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1955-03-29 第22回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十九日(火曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西川甚五郎君            山本 米治君            土田國太郎君            平林  剛君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            白井  勇君            藤野 繁雄君            宮澤 喜一君            片柳 眞吉君            小林 政夫君            杉山 昌作君            岡  三郎君            菊川 孝夫君            天田 勝正君            松澤 兼人君            中川 幸平君   政府委員    大蔵政務次官  藤枝 泉介君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主計局法    規課長     村上孝太郎君    大蔵省主税局税    制第一課長   白石 正雄君    大蔵省主税局税    関部業務課長  崎谷 武男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国営競馬特別会計法を廃止する法律  案(内閣送付予備審査) ○期限の定のある租税に関する法律に  つき当該期限を変更するための法律  案(内閣送付予備審査) ○国債整理基金への繰入及び補助金等  に関する特例期限を変更するため  の法律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより大蔵委員会を開きます。  国営競馬特別会計法を廃止する法律案予備審査)、期限の定のある租税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案予備審査)、国債整理基金への繰入及び補助金等に関する特例期限を変更するための法律案予備審査)、以上三案を一括議題として、質疑を継続いたします。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 前回の委員会において、大蔵省資料要求しておったのですが、それはいかがになりましたか。お尋ね願いたいと思います。
  4. 青木一男

    委員長青木一男君) 税関関係政府委員が遅刻しておりますので、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  5. 杉山昌作

    杉山昌作君 国営競馬特別会計についてですが、これは、あまり期間も長くないようですが、二十三年にこれを始めてから、これを廃止するまでの間の収支状況、これは決算を拝見すればわかると思いますが、いわゆる歳入歳出決算的なものでなしに、会社の損益計算書的なもの、及び今年度末における貸借対照表的なものを一つ見せてもらいたいと思います。
  6. 村上孝太郎

    説明員村上孝太郎君) ただいまお手元にお配りいたします。
  7. 青木一男

    委員長青木一男君) ただいまお配りになりました資料について、説明がありますか、ありませんか。
  8. 村上孝太郎

    説明員村上孝太郎君) 簡単にただいまお配りいたしました国営競馬特別会計昭和二十九年度歳入歳出決算見込額を御説明申し上げます。お配りいたしました第一のページにございますのは、投票券勘定歳入歳出、それから業務勘定歳入歳出見込みでございます。そこに書いてございますように、競馬収入が全部で五十億二千六百万円、こうなっておりまして、歳出の方では五十億二千六百万円と、収支合っておりますが、その中で、十二億七千万円を業務勘定へ繰り入れております。その業務勘定へ繰り入れました十二億七千万円がどういうふうに使われておりますかというのは、その下の方の業務勘定歳入歳出になっております。この業務勘定で、十二億七千万円の投票券勘定からの繰り入れと、その他、競馬業務収入を合せて、約十九億四千四百万円の収入に対しまして、一般会計のうち、九億二千九百万円の益金を繰り入れておる、こういうふうになっております。そこで本件の国営競馬特別会計を廃止する法律案関係いたしますのは、その次のページに書いてございますところでございますが、この前、簡単に御説明いたしましたように、この法律案の三項、四項によりまして、昭和三十年の四月一日現在でもって、この国営競馬特別会計を廃止いたしまして、一般会計債権債務を承継するわけでございますが、その場合、この前も御説明申し上げましたように、現年度債権債務につきましては、出納整理期間というものがございますので、先ず四月一日現在でもって一般会計に承継いたしますのは、過年度債務債権、こういうふうになります。過年度債権資産といたしましては、いわゆる動産に類するものでございますが、その二枚目の紙の一番左の上に書いてございます約七百万円の動産というものが先ずあげられるわけでございます。この七百万円の動産と申しますのは、中央及び地方競馬監督いたしますところの職員事務用備品でございまして、この特別会計を廃しますとともに、その職員は、一般会計におきまして、従来と同じような競馬監督をいたしますので、一般会計に、この動産類事務用備品を受け継ぐわけでございます。その「二月末現在」と書いてございます数字の下の今の「動産」の下に「現金」と書いてございますが、この「現金」は、法律案の三項におきまして、現金につきましては、三月三十一日末でこの特別会計を廃止いたしますときに、直ちに一般会計に引き継ぎませず、四月一ぱい整理期間における債務支払いに一部充てまして、全部債務支払いましたところで一般会計に納入するということになりますし、また、現在現金になっておりませんものも、四月の整理期間一ぱい現金になりますものがございますので、こういうものを足しますというと、その現金の一番右の欄の四億五千八百万というふうな数字になるわけでございます。この三億六千百万からなぜ四億五千八百万になるかというその註は、欄外の下に「現金収支」と書いてございまして、二月末以降に現金化するところのこの特別会計収入が書いてございますが、その計九千九百万円と、支出いたします二百六十八万一千円の差額九千七百万円が三億六千百万円に追加されまして、四億五千八百万円という一番右の欄の現金になるわけでございます。この四億五千八百万円に、従来納入されました四億七千万円ばかりの納付金を合せまして、前の第一ページの本年度における競馬特別会計益金の九億二千万円という数字が出て来るわけでございます。その「現金」の下に「未収債権」というふうに書いてございますが、これからはほとんど全部現金化いたしまして、現金化しないで四月の末に未収債権として一般会計に承継されますものは、その「未収債権」の右の二番目の欄に、「四月一日一般会計引継見込額」と書いてございます七百五十万円の債権でございますが、これは名古屋地方競馬競馬場を貸しました貸付料の残でございます。これは名古屋競馬収支がうまく行きませんので、少し残っておりますが、これもいずれ一般会計において引き継がれてから収入される予定でございます。大体において資産のほうはそういうものがあげられるわけでございますが、負債のほうは、これも三項にございます過年度債務と、四項にございます現年度債務と両方あるわけでございますけれども過年度のほうは、大体競馬法の規定によりまして、時効が一年で完成いたしますので、ほとんどその残はゼロになる見込みでございまして、残ります債務は、二十九年度分の債務だけが未払い債務といたしまして一般会計に承継されることになるわけでございます。そこにも書いてございますように、「負債」と書いてございまして、未払い債務二千六百五十五万円の内訳で、千六百万円と千万円と、昭和二十八年分と昭和二十九年分と二つに分れております。昭和二十八年度分は、二番目の右側の欄でゼロになっておりますのは、先ほど申し上げましたような競馬法十一条によります時効完成によってゼロになります。そこで二十九年度未払い債務であります一千万円が、出納整理期間の完結後において一般会計に帰せられる、こういうふうになるかと存じます。一千万円の内訳でございますが、これはほとんど勝馬投票券支払いを取りに来なかったものでございまして、恐らくは、余り、一般会計に承継されましても、取りに来るあてはないのでございますけれども一般会計へ引き継ぎまして、もし取りに来る方があれば、それに対して一般会計のそれぞれの科目から支払うということになるだろうと思います。  その次のページにございますのは、先ほど杉山先生から申されました昭和二十三年以来の国営競馬特別会計発足以来の益金納付の実績でございまして、昭和二十三年度から二十八年度までそれぞれあがっておりまして、計六十億、これに先ほど申し上げました二十九年度見込み額九億何がしというものを加えましたものが、競馬特別会計設置中の益金納付金の総額になるわけでございます。  その次のページは、これは昭和二十九年度におきます従来の納付金の額でありまして、五億五千五百万円というふうに書いてございますが、これは各月ごとに、競馬をいたしますたびに中央競馬会から競馬特別会計に納入されて、それから競馬特別会計から一般会計益金として納付されるわけでございますが、昨年九月十六日以来地方競馬会が施行しまして、それによって生ずる益金納付は約五億五千五百万円というふうに見積られるという資料でございます。  最後中京と小倉というこの二回が三月になってからの納付予定でございまして、この二つを合せました約三千五百万円ばかりが、先ほど申し上げました二枚目ページの一番欄外に出ております収入中央競馬会納付金三千五百万円がこれに相当するわけでございます。簡単でございますが、この資料について御説明申し上げました。
  9. 杉山昌作

    杉山昌作君 この二枚目資料に、「土地建物貸付料」というのがあるが、土地建物特別会計で持っていたことと思いますが、これは譲渡しないことになる、これはどこか出資でもしたらどうですか。
  10. 村上孝太郎

    説明員村上孝太郎君) この「土地建物貸付料」と申しますのは、かつて持っておりました貸付料の残ということでございまして、土地建物はすべて昨年の九月に中央競馬会が発足しましたときに、特別会計から現物出資をいたしております。約四十五億円でございます。
  11. 青木一男

    委員長青木一男君) 岡委員要求資料が配付になりましたが、説明がございますか。
  12. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) きのう岡委員の御要求資料をとりあえずまとめましたが、なお、附則十項、附則十一項というふうにまとめてございますので、さらに明日あたり品目別にこまかい資料を作って提出したいと思っております。そのほか特にございません。
  13. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 国営競馬特別会計法の廃止に関する法律案についてちょっとお伺いしたいのですが、今までは、国営競馬に関する農林省競馬部といいますか、あすこは全部特別会計で経理されていたと思うのでありますが、今度は競馬会が独立されたので、あすこに今までおられた関係の官吏の方は特別会計だが、一般会計でいろいろの人件費等が支弁されたものでありますが、そこはどういうふうになっておるのでございますか。
  14. 村上孝太郎

    説明員村上孝太郎君) ただいまの御質問でございますが、競馬部におられた人の大部分は、国営競馬をやめまして、中央競馬会が発足しますと同時に、中央競馬会の方に行かれまして、競馬監督関係職員だけが、ただいま申し上げましたように、競馬監督課として畜産局一般会計職員としてやって行くことになっております。
  15. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 そうしますと、今までの競馬関係の国の収入は全部特別会計に入っておりましたが、今後は全部競馬会の方の収入に入って、その収入の中から一部政府の方に納入になるのでございますか、その点を伺いたい。
  16. 村上孝太郎

    説明員村上孝太郎君) ただいま御質問通りでございまして、今後は中央競馬会収支をしめまして、益金となりますものが中央競馬会から国に納入される、こういうふうになるわけでございます。
  17. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 その大体の金額というのは、あれでございますか、今までと今後と、中央競馬会ができても、政府収支については大した変化はないのでございますか。非常に国の方に不利になるのでございますか。
  18. 村上孝太郎

    説明員村上孝太郎君) 私、今年度中央競馬会からの納付見込み数字を現在持っておらないのでございますが、それはいずれ本予算が編成されますときに本年度収入見込みがなされると思うのでございます。御承知のように、競馬開催日数その他についていろいろ問題がございますが、そういうふうな前提が全然同じということになりますれば、あまり従来の特別会計によってあげました益金と、中央競馬会益金とは、差はないと思いますが、開催日数その他でいろいろな制約を受けますというと、その点いささか違って来るものと思います。いずれにしましても、現在私どものほうでは、本予算の編成になりますときに見込まれるであろう正確な資料に持っておりませんが、大体の推量であります。
  19. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 少し本論からはずれて恐縮でございますが、実は私、名古屋の、ここにあります中京競馬というものに前に関係がございまして、当時国会の両院で法案通りまして、中京競馬ができた。ところが国営にはなっているけれども、費用は国で一円も出されない。地方でやれというわけで、いろいろ政府と折衝しまして、名古屋競馬場というものができ上りました。これは政府からその使用料名古屋競馬としては頂戴してやっているわけでございます。ところがその使用の回数が少いと収入がありませんから、できるだけあれを利用していただかないと、幾ら政府使用料を出せといわれても出せないわけなんでございます。根本的にいえば、私は国営競馬なら、国が競馬も経営されると同時に、その施設そのものも、やはり官庁とか学校とは幾分違うにしても、国の予算で作られるのが本当じゃないかと思っておりましたけれども、とにかく国の予算は一文もなしに、地方会社組織でできておりまして、会社収入というものは、結局競馬場競馬収入会社収入になっているわけであります。しかしその収入というのは、経営が今まで国営でありますから、国に全部入っている。今度は中央競馬会のほうへそれが変って行きますけれども競馬場そのものには金は入って来ない。結局政府使用料収入になるわけでございます。そういうわけでございますので、まあ一つ、先のことを申し上げるのは、はなはだ恐縮でありまけけれども、その生い立ち等もよく御考慮願いまして、競馬場がやって行けるように、中央競馬会になったからといって急にそのやり方が違って来るというと困るわけなんでございます。その点だけをこの機会に申し上げまして、御配慮を願いたいと思います。
  20. 松澤兼人

    松澤兼人君 二十九年度歳出歳入決算見込額というのがあるのですけれども、これが三十年度においてどういう収支になるかということ、その数字概略でもいいからお示しになる方が審議の都合がいいのじゃないかと思うのです。まだはっきりどのくらい競馬会から国の方に入って来るか見通しがつかないというお話でありますが、まあ開催日数が現状のままであるとすればこういうこと、それからまあ人件費その他でどういうことになるのかというような歳出歳入関係ということが、一応見込みでもお示しになる方がいいのじゃないかと思うのです。それはきょうは駄目なんですか。
  21. 村上孝太郎

    説明員村上孝太郎君) ここにお示ししました特別会計昭和二十九年度歳入歳出決算見込というのは、これはこの法案にございます第二項の「決算に関しては、なお従前の例による。」ということもございますので、なお参考までに申し述べたのでございますが、昭和三十年度からは中央競馬会がいろいろ予算見積りをいたしまして、一体どの程度益金になるかということをきめるわけでございますが、これは直接の監督官庁である農林省とも相談いたしまして、若し早急にできるものならば作りまして資料として提出いたしたいと思っております。
  22. 松澤兼人

    松澤兼人君 今まで国営競馬があったときに、やっぱり国の職員がどの程度いたか、そうしてそれらに対する人件費その他まあ監督費、そういうようなものがどの程度であったかというようなこと、それがそのうち国の一般職員になるものが何人あるというような、まあ人件費整理見込みというような、整理じゃないかも知れないですけれども、再配分というような見込みもつけて、概略のことを知りたいと思うのですけれども、まあごく概略でよろしいのですが、大体のことを一つ示し願いたいと思います。できますか。
  23. 村上孝太郎

    説明員村上孝太郎君) ただいまの御質問のような数字農林省から至急作らせまして提出いたしたいと思っております。
  24. 松澤兼人

    松澤兼人君 なおこのために人員が特に整理されるとかいうようなことはないのですか。
  25. 村上孝太郎

    説明員村上孝太郎君) このために特に人員整理されたということは、私、聞いておりません。先ほど申し上げましたように、大体中央競馬会に行くものと、監督関係のものとして一般会計に承継されるものと、それですべての者が大体吸収されるように聞いております。
  26. 松澤兼人

    松澤兼人君 では最後に希望として、今の競馬会に行く者、それから一般会計に残る人、そういう人員もお示し願いたいと思います。
  27. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御質疑ございませんか。——御質疑ないものと認めます。   —————————————
  28. 岡三郎

    岡三郎君 期限の定のある租税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案を見まするというと、延長して変更して非常にいいものと悪いものとまことに一緒くたになって、因っているわけですが、本員が言いたいことは、炭化水素油の問題なんです。で、これを期限を変更しないというと、いろいろ問題点があるというふうに御説明があったのですが、ここで打ち切った場合にどういう影響が出てくるか、それを一つお答え願いたいと思います。
  29. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) ただいま重油関税を復活した場合と申しますのは、この法案の延長がなされなかった場合、どういう影響があるかという御質問でございますが、概略を申し上げますと、農漁業関係の油が高くなり、これがその影響するところ、いろいろな計算がございますが、私ども計算では一%から二%くらい全体のコスト影響するのではないかと考えております。そのほかトラック、バス、それからあらゆるボイラーを使っております産業、それから炉関係で鉄鋼、それから火力発電重油を使っておるものもございますので、これらのものにすべて若干のコスト影響があるわけでございます。
  30. 岡三郎

    岡三郎君 諸外国の実情を一つ説明していただきたいと思います。
  31. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 米国の例で申しますと、これは米国は油の産出国でございますので、輸入税の場合には原油……。
  32. 岡三郎

    岡三郎君 ちょっと途中ですが、生産国じゃなくて輸入国ですね。
  33. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) それではベネルックスの例を申し上げますと、原油フリーにしております。それから揮発油計算いたしますと、八・二%くらいの税率になります。それから燈油が九%、軽油が九%、それから重油潤滑油フリーにしております。それから西独の例を申し上げますと、揮発油につきましては百キロ当り十二マルクをとっております。これが非常に高率の税率になっております。計算上六〇%前後という計算になっております。それから燈油軽油、これも百キロ当り十二マルク九〇ということで、八〇%くらいの税率になっております。それから重油が同率でございますが、価格関係からパーセンテージは非常に高いものであります。一四〇%くらい、潤滑油についても三〇%くらい、それからイタリアが大体原油揮発油燈油につきまして一八%、軽油重油が一〇%、潤滑油が一八%、それからフランスの場合が原油が五四%、これは精油所に入るものがフリーとしておりますが、それから揮発油が、保税工場から出るものがフリーで、その他が四五%、燈油が同じです。それから軽油も、保税工場から出るものはフリーで、そのほかのものが二二・五%、重油も同じことであります。
  34. 岡三郎

    岡三郎君 その程度でいいです。国内燃料資源ですが、この関連で、やはり相当これは考えてもらわなければならんという点もあるのですが、前の石炭ストの場合に重油というものを奨励して、最近石炭業が非常に不振を加えて来たというところで、政府自体もこういった面に対して何か抜本対策を講ずる必要があるのじゃないか。まあ相当社会問題にもなっていると思うのです。そういうふうな国内燃料資源との関連で、政府は一体こういう問題を今後の見通しとしてどういうふうに考えているのか。つまり税金を取らなくて、免税措置でずっと行くのか。そういった点について一つ政府の所見を聞きたいと思うのです。
  35. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) ただいまの石炭その他の総合的な燃料対策の一環として、石油関係関税をどうするかという問題、御指摘通りの問題でございます。政府といたしまして、ただいま急速に総合的な燃料対策を樹立中でございまして、それと関連いたしまして、石油関係関税をどうするかということも実はまだ結論に至っておりません。大変私見を申し上げて申しわけございませんが、ただ私どもとしては、石炭対策のためにだけで、石油関税を取るというようなことが果して妥当であろうかということに多少の疑問を持っておりますが、むしろ内地の石油資源の開発その他との総合的な考え方をまとめた上で、その観点に立って、石油関税についても十分な考慮をいたしたい、こういうふうな考え方を持っておりますが、まだその結論に至っておりませんので、確たるお答えができないことを申しわけなく存ずる次第であります。
  36. 岡三郎

    岡三郎君 現在免税措置を取っておるこの石油製品ですね、これの国内においての価格ですが、そういった関連で妥当だと思いますかどうですか。
  37. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 今、岡委員のおっしゃいましたように、価格の面から見まして、確かに輸入重油は、重油その他安くなっております。その点から言いますならば、関税をかけてもいいんじゃなかろうかと、こういう議論が有力になって参るわけであります。これは確かに価格の点から申しますならば、御指摘のような議論が非常に有力になって来る。でありますが、ほかの点からいろいろ考えました場合に、漁業用油をどうするかというようなところで、実はまだ十分関係者意見調整ができていない、こういうことでございます。
  38. 岡三郎

    岡三郎君 まあこの法案のみで言うことは狭いのですが、補助金等の問題との関連で、そのほか政府重点施策として公約したいろいろな問題があるということを考えると、やっぱり国家としてでき得る限り、妥当な点があるならば、増収をはからにゃならんということは、これは重要なことだと思うのです。そういう点で、一応漁業用とか、あるいはその他の燃料として低廉に供給するという点はわかるとしても、一応価格の面から考えてみても、取っていいんではないかというふうな論を私は持つわけです。そういうふうな点から考えていくというと、一方において必要な補助金を相当厳格に削減するというふうな政府施策が一方にある。一方において取ろうと思えば相当の高額な税収をはかることができるというふうに、われわれはこの問題を考えたときに、端的に申し上げますというと、新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律を廃止していくというふうな問題、これは予算にして、この税収をはかれば簡単にできる。しろうと考えにもそう思われる。それで、これも閣内において前文相から現在まで政府一つの公約として主張せられたような問題もあるし、それから衆議院の予算議決の際に自由党から付帯決議がついている。そういうような考えで、でき得る限り増収をはかるべき段階にあるということが明確ならば、なぜこれを取らないのかという点の疑問がどうしても私は解消できないわけです。その点についてお答えがあったならば、何か所見を聞きたい。
  39. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) ただいまの御議論、まさにそういうお考えでありますることは、非常にごもっともであろうと存じます。ただ政府といたしましては、いずれにしても全面的な税制改正を七月一日を目途としてやりたいという考え方をもちまして、その際にただいまお話しのありましたような点も十分考慮いたして、その利害得失を考えて織り込みたいというような考えを持ちましたので、とりあえず二十九年度の状態をこの六月までは続けて参りたい、こんなような考え方で、税制全体について一応今までの状態はそのまま続けるというような考え方で、この法案を御審議を願っておるような次第でありまして、全面的な税制改正の場合にこの石油関税についても十分な考慮を払いまして、ただいまの御意見あるいはその他産業全般、ことに重要産業であります水産業等の影響をどうするかというような点も割り切った上で御審議をお願いしたい、こう考えておる次第でございます。
  40. 岡三郎

    岡三郎君 自動的に延長していく、七月に抜本的に考えるということ、二つですね。抜本的に考えてもらうことは、けっこうなんですが、それにしてもきわだってこれは目立つ問題なんです。それで百歩譲って一応自動延長することにやむを得ないと仮定しても、今の政務次官のお答えからいうと、次に総合的に検討して出すというお答えですが、事務当局の方でするというと、何か不明確で確信がないように見受けられるわけです。そういう点からいうと、今ずるずるべったりと、これがいつの間にかいくような気配を、私自身は、行き過ぎかわからんけれども、感ずるわけです。そういう点で必ず次回から取るというならば、これはまた容赦する点もあるのですが、どうもそこのところがはっきりしないのですが、その点どうなんですか。相当膨大な税の増収をはかる道がここにあると私は思うのです。
  41. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 先ほど業務課長から申し上げたのは、国内産油の価格の問題との関係においてはまさに関税を取ってもよろしい状態であるというのでありますが、先ほども申し上げましたように、水産業その他産業全般に対しまする影響もございますので、これらの点をどう考慮いたして、しかもそれがまた冒頭にお述べいただいたように、全体の総合的な燃料政策として、それがどういう立場になるかというようなことがまだ未決定でございますので、実は、はっきりしたことを申上げられないのでありまして、現在の段階では、延ばしたあと七月から必ず定率通りに徴収するようにするとかしないとかというお答えを申上げる段階にいたってないのでございます。
  42. 岡三郎

    岡三郎君 事務当局が言うならばまだこれはいいけれども政府の当事者がそのようではどうも困ると思うのです。非常に政治的な問題も加味されておると思うので、事務当局にこれ以上追究してもどうかと思うのですが、考えてみても、衆議院において付帯決議を承知して、そうして補助金等を復活するというふうに一応考えられておる。一方において、防衛分担金の削減等といろいろアメリカと交渉して財源を見つけようと御苦労されておる。そういうふうなことを考えて行った場合に、政府が公約した住宅対策とか、いろいろな財源を必要とする事業が山積しているわけでしょう。そういうふうな見地に立てば、ちゅうちょする必要は私はないと思うのだが、政府の公約と補助金の復活……こういったような税収が明確にわかっているのになぜそういうことをちゅうちょされるのか、もう一ぺんそれを聞きたいと思います。
  43. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 大変繰返すようで申しわけございませんが、石油に関する関税を復活することによりまする影響は、先ほど説明員から申し上げましたように各方面にわたります。ことに漁業等につきましては相当深刻な問題もあります。なるほど御指摘のように財源としては相当の財源でございまするが、併しその結果日本産業にいろいろもしも悪い影響がありますようですと、これは必ずしも税金を取ることだけで妥当だというわけにも参りません。税は税でとればいいじゃないかという御指摘もありましょうが、やはり日本産業の全体に対する影響というものも相当考慮しなければならないのではないかという意味で、果して石油関税を復活いたしましてもこれらの産業に対する悪影響がないかどうか、こういう点をもう少し突っ込んで考えてみなければならないということで、繰り返すようでございますが、なお研究をさせていただきたい、こういうことでございます。
  44. 岡三郎

    岡三郎君 もとの法で税金をとることをきめて、暫定措置として免税ということにして来ているわけですね。ずいぶん長い間御研究なさったのじゃないかと実は私たち思っておるわけです。だからこれは今始まった話でなくて、こういった措置がとられるということにも理由があったでしょう、あったでしょうけれども、現在まで相当期間があったわけです。その間においてやはり政府としては、こういった問題をやる場合に、特に漁業関係等を言われたのですが、そういった問題についての影響も十分御検討になっていると私は思うわけです。だから結論としては、時間的な経過を考えても、いずれに断を下すかの時期に私は来ているのじゃないかと思う。だから考えようによれば、一応とるということをきめて、ずっととらないように来ているということは、何かこれはごまかして来ているような印象もとられてもやむを得ないのじゃないかと私は思うわけです。そういう点で、漁業等の問題については、これは私の一つの私見ですが、別個に漁業振興なら振興に対して考慮するというふうな措置もあながちとれないわけではないと私は思うのです。そういう点で同じことを繰り返して、現段階において政府のほうとしては肚がきまっておらんので、これ以上言っても仕方がないと思うんですが、どうも財源がほしい、ほしいと言っていながら、政治的にあまり考え過ぎて不明確だと私は思う。時間的な経過から考えてみて断を下すときに来ているんじゃないでしょうか、政務次官。
  45. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 経過はただいまお話の通りでありまして、われわれも、もうそろそろ断を下さなければならないときに来ていると思います。大へんお言葉を返すようでございますが、ただ何分財政的にもいわゆる一兆の枠というようなこともありまして、取るものは取って出すものは出したらいいじゃないかという、これはまさにその通りなんではございますが、そういう点もありますので、実は今まで踏み切っておらないわけであります。そういう従来の経過等も考えまして、この問題をどういう段階で踏み切るかというようなことについて十分研究をいたした上で、本予算その他と一緒に御審議をお願いいたしたい、こう考える次第でございます。
  46. 岡三郎

    岡三郎君 もうこれでやめますがね。一体政府は、予算が少い、税収をもっとはからにゃいけないとはっきりしているわけですね。それで長い年月もこれは経ているわけで、今言ったように断を下すべきときに来ているけれども、次の機会まで待ってくれというならば大体どういうふうな傾向にあるのか、これは打ち切るような傾向にあるのか、延長するのか、さっぱりわからん。取るということに、三月が終ったら四月から取るということに法律はなるわけなんです。だからそういうふうな段階にあるんですから、私の希望としては、遠慮なく取ってもらって、そうして支障がある点については明確に出していくというふうに鳩山内閣としてはすべきだと思う。また施政方針を聞くと、そういうふうに明確にしていきたいというふうなことをしばしば私はその他のことで聞いているわけでして、はなはだ今の政務次官の言葉だというと納得できない。たとえば地方財政が非常に赤字になっている、で、固定資産税なんかもどんどん自治庁あたりは上げろとか何とか言っているわけです。話は筋が違うとしても、結局財源がないからやれないと言っている。と言いながら、こういう大きな金をここに置いておいて、他に影響がある——影響があることは百も承知なんですから、そういう影響といったようなものは大蔵省でずいぶん御検討なされて来た時間はあると思う。そういう点で一つ近々のうちにこれは省議を開いて政府の態度を本委員会において明確に私はしてもらいたいと思う。これを一つ希望しておきたいと思うわけです。それによってまた一つこの問題について御質問申し上げる。
  47. 平林剛

    ○平林剛君 ちょっとそのことに関連してお尋ねをしたいんです。先ほど政府の御説明を聞いておりますると、大体税制の根本的な問題を改正するために七月には政府考え方を明らかにするというお話も聞きました。その場合に関税の問題については十分考慮を払うというお答えがあったわけですが、今、岡委員が言われるように、最後になると不明瞭なんですね。実際今度の措置は六月でおしまいにするのか、または再び継続をするというような考え方になるのかという点を、もう一度念のためにお答え願いたいと思うのです。
  48. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) たびたび繰り返して申しわけないと思いますが、この六月末と言いましたのは、七月の一日からいろいろな所得税を中心といたしまする税制の改正をいたしたい。もちろんそのときに、これに関連いたしまして、こうした期限のついているものについてははっきりとした線を打ち出さなければならないと思っております。ただ、まだ本当にその点が実は十分最終の段階に至っておりません。たとえば十四インチ以下の小型のテレビジョンの課税の軽減等につきましてもなお議論もあるというようなことでありまして、こうしたものを、全体をくるめまして今回の新しい税制の改正について御審議をお願いいたしたいと考えておりますので、ただいまの段階で、これらの六月三十日まで延ばしましたものは、これで全部打ち切るか、あるいは復活するかということを最終的にお答えをする段階でないことをお許しをいただきたいと思うのです。
  49. 平林剛

    ○平林剛君 私どもとしては、一般の勤労者とか、農民、中小企業者に対する税金の軽減をするという財源が少いために、まあ大して楽になるというような政策がなかなか打ち立てにくいわけですね。それだけにこういう財源の問題については非常に期待を持っているわけです。そういう意味でいろいろ御質問するわけです。特にこの原油とか重油とかの問題については、国内産業を保護するという意味でも、むしろ税金をとったほうがいいのではないかという議論も私はできると思うのです。そういう意味で、もうかなり検討して、はっきりした線を打ち出さなければならぬというふうになるのですが、問題は、そのときでも、これをもし変更する場合にはかなり各方面に影響を与えるし、また外国との取引などにおいてやはり二、三カ月という猶予期間というものを設けたりなどしなければ、なかなか変更もむずかしいという話を聞いているわけです。この場合に、私は今のお話だというと、七月に出すと、またそれが十月とか、十一月というようなことになって、税収の面がそれだけ少くなってしまうということを考えるのです。まあそういう意味から今はっきりしたことを聞いておかないというと、また半年先になってしまうという心配をしているわけです。そこで、政府からのお答えがあったように、これを変更する場合には、漁業に対する影響も深刻だし、あるいは消費者に対する影響もかなりあると思うのですけれども、問題はその影響をだれがかぶるかということになると思うのです。会社自体がある程度かぶってくれるか、消費者にはね返してくるかということになると思うのですが、この点について今現在かなり検討されていると思いますから、実際上の消費者に与える影響ですね、こういう数字が大体わかるならばお示しを願いたいと思います。
  50. 青木一男

    委員長青木一男君) 今伺っております点は、質問者は、七月一日に提案するというようなふうに申されておりましたが、先ほど政務次官は、七月一日実施の目標というふうに御説明になったように思いましが、どちらでございましたか、その点は。
  51. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) その通りでございます。
  52. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 関税を復活した場合にどの程度影響が各産業にあるかという御質問でございますが、これも先ほど申し上げました私ども計算で、漁業に一%乃至二%と申し上げましたが、これも一つ計算でございまして、そのほか関係業者いろいろな計算が実はございます。その間どれが一番オーソリティがあるかという判断に迷ったりするような数字も出てくるわけであります。それから、これは計算の一例を申し上げますが、トラック、タクシーといったようなところは大体〇・五%前後のはね返りがある。それから鉄鋼関係でいろいろな炉を使っておりますが、それに重油を使っております場合、これも最高一%前後。それから鉄鋼以外で、ガラス製品というようなものにもやはり一%以上のはね返りがある。耐火れんが、陶磁器、板ガラス、そういったもの、みな少しずつはね返りがある。大体目ぼしいところはそういうところかと存じます。
  53. 平林剛

    ○平林剛君 今のやつは会社自体の負担ということを考えないで、一般の消費者のはね返りを見込まれた数字ですか。
  54. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 消費者に負担がかかるものとしての計算でございます。
  55. 平林剛

    ○平林剛君 私どもこの問題については今後十分検討していきたいと思っておるのですけれども、この場合でも私はやはり消費者に対して今の程度の、最高一%前後というようなことであれば、会社自体が負担することによって消費者に影響を与えないで済むのではないか。これは十分今後検討しないとわからないと思うのですけれども、そういう形において、政府は一方において税の収入を得るとともに国内産業の保護という面に力を入れるということは、十分そういう方向に持っていくべきではないだろうかという気がするのですが、もう一度政務次官についてお考えを伺いたい。
  56. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 今のお話は、おそらく輸入業者あるいは精製業者等が、関税がかかっても、その段階あるいはその他の販売段階等によってこれらの関税の分が吸収されていく可能性は相当あるのではないかというお話のようでございます。それらの点も十分私どもとしても目下考究いたしておりまして、そういう点の研究も入れまして結論を至急に出したいというふうに考えております。
  57. 平林剛

    ○平林剛君 じゃ、あとでまた別の問題について御質問したいと思います。
  58. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それに関連して承わりたいのですが、国別の輸入額というのを資料としてお出しになりましたのですが、原油にしろ重油にしろ、輸入先、仕入れ先によって値段もこれは相当違うのだと思いますが、この仕入れ先の値段の相違というものは、開きが、今の関税の率と、どのくらいあるか、それをお示しを願いたい。わかりますか。たとえばイランで買った場合には安い、合衆国から持ってくれば高い。あるいは合衆国で買った場合は安い、イランやサウディ・アラビアあたりで買った場合には高い。こういうふうにだいぶ違う。インドネシアで買う場合、ボルネオで買う場合というような……。その調整で相当まかなっていけるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  59. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 今のイランの油あるいはインドネシアの油を買った場合には、確かにおっしゃるような問題があると思います。ただそれを関税とどう調整するかという今の御質問の趣旨は、ちょっと私、技術的にわからなかったのでございますが、それからイランの油が数字がこうなるので、関税と結びつけばこうなるんだというイランの数字は、今、私このほかに持ち合せておりませんので、なお少し検討さしていただきまして後刻資料で出したいと思いますが……。
  60. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 わからぬとおっしゃるのはね、安いところで油を買ってくれば税金をかけたって差しつかえないんじゃないかと、こういうことなんですよ。外貨の割当の際に、どこで買うということは、あらかじめこれはほかの輸入品との関係もありますから、何もあまり安いからといってそこばかり買うわけにもいかぬ。例えば出光さんは安い油を買ってきたと言いますか、一時問題になりましたね。それから油の質によってどうしても米国産でなきゃならぬ場合もあるし、又イランの油でなきゃならぬような場合もある、使用の方途によりましてはね。そういうものがあるのですから、実際は……。原油重油といったら大体イランから買ってきてもアメリカから買ってきても一緒かどうか、それから値段がどのくらい違うのですか。
  61. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 値段が今どのくらい違うかという御質問は、私、今、手元にちょっと資料を持っておりませんので、何ともあれですが、関税が安いところから買った業者には高く負担できるはずじゃなかろうかというのは、まことにその通りでございますが、残念ながらその関税率が国別にできていないわけでございます。だからアメリカから買ったのも、イランから買ったのも、どこから買うのも皆同じ税率でやっております。関税法に複関税というのはございますけれどもこれは発動しておりません。今度はガットの関係もございまして、大体どこから買うかによって関税率に区別をするということが非常にむずかしくなる、現在はそのようなシステムを持っておりません。
  62. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 いや、そういう意味じゃない、国策として……、それなら政務次官にお尋ねするのですが、これはどうしても今石炭があのような状況になっておりますので、それで特に神経過敏になるわけですがね。石炭がどんどん栄えているときなら、そうやかましく言わないけれども石炭があのような状態になっているからやかましく言うのですが、無税にして高い油を買ってくるよりも、安い方面で仕入地があったならば、それを買ってきてそれに税金をかける、こういうふうにすれば販売価格一%くらい漁業用影響はあるというのだけれどもそれはカバーできるのじゃないか、仕入地のいかんによってはカバーできるのじゃないかと、こういうふうにも考えるのだけれども、これほどうかというのです。
  63. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 安い原油を買ってくれば関税を少しくらいかけても結局消費者の方が買う値段は今とあまり変らぬじゃないかという御議論は、まさにその通りだと思うのでございます。しかし各国との通商関係その他がありまして、私からお答えする範囲でないかもしれませんが、必ずしも安いところと申しますか、なるべく安いところから大量に買うことは好ましいことでありますが、貿易協定その他の関係もありまして、おそらくそれほど安いところに集中して買うというようなこともなかなか困難な事情もあろうかと思います。ただいまのお考え方につきましてはまさにその通りだと思いますので、これらはなお研究させていただきたいと思います。
  64. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に、今日のデフレ下においてあらゆる産業は相当苦しんでいるんだが、全般的に見た場合に、石油業界は非常にいいんじゃないか、こう思うのですがね。そうすると、一%はね返りが漁業の業者にはね返ってくるというのだが、それを業者の負担においてやらせるということは、これはまあ外貨の方の割当で、お前はこれだけに、漁業の油はこれだけに売れということはできると思うのだがそこは調整できませんか。
  65. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 石油、ことに精製業のことと思いますが、精製業が相当の利潤をあげているかどうか、まあ私、手元に資料を持ちませんのでお答えできないのであります。ただ先ほどもお答え申し上げましたように、この関税を、そういう精製業の段階、あるいは販売の段階で吸収できるかどうかというようなことにつきましてはなお十分検討をいたしたいと思います。ただ私の聞いておりまするところでは、精製業者等も国内の石油は相当御承知のように高い値段で買い入れまして、プールをしてやっておるようでございます。こういう点もありますので、なおこの点は的確な資料を持っておりませんので後日に譲らしていただきたいと思います。
  66. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 しかし全般としては何じゃないですか。石油精製業界の方はこのデフレの波を余りかぶっていないんじゃないんですか、一般論として言えることは……。それだけに、もうかっておるということなんだ、要するにざっくばらんに言えばね。それで関税がかかるとすぐそれを消費者の方へ転嫁するよりも、精製業者の負担において……。あなたの方でいつも言っているのだが、コストの引き下げと言っているのだが、何も輸出品のコストの引き下げではなくして、精製業者の方のコストの引き下げということも考えられる。特に石油の精製業者に対しましては国の施設を、というと旧軍の施設を、まあ常識的に考えまして相当安い値段で払い下げ、安い値段ということは、国のやつは公定価格以上には出ませんから、適正な価格でもって払い下げを受けて、その施設を使用している分がある。なかんずく、かねてから問題になっておりままする四日市の海軍燃料廠というやつですな。いつもやかましく問題になっておるのだが、いまだにあれは遊休施設として遊んでいる。しかも海岸のそばにあって非常に大きな設備を持っている。それらもいまだに、業界のあつれきか、どういう関係かしらぬけれども活用されていないですわ。どこが活用しようと三菱が活用しよう思うとよそから横やりが入る。そこで精製業者の共同使用、国有で共同でやろうという案も示されておるけれども、いまだに実現できないという状態をほうっておいて、ああいう関税がかけられるということになったら、これはすぐ消費者が上るのだぞ、そういう意味で反対論を押えて無税で輸入するという行き方はどうかと思うのですがね。今説明を受けたところでも、外国の方でも、特に西ドイツの方は高額な課税を行なっておる。しかも日本では今石炭業界はこのような状態になっておるときだ。特にこの点は考慮をする必要がある。  最後に伺っておきたいのだが、一年、一年と、こういうふうにしたのはどういう意味かと思うのですが、いつも大蔵委員会でも困った場合にはすぐ一年ということにするのだが、一年という期限を切るということは、これはその業者に対しても、一年たったらこれはもう税金がかかるのだぞ、こういうことをあらかじめこれは伝えてある、意思表示をした意味のことだと思うのですがね。それを一年たったらまた三月、また今度一年だというようにして行けば、一年というふうに切る意味がない。それならばもう少し見通しを立てて、三年なら三年とした方がいいと思うのですがこの点はどうですか。
  67. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 実は経過がいろいろございまして、また品目が非常に多いもので、今までの……。
  68. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 品目の中で石油だけに一つ限定して下さい。
  69. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 石油の場合も一年ごとに今までやっておりますが、この場合には必ず一年たったら関税を復活するのだということは全然実は言っていないわけでございます。だから一年たちまして、その一年たったときの状態を十分にあれしまして、そのときにきめるというような格好で、今からどうせ延ばすなら三年間延ばしておいたらいいじゃないかという、そこまでの踏み切りはいたしかねると、こういう経過で進んできているものと承知いたしております。
  70. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 どういう理由で踏み切りができないのですか。
  71. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) なんと申しますか、今までたしかに燃料対策確立というところまでいっておりませんでしたし、石炭の問題それから国産原油の問題、それから世界の石油の問題、これは世界情勢が大きく影響しますし、それから油の中でタンカーの運賃がかなり大きな部分を占めておりますが、このタンカーのレートというのはかなり変って参るものだ、それがすぐ輸入価格に響くものでございますから、そういう非常に変化する条件が多いものでございますから、大体一年ごとに検討してきたというのが経過でございます。
  72. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そこで、この間やかましくなった造船疑獄のほうのところまで考えなければならんと思うのだが、終戦直後タンカーは外国船をチャーターしてやってきたのだが、殆んど一応輸送は国内でやられるところまで復興しておるのじやないか、飯野海運の俣野さんあたりの努力で……。ああいう問題が起ってまでしてタンカーをこしらえて大体できるようになったのじゃないかと思うのですが、今のところどういうふうですか。この原油の輸入される量の何パーセントくらいは国内船によってやっているのか。
  73. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) いまだ日本に参ります油が全部日本のタンカーで運ばれているとまで行ってないと思います。たしかに日本のタンカーの率は非常に多くなっていると思いますが、今その率を手許に持っておりませんが、多くなっていることは事実と思いますが、全部とまでは行ってないと承知しております。
  74. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これもやはり日本船によって運ばれるのと、外国船によって運ばれるのとでは、運賃が大分違うだろうと思うし、殊に海運界はここ二、三年の不況で、どの海運会社も欠損、赤字で船が遊んでいるという状態ですが、なかんずくタンカーだけはその中でもまだ利益をあげているらしいですね。こういう状態にあるしするから、そういうときでありますし、どんどんこれは船腹も充実されていくということになると、今後仮にこのまま延ばすということになっても、これはまた一年くらい、来年の三月三十一日までというふうにして、三月三十一日から又一年期限等を定める法律で一年延ばすと、まあ暫くはどっちかにきめるわけにもいかんし、一年くらいだったらということで、期待するほうは一年たったらこれは輸入税がかかることになるから、石炭の方もこれを楽しみにしていたところ、今年一年たったらまた一年延ばすということになると、どうも一年というきめ方をすること自体が、これはちょっとその場逃れじゃないですか。実際は情勢をみるのだというけれども、業界の両方から攻めたてられて、仕方がないから一年一年ということで、まあまあしている。そのうちどうにかなるかも知れない、内閣が変るかも知れないということで、今まできているのじゃないですか。特に関税部のほうで、すべての物品に期限を定めて特別の措置を講じる場合には、もう両方から攻めたてられて板ばさみになって困るから、まあまわ一年ということで、やろうかということが、いままでの例じゃないですか。実際は、世界の情勢を眺め——そんな大きなところまで考えてやっているのかな。
  75. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 今までの経過から考えまして、いかにも何か常に妥協的なものでずるずるべったりにしたようなお感じをいただいているようでありますが、まあ先ほど課長からも申し上げましたように、実は一年の間に、この短かい期間で、しかもいろいろフラクチュエートする要素の多いものでありますから、例えば国内資源の問題もありましょうし、あるいはただいまお話がありましたような運賃の変化、あるいは原油全体としての世界市場というようなものも相当動くものでありますから、これを余り長くしてやって行くということは必ずしも妥当でないものというのが、事務的に考えたときの、一年を切っての延ばし方をしていたのが今までの例であります。ただその中には、ただいまのお話のありましたような、石油とは申しませんけれども、品目によっては一種の妥協の産物であったものもなきにしもあらずだと考えております。
  76. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ここでまあ、課長はえらいうまいことを、世界の石油情勢、それからタンカーの状態というようなものを調べてやるのだと言っているが、この関税の定率の特例を設ける場合には、従来は、例えば新聞紙のごときは、新聞社からは、これはもう免税にせい、それから紙パルプ業界のほうからは税金をかけよ、板挾みになってその真中をとっておこうかというようにしてやって来ているので、世界の石油の状態はどうかというところから一年にしたというふうに答弁されるけれども、大上段に振りかぶられてやられるが、公式的にはそうかも知れないけれども、実際は石炭業界からも陳情され、右しようか、左しようか、まあぶらぶらしているというのが実際じゃないかな。
  77. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 先ほど申し上げましたように事務的に、あるいは法律的に、この関税の減免の定めをする場合の理由付けと申しますか、法律的な、あるいは事務的な考え方としては、先ほどから申上げているようなことで今まで御審議を願っておった次第であります。ただ先ほど申しましたように、いろいろその間むずかしい事情のありましたことは事実であろうと考えております。
  78. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私はこの機会に、法律案ですね、この形式について一つ質問をしてみたいと思いますが、実は私、大蔵委員会に所属しておりながら、かような発言はどうかという感じもいたすわけでありますが、実は前々国会でありまするか、補助金等の臨時特例に関する法律案につきまして、これがどの委員会で審議をするかということが非常に問題になりまして、特別委員会を作ってようやくそこでやったわけでありますが、大蔵省のやり方が極めて功妙といいまするか、言葉を換えますると、常任委員会の機能をむしろ適当に逃げるというような実は感じを持ったのであります。今回のような単に期限延長の法律案等を或る程度括って出すということはこれは別段異議はございませんが、今申し上げましたような補助金等の臨時特例に関する法律案は、これは実は元の通産委員会とか、あるいは文部委員会とか、農林委員会で、本来その委員会で審議している法律の改正であるわけであります。それを補助金等の臨時特例という名目に借りて一括して出すことは、私は非常に実体的な審議をする上において適当でないということは、実は前の国会の際にも申し上げたわけでありまして、まあ藤枝さん、新らしく政務次官になりまして……例えば農業改良普及員の補助金を切るという問題は、これは単に大蔵委員会で一括してやるというのには余りに事が重大でありまして、而も今回の暫定予算説明を聞きましても、補金等については極めて政策的なものがあるということを政府自身も言っておられるのでありまして、今回の場合はこれは了とするわけでありますが、今後今申し上げましたように相当法律の実体を改正するものについては、かような一括して出すという形式はこれはぜひ避けていただきたいと思うのでありますが、まずそれにつきまして一つ政務次官からお答えを願いたいと思います。
  79. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 今回の点については一応お許しをいただいたのでありますので、実は弁解を申し上げませんが、今後の特に補助金等に関する法律の実体を相当恒久的に変更をするという問題につきましては、ただいまお話のありましたように、やはりそれぞれの所管をされておりまする委員会で十分御審議をいただくような形式をとることが妥当であるという御意見はまさにその通りであろうと思います。ただはなはだ弁解がましく申し上げるのでありますが、昨年提出をいたしましたのも、実はとりあえず暫定的に一年あるいは二年程度にだけ眠ってもらうというような考え方がありましたので、一括して出しましていろいろ御論議になりましたことは承知をいたしたのであります。今後の問題といたしましては、できるだけ実体をしかも恒久的に変えるというような問題につきましては、御趣旨の点を十分尊重いたしたいと考えております。
  80. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 それから、これはまあ簡単な御答弁で、予算委員会で私質問をいたしたいと思っておる事項でありまするが、重油とか石油の免税の可否が今いろいろ他の委員から御質問がありましたのでありますが、問題はここに出ておる大豆の問題であって、これも実は大豆が免税されることは、「みそ」「しょうゆ」なりあるいは油、生活必需品という建前から、もちろん国内の大豆を作る農業との関係はありまするが、輸入量等からして私はまあ免税措置は大体は結構だとこういうように思うのですが、たださっきの石油でも、石油の精製業者が相当もうけておるという議論でありますが、その議論は大豆については特にもっと強調されてもいいのではないかというふうにも思うのでありまして、せっかく国民生活の必需品で免税にしながら、御承知のように非常に大豆を原料とする製油業者が私は相当の利潤をあげておるのではないだろうか。従って新聞等で拝見しますると、その超過利潤を国において吸収するというような、こういうような考え方が散見をしておるようでありまして、これは私、農林大臣なりあるいは経済審議庁長官に予算委員会ででも質問したいと思うのですが、どうもせっかく免税しても、その目的と背反してそれがやられるようでは、免税の意味がないのでありまして、しかも私は超過利潤というものを国庫が吸収するということになると、やはり高いものを消費者が買うということになってしまうのであります。もちろんこれは企業ですから適正な利潤をとることは、元来異存はありませんが、不当な超過利潤を、これを是認して、それを国庫で吸収するというよりも、適正以上の利潤をあげないように、やはり一つのそういう経済政策が私はほしいと思うのでありますが、新聞では何か砂糖と並んで大豆についてもその超過利潤を国庫において吸収したいというような意見が政府部内で論議をされておるということを聞いておりますが、そういうようなことで大体内定をしておりまするか。または超過利潤というものを放任するよりも、それを、超過利潤を適正利潤に押えるような、むしろ積極的措置が望ましいと思うのでありまして、せっかくの免税が、その効果がむしろないという実は感じを強く持っておりますので、この点だけを一つ説明を願いたい。
  81. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 生活必需品と申しますか、大衆の消費品でありまして、それが輸入されるもの、これの輸入をするだけでも相当な利潤をあげるというようなことが、相当論議になっておりますことは申し上げるまでもないのであります。ただいま御指摘のように、せっかく関税を免税しても消費者に入る値段は相当高くなるじゃないか、これではまさに免税の役目をいたしておらないわけでありますから、そういう点はもちろん、企業の指導といたしまして、十分それらの企業に対する政府の指導を強化いたして行かなければならないと思います。ただいま御指摘の砂糖や大豆について一種の超過利潤を国に取り上げるというような構想があるようだ……、部内で多少論議になっておりますが、ただいまのところ、まだそれをどうするかというところまで確定的な論議になりませんので、この際お答えをいたすことができませんことをお許し願いたいと思いますが、まあ結局は超過利潤と申しますか、別に不当なる利潤をまず企業者に認めておいて、それを取り上げるんだというような考え方ではないと思いますが、その辺のところはまだ十分練れておりませんので、あらためて本予算提出その他に関連いたしまして、御審議をお願いいたしたいと存じます。
  82. 平林剛

    ○平林剛君 私は今の法案の別なところでお伺いしますが、前国会の大蔵委員会で、一般の勤労者、それから農民、中小企業者に対する税金軽減の措置を政府がとることという申し合せを全会一致でもって決めました。そういう建前から、私、政府に対してお伺いをいたすのであります。今度の場合、前回の大蔵委員会で議決をしたところの中味に比較をして、偶然でありますか、期限が来ておりますから、隅然ではありますけれども、利子所得、配当所得の減税の案が先に出て来た。こういうところに私はちょっと矛盾を鮮ずるわけです。私どもとしては今一番税金軽減の措置を待っておるというのは、一般の勤労大衆であり、中小企業者であり、農民であると思う。ところが利子所得だとか、配当所得を得る人たちの利子所得の軽減措置をまず考えるというのは、これは期限が来たのでしょうが、そういう点で私は非常に今の矛盾を感じておるわけです。そういう意味で私はこの問題についてお尋ねしますが、利子所得、配当所得に対しては、所得税ですね、これは一体どの程度今までの税収になっておったかということ、それからもう一つは、別に大蔵委員会としては頼みもしなかったのですが政府が利子所得税の免除や配当所得の課税の軽減を行いたいと言っておりますが、こういうことをやった場合には、どのくらいの減収になるかこういう点をお尋ねいたしたいと思います。
  83. 白石正雄

    説明員(白石正雄君) 計数でございますから私からお答えいたします。利子所得につきましては、一年分といたしましてただいままでわかっておりますのは、二十八年度分の実績がわかっております。二十八年の利子所得の課税実績は三十五億になっております。配当所得につきましては二割で一応源泉徴収いたしまして、そしてあと総合するという関係になっておりますので、この源泉徴収の税額がわかっております。この税額が同じく二十八年の実績では百五十億円程度に相なっております。  それから、さて免税をした場合にどういう減収になるか、こういうお尋ねであると思いますが、これは御承知のように配当所得につきましては今申しました百五十億円程度の源泉徴収でございますので、法人の分も個人の分も両方合せて源泉徴収しておるわけです、法人関係は、また別個の問題になりますので、ここに源泉徴収の関係だけで申し上げますと、まず利子所得でございますが、これは昭和三十年度の利子所得の総額を過去の実績等から勘案いたしまして、五百三十億円程度に相なるだろうかと、かように考えてみますというと、四月——六月間のここに提案しておりまする関係期限の延長だけで、利子所得税が十四億円程度所得税法の基本法律でとった場合と比較いたしまして減収になる、かように考えられます。それから配当所得でございますが、これも所得税の基本でとりました場合におきましては二割でとりまするので、その関係から計算をいたしてみますと、四月——六月間で約十億円程度の減収になる、従いまして利子所得と配当所得の源泉徴収関係だけでは四月——六月間で二十四億の減収になる、かような推定に相なります。
  84. 平林剛

    ○平林剛君 そうすると年間で大体百四十四億円の減収、こういうことになるわけですね。
  85. 白石正雄

    説明員(白石正雄君) 利子所得につきましては、所得税法の原則によりますと、二割でとりまして、あと総合するということになりますので、これを一割分離課税にいたしました場合におきましては今御説のような推定が成り立つかと思いますが、配当所得につきましては御承知のように、総合いたしましてまた課税いたしますので、源泉徴収の税額の減がそのまま絶対の減収ということには相なりません。従いまして利子所得につきましてのみは御説の通りに相なると思います。なお、この場合におきましても、法人税の増収と相なる部分がありますから、租税収入の全体といたしましては、その減収額は、さらに少くなるわけであります。
  86. 平林剛

    ○平林剛君 それで、私は大蔵委員会の全会一致の決定についてどういう政府が検討を行なったかをお尋ねしたい。つまり今勤労者、それから農民、中小企業者、こういう人たちに対する減税対策ですね。減税対策をこの際お聞かせ願いたいと思います。
  87. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) この大蔵委員会等におきましてのいろいろ御決議がありまして、勤労者、農業者あるいは中小企業者に対する減税を行えという御要望のありましたことは十分承知いたしております。そこで大体の構想は予算委員会でも大蔵大臣から申し上げたと存じまするけれども、第一に基礎控除を引き上げる、七万円を八万円に引き上げる。それから次に給与所得者につきましては現在の勤労控除の最高限は四万五千円に切っておりますが、それを六万円までに引き上げる、そうしておきまして、税率についてまだ十分最後的な考え方がまとまっておりませんが、三十万乃至百万程度のところの、初めからでありますが、特にそうしたところの税率のカーブを緩くするというようなことを、中心にいたしまして、低額所得者の減税に充てたい。なお中小企業につきましてはこれは国税ではございませんけれども、事業税について、事業税の控除額を引き上げまして、中小企業者の減税の一部に充てたいというふうに考えております。
  88. 平林剛

    ○平林剛君 私の聞いているのは、その総額を聞いているのです。大体どの程度の税額の軽減になるのかということ。
  89. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 基礎控除の引き上げ、それから勤労控除の最高限の引き上げと税率の緩和とによりまする、主としてなお申し落しましたが、青色申告の専従者控除をやはり七万円を八万円に引き上げます。そうしたものを含めまして、今税率等の最後の調整がついておりませんので、的確な数字を申し上げられませんが、大体所得税関係で二百億近くなるのではないかというふうに考えております。
  90. 平林剛

    ○平林剛君 私は大蔵委員会で全会一致で決定をしたところの税金軽減の政策の中味と、今ここに出されてある措置によって税金を負けるというものとが、ほぼ匹敵をしておるような、そういうやり方が実際当を得ておるかどうかという点については非常に疑問を持っておるわけです。今後この問題は予算委員会その他において大いに議論せられると思いますので、ここでは意見を申し上げませんが、大へん私どもとしては失望を感じているということを申し上げたい。なお政府のほうとしても、そういう税金の軽減についてはかなり国民にも公約をせられたわけでございますから、もっと実質的な税金軽減の政策というものをこれからも引き続き検討をしてもらいたい。そのためには、先ほどから私ども願っております税収を各方面から政策を改めることによって出してきてもらう、こういうことを私どもとしては要望して、これについての質問は終りたいと思います。
  91. 青木一男

    委員長青木一男君) 御質疑がなければ本日はこの程度で散会したいと思います。    午後三時二十八分散会