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1955-07-28 第22回国会 参議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十八日(木曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長 小笠原二三男君    理事            伊能 芳雄君            石村 幸作君            小林 武治君            森下 政一君    委員            伊能繁次郎君            小幡 治和君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            安井  謙君            岸  良一君            島村 軍治君            館  哲二君            秋山 長造岩            中田 吉雄君            若木 勝藏君            小柳 牧衛君            堀木 鎌三君            鈴木  一君    衆議院議員   門司  亮君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    自治庁行政部長 小林與三次君    自治庁選挙部長 兼子 秀夫君    自治庁財政部長 後藤  博君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    国家消防本部本    部長      鈴木 琢二君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方財政に関する件) ○市町村職員共済組合法の一部を改正  する法律案衆議院提出) ○栃木県南摩村を鹿沼市に合併するの  請願(第三六号) ○公職選挙法中一部改正に関する請願  (第二一二号) ○消防団員公務災害有償費国庫負担  に関する請願(第二八〇号) ○消防施設強化促進経費国庫補助増学  額に関する請願(第二八二号) ○風俗営業取締法中一部改正に関する  請願(第三〇八号) ○空気銃使用制限に関する請願(第三  七五号) ○飛出しナイフ等所持禁止緩和に関  する請願(第六一七号) ○空気銃使用制限に関する請願(第七  九一号) ○町村合併促進法における公共企業体  の協力に関する請願(第九六三号)     —————————————
  2. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) では委員会を開会いたします。  地方税法の一部を改正する法律案議題に供します。引き続いて御質疑願って参っておるのでありますが、本日は一萬田大蔵大臣出席も願っておりますので、従って議題以外に地方財政全般にわたる調査の件につきましても、御質疑いただいてけっこうです。御質疑のおありの方は御発言願います。
  3. 小林武治

    小林武治君 大蔵大臣に伺っておきたいのでありますが、私は昨今の状態を見まして、地方財政というものが全く破局的な様相を呈しておると思っております。従いまして、この問題はいつも申すように、一自治庁長官だけの問題ではなしに、内閣自体ほんとうに取り組むべきであると、こういうふうに考えておるのですが、これについて大蔵大臣地方財政をどういうふうに思っておられるか、こういうことをまず伺っておきたいと思うのであります。ほんとうに困っていると思うか、何とかやれると思っているのか、その点を一つお伺いいたします。
  4. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 地方財政現状につきましては、私も非常に心配をいたしておりまして、現状のままに放置することはできないという観点に立っています。従いまして、三十年度の予算編成に当りまして、中央地方を通じまして財政健全化基本方針といたしておるのでありますが、しかし同時に地方財政もまたそういう余裕がありませんで、三十年度においては取りあえず地方に現われておりました赤字について措置を講ずる、こういうことをいたしたわけであります。なおいろいろ御質問ありましょうが、地方財政については、私はやはり単に地方財政赤字であるが故に、すぐに中央からどうするという考え方には、必ずしも同調しておらぬのでありまして、地方財政が今日赤字になった原因一体どこにあるのか、それをほんとう中央地方一緒になってやらないというわけではない、これは地方というものは何も国と離れたものではないのでありまして、中央地方一緒になってお互いに行き過ぎとか、あるいは考えの悪かったというようなところはそれぞれで直していく、その原因を確かめて基本的な再建整備ほんとうにやろうと、いろいろそういう点について調査もいたしておるわけであります。私の地方財政に対する大体の基本的態度は今申すようなところにあります。
  5. 小林武治

    小林武治君 私はもう始終申しておるのでありますが、この赤字原因というものは必ずしも中央だけの責任ではないと思う。地方においても相当反省自粛しなければならぬことは多々あると常に申しておるのであります。従いまして、私はこれらの点につきましては、どうしてもある程度制度的の改廃をしなければやっていけないということで、自治法改正が出たり、あるいは再建整備につきまして多少の行政上の制約のあるのも当然だと思うのでありますが、これらのものが出たり、また地方では非常なむだをあえてして陳情を重ねておる、これはさらに赤字の上塗りをするものだ、こういうことで私どもは非常に心外に思っておるのでありますが、しかし全体としてみまして、それなら地方放漫財政、あるいは乱費、あるいは浪費、むだ使い、こういうものによる金額がどのくらいになるかということになりますれば、やはり全体からみますれば、国の財源措置の不十分ということの方が私は金額は多くあるものと、こういうふうに見ざるを得ないのであります。従いまして私ども政府に求めたいのは、何か私どもは、大蔵省というものは地方財政をまま子扱いするというか、あるいは対立的の考えを持つというか、これはやはり大きく見て大蔵大臣国家財政の中に当然包含すべきものでありまするから、この両者をほんとう一つにしてみていただきたい。国のしわ寄せ地方に寄せる、こういうふうな考え方はぜひ改めてもらわなければならぬと思うのでありますが、それがないとおっしゃるならけっこうでございますが、私どもはそういう傾向をどうしても認めざるを得ないと思うのであります。すなわち私は中央地方を、大蔵大臣がおっしゃるようにほんとう一体としてみてもらいたい、地方も身のうちだ、こういうふうな考え方でぜひ財政上の問題に当っていただきたいと思います。その点いかがでございますか。
  6. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま申し上げましたように全く同じ考えでおります。ただ私の考えは、今日中央財政が一兆円でありますが、しかしほんとうをいうと、これは中央としては六千億くらいなもので、四千億からは地方に行く、それでまあ財政規模は一兆とみております。そうしますと、なかなかこれはバランスの点も今後考えていく必要があろうと思います。ただ私の考え中央からの財源措置等が少いからというだけでは、これは片づかないので、一体、かりに中央から地方に、中央のためにされておる仕事、あるいは中央のために地方負担しておる仕事、こういうものがありましょうが、それを一体そのままにしておいていいのか、そこに私は問題がありはしないか。それをそのままにして財源財源といってもなかなか中央も大へんだ、やはり私は一体的に仕事自体について考えてみて、現状のものが地方として妥当なものであるか、それを私は考える。それでそういうもので妥当でないものはやはりやめるべきものだと考えております。それから同じ仕事をするにしても今のような行政組織で行っていいのか。ここまで地方財政がくれば、よほど私は基本的な線をはっきり出さないと、かりに相当措置をとりましても、将来再びまた赤字財政でうまくいかないという事態が起ってくるおそれがある。それでここまで来た以上やりかえる必要があろう、そういう点を抜本的に考えてみたい、こういうような考えであります。それだからといって、当面何もせぬというわけじゃありませんが、当面は当面としてそういう点を明らかにしていきたい。こういうのが今の私の見解です。仰せのように中央地方を通じてあまり責任的——それは中央責任だとか、それは地方責任だ、そういう考え方は私はあまり好まない、むろんその責任の所在を明らかにすることは当然でありますが、善後措置としては非常に力を合せてお互いに謙虚な気持で、よくなかった点はよくながつたところでこれを除去する、こういう気持協力態勢でいかんと、この状態はなかなかうまくいかぬ。こう思っております。
  7. 小林武治

    小林武治君 私どもの一萬田大蔵大臣に聞きたいのは、相当強力な政治と申しまするか、そういうことを期待しておったのでありまして、その点につきましては、その後むしろわれわれは失望しておった、こういうことは、今の赤字財政なんかの原因一つにも補助金の問題が出てくるのでありますが、これらの問題こそある程度整理するということは今後の地方財政としてどうしても必要だと思うのです。この点につきましても、内閣におかれてはきわめて不手際だ、むろん国会の圧力もあることはわれわれも知っておるのでありまするが、それにしてももっと何とか整理できないか、あるいは先ごろの補助金使用不正防止と、これらのことにつきましても、大蔵大臣の主張はわれわれも了解するところでありますが、これがまたふらふらしてしまったりしておるような、こういうふうな根本的の問題についてはあなたのような人がやってくれなければできないじゃないか、こういうふうに思うのでありまするが、まあ政治的にもいろいろな理由とか、そういうものはやはりどうも——こういうことはわれわれとして非常に残念であります。こういう問題について何とかもっと一つ強力に推し進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
  8. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) まあただいまの御意見はつつしんで拝聴いたしておくという以外にはないのでありますが、しかし今お示しになった補助金整理等につきまして、むろん補助金が全部悪いのじゃありませんが、真に補助金の役割を果していないもの、あるいはまたすでにもう果し終っておる、もうこれ以上補助金を出さんでもいいというようないろいろのものがあると思います。そういう点について三十年度予算でも私といたしましては、相当のきびしい線を出しておるのでありまするが、しかし何分にも微力といいますか、ひとり私の微力というよりも、思うようになかなかいかない。そこでまあ単に自分自身考え方をいさぎよしとするということだけでいくなら、これはまた払いく道も容易にあるのでありますが、しかし、なるべく政府の所信というものを実行していかなくては意味がありません。そういう意味合いにおいて御承知のように失望を買った点もあろうかと思いますが、ただ私はそういう過程を通して今後におきましては、ほんとう一般から考えていい考え、いい政治というものが断じて行われるようなやはり政治的な基盤をそこで確立していく、それなくしては、私政治にしろうとですが、それなくしてはどういう人が出ても今日はむずかしいというように考えておるのであります。まあそういうしっかりした、いわゆる安定した政治力というか、あるいは強力な政治力というものをここに打ち出す必要がある、こういうふうに考えております。その上に立てばお説のようにほんとうにいい政治がだんだん行える。さように考えておるわけであります。
  9. 小林武治

    小林武治君 私は、今の中央財政しわ寄せ地方にある、その一番の大きなものは公債の面に現われておる、こういうふうに思いますが、私は先般もその向きの質問を申し上げたのでありまするが、これは地方公債政策はこのままではやっていけない、こういうふうに思いまするが、来年度私は地方にあれだけ出させるならば、国だってやはりこれをある程度認めてもいいじゃないか。何だか地方だけに負担しわ寄せをしておることは一つのごまかしではないか、こういうふうに思いまするが、公債政策につきましては、どういうふうにお考え大臣はなられるかということをお伺いしておきます。
  10. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 来年度の中央地方を通じての予算編成方針については、なおとくと考慮を要するものがあるのでありまして、実は率直に申して、まだ利きめておりませんが、しかし地方財政は従来まあ起債、いわゆる地方債というものが非常にふえて参りました。これは地方債がふえるというよりもむしろ私の考えでは、やはり地方財政の苦しさから地方財政赤字がふえていく、これが起債というところにしわが寄っていく、こういうふうな形である。従ってこの地方地方債がふえるということは、これは非常に私は悪い方向をとりつつある、これを何とか今後において解決していきたい。私の知っている限りでは、従来大体この地方公共団体等においては、まあ銀行等に短期の借入金をして、そして財政のやりくりをしておった。それが結局払えなくなってきてそれが地方債にかわる、こういうふうになったものも少くないと思います。現に今回も二百億ばかり起債によるのですが、これもやはり従来の借入金長期債の形でとりあえずたな上げをする、こういう形になっておる。なお具体的にどういうふうに今後の地方財政赤字を処理していくか。先ほど申しましたように、原因を探究して、中央地方力を合せて具体的に解決を考えていきたい、かように考えております。
  11. 小林武治

    小林武治君 この公債政策につきましては、私は自治庁もむしろルーズじゃないか。また地方団体もまるで金をただでもらったような気持公債々々と熱をあげて、公債を要事しておる。こういうことは私は現在の地方財政を掌理する人としてもはなはだ無責任な話ではないかと思いまするが、自治庁長官公債政策はこれでいいとお考えになっているか。むしろこれはできるだけ圧縮する、将来はかようなものを残さない、増大せしめないようにするというふうな考え方も、私は自治庁当局も必要じゃないか。すなわち地方がだだっ子のように公債々々と言ってくるのに対して、ある程度の腹をもってこれに当る必要があるのではないか、こういうふうに思いまするが、この点は大蔵省に言われてやむを得ず公債ばかりに財源を持ってくる、こういうことではなくて、あなたのやり方によっても私はある程度直せるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  12. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) この数年来、地方財政一般財源の不足を公債で補ったということが今日赤字になった一つ原因でありまして、これは決して健全な姿ではないのであります。起債はなるべく投資的経費にのみ限りまして、一般消費的経費起債によらない財源によることがこれは当然であります。しかし今日の現状ではそうばかりも参らぬので、やむを得ず消費的経費の方にもこれが起債を許すことに三十年度もいたしておりまするけれども、大体は投資的経費に重点を置いて起債を許可する方針で、ただいま詮議中であります。三十年度の起債総額は三十九年度と同額にとどめまして、総計一千百四十億円に上るのでありますけれども、そのうち約百十億というものは再建債の方に回すことになりますから、従いまして実際の起債は昨年よりもそれだけ減った額になるわけであります。私は漸次消費的経費に回す起債の願は減らしまして、投資的経費だけを起債でまかなうような方針に向けていくつもりでおります。
  13. 小林武治

    小林武治君 その点に関しまして、来年度は果たして今年度より公債を減らすといべ決意があるかどうか。これは他の財源と必ずからみ合ってくる問題でありますが、とにかく公債は前年度よりも減少するという方向に向っていきたいというような覚悟と申しますか、決意がおありになりますかどうか。
  14. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 現在各地方団体ではいろいろ地方財政を救済する意味と、もう一つ地方の住民の福祉施設のために公共事業をいろいろ計画いたしております。こういうものは当然償還ができるのでありますからして、こういう方面の経費は減らしたいとは考えておらぬのであります。従いまして、消費的経費の方は減らしますけれども、もしその減らした額が公益事業などに回るようならば、総額においては、私は減らさなくてもいいのではないかと、こう考えております。
  15. 小林武治

    小林武治君 それで、今年政府では過去の赤字のたな上げ法律を出されているのでありますが、このやり方としましては、私ども赤字をたな上げするのはけっこうであるが、これと同時に将来赤字を減少させる、出さない、この気持がなければ今年の再建措置というものは全く単なるこうやくばりにすぎない。また二十九年度、三十年度についても同様な措置が必要である、こういうふうに思うのでありますが、これらの方法については、私は政府全体の問題であると思いますが、大蔵大臣はこれを今の程度措置でもって今後の赤字が阻止できると、こういうふうにお考えになっているかどうか。
  16. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほど申しましたように、そこで三十年度はとりあえずああいう程度のたな上げをせざるを得なかった。三十一年度におきましては地方財政実態を、たとえば給与なんかについては調査をいたし、実態を把握いたしまして、そうして地方財政、あるいは地方行政というものがどうあるべきか、どういうふうにあるのが日本にふさわしいか、こういう基本線と同時に、当面すぐ着手し得るものもありますので、こういうものを一切ひっくるめて三十一年度は考えていく、特に大蔵省関係ではそういう意味におきまして私は月末あたりから、あるいは来月早々から発足させようと思っておりますが、税の方の調査会、それから財政自体審議会、こういうものを有力なものを作って、そうしてこの両面から見て地方財政一体どうあるべきか、財源はどうすべきか、中央地方との関係はどうあるべきか、こういうことをすみやかに意見を徴してみたい、こういうようにして三十一年度については財政についてもう少し、ただ赤字が出るからその赤字をたな上げして、何か追われて跡始末だけ、こういうことをしておったらどうしても破綻にいく以外の何ものでもありません。もう少し積極的に地方財政健全化する道はどこに求め得るかということをはっきりさせる、こういうふうに考えております。
  17. 小林武治

    小林武治君 これは何でも攻勢は防禦だ、こう申しますが、大蔵省はむしろ近ごろ攻め立てられてばかりいて、こういうふうなことでむしろ非常に私はお気の毒に思っておりますが、むしろ地方財政の問題なんかは積極的にある程度の私は調査なり意見を持ってあなたがおやりになったらいい。ただ攻められて防いでおる、こういう格恰ではやり切れない、こういうふうに思うのでありますが、もとより大蔵省が打ち出の小づちを持っておるわけではありません。国の財政というものにはある程度のワクがある。従って幾ら攻められてもできないものはできない、こういうことになると思うのでありますが、要するに中央地方との税の配分について一つ大蔵省が積極的に出られたらと、こういうふうに存じますが、いかがでございましょうか。
  18. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 全くその通りだと思います。
  19. 小林武治

    小林武治君 それでいつも問題になってくるのは、交付税の問題であります。私は財政全体を政府がお取扱いになるからして、議員などがむやみに横から口を入れて増額するとかなんだということはむしろ適当でない、こういうふうに考えておるのでありますが、地方財政を見れば、これはわれわれの第三者の目をもってしましても足りない、むろを三十年度もあれでは必ず赤字が出る、こういうふうに思うのでありますが、今の方法によってこれを措置するにはやはり交付税の問題になってくる。御承知のように衆議院にも交付税の増額の法策が出ておる、あるいは自由党もこれを出す、こういうことを聞いておりますが、私ども立場から言えば、こういうものは私は議員立法としてしたくない、こういうふうに考えてその向きを私どもも始終申しております。これは政府財政全体からどういうふうにしたらいいかということをむしろ積極的におやりになったらいいと思うのでありますが、これらの問題につきまして、交付税は私はいやおうなしに変更せざるを得ないことになるというふうに思ってきておりますが、これらの問題について必要によって大蔵省は自発的に措置する、こういうふうな気持があるかどうかを伺っておきたい。
  20. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今申しましたように、地方財政について基本的な線を明確にいたしまして考えてみたいと思うのでありますが、しかしただ単に交付税だけをどうするという問題では私はないのじゃないか。いろいろ地方財源について検討を加え、また市町村と府県との関係についても税の配分状況等についても考えてみなければならないと思いますが、ただ一本でいこうというような考えには必ずしも賛成いたしませんが、要するに私は基本をはっきりさせずにおいて、単に金がいるから金がいるからというような行き方では、はなはだ国家全体としては不幸なことではないかというふうに考えております。はっきりすれば、いろいろな点について考えてみたいと思います。そういうことをはっきりした上で考えていきたい、かように考えます。また皆さんの御意見もよくお聞きしたい、かように考えております。
  21. 小林武治

    小林武治君 税制調査会その他の御腹案があるようでありますが、これは次年度の予算編成に間に合せるようにおやりになるつもりであるかどうか。
  22. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) むろん間に合せるようにお働きを願う。同時にまた恒久的なものもありまして、たとえば三十二年度からほんとうにやる、こういうこともありましよう。三十一年度の当面のこともすみやかにいろいろ御意見をまとめてもらう、かように考えております。
  23. 小林武治

    小林武治君 もう御承知のように会期も切迫しておりますし、財政再建措置法律が通るか通らぬか、私どももよくわかりませんが、これらの問題について、もしもの場合には大蔵省あるいは政府当局はどういう措置をなさるのか。あるいはこれは仮定の問題だから答えられない、こう言われるかもしれませんが、とにかく私は一応のお見通しを持っておられるのじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないのでありますが、あるいはこの法案が通らない場合には政府はどういうふうに措置されるか、あるいはある程度見通しを持っておるか、一つお伺いしておきたい。
  24. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私としてはぜひとも通していただきたいというふうにお願いをいたします。
  25. 小林武治

    小林武治君 私はもう政府立場がよわい、こういうことはもうよくわかっておりまするが、ただずるずるにものを譲る、こういうことでなくて、やはり何か一線がありはせぬかと思う。たとえば国会法案を修正されると、政府の面目あるいは政府の施策にほんとうに影響のあるようなことでも、万やむを得ない、仕方がない、こういうふうにやっておったのでは切りがないと思うのでありまするが、われわれ地方行政委員会関係法案についてもさような傾きがある。こういうことはどうも私は大きく見て国家的な立場でないというふうに思うのでありますが、これらの点についてはどういうふうにお考えになっておるか。すなわち私は政府が堅持すべき最後の立場があるのではないかというふうに考えまするが、いかがでございましょうか。
  26. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 全く私も御意見通りと思っております。私どももやむを得ない、仕方がない仕方がないというわけでもありませんので、できるだけ政府方針を貫いていきたいと考えております。ただこれは政治でありまするので、自分意見通りというわけにもいかない。要するにこれは程度の問題である。政府責任を持ってやり得る限界内でやっていきたい、かように考えております。
  27. 小林武治

    小林武治君 私はそういう趣旨で、大蔵大臣は大野な立場にありますので、同情も申し上げ、又微力でも御声援を申し上げたい、こういうふうに考えておりまするが、全体の問題は、ここが最後だというふうなものを持ってぜひおやりいただくことが必要だというふうに考えております。一応私はここで終ります。
  28. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の小林さんの質問に関連してくるのでありますが、大蔵大臣になお伺いたいと思うのでありますが、それは今の地方財政が非常に窮迫しておる状態に対しては、大臣中央地方一体になった立場においてこれを処理していきたい、そういうふうなお話がありましたが、いわゆる国と地方一体になるという言葉そのものを考えてみますと、これはしごくもっともなんですけれども、その内容につきましてさらにこれを考えてみまするならば、その一体になる形が、これは国が主になって地方が従になるという立場もある、地方が主になって国が従になるという立場もある。そういう点から考えて、結局財政の規模が国と地方とにおいてどういう一つの比率を持っていくならば、これはいわゆる一体になった形が最も好ましい形で現われてくるか、こういう問題になってくると思う。その点について戦前ではたしか私の記憶では地方財政の規模が国を一〇〇とするとこれをオーバーしておる。これがだんだん太平洋戦争に入ってきた場合に、いわゆる国の統制力が強化してきて、それが逆になってきた。はなはだしきは昭和十九年の場合においては、国を一〇〇とすると地方がたしか三〇を割っておった、こういう状態になった。そういう点から考えてみますと、大臣一体になるという形をいわゆる財政の規模からどういうふうにお考えになっておりますか、この点をまず伺いたい。
  29. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは非常に私むずかしい問題であって、いろいろと今お話しの中に現われておりまするように、客観的な内外の情勢にも左右される場合があると思いまして、一がいに申し上げられないと思います。しかしこれは私自身の考えなんですけれども、一応理論的といいますか、地方ほんとうにりっぱになっていくということがやはり私は国がりっぱになっていく。国の費用というものは、たとえば防衛費というようなものがどうなるかという関係もありますから、一がいにも言えませんが、普通の内政費というような面から見ると、やはり私は地方がりっぱになるということが基本じゃなかろうかと思う。要するに、地方が寄り集まって国が成り立つ、その寄り集まった国が使う、国費はあまり多くないことが望ましいという原則論を持つのでありますが、実際から言いましても、今日でも地方財政規模が大きいのでありますが、先ほど申しましたように、中央が一兆円ありますうちからいろいろ地方に分ける、おそらくどれくらいでありましょう、四千億ぐらい、そうすると一兆のうち六千億という形になるわけであります。だから本来地方を大きくといっても、これはそうもいかないかもしれませんが、考え方としてはいろいろ意見もありましょうが、私は特に地方がよくなるという前提である限りにおいてむだなことをするとか、地方がよくなるとかいうことでなくして、ただ財政が大きくなるということは好ましくないのでありますが、そうでない限りは考えられる、かように思います。
  30. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の大臣のお言葉非常に私重要だと思うんです。いわゆる地方がよくなるということは国がよくなるということになります。そうしてお話しの通り地方に重点を置くということになるかと思います。これも大臣考えとぴったり一致してくると思う。そういう点から港えますと、お伺いしたいのは、国からいろいろ補助なども行っておるから地方相当大きくなっている、これはもう十分になっているという考えについては私は承服できない点がある。もし地方をよくするために地方に重点を置いて十分地方の発達を促すということになったら、地方の自主財源というものを相当考えなければならない。その上に立ってその財源が豊富になったときにおいて初めて地方がよくなるのであって、いわゆる国からの補助とか、起債とか、そういうものを流されて、それによって地方がよくなることは絶対ないことは現状において明らかであります。この点についてお伺いしたいと思います。
  31. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今私が申し上げましたのは、先ほどお答えしたように、一つの原則的、抽象的に考えた議論でありまして、具体的にどうということになると、どうしても私は現実の中央地方の今日の行政組織なりあるいは仕事の分量なり等について、やはりメスを入れなくてはいけない、問題はやはりそこにあるのじゃないか。そういうことをせずしていたずらに、たとえば中央で今日のいろいろなことをそのままにして、あるいは地方のことをそのままにしておいて、さらに財源だけを中央から地方に持っていく、これでは中央はどうにもならない。ですから、まあこういうことになれば、私はやはり中央地方を通じて、今日の日本の国情にふさわしい行政組織、あるいは行政活動ということはどうあるべきかということにメスを入れることが一番基本じゃないか。その上で初めて財政規模があるので、財政規模を先にしておいて、それから行政を拡張するということは、これは赤字の累加以外に何ものでもない、かように考えます。
  32. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それはたしかに財政規模のワクを先にきめておいてやるということではいろいろ今のような問題が起る。しかしそういう点を十分検討して、これは三十年度の地方財源においては非常に不足だということも言えるし、現に専門的な立場にあるところのいわゆる地方財政審議会ですか、そういう方面の意見書をみましても、三十年度としては当然一兆四百億を要するのだ、そうするとそれが現実において九千八百二十九億ですか、そういうお話になっておるのでありますから、六百億の不足ということが現に専門家の立場に立って考えても明らかである。そういうことになってきますと、これは現実の上に立っていわゆるメスを入れるとか入れないとかいうことでなしに、ほんとうに現実の立場からみて、ここに欠陥があるということが考えられる。これを一体どう是正していくかということが今後の大きな問題だと思いますが、それに対して大臣基本構想を伺いたいと思います。
  33. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほども御答弁申し上げたかと思うのでありますが、それは今日の地方財政の困窮貧困になったその原因を十分探求をいたしまして、同時に真にやむを得ないというものについては、財源についても考えていきたい。しかしその財源も単に中央からというのじゃなく、今日の地方財源については、いろいろ私はまだ調整する余地も残されておるのではないか、これを一切含めてすみやかに結論を出して、三十一年度の予算には有効に利用していきたい、かように考えております。
  34. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういう点につきまして、いわゆる財源の不足額についてはいろいろ調整していかなければならない、こういう考えでありまするが、現実の問題として、全般の財政計画の出されたときに百四十億の不足ということが結局自治庁からの案としても現実の問題としてはっきりしておる、これに対する処理の仕方、調整の仕方というようなものは、ただ単に節約をするとか、あるいはそういうことによって片づけたようでありまするが、そういうことでは今後の大臣のいわゆる調整されてりっぱなものにしていかなければならないというその構想とはおよそ懸隔のあるところのやり方ではないかというふうに考えますので、ほんとうに調整していくということになったら、いかなる方法によって調整するか、この構想を一つお伺いしたい。
  35. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 繰り返すようで長くなりますが、それを具体的にしていく、まあ地方でも何も赤字の出ていないところも少くないのであります。これは言うまでもなく私は研究に値いする。一切のすべての地方公共団体が赤字であるかというと、必ずしもそういうふうなものとも限らぬ。そうでない、やり方次第では。これはよほど研究に値りするじゃないか、そういう一切を研究いたしましてやる、こういうことであります。
  36. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 どうもその点は私まだ具体的にはっきりしませんので、さらに例をあげてお尋ねしたいと思います。結局今度の三十年度の予算から見ましても、いろいろな手直しが行われた。交付税による一つ方法もあったわけです。あるいは各種の譲与税とか、たばこの専売益金とか、消費税とか、そういういろいろな手が打たれておるのでありますが、われわれから考えると、その打ち方というふうなものはきわめて場当り的なように考えられるのであります。これはそういう方法によってその場その場、その年度々々を調整していくということになれば、やはり私は基本的なものが処理されていない限りは常に赤字に追われていく面が出てくるし、ほんとう地方財政の確立ということはできないと思う。そういう点から考えまして、私はそういういろいろの方法によって調整していくというよりも、やはり交付税なら交付税というもの一本によってある程度これを解決する、こういうことになならなければならぬのではないか、そういう点からみまするというと、現実におけるところの交付税率というものがいわゆる二二%というものはきわめて私は少いもののように思うのであります。これを引き上げて、そうして他のいろいろないわゆるざっぱと言えばおかしいけれども、場当り的な調整というものは姿を隠さなければならぬ、こういうように考えるのですが、それについてお考えを承わりたいと思います。
  37. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) その点につきましては、御意見といたしましては心にとどめておきまして、今後の地方財政の再建についての措置をとる場合に考えていきたいと思います。
  38. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 きわめて頼りのない御答弁でありますが、これは従来そういう地方財政の調整というような形において行われておったいわゆる平衡交付金制度というものと、私は今度の交付税制度というものとは違いがあると思うのです。平衡交付金制度の場合においては、財源が不足してきた場合にはまあ交付金を上げよ、こういうふうな声が出て幾ぶん上げた場合もあるけれども、多くの場合は起債にゆだねた。起債というのは将来においてこれは返さなければならない問題になってくる。あるいは節約をせい、あるいは単価を変更して事業を縮小していく、いわゆるりっぱな事業にならなくなるわけですね。単価を変更するわけですから。そういうことによってまあこれも場当り的に解決してきた問題である。こういう悪条件が交付税制度においては私は払拭されなければならない。そのためにはそういう財政上の問題が過不足が起ってきた場合には、この税率を変更するというようなことが法律にちゃんと定めてある。そういうことによって解決しなければ私は財政の真の調整というものはできないものではないか、こういうふうに考えるのだが、平衡交付金制度のような考え方とやはり同じようにお考えになるのでありますか。
  39. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はその点について見解が違うのでありまして、平衡交付金のときは地方赤字が出ると、あるいは不足すると、平衡交付金で中央が尻を拭うというようなことであったろうと思うのであります。それが起債ということでしたが、これはいろいろ事情がありましょう。しかし今度の交付税交付金の場合においては、むしろこれだけ地方上げるから、その一つ財源によって地方仕事をしてほしい、こういう建前である。そうして従いまして今度の税率というものの私の考えでは、そう軽々に変えるべきものではない、むしろ税率自体が妥当性をもっておるかどうかという点は、私はこれはこれを定める場合に十分吟味をしなければならぬ。二二%が適用されているが、これは初めて今度適用したというわけで、しかもこれは国会において十分御審議の上でおきめになった、こういうものであると思う、私は交付税交付金の建前からして。それからこれはほとんど時間も経過していないというような点から見て、そう私は軽々に変えるべきものではないというのが、私理屈になりますけれども考え方としてはそう考えられるのであります。がしかし、いろいろ地方財政の現情を考えてみた場合、三二%が果して妥当なりやいなやというような点については、これは常に私はやはり考慮していいと思いますが、検討を加えるということはいいと思いますが、ただ軽々に変えるべきでないということは原則として打ち立てておく必要があると思います。かように思っております。
  40. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 先ほどのお話の地方をよくするというふうな立場に立ったら、地方のこの財源を確実にしてやるという建前がとられなければならない。そういう建前に立ってきたならば、いわゆる交付税というようなものを軽々に税率をかえるべきものではないということでなしに、これは十分にこれに頼ってそうして調整していくという建前がとられなければならないように私は考える。ところが今の大臣のお話では、先ほどの地方財政をよくしていくという建前と何か矛盾したような形に私はとれる。他のいろいろな起値であるとか、あるいは単価の変更であるとか、そういう交付金制度のような立場でもってやはり処理していくというふうな考えが抜けきらないのじゃないか。もしそれが抜けきれておるとするならば、確実ないわゆる基本のはっきりしたものによって調整していくという立場がとられなければならない。従ってこれはそのときによって十分この税率というものを変更しなければならないという態度でなければならないと思うのです。ことに今回のように、先ほどお話しのように六百億も当然専門家が見て不足を生ずるというようなことができておる立場に立ちながら、しかも輸々にこの率を変更すべきでないというようなことになれば、これは大臣の先ほどのお話とは全く私はそぐわないものではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  41. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、また結局はお答えが繰り返すようになりますが、私の考えは、どうもそうお考えになると、今日地方のおやりになっておることは何もかもいいのだという前提に立って、それに財源が足らぬからこれは中央からやる、ところが中央はそうはいかないので、中央にしてもやはり一兆円なら一兆円予算というものを組んで、そのワクのうちで一つ国の活動をやっていこう、こう申しておる。そうしてみると、地方においてもやはりそういうふうな制約があって、国と地方を通じて考えなければならない。地方もやはり交付税なら交付税がこれだけになれば、その範囲内において何とかしてまかなっていくというふうに私は一応考えておる。しかしこのほんとう地方のやっておることがすべていいということになるかと言えば、これは別問題である。これは十分私は吟味していく必要があるのじゃないか、かように考えております。
  42. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 これ一点で終りますけれども、今の大臣のお話で、これは地方を疑っておるような立場に立っておる。ところが地方から言わせれば、今日のこの地方赤字というものは大半政府責任なんです。こういうふうになって参るのでありまして、先ほどの大臣のお話の通り地方ほんとうによくしていくということに主点があるのだということになったならば、むしろこの地方のやっていることを疑って、これにメスを加えるというふうな立場ではなしに、もっと私は地方といべもののやり方を信用して、それをどう行政していくかという立場に立たなければならないように思うのであります。これがはんとうに私は地方自治を完成していく建前ではないかと思うのですが、この点についてもう一度伺いたい。
  43. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) いえ、地方を信用しないということを申したことは絶対ないのであります。ただ事柄を明確にお互いにしようじゃないかというにすぎない。
  44. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  45. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をつけて。
  46. 森下政一

    ○森下政一君 先刻来小林さん並びに若木さんと大蔵大臣の質疑応答を伺っておったのですが、どうも抽象的な御議論が多くて、端的にぴったりしたことを伺えないのが大へん残念に思うのですが、ちょうど私は冗漫にいろいろなことをお伺いしょうとは思いませんが、私の考えではこう思っているのです。今の地方財政赤字という問題は、その原因中央やり方のよくなかったということによる原因もあるでしょうし、それから地方が言われておる通りに、放漫でやり方がまずかったということによることもあるでしょう。とにかくしかし現実にここに疑うことのできないのは、約六百億くらいの赤字が累積しておる。何とかこの処理をしなければならぬという問題が一つ。もう一つは、今後において地方赤字ができないような行政の運営をやらしめる。同時にまた先刻大蔵大臣の言われるように、現在わが国の状態からして地方の制度がこれでいいのかどうかというふうなことにも検討を加えて、財源措置も十分にして、赤字の生れない行政が運営できるような状態にもってくる。この二つの問題があると思うのです。そこでこれまでの赤字の解消という問題、これは先刻私が申しますように原因はいろいろあるでしょう。原因を究明すれば国だけが悪いとは言えない、地方だけが悪いとは言えない、両方が悪くて事ここに至ったと思いますが、これを何とか処置しなければならぬ。川島自治庁長官がこれまで本委員会においてしばしばおっしゃっておることは、三十年度だけでこれが処置できるとは思わぬ、三十、三十一両年度にわたって何とか解決したい、こう考えておるのだということを言われるわけなんですが、どうもこの国会に提案されておる政府措置に全体として国民的にも満足を得られておらぬということは、結局政府側が当然責任を感じて、まず地方に改めたいということを言うべきであるけれども政府の方にも責任があるのだということを感じるならば、まず政府の方から打つべき手は徹底的に打って、そうしてしかる後にだから改めてもらいたいという態度をとらるべきだと思うのですが、どうも赤字の処理という問題については、政府が持ち出していくものが非常に乏しくして、逆に地方に対していろいろな監督を強化するとか、あるいは節約を望むとかいうようなことで、地方に要望するのが強過ぎるのじゃないかというような点に私はあると思う。  そこで、これではどうも問題の解決が十分できないのだという気持がするのですが、これは今後において再建措置法についていろいろな審議過程で、国会意見、参議院側の意見が明らかになると思いますが、私は大蔵大臣にこの際お伺いしたいことは、将来赤字の出ない状態になることのために、大臣が先刻来、制度その他について、これがほんとうにこれでいいのかということも十分考えなければならぬということはよくわかるが、そんなことをやっておったのでは、非に長い年月をかけなければならぬじゃないかというふうに考える。そこで私は、どうしても早急に大蔵省として考えてもらわなければならぬことは、何としても国が赤字について責任を負わなければならぬと思うのです。十分の財源措置をせずに地方にいろいろな仕事をやらしたことだと思う。財源の乏しい地方財源措置をせずに仕事をやらせた。これでは地方赤字に苦しまざるを得なかったわけです、私は今後においては、先刻小林さんよりお話があったが、税制審議会のようなところで徹底的な審蔵をされて、何とか地方に、あるいは交付税の税率を引き上げるとか、あるいは独自の財源を与えるとか、何とか財源措置ということについて大蔵大臣として決意を持たなければならぬと私は思いますので、その点を特にお伺いしておきたいのですが、交付税上げると言明していただきたいとも思いません。独自の財源を与えられるとも言明することは、今の段階ではできぬ、こうあなたはおっしゃるでしょうが、それはよくわかる。何とか財源について考えなければならぬということを感じておることでしょうが、そういう感じがないかどうかということをはっきりしておきたいと思うのですが。
  47. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほどからの答弁で御了解が得たのではないかと思ったのですが、先ほどの御質問でも、たとえば交付税上げたらどうか、それだけじゃいかぬ。いろいろ他の現在の地方税等においても、いろいろ考えてみなければならぬというふうに申し上げた。私は何もそういう点については注意を払わんとか、考えていないというわけじゃない。ただ心配するのは、御承知のように中央もこれは財政が苦しい、特に来年度等から相当帯しい予算だ。従って十分に地方財源をお上げするだけの財源がなかなか容易でないという点もある。そういうふうな国全体の状況の場合に、仕事の方は全然考えない、ただ何とかして財源をふやして、仕事はそのままにしていこう、こういう行き方は結局私はいけない。何でも国も地方もやはり分相応ということを——その辺は私は終戦後に無理があると思う。そうして今、大体日本は中央地方も日本の国は身分相応じゃない、私ども考えでは、相応でないところを従来アメリカの援助等からカバーしておった、いよいよ今度独立して、そうして分相応でやろう、こういうことになるのですけれども、どうしてもこの辺でもう一ぺん考え方を改める必要がある。決して長たらしいことを申し上げるつもりはない。お説のような点を考えぬというわけじゃない。十分考慮を加えたいと思います。
  48. 森下政一

    ○森下政一君 大体今お考えはわかったのですが、私は特に念を入れて大蔵大臣決意をお伺いしたいと思いますことは、それはおっしゃる通りです。地方の悪いこともある。制度も改めなければならぬ点もある。いろいろなことがあるだろうと思う。けれども、少くとも国が反省しなければならぬという面は、まず地方を責める前に、国みずからが反省して、これはいかにも財源を与えることなしに、仕事だけをおっかぶせたということが地方赤字で悩ませるに至った、こういうことは明らかだと思うのです。軽々に税率を変えるべきでない。これは基本的なお考えとしてはその通りだと思うけれども、何とか財源措置もしなければならぬのだということはわかっておる。国だけが責めを負えとは私は言いませんけれども大蔵省としてはその点は理解がある、こういう態度を一つ言明してもらうことはできぬか、そういう点なんです。もう一ぺんくどいようでありますが、それをお尋ねしたい。
  49. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私もお考えと違いは多くないと思いますが、そういう点について、私は多くの有力な意見も聞いてやろう、たとえば先ほど申した税制の調査会あるいは財政審議会国会が済み次第発足してやろうというのも、全くその辺の考えにあるのです。
  50. 安井謙

    ○安井謙君 今までいろいろ御質問がありましたが、私は簡単にお伺いしたいと思うのですが、今までおっしゃった大蔵大臣地方赤字対策としては、これは地方財政をもっとなにする、これはおっしゃる通りだろうと思います。さしあたってしかし本年度の問題としては、どうしてもやっていけないなにがある、ほんとうに自治団体として苦労しておって、見るに忍びない団体がある。そこで団体として、再建整備法が一日でも早く通ってくれれば、これをかたにでもして、また当面の糊塗策を講じようと思っておる団体もある。これを混同して考えることはおかしいと思う。少くとも当面の問題に対しては、先ほど小林さんも言われましたが、何か政府としてお考えいただく余地はないか、あるいは、ないかあるかというより、お考えをいただく必要があると思うのですが、この点はどうでしょうか。
  51. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お説の通りでありまして、実は当面の措置をこの三十年度におきましてもとったわけであります。これは地方財政の今日の、これは何もきのう、きょにできたわけじゃなくて、累年の結果です。ですからこれを一挙に解決することはなかなか中央財政が許しません。それで、とりあえず二十八年度までの、その当時までのはっきりした四百六十二億ですか、これにつきまして大体二百億程度が対象になるという意味でこのたな上げをした、従って二十九年以降におきましてこれはどういうふうになるか、これは数字がありません。具体的にこれも現われておりません。これについては、私はやはり措置を三十一年度にはとらなければならぬ、かように考えておるのであります。そういうところでございます。
  52. 安井謙

    ○安井謙君 そういたしますと、具体的に再建整備法案というものが、自治法のいろいろな問題と関連して今度提出されておりますが、実際問題として審議の過程にこれはどうなるか疑問だと思います。ほかの法案については継続審議になる可能性が強い。再建整備法は今のところどうなるか疑問であります。地方団体として、実際問題としてこの再建整備法が通れば、これをたねに今年度の赤字対策のなにに使うという考えを持っております。実際今日これはそういった運命になるのじゃないか。地方団体としては非常に困るということが現実に起ってくる。そういったような切実な団体に対しては、私は全体の検討もさることながら、自治庁においても相当慎重に御考慮をわずらわしたい、これは要望としてでもけっこうであります。
  53. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今年度の地方財政計画について、これは一つの推計にすぎないといえばすぎないのですが、この計画が相当無理な計画をしておるということは、このことは大蔵大臣も十分御承知だと思うのですが、従って地方団体としては非常に苦心をしておりますが、それにもかかわらず、また政府の御希望にもかかわらず三十年度も赤字を出さざるを得ない、客観的にはどうしても赤字を出す必然の運命をたどっておると思うのでありますが、大蔵大臣はどういうふうにお考えですか。
  54. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) まあ大蔵大臣としてはぜひともこの赤字の出ないように希望するという以外にはないのでありますが、出れば、かりに出たとすれば、これに対してやはり措置をとらなくてはならない。
  55. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そこで、今までも何回もやったようでありますが、今回も相当大規模の給与の実態調査自治庁大蔵省協力してやっておられる。その結果が九月ごろには出てくるということをしばしば大蔵大臣自治庁長官も言明しておられますが、しからばこの大規模にやった実態調査、明らかに出てきた実態調査をどういうふうにせっかくの調査——調査をしただけでは何にもならない、どういうふうに取り扱われるかということになりますと、大蔵大臣はいつもその出た上で十分考えるということだけしかおっしゃらない。私は給与の実態調査の結果はどうしても相当の差が出てくると思うのです。この差が出てきたということは、これが全部政府責任だとは私は決して申しません。地方側が今日の労働攻勢に抑されて非常にあまい給与の出し方をしたいという事実も見逃すことはできないと思います。しかしその出た結果をどういうふうに処置していくかということは、出たそのときにやるのだというような出たとこ勝負ではこれは調査をする意味がない。少くとも調査をしておって、そうしてどのくらいのものが出るということが予測されるのですから、今からどんな方法考えようが、実は私どもも心配しておるのですが、政府はそのことを十分考えなければならない、私どもも十分考えなければならない、協力しなければならないと思っておるわけですが、そういう腹案というようなものをお考えであればお示しを願って、私どもも十分それを検討し、私どもも及ばずながら支援をいたしたい、こう考えておるわけですが、腹案についてお漏らし願えれば幸いと思います。
  56. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 給与の実態調査ができまして、まあその給与が非常に高いということであれば、これはやはりその給与の適正ということを考えて参らなければならないと思います。適正な給与であるような場合に、なお財源がどうにもならないというような点については、やはり財源措置についても考えてやらなくちゃならないと思っております。ただその場合に、どういう財源によるかは、これはまあ私は十分検討を加えてみたい、こう思っております。
  57. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 給与の実態にそうした差が出た、その出たものを数を減らす考えでいるのか、つまり職員の数を減らす考えでいるのか、あるいは単価をどういうふうに考えなければならないというふうにお考えになっておられるのか、あるいは両方を考えなければならないというふうに思っておられる小、その点も伺いたいと思います。
  58. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) やはり何か、給与の実態調査ができた上で十分そういう点も考えることにいたしたいと思います。
  59. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 それまでしかなかなか大臣はおっしゃらないのですが、私ども実はそういうことについて心配しているので、何かいい考えがあれば私どもも知恵を貸し、そうしてもし大臣のお考えがあれば、その考えについて御批判もしていい解決を得たい、こういうことで考えていたのですが、お漏らし願えない以上は、それ以上はやむを得ません。いい解決方法をお考え願ってせっかくの資料が出た以上は、その資料によって筋の通る方法、結論をお出し願いたいということを特にお願いしておきます。  次に税の問題で、あるいは大蔵大臣自分はしろうとだとおっしゃるかもしれませんが、そういう専門家というようなことを考えずに、大きな国の財政というふうなことをやっておられる面から、また徴税の方をやっておられる関係からお感じをお聞きしたいのです。現在の税制の上におきましても、まだどうしても勤労所得者の税負担が国、地方を通じて高いということをずいぶん言われるのですが、大蔵大臣はその点についてどうお考えになっておりますか。
  60. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 単に負担が高いか低いかと言えば、それだけの見地だけからすれば、私はやはり負担が大きい、こういう感じを持っております。
  61. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そういうことについて主税局長なり、主税局長でありましょうが主税局長に勤労者の税負担が高いようだから、その面について新らしいいい方法考えろというようなことをお命じになったことがありますか。
  62. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それが実は三十年度で直接税の減税をしたわけでもありまして、私はどっちかというと、これはいろいろ税については専門家の御意見もあると思いますが、よほどそういう傾向もとりまして、シヤウプさんの税制の何は体系としてはいいと思うのですけれども、あまりにも直接税一本ということになっております。ですから日本の国情に果して合うか、果して適当か、だんだんと経済が安定するにつれて、もう少し直接税から間接税へ移行してもいいのじゃないかと私は考えている。これはいろいろ御意見もあると思います。程度の問題ですが、そういうような見解も実は持っておったわけであります。
  63. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 なお税の問題ですが、これを大都市、中小都市というふうな段階に考えてみますときに、同じ税金のもとにおいて大都会になるほど税が安い、これは国、地方を通じて言えるのです。そこで地方で少し目立つような事業家は東京へ本社をみな移してしまう。地方で一流の会社が東京へ来ますというと、虫めがねで探す程度の会社になってしまうので、非常に税負担が軽くなってしまう。こういうことは税の負担の公平という見地からもおもしろくないと同時に、地方側が税収入をだんだん失っていくという傾向を助長する。両方の意味からはなはだおもしろくないことなんですが、これに対する何か適当な名案はお考えになっておりませんか。
  64. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは私名案もありませんが、これはやはり地方の立地条件をよくしまして、そうして産業の地方分散ということが考えられてもいいのじゃないかというふうにも私思います。たとえば電力の高いところにわざわざ工場を置かずに、また置く必要もない。どうもそういう点が人間の習性によるのかもしれないが、大きな都会地の周辺に来過ぎるような、これは工場とかいろいろ利害関係もあります。そういう点を考慮することも経済政策としていいのじゃないか。
  65. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 私は工場の問題もありますけれども、それ以上に本社を東京に置いて税をできるだけ逃げようという考え方、税はなるべく東京で納めるようにして事業場は地方にやる、一番地方側としては厄介な問題なんです。この問題が地方税、国税を通じて大問題なんであります。
  66. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 多少技術的な問題でございますので、私からお答えした方がよかろうと思いますので御答弁申し上げます。今伊能委員のお話しになりましたような点は、確かに一つの傾向としてあると思っております。東京におきましては大きな会社がたくさん集まっておりますために、執行官庁といたしましても、やはり東京における大きな会社というものはまず目につきまして、そうして東京においては三流、四流、五流会社になりますと、やはりちょっと弱くなる。その会社も地方にありますと、地方としては一流会社というのが御指摘の点だと思います。この点につきましては国税局の人員配置等におきまして、やはりそういう点を十分頭に置きまして、大都市中心に有能なる人員を配置するということによりまして、できるだけ御指摘になったような被害をなくするということに現在努力しております。住宅の事情とか、いろいろな事情もございまして、なかなか一度にいきかねまして、いろいろ御批判を受けることを遺憾に思っておりますが、方向といたしましては御指摘のような点が順次なくなっていくものと思います。またそれをなくすべくあらゆる努力をしておるわけであります。その無味におきまして、今後の行政をごらんになって、さらに御判断いただきたいと思います。
  67. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この問題は徴税当局の格段の御努力を希望して、この問題についてはこの程度でやめます。  次に国側の施設についての寄付金の問題を少しお伺いしたい。すでに本委員会におきまして、警察当局に対して、警察が非常な地方負担を悪く言えば、強要してるような、あるいは地元の負担、地元から負担を受けて警察を運営しているということがあるので、こういうことが絶対にないようにということで、強く当委員会から公安委員長並びに警察庁長官、要望いたしまして、今後一切地方側からそういう寄付を受けないようにするという強い言明を当委員会でしておる。同時にそれを地方側に流して、昨日また法務大臣においで願って、法務大臣の所管の問題について地方側にそうした迷惑をかけないようにするというここでの御言明で、これも地方側に流すことにしたのであります。大体予算を組むときに、これは事業官署の方の話し合いの関係もあるものだと思いますが、地方団体からの寄付金を受けることをほとんど条件として査定しておるようなふうにみられるものがあるのであります。つまり土地は地元負担、あるいは建物は地元負担、そうしてあとの経営や人件費は国で持つ、こういう行き方で予算を組んでおる面がある。おそらく事業官署は少しでも、かりに一億の予算をとったら、その予算でできるだけたくさんやりたいという気持からそうなるのだと思うのです。これは政府は見方が足りないという問題でしばしば問題になる補助金の方は、一応単価の見方が足らないとかいう問題があるでしょうけれども、何ら法令によらないで初めから地方負担でやれということは、今日のような経済秩序が立っておる今日としてははたはだおもしろくない行き方であります。これがやはり地方赤字を出した一つの大きな原因である。これは前自治庁長官の西田さんも二百何十億だということを、何年の数字か知りませんが、二百何十億もあるということを言っておられる。これこそ何にも法令によらないで、地方足が非常に希望いたした場合もありますけれども、希望しないけれども、仕方なしに出させられたというものもずいぶんある。この点について今年度の予算の執行については実際そういうことをしなくても済むようになっておるかどうか、この点を伺いたい。
  68. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 私から事務的な御説明を申し上げます。御指摘のように従来国の予算の編成に当りまして、地方の寄付金等がこの予算の一応裏づけとしてある程度財源になっておったような傾向があったようでございます。これはいろいろの原因がありましたのでありますが、たとえば学校をどうしても作りたいという場合に、学校を誘致する地方公共団体の間に競争がありまして、どうしても自分の所へ持ってきてほしいということから寄付金の申し出もあったように承知をしておるのであります。この問題は非常に古くからの弊風とも申しましょうか、シヤウプ・ミッションによって指摘されたことも御承知通りであります。私どもそういうことは弊害も多いものでございますから、年々その是正に努めて参ったのでありますが、ただいま御指摘のように自治庁当局におかれましても今回相当思い切った法令上の措置をとられるように承知いたしております。政府全体といたしましてもそういった点はかねがね是正をしていくべきものと思っておりましたので、一層その点につきましては徹底を期したい。本年度の予算につきまして、私どもはさようなことのないように厳に注意して参りたいと考えております。
  69. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) この点については、一萬田大蔵大臣のはっきりした御答弁を願います。
  70. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私から申し上げようと思ったのでありますが、それは全く私もその通りでありまして、従来そういうこともないと思いますか、今若干あったような話でありますか、今後においては寄付金をいただいて予算考えるということはいたしません。これは私厳に慎しむようにしたいと思っております。
  71. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この点は実は明日総理大臣においで願って、各事業省についてそういうことのないように特に希望を申し上げたいと思っておりますが、これからいろいろ閣内においてそういう問題が起りましたときには、大蔵大臣も強くこの趣旨を主張していただきたいということをお願い申し上げておきます。  次に公募公債、本年度は例の再建整備の法が通りますというと、三百八十億円になることはしばしば大蔵大臣も言っておられる通りであります。二百三十億の一般の方はこれは昨年の二百億より三十億ふえただけですが、これだけでもなかなか消化が容易じゃないので、三十九年度の消化がまだ今年になっても大分できないでいた面もあったようです。二百三十億の一般の公募債を大蔵大臣は絶対に消化できるという御自信がございますか。
  72. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 昨年の公募債も大体あれは妙な形になっておりまして、従来の例から見ても期末にくるまでは借入金として、そうしてたとえば五月ごろになると地方債にふっと振りかわってしまう、そういう意味でおそらく私は五月末くらいでは昨年度の地方債も公募の分は大体消化しておったのじゃないかと思いますが、そういう傾向が一部には起きております。この三十年度におきましては、これはもう御承知のように金融情勢が非常に変化をいたしておることは新聞等で御了承の通りでありまして、これで私あの程度地方債は十分消化できる、なおしかし念を入れたいという意味で、今回は公募債については各府県に地方債消化協議会というようなものを作りまして、日本銀行等もこれに入りまして、ごあっせんをする、こういうことまでしておりますから、情勢は非常に違ってくる、公募債は消化できる、こういうふうに考えております。
  73. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 再建整備の問題はまだここでは議題になっておりませんが、あわせて伺いたいのは、その百五十億の再建整備の分、これも一結におやりにならなくらゃならぬと思うのですが、これは大体地方地方銀行に借りておるものが相当あるのじゃないかと思いますが、そういうものはそのまま置くというお考えなのか、あるいは新しく百五十億の債権者を見つけるというお考えであるのか、やり方をちよっとお伺いしたい。
  74. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) あの百五十億につきましては、大体すでにもう借入金になっておる。従いましてこれを地方債に振りかえる、こういうことになるのでありますが、なおこれを確保いたしますためにその百五十億については三十一年度において資金運用部資金でもってこの百五十億の限度において肩がわりをする、こういうお約束もしておりますから、またこれは従来固定しておった借入金がちょっと債券という形になって、それがすぐ翌年度に現金になる、こういうことですから、これはもう私完全にいくだろうと、かように考えております。
  75. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この公募債の消化につきましては大蔵省大蔵大臣の御協力は絶対に必要だと私ども思いますので、消化につきまして格段の御協力を願いたいということを申し上げておきます。
  76. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) なおちょっと一言申し上げておきますが、二十九年度の公募債の五月末の数字が出ております。九六%消化いたしております。四%しか残っていない。
  77. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 大蔵大臣にちょっとお伺いいたしたいのですが、先ほどから各委員地方財政の困窮の問題についてお話がありました。大蔵大臣は結局そうした問題についての基本的な問題として行政のあり方、国及び地方を通ずる行政のあり方というものにメスを入れなければ根本的な解決ができないというようなことをお話しになったのです。私も全く同感の意を表するのです。いろいろな問題がありますけれども、その期するところは現在国と地方との事務の配分、言いかえるならば、どこまでが一体国の事務で、どこまでが地方の事務かという事務の配分がすっきりしないために、従っていろいろ地方の方でも国から言われればやむを得ないからこれをやると、その結果は赤字をしょっても仕事をしなくちゃならないと、こういったようなことが非常に多いと思うのです。従って根本的には大臣のおっしゃる通りに、私はせっかく神戸勧告もあるのですから、一日も早く国及び地方を通ずる事務の配分というものをきめることによって、そうした根本問題が解決される一つ方向を与えるものと思うのです。それの一つの例として先ほど大臣のお話しのように、国が一兆円だとこう言われるけれども、そのうちには四千億円も地方補助金なりそういう形で地方仕事をしてもらうという分が大部分占めているのだというお話がある、そこで私はやはりそういったものが一体国は一兆円だと言い、地方も一兆円を越す予算だと言うけれども予算の体系から見ると、ある意味からいってダブっておるのじゃないかという感じがするわけです。従って一体大蔵省が根本的にはこうした今言う通り事務配分を明確にし、それに伴う補助関係というものを根本的に整理して、そうして国で持つものは三分の二補助とか、二分の一補助とか、しかもその単価を十分見ているとか見ていないとかいう論争を外にして、国の事務で機関委任なり団体委任なりして見なければならないものはまるまる見る、そうして足りないときには今度のちょうど健康保険のようにかりに二割なら二割は翌年できちっと精算させて、そうしてそれの関係をきめるというように、現在の補助制度といいますか、そういうようなものに一体根本的にメスを入れられるお考えがないのかどうか、その点について私は大蔵大臣に御見解を伺いたいと思います。
  78. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私も考え方としては御意見のように実は考えておるのでありますが、実は実際にこれをすぐそういうふうにやれるか、その点はなかなか問題だと思います。ですからこういう点も十分検討を加えてやりたい、かように考えております。
  79. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それでもう一点大蔵大臣にお伺いしたいのですが、急にはいかないと、こう言うのですが、実際どうなんでしょうか、現在大蔵省の主計局の査定をわれわれいつでも見ますと、こうした補助金なんかにつきまして、いわゆる切り捨てごめん式にどうも単価の切り捨てがあったり、十分見ていないというところに非常な問題があると思うのですが、そうしたものについて相当の私は数字的にも多額に上っておると思いますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  80. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。この点は従来とかく補助単価が低いという御批判がございまして、私も十分注意をして参ったのであります。先ほど大蔵大臣もお答えになりました通り、本年度におきましても、一方におきましては不要不急の補助金を整理いたしますとともに、どうしても緊要な補助金につきましては単価の是正その他についても心を配ったつもりでございます。なお十分とまで行っていないというお話もございますが、人件費等の単価につきましては、明確に人員が多過ぎるので単価が低過ぎるというものにつきましては、人員を現実に合せまして、そのかわり単価の是正をはかるという方針をとりまして、若干是正をいたしたものもございます。今後におきましては、先ほど大臣からお答えになりました通り、これはなかなかむずかしい問題がいろいろございます。高橋委員も御指摘のように、中央地方の事務の配分の問題にも関連いたしますので、大蔵省だけではきめられないいろいろな関係がございますが、これらの点につきましては、大臣からお話のございました調査会等の活用もはかり、また関係向き向きのお話も伺いまして、今後とも漸次合理化を進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  81. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 その次に大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、大蔵大臣は先ほどどうも地方が借金政策で起債をやったりなんかして、非常に放漫に流れるというようなお話があったように思うのですけれども、ところが実際地方財政をきめるときに、最初からこの部分はもう起債によるのであるとか、そういうような工合に初めから起債を当て込んでいくような財政計画を立てさせておいて、そうして起債があれだということはどうも私は受け取れぬと思うのですが、将来地方財政についてそういう起債ならば起債は、仮に水道ならば水道で何年間のうちにこれは収支計算ができるから、こういう投資的なものに限るのだとか、何かそういうめどがあり、あるいはまた災害に対する負担金にしても、むしろこれは思い切って国としてやらなければならぬものならば、全額国庫負担というような工合にして、それを起債に合せるという根本的なそうした起債政策に対する国の方針がきまらぬ限りは、私は大蔵大臣が幾ら地方起債をするからいかぬとこう言っても、どうもむしろ私は国側にあるので、その点がどうも受け取れぬと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  82. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お考えは私も同じような考えです。これは必ず起債については確たるこういうところに起債するということの基本の点はあらかじめなくちゃいかぬというふうに思います。一つ私はそういうことに関連して、私経験も浅いのでありまするが、この地方財政について中央からいろいろと財源を与えるとか、いろいろやっておるが、地方財政については地方ではどうにもならないという制度になっておるのでありまして、当然地方財政は従っていろいろな理由からふくれてくる。中央の方から金を、財源をよこしておいて、地方はそれかといって、地方はそれかといって地方財政はどうしようといっても何もできない。こういうふうなところがもう少し中央地方を通じての財政という以上は、もう少し友誼的な関連を——何も監督をするとか、地方自治をどうするとか、そんなむずかしいことじゃなくて、総合的に財政というものが勘案されるように持ってゆく必要があるのじゃなかろうかと考えております。
  83. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そこで私は大蔵大臣にお伺いしたいのです。私も大蔵大臣が今おっしゃったことに同感ですが、一つには地方財政と一口に言いますけれども、非常に地方財政財政的に見ると、あるいは財政の内容的に見るというと、非常にまちまちなんです。従ってある意味から言うと、貧乏なところもあれば金持のところもある。それを一口に地方財政という言葉で現わすということはむずかしいと思う。それから今大臣のおっしゃる通りに相互にもっと考えたらどうかと思います。そういう点もあるのです。言いかえれば、いつでもそういう形だと地方財政というものは国にだけ頼る、こういうような形で行っているのですが、しかしながら今申した通り地方にも相当楽なところもあり、若干余裕のあるところもないではない。そういう意味から言えば今のように何でもかんでも中央でめんどうをみるという形のほかに、やはり地方自治金庫のようなものを作って、相互に醵出もさせ、あるいは若干国で見るなら見る、そうしてもう少し何と申しますか、国の基本的な施策に伴う起債の以外は大体そこいらで見ていく、しかも総合的にお互いに助け合っていく、そこで初めて自治精神も育成されていくと思うのですが、そういう総合的に寄り集まって、しかも政府が若干育成も考えて、そうしてそうした問題を自主的に解決させるというお考えはないかどうか、その点についての……。
  84. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御意見については今後検討をしていきたいと思います。
  85. 小幡治和

    ○小幡治和君 大体今高橋委員相当触れられた問題なんですが、もう一歩というところを一つお聞きいたしたいと思うのですけれども、今の地方財政というものが数百億というものを毎年毎年こうやって赤字々々といって、毎年年中行事みたいにしているわけなんです。こいつは相当長年の累増したものが赤字になってきていると思うのですけれども、その根本原因というものはやはり人件費の問題だと思うのです。ことに人件費の中においては府県庁の公務員——というよりむしろ教職員の問題が大部分だと思うのです。それのベース・アップをやったときの政府やり方というものが理論給与でよこした、それで、府県としてはそれを実際の給与というものでやらざるを得ない、そこで当時の大蔵大臣なり文部大臣の話し合いによってそこは解決しなかった。ですから、それならば実際理論給与でやれというのなら、文部省も文部大臣もそれでもってやることを容認したならばそれで断行できたと思うのです。しかしそのときはそういうことはできなかったということで、結局その地方庁としてはもうやむを得ずそこに赤字が出た。そいつが累増してきて今日になってきている問題が一番大きな問題。あとの単価の問題もありますけれども、いろいろ補助金なんかの単価についても、実際上これじゃ常識上できぬような単価というものはずいぶんあるわけです。そいつを執行するという以上は、その単価を上げてやらざるを得ないというふうなものがある。そういうものの累増だと思うのです。ですから今日の赤字というものが単に地方庁が放漫な県政なり市町村政をやったということじゃないと思うのです。その点については大蔵大臣としてはっきりどう思っていらっしゃるのか、その点一つお話し願いたいと思います。
  86. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私も地方公共団体だけに責任があるとか、そういうことを申しておりません。それは中央もまた考えなくてはならない。しかし地方もあるだろう、こういうことで、それで単に責任呼ばわりするよりも実態を明らかにして、両方で力を合せて一つ再建をはかろうじゃないかというのが第一点。  それから教員の給与でありますが、これも私も十分研究してみなくちゃなりませんけれども、これは半願は地方負担しております。これはどうでありましょうか。私はその他の公務員がこれは私は地方が高いのじゃないかという気もいたしております。これはしかし実態調査した上で明らかになると考えております。
  87. 小幡治和

    ○小幡治和君 そうすると、今の実態調査というものは公務員というか、要するに教職員も一緒にやっておられるわけなんでございますな。
  88. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 一緒にしてやっております。
  89. 小幡治和

    ○小幡治和君 一緒にして……。そうすると、さっきの伊能議員の質問の問題になるのですけれども、もしそれが政府考えと、一応理論給与というものの正当性という問題もありますけれども、実際の問題とのそこにそごが出た場合に、政府としては予算的に考えるということになるのですか。それとも人員世整理というか、そういうことで考えるのか。それとも今言ったまあ俸給を下げるのか、また昇給停止をするとかいうふうなことになるのですか。そこらの点の御方針はどうなんです。それによって私も考えていかなければならぬと思うのですけれども
  90. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはまあ先ほどもお答えしたと思いますが、実態を見まして、とにかくすぐそれに足らぬから金を出すというわけにもいかぬ。これは給与のやはり適正化を考えなければならない。適正な給付であってなおかつ不足がある、こういうことならこれはやはり財源考えていかなければならぬ、かように考えております。
  91. 小幡治和

    ○小幡治和君 そうなりますと、いろいろ赤字再建、赤字の再建促進の法案も出ており、また自治法改正案も出ておる。また今交付税の率をもっと上げてくれという問題も出ておりますが、要するにそれらの根本原因というのはやっぱり赤字原因だろうと思う。赤字原因というのが今言ういわゆる公務員、教職員の実態調査関係してくるとすれば、こいつは実態調査したあとにおいてすべてこういう問題は地方財政全般として考究すべきものだというふうな気がしているのですけれども、その点どうですか。
  92. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) まあ私の考えでは、そう大きな狂いを生じなくてやれるだろう、かように考えております。そこでただ待っておりまして、そうして——というわけにもいかぬ。できるだけ可能な限りにおいて赤字を解消し、かつ赤字を処理していく、従来の赤字を処置し、かつ将来の赤字の解消を可及的にやる。これ以外に実際的なやり方はないだろうと、こう思っております。
  93. 小幡治和

    ○小幡治和君 どうもその点についてはちょっとわれわれとしては解せない点もあるのですけれども、まあその点はその点といたしまして、それからまあ全体がそういうことで、これから地方財政赤字というもののたな上げと言いますか、そういうこともやってきれいにするということになると、将来ふたたび地方財政というものがこうやって赤字をまたふやしていくということのないようにしなくちゃいけないと思うのです。そういう面についてまあ根本的に地方財政赤字になったという原因を探究して、そうしてこれを赤字再建によって整備した以上は、これからはもうそういうことがないという方策が同時に出されなければならない。これはもう赤字を一応作ったやつを何とかこうやって再建をやって、そうしてまたその翌年からまた赤字が出てくるというのじゃどうにもならぬ。そういう面について政府は再建の促進についての法案を出されるとともに、将来赤字をなからしめるという意味における政府の施策というものがどこにあるか、自治法改正案も出ていると思うのですが、自治法改正についてもいろいろ議論があって、今の状態においては、衆議院の修正した状態においてはあんなことで一体いいのかどうかと考えられるのですが、一体赤字というものをなくして、将来さらにこれ以上赤字というものを生ぜしめないように一つ方策というものをどう考えておられるか、これは一つ大蔵大臣自治庁長官にお伺いしたいと思います。
  94. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほど申しましたように、二十八年までの赤字について三十年度の予算で一応たな上げをする。なお将来において赤字が出るという状況、今後においてはまあ三十一年度の予算において一応私はその処理を済ましたい、しかしほんとう基本的にいくのには、これはまあ私の考えを卒直に言うて、やはり地方行政のあり方までいかないと、将来多年にわたってもう大丈夫だというところまでなかなかいかぬのじゃないかという気はいたしております。
  95. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) まあ赤字原因は小幡さんのお話しの通り一つは給与であり、一つ補助金なんかの使い方が悪かった、その通りであります。給与につきましては、現在の給与の根本方針が能率給ではなくて生活給でありまして、同一学歴、同一勤続年限、同一俸給、こういう原則に立ってやっておるわけですが、国家公務員ですとこれが画一に行くのですが、地方公務員ですと、各団体みな別々でありまして、特に高いところもあれば低いところもある。そういう点を今調査しておるわけでありまして、国家公務員の給与に比べましてどうなるかという結果をみまして、これを是正するつもりでおります。どうしても給与の面において赤字が出るというなら、これはやっぱり政府において財源措置をする必要があると思いますが、これは今結論は申し上げかねるのでありまするが、それにいたしましても、根本的に地方機構というものを直しませんと、ただ交付税だけのパーセンテージを上げたんじゃ、これは始終直していかなければならぬのでありまして、たとえば教育費などは、今年約七十億近く増額をいたしております。七十七万の児童増に対するこれは増額でありますが、年々これが繰り返されるわけでありまして、一体こういう点をどうするかという機構の改革をしなければならぬ。それとあわせまして財源措置をしよう、これを三十一年度においてやろうと、こういうことが大蔵大臣と私どもとの間の話し合いであります。機構の改革の面と、それにあわせて適当な財源措置、こういう考えを持っておるわけであります。
  96. 小幡治和

    ○小幡治和君 今大蔵大臣並びに自治庁長官のお話ですと、結局これの赤字を将来において解消するためには、ある程度地方制度そのものも改革していかねばならず、また機構そのものも改革せねばならぬ。それは今度、来年度の予算編成のときにあわせて考える、こういうことであるのですが、そうすると、そういう問題については、来年度予算のときには一応成案というものは出し得るわけなんですか。
  97. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) この鳩山内閣は、第二次内閣ができましたのが予算編成間際でありまして、すぐ議会に臨みまして、十分な施策ができなかったのでありますが、来年度予算編成までには構想を練りまして、それを具体化したいと思いまして、大蔵大臣とはまだ協議をしておりませんが、その他の関係大臣と私は寄り寄り相談をいたしておるわけであります。
  98. 小幡治和

    ○小幡治和君 まあそこらでとめまして、結局今後なくする問題として、今地方財政というものを見てみますると、今後そういうふうにしていただいて、さらに赤字が出るというふうなことの一つ原因というものは、結局起債の元利償還の問題だと思うのです。先ほどもちょっと話がありましたが、公共事業というものに対する根本的考え方の問題だと思う。そこで公共事業という問題が、これが各府県においてほんとうに自治というものを認めて、そして貧乏な県においては公共事業もやめておけと、富裕な県においては公共事業をどんどんやれと、こういう方針なのか。そうでもないとすると、実はもうそうであってはいけないので、幾ら自治といっても、道路とか橋梁とか学校というものは国家的要請によってやっているので、たとえば貧乏な県が、道路や橋梁を金がないからといってやらなければ、これは交通ができないわけなんで、そういう意味において、公共事業というものは相当程度国家として考えなくてはならぬ面がある。そうすると、公共事業に対する今の国家の補助と、それから起債にこれを依存している面と、それから自己負担によっておる面との、この問題だと思う。今まではこれは、相当その府県に対して、起債でもって全部まかなえるようにしてきた。その起債をやるときには、自治庁にしても大蔵省にしても、十分にその県のいろいろな事情というものを勘案して、そして起債というものは相当査定して認めておる。そうすると、その起債の査定をして認めた以上は、その府県なり市町村というものの将来の償還計画なり、またその市町村財政なりというものを勘案して、将来も責任を持てるという意味において今まで起債を許してきたのか、それとも事業をやる、そのために起債が必要だ、ある程度措置は認めざるを得ないというので認めてきたのか、それによって違うと思うのですが、今日地方庁といたしましては、また起債の元利償還というものが累積してきて、ほとんどその県の税収が全部その起伏及び公債の元利償還に充てなければならぬというところもずいぶん出てきつつある。それじゃ地方財政をこれからやろうと思ってもやれない。その原因というものは地方責任だとは言えないと思う。そういうものについての公共事業の根本的な考え方と、公共事業に対する起債の元利償還という面を国家的に見るかどうかという、その点について大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
  99. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) その点については先ほどお答えしたと思いますが、御意見もあったと思いますが、先ほどやはり起債の、地方債を発行する一つの基準というものを、こういう場合があるということをはっきりさせる、あるいは国の地方における事業というものをはっきりさせる、こういうような点を考えていくべきだと思っております。同様に、公共事業については私も今度初めてこういうようなことを承知いたしたのですが、どうも今のようなばらばらで、これは聞いてみれば、各省で非常にやかましいので、お前の言うようなことはできぬと言われるようでありますが、総合的に、かりに各省に分散しておっても施行面をどこかで総合的に統括してやったら、よほどうまくいくのじゃなかろうかと思っておるのであります。これはなかなかむずかしそうであります。各省がなかなか言うことを聞かぬのです。まあそういうことがないように一つ統括してやったら、よほど公共事業地方においてもむだなものを出さずに、しかもそれが動いていく。どうも今のようなばらばらにしておけば、あるものはできておる、あるものはできていないというので、全部が動かぬというようなことがあると困る、そういうことも考えてみようと思います。
  100. 小幡治和

    ○小幡治和君 大体そこまで考えておられれば、あとは各省と大蔵省の問題だと思うのでありますが、そこまで触れませんが、結局災害の問題で、まあ以前は災害に対する国の補助というものは、たとえば七割とか六割五分であった。それが最近においては九割補助ということで非常にうまく行っておる。そうすると、前に一体六割五分なり七制の補助してやったものが、そのあとは何かというと、皆地方起債になっておる。それを元利償還をやらなければならない。そうすると、前に災害を受けたところと、最近災害を受けたところと、取扱いというものは現在非常に違ってくる。それについては現在交付税をやるいろいろ基準の計算の中に入れてきていただいておるわけであります。それと同じ意味において、公共事業の分という点も今私が申し上げましたように、相当国家的要素が強い。地方があまり貧乏なら、お前道路は作らぬでおけというわけにはいかぬということであれば、この公共事業に対する元利償還というものの補給と申しますか、それをもう少し交付税の中においてみるということを将来港えていただかなくちゃならぬと思う。その点について。
  101. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 大へんごもっともな意見と私は拝聴します。これはやはり財政関係もありまして、検討を加えていきたいと思います。
  102. 小幡治和

    ○小幡治和君 最後に一つ。それでは今度のまあ赤字再建整備をやられまして、これでいくことになると思いますが、そうなると、これの中の一つの要素というものは、やはり国としての責任というものもある。地方赤字というものができたことに対して国の責任もあるということを認められて、そうしてある程度財源に対しての手当、またいろいろこれの利子補給の問題が出てくると思う。国の責任が全然なければ、そこまでやられることはないと思う。そうすると、その国の責任というものは、現在赤字を作っておる県においても、作っておらぬ県においても同じだ。そうすると、非常に苦しくて、苦しい中にも国の責任のものまでしょって、しかも赤字を出さなかったというふうなまあ非常にけなげな府県並びに市町村というものがあった場合、赤字を出したところに対しては国はさらにこれに恩恵を与える。国の責任においてやったものすらも地方がかぶって、そうして何とか黒字でやってきたというのに対してそれをほっておかれるのか、それともその黒字の県というものも非常に財政難で困っているのですから、そういう面に対しても何か少しはめんどうをみるのか。要するに国の責任において赤字を出された。しかし、その地方公共団体はそいつを自分責任においてその赤字を解消してきたものに対しては、政府はおっぽり出しておくのか。これは重要な問題だと思いますから、一つ
  103. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) まあこれは地方公共団体は赤字を出さないのが、これは本務であります。赤字を出さないことを特にほめることもない。従いまして、赤字を出した公共団体、これは別に負けてあげるわけじゃない、七ヵ年で年賦で一つ今後払ってもらおう、こういう言いかえれば地方債で一応たな上げをしてあるわけです。そういうふうにしてやはり努力をしてやってもらわなくちゃならぬ、かように考えております。
  104. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 大蔵大臣に対する質疑の機会はまた別にあると存じておりますので、本日はこの程度にして、大蔵大臣への質疑を終りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めます。  ではさよういたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後四時三十九分開会
  106. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 午前に引き続き、委員会を再開いたします。  前回の委員長理事打合会で決定しておりますように、本日法案あるいは請願等で処理しなければならない問題がございますから、逐次議題に供します。  まず市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案衆議院提出案を議題に供します。まず発議者より提案理由の説明を聴取いたします。
  107. 門司亮

    衆議院議員(門司亮君) ただいま提案になりました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案の提案の理由の説明を、提案者一同を代表いたしまして、御説明を申し上げたいと思います。  市町村職員共済組合法は、本年一月一日施行されたのでありますが、同法によりますと、共済組合はその組合員に対して長期給付を行うに当りまして、同法の施行に伴って厚生年金保険の被保険者から組合員となった者については、厚生年金保険の被保険者であった期間を組合員としての期間に合算するとともに、一定の金額を厚生保険特別会計から共済組合に交付すべきことを規定いたしております。一方同法の規定の適用を受けない市町村は、同法の長期給付に相当する給付を別に行わなければならないのでありますが、この場合厚生年金保険の被保険者であった期間の合算については明確な規定がなく、又厚生保険特別会計からの交付金の規定もなく、その間の取扱いに均衡を失するものがあるのであります。そこで、適用除外市町村が長期給付に相当する給付を行う場合におきましても、市町村職員共済組合の場合と同様に右の合算措置を講ずべきものといたしますとともに、これに伴い厚生保険特別会計から一定の金額を適用除外市町村に交付することといたしたいのであります。  以上が本法案の提案の趣旨並びに内容の概要であります。何とぞ慎重御審議をいただき、すみやかに本法案の成立をみますようお願いいたす次第であります。  なおこの際つけ加えてもう少しその数字的内容にわたって御説明を申し上げることがよろしいかと考えますので、申し添えて御了解を得たいと思いまするが、今日適用除外町村の職員のうち、厚生保険の被保険者でありまする者は大体二万人ぐらいと推定されるのでございます。そうしてそれの平均標準報酬月額は大体一万円と相なるかと存ずるのでございますが、これに被保険者期間の平均七十カ月、さらに被保険者の年令の平均を三十二才として勘案をいたしまするときに、厚生年金から、いわゆる特別会計から一定の額を除外町村に交付するというその額の総額は大体四千九百万円ぐらいになると考えられるのでございます。  以上参考の意見を申し添えまして、私の説明を終りたいと思います。
  108. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は御発言を願います。  速記を止めて下さい。   〔速記中止〕
  109. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて下さい。  政府側にお尋ねしますが、どうしてこういう議員立法が出てくる経緯になったのか、またこの法案について、政府側の所見としてはどういうことであるのか、御説明を一応願っておきます。
  110. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 実はこの法律案につきましては、われわれといたしましても当然こうあってしかるべきものと考えて、異存はちっともないのであります。それで自治庁といたしましても、実はこれを修正すべきじゃないかというので昨年の末、ちょうどことしの一月一日から共済組合法が施行になるものですから、それまでに話をつけるものならつけたいと思っていろいろ関係省と話しておったんですけれども、なかなか了解に達しないままで今日に至ったのであります。そこでそういう事情もありまして、国会の方でお取り上げになったのでございまして、全然われわれは異存はないのでございます。
  111. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 別に御質疑はございませんか。
  112. 小林武治

    小林武治君 そうすると、今の数字で一つお聞きしておきたいんですが、今度のこの法案の適用になる人は二万人、こういうお話がありましたが、団体の数はどれくらいになるかわかりませんか。
  113. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 数は五十七です。
  114. 小林武治

    小林武治君 そうすると、ことしの一月一日から施行されたもので全市町村がすべて入っておる、そういうことが言えますか。
  115. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) そうです。今の市を除きましては、組合へ皆入っておるわけでございます。組合でやるか、自分が独自にやるか、やらざるを得ない建前になっておりますから。
  116. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認めて、これより討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。  別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入ります。  市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  118. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお前例によりまして、本会議における委員長の口頭報告の内容、報告書の作成等につきましては、便宜委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それから報告書に多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  120. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に、ただいまここでかかっております法案関係を除いた請願について議題に供します。
  121. 福永与一郎

    ○専門員(福永与一郎君) ただいま議題になりました請願は、現在多数かかっております請願の中から当委員会で御審議中の諸法案に直接関連しないものだけを九件抜き出して、ただいまお手もとにございます分だけを拾い上げたわけでございます。順次御説明申し上げます。  まず請願三十六号、栃木県南摩村を鹿沼市に合併するの請願、これは町村合併促進法三十三条の規定によりまして、町村の合併の手続を議決をしたのであります。両市村の合併の申請書を昨年の十月二十五日に栃木県知事に提出したのでありますが、知事はこれを保留したまま四カ月を経過いたしましたので、本年の三月十五日付をもって内閣総理大臣に合併に関する審査の請求をいたした件でございます。そこで請願の趣旨は両市村の合併処分を促進するように御配慮を願いたいというのであったのでありますが、昨日内閣総理大臣の処分がありまして、請願の趣旨の通りに決定いたしました。
  122. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 本問題は、内閣において願意の通り決定を見ておるというのでございまするから、手続としては保留といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ではさよういたします。
  124. 福永与一郎

    ○専門員(福永与一郎君) その次は、公職選挙法中一部改正に関する請願、第二百十二号であります。請願の趣旨は、現行の公職選挙法第二十六条によりますと、選挙人名簿登載の要件は、補充選挙人名簿調製の期日によって調査しなければならないことに相なっておりますが、請願者の申し分は投票当日までに有権者となるものも相当あるのであるから、選挙権の要件の一つとしての年令計算は投票日現在で、投票日に成年に達するものは前もって名簿に登載されるように法規を改正していただきたい、かような趣旨でございます。
  125. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 政府側御意見ございますか。
  126. 兼子秀夫

    政府委員(兼子秀夫君) 本件につきましては、現行法は二十六条の規定によりまして、名簿調製の期日に年令の計算をすることになっておりますが、二十七年の改正によって現行の法律ができたわけでございます。それ以前はこの請願の趣旨のようになっておったのでございますが、なぜかくのごとく改正されたかと申しますと、二十七年の改正以前は町村の運動期間が二十日であったわけでございます。それが改正によりまして十日になりました関係上、この告示をいたします場合に、調製の期日が選挙の告示以前になるということが考えられるわけでございます。従いまして、事実上この計算の基礎にとれないというようなことから現行法になったのでございますが、この請願の趣旨を考えてみますと、さらにできるだけ投票期日に近づけるという趣旨からいたしますれば、基本選挙人名簿の確定の期日、第二十条の規定によりまして、年令の計算は名簿確定の期日によって算定するということになっておりますいで、補充選挙人名簿におきましても、それと同じように名簿の確定の期日によりまして、投票日より数日以前でございますが、そこまでは最大限持っていけるというふうに考えております。
  127. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それでは採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。
  129. 福永与一郎

    ○専門員(福永与一郎君) その次は、第二百八十二号、消防施設強化促進経費国庫補助増額に関する件、これは消防施設強化促進法によりまして、国庫補助が二、三年前から消防施設の強化促進のために出されておりますが、地方財政難にかんがみ、また消防の公共性にかんがみて国庫補助を大幅に増額してもらいたいという趣旨の日本消防協会長岡本愛祐君からの請願でございます。
  130. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。
  132. 福永与一郎

    ○専門員(福永与一郎君) もう一つ順序が逆になりましたが、二百八十号、消防関係でありまして、消防団員の公務災害補償費国庫負担に関する請願、同じく日本消防協会長からの請願でありまして、現在の消防組織法によりますと、消防団員の公務災害は当該市町村負担と相なっておりますが、疲弊弱化した市町村財政ではこれに応ぜられない現状でありますから、消防団員の公務災害補償に要する費用は全額または相当額を国庫において負担せられるようにお願いしたいという趣旨でございます。
  133. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この請願は私が紹介しました関係上、一言御説明申し上げておきたいと思います。消防の災害はよそへ応援に行くような場合でも、原則としてその消防団として所属した町村が負担するということになっておりますので、よそへ応援に行くのに災害を起して、そうしてしょいこみになるというような面もありますので、幾分国家的にもこの点をみてやらなければならない性質のものではないだろうか、こういうふうに私も考える次第であります。かといって、今日民主消防という立場から市町村消防になっているのでありますから、原則としてやはり市町村負担することは当然であります。しかしながら幾分考えなければならない、まあこう思うのです。現在任意的ではありますが、この保険制度ができておりますので、県単位あるいは数市町村にまたがる保険組合といいましょうか、できております。建前としてはこれを法制化してやって、そうしてその全体の事務費を幾分国家で持つとか、あるいは保険費の幾分かを国家で持つというような考えで進むのが適当ではないだろうか、こんなふうに考えておる次第でありまして、どういうふうな形で国で取り上げられるにいたしましても、何とかそこに市町村だけで負担するという今日の建前を、少し一歩国家的に進めていただきたいと私も考える次第であります。
  134. 鈴木琢二

    説明員鈴木琢二君) 消防関係公務災害補償補助の問題でございますが、この問題は、今回消防協会から請願が出ておるのでございますが、今日に始まった問題ではございませんで、相当古くからこの問題は要望の強かった問題でございます。現在一応法制的には整備いたしまして、消防法とか組織法によりまして、消防職員、消防団員、それから消防に関する協力者に対して市町村が、災害を受けた場合に公務災害補償をいたすことになっておるのでございますが、ただいま伊能委員からお話しのございましたように、市町村財政が御承知のように非常に窮乏いたしておりますために、条例をきめていないか、あるいは条例でそれをきめておりながら、実際規程だけの補償金を出していないという所が非常に多いのでございます。あるいは全然給付しないとか、あるいは二分の一はまだいい方でございまして、五分の一を給与するというような所が相当な数に上っておるのでございます。これは一つには、もちろん市町村財政が苦しいためではございますが、ただいまもお話しがありました通り、消防職員の活動の範囲が、単にその自分の所属の一市町村にとどまらずに、他町村、隣接町村並びに隣接府県にまでまたがって活動するというような問題が非常に多うございますので、これらについてはやはり相当国庫から補助すべきが当然ではないかというようにわれわれとしても思われるのでございます。そういう観点から国家消防本部といたしまして、従来から予算編成の際には、これに対する国庫補助を要求いたしておるのでございますが、国家財政の都合上、なかなか国家消防本部の案も通らないような状況で現在まで参っておる次第でございます。それで国家消防本部といたしまして、今日まで計画いたしました災害補償の補助の内容を簡単に申し上げますると、過去五年間の実績を平均いたしまして一応基礎数字を出しておるのでございますが、この五年間の実績の半分、二分の一を国庫から補助していただきたい、こういうことで、その二分の一の国庫補助金七千八百万円を予算として今年度も要求いたしたわけでございますが、同家予算の都合で認められなかったような状況でございます。その必要性は先ほどから申し上げました通りございますので、何とか国原予算が都合がつきましたら、ぜひとも二分の一程度補助金市町村に与えるような措置をとっていただきたい、こういうのが事務当局としての強い要望でございますので、この請願といわば同じ気持でおりますので、一つそういうようなお取り計らいをお願いできれば、事務当局としても非常に幸だと、さように考えておる次第でございます。
  135. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 採択して内閣に送付すべきものと決定して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。速記をとめて。   〔速記中止〕
  137. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。
  138. 福永与一郎

    ○専門員(福永与一郎君) その次は第三百八号、風俗営業取締法中一部改正に関する請願であります。これは先般の玉突きの問題でありまして、すでに解決済みの問題でございます。  その次は第三百七十五号、空気銃使用制限に関する請願、第六百十七号は飛び出しナイフ等所持禁止緩和に関する請願、第七百九十一号は、空気銃使用制限に関する請願であります。
  139. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 以上は過般の法案審議に際して一応結論を得ておりますので、保留することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ではさよう決定いたします。
  141. 福永与一郎

    ○専門員(福永与一郎君) 最後に、第九百六十三号、町村合併促進法における公共企業体協力に関する請願町村合併促進法の三十一条によりますと、日本国有鉄道、電信電話公社その他の公共企業体は、町村合併の目的を達するために、必要な措置をすみやかに講ずるようにしなければならないように規定されておりますが、実際はその通りにまだいかない点がありまして、たとえば電話が通話区域の統一ができないために、同一市内でありながら市外通話料を要する等の矛盾がございますので、すみやかに公共企業体が積極的に町村合併の目的に協力するように特別の措置を講じていただきたい、かような趣旨でございます。
  142. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 政府側の御意見ございますか。
  143. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) われわれといたしましても、この請願の趣旨ができるだけ早く実現することを切に希望いたしております。
  144. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  では本日はこれに散会いたします。    午後五時九分散会      —————・—————