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参考人(横井亀吉君)
助役の横井でございます。最初にこの連絡が十分にいっておらなかった
という点から
お話し申し上げてみたいと思うのであります。すべての事柄が、今お聞きの
通りに、それぞれの感じで皆違った感じをお持ちになっておりますから、県の方でさようにお
考えになっておることも、ごもっともと思うのでありますが、私
どもとしては連絡は十分いたしたつもりでおります。ただ一言にして申し上げますれば、連絡しようにも取りつく島がなかった
というのが
実情ではないかと思うのでございます。しかし取りつく島がなかったから
といって、連絡をせなかったかと申しますと、そうではございませんので、先ほど次長が申しました両三回の連絡以外に、県のパンフレットにも出ておりますが、懇談会があって、そこで具体的な話があった
といって
名古屋市は人をだましておるけれ
ども、別に具体的な話はなかったのだ
ということも書いてございまするが、
町村合併の話が持ち上りますと同時に、これはいち早く報道機関の方がこれを取り上げられまして、従って昨年の春ごろから今ごろにかけましては、
名古屋市内に報道される
新聞は毎日のように
町村合併に関する事柄を大々的に御報道なさっておったわけでございます。従いまして私の方の連絡の回数その他から申し上げますが、先ほど来県の方におかれておっしゃっておるような大へん親切なお
考えがあらたとするならば、
名古屋市に向っても、お前の方は連絡が欠けておる、こういうことについてはどう
考えておるかとか、いろいろな御連絡をいただく、むしろ御指導をいただくことの方がほんとうではないかと思うのでございます。連絡はそうやっていたしましたし、私も
知事さんにも、それから当の事務を扱って
おいでになります地方課長のもとまでもお伺いしまして、
名古屋の
合併について名
隣会十八
カ町村を
代表して
合併を運んでおりますからよろしく
ということも、課長さんの手元までお願いに上ったわけでございますが、課長さんの方では、どういうことかこれはちょっと私にはわかりませんが、上からとめられて
おいでになるか、それはわかりませんが、全然ものをおっしゃらないのでございます。さようでございますか、さようでございますか、伺っておきます
ということで、どうしたらいいの悪いの
ということは、一切おっしゃっていただかないのです。それから
町村合併促進法が出まして、そうして
町村合併の
審議会が
愛知県にできまして、そうして
愛知県下の各市の
代表者、そういうものを集めていただいて、そうして
合併に関する
お話を聞かれたことがございました。その際も私はむしろ押しかけがましくはございましたけれ
ども伺いまして、そうして
名古屋市に関して
町村合併に関する事柄についていろいろと御配慮をいただきたい
という
発言を申し上げましたところが、ちょうど
部長さんが
おいでになりまするが、大都市に関することは別だ
ということで、一言のもとに取りつく島がなかった。実はその時の腹がまえでは、なるほど大都市は
町村合併促進法には
関係ございませんけれ
ども、
周辺の
町村は全部深い
関係を持っておりますので、それの動向に関する事柄であるので、どうかして
名古屋市を
委員の仲間に入れていただいて、そうして相談をしていただいたら
というような
考えでお伺いしたのでございまするが、一言のもとにそういうふうで排除せられまして、取りつく島がなかった。それが
実情でございます。再三、再四いろいろなことを御指示をいただいたような
お話でございますが、私
どもはそういう御指示は、具体化されて
計画を出せとかいうことについては、そういうことは一切受けておりません。それから
町村合併の経過をごらんいただけばよくわかると思うのでございますが、
町村合併促進審議会ができたのが昨年の四月でございます。そうしてすでにその六月には
名古屋市に
町村合併に関する市会の
委員会ができております。従ってその
委員会ができたときには、もう
新聞で大々的に報道がされておるのでございまして、連絡をとるのとらぬの
という水くさい問題ではないのでございまして、そういうところに意思の疎通を欠いておる。これはどういう意味で欠いておるのかどらか、それははっきりわからないのでございますが、市としてはこれだけの手を尽してやって参りましたけれ
ども、先ほど申しましたように取りつく島がなかった
というのが、現在までの状態でございます。その後
知事さんにも個人的にお目にかかってお願いしたことも何回も実はあるのでございます。そういう場合でも、取りつく島がなかった
というのが
実情でございまして、連絡がよくなかった
というのは、ただに
名古屋市が怠っておった
という事柄とは違うのでございます。この点は
一つ御了解をお願い申し上げておきたいと思うのでございます。
それから
名古屋市が財政的にどうだ
という
お話でございますが、これは県の方からお出しになりましたパンフレットは……このパンフレットが出たのも、
町村合併に関する資料
というのが、
名古屋市に
合併をすることがいけない
ということがこまかに具体的に書いてある資料が各地方事務所から出たのでございます。これは六月に出ておるのでございますから、
名古屋市が
町村合併に働きかけておることを御存じなかったなど
ということは、これは全然違うのでございまして、県の方で御発行になりました地方事務所の反対
理由の書いたものが六月に出ておるのでございますから、これは連絡が悪かった、ちょうど今から一年前でございます、そういうことはございませんので、その点は
一つ御
了承おきを願いたいと思うのでございます。
それから財政的にはこんな形になっておるのでございます。県の方の「広報
愛知」であるとか、あるいはパンフレットであるとかいうようなものに全部書いてございますことは、
名古屋はまだ
市内の整理が十分できておらんので、まずそれをやることがほんとうではないか、それをやることが
市民なり
住民の仕合せになるので、
町村合併はあわてる必要はない
ということが全部どれにも書いてございまするが、これは私が申し上げるまでもないことで、自治庁の方も来て
おいでになりまするから、
名古屋の公けの
仕事がどの状態にあるか
ということは私から申し上げるまでもないことでございます。他の五大都市と比較いたしまして、
名古屋は決しておくれておりません。これははっきり申し上げることができると思うのであります。それから政府の御
方針によって公共
事業その他を割り当てられました場合に、
名古屋は政府の
方針にそぐわないような、それをお断わりしたようなことは一度もございません。他の大都市においてもそういう事例もあるやに聞き及んでおりまするが、
名古屋はそういうことはございません。住宅の建設にしましても、一般公共
事業にいたしましても、政府にお願いしていただけるワクは完全にこれを行なっております。
ということは、政府の意図して
おいでになる
通りに市政を行なっておる
ということで、もしそこに欠陥がありとするならば、これはただに
名古屋市長の
責任のみではないと私は
考えておるのでありまするし、なお他の都市と比較いたしまして、
名古屋は劣っておらん
ということは、これは確言ができると思うのでございます。そういう事柄について県の方からお出しになりましたパンフレットあるいはいろいろな印刷物に出ておりまするのに、
名古屋市は財政的に自主性がない、自分の金でやらないで、政府の補助金や起債を当てにしてやっておる、たとえて言うならば、大阪、京都、神戸、横浜あたりと比較してこうなっておる
というようなことを書いて各
住民に配られておりまするが、これはこういう
事情がございまして、御
了承願いたいと思うのであります。
というのは、他の都市は繰り上げ流用をやっておるのでございます。たとえば二十九年度にやる
事業を三十年度のお金を繰り上げて
仕事をやっておるわけなんであります。その繰り上げ流用の金までほかの都市のやつはぶち込んで勘定をなさって
おいでになる。これは少くとも財政に御経験の方なら、そういうことは知らずにおやりになるはずはないと思うのでありますが、その繰り上げ流用は
名古屋はやっておりません。健全な財政をやっておりまするから、従って金の勘定が違って参りまするけれ
ども、
内容的にも決してそういうことはないので、パンフレットその他に印刷して広く県民、
市民に配られておるものは違っておる
ということでございます。
それから戦災その他についてのお尋ねがございますから、丁度財政とからみ合いますから、この際お答えしておきたいと思いまするが、戦災の復興に関しましては、国からも補助をいただいております。最初八割補助であったのが五割補助になっております。五割補助をいただいておりますが、県からも実は補助をいただいておるのでございます。先ほど来、最初に
総務部長さんから
お話がございましたような、
町村に対しても
名古屋に対しても、健全なりっぱな中京都市をこしらえてやるのだ
というご親切なお言葉でございましたが、戦災に対する補助金は、県の方は、二十六年度には工費の十五%いただいております。それから二十七年度も一五%、二十八年度は一二・五%に減り、二十九年度はただの五%に減らされました。三十年度は当初予算には補助金
というものは全部削除されているわけでございまして、お言葉は御親切でございまするが、
名古屋の中味を整えることについて、
名古屋もやれ、おれの方も補助してやる
というのとは違うのでございます。そういう点が
お話とは全然違っているのでございますので、その点も
一つ御
了承おきをお願い申し上げたいと思うのでございます。
それから財政の方に戻りますが、ちょうど一昨日でございましたか、
名古屋の法にきめられた財政白書
といいますか、財政
事情の公表を実はいたしましたのでございます。その際に歳入におきまして各方面の歳入状況を全部集計をいたして、これを発表するわけでございまするが、歳入の状況は大体税が一〇四・四%集まっております。国の補助金、国庫支出金は七七・三%三月三十一日現在でございます。その後五月の末の二、三日前現在の閉鎖期までにどれくらい入りましたか、まだ私は数字をつかんでおりませんが、国の補助金が七七・三%入っているのでございます。そこで県の親心を、先ほど
お話がございましたあの状態で、県の補助金がどれだけ入っているかと申しますと、三月三十一日までに二三・四%、一億百万円入っているのでございます。もちろんその後入っているであろうとは
考えまするが、この中には県の委託金
というのがございます。これは補助金、負担金とは違いまして、その委託金を引きますと、総額が二億九千五百万円が補助金、それから負担金、こういうことになっております。その二億九千五百万円の中に千四百万円入っておりまして、パーセンテージが、これは私、頭で今こうやったのだから、多少の違いがあるかもわかりませんが、四・八%であろうと思います。そういう状態になっておりまして、まことにありがたいお言葉をここでお伺いしまして、今後は大へんありがたい状態になるかと思いまするけれ
ども、そういうふうで、実際に
お話し願っていることと、それからそうでない事実に現われるこことは、全然違うのでございまして、そういう状態も
一つ御
了承おきを願いたいと思うのでございます。
それから
名古屋の財政の状況は、先ほど申し上げました
通りに、
仕事をやらないから黒字
というのではございません。
仕事は先ほど申した
通りに、政府の割り当てられました公共
事業、その他住宅におきましても、同人口の同じくらいの市から見ますれば、何割かあるいは何倍か
というような
仕事を実はやっているのでございまして、そうしてなおかつ二十九年度には四億四千六百万円、これは繰り越しを含んだ黒字ではございません、
事業繰り越しの分を差し引きました、これは自治庁で発行されたものに載っておったのだから間違いないと思いますが、そういう数字を出しておりまして、
昭和二十九年度の結末はまだついておりませんけれ
ども、いろいろなことで大へん難儀をいたしましたけれ
ども、赤字を出すようなことはございません。それは繰り返して申します
というと、
事業をやらなかったから黒字が出たのではございません。他都市に比較いたしまして決して劣らぬだけの
仕事をやって参りまして、なおつましくしてこういうふうな経理をしている。しかもそれは政府の御
方針にぴったり沿うようにしてやっている
ということでございます。
それから最後の買収その他でございますが、そういう事実はございません。中には何か学会の方へ依頼したものまで云々
というような
お話があるようでありますが、学会に依頼するのは別に買収行為ではないと
考えておりまして、学会に、要するに、印刷費その他を負担したことはございまするが、買収その他の行為は一切いたしておりません。特に
愛知県「広報
愛知」でここに出ておりますが、この前の
衆議院の
参考人の喚問に対して奥井教授がここで述べられました。それは過大都市
ということについて述べられたことが歪曲されてここに載っております。「過大都市のおそれ、学者も同
意見」
というふうに書いて、これは県民全部におそらく配られておるのでありますが、学会の方は
名古屋市が
合併されると過大都市とは
考えて
おいでにならぬ
ということがよくわかっておるのでありまするが、そういう御
発言であったように私も感じましたけれ
ども、まあ印刷物に出るときにはこういう形になって出る
というようなことでございまして、こういう点も
一つ御
了承おきをお願い申し上げたいと存じます。