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1955-10-12 第22回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十月十二日(水曜日)    午前十一時十三分開会     —————————————   委員の異動 本日委員中田吉雄君辞任につき、その 補欠として小林孝平君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長    小笠原二三男君    理事            伊能繁次郎君            小林 武治君            森下 政一君    委員            小幡 治和君            西郷吉之助君            安井  謙君            岸  良一君            島村 軍次君            秋山 長造君            小林 孝平君            森崎  隆君            小柳 牧衞君   国務大臣    国 務 大 臣 川島正次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    警察庁警備部長 山口 喜雄君    国家消防本部総    務課長     横山 和夫君    自治庁財政部理    財課長     大村 襄治君    法務省民事局長 村上 朝一君    大蔵省理財局地    方資金課長   牧野 誠一君    農林大臣官房総    務課長     檜垣 好文君    運輸省港湾局計    画課長     坂本 信雄君    建設省計画局都    市建設課長   高谷 高一君    建設省河川局次    長       淺村  廉君    建設省住宅局長 鎌田 隆男君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (台風第二十二号及び第二十三号に  よる災害に関する件)(新潟市の大  火による災害に関する件)(新潟海  岸決壊に対する財政措置に関する  件)     —————————————
  2. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員会を開会いたします。  昨日申し合せました日程に従いまして、本日は災害関係に関する調査を進めたいと存じます。台風第二十二号及び第二十三号による災害に関し、特にまた二十二号台風下新潟大火がありましたが、この点もあわせて関係当局から、一応のその後措置せられておる対策について、経過の御報告を願いたいと存じます。  大蔵省は、理財局長はまだ見えませんが、牧野地方資金課長自治庁川島自治庁長官大村理財課長農林省からは檜垣官房総務課長建設省からは今井政務次官淺村河川局次長並びに鎌田住宅局長山内防災課長高谷計画局都市建設課長——住宅局長出張中ですので、建設課長であります。法務省からは村上民事局長警察庁より山口警備部長国家消防本部から横山総務課長運輸省から坂本港湾局計画課長見えております。鈴木消防本部長並び運輸省港湾局長出張中でお見えになっておりません。で、順次御報告を願いたいと存じます。まず川島自治庁長官
  3. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 詳細なことにつきましては、各官庁の関係官から御報告申し上げたいと思うのであります。  まず新潟火災につきまして申し上げますが、火災が発生いたしますと直ちに、政府におきましては厚生省並び建設省より係官派遣をいたしまして、当面の救助対策を講じたのでございます。その後、建設省におきましては詳細な被害調査をいたしております。これが終りますれば、これに必要な起債その他の措置をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。発火の原因被害状況等につきましては詳細に国家消防本部より御報告を申し上げますから、お聞き取りを願いたいと思うのであります。  二十二号台風につきましては、お手元に表をお配りしてあると思いますが、大体公共施設被害状況総計八十六億でございます。これに対しましては当面の対策を講じましたし、なおその後復旧策につきまして、建設省農林省運輸省文部省等におきまして、それぞれ調査をいたしております。調査が完了いたしますれば、当該府県市町村と打ち合せをいたしまして、必要なる起債その他の財源的措置をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  大体のことを申し上げました。
  4. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に、建設省の方から一般災害の方を河川局次長、お見えですか——どうぞ。
  5. 淺村廉

    説明員淺村廉君) 建設省関係土木施設被害につきまして御報告申し上げます。  建設省で所管いたしております災害復旧事業対象となる土木施設は、河川、護岸、海岸の堤防、それから道路、橋梁、砂防施設といったものでございまして、これらのものが台風二十二号並びに二十三号でどのように被災をしたかということにつきまして、お手元資料が差し上げてございます。見出しは「台風第二十二号及び第二十三号による被害の概況、建設省」という資料を差し上げてございますが、台風状況等は先ほど御説明がありましたと思いますので省略いたしまして、第五ページをおあけいただきます。第五ページに公共土木施設関係被害という欄がございます。各県の被害がここに報告されたままを載せてございまして、これは台風二十二号によりますものと二十三号によりますものとを、便宜一表にいたしましたため、少しわかりにくくなりましたが、カッコ書きで出ておりますのは台風二十三号の分でございます。これは全然外数でございまして、カッコ書きでないものが台風二十二号の被害報告額でございます。上の方から参りまして、鹿児島は四百四十二カ所の被害個所がございまして、被害総額は二億一千九百九十九万円、これは台風二十二号の分でございます。河川海岸寺にいろいろ被害がございまして、まあ被害を受けたおもなる土木施設をここに書きあげてございますが、全体でただいま報告の参っておりますのは二億一千九百万円程度でございます。宮崎県は四百七十二カ所で、これも台風二十二号の被害額でございますが、四億四千九百八十一万五千円という報告が参っております。これも河川災害がおもでございまして、川の名前は一番右の欄に書き込んでございます。それから大分県は、台風二十二号によりますものが九百八十四カ所で、金額で三億一千二百八十四万七千円、そからその下にカッコをいたしまして、八十五カ所、三千八百九十六万八千円とありますのは、台風二十三号の被害額でございます。これは、河川海岸等に主として被害を生じたので、一番右の欄にそのおもなる個所が列記してございます。それから熊本県は三百七カ所、三億二百七十万円。これは台風二十二号の被害でございます。これも全般的でございますが、河川道路海岸等に主として被害が発生いたしました。長崎県は三十九カ所、一千二百五十六万九千円。これは主として佐世保を中心に発生いたしましたので、河川災害がおもでございます。それから佐賀県は四カ所、八百七十万円。福岡県は百九十八カ所、七千九百四十九万六千円。これも河川海岸等に主として被害がございました。それから高知県は二百五十九カ所、五億八百九万四千円。これが台風二十二号の被害でございます。下にカッコいたしまして、二百七十五カ所、三億六千三百四十一万円、これは台風二十三号の被害でございます。河川海岸等に主として被害がございました。愛媛県は八百四十八カ所、三億七百万円。台風二十三号の分はカッコ書きの百十五カ所、六千五十万円。これも河川道路に主として被害がございまして、おもなる個所が列挙されております。香川県は二十八カ所、一千二十万円。徳島県は二百九十七カ所、一億八千百二十九万四千円。いずれも二十二号の災害でございます。山口県は著しく異っていまして、二十二号は七百五十四カ所の十三億三千六百六十五万五千円で、それから二十三号は二十五カ所、一千七百九万八千円。河川海岸道路等被害でございますが、特に金額の大きくなっておりますのは、これは海岸地帯被害相当にあったためだと思われます。広島は二百四十七カ所、三億八百九万円。岡山が十三カ所で、九百五十万円。島根が五十二カ所、一千七百二十五万円。福島は六十一カ所、四千六百六十一万八千円。群馬四十四カ所、三千八百三十四万九千円。神奈川は百十カ所、二千百二十二万九千円。こういう工合でございます。合計で、台風二十二号関係は、全体の被災個所が五千百五十九カ所、被害総額は四十一億七千三十八万六千円でございます。なお二十三号は、全体の被害個所が五百カ所、全額は四億七千九百九十七万六千円ということになっております。  なお一枚めくっていただきますと、台風二十二号による直轄河川災害額という欄がございます。これは建設省直轄工事をいたしておりまするおもなる河の直轄工事期間内に起りました被害につきまして、これは府県にやらせませんで、直轄工事で実施いたしておりますために、特にまた別に掲げてございますので、中国四国の渡川、仁淀川、重信川、太田川、九州の大淀川、大野川、大分川、川内川、球磨川、小丸川、肝属川、五筒瀬川、これらのそれぞれの被害額を合計いたしますと、全体で六億四千四百二十万円ということになっております。  それらが台風二十二号並びに二十三号によりますところの建設省所管土木施設被害総額でございまして、いずれもこれは調査あるいは査定等によりましてこれを確定いたしませんと、正確な数字はまだ決定いた、しかねる段階でございます。査定はもちろん至急いたすつもりでございますが、これは地方公共団体側におきますところの設計書ができませんと査定官派遣ができませんので、それを至急急いでもらいますと同時に、私どもといたしましては、それができ次第、直ちに査定官派遣して否定をするだけの態勢を整えて待機をいたしている状態であります。  それからなおこのとじになっている最後に、横書きで一般被害調というのがつけてございますが、それは建設省が作りましたものではございませんので、警視庁の方でお調べになりましたものを私の方でいただきまして、参考のためにこのとじになっている最後につけてありますのであります。  大体状況を簡単に御報告申し上げました。
  6. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 今の説明ですね、地方補助事業になる分、それから直轄分対策について、状況だけでなく……。
  7. 淺村廉

    説明員淺村廉君) それでは、それにつけ加えまして、これに対する対策を申し上げます。ただいま申し上げました被害額のうち、地方公共団体で所管いたしておりますものの分、これは二十二号関係で四十一億七千万円、二十三号関係で四億七千九百万円という報告を受けておりますので、これに対してはただちに査定をいたして、その全体の復旧事業費というものを決定いたさなければなりませんが、これにつきましては、地方公共団体側査定設計書の作成という仕事が必要になって参りますので、これを公共団体において至急急いでもらいまして、これが私の方にできたという連絡ができ次第、査定官派遣して、査定をするだけの準備をいたしております。幸い災害査定官も本年度十名増員をしていただきましたので、陣容といたしましては相当に整っておりますから、すみやかに査定をいたしたいと考えております。  しかしながら、査定を終えて予備金から予算を出してもらいますまでの間に、応急工事を当然必要といたしますので、これに対しましては、いわゆるつなぎ資金と言っておりますが、これを府県からの連絡によりまして、大蔵省に対してこの融資あっせんを私の方でいたすことになっております。ただいま各県いろいろ調査中でございまして、逐次私の方にあっせん依頼の文書が出て参っておりますので、参り次第、次々と大蔵省連絡をしてこのあっせんをいたしている次第でございます。私の方の関係資金運用部資金から出してもらうというようなことに従来からなっております。今後もそのようになって参ると思っております。  それから直轄関係河川被害につきましては、今申し上げました通り台風二十二号関係——二十三号は報告がございませんが、二十二号で六億四千万円程度でございます。これも査定とは申しませんが、しっかりした調査をいたしまして、ほんとうに必要な金額というものをもう一度確認しなければなりませんが、その応急工事につきましては、現在直轄工事のために各地方建設局工事費が渡してありますので、それを一時立てかえてもらいまして、応急工事をやってもらう。これは従来の例になっております。当然大蔵省の了解を得てやるわけでありますが、さような段取りにいたすことにいたしております。  大体以上のような考えでやっております。
  8. 西郷吉之助

  9. 淺村廉

    説明員淺村廉君) つなぎ融資は、実はまだ府県から報告が参っておりますものが全部でございませんので、私どもといたしましては最後的に幾らかということはちょっと判断いたしかねますが、国の方で従来の例によりまして、大体一億五、六千万円のつなぎ資金が出ればいいのではなかろうか。これはこちらの方でただ一方的にやるわけには参りませんのですが、その程度になるのではないかということを推定いたしまして、大蔵省の方にもお話をいたしておる次第であります。
  10. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) では、次に農林省関係について御説明を願います。
  11. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 台風二十二号、並びに二十三号につきまして、一括御説明を申し上げます。  まず被害状況でございますが、お手元農林水産業施設被害調べ資料として配付いたしてありますが、それによりますると、これは各府県からの報告でございまして、これは先ほど建設省の方からのお話しがありましたように、今後現地につきましてこの査定をやるのでありますが、一応各府県報告を集計いたしましたところによりますと、総計四十五億二千六百万の被害額になっておるのでありまして、そのうち、農地あるいは農業用施設関係につきましては二十二億七千六百万円、それから開拓地におきます入植施設でありますが、これが五億六千四百万円、それから治山の関係で七億六千万、林道が二億百万、漁港関係が七億二千三百万という数字になっておるのであります。それから以上が施設被害でございますが、農作物被害につきましては、目下統計調査事務所をもちまして鋭意調査をさしておるのであります。  昨年の九州四国、あるいは中国におきまする状況一つ参考になるので、ここに申し上げますと、特にこの問題は今回の台風の時期の関係におきましては、その被害農作物被害の特に水稲につきまして大きいのは、九月十日以降の穂が出る出穂期にあるものが相当被害が多いのではないかというふうに考えられるのであります。そこで九州四国中国につきまして、昨年の作付面積から比率を出してみますると、大体九月十日以降になりますものが、比率で、九州では二七%、四国が二五%、中国が七%という数字になっておるのであります。特にこの関係被害が大きいのではないかと考えるのであります。  それから過去の台風との比較をしてみますると、ちょうど二十二号台風は二十五年の九月十三、十四日にありましたキジア台風と、あるいは風の関係、あるいは降雨量との関係がよく似ておるのでありますが、特に今回はキジア台風よりも降雨量は多少少いのでありますが、風の方は相当きついようでありますので、いわゆる風の害によりまするところの稲の倒伏あるいは脱粒というふうなもの等が相当あるように推定されるのであります。詳細は目下統計調査部におきまして調査中でございます。  それから次に対策でございますが、施設につきましては査定を今後行なっていくのでありますが、まずとりあえず被害状況調査のために、農地局農業改良局、水産庁、林野庁等から十二名程度調査員九州四国派遣いたしまして、現在調査をいたしておる状況になっております。  それから対策でございますが、まず農林水産業施設関係対策でございますが、これの災害復旧につきましては、すみやかに現地査定を実施いたしまして、これは目下のところ来月の上中旬までには完了することを目途といたして準備いたしておるのでありますが、現地査定をすみやかに実施いたしまして、予備費支出によるところの国庫補助金の交付をいたしますと同時に、災害復旧事業地元負担に当る分につきましては、農林漁業金融公庫資金融資をいたしますように、目下必要な措置を講じておるのであります。その間におきまして緊急施行を必要といたしまする事業といたしましては、関係庁と協議をいたしまして、補助金の見返りにつなぎ資金あっせんをいたして参りたいと思っておるのでありますが、この点につきましては、公共団体営事業につきましては政府資金、特に今回は郵政省関係資金農林省関係では融資対象となるそうでございますが、その政府資金あっせん、あるいは農業団体の行いますところの団体による災害復旧緊急事業につきましては、農林中金あるいは中央銀行つなぎ資金融資をいたして参りたいというふうに考えておるわけであります。  農作物に対する対策でございますが、災害の、台風後の特に病虫害の防除につきましては、特に指導の万全を期しますとともに、農薬その他の資材の確保に努めますと同時に、種子確保あるいは家畜の防疫等にも十分注意をいたしまして、この被害状況実情に応じまして、財政的あるいは金融的な措置を講じて参りたいというふうに考えておるのであります。  それから次に農家被害農林漁家経営確保でございますが、再生産を確保いたしますために必要な経営資金融通並びにそれに伴います利子補給あるいは損失補償の制度が、先般の国会におきまして恒久的な立法ができておりますので、それに基きまして融資措置を早急に講じ、あるいはまたすでに借り入れておりますところの経営資金あるいは農林漁資金償還猶予というようなものにつきまして、対策を講じて参りたいと考えておるのであります。それから特に今回漁船被害相当大きかったのでありますが、これにつきましては代船の建造というふうなことも必要になって参りますので、それにつきましては農林漁業資金融資ワクを拡大いたしまして、必要な措置を講じて参りたいというふうに考えておる次第でございます。それから先般の国会におきまして自作農維持創設資金融通法が成立いたしましたが、それに基きまして、特に被害が甚大で自作農維持の困難なものに対しましては、この維持資金融通を考えて参りたいと考えておる次第であります。それからこれは当然でございますが、農作物あるいは漁船等につきましては、被害調査を篤励いたしまして、すみやかに共済金あるいは保険金の支払いをやりますと同時に、場合によりましては、政府の方からの再保険金概算払い等も必要になってくるのではないかというふうに考えておる次第であります。  それから被害を受けました農家におきまして飯米に不足するというふうな事態が生ずるところもあろうかと思われるのでありますが、それらにつきましては、例年完全保有農家でありまして本年に著しく被害を受けたものに対しましては、従来の例によりまして、米の特配を行いますと同時に、あるいは新しく米の配給をしまして代金の延納措置をとる、これは大蔵省と折衝を要するのでありますが、そういう措置を講じたい。あるいはもうすでに昨年度の被害延納を受けておるものにつきまして、本年どうしても完納が困難であるというようなものに対しましては、実情調査いたしまして、必要に応じ納入期限の延長と申しますか、そういう措置を講じて参りたいというふうに考えておる次第でございます。  それから特に農林水産業関係共同利用施設等につきましては、災害復旧措置農林水産業資金から借りて参りたいと考えておるのでありますが、南九州におきましては澱粉加工場相当やられておるのであります。これにつきましては、農協の経営いたしておるものにつきましては、農林漁業公庫資金ワクから早急に復旧資金融通をいたしますともに、それ以外の業者の経営するものにつきてましては、中小企業金融公庫融資あっせん等につきまして、関係機関等に対してあっせんの努力をいたして参りたいというふうに考えております。  以上概略でございますが……。
  12. 小笠原二三男

  13. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 二十二号、二十三号の台風被害につきまして各省からの説明がございましたので、私からごく概略について、資料も差し上げてございますので、大体概略を申し上げたいと思います。  十月五日現在でとりまとめました数字が死者五十四人、負傷者三百十八人、行方不明十四人、全壊戸数が六千二百六十九戸、半壊が一万三千四十六戸、流失が百三十六戸、一部破損が六万五千百八十四、床上浸水が一万百八十四、床下が四万一千百八十、こういうふうになっております。  農作物あるいは公共建造物関係被害につきましては、関係者から御説明がございましたので省略いたします。  罹災者の概数は十五万八千二百五十九人、罹災世帯数が三万三千八百六十六世帯、かようになっておるのであります。  きわめて概括的に申しまして、災害のひどうございましたのは鹿児島宮崎熊本山口大分というような各県のようでございます。このうち鹿児島宮崎大分等強風による被害が多うございまして、山口はどちらかといいますと、高潮による被害を受けておるようであります。  きわめて簡単でございますが、御説明を終ります。   〔委員上長退席理事森下政一君着席〕
  14. 森下政一

    理事森下政一君) 今度は、国家消防本部がお見えになっていると思いますが……。
  15. 横山和夫

    説明員横山和夫君) 私どもの方は、台風による全体の被害といいますよりも、特に二十二号台風下に起った新潟における火災中心にそれぞれ御報告がありましたので、消防に限定しまして簡単に御報告申し上げます。  お手元資料にありますように、火災一般的な問題はここに書いてある通りでございますが、消防の方といたしましては、当時ああいう台風襲来状況でありましたので、前日の九月三十日すでに、火災警報の発令と同時に、緊急の手配をいたしまして、平素の場合には三区分をいたしまして、一出動五台という出動の体制に入っておるのでありますが、特にこの場合には、第一出動下で十二台を出し、そうして残りを第二出動によって出すというような措置を講じ、さらに前日の三十日におきまして自動車の配置がえをいたしまして、特に火災危険の予想される地域等に当っておる自動車精鋭部隊を配置するというような措置も講じておったのであります。消防力といたしましては、新潟市の持っておりますものが十八台、それに消防団関係が三台、さらに応援消防力が当日は二十四、五台もかけつけておるというような状況で、火災戦闘をいたしたわけであります。こまかい実情等はすでに報告済みでありますので、省略いたします。  ただ消防的に考えまして、あのような大火になりました原因と申しますか、そういう点につきまして、火災発生と同時に係官派遣いたします。なおまた現地連絡をとりながら現在いろいろ検討を加えておるのでありますが、結局われわれの方から見ますと、何と申しましても、火元建物のいわゆる火災発見がおくれたという点に大きい原因一つが考えられる。その次に、言うまでもなく、台風によるところの非常な強風下に発生したという火災のために、われわれの消防力ではこれに勝ち得なかったということに尽きるのではないかと思うのでございます。新潟市の消防力は、われわれの方で考えております基準に照らしてみますと、必ずしもその絶対数は十分ではないのでありますが、ただ他の府県都市に比較して、必ずしもこの都市消防力は弱かったというわけでもありませんし、なおまた相当な時間後には、付近から応援消防力が、先ほど申しましたようなわけで、かけつけておるのであります。結局要するに、火災発見消防的に見ますならばおくれて、かけつけたときにはすでにその建物の中には火が回っておったという状況で初めて活動をしたということと、強風による被害拡大ということになるのではないかと思っております。  対策と申しましては、私の方は御承知のようなことでありますので、直接援護の手を打つということはありませんが、何しろ今後のいろいろな問題に鑑みまして、非常に最もわれわれとしても注意を払うべきと申しますか、特殊な火災の形態が起ったわけでありますから、これを十分検討をいたしまして今後に備え、なおまた今後の新潟市の毎年起るフェーン現象下における消防対策というものを十分に打ち立ててゆくように、不断の指導をいたしたいと、このように考えておるわけであります。   〔理事森下政一君退席、委員長着席〕
  16. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に建設省高谷計画局都市建設課長、やはり新潟関係について。
  17. 高谷高一

    説明員高谷高一君) 私の方の計画局関係の所管といたしまして、新潟市の火災復興計画でありますが、焼けると同時に、私の方から係官出張いたしまして復興計画の指導に当りました。焼失面積は約十一万坪でありまして、それは礎小学校の方の飛び火地を含めてでありますが、今度の復興計画にはその飛び火地の方は除外いたしまして、あすこの大通りのところの区域約一万八千坪にわたりまして土地区画整理を実施いたしまして、そうしてこの細い道路などがないように、大体消防自動車とかなんか、みな通過できるような区画街路を整備いたしまして、復興事業を実施いたす予定にしております。その事業費は約一億一千三百万円かかる予定になっております。何分にも市役所が全焼いたしまして、どうも図面とかなんか資料が全部なくなってしまいましたので、焼けた翌々日の三日から実地測量を始めまして、ちょうど今日で実地測量が全部完了すると報告が参っております。この換地測量ができますと、直ちに仮換地の設定をいたしまして、各地主さんあるいは借地権者の方々に、今後永久の本建築を建てられるように、仮換地の指定を急いでいたすことになっております。これには約一カ月ほどかかる予定であります。大急ぎでこれをやっております。この一億一千万円の事業費でありまするが、これはまだ大蔵省の方と十分打ち合せしておりませんが、目下大蔵省と折衝中でありまして、私らの方の考えといたしましては、約二カ年をもってこの事業を完成したいと思っております。今年度はさしあたりその半分を要求いたしまして、直ちに区画がえの整備をはかっていきたい、かように考えております。
  18. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 私から住宅の被害状況並びにこの対策につきまして、私どもの準備いたしておりますことにつきまして申し上げます。  住宅の被害状況につきましては、先ほど警察庁の方から御説明がありましたが、二十二号台風によります分が、今のところ、全壊、流失を含めまして六千四百戸程度と考えております。そのうちで最も大きな被害を受けましたのが、鹿児島県の四千数百戸でございます。  これに対しまして、私ども対策を準備いたしておりますのは、まず第一に公営住宅の災害住宅を建設するというのが第一点でございます。これは公営住宅法によりまして、被害戸数、全壊、流失戸数の三割までの戸数につきまして、現地の要望があれば建設をいたしたい、こういうことでそのワクを設定いたしております。それからもう一つは、半壊、破損の復旧の問題でございますが、これは、従来現地の、要望が非常に強いにもかかわらず、政府としてなかなか対策を講ずることがむずかしかったのでございますが、今回は住宅金融公庫に増築融資ワクを設定いたしております。そこで、この増築融資を半壊の破損復旧をするというものに振り向けたい、こういうように考えておる次第でございます。それからもう一つは、二十二国会におきまして成立を見ました住宅融資保険法がございます。この法律によりまして、銀行が住宅に対しまして貸し出しましたものを政府が保険をするということになっておりますが、このワク災害地に拡大いたしまして、災害地の罹災されました方々がその住宅の破損の復旧をする、あるいは全壊のものに対して建設をする、新築でも、増築でも、破損復旧でも、何でもけっこうでございますが、それにぜひ振り向けたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお住宅金融公庫の融資、これはすでに今年度個人融資を二万戸、もうすでに決定いたしておりますが、この災害地は特別のワクを滅失戸数の二割ないし三割程度設けまして、全壊されました方々が、何とか住宅金融公庫の融資を受けて家を新築したいという方には貸し出すような用意をいたしております。  なお新潟の問題でございますが、新潟は全焼と半焼を含めまして、住家が九百十二戸の被害を受けております。これは中心部を焼失いたしておりますので、多少二十二号台風その他の地域の被害状況と趣きを異にいたしておりますので、この対策につきましても多少違った対策も考えております。それは、従来木造が非常に多かった都市商店街でございまするが、今後このあやまちを再び繰り返さないように、なるべく耐火構造の商店街にいたしたいと私どもは考えておるのでございますが、このためには、先ほど申し上げました一般的な災害対策のほかに、今回成立を見ました日本住宅公団、この日本住宅公団には一万戸の分譲住宅、アパートの分譲という事業を持っておりますが、現地の要望がありますれば、この日本住宅公団をして一部商店街の建設、店舗つきの住宅を建設せしめたい、かように考えまして、ただいま準備中でござています。  大体災害状況並びに対策につきまして申上げた次第であります。
  19. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に自治庁大村理財課長並びに大蔵省牧野地方資金課長より、当時の資金繰りについて説明を願いたいと思います。
  20. 大村襄治

    説明員大村襄治君) 今国の災害に対するつなぎ融資の問題につきましては、先ほど来建設省を初め関係各省の係官から御説明がありましたが、応急復旧に要する各主要事業ごとの所要額というものの見込みができ次第、所要の資金措置を講じていただくことにして、今準備を進めておる次第でございます。資金の分担区分といたしましては、建設省関係のものを大蔵省資金運用部資金、それ以外の事業につきましては郵政省の簡保資金によって融通をするというふうな、分担も取りきめができておりますが、ただいま申し上げましたような手続で、所要の見込み額がわかり次第決定されるというふうなことになっております。  なお、特別の災害がありました新潟火災復興関係につきましては、罹災直後現地から、新潟市の災害救助活動の費用といたしまして、三千万ほど特に至急資金繰りが必要であるという要望がございましたので、この点を大蔵省連絡しまして、早急にきめていただくように現在交渉している次第でございます。  大体以上のような次第であります。
  21. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 具体的に金額を言いなさい。抽象的ではわからぬ。
  22. 大村襄治

    説明員大村襄治君) ただいま言いましたように、応急復旧に要する事業費の金額は現在なお調査中でございまして、各主管省から私の方にまだ知らせがございませんので、具体的金額を申し上げるわけにはいきませんですが、進め方としてはただいま申し上げたような次第になっております。
  23. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 二十二号、二十三号の台風関係政府資金からのつなぎ融資といいますか、それの融通につきまして申し上げます。  災害つなぎ融資は、すでに、国から補助金が出るまでの間つなぎということで、応急に復旧を要するものの経費というものを、県ごとに話し合いをつけました額を融通するということにいたしております。二十二号、二十三号につきましては、先ほど各省からお話しがあったことと思いますが、県ごとにやはり今どんどん集まっておる段階でございまして、それでただいま各省といろいろ、一県ごとにただいま順々にその事務を処理していっているという段階でございまして、まだ金額がどの県が幾らあるいはトータルで幾らというところまでは、あとしばらくたちませんと、申し上げられないような段階でございます。  それから新潟の火事の問題につきましては、これは新潟、あちらの市と県、それぞれやはり火災復旧に要するいろいろな問題が起きるわけでございます。これにつきましても、都市計画とかあるいはその他、応急住宅とかいろいろやらなくちゃならない仕事、これに国から支出されます額が若干おくれるという間をつなぐということで、出す必要があると考えております。これもただいま各省と主計局あるいは私どもの方との間で話を進めておる段階でございまして、金額の点は目下検討中ということでございます。  それから本年の災害につきましては、大体建設省関係災害につきましては大蔵省資金運用部からと、それからそれ以外のものにつきましては簡易生命保険の金というふうに、大体大分けにして、そういうふうな分担でやったらどうかという話にしておりますが、仕事といたしましては、みな集まりまして進めてゆくというようにいたしておるわけでございます。
  24. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 他に、先ほど申し上げた通り法務省村上民事局長運輸省坂本港湾局計画課長見えておりますから……。これは新潟関係委員の質問要求がありますので、御出席願っておるわけであります。従って、一応報告はこの程度にいたしまして、質疑に入りたいと存じますが、まず一般的に災害の問題について質疑をいただいて、それからそれが済んでから、新潟関係は分離して質疑していただきたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ではさような順序で質疑を願います。
  26. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 まず自治庁関係に伺いますが、自治庁長官も各地方被害状況をお聞きの通り、非常に多い。ことに九州はひどいのでありますが、今自治庁の課長の説明だと、具体的な説明がない。抽象論だけで、具体的にどういう措置をされるかということがわからないのですが、たとえば鹿児島をとりましても、学校建築の被害だけでも、県の報告だと、金額にして五億、それから先ほど建設省の話もあったが、住宅の全壊が約五千戸もあり、一部破損は十五万戸もあるような状態。たとえば鹿児島市をとれば、全壊はその四〇%に当る。全壊並びに破損を加えますと、鹿児島市の全戸数の四〇%ぐらいの破損率というような状況でありますので、これに対して、たとえば先般委員会で御説明の百十億もまだ使わないのがあるというようなことでありまするが、今回の二十二、二十三号台風に対して、自治体の苦しい財政の上に及ぼす影響はきわめて重大なものがありまするが、具体的に自治庁長官はどう対処されるのか、その具体的な方法並びに金額について承わりたい。
  27. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 西郷さんのお尋ねにお答えいたしますが、公共施設の復旧につきましては補助金が各主官庁からして配付されるのでありまするが、それに伴いまして起債の許可をいたすつもりでございます。大体ただいま私の方で用意いたしておりますのは、風水害等の関係に要するものは三十七億、それから火災関係が十七億という起債ワクを持っておりまして、地方の申請によりまして調査の上、これは順次許可をいたすつもりでございます。  それから特別交付金でございますが、これは大体の今後起り得る災害等も加えて配付方を決定するのでありまして、これは年内に配付はむずかしいのでありまして、来年になるのでありまして、そこで交付金が第四期分の支出は大体十一月末にする慣例になっておりますが、これを特に繰り上げまして、今月中に交付金の第四回分を配付いたしまして、資金的な応急措置をいたしたいと、こう考えておるわけでございます。特別交付金の方はどの地方に大体幾らいくかということは、まだ今日決定をいたしておりません。  大体さような方針でございます。御承知を願います。
  28. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今具体的で、三十七億なり十七億のすでに用意がしてあるというのでございまするが、今御説明のほかにも、たとえば予算に具体的に実際影響を与えないで、起債の中で三十七億のほかに公募分等もワクを拡げたり、また現在の自治庁の用意以外にも、あるいは臨時国会において予算補正をなすとか、そういうふうなお考えはあるのかないのか、それもあわせて伺いたい。
  29. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 念のために委員に申し上げておきますが、大蔵省から災害担当の鹿野主計官もみえておりますから。
  30. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 大体ただいままで起りました二十二号台風、二十三号台風の影響によります災害対策としては、現在確保しておりまする金額で間に合うという私どもは考えを持っております。新潟火災につきましても大体この程度で間に合うのじゃないかと思うのでありますが、なお今後大きな台風等あるいは火災等が起りまして、被害の範囲が拡大した場合には、あらためて財源的措置をする必要があるかと思いますが、現在までの被害ならば、ただいま持っておるワク内でもって処置し得る、こう考えております。
  31. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 さらに九州被害で、今回の被害では、所によっては雨量も多かったけれども、特徴として、雨量よりも、雨量が割合に少くて風が非常に強かった。従って、今先ほど建設省の御説明も住宅に対してありましたが、特徴として一般住宅の一部の破損、これが非常に多いのでありまするが、こういう一部破損は、全壊でもなく半壊でもないために、その補修費を出す措置が従来ない。今回の台風ではそれが非常に多いので、一部破損の個人住宅に対する対策が何ら今回もとられておらないように伺います。先ほど住宅局の説明ですと、たとえば鹿児島県をとっても、全壊が約五千戸ある。けれども、それについて三〇%以内は国の補助で建てるというお話。聞くところによりますると、たとえばその五千戸のうち、鹿児島市だけをとりますと、全壊が二百七十戸もある。今の説明だと三〇%というと、わずかにそのうちの八十戸、しかもその八十戸も、聞きますと、それは二カ年計画である。そうしますと、鹿児島市の例をとっても、全壊が二百七十戸もあるのに、本年度はそのうち二カ年計画で半分ずつとすると、四十戸しか復旧しない。そういうばかげた結果になる。そういうことでは災害復旧ということは、多数の全壊があっても単に名目だけで、わずかに四十戸の復旧資金を出す、そういうことでは何ら災害対策にならぬ。これは鹿児島地方を例にとっただけで、災害の各県も同じ状況であります。そういう名目だけの復旧では何ら役に立たないから、具体的にそういう点をどうするか伺いたい。  特に一部破損の住宅、鹿児島県を例にとっても、それが十五万戸あります。そういうものについて今回どういうふうに措置されるか。何ら、従来通り措置することなく放任しておかれるのか、そういう点も具体的に説明願いたいと思います。
  32. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 全壊のものにつきましては、三割を公営住宅の方によります災害公営住宅を建設いたしたいと考えております。なおそのほかに、住宅金融公庫の貸付によりまして、全壊戸数の約二割ないし三割を用意いたしたいと考えております。もう一つは、住宅融資保険法によりまして、銀行からの貸し出しのワク災害地に増加いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。それから半壊または破損のものにつきましては、今回の住宅金融公庫の増築融資を活用いたしたい、こういうふうに考えております。なお一部破損のものにつきましては、住宅融資保険法によります銀行の貸し出しをいたします。そういうような対策をいろいろ今準備をいたしておる次第であります。
  33. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今あなたのお役はどういう役か知りませんが、そういう抽象論的に、銀行から融資するとか言われるけれども、資力のない者が大多数です。りっぱな家も復旧できない。それですから、強風ですぐ全壊する。金融すると言われるけれども、それは委員会でのあなたの答弁技術にすぎない。実際に担保力も何もない、資力のない者が復旧する、それに融資するといっても、どういうふうにするのですか。実際はあなたはできないでしょう。そういうふうに委員会で答弁するけれども、実際各県に行ったときには、資力のない、担保力もない、家を全壊した者に、何を担保にして融資されますか。実際はできないのです。単なる形式的な答弁ではだめなんです。そういう資力のない者にどういうふうにしたら融資できるか、それを伺いたい。
  34. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 全壊いたしましたもののうち資力のない方々に対しましては、公営住宅を建設いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。それから破損の場合の復旧は、全壊に対しまして割に金額がはらないと思われますので、銀行の融資あるいは住宅金融公庫の低利資金融資を考えたいと思うのであります。
  35. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の答弁も全く満足できませんが、住宅に関連してもう一点伺いますが、これは建設省よりも厚生省の所管かとも思いますけれども、従来災害で応急住宅として仮設住宅というものを作ってこられておる。それも非常に安普請ですから、たとえば鹿児島市の仮設住宅が四十戸あったけれども、安普請ですから、全部全壊しております。それでそれに対する対策も、今回六十戸くらいを坪一万二千円程度でやるという話ですけれども、こういうものは臨時応急的にはけっこうですけれども、今度の例をとっも全壊しておりまして、その三百名くらいの者が小学校に避難し、授業ができないものだから、屠殺場を新築しておるので、それにかりに三百名を収容しておる。それも場所が屠殺場ですから、そういうところに長くいてもらうわけにいかない。また六十戸仮設住宅を作るということであるけれども、非常に安普請ですから、風が吹くとすぐ全壊する。一時しのぎには仕方ないと思いますけれども、そういうものについても、従来の実際の状況から見て、もう少し堅牢な、台風に耐える住宅を公営住宅として建てるべきじゃないかと思いますが、そういうものについても、やはり何らの対策なく安普請をやれば、また次の風で全壊することはきまり切っていると思うが、そういうものについてどういうふうにされるか、伺いたい。
  36. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  37. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を起して。
  38. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 罹災救助法によります応急の収容施設は厚生省の方の所管と思いますけれども建設省といたしましてはなるべくすみやかに災害公営住宅を作りまして、この公営住宅に収容いたしたい、こういうふうに考えております。
  39. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 自治庁長官に重ねてお伺いします。今のように、たとえば住宅資金はそういうところでは従来はなかなか、今建設省説明するけれども、実際にはなかなか金が借りられない、こういうふうな状況はもう自治庁長官も過去の御経験でよくおわかりだと思う。そういう点につきましても、公営住宅の点についても十分な戸数が得られないでしょうが、そのためにそういう資金を、仮設住宅でも鹿児島県の例をとりますと、坪当り一万円程度県が出そう。しかも市や町村も一万円ぐらいそれに加えて、二万円程度の坪当りで建てたいというけれども、市町村はそれでなくても苦しい状況から、そういうものを支出する財源がない、こういう現状であります。今の建設省の話では、あれは非常にたよりない。ここで答弁するだけで、実際にはそういうことは行われない、金も借りられない、そういう現状です。そういうことをよく長官はおわかりだと思いますので、そういう住宅資金等も今後すぐにはできないかもしれませんけれども、そういうものについても自治庁として財源を市町村に与えるというふうなことができれば、非常に住民は住宅についても助かると思いますが、今回の二十二号、二十三号、火災につきましても、自治庁長官として、そういう事情を説明されて自治庁長官として、そういう財源を与えられるようなお考えはありませんでしょうか。
  40. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ただいまのところ、私ども考えておりますのは、公営住宅に対する地方の負担分の起債を認めようという程度でありますが、今お話しのように、実際問題といたしましては、金融がなかなか困難で、一般の民家の復旧はできにくいことは、私ども認めるのでありまして、これに対する対策等につきましては、私限りお答えを申し上げる資料はないのでありまして、関係閣僚ともよく相談しまして、適当な機会にまたお返事することにいたします。
  41. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 次に、建物に関連しても、今度の強風でも鹿児島県も非常にひどい。学校など損害を五億円も出しておる。学校の建築が強風に耐えられるようなコンクリートの建物が少いために、九州災害各県では、風が吹くと学校がすぐこわされる。今回も鹿児島県で五億程度の学校建築の損害を出しておりますが、そういうものについても、自治庁長官として大いにそういう状況を勘案されて、今後できるだけ強風地帯、台風の来る関係県に対しては、学校建築等につきましても、文部省と御相談の上、できるだけコンクリート建築でやるようにしていただきたいと思いまするが、きょうの説明では文部省が説明がなかったようでありますが、こういう学校建築だけでも、これはすぐ復旧しないと授業に差しつかえる。なかなか自治体では財源がありませんから応急処置ができないと思いますので、こういう学校建築についても自治庁長官は特別にお考えはあるのかどうかという点について、伺っておきます。
  42. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 従来は、防火地帯の学校につきましてはコンクリートを認めまして、それに見合うだけの補助金も出しますし、また起債も許しておるのでありますが、強風地帯等につきましてはそういう措置はとっておりません。私は先般北海道へ行きましても痛感したんですが、ああいう寒冷地帯などは、木造よりも鉄筋コンクリートにしますると、燃料等が非常に節約ができるのでありまして、ぜひ今後は鉄筋コンクリートの建築を奨励したいという考えをもちまして、文部大臣とも話し合ったことがあるのでありまして、ただいまお話の強風地帯なども、やはり今後考慮すべき問題ではないかと考えるのであります。今まではそういう考えはありませんが、今後におきましては一応研究いたしまして、なるべく御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  43. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 自治庁長官に重ねて伺いまするが、前議会においても、議員立法で台風圏内に対する施策としての法律案を用意したけれども、成立はいたしませんでしたが、その点は長官もよく御承知だと思いますので、こういう台風圏内の自治体に対する特例の立法等も、私は実際には非常に要望されておることは御承知だと思いますが、そういうものについても今後何らか施策を発表される御意思がないのかどうか、そういう点についても伺っておきます。
  44. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 前国会のいきさつは私は承知いたしておりませんので、強風地帯に特に法律を定めまして、どういう施策をしたらいいかということをちょっと今思い当らないのでありますけれども、なおゆっくり、西郷さんその他関係の方々から御意見を聞きまして、必要ならば至急に研究をいたしまして、立法措置をいたします。私といたしましては、まとまった考えはまだ持っておりません。
  45. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 関連して私からもお尋ねしますが、建設省農林省、厚生省、あるいは文部省所管の地方財政に関連する災害復旧事業、これに補助金が出、また地方分は起債でみる、こういうことになっても、一例をあげれば、鹿児島山口等は連年にわたる慣例的な災害です。それを起債を与えればいいんだということだけで、こういう公共団体が今後地方財政としてうまくやっていけるかどうかということになれば、基本的な問題として重大だと思う。そういう立場から自治庁長官としては、根本的、抜本的にこれらに対する対策についてば検討をせらるべきだろうと思う。そういう点について、今西郷君に御答弁になったこととも関連しますが、長官としてどういう基本的な考え方を、構想をお持ちになっているか、地方財政という問題から御所見を承わっておきたい。
  46. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) そういう点につきましては、私どもかねて適当な施策を必要と考えておるのでありまして、とりあえず前国会に連年災害地につきましては、特別の計算による補助金を支出するようなことにしまして、御協賛を得て、すでにその法律は発布になっておるのであります。今回の災害についても、連年災害の所、山口県、鹿児島県等にその法律が適用されまして、特に他の災害地とは異なった補助金が出る、こういうふうになっておるのでありまして、一応そうした措置はいたしておるのでありまして、なお先ほど西郷さんに対するお答えにも申し上げましたように、御意見等を伺いまして、何か新しい施策が必要ということになりますれば、なお考究はいたしたいと思います。とりあえず前国会におきましては連年災害地に対する措置はいたしたということだけは申し上げられるのであります。
  47. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) では、大村理財課長にお尋ねしますが、鹿児島山口のような累年災害にあうという所で、特別立法による補助金を出すにしても、やはり起債というものも相当出ておると思うのですが、その起債の償還という問題になると、一般地方団体が今困りぬいておる。なおそうしますと、こういう両県等は困るであろうと思う。こういうふうな将来の見通しとして、起債の償還能力があるという建前で、そういう面で見ていくとするのか。いつかは破綻を来たすのではないかと考えられるのですが、その見通しについて伺いたい。
  48. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私から一応お答え申し上げますが、ことしの北海道、東北の水害の際も、特にこれは議員立法で成立したのでありますが、災害に対する起債は今後特別交付税でもって元利ともみよう、こういうことになっております。二十八年度災害のときもやはりそういう措置をとったわけでありまして、こうした非常災害で特に困った地方団体に対しましては、起債は特別交付税等によりまして特別にこれを償還をする、こういう措置をとっておるわけであります。
  49. 大村襄治

    説明員大村襄治君) ただいまの大臣の申し上げました点を法律をかりて御説明いたしますと、現在地方交付税法の第十二条におきまして、交付税の測定単位及び単位費用を掲げてございますが、その一番おしまいに災害復旧費というのがございまして、災害復旧事業費の財源に充てた地方債の元利償還金については一円について九十五銭、つまり九五%のものを交付税の対象としてみるという仕組みにいたしてございますから、たとえその年度は起債で財源措置をいたしましたものにつきましても、後年度の公債費につきましては九五%まで財源がいわば保証されておる、そういう仕組みになっております。ただ、この法律の適用を受けますのは補助災害復旧事業であります。国の方から高率の補助を受けて、そうして地方負担額に対して起債措置がされる、こういった保証があるわけでございますが、補助の伴わない単独復旧事業の償還費につきましては、これは特別交付税法で毎年度五〇%程度の手当てをいたしております。従って、完全とは言い切れないのでありますが、相当程度の手当ては現在行われておるわけであります。  それからただいま大臣が申し上げました起債の特例法と申しますか、二十八年の起債の特例法は、普通補助対象となりますものは公共施設災害復旧事業であります。これには当然地方負担に対して起債の財源措置がとられるわけでありますが、そのほかの事業あるいは税の減免分、こういったものは、普通の場合起債を財源にすることは許されないが、二十八年度の災害起債特例法におきましては、そういったものも特に起債を財源にすることを許すと同時に、その元利締約金につきまして後年度において国庫において補給する、こういった特別措置を認める。そういう先例もある次第であります。御参考までに申し上げます。
  50. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 自治庁に伺いますが、本年のすでにワクを決定した起債のうちの公募分ですが、今度の災害で非常に打撃を受けたような自治体では、たとえこの公界のワクをもらっても、その消化が非常に困難だと思いますが、今回の災害もあったのですから、こういうすでに与えた公募の未消化分について、自治庁は積極的に何らかあっせんか裏打ちをするようなお考えはありませんか、長官の意見を伺いたいと思います。
  51. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 大体公募は都道府県につけまして、市町村の場合は政府資金でやることになって、おります。災害府県につきましてはなるべく政府資金でやる、こういう方針をとっておるわけであります。鹿児島県などは災害復旧関係は全部政府資金でいたすことになっております。
  52. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の長官の、ちょっと納得がいかぬですが、公募でも市町村分は預金部なり担保資金で裏打ちをなさるのですか。そうではないのでしょう。公募分ですよ、私の言っているのは。
  53. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 公募はやはり市中銀行から借りることになっております。大体公募分は府県、大都市だけに限りまして、地方の市町村は政府資金を充てるようにいたしておるわけであります。ですから、御心配のようなことはないわけであります。それから鹿児島県の場合は、県庁に許す場合は災害復旧関係はこれは全部政府資金でみるように、これも処置することになっております。
  54. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ちょっと、今長官、勘違いしておられるようですが、私の伺うのは公募起債分だけのことなんです。一般起債はもちろん今の御説明通りです。公募の分について市中銀行と言われるけれども災害を受けておりますから、そういう消化が非常に困難だと思うから、特に災害という特殊事情を考えて、公募の分についても自治庁が積極的にあっせんなり資金の裏打ちをなさる特別の考えはないかということを伺っているのです。
  55. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ちょっと理財課長から、取り扱い方ですから、御説明申し上げます。
  56. 大村襄治

    説明員大村襄治君) 罹災地の団体にすでに許可をしました公募債の消化について、自治庁として特にあっせんをするつもりはあるかという趣旨の御質問かと拝聴したのでありまするが、公募債につきましては、なるべくその団体の消化力を念頭におきまして配分しておりますので、ただいま大臣から申し上げました通り、資力の貧弱な市町村あたりにつきましては実際公募債をつけることはいたさないことにしておるわけでありますが、若干、上水道事業等につきまして、すでに本年度におきましても許可せられた分があるのではないかというふうに考えております。これにつきまして、特に災害のために消化能力がその後不振になって参ったというような事情のあるものにつきましては、御指摘の通り、金融機関等に特にその点の協力をお願いするようにいたしたいと思っております。なお今後災害復旧費について許可せられます起債資金につきましては、これは全額政府資金で充当して、公募の不消化などということの起らないようにいたしたいと考えております。
  57. 島村軍次

    ○島村軍次君 農林省所管のうちで、この表の入植施設被害相当多額に上っておるようでありますが、特に鹿児島県におきましては、全壊五百二十、半壊その他も合せて千三百戸というのであります。連年の災害でいつも目こぼしになり勝ちなのは、この入植地帯の特に家屋が悪いために非常な災害を受けてあとの復旧に困るということが、問題によくなるのでありますが、本年のこの災害については、現在の農林省予算のうち、あるいはまた地方予算のうちで、あるいは今後の災害復旧の予算措置で、十分の措置ができ得るかどうかという点が一点。  それからもう一つは、やはり同様に、漁港施設については、災害個所は多くて、しかも被害相当激甚であるが、災害復旧はなかなか行われない。従ってその結果、漁獲高に非常に影響するということがいつも問題になるのですが、本年の災害についてはそういう問題についてどうお考えになっておりますか、一つ御答弁を願いたいと思います。
  58. 檜垣好文

    説明員檜垣好文君) 入植施設の点の御質問でございますが、お話のように、開拓者につきましては、入植しますときに住宅の補助金が出ておるのであります。どうしても経済力が弱いのでお話のような十分な住宅ができておらないのであります。それがさらに台風等によりまして災害を受けた場合には、現在やはり予備費等で災害の住宅の復旧の補助をいたしておりますが、これもお話のように、必ずしも十分な額ではございません。残っております資材を活用する、あるいは開拓者の労力等によりましてさらに住宅を復旧いたしておるのであります。この点につきましては私ども、たとえばただいま川島長官の方からお話がありましたように、あるいは寒冷地あるいは災害相当あるというようなところにつきましては、もう少し根本的にこの住宅の復旧の対策を考えて参りたいというふうに思う次第であります。  次に漁港でございますが、これも御指摘のように、現在漁港の開設等をやっておりますが、それ自身もまだ十分の財政的措置ができておりませんところに災害を受けまして、かえって能率が下るというふうな問題があるのであります。これはいずれも財政的な問題に制約されておるのであります。これも結局国家資金の浪費にならないように、能率的に災害を復旧をいたしますように、まあ少い補助金の中から重点的に復旧をいたしております。御指摘の点につきましては、さらに一そうの努力をいたしたいと考える次第であります。
  59. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それでは台風災害についてはこの程度にいたしまして、また議員派遣がございますから、調査の結果、必要があればこの調査を進めるということにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に、新潟大火につきまして、先ほど御説明いただいた点、あるいは今後の立法、あるいは新潟市の財政に伴う海岸崩壊の処置の問題、これらについて御質問を願いたいと思います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を起して。
  62. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 私は新潟災害につきまして政府の所信をお伺いいたしたいのでありますが、災害が発生いたしますると、政府並びに政党方面から寄せられた御好意に対しましては、特殊の関係がある自分といたしましても感謝にたえないのでありまするが、将来これにつきましては一そう好意ある理解のもとにやっていただかなければならぬと思いますので、そういう立場におきまして政府の所信を二、三お伺いいたしたいと思うのであります。  災害が終りますると直ちに、御承知のように、地主と、また借地人と借家人との権利利益について、いろいろの紛争を起しつつあるのでありまして、最近の情勢によりますと、弁護士の相談所、政党の相談所あるいは会議所の相談所に持ち込んだものが、すでに二百四十件もあるというような情勢であります。このような情勢では復興が非常におくれまするので、県議会も市議会もその点にかんがみまして、満場一致を以て罹災都市借地借家臨時処理法の適用を要望しておる次第でございます。従って、この法律を早く適用するということは、これらの紛争を処理する上におきましてきわめて適切であると思うのでありますが、これにつきまして自治庁並びに法務省の御意見を承わりたいと思います。
  63. 村上朝一

    説明員村上朝一君) 今回の新潟市の大火は、災害の規模から申しましても、また罹災地域が市内の繁華街にわたっております関係から申しましても、借地借家関係の調整のために、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害として指定する法律が出ることがきわめて望ましいと私どもも考えております。で、聞くところによりますと、来たるべき臨時国会に議員提案で、この新潟市の大火を罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害として指定し、かつその施行地区を定める法律が提案されるように聞いておりますので、提案になりましたならば、私どもとしてももとより賛成でございますし、実施につきましてはできるだけ力を尽したいと、かように考えております。
  64. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 この法律の適用の促進につきまして、いろいろ関係者に申し上げた際にも話があったのでありまするが、これは法律をもってその適用を決定するということになっておるのでありまして、今回のように近く国会が開かれるというようなことが予想される時期においては適当でありまするけれども、そうでない場合においてはずいぶん不便であると思うのでありますが、そういうようなことにつきまして立法上何かお考えになる点はないでしょうか。
  65. 村上朝一

    説明員村上朝一君) 御承知のように、この罹災都市借地借家臨時処理法は、戦災地の復興のために、戦災地における借地借家関係の調整を目的として政府から提案された法律でございましたから、国会で修正になりまして第二十五条の二が加わりまして、その他の災害の場合にも準用するということになったのでありますが、その災害の指定は法律でやるということになっておりますので、場合によりますと、災害直後にこの法律の適用が行われるということは困難な場合も出てくるわけでございます。もしこれが政令で定めるというようなことになっておりますれば、もっと迅速に適用が行われるかとも存じますが、その点はなお、この法律が本来戦災地に対する臨時立法として立案されました関係上、恒久的な災害立法として残しておくについては、他の条文にもいろいろ検討を要するものがあるということで、実はただいま検討中でございますので、この法律の全面改正等の際には、二十五条の二の規定も十分検討いたしたいと、かように考えております。
  66. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 この法律の適用は、今お話しのように、戦災によるものでありまするけれども、その後この法律を適用した過去の事例にかんがみましても、また今回私どもが直面した災害につきましても、臨時立法ではなく恒久的の立法にして、しかも国会のない場合には何か適切な処置のできるような立法処置を講じておくことが必要ではないかと思うのでありまして、その点につきまして目下考究中であるというのならば、まことにけっこうですから、その点について一そう進めていただきたいと思うのでありますが、しかし今の場合におきましては、目下これを処理する法律もないのでありまするから、どうしても行政措置によらなければならぬのでありまして、現に県知事、市長等はそれぞれ声明を発するとか、市民の理解を得るとか、いろいろ方法を講じておるのでありまするが、そういうような便宜の行政措置を法務当局としては、この法律の必要性にかんがみまして、あらかじめ適当な手を打つなり、あるいは立法措置を講ずるというようなことについて、何かお考えはないでしょうか。
  67. 村上朝一

    説明員村上朝一君) 災害後数カ月を経てこの法律が適用されます場合に、この罹災都市借地借一家臨時処理法の中で第二条及び第三条の借家人の優先的借地権と申しますか、もと借家しておった者が借地権を他に優先して設定を受けることができる規定がございますが、この規定の適用は罹災当時の借家人と借り主ということになっておりますので、たとい二、三カ月おくれましても、罹災当時の借家人がどこまでも保護されることになるわけでございます。  ただ問題は、この十条の借地権の規定でございますが、これは御承知のように、借地権というものは借地権の登記があるかあるいは借地の上の建物の登記がある場合でございませんと、借地の譲渡があった場合に、譲り受け人に対して借地権を対抗できなくなるわけであります。それに対する対策として、この十条におきましては、災害のときから、二十五条二の法律の施行のときから五年間は登記がなくても対抗できるという規定を置いて、借地権を保護しておるわけです。ところが、災害後二十五条の二の法律が出ますまでに数カ月間を置きますと、その間に土地所有権の譲渡が行われた場合、十条の保護を受けられないことになるのではないかというので、仄聞するところによりますと、この法律が出るにしても、この法律の出る前に土地を売ってしまうというような地主があるというようなことも伺ったのでありますが、本来借地権を設定してあります土地を地主が譲渡いたしまして、その結果借地権が譲り受け人に対抗できなくなった場合に、旧地主といたしましては、自己の責に帰すべき事由による履行不能ということで、債務不履行による損害賠償の責任を負わなければならぬのでありまして、この法律のない間隙に乗じて土地を売ったからといって、決して地主が利得をするわけではないのであります。で、その点あるいは誤解があるかと思いますので、この借地借家臨時処理法が来たるべき臨時国会に議員提案として提案される機運にあるということ、これは県当局においても十分関係者に周知の方法を講ぜられておるように聞いておりますし、なおもし借地権の設定してありまする土地の売買というようなことがひんぱんに行われるような傾向がございますならば、その点もさらに損害賠償の責務を生ずるというようなことも周知させましたならば、防止し得るのではないか、かように考えております。  従来の災害の場合の例を聞いてみますと、長いのは六カ月くらい災害と法律施行との間に期間がたっておる場合もございますけれども、その間に地主が土地を売って借地権が対抗できなくなったというような紛争はひんぱんに起ったようなことは聞いておりませんので、何らかの周知方法を講ずることによりまして防ぎ得るのではないか、かように考えております。
  68. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいまの御答弁によりまして了解いたしましたが、今のことはぜひ適当な方法で周知するように当局におかれても処理せられるようにお願いいたしたいと思います。  なお少し話は違いますが、ついででありますから伺っておきたいのですが、これは土地の底面整理の問題でありまするが、新潟にはちょうど中央にかなり大きな地積を刑務所がとっておるのであります。従来といえどもその移転についてはだいぶ市民の声もあったのでありますが、今度区画整理によって住宅地がだいぶ窮迫を告げるという際には、どうしてもこれは解決をしなければならぬ問題であり、また郊外にも適当な敷地もあることも予想されておりまするので、この際に移転ということも考えていただきたいと思うのでありますが、これについて一応の御意見を承わりたいと思います。なおそういうような問題については、もちろん当局者間においてこまかしく協議しなければならぬと思いますけれども、大体の方針だけ承わりたいと思います。
  69. 村上朝一

    説明員村上朝一君) 私案は所管が違いますので、その点について意見を申し上げるだけの知識がないのですが、御趣旨は所管の局長に伝えまして、十分考えて取り扱いたいと思います。
  70. 小林孝平

    小林孝平君 先ほど小柳委員から話がありました問題は、現に非常に紛争が起きているのです。いろいろ売ったとかなんとかいう問題は現に起きて、非常に混乱しておるのでありますから、小柳委員からそういう見解を何らか政府から発表していただくことをお願いされましたけれども、これは政府はそういうことをやられるかどうか、どういう形でやられるかということをはっきりお尋ねいたしたいと思います。そういうことをやっていただかなければ、これはいつまでたってもごたごたやっているのです、現に。
  71. 村上朝一

    説明員村上朝一君) 新潟においてこの火災のあとの土地の売買等がひんぱんに行われて、紛争が生じているというようなことでございますならば、県当局並びに法務省の出先機関等に連絡いたしまして、地元の新聞に談話を発表するとかあるいは講演会を催すとか、適当な方法でなるべく早く周知方法を講じたい、かように考えております。
  72. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私からも伺いますが、あなたの最初の小柳君に対する御答弁では、来たる臨時国会においては議員立法でやられるようで、そうなるならば、まあ当局としても賛成であるという御意見でしたが、ああいう新潟大火等が起って、政府としては、そう措置すべきものであるという結論が出ておるのであるか、議員立法が出るそうだからそれでやっていこうということでいるのかどうか、政府の積極的な責任でそういう措置をとらなければならぬという決定になっているのか、この点非常にあいまいなんです。政府が必要と認めたら、政府提案で立法すべきものである。議員がやるそうだからというので、傍観しておるという政府の態度は、この新潟大火に対して適当であるかどうかということは、われわれ非常に疑問とするところです。どういうことになっておるのです、政府は。この臨時国会政府提案で立法すべきものである、そうして救済しなければならぬという結論を得ておるのか、また得ておるとすれば、それまでのつなぎとして暫定的には行政措置あるいは行政指導等でどういうふうにやろうとしておるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  73. 村上朝一

    説明員村上朝一君) これは実は民主党の政調会等に私どもの方からも呼ばれまして、お話を伺いますと、議員提案で次に提案をしようということにほぼきまったように伺いましたので、それならば、議員提案を押しのけて政府から提案する必要もないものでございますから、資料その他につきましてできるだけ御協力申し上げることで、議員立法で行われることが適当と、かように考えております。
  74. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうしますと、議員立法が出ないという情勢であるならば、政府提案でもやるのだという腹がまえがある、しかしまあ国会側の方で提案するというなら御協力申し上げる。そういうことであるならば、臨時国会までのつなぎとして、そういう紛争が起らないような積極的な指導は政府としてどういうふうにしようとお考えになっておるのか。あなたの御答弁ですと、講演会あるいはその他を通じて周知徹底方をはかりたいということですが、そういうことで、やろうというふうにきまっておるのですか。
  75. 村上朝一

    説明員村上朝一君) 従来の例から見ましても、災害とこの災害を指定する法律の施行期日との間に、多くは二、三カ月、長いものは六カ月から、特に長いものは一年以上たって施行されたものもございます。その間、特に周知方法を講じなければ紛争が頻発するというような事例は今までございませんでした。で、私どもとしては、特別な措置はとらないつもりでおりましたけれども、ただいまお話を伺いますと、現に新潟ではいろいろ紛争が起きておるそうでございますので、それに応じた対策を、今後講じていきたいと、かように考えます。
  76. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を起して。  もう一つ伺いますが、私しろうとでわからぬのですが、もしも臨時国会前に地主あるいは借地借家人側から訴訟が起ってくる、そうして民事事件になるという場合がかりに、あるのかないのかわかりませんが、あるとこういうようなことになっている場合に、十一月下旬の臨時国会でこの法律が制定せられ、公布せられるということが、その訴訟事件を無効ならしめる効力はあるのですか、ないのですか。
  78. 村上朝一

    説明員村上朝一君) 借地上の建物が焼けたからといって、地主が今後貸さないというようなことは、本来法律的には言えないのであります。借地権の存続期間中であれば、引き続いて貸さなければならぬわけであります。ただ特別の場合に借地権が消滅する原因が別にございますれば格別でございますが、一般的に申しますと、借地権の存続期間中であれば、地主が今後貸さないということを一方的に言うことはできないことになるわけであります。なお存続期間等についても、罹災都市借地借家臨時処理法によりまして、借地法以外に借地権保護の規定もございますが、もし訴訟継続中にこの法律が施行されますと、口頭弁論終結当時の法律を適用するわけでございますから、訴訟の起きた時期が法律施行の時よりも前であるからといって、本来この法律のもとで勝訴すべき当事者が負けるというようなことはないと考えます。
  79. 小林孝平

    小林孝平君 ともかくそういうような実情が現に出て、非常にもう混乱しているのです。それで今そういう、法務省としてはおやりになるということをはっきりお聞きして満足しましたけれども、じゃ、それはいつおやりになるのですか。至急にやっていただかなければ、日を経るに従ってだんだん深刻になっているのです。だから、研究してだとか、そのうちになんというのじゃ困るのです。いつまでにそういうことをやられるかということを……。そんなものは簡単でしょう。
  80. 村上朝一

    説明員村上朝一君) 罹災都市借地借家臨時処理法が近く新潟大火に適用される機運にあるということ、適用されましたならばどういうことになるかというこの法律の内容等につきまして、新潟市の一般市民の方に周知させるような方法をできるだけすみやかにとりたいと考えます。
  81. 小林孝平

    小林孝平君 そのできるだけというのがだめなんです。国会の答弁はすべて、できるだけ善処する、できるだけ早く、できるだけというのが一月もある、二月もある。今度の臨時国会を鳩山内閣はいつ開くかわからぬ。なるべくおそくするのはこれは政府の考え方なんです。だから、これは困りますよ、そんなことでは。こんなもの、簡単じゃないですか。事務的なあなた方の方で起案されて、すぐ原地に人をやる。二日か三日あれば、そんなことはできると思う。なるべくと言わないで、すぐに、では三日以内、そういうことをしてもらわぬと困りますよ、実際。われわれは現に非常に迷惑をこうむっておる。このために、われわれ専門家でないのに、もういろいろの問題を持ってくる。わんわんとやって、さっぱり本質のその復興がはかどらないですよ。だから、どうですか、三日とか四日、五日、なるべく早くだから、まあ三日とか、一つお願いします。こんなものは簡単ですよ。あなたがお考えになって通牒を出せばいいんです。
  82. 村上朝一

    説明員村上朝一君) 簡単でありますだけに、なるべく早くと申しますことはそう長くはないと御承知願いたいと思います。今ここで三日とか五日とかいう期限を約束することもいかがと存じますので、大体その程度で御了承願いたいと思います。
  83. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を起して。
  85. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 次に交付税の問題でありまするが、先ほど西郷委員から御質問がありまして大体了承したのでありまするが、なお一応念を押しておきたいと思うのですが、新潟は御承知のように、非常に財政が苦しいわけなんでございまするが、今度の災害につきましても、歳入の欠陥と歳出の臨時の支出というようなことで、約三億五千万ばかり出る見込みのようでございます。従って、交付税の早期交付並びにこの特別交付金の算定については、これらの事情を十分御考慮願いたいと思うのですが、これについてあらためて一つはっきり承わりたいと思うのですが。
  86. 大村襄治

    説明員大村襄治君) 交付税の点につきましては、先ほど大臣が御説明申し上げました通りでありまして、普通交付税の繰り上げ交付につきましては、第四回分の十一月分のものを十月中に交付できるようにいたしたいと、その準備を進めております。それから特別交付税につきましては、交付時期が法律上二月と指定されておりまして、これを繰り上げることは他の面でいかがかと思われる点があるわけでございますが、その算定につきましては、もちろん御指摘の通り災害による財政需要の増高と税の減免その他による収入の減少、そういった財政事情全般の変化を念頭に置きまして、交付額の具体的な算定をいたすということになるわけでございます。先例によりましても、昨年起きました北海道の岩内町の火災の際におきましても、当時の罹災戸数に応じて直接の火災によるる被害を補填する分として、相当額を見込んだという実例もございますので、今回の分につきましてもそういった点も参考にして算定をいたしたいというふうに考えております。
  87. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 次に住宅のことについて簡単にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、住宅は先ほども説明あったと思いまするが、県と市で公営住宅を作ることになっておりまするし、その関係上国庫の補助金を要望しておりまするが、これはどうしても出していただきたいと思うのでありまして、そのほか国庫融資等についても便宜をはかっていただきたいと思いまするが、この国庫補助についての見通しはいかがでございましょうか。
  88. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 公営住宅の建設につきましては、十分こちらに見通しがございます。現地の要望によりまして直ちに建設をいたしまして、補助金の準備をいたしておるわけでございます。
  89. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 今度の災害者の、業種別にしまするといろいろありまするが、特に目立って大きいのは旅館であると思います。三分の一を焼失いたしまして、しかも一流、二流という部類のものが焼けたようでありまして、旅館の公的の機能といいますか、公的の役割り等を考えまするというと、これは十分に考慮しなければならぬと思いまするし、ことに旅館は本建築ができなければ営業も開始できないことと思いまするので、他の商店、店舗とはよほど違うと思うのでありますが、こういうようなものについて、何か特別の方法はないのでしょうか。
  90. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 旅館の場合、旅館の家族のための住居分につきましては、これは住宅でございまするから考え得るのでございますけれども、その営業をやりますその他の分につきましては、ちょっと住宅と申し上げられないと思うのでございます。従いまして、店舗の場合は、住宅に対する店舗付住宅という場合に、その店舗の大きさによりますけれども、大体住宅の面積の三分の一程度、つまり全建築の三分の一程度の店舗は、店舗付住宅として考えていきたい、こういうふうに考えておるのでございますが、旅館の場合には、何しろ家族の住居部分とその他の営業部分との割合が、大部分は営業部分なんでございますので、これを住居というふうに考えることはちょっとむずかしいのではないかと思うのでございます。一般建築物につきましては、今のところ私どもとしてちょっと考える方策はありませんのでございまするが、その住居部分につきましては、できるだけ援助はできると思っております。
  91. 小林孝平

    小林孝平君 関連して。さっき住宅公団の店舗付住宅の分譲ですね、これは全国一万戸分あって、それを希望によってまあやれるだろう、こう言われておりますが、これは大体希望があればほとんど完全に満足できるのですか。ほとんどそれを査定するとかなんとかいうことなくやれますか。この一万戸はありますけれどもね、どのくらい希望あっても、もう査定されることありませんですか。
  92. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) どのくらいといって、その程度によりますけれども、大体今度の新潟火災全部寄せましても九百戸でございます。でありまするから、この一万戸分のうちどのくらい希望がありますか、大体希望に応ぜられると考えております。
  93. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 旅館については特別の方法がないという話でありますが、申すまでもなく、この旅館の建物の全部は店舗に当るようなものであって、特殊の要求であって、しかも旅館の公的の役割等も考えられまして、十分御研究願いたいと思うのであります。  次に土地区画整理のことについて伺いたいのでありまするが、土地の区画整理については、街路整理であるとか、あるいは水路の埋め立てであるとか、あるいは公園緑地の確保であるとか、防火施設であるとか、まあこういうようなことをいろいろ考えられておるのでありますが、そのために一億二千万円ばかりの経費を要するというので、その二分の一をどうしてもこれは国庫の補助を受けなければやっていけない、こういう情勢にあるようであります。これにつきまして当局のお見込みをお伺いしたいと思います。
  94. 高谷高一

    説明員高谷高一君) お答えいたします。今一応現地へ行って指導してきた者が持って参った事業費が、まあ仰せのように、約一億二千万円ばかりになりますが、これを一応二カ年で完成したいというふうに考えております。ところが、昨日現地で実地測量の、大体の面積だとか、あるいは街路を新しく建設する図面がだいぶ完成して参ったので、正確なところによりますと、約一億一千万円程度事業費になります。これで今大蔵省査定を受けておりますが、多少それからまあ減額をされるのじゃないかと思うのでございますが、できるだけ一億一千万円の線でせっかく折衝中でございます。それを二カ年で完成いたすとしますと、今年度は雪がだんだん、天候の具合が悪くなって参りまして、工事量としては伸びませんので、四、六ぐらいの割合で予算を要求いたします。そうしますと、ことし約四千万円、本年度中使う予定の事業費が四千万円でございます。四千万円の二分の一の国庫補助でございますから、今予備費を大蔵省の方と交渉しているのですが、大体先ほど今年度予備費の中から約二千万円近くの金を予定しているからというお話でございましたから、でありますから、本年度は四千万程度事業ができるというふうに確信しております。
  95. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ぜひ大蔵省との折衝について、十分な予算を取っていただくようにお願いをしたいのですが、なおこの機会におきまして、火災とは少し違いますけれども、自然関連することにもなりますので、今工事中であります新潟の海岸決壊の費用の負担について政府のお考えをお聞きしたいのでありますが、この海岸の決壊の理由につきましては学者間にもいろいろ意見があるようでありますけれども、大体の意見といたしましては、国の工事されました西突堤の建設工事や大河津分水工事の結果、こうなったということの意見が多いのであります。そういたしますというと、かつて内務省直轄工事としてやった工事の結果、こういうふうな災害ができてきたということは、その工事とも関連した工事とも見得るのでありますから、こういうようなことは国庫でもってその経費を支弁するのが理屈ではないかと思うのであります。しかしこういう、まあ理屈を抜きにいたしましても、ごらんになった人はみな驚かれるのでありますが、年々非常な速度をもって海岸砂丘を決壊しつつあるのでありまして、去年のごときはすでに信濃川と海岸と水が通じたというような情勢であって、この情勢をほうっておきますれば、新潟の最も重要な部分である西新潟は水にひたるというようなことでありまして、国土保安の立場から申しましても、ほうっておけないことは当然でありまして、かような仕事は、単にその被害地の関係ばかりではなくむしろ国の立場において防水工事をやっていただくのが適当ではないか、こう思うのであります。いわんや今回御承知のような災害に直面いたしまして、県なり市なり経費に非常に追われている際でありますから、これらの工事の性質にかんがみまして、また現段階の財政の窮乏というようなことも考慮に入れられて、全額国庫負担にこの工事をやっていただきたいと思うのでありまして、これは八月に市民大会を開きまして、この問題の解決に論議を重ねた際にも、全額国庫負担を要望するという一致の意見でありましたし、なおその後県議会並びに市議会等におきましても、そういう意向で目下進んでいる次第でありますが、これにつきまして政府当局の所信をお聞きしたいのであります。
  96. 坂本信雄

    説明員坂本信雄君) 坂本画課長でございます。ただいまお話ございました新潟海岸の決壊工事は、一日もゆるがせにできない緊急なる問題であると私どもも考えております。そうしてその対策も立てているのでございますが、その対策災害復旧工事と防災工事の二つからなっておりまして、災害復旧工事の方は、国庫負担法によりまして割合多額の補助が出るのでございますが、防災工事の方は、従来新潟の決壊防災工事に対しましては四割という補助率にきまっておりますので、これの地元の負担は相当大きなものがあると考えます。私どもとしましても早くあの工事を円滑に進めていかなければならないという観点から、もっと国の負担率を上げた方がよろしいという考えを持っておりますが、やはり同様な工事が新潟だけでなしに、日本のほかの地区にもございまして、この関連も考え合せまして、三十一年度の予算要求におきまして、四割を五割とするということで、実は大蔵省の方に御要求しておる現状でございます。その点は今後の折衝になるわけでございますが、できるだけ実現させたいということで、私ども大蔵省の方と御協議申し上げることにしたいと思っております。
  97. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  98. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。
  99. 小林孝平

    小林孝平君 これは非常に運輸省としても御考慮願っておるのですけれども、こういう例は日本の他の所にもあるからそういうのとの振り合いを考えてと、こう言われますけれども、一体これと同じようなのが日本のどこにありますか。これは世界的にないと言われているのです。あなた日本のどこにこれと同じような——そういう認識だからだめなんですよ。
  100. 坂本信雄

    説明員坂本信雄君) 新潟海岸の決壊はわが国でも、おそらく世界的にも相当類のないことだろうと思いますが、予算的に分類を申し上げますと、これは災害関連事業の中の災害対策ということに入るのでございますが、その対策の中でやっておりますのが新潟、東京、大阪、尼崎と、こう四つございます。それからこれはまた少し項が違いますが、同じような海岸の侵食を受けておる所に対する対策の工事を海岸防災と称してやっておりますが、これは今大阪の泉州、それから門司、徳山、こういう所でやっております。規模は東京、大阪、尼崎といいますのは地盤沈下でございまして、新潟の問題とは少し違っております。また泉州、門司、徳山の場合はこれは海岸決壊ではございますが、規模において新潟とは大分差があると思いますが、そういうものでございます。
  101. 小林孝平

    小林孝平君 それは予算的にこれは災害復旧、これは防災だというその分類だけじゃないのですか。そんなのはちっともこの新潟岸決壊に対する十分な認識がないからそんなことをおっしゃるのです。そんなことは聞かなくてもわかっておりますよ。ところがこういうふうに全く異例な他に類がない、世界にもおそらく例がないと言われるこういう新潟の海岸決壊、数年にして新潟が水の中に入ってしまうというような、こういう場合だからどういうことを特別にやらなきゃいかぬということをわれわれは言っておるのです。あなたのお話を聞いていると、知らない者には非常にもっともらしく、また努力していられるようだけれども、知っておる者は何だ、人をばかにしている、こういうことになってくるのです。もっと真剣に一つ事務当局は、少くともそれは大臣ならまあそういうようなことを言われてもいいですけれども、あなた方がそういうことを言われたのじゃ前途まことに悲しいのですよ。しかも今これに新潟が火事になってこの負担力が弱まっているから、これをどうしようかということを小柳さんは聞かれているんです。それに対してちっともお答えがないじゃないですか。全く見当違いのお話になって困ります。一体どうされるんですか。この負担力がなくなった、これをどうするつもりかということをお聞きしているんです。そういう努力はされてないのですか現在。
  102. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私も重ねて質問しておきますが、ああいう新潟の決壊のようなものは国土保全の立場からも、単に運輸省所管の港湾に関係するからということでなしに、国土保全という意味でも国の力であれが復旧を行うべきではないかということをわれわれ常識的に現地を見て考えるのですね、そういう点について政府部内において検討を加えられ、そうしてなお今言うような新潟大火等に伴い負担能力が、もうたえられないという事態になってきて、なお市の事業というものも遂行が危惧せられる。従って緊急に措置を講じてもらいたいというのが両委員の質問の趣旨だと思う。それらについて全般的に討議せられたことがあるのかないのか、またないならないで今後やろうとするのかどうか、率直な御答弁を願いたい。
  103. 坂本信雄

    説明員坂本信雄君) 新潟海岸の決壊を政府のどこでやるかという問題のようにお聞きいたしましたが、これは最初に非常に防波堤の根元から決壊が起ってきまして、まず運輸省があそこで新潟港の仕事をやっておりましたために、すぐ工事に着手したわけでございますが、その後だんだんと範囲が広くなって参りましたが、元来海岸決壊の工事は実は港湾関係者の方では非常にその方面の専門といたしておりまして、相当技術的な面でまず適任であるというふうに考えておりますし、なお新潟岸決壊対策委員会というのを現地に作りまして、この委員会には運輸省のみならず建設省、それから中央気象台、それから大学というような関係の専門の方々の御出席を願って、いろいろ長い間にわたって検討しました結果、最近になってその対策について結論を得、それを実施しようとしておるわけでございます。それでまだ港湾区域内の海岸の問題はそれぞれ必要に応じまして建設省なりあるいは運輸省で担当しておりますが、その点については建設省の方ともすでにお話しの上でやっておりますので、別にそういう点では問題は起っておらないというふうに考えております。  それからもう一つ今度の火事がございまして、そのために地元の負担能力が減っておるが、それに対して対策を考えておるかという御質問と思いますが、このために非常に地元で経済的に今後問題が起るだろうということは私どもも考えておるところでございますが、直接にその火事の結果この海岸決壊防止工事にどういう処置をとるかということは、実はまだ考えておりません。今後大蔵省との折衝におきまして、国の負担率をできるだけ大きくしたいという考えを持っておりますが、なおそれでもっても資金的にこの工事が順調に進むのがむずかしいということであれば、現在では起債その他財政的の国の協力によりまして、この工事が円滑に進めるように処置していきたいというふうに考えております。
  104. 小林孝平

    小林孝平君 そういうことではだめなんですよ。これはもう現実の問題として、従来でもこの負担に相当苦しみ、それでもうこれで現在この工事によって非常に因っている。だからそんなのんきなことを言ってもらっては困るので、もう直ちにこの対策一つ考えてもらいたい。  それから所管の問題で委員長から説明があったのは、運輸省の力だけではだめだから、国土保全の立場から建設省も協力してこの予算をとり、そうして工事をやるべきである、こういう質問なんです。これは私も前から思っていたのです。これはやるのは運輸省が適当である、おっしゃった通り。これはこのために博士が三人も、原因については出ているけれども対策はちっともはかどっていないのです。幾ら博士が出ても堤防の決壊は直らないのです。そこで運輸省はそういう研究をされたからいいけれども、これは逆にいえば建設省などはこんなに金をつぎ込んでもさっぱり能率の上らんような仕事はむしろ避けられていると思うのです。これは運輸省に押しつけられているのじゃないかと思う。だから建設省も進んで協力してやるようにしてもらわなければ困るということを委員長は言われているのです。そういう点を一つ考えてもらいたい。  もう一つは、こういう世界的にも類もなく、大問題になっているのを一体運輸大臣はここに視察に行かれたことがあるのですか。あなたたちはそういうことを——その視察に行ってみても金を出さなければこれはだめですが、こういう大問題を一度も運輸大臣が行かないで、あなたたちが四割を五割にするなんと言ったってだめですよ。今後大臣にそこへ視察に行ってもらって、根本的な対策を立てる気持があるかないか、一つお伺いいたします。
  105. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 今の問題はいろいろお話しのあった通り、非常に緊急であり重大だと思うのです。今までの計画等は私は専門家でないからわかりませんけれども、専門的見地において相当検討を要する点もあるのではないかと思いまするし、予算総額等においてもこれじゃ足りないんじゃないかというような感じもするのであります。工事の性質に考えまして、これはどうしても国の力でやるのが本筋と思うのでありまして、そのために立法的の措置を講ずる必要があるならば、急速に御研究の上立法的措置を考えられて、そうしてこういうような特殊な工事、しかも国土保安の意味もあり、また先に行われた国の工事の影響もあるし、しかもこれが当面の財政の窮乏の都市に対する立場からいいましても必要であるということをお考えになって、至急その点を御研究、御実施あらんことを希望いたします。
  106. 坂本信雄

    説明員坂本信雄君) 今の直轄工事のことにつきましては、いろいろ関係方面等もございますので、よく研究いたしまして考えてみたいと思います。  それから大臣のことでございますが、御意向をよく大臣にお伝えいたしたいと思います。
  107. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を起して。
  109. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 新潟大火につきまして消防の立場からの御報告に接したのであります。新潟市としまして消防施設が十分でなかったという点を言われたのでありまして、この点については市当局においても十分考えなきゃならぬことと思うのでありますが、しかしこれは市民一般のまあただ説でありますけれども消防の活動が自衛隊の活動等に比べまして非常になまぬるかったというようなことを言われるのであります。しかし消防関係者は全力を注いでやったものと思うのであります。しかし近所に家庭を持っておるというような関係もありましょうし、いろいろの点においてそういうような見劣りがしたのではないかと思いまするけれどす、消防についてはもちろんいわゆる消防精神というものの鼓吹なり涵養なりやっておると思うのですが、どういうふうにそういうふうなことを考えられておるのか、その点について承わりたいのであります。
  110. 横山和夫

    説明員横山和夫君) 何しろ御存じのように非常に大火でありますし、先ほど御報告申し上げましたように平均風速二十数メートル、最大風速は三十二、三メートルに及ぶような強風下火災でありましたために、個々の消防活動自体につきましては、しさいに検討いたしますと、あるいは今小柳委員からおっしゃいましたようなことがあったかとも思うのでありますけれども、われわれが現在まで調査いたしましたり、あるいは現地からの報告に基いて承知いたしております限りにおきましては、大体におきまして消防としては全力をあげて十分に火災戦闘をいたしたと、このように承知いたしておるわけであります。ただ先ほども申し上げましたように、消防といたしましては、何と申しましても早く確知いたしませんと、かりにあのような特殊な強風下のような状況でなくても大火になるという危険性はあるのでありますが、われわれの方で推定いたしますところでは、出火いたしました時刻はおおむね午前二時五十五分くらいじゃないかと、このように報告を受けておるのでありますが、消防が確知いたしましたのは午前三時四分に一一九番によるいわゆる火災報知電話によって確知をいたしております。それから相前後、まあ前よりも後だと思いますが、少しおくれまして、一番近い距離にあります望楼はちょうど死角に入るために発火地点を見得ない状況にありまして、遠距離にありますところの望楼で確知いたして、第二線部隊を四台でありますが、直ちに出動させたというような状況に聞いておるのであります。このようにいたしまして現場に到着してみますと、すでに火災は裏側の方では屋根の上から火が吹き出しておるという状況でありますから、これをモルタル塗りでありますところの当該建物について想像いたしますと、おそらく内部におきましては火の手はずっと回っておって、そのあふりが外に出ておったという状況に想像されますので、そういたしますと消防的に見ますならば、また火災の確知は非常におそかったということにならざるを得ないと思います。そのような点も火災戦闘に非常にうまくいかなかったとこう思うのであります。  消防精神涵養の問題でありますが、これは実は先ほど報告に申し漏らしましたけれども消防署員が新潟市のものにおきまして七名軽傷者を出しております。さらに消防団員におきましては、新潟市のもので二十三名の軽傷者を出したという報告に接しております。なお応援の消防署員並びに団員の中に若干の負傷者を出しておるような状況でございまして、少くとも与えられた状況下においては最大限度に活動したのではないか、消防精神の問題についても遺憾なく戦うことは戦った、火災戦闘をしたのではないかと思っております。平素の涵養の状況は結局教養訓練の問題でありますが、私らの方で教養訓練の準則を示しております。それは精神訓練の面におきまして、あるいは直接の技術訓練の面におきましてそれぞれ準則を示し、県を通じ、あるいは市自体において、さらには消防団は消防団の立場において平素訓練をやり、さらに国の教養機関においてもそうした面からやるということで、一応はわれわれとしては現段階においてはやってはおるつもりなのでありますが、ただ冒頭に申し上げましたように、ああいう特殊現象下の大火でありますから、個々の活動自体につきましては、あるいは御指摘のような点がないとは言いかねますが、全体的に見まするならば、一応消防としては活動したのではないか。このように存じておるのであります。
  111. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 十分この消防精神の涵養には格段の力を注いでいただきたいと思います。率直に申しますると、自衛隊については非常に皆感謝しております。消防についてはもう少し何しなきゃならぬというのが町の声であるように思いますから、一そう御努力を願いたいと思いますが、さらに付け加えてお聞きしたいのは地方から応援に来た消防隊がどうにも部署につくことがいろいろの関係上うまくいかなかったというようなことでありまするが、ほかから応援に来たところの消防隊の指導なり活動についてはどういうふうにされることになっているのでしょうか。
  112. 横山和夫

    説明員横山和夫君) 初めの消防精神並び消防訓練の問題につきましては十分お説を体しまして、この上ともさらに一そう研さんするように指導いたしたいと思います。  応援部隊の関係は、現存の法規及びわれわれの指導訓練の下におきましては、これは一応災害発生いたしました当該市町村が全責任を負って消火に努めるのでありますが、規模その他によりましてそのようにも参りませんので、消防組織法では附近の市町村と応援に関して協定をいたしまして、応援要請に基いて出動いたしましたり、あるいは直接要請がなくとも協定下においては応援に出かけていく、さらに実際の問題としましては、必ずしも協定が結ばれていなくても消防精神にのっとって救助のために出かけていくというような実情になっております。そのような状況下における現場の指揮活動は結局新潟に例をとりますと、新潟市の消防の最高責任者が一切の火災戦闘における現場指揮をとるのであります。もっと具体的に申しますならば、消防組織法の定めるところによって、消防団は消防長または消防署長の所轄の下に行動するという規程が存続しておりますので、新潟市の消防長が現場における応援隊を含めた全体の最高の指揮権者である、応援に参りました消防団員もこの指揮下に入って定められた部署について、その上の活動はそれぞれひっさげて行った応援隊の直接の長が指揮をしてゆくというような統制下に活動するというのが現在の建前であります。なおさらに消防組織法の二十四条の二という規定があるのでありますが、これによりますと、非常に大規模な災害が発生した場合、法律では非常事態という言葉を使っておりますが、その非常事態下におきましては、都道府県知事も災害防御のために緊急の指示をなし得るという規定があるのでありまして、状況によっては直接知事が緊急の指示をいたすということもあり得るかと思います。
  113. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 せっかく地方から応援に行きましても、どこに行っていいかわからぬというので、だいぶちゅうちょしておったというようなことを見もし、聞きもしておるのでありますから、そういう点につきましては、将来一そう御配慮いただきたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  114. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私からもついでに伺いますが、ああいう新潟大火、ことに台風下の大火という問題は不幸な問題でありますけれども、一面貴重な体験だと思う。それで消防運用の面、あるいは消火器、器材の面、あるいは防火住宅としての住宅建設についての面、こういう点について消防本部として綿密な調査をせられ、反省の資料とし、そうして今後の措置を講ずるというふうな、そういうもとに調査が進められておるのですか。あれはあれきりでもう地元の報告を間きっ放しで、ああそうかということになっておるのですか。
  115. 横山和夫

    説明員横山和夫君) お説の通りまあ一面から申しますと、まことに将来のために貴重な研究をすべき、また体験を与えられた機会でありますので、われわれの方も災害発生当日直ちに当面の調査のために係員を数名派遣したのでありますが、さらに今委員長の仰せのようにフェーン現象下における台風発生であり、必ずしもフェーン現象を伴わなくても、台風の発生下では平生の消防力、あるいは平生の消防戦術というものでは到底克服しきれないということを目の前に体験いたしましたので、すでに第二陣と申しますか、これは今仰せのような要請にこたえるべく技術陣を派遣すべく準備をいたしております。なおこれは新潟市の方におきましても単に消防関係だけでなくて、他の科学技術者の参集を願って、総合的に検討を加えたいという御要望もあるようでありまして、そのために研究団の中にも私どもの研究所長以下技術者を派遣するようにいたしておりますので、そういう綿密なる調査に基いて、仰せのような特殊状況下の災害対策については、われわれの分野から一つの結論を得るように一つ十分に検討いたしたい、このように思い、今申し上げましたような措置をいたしておるのであります。
  116. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に警備部長に伺いますが、出火の原因については確定したのでございますか。
  117. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 残念ながらまだ確定いたしておりません。
  118. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) その際消防の鑑識の方の協力等も得ておるのでありますか。警察関係だけでやっているのですか。
  119. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 犯罪の容疑があればこれは警察でやりますが、火事の場合には消防の方と協力をいたしましてやっておるのであります。
  120. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 中央からもそのための人が派遣されておりますか。
  121. 山口喜雄

    説明員山口喜雄君) 即日警視正一人と、科学捜査研究所から技官二名派遣されております。
  122. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に大村理財課長に伺いますが、先ほど聞くと、都市計画が一億一千万程度半額が国庫から出て、あとは県市の負担と、こういうことになるわけですが、その他公営住宅で県あるいは市の部分もあるでありましょう、地元の負担が大きい。これらは全部起債を充当するということになるわけでございますか。特別な援助をせられる向きがあるのでございますか。
  123. 大村襄治

    説明員大村襄治君) ただいまお尋ねのありました、災害復興のための部市計画の区画整理事業あるいは公営住宅の建設事業に伴いますところの地方団体の負担額に対しては、大体全額を起債で財源措置いたしたいと考えております。特に災害復興のための住宅建設あたりは急を要するものでもありますので、現年債の予備費として起債の方のワクも用意してありますので、それを活用することによりまして、万全の措置を講じたいと思っております。
  124. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それから県の方の関係でございますが、当面市が重点で、峠の部分としてはそう大したことがないようにも考えられるけれども、結局は県がめんどうを見なければならぬ、あるいは国が一々補助、助成をしない部分についても、県が負担しなければならない部分も多いと思うのですね。ところが新潟県では寒冷手当の支給もいまだ——あるいは月給の支給もできるかできないかということで具体的に資金繰りに困っておる。それにこういう大火の問題が起って、当面やっぱり資金上は非常に窮迫しておると思うのです。こういうことについて、この前の委員会において、再建債として一応予定せられておるもののつなぎ融資ということで希望をとっておるのだと言っておりますが、聞くところによると、新潟県は八億程度要求しておるという話ですが、これは他の団体とは違って速急に何らかそういうものがあればめんどうを見てやる必要がないかということを考えますが、特別なこういう点について迅速に事を運ぶということはどういうふうになっておるのですか。これは牧野資金課長にも伺いたいと思います。
  125. 大村襄治

    説明員大村襄治君) 一応自治庁として、新潟県の財政資金についてとっております措置につきましてお話を申し上げたいと思います。新潟県の財政が非常に窮迫しておって、日常の給与の支払い等にも事欠いてきているという点はまことに御指摘の通りでありまして、この新潟市の火災が起る前におきましても、そういった点につきまして必要な資金措置をなるべく早く講じたいと思いまして、この点は大蔵省とも共同で調査をしておった次第でございます。さらに火災によりまして、新たな財政需要が生じて参りまして、当面の責任者は市でございますが、御指摘の通り事業費につきまして県の分担関係も出て参りますし、さらに国庫補助事業以外におきましても、県の支出すべき経費というものが生じて参りますことも十分予想されますので、さらにその資金繰りの苦しさというものが増強して参ることは必至だと思いますので、前からやりかけていましたことを一そうこの際早く実現したいと、かように考えております。
  126. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 具体的には再建、復興の方は……。
  127. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 新潟県の財政につきましては、最近の火災の問題以前にいろいろ問題があるわけでございます。これは御承知のことだと存じますが、ただいま二十九年度の末で二十数億円赤字を抱えておるというような状態にあるように聞いております。実は昨年、二十八年度の末で、九月末の出納閉鎖期に締めましたところ、たしか十二億くらいの赤があったはずでございます。その後この二十九年度においては赤字は累増させないから、むしろだんだんに健全化の方にいくというような県からのお話もございまして、私ども大蔵省といたしましても数億円の融通を去年行なってきたわけであります。ところが何と申しますか、事志と反したか、よくはわかりませんが、とにかく一年たってみたら約千億の赤字がそれに追加されてふえておったという形に相なっておるわけであります。それでわれわれ大蔵省資金運用部というものの仕事を預かっておりますこの関係としましても、郵便貯金の蓄積というようなものが資金源の大部分のものでございます。とういうようなものを三年に十億赤がふえる、これは赤のふえる原因についてはいろいろ意見が人によって違うし、議論もあるところだと思います。十億ふえるという異例なふえ方をいたしておるという所に引き続きこれを出していくかということになりますと、これは二の足を踏まざるを得ないということになりまして、ただいまのところ新潟県に対しまして、昭和三十年度四月からただいままでのところ実は短期資金融通はいたしておらないという形になっておるわけでございます。それでそこへただいま火災あるいはそれに付随するいろんな問題が起きまして、県の方も非常に金繰りに窮しておる、それからまた県の方としても財政を立て直すためにいろんな努力をしているというようなお話もいろいろございまして、ただいまその一般的な金繰りについてどうしたらいいのかということで、われわれ部内でもいろいろこれは緊急に協議して決定せなければいかぬ問題だということで検討を続けている、非常に苦慮しているような次第でございます。それから災害関係のものにつきましては、これは市と県とのいろんな金の区分というものはこれはまだ未確定な要素もございますが、災害のために都市計画をやり、道路、住宅建設をやるというような関係でいろいろ金の要る問題も起きると思いますが、これにつきましては、国庫補助金の決定などがかなりおくれるという分についてはこれは応急のつなぎ資金ということで出す、これはほかの府県と同様に、あるいはほかの市町村と同様に迅速に処理いたしたいというふうに考えているわけでございます。
  128. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうしますと何と申しますか、財政再建の促進措置法ですか、あれによって一応つなぎとして出すということで各府県が財務当局へ要請している、新潟においても要請していると思うのですが、これらはこの大火等にかんがみて、特殊なめんどうをみてやるという段階には、新潟はなっておらないということでございますか。
  129. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) ただいまのお話、ちょっと私どもの言葉が足りなかった点もあると思うのですが、財政再建関係政府資金として百十億というようなものを実は投融資計画、それに基きます地方債計画というものを計上しておるわけでございます。これは法案が継続審査となっている関係上、ほかの方に流用しないで全額留保するというようなことで今措置しておりますが、これは短期融通の問題とは実は関係がございません。短期融通は短期融通といたしまして、そのための本年度ふえる資金でどうするというような計画というものは実はないわけでございます。それは戦前におきましては資金運用部、もと預金部と申しましたが、その資金を短期と長期に分けて融通の計画をきめておったということはあるわけでございます。戦後は、長期資金融通だけを計画として決定しておるという形でございます。それで資金運用部といたしましても、地方債のほかにも開発銀行、電源開発、中小企業金融公庫、その他の公庫類とか、あるいは国鉄とか、いろいろございますんで、それに融通する量を本年度なら本年度千数百億ときめますと、これは長期資金として融通するようきめるわけでございますが、これにつきまして、郵便貯金のふえていく時期と、それから長期資金として出る時期との間に若干のズレがございます。その間に日本銀行の余裕金というような形で資金運用部の資金が浮くという分を、これは地方団体に対してだけ短期融通という形で、年度内の財政調整資金ということで、食糧証券のような形で融通しておるという形でございます。これは郵政省関係の簡易保険の方も同様だと存じます。これを何億やるかというようなことは、資金繰りの関係で、ただいまのように郵便貯金がふえないと非常に窮屈になるというふうになりますし、郵便貯金のふえ方が多いときは割合に楽になるという状況になるわけでございます。時期的な問題で、融通計画自体には関係はない問題だと存じます。
  130. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) この前の委員会で、理財局長あるいは自治庁の長官を呼んで、あの百十億というものを財調資金に使うようなことをしなければ、今の資金繰りという問題とからんで困るんじゃないかということで、他の問題もあって質問した際に、地方財務局に対してどういう指示を与えておるかということを局長が御説明になった際に、財調資金としてこれを使うんだ、それならそれは将来の結局長期債に変るんだから、そうならば地方財政法違反でないだろうというような問題等で論議された。それは今各県の希望をとりまとめ中である、至急金は出すんだという話があったわけなんです。従って、その財調資金として使わるべき部分を事務的に分けているというものが、新潟県においてはああいう大火等の問題で、もともと困っておるものが当面また困ってくる。だから別途至急出せるという方法を講じてもらえるのか、もらえないのか、こういうことを尋ねておる。
  131. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 委員長が今の資金課長の説明に対して質問された通り、今の資金課長の答弁を聞きますと、先月二十三日の大蔵省理財局長の言明とは全然違います。こういうでたらめなことを言ってもらっては困る。これは上席の理財局長なり自治庁長官が説明して、われわれは納得がいった。今委員長が言った通り疑点をただしたが、もし再建整備法案が議会を通らぬときには、そのときに法的措置をとるという理財局長の言明と、今の資金課長の話とは全然違う。そういうのでは困るので、そういう点は、委員長に希望しておきますが、明日の委員会の劈頭、今の資金課長の説明と食い違っている点を大蔵省の責任者を呼んできて、はっきりさしてもらいたい。
  132. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) その金自体がしるしがついていない関係上、これがあれだというようなことはちょっと言えない問題があるわけでございまして、ただ融通計画としては、長期債の融通計画だけしかきめていない。それで短期融通はそのときだけの資金繰りの範囲内で、可能な範囲において融通するということを申し上げたわけでございますが、御議論をいろいろ私も一緒に伺っておりまして、それは地方財政の窮迫に対して融通される資金というものを、これの中に本質上短期資金として融通を形式はしているが、実体的には長期資金的なものがあるじゃないか、そういうようなものをどうするかというお話に対しまして、これは地方財政再建整備法案が近い機会に成立をすれば、それによって長期債に振りかえることを考えておる、それからさらに、そういう法案が成立しなかったような場合、その場合これを長期資金に振りかえようとすると、赤字の転がしとか、あるいは退職手当に関する資金というようなものを地方債として長期債とすることは現行法でできませんので、そういうような場合に新らしい立法が必要であろうというような理財局長からのお話である、そういう意味だと私申し上げたわけであります。
  133. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私の理解したところでは、百十億の行政整理退職金を含む再建債そのものの内訳として、どれだけが当面融資されるかはわからないが、財調資金として、この法案が通らない過程において困っておる赤字団体にこれを利用させたい、そのための通牒を出しておる、その通牒の内容等で論議があった。そして将来この法律ができないという場合には地方財政法違反になる、長期債になるから、その場合には特別な立法をしてでもやるのだ、こういうことであの再建債の、どの程度までかはわからないのですが、希望をとってみた上で、どうしても当面必要であるというものは出してやるのだというふうにわれわれは理解しているのです、財調資金として出してやるのだというふうに。それが今課長が言われているのは全然別だ。何も再建債とか何とかいうことでなくて、短期の財調資金としての資金繰りはそのつどつど適宜にやることであって、その金を使っていいとか何とかいうことはきまっていない、それは全部保留している、こういうことではずいぶん話の理解の仕方が別ですが。速記をとめて。   〔速記中止〕
  134. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。  それでは本日はこの程度にいたしまして、また現地調査をした結果を見て、必要があれば災害関係調査を進めます。  散会いたします。    午後二時十六分散会