○
小林武治君 私は
小柳委員とともに
愛媛、
香川、
徳島の二
県下における
地方行政の
実情、特に
財政を重点として
調査したのでありまするが、これらの結果につきましての詳細は書類をもって御
報告を申し上げまするので、さよう御了承をいただきまして、右につきまして二、三の視察の結果についての
感想を
一つ申し上げておきたいと存じます。
大体のところ、これらの三県の中で
愛媛県並びに
徳島県が
赤字県であります。また
香川県は多少の
黒字を出しておる、こういうふうになっております。すなわち
愛媛県は約二十九
年度においては五億数千万円の
赤字が出る
見込みであります。
香川県は二十七
年度は一億数千万円、また二十八
年度におきましては七、八千万円、さらに二十九
年度においてもなお千万円
足らずの
黒字が出る、こういう
状態になっております。次に
徳島県は、私ども見ましても多少これは放漫にわたっておるのではないかというふうな感じを持つのでありまして、大体
人口が八十万、そこへ
予算が約九十億
足らず、そこのところに現在
県債が五十三億円ある。また二十九
年度の
赤字が約十七億余になる、こういう
状態でありまして、私はこれは全国でもまれな
赤字県と申しまするか、多少私は
財政運営についての欠陥があると、すなわち
年度初めに
県当局がすでに
承知の上で
水増し予算・あるいは俗に言うから
予算を組んでおる、こういう
状態でありまして、これらの県の今後につきましては、
自治庁等におきましても特別の
配慮をしなければなるまい、こういうふうに考えております。また
地方の
市等においてもそれぞれ大ていの市が
赤字をかかえておりますが、中でも鳴門市というような市の
予算が年間二億余円に過ぎないのに
赤字が二億円もある。しかもこれらの
赤字についての
資金のやりくりのために
地方の
銀行から一億円借りている。またその
土地の信用金庫から三千三百万円も借り入れをしておる。こういう
自治団体の
赤字がその
土地の
商業資本と申しまするか、
中小企業に対する貸出を非常に圧迫しておる
一つの例である。こういうことでありまして、全国的にも申されるのでありまするが、
地方団体の
赤字が結局において
地方の
商業資本、あるいは
中小企業に対する
融資を非常に大きく圧迫しておる、こういう事実は見のがすことができない。こういうふうに考えられるのでありまして、それにつけてもこれらの
赤字のたな上げということはなるべく早くにしなければ、
地方の
産業経済にも非常な大きな
影響がさらに出てくるということの感を深くしたのであります。
なおそのほかの一般問題でありまするが、
合併問題、
町村合併問題につきましては、どこの県でも大体順調に進んでおる。ただ
四国には飛び島が非常に多い。これらの
合併についてはある
程度の苦労をしておるし、またこれらについては格段の
注意をしてやることが必要である、こういうふうに思うのであります。しかも
合併町村の
育成ということにつきましては、先般もこの席で申したのでありまするが、これらの三県を通じまして、ほとんど
政府が
育成手段を講じておらない。これらについての
特別手段をぜひ講じてほしいということでありまして、われわれもこれに同感の意を表しておるものであります。また課税問題につきまして、先般申し上げましたが、
住民税の課税につきましては、所得割によるものがもう少し
地方に
自主性を持たせるため、すなわち
弾力性を持たせるために何らか見立割というふうな
方法が加味できないものかということが
地方における大きな希望であるのでありまして、これらについても
税務当局において何らかの
考慮を払う必要がある、こういうふうに考えておるものであります。
次は
警察に対する
寄付金の
廃止の問題でありまするが、これは形式的には大体結果が現われており、また
市町村等においては非常にこれを歓迎しておるのでありまするが、これに対しまして、一方
警察本部側ではやはり現在の
予算ではやれない。どうしても
寄付金廃止のためには何がしかの
追加予算を必要としておる。すなわち
金額にしますれば、
愛媛県でも五千万円
程度、あるいは
香川県は四千万円、
徳島県は千五百万円
程度の本
年度の
追加予算をしてもらわなければ
警察運営はできない、こういうふうに言われておるのであります。この点につきましては、先般
寄付廃止の際に
警察庁当局は大体現在
予算でやれるというふうな言明をいたしておるのでありまするが、
地方の
実情では、
寄付廃止に伴ってどうしても若干の
追加予算が必要であるということを強く言うておるのでありまするから、これについては
一つ警察庁当局の
注意を喚起しておきたい、こういうふうに思っておるのであります。
なお
一つ問題があったのであります。それは最近におきまして
大蔵省から
地方に
通牒を出して、
地方の
起債を認めるに当っては、その
地方における
郵便貯金の
増加の
程度をしんしゃくして
起債を認める、こういうふうな
通牒が出ておったのでありまするが、このため
地方の
農業協同組合等の
貯金が非常に
伸びが悪くなっておる。
町村等は
農協の
貯金というものに、相当
公共団体の
運営には
関係を持っておるのであるが、かような
措置は非常に因る、こういうふうなことが言われておったのでありまするが、これも私はある
程度さような事実があろうと、こういうふうに思いまするので、
地方起債は
郵便貯金の
伸びのいかんによるというふうな
方法はどうかと思いまするので、これらの点についても
一つ大蔵省の
注意を喚起しておきたい、こういうふうに思うのであります。
なおもう
一つ特異な現象としましては、
徳島県が吉野川、あるいは離島の
関係で非常に渡し舟が多い。ところがこれらの
経費については
自治庁当局が
交付税の
対象として経理をしておらない、こういうふうなことが言われたのでありまするが
特殊事情についてはやはり
自治庁当局も十分な
考慮を払うべきものである、かように考えたのでございます。
それからもう
一つ、これは
自治法の
改正に
関係するのでありまするが、今
自治団体でもって
地方の
議会が県の
事務の
執行、すなわち
理事者の
職務の中に入り込んでいる形跡が相当多い、こういうようなことでありまするが、これにつきましても、現在の
自治法では、たとえば県の金庫をきめるような場合、あるいは
一定金額以上の
請負契約をするような場合には
県会の承認を得る、こういうふうな
事項があるのであるが、こういういわゆる
執行面にかかわるようなことが、法律でもって
議会の
職務にされておることはどうか、こういうふうな
意見も方々で聞かれたのであるが、これらも私どもとしては再考する余地がないかというふうなことを考えたのであります。
以上私の
感想の二、三を申し上げたのでありますが、冒頭に申し上げましたように、詳細の
事情は
書面報告によって御了承願うことにいたしまして、私の
口頭報告はこの
程度にいたしたいと存じます。