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政府委員(
斎藤昇君) 昨年の七月
警察制度を
改正実施をいたしまして以来、今日まさに一年になろうといたしておりまするが、
制度切りかえ直後の模様は、たしか昨年の秋の当
委員会で御報告を申し上げたと存じておりまするが、切りかえ自身はきわめて順調に行われまして、今日まですべて当初
計画をいたしておりました
通り、大体順調に経過をいたしておるのでございます。これも一に
国会の
委員の各位のいろいろな御
指導御
鞭撻のたまものだと厚く感謝をいたしております。
制度の
改正後も、特に
警察運営の
主眼点を民主的かつ能率的な、りっぱな
国民の負託にこたえ得る
警察の育成ということに
主眼を置きまして、
警察官の
民主的教養、あるいは
警察事務執行の上における民衆に対する
接遇、ことに第一線の
事務の刷新というような点に力を注ぎ、また
国民全体が特に
要望されている暴力団でありますとか、あるいはヒロポンというような
取締りに
重点を置きまして、今日まで参っておるような次第であります。御
承知のように毎年一回ずつ
世論調査を、以前は内閣の
世論調査所ですか、そこで
お願いをしておるのでございますが、それによりますると、本年の分もだんだんと
警察の
民主化が、
国民の側から眺めて完全だとは言えないけれ
ども、一歩一歩前進をしておるということがうかがえるような結果になっておりますので、非常に喜んでおりますとともに、さらに一そう努力をいたして、もっと完全なものにして参りたい、かように努めておるようなわけでございます。昨年末の
国会におきまして、
制度切りかえに伴う
地方費支弁の
財源措置が不十分であるということにこたえまして、
調査の結果、約四十億の
財源の
増額措置を
お願いをいたしたのであります。その後の
配分施行の
状況を見ておりますと、
地方におきましては、これではまだ十分だとは申しておりませんが、われわれの見たところ、大体これで必要な
措置ができたと、かように考えておるのでありまして、本
年度の
予算、ことに
地方財政計画におきましても、これを平
年度化いたしましたものを基準として、ただいま
自治庁において
財政計画を樹立願っておるのでございまするが、おそらく
警察面におきましては、
財政計画の
数字も大体これでまずまず今日の
国庫財政の現状に照しましては、満足をすべきものではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
警察の
組織の面におきましては、これは前の
委員会においても申し上げましたが、統合による
簡素化の結果、
警察署は新
警察法施行前の千五百三十四から千二百五十四、すなわち二百八十の署が減となっております。二十九
年度におきまして、
警察職員は一万人を整理するという
計画でございましたが、これも
計画通り完了いたしました、第二年目の本年は、七千五百人を減らすという
計画でただいま進んでおるような次第でございます。
三十
年度の
予算は、ただいま御
審議を願っておる最中でございまするが、この概要を申し述べますると、いわゆる
国費予算におきましては、昨
年度は七月一日からの九ヵ月分でございましたが、これを平
年度に引き延ばしますると、二十九
年度は百十四億二千万ということに相なるのでございまするが、三十
年度、ただいま御
審議を願っておりまする
予算は百十二億でございまして、総額におきまして二億一千万円の
減少ということに相なっております。先ほど申しまする
通り、
国庫財政の都合上節約すべきものをできるだけ節約をしたことによって、この二億一千の
減小を見たのでございまするが、まず
国費の
予算といたしましては、これでどうにか
運営はやっていけると考えております。内容におきましては、装備において二億四千万、通信において一億八千万、
教養費において四千七百万、鑑識において五千二百万、
活動経費において五千百万の減でございます。ただ
府県費に対する
補助金が二億八千万の増、差し引き二億一千万の減、こういうことに相なっております。できるだけ
経費を切り詰めて、能率的に
運営をして参りたい、かように考えておるような次第でございます。
最近に行われました
衆議院議員の
選挙の
取締りにつきましては、
従前通り至公至平、しかも
公明選挙運動にこたえることのできるだけの決意を持って、
選挙取締りに臨んで参っておるのでございますが、その
取締りの
件数の結果は、三月二十九日までの集計によりますると、
検挙人員が一万八千三百七十六人、
件数が一万四百五十九件ということに相なっておりまして、これは二十七年の四万八千五百十七人、
件数におきまして二万四千六百六十二件に比べますると、半ばに達しない
数字でございまするが、二十八年の四月
施行の
選挙の
人員において一万二千九百一人、
件数において九千二十八件に比べますと、約五、六割の増ということに相なっておるような次第でございます。
違反の大
部分はやはり
買収、
利害誘導が大
部分を占めておるような次第でございます。
取締りにおきましても、できるだけ
任意取調べを主としてやるように
指導をいたしておるのでございますが、一万八千余りの
検挙人員のうち、逮捕によって調べました者は六千人弱、五千九百八十六人ということでございます。
地方選挙につきましては、お
手元に
数字を
提出いたしておきましたが、これはまだ
取締りの続行中でございますので、
提出をいたしました
数字はほんの一
部分でございますから、これをもってまだ全般を知るわけには参らないと考えております。大体
従前の
選挙と大差はないであろう、かような見通しを持っておるような次第でございます。
なお、今
国会において御
審議を願うべく近く
提出をいたしたいと考えております
法案は、
銃砲刀剣類等所持取締令の
改正を
お願いいたしたいと考えております。その要点は、
空気銃及び飛び出し
ナイフによる被害が相当多くなっております。
空気銃はこれによって人命あるいは器物を損傷いたしますることが最近非常に多くなって参っておりますし、また飛び出し
ナイフというものが出現をいたしまして、
不良青少年がこれを
所持いたしまして、犯罪に用いる場合が非常に多く相なっておりますので、これらの
所持を制限いたすことができるように
法案の
改正を願いたいというのが
主眼点でございます。同時にこれらに伴いまして、こういった許可、認可というようなものは、
府県の
公安委員会がいたすことに相なっておりますが、
北海道におきましては、非常に地域が広うございまするので、
北海道の
公安委員会がさらにこれを
北海道の
方面公安委員会に委任のできるようにいたしまして、迅速に、そして
国民の便宜にいたしたい、かように考えまして、この
改正法案の中に織り込んで御
審議をいただきたい、かように考えております。
それから
警察制度改正のときの残った懸案問題といたしまして、
自治体警察に奉職しておられた方が
府県警察に入られる、あるいは
警察庁の
職員になるということによって
本俸が非常に下ったわけであります。この下った場合に、
府県警察におきましては
調整額、
調整手当というものを支給をいたしておりまするが、これらは
恩給の算定の基礎には相なりませんので、
本俸が下っただけ上るまでの間にやめられるという
人たちは
恩給が下るということになる、
自治体警察当時にやめたならば、もっと高い
恩給がもらえたのに、今やめると低い
恩給しかもらえないという不都合が相生じまするので、昨年当院におかれましても、かような不合理のないように
改正をするようにという御
鞭撻もございました。このたび今
国会に
恩給法の
改正をいたしまして、これを
是正——是正と申しまするか、かような不利の起らないようにいたすように、
恩給法の
改正を
お願いをいたしたいと思って、ただいま
恩給局その他と折衝中でございます。これは私の方で
提案をいたす
法律案ではございませんが、
警察法の
改正と関連をいたしておりまするから、ついでに申し上げまして、
提案をいたされましたならば、何分のまた御支援を
お願いいたしたいと存じます。