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説明員(
白石正雄君)
租税特別措置法等の一部を
改正する
法律案につきまして
内容の御
説明を申し上げます。
お手元に
租税特別措置法新旧対照表、
有価証券取引税法新旧対照表、それを一つにつづりましたものを御提出しておりますが、それによりまして
内容の御
説明を申し上げたいと存じます。
まず
租税特別措置法の
改正でございますが、第二条の二に、いわゆる
利子所得に対しまする
所得税の
免税の条項を今回挿入しようとしておるわけでございます。これは
所得税を課さない。
利子所得につきましては、
所得税を課さないとしておるのでありまして、臨時的に
利子所得につきましては
非課税の
措置を講じようとしているわけであります。その
期間は
昭和三十年七月一日から
昭和三十二年三月三十一日までの間に
支払いを受くべき
所得税法九条一号に
規定する
利子所得とかように
規定しておりまして、
所得税法で
利子所得と考えられておりますものにつきましては、この
期間の間に
支払いを受くべきものにつきましては
所得税を課さない、かように相なっておるわけでございます。
所得税法で
利子所得とせられておりまするもりは公債、社債及び預金の
利子、それから
合同運用信託の利益、それから
証券投資信託の終了または
証券投資信託契約の一部の解約により分配される収益のらち、
利子所得とせられるもの、これらが
利子所得と考えられておるわけでございまして、それ以外のたとえば
貸付金債権の
利子というようなものは、
利子所得とはせられていないわけでありますので、かようなものにつきましては
非課税措置とはならないわけでございます。
それから
カッコ書きに書いてありますものは、無記名の公債、社債、かようなものにつきましては、いわゆる
債権確定式で考えるわけに行きませんので、その間に
支払いを受けたものだと、かよう
規定しておるわけでございます。無記名以外のものにつきましては
債権確定式でこの
期間に
支払いを受くべき
利子所得、これを
非課税にする、かようになっておるわけでございます。
それから第二条の三に若干の
改正をしておりますが、第二条の三は御
承知のように一年以上のいわゆる
長期性の
預貯金等につきまして、昨年の
改正におきまして五%に
軽減をするという
改正であったわけでございますが、これは
利子所得が二カ年間ばかりの
間非課税になりますので、その間
規定の
整備をはかるために、二条の三に若干の
改正をいたしまして、その間のものを除きまして、
非課税措置がなくなったあかつきにおきましては、また二条の三の条項が復活するというように相なるような
改正を加えておるわけでございます。
それから二条の四の
改正でございますが、これは
配当所得につきましては、
所得税法では二割の
源泉徴集になっておりましたのを、現行では二条の四で一割五分になっておりますのを今回さらに三十年の七月一日から三十二年の三月三十一日までのものにつきましては、一割に引き下げるというのがこの
改正でございます。
二条の五につきましてはこれはいわゆる
証券投資信託に関しまする
源泉徴集の
規定でございますが、これも
証券投資信託の中には
配当所得として取り扱われておるものがございまするので、この分につきましては
配当所得と同様にその
源泉徴集税率を百分の十にするという
改正でございます。
五条の六の第三項の
改正でございますが、これは
特別償却の
規定でございますが、その
適用が今までは
期限後
申告につきましては
適用がなかったわけでございますが、今回その
条件を緩和いたしまして、
期限後
申告につきましても
適用があるようにしようというのが第三項の
改正でございます。
第五条の十の四項の
改正もやはり同じように
期限後
申告につきましても
適用するという
意味の
改正でございます。
第七条の六の
改正は、これは
輸出所得に対しまする
特別措置の
改正でございまするが、第一点は
適用の
期限を延期しようとしておるわけであります、
現行法は三十一年、それから三十一年につきましては七月三十一日までと、かように相なっておりまするのを、これを三十二年の末までに延期するというのが第一点でございます。それから第二点は
所得の控除の限度が
現行法は百分の五十になっておりますのを、これを百分の八十に引き上げるということが第二点でございます。それから第三点は、各号の
改正になっておるわけでございますが、現在
輸出という言葉を使っておりまして、
輸出と考えられるものにつきまして本
措置の通用があるわけでございますが、
輸出というのは
通関手続をとりまして外国に出ていく、これが
輸出と考えられるわけでございますので、今回まあ
賠償関係というようなことで対外的に物品の
輸出がなされる事態が起って来るわけでございますが、かような場合におきましては
輸出免税措置の
趣旨からかんがみまして、
賠償関係で国外に出ていくようなものにまでその
適用を及ぼすということは行き過ぎであろうという
考え方から、
賠償関係のものにつきましてはこの
適用を廃除したい、かような
意味で「対価の支払が
日本政府においてなされるものを除く」と、かようにいたしまして所要の
改正をしようと思っておるわけでございます。
それから二項の二
号関係で
改正をしようとしておりますることは、
プラント輸出の
範囲を拡張しようとしておるわけでございます。「
油井管及び送油管、
鉄道用又は
軌道用の軌条、
送電用の裸より線並びに
送電用又は
通信用の
ケーブル」、レールとか
ケーブルといったものはその性質から考えまして、今まで入っておりまする
プラントの
範囲から考えまして、これも
プラントとして考えたが適当ではないかという
考え方から、今回これらのものにつきましても
輸出免税の五%の率の
適用を行おうというのがこの
改正でございます。
次は第八条の五の
改正でございますが、五項の一の事項を挿入しようとしておるわけでございます。
中小企業等協同組合につきましては、この前の国会のときにおきまして
消費生活協同組合あるいは
農業協同組合等との関連上特別の
軽減措置を講ぜよという
意味の本院の決議がございましたので、その
趣旨にもかんがみまして研究いたしました結果、
農業協同組合等につきましてただいま
措置法において講ぜられておりまするような
軽減措置にならいまして、
中小企業協同組合育成の
見地から
軽減の
措置を講じようとしておるわけでございます。その
内容といたしましては一号、二号に
規定しておりまするような事項に該当するものにつきまして、
農業協同組合と同じように
積立金が
資本金の四分の一に達するまでは
課税をしないと、こういう
趣旨の
改正でございます。
内容といたしましては、三十年の四月一日をおさえまして、そのときに短期の
借入金で
機械等の設備を持っておると、こういったものにつきましてその
経理内容を向上せしめる
意味におきまして、利益からその
短期借入金等の返済ができるまで
一定の
整備計画を立てさせまして、この
整備計画は三十五年の三月三十一日までに
計画が完了するように立てなければならないということになっておりますが、そのような
計画を立てて、地方庁の認可を受け、確認を受けたというものにつきましては、かような
非課税措置を講ずるということに相なっておるわけでございます。
それから次は九条の二の
改正でございますが、これは
住宅の
建設促進ということが三十年度以降におきまする政策の目標になっておりまするので、その
趣旨にかんがみまして、
地方公共団体、
住宅金融公庫、
日本住宅公団またはいわゆる
家屋を
建設して譲渡することを業とする
建て売り業者、かような者から
住宅を買ったという場合のその
移転登記につきましては、特別に
登録税を
軽減しようというものでございます。現在
家屋を新築いたしました場合におきましては、
登録税はその
保存登記は価格の千分の一になっておるわけでございますが、今申しましたような
地方公共団体、その他から
家屋を買ったという者につきましては、ちょうど自分で新築した場合と同じ
条件下にあるわけでございますので、そのような場合に
移転登記で千分の五十の
登録税がかかるということは、やや権衡を失すると考えられまするので、これを
保存登記と同じように千分の一に
軽減しようというのがこの
改正でございます。
それから第四項は
地方公共団体につきましては、公用のものにつきましては、
登録税は課さないことになっておるわけでございますが、その他のものにつきましては
課税を受けることになっておりまして、
地方公共団体が建てております
住宅等につきましては、現在
登録税は
課税になっておりまするので、これはあまり最近の
住宅建設の
促進という
見地からも妥当でないと考えられまするので、これにつきましては
非課税の
措置を講じようというのが四項でございます。
それから九条の六の
改正でございますが、現在の九条の六は
宗教法人が、
宗教法人法ができましたときに、旧
宗教法人令によって設立せられておりましたものが、新しい
宗教法人法に切りかわるということになりまして、その
切りかわりに際しまする
登録税を免除するという
規定であったわけでございますが、これはもうすでに事柄は大半終ったものと考えられまするので、この際これを廃止いたしまして、新たに九条の六といたしまして、
増資の場合の
登録税を
軽減をするという
措置を講じようとしております。なお、
宗教法人に関しまするこの
規定は今直ちに廃止することは、なお登記が完了していないというものも予想せられまするので、一応
規定は廃止いたしますが、なお、その
適用関係といたしましては一年間ほど
適用を存続することにいたしまして、三十一年の六月末まではなお従前の例によることといたしております。
増資の場合の
登録税の
軽減といたしましては、昨年の
改正におきまして
法人が
増資をいたしました場合におきまして、その
増資にかかる
配当につきましては、
法人税を
軽減をするという
措置を講じたのでございますが、それと同
一の
条件にありまするものにつきまして、その
増資に関しまする
登録税を千分の一・五、現在は千分の七でございます。これを千分の一・五に
軽減いたしまして、
増資の奨励に資そうということでございます。
それから第十四条の
改正は、いわゆる
譲渡所得の
課税に関連いたしまして、
土地収用法等によって収用されるという場合におきましては、再
評価税のみを
課税いたしまして、
譲渡所得税は
課税しないという
措置が講ぜられておるわけでございますが、これが
現行法におきましては、強制的に収用されるという場合の
規定のみが
法文上明確になっておりまして、そういう
条件にありながら、事実は
任意売買で協議によって
所有権等の移転が行われるという場合におきましては、
法文といたしましては必ずしも明確を欠いておったわけでございます。しかし実際問題といたしましては強制をされる
条件にあるものにつきましては、
任意売買のものにおきましても、通達におきまして同様の取扱いをやっておったわけでございますが、この際、
法文上におきましても、その
関係を明確にしようとしておるわけでございます。同時に従来の
法文の字句につきまして若干の
整備をはかろうとしておるわけでございまして、たとえばその
適用を受けまするものといたしましては、個人の有する
土地、
土地の上に存する
権利、立木、
家屋、または
土地の上に存するその他の物件というように
規定せられておりまして、たとえば温泉を利用する
権利とか、あるいは海水その他の水を利用する
権利あるいは
鉱業権、
漁業権、こういったものにつきましては
法文上は
適用せられないというようになっておりまするので、この際、かようなものにつきましても
適用せられるように
改正しようとしておるわけでございます。それから第二項におきまして
改正しようとしておりまするのは、
保安林整備臨時措置法というので、
一定の場合に実は
保安林等につきまして強制的な
買収ができるということに相なっておるわけでございますが、現在の
法律によりましては、その
強制買収の場合ばかりでなしに、
保安林整備臨時措置法の第四条で、一般的に買い入れるという場合におきましても、
譲渡所得税に関しまするただいま御
説明いたしましたような特別の
軽減措置が講ぜられることになっておるわけでございますが、これは他との権衡上やや適当でないと、かように考えられまするので、その
保安林整備臨時措置法の第四条で買い入れられまするうち、一号、二号、三号と三つの場合があるわけでございますが、この場合の一号と二号は、これは
保安林整備上特別の必要があるとも考えられますが、三号の場合におきましてはほとんど一般の場合と異るところがないと考えられまするので、これにつきましては
適用を排除する、かような
意味におきまして、現在「
保安林整備臨時措置法第四条に掲げる
森林等」となっておりまするのを、「
保安林整備臨時措置法第四条第一号若しくは第二号に掲げる
森林等」というように
改正しようとしているわけであります。第五項の
改正は以上の点に関連いたしまする
改正でございます。
それから十五条の
改正は、これはただいま十四条につきまして申し上げたような実体につきまして、
法人につきましての
規定でございますが、これも同様の
趣旨の
改正をしようとしておるわけでございまして、
法文につきまして一項および三項の
関係で若干の
規定の
整備をはかったわけでございまして、実体といたしましてはただいま御
説明したようなことでございます。なおこの際、
農地法の
関係の
買収につきまして、
法人につきましては
規定が漏れておりましたので、
農地法の
関係につきましても、この際、
適用があるように三項におきまして
改正をしようとしておるわけでございます。
それから次は二十一条の二でございます。これは
住宅の
建設を
促進する
意味におきまして、現在借家の用に供する
住宅を建てたという場合におきましては、これについて
特別償却の制度が設けられておるわけでございますが、この
特別償却の
範囲につきまして拡張しようとしておるわけでございます。現在は
普通償却範囲額の五割増しの
償却を五年間認めるとかように相なっておるわけでございますが、これを今回
木造等のものにつきまして十割増し、それから
耐用年数五十年以上のもの、鉄骨、鉄筋というようなものにつきましては二十割増しという
償却を認めようとしておるわけでございます。これによりまして、
木造等につきましては五年間で七割以上の
償却ができる、五十年以上のものにつきましても五年間で全体の五割をこえる
償却ができると、かように相なるわけでございまして、
住宅建設の
促進に寄与するものであると考えております。
それから二十七条の
改正は、
航空機の乗客に対する
通行税は現在二〇%と相なっておりますが、これを臨時的に三十二年の三月末までの間一割に
軽減しようとしておるわけでございます。
航空機の
通行税につきましては、各国の例を見ましても、アメリカは一〇%、それからドイツにおきましてはかかっておりません。フランスにおきましても低額で、ごくわずかなものが、百六十フランというものがかかっておるという
程度でございまして、二割という
通行税の
税率は諸外国に比較いたしましても高いと考えられまするし、また
航空機事業は現在までその緒についてばかりで、
必らずしも軌道に乗っていないと考えられまするので、
航空機事業の
育成というようなことにも関連いたしまして、この際、臨時的に
軽減措置を講じようとしておるわけでございます。
それから附則におきましては、以上の
改正の
適用関係につきまして、若干の
規定を設けておるわけでございまして、二項、三項は
利子所得、
配当所得に対する
改正規定は六月三十日までの分につきましてはなお従前の例によるという例文的な
規定でございます。
それから
輸出関係のものにつきましては、
輸出取引の
範囲、
プラント輸出の
範囲を拡張したというようなものにつきましては、七月一日以降の分について
適用するわけでございますが、その他のものにつきましては、
所得税におきましては三十年分の
所得税から
適用するし、
法人税につきましては七月一日以降
事業年度が終了するものから
適用する、かように経過的な
規定を設けておるわけでございます。
それから今回の
租税特別措置法等の一部を
改正する
法律の第二条で
有価証券取引税法の附則を
改正しておるわけでございますが、これは
証券投資信託財産に属するところの株券の譲渡につきましては、
証券投資信託育成の
見地から二年間だけ
有価証券取引税の
税率を万分の十五となるべきところを万分の六といたしておるわけでございますが、その
期限が三十年の七月三十一日で切れることに相なるわけでございます。しかしながら
証券投資信託の最近の
状況は必ずしもまだおもしろくない
状況にございまするので、なおかような
育成措置を二カ年
程度続けたいという
意味で三十二年の三月三十一日まで従来の万分の六の
税率を据え置くこととしようというのがこの
改正でございます。
以上簡単でございましたが、一応
措置法等の一部を
改正する
法律につきまして
内容の御
説明を申し上げる次第でございます。