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1955-03-30 第22回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月三十日(水曜日)    午前十一時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中田 吉雄君    理事            伊能 芳雄君            石村 幸作君            小林 武治君            森下 政一君    委員            伊能繁次郎君            大達 茂雄君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            岸  良一君            島村 軍次君            秋山 長造君            加瀬  完君            深川タマヱ君   国務大臣    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    自治政務次官  永田 亮一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    自治庁行政部長 小林与三次君    自治庁行政部行    政課長     長野 士郎君    自治庁財政部長 後藤  博君   —————————————   本日の会議に付した案件地方行政改革に関する調査の件  (町村合併促進法の一部を改正する  法律案提出に関する件)  (地方公共団体議会議員及び長  の選挙期日等臨時特例に関する法  律の一部を改正する法律案提出に関  する件)  (地方財政に関する件)  (町村合併促進に関する件)   —————————————
  2. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ただいまより委員会を開会いたします。  議題は昨日いろいろ御協議願っているのですが、石村委員の方から、町村合併の問題についてお諮りしたいので、その案件を先にしていただけないかという申し出があるのです。いかがなものでしょう。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 御異議がないようですから、それでは町村合併促進法の一部改正の問題を最初議題に供します。ちょっと速記をとめて下さい。    午前十一時四十六分速記中止    ————————    午後零時三十九分速記開始
  4. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) それでは速記をつけて下さい。  それでは皆さん午前中はこれで終りまして、石村さんの方でさきのような御意見を含んだ法案を作って速急にやってもらって、午後一時半から再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四十一分休憩    ————————    午後二時三十二分再会
  5. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) それでは委員会を再開いたします。  石村さんの方で作っていただきました町村合併促進法の一部を改正する法律案ができましたので、一つ説明していただきたいと思います。
  6. 石村幸作

    石村幸作君 午前中の委員会の意向によりましてなお追加をする、これの立法措置を先ほどから研究いたしました結果をちょっと御報告申し上げます。  お手元に差し上げてありますプリントのほかに、それに続きまして、こういうことを追加いたしました。   地方自治法第七条の規定により、  町村の数の減少を伴う町村廃置分合人口十万未満の市への編入に係るものを含む。)の申請をした町村当該町村廃置分合に関して都道府県議会議決がなされていないもののうち当該廃置分合により廃止されることとなるものにおいても、また同様とする。  この文句で先ほどの問題は全部適用されると思います。その他附則等にも多少の修正がありますが、今印刷中でありますので、後刻配付いたす予定であります。  以上申し上げたのを総合いたしますと、本件は県が審議会の議を経て合併計画を作った、そのうちに入っておる町村で、関係町村議会議決を経て町村合併協議会を作って、これを四月の十九日までに県に届けたもの、及び今申し上げた地方自治法の第七条の規定によった町村の数の減少に伴う町村廃置分合及び人口十万未満の市への編入にかかるもの、これが加えられたわけであります。
  7. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 何か御質問ございませんか。
  8. 秋山長造

    秋山長造君 それから期間は三ヵ月ですか。
  9. 石村幸作

    石村幸作君 期間は先ほど御協議申し上げました通り三ヵ月に直しました。
  10. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) いかがでしょうか。ただいままで御検討願いました町村合併促進法の一部を改正する法律案は、これを国会法第五十条の二によりまして、委員会提出法律案として提出することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  11. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 御異議がないものと認めまして、さよう決定いたします。  なお、法律案字句等整理提案理由説明等につきましては、便宜上委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) それではさよう取り計らいます。  長野課長にちょっとお尋ねしますが、この法律案によりますと、まだ合併決議をしない場合においても、わが国地方自治法上の画期的な変革である町村合併を促進していくという意味で、各町村合併促進協議会を設けて、そうして推進していこうという決議だけをした場合、任期が延長されるということが認められるわけです。しかしすでに関係町村でそれぞれ住民の総意に基いて合併決議がなされて、都道府県知事の処分が未済である場合、特に人口十万以上というようなところはあの措置では救済できないわけですが、そこでお願いかたがたお伺いしたい点は、そういうような際には一つ自治庁関係当局では審査請求等が出ましたならば、すみやかに御調査を願って、住民の意思に沿ってもらうようにおはかり願いたいのですが、これについてどうでしょうか。
  13. 長野士郎

    説明員長野士郎君) ただいまの審査請求が来ておりますものについては、すみやかに御趣旨に沿いまして審査を進める段取りにいたしております。まだ今目下そういう意味関係団体当事者でございますが、意見を聞いたりいたしておりますので、そういう段階にございます。
  14. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) いろいろ手続等はあると思いますが一つよろしくお願いしておきます。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  15. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 速記を始めて下さい。  それでは地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案提出に関する件を議題に供します。
  16. 石村幸作

    石村幸作君 本件も、先ほど決議されました町村合併促進法の一部を改正する法律案と同様に、本委員会で扱っていただきたいと存じます。  これの要旨はすでに昨日大体御説明し、御了解を得たのでありますが、ごく法律としては簡単なもので、すなわち市町村議会議員及び長の選挙はこの任期が本年四月二十二日までであるにもかかわらず、特例法によって四月三十日と定められ、その結果議員及び長の存在しない空白時代が生じ支障があるので、今回の選挙により次の議員及び長が選任されるまでの間は、現在の議員及び長が引き続き職務を行うことができるようにするということだけでありまして、お手元に配ってありまする法律案のうち多少の字句修正した点もございますが、これはただ事務的の修正でありまして、ちょっとこれを申し上げますと、三行目の「第六条の次に次の一条を加える。」という前に「第七条を第八条とし、第六条の次に次の一条を加える。」こういうふうにいたします。次の第六条の二というのは第七条としていただきたい。それから「当該選挙が」の「選挙が」というのを、「当該選挙期日が」と入れていただきたい。それから「議員又は長の任期満了の日後であるときは」と直していただきたい。それからずっとしまいの行の、「又は長が」というのを、「長についての公職選挙法第百一条第二項の規定による告示の日の前日までは」と直していただきたい。以上であります。
  17. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 御質問ありませんか。  御質問もないようですが、地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案は、これを国会法第五十条の二により、委員会提出法律案として提出することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 御異議はないものと認めまして、さよう決定いたします。  なお、法律案字句等整理提案理由説明等につきましては、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 御異議ないものと認めて、さよう取り計らいます。   —————————————
  20. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ちょっと御紹介しますが、川島大臣がごあいさつしたいということで、お願いしたいと思います。
  21. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) このたび自治庁長官をやることになりまして、地方行政の問題は機構の問題、財政の問題、三十年度で解決しなければならぬ問題が山積いたしておるのでありまして、私ども誠心誠意仕事に当るつもりでおります。どうか皆様の御支援と御鞭韃をお願い申し上げまして、長官になりましたごあいさつといたします。
  22. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ちょっと……政務次官のほうもごあいさつされますか。
  23. 永田亮一

    政府委員永田亮一君) 私このたび、はからずも自治庁政務次官を拝命いたしました永山でございます。兵庫県の淡路島から出ておる者でございます。自治行政のことは全くしろうとでございまして、これから皆様の御指導によりまして勉強さしていただきたいとお願い申し上げる次第でございます。  ごあいさつ申し上げます。
  24. 秋山長造

    秋山長造君 大臣はしばらくここで……。
  25. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 予算委員会で呼ばれておりますが、今断わってありますから……。   —————————————
  26. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) それでは次に地方行政改革に関する調査中、地方財政に関する件を議題といたします。
  27. 秋山長造

    秋山長造君 ただいま長官からごあいさつをいただいたのですけれども予算委員会でもこの地方財政の問題は一昨日来各委員ほとんど口を揃えて質問されている非常に重大な問題だと思います。この地方財政、特に四百六十億の赤字政府としてどうされるのかという問題を中心長官一つ今日の地方財政に対する御方針を承わりたいと思います。
  28. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私はまだ就任日が浅いので、最後的の構想をきめるまでには至っておりませんので、従って案もできておらぬのでありまするけれども、何といたしましても地方財政というものは今危局に立っておりますので、三十年度の本格的の予算を作ります際には、これを解決すべきいろいろな施策を施したいと考えまして、予算案なりその他法律案提案いたしまして御審議を願いたいと考えておるのであります。四百六十二億は二十八年度までにできた赤字でありまするが、さらに二十九年度で若干赤字が殖えるのではないかと考えておりまして、この数字はまだできておりません。そこで従来の赤字をどうするかということが第一の問題でありまするけれども、一応これは現在短期債長期債に借りかえまして、公募債をこれを政府資金に移しまして、長期のしかも低利の債券にいたしまして、これはややたな上げみたいな形に持っていきたいと考えまして、大蔵省と折衝いたしております。大体四百六十二億のうち三百億ばかりを政府資金にしたいと思っているのですが、この点についてはまだ大蔵省と最後的の話はできておりません。一方こうした資金の面の解決がつきますれば、地方財政再建促進法とでもいいまするか、そうした名前の法案を提出いたしまして、その従来のたまっている赤字を一切解決したい、こう考えております。同時に、たとえただいまの赤字を一応これをたな上げに近い形に持っていきましても、依然として赤字が出るのでは、いつまでたっても地方財政基礎は全くなってないのでありまして、同時に今後赤字が出ないような措置をしなければなりません。これは行政制度から見た場合と、もう一つ地方財政の運営の面からみた場合と二つ考えられるのでありまして、制度の面から申し上げますると、町村合併を今日以上に促進させまして、町村財政負担を軽くするということ。それから各種の行政に関する制度、ことに問題となっておりまする教育委員会制度などを中心といたしまして、そういうものを、相当負担でありまするからして、これをどう整理するかということ。それから三十年度の予算を作るのには、これは到底間に合わないのでありまするが、将来の問題といたしましては、現在地方制度調査会において審査を願っておりまする府県の統合、道州制の問題なども、これもなるべく早い機会に取り上げなければならぬ問題ではないかと考えております。そうした制度上の問題がいろいろありまして、とりあえず三十年度の予算編成のときに取り上げ得べきものは取り上げたいと考えております。  さらに運営上の問題でありますが、これはなかなか多岐にわたりまして、ここで簡単に御説明申し上げにくいし、まだそれまで結論に達しておらぬのでありまするが、第一は、補助金制度でありまして、補助金制度ですが、現在やっていいのもありまするが、現在までは、到底地方赤字を解消し得ないようなものがあります。その一つとして、補助金率の問題でありまするが、補助金率相当一つ国庫負担を重くするようにしてもらいたい。そうして単価の問題でありますが、たとえば学校の建築などは大体坪三万円はかかる現状であるにもかかわらず、政府基礎は三万七千円を基礎にして補助金を算出しておりまするからして、単価の基準の問題、それから補助金がばらばらになっておりまするからして、これを統合して補助金を与えてもらったらどうか、たとえば農林関係でありまするとか建設省関係などのように、できるものは統合して、重点的に効果的に仕事が進むようにしたらどうか。それからもう一つは現在補助金をもらいまして自治団体仕事をしているもので、今日はほとんど意味をなさない重要でない点もありまするし、中にはごく少額な補助金、年に二万とか三万とかしか一県あたりの、もしくは一町村あたりに来ないものがありますからして、そういうものは集計しますれば相当の金額になるのですけれども、もらうほうの自治体としてはほとんど効果がないのでありまするから、そういうほうも整理をして仕事を減らさせると、こういうことも考えられまするし、また強制的な寄付金がなかなか多いのでありまして、今国の直接の仕事に対する寄付金が大体三十億、その他合計いたしますると、約二百億の寄付金をここに背負っております。一例を申し上げますると、地方の法務局のごときは、家賃から畳の修繕から電燈代まで全部地方自治団体が背負っているし、ことにしばしば問題になるのは警察に対する寄付金でありまして、これらも相当整理をいたしまして、地方財政負担を軽くしたい。いろいろそういうあの手この手あるのでありまして、そういう点をいろいろ勘案しまして支出の面を少くしていく。一方収入の面でありまするけれども交付税をもう少し上げてもらおうということ、それから揮発油譲与税がこれは二十九年度限りの税でありまして、これに代るに地方道路税というものを創設いたしたいと思います。それからたばこ消費税でありますが、これはたばこ小売価格を上げるのじゃなしに、専売益金の中からしてさらに公共団体に余計一つ交付してもらいたい。大体二十九年度は二百億程度交付を受けておりますが、まあ四百億程度ぐらいはどうかという、こうしたいろいろの構想自治庁としては持っておりまして、先般来大蔵省と折衝中でありまして、本予算ができるまでにはすべて妥結いたしまして、本予算に組むつもりでおります。  きわめて大ざっぱなお話を申し上げたのでありますが、まあそうした考え方で、いろいろ今日案を練っているということを御了解願いたと思うのであります。
  29. 秋山長造

    秋山長造君 長官の御抱負は、われわれとしてもこれは双手を上げて賛成したいと思うのであります。問題はやはり実行していただきたいということであります。それでまず第一点についてお伺いしたいのですが、この再建整備法をやられる場合に、ただ長期低利債に切りかえるということだけでなしに、その前提として地方税の二割方増徴をさせるという一項があったと思う。で、これは従来自治庁が準備された法案内容にはそれが含まれておりますけれども、今まで自治庁考えてきた地方税二割増徴ということを前提条件として融資をやるという法案は、そのまま長官も引き継いでおやりになるおつもりなのか、あるいはその内容はまた新しい角度から再検討されるのか、その点。
  30. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方税法は御承知の通り昨年の九月に大幅の改正をしまして、二十九年度実施しているのですけれども、実施の実績を見まして、いろいろ是正すべき点があるようでありまして、地方税法のうちの一部の改正は、これは当然しなければならぬと思っておりますが、しかし国の方で所得税その他において減税しようという場合に、一方において地方税において国民負担を増すということは、これは首尾一貫しないやり方でありまして、私ども負担を増させる意味地方税法改正はいたしたくないと考えております。今仰せの二割程度地方税において増徴するというようなことは、今日まだ機が熟しておりませんから何とも申し上げられませんけれども、根本の考えとしては、国民負担を増すような地方税法改正はやりたくないと、こう考えております。
  31. 秋山長造

    秋山長造君 その点は後藤財政部長、どうなんですか。いつかあなた方の作られた案にはその点があったのですね。これは引っ込められるのですか。
  32. 後藤博

    説明員後藤博君) 経緯を申し上げます。私どもが作った案ではなくて、衆議院議員立法として提出されたものの中に、今申しましたような二割増徴案というのと、それからそれに相当するところの節約とを選択することができると、どちらかをやれということがありまして、その後衆議院地方行政委員会でさらに小委員会を作って、いろいろ修正の議論がございました際に、一番最後に出た小委員会の、これは案にはなっておりませんけれども結論といたしましては、再建整備団体にはっきり再建整備特別税のようなものを起して、そうして再建整備をやらさすほうがいいんじゃないか、従って再建整備団体の指定を受ければ、必ず二割の増徴をしたほうがいいという意見が多数あったように私どもは聞いておりました。その現場にも出ておったのでありますが、それで私ども意見としては、その二割の増徴案、つまり再建整備特別税という形で二割の増徴案を盛った案を作りますことが、やはり議員立法趣旨に沿う政府案であろうと思って、一応作ったのが、おっしゃいますような案でございます。しかしその後いろいろ政府部内で意見がございまして、やはり選択制度にしたほうがいいじゃないかという意見がさらに政府部内にあるのであります。その政府部内の意見というのは、逆に今度は節約を二割立てると、節約を立ててどうしてもいかなかった場合に増税するというふうに逆転をしたほうがいいのじゃないか、こういうふうな意見が強くなっております。まだその辺私ども結論を出しておりません。大体そういう方向で、話がきまるのじゃないかと、こういうふうに思っています。従って最初の案は節約を先に出しております。その次の案は増税必至というのが第二案、その辺までが議員立法で出された案であります。議会へ出された議員のほうの案であります。三番目の案になりまして、政府部内で出すという結論に達しました際の意見としては、逆に節約を表に出していって、やれなかった場合に、税の増徴をはかると、こういう考え方に今のところなっているわけであります。その辺のところはまだきまっておりません。
  33. 秋山長造

    秋山長造君 長官は今の増税節約とどちらでいこうというお考えなんですか。
  34. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 今の増税の問題ですが、私はまだ詳しい研究はいたしていないのでありますが、新しく再建整備法を作りまして、大体七ヵ年間にこれは解消しようとこういうことです。それについてはやはり何か財源がなければ、各地方でもこの解決はつかんのでありますから、それに充てるためにある程度負担を増そうと、こういう考え方でないかと思うのですけばども節約でいくか、増税でいくかということについては、私は結論を得ておりませんけれども、少なくとも今日国民が税金に苦しんでおるし、国家としても所得税その他において国民負担、ことに低額者負担を軽減しようという際に、一方地方税において増すということは、国家全体の政策として許されないのでありまするからして、そういう措置はとりたくないと考えております。
  35. 秋山長造

    秋山長造君 自治庁のほうでは今年地方税法改正ということは全然考えておられないのですか。何か先だっての衆議院地方行政委員会で、奥野税務部長の答弁を聞いてみますと、やはり国税のほうを相当程度減らして、そしてそれを地方税に持っていって、地方税地方財源をふやす意味においてある程度増徴をする。だからプラスマイナスしてみれば、結局負担増にはならないということをねらっているようなお話を聞いたんですが、そういうことはないですか。
  36. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私は今の自治庁税務部長の話ははっきり了解しておりませんから、何ともお答えはできないのでありますけれども、少なくとも先ほど申上げた通り国民負担を増して地方自治団体財政基礎を固めるという考え方は、今日の国民生活現状に即して適切でないと思っております。経費の節減と、一方は国の負担においてこれをやりたいと思っています。もちろん地方財政基礎を固めるについては、国もそれから地方公共団体も、両方とも犠牲を払わなければならないのでありますから、国に私ども犠牲を払うように強く大蔵当局に要求するつもりでありますけれども、同時に地方公共団体に対しましても、節約すべきものは節約して協力を求めて、国と地方と相一致して財政再建をはかりたいと、こういう考え方でいろいろな施策を立てよう、こう考えております。
  37. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ちょっとお伺いしますが、第一四半期の地方財政計画もできておりますし、政府は近く年間予算を出されるということですが、そうすると地方財政需要増大等にからんで、なかなか大変だと思うのですが、増税なしには今の状態ではやり得ないのではないかと思うのですが、これは大変恐縮ですが、地方選挙が済んでから地方税法改正ということで、伝えられているような住民税均等割の引上げとか、いろいろなことが出て来るのじゃないかということを巷間伝えられているのですが、そういうことはいかがですか。
  38. 後藤博

    説明員後藤博君) 昨年の十月に三十年度の財政計画を一応推定して財政需要数字に盛ったわけでありますが、その際に不足財源を何に求めるか、こういう問題があったわけであります。その不足財源を求める場合に現在の制度の上では、交付税制度その他から考えまして、自治団体で全部まかなうとすればこういう程度増税もやむを得ないという結論を出したのであります。これはまあ国の補助金整理の問題ともからみ合ひますし、公共事業がどうなるかわかりませんですし、そういう問題を前年と同じという考え方に立ちまして、そうして来年の財政計画上その穴埋めを地方団体だけですればこういう格好になる、法律上当然に国が補助すべきものはもちろん計上する、そういう考えで一応の財政計画を立てたのでありますが、それの中に財源補填の形として、地方団体としては増税をやらざるを得ない、地方団体だけで処理すれば増税をやらざるを得ないというふうに申しましたので、それがまあ増税をやるのだと、こういうふうに伝わっているのではないかと思います。その後まあ……そのときは二十七年度の決算基礎にして一応推定したのでありますが、二十八年度の決算をさらに加えまして洗い直しまして、もう一度新しい財政計画を立てております。それを基礎にいたしまして、地方団体だけでやはりやるとすればこういう格好になるが、現在の国の情勢、また国の方針からいたしまして増税ができないということであれば、その財源補填の方法をやる、交付税とか、たばこ消費税とか、そういうものに持っていくべきじゃないか、こういうふうに私ども議論を変えているのであります。ということはやはり客観情勢もありまするし、国の方針も変って参りましたので、それに合わした方針に直しております。従って去年の十月の発表——発表いたしたわけではありませんが、地方団体だけで処理する場合の一つの方式がいまだに議論されているような次第であります。
  39. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、これは長官としては地方税増税あるいは増徴、あるいは地方民の負担増というような問題は、これはもう絶対にいかなる場合にも避けるという御方針なんですか。その点第一にはっきりしていただきたい。
  40. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私は、個個に見ますと、地方税でも直した場合には多少は負担が重くなる人もありましょうし、高くなる人もあるかもしれませんが、根本の考え方としては増税によって再建整備をしようとは考えておりません。
  41. 秋山長造

    秋山長造君 それで長官のとにかく地方税増税はいかなる場合にもやらぬという根本方針はわかりました。  そこでさらにもう一つ、これは念のためにお伺いしておきたいのは、たとえば国なんかにしても、せんだって本会議で緊急質問なんか出ましたが、所得税について税務署からうんと見積りを水増しをして、そうしてなるほど税率は下げた格好にはなっておっても、実際に国民負担をする税金というものはうんと上ってくるというようなからくりをやるのですが、まあ今こうやって地方財政は非常に苦しい、しかも増税は絶対にやらぬ、そうして交付税を引き上げたりあるいはタバコの消費税の税率を上げたりしてそれでまかなう、これはしごく結構なのだけれども、これをもし大蔵省長官がおっしゃるようなこの方針をうんと言わない場合、そういう場合にはどうなさるのですか。結局また国の所得税なんかと同じように税率はそのままにしておいて、たとえば事業税なんかについて見積りを一方的に上げる、あるいは固定資産税なんかについて固定資産の評価価格というものをうんと水増しをさしている、そうして実質的な増税をやっていくというようなことになりかねぬと思うのですがね。そういうこともこれははっきりしておいていただかんと、これは非常に困るのです。
  42. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 国が地方財政の救済のためにどれだけ犠牲を払うかということはこれからの話し合いでありまして、今もだんだん事務当局同志でも私は大蔵大臣ともしばしば話はしておるのですが、まだ結論に達しないわけであります。今の御質問はもしも大蔵省が承知しない場合はどうするか、こういうのでありますが、私は承知をさせるつもりで熱意を持ってやっておるわけでありまして、まあ結果まで考えて今いろいろな施策を立てておるわけではないのであります。  それから税率はそのままにしておいて、苛斂誅求をするために、いろいろ課税の方をよけいにするのじゃないか、こういうお話がありましたが、国税については私何とも申し上げる資格はないのですが、地方税について、ことに今御指摘になりました固定資産税でありますが、これは本会議でも、また衆参両院の委員会でも御説明申し上げたのですけれども、御承知の通り固定資産税というものは毎年一月一日の現在でもって基準の評価をすることに法律ではっきりきめてあります。本年の一月一日でやはり基準評価をしなければならぬのでありまして、それにつきましては、その資料といたしまして、昨年自治庁でいろいろ調査をした結果が二十九年一月一日に決定した基準に比べまして、今年は田において五七%、畑において六一%上昇している、従いまして、今年一月一日の見積りのときにはこれを取り入れて基準をきめなければならぬわけであります。さりとてそう一どきに五〇%以上も増すことは、これは納税者にとって困難だ、こういう考え方からして一応二八%までの上昇をして基準をきめまして、各地方に指示をいたしたわけでありまして、家屋につきましては前年度通りであります。ここで私どもはまあ現在の法律は毎年一回やることになっておりますが、これは納税者にとっても非常に不安心でもありますので、できるならば三ヵ年くらい据え置いて、三ヵ年ごとに基準を変更したらどうかというふうな構想を持っておりまして、この考えが熟しますれば、成案にいたしまして提案いたしたい、こう考えております。昨年税法改正のときに固定資産税の税率を下げておりました、基準の変更と税率の下げたのとをいろいろそろばんをはじいてみると、大体納税者の負担は増さない、同じくらいになるのじゃないか、こういう計算が出るそうであります。そういうことを一つ御了解を願いたいと思います。
  43. 秋山長造

    秋山長造君 長官の御方針を聞くのだからあまり数字的な細かいことは遠慮したいのでけれども、ただいまの税率を下げたので固定資産税の評価価格を上げてもとんとんだというような、それはちょっと違うと思う。昨年の当初予算のときもわれわれはこの委員会で大いに議論したのですが、当時の政府の説明でも財政計画を見ても、なるほど一・六%を一・五に下げた、それによって五十億ばかりの減税ということに形式的にはなるのです。ところがその当時すでに評価価格をかなり前年より上げるという見積りの見通しのもとに、結局計算してみると百十億円くらい固定資産税の負担というものは上る勘定になってくるのです。だからプラス・マイナスして六十億というものはやはり負担増になっておった、当時。ところがこの間の一月一日付でいよいよ最終的に評価価格を決定されたところの線は、その当時予想されておったよりももっと上の線できめられておる。だからおそらく決算をしてみますと、二十九年度の固定資産税というものはこれは百十億どころではない、もっとこれは先年よりも増税になっておると思う。だからやはり国民の固定資産税についての負担というのは、これはふえていないどころではない、うんとふえておる、これははっきりしておると思う。こういうように地方財政が窮屈になってきて国のほうもなかなかこれはという思わしい手当をしてはくれない、しかも地方増税をやるのは鳩山内閣の減税の公約に反するのでそれも困る、こういうことになりますと、これは地方団体というのは追い込まれてしまって、結局最後の手として使われるのはやはりこの評価価格でもどんどん水増しをしてゆく、あるいは所得税の見積りを水増しをしてゆく、そういうことに求めざるを得ないところに追い込まれるのではないか。これは地方団体が悪いのではない。政府の責任であると私は思う。その点は十分にお考えを願いたいと思う。そういうことにならないように。それからもう一つは、補助金整理ということがこれは大きな題目になって以前の西田長官は何でも総額三百億円方くらいの補助金整理をやることが新聞に出たことがある。これで補助金整理してゆく。補助金整理されてもそれに伴なって地方の事業というものが減らないということになりますと、補助金整理したその整理はやはり全部が全部でないにしても、相当程度地方団体の肩にかかってくると思う。それから寄付金にしても、われわれも寄付金は反対です。特に警察の寄付ということは絶対やめてもらわなければ困るが、ただ寄付金の中にも二色あって、地方団体が国に対して納めている寄付金、裁判所などこういうものはもちろん切ってもらう。けれどもたとえば市町村から県に対して寄付をしておるとか、その他地方団体相互の間における寄付、こういうものは切るに越したことはないが、たとえば県の場合に、この町村から県に対して金を、寄付金をもらっておる。これを一方的に切ってしまった場合には、やはり寄付をもらってやっておった事業というものは全部が全部でないにしても、ある程度県が独自の財源でやっていかなければならない、こういうことになる。そうなると県の負担というものはあれやこれやで相当重加してくる。その場合にその裏づけをやはりどこかで考えてやらざるを得ない。増税ができないとすれば、これは国で考えてやる必要がある。そういうことまでお考えになっておるかどうか。
  44. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) まだ私はそこまで深く掘り下げて考えておりません。御意見ごもっともと思いますので、尊重いたしましていろいろこれから案を立てます。
  45. 秋山長造

    秋山長造君 もう一つは、さっきの節約二割という問題ですね。これは赤字団体の場合についてだけの話であるけれども、かりに節約を二割をやるとすれば、ところがそれだけでなしに、この再建設備の方の適用団体以外の一般の地方団体についても、これは先年来地方財政の建直しのためにとにかくいろいろなものを節約しろ、節約しろと言って毎年やらしているわけです。それからさらにまた、その一つの方法として定年制なんかというようなことも自治庁の方で考えておられるようですがそういうことになると、結局これは増税がいかないとすれば、これはもう国が何とかめんどうを見てやるとか、まあ今その方針でいっておられるようですけれども、とうせ大蔵省がそれを全面的にのむというようなことは考えられない、今まで大蔵省のやり方として。そうするとやはり地方に対して節約ということを相当押しつけなければいかぬ。何を節約するといったところで、食糧費を切ったところでこれはわずかなものだ、そうするとどうしても行政整理という問題に落ちついて行くのではないか。そうして行政整理をやろうとすると、今度はそれに対する退職手当だけでもこれはもう膨大な負担になってくる。そうなると今度はそれに対して手当をどうしてやるとかというような問題が起ってくる。しかも昨日予算委員会で西田労働大臣お話によると、地方団体に対して定年制をやらして年寄りを切ると、そうして切っただけの穴埋めとして今度は若い学校を出て遊んでいる失業者をどんどん採用してその穴埋めにするんだ、それによって失業対策をやるんだというようなお話が出てきておる。そうなると行政整理という考え方とこれはまた全然逆に、今度は地方団体にどんどん職員は採用されて、それによって高等ルンペンを救済して行こうという政府の方針のようですが、一体政府としてはどっちにいかれるのか、その点いかがですか。
  46. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 労働大臣がどういう御答弁をしたか、私ちょっとその場にいないので知らないのですけれども、大体地方費の大きな部分というものは人件費、生活保護費、それから公債元利支払い、失業対策費等の事務費が多いのでありまして、ただこれを圧縮しただけではとうてい根本的な財政の立て直しはできないのでありまして、どうしても制度の上から直して行かなければならぬと思います。定年制のごときもまあその一つでありまして、定年制をやって人員整理をしろと、こういう考え方なんでありますから、定年制をしく、しかないかはこれは考究しますが、私はまだきめておりませんけれども、たとえば定年制をしいた場合に、それにかわるに新しい人を採用するというのではこれは整理にはならぬのでありますから、できるならば私ども地方団体においても新規採用は一切見合わせて、欠員は埋めないと、そうして、自然減少を待つというようなことが心要じゃないかと考えております。西田労働大臣お話と少し食い違うかもしれませんが、地方財政再建する立場から申し上げると私の考え方でなければだめだ、まあこういうような考え方であります。
  47. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 川島自治庁長官予算委員会から出席の要求がありますので、簡単に……。
  48. 秋山長造

    秋山長造君 この点は、今まだ定年制なんかという問題は表面に出てきている問題ではないんですから、先ばしって論議する必要もないのですが、昨日は西田労働大臣はこういう話をしたのです。自分が自治庁長官をしておった時代に、ちょうど運よく地方制度調査会から定年制をしけという答申案をもらったと、だからこれをやれば比較的高給の年寄りを整理して、そうして学校出の若い者で遊んでいるのがたくさんいるのだから、それをその穴埋めにどんどん採用すれば、全国で二、三万の失業者の救済ができるのだと、これをぜひ政府としてはやりたいと思っている。全くただいまの長官の答弁と逆な答弁を堂々とやられたのですから。まあこれは一つ政府部内の意見を統一する意味でもよく西田労働大臣と話をしておいていただきたい。そうでないと自治庁長官のおっしゃることと労働大臣のおっしゃることとは全然逆で、鳩山内閣はどっちに行くのかというようなことは全くやみくもになってしまう。  それからついでにもう一つお尋ねしておきたいのですが、行政委員会整理しろということが地方制度調査会の答申にも出ている。特にその中でも大きな費用を食っているのは町村教育委員会で、この問題についてはこれはもうずっと前からいろいろな機会にいろいろな人からこれを廃止しろという意見が出て、前の吉田内閣の当時にも大体この委員会に大蔵大臣、文部大臣自治庁長官と三人並べて質問をしてみると、大体自治庁長官と大蔵大臣は廃止論、ところが当時の大達さん、今日はおられませんが、大達さんは頑として町村教育委員会の存続論、そういうことで、結局うやむやになってしまった。しかし依然として町村長会からは町村教育委員会を廃止してもらいたいという要求が非常に強く出てきた、そこでどうしてもここらでちょうど内閣も変ったのだし、今までの行きがかりとか、面子の問題もないのだから、新内閣としては幸いに長官の根本方針の中にもお考えになっているようですからこの町村教育委員会の問題は早急に一つ片をつけていただきたいと思う。ただ、しかしそのためにはよほど強い御決意をもってお当りになる必要がある。その御決意がありますか。
  49. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方教育委員会の問題は数年来問題になっておりまして、自由党内閣時代においても結論的には到達しなかったのでありますが、廃止したほうがよかろうかという考えで、選挙を二ヵ年間延ばした、改選をしなかったということもその含みであったと思うのであります。お話のように全国町村長会からもきわめて熾烈な要求がありますし、地方制度調査会も同じような結論を出しておりますので、こうした意見を尊重しまして、最後の結論を出したいと思っております。それからいまの定年制の問題もまだ私としては考えが未熟でありまして、ここに何とも申し上げられないのですが、そういう各方面の意見を尊重しながら早い機会に結論を出すように努力いたします。
  50. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の地方教育委員会は廃止の御意向のように拝されるのでありますが、そういたしますと、今度の新らしい予算には地方教育委員会関係予算はどの程度に盛るのか、全然盛らないのか、その点が一点。それから廃止する時期というものを政府はいつ頃に見当をつけておられますか。この二点を伺いたい。
  51. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 今の加瀬さんの御質問は、廃止するということを前提としての御質問でありますけれども、まあそこまで結論を得ていないのです。大体各方面の要求が廃止に傾いているから、そういう意見を尊重しながら研究しよう、こう申し上げたのでありまして、従って三十年度の予算の中にどう盛り込むかということはここに申し上げる段階にまだ至っておらないのであります。それから廃止するにしても、この際は一応仕事内容だけを変えまして、ある程度予算を縮小してそれでいいじゃないかという御意見もあるのでありますからそれらもよく参考にしまして、適当な案を出したいと考えております。
  52. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、先ほど長官が御説明なさいました赤字解消の措置として、制度上と運営上の二点から考えていきたい、特に制度上の問題としては、町村合併を促進して経費の節約をはかっていくということと、行政委員会というものを整理していく、その行政委員会の中でも地方教育委員会というものを一番問題にしておられるようでございましたが、制度上の節約という意味から地方教育委員会を廃止していこうというまだ基本線というものが政府として出ておるというところまではいっておらないのでございますか。
  53. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) その通りでありまして、世間でもって地方教育委員会というものを廃止したらよかろうという考えが多いからして、それを一つの例に引いたのでありまして、全体的の地方委員会制度というものを考究したいと思っております。全体にわたりましてですね。
  54. 秋山長造

    秋山長造君 そうなると、さっき私に対して答弁下さったのとだいぶあともどりしてしまって、結局前の塚田長官が、しょっちゅうどっちつかずの答弁をされたのと同じことになる。結局見通しとしてはこれは鳩山内閣が何年続いてもできませんね。町村教育委員会制度というものはこれはよほどはっきりしていただかんと……。
  55. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) そういうわけではないのでありまして、まだ結論を得ておらぬというので、やるともやらぬとも言っておらぬのですから……。
  56. 秋山長造

    秋山長造君 長官個人の……。
  57. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 個人の意見がきまらぬと申しておるのであります。私は就任日浅くて結論を出すまでのいとまがないのでありますから、なるべく急いで結論を出したい、こう申し上げておるのでありまして、これは長年長官をやっていれば何とか話がつくでしょうけれども、まだ幾日間にしかならないわけですから、私に何しろと言われても当惑するのです。ですからやらぬというわけではないのでありますが、ここで廃止すると必ず断言し得るかというと、ちょっと、そこまでいっていない、こう申し上げているのであります。
  58. 秋山長造

    秋山長造君 かえって初めての方のほうがこういう思い切ったことはやりいいと思う。これはだんだん日にちがつに従って因縁が出てきて、身動きができなくなるのが普通で長官の努力は別だろうと思いたいけれども、従来はそうだった。だから初めから白紙で臨んでぱっとやられた方が手っ取り早いと思う。ぜひこれは一つ至急に決断をしていただきたいと思います。
  59. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ちょっとお急ぎのようですが、お尋ねいたします。暫定予算地方財政にいろいろな影響を及ぼしていると思うのです。特に赤字に悩みます地方財政としては……。それに対して財調資金が問題になると思うのですが、大蔵省との折衝の状況、大体見通しの金額はいつごろ出そうですか。そういうことについて特にあたたかい配慮をお願いしたいと思いますが……。
  60. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 暫定予算ですね。
  61. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 暫定予算地方財政にいろいろな影響を及ぼすので……。
  62. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) これは影響としますと金繰りでございますが、大体三百五十億ぐらい要るのじゃないかということなんですが、大蔵省と話しまして、百三十億は政府資金を出すということが、話がついております。そのほかは一時の借入金でやる、こういう別の手当もしてあります。
  63. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 補足いたします。三十年度の暫定予算資金需要は大体百億と考えております。ところが三十九年度の決算期でございますので、二十九年度ころがしておった一時借入金のつなぎの問題があります。その問題とあわせて考えてみますと、大体私ども三百五十億くらいではないかと思っております。その三百五十億の資金のうちで、県と市町村に分けますと、府県と五大市が大体二百億、それから市町村が、大体百億くらいじゃないかと思っております。それから内容で分けますると、一般会計分が大体三百億、それから五十億くらいが公営企業、大体そのくらいの金が要りはしないか、こういうふうに考えておりますが、全体の仕事が繰り延べをしておりますし、支払う金額がどの程度あるかというのがわかりませんので、まあ大体の予想でありますが、そのうちで大体去年も同じくらいだったのでありますが、去年の四、五の政府資金は大体百三十億ちょっとであります。現在資金運用部及び簡保の資金の状況からいたしまして、大体最小限度去年程度のものは要求してもいいのじゃないか、こういうので最小限度百三十億くらいを一応確保し、さらに資金の状況によって百五十億とか二百億お願いしたい、かようなことをお願いしておるわけであります。昨年と同様な、まあ百三十億は必ず出そうと、こういうふうに話が一応その線できまっております。それから資金需要によってはさらに考えてもよろしい。これは政府資金の方の関係から申しますと簡保の資金が問題でありまして、資金部の資金というのは持ち越しが百億くらいしかございません。投融資に使うのでございますので、こちらの方はあまり多く期待できないので、簡保の方に多く期待しなければならないと思っております。これは積立金をどのくらいくずすかという問題とからんで参ります。従ってこれは資金の状況に応じてさらにお願いをしようというように考えておるわけです。大体まあ百三十億、最小限度百三十億あればいまままでの資金の実績から見れば大体まかなえるのではないか、資金需要は三百五十億であります。あとの残りの資金を調達するとすれば、それは民間金融機関からの資金でやる、こういうことに相なります。そういう考え方です。
  64. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) いつごろ出そうですか。
  65. 後藤博

    説明員後藤博君) 資金が簡保の方は四月になるとすぐ出すとか申しておりますが、資金部の金は大体月の十五日から出す、こういうように話をしております。
  66. 秋山長造

    秋山長造君 それからもう一点お尋ねしますが、先ほど長官お話によると収入を地方財政財源をふやすために交付税の引き上げを交渉しておるというのでありますが、これは具体的には何%くらい引き上げの見当でいらっしゃいますか。
  67. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私どもの希望としては五%でございますが、まだそこまでは……。
  68. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると二七%になる、それは社会党の政策と一致している。
  69. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) しかしそれは話はつきませんが、その範囲内で交渉しております。
  70. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) 何かありませんか。
  71. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) よろしゅうございますか、ちょっと予算委員会に呼ばれておりますから……。
  72. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ほかにありませんか……ではどうぞ。  小林部長ちょっと御不在でしたが、さきの合併促進法の一部改正ですね。あれはまあいまだ合併決議しないものをやるわけですが、しかし名古屋市の関係町村など決議しておる。そういうの対してまあだんだん……あれが人口十万以上の大都市だからというようなこともあるのですが、いずれ審査請求をすると思うのですが、これに対してはまあ請求者の意思を十分尊重していただいて迅速にやってもらいたいと思うのですが、その点いいでしょう。
  73. 小林与三次

    説明員小林与三次君) それはさっきちょっと行政課長から聞きましたが、審査請求が参りますれば、こういう時期でもありますし、すみやかに、いろいろ問題があるかと思いますけれども自治庁としての態度をきめるために万全を尽したいと思っております。
  74. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) それからもう一つ、ああいう大都市周辺の合併の問題は、もう関係当事者ではなかなからちがあかぬ基本的な問題を含んでおると思うのですが、それに対して何らか一歩問題を前進するような措置は今国会には考えませんか。
  75. 小林与三次

    説明員小林与三次君) いまのお話、まあ具体的な意味がちょっと私にもわかりかねる点もあるのですが、大都市周辺の合併問題をめぐっていろいろ問題があることはよく聞いておるところでありまして、しかしまあこれも名古屋市の問題を除外すれば、大阪の問題は大体解決いたしまして、あと横浜とか京都には問題ありません。まあ兵庫に多少従来問題がありましたが、これも現在の段階じゃ落ちついているのじゃないかと思っております。それですから、さしあたりの問題はまあ名古屋の問題じゃないかと思っております。これはまあ審査請求に対しまして、自治庁としてやりたいと思っております。
  76. 秋山長造

    秋山長造君 財政部長にちょっとお聞きしておきたいのですが、これはたとえばいままでの住宅、まあ政府の公約にある住宅あるいは社会保障、その他いろいろな補助金ですね。これはいずれにしても補助金ですから、国からは何%しか出せないわけでしょう、何割しか。まあ今までは国から出る補助金補助金として、あとの残りを地方負担でやる。だから国からの補助金がふえていけば、それだけ地方負担もふえていく、こういうことになりますね。そこでまあ今度、たとえば四十二万戸の住宅を建てるとか、あるいはいろいろな社会保障的な事業をやるとかということになれば、これは当然地方負担もそれにつれてふえてくるわけです。ところがそれに対する財源の手当というものは国で十分やらない、こういうことになると、補助金を返上するか、あるいは地方で何か新しい税金でも起すか、何かそういうことによって財源を作らなければいかぬということになりますね。だからどうしてもほんとうに政府が公約にうたっているようなことをやろうとすれば、結局今までのやり方でいくとすれば、これはもうかりにできたとしても、これは地方財政負担において政府の公約を実行するということに落ちがなってくると思う。だからどうしてもその地方財政負担においてということを避けるためには、そういう住宅にしても社会保障関係にしても、今までの補助金の補助率というものをうんと引き上げてもらって、そうしてその財源の大半というものは、これは政府自身が負担をする。そうして地方負担が、まあ今までより減りこそすれふえることはないという保障がないと、これはまあ地方としてはありがた迷惑だと思う。だからそういう点は適当にやられてしまうおそれが多分にあると思う。だからその点は一つ自治庁のほうも腹をきめてもらって、つまらん補助金をあまり地方財政の中に持ち込まぬように、これは一つ大いに注注意をしていただきたいと思うのです。
  77. 後藤博

    説明員後藤博君) おっしゃる通りでございまして、二十九年度の国の補助金の総額は、たしか二千六百億ぐらいであります。そのうちで、それに対する地方負担が千九百億ぐらいであります。そのうち一番大きいのが公共事業でありますが、今度の内閣で住宅対策、失業対策等があります。この負担はそれぞれ百億ぐらいであります。従ってこの負担がさらに増加するようなことをやられますと、地方財政はそうでなくても苦しいのに、さらに苦しくなるということは前から申してあります。従ってまあ失対に対しては私ども考え方は一般失対事業と特別失対事業と二つに分けまして、一般失対事業というのは、今までの失対事業のやり方を見てみますと、これは一種の生活保護の変形じゃないか。従って五割補助ということをやめて、八割あるいは全額ぐらいは国庫負担にしてもいいのじゃないか、こういう説を前から申しております。従って一般失対の考え方を変えてもらう。それからたとえば住宅の問題にいたしましてもこれも百億ぐらいであります。このうち七十億ぐらいは起債でやっておりますが、持ち出しがさらに二十億ぐらいの持ち出し額が別にある、こういうことで、住宅の今の建設計画で申しますと、四十二万戸のうち公営住宅だけで、たしか百六十億ぐらいの起債がふえるような格好になります。従って、やるのであれば一般財源地方負担をなくする、全部起債にするか、これももちろん将来の負担でありますけれども、今入ってない用地費を上げるとか、単価を上げるとか、現在の補助金制度そのものの合理化をはかりつつ住宅対策事業をやってもらいたい、こういうことを強く要望しております。まあどういうようになりますか、まだきまりませんけれども、去年の補助金整理のような格好補助金整理はまっぴらだという私どもの気持であります。つまり国だけがいいことをして、地方負担だけがふえるというような補助金整理と申しますか、そういう国の施策のやり方を今度はどうしても変えてもらいたいということを申しております。従って大臣が先ほど、補助金の合理化ということを四つか五つかあげられました気持は、私どもは今そういう気持で補助金整理の問題、あるいは新しい内閣の対策、いろいろな政策の問題等を話し合っているわけであります。おっしゃいます通りのような気持で私ども努力はいたしているつもりであります。
  78. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ちょっと後藤部長にお尋ねいたしますが、昨年程度の財調資金というものでは赤字が累積していますし、資金繰りは困難じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  79. 後藤博

    説明員後藤博君) 昨年程度と申しますのは、私ども根拠があるのでありまして、去年は暫定予算ではございませんでしたけれども、四月交付税が出るべきものが出たかったのであります。これは交付税制度に変ったために出なかったのですが、五月になって出まして、四月は非常に混乱したのであります。四月の資金はそのために相当要ったわけであります。従ってまあ四、五と見ますと昨年程度のものが最小限度要るというのが私ども考え方であります。ただ政府の原資の状況がございますので、あまり大きな数字をあげても意味のないこことであります。私は資金運用部運用審議会にも関係しておりますし、簡保の方の関係もしょっちゅう聞いておりますので、むちゃくちゃは言えないのですが、まあ昨年程度のものを一応確保して、その後資金が伸びるようであれば、その伸びた資金を回してもらいたい、こういうことを申しております。従って最小限度百三十億は確保できる、それ以上の資金は、資金の状況によってできると私ども考えております。去年の年末の際にもやはりそういう方針でお願いをいたしたわけであります。昨年はたしか四百六十億ぐらい資金が要るということでありましたが、実際に出ました資金は五百六十億出ております。これはいろいろ困ったところへ特別な手当なんかいたしましたので、予定より多く出たのであります。全体的な資金としては、百三十億ぐらいを割ってもらいまして、そうして今度は特に困っているところは個々の都市、個々の県の問題として、それぞれ簡保とそれから預金部に話をつけまして、そうして資金繰りをうまくやっていきたい、かように考えておりますので、百三十億以上は確保できるのではないかと私ども思っている次第であります。
  80. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ほかにありますか。
  81. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 補助金の問題でもう一つ補助金の問題で地方団体に直接行く、直接というか、通る補助金がありますね、下へ行く、たとえば農村へ行く補助金であるとか、あるいは水道なら水道というものがある、あるいは義務的に、県なら県の補助金をつけなければならんという義務を負った補助金がありますね。あれは実際は迷惑なんで選択もできないで条件付になっている。そうすると実際受ける人は、条件になっている以上は当然それにプラスされる、つまり五割を国から出す場合には残りの五割を、半分を県がつけて出す、こういうような条件になっているのがありますね。ああいうのを一つ、国がそういう施策をとるのはけっこうだけれども地方団体地方団体としての独立性、自主性を持っているのだから、選べるように法律を今後改正する方向に向けたらどうか。
  82. 後藤博

    説明員後藤博君) おっしゃいますような補助金がございますが、制度としてありますのは、法律の上でありますのは、つまり農業関係の利子補給、漁船の利子補給、災害の場合の。そういう利子補給の法律しか法律としてはないと思います。ただ農林省の補助金あたりで補助金を出す場合の省令でありますとか、補助の方針でありますとかそういうものでもって府県がつけた場合に補助金をやるというようなことを作った例が昨年からあるのでありますが。これは法律の根拠なくしてそういうことはおかしいじゃないかというので、見つけるたびごとに言っているのでありますが、私どもわからないでそういう義務づけをやって補助金を流している例がございます。見つければ、そういうのはやかましいことを言ってやめさせますけれども、一番大きかったのは、昨年の災害の場合の、たしか農地の関係の補助だったと思いますが、農林省だけでそういう半額を県に持たした指令を出しております。県によりましては、何千万円かの予算に組まなければならぬということで、あわてて私どもは農林省と交渉したことがございます。小さい補助金にはそういうものもございます。昔から残っておるものもまた別にありまして、たとえば簡易水道の補助金、これは四分の一の国の補助でありますが、さらに四分の一を県で持つという、これはまあ県の条例できめておるところがございます。だいぶなくしておりますけれども、やはり県だけでそういうふうにきめておるところもあります。気をつけておりますけれども、補助指令なんかでごそごそやられると私どもわからないのでございます。
  83. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 今年度で例の揮発油税の他方への委譲がなくなる。その後の問題については何か地方道路税とか何とかいろいろなことをお考えのようですが、何か案でもまとまったお考えができ上ったかどうか、その点伺いたいと思います。
  84. 後藤博

    説明員後藤博君) 私の所管ではないのでありますが、昨年の、七十九億もガソリン税がございましたのですが、その七十九億の元になります揮発油税の単価が、昨年は一万一千円から一万三千円に値が上りました。その一万一千円から三千円に上りました二千円分につきまして地方道路税を作ることは、道路の財源に関する法律には触れないのではないか、こういう考え方でもって、地方道路税の創設というのを私ども税務部の方で研究しておるわけであります。しかし大蔵省の方では地方道路税というのはもう少し違った観点から研究をいたしておるようであります。まだ両方の意見をこまかく突き合しておりませんので、まだ結論に達しておりません。
  85. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 実は財政部長の方の財政関係にもこの問題は関連があると思うのですが、先般本年度七十九億の問題が起った当時、私はこの委員会でもお話をしたのですが、本年度の揮発油税の予定徴税額は二百五十六億円、こういうようになって、その三分の一と、こういう形になったのですが、例年の例で私どもは別に法律改正をしなければならぬと思っておるのですが、今年度の決算面における徴税実額ですね、これはまだ予想で、あした過ぎてみないとわかりませんが、少くとも通産省並びに運輸省で概算したところでは二百五十六億が三百四十億以上だということだけは事実なんです。そうすると約九十億を日本唯一の目的税である揮発油税について本年度もまた大蔵省の一般財源に、極端な言葉で言うとごまかされてしまう。かような事実になって、私は地方財源の一端ともなる意味において揮発油税が国道、府県道の整備改善に充てられることについては大賛成です。しかし昨年キロリッター当り一万一千円のものを一万三千円に上げて、二百五十六億円だと大蔵省が言ったものが三百四十億円以上も取られるというので、この点については建設省、地方自治庁大蔵省政府部内十分御協議の上で、税を上げなくとも十分地方道路税財源基礎があり、またそういう税を作っても差しつかえない。私は必ずしも地方道路税に反対はしないのです。反対はしないのですが、それを増税によってまかなおうというようなことになると、政府として非常に目的税の趣旨に反したいろいろのことをやっているので、この点は増税というようなことになると反対せざるを得ないのですが、その辺を政府部内で十分、財政部長の方の財源にも大きな関連もあり、税だけの問題ではないと思いますので、政府部内における御協議、御検討を特に慎重にわずらわしたいということをお願いいたしておきたいと思います。
  86. 後藤博

    説明員後藤博君) お話のように考えておりますが、私どものほうでは来年の財政計画を策定する場合には昨年の三十一億の自然増収分しか考えておりません。二千円の分の自然増収を含めて三十八億ぐらいにしか考えておりません。おっしゃいますようなことになると、三分の一という原則になりますと、えらく昨年より多くなるかもしれませんけれども、まだその辺が、具体的な折衝に入ってないように私ども聞いておりますので、お話の点は十分に注意いたしておきたいと思います。
  87. 中田吉雄

    委員長中田吉雄君) ほかにございませんか。  では、本日はこれをもって散会いたします。    午後三時五十五分散会    ————————