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1955-05-20 第22回国会 参議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十日(金曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————   委員の異動 本日議長において小柳牧衞君を委員に 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西川甚五郎君            山本 米治君            土田國太郎君            平林  剛君    委員            木内 四郎君            藤野 繁雄君            宮澤 喜一君            小林 政夫君            野溝  勝君            松澤 兼人君            小柳 牧衞君            中川 幸平君   政府委員    国税庁長官   平田敬一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局税    制第一課長   白石 正雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税特別措置法等の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○地方道路税法案内閣送付予備審  査) ○砂糖消費税法案内閣送付予備審  査) ○輸入品に対する内国消費税徴収等  に関する法律案内閣送付予備審  五) ○国税徴収法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。  租税特別措置法等の一部を改正する法律案議題として、大蔵省事務当局より説明を聴取いたします。
  3. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして内容の御説明を申し上げます。  お手元に租税特別措置法新旧対照表有価証券取引税法新旧対照表、それを一つにつづりましたものを御提出しておりますが、それによりまして内容の御説明を申し上げたいと存じます。  まず租税特別措置法改正でございますが、第二条の二に、いわゆる利子所得に対しまする所得税免税条項を今回挿入しようとしておるわけでございます。これは所得税を課さない。利子所得につきましては、所得税を課さないとしておるのでありまして、臨時的に利子所得につきましては非課税措置を講じようとしているわけであります。その期間昭和三十年七月一日から昭和三十二年三月三十一日までの間に支払いを受くべき所得税法九条一号に規定する利子所得とかように規定しておりまして、所得税法利子所得と考えられておりますものにつきましては、この期間の間に支払いを受くべきものにつきましては所得税を課さない、かように相なっておるわけでございます。所得税法利子所得とせられておりまするもりは公債社債及び預金利子、それから合同運用信託利益、それから証券投資信託の終了または証券投資信託契約の一部の解約により分配される収益のらち、利子所得とせられるもの、これらが利子所得と考えられておるわけでございまして、それ以外のたとえば貸付金債権利子というようなものは、利子所得とはせられていないわけでありますので、かようなものにつきましては非課税措置とはならないわけでございます。  それからカッコ書きに書いてありますものは、無記名公債社債、かようなものにつきましては、いわゆる債権確定式で考えるわけに行きませんので、その間に支払いを受けたものだと、かよう規定しておるわけでございます。無記名以外のものにつきましては債権確定式でこの期間支払いを受くべき利子所得、これを非課税にする、かようになっておるわけでございます。  それから第二条の三に若干の改正をしておりますが、第二条の三は御承知のように一年以上のいわゆる長期性預貯金等につきまして、昨年の改正におきまして五%に軽減をするという改正であったわけでございますが、これは利子所得が二カ年間ばかりの間非課税になりますので、その間規定整備をはかるために、二条の三に若干の改正をいたしまして、その間のものを除きまして、非課税措置がなくなったあかつきにおきましては、また二条の三の条項が復活するというように相なるような改正を加えておるわけでございます。  それから二条の四の改正でございますが、これは配当所得につきましては、所得税法では二割の源泉徴集になっておりましたのを、現行では二条の四で一割五分になっておりますのを今回さらに三十年の七月一日から三十二年の三月三十一日までのものにつきましては、一割に引き下げるというのがこの改正でございます。  二条の五につきましてはこれはいわゆる証券投資信託に関しまする源泉徴集規定でございますが、これも証券投資信託の中には配当所得として取り扱われておるものがございまするので、この分につきましては配当所得と同様にその源泉徴集税率を百分の十にするという改正でございます。  五条の六の第三項の改正でございますが、これは特別償却規定でございますが、その適用が今までは期限申告につきましては適用がなかったわけでございますが、今回その条件を緩和いたしまして、期限申告につきましても適用があるようにしようというのが第三項の改正でございます。  第五条の十の四項の改正もやはり同じように期限申告につきましても適用するという意味改正でございます。  第七条の六の改正は、これは輸出所得に対しまする特別措置改正でございまするが、第一点は適用期限を延期しようとしておるわけであります、現行法は三十一年、それから三十一年につきましては七月三十一日までと、かように相なっておりまするのを、これを三十二年の末までに延期するというのが第一点でございます。それから第二点は所得の控除の限度が現行法は百分の五十になっておりますのを、これを百分の八十に引き上げるということが第二点でございます。それから第三点は、各号の改正になっておるわけでございますが、現在輸出という言葉を使っておりまして、輸出と考えられるものにつきまして本措置の通用があるわけでございますが、輸出というのは通関手続をとりまして外国に出ていく、これが輸出と考えられるわけでございますので、今回まあ賠償関係というようなことで対外的に物品の輸出がなされる事態が起って来るわけでございますが、かような場合におきましては輸出免税措置趣旨からかんがみまして、賠償関係で国外に出ていくようなものにまでその適用を及ぼすということは行き過ぎであろうという考え方から、賠償関係のものにつきましてはこの適用を廃除したい、かような意味で「対価の支払が日本政府においてなされるものを除く」と、かようにいたしまして所要の改正をしようと思っておるわけでございます。  それから二項の二号関係改正をしようとしておりますることは、プラント輸出範囲を拡張しようとしておるわけでございます。「油井管及び送油管鉄道用又は軌道用の軌条、送電用の裸より線並びに送電用又は通信用ケーブル」、レールとかケーブルといったものはその性質から考えまして、今まで入っておりまするプラント範囲から考えまして、これもプラントとして考えたが適当ではないかという考え方から、今回これらのものにつきましても輸出免税の五%の率の適用を行おうというのがこの改正でございます。  次は第八条の五の改正でございますが、五項の一の事項を挿入しようとしておるわけでございます。中小企業等協同組合につきましては、この前の国会のときにおきまして消費生活協同組合あるいは農業協同組合等との関連上特別の軽減措置を講ぜよという意味の本院の決議がございましたので、その趣旨にもかんがみまして研究いたしました結果、農業協同組合等につきましてただいま措置法において講ぜられておりまするような軽減措置にならいまして、中小企業協同組合育成見地から軽減措置を講じようとしておるわけでございます。その内容といたしましては一号、二号に規定しておりまするような事項に該当するものにつきまして、農業協同組合と同じように積立金資本金の四分の一に達するまでは課税をしないと、こういう趣旨改正でございます。内容といたしましては、三十年の四月一日をおさえまして、そのときに短期借入金機械等の設備を持っておると、こういったものにつきましてその経理内容を向上せしめる意味におきまして、利益からその短期借入金等の返済ができるまで一定整備計画を立てさせまして、この整備計画は三十五年の三月三十一日までに計画が完了するように立てなければならないということになっておりますが、そのような計画を立てて、地方庁の認可を受け、確認を受けたというものにつきましては、かような非課税措置を講ずるということに相なっておるわけでございます。  それから次は九条の二の改正でございますが、これは住宅建設促進ということが三十年度以降におきまする政策の目標になっておりまするので、その趣旨にかんがみまして、地方公共団体住宅金融公庫、日本住宅公団またはいわゆる家屋建設して譲渡することを業とする建て売り業者、かような者から住宅を買ったという場合のその移転登記につきましては、特別に登録税軽減しようというものでございます。現在家屋を新築いたしました場合におきましては、登録税はその保存登記は価格の千分の一になっておるわけでございますが、今申しましたような地方公共団体、その他から家屋を買ったという者につきましては、ちょうど自分で新築した場合と同じ条件下にあるわけでございますので、そのような場合に移転登記で千分の五十の登録税がかかるということは、やや権衡を失すると考えられまするので、これを保存登記と同じように千分の一に軽減しようというのがこの改正でございます。  それから第四項は地方公共団体につきましては、公用のものにつきましては、登録税は課さないことになっておるわけでございますが、その他のものにつきましては課税を受けることになっておりまして、地方公共団体が建てております住宅等につきましては、現在登録税課税になっておりまするので、これはあまり最近の住宅建設促進という見地からも妥当でないと考えられまするので、これにつきましては非課税措置を講じようというのが四項でございます。  それから九条の六の改正でございますが、現在の九条の六は宗教法人が、宗教法人法ができましたときに、旧宗教法人令によって設立せられておりましたものが、新しい宗教法人法に切りかわるということになりまして、その切りかわりに際しまする登録税を免除するという規定であったわけでございますが、これはもうすでに事柄は大半終ったものと考えられまするので、この際これを廃止いたしまして、新たに九条の六といたしまして、増資の場合の登録税軽減をするという措置を講じようとしております。なお、宗教法人に関しまするこの規定は今直ちに廃止することは、なお登記が完了していないというものも予想せられまするので、一応規定は廃止いたしますが、なお、その適用関係といたしましては一年間ほど適用を存続することにいたしまして、三十一年の六月末まではなお従前の例によることといたしております。増資の場合の登録税軽減といたしましては、昨年の改正におきまして法人増資をいたしました場合におきまして、その増資にかかる配当につきましては、法人税軽減をするという措置を講じたのでございますが、それと同  一の条件にありまするものにつきまして、その増資に関しまする登録税を千分の一・五、現在は千分の七でございます。これを千分の一・五に軽減いたしまして、増資の奨励に資そうということでございます。  それから第十四条の改正は、いわゆる譲渡所得課税に関連いたしまして、土地収用法等によって収用されるという場合におきましては、再評価税のみを課税いたしまして、譲渡所得税課税しないという措置が講ぜられておるわけでございますが、これが現行法におきましては、強制的に収用されるという場合の規定のみが法文上明確になっておりまして、そういう条件にありながら、事実は任意売買で協議によって所有権等移転が行われるという場合におきましては、法文といたしましては必ずしも明確を欠いておったわけでございます。しかし実際問題といたしましては強制をされる条件にあるものにつきましては、任意売買のものにおきましても、通達におきまして同様の取扱いをやっておったわけでございますが、この際、法文上におきましても、その関係を明確にしようとしておるわけでございます。同時に従来の法文の字句につきまして若干の整備をはかろうとしておるわけでございまして、たとえばその適用を受けまするものといたしましては、個人の有する土地土地の上に存する権利、立木、家屋、または土地の上に存するその他の物件というように規定せられておりまして、たとえば温泉を利用する権利とか、あるいは海水その他の水を利用する権利あるいは鉱業権漁業権、こういったものにつきましては法文上は適用せられないというようになっておりまするので、この際、かようなものにつきましても適用せられるように改正しようとしておるわけでございます。それから第二項におきまして改正しようとしておりまするのは、保安林整備臨時措置法というので、一定の場合に実は保安林等につきまして強制的な買収ができるということに相なっておるわけでございますが、現在の法律によりましては、その強制買収の場合ばかりでなしに、保安林整備臨時措置法の第四条で、一般的に買い入れるという場合におきましても、譲渡所得税に関しまするただいま御説明いたしましたような特別の軽減措置が講ぜられることになっておるわけでございますが、これは他との権衡上やや適当でないと、かように考えられまするので、その保安林整備臨時措置法の第四条で買い入れられまするうち、一号、二号、三号と三つの場合があるわけでございますが、この場合の一号と二号は、これは保安林整備上特別の必要があるとも考えられますが、三号の場合におきましてはほとんど一般の場合と異るところがないと考えられまするので、これにつきましては適用を排除する、かような意味におきまして、現在「保安林整備臨時措置法第四条に掲げる森林等」となっておりまするのを、「保安林整備臨時措置法第四条第一号若しくは第二号に掲げる森林等」というように改正しようとしているわけであります。第五項の改正は以上の点に関連いたしまする改正でございます。  それから十五条の改正は、これはただいま十四条につきまして申し上げたような実体につきまして、法人につきましての規定でございますが、これも同様の趣旨改正をしようとしておるわけでございまして、法文につきまして一項および三項の関係で若干の規定整備をはかったわけでございまして、実体といたしましてはただいま御説明したようなことでございます。なおこの際、農地法関係買収につきまして、法人につきましては規定が漏れておりましたので、農地法関係につきましても、この際、適用があるように三項におきまして改正をしようとしておるわけでございます。  それから次は二十一条の二でございます。これは住宅建設促進する意味におきまして、現在借家の用に供する住宅を建てたという場合におきましては、これについて特別償却の制度が設けられておるわけでございますが、この特別償却範囲につきまして拡張しようとしておるわけでございます。現在は普通償却範囲額の五割増し償却を五年間認めるとかように相なっておるわけでございますが、これを今回木造等のものにつきまして十割増し、それから耐用年数五十年以上のもの、鉄骨、鉄筋というようなものにつきましては二十割増しという償却を認めようとしておるわけでございます。これによりまして、木造等につきましては五年間で七割以上の償却ができる、五十年以上のものにつきましても五年間で全体の五割をこえる償却ができると、かように相なるわけでございまして、住宅建設促進に寄与するものであると考えております。  それから二十七条の改正は、航空機の乗客に対する通行税は現在二〇%と相なっておりますが、これを臨時的に三十二年の三月末までの間一割に軽減しようとしておるわけでございます。航空機通行税につきましては、各国の例を見ましても、アメリカは一〇%、それからドイツにおきましてはかかっておりません。フランスにおきましても低額で、ごくわずかなものが、百六十フランというものがかかっておるという程度でございまして、二割という通行税税率は諸外国に比較いたしましても高いと考えられまするし、また航空機事業は現在までその緒についてばかりで、必らずし軌道に乗っていないと考えられまするので、航空機事業育成というようなことにも関連いたしまして、この際、臨時的に軽減措置を講じようとしておるわけでございます。  それから附則におきましては、以上の改正適用関係につきまして、若干の規定を設けておるわけでございまして、二項、三項は利子所得配当所得に対する改正規定は六月三十日までの分につきましてはなお従前の例によるという例文的な規定でございます。  それから輸出関係のものにつきましては、輸出取引範囲プラント輸出範囲を拡張したというようなものにつきましては、七月一日以降の分について適用するわけでございますが、その他のものにつきましては、所得税におきましては三十年分の所得税から適用するし、法人税につきましては七月一日以降事業年度が終了するものから適用する、かように経過的な規定を設けておるわけでございます。  それから今回の租税特別措置法等の一部を改正する法律の第二条で有価証券取引税法附則改正しておるわけでございますが、これは証券投資信託財産に属するところの株券の譲渡につきましては、証券投資信託育成見地から二年間だけ有価証券取引税税率を万分の十五となるべきところを万分の六といたしておるわけでございますが、その期限が三十年の七月三十一日で切れることに相なるわけでございます。しかしながら証券投資信託の最近の状況は必ずしもまだおもしろくない状況にございまするので、なおかような育成措置を二カ年程度続けたいという意味で三十二年の三月三十一日まで従来の万分の六の税率を据え置くこととしようというのがこの改正でございます。  以上簡単でございましたが、一応措置法等の一部を改正する法律につきまして内容の御説明を申し上げる次第でございます。
  4. 青木一男

    委員長青木一男君) これより税法関係質疑に入る予定でございますが、政務次官、主税局長国税庁長官には出席を要求してありますが、今出席事務当局で御質疑が達せられる範囲の御質問をお願いいたします。範囲はこれまで当局から説明を受けました税法関係全部を議題といたします。
  5. 山本米治

    山本米治君 法人会のことについて、資料を求めておきましたが、まだできませんか。
  6. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 法人会の実情につきまして国税庁当局に連絡いたしまして、ただいま取りまとめておりますので、もうしばらくお待ち願いたいと思います。
  7. 山本米治

    山本米治君 資料をいただく前にちょっとお尋ねしますが、法人会というのは各地に大体税務署単位か何かであったようですが、ほとんど全部できておりますか、どうですか。どういう趣旨であるものなんですか、その法的根拠は多分ないと思いますが。
  8. 白石正雄

    説明員白石正雄君) その操作につきまして私まだ承知しておりませんので、国税庁当局を何しまして後日御説明いたしたいと思います。
  9. 山本米治

    山本米治君 それではその問題は他日にいたしまして、近年非常にやかましくいわれておる資本構成の問題について、少しお伺いしたいと思うのですが、日本企業というものは借り入れが多過ぎる。銀行側からいえば貸し出しが多くて、いわゆるオーバー・ローンになっている。それから企業からいえばオーバー・ボローイングになっている。これはいろいろ複雑な事情がありまして、困難な問題だとは思いますが、これは税制関係があるというとの声が非常に財界からも多いわけなんですが、どうして会社というものが自己資本増資を余りしないで、銀行から借り入れておるかという問題を考えてみますと、一つには投資家の側から考えなくちゃならん。もう一点は会社経営者立場から考えなくちゃならん。投資家からみれば、預金利子よりも配当利回りの方がよければ、株式増資などに応ずるということになるわけですが、これはなかなか日本企業の根本に問題がありまして、一応利回りがよくても飛びつかんという理由はあります。それは投資家判断にまかせるわけなんですが、特に自己資本増資よりも借入金にたよる傾向があるということは、経営者立場からだろうと思う。つまり経営者増資をして自己資本を充実するか、あるいは銀行から借り入れするかという判断において、借り入れをすれば、たとえば一割なら一割の金利を払いましても、これは経費で落せる。もし増資をした場合にはしかるべき配当をしなくちゃならん。たとえば一割の配当をするにしても、その資本費負担というものは普通二割、二倍くらいになるといわれておる。経営者の方の立場からいえば、銀行から借り入れれば一割金を払えばもうそれきりで済んでしまう。株式を募集した場合には、かりに一割の配当をするにも二割もうけなければ一割の配当ができない。そうすると、それは非常にやりにくいということで、つい増資よりも借り入れにたよるという傾向があるわけで、こういう点を政府当局はかねがね考えておられまして、自己資本充実に関するいろいろな税法上の便宜等は再三はかってこられましたが、今なおこの税法関係だけでは、自己資本充実促進されるかどうかということは、私非常に疑問に思うわけです。それでその困難な点はやはり法人税が相当高い。これに加うるに地方税まで入れれば普通六割といわれるのですが、百万円もうけても六十万円が税金になってしまう。その残りで配当するということになると、なかなか経営がやりにくいということで、経営者としては増資をやるよりは、何とかして銀行にどんな無理をしてでもたのんだ方が安易だということになるだろうと思うのですが、こういう点についてどういうお考えがあるか伺いたい。
  10. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 法人自己資本充実のために、税制上どういう措置を講じておるか、またこれについてどういう考え方を持っておるかというようなお尋ねだと拝承いたしたわけでございますが、税の立場からいろいろ自己資本充実のために措置を講じてきましたことは、すでに御承知通りでございまして、昨年の改正におきまして、増資をいたしましたものにつきまして、その増資に関する配当につきましては一定割合法人税を免除する、かような措置を講じましたことは御承知通りでございます。この状況を私ども調べて参りますと、二十九年度におきましては、これは御承知のように二十八年の十二月分からの増資の分につきまして、二年間を限って適用になっておるわけでございますが、二十九年度におきましては、その適用を受けました所得は約三十六億程度に達すると、かように考えられております。それが三十年度におきましては、これは増資の額が幾らになるかということによって変ってくるわけでございますが、一応三十年度における増資を千五百億、かように見ました場合におきましては、その適用を受ける所得は百二十三億に相なるだろうと算定しておるわけでございます。そういたしますと、全体の配当総額に対するこの増資免税適用を受けておりますその額はどのような割合になるか、かように考えてみますと、二十九年度における配当総額を七百七十億程度と推定いたしますと、二十九年度においては四・七四%に当っておったわけでございますが、三十年度においては配当もやや増加するものと見まして八百七十億円程度のものと見た場合におきまして、増資免税適用を受けます割合は一四・六%程度になる、かように推定せられるわけでございます。御承知のように法人税は現在の建前におきましては、所得税の前取りというように考えられておりまして、この見地から二割五分の控除の制度があるわけでございますが、この増資免税適用を受けたものにつきましては、法人税が全然かかっていないわけでございますので、そのものについて二割五分の配当の控除を適用するということは、これは理屈から申しますと、少しくおかしいと考えられるわけでございます、その分については少し言葉が過ぎるかと思いますが、いわば全然法人税を取っていない部分についても、二割五分だけ配当の際控除しておるということになりますので、いわば税金を逆に与えておるというような考え方にもなりかねないわけでございます。そういったものが一割四分六厘、まあ一割五分程度のものが、さような意味におきまして法人税がかかっていないものについて配当控除が行われておるということは、逆に申しますと、一般的に平均的に申しますれば、二割五分の率を引き下げてもいいというような議論にもなりかねないわけでございまして、こういう面からみますと、自己資本の充実ということのために、相当の税法上の優遇措置が行われているものと考えておるわけでございます。しかもこれは二年間増資が行われるたびに累積するわけでございますので、そういう意味から二十九年において改正せられましたこの増資免税措置は、増資の増加とともに自動的にその軽減措置は大きくなるわけでございますので、いま申しましたように、二十九年において三十六億程度のものが三十年においては百二十億をこえますし、さらに三十一年におきましては、やはり千五百億ほどの増資が年間を通じて行われますものと推定いたしますと、百六十億ほどの免税所得になると、かようになって、自然的にその優遇措置は増加をすると、かように考えられるわけでございます。  さらに今回法人税につきましては、御承知のように、四二%を四〇%に引き下げることによりまして、自己資本の充実に資しているわけでございまして、また先ほど申し上げましたような増資の場合の登録税軽減あるいは有価証券取引税につきまして、これはわずかな問題でございまするが、取引税の軽減税率適用期間の延期というようなことを考えているわけでございまして、あらゆる面から自己資本の充実につきましては、税法上でき得る限りの措置を講じているわけでございます。
  11. 青木一男

    委員長青木一男君) 国税庁長官が二十分間だけ時間があるのだそうです。その間に国税庁長官に聞きたい問題だけを先にすましたいと思いますが。
  12. 山本米治

    山本米治君 それでは国税庁長官に御質問のある方に先にしていただきます。
  13. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちょっと伺いたいのだが、実はこれは佐世保に起きた問題なんだが、佐世保のSP隊長からその土地のキャバレー並びにバーの組合に通達が五月八日付で出たのですが、その方面からの陳情が来たわけです。通達の内容は「日本製のウイスキーはメチルアルコールを含んでいるので、これを飲用にすることは危険である。アメリカ合衆国兵の日本製ウイスキーの飲用を禁止する」と、こういうことですね。これは自分の部下に対する命令ですから、これは一応これとして、その次に「この日本のウイスキーを飲んでいけないという通達はすべての陸海軍の軍人に適用せられ、日本製のウイスキーをアメリカ合衆国人に対して販売することを禁止されておる」、こういうのですね、日本にいるアメリカ国民に禁止する。「佐世保におけるバーあるいはキャバレーが、これらの日本製ウイスキーをアメリカ合衆国人に売ることを差し控えていただければ本官の喜びとするところである。しかしてメチルアルコールを含んでないところのウイスキーのみを販売していただく。」こういう意味ですね。その次にいきまして、「合衆国人が日本製ウイスキーを用いたことによって、めくらになった例が多数あり、従って佐世保におけるバー、あるいはキャバレーの御協力をお願いしたい」という意味の通達がバー、キャバレー組合へ佐世保のSP隊長から出たわけですな。それでキャバレーの組合の幹部がこのSP隊長のところへ伺いに出たところが、こういう意見だったというのです。「如何なる種類の日本製ウイスキー」、サントリー、トリスを含むとしてありますが、「如何なる種類の日本製ウイスキーをもアメリカ人及び将兵に売らないこと」、売ることは禁ずる。それから「日本人のウエイトレス、ダンサー、こういう者の飲料に対してはこの適用は受けない。即ち日本製品でもよい」というのですが、それから三に行きまして「販売可能のウイスキーについては、アメリカ製、カナダ製、イギリス製のみとし、関税通過品と闇品との別はSPの関心を持つところではないけれども、軍から横流れの洋酒に対しては取り締りの対象となる。」それで「前記の輸入品といえども場内での瓶売りは禁止すること」、次に行きまして、「赤玉ポートワインの販売は希望しない」、「もし前項の趣旨に副わない店に対しては立入禁止もやむを得ない」、こういう命令が出たのですがね。それでその土地の連中ははなはだ迷惑しているばかりでなく、こういう日本の製品に対して、私は寡聞にして密造のことは知りませんが、内地製の酒類、特に洋酒については厳重なメチールの検査も行われていることでありまするし、こういうことはないというように考えておったのでありまするが、現在ではこのメチールアルコールの率の検査等をよくやっておられるのかどうか。それで仮にそういうものの含有がないとすれば、日本製品に非常な傷をつけることとなり、またこういうことを勝手に日本人に命令することは一つの内政干渉でもありまするし、こういうことは日米行政協定においてできないのじゃないかというふうに私は考えているのであるが、取り締り官庁である国税庁のお考えはどうであるか、これに対する措置はどういうふうにお考えであるかということもお聞きしたいと思いまして、御多忙中ちょっとおいでを願いましたわけであります。
  14. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今のお話は実はあるいは係員には来ているのかも知れませんが、私、はなはだどうも不敏ですが初耳でございまして、今御説明願ったところによりますと、どうも大分筋違いなことが多いのじゃないか、第一普通の正規の酒類でありましてメチールが衛生に害あるほど入っているのは現在ございません。また私どもそういう見地からも常に注意はいたしております。終戦直後その点が問題になりまして、厳重にいたしまして、それはおそらくその後も引き続きいたしておりまして、正規の雑酒に関する限りそのような心配はないと思います。ただおそらくこれは今推定いたしますると、あるいはアメリカの兵隊さんが密造のものを、あるいは手をつけて、場合によりますと、そういう結果になった事件があるいはありはしないかと考えられますが、そういうものでございますれば、そういうものは業者が大いに自粛しまして、売らぬようにしろという趣旨でしたら、これは非常に私ども話のよい筋ではないかと思うのでございますけれども、そういう点については私ども内部において取締りを厳重にいたしますとともに、業界にもそういう趣旨の注意を、お互いにすることならいいじゃないかと存じます。しかしいずれにいたしましても、今お聞きしましたような趣旨のことは、非常になんと言いますか、行き過ぎと申しますか、そういう点が非常にあるように見受けられますので、なお私ども早速取り調べまして、必要な方法によりまして連絡をとりまして、できる限り措置をとるようにいたしたいと考える次第であります。
  15. 土田國太郎

    土田國太郎君 日本品を売るな、これが密造であるならやむを得ないと思いますけれども、サントリーとかトリスという名前まで指定して、これは一番信用あるウヰスキーですなあ、日本で。そういうものまで売ってはならんというようなことは、これは全く日本製品の信用にも非常に関係いたしますので、まあ輸出にも影響するということに相なるわけです。同時に一番大きい問題は、行政協定の違反ではないかというようにも考えられますがね、そういう点もありまするので、私この印刷したものを別にあなたの方に差し上げますから、よく御調査下さって至急に一つ何分の御処置をとられたいことを要望するわけです。
  16. 青木一男

    委員長青木一男君) 私からも土田さんの質疑に対しては二点あると思うのです。この問題は、日本品の信用に関する問題が一点、それから行政協定違反、日本の業者に対してアメリカの軍が命令的要請を出すということは、行政協定違反ではないかという二点ありますから、その点をよくお調べの上、政府として改めてはっきり対策をとるようにしていただきたい、そのことを私からも希望しておきます。
  17. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) よく取り調べまして必要なる措置をとりたいと思います。
  18. 山本米治

    山本米治君 先ほどの自己資本充実の問題を連続御質問しますが、日本企業資本構成が悪いということは、アメリカが来ても直ちに着目して注意したところなんですが、その後ますます悪くなっておるというくらいであります。これはいろいろな問題に関係があると思う。あるいはまた日本の証券というものが、あるいは株式というものが大衆化されてない。ずいぶん一時株式大衆化ということが叫ばれましたが、なお外国一流国に比ぶれば、株式投資というものに対して民衆はそれほどの興味を持っていないという側からもありますが、先ほど申しましたように、税金の側からもあると思うのです。そして先ほどお話の通りに主税当局としてはおそらくこの自己資本充実をさせるために、極力いろいろな措置をとっておられる、これは私も容認するにやぶさかでないのです。そうですが、どうも借り入れ財源依存の傾向が多いということは、税の方ではぎりぎりとれる措置はとっておるが、なお税の側に原因があると言われるか、しかし、税の方に原因はあるのだが、法人税というようなものは、税収入の三大収入の一つになっておって、これがあまり減少しては歳出との関係において困る、こういう立場からなのか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  19. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 自己資本充実のために、さらに税の面から軽減措置を講ぜよというお話でございましたが(「講ぜよとは言わなかったのですよ」と呼ぶ者あり)そういうことに関しましての意見をどうかというお尋ねでございましたが、法人税につきましては今回四二%から四〇%に軽減をした。しかしこの程度ではなお十分でないからもっと法人税を下げるについては、一体財源の関係から問題があるのかというようなお尋ねのようでございますが、これはもちろん端的に申しましてさようでございまして、法人税が二千億近いものを占めておりまするので、これを軽減するということにつきましては、相当の税収減になるわけでございまして、今回二%引き下げたことのみにおきましても、初年度四十四億円、平年度におきましてはまあ八、九十億円程度に達するわけでございますので、これ以上引き下げるということは税収上も相当の問題になるわけでございます。また他面におきまして、最近中小法人というような見地からもいろいろ御意見があるようでございますが、いわゆる中小法人ことに同族会社と考えられるものにつきましては、個人との関係については負担の権衡というような点も、やはり一応考えなければならない問題だろうと考えられまするので、そういう点を考えますと、まあ所得税等の軽減関係というような点から、直ちに法人税率の引き下げというようなことはなかなか困難であるという考え方もあるわけでございまして、さような点をもからみ合せまして、今回は法人税の引き下げは四〇%程度に止めた次第でございます。ただ各種の御意見があるようでございますが、まあみるお方々の御意見によっていろいろの見方はできると思うわけでございますが、法人税は、今までは四二%、今回は四〇%でございますが、他面において租税特別措置法等において相当の軽減措置が講ぜられておるということは、一面からは中小法人との負担に云々というようなことで非難も受けておる面もあるようでございますが、本日御提出いたしましたこの昭和二十九年度におきまする租税の特別措置による減税額の推計というのをただいまお手元に配付しておると思うわけでございますが、これの一応関税関係を除きました数字は五百六十六億四千九百万円と、かような数字を示しておるようなわけでございます。この中には米の超過供出奨励金等の特例法による減税の部分も含まれておりまして、必ずしも自己資本の充実に資しておるものとは考えられないわけでございます。すべてがそれに資しておると申すことはできないと思うわけでございますが、しかしこれらの中にはいわゆる各種準備金制度というもので中小法人の側からはいろいろ批判の問題もあるようでございまするが、またこれは当然損金として会社経理上認むべきものを認めておる問題でございまして、必ずしもこれが優遇措置であるというようなことを言えるかどうか、それはいろいろ見解の分れるところでございますが、しかし結果的に見まして積立てました残高から見まして、これがない場合に比較いたしまして、この程度軽減の税額になっておるということは、やはり他面から申しますれば、これは企業の資本蓄積に資しておるということもいえるわけではございまして、そういう点をもあわせ考えまするならば、税法上現在考え得る限りのあらゆる方途を講じまして、資本蓄積の見地からの措置は講ぜられておるということでございまして、なお、今後ともそういった見地からの研究を私どもいたしたいとは思っておりまするが、現在の措置も相当十分に行きわたっておるというように考えておる次第でございます。
  20. 山本米治

    山本米治君 今政府が自己資本充実について、租税法上はかなり英断的にやっておられるということは私も承認するわけですが、それは承認しますが、なおかつ、そうかといって法人税、むろん安くなれば安いほどいいのですが、そうただにしてしまうわけにもいかない。そういう税金は今の自己資本借り入れ資本との関係において阻害をなしているというこの事実をお認めになるかどうかということ、これ以上もっと税法上の優遇をしろという意味で必ずしもない、そういう事実を認めるかどうか。むろんもっと日本の経済状態がよくなれば、もっと税金を安くするということもできるでしょうが、今の場合はその事実を認めるか。一方余り減収になっても困るから、これがぎりぎりの線だと、こういうふうにお認めになっておるかということをお伺いしたい。
  21. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 現在のわが国の租税負担が相当重いということは、これは事実であろうかと考えるわけでございます。従いまして私どもといたしましては、できる限りその軽減に向って努力いたしたいと考えておるわけでございますが、他面財政の需要の方面もまたきわめて大きいものがございまするので、なかなか所期の通りに参りかねるという現状でございます。
  22. 山本米治

    山本米治君 そうすると、ちょっと奇妙なお尋ねですが、たとえばあなたが会社経営者だとします場合に、一般論はちょっと言いかねるかも知れないが、一つどうしても資本をふやす必要があるという場合に、増資に行かれるか、銀行で借りられるものならば借りるつもりになられるか、仮定ですが、一つ伺いたいと思います。
  23. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 実は私そういうことにつきましては余り深い知識を持ちませんので、何ともお答えいたしかねるわけでございますが、やはりそれはそのときどきの諸情勢のいかんによりまして決定せらるべきものではなかろうかと考えておる次第でございます。
  24. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の配布された資料は中を見ると法人と個人と一緒のものですか、これは。
  25. 白石正雄

    説明員白石正雄君) これは適用になります。これに書かれておりまするものにつきましては、これは法人にも個人にも適用になるような事項があがっております。中には法人、たとえば増資配当金に対する免税というようなものは、これは法人だけにしか適用がないということでございますが、しかし大部分のもの、法人にも個人にも両方適用があるというようなものにつきましての数字は大体法人を主としてあげております。利子所得課税の特例というようなものにつきましては、これはもちろん法人よりも個人の問題でございますので、そういったものは個人というようにお考え願いたいと考えるわけでございます。
  26. 小林政夫

    ○小林政夫君 結論だけ聞けばいいのですが、事柄の意味はわかっているわけだから。結局青色申告をする法人でも個人でも両方に適用のあるものについての減税額というものは両方をいっておるのか。今までのあなたの方から出された資料については、法人の方はよくわかるけれども、個人の方はなかなかわかりにくい、こういうことで法人分だけが従来出ておったわけですね。この資料法人個人両方に適用のあるものは両方を含んだ減税額ですかどうですかということ。
  27. 白石正雄

    説明員白石正雄君) たとえば3の法人税法及び所得税法によるものとしまして、貸倒準備金と特別修繕引当金、こういうふうに分けておりますのはこれは資料法人だけでございます。個人のは実は調査の推計の方法も容易ではございませんので行き届いておりません。
  28. 小林政夫

    ○小林政夫君 全部が、租税特別措置法によるものについても、これは実際に個人の利用しておるものもあり得るわけですね、理論上は。青色申告をやっておる個人については、たとえば合理化機械は特別償却なんというものも利用できるし、まだいろいろ挙げれば挙げられますが、そういうものについては、この資料法人分だけだと、こういうことに解釈していいのですか。
  29. 白石正雄

    説明員白石正雄君) さようにお考えになって差しつかえないと思います。
  30. 小林政夫

    ○小林政夫君 それからこの数字は従来出された数字からいっても、少し少いと思うのですけれども間違いないですかね。
  31. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 従来各種準備金及び引当金によりまして出しました数字は所得額で出しておったと考えます。それから場合によりましては累積額で出しておったこともあるかと考えます。従いましてそういう見地からこの数字がちょっと少いのじゃないかという御意見があるかと思いますが、これは二十九年度において積み立てました額、しかもその税額でございますので、そのような見地から御覧願いたいと考えます。
  32. 小林政夫

    ○小林政夫君 それから従来の資料と違うことは、あなたの言う通り違っておることはわかっているのですが、従来はその分に対して四二%かければ減税額が出たわけですね。この場合はそうすると法人税率は四〇%としてその軽減額が出ておるのか、四二%で出ておるのか。
  33. 白石正雄

    説明員白石正雄君) これは二十九年度でございますから四二%として出ております。
  34. 小林政夫

    ○小林政夫君 それにしても従来の免税所得として出された資料からわれわれが計算した数字とでは少し減っておるのじゃないですか。だけれどもこれは資料として出されたのだからこれが正確なんでしょうが、念のためにだめ押しをするわけですが、間違いないですな。
  35. 白石正雄

    説明員白石正雄君) これは悉皆調査でございませんので、若干の推計をまじえておりますので、その点できるかぎり正確を期したつもりではおりまするが、まあさように御承知願いたいと思います。
  36. 小林政夫

    ○小林政夫君 だいぶ中小法人についての問題があって、この特別軽減措置による減税額は大きいという、われわれを初めとして言っておるものですから。しかし実質的に減税額を少額に縮小されておるのじゃないかという気がするのですが、まあそれは推測だからやめますが、先ほどの山本委員の御質問に関連して、中小法人というか、少額所得法人についての税率を区分するという意見も相当出ておる。たとえば法人のほうから法人所得百五十万以下分について三五%、こういう意見が出ておる。そこで資料としてもらいたいのですがね。その法人所得の中の百五十万以下の分を三五%とした場合にどれだけ減税になるか、減収になるのか。それからもう少し区分を大きくして三百万円以下を三五%とした場合にどうなるか、五百万円、まあ日中連等は五百万円ですけれども、五百万円以下の所得について三五%とした場合にどうなるか、それから百五十万円以下を三〇%とした場合にどうなるか。
  37. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 試算いたしまして御提出いたします。
  38. 平林剛

    ○平林剛君 私もこの租税の特別措置による減税額の推計の表でお尋ねしますが、この間私が要求いたしましたすべてがこれですか。
  39. 白石正雄

    説明員白石正雄君) まあ所得税法の本法に対しまする特例という見地からまだこのほかにいろいろこまかいことがございます。しかしそういったこまかい問題まで一々税収を計算することは非常に困難でございますことが一点であり、それは税収に関しましてはそう大した金額に上らないというものもございますので、かようなものは一応省略さしていただきまして、一応税収の点から見ましても相当の額に達すると、かつ論議の対象になり得ると考えられまするものにつきまして一応ここに計上した次第でございます。
  40. 平林剛

    ○平林剛君 これは主要なもので多額な減税推計になるものをあげたと言われますが、それ以外のこまかいやつを集めたらこれもかなりの額になっているのじゃないのですか。それからたとえばこの中に昨年の国会を通ったお医者さんの所得に関する特別措置などのことが何か書いてありますか。
  41. 白石正雄

    説明員白石正雄君) ここに計上していないようなものにつきましては、もう税収の見地からほとんど言うに足らない問題で、またきわめて個別的な微々たるものだというようなものだと私の方では考えております。  それから医者の特別措置につきましては一の(6)のところに「社会保険診療に係る所得の計算の特例」といたしまして十二億と計上しております。これがお話の点だと考えております。
  42. 平林剛

    ○平林剛君 この特別措置法についてはいろいろ政府の中でも検討を続けているというお話を聞いておりますが、今日までの進展状況ですね。また今日における政府として検討した何かの結論があればそういうことについてお聞かせを願いたいと思います。あなたの知る範囲についてでも結構です。
  43. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 税の本来の立場から申しますれば、こういった特別の措置が適当でないということはまあ申し上げるまでもないことだと考えるわけであります。しかし現在の日本の経済情勢がまだほんとうに所期の状態になっていないという見地から、まあ政策的にいろいろの軽減措置が講ぜられているわけでございまして、そのような毛のにつきましてはそれぞれその個別的の理由がありまして設けられているわけでございますので、その個別的なその理由と、それからそれが税の本来の公平の見地をあまりにも害して、その政策的な見地とのかね合い上望ましくないという見地から廃止するかどうかと、こういう検討でございますが、ただいまのところなおこれらの措置につきましては、それぞれこういった存在理由があるものと考えられますものにつきましてはなお存しているわけでございまして、この際またこれを改正したがいいというように考えたものにつきましては、それぞれまた提案もいたしまして、御審議に供しているような次第でございます。
  44. 平林剛

    ○平林剛君 今そうすると特に政府の間で検討しているものはないと、こういうわけですか。大体ここに掲げたものについても、現在の情勢から必要なものだけがきめられてあって、今特に懸案の問題になっているようなものはないと、こういうわけですか、そういうお答えなんですか。
  45. 白石正雄

    説明員白石正雄君) ちょっと何と申し上げたらいいのか、少しく何でございますが、この際改正の必要があると考えましたものにつきましては、法案の改正として提出しているわけでございまするので、その他のものはいましばらく存続すべきものだと、かように考える次第でございます。
  46. 平林剛

    ○平林剛君 あなたにあまり聞いてもしようがないから聞きませんが、それでは別な角度でちょっと聞きますが、今回の租税の特別措置法の一部改正の中でも預貯金等利子所得に対してまた特別な措置を講ずるような説明がありました。今日までも預貯金等利子所得に対する相当の特別措置がございますが、大体これはこの表でもわかるかもしれませんが、どのくらいになっておりますか、ちょっとその点をお伺いしたい。
  47. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 利子所得につきましてはこの前期限の延期をいたしましたときも暫定予算に関連いたしまして申し上げましたように、内容は二割の源泉徴収をいたしまして、そしてこれを総合して課税をするということになっておりまするのを、現在の法律ではその二割を、一割源泉分に課税にたっておるわけでございます。その他で二十九年度におきまして減収となりましたと考えられますものが、ここにあげておりまする三十億と、こういう数字でございます。
  48. 平林剛

    ○平林剛君 そうすると今度のやつを合わせると、今度のやつが大体三十五億九千六百万円ですか、そうですね。政府の説明によりますと、預貯金等利子所得あるいは配当に対する免税措置をとると民間資本の蓄積の促進をはかることができると、こういうお話のようでありますが、具体的にはどのくらい、意地悪な質問ですけれども、これをやったらどのくらいの民間資本蓄積の実績が上るかということの見当がついておるわけですか、それをちょっとお願いします。
  49. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 第一に利子所得の免除によりまする減収額でございますが、これは所得税におきまして、御承知のように三十五億九千六百万減になります。ただしこれは法人税の増収となってはね返ってきますのが四億七千百万ございますので、その差額分だけが減になるわけでございます。  第二点の預金利子免税によってどれだけ貯蓄が増加になるかと、こういう御質問でございますが、これは利子免税に幾らという推定は非常に困難でございまして、なかなか的確には申し上げかねるわけでございます。ただ預金利子免税というそういった心理的な効果、または手続きの今までの煩瑣を除いたという点、それからまた利子所得課税の免除によりまする預金者の手取りの増加と、こういうような点から貯蓄の増加に資するところは大きいと考えておりまして、三十年度におきまする貯蓄の増加目標八千億円をこれらの措置、またその他の貯蓄運動等によりましてその目標が到達できるものと、かように考えておる次第でございます。
  50. 平林剛

    ○平林剛君 まあその考え方についてはまた別に私どもの見解を申し上げますけれども、きょうは予備審査だから予備的質問だけしておきますが、もう一つお伺いしたいのは、この預貯金と配当所得に対する措置というものは今臨時的に行うという説明がございましたけれども、一体いつごろまでこれを実施するのか。
  51. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 先ほどの法案でちょっと御説明申し上げましたように三十二年の三月末までになっております。
  52. 平林剛

    ○平林剛君 その期間ということは、今の政府の経済六カ年計画とはどういう関係にあるか。そういう関係があってその期日を示されたのか、特に当分の間ということでその期日を定められたのか、期日を定めたことについての理由をお伺いいたしたいと思います。
  53. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 税の立場から申し上げますと、預金利子免税というような措置はやはり異例の措置でありますので、できる限り短期間に限るべきものと考えておる次第でございます。従いましてまあ差し当り二年程度でとめたいという見地からかようにいたした次第でございまして、その間には貯蓄の増加というようなことも軌道に乗るのではないか。従いましてまあ二年後におきましてはもう本来の税法立場に立ち返りたいと、かように考えておるわけでございます。
  54. 山本米治

    山本米治君 預貯金利子課税が全廃されたことはわれわれは賛成しているわけなんです。まあ税制上言えばいろいろ理屈はあって、これはあるいはまずいかと思うので、臨時措置として二年の期限が定められたことと思うのですが、今まで資本蓄積、貯蓄増強ということについて非常に問題があったと思うが、銀行勘定に対する税務当局の取調べということがあったわけであります。これが貯蓄増強を非常にはばむということで、かねて大蔵省内でも銀行局と主税局との対立のあったことは周知の事実なのでありますが、そこで今度利子課税が全廃されるということになると、税務署の銀行立ち入りということはなくなるのか。あるいはその利子課税問題だけを調べるのじゃない、あるいは脱税容疑のあるようなときに銀行取引の実情を調べるのだから、課税が全廃になろうと何だろうと、そういうこととは別問題に立ち入られるのか、そういうことをお伺いしたい。
  55. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 今までにおきましても、租税の面から貯蓄の阻害になるような税務行政執行上の行為はないようにいたしておったわけでございます。御承知のように、利子支払いにつきましては、支払い調書を提出するということが所得税法の本法の中では規定せられておるわけでございますが、これが一割源泉分離課税になりました措置法の方の規定によりまして排除せられておりまして、そういった支払い調書の提出も現在は免除せられておるという状況でございます。また税務の執行の方から銀行預金等を一般的に調査をするという、つまり何某の脱税容疑というような点から調べるということでなしに、ただ何か銀行預金を調べたら税務執行上寄与するというような見地から一般的な調査をするということはただいままでのところは行なっていないわけであります。従いまして現在までの措置といたしましても、税務執行上貯蓄の阻害になるようなことはやっていないつもりでございますし、また今回預金利子課税免税をしたということに関連いたしまして、そういった方面におきまする税の執行上別に取り上げて改善を加えるという点は、従来ともそういった懸念のないようにいたしておりまするので、特別にそういった方法は考えていない次第でございます。
  56. 山本米治

    山本米治君 最近はよくなったけれども、当初そういう問題があったことは事実なんです。これはもう私もかつて貯蓄増強関係の仕事をやっておりまして、それがしばしば問題になった。そこでまあ最近はだいぶ改善されてきたようでありますが、今でもあるいはこの利子課税の免除が行われたあとでも、ある人の脱税容疑等があるときに、銀行にある個人の銀行勘定を調べるという等の、最後のつまり宝刀は決して捨ててはいられないと思うのですが、その点はどうなのですか。
  57. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 税務の調査のための一般的な銀行預金の調査、これは従来ともやっておりませんし、今後ともやらないわけでございますが、具体的に脱税容疑があった、そのための必要上やむを得ず具体的に調査をするということは、これはまあやはり必要があればそういったことも行わなければならない問題であると考えております。
  58. 山本米治

    山本米治君 先ほど小林さんからちょっとお話があった問題ですが、中小企業法人税問題ですが、小林さんは年額たとえば三百万円とか五百万円以下のものを三五%とした場合はどういう数字が出るかというような資料要求でありましたが、これはかねがね中小企業に対する課税が多い。大法人租税特別措置法で実質上相当軽くなっておるという議論がありましたが、これと関連して、金額はいろいろありましょうが、法人所得がたとえば百万百円とか、あるいはさらに小さく言えば年額五十万円くらいまでのものについて、たとえば法人税を三十五とか三十とか特別に安くする措置を講じたらどうかということは多くの方面で議論になっておったわけですか、今度は一般税率を四十二から四十に下げたということであって、そういう中小企業法人に対する税率特別措置は出ていないようでありますが、これは検討された結果、それはどうしてもまずい、あるいは技術上困難だというようなことでやめになったのかどうか、そのやめになった理由をお伺いしたい。あるいは十分検討されたものかどうかということ。
  59. 白石正雄

    説明員白石正雄君) 中小法人に対しまして特別に軽減になるようにという意味から、たとえば所得五十万円以下につきまして三五%程度税率にせよ、こういうような主張がありますることは私どもよく存じておりまするので、これらの点につきましていろいろ検討を重ねた次第でございます。  まず第一の問題といたしまして、この問題が持ち上っておりますることは、第一は先ほどから御議論がありまするように貸し倒れ準備金、その他の各種の準備金制度が、これが相当多額の額に達しておる。しかもこれが一部の大法人のみに適用せられておりまして、中小法人には実質的には適用になっていない。従って本当の負担という点から考えますと、中小法人の方が重くなっておる、かような点から主張せられておるわけでございます。従ってこの点につきましては、まず第一にこれらの準備金制度というものが一体どういう性質のものであるかという、まず理論的な検討がなさるべきものであろうと考えるわけでございます。この点につきましては、これらの準備金のうち、ただいまお手元に配付いたしました資料によりましても明らかでありまするように、貸し倒れ準備金のたとえば七十四億、退職給与の引当金が百八億というように相なっておりまして、貸し倒れ、退職及び価格変動準備金というこの三つが最も大きな数字を示しておるわけでございます。これらの三つは、この法人に対する特別の優遇措置と考えるよりも、むしろ原則的に見て、本来損金に落すべきものであろうというような見地から設けられておるわけでございまして、そういう意味において考えまするならば、これによって軽減を受けておるというように考えることは必ずしも適当でないわけでございまして、本来損金として落すべきものを落したに過ぎない、かように考えるべきものではないかと思うのであります。もしそういたしまするならば、別にその適用を受けていない中小法人が、そのために負担が過重になっているという議論は必ずしも適当ではないのではないかというように考えられるわけであります。また少しくへ理屈みたいなことになるかとも思うわけでございますが、もしこれらの措置が優遇措置である、優遇措置であるがゆえにその適用を受けていないものに対して負担が不公平であるというような御見解に対しましては、本来これらの措置がいいのか悪いのかという見地からの検討がなされるべきものではなかろうか。もしこれらの負担の公平を害することがはなはだしいからこれらの措置は適当でない、かようにお考えになりますならば、それはこれらの措置改正して、廃止するなり何なりやられるということがむしろ適当であるべきでありまして、これらの措置は、やはり現在の経済諸情勢その他方から考えましてやむを得ない措置である、こういうようにお考えになりまするならば、その適用を受けていないというものにつきましては、これはいろいろの問題がございまするけれども、直ちに負担の不公平をその面から論ずるということは必ずしも妥当ではないのではなかろうか。たとえば輸出免税措置というものは、輸出の振興という見地から考えられておるわけでございますので、その輸出免税措置適用を受けないものに対しましては、これが負担の公平上おもしろくないということは、これらの措置を講ずるときにおいてもうすでに明らかなわけでございまして、そういう負担の公平を考えながらも、やはり輸出免税措置をこの際採用すべきである、かような制度がとられました以上は、その適用を受けないものが負担の不公平になっても、ある意味におきましてそれはまあやむを得ないと考うべきものではなかろうか。  次に第二点といたしまして、これらの措置は大法人にのみ適用があって、中小法人には適用がない、これがまあ中小法人に対する負担不均衡の原因をなしておるようでございますが、これにつきまして先ほど衆議院の大蔵委員会から御要求がございまして、資料を提出いたしましたので、こちらの方にも同じ資料が配付になっておると考えるわけでございますが、資本金一億円以上の法人の各種準備金等の繰入金額調、それから資本金五百万円未満の法人の各種準備金の繰入金額調という、横に長い表を提出いたしておるわけでございますが、それを見ていただきますと、これは資本金一億円以上の大法人につきまして六百三十六社につきまして調べた結果でございます。これの繰入金額が六百八十三億になっておりまして、このためにいわゆる負担が軽減せられておるといわれておりまする率が一一%になっておるわけでございます。従いまして四十二がまあ三十二くらいの税率になっておると、かように一応いえるわけでございます。これに対しまして、しからば中小法人はどうなっておるか。これを東京都内の七税務署につきまして、資本金五百万円未満につきまして調べましたものが、これは二百五社でございますが、この二百五社につきましての繰り入れの状況は七千六百万円程度の金額になっておりまして、そのために軽減せられておりまする率は六・五%ということになっております。ただしこれらの法人につきまして繰り入れ限度額まで繰り入れておりませんので、繰入限度額まで繰り入れたといたしますと、一一%になりまして、たまたま数字は前の大法人の場合と一致したわけでございまするが、さような状況になっておるわけでございます。  それから同じように次の資料は、これは準備金を実際には利用していなかったわけでございますが、利用したとすればどのようになるかという点を調査いたしてみますと、その繰り入れ可能額は四千八百万円程度になりまして、これによって一一・八%程度軽減を受け得ると、かような数字になるわけでございます。で、中小法人についてなぜ今まであまり利用がなかったかという問題でございますが、これは税務署の方にもその一半の責任はあるかと思うわけでございますが、まあ十分おわかりになっていないような点もあったのではないかと思うわけでございます。また次に制度が非常に複雑である、そのために大法人には利用できるけれども、中小法人には利用できない、かようなことがいわれておりますのでございますが、これは価格変動準備金につきましては、昨年度の改正におきまして簿価を基準にして繰り入れをすることができるというように改正いたしましたので、非常にこれは利用しやすくなっておるのではないか。またこれらの事情も反映いたしまして、最近の調査では、中小法人につきましてもその利用状況は非常に増加をしておる、かような傾向にあると私どもは考えておる次第でございます。貸し倒れ準備金というようなものは、債権があればその一割なら一割、また価格変動準備金につきましては、たなおろし資産の簿価がわかれば、その簿価の一割なら一割というように繰り入れすることができるわけでございますから、決していろいろいわれておりまするような、制度が複雑なために利用できないというようなことは必ずしも言えないのではないかといように考えておる次第でございます。  で、かように考えてみますと、中小法人といえどもこれらの準備金制度は利用できるのでありますし、また利用します結果は、ここに書かれておりまするように、平均いたしましても一一%程度軽減になるわけでございまして、かつまたこれを個々の法人について見てみますと、その負担の率は一〇%程度になるものもあります。一五%程度になるものもありますし、いろいろさまざまでございまして、それらの法人状況によりまして、いわゆる負担率というものが変っているわけでございまして、従いましてこれらの点から考えまするならば、準備金制度に関連いたしまして、特別に中小法人について軽減税率適用するということは適当ではなかろうというように考える次第でございます。また中小法人につきましては、個人との負担の権衡ということがどうしてもこれは看過することができない問題であると思うのでございまして、御承知のように法人税所得税とがいわゆる一体的なものとして考えられて、法人擬制説というような立場がとられております見地から申しますと、法人と個人の負担の権衡ということは、これは理論的にはおかしいということも言えるわけでございますが、現実には個人から法人に組織変更をするという事例が非常に多くございまして、二十四年ごろ二十万程度法人数でございましたのが、現在は四十万になんなんとする法人になっておりまして、しかもその大部分は個人から法人に変更をしたというものがその大部分を占めているというような状況であります。この個人から法人への組織変更という問題は、やはり税の面から、法人になったほうが税負担が軽くなり得る余地があるという点に原因していると考えられる点がございまするので、かような点において個人と法人との負担というものはやはり十分検討の余地がある。かような見地から私どもは同族会社法人につきまして、具体的に百件程度のものを調べまして、そうしてそれについて、もしそれらの法人が個人であった場合におきましてはどのような税負担になっているであろうかという点を調査してみたわけでございます。そういたしますと、その大部分は個人の場合の方が重いというような結果になっているわけでございまして、これは主として法人企業になりますと役員報酬が払われまして、役員報酬は法人所得上経費として落ちますので、その結果事業税の負担が非常に軽減せられる。このような点に原因いたしまして、法人企業の場合が個人企業の場合に比較いたしまして国税、地方税を通じて企業体として払う租税負担が安くなる傾向にあるということが考えられるわけであります。法人企業になりますものは、個人企業に比較いたしますと相当大きな所得者が多いわけでございまして、個人営業者の平均所得は現在三十万円程度と大体考えられておりますが、法人になっておりますものは五十万、百万、二百万というような大所得者が法人になる、組織変更しているというような傾向を考えてみますると、やはり全体の租税負担の権衡という見地から法人税を、所得税との十分なる検討なしに中小法人のための特別軽減税率を設けるということは適当ではないのではないかというように考えている次第でございます。
  60. 小林政夫

    ○小林政夫君 どうもそう開き直って言われると、僕の方がやらざるを得なくなってくるが、まず第一点の適用全部の軽減措置を利用すればこうなるという数字は、これは当然の話で、しかしこの資料によっても、一億以上の法人軽減措置の利用状況というものはもっとあるはずです。ここに上っておるだけではない。これは一体実績なのか、それとも理論的に、申告所得だけをとって、それにいろいろこういうものを当てはめてみたということなのか、その点が一つまあ資料としては聞きたい。それからまあ一歩譲ってこの通りであったとしても、具体的にその大法人と中小法人とは税法をこなす能力というものが非常に違うので、今あなたもそういう意見もあるということであったけれども、その点が実際問題としては、本来の法人税法所得税法自体が難解であるにもかかわらず、なお租税特別措置法という難解なものでは、おそらく立法者のあなた自身でも突然にある条項を見られたならば、ちょっと理解に苦しむような難解な条文であるのだ。それを中小法人はこなすことはむずかしいし、もしそれをしいてこなそうとすれば、特別に税理士あるいは計理士等を雇って報酬を出さなければならぬ、こういうことになるので、そういう報酬にもたえられない、こういう実情なんですから、実際問題としてはなかなかこの通りは利用できないということが一つ、これがまあ実情ですよ。  それから法人成りの現象は、これは法人と個人との一体税負担を比較するということがもうすでにおかしいことなんだけれども、まあ従来あなたのほうの見解は、いつも実際問題としてのそういうことに触れておられるが、私は法人成りは徴税の立場からいっても奨励した方がいいと思うのですし、また企業経営を堅実化するという意味からいっても、経理組織を確立させるというような意味からいっても、法人成りの現象を脱税というか、税負担を軽くならしめるというような見地からのみ見ずに、もっと大きい目から見て、法人成りということは助成して、その法人成りの現象をいいからということで、法人になれば税が軽いのだから、法人税率を下げる必要はない、こういう税率まで頭を持っていって考える必要はないのじゃないか。まあ青色申告をやっておる人とやっておらない人とでは、これは税務署へ行って、あるいは国税庁へ行って聞いても、青色申告者が一応もっともらしい帳簿を備えておるならば、どうしてもわれわれはその帳簿に現われた数字に引きずられます。まあ当てずっぽうな割当て課税のようなことはできにくくなる。こういう意味からいっても、まあ徴税の手数を省く意味からいっても、法人成りの現象はむしろ奨励してもいいくらいですよ。そういう法人成りがどんどんいくからといって、法人成りになれば税が安くなるからだというような気持をもって法人成りを眺めることは行き過ぎではないか、そう眺めない方がいいのではないかという気がするわけです。まあこれは議論になるからあとで、議論しなくていい、その方は前にだいぶやっておるから。
  61. 白石正雄

    説明員白石正雄君) お尋ねの点の、まず資料の問題でございますが、ただいま御説明申しました資料は三十年の一月に事業年度が終りましたものにつきまして、東京都内の七税務署の分を集計したものでございます。従いましてこれは一月を選びましたのは、これはちょうど調査の時期が二月、三月ごろでございましたので、最も最近のものが適当であろう、こういう見地から一月に事業年度が終了したものを七税務署のものにつきまして全部集計したわけでございます。そのうちの青色申告の分の課税になりました分のみを取り上げまして、そうして集計いたしましたのが、ここにあげられておりまする二百五社とそれから五百三十一社、この二つでございまして、約七百社ぐらいのものにつきまして悉皆調査したわけでございます。  それから準備金制度を利用できるできないの問題でございますが、これは先ほども申し上げまして、またくどいようなことになりますが、まあ貸し倒れ準備金とか価格変動準備金というようなものにつきましては、法人になっておりまする以上債権が幾ら、たなおろし資産が幾らということは、これは計上になっているはずでございますので、その一割というようなことでございますので、それほど複雑な問題でもなかろうと、ただ御承知ないためについうっかりされているというような納税者の方もあるようでございますから、それはこの問題がこのように各方面で論議せられるようになりましたので、おそらくそういった点から周知宣伝が行われますでしょうし、また税務署といたしましても、できる限り制度を御利用願うように今後とも努力いたしまして、運用上この問題は適当に解決せられてゆくのではなかろうかというように考えているわけでございます。  なお法人成りの傾向につきましては、これはやはり税は、法人になることを奨励すべきものでもなく、またこれを抑制すべきものでもなく、いわばまあ税はそういったことにつきまして中立的な立場をとるべきものであろうと考えるわけでございますが、ただ最近におきまする傾向は、どうも税負担ということの見地からのみ法人成りが行われているように見受けられますので、こういう点はやはり税の負担の公平というような見地からはおもしろくないと考えられまするので、そういった税の問題のみから法人になるというようなことは、これは行えないように、やはり税の制度は統制すべきものではなかろうかというように考えている次第でございます。
  62. 小林政夫

    ○小林政夫君 まあ奨励するという……、意識的な奨励というより、まあこれは議論してもしようがないが、いずれ資料を出してもらって、実際問題をどうするかということになる。そのまあ奨励という僕の言い方が少し言い過ぎであったのだけれども、大体法人税というものは、所得税の源泉徴収を考えているのが今の法人の税体系なんです。そうそのいろいろ比較した資料なんてものは類推、仮定に基いたものであって、実際問題として、法人になれば軽いということでやっている人もあるでしょうし、しかしそれは法人になったから軽いのじゃなくて、一応いろいろな経理組織が確立して、帳簿等が確立して、従来個人の場合においては必要経費等が十分計上されなかった。あるいは言っても税務署を十分納得せしめられなかった。こういうようなことが、はっきり数字に帳簿として、整備された帳簿で出てきたために税が軽くなった、こういう場合もあるわけです。だからそういう点はただ組織の、個人企業法人企業ということで、法人になれば軽いということでなしに、必要経費等の税務署側を納得してもらう、あるいは税務署も更正決定とか、あるいは更正決定まで行かなくても、事前折衝等において、あなたの方は少くともこの程度所得はあるのじゃないかというようなことの場合に、帳簿化されてさえいれば、十分お調べ下さい、こういうことで、実際問題としての課税所得が少く見られる。ほんとうはそうなんだけれども、中には中小法人、それから中小企業の中には、実際もうかっているのか、もうかっていないのかということすらもわからない経営者もいるのですから、ほんとうに帳簿をつけてみて初めてわかったというような連中もあるわけです。従ってこれはまあ余談になるけれども、中小企業の問題について、金をつけるだけが中小企業育成することではない。ほんとうに経理組織が確立されて、企業の推移というものが、経営の実態というようなことがわかるようなこともしなければならぬということが言われている。そういう意味において、実際に記帳して整理をしてみたら、案外もうからなかった、所得がなかった、こういう現実。それが帳簿がないと、いわば税務署の腹づもり等によって……、そういうことは、言えばないと言われるでしょうけれども、他の企業との関連、あるいは同業種との比較等によって割当て課税的な要素も中にはある。そういうことがなくなるということで、実際上結果的には税が軽くなったけれども、それは本来軽かるべき税が軽くなったという場合もあるわけですから、そういう意味においても、むしろ申告納税の意義を生かす意味においても、記帳をはっきりするという点からいって、法人になるということはそういう見地からいいことであろう、こういう意味です。
  63. 白石正雄

    説明員白石正雄君) お話しのような点は、制度の問題というよりも、むしろ運用の問題と考えるわけでありますが、運用もなかなか完全には行きかねておりますので、お話のような点がないとは断言できかねるわけでありますが、そのような点につきましては、できる限り運用上よく行くように今後とも努力すべき問題であろうと思うわけであります。ただ、私どもは、制度の問題といたしまして眺めました場合におきましても、個人の場合、法人の場合、それは同じように把握されるわけですけれども、同じ所得を基礎といたしまして考えました場合にも、税の制度上の問題といたしまして、どうも法人の方が軽くなり得るような傾向にある、こういう点が問題としてあるわけでございます。私どもが、先ほど申し上げましたように百件程度につきまして調べました。その調査と申しますのは、法人企業を調べまして、その法人申告しておりますところの所得そのものをとりまして、そして法人企業体として法人税、事業税、法人から給与として払われておりますものの所得税、住民税、こういったものを合計いたしましたところの、つまり法人企業体から国及び地方団体に払われておりますところのすべての租税負担、こういったものをまず一応計数的に出しまして、同じ企業体が個人企業体であった場合におきまして、その所得を、法人所得としてつかまえられておりますものを、そのまま個人所得に引き直しまして、これは御承知のように個人になりますと、法人の場合は給与は損金で落ちておりまするのが、個人の場合は給与がそのまま合算せられまして個人の所得となるわけでありますから、そういった意味におきまして個人所得に直しまして、そして個人としての国税及び地方税の負担というものと比較いたしてみますと、どうも傾向として法人の場合の方が軽くなる傾向がある。これは法人企業の場合におきましては、役員報酬を幾ら出すかということが、大部分法人の決定するところによってきまるわけでございますので、これを、たとえば三万円という給料を五万円出したということにいたしますれば、御承知のように法人事業税がそれだけ軽減せられまして、軽くなる。こういうような見地から、どうも法人の方が租税負担が軽くなるような傾向にございますので、このような点を考慮いたしますと、制度の問題として、法人税率を所得税税率軽減と関連なしに引き下げるということは、どうもそういった制度の問題としては適当ではないではないかというような見地から議論をしておるわけであります。従いまして、運用上の問題として、お話しのような点がないとは私どもも断言できかねるわけでございますが、一応切り離しまして、制度の問題といたしましてもそのような問題があることを考えておるわけでございます。
  64. 小林政夫

    ○小林政夫君 制度の問題として、一番個人、法人の負担のアンバランスを来たしておる原因は事業税ですよ、国税の面ではない。僕の今までの資料で行くとね。事業税においては法人が軽くて個人が重くなる、こういうのが出ておるように僕は今までの資料では了承しておる。事業税というものが今の姿でいいかどうかということについても相当議論があると思いますが、それは国税、地方税全体の、一環として税負担というものは考えなければならぬけれども、法人税率をどうするかというような場合においては、私は事業税関係のものを一応切り離して考えていく必要がある。その方は別途事業税の面において対策を考えるということをする必要があるじゃないかと思っているのです。
  65. 白石正雄

    説明員白石正雄君) まさにお話の通りでございまして、私どもも事業税の点においてそのような傾向があると考えておるわけでございますが、やはり国税、地方税を通じて負担の権衡というようなことも考えねばならぬという見地から、総合してやはりその点は考慮すべき問題でもありまするので、この際そういった総合的な見地と切り離して、法人税率の特別の中小法人に対する軽減税率を作るということは、やはり適当ではないのじゃないかというように考えておる次第でございます。
  66. 青木一男

    委員長青木一男君) いかがですか。今日はこの程度で……。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会      —————・—————