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1955-06-02 第22回国会 参議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二日(木曜日)    午後一時五十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    理事            西川甚五郎君            土田國太郎君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            宮澤 喜一君            片柳 眞吉君            杉山 昌作君            岡  三郎君            菊川 孝夫君            井村 徳二君            中川 幸平君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  藤枝 泉介君    大蔵省主計局法    規課長     村上孝太郎君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局第    二課長     塩崎  潤君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○特殊物資納付金処理特別会計法案  (内閣送付予備審査) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○租税特別措置法等の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○地方道路税法案内閣送付予備審  査) ○砂糖消費税法案内閣送付予備審  査) ○輸入品に対する内国消費税徴収等  に関する法律案内閣送付予備審  査) ○国税徴収法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○関税定率法等の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) それではこれより大蔵委員会を開催いたします。  委員長が他用のために欠席をいたしましたから、私がかわりまして委員長をやらしていただきます。  まず連合審査会に関する件についてお諮りいたします。去る五月二十四日、地方道路税法案について、地方行政委員会及び建設委員会連合審査会開会することを決議いたしたのでありまするが、本案と密接な関係のある地方道路譲与税法案地方行政委員会に付託されておりまするので、この際、同委員会に対し、連合審査会を開くことを申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。     —————————————
  4. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 次に特殊物資納付金処理特別会計法案物品税法の一部を改正する法律案(以上いずれも予備審査)の二案を一括議題といたしまして、政府より提案理由説明を聴取いたします。
  5. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) ただいま議題となりました物品税法の一部を改正する法律案について、提案理由説明いたします。  物品税を課せられるテレビジョン受像機のうち、十四インチ以下のブラウン管を使用した小型テレビジョン受像機につきましては、その育成の見地から、本年三月三十一日までの間は百分の十二の軽減税率により課税することとしていたのでありますが、さきに御審議を願いました期限の定のある租税に関する法律につき当該期限を変更するための法律規定により、この期限はさらに本年六月三十日まで延期されたのであります。従いまして、本年七月一日からは本来の百分の三十の税率適用を受けることになるわけでありますが、最近における小型テレビジョン受像機生産及び普及状況にかえりみるときは、なお、ある程度軽減税率適用する必要があると認められますので、明年六月三十日までの一年間、百分の十五の軽減税率により課税し、その育成をはかろうとするものであります。  その他輸出免税等適用を受けた物品をその用途以外の用途に供する場合の譲渡又は譲受けの委託若しくは媒介の制限規定を設けることにより横流れを防止することとし、また、輸入物品につきましても物品税証紙ちょう用制度適用することとする等の所要の改正を行うこととしているものであります。  次に特殊物資納付金処理特別会計法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  今回、政府は、バナナぱイナップル罐詰等その輸入制限されるため、国内需給の不均衡が著しく大となり、その輸入によって通常生ずる利益をこえて異常な利益を生ずると認められる特定物資について、その輸入により生ずべき利益の一部を徴収するために特定物資輸入に関する臨時措置に関する法律案を、また、砂糖安定価格帯制度によって砂糖価格の安定をはかるとともに、砂糖輸入によって生ずべき利益の一部を国庫に納付させるために砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案を別途提出してそれぞれ御審議を願っているのでありますが、これらの法律案によりますと、特定物資または砂糖輸入について外貨資金割当を受けたものは、適正な利潤以外に生ずべき特別の利益国庫に納付する義務を負うことになりますので、政府におきましては、これらの法律の制定に伴いまして、その特殊物資納付金徴収し、これをもって産業投資特別会計からの投資財源に充てることといたし、これらの経理を明確にするために特別会計設置し、一般会計と区分して経理することが適当であると考えまして、ここに特殊物資納付金処理特別会計法案提出いたした次第であります。  次に、この法律案の概要について申し上げますと、この会計は、大蔵大臣が管理することとし、特殊物資納付金及び附属雑収入をもってその歳入とし、産業投資特別会計への繰入金事務取扱費及び附属諸費をもってその歳出とし、また、この会計から産業投資特別会計への繰入の方法につきましては、毎会計年度歳入収納済額から事務取扱費及び附属諸費支出済額等を控除した金額限度として、予算で定めるところにより、随時繰り入れることとし、その他この会計予算及び決算等作成並びにその手続等に関して特別会計の運営上必要な事項を規定いたしているのであります。  以上がこの二法案提出いたしました理由であります。  なにとぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  6. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 引き続きまして事務当局より補足説明を聴取いたします。
  7. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) それでは、ただいま議題になっております特殊物資納付金処理特別会計法案の御説明を申し上げます。  この特別会計設置理由は、先ほど政務次官提案理由説明の中で明らかになっておりますが、特定物資バナナパイ罐等砂糖、この二つから生じますところの差益を、納付金という形でこの特別会計に入れまして、それを産業投資特別会計投資財源として繰り入れる、こういうふうな特定歳入をもって特定歳出をまかなうという財政法十三条の特別会計設置理由から、こうした新しい特別会計ができたわけでございます。それに関しまするところの法案がこの特殊物資納付金処理特別会計法案であります。この特別会計納付金がなぜ出て来るかということは、この特定物資輸入に関する臨時措置に関する法律案及び砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案、この二つ実体法中身を申し上げるのが手っとり早いのでありますが、この二法案は、農林通産当局から国会提案になっております。  それで、その法案の大体の概略を御説明申し上げますが、まず特定物資、これは現在の外貨事情からその輸入品がきわめて少い、外貨割当量が少い結果、国内におきまして、その市場相場というものが、需給関係から非常に高くなっている一種独占価格が形成されております。そこに異常な利益が生じておる、その異常な利益というものを企業に私させるというのは好ましくないので、その異常な利益というものを国が吸い上げよう、こういうふうな目的でございます。で、この法律案によりますと、輸入をしようとする者、パイナップル罐詰とか、あるいはバナナ輸入をしようとする者は、外貨資金割当申請書を出します際に、輸入価額に諸掛を加えた額と、その輸入業者が見ておりますところの国内販売価額との差額がどの程度出るかという見積書提出いたします。そこで、そうした見積書に基きまして、外貨資金割当をいたします当局といたしましては、その差額が大きい順からこれを採用いたしまして、輸入外貨割当をするということになるわけでございます。そうして、その申請書に対して許可を与える前に、その見積り相当額に対する担保大蔵省へ提供することを要求し、その担保大蔵省に納まったという受領書を持って行きますというと、正式に輸入外貨割当証明書を発行する、こういう形にいたしております。こうした大きな独占価額から生ずる利益というものにはいろいろの徴収の仕方があるわけでございますが、それぞれの原産地価格も異なっておりますし、それから国内市場相場もそのときどきで変るわけであります。従って、税というふうな一般的な一律な形では徴収できないので、こうした納付金という形で特別会計徴収するということになっているわけでございます。  その次の砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律中身は、これも納付金に関する規定につきましては大体同様でございますが、目的が、前者の特定物資に比べまして、異常な利益徴収するということ自体に目的があるわけではないのでありまして、砂糖国内価格というものを安定することが第一の目的でございまして、その砂糖価格を安定するという政策から、この砂糖につきましては、たとえばキューバ糖が九十五ドル、あるいは台湾糖が百十五ドルと、いろいろ原産地別価格差というものがございますし、その価格を安定することによって生ずるところの利益というものの一部をこの特別会計に同じように納付金として入れよう、こういう趣旨でございます。従ってこの法案内容となっておりますのは、いわゆる砂糖安定帯価格という構想が主要なものでありまして、農林大臣は、一定の適正な国内価格というものを、砂糖供給見込み数量とか、あるいは見込み購買力、あるいはさらに粗糖の輸入価格、精製の費用、それから澱粉及び甜菜糖等砂糖関係のありますところの他の農産物価格、あるいは家計費その他の経済事情をしんしゃくして、標準価格というものをきめる。その標準価格の上下にある程度の幅を持たせまして、約五%程度と見ておりますが、一種価格安定帯というものを作りまして、その幅の中に砂糖国内価格を安定させるように措置をするわけでございます。その安定帯価格がきまりますと、それから逆算しますところの原糖輸入価格というものも計算できるわけでありまして、その原糖輸入価格、あるべき価格というものと、現実の買付価格というものとの差額納付金としてこの特別会計に吸い上げるというふうな機構になっております。  これがこの二法案の大体の筋でございますが、この二つ法律案によりまして吸い上げられる納付金徴収いたしまして、それを産業投資特別会計に繰り入れるというのがこの特別会計法中身でございます。特別会計法そのものは、ほとんど例文でございまして、特に御説明申し上げることもございませんが、まず第一条に設置目的が書いてございます。それから第二条は管理大臣大蔵大臣であること、第三条は歳入及び歳出、第四条は、産業投資特別会計への繰入れは、どういう金額を入れるべきであるか、これは予算で定めるところによって、その年の収納済み額から支出済み額及び繰り越し財源を差し引いて、その残りの金額予算の定めるところによって産業投資特別会計に繰り入れる。ことしは約七十億の繰り入れを予定しております。  第五条は、歳入歳出予定計算書作成、第六条は歳入歳出予算の区分、それから第七条は予算作成及び提出、第八条は歳入歳出決定計算書作成でございます。  それから十条、十一条、これも普通の特別会計にありますところの規定でございます。  附則の一項で、公布の日から施行することを規定してございますが、二項に「昭和三十年度に限り、第三条の規定適用については、砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律附則第三項の規定による寄附金は、特殊物資納付金とみなす。」これは、第三条は歳入歳出規定でございますが、歳入科目の中に、昭和三十年度に限って、寄附金納付金として、この特別会計歳入とする、こういうことが書いてございます。それは実体法から来るわけでございますが、砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律附則の第三項に「政府は、この法律の施行前に砂糖輸入について外貨資金割当を受けた者から寄附金を受けることができる。」という規定がございます。それに応じまして、この特別会計歳入科目の中において、寄附金納付金とみなすという規定を置いたわけでございます。  三項は、これは産業投資特別会計法改正でございますが、まず「第一条第二項中」云々と書いてございますのは、産業投資特別会計の出資または貸し出しの財源としてこの特殊物資納付金処理特別会計からの繰入金を入れるということでございまして、「第三条」云々というのは、この産業投資特別会計の資本の中にやはりこの特殊物資納付金処理特別会計からの繰入金を入れるという規定でございます。その次の「第四条」云々と書いてございますのは、産業投資特別会計の収入の中に、この「特殊物資納付金処理特別会計からの繰入金」を入れるという規定でございます。  それから四項は、これは大蔵大臣が管理いたします結果、現在の設置法改正いたしまして、「特殊物資納付金処理に関すること。」こういう規定を入れるわけでございます。  簡単でございますが、この程度説明を終ります。
  8. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 次に物品税法の一部を改正する法律案補足説明を求めます。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっとその前に、これに関して資料を要求しておきたいのです。第一に、この間、日本台湾との貿易協定ができたのですが、これについての詳細な内容ですね。これはバナナとか、砂糖、そういうものが相当多いのですから、これに関連しまして詳細な資料を一ついただきたい。  第二に、砂糖会社会社別生産設備操業率、どのくらい動かしているか、稼動率です。それから生産高精糖高ですか。それから収益状況コスト生産費ですね。その資料をなるべく詳細に出していただきたい。  第三に、従来からの外貨割当方針と基準、それだけです。
  10. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ただいま資料提出の要求がございましたが、これは第一番の問題につきましては通産省、それから第二番目は農林省、第三番目は通産省と、それぞれ所管の省が違うのでありますが、この特別会計法関係で、実体の詳しい説明を、ここで農林あるいは通産の担当の方に出ていただいて説明を願うことになるのだろうと思いますが、そのときにこの資料をそれぞれの当局から提出するように、私の方から通達いたしておきます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのときでなく、それでは、こっちの委員会として、事務局からあらかじめ各省に今の資料について連絡して、至急出すように、こっちから連絡しておいてくれませんか、委員会として……。
  12. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) それではこっちから連絡いたします。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、これは本審査になっておりませんが、審査するときに、ぜひ公正取引委員会の人からも説明を聴取したいのです。その点を一つ。
  14. 西川甚五郎

  15. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) それでは物品税法の一部を改正する法律案
  16. 塩崎潤

    説明員塩崎潤君) 物品税法の一部を改正する法律につきまして内容を御説明申し上げます。物品税法につきましては、消費税のうちで最も批判の多い税法でございますけれども、今回の税制改正案におきましては、大幅な改正はまだいたさないという方針のもとに、必要最小限度改正をいたすことといたしておるわけでございます。まず第一点は、提案理由にもございましたように、今回六月末日期限の切れますところの小型テレビ関係でございます。この措置を中心といたしまして、あと二つこまかい点の最小限度改正をいたしたのが、今回の物品税法改正の主な点でございます。  法律につきまして逐条御説明申し上げたいと思います。  まず第一点は十三条の二の関係でございますがこれは取締り関係規定改正でございます。御承知のように、現在PX等駐留軍関係物品を販売する場所に納入いたしますところの物品につきましては、輸出手続に準じまして物品税を免除いたしておるわけであります。この免除の趣旨輸出と見て免除いたしておるわけでございまするから、その物品駐留軍将士とともに海外に持ち出されるということが条件でございまして、内地において消費されることは禁止されておるわけでございます。その禁止規定が現在十三条の二にあるわけでございまするが、たとえばカメラ等特定の表示をいたしまして内地への横流れを防止いたしておるわけでございまするが、譲渡、譲り受けについて禁止いたしております現在の規定では若干不備でございますので、たとえばカメラ商が兵隊の委託を受けて販売する、こういうふうな場合がございます。そういたしますと、譲渡、譲り受けだけではその制限にかかりませんので、カメラ商のところに税務官吏が検査に参りまして、これは誰のものだ、なぜ内地に売るのだと尋ねましたときに、これは委託を受けてやっておるのだ、こういうような関係で往々逃げられますので、今度は譲渡委託を受けてその物品所持することを禁止する、こういうような規定に改めたわけでございます。それが十三条の二の関係改正でございます。  その次は十六条の二の関係改正でございます。これはただいま申し上げました取締り関係必要最小限度改正の第二点でございますが、御承知のように、現在物品税の課せられる特殊な物品につきましては、その物品税を課せられたかどうかを消費者並びに税務官吏にはっきりわかりやすくいたしますために、物品税証紙というものをその物品貼用さすという規定がございます。ただ現在のところ、この貼用を命ぜられておるものは製造者に限られておりまして、輸入品につきましては現在のところ貼用義務を命ずる規定がないわけでございますから、まあ酒税等につきましては、輸入品につきまして酒税証紙を貼らしております。この貼らすことが非常に効果があるようでございます。今回はその範囲を広げまして、保税地域よりの引取人という規定を追加しております。輸入物品につきましてもその物品税証紙を貼らしまして取締りの便宜に供したい、かように考えておるわけでございます。これは御承知のように時計等の密輸が相当ございますので、この改正によりまして相当この防止となるというふうに私どもは考えております。  その次は十八条の第三項関係改正でございますが、これは、ただいま申し上げました十三条の二の改正の結果必要となりましたところの改正でございます。ただいま申し上げましたように、輸出PX等への物品税の免除いたしたものを内地へ横流しをいたしますときには、譲渡者から税金をとり返すということになっておりますが、その譲渡者犯人という名前で呼ばれておるわけでございます。今度はただいま申し上げましたように、委託者委託を受けて所持する者まで犯人にいたしますと、譲渡者譲受人、それから委託のための所持者と、この三つが犯人というふうに呼ばれます。そういたしますと、どこから税金をとってかかるか若干明確を欠きますので、まず第一には、譲渡をした者からとるのだ、その譲渡をなしたる者がわからないときには、譲受人または所持をなしたる者からとるのだというふうに改正いたしたわけでございます。これが第一点の委託禁止に伴いますところの改正でございます。  その次は附則関係改正でございますが、附則の第四項の改正実体的な改正でございまして、今回の物品税法改正の主な理由をなしたわけでございますが、テレビ改正でございます。御承知のように昨年四月から、テレビにつきましては、原則といたしまして三割の物品税を課することにしたわけでございますが、何分育成と申しますか、普及の途中でありましたので、小型テレビ受像機につきましては一年に限り一五%の物品税税率で課することに昨年提案いたしたわけでございますが、国会修正によりましてそれが一二%になったわけでございます、その期限は本年の三月に切れたわけでございまするけれども期限特例法によりまして現在のところ六月末日まで延ばされております。この小型テレビをどういたすかということが物品税で問題になったわけでございますが、昨年提案当時には約二万近く程度普及でありましたテレビも、昨今におきましては約五万程度普及率を示しておりますし、テレビコストもだんだん低下しておるようなわけでございます。しかしなお諸外国などに比べてみまして、その普及状況はまだ十分とも言い切れませんし、育成の必要もあると認められますので、いきなり三〇%に上げるのは若干無理ではなかろうかというような趣旨の下に、昨年私ども提案いたしましたところの一五%の税率でなお一年間、小型テレビ、これは十四インチ以下でございます。十四インチ以下のブラウン管使用テレビジョンでございますが、これにつきましてはなお一年間だけ一五%の税率特例を設けていこう、こういう趣旨でございます  以上簡単でございますが、物品税法改正内容説明を申し上げる次第でございます。
  17. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 何か参考資料の請求ありませんですか。——なければ、次に所得税法の一部を改正する法律案、  法人税法の一部を改正する法律案、  租税特別措置法の一部を改正する法律案、  地方道路税法案、  砂糖消費税法案、  輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法律案、  物品税法の一部を改正する法律案、  国税徴収法の一部を改正する法律案、  関税定率法等の一部を改正する法律案、いずれも予備審査法案一括議題といたしまして質疑を続行いたします。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 質疑の前にちょっと……、まあこれも質疑として伺って欲しいのですが、今度、減税の問題が衆議院で自由党と民主党との間で折衝されているのですね。それはこの税法とどういう関係になってくるのか、その点ちょっと伺っておかないと、これだけでやったんではちょっと意味がないような気がするんです。その点はどうなんですか。税法が変ってくるんです、相当
  19. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  20. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 速記を始めて。それでは御質疑を願います。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは主税局の方に伺うのです。大体事務当局として、今度の税法改正をやるについて、提案のこの税法改正は、今の日本経済実態、あるいは国民所得実態、あるいは配分状況等々から見て、一応妥当なものである、そういう自信を持ってお出しになったと思うのです。ですから、その心がまえ、詳しいことは各法律案について伺いたいのですが、その心がまえについて、今修正案が非公式にいろいろと新聞に出ておるもの、あるいはそれに関連するようなものについて非公式に伺ったわけですが、それだけでも相当大きな税法改正になるんです。金額は大体百三十二億ぐらいという話ですが、そうすると、かりにそれを政府が認めますと、相当建前が変ってくるんですね。たとえば法人税についても建前が変ってくるし、それから預金課税についても、銀行預金のあれについても、まあいい悪いは別として、一応政府の方は今のあれは、銀行預金利子課税は全部なくすという建前ですね。そういう建前と、今度株式配当に対する課税、これについては均衡が問題になってきますね。今度はその均衡関係がどうなってくるか、また違ってきますよ。ですから建前が非常に違ってくるのですよ。そういう点で、今主税局長はどういう立場におられるのか、その点事務当局としてはどうお考えでしょうか、ちょっと伺いたいのです。
  22. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今度一応事務当局として減税案について立案しました気持を申し上げますと、御承知のように現在におきましても税負担が高い。で、改正後におきましても、それが担税力という点から見ますと、やはり私はそれだけから言えばまだ税金は高い。こういう結論は出てくると思いますが、しかし現在の日本経済状況から見まして、たとえばこの程度税法でやればこの程度の収入が上る。これ以上減税するような措置をとればなかなかそれだけの収入は上らぬ、こういったような問題に当然ぶつかるわけであります。従いまして一応予算の規模を一兆円のワク内にとどめると同時に、それに必要な歳入は経常的な税収入その他の歳入で埋める。これを一つの軸にしまして、そうして税収入以外の歳入というものをずっと通観して参りまして、たばこの専売益金につきましては、これはたばこ消費税が昨年は十一カ月分でございましたが、今度は十二カ月分になるといったようなことなどを考えまして、昨年の補正予算に比べますとちょっと六十億近くですか、これはふえる。雑収入の方は、大体従来程度の、昨年の補正予算程度歳入が見積れる。残りを税でまかなう。こういうふうな考え方が出てくるわけであります。それで一兆円のワク内で予算を組む場合におきまして、税収入としてどれだけ確保すれば、一応公債発行とか、そういった問題はもちろん考えておりませんので、経常的な歳入でまかない切れるか。すなわち改正税法においてどの程度歳入を確保しなければならないか、これを一つの必要なる財源として考えてみたのでございます。同時に現在の税法のままで税収を見積っていった場合どの程度の税収が見積られるか、この点につきましては、従来いろいろわれわれ御批判を受けております。どうも大蔵省の見積りは少しかたきに失するのじゃないか。自然増収が出るのがいと普通のように考えるといった意味においてかたきに失するのじゃないか、こういう御批判をわれわれ受けております。正直にいいまして、七千億以上の税収でございますから、まあ百分の三見込み違いがありましてももう二百億、百分の二見込み違いがありましても百四十億、こういったように自然増収の額としての絶対額は相当多いのですが、パーセンテージにしますと、実はかなりこまかい率にとどまるのですが、一応今年も、例年ですと十一月の半ばころに問題を締めて、そうして本年の歳入の見積りをしなければなりませんが、本年はいろいろな関係予算提出がおくれた。それだけに新しいデータも使い得るわけでございますし、それでいろいろな過去の御批判を受けましたことも考えまして、とにかく自然増収が当然出るというのじゃなくて、できるだけ一ぱい一ぱいに見積ってみたらどうだろうという見積りをやってみました。従いまして少し見積り過大じゃ、ないかといったような批判を受ける場合もあったのでございますが、しかしまあ大体この程度の見積りが現行法のままならできるだろう。そういうふうな考え方から割り出して参りますと、減収の額としまして大体三百二十七億という結論になりますが、三百億見当の減税ができるのではないか。  そこでそれでは三百億見当の減税をする場合におきまして、一体どういう点に重点を置いた減税をやっていくべきか、これがその次の問題になってきたわけであります。一昨年の秋に、これは自由党内閣のときでございましたが、税制調査会というのがありまして、そして一応答申を出していきました。昨年の税制改正におきましては、この答申の趣旨をある程度は組み入れましたが、同時に昨年は増減税で一ぱい一ぱいにして、間接税の増税で直接税の減税をまかなう、こういう政府方針でございましたので、まあせっかく税制調査会の答申が相当世の中で賛成を受けていた面がかなり多かったと思うのですが、結局それが不完全な姿にしかできていなかった。その後いろいろな事情の変化はありますけれども、現状としまして、税制調査会の答申というものをわれわれもできるだけやはり考えてみる必要があるのではないか、こういった考え方に基きまして全体の構想を練っているわけでございます。  所得税につきましては、あのときの税制調査会の答申は、基礎控除を八万円に上げる、昨年は七万円だ、そこで一応これを税制調査会の答申通りに八万円という線を出しました。扶養控除につきましては、税制調査会の答申が一人目が四万円、二人目が二万五千円、昨年の税制改正のときに、一人目と二人目、三人目というのは税制調査会の答申通りに一応できておりますので、子供の三人目以下をどうするかという問題があったのでありますが、これはまあ税収の関係もございますし、今度はこの点には手を触れませんでした。それから勤労所得控除の問題につきましては、税制調査会の答申では、限度額に対して七万五千円まで引き上げるというのがございまして、これも七万五千円までというのはなかなか無理でございますので、一応六万円まで引き上げた。税率についても税制調査会で一応答申がございまして、それを参考にはいたしましたが、税制調査会の案とはやはり相当違った姿になっております。それは主として二百万円以上の税率をもっと間のびさせなかったというところにございます。これらの税率につきましては、税制調査会の趣旨相当盛り込んだつもりでございます。あとこまかい点につきましては、昨年の改正相当実行されましたので、そういう点はもう今度一応解決済みとして取り扱っております。  法人税につきましては、法人税税率を四十に引き下げるというのが税制調査会の、当時の財源を見合っての案でございました。一応法人税を四十に下げるということを行なっております。  預貯金利子の問題、配当課税の問題、これは預貯金利子の問題が、その後一応経済政策的な観点から新しく取り上げられた問題でございますので、これは別個の観点で問題が入ってきたわけでございます。それと見合いました結果としまして、一応配当の源泉課税の税率を一〇%に下げる、こういう案を出しているわけであります。細部にわたりましては、さらにその後における事情によりましていろいろ検討した点がございます。しかし大きな考え方としましては、一昨年の税制調査会において答申を受け、昨年は実現できなかったというような事項を、やはりかなり頭を使う場合においては参考にしまして、ただ財源関係もありますし、税制調査会の御意見を全部が全部これを実現するということはいたしませんでしたが、その代り税制調査会の答申には入っていなかった事項で、主として経済政策的な要請というので取り入れた分が幾つかございます。  今度の減税案を作りましたときにおきましては、もう一ぺん繰り返して申し上げますと、本年度の税収として確保すべき所要額というものを一応頭に置きまして、現行税法でどれだけの見積りができるかという点を頭に置いて大体減税のワクをきめまして、そうしてその内容盛りにつきましては、今申しましたような気持で全体を調整していく、かように御了承願いたいと存じます。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これまでの説明によって大体了承してきましたが、重ねて今主税局長から伺いますと、要するに公債を発行したり、あるいは過去の蓄積資金を食ったり、そういうことをしなければ、今度の税収見積りは前のように自然増収をあまり見てないから、大体ぎりぎりのところである。これ以上減税措置をやれば、歳出の面で結局財源不足が出てきて、公債その他の措置を講じなければならない、こういうふうな結論になるのじゃないのですかね。そういうことでしょうか。
  24. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今問題になっております幾つかの自由党の意見、これについてはいろいろなあとでの議論があり得ると思いますが、ごく簡単に、一口に言えば、現在の税の考え方、税収の考え方というものは、これ以上減税するためには歳出を減らしていただく、そうしない限りは、あるいは公債発行とか、あるいは財政投融資について何らかの措置を講ずるとか、そういうような問題になってくるのじゃないか。一口に言えばそういうふうに私は言えると思います。ただやり方でどうだとかこうだとかいった、いろいろな議論は出てくると思いますが、一口に言えばそうだと思います。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今参考のために伺っておきたいのですが、一兆円予算というものを一応頭に置いて、そうして今主税局長がお話しのように、一兆円予算を前提とすればこの程度歳入見積りになるというのでしょう。ところが、三十一、三十二、今後の財政支出をそうして見ますと、防衛費はふえてくる、それから賠償もふえてくる。そうなるとどうしても一兆円は守れない。本年度限り、あるいは補正が出てくるかもしれませんが、そうなると歳入不足の問題というのが今後起ってきやしませんか、歳出に対して歳入不足。
  26. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) われわれの考えている点は、国民経済というのは、何と申しましてもだんだん拡大的に広がっていくのじゃないか、テンポの問題はありますが。国民所得も前年の二%ふえますか、何%ふえますか、これもある程度ふえていくとすれば、そこに本年の経済状況というものを見込んで、一応一ぱい一ぱいに見込んでおりますから、来年の税収が同じようにしか見積れないというふうに考える必要はないのじゃないか。ただ、本年は半年減税でございますから、来年になりますとそれが平年度化するという点で、減税の規模は大きくなります。しかし同時に国民所得の増加と待って、税収入全体がやはり国民所得の増加の割合より多少、所得税なんぞになりますと累進税率の問題がありますから、二%ふえるときは三%ぐらいふえるといった問題も考え得る。そういうことで考えて参りますと、明年の財政規模というものを、非常に大きくふくらむということを前提にすれば、これはふくらみ方の問題でございまして、そこに歳入不足が出るのじゃないかといった問題は、これは別の議論があると思います。一応そういう前提で、明年におきましても相当の税収入は見込み得るのじゃないか。それで大体明年度予算は一応組めるのじゃないか、こういったようなことを考えて今度の減税案を出しております。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは歳入は今年よりも来年はふえないというようなことで質問しているのじゃないのです。これは予算委員会でわれわれに、政府は総合六カ年計画のうち三年間の一応この案を出しているのですよ。それでその生産の伸び、国民所得の伸び、そういうものと歳出というものを比べてみますと、それはどうしても歳入不足になっているのです。これは経済審議庁の案です。ですから架空に僕は質問しているのじゃないのです。  そうするとそこで主税局長に伺いたいのは、やはりこれから財源確保の問題は相当重大な問題になってきますよ。もちろん渡辺さん、専門家ですから、私はあなたも漫然とは考えてないと思うのですがね。しかし来年は大へんだと思うのです。それは歳出のふえ方といいますけれども、どうしたってそれは一兆円のワクは、これは堅持できませんね。これはまあ実際のことです。それからもう大蔵大臣も、大体一兆円は本年限りと言っておりますけれども、来年は一兆円を超えると、それこそこれはもう太鼓判を押してもいいくらいですよ。もう、もしかすると補正で問題になってくると思うのです。財源確保の問題が非常に重大化する。そこでどうしても公債の問題が起ってこざるを得ないのです。今芽が出ているのですよ。これが自由党との折衝の問題で出ているのですがね。  そこで財源確保の問題です。主税局としては今度の公債の問題はどうお考えになりますか。これは事務当局のお答えでもいいのです。政治的な御答弁より、むしろ事務的な答弁の方が望ましいのですがね。これはもし公債を発行するとなると、これまでの建前と非常に違ってくるのですから、わずか出しても、わずかであっても、これは財源確保の政策としては質がここで変ってきて、一度出せば今後結局相当ふえる。せきを切るのですから、そこのところを財政事務当局として、この点を一つ渡辺さん、理論家で、海外の事情もよく知っています。過去のこともよく知っていますから、そこで一つ先生の渡辺さんに伺っておきたい。公債の問題について、大体重要な問題ですから。
  28. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 公債の問題が非常に重大な問題であることは、われわれも同じ気持でおります。特に一度公債を発行する手段に出ましたとき、それにどの程度に一つのリミットを求めるかという点が、非常に理論的にがっちり出てこないだけに、とかくインフレへの道を進みがちだ、その点を心配する点はわれわれも全然同じであります。従いまして公債政策ということにつきましては、これも私どもも同じように思っておりますが、大蔵省全体としてきわめて慎重な態度でもってこの問題は処理していくという気持であります。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう事務的といっても、木で鼻をくくるというような事務的じゃないんですよ。ほんとうに事務技術的にわたってこれは聞いておきたいんですよ。やっぱり今までの財政法建前は、これは公債を発行しちゃいかんということじゃないんです。ないんですけれども、特にあれは慎重を期してあるんでしょう。これまで大体大蔵当局はその線に沿ってやってきたわけですよ。アメリカさんがインフレを好まぬという事情もありますけれども。しかし特に慎重にやってきた。しかし慎重々々と言っておっても流されますよ、この情勢ですと。ですからそれは相当やっぱり理論武装をしておかなければならぬ。単にこれからインフレになることは好ましくないという程度じゃいかぬ。そんなんじゃ、国民のうちでは納得する人もあるけれども、大部分の人はよくわからんから、こんな不景気だから公債でも発行したら景気がよくなるんじゃないかというような気持なんで、そこで、一つ十分な理論的根拠がなければならぬですよ。この点は渡辺さん、十分財源の問題について、ここでそういうはっきりしたあれがなければならぬですよ。自由党から公債発行せいという要求が出て、今折衝しているようですが、そういう問題に対してどういう理論的根拠を持っているのか、事務当局は反対なんでしょう。
  30. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) どうも木村先生に今さら公債の弊害をわれわれが申し上げることもないんじゃないかと私は思っておりますが……。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう意味じゃないんですよ。まじめに、ほんとうに聞いているんですから。(笑声)
  32. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まじめに、今私が公債発行の利害得失を一般論としてここで御答弁申し上げることは、まあいささかどうかと思いますので、ただ、われわれとして、現実の政策としてやはり考えていかなければならぬのは、現実の当面の政策として、本年の問題、明年の問題、これとして一体公債政策にどうぶつかっていくべきか、こういう問題として先生も聞かれているだろうし、われわれも考えていかなければならぬ問題であるというように思っております。その意味において、本年はとにかくもう公債発行は絶対にしない。明年についてはどうなるか、これは正直言いまして、われわれ事務当局は、今年と同じような気持でぶつかっていくべきだと考えております。ただ、いろいろ政治的な情勢と言いますか、それがどういうふうに動いて参りますか、その場合において、まあわれわれのそうした気持が果してどういうふうに実現されますか、これは実は正直のところわれわれも、やはり時の動きというやつがございまして、明年も同じような方針だと——これはいささか私がそんなことを申し上げるのは僭越だと思っております。ただ、われわれは、公債発行ということはできるだけ避けていくべきじゃないか、こういう気持、信念には変りはございません。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 また大蔵大臣には大蔵大臣として、そういう政治的な意味を持った御質問をしたいと思っておりますが、しかし、今反対だと言っても、一般に受け取る印象はどうですか。減税になるというんでしょう、減税に。ですから誰でも税金は安い方がいいから、それは減税は賛成ですよ。われわれもその限りにおいては賛成なんですよ、その限りにおいてはですよ。また中身については別ですけれども。配当の課税とか、それについてはまた別の意見を持っておりますけれども、全体として減税になるというのは非常に魅力があるでしょう。さっき渡辺主税局長が言われたように、税金がとにかくまだ高い。また各国から比べてみて、国民所得の振り合いから高いです。世界一高い。主要国としては高い。ですから、現在は減税すべきだと思う。財政投融資——財政投融資というより、産業投融資資金が出るでしょう。みな金詰りで弱っているでしょう。こんな魅力なものはないですよ。そこで、ただ、地固めだから反対だというんじゃなかなか呑み込めないと思うんです。これは、われわれ勤労者の立場に立つものとしても、この点はやっぱり理論的に公債政策はいけないんだということを——減税みたいに魅力があり、産業投資みたいなものは非常によさそうに見えるけれども、実際はこうなんだということをわれわれは説明しなければならぬのですけれども。しかしそういうことを聞いておるのじゃない、事務当局としては、ただ地固めだから反対だというんじゃなくて、好ましくないというんじゃなくて、やっぱり公債による減税はいいように見えるけれども、それは実際として国民にとっていいものじゃない、それから産業投資がふえるからよさそうに見えるけれども、拡大均衡に見えるけれども、いいものじゃない。そういうものを何か理論的に、あるいは計数的に説明し得なければ納得できないですよ。そういうことを事務当局として何かやっぱり作業する必要があるじゃないか。利害得失ですよ。利害得失は一般論じゃなくて、今そういうことが現実に出てきている。公債あるいは産業公債ですね。あるいは金融債についても、それに対してもう少し理論的なあれをしてもらいたいですな。そうじゃないですか。実際に押され気味じゃないんですか。
  34. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) われわれ自身としてもいろいろ考えておる点はもちろんございます。それからもちろん国の生命は長いですから、本年度の予算の公債発行というような問題じゃなくて、将来一体どうなるのか、その点も十分考えなければなりませんし、従いまして、木村先生の今言われたような問題は全然われわれ、らち外の問題であるというふうには思っておりません。しかし、当面現在の問題として議論していけば、本年度の予算としてこれは公債政策をどうするか、明年度予算は一体どうなるのか、こういう点でございます。この点について、個人的な意見としてはいろいろ持っておりますが、しかし、ちょっとそれを申し上げるのはいかがかと思いますし、大蔵大臣が明年予算、明後年予算というものについてどういう構想を持っているかという点において、大蔵省としての御答弁は申上げるべき問題じゃない、かように考えております。この辺で適当に御容赦願いたいと思っております。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 余り議論ばかりしても時間をとりますから、時間を空費しないように、またこの次にでももう少し準備してもらいたい、質問に対して。要するに、私の聞きたいところは、事務当局としてですよ、やっぱり歳入を考えるときには歳出も考えなければならないですね。そうして、なぜこういう段階においてさらに減税したり、産業投資をふやす場合には公債政策に依存せざるを得なくなるか、それについて、やっぱり投資について、イデオロギーなんかの問題でなく、真劍に取り組むべきですよ。これまで大蔵省はルーズですよ。投融資がこんなにどんどんかさみ、防衛費がふえてくる、これは本当にとっ組む態度でなければ健全財政はとれませんよ。防衛費以外に、賠償費とか、不生産支出がどんどん出てくるでしょう。ですから生産支出との関連において、それが回り回って再生産になって、支出になるわけですから、そういう支出でなくて、再生産に使用しないような再軍備費と言わなくともいいですよ。そう言うと、アメリカさんの小言を食ったり、あるいは事務当局を首になったらいかんから、それには触れないで、不生産的支出として考えたらいいのですよ。ほんとうに不生産的支出がずいぶんこれからふえる。今の全体から考えてそうじゃないですか。ですから輸出入に向けようったって、それが本格的に振り向けることはできないでしょう。ですから大蔵省当局は、公債の問題も起ってきますから、防衛費、不生産的支出についてもう少し真剣に歳入面と合わせて、もっと真剣に取り組むべきだと思うのです。経済審議庁なんか六カ年計画などで一応取り組みましたが、最初の案ですと、防衛費は一応はふえないということだった。大体二%程度ですわ。国民所得に対してはですよ。これを事務当局としてもう少し心構えがほしいですね。ただ引きずられて行くというのじゃなくてね。それで来年も健全財政をとるといっておるが、来年はどうしたって公債が出て来ますから、そのとき防衛費をたたかなきゃだめですよ。そうでなければ、みな弱いところにしわが寄って来る。教科書の無料配布五億何千万円、ああいうものを削って。どうしたって防衛費の問題とこれから取り組まなきゃだめですよ。この点事務当局としてほんとうに不生産的支出の問題と関連して、ほんとうに取り組んで下さい。そうしないと整理がつかないですよ、どうしたって公債政策は。どうですか。
  36. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私も御意見の点は十分考えてみたいと思っております。明年の歳出が当然膨張するのではないかという御意見につきましても、通常の考え方であれば、これは確かに当然膨張するであろうと思いますが、しかしその場合においても、一体それでいいか悪いか、こういう問題が当然われわれとしては考えていかなくちゃならん問題ではないかと思っております。その場合に、とり上げる項目としてどういうものがあるか、防衛費の問題などもやはり一番大きな問題の一つになると思っておりまして、従いまして一応税収というものにつきましても、ある意味においてはこれだけ減税してしまいますと、そこに一応の限度が出てきます。いわば背水の陣のような格好になるのかもしれません。しかしその場合において、われわれは公債政策ということでなしに、経費なら経費を、一応の、ある限りの財布でどういうふうに重点的に使って行くべきか、こういう面で大蔵省としては取り組んで行くよりほかにないと思います。従来とかく自然増収がどんどん出て来た。また歳入の面においてほとんど心配がなかったといったことの上に、ある意味においては冗費的な支出が全然なかったとも言い切れないようなわけであります。従いまして歳入の面で一応ここに限度がある、こういう経費を出すか、あるいは公債で出すか、こういったような問題として、今後は大蔵省としては問題を処理して行くべき段階になって来るのじゃないか。またそういう段階に追い込められて、初めてむだな経費もなくなって行くのじゃないか、こういうふうな考え方もできるように思っております。いろいろ御意見の点はわれわれとしても同感する点もございますし、よく検討して参りたいと思います。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ことに歳入の面から主税局相当大蔵省でも発言権があるかと思いますが、財布を握っておるのですから、そういう面から歳出について相当やはり発言権を強く持たなければだめじゃないかと思うのですよ、あの気の毒な中小業者の税金を、取り上げて倒産をさせたり、そういうことをやって来たんです。それはやはり根本原因は歳出についてブレーキの効かないところにあるのです。これはもっと上の方の問題があると思うのです。その点一つ今後歳出、特に不生産的支出を歳入面から十分強力に発言するようにしてもらいたいですよ、本当に。
  38. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 正直な話を申しまして、自然増収が毎年出て来るような、これは予算に対する自然増収ですが、主税局長の発言というものは割合に、そんなこと言ったって、そのときになりゃ自然増収は出て来るから心配ないよ、こう言ったような問題になるのですが、今度のような減税をし、歳入見積が今度のようなことになるとすれば、実はない袖は振れない式の予算に追い込められますれば、あるいは主税局長の発言というものは非常に有力なものになって来るのじゃないかと思っておりますが、その場合に、公債政策ということに安易に行ってしまえば、これは戦争中でも経験をした事例ですが、税というのは殆んど名ばかりで、大体公債でやればいいのではないか、こういった安易な途に行ってしまうのです。従って公債はできるだけ慎重にこれを取り扱うということをがっちり置き、同時に税収としてはもうこれで一ぱい一ぱいだ、そうした場合に、国の予算としてどう取り組むか、こういう問題になって、初めて私は歳出につきましても、重点的な歳出が組み得るのではないか、こういうふうに考えております。従いまして明年以降の歳入の問題が、それは明年あれもふえる、これもふえるといったような歳出増加を当然のように考えれば、これは一体これだけ減税してどうなるかといったような考え方もないとも思えませんが、しかし、あれもふえる、これもふえるといった時期は、それでは従来の不景気はそのままにしておいていいかといった問題も当然みなければならぬし、あれもふえる、これもふえるという見方がそれでいいだろうか、ほんとうに歳入の面と歳出の面で予算に取り組みますときに、初めて国民に納得していただける税を納めていただけるのじゃないかと思います。で、現在におきまして、一体毎年自然増収が出る、こんなに自然増収が出るような税法税金を取るのは、取り過ぎじゃないかと言ったような納税者の気持をわわわれの方にいろいろ伝えて来ております。しかしわれわれとしましても、是非必要な歳入税金として出していただき、それはそれにとどまるべきであるといったような気持が一面にございますものですから、来年以降におきまして、相当目に見えて入る歳入で、十分賄えるといったゆとりは実はございません。ただしかし一兆円予算あるいはそれをある程度上回わる予算、これは上回わり方によります、その場合にすぐに問題がにっちもさっちもいかなくなるということの見通しは持っておりません。ある程度はやって行けると思っております。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に一つ伺っておきたいのですが、それはわれわれは総合六カ年計画について、防衛費を織り込んだ計画を出してくれということを経済審議庁に要求したわけですよ。それにいろいろ左右されて、いるのですか、それによると、来年やはり防衛費が相当ふえそうなのですわ。それを主税局長はあまりふえないだろうと言っていますけれども、どうしてもやはりそういうことになる。ところがちょっと伺いたいのは、公債発行論に対して一つの積極的な意見としては、今の日本の公債の現在高は国家に比べて非常に少い、国民所得、それから財政規模から言ってね。それから各国の例と比べて少い。これは前にドッジ・ラインのとき、期限が来ないのにどんどん償還したこともあるわけです。われわれもあのとき反対したのですが、期限が来ないのにどんどん繰り上げて償還した。そのために非常に少くなった。それに対しでどういうふうにお考えになりますか。公債発行を是とする議論とするか、公債現在高が国民所得や財政規模に比べて過去の例から言って非常に少い、外国の例から言ったら少い、だからもっと公債はふやしてもいいのだ、ふやすべきだ、こういう議論があるわけですね。これについては主税局長はどういうふうにお考えになりますか。
  40. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 公債の現在高が過去の事例に比べ、あるいは外国の事例に比べて現在の日本に非常に少い、これは私はその通りだと思います。それだから公債を出すかという問題でありますが、これはまあ公債の現在高が非常に逆の場合で、多くなってしまいますと、これは公債費の負担が多くなるということのゆえに、それだけで公債を出さない、出すのはいかぬといった議論が別の角度から一つ出てきますが、まあその角度の議論は今私はないと思います。これ以上公債を出したら公債費がふえてしまって財政をやっていけるかといった意味の議論はないと思います。ただ公債を出して財政をまかなうということは、これは現在ある公債にそれがプラスされるにしろ、やはり出すこと自身の問題で、あるいは出す額の問題、たとえば、現在歳出の規模に比べて、これは一兆に対して四千億程度までいいんじゃないかという、よし議論があったとしても、それじゃ一年に六千億出すという問題は、とてもないわけですから、要するにやっぱり毎年というか、その年に出す公債の額というものが、やはりインフレになるかならぬかというのが一番基本的な問題になるわけです。従いまして、そのときにはやはり現在高というものとは抜きにして、一体公債を出すべからざるか、出すとすればどういう目的で出すか、あるいは出す額はどうするか。これは現在高の問題とは別個に、当面の、その年の予算として議論すべき問題じゃないか。こういうように考えております。
  41. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) そのほかに質問が……。
  42. 森下政一

    ○森下政一君 速記をとめて下さい。
  43. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  44. 西川甚五郎

    理事西川甚五郎君) 速記を始めて。  それでは本日はこれをもって閉会いたします。    午後三時十九分散会      —————・—————