうすると番組編成に必要な人件費、その他の費用ですが、それの単価のはじき方が違うことから、この交付金との差額が出てきておるというふうな御説明じゃなかったかと思うのですが、そうだとすると金額にして、先ほどもちょっと申し上げたように非常に大きいのですが、前年度総額六千九百十四万円に対して二千八百万円ほどさらにプラスされなければならなかったという実情、それからまた三十年度の場合において九千七百万円余、これに対して四千二百万円程度協会側の経費負担という形になっておるのですが、そういった予算の単価のはじき方といいますか、そういった程度だけでこれだけの差が出てきておるのでしょうか。
  20. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申し上げます。ただいま御審議を願っております三十年度予算におきましては、政府国際放送実施に関する命令は一応昨年通りだという見込みでこの見積りはできております。しかし放送協会国際放送実施計画内容は、先ほど協会岡部理事からも御説明がありましたように、従来実施しておらなかった南西方面に対する放送を開始いたし、また従来使用国語数が十二カ国語であったのを十九カ国語にふやしております。また機械の設備も、従来二十キロないし五十キロのうちで二十キロを使用しておったものの相当部分を五十キロに増力と申しますか、強い電力のほうに使用編成替をする、そういうことの費用がだいぶ入っておりますので、結局平たい言葉で申し上げますと、政府命令を相当先を見越していろいろ計画を立てておられるという点がございますので、金額の差がその面からも今回はふえておるのでございます。
  21. 久保等

    久保等君 御説明でこの予算内容はわかったのですが、そうしてくるとますますちょっとおかしくなるのは、やはり郵政大臣が申しておった国際放送に対する非常に重点を置いた努力政府としてもやって参りたいというお話の点から考えても、放送協会から出された国際放送の三十年度計画そのものについて拡充せられる面については、政府としては命令を少くとも出してまでもやらせるというだけの気持は全然窺い得ないことに、予算的な面から見るとなっておるわけなんです。要するに前年度の規模そのままを踏襲して、それに必要な政府交付金というものをはじき出したという結果になっておると思うのですが、少くとも放送協会が前年度、二十九年度よりも三十年度においてさらに放送方向をふやしたり、あるいはまた相手国語をさらにふやすというようなことについての努力をし、またそれに対する予算を計上しておることについて、政府があまり、あまりというか、全然面倒を見ないというような結果に私はなっておると思うのですが、全くきのう言われた大臣気持は、気持だけにとどまっているのであって、予算的には、現実に出されてきたNHK計画そのものに対しては、数字的には何ら協力しておらない。むしろ命令を出して、政府そのものがやるのだというふうになっておるぐらいの放送法建前から見ると、きわめて私は消極的だと思うのですが、しかも郵政大臣が、この予算内容を検討せられて、意見まで出されておるとするならば、これは私は郵政大臣そのものが、国際放送の問題について具体的にはちっとも積極的な意図もなければ、また予算的にもそういった努力も払っておらないというまあ結果になっておると思うのです。この間の非常に食い違いといいますか、非常にむしろ予算の面では国際放送は軽視されておるという結果になっておると思うのですが、そのように理解してよろしいのでしょうか。
  22. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申し上げます。国際放送に関連いたしまして、政府交付金協会予算の上に計上しております費用との間の食い違いの点は、先般大臣からも御答弁がありましたように、まだ政府の三十年度年度予算というものは決定いたしておりません。従いまして一応放送協会として、交付金としては見込みとして二十九年度と同額をあげておくことは、一応見込みとしては、少くともその程度あげておくことは政府としても妥当を欠くものとは考えられないだろう、こういうことで、交付金の額についての考え方を見ておるのであります。一方国際放送そのものについては、先ほどもまあ私からも申し上げましたように、郵政大臣もぜひこれは今のままではなしに、もっと拡充をしたい、こういう線で努めておりますから、放送協会国際放送実施計画と見合ったように私どもも必ず三十年度においてはやりたいと、こういう考えで努力をするつもりであります。
  23. 久保等

    久保等君 まあそういう御説明だとすると、結局ここへ出されておりまする政府交付金は、一般の政府予算のまだ提出も見ておらない今日まあ一応出されたもので、当然この国際放送に要する交付金、このものは政府としてはまた別案を持って、ぜひ国際放送に必要な予算というものは全額負担をするのだという建前で、今後の一般予算編成に当っては努力をしょう。従ってまあむしろ十中八、九この交付金の問題は当然金額に変動が起るし、又ふやされていくものだというような御説明だと思うのですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  24. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申し上げます。ただいま御審議を願っております収支予算予算総則、印刷物で申し上げますと十ページの予算総則の第十一条に、政府から国際放送等についての交付金が増した場合の処置をうたっております。従来こういう条項はございませんでした。今回は政府年度予算がきまらないうちに放送協会年度予算という形で御審議を願いますために、交付金予算額に比して増加した場合にはこういう方面に充当するのであるぞということを予算総則にうたっておるくらいでございまして、ただいま久保委員の御趣旨のように、私どもは今後努めていくつもりで考えておる次第であります。
  25. 久保等

    久保等君 まあその問題はだいぶはっきりしてきたと思いますし、まあぜひ一つ努めるという程度ではなくて、結果的に実現せられるということになるように御努力を願いたいと思います。  ところで次に給与問題について若干御質問いたしたいと思うのですが、まあ給与問題は、前年度の場合におきましてもやはり聴取料の値上げ問題とも関連して問題になっておりまして、その際にもいろいろと承わったのですが、まあしかしその間約一年間ばかり経過いたしておりますししますので、事情も多少変ってきておると思いますので、放送協会のほうに特に御質問をいたしたいと思いますが、この予算総則の第七条の第二項になるわけですが、いわゆる弾力条項が特に二十九年度予算から新しく挿入せられた規定にもなつておりますし、従って二十九年度からこの弾力条項等の適用も行われたと思うのですが、給与が一般の他の新聞、あるいは民放等の方面と比較いたしますとだいぶ給与ベース等も低いという現状に置かれておることは、前々から私ども委員会等の御説明承知をいたしております。それで現在のベースも従ってやはり相当民間とは開いているのじゃないか、民間という言葉は語弊があると思いますが、新聞、あるいは民間放送との間の給与ベースとは相当開きがあるのじゃないかと思っておりますが、まあ大体どの程度開きがあるか。放送協会の方で把握されておりまする、正確なもちろん御説明は、他の部外のことでありますからむずかしいと思うのでありますけれども、目の子勘定程度で結構ですが、最低どのくらい、最高どのくらいの開きがあるか、お調べになっておりましたら一つお聞かせ願いたいと思います。
  26. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 新聞社並びに商業放送についてのいろいろの給与の現状でございますが、今お話通り、私どもの方といたしましても、的確なこれを調査する手段も実はございませんで、推測という程度の数字を申し上げるのは恐縮でございますが、それと給与の内容についていろいろのその社によってのやり方もありますので、ベースそのものを比べて全部の給与を推すということも、これは問題があるかと思いますが、大体私の方でただいま持つている数字ですが、一流新聞において二万円から二万四千円くらいじゃないか。民間放送についての一流のところはやはりその程度じゃないかというような数字を持っているわけであります。  それから国家公務員関係資料につきましては、これは正確な数字はございますが、御承知だと思いますから省略させていただきます。
  27. 久保等

    久保等君 現在放送協会のベースは一万八千円余りだと思いますが、そういたしますと、今のお話もちろん正確な私御説明は承わらなくても結構ですが、いずれにしても私ども承知しておる範囲内でも二万二千円から二万四、五千円くらいまでじゃないかというようなことも承わって、聞いておるわけなんですが、そうするといずれにしても相当の開きがあるということだけは、これは大体判定がつくと思うのですが、このベース・アップの問題については、三十年度予算では現在のベース、すなわち一万八千円余りのベースを基礎にしてはじき出した予算になっておると思うのですが、三十年度の、年度内に、来年の三月三十一日までなんですが、その間のベース・アップの問題については、給与問題等を含めてですが、どういう協会ではお考えを持っておるでしょうか。きのうも会長の方からの御説明だと、待遇問題についてはできる、だけ努力をしなければならん、また、それほどまああまり恵れておらないといいますか、待遇面が他に比して非常に低いという点から努力をしていこうというお話もあったのですが、三十年度予算が当然決定を見れば、これから、四月一日以降一年間の給与問題がきまるということになりますだけに、その間における経済変動等の事情に対しましても、予算面からは想像できないということにもなりましょうし、また現実にすでに相当な開きがあるということになってくれば、これに対するベース・アップ等の問題を解決することは非常に大きい私は問題だろうと思うのです。それらについての方針なり考え方を承わりたいと思うのですが。
  28. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 昨年、二十九年度予算を御審議いただきましたときにそのベースを一六%アップをお認めいただいたわけでございますが、そのときになぜ一六%アップを予算に計上したかという根拠といたしまして、御承知の全産業の期末支給する給与、世帯主本業定期収入、消費者家計調査報告の消費指数総額、これらの統計によりまして、昨年の実数の出ておりました月からさらに二十九年の四月までの傾向値を算出いたしまして、その結果出た数字で一六%アップを御承認をお願いしたわけなんでございますが、御承知通り本年度予算、三十年度予算編成に当りまして、これらの数字をもって算定いたしますと、その指数が要するに上回っておらないというので、このベース・アップというものを見合わしたようなわけでございます。それで、しかし待遇改善につきましては私どもも十分最大の関心を払わなければならん問題でございまするので、昨年、二十九年において実施したことを下回るということはむろんないように、実際の面で、たとえば総則の第七条の第二項の活用によって実施していきたいと考えておるわけでございます。間接的な方面になるかもしれませんが、ただいま御審議を願っておりまするところの三十年度予算におきましては、健康保険の経営者負担率というものを改訂いたしまして、従業員の支出の軽減をはかる、あるいは共済組合、各企業体にございますが、共済組合に対する交付金を増額いたしまして、従業員の厚生に充てるとか、あるいは通勤費の額を増すというようなことをはかりまして、いささかでも給与の改善に資したいといつ考えのもとに編成しておる次第であります。
  29. 久保等

    久保等君 それでは、この第七条の第二項の弾力条項の問題なのですが、これの発動といいますか、これの適用によって二十九年度においてはどの程度……、もちろんベース・アップは行なっておられないでしょうが、一六%アップは二十九年度に行われましたが、それが結局私の先ほど申し上げた一万八千円あまりのベースになったというととだと思うのですが、さらにこの第七条第二項によっていわゆる期末賞与といいますか、臨時給与的なものも行われるだろうと思うのですが、その金額がどの程度金額になりますか。
  30. 岡部重信

    参考人岡部重信君) ただいま二十九年度の実績についてのお尋ねでございますが、もちろん御承知通り二十九年度の決算はまだ締めておりませんので、若干の数字の異動があるということは当然でございますが、この第七条の二項の活用によりまして一億五千七百万円余を待遇改善、特別の給与として支給いたした次第でございます。
  31. 久保等

    久保等君 その程度のものは、今言われたものは、おそらくベース・アップ等の問題もいろいろ考慮して、この第七条第二項の適用によって実質的な給与面として解決なり、あるいはまた解決すべく努力をせられた具体的な表われだと私は思うのですが、その程度のものは今度の三十年度予算においても何とか実現される見通しなんでしょうか、どうなんでしょうか。
  32. 岡部重信

    参考人岡部重信君) やや問題が将来の問題にわたりますが、久保委員も御承知通り協会の財源としましては唯一のものは受信料でございますので、私どもとしましては、従来この受信料の収入を上げるということについて全力を尽しているわけでございます。それで来年度も受信料の収入につきましてそう一そう努力いたしまして、ただいま確定的なことを申し上げかねますが、二十九年度に行いました以上のことをしたいという、かような念願でいる次第でございます。
  33. 久保等

    久保等君 将来の問題は、今の御答弁よりほかに答弁のしょうがないと思うのですが、二十九年度の場合における一億五千万円あまりの給与、これは私はやはり財源を求むれば受信者の増加、これはもちろん職員の非常な努力によってなされたものであり、第七条でいういわゆる第二項の職員の能率向上による面が非常に実は多いと思うのです。そういう点から考えて、二十九年度において一億五千万円あまりの臨時給与がなされたということになって参りますると、その一億五千万円あまりの財源といいますか、これは少くとも職員の努力によって、しかも受信者の増加によって出て参った財源だとすれば、受信料のやはり三十年度における見通しとしても、これは当然考慮の中に入れられ、また計上せられる基礎になる私は可能性のある数字だと思うのですが、そうなって参ると、単に二十九年度だけの増収ということではなくて、三十年度においても少くともこの基礎になった受信料というものは確保できるのじゃないか、いわば恒久的な収入に、二十九年度の従業員の努力によって、能率向上によって上げ得た財源だというふうに考えられるのですが、その点どうでしょう。
  34. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 御承知通り、この第七条の二はその年度限りのものでございます。それで、ただいま私が申し上げた数字は、むろん御指摘通り増収と、それから節約でございます。それで私どもとしましてはただいまお話通り、できるだけその財源をこの第二項によりまして生み出す、そうして従業員の待遇を改善したい、かように考えておる次第でございます。
  35. 久保等

    久保等君 ちょっと御答弁がはっきりしないのですが、私の質問しておるのは、もちろん一億五千幾らの総額が受信料の増加だけではなくて、一部には予算の節約といったようなものも含まれておると思うのですが、しかし主たるものはやはり受信料の増加に伴うものではないかと実は思うのです。そうすれば節約額の場合はこれは別として、受信料の増収、これだけは二十九年度で確保できたものは三十年度においても確保できるということになるでしょうし、また二十九年度のその増収は第七条第二項に該当する弾力条項の適用を受けられるものだと思うのですが、そうなれば恒常的に、ただ単に二十九年度だけじゃなくて、その後においても期待のできる増収じゃないかというふうに見られると思うのですが、その点いかがですか。先ほどの質問を繰り返すのですけれども……。
  36. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 本年度の、要するに第七条の二項の解釈によりまして、待遇政善に充てた経費というものは、これは御承知通りあくまでも年度内の増収、節約費でございます。もつとも今年度獲得した受信料の収入というものは、継続的に来年度もあるということは当然でございますが、この総則に関する限りは、当年度の限りのものだと私ども解釈しております。ただしかし、この今年度改善された、今年度のと申しますか、職員の待遇改善に充てた経費というものは、やはり来年度においても物価の異動もないというような場合におきましては、当然われわれとしてこの金額は何らかの方法で確保しなければならん、かように考えておるわけであります。
  37. 久保等

    久保等君 何らかの形というのではなくて、私の申し上げたいのは、やはりベース・アップ等にこの第七条第二項によって当然考えられるのじゃないか。しかしただ問題は、第二項の、まあ危惧しておる点は、これがやはりその年度限りの臨時収入、臨時増収ということである場合には、その年度内の収入を、増収をもって直ちにベース・アップ等を行なった場合には、その翌年度からそういった臨時増収がなければ、ベース・アップされたその給与の支給というようなことは困難になる。従ってまあそういう場合に限ってはベース・アップ等の給与にやられることは適切でないし、当然臨時給与というような形で支給されるのが正しいのだということをやっておる程度であって、問題は増収が果して継続的に予想できるかできないかという問題の点は、これは考えられなければならんと思うのですが、増収せられた金額をベース・アップに使うか、あるいはまたそれを臨時給与として使うかというような問題については、これは私はやはりむしろ経営者のそれこそ企業能力、ここらにまかしておる問題だと私は考えるのです。少くともここに第七条第二項の最後の末尾のほうに特別の給与の支給と書いてある。その「特別の」の字、三字ばかりの字にそう私は拘泥することは、全く言葉の端をとらえて拘泥をせられておるのじゃないかと考えるのですが、あくまでも精神は、職員の能率向上に対してやはり給与の面で報いていこうというところに精神があると思うのですが、従って予算面でそれが許されるならばそれを実施することにいささかもやぶさかであってはならんと思うのです。それが今の岡部理事の御答弁だと、最後のほうの、末尾の「特別の給与の支給」というところに何か非常な大きな制約を受けておるというふうに解釈をしておるのじゃないかと思うのですが、それは臨時というところに大きなウェートを置こうとするならば、そのウェートの置き方は臨時収入である。従って翌年度において、あるいはその後の年度においては期待できないのだという場合には、臨時給与として支給されるということはやむを得ないのですが、そうでない恒常的な増収がある、二十九年度なら二十九年度で、職員の能率向上はよって上げ得た増収とするならば、これは当然ベース・アップに使用されて差しつかえないのじゃないかというふうに考えますし、またそこに職員の能率向上に報いる私は企業者としての責任もあろうかと思いますし、またそこに企業者としての企業能力の問題も出てくると思う。いわゆる企業者の経営に対するうまみというものが出て参ると思うのです。まあそこらの基本的な考えの問題についてもう少し一つ何だったら会長のほうから、昨日も特に給与問題について非常に熱意のある御答弁を伺ったわけなんですが、この第七条第二項の問題に関連してお伺いしたいと思うのです。
  38. 永岡光治

    ○永岡光治君 私たちは、今日もう二十九日で、従ってできればあしたのうちに、おそくもあさっての本会議までにこの予算をやはり承認していなければならんので、問題はやはり一番私たち心配しているのは、今久保委員から指摘されておる点で、私はその点がもちろん心配になるから昨日会長にも、郵政大臣にも念を押して、この項目の中で、これは全部が全部臨時給与が本俸に切りかわるということにならなくても、私が昨日要求したのは、この三十年度、二十六年度以降の一体決算はどうなっておるかと拝見したところ、最初予算承認してもらったその額がやはり増加しておるわけです。増加してその翌年度は本俸に繰り入れられておる。その意味が了解されるべきだと思うし、今臨時的問題が、臨時給与として全部が全部給与から本俸に切りかえるということはなかなかできない問題でありましょうけれども、その団体交渉の場において、給与は総額予算が変らなければ、給与体系がどう変ろうと、やはり働きやすいように、能率を上げやすいようにやるのが私は建前だろうと思うのです。そういう意味で、今久保委員が言っておるように全部が全部臨時給与だというかたくなな解釈でなくて、これは本俸に切りかえられるのですかと、そういう建前でこの七条の二項を解釈すべきじゃないか、それでよろしゅうございますかと言ったら、それでよろしい、そういう考えだという答弁を昨日伺ったのです。郵政大臣からはその通りだと聞いておるのです。今の岡部理事お話ですと、きのうの答弁を否定したかのごとき印象があります。そうなりますと、また話がもとへ戻るのですが、これは会長さん、当然この第七条二項においては、この決算表に見るごとく、総額が変らない場合においては、前年度支給しておる金額の中ではある手当を本俸に直すということがあり得ると思うのです。当然そういうことは団体交渉の場面で両方の解決をはかるということがしかるべきだと思うのですが、そういう考えが第七条二項によっても生かされる、そういうような解釈をしているのですが、重ねて念を押したいのですが、会長どうでしょうか。きのうの答弁はそういうことで理解しておったのですが、あまりこだわり過ぎておると、ちょっと問題があると思いますが、私はこの際すみやかに……。
  39. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) お答え申し上げます。非常にいろいろこの職員の待遇改善についての御意見、私ども有益に教えていただいたと思っております。御趣旨、御精神等については別に私どもにおいて違いはございません。しかしただこの総則を作ります場合に、また私どもが考えております方針等につきましては、ただいま岡部理事が申し述べた通りでありまして、この第七条二項においては、職員の盛り上る意欲、それからまた放送をよくすることが、予定以上の節約や増収によって期待せられまする場合には、職員の待遇改善ということに最も重きを置いてやりたい。実際先ほどからもお述べになりましたように、放送協会の職員の待遇をよくするということが究極において放送をよくすることであり、国民に奉仕することでございます。しかも放送協会の職員はほかの事業団体、たとえば先ほど想定して申し上げました一流の新聞とかあるいはその他の職員構成に比較しましても、専門学校以上の卒業者が能率が非常に高く上りまして、率等を比べますと、おそらく最高のもの、或いは最高の人たちではないかと思われます。そういうような構成にもなっておりますし、仕事そのものも非常に文化的な仕事でありますから、これはどういたしましても、待遇の改善、待遇を常に改善することを考えていかなければ、いい放送はできない。国民に奉仕できない、そういう考えでおりますことを昨日も申し上げたのでありまして、私はそれを給与とか、特別の給与とか、そういうことにこだわらないで申し上げたのでございます。従いまして技術的に先ほど岡部理事のほうから申し上げましたこともちっとも食い違いはないと考えます。
  40. 永岡光治

    ○永岡光治君 問題は岡部さんのほうの答弁と、久保委員質問、ということは久保委員考え方、これの食い違いは、給与の総額がきまっておるのだ、ただその俸給の体系の問題が私は今焦点になっていると思う。岡部さんはどうしても臨時給与でなければならん。久保委員のほうは、それは必要に応じては一部を本俸に切りかえてもいいのではないか、こういうことで、あなたが心配している給与の面がふえるわけではない。だからその点はどうして理解できないのだろうかということです、私の気持からすれば。そういう意味で、私は特に企業の経営の向上によってだんだん収入が上り、あるいは職員の能力によって経費が節減できるということになれば、それはその給与の面が浮いてくるのだから、その面については今会長が考えられておった意味での給与の改善ということはあり得ることだ。ましてや今民間のそれぞれの労働組合が賃金引き上げの問題も起きておって、一部は妥結をみたという事態でありますから、私は給与の引き上げの問題はまた遠からず出てくると思う。そのときに改めて国会承認を得なければならんという窮屈なものではなかろう、企業なんです。そこで給与が一応きめられて、その中の体系の問題であるならば、特別手当というその一部の給与が本俸に切りかえられるという性質のものであれば、基本給にかかるというものであるならば、それはやってもいいではないか。それができないはずはないでしょう。そこで岡部理事が言うように、全部能率が上って、給与が増したら、それは臨時手当以外に一切だめですと、こういうかたくなな考え方は捨てるべきじゃないか、こういうことを申し上げているのですが、どうでしょうか、明確に答弁して下さい。私たちは早くこれを上げたいのですよ。
  41. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 御趣旨はよくわかります。御熱意も非常によくわかります。私どももそういう熱意に動かされて仕事をして参りたい、経営をして参りたいと思います。しかしかたくなにと仰せになりましたけれども、失礼でございますが、そちらの委員の御意見も非常にかたくなにその点にこだわっておられるような気もいたします。要は職員の待遇を改善して、働きやすくする、あるいは能率を上げるということにあると思っております。それで技術の面につきましては、送放協会一存でもいかないものでありますし、適正に考えて、結果において、実質においてその御趣旨が生きるように考えて参りたいと思います。
  42. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはちょっとおかしいですね。何か放送協会一存で参らないような御答弁ですが、何か制約を受けているのですか。これは立法府ですから、立法府でこうしてほしいという国民の声であるならば、率直に私は受け入れるべきだと思う。そうしてその道が開けてあるならば受けるべきだと思うが、どうでしょうか、もう一度。そうかたくなに考えておりませんと言うならば、それはやはり基本給に切りかえられることもあり得ると衆議院では明確に答弁しておられると思う。昨日私は大臣答弁を求めて、その通りだということを共鳴いただいて安心しておったところが、どうも何か基本給総額予算はワクがきまっておっても、特別手当は、その中では能率が上った場合に財源が浮いた、少し給与に回そうという場合にはとにかくそれは給与予算としては入れるけれども、基本給としては一切入れぬ、全部臨時手当だ。そういうかたくなな考え方を捨てて、民間でもどんどん給与の引き上げも起るのですから、今承認を求めておかなければ基本給は上げられない。そういうかたくななものではないと思う。企業であるがゆえに、従ってその予算が維持されるのであれば、必要に応じては臨時手当が基本給の一部になることもあるだろうし、そういうことを認めてもいいじゃないか、そうじゃなくてはまたならんと思うのですが、その精神を昨日大臣はそうだというように答弁されているのに、放送協会の役員の方がそれはいけません。大臣答弁を否定するかのごとき印象があるのですが、大臣どうでしょうか。私はけしからんと思うのですが、明確にして下さい。そうすればこの予算はすぐ通します。むしろこれは大臣より会長のほうのあれになるかもしれませんけれども、これを円満に運営されることを監督されることが大臣使命であって、その精神に沿う以外のことを、給与体系はそれはおかしいぞなんて余分なことを言う必要はないと思います。苦労なすっている大臣は十分御理解いただけると思いますが、どうでしょうか。
  43. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) およそいかなる事業においてもり職員の給与の点は一番大切な要素であるということを考えます。従ってその職員の能率が増進せられ、その結果として余剰の金ができた場合に、これをいろいろの面に配分するとともに、基本給与にも持っていっていいではないかというお説のようでございますが、要するにこの従業員の福祉については、単に給与のみではないと思うのでありまして、たとえばそうした余剰の金が予備金に回っていった場合に、予備金が使い果されて非常な不安感を持っているようでは、そこに能率の増進はあり得ない。また従業員職員の福祉が増進されるはずがないと、かように考えるのでありまして、従業員、職員の福祉の全般を考えていきまするならば、やはりそれら予備金なり余剰の金を基本給与のほうへ直ちに持っていくということを明示して、そうしていくことによって直ちにこれがまた使い果されてしまうというようなことになるならば、その職員の福祉に対して逆効果を持ち来たすという点も考えられるのでありまして、御趣意のほどは私はよく賛成できますが、それらの点も勘案してやっていかなきゃならんというところに事業者として考えなければならん点もあるかと存じておる次第であります。
  44. 永岡光治

    ○永岡光治君 私抽象論を申し上げているのじゃない。今放送協会に入るに志望してもなかなか入れない。非常にあそこは高い技術を要するし、また経営が必要である。立派な人物がほしい、それも国民のためにも。従ってそれには安かったらいかない。やはり給与が或る程度高いから優秀な人が集まるわけです。これも大臣非常にこの理屈はおわかりだと思う。そこで、では全部手当なんかを含めて幾らあなたは給与をもらっておりますかと質問されて、本俸は幾らで家族手当は幾らで、臨時手当は幾らでございます、こういう表現はしませんよ。やはり放送協会の本俸はこれだけ、だから大学を出ても行こうということで多士済々が集まるんです。そういう意味で、私は、手当を全部本俸にせよ、そんな暴言は考えておりません。そういうばかげたことを言っているのではありません。ただ、今まで支給された中でもあるし、その給与の中で一部が本俸に切りかわることがあるということを、大臣は、どうしてお認めにならないのかということを、当然できるんじゃないかということを言っている。できないはずはないのです。しかも今民間の賃金は上っております。もう一度臨時国会でも開いてそれを承認されるのですか、しなくてもいいでしょう。必要に応じては団体交渉できまるものならばいいと思うのです。それをなぜそうかたく考えるか。だから本俸にその手当の中で切りかわることがあってもいいじゃないかということを言っているのです。どうですか、当然でしょう。これをすら否定するという精神がわかりません。それこそまさに本俸は罪悪だという考えです、そうでしょう。これは協会長さんもそうだろうと思います。このことさえ明確にして下されば、私たちあともう異論はありません。
  45. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 永岡委員お話よくわかるのであります。放送事業の現在の実績から見、また国際的にも考えてみても、その機構全般、また優秀なる成績を上げて国際的にも誇り得る程度のものに持っていかなければならぬ、そのためには職員の全能力を上げて能力の最高峰まで持っていっていかなければならぬ、そういうことのためには基本給与も高くしていかなければならぬということは、むろんけっこうだと思いまするが、しかしおそらく会長の方でも考えられているところは、郵政省全般にも波及するところが多くて、これはむろん本省の方のことをも御心配下さる点もあろうと思う。これは私しろうとでございまして、正直な話を申し上げるのでございますが、これはここに考えてもやれないことはないのでございますけれども、やはり政府としては国全体のことを考えなければならぬ建前から、あまり明確に基本方針に持っていってよろしいということは言いかねることと思うのであります。御趣意の点はよく考えて、ここに話合いをするとぎには、そうしたお考えを持って進んでいきたいと思っております。
  46. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはどうも大臣答弁が私にはわかったようにも思うし、どうもしかし実際は実現しないようにも思うので、これはこの問題は今日の委員会の焦点ですから明確にしていただいて、すみやかにこの本予算の成立を私は図りたいという念願に燃えているから、早急にこの点の態度を明確にしていきたいと思うのですが、私はその今ある給与の全部の、臨時手当を本俸にしろと、そういうばかげたことを言っているのではない、給与というものはきまっております。そのうちで一部が基本給に組みかえられてもいいじゃないか、そういう方向が団体交渉の場面に当然なければならんと思う。それを認めるか、認めないかということです。会長は認めるでしょう。
  47. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 私は実際の結果として、そうしたいろいろのお金ができれば、実際の結果としては基本俸にも回っていくようになると思うのです。実際の結果として。
  48. 永岡光治

    ○永岡光治君 ちょっと、実際の結果ということは、そういうことは違法じゃないのでしょう。違法じゃないということさえ明確にしてもらえばいいと思う。おそらく法でそういうことを取締まることはおかしいと思う。会長さんそうでしょう。大臣もそうでしょう。
  49. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) 法文の解釈上、前にも申し上げたことと思いますが、第六条に予備金というのがある。この「予備金は、予見しがたい予算の不足に充てる以外にこれを使用することができない」ということになっておりますが、結局予見しがたい場合が出た場合には給与にも回し得るわけであります。ベース・アップのような問題が種々の情勢から起りまして、団体交渉等によりましてベース・アップをしなければならぬということが実際起りましたならば、この予備金の中から支出することができるわけであります。第七条に申しております先ほど来御指摘の第二項は、私から申し上げるまでもなく、事業官庁あるいはほかの事業体と同じような事業団体の職員の能率向上、いわゆる弾力条項に相当するわけでございますので、これはほかの場合と全く同じような表現になっておるわけであります。その点私から申し上げるまでもないと思います。
  50. 永岡光治

    ○永岡光治君 ですから私はそれはそういう給与を払うことができるぞということであって、これは他の企業体においても団体交渉においてそのある一部の手当が、たとえば寒冷地手当とかいろいろな手当がありますが、とにかく手当の一部が本俸に繰り入れられて異存がないはずですよ。監理局長一つ聞いて下さい。手当の一部を本俸に切りかえていけないというのは法とは別個の問題と解釈していい。それがいけないという理由がどこにあるか、なぜそれが違法か、どうしてそれがいけないのですか。それは予算をきめられておるのです。その支給されておる予算の範囲内で、給与体系の改正があってもかまわないじゃないか。
  51. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申し上げます。私どもも手当というものは本俸の中に組みかえられる。団体交渉その他において妥当に組みかえられていくことをどなたも拒否しておるのではない。またこれが禁じておるとは思いません。また第七条の第二項で言っておる、いわゆる弾力条項のものは特別給与ということ以外に表現ができないのではないか、こういうことで、岡部氏も申し上げ、私も申し上げておるのでございまして、臨時手当というものは本俸にある段階ごとに、段階を踏んで変っていくことを拒否しておるようなお答えを申し上げておるのではないつもりであります。
  52. 永岡光治

    ○永岡光治君 わかりました。ですから前年度から臨時手当は増額になる。増額になればその中から将来も増額になるのですから、その中の一部が本俸に切りかえられてもいいということになると思う。こう解釈してもいいのですね。会長一つ答弁願います。今の理論からいえばこれが違法だという根拠がどこにありますか。!
  53. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 私の申し上げようがあるいは悪かったかもしれませんが、私はただ第二項の解釈をただいま長谷局長が申し上げた通りに申し上げたつもりでございまして、先ほど御指摘の給与体系の中において、地域手当あるいは本俸に繰り入れるとか、そういう問題については何ら違法だとかそういうふうには考えておらない。正当なものだと考えております。
  54. 永岡光治

    ○永岡光治君 それじゃそれはいいということを是認されておる。そこで給与ということは手当を含めた給与ですね。それも了解できますね。手当を含めた給与ですね。その中で、いいですか、二項によるところの手当が出ておれば、それは給与の中に入れる。そのいろいろのある段階においては、やはり給与にかわるという問題があり得るということは当然だと思うそうですね。
  55. 岡部重信

    参考人岡部重信君) その当年度におきましては、第二項がお説の通りでいいのでありますが、その次の年度になれば、それは財源として今御指摘のようなことが妥当であればそういうことは起り得るだろう、かように考えております。
  56. 永岡光治

    ○永岡光治君 大臣、いいですね。前年度分はそういうことになる。
  57. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 今長谷局長から。
  58. 永岡光治

    ○永岡光治君 長谷じゃない。大臣、事務当局がだめなんですよ。
  59. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 長谷君からお話した通りに、違法ではないとおっしゃったのでありますが、それはそう言えるかと思います。しかしこれはまたしろうとの考え方で、皆さんに何でありますが、この特別の予算以上に、能率増進の結果、以上の金ができた場合に、特別の給与に回すということはうたっておるのでありまするが、もしこれ不振の場合を考える、企業の不振の場合を考える、そのときにはまた逆の効果を招来するのじゃないか。特別の給与はおろか、電信にも関係してくるというような場合も想定せられるのであります。そういうときには、かえって逆の効果を招来するということになるから、よほど考えなければならぬじゃないかと私は心配する。
  60. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは不振の場合で、そういうことはあまりないと私は予想しますが、かりにそういう場合が起って全部給与が皆低くなるという段階においては、それはその場になって本俸いくらにし、家族手当をいくらにするかというような問題あるいは臨時手当をいくらにするかという問題になってくるのであって、どこまでも給与を上げろとか、低くしろと言っておるのじゃない。給与の範囲内で、給与体系に本当にそれがいいというのであれば、組合と団体交渉で解決するという方向が開かれる。そういうことば第二項による特別手当の問題がずっと支給されてくる場合には、それも恒常的になり、大体そういう場合には当然それは考えていいのじゃないかと言っているのです。それは、しろうとの考えとか、くろうとの考えとか言うのじゃないのですよ。その点は私の要望通り会長に、もう一回、それはその通りだと一言でよろしいから是認していただけばいいかと思います。
  61. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 御趣旨はよくわかりました。私は初めから申し上げておりますように、非常な熱意をもって職員の待遇改善に努力いたします。その点において第七条第二項が特にあるものと思います。
  62. 永岡光治

    ○永岡光治君 私の考えを是認されるのですか。イエスかノーかでいいのです。違うなら違う、その通りならその通りだと言えばいいのです。幅を広げることは——増加をすることは、別個でしょう。別個だけれども、今、私の問題は、そのこととは別個の問題でありまして、支給されておる給与の中において、本俸にある一部の手当を繰り入れる、こういうことが当然起って来るのではないか、予算の範囲内ですから。そういうときにしも、それはいけないという理由は、この法律とは別個の問題です。当然別個の問題として、それは考えていい。だから郵政大臣の実は監督外だと思うのですが、どうも大臣の鼻息をうかがわなければということでは……。
  63. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) お答えします。そういうような増収がある時期において恒常的な形になるということは、もちろん認めるどころでなく、望ましいところであります。しかしそれが、その時期等については非常にむずかしい、予見もできません。そこで第六条の予備金というものがございまして、その中に、現在において予見されない事態は、必ずしも不幸な事態でなくて、望ましい事態もあり得る。必要な事態もあり得る。そういうときに御指摘のような問題を考える。しかしここでは「特別の給与の支給に充てることができる。」とございますから、やはりこれは特別の給与の支給に充てるというふうに、執行者としては考えております。
  64. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は予備金を出せと言っているのではない。予備金を出す必要はないのです。現在の給与の中で、ある手当を本俸に繰り入れることがなぜいけないか。それは経済事情が非常に変化いたしまして、そうして特に給与のベースを総体的にぐんと上げなければならんという事態は、これは予備金の問題ですが、現在支給されている本俸その他の手当をあわせたその範囲内で、一部が本俸に繰り入れられることは、当然しかるべきじゃないか、こういうことです。それができないというのは、どこにあるのでしょう。いいじゃないですか。これは団体交渉できめる、これは大臣の干渉すべき問題じゃない。すべて企業体においては、企業主と労働組合とが法の定めるところに従つて、団体交渉によって給与をきめるということが国民の総意によって、国会の法によってきめられたところです。
  65. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 御趣旨はよくわかつておるのでありますが、これは第七条第二項の特別の給与の支給の問題とは別である、かように存じます。私どもは組合の幹部とも絶えず連絡し、折衝して、組合の意向を十分聞き、そうして御指摘のような問題も上っております。そういう問題も円満に解決していく自信を持っておりますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  66. 久保等

    久保等君 今の会長のお言葉は、私の先ほどの質問に対する御答弁になっておるかと思うのでありますが、永岡委員とのやりとりではっきりしたことは、要するに給与総額の範囲内であるならば、その給与総額という金額の中には、いろいろと臨時手当あるいはその他の一般の手当というものを含めたいわゆる給与総額、その中での操作であるならば、それがベース・アップというか、基本給の中に入れられようと入れられまいと、このことについてやっちゃいかんという別に禁止規定があるわけでもないし、又禁止すべき何らの理由もない。従ってその問題はいわゆる労使双方の団体交渉等によって問題を解決していくという会長立場からいけば、これは十分に永岡委員の言っておったような趣旨に沿ってやっていけるという御答弁であったかと私は思うのです。従ってその問題はその問題として一応きまりが私はついたと思う。  私はやはり、さらにもう一つの問題は、一番当初申し上げておった第七条第二項の問題なんですか、これはやは  増収があった場合、あるいは非常に職員の努力によって節約等がなされた場合のその残と言いますか、予算というものは、予備金の中に繰り入れて、しかる後に今度は経営委員会の議決を経て、特別の給与等に支給をすることができることになっておる。従って一たんは予備金に入ると思う。増収をはかった金もすべて予備金に入ると思う。そうした場合には、私は第六条のいう予備金とそれから増収による予備金増収によって予備金の中に繰り入れられた金、この二つが予備金の構成の金額になると思うのです。しかしその場合に、やはり私は、この第七条の第二項のねらっておる趣旨というものは、先ほど申し上げたように、やはり職員の能率向上に対する何らかの企業努力といいますか、それに対して報いてやらなければならぬというところに、この弾力条項を設けられた根本的な精神があると思う。従ってそれが給与の、仮に臨時手当であろうと、あるいはまた本質的に基本給の中にそれを繰り入れをして支給せられようと、その問題については、私はきわめて未節的な実は問題だと思うのです。特に放送協会の場合の性格ですね。これは十分に私は先ず考えなければならないと思うのですよ。先ほどの電波監理局長のものの考え方からいくと、これと似通った条文が郵政の場合の予算総則の中にもあり、そのほかの現業官庁の予算総則の中に同じ条文がある。従ってこの条文をそのまま解釈していかなければならぬという考え方は、むしろ私は本末転倒と思っている。企業の性格、それから協会なら協会というものは、一体どういう基本的な立場に立っておるのかという問題からまず考えていかなければならぬと思う。たまたま予算総則の中にうたわれている文章がよく似通っているから、一から万事、現業官庁いわゆる公企体の予算総則と同じように考えなければならぬということは、これこそ先ほど会長の言われておった非常にかたくななものの考え方だと思う。それこそまさに角をためて牛を殺すという結果になる危険性が多分にあると思う。少くともこの給与問題の解決の場というものは、どこかという問題が一つあると思う。給与問題の解決の場は、やはり放送協会の場合には、これは公企体と違う——公企体といいますか、いわゆる電々公社とか専売公社、国鉄だとか、ああいう政府機関とは違う。ましてや現業官庁とは、本質的な相違があると思う。あくまでこれはそれぞれの放送法で定められたところの責任者によって協会の経営というものが、私は運営されなければならぬと思う。この自主独立という問題は、これは郵政大臣といえども私はむやみやたらにあまりなわ張りを広げられることは、放送協会を作られた趣旨に反し、非常に問題が重大だと思う。従って給与問題を——給与総額の中における操作を、一般官庁、現業官庁と同じような運営をしていくということになると、これはいわゆる放送番組協会の場合には問題になるが、ひとり私は番組編成だけの問題じゃないと思う。そういう給与問題に無用の干渉をすることは、いわゆる協会に対する不当な圧迫を加えることになると思う。従って予算総則の中でうたわれているこの条文の——予算総則の第七条の第二項の解釈の問題については、やはり違った立場からこれを考えていく。いかに放送協会の事業を円滑に発展させていくかという立場から考えていくべきだと思う。その場合にやはり第七条第二項を私が危惧している点は何かというと、その点は一つある。その点は、私は先ほどから何回も繰り返して申しておりますように、その年度限りの臨時増収だという場合に、必ずそういう臨時増収のあった場合には、基本給の中に入れるのだというやり方をもしするならば、これは翌年度に一体増収があるのかないのかということさえ考えないで、むやみにその年度限りで増収があったからといって基本給をすぐ上げていくということがあったならば、健全な経営、しかも安定した予算編成ということば困難になって来るだろう。従ってそういう場合は、十分見通しを立てなければならないぞということが、特別給与という場合はきめてある、一つの標準になっておると思う。従ってそれは考慮的な数字、特別給与の給料として考えられる、想定せられる増収、しかもその増収が企業家の能率向上によって増収せられた場合の金額というものは、基本給の中に入れられてもいけないのだという、否定する根拠は何らない。従って私は第七条第二項の解釈の問題については、ぜひ一つ協会というものの性格、それから労使の双方の関係の問題に関しても、これは現業官庁やあるいは一般官庁と違った、協会独自の自主独立というものが、少くとも政府によってむやみにその独立性が侵害されてはならんというように、やかましく放送法規定しておることからいっても、総則第七条第二項の規定については、あくまでその問題については経営者の能力に委せる。しかもそれが最終的にきまるのは一経営委員会で取り上げて決定されるのですから、協会の、単に一族の内部だけの、事務当局といいますか、関係者だけできめられるわけじゃありませんので、国民全体の経営委員会というのが厳としてあるのですから、この経営委員会の議決というものが私は相当重要視されるものだと思う。私はそういう趣旨から考えていきますと、拘束されない、郵政省が給与問題の細かい点まで容喙する上いうことでは、これは健全協会の運営というものは期待できないと思う。従って第七条第二項の問題については、私はぜひそういう考え方で、無用の、それこそ干渉、容喙というようなことも慎しんでいかなければならんと思う。協会としても、待遇改善という中には、第七条第二項の中における弾力条項の問題について、基本給の問題についても考えていくというお考えをぜひ私は持って頂きたい、かように考えますが、先ほどの問題は一つこれは一応解決しておりますから、私は第七条第二項そのままの問題を正面から取り上げた問題として、これは一つ協会長あるいは郵政大臣からも御答弁願いたいと思う。もしそれが許されないということであるならば、どういう、一つ法的な根拠があるか、まあどういうなにがあるかということを、反対の御趣旨を明快に承わりたいと思う。
  67. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 御指摘のように、この放送協会はひとしく公益、何と申しますか、パブリック・コーポレーションと申しますか、電電公社や国鉄などとも違うという点もございますし、相当自由な専業に対しての計画を立てていいというような点については全然同感でございますので、決して郵政大臣としてはこれに干渉がましい考えをもってこれに干渉するというような考えは持っておりません。
  68. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) もともと郵政大臣の御趣旨もよくわかっておりますし、郵政省から干渉された例などはございません。むしろ非常に協力していただいて恐縮に考えておる次第でございます。  それからこの第七条第二項の問題は、私どもは職員を非常に一番大切にして国民に奉仕しますけれども、奉仕する対象である国民受信者、その受信者の負担を一銭一厘でも無駄な負担をさせたくない。そういう意味においてやはり公正な給与の規定というものを考えなければならないというような面もございます。その他いろいろNHKというものは無人島で仕事をしているのではなくして、対外的ないろいろな振り合い、公正の観念、また経営委員会の国民を代表して出て来られる方方の国民を代表しての考え方、それから放送協会というものは仕事をして参ります場合に、よく根拠なくして放送協会の者が、例えば会長が非常にたくさん収入を取り過ぎるとかいろいろのうわさもあります。根拠のないうわさは取るに足りませんけれども、やはりわれわれはガラス張りの中で公正に仕事をしていく。私企業の場合のように、社員の努力によって多くの収入を上げたら社長以下に分けるということにはいかないと思います。そういうようないろいろの立場から、経営委員会においてこういう総則もできておるのでありまして、私も経営委員会の中に連なっておりますから、そういう際に本日お示しいただきました御意向等も十分体して、私も努力していきたいと思っております。
  69. 久保等

    久保等君 それでは会長のお考えも、当初の岡部理事の御答弁に対して、当時の考え方とは変ってきたというように私もお聞きするのであるし、また私の申し上げた点も十分に御理解願ったようでありますし、同時に私の考え、というよりも、私のみる第七条第二項の問題、これについても、もちろんそういった問題を決定する際には果して基本給そのものが対外的なバランスの問題等を考えて当を得ておるかどうか、あるいはまた放送受信者の立場に立って果して理解してもらえるかどうかといったような四囲の条件等を十分に考えられるということは私は当然だと思います。従って放送協会に独善的な批判がもし受信者等の中に出てくるとするならば、これは非常に重大な問題だと思います。また私も特に国民の立場に立った公正な立場からは実は申し上げておるわけです。そういう立場から考えて、事業を少くともよくしていきたい、またそれがためには全従業員のそれこそ盛り上るような積極的な協力を求めなければならないし、また、時と場合によると多少無理もやらせなければならんという場合もあると思いますが、あくまでもそういう事業愛に立った立場から考えて妥当と思われる基本給の制定の場合については、やはり第七条第二項の問題も十分に活用してやってもらいたい。それはただ単にかたくなに臨時給与ということだけを考えていただかないで、私たちとしては時と場合による基本給の問題についても弾力的な条項を十分に適用してやっていく。画一的な臨時給与でいくんだ、画一的な基本給でやっていくのだと、そういう一面的なことでは解決できないという立場から申し上げておるわけです。従ってその趣旨が十分に御理解され、さらに協会としては経営委員会という権威ある議決機関も持っておるし、さらに労使双方の紛争の問題については何らの特別の拘束のない労働組合法の適用を受けております。放送協会の労働組合もあるわけですし、労使の双方において対等な立場で十分話し合いもできるし、またそういう話もまとめていくという機関もありますので、そういう場合は具体的にきめていくということは当然だと思う。それから一事が万事、手かせ足かせによる立場協会長が団体交渉に臨まなければならんということでは、むしろ責任ある企業の運営はやっていけないと思う。この趣旨から第七条第二項もかたくなった立場で解釈していくということでなくして、弾力条項であるがゆえに弾力的に解釈をしていただきたい。しかしそれは無軌道であってはならんと思います。そのことは、第七条第二項の危惧する点は、ただ単にその年に増収があったからということで、直ちにそれをいかように使ってもいいというような放漫な経営は許されない、少くとも将来の収入の問題についての見通しを立てなければならないという点は、十分に第七条第二項の危惧しておる点であるし、むしろ拘束しておるとすれば、その面におきましては拘束しておると思いますが、さらにこの給与問題は、増収を上げるという、事業のためにプラスになっていくとするならば、第七条としては最も願ったりかなったりの規定だと思います。そういう立場で運用をしていただく、解釈していただくように、重ねて一つ最後にとどめの、私、意見も若干入っておるかもしれませんが、しかしまあ協会長も私の言う趣旨に御賛同のようでございまするから、これ以上質問申し上げることは省略をいたしますが、ぜひ一つそういう立場で解釈、適用をお願いしたいということを申し上げて、質問を終りたいと思います。
  70. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ほかに御発言はございませんか。
  71. 市川房枝

    ○市川房枝君 直接予算に関連した問題ではございませんけれども予算審議するに際して、平生から疑問に思い心配しております点一二をこの際お伺いしたいと思うのですが、それはまず大臣に対してお伺いしたいのですが、私ども放送に関連して心配なことは、放送そのものが事実を伝えておるかどうか、あるいは不偏不党ではなくて多少片寄っている、あるいはまた政府の宣伝というものがだんだん入って来るんじゃないかというようなことを、これは過去の事実から実は心配をしておるわけであります。もっともこれは放送法の第一条でもって「放送の不偏不党、真実及び自律を保障する」云々という条項があるわけでありますが、この第一条に掲げられておる条項が、放送について、これは民間放送もあるいはNHKもみんな含まれておると思いますけれども、この条項にかなっておるかどうかということについての保証は一体どこがしているかといいますか、政府自身がそのことについて始終お考えになっているかどうか。いや、そう申しましても、私は政府当局放送番組なんかに対して干渉がましいことをする、それに対して権力を用いるということには絶対に反対する立場なんでありますけれども、しかしどんなふうにしておいでになるか。あるいはまたここに掲げただけで、それはそのままなんだということでありますかどうか、それを第一に伺いたいと思います。
  72. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 市川さんのお尋ねの点につきましては、放送の仕事は主として担当者が自主的に自律的にやっておるというふうに承知をいたしております。
  73. 市川房枝

    ○市川房枝君 それでは郵政当局としてはそのことについては何かそういう調査のようなものはしておいでになりますか、どんなふうに行われておるかということについて……。
  74. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 特に調査というようなことになりますと、勢い干渉がましいことになって参りますので、それはやっておりません。ただ時々報告を受けることにとどめております。
  75. 市川房枝

    ○市川房枝君 それではNHKの古垣会長がちょうどおいでになっておりまするからお伺いしたいのでありますが、放送法の四十四条で、特にNHKに対して、今の放送法第一条に関する事柄がここに協会一つの義務として掲げられておるわけです。「政治的に公平であること。」とか、あるいは「報道は事実をまげないですること。」とか、あるいは「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」云々というようなことが出ておりますが、これはNHK自身としてはその問題について、て、NHKで絶えず行われております放送がこれに合致しているかどうかということについての御検討といいますか、そんなことはどんな方法でなしておいでになりますか。それをちょっと伺いたいと思います。
  76. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) お答え申し上げます。先ほど郵政大臣の御答弁にもありましたように、NHK放送番組に対しては干渉を受けない建前であって、外部からといえ、内部からといえ、NHK番組編集権と申しましょうか、そういうものは法律をもってする以外には干渉してはならないということになっております。そして事実その通りに行われております。内部的には、こまかには、いろいろございますが、ラジオ・コードというものを最初に作っております。これは郵政大臣にも提出してございますし、広く公表してありまして、NHKはこの番組を組んでいくに際してこういう放送準則というものによってやるのである、そうしてその放送準則というものは、聴取者の中から各界を代表するような方々を集めて長い時間をかけて数年がかりで作り、また絶えず再検討しつつ時代の条件によく符合するようにいたしておりますが、そうしてできましたものを公表して、それによって職員全体がそのラジオ・コードというようなものを体して番組編成し、また放送いたしております。それから内部機関といたしましては、特に考査課というものがございますし、まず放送する前に事前の審査を行って、それがたとえば広告放送にならないかどうか、広告してはいけないということでございますから、そういう点、その他あらゆる角度から審査をいたしまして放送いたします。さらに放送いたしましたものを今度は審査する機関を設けております。これらの機関等におきましても、内部の者が常勤的に当りまして事務を執行いたしておりますが、外部の人を加えて、そうして公けにやっております。しかし、何と申しましても、放送において、先ほど言いましたように、一切の干渉を排除して、そうして編集権の自由のもとに公正な、とらわれざる放送をいたすということであれば、野放しになるという危険がありますが、それは時々刻々国民全体が放送を聞いておりますから、私どもがいかに精密に事務的に調べるものよりも、全国の聴取者の中からいかに小さな間違いでも指摘してもらっておりますし、批判されておりますから、実際は聴取者が時々・刻々放送の間、寸秒の惜しみなく審査していただいておるというように考えております。
  77. 市川房枝

    ○市川房枝君 ありがとうございました。これは、まあ前にも問題でしたけれどもNHKの問題として、まあ当局からは直接の干渉はなくても、NHK立場そのものが、やはり郵政省の監督といいますか、指揮のもとにあるということになれば、どうしても政府のほうの影響を受けざるを得ないといいますか、あるいは遠慮をするというような事態も出て来る。それがいつか新聞でだいぶ問題になりました例の冗談音楽の問題なんかだろうと思いますけれども聴取者からいろいろなそういう批判がNHKに相当参っておりますか。
  78. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) やはり一番その反響といいますか、いろいろの注文が参りますのは、聴取者からでございます。恐らく膨大な数字になると思います。毎日数千、ある時期においては数万の投書を受けておりますし、また直接私自身が毎日百枚を下らない程度聴取者からの番組に関する注文を承わっております。しかし、政府当局という御指摘がございましたが、政府当局というようなものからは、そういうものはほとんどなくて、むしろ熱心な聴取者からございます。また政治家の中でも、熱心な聴取者としての政治家からはいろいろの批判や注文もございます。しかしこれは私は一切、たとえば御指摘の三木鶏郎の場合でも、どういう地位の人がこの問題について御意見をわれわれに直接あるいは間接におっしゃろうとも、要するに受信者、非常に貴重な受信者としての御意見であると思っておりますから、要はわれわれがそういうような注文とか意見とかいうものに無批判に屈従しないで、自分の良心において、自分の納得において、変えるべきものは変える、継続すべきものは継続する。そうして干渉があったとかなかったとかいうようなことは、むしろ干渉があったというのではなくて、干渉されたわれわれがそれに影響を受けるか受けないかという点であって、われわれ自身の心組みが最も大切だと考えるのでございます。
  79. 市川房枝

    ○市川房枝君 私どもは、放送としての中でも、特にNHKに対して、今、古垣さんからお話がありましたように、たとえ干渉があっても、それをはねのけるだけの立場をおとりいただいて、それこそこの放送法に掲げてありますような本当の真実を伝える、不偏不党の立場でやって下さることを私は特に聴取者立場からお願いを重ねて申し上げるわけであります。  それから、この四十四条の初めに、「公衆の要望を満たす」云々ということが出ております。NHKとしては、番組編成に対しての公衆の要望にこたえるためにいろいろなさっておいでになるようでございますが、これは今日でなくてもよろしゅうございますけれども、適当な機会に何かそれに関して少し資料を頂戴したいと思います。
  80. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 承知いたしました。一番大きなものは、この放送法にも、うたってありますように、科学的な世論の調査をするということでございます。
  81. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ほかに御発言はございませんか。  速記をちょっととめて下さい。   〔速記中止〕
  82. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 速記を始めて。  別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認め、本件の質疑を終局することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  84. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今審議されておりますところの、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件について賛成をいたすものであります。  本委員会におきまして審議をいたしました経過をみますと、大体私は大きく分けて四つに分類することができるのではないかと考えております。第一は、この承認を求める件について国会提出の時期の問題であります。非常にせっぱ詰まりまして提案されましたために、十分な審議の期間がないということで、各委員から不満の声が出ておるのでありまして、そういう意味から、今後はこういう会期が切迫いたしまして提案されるということのないように、とりわけこの問題につきまして、もしこれが三月三十一日までに成立しなかったときには一体どのような措置がとられるかということについて大きな疑義を感ずるものがありますので、そういうことのないように、十分そういうことも考慮して放送法というものの改正をはかるべきであろうという意見が出ておるのであります。それが第一であります。第二は、難聴地域解消の問題でありますが、これも当局のほうで熱心に努力をされておりまして、その努力の成果を私たちは認めるにやぶさかではおりませんけれども、なおかつ国民の立場に立つ際には、さらにこの難聴地域解消について最善の努力をしなければならぬ、こういう強い要望があったことが第二の点であります。第三番目は、時局柄国際放送について十分努力をしていただかなければなりませんし、従来と比較いたしましてこの点についてもかなり実効は認められるのでありますけれども、とりわけ最近の国際情勢に鑑みまするときに、さらに一そう国際放送についてその拡充強化をはかって欲しい、こういう要望がありまして、さらにこの点については政府の補助金も従来通り一応認めておるのでありますが、さらにまた次の三十年度の本予算の提案の際にも再検討するという大臣の言もありましたくらいでありますので、この点についても十分格段の御努力をいただきたいということが、第三番目の点であったと思うのであります。それから第四番目の問題は、ただいま協会当局放送労働組合との両者の間において、給与の問題が一応争議の対象になっておるのでありますが、この問題についても、協会使命からいたしまして、国民としては円満なる解決をはかっていただきたいという強い要望がありますので、その点から、給与の改善の問題、あるいはまた、とりわけその第七条第二項におけるところの給与の問題も含めまして、給与の本俸への切りかえ等が強く要望されておるのでありまするから、この点もとりわけ両者の間に早急に円満な解決をはかって欲しいという要望があるわけであります。大体以上の四つに分けられるのでありますが、さらにまたこの協会の持つ使命からいたしまして、他の一般の民間の放送と違いまして、非常に強い公共性を持つというところから、片寄りない正しい公正な放送に重点を注いでいただきたいという要望があったのでおります。  こういう要望を考えまするときに、私は大体難聴地域解消の問題については、特に取り上げて参らなくても、本来の使命でありまするから、この項は省略いたします。また公正なる放送を行うということも、これもとりわけ、うたう必要のない本質的な問題でありますので、今回はこれを賛成するに当りまして、このことは特に附帯決議としては、うたいませんけれども、次の三項目について附帯決議をしまして本案に賛成をいたしたいと思うのであります。  附帯決議を読み上げます。    附帯決議案  政府並びに日本放送協会は左の事項  の達成に努むべきである。  一、収支予算等の審議経過にかん  がみ速かに放送法の改正案を提出す  ること。  二、国際放送の拡充強化をはかるこ  と。  三、日本放送協会は経営の合理化、  能率の増進等によって収入の増加及  び経費の節減を図り、協会従業員の  待遇に関して善処すること。  以上で賛成討論を終ります。
  85. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ほかに御発言はございませんか……。ほかに御発言もなければ、討論を終局し、直ちに採決を行うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより本件の採択を行います。放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件に承認を与えることに御賛成の方の御挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  87. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 全会一致と認めます。よって本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に先刻の討論中において述べられました永岡君の提出の付帯決議案を議題にいたします。  永岡君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  88. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 総員挙手と認めます。よって永岡君提出の付帯決議案は全会一致をもって本委員会の議決とすることに決定いたしました。
  89. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) ただいま御決議になりました付帯決議につきましては、三条項とも極力御趣意に沿うようにいたしたいと思います。
  90. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 非常に短時日の間で御迷惑をかけましたにもかかわらず、慎重に御審議をいただきまして、ただいま御採決をいただきましたことを厚く御礼を申し上げます。また付帯決議につきましても、そのすべてが私どもとしてまさになさなければならないことと思いますので、今後御決議の趣旨に沿って努力いたしたいと思います。ありがとうございました。
  91. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) なお本院規則第百四条によりまして委員長の報告の内容につきましては、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになっておりますが、これは委員長に御一任を願うこととして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 御異議ないものと認めます。  それから本件に承認を与えることに賛成された方は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     左藤 義詮  柏木 庫治     永岡 光治  三木 治朗     大野木秀次郎  西川彌平治     島津 忠彦  津島 壽一     野田 俊作  久保  等     石坂 豊一  最上 英子     市川 房枝
  93. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後三時五十四分散会    ————・————