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参考人(櫛田光男君) 櫛田でございます。
国民金融公庫の現状並びに三十年度の希望等につきまして、この機会に申し上げてみたいと思います。
いつも私
どもの
仕事の
内容につきましては、かねてから大へん御指導、また御激励にあずかっておりまして、ただ私
どもの公庫の現状といたしましては、何と申しましょうか、金がない、人手が足りない、店がないというふうな、非常に常々その三つの点において不足がちでありますることをかこって参ったのでございますが、三十年度の一応の希望を申し上げます前に、現状がどうなっておるかということにつきまして少しばかり申し上げてみたいと思います。
お手元に
国民金融公庫の現状というのがございますが、これは二月末の業務の状況を一まとめにしたものでございまして、一等最後のページをお開き下さいますと、横に長い表がございます。これが
昭和二十九年度におきまする各月別の各種の貸付の申込、貸出、回収実績でございます。
なおこの最後のページの
一つ手前、九ページでございますが、その左側の欄に貸付種類別貸出残高一覧表というのがございまして、これが本年の二月末の現在高でございます。諸貸し付け、合計いたしまして三百八十五億円に相なります。その中で普通貸付が三百十一億五千万円、その次の大口なものといたしまして、更生資金貸付が二十九億三千万円、それから恩給担保貸付が十八億五千万円と相な。ておりますが、私
どもの
仕事の特質といたしまして、大へんに小口な、零細なお貸し出しを実行いたしておりまする
関係上、お貸し出し先が、ここにございますように、件数にいたしまして六十二万件というふうに相なっております。この数字は、実は金融機関といたしましては異常な数字ではないかと存じます。と申しますのは、銀行、現在全体でもって八十数行あると存じますが、その銀行全体を合せまして、日銀のお調べによりますというと、その貸し付け先と申しますか、手形一枚々々を計算したわけじゃございませんので、貸し付け先を名寄せした数字だと存じますが、それが大体九十万、それを少し超すくらいの数字でございます。それとお比べ願いまして、私
どものお貸し出し先六十二万という数字が、どういう数字になるかということは御想像がつくかと存じます。
かような
関係からいたしまして、資金の点、まあ人手の点、又店舗の点等におきまして、常々不足をかこっているのでございます。
そこで
昭和二十九年度の状況でございますが、別表に二十九年度実績表というのが一枚刷として、お手元に差し上げてございますかと存じます。この表は先ほど御高覧を願いました月別のこまかい数字、二月までの実績を一括いたしまして、それにこの三月、本日をもって終りまする三月分を、各支所の資金の需要状況等からかんがみて推定を加えまして、二十九年度全体としてのあらましの姿を総括したものであります。かようにいたして見ますというと、主として普通貸付について申し上げますと、年間を通じまして千六十一億の申し込みがございまして、それに対しまして、大体三百六十四億円、パーセントにいたしまして三割四分見当かと存じますが、かようなお貸し出しにとどまったと、まあこういうふうなことになろうかと存じます。その他の諸貸し付けを合せまして、申し込みが千百三十六億、これに対しまして四百五億のお貸し出しができた。その四百五億円の資金の内訳は、2のところに書いてあります
通りでございまして、二十九年度といたしまして、
予算上
政府出資二十億、資金運用部から九十一億円のお借り入れをいたしまして、合計百十一億円でございましたが、そのうち運用部からの過去の借入金の返済は二十二億円でございましたので、その残額八十九億円、貸付の回収金全体といたしまして三百十五億円でございました。合せまして四百四億円の資金と、並びに利益金の若干を充当いたしまして、かような四百五億見当のお貸し出しをいたしたと、かような状況に相なっております。全体からいたしまして、まあ大体三割四分見当のお貸し出しをいたしたということに相なっております。
そこで
昭和三十年度のお見込みの問題でございますが、お手元に「
昭和三十年度貸付資金要望について、」三月十八日付のものでございますが、一枚の紙がお手元に差し上げてあるかと存じますが、それについて申し上げたいと思います。
昭和三十年度につきましては、御
承知のように四月、五月分につきましては暫定
予算の
措置が講ぜられました。
昭和三十年度全体につきましては、何しろ私
どものほうの貸付資金は全部
政府資金に依存しております
関係上、御要望申し上げておりますのでありますけれ
ども、まだ何ら御内示等の
措置がございませんが、いかようになりまするか存じませんが、私
どもといたしまして、過去の実績並びに将来の需要、申し込みの状況等を推定いたしまして、少くとも最低限度としてこの
程度は必要であろうかという金額を
政府に目下御要望申し上げておるところでございます。その数字を土台といたしまして御説明申し上げたいと存じます。
簡単に申し上げますれば、
昭和三十年度におきましては、新規資金として百五十億円、そのほかに過去資金運用部から拝借いたしておりまする借入金につきまして、
期限の到来いたしまする分が三十八億円ございますので、
予算的にはこれを合せまして、借りかえ資金等として三十八億円要りますので、これを合せまして百八十八億円、これだけはどうしても最低限度お認めを願いたいと
政府にお願い申し上げているわけでございます。その新規資金百五十億のうち百億は普通貸付に充てたいと存じております。その根拠は、貸付資金、(I)普通貸付の所にございます
通り、二十九年度の申し込み額が大体先ほど申し上げました
通り一千六十億円でございます。最近の情勢におきまして、先ほど御高覧に供しました
昭和二十九年度実績表の一等下の所にございます……、二十九年度一千六十億円という申し込みは、前年度、二十八年度八百六十八億円の申し込みに比較いたしますると大体二割二分くらいの増加に相なっております。二十八年度は二十七年度に比べまして三割五分の需要増加でございまして、最近の経済情勢にかんがみまして、その需要の増加の率は多少減ってきたかのように存じますが、最近に至りましてなお熾烈な資金の需要がまた現われて参りました。それらのことを
考えまして、大体二割五分見当は申し込みが最小限度ふえるのではないか、かように計算いたしますと千三百二十五億と一応見たわけでございます。それに対しまして大体三分の一見当最小限度お貸し出しをしなければなりません。かように
考えますと貸し付け所要額が約四百三十七億、回収金を予想いたしますると、大体三百三十七億円見当が回収できそうでありますので、その差額百億円というものはどうしても新規資金として
政府に御面倒をみていただきたい、かように存じた次第でございます。なお、四百三十七億の貸し出しがかりにできたといたしますると、二十九年度の実績に対比いたしまして、普通貸付におきましては約二割の貸し出し増加と相なろうかと存じます。
なおその次に恩給担保貸付でございます。恩給担保貸付は一昨年の十月から始まりまして、さらにそれを消費資金の需要もまかなえるように
法律の御
改正がございました。昨年の五月十日からその点につきまして実行いたしたわけでございます。この点につきましては
仕事を始めましてから短い期間ではございますが、きわめて要望が熾烈なものがございまして、毎月ふえて参りますような状況でございます。大体
昭和二十九年度におきましては五十億見当のお申し込みがございました。これが三十年度におきましては少くともその二倍、百億見当、大体それに対しまして七割見当はどういうことがあってもお貸し出しいたしたいと存じまして、かようにいたしますと七十億円と相なります。過去の貸し付け回収金が二十億円見当に見込まれますので、その差額五十億円、これだけはまたぜひとも恩給担保貸付用として
政府に御面倒をお願い申し上げたい、かように存じまして、普通貸付のために百億円、恩給担保貸付として五十億円、合計百五十億円、それに借りかえのための資金として三十八億、合計百八十八億円というものをお願い申し上げておる次第でございます。
なおこれに
関連しまして、四月、五月分の暫定
予算の実行問題につきましてこの機会に一言さしていただきたいと存じます。お手元に金融公庫
昭和三十年度第一・四半期、四月、五月分の事業計画、資金計画が御高覧に供してあると存じますが、この暫定
予算におきましては大体資金運用部から五億円の借り入れをお認め願いまして、それに回収金が全体で五十五億円見当あるかと存じます。そういったものを財源としまして、大体諸貸付が四月、五月二カ月分におきまして六十二億五千万円見当の貸出を一応予定いたしまして、この中で普通貸付が五十五億六千万円、恩給担保貸付が五億五千万円でございます。そこでこの普通貸付の点でございますが、この資金をもちまして大体五十六億弱の貸出をいたしますというと、月平均二十七億から二十八億ということになるわけでございます。昨年度の四月、五月の実績に比べまするというと、大体二割見当の増加には相なろうかと存じまするが、実はこの点につきまして、最近各支所から第一・四半期の月別の貸付につきましての見込みと申しますか、これだけはぜひ何とか本部のほうで面倒がみれないかという見込表をとってみたのでございます。その見込表を集計いたしますというと、四月、五月におきまして六十の店におきまして貸し付けを必要とし、またしたいという金額が実は七十六億円に達したのであります。その点からいたしまするというと、四月、五月はまあ二億円ほど足りない、かような状況に相なるのでございますが、何分にも資金運用部の財源その他の
関係等から五億見当という
お話でございますので、一応五十五億六千万、昨年度に比較いたしますれば四月、五月の実績と比較いたしますれば、ともかくも約二割の増加に相なりますので、一応この
程度をもってプランを立てざるを得なかったということを付け加えさせていただきまして、私
どもの
仕事の
内容からいたしまして、日に月に熾烈なる申込みが、また深刻な申込みが、また深刻な申込みがふえて参ります現状をよく御洞察いただきまして、私
どもの最低限度の資金要望につきましてこの上ともどうぞ御指導、御援助たまわりますことをこの機会にくれぐれもお願い申し上げたいと思います。簡単でありましたが御説明を終ります。