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1955-10-18 第22回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第1号 公式Web版

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  1. 租税及び金融等に関する調査の件 (会議録情報)

    昭和三十年十月十八日(火曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————   委員の異動 七月三十日委員白井勇君及び鶴見祐輔辞任につき、その補欠として木村守 江君及び井村徳二君を議長において指 名した。 八月一日委員最上英子辞任につき、 その補欠として小柳牧衞君を議長にお いて指名した。 九月十七日委員松本治一郎辞任につ き、その補欠として菊川孝夫君を議長 において指名した。 九月二十日委員天田勝正辞任につ き、その補欠として田中一君を議長に おいて指名した。 九月二十一日委員菊川孝夫君及び中川 幸平辞任につき、その補欠として中 田吉雄君及び深川タマエ君を議長にお いて指名した。 九月二十六日委員深川タマエ辞任に つき、その補欠として中川幸平君を議 長において指名した。 九月二十九日委員中田吉雄辞任につ き、その補欠として菊川孝夫君を議長 において指名した。 十月四日委員田中一辞任につき、そ の補欠として天田勝正君を議長におい て指名した。 十月七日委員中川幸平辞任につき、 その補欠として鈴木強平君を議長にお いて指名した。 十月十日委員鈴木強平辞任につき、 その補欠として菊田七平君を議長にお いて指名した。 十月十二日委員菊田七平君辞任につ き、その補欠として中川幸平君を議長 において指名した。 十月十三日委員木村守江辞任につ き、その補欠として白井勇君を議長に おいて指名した。 十月十四日委員松澤兼人辞任につ き、その補欠として小林亦治君を議長 において指名した。 十月十五日委員岡三郎君及び小林亦治 君辞任につき、その補欠として藤原道 子君及び赤松常子君を議長において指 名した。 十月十七日委員藤原道子君及び赤松常 子君辞任につき、その補欠として岡三 郎君及び松澤兼人君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事      西川甚五郎君            山本 米治君            平林  剛君            土田國太郎君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            白井  勇君            藤野 繁雄君            天田 勝正君            岡  三郎君            菊川 孝夫君            野溝  勝君            松澤 兼人君            小林 政夫君            杉山 昌作君            前田 久吉君            小柳 牧衞君            中川 幸平君            木村禧八郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省理財局長 河野 通一君    通商産業省通商    局次長     佐藤 清一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査の件  (財政投融資実施見込に関する  件)  (特殊物資差益金処理に関する件)  (百円硬貨鋳造問題に関する件)   —————————————
  2. 委員長(青木一男君)(青木一男)

    委員長青木一男君) これより大蔵委員会を開きます。  議事に入ります前に、今後の委員会予定につきまして申し上げます。本日は年初来の郵便貯金情勢や、特殊物資納付金関係法審議未了等事態によりまして、多少変ってきたと考えられます財政投融資実施見込みの問題につきまして、関係当局から説明を聴取いたしまして、質疑を行いたいと思います。明日は午前中租税収入見込み及び現在行われております税制調査会審議状況に関連して、税制改正に関する問題について説明を聞き、質疑を行い、午後はたばこ販売収入見込み及び葉タバコ輸入に関する問題について質疑を行う予定でございます。なお、大蔵大臣財政懇談会の都合上、明十九日午後二時から本委員会出席予定でございます。明後日は現在特別の議題を設けておりませんが、今明日の審議の経過並びに各委員の御希望等を参酌して、特に取り上げるべき問題がございます場合にはこれに充てる予定でございます。  なお閉会中平林、片柳両委員九州地方木内松澤委員近畿地方藤野木村委員東北地方をそれぞれ調査されたのでありますが、前回の例にならいまして、委員会における質疑等に関連して適宜御報告願うこともけっこうでございます。さよう御了承願います。なお、明日大蔵大臣が約一時間出席予定でございますが、質疑のおありの方はあらかじめ委員長まで御通知、御連絡下されば好都合でございます。  それではこれから財政投融資実施見込みの問題につきまして大蔵当局より説明を聴取いたします。
  3. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 財政投融資の本年度の問題につきまして、現在までの状況お話し申し上げたいと思います。  まず第一に財政投融資資金源と申しますか、財源状況を先に申し上げたいと思います。お手元資料といたしまして「郵便貯金増加状況」をお配りしてあるのですが、大体財政投融資資金源問題点としてありますことは、おもな問題は大きく分けて二つあると思います。その一つは、今申しましたお配りしてあります資料にありますような郵便貯金伸びの問題が一つ。もう一つは私どもが当初予定いたしましたところの砂糖その他特殊物資に関する利益を国庫に納付していただくような法案国会で通過いたしませんために、この関係で当初予定いたしました七十億が現在のところは御承知のような状態になっておるわけであります。その他の財政投融資財源といたしましては、当初の計画に対しまして若干の出入りはございますが、おおむね期待いたした所期の数字には達成できるものではないかと考えております。もしかりに若干の不足を生じます場合がありましても、これはそう大きな金額にはならない、かように考えておるのであります。  さて、郵便貯金増加見込みでありますが、お手元にお配りいたしてあります通り、四月から今月の十五日までの数字を昨年の同期間数字と比較したものをお手元に差し上げてあるわけであります。これによりますと、上から三段目の(B)マイナス(A)というものがありますが、これは二十九年度のこの期間における増加額に対して三十年度の同期間増加額が及ばなかった。つまり増加が少なかった数字であります。それが一番右側の欄にありますように二百九億、四月から十月十五日までの期間の前年同期の郵便貯金増加額に及ばなかった金額が二百九億、こういうことになっておるのであります。  その下の段は、これはパーセンテージを表わしたのでありまして、その期間の、二十九年度増加額を一〇〇といたしました場合に、本年度はそれが六四%、一〇〇に対して六四に当るということを示したのであります。しかも本年度計画は御承知のように昨年九百九十何億の増加でありましたものに対して、今年の予定は千百億の増加ということを見込んでおるのであります。従いまして去年に比較いたしましてその増加を見込んでおりますものが百億以上実はあるわけであります。これを現在までの増加の及びません数字二百億とを合せて考えますと、相当程度本年度郵便貯金伸び計画に対して不足状況にあるということが申し上げられるわけであります。もっとも増加状況は、だんだん月をふるに従って増加状況はよくなって参っております。ことに十月に入りましてからは、前年度の同月の増加額を上回るというように、相当出て参っておるような状況でありまして、今後米の資金等が本格的に出ていくといったようなこと等を考えますならば、私は今後の増加については必ずしもそうひどい悲観をする必要はないのではないか、かように考えております。ただ今後の半年の間にどの程度今までのおくれを取り戻し得るか、この点はまだいましばらく今後の情勢を見ませんことには的確なことは申し上げられないという段階であります。それと先ほど申し上げました砂糖等特殊物資納付金関係法案の未成立によりまして、七十億というものが財政投融資財源として今ブランクの状態にあるのであります。大体財政投融資状況は、財源といたしまして大きな問題は以上二点であります。  次に、財政投融資の運用の面の問題でありますが、これは現在までのところ特に取り立てて申し上げるような点はございません。ただ私はこの財政投融資財源の過不足問題いかんにかかわらず、御案内のような最近の金融情勢、いわゆる金融正常化ということが相当に進んで参っております現状からいたしまして、従来の金融情勢のもとにおきましては、これをどうしても財政投融資という形で行わなければならなかったものが、相当程度今申し上げましたような情勢の基本的な変化に応じまして、民間融資あるいは投資に振りかえ得るものが出て参っておりますのであります。これは特に問題になりますのは、開発銀行でありますが、従来開発銀行においてどうしても融資をいたさなかったもの、つまり民間ではなかなかこれを融資することがむずかしかったものが、今申し上げました情勢推移によりまして、一部民間にこれを振りかえていくということが可能のような状況になって参ったのであります。しからばどの程度そういうことが無理なく転換できるかということにつきましては、現在いろいろと検討を加えておりますし、開発銀行当局にもいろいろと検討を願っておるのであります。まだ的確な結論に到達いたしておりませんが、金額の大小はちょっと今まだはっきり見込みはりきませんけれども、大体そういう方法で問題が進められておる段階であります。  ただこの問題も一がいに単純には割り切って議論ができない面が多々あるのでありまして、特に一例を申し上げますならば、金利の問題があるのであります。開発銀行からはある程度低い金利でもってへ一般市中金利よりもある程度低い金利でもって融資が行われておるのであります。これは御案内通りでありますが、それを民間融資に振りかえますると、そこで資金コストの点から若干の高騰を来たす。資金コストが上ってくるというような問題もあります。そういった問題と、全体の市中金利が低下してきているという態勢、この問題をどういうふうに調整して考えていったらいいかといったような具体的な問題があります。これは一例でありますが、そのほかにもいろいろ具体的には問題がありますが、方向としては、今申し上げましたような方向に進むことが可能であるし、またそれは何ら大きな障害を起さない、かような見通しに立っております。  また一部の、電源開発株式会社資金の一部につきましても、これは従来は御案内のようにすべて政府資金によってまかなっておるのでありますが、その一部についても現在のような金融情勢から見まして、金額の高、程度の問題はありますけれども、一部については今申し上げましたような方向に切りかえていくということが可能ではないかというふうに考えまして、この問題につきましても現在検討を加えておる、こういう段階にある次第であります。  なお個々の問題につきまして、御質問によってお答え申し上げたいと思いますが、現在までの財政投融資の大体の経緯及び問題点は概要以上の通りであります。
  4. 委員長(青木一男君)(青木一男)

    委員長青木一男君) 質疑を行います。
  5. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 ただいまの開発銀行及び電源開発の場合ですね、一部において民間金融に切りかえ得るものを検討されておるというお話ですが、具体的にどういう方面ですか、開発銀行……、どういう資金について民間にまかせるか、これは電源開発の場合ですね。
  6. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 資金はやはり、これは電源開発について申し上げますれば、電源開発資金でありまして、しかも分ければ長期の設備資金であります。それから開発銀行でも御承知のように設備資金にしか融通しておりませんから、すべての資金設備資金になりますが、今お尋ねの点は業種の点じゃないかと思いますが、業種の点につきまして今いろいろとどういうものが転換できるであろうかということを、これは市中銀行の方にもいろいろ検討をしてもらっておりますし、開発銀行自体でも今検討をしていただいておる。まだその辺につきまして、先ほど申し上げましたように、金額についても、どういう業種について転換するかについても、今検討いたしておる段階であります。
  7. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 世界銀行から電源開発の方に融資をする計画があったのですが、最近新聞なんか見ると、世界銀行融資を渋っているようなんですね、もしそれが困難な場合国内資金でいく、こういうような関係にあるのですか、電源開発については。
  8. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 電源開発世界銀行からの融資の問題につきましては、去年でありますか、こちらから融資の申し込みをいたしておるわけでありますが、その後の推移は今お話しがありましたように、あまり順調に進んでおりません。まだしかし最後的にこの融資ということが打ち切られておる状態ではないのでありまして、現在まだその折衝の過程にあるわけであります。これはまだそういうわけで結論が出ておりませんが、かりに世界銀行からの融資ができなかった場合に、それを国内調達することになるかということにつきましては、これは相当大きな金額でもありますし、やはり財政投融資、その他金融一般情勢等もにらみ合せて、新たなる事態のもとにおいてやはりそれにかわるべき資金手当をいたすべきか、あるいは事業を繰り延べるとか、いろいろなことをやるべきか、そういった問題につきましてはやはりあらためて検討しなければならぬ、かように考えておりますが、先に申し上げましたように、まだはっきりした世界銀行等の話が不調に終ったという段階に来ておりませんので、まだ折衝段階、こういうようなことであります。
  9. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それに関連いたしまして、今後、最近まあいわゆる金融正常化といわれておりますし、だいぶん民間資金も余ってきておる。外資導入の問題を一体どう考えておるのか。この財政投融資資金源が非常に詰まってきている原因にはいろいろ直接、間接あるのですが、一番基本的な原因としては、遠くさかのぼれば、外資導入というものを相当大きく当てにしていたのが、その通りになってきていない。特に電源開発は、あの開発会社ができる場合に外資導入が前提になっておった。ところが入ってこなかった。そこで民間資金依存しなければならないということになってきているのですが、そういう関係から今後財政投融資資金源が詰まってきた。しかし民間にそういう資金を求める条件が出てきた場合——これは余剰農産物の問題もあると思うのです。余剰農産物は本年度二百十四億ですか、あれはいろいろ問題があるのです。次には国内円資金調達、これは主たるものではないと思う。そこで今後民間金融正常化に伴って外資導入あるいは余剰農産物等々による国内円資金調達の問題、これはどういうように考えているのか、その点お尋ねしたいと思うのですが……。
  10. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 外資導入基本方針につきましては、私から責任をもってお答えする立場にございませんが、やはり私はこの外資導入というものは、個々にその資金が何に使われるか、しかもその条件がどういう条件であるかということをやはりよく見きわめて、やはり筋のいい外資であるならばこれは入れていくこともいいし、あまり筋の好ましくない外資であればこれはやはり入れるべきではない。そういうふうに、個々にやはり仕訳をして考えていかなければならぬのではないかというふうに、ごく抽象的なことでありますが、考えております。従いまして、現在まで、今お話しがありました電源開発会社外資導入もありましょうし、その他にもまだ二、三鉄鋼関係、その他の外資導入ということもあります。また今お示しになりましたような余剰農産物関係日本外資が入ってくるという問題もありますが、これがかりに入ってこなかった場合におきましては、当然にその入ってこないことによってあいた穴を国内円資金によって補う、こういうふうな考え方は、私どもはやはり現在の資金状況等から見て必ずしもとるべきではない。ただその場合に、外資が当初予定いたしておりましたものが入らなかった場合には、その入らなかったという事実に立ってあらためて、しからばそれを国内円資金で埋めるべきかどうかということをやはり検討していく、これは個々にやはり私は検討を要すべきではないか、かように考えております。
  11. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それについてはまたわれわれにも、たとえば国内資金調達できるのにわざわざ余剰農産物、特にタバコなんか輸入して円資金調達することについては非常に問題があるわけですが、それはまあ一応またあらためて質問することにして、もう一つ資金調達の問題では、財政投融資を前の予算修正のとき削って、金融債に振りかえております。その金融債消化状況は……。
  12. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 金融債消化状況は、先ほど来申し上げましたように、金融情勢を反映いたしまして順調に進んでおります。ちょっと今はっきりした消化状況数字を持っておりませんが、これは金融債だけではなしに社債、事業債につきましても非常に消化状況がよろしい。  それから今度の、本年度予算に関連いたしまして、例の国鉄、電々両公社の公社債をやはり相当市中によって消化するという建前をとって参っておるのでありますが、これらの消化状況もまず順調に予定通り進んでおると、こう申し上げていいと思います。
  13. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 もう一つ伺っておきたいのですが、前にですね、この三十年度財政投融資説明をされたときに、局長は、金融正常化説明された。最近金融正常化ということは非常にまたもう一段発展して、いろいろな問題が投げかけられているわけですね。この金融正常化の基本的な原因一つ説明願いたい。  それからこういう、普通正常化とは言っておりますが、しかしそれは正常化というようなものの意味は、大蔵省の方ではどういうふうに解釈しているのですか、こういう状態が出てきた原因とその意味ですね。  それからもう一つは、今後大きい方針として、まあ三十一年度予算の編成とも関連してくるのですが、原則としてもだんだん財政投融資はやめて、そうしてこれを民間金融に振りかえていくという方針を今後とられるのか、それがこの間審議未了になりました法律、いわゆる金融統制法律、ああいうものと関連が出てくる。ああいう法律をやはり今後政府としても国会に出されて、これを実行していく考えたのか、この点ですね。
  14. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) まあ銀行局長から御答弁申し上げた方がいいのではないかと思うんですが、ちょっとおかどが違うわけでありますが、私から承知いたしておることをお答えいたします。  金融正常化と申しますと、これは木村委員一番御承知通り、なかなか言葉は簡単であって、意味は非常に深いのであります。いろいろな意味に使われておりますが、私はやはり正常化というものは、民間の資本の蓄積がだんだん進んで参って、金融界の日銀への依存ということがだんだん緩和されてくる。そして国際金利に比べて非常に割高になっておった日本金利というものが逐次今申し上げましたようなことを反映してだんだん金利が下ってきておる。こういったようなことが、現象的に申し上げますと、一体私どもが大きな金融情勢正常化と申しておりますものの内容は……、まあその他いろいろありますが、ただいま申し上げましたようなことであろうと思います。その原因はいかんということでありますが、これもまた木村さんよく御承知通りのことで、私は一がいに理由は一つや二つではないと思っておる。やはり基本的には経済全体が正常な方向に進んできているということが、やはり私は基礎的な問題ではないかと思いますが、そのほかに、やはり今申し上げましたように、だんだん通貨の価値が安定し、経済の、企業自体の動きがだんだん自主性を回復するに従って金融機関への依存度、つまり何といいますか、俗にいわれているオーバー・ボローイングの状態というものが、一挙には解決しないけれども、逐次解決していくということが金融正常化にやはり寄与していると思うのであります。原因は、これはそのほかいろいろあるわけでありまして、頭の中で今整理いたしておりませんので、はっきりとは申しら上げれませんが、いろいろな原因が私はあると思います。  それからお尋ねの三十一年度以降において一体財政投融資に対する考え方はどうかというお話でありますが、これは私は先ほど申し上げました通り、三十年度についても一部そういった考え方を入れて参っております。そういった考え方をさらに強化していくことができる、かように考えております。ただこの財政投融資といわれておりますものには実際いろんなものが入っておるわけです。いわゆる開発銀行とか輸出入銀行とかいったような金融的な作用をいたしておりますものから、産業金融的な作用をいたしておりますものから、あるいは地方債とかそういったふうなものまで、いろいろな対象があるわけであります。これを一々一がいにはなかなか申し上げることはむずかしいと思いますが、ごく抽象的に申し上げますれば、やはり金融がだんだん正常化するに応じて、従来財政投融資対象であったものをだんだん民間ベースに移していけるという方法を三十一年度においてもとるべきではないかと考えております。これは木村さんよく御承知通りであります。財政投融資というものがいろんな機能を果しております。その機能の果して参ったところは、第一には何といいましても、本来の機能として、やはり民間金融ということに対する質的な補完じゃないかと思います。第二は、これはよしあしはいろんな議論があろうと思いますけれども、量的に補完するということも一時行われておりました。それから第三には、何と申しますか、金利上、つまり民間金利が非常に高い。しかも国の政策としてコストを下げていくということのために、安い金利財政投融資として与えていくといったようなことも事実として行われておりました。これはよしあしはいろいろ議論はあろうと思いますけれども、あったわけであります。  この第一の質的な補完というものは、私は今後においても残ると考えております。しかもこれは必ずしも従来やっておったものがそのまま残るというのじゃなくして、その内容については、ある事業が今まで質的な補完を必要としたものが必要としなくなるかわりに、新たに質的補完を要するようなものが出てくるというふうなことで、差しかわるものがあるかと思います。しかしその第一の問題は、これはどうしても続けて参らなければならぬ。  第二の量的な補完というものは、これは私は金融正常化が進んで参りますならば、そして民間資金というものがだんだん充実して参りますならば、これは私は相当程度民間へ移し得る。金利の点も先ほど来申し上げましたように、一般市中金利が逐次下ってくるに応じて、度合いの程度の問題はありましょうが、これも方向としてだんだん民間に移していけると、かように考えておるわけであります。しかしながら、これは先ほど来申し上げましたように、金利の点一つとってみましても、なかなかそう一挙にすべての問題をきれいさっぱり割り切ってしまうということは、なかなか困難であろうと思いますし、私はさっきも申し上げましたような、いろいろな財政投融資のアイテムというものはあるわけでありますから、財政投融資総額は、金額がどのくらいあるいは減るかどうかという点につきましては、まだはっきりしたことを申し上げる段階ではありません。方向としては今申し上げたようなことであります。  それから金融統制法律……、これはどうも銀行局長から申し上げた方がいいのでありますが、今のところでは、私の聞いておりますところでは、そういった法案を特別の事情がない限りあらためて提出するということは考えてないやに聞いております。これは銀行局長から申し上げます。
  15. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 あと一点だけ。金融正常化に伴って公債発行の問題、どうお考えになりますか。
  16. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) これはまあ大蔵大臣からお話をお聞きになった方がいいと思いますが、公債発行自体につきましては、未来永劫に公債発行は絶対にいかぬということは私ども考えておりません。しかし現在のような財政状況のもとにおきましては、まずここしばらくの間は、公債を発行するということは適当でない、かように少くとも事務当局といたしては考えております。
  17. 木内四郎君(木内四郎)

    木内四郎君 大阪の方へこの間大蔵委員会から出張しましたので、それに関連して一応一点だけ伺っておきたいと思うのであります。これはもちろん関係があるのですけれども、さっきからいろいろ伺っておりますと、財政投融資資金源、これは預金増勢が芳ばしくないので、多少の移動があるようなお話でありましたが、それに関連して、開発銀行とかあるいは電源開発のものは市中銀行の方に振りかえるということもある程度可能であるというようなお話もありましたけれども、それに関連しては、やはり利息の問題にも大きい問題があると思うのであります。そうしますと、やはり何としても郵便貯金相当予定通り、あるいは予定以上にふえていくことが望ましいのじゃないかと思うのです。この間大阪の方へ出張しまして、私と松澤さんと二人で行きまして、銀行協会の人と会ったのですが、それも大阪の方の統計、模様を聞いても、全国的の統計と少しも変りないのですが、大阪でさしあたり聞いてきたものですから、そのことについて関連して御質問したいと思うのですが、銀行の預金は前年同期に比べて増加は倍以上にもなった。その理由は、預金利子の免税がどの程度関係があるかということを私ども質問したのですが、それに対しては、まだ期間が短かいのでよくわからない、相当貢献はしておるだろうけれども、よくわからないが、それは増勢は倍以上にもなっておるということです。ところが一方郵便貯金は、ここで伺うように、はなはだ芳ばしくないのです。前年に比べてもむしろ減っておるような、増勢がはなはだにぶいということである。一方銀行の方はそんなにふえておるにもかかわらず、こっちの方は減っておる、増勢が思わしくないということに、何か特別の理由がありますか。
  18. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 郵便貯金が、銀行預金等が伸びておるにかかわらず伸びない理由は那辺にあるかというお話でありますが、これは私どもいろいろ調べてみましたが、どうも的確な原因というものがつかめません。あるいは農村地帯等におきましてやはり副収入が非常に少なかった、災害等がなかったことももちろんいいのでありましょうが、そういったことで副収入が非常に少なかったというお話もありますが、それがやはり相当郵便貯金増加に影響しておるのじゃないか。この点は逐次今年の農作で米の代金か何か入って参りますので、そういった点は改善されてくるのじゃないか。  念のためにちょっと申し上げておきますが、米の前渡金というものが出ておるじゃないか、すでにそれが出ておるから、もう郵便貯金伸びるなら伸びてなきゃならぬじゃないかという御議論があるようでありますが、これも一応ごもっともでありますけれども、これは時期的に相当郵便貯金が入ってくるのがずれるということが一つと、それからこれはまだはっきりした、数字的にはきわめておりませんが、やはり前渡金等で入ったものは、たとえば農手を落すとか、あるいはその他一般のさしあたりの経費を、従来ならば十月ごろの出来秋における収入でもってそういったものを決済したであろうものが、先に決済されてくるということが相当あるようであります。従いまして、そういうことはどういうことかといいますと、今後の米に対する収入は相当程度はやはり預貯金としてとどまってくるのじゃないか。そのうちにはやり郵便貯金等にも相当それが好影響を与えるのじゃないかと考えております。これはちょっと横道にそれましたが、実はその点についてはそういうふうに考えております。  それから心理的には、それが今お話がありましたように、どの程度数字になっておるかわかりませんが、心理的には少くとも銀行預金等に対して利子の課税を免除したということが、相当程度これは影響していることは間違いないと考えております。ただそれではそれが郵便貯金に対して数字の上でどんなに影響しているかというと、これは私は理屈からいって必ずしも影響しないと思うのです。と申しますのは、従来から十万円まで、つまり郵便貯金の限度と同じ程度までは、銀行等へ持って参りましても同じ、貯蓄組合の預金として税は事実上かかっておりません。従いましてそれが税がかからないという形になることによって、手取り金利の上において相当差違が出てきたということは、理屈の上においてはあまりないわけです。しかし心理的には相当そういうことが影響しているのじゃないかというふうに考えますが、ただ先ほど冒頭に申し上げましたように、どうも的確な原因というものはつかめないのであります。
  19. 木内四郎君(木内四郎)

    木内四郎君 それは郵便貯金の方はふえないが、銀行の預貯金は非常にふえているのですが、郵便貯金もやり方によってはまだふえるのじゃないかと思うのですが、この増加対策というものは何か講じておられますか。
  20. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 郵便貯金増加につきましては郵政省、大蔵省で相談いたしまして、その増加につきましていろいろ方途を講じております。ただしかし具体的にはやはり貯蓄奨励といいますか、これはまあ木内さん御承知のように、なかなか具体的な手というものはないのであります。やはり宣伝を適当な限度においてやっていく、これも過当な競争ということになることは、私はこれは適当じゃないと考えますから、適当なる限度においてやはり宣伝等に努めて、足でもって資金を集めるというようなことが、結局は地道な方法じゃないかと、かように考えております。  それから、先ほどの原因についてちょっと申し落しましたが、これは私の私見でありますから、はっきりわかりませんが、やはり経済がだんだんこう落ちついて参ると申しますか、あるいはあれして参りまするに従って、従来やはり郵便局を対象にしておったのが、やはり銀行へだんだん取引が移っていくというものが出てきたのではないかといったような気がいたすのでありますが、これはまだどうも私の私見でありまして、はっきりしたことは自信がございません。
  21. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 ちょっと関連して。今の御答弁を伺うと、実際本年度財政投融資計画として、この郵便貯金伸びがよくいかないというものが重大な問題になっているわけでしょう。これに対してのもっと突っ込んだやはり調査というものをやりませんと、今の御答弁では何だか実にあいまいで、今後どうするかという問題とも関連しまして、その程度の御答弁では、ただ伸びなくて困っているというだけで、それから郵便貯金増加についても前にいろいろ通達を出したようですけれども、銀行の反対に会って非常に行き悩みになっているのでしょう。それで常に郵便貯金を増強しようとすると、金融業者の反対がある。それで郵便貯金をふやそうとして優遇すると、すぐ金融機関の方から反撃を食ってこれが伸びない。そこのところが非常にデリケートな問題だと思うのです。そういう点をやはりある程度ふん切りませんと、やはりこれは貯蓄増強を幾らやると言ってもできないのですね。そこのところを一体どう考えているか。この計画通り伸びようとすると、また何か大蔵省がぴしゃんこになってしまう……、そこのところの問題が非常にデリケートなんですけれども、私はそこに問題があると思うのです、ほんとうの問題は。あんなに普通の銀行が伸びているのですから、そこのところの調整の問題は非常に重要だ。そこはやはり今後財政資金融資を行う方針と……、民間金融依存するならば、郵便貯金もそんなに集まらなくとも、銀行預金がどんどんふえれば、それでいいわけなんです。そこのところのかね合いについてのふん切りがないと、いつもこういう矛盾に逢着するのじゃないかと思うのです。
  22. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 郵便貯金につきましては、先ほども申し上げましたように、今のところは伸びが悪い、しかし今後はある程度改善されてくるというふうに考えております。しかしそれがどの程度かということは、今後推移を見ながら、その推移いかんによっては、今お話がありましたように、財政投融資のある面についてはやはり再考慮を要するといったようなことになるかもしれません。ただ、ただいまのところでは、先ほど申し上げましたように開発銀行とかあるいは電源開発会社市中資金への転換といったようなことを、これは今着々調べておるわけでありますが、そういうことを進めて参りますことによって、相当程度問題が解決するのではないかというふうにも考えております。  それから郵便貯金の増強運動に対する金融界からの横やりの問題でありますが、これは今木村委員がおっしゃった通り非常にデリケートな、デリケートなというのは、金融業者から運動があるからデリケートだというのではなくて、結局その境といいますか、適正な競争限度、これはやはり私は程度問題だと思うのです。だからその辺はやはり度合いの問題でありまして、行き過ぎてはいけない、またあまり不当に遠慮したようなことをやるのも適当でない、そこら辺の判断がなかなかむずかしいところでありまして、要は私は度合いを考えて、適正な競争ということによってやっていくのが適当であると、かように考えておるのであります。
  23. 松澤兼人君(松澤兼人)

    松澤兼人君 この数字を見ますというと、三十年は月ごとに滅っておるわけなんですね。こういう事態というのは、これは銀行の方はふえているけれども郵便貯金はこういうふうに毎月毎月前年に比べて減っているということは、何か根本的なものがあるのではないかと思うのですが、農村と都市と比べて、やはりこういうふうに滅っておるのですか。
  24. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 程度の差異はありますが、やはり農村と都市、同じような方向をたどっております。
  25. 松澤兼人君(松澤兼人)

    松澤兼人君 今競争を調整するとか、あるいは競争の限界とか、あるいは競合という問題が出てきているわけなのですが、それに対して適当な手を打つ必要はもちろんあると思うのですが、われわれはもう少し具体的に、この郵便貯金の減少の趨勢といいますか、これを検討をしてみる必要があると思うのです。先ほど木内委員からの質問に対してまあばく然とお答えになったようですが、私見でもかまわないと思うのですが、こういう現象が起るという理由をもう少しいろいろあげてごらんになったらいいと思うのです。その数字的な結果というものはまだわからないとしましても、もう少しまあ五つ六つあげてごらんになれば、あるいは納得できる点があるのではないかと思うのですけれども、率直にお考えだけ聞かしていただきたいと思うのです。
  26. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 率直に申し上げますが、いろいろ郵政省あたりにも、どういうところに原因があるだろうかということは、たびたび実は聞いておるのであります。これはやはり郵政省が主管をいたしておりますから、そちらの方で一生懸命にやってもらうことが必要だと思うのです。どうも郵政省自体といたしましてもこれという原因が、ぴたっとする原因がどうも見当らないと申しております。私先ほど申し上げましたのは、想像やら私見やら、一存で考えていることを申し上げたのですが、あるいはそのほかにあるかもしれません。郵政省自体としてどうもはっきりしたことを申しておりません。ただ郵政省といたしましては、やはり金融機関の預貯金の利子を免税したということが相当心理的に、少くとも心理的に、数字の上でなくて、心理的にやはり影響しているのじゃないかというふうには言っておりますが、これはどの程度のウェートがあるものか、そこがはっきりいたさないようなわけであります。どうも満足な答弁が、お答えができませんで、はなはだ申しわけありませんが、そういう次第でございます。
  27. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 その原因としていろいろ考えられるのですけれども、本年度は特に予算がおそく通ったでしょう。そういう関係で、金融が非常に緩慢なのは、出超関係でゆるんではおりますが、そういう方面の、貿易関係以外の方面の財政資金の出方というもの、それはいつもと違っているのですね。そういうようなことも一つ原因になっておるかどうか。  それからもう一つは、会社預金というもの、あれなんか影響していないかどうか。あれも相当問題の一つになるのじゃないかと思うのです。あれは前に問題にしていたでしょう、そういうような点。  それからもっとさかのぼれば、やっぱり大衆の家計の問題ですね。家計の問題もやっぱり、所得の階層別の分布ですね。これが非常に違ってきているのじゃないか。それから非常に低額の所得者の方、郵便貯金なんか、やはり低額の所得者層は相当窮乏化してきているという面があるのじゃないか、そういうような点どうなんですかね。
  28. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 会社の預金は、これはまあ郵便貯金として適当な限度というものがありますので、それをこえているものにつきましては、これは当然やはりやめてもらわなきゃならぬと思います。ただこの点は、実はそう大きな、その郵便貯金増加条件に対して私はそう大きな影響はないのじゃないかと思います。  それから所得の分布等につきましても、これはどうもその点につきましては専門的に私は調べておりませんので、どうも的確なことは申し上げかねますが、はなはだ申しわけありませんけれども、郵政省当局の責任者でもお呼び出しを願いまして、お聞き取りを願うと非常にいいのじゃないか。私自身としてはどうもこの点についてはっきりした分析をしてお答えするだけの資格を持っておらぬわけであります。  それからなおもう一点は予算の点、これは私は大銀行等の預金が相当伸びておりまする点は、これは輸出の関係で、私は相当預金というような形になってきていると言うことはできると思いますが、地方銀行なり、あるいは地方のその他の相互銀行あるいは信用金庫等の金融機関における預金の増加ということと、それから財政との関係は、おそらく郵便局とそう私は差異はないのじゃないかと思いますので、その点が郵便貯金増加に悪い影響を、郵便貯金増加だけに悪い影響を及ぼしているとは言えないのじゃないか。これはやはりそういうことがもし影響いたしましたとすれば、やはり地方の小さい金融機関等には同じような影響がおそらく現われてくるのじゃないかというふうに想像をいたしております。
  29. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 この財政投融資一般問題につきましては、もうすでに木村委員からだいぶ質問がありましたから、私はなるべく重複を避けまして、財政投融資経済活動といいますか、財界の景気といいますか、それの関係一つ伺いたいと思うのですが、ことしは昨年度に比べて財政投融資総額相当ふえているわけなんです。財政投融資がふえるということは景気がよくなるということですか、どうなんですか、この一般関係は言えないのですか、お伺いしたい。
  30. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 財政投融資がふえること自体は、直ちにそれが景気のよくなる原因とも思いませんが、ほかの状態において差異がなくて、ほかの部面において差異がなくて、財政投融資というものが健全なるベースにおいて増額すれば、やはり設備とかいろいろなものに対する需要をそれだけ喚起する原因になる、かように考えます。ただしかし、財政投融資にもいろいろございますから、やはり産業資金の供給の面のものとしからざる面とございますので、この点は一がいに言えないと思いますが、他の条件さえ同じならそういうことは言えるのじゃないかと思います。
  31. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 ことしの財政投融資は、この資金計画によりますと、この予算書よりだいぶ減っておるわけですが、当初の予算にしますと三千二百二十七億と思ったのですが、滅っておりますが、なおかつ去年に比べては三百数十億、三百五、六十億ふえている。今のように財政投融資が三百五、六十億ふえたから、必ずその景気を刺戟するとは限らぬというお話がありましたが、このうちで最も大きなのは地方債なんですね。相当大きな部面を、三分の一近くを占める地方債を多くした場合に、これは景気とどういう関係がありますか。やはり多くなったのは、一般論としては景気がよくなるのですか、どうですか。
  32. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) まあこの問題、一番実はむずかしい問題だと思いますが、その地方債が健全なるベースにおいていろいろな建設的な事業に使われるということになりますれば、それに対してやはり雇用の機会を与えることになると思います。ただ地方債につきまして、これは山本委員も御承知通り地方債内容との関連におきまして、まあいろいろな種類の地方債が実はあるわけであります。これは形式的にはもちろん赤字を埋める地方債というものはあり得ないわけでありますが、俗に言われる金にしるしはないというようなことで、実質的にはそういう方へ出ていくのであります。これらの問題につきましては、やはり一がいにそれがすぐに景気、健全な意味の景気を振興する原因に必ずしもならないというものがあり得ると思います。
  33. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 私も大体そう思うのですが、そうしますと、この三千二百億ほどの投融資において、まあ三分の一近い地方債についてそういう性質を持っている。問題は、やはり私は財政の産業投資だと思うのですが、そこでことしは前年と比べてみますと、三百数十億ふえておりますが、そのうち最も顕著なふえ方は輸出入銀行で、前年度はゼロであるのに二百二十億になった。この輸出入銀行への政府の出資といいますか、投資といいますか、まあこれは産業投資の一つなんですが、一番上の民間への資金供給、開発銀行、電源会社、輸出入銀行、まあこの辺は相当景気に直接関係の強い要素じゃないかと私は思うのですが、その点につきましては、この三千数百億のうちで、景気を刺戟する要素の一番強い投資はどういうものであるか。私は今のようにちょっと考えたのですが、理財局長はどうか、伺いたい。
  34. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 私も今山本委員がおっしゃったように、この表の中で上に書いてありますものが一番直接に、そういうまあ景気と申しますか、産業の循環に対して刺戟的な材料になると思います。しかしそれから下にあります国民金融公庫にいたしましても、中小企業金融公庫にいたしましても、その他そういったものにおきましても、程度の差異は確かにあるかと思いますが、やはりそれ自体、中小企業なら中小企業というものに対する振興ということにも非常に役立つと思いますし、それから住宅とかその他のものにつきましても、やはりそれが健全なる意味で資材その他に対する需要を喚起するというふうなことになることは、これはもう間違いないのであります。要は私はやはり程度問題ではないかというふうに考えております。その程度の一番やはり強いのは、一番上に書いてあります「民間への資金供給」というところにあがっておりますものであろうという点につきましては、私も同感であります。
  35. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 よく投資の乗数効果とかいう——まことにむずかしい言葉があるようでありますが、あれなどの乗数効果というものは一体どれくらいのものか。それは今これらの項目についても、乗数効果の最も多いのは、やはり今の上の方のものだと思うのですが、その辺について御意見を伺いたいと思うのです。
  36. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) どうも私はあまり勉強しておりませんので、乗数効果という……、いろいろ話は聞いておりますが、私が権威をもってそれにお答えするだけの資格がございませんので、私の方にも専門家がおりますので、場合によりましたらお呼びになっていただいて、お聞き取り願いたいと思います。
  37. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 いや、それではまた他日を期して伺うことにしまして、先ほどちょっと出た問題も、やはり民間融資への切りかえという問題ですが、これは今後やっていかれる方針のようでありますが、この切りかえられるべき部分というのはどういう部分なのですか。つまり今まで開発銀行というものは民間銀行の補完作用を営むものであった。そこに多少重複があったということも聞いておりますが、切りかえていくとすれば、今までの純補完的の部分をも一切りかえていかれるのかどうか、つまり性質が変ってくるのですか。今までこれは普通の銀行にはできない補完的な投資であったけれども金利の変化などによって、それが今度は補完的でなくなり、民間でもできるというふうに変っていくのかどうか、その移り変りはどういう性質のものであるか伺いたい。
  38. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) これは先ほど木村委員の御質問にもちょっとお答えいたしましたが、私はやはり一番早く切りかわるのは量的補完をいたしておるものがまず切りかわると思います。これは大体切りかわっておると思います。今年に入りましてから、それからその次は金利の上で一般金利が下って参りますから、金利の上での補完といった本のは、これは程度の差はありますが、だんだん少くなってきて、これも現にそういう方向に向っております。それから第一の質的補完というものにつきましては、この質的補完そのものは残ると思いますが、その内容が変ってくる。今、これは非常に例は悪いのでありますが、これはそのつもりでやっておるという意味じゃなくて、たとえばこれは仮定としてお聞き取り願いたいのでありますが、従来は鉄鋼というものに対してやはり質的な補完を要したということがかりにあったとします。しかしもう今におきましては鉄鋼というものに対して質的な補完財政投融資としてやる必要がないということになれば、これはやはり私は民間へ移して差しつかえない。−ただ今鉄鋼を考えておるという意味じゃないのですが、たとえばそういうことがあって、質的補完ということも残りますけれども、中身といいますか、中のものがだんだん入れかわっていく。そうして新しいものが、いろいろな新しい企てというものに対してまた新たな質的補完をしていくということが必要になってくる。たとえば石油とかそういったふうな新しいものに対して、民間がなかなかすぐとっつけないというものも出てくるかもしれない。そういうものに対してはやはり新たな質的補完というようなことが行われていかなければならないというふうに考えております。
  39. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 そうすると財政投融資の中のまあ産業投資です。おもに上の方の部分の民間への投資というのは、これはあれですか、もし政府が利子の補給だけたとえば一般会計でやるとすると、全部やめることができますか、あるいは利子補給の問題だけでなくて、そういうことはできないのかどうか。
  40. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) これはかりに利子補給を——私は利子補給をすべきじゃないと思いますが、かりに利子補給をすることによって解決するのは、先ほど申し上げました金利差の補完という面だけじゃないかと思います。やはり金利の補給があっても質的にやはりリスクが多いというものについては、これは金利補給しただけでは民間に移すことはなかなか困難ではないか、かように考えております。
  41. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 今の金利補給をすべきではないというお考えはどういうお考えであるか。つまりそういう産業助成策、そういうまあ補助政策というか、補助策はおもしろくないということであるのか。金利差を補給して、この今の質的部分を除いた部分を民間へ切りかえてしまうということは考えられないのですか、そういう構想は成り立たぬですか。
  42. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 私はやはり金利補給といったような形における補助策ということが果していい作用を持つかどうかについては、私は疑問といたしております。財政上の都合だけじゃなしに、全体として疑問を持ちます。従って私はやはり正道は、金利差を補完するという作用は、本来なら私は財政投融資作用としては、言葉が非常に悪いですけれども、邪道だと考えます。従いまして、一般金利がだんだん下るに応じて、こういったものはむしろなくしていくという方向に進むべきではないかと、かように考えております。
  43. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 私も金利補完ということは実は賛成論者じゃないわけですが、開発銀行の投資のうちで、一部のものについては特別安い金利である。特に造船なんかについては、これは法律にありますが、そうでなくても差別して使っている。こういうことは実質的にいうと財政上のこれは助成政策なんです。これは私は国会予算審議権をくぐるものだとさえ私は思っているのですが、そういう考えはどうですか。開発銀行当局だけで金利を、この産業にはこう、この産業にはこうということは、これは実質的には助成策なんです。ほんとうはそういうものは、金利金利できちんと取る。もしそれを特別安くするなら、補給金として財政上の問題にすべきだと思うのですが、その点について、開発銀行金利を特別安くする場合には、財政上の問題にするというお考えはないですか。
  44. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) これは私はやはり程度問題ではないか。現在電気等においては六分五厘という金利を出しております。船の問題は別として、六分五厘を出している。これは市中金利よりはるかに低いのであります。開発銀行法その他においては、原則は市中金利を勘案して金利をきめる、こういうことになっております。この金利は、私は市中金利から勘案いたします場合には、やや低過ぎると思います。従って、私は先ほど来申し上げましたように、開銀がそういう金利を出すことのよしあしについてはいろいろ議論があると思います。私はやはり方向としては、そういうことは逐次やめていく方向にいくべきではないか。ただそれではどこまでの金利市中金利とどの程度まで乖離してきた場合において、それが利子補給によってやらなければならぬか、他の措置によってやらなければならぬかということにつきましては、これは非常にむずかしい問題でありまして、少くとも開発銀行といたしましては、私は開発銀行自体資金コストというものを割るような金利はいけない、こういう線で、大体六分五厘ということならば、資本コストを割らないという線をとっておりますので、この範囲は特に国会に事前に御承認を得てやらなければならぬ範囲でないのではないかというふうに考えておりますが、これは程度問題でありますから、的確なお答えがなかなかむずかしいと思います。
  45. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 それで来年度予算もぼつぼつ大蔵省においては編成中でしょうが、来年度財政投融資についての大蔵省の意見と通産省の意見とかなり食い違っているということが伝えられているわけです。すなわち、大蔵省では財政投融資民間の方へ移しかえていこうという意向が強いのに対し、通産省の方は、財政投融資をむしろふやしていこうというふうに伝えられているのですが、その辺の事実と、また理財局長としては財政投融資についてどんなふうに考えておられるかということを伺いたい。
  46. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 財政投融資にもいろいろありまして、地方債——財政投融資の中で相当大きなウエートを占めている地方債については、これは地方財政全体の問題として考えなければならぬと思いますから、これはしばらく別の問題といたしまして、いわゆる産業関係の投融資というものを考えますならば、先ほど申し上げましたように、やはり私は政府機関の補完作用ということの性質はだんだん縮まってよろしい、質的には。ただ量的に、必ずしもそれが即量的な財政投融資というものの量が減るということを意味しない。これはこれからやはり個々に当ってみて、どういうものが財政投融資対象として考えなければならないかということを個々に当ってみる必要がある。通産省当局とはまだこの問題について話をしたことはございませんが、よくお話をして、通産大臣としてもそう抽象的に……、私どもは何も財政投融資をぶった切ってしまおうということを考えているわけじゃないのでありますから、今後方針がだんだん固まりますに従って、十分通産省の御同意はいただけるものというふうに私は考えております。
  47. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 そうすると、ぼつぼつ切り上げますが、来年度の投融資は、大蔵省のお考えでは、どちらかというと縮小していく方向にある、民間ベースに移していく方向にある、通産省はそれと反対の意向を持っておるかどうか知りませんが、これは話合えばわかり合えるであろう、こういうお話ですから、来年度財政投融資は縮小すると大体考えて了解してよろしいでしょうか。
  48. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 今申し上げましたように、私は質的には縮小しておる。しかし量は、財政投融資全体の量は、私は必ずしも減るということは、今きめる必要はないと考えております。
  49. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 いや、今の地方起債などは別にして、産業関係で……。
  50. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 地方起債を別にいたしましても、たとえば私はだんだん財政投融資というものは、先ほど申し上げましたように、質的な補完に一番重点を置いていく方がまあいいと思う。しかし質的補完を要する対象は必ずしも減らぬ。むしろ新らしい新規産業は新規にこれはふえているかもしれない。そういう点で量は必ずしも減らないかもしれない。むしろふえるものは私はないと思いますが、減らないかもしれない。この点もう少し当ってみませんと、どういうものが財政投融資対象として必要なものであるかということは、よく通産省その他と御相談しないと何とも申し上げられませんが、必ずしも量が当然に減るのだ、民間に持っていくためにそれだけ量が減ってしまうのだときめてかかる必要は今のところはないと、かように申し上げた次第であります。
  51. 小林政夫君(小林政夫)

    小林政夫君 その今の、答弁できぬかもしれませんが、たとえば開銀ですね、開銀の今のように投融資方向を変えるとして、自己資金だけで来年度はやるということか、あるいは新規追加投資をやるかということはどうですか。
  52. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) どうも小林さんの申されることはちょっと答弁がなかなかむずかしいのでありますが、私は少くとも開銀に関する限りは全然新らしい投資は必要でないというところまでいけるかどうか、自信がありません。しかし新規の資金の投入というものは、私は相当減っていいのじゃないか、かように考えておりますけれども、ただこの点はまだこれからやってみませんと何とも申し上げるわけに参りません。
  53. 菊川孝夫君(菊川孝夫)

    菊川孝夫君 地方債関係してちょっとお尋ねしたいと思いますが、まあ地方財政の赤字ということをやかましく言っているのですがね。大蔵省では今度交付税率の引き上げは行わないことに省議が決定したということが放送されているのですが、赤字解消ということになると、それではあの地方債と密接な関係があると思うのだがね。今地方自治体は一体どう赤字をやりくりしているかと言ったら、民間の銀行に借りているのであり、はなはだしいのは所在の事業会社から借り入れをやって、そして今地方自治体がやりくりしているところさえあるのです。たとえば大きな会社があるとすると、そこから一億借りてきて、職員の給与を払って、当面を乗り切っているというようなところさえあるのでありますが、そういうようなところに対しましては、あなたの方でその交付税率の引き上げはもう行わないということになりますると、この地方債のワクをうんと広めるおつもりであるかどうか、これを一つ伺っておきたい。
  54. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 交付税の税率を本年度引き上げるということについては大蔵省は考えておりません。しからば交付税税率を引き上げなかったならば、それにかわるべき地方債、あるいは要するに金融的措置を当然にしなければならぬかどうかということにつきましては、私どもは今検討いたしておるわけであります。地方財政全体につきましては、これは相当問題が深いのであります。その原因はいろいろございます。国自体の責任に帰すべきものもございましょうし、地方団体自体の運営の点について責任を帰すべき問題もありましょう。これらの問題につきましては、今三十一年度以降において抜本的な対策を講ずるということで、現在財政懇談会等でもいろいろ御論議願っております。私どもも並行していろいろ検討いたしておりますが、その三十一年度以降における地方財政の抜本的な対策というものの一貫として、これらの問題についても考えていきたいということでなくてはならぬだろう、かように考えておる次第でありまして、現在のところでは交付税率の引き上げをいたさないということのかわりに、それを金融でもって償うということは考えておりません。まだ私どもは……、自治庁方面では、いろいろ三十年度の赤字というものを幾ら幾らということを自治庁では言っておりますが、この数字について、私どもは実は率直に申し上げまして、疑問を持っておるのです、非常に大きな。今その問題について自治庁当局とも毎日いろいろ議論を戦わしておるのであります。きょうも午前中実はその問題でいろいろやっておったのですが、今論議を戦わしておるのでありまして、まだそのデータ自体について、一致したその前提になる事実について、まだ私どもは決して同意をいたしておらぬわけです。そういったところをもう少し詰めていかないと、すぐ対策をどうするかということにはいかぬけれども、何らかの赤字というものがかりに三十年度にありといたしましても、じゃ一体その赤字があるなら、みなしりは何か政府の責任においてやらなければならぬかということについても、私はやはり根本的に考えなければならぬということもございましょうし、これらの点につきましては、最近——去年からでありますが、大体地方公共団体における地方財政の一番大きな問題は、やはり給与費が一番大きな問題であります。こういった問題について実態調査ということを去年から始めておりまして、これが今もうしばらくしますと数字の集計ができるわけであります。そういったものをやはりよく見なければ、どこに病根があるのかということは、抽象的にはいろいろ言えるけれども、具体的になかなか把握できない、そういった問題もありますので、私どもは本腰を入れて本気に取り組んでおりますけれども、まだ結論は、しからば本年度どういう措置をとるかということはきめておりません。だから金融措置によってこれにかえるということも、私ども今のところ考慮しておりません。
  55. 菊川孝夫君(菊川孝夫)

    菊川孝夫君 それじゃ具体的に、こういう場合について二、三例をあげてお尋ねしてみたいと思います。例の十三号台風とか何とかいうので、一昨年、それから昨年にかけて非常に災害が多かった。その結果、まあ国会におきましても災害特別対策委員会というものが設けられまして、いろいろの立法がされました。立法的な措置がされまして、そこで被害地におきましては、この法律に従いまして復旧工事を始めまして、この目標は三、五、二の三ヵ年間で完成をするのだ、こういうことであります。しかも建設省やあるいは県当局等が査定をいたしましたものでありますから、罹災地の国民は、これは当然九割の補助はもらえるものだろうと思って橋は直す、堤防は作りかけるというふうにいろいろな事業をやってみたところが、その補助金がちっともこないというわけで、やむを得んので、どこでも農林中金から借りてきている。あるいはまたはなはだしいのになれば、その所在の金融機関、銀行その他あたりからも少し借りているらしい。利息に追われてしまって、九割かりにもらったとしても、補助金がきましても、利息を払っただけ、余分に利息に出てしまうので、利息だけでも大体……、いろいろそれは場合によっても違いましょうけれども、一割や二割くらいは利子にいかれてしまうのです。早くこないものですから、借りて事業を行なっているものですから、こういう関係から、赤字の出ているようなところに対しましては、地方債関係してお尋ねするのでありますが、理財局の方でも、いわゆる起債という面については特別の配慮をされますか、実状を調べまして、陳情してみて、地方の財務部等において調査をされまして、なるほどこれによって生じた赤字であるということをお認めになった場合に、特別の処置をお講じになりますかどうか、その点についてお尋ねいたします。
  56. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 出すべき補助金がおくれているということは、これは主計局の問題でありますけれども、適当でないのでありまして、できるだけ早く、ほんとうに出すべきものであれば出さなければいけないと思います。ただ私は、これは一挙にはなかなか切りかわりませんが、私の地方債というものの根本的な考え方、これはあくまで地方債というものは融資である、金融である、これは補助じゃない、補給金じゃないのだ、従ってそれは必ず返るべき、償還のはっきりしたものでなければならぬ。それは一年限りの、税によって返す必要はないかもしれません。何年かに分けて返してもよろしいが、とにかく返るものである。ところが従来からややもすればそれが一般財源の補てんをするための地方債というようなことが安易に行われて参っておった傾向があるわけであります。これは私どもも責任がないわけじゃない、実は大蔵省自体も責任があるのでありますが、一般財源調達、本来ならば、税なり補助金なり、あるいは一般財源によって調達すべきものを起債ということで安易につないでいる。これは非常に逆説的なことを言いますと、これが地方財政を悪くした原因なんです。むしろ一つの大きな原因になっている。私どもは去年以来、そういったことに対して根本的な反省をしなければならぬ。今後地方財政の根本的な対策を立てる場合におきましては、地方債というものはあるべき姿に本来返さなければならない。これは金融であるのだ、赤字を補てんするための金融ではないのです。従ってこの辺については将来はやはり私は健全なる公営企業、つまりその企業自体の生む利潤によって返せるように、あるいは償還計画のはっきりきまっておる普通事業、つまり学校を立てるとか、そういうものであっても、私は必ずしも企業でなくてもいい、それは必ず償還計画がちゃんときまっておらなければならぬ。税を徴収して返すか、あるいは何らかの計画が具体的にきまっておらなければならぬ、そういうものに重点を置いていかなければならない。しかし先ほどお答えいたしましたように、なかなか一挙にはいかないと思いますが、そういう方向で持っていきたい。そういう考え方に立ちますならば、今お話のありましたような例、これは具体的によく伺いませんと何とも申し上げられませんが、そういったようなものに対する起債というものは、やはり本来の起債の筋からいうと適当でないものだというふうに考えます。よくその具体的な事情を伺った上でないと、ここでは抽象的にしかお答えできません。少くとも起債の適当な対象とは言い切れまいということだけは申し上げられると思いますが、しかし一挙にそんなものを全部いけないということを言うわけに参りませんから、十分具体的な話として伺ってみたいと思います。
  57. 菊川孝夫君(菊川孝夫)

    菊川孝夫君 ちょっとあなたの説明によると、これは適当なものとは考えられないとおっしゃるが、私の見方では、今のあなたのお話を受け取りますると、適当であるかどうかは知りませんが、やむを得ないものじゃないかと思うのですが、事業を行う災害復旧なんというやつは、これは一部だけやりまして、あとは翌年回しにする、堤防を半分だけしておいたのでは意味をなさない。やはり一度にしておかなければならない。ところが補助金を三、五、二でもらえるということになりますと、今年三だけやって、あと七だけ残しておくというわけにはちょっといかないと思う。そういうところには補助金をくれるということで、査定も受けて、事業を完成してしまった場合には、補助金の下るのは二年後であるが、その補助金をもらったら返せるという場合には、その補助金が一つ見合いになって起債というものもやむを得ないのじゃないか。あと利子は税その他によってまかなうにいたしましても、そういうことは成り立つと思いますが、いかがですが。
  58. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 災害の場合の補助金が出ますならば、これは復旧を急ぎますが、補助金が出るまでには一月なり一月半なり調査を要します。そういった場合におきましては、補助金を見返りにしてつなぎ融資というものは現在もやっております、災害の場合に限って。そういう場合におきましては、今後においてもやっても差しつかえない。今お話のありました点は、もう少し詳しく聞かなければわかりませんが、たとえば災害の場合の補助金であっても百パーセント補助じゃない。やはり一割なり二割なり、これはところによって違いますが、一割なり二割自己の財源によって調達しなければならぬ。しかもその一割なり二割を必ず起債にしなければならぬということにもなっていない、自己の調達によってまかなうこともあるのでありますから、今のお話のような場合に、起債に当然つながらなければならないというわけではない。自己の財源によって調達をしてもらうべきものもあるかもしれない。具体的にお話を伺いませんと、抽象論としてはお答えできない、こういうことであります。
  59. 菊川孝夫君(菊川孝夫)

    菊川孝夫君 そうするともう一ぺんお尋ねしておきますが、具体的に今もお話し申し上げましたように、やむを得ず補助金がこないのでまあ金融機関から借り入れを行なっている、あるいは農林中金から借り入れを行なっている。こういったような場合は、一応これは何とかしてやらなければならぬと思うのですが、起債のワクを一つ検討される用意があるかどうかだけ一つ伺っておきたい。
  60. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 具体的によく事情を伺って、起債の対象にすべきかどうかを見ないとここで何とも言えません。災害費は起債を要しないかもしれないのです。起債をつけるべきでないかもしれない。同じケースの場合でも、その自治体の財政状況その他から見まして、一般の自己財源でやるべきであるかもしれない。それは個々にやはりよく事情を伺った上でないとお答えできません。具体的によくお話を私が伺ってけっこうでありますから、お差し向け願いたいと思います。
  61. 菊川孝夫君(菊川孝夫)

    菊川孝夫君 開発銀行融資について一つだけ伺っておきたいのですが、造船の融資——問題になりました造船の融資でございますね。造船資金につきましては市中銀行と開銀と、それから運輸省も中へ入りまして、比率は、市中銀行から借り入れる資金と、それから開銀から供給する資金の比率、これはそのつど変更してくる、その年々変更してくるものであるかどうか、それともある程度は固定していくつもりであるか。特にことしのように銀行預金が非常に伸びてきたというような場合には、むしろこれは一つこちらへ肩がわりをさしていくような方向を持っていく方がいいのじゃないか、こう思うのですが、海運界も割合ちょっと上向いております。こういうときこそ市中銀行の預金は開銀の資金と肩がわりをさせるということも必要じゃないかと思うのですが、これについて一つ
  62. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) この点はしごくごもっともな御意見だと思います。開銀と市中銀行の造船に対する融資率は、毎年再検討しながら、事情の許す限り、市中へのウエー を多くしていくという配慮で考えております。しかし去年は御案内のように実質的には九対一ということであります。非常に海運の市況も悪かった関係もございますが、それ以上ではなかなか市中金融がつかなかった。ことしは若干そこが好転いたしましたので、八対二にこれを改めたのであります。去年は九対一であったのを八対二にして、市中が二ということにいたしております。私は来年度におきましては、海運市況自体の今後の推移にもよりますけれども、そういうことについては、非常に大きな弱点がない限りは、私はさらに市中のウエートを多くするというように考えておりますが、本年度は実はもうすでに八対二で契約ができております。融資契約が……。従ってそういう条件ですでに話が進んでおりますので、今から固まった既契約のものを変えていくということは、実際問題としては困難なので、今年はお話のような金融情勢の変更はありましたけれども、既定の八対二で続けざるを得ない。来年度以降はさらに市中のウエートを多くしていきたい、かように考えております。
  63. 菊川孝夫君(菊川孝夫)

    菊川孝夫君 それからもう一点、預貯金の利子に対する免税措置が講ぜられましたことによって、ある程度資金を、資金統制という意味か、融資の統制という構想から、資金委員会とか金融委員会というようなものの設置についてだいぶ論議をされましたが、あれはどうなっているか、一つ伺っておきたいと思います。
  64. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) これは先ほど木村委員にもお答え申し上げたのでありますが、私銀行局をかわりまして……。
  65. 菊川孝夫君(菊川孝夫)

    菊川孝夫君 それは財政投融資関係があるので……。
  66. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 銀行局長から申し上げた方がいいと思いますが、現在のところでは特別の事情のない限り、あらためて政府でそういった法案を提出する意図はないように私は聞いております。
  67. 菊川孝夫君(菊川孝夫)

    菊川孝夫君 しかし理財局長としては……、政府ではそういうふうに聞いておられるかもしらないが、理財局長としては、財政投融資というものについてはなるべくこれは、本来ならば財政投融資というものは、健全な立場では、民間資金をもって全部充てるというのが一番いいのじゃないですか、ほんとうのことを言うと。理想的な、あなたがいつも言う通り、あなたの意見を聞いておると、まず最後はそう言うのです。そうすると、極力そうするのがいいとするならば、なるべく財政投融資の額がむしろ減っていって、そうして余ったものは政府事業資金の方へ回していく、そうして民間融資の方へ切りかえていく、安定するに従って切りかえていくようにするのがいい。ある意味において、あの構想はむしろわれわれとしては、どちらかといえば賛成する。僕らの今まで言ってきた主張からするならば賛成する方ですが、あれだけ言っておきながら、にわかに引っこめたというのはおかしいと思うのですが、理財局としては、むしろ積極的にその点については考慮をされなければならぬ。これは銀行局と相談をしなければならぬ。私はこれは財政投融資と密接な関係があるのでお尋ねしたのですが、理財局としては、これはうっかり、政治的色彩がきわめて濃厚であるから……、濃厚だという考えを持っているのですか。
  68. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 私も現在のところはそういったものを作る必要はまずないのじゃないかと考えております。問題はやはり民間へ、だんだん財政投融資民間のベースへ移していくということは、これは方向として当然持っていかなければならぬと思いますが、それらの資金が、やはり国の政策といいますか、国の定めた重点に従ってその資金が流れていく、その方向づけというものは、その方向へ流れていくということは必要だと思います。これは当然望ましいことであろう。問題は、具体的に、方法としてああいう方法を要するか、あるいはああいう方法が適当であるかという問題に結局帰着するのじゃないか。その点については、私は少くとも現在のところ、ああいった立法は現在のところ必要はないと考えております。ただ私主務を離れておりますので詳しいことはいずれ銀行局長でも参ると思いますから、その際に……。
  69. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 今の資金委員会という……、この間流れた法律案に関係して、最近全国銀行協会に投融資委員会というものができたようですが、あれについてはどういうふうにお考えになるか、あれは民間のものですが、政府相当あれをむしろ援助的な立場でおられるのか、ああいう構想に対して。あるいは全く銀行がやることであって、何ら関与するところにあらずという態度をとられるのか、一つその点の観測をお伺いしておきたいと思います。
  70. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) この点も実は銀行局長からお聞き取り願いたいのでありまして、私もあまり詳しいことは存じませんが、聞いておりますところでは、これはやはり金融界が自主的に作ったもので、従って私は、その作られた所期の目的が十分に達成できるように活発に活動されて、所期の目的を達成することを希望するというのが政府としての態度じゃないか。それにいろいろと私たち言ったり介入するということは、あれは自主的にできたものでありますから、やはり自主的に動くところの方向を間違わない方向に持っていくようにしていけばいいのであって、特に介入してかれこれするという意図は政府としてはなかったのじゃないか、そういうふうに聞いております。
  71. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 もう一点だけ。  これもちょっと理財局長では工合が悪いかもしらぬが、この間まで銀行局長をしておいでだから同じであると思いますが、今までの自主規制と今度の投融資委員会とどういう関係になるか。今の投融資委員会の活動を健全に伸ばしていきたいという点は、個人的には全く同感で、ああいうものが健全な活動をすることによって、ああいう統制的な立法などは不必要となることが私は望ましいと思います。自主規制と今度のあれとはどういう関係になるか。
  72. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) どうもこの問題は、私が銀行局を離れましてからだんだん具体的に話がなってきたようであります。はなはだどうもはっきり存じませんので、銀行局長からお聞き取り願いたいと思います。
  73. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 前に河野さん銀行局長をやっているころと関連して御質問したい。今の銀行法ですか——戦時立法として、大蔵大臣が必要と認めるときには、たとえば公債とか、その他の民間金融機関に引き受けさせたりすることができるという法律がありますね。もしそういう自主金融であるということを考えるなら、これは私は当然あの戦時中に作ったものがそのまま残っている。もしあれが生きているなら、今度の、この前出した法律と同じことがあれにある。ことになるですから、それができるからあれが必要ないというのか。もしこの前出したああいう法律がいかぬというなら、あの戦時に作ったあの立法がまだ生きているのがおかしいと思う。矛盾していると思いますが、その点どうなんですか。
  74. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) どうも私戦時中のそういう法律が残っているとは考えておりません。その点はおそらく今お話しになっておりますのは、国家総動員法に基く銀行等資金運用令によるいわゆる強制融資命令のことだろうと思います。これはちょっと今私は、はっきりどういう形で消えたか覚えておりませんが、今残っておらないと存じます。それから戦後におきましては、いわゆる封鎖というものをやりましたときの金融緊急措置令、緊急勅令によりまして金融緊急措置令というものを出しました。それに基きまして融資準則、これはある程度そういったことを裏から規制するような立法の根拠がありますが、これは今残っております。しかしこれはやはり御承知のように緊急勅令というものでありまして、やはり新らしい憲法下におきましては適当でないので、そういうことが必要であれば、やはり新らしい立法をするということの方が適当じゃないかという観点に立って検討を加えた次第であります。
  75. 委員長(青木一男君)(青木一男)

    委員長青木一男君) どうですか、投融資の問題に関する質疑は大体終りましたか。
  76. 藤野繁雄君(藤野繁雄)

    藤野繁雄君 先般大蔵省と郵政省と自治庁と連合して郵便貯金奨励の通知を出されましたですね。あれはどういうふうな意味で出されたのであるか、まずそれからお伺いしておきたい。
  77. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) これはやはり郵便貯金の増強を進めますために、郵政省当局の末端まで、こういった問題についてさらに力を、馬力をかけてもらおうという趣旨のもとに、三者が共同して通知を出したわけであります。
  78. 藤野繁雄君(藤野繁雄)

    藤野繁雄君 郵便貯金の奨励をするというのであれば、郵政省が出されるのは適当であるかわかりませんが、大蔵省と自治庁とがこれに参加せられなくてはできない理由はどこにありますか。
  79. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 大蔵省は当然郵便貯金であろうと民間資金であろうと、資金全体の貯蓄を奨励していくという観点からタッチしなければならんわけであります。それから特に私の方の担当の部面から申しますと、郵便貯金増加そのものが財政投融資の、実は財源の大きな部分を点めるのでありますから、非常に強い関心を持っておるわけであります。これはもう避けがたいと思います。自治庁が入りましたのは、これはあまりその辺は、自治庁がなぜ入ったかということは深く検討いたしておりませんが、おそらく地方団体の末端の方でそれに協力してもらいたいというふうな意味合のもとに、自治庁もやはり中に入ったのだと私は記憶いたします。
  80. 藤野繁雄君(藤野繁雄)

    藤野繁雄君 郵便貯金のみに、こういうふうに郵政省の所管であるところのものに、大蔵省であるとか自治庁であるとかいうようなものが入るということは、政府郵便貯金のみを奨励するのだという誤解を招くような御心配はございませんですか。
  81. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) えてそういうふうな誤解を起すおそれがございましたので、その取扱いなり度が過ぎたことは適当でないということはよく申しておるわけであります。その適当がどの程度かということはなかなかこれは具体的にはむずかしい問題だと思います。デリケートな問題だと思いますが、度が過ぎてはいけない。で、少し余談になるかも知れませんが、あの三者で出しました通牒の中に、郵便局長はその起債を申し込むときにその地の郵便貯金のふえ工合を副申のところに書いて出すようにということが入っております。これはおそらくその点が一番問題になっておる、ことに末端では問題になっておると思います。この点も私の方はたびたび出先の機関に対しては具体的に注意をいたしておりまして、この点は、他の条件が同じで、しかもどちらかとらなければならんという場合は、郵便貯金伸びておる方を優先さしたらいい、しかし郵便貯金伸びているだけで、他の条件が悪いにもかかわらず、そちらの方をとるのはいけない。それから郵便貯金は、何も最近の伸び方を見るのじゃない、従来から長年にわたってどの程度伸びておるかということを見る、それが一点。それからもう一点は、短期融資にはそういう問題は考えない、長期の融資の場合だけ、起債の場合だけに見る。しかも見る場合におきましては、先ほど申し上げましたように、他の条件が同じなら、しかもどちらかをとらなければならん場合に参考にするということでありまして、それ自体が非常にウエイトを持つような印象を与えることはよくないし、またそういう取扱いをしてはいけないということをはっきり郵政省当局にも申しておりますし、私どもの方の出先にも徹底するようにいたしておる次第であります。
  82. 藤野繁雄君(藤野繁雄)

    藤野繁雄君 そうするというと、それが末端まで徹底しておるとお考ですか。もし徹底し得なかったならば何とか対策を考えられるというお考えなんですか。
  83. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 最近も財務局長会議があったし、その前には財務局の融資課長ですか、係の課長の会議もございましたが、そのときも、もし徹底していなかったのだったら、そういうことを徹底していく、そういうことを頭において処置するようにということを二度にわたって申しました。財務局長会議はたしか一週間ばかり前のことでありますが、そのときもはっきり申しましたから、かりにそれが徹底していない点がありましても、今後は必ず徹底すると思います。不徹底の点がございましたらお申し越し下さいますればよく注意いたします。
  84. 岡三郎君(岡三郎)

    ○岡三郎君 ちょっと簡単にお聞きしますが、先ほど理財局長が自治庁の発表している地方財政の赤字の額について疑問だというふうにおっしゃったんですが、大蔵省当局のこの地方財政の赤字に対する見解をちょっと聞きたいと思います。
  85. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) これは甚だあれでありますが、私ども直接に地方財政の状況を把握する実は研究も手続も持っておりませんので、むしろ自治庁のいろいろ作られたものに対して、ここはどうだ、どうだということで今つめておるわけでございます。まだ二十九年度、三十年度につきましては全く私どもは十分なる了承がいかないという段階であります。かりに申し上げて見ますと、二十八年度までの地方財政の赤字というのが自治庁で計算いたしましたのは約四百六十億ではないかと思います。ちょっとはっきり記憶いたしておりません。これは私どもの方の計算でいたしますと三百二十億ぐらいになるのでありますが、その間に百四十億ばかり差違があります。細かい点はいろいろございますが、そういったふうなことで、この数字がなかなか的確に合わない。その点をもう少しつめて、対策を研究いたします前の基礎のデータというものをもう少し両者でつめなければならない。ことに三十年度の問題をここでどうするかということになりますれば、三十年度はまだ途中でありますので、それをどうするかという場合に、幾ら一体赤字があるかという問題をもう少しつめてみないと何とも言えないんじゃないか。二十九年度までは大体自治庁におきましてもこの程度だと言っておりますが、三十年度については自治庁自体もどの程度の赤字になるかはっきりしたことはまだ言っていません。二十九年度までの赤字につきましては見方はいろいろありますが、六百数十億と言っておりますが、この点につきましても二十八年度までの赤字について今申し上げましたような開きがあるわけです。もう少しやはりつめてみないといけないと思います。これをなるべく早くつめるようにいたします。
  86. 岡三郎君(岡三郎)

    ○岡三郎君 大体自治庁との話し合いですね、それが河野さんの部門でないかもしれませんが、非常に調査その他も関連が多いわけです。交付税との関連も多いわけです。それで大体時間的な見通しですね、非常に地方自治団体はこの問題について非常に悩んでしばしば会議を持つ、それで一応自治庁との話し合いの見通しですね。それから一応ぎりぎりにしぼった点で出てきた数字に対して、大蔵省としては、前にも法案が一応継続審議になっておりますが、具体的にまあ交付税の引き上げという問題がだいぶ焦点になってきていると思うんです。それをまあ否定せられておる大蔵省として、一体どうするんだ、というふうな考え方をちょっと聞かしてもらいたいと思う。
  87. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 私どもの方といたしましては三十一年度以降において地方財政全体の抜本的な対策なりが立てられる場合に、三十年度の問題につきましてもそいつをその一環として問題を解決する、こういう考え方であります。いかなる解決方法があるかということにつきましては、これから三十一年度以降における根本的な対策をいかに立ててゆくかということを今いろいろ審議しておるわけで、その一環としてこの問題を解決するわけであります。二十九年度までの問題については今審議未了になりましたあの再建整備法案の趣旨からいいましても、二十九年度までのはっきりわかった赤字についての処理はあの法案でやってゆきたい、かように考えております。ただ実際においてそれじゃ再建整備債をいつ発行されるかという点等につきましては、もう三十年度相当時期がたっておりますから、三十年度中にそれらの問題についての措置が具体的に行われるか、あるいは三十一年度になって行われるか、この点についての時期の問題はいろいろあると思いますが、方針としては、二十九年度までのいわゆる赤字については再建整備法案の中で処置してゆく、こういうつもりでございます。
  88. 岡三郎君(岡三郎)

    ○岡三郎君 この前の再建整備法のあの問題でも、起債の点については首切りの金は起債で許すとか、だいぶ地方財政の立て直しが、働いている人の首切りの方にぐんぐんしわ寄せしてきておるわけなんです、現在は。だから地方の吏員が多過ぎるかどうかわからぬけれども、とにかくその方向にしわ寄せしてきている。この点について先ほどの言葉で、地方債自体が地方財政を逆に混乱させてきた、こういうふうな点もあって、こういうふうな問題について行政整理の方向へのみ実際の施策が行ってしまうということは、大きい問題だと私は思うのです。それで結局そういった面にのみ起債を許すという形で、整理していく方はいいけれども、実際これは血の通った政治には私はならぬと思う。そういう点で基本的には、意見になりますが、どうのこうのと言っても、一応立て直すという方針政府が立てたら、それを計画的にやられると思うのだが、交付税の税率の引き上げという問題が、なぜ大蔵省の方としてはいけないのか。これは先ほど菊川さんが言ったように、地方の災害というもので、見越してずい分金を使っているわけです。中央の方としてはすぐではないとしても、地方では地方住民の利便のためには放って置けない仕事がずい分ある。それを見越して、どんどん金を苦しくても出さなければならぬものがある。そういったものが時のたつにつれて薄らいで、また次の災害になる。そういう点で補助金という問題もいろいろと問題になりましたが、そういったものが地方財政にも相当影響が与えられているというふうに考えておるわけですが、そういった点を見て、交付税率をやはりこの際は上げていくべきであるというふうにわれわれは考えているわけなんだが、交付税率をなぜ上げないのかということですね、ちょっと話が横にそれますが。
  89. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 私交付税の問題を責任をもってお答えすることができないのであります。主計局長なりあるいは主税局長あたりからお聞きとり願いたいと思いますので、従って私は結論だけは聞いております。結論は交付税率を上げるべきでない、少くとも本年度上げるべきでないという結論は聞いておりますし、また大体の理由もわかっておりますが、やはり責任の者からお聞きとりを願いたいと思います。
  90. 岡三郎君(岡三郎)

    ○岡三郎君 それではまた聞きます。もう一点承わりますが、そうすると私は三十一年度についていろいろと現在予算折衝が行われつつこれからいくわけですが、まあ補助金の整理に対しての具体的な案をこの委員会でも先国会で可決したわけです。三千億に近い補助金をどう整理するかという問題は、三十一年度予算に大きくかかってくる問題だと私は思う。それでこういった中で、零細なる補助金というものを特別整理しようということになれば、どの程度金が浮くものであるか、その程度の浮いた金を一つ地方財政の方に見合ってやっていったらいいのじゃないか。それは地方財政を根本的に立て直せば国としてもそれだけの効果があるわけです。そういろ点で零細なる補助金を整理するという建前上として、この地方財政を何とか埋め合せるという考えはないかどうか。
  91. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) どうもこの問題も主計局長に聞いていただかないと、補助金の整理はちょっと私もお答えできません。少くとも基本的には、補助金は、やはり効率の悪い補助金はやめていくということは当然とるべきだと思いますが、さてそれによって浮いた金をすぐ地方財政に回せるものであるかどうか、主計局長からお聞きとり願いたいと思います。
  92. 岡三郎君(岡三郎)

    ○岡三郎君 結局めぐってくると、河野さんのところは地方債の問題になるわけだが、この地方債というものを今まで出して最近においてはしめている。それはわかるのだけれども、今までやっておいて、ここでずい分固くなってきたということは、下の方がぱくぱくして口を上に上げ出してから、これはもうやらぬということでは、これは総合的にいかぬと思うのです。特にひが目かも知れないけれども、佐賀だとか京都だとか千葉だとかいろいろ聞いてみると、野党の知事がおるところは早急に干上っているという印象を受ける。(笑声)そうすると、これは政府は地方の財政をまかなう場合においては、与党の方は何とか下の方でうまくやっているのだけれども、野党は京都の知事にしても佐賀にしても、これは干上ってきているのじゃないか、そういう点で一律一体に地方財政計画というものに対して構えるというやり方ならば、これは結局まあ国全体として知事の公選廃止をして官選に移行して、からめ手から一つその方向へ持っていこうという考え方が、私らひが目として出てくるわけだが、そういう点は、これは意見になりますが、今の苦しい際になって、地方債をむちゃくちゃにしめて、他に救援ルートを与えない。そうして苦しければ首を切れ、首を切るところの起債は認めてやる。こんなべらぼうな考え方はないと思う。どうですか。もう少し地方債をゆるめて、何かこれは赤字の穴埋めじゃないと言っても、この際は少し何とかやるという方法はないのですか。
  93. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 大体地方債につきましては、先ほど申し上げました基本的な考え方をとって参りたいと思いますが、先ほど申しましたように、一挙にそこまでいくことはなかなか困難な道である。従って私は原則はその方向へ持っていくとして、そこまで到達するまでの間にやはりある順序なり過程があり、だんだんにそちらへ持っていくということは必要、だと思います。  それからこれはもうお答えするまでもなく、おわかりいただいておると思いますから、お答えしなくてもいいかと思いますが、別に野党の知事さんがおられるところへ辛く当っているということは、これは絶対にございません。ただどの県がどうということは申しませんが、私は先ほどもちょっと申し上げましたが、演説的と申し上げましたが、やはり地方債をあまりにゆるやかに、安易につけるということは禍根をますます大きくするというおそれが相当出てきている。従ってこの点はむしろ私は親切に考えたら、やはりこの点で地方債をつけないということをした方がむしろ親切な態度であるという場合もあり得るということを、これは全部が全部じゃないのですが、そういうふうに考えられる場合もあるわけです。ある県等につきましては、今お話がありました県とは申しませんが、相当やはり財政状態のよくない県につきましてはやはりその点も若干……押しつけがましい親切かもしれませんが、ある程度そういう方向をとるべきだと私は考えております。
  94. 青柳秀夫君(青柳秀夫)

    ○青柳秀夫君 簡単にお伺いいたしますが、一番初めに頂戴した刷りものの数字でありますが、資金運用部というところの合計が、三十年度は千七百十一億九千万円。この資金運用部というのは郵便貯金のほかには何が入っているか。それでその郵便貯金が幾ら、ほかの方が幾らという点をお伺いしたいことが一つと、それから別の表で御説明がありましたが、今までに、十月十五日までの実績は二百九億だけ予定よりも減収になっているというか、ふえておらぬ。こうなりますと、今後の見通しについてお話がございましたが、相当程度予定通りいかないのじゃないかと思うわけでありますが、もしそういうことになるとすると、こちらの初めの計画資金運用部の一々刷ってあります計画に大きな影響がくるわけです。もう年度半ばを過ぎているわけで、各相手方の方でも資金がいる、融通されなければ動かぬわけでありますが、先ほどの地方債なんかでも四百六十六億というものがここにあげてあります。こういうものに全部響いてくるわけでありますが、そういう場合に対するお考えを、これはまあ一本々々がこういうふうにちゃんとワクがきまっておりますから、一般会計から出すというわけにもいかないと思いますし、結局この資金運用部の金がそれだけ減ってくれば、何ともやりようがないということになるのじゃないかと思うのでありますが、理財局長のそれに対するお考えはどうでありますか。
  95. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 ちょっとそれに関連しておるのですが、簡単に……。それに付加えましてさっきのまあ特殊物資利益の納付金七十億がこれも穴があくでしょう。ですから、それも合せて、この穴に対してどうやって対処するかですね。
  96. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 資金運用部の資金の主なものは、やはり郵便貯金が圧倒的に多いわけです。これが先ほど申し上げましたように、予定では千百億、それから簡保年金、これが三十九億、厚生年金保険関係が三百十億、それからその他といたしまして各特別会計、たとえば船員保険でありますとか、失業保険、国有林野、糸価安定、漁船再保険、まあそういったもろもろの各会計からの預託金、これが大体四十六億程度であります。そのほかに回収金は、たとえば地方債の回収でありますとか、そういったふうな回収金がやはりこれは財源になるわけでありますが、これが二百十七億、それで計が千七百十二億と、こういう数字になっております。それに昨年度からの繰越しが百一億ありますから、資金の源としては千八百十四億、そのうちから来年度へ繰り越す金額をリザーブいたしまして運用しておると、こういうことに相なるわけであります。  それから第二点の郵便貯金その他が予定通りに納入金が現在までのところできない。そうした場合に、一体運用計画そのものはどういうふうにしてつじつまをつけるかということでありますが、これは先ほど木村委員にもお答え申し上げた通り、現在ではもうしばらく郵便貯金推移を見た上で対策を講じたい。で、さしあたりの問題としては、たとえば開発銀行なり電源開発会社資金繰り、従来財政投融資として見ておりましたものをできるだけ民間のベースに移していく、こういうふうな処置をさしあたりとっていくことによって相当部分がそれによって補填できるという見通しも持っておるのでございます。金額その他につきましては、今せっかく検討を加えておりますので、はっきりしたことは申し上げられない次第でございます。  それからただいま木村委員お話特殊物資納付金関係の問題でありますが、これは政府といたしましては、あらためて大体同様な法案国会に再提出申し上げたい、最近の機会に。これはいつになりますかわかりませんが。従いましてその穴は大体埋められるものと期待を今私ども事務局はしております。なお詳しいことは通産省から御説明を願いたいと思います。
  97. 青柳秀夫君(青柳秀夫)

    ○青柳秀夫君 そういたしますと、年度の途中でありますから、今後郵便貯金がふえれば満足にいくし、仮にそれがどうなるかわからぬにしても、この表で言いますと、開発銀行その他自己資金等の運用のつくところをかげんして、他の資金運用部資金だけでまかなっているというようなところについては、この数字が動かぬように、極力この方に資金を回していかれるという御方針でいると了解してよろしうございますか。
  98. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) できるだけその他の面には響かないようにいたしたいと考えております。しかしこれは今後の郵便貯金伸び工合によってまた事情が変ってくるかもしれません。現在のところではなるべく影響させないようにしていきたいという希望は持っております。
  99. 青柳秀夫君(青柳秀夫)

    ○青柳秀夫君 もしこの資金運用部資金だけでまかなっているところへ予定通り金が行かないというと、何にも財源がないことになりまして、もう申し上げるまでもないのでありますが、いろいろ大事な事業がストップしてしまうということになりますから、先ほどの御方針のように、他で何とかできる方は幾分かげんしても、これだけでまかなっているいろいろの事業、住宅の問題とか、そういうところには極力力を入れるのが本筋じゃないかと思うのです。これはもうぜひ一つそういうふうにおはからいを願いたいと思います。
  100. 委員長(青木一男君)(青木一男)

    委員長青木一男君) 大体この問題については質疑はこの程度にいたしまして、砂糖の差益利潤積み立ての問題について、通商産業省当局から説明を聴取いたしたいと思います。  なお、理財局長にはなお他の問題がありますから、しばらく……。
  101. 説明員(佐藤清一君)(佐藤清一)

    説明員(佐藤清一君) 先ほど理財局長から御説明のございました中で、七十億の穴があくと一応考えられております砂糖その他の特定物資の差益の処理をどうするかということにつきまして、ただいまとっております処置を御説明申し上げます。  御承知のように、前国会におきまして砂糖その他特別に利益の上る物資につきまして、その差益金を徴収いたしまして、財政投融資資金に充てるという趣旨で法律案の御審議を願ったのでございますが、その法律案は御承知のように審議未了になったわけでございます。ただしその法律案の御審議を願っております間にも、これらの物資につきまして刻々に差益が出て参っておりますので、この法律案が通ったらということを前提といたしまして、一応四月以降の輸入の砂糖につきましては、輸入業者から念書を出してもらいまして、一定の基準とその実際の輸入価格との差額に、すなわち当然生ずべき差益金につきまして、これを政府に供出してもらうという趣旨で実際上の処置をとって参ったわけでございます。ところが法律案が審議未了になりましたので、八月二日にあらためて閣議の了解でこの法律案の趣旨にのっとりまして、今後まあ同様の法律を出すということを一応念頭におきまして、同様の基準でこの差益金を今後も引き続き供出してもらうというような閣議の了解がございまして、それに基きまして九月の十二日に次官会議の決定によりまして、砂糖の差益金処理要領というものを定めた次第でございます。  この砂糖の差益金処理要領によりますと、大体輸入業者及びメーカー、すなわち外貨の資金の割当を受けるものは、その外貨資金の割当の際に念書を出しまして、法律案で予定いたしました一定の基準、それと実際の輸入価格との差というものを通関後三ヵ月内に預託をしてもらう。で、もしその預託ができない場合も考慮いたしまして、念のために銀行の連帯保証状をとりまして、もしそのものが預託ができない場合には、その連帯保証状を出した銀行がかわってこの預託を行うということにいたしまして、これらから生ずる、砂糖の輸入によって生ずる差益金の確保をはかると同時に、その念書におきましてこれらの金の処分については、政府に一任するということを出してもらったわけでございます。  そこで大体金額的に申しますと、一応四月から七月までの割当分といたしましては二十二億という金が予想されております。なお、八月以降来年の三月までの輸入金の予定でございますが、これは下期外貨割当及びその後の契約の状況から申しまして大体二十二億七千万円ぐらいが入るのではないか。で、これで合せまして四十六億ばかりのものが砂糖から入ってくるわけになります。  なお、そのほかに、バナナ、パイナップルのカン詰につきまして、やはり差益金が生じますので、これらを、これは砂糖と若干やり方を変えておりますが、やはり差益金を徴収するという点においては同じような趣旨で法律案を出したわけでございます。これもやはり審議未了に終っておりますが、バナナ及びパイナップルのカン詰につきましては、外貨の割当を海外貿易振興会一本にいたしております。その海外貿易振興会でその差益金を保管いたしておりまして、これも同じく政府に寄付を願うということになっております。このバナナ及びパイナップルのカン詰から生じます差益が約十三億五千万円ばかり予想されております。これを合せますと、本年度中に五十九億六千万円、約六十億という金が、もし法律案が通りません場合におきましても、一応寄付金として政府が受けられるという態勢になっております。従いまして先ほどの当初の予想の七十億というのから比べまして約十億ばかり減っておりますが、これは砂糖の入着の状況が若干おくれたということのほかに、あるいはその歳出しの期日の関係で幾らかズレを生じておりますので、いずれ残りは来年度に入りましてから徴収することができる。徴収と申しますと語弊がございますが、寄付を受けることができるというように考えております。法律がもし次の国会で御審議願いまして成立いたしますれば、そのときから法律による徴収に切りかえて参りたいと存じますが、いずれにいたしましても、一応その場合に備えまして、なお今年度資金確保という面から、この特別に差益の生ずる砂糖、バナナ、パイナップル等につきましては、ただいま申し上げましたような要領によりまして、一応の資金の確保措置を講じております。  一応簡単でございますが、ただいまとっております措置につきまして御説明申し上げました。
  102. 委員長(青木一男君)(青木一男)

    委員長青木一男君) 質疑をお願いいたします。
  103. 天田勝正君(天田勝正)

    天田勝正君 差益金の処理につきましては常に保守政党側とわれわれ側とはっきりと態度が分れる問題なので、私はその根本的な問題を議論しておりますと意見も多くなるから、その点は法律案提出の際に譲っておきますが、ここで聞きたいのは、私が不思議に思うのは、一体普通こうした差益納付の問題は資本家側はいつも反対してきたはずなんです。資本主義に立てば、もうかるときにいかにもうけようとも、一体損をしたときに政府がそれを補償するわけでもないのだから、幾らもうけてもいいじゃないか、こういう立場に立つ。今度はおそろしく協力的なのです、初めから。これは安定帯価格なるものが、われわれから見れば、過当に保護されておるというところから出てきたのですが、いずれにしてもですよ、片方は別段法律の定めがないのに納付する側に回っておる。それから政府が念書を取るというのは一体どういうわけなんですか。念書をまたやすやすと渡すその心理もおよそ理解ができないことだが、政府の方から、やがてこうなるであろうから、その間このようにしておいてほしいというので、政府側から念書を渡すというのなら多少の筋だが、俗な言葉で言えば、ふんだくられる方の側から念書を取り、またやすやすと一体入れるという何があるのですかね。これは管理貿易だからその方の資金割当なんかにらみがきいておるので、やむを得ず出しておるのではないかと思うのだが、そういうやり方というものは、これは私から言わせれば官僚のいけないところだ。私は資本家の立場に立ちませんよ。私らの立場に立って論ずるときは別に論じますが、それはやめておいて、自分がそういう法律の根拠のない施策をやるのに、相手から念書を取るという、こういう基本的なものの考え方というものについてはわれわれは了解できないが、その点についてあなたはどう考えられるか。
  104. 説明員(佐藤清一君)(佐藤清一)

    説明員(佐藤清一君) 念書の取り方の問題でございますが、これは大体実質的に申しますれば、政府関係の業界と話し合いをいたしまして、政府の趣旨にのっとって、とにかく法律審議未了になったわけでございますが、これは否決になったわけではございませんので、一応その法律の運命をどうするかということはペンディングになっております。ペンディングの状態におきまして両者話し合った上で、かくかくの基準においてこれを処理しておいたら便利であろうという趣旨で、その差益を積み立ててもらう一つの基準と申しますか、そのよりどころと申しますか、そういうような趣旨で出していただいておりますので、念書という言葉が適当であるかどうか存じませんが、一応そういう約束をしました。その処理要領だとこういうように私ども考えておる次第であります。
  105. 天田勝正君(天田勝正)

    天田勝正君 こういうことはすべて常識で一つ答弁していただきたいと私は思うのだが、とにかく、いずれにせよ、差益納付金というか、法律の定めがないけれども、差益納付金というのを納めれば、それだけはっきりと、損という言葉が当るか当らないか、少くとも確保される利益がそれだけ減るということは間違いない。これが対等の立場で、あなたのおっしゃるように相互自発的に話し合いに乗るなどということは、普通の常識では考えられません。そこで私の聞くのは、そのようにやすやすと乗ってくるというのは、私どもが指摘したように、いかにあの安定帯価格というものが甘かったかということを私は自然認めなければならぬと思いますが、そういう考えになりませんか。
  106. 説明員(佐藤清一君)(佐藤清一)

    説明員(佐藤清一君) おそらく砂糖その他の特定物資につきまして相当な超過利潤が生じておるということは、これは明らかでございます。従いましてただいまお言葉のように、もちろん業界といたしましてはできるだけ利益は多く取った方がいいにきまっておりますが、それではやはり世間の批評と申しますか、世間の非難も受けることになりますので、やはりもうけというものはほどほどにいたしまして、適当なととろ、それ以上越えるものにつきましては、これは出すということで納得されたのではないかと、世間常識的に解決しろというお話でございましたが、大体業界の方でも常識的にこの辺で出すのがよかろうというように考えられたのではないかと思っております。
  107. 天田勝正君(天田勝正)

    天田勝正君 そこが役人式答弁というのでね、私に言わせると。それはほどほどにしなければ世間の非難を受ける。それならばほどほどに利益を減らして、そうして大衆に売り渡す価格を下げればいいので、それが一つ方法でもある。政府がこれに関与するならば、結局予定された安定帯価格というものが高過ぎるからそういう差益というものが生ずるので、政府が次に出してくる法律案においては安定帯価格をもっとうんと下げる、こういうことをいたせば、それはそういう問題も起きない、私はこう考えます。もしそれが意見にわたるというならば答弁は必要ありません。  次に伺うのは、しからば政府予定されたように法律案が通過して、それによる差益納付金制度ができた上に納付させるならば、それは政府納付金という形で利潤の方へ加わらない。利潤の方へ加わらないから、従ってそれが課税の対象にもならない。こういうことになると思うのです。ところが今現在においてはあなたの説明のように十億ばかりの予定された不足も、来年度になれば徴収という言葉は当らないが、とにかくそういう形で処理ができるとおっしゃっておる。すると、これは勢い寄付ということになる。寄付ということになれば、当然に全額が利益ということになって、すべて課税の対象になる、こういうことになります。その点の処理はいかがなさるおつもりですか。これは税金に関連いたしますが。
  108. 説明員(佐藤清一君)(佐藤清一)

    説明員(佐藤清一君) 安定帯価格につきましては御議論がございますが、一応私どもといたしましては農林省の方の専門家が過去の生計費実数等から複雑な方式を用いて算定いたしましたものでございまして、大体安定帯価格はそれで妥当なのではないか、こう考えた次第でございます。  それから差益金の処理の問題でございますが、これは寄付金という形で出していただきますので、課税の対象にはならないのでございますが、法律上の根拠は法人税法の中に根拠がございまして、政府に対する寄付の場合は課税の対象にならぬということでございます。
  109. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 法律案を大前提として大体七十億という金額予定して徴収しているようですが、その後著しく砂糖が上っていて、新聞なんか見ても超過利潤は予定よりうんと多いではないかということが伝えられている。それでわれわれ納得いかないのは、あの法律がまだ通らないのにあの法律を前提として徴収することは、実際法律に対する賛否というものがわかっていない。安定帯価格の問題だってそうです。法律が出たときにあれを審議してそれを前提としていいか悪いかを採決して通った場合にやるべきである。しかるに全然法律的手続をなくして、実は法律でやるべきことを行政でやっているということは非常に問題がある。ああいう法律をわざわざ出してきて、その法律が通らないうちに法律によるべきことを行政でやっているということ、ここに問題があるんじゃないかということ。それから最初に予定したよりまた著しく剰余金がふえてきている、それに対して一体どうするのか。
  110. 説明員(佐藤清一君)(佐藤清一)

    説明員(佐藤清一君) 砂糖の価格が急に上りまして、それによって剰余金がふえるということにつきましては、まことに御もっともでございますが、砂糖の価格が上ると申しますのは大体過去の例によって見ますと、輸入の時期が多少ズレでおくれてきた、あるいは手もとに砂糖のストックがだんだん減ってきたということになるときに起る問題でございまして、これは率直に申しまして、私どもの過去の割当方式その他におきまして、これが非常にこま切れ式な輸入公表をやったということに原因が、さかのぼりますといろいろ対外的な関係その他がございますが、それはともかくとしまして、とにかくやり方がまずかったために、そういうことになったことは率直に認めなければならぬと思います。ただしそこで結局今後のこういう砂糖の価格が大体安定帯を著しく上廻らないようにするために、今回の下期の割当から、外貨予算で組みました金額の半分以上を一括して期の初めに割り当てまして、そこでそのような輸入の渋滞を来たさないというふうに処置をいたしております。また途中におきまして著しく価格が上るような場合には、緊急輸入をも行いましてその輸入の面から価格をできるだけ安定帯の近くで据え置くように処理をしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、価格をこういうことでやることは非常に不都合である、こういう御意見でございました、私どもといたしましても、外貨の事情が許しますならば、さらに砂糖の外貨割当をふやしまして、この輸入数量を潤沢にいたしますれば、もちろん現在に比べましてはるかに価格は下るのでございます。一面外貨の面からの制約がございますのと、それから幾ら下っても消費者としてはいいわけでございますが、他方この砂糖の価格の下落によりまして著しく影響を受けますテンサイ糖であるとか、あるいはあめの原料を作っておりますイモの関係という方面の考慮もございまして、どこまで下っても下れば下るほどいいのだということにも、一がいに言い切れないというような農林省方面のお考えもありまして、そこを調整いたしまして、大体安定帯価格というような考え方結論が出たのであります。
  111. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 ちっとも答弁になっていないのですが、その法律と行政措置との関係を聞いておるのです。これはこの措置だけでなくほかの問題もとにかく法律が出ていてその法律が通らなかった、それを前提として行政措置でどんどんやることについて問題があるのじゃないか。その点が一つと、それからもう一つは、今後の砂糖が上らないようにということについての御答弁でしたが、現に上って超過利潤が予定よりふえておる、その分についてどうするかということ。それから今対外関係があるからというようなお話がありましたが、対外関係というのはどういうことか伺いたい。
  112. 説明員(佐藤清一君)(佐藤清一)

    説明員(佐藤清一君) 法律が通らないのに行政措置でこういうことをとるのはけしからぬというお話……。
  113. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 けしからぬじゃない、それをどういう根拠によってやるのか、いいのか悪いのか。
  114. 説明員(佐藤清一君)(佐藤清一)

    説明員(佐藤清一君) これは先ほどから御説明申し上げましたように潤沢な輸入ができませんので、結局差益を生ずる。従いましてこの差益をほうっておいて精糖業者だけの利益にするということは、これは常識的に申しましても適当でないということで、法律の御審議の決定を待つまでの間、その出てきた利潤をそれじゃどうすればいいかということで関係の業界と話し合いまして、業界の方もそれはそういう不当なと申しますか、過当なる利益をふところに入れるつもりはないので、そこは一つ供出をいたしましょう、こういう話し合いになったわけでございます。  それから対外関係と申しましたのは、たとえばインドネシアの砂糖であるとか、フィリピンの砂糖であるとかいうようなオープン・アカウント関係砂糖につきましては、大体政府間で値段の話し合いをいたしておりまして、先方が著しく高い条件を出してくる、あるいはその他の取引条件につきまして非常に不利な条件をこちらに要求してくるというような場合には、政府政府の間でこれをさらにネゴシエイトいたしまして、できるだけこちらの有利な方に近づけるように交渉いたしたりしておりまして、そういう関係で若干入る時期がおくれたというようなことも事実としてあったわけでございます。  それから予定以上の利益についての御質問でございますが、これは安定帯価格を下回るというような場合がありましても、それはまあそこで相殺されるというようなことも考えておったわけでございますが、事実非常に安定帯価格を著しく上回っておるというようなことだけで終始いたすような場合は、まあ別に考えなければならぬかと存じますが、これはちょっと今私だけで申し上げる立場にございませんので、御了承願いたいと思います。
  115. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 じゃ、一体どの方に伺ったらいいのですか。
  116. 説明員(佐藤清一君)(佐藤清一)

    説明員(佐藤清一君) これはやはり一応の基準に従いましてこういう処理をするということで、閣議の了解あるいは次官会議の決定を得ておりますので、その基準を変えます場合には、やはりそのような手続をとっていかなければならぬかと思います。
  117. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それは閣議了解を得ておやりになるのですか。
  118. 説明員(佐藤清一君)(佐藤清一)

    説明員(佐藤清一君) これは事務当局といたしましては、著しく過当なる差益が製糖業者に入らないようにしたいとは存じておりますが、それは今私がここでそういうふうにいたしますというお約束を申し上げる立場にございませんので、御了承願いたいと思います。
  119. 杉山昌作君(杉山昌作)

    ○杉山昌作君 ただいまのお話ですと、砂糖に関する寄附金が六十億だと、こういうことなんですが、この投融資計画だと七十億ということになっておる。数字の面からいくと十億くらいの違いのことなんですね。この程度のことはどうせ予算ですから出るでしょうが、ただ寄附金ですから、これはどこの省の管轄になっておるか、また受け入れの方も一般会計だと思いますが、そういうふうな整理いかんにかかわらず、それはどこでどうやってもけっこうですが、実質問題として、それは入ってくるに従って、順次投融資の方へ金が回し得るようなことに政府内部の取扱いがなっておるかどうか。もしそれがなっていれば、一番初めの理財局長の話で、今年は投融資の原資がこれで七十億と郵便貯金で何百億と、こういうふうなことでございましたけれども、このお話は、これで十億と郵便貯金が幾らというふうな原資の減少にすぎないと言うとなんですが、というふうに了解してようございますか。
  120. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 法律通りまして正式に金が入りましたら自然に動くようになっております。所管は、案では大蔵省の為替局の方で所管することになっております。  それから六十億と七十億の差でありますが、これは冒頭にも申し上げました通り、その他の会計——財政投融資財源におきましても若干の出入りは差があるわけでございまして、三千億の中の十億程度出たり入ったり、また予定よりもふえるものがあるわけでありますから、その程度はある程度カバーできるのではないかと考えております。
  121. 杉山昌作君(杉山昌作)

    ○杉山昌作君 もう一度伺いますが、法律が通ったら使えるのだというと、法律はこれから通さなければならぬ。下手すると法律は通常国会で三月になると、もう本年度は終えてしまいますから、法律が通るまでは六十億の金が、上半期は二十億とか二十五億とか入ってきても、法律が通るまでは使えないのだということになると、結局本年度の投融資計画は、理財局長初めにおっしゃった通り、七十億の資金滅というふうな作用として働いてくるのかどうか。
  122. 説明員(佐藤清一君)(佐藤清一)

    説明員(佐藤清一君) 一応法律通りません場合の考え方といたしましては、この出ました六十億なりその近い金を一般会計に寄附をいたしまして、一般会計から産特に組みかえをやっていただくと、こういうふうに考えております。なお、この金は大体輸銀の原資に充てられるわけでございますが、輸銀の最近の状況を申しますと、上期の貸出実行額が予定よりも少くなっております。これは上期に比較的金の余計要る船舶関係の貸し出しが比較的少かったということがございますが、下期にこれが相当ふえたといたしましても、回収金も順調でございますので、大体年間を通じまして、資金計画といたしましては、輸銀だけ考えてみますと、そう窮屈ではない。つまり来年度相当な繰り越しができるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  123. 委員長(青木一男君)(青木一男)

    委員長青木一男君) それじゃただいまの問題について御質疑がなければ、通産省関係の方は退席されてけっこうです。   —————————————
  124. 委員長(青木一男君)(青木一男)

    委員長青木一男君) それでは次に移ります。
  125. 平林剛君(平林剛)

    平林剛君 理財局長お尋ねいたします。大蔵省の理財局で、百円の硬貨を鋳造するという方針がうわさの種になっている。こいつは本格的に決定をしたものであるのか、それとも目下検討中のものであるのか、まずこの点についてお伺いをしておきたいと思います。またもしかりに現在の情勢のもとでいけば、次の通常国会あるいは臨時国会で立法措置をとる、そんなところまで進んでいるものかどうか、その点を明らかにしておきたい。
  126. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 百円硬貨の問題はいろいろ検討いたしておりますが、まだ結論に到達いたしておりません。今後も検討は続けて参りたいと思います。それからかりに百円硬貨を出すという方針をきめました場合には法律の改正を要します。
  127. 平林剛君(平林剛)

    平林剛君 そういうことであれば、もう少しこまかいところまでお聞きをしておいた方がいいと思います。お尋ねしますが、あなたの方で百円硬貨に転換をするということが適当ではないかということで、これを検討している理由は一体どこにあるのか。
  128. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) まだ結論は出ておりませんことは、先ほど申し上げました通りでありますが、いろいろ検討いたしております場合に、百円硬貨を出した方がいいという理由はいろいろあると思います。  第一は、やはり通貨の価値がだんだん安定いたして参りますと、大体各国の例等からみましても、大体日本の百円程度はどの国でもやはりコインという形になっている。戦争前の日本におきましても、平常昭和何年というころにおきまして、五十銭がやはり銀貨であった。現在の物価の指数で直してみますと、大体やはり百五十円から二百円ぐらいになるかと思いますが、そういった点、アメリカ、イギリス、フランス、いろいろな国の例等からみましても、大体通貨の価値が安定して参りますと、その程度のところはコインでいいのじゃないか。なぜコインの方がいいのかという問題につきましては、これはいろいろ問題があると思います。  第一は、この方がはるかに国民経済的にみて経費が安いということであります。もっと詳しく申し上げますと、今の日本銀行券の百円の紙幣、これは製造費が大体四円五、六十銭じゃなかったかと思います。しかも現在の百円の紙幣は大体一年しかこれは持ちませんが、百円の銀貨——コインは銀貨といたします——これは大体どの程度の大きさにし、どの程度の品質にするかにつきましては、まだ検討もいたしておりませんが、従来の例及び外国の例等からみまして、大体資材価値及びこれの製造費を入れまして、大体四〇%から四五%ぐらいが普通の場合だと思います。かりに百円に対して四十円から四十五円の金がかかるといたしますならば、日銀券を十年分使うための印刷の費用をかけますならばコインというものはできるわけでございます。しかも日銀券は十年たてば紙くずになる。同じ経費をかけて紙くずになる。コインは御承知通り半永久的なものである。そういったところからいえばもう明らかにコインの方が経済的にも……、ただ問題は通貨の価値が安定いたしておりませんときには、価値が下りますと、この資材を鋳つぶすということになります。従って通貨の価値が安定しない限りは、大額のコインというものはなかなか出せないということでありまするが、私どもはその点についてはもう大体見通しはついているのではないかと考えております。  それからやはり通貨の体系なり通貨の制度としてどういう形がいいかという問題がいろいろ考えられる場合に、やはりこれはそうむずかしい理論はないのであって、要するにそれを使う人、それを受け入れたり出したりする人の便宜ということが非常に問題になる、便宜というのは各国民一人々々が札を持った方がいいのか、あるいは硬貨の方がいいのか、これはおのおの各人の便宜、どちらがいいかということは意見が分れると思いますが、これはやはり百人が百人どちらがいいという結論はなかなか出ない。私はこの点はやはり皆さんのどちらがいいのだという、まあ便宜論は十分に意見を聞かなければならぬ。それからこれは御承知だと思いますけれども、この金を大量に取り扱う金融機関の窓口という点から見ますれば、これは最近機械が相当完備いたしておりますから、コインの方がはるかにコストも下るし、便利である、能率も上る、経費もうんと下るということは大体間違いないように思います。そのへんにつきましても、私どもはできるだけ各人の御意見は十分に聞いていかなければならぬと考えておりまして、今のようなことなのでございますけれども、まだ、しからば直ちに百円のコインを出すことを可とするという結論に未だに到達していない、こういうふうな次第であります。
  129. 平林剛君(平林剛)

    平林剛君 あなたのお話のように百円硬貨の問題については、国民全般から見てもよいという意見もあれば、よくないという意見もあって、なかなか判断に苦しむ問題だと思うのです。また利害関係においてもかなり各方面に波紋をまき起すだけに、あなたの態度のようによく全般の意見を聞いてから定めるというのは正しいと思うのです。しかし議論をするわけではありませんけれども、あなたの方で今考えておられる意見の中で、まあ外国との例などはこれはまあそのまますぐ日本に引き直してくるというふうにはいかぬ問題があると思うのです。外国における貨幣の価値の問題とか、日本との比較において、すぐそのまま硬貨の採用がいいという結論にはなってこないだろうと思うのですね。問題はこの貨幣を作った方が国民に対して便利であるかどうかという点も、あるいは通貨価値に対する信頼が出てくるかどうかという点もあると思うのですが、これはやはり国民各層によって違う。銀行筋はいいかも知れないが、ふだん、いわゆるサラリーマン階級のものであれば、今の経済状態の中ではやたら重たい貨幣を持って歩くよりは、紙の方が軽くていいということもある。根本的にはやはり通貨価値の安定ということにかかってくるのですね。それについては議論があるのです。ただ心配しているのは、あなたの方の理由の中で通貨体系を、あるいは通貨系列というものを整えるというような考えがあって、そこからこの考えが出てきているのではないかという点をお聞きしたいのです。こういう問題を取り上げる場合は余り思いつきでやってもらいたくない。一番大事な問題として通貨体系、系列を整備するというような考えがもしあるとすれば、私の聞いた範囲では、たとえば今後の通貨系列は、硬貨の場合には百円、あるいは五十円、十円、五円、一円ということでいって、紙幣の場合においては今は百円というものが一番流通量が多いわけですけれども、今後たとえばこれを一万円札とか五千円とか、あるいは千円とか五百円とかいう紙幣で、貨幣——硬貨と紙幣との系列を整備していくのだという方向がもしあるとすれば、やはりここにまた一つの問題が起きてくると思うのです。ですからあなたの方のやつが思いつきでないというのならば、系列についてはどういう考えを持っているのか、系列を整える場合には、やはり先国会で問題になったような一万円札の問題でも考えているのではないだろうかという疑いを持つわけです。これについてはどうですか。
  130. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 私ども思いつきではこういうことは決してやりません。先ほど申し上げましたように決して思いつきではないので、一生懸命に研究した上でやっているわけであります。こういう大事な問題は軽率にはできません。一万円札も、五千円札の問題もこれは問題として検討いたしております。私はやはり時期の問題はありますけれども、いずれかの時期には、やはり百円は硬貨になると私は思います。特別な経済情勢の変更のない限り、いずれは硬貨になる、また通貨の価値がはなはだしく将来に向って変更しない限り、私はある時期においては一万円札を出してもいいと思います。ただこの問題につきましては、やはり心理的な影響、高額の紙幣についてはインフレ的な心理的な影響を与えるおそれもある。従って私はこれは物理的には問題はないと思いますけれども、そういう心理的な影響というものは通貨というものについては十分考えなければなりませんので、結論は百円の硬貨と同じ理由において結論は出ておりません。出ておりませんが、当然私ども頭の中には、そういった一つの系列を考えながらいろいろ検討いたしている。結論は、しかし同時にやるか、全部やらないかということではなしに、頭の中にそういう系列を描きながら、時期についても適当の時期を選んでいくべきで、あるいは一つはとりあえずはやらないで、当分一つだけやるということもあり得ると考えております。しかし頭の中にはちゃんとそういうことを描きながらこの問題は検討したい、こう考えております。
  131. 平林剛君(平林剛)

    平林剛君 私が思いつきと言ったのは、あなた方の努力に対してけなす意味ではない。私は百円硬貨の問題については、まだ反対するとも賛成するとも、いずれともきめていない。われわれも検討中です。それで今日はあなたの意見をよく聞いて、それが今採用することがいいのか、あるいはもう少し時期を見るべきかというようなことを最終的結論を下そうと思っているから聞いているのです。そこで今言った系列を整えると、こういうことの構想を描きながら、今度のことを考えていったところで、あなたはいつまでも理財局長でいるわけではないし、全般の政府としての考え方によって、そして今回の百円の硬貨が考え出されたものであるのか、たまたま先回の国会において貴金属の返還に関する特別措置法なんかもあって、その他のいろいろの問題もあって、この際出てきたものか、それによってはまた違うので、私はそういうことを聞いているわけです。
  132. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 貴金属の問題の処理との関連とか、そういった問題から百円硬貨を出すか出さんかということを考えているわけではありません。先ほど申し上げましたように、通貨の系列として果して今の日本経済の実情に合うか、通貨の価値等から見て適当かということから考えまして、ただ問題としてはやはりその付随的な問題として、私どもはやはりいろいろな影響を考えなければならない。たとえば硬貨を出す場合でも、そういうことの素材となるべき銀があるかないか、なければこれは出せないということでありますので、そういった問題についてはどの程度一体銀のストックがあるか、使えるものがあるか、大体雇用の問題についてどういうふうな影響があるか、それぞれいろいろ関連する問題を検討し、それに支障のないように努力しなければならない。考えてきたるもとは、そういうところにないということであります。
  133. 平林剛君(平林剛)

    平林剛君 私も通貨の系列を整備するということは、将来経済が安定してきた場合にはどうしても必要なことであります。あなた方の所管として当然検討しておかなければならない問題だと思います。しかし今一万円札を発行することがいいかどうかということと、これは別ですね、系列ということと。そこで今百円の硬貨を発行するような考えを持ってきたのは、逆な意味からいえば、通貨の価値の安定についてある程度見通しがついたから考え始めたのだというお答えがあったのです。しかしどうなんですかね、今の貨幣の系列の中で百円の硬貨を出せば、すぐにそれが経済の安定なり、あるいは経済の実情とか貨幣の信頼に対して大きな変化を与えぬというそれだけの自信はあるのですか。
  134. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 私は逆に考えているので、硬貨を出すことによって通貨の価値を安定させるということ、あるいは経済を安定させるということじゃないので、やはり通貨の価値なり経済全体が安定しておるというベースの上に立って、初めてこういう大額の硬貨というものを出し得る条件が備わってきたのだと、こういうふうに私は考えております。これは見方がいろいろあると思いますけれども、私はもう日本経済正常化ということの方向相当基礎がためができてきて、今後においても通貨の価値というものは経済界全体が努力しなければいけませんけれども、そんなに大きな二、三年前みたいな通貨に対する価値が変動するというようなことは万ないし、またそういうことはないように今後あらゆる施策の重点として努力しなければならぬ、その考え方を前提としなくちゃやはり百円硬貨は出せない、こう考えております。
  135. 平林剛君(平林剛)

    平林剛君 もう一つの別の角度からお聞きしておきたいのですが、国民生活の現状というものと、それから通貨価値の安定度ということに対する見方は、それぞれの見方で違ってくると思う。ですからそれはまだ議論が残ると思います。しかしこういう角度からこれを考えた場合はどうですか、あなたのほうの考えとして。たとえば国民がこの百円硬貨を喜ぶかどうか。現在の国民生活の実態から見て、銀行筋やデパートのほうは勘定しやすいから工合がよろしいということはある。しかしほとんど百円というものを大事に使っておるところの一般国民大衆から見た場合、生活面においてどういう印象を受けるだろうか、こういうことはどう御判断をなさって今研究なさっていますか。
  136. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) その点について私はまだ正式に百円の硬貨を出したいが、皆さんどうですかというふうな形では国民の方々の御意見を伺っておりません。しかしいろいろな方法で非公式には一体硬貨の方が百円というものはいいのかどうか、便利なのかどうかということはいろいろな形で聞いております。で、先ほど申し上げましたように百円はもう硬貨の方がいいという御意見と、それからやはり札の方が使いなれているからいいという御意見と両方あるようです。しかしそのパーセンテージがどっちが多いかということは、まだ非常に一部の八しか聞いておりませんから、はっきりしたことは言えません。だけれども、私どもはあらゆる方法でもってできるだけ多数の人々から実際に金を扱う国民の一人一人はどっちを一体便利と考えるか、こういうことは非常にこれからも御意見を聞きたいというつもりでおります。私はかりにそれが五分々々であるならば、硬貨を出すべきだ。それは申し上げた通り、これはどうせ百人が百人どちらかということはないのですから、そうすれば、今申し上げましたようなほかの条件は硬貨の方を可とする条件が多いのですから、私は五分々々ならば硬貨を出すという方向にいくべきだと、かように考えております。
  137. 平林剛君(平林剛)

    平林剛君 五分々々であれば貨幣を出した方がいいという結論をするのはちょっと早い。もう一つ問題がある。それはやはり私はどんな政治を行うに当っても、国民のある程度の利害というものが伴うわけでありますから、そういう点について十分な考慮を払わなければ、今砂糖の問題について議論があったように、法律がないのにいろいろな名目をつけて価格差を吸い上げるということは、まあ現在の事業体というものはもうけすぎているから、感情としてはそれは当然だと思っても、法律という面から見るというと無理がある。これと同じように、百円硬貨をやる場合もやはり相当の国民に対する配慮というもの、一般国民でなくて利害者に対しての配慮というものもしながら仕事を進めていかなければならん、こういう考え方をもっております。たまたまこの問題についてはあなたも御承知のように、一つには今まで紙幣を印刷しておったところの印刷局の職員に解雇の問題がありはしないかという心配が出てきている。現に全印刷労働組合の見解によれば、現在の職員の中でこれにたずさわっているところの三千五百名から四千名の人が人員を整理されるのではないかという点を非常に心配をしているわけです、この百円硬貨のために犠牲になっても仕方がないということではあまり権力主義政治すぎる。またそのほかに、四国にあるみつまたの耕作者、約三万程度の人たちも、これは生活の脅威を受けることは当然です。特にみつまたを製造していた人たちは、今まで日本の貨幣制度が紙幣に重きをおいておったから特に奨励して、その生活のかてにしておったわけですから、そういう意味でこれに対する配慮も行いながら百円硬貨のことを考えていかなければならぬと思うのです。こういうことをあなたの方は専門外だといえば別ですけれども、政治の面ではやはり相当の考慮を払っていかないと相当無理が出てくる、こういう点についてはあなたの方はどういう配慮があるわけですか。
  138. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) みつまたに対する影響とか、あるいは雇用の問題、ことに印刷局の職員の雇用の問題についての配慮、これは私どもは全然配慮の必要なしということはいっておらないのであります。これは非常に重大な問題ですから、そういう問題について十分配慮しなければならない。それからかりに硬貨を出した場合に、そういう問題について生ずる影響というものは最小限度にとどめていかなければならない。かりに行うにしても、そういうことを私はまじめに考えております。ただ、よく誤解がありますからこの際、誤解を解いておきたいので、現在百円の日本銀行券の印刷をかりにやめたといたしました場合に、一体印刷局というものはどういう作業体系になるかということをいろいろ検討いたしましたところが、この場合に忘れてならない一つの重要な問題がある。これは現在の日本銀行券の発行もと、つまり発行準備、手もとに準備としておい  ておかなければならない日本銀行券というもの、未発行の準備、これが非常に手うすなんです。今は大体発行高が——これは券種によって違いますが、全部含めていいますが、発行高一〇〇に対して手もとの準備は六〇しかない。戦争前といいますか、要するにふつうの昭和十年とか十一年とか、あの頃の正常の状態におきましては、発行高一〇〇に対して二五〇から三〇〇の発行準備をもっておった。これはどうしてそういうことになったかといいますと、やはり戦後における急激なインフレのために急激に発行高がふえております。それになかなか印刷能力が追いつかなかったという点が一つ、それで、非常に今の状態では発行もとが手うすなんです。私は少くとも戦前におけるような三倍という必要はないにしても、せめて発行高一〇〇に対して二〇〇の準備くらいはもつべきじゃないか。これもなかなか一挙にはいきません。一挙にはいきませんが、大体私どもはそういう観点に立って、百円の銀行券を出さないとした場合に、つまり五百円以上の券面によっておきかえて、かつそれを二十年かかって二倍の発行もとになるような計算、もっと早くすればもっと連年の印刷を多くしなければならん場合もある、仮に二十年かかって二倍にするという計算を出してみた場合に、今お話がありましたみつまたの問題と印刷局職員の問題でありますが、これはみつまたの所要量は今の状態を一〇〇といたしまして、今の一〇〇が、今の使用量は少いか多いか、これはいろいろ議論があると思います。これは私は現在を一〇〇として計算してみたらつまり百円の硬貨を出すことによる影響というものはそれでわかるわけです、やった場合には。少くとも十年、今後十年私はほんとう言えば二十年、十五年大丈夫だろうと思いますので、ここ十五年は今のみつまたの使用量の一〇〇に対して決してその一〇〇は落ちません。今申したような前提に立ってやるならば。それからこの印刷局の職員に対して整理を行わなければならぬかどうかという点は、これはある程度の整理は免れないと思います。ただこの点につきましては、いましばらく精密なる計算をしなければならぬし、それに対する対策は影響はあるのですから、絶無じゃないのですから、対策も合せて講じなければならぬと思いますが、少くとも四千人、三千五百人だといったような人たちが、しかもとたんに整理されるといったようなことは全然ございません。はるかに少い整理人員で済むと思います。しかしそれじゃ何千人だと聞かれました場合に、今私ここでお答えするだけの確信ある材料を持っておりませんから申し上げられませんが、四千人、三千五百人あるいは三千人だというような、そんな大きな数字は、しかも一年や二年の間に起るということはない、この点は私ははっきりここで申し上げられると思います。まあそういったことでありまして、しかしそれかといってある程度の整理ということは考えなければならんと思います。もっとも自然退職といったようなものもありますから、そういったことを合せてみると、私はそんなに非常に大きな大量の整理ということは先ほど申し上げましたようにならないとは思いますけれども、いずれにしても、そういったことに対する影響をできるだけ緩和するというふうな対策は私どもは考えておる。たとえば仮に百円硬貨を出すといたしまして、これを百円の日銀券をここの一年、二年で全部変えてしまう、おき変えてしまうといったようなことは、これはやっちゃあまり急激過ぎると思います、影響が。従ってそれをたとえば十年の間にやるとか、あるいは八年の間にやるとか、そこを緩和していくならば、逐次そういった問題の処理ができていく、しかしこういった配慮、その他あとの整理の対象になった方々をどういうふうにして受け入れていくといったような問題についての配慮は十分いたさなければならんと思いますけれども、今言われているような、そういったみつまたがたとえば半分になってしまう、あるいは四千人の印刷局の職員の整理が要る、そういったふうな問題では、全然程度がまるで違う、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  139. 委員長(青木一男君)(青木一男)

    委員長青木一男君) 私ちょっと用事で退席して代ってもらいますから、一言この際申し上げておきたいと思いますが、この問題は今平林委員からも指摘されたように、いろいろな影響のある問題であり、それからこの通貨くらい国民全部が関係をもっている問題も少くないのです。それで慎重に考えるということだからけっこうですが、五分々々ならかえた方がいいという御意見ですが、しかしこれは現状は紙幣ですから、その点はこれはよく考えなくちゃいけない。改めるという以上は、余ほど世論が要求して改めるということが普通常識だろうと思いますから、そういう点もほんとうに慎重に考えて、国民の利便ということを主として考えて、そういう立場に立って、急いで結論を出されることはわれわれも不賛成ですから、その点はよく一つ大蔵省では慎重に研究されたいということを私は希望申し上げて、ちょっと私委員長席を西川理事に代ってもらいます。   〔委員長退席、理事西川甚五郎君着席〕
  140. 岡三郎君(岡三郎)

    ○岡三郎君 私は一万円札との関連がどうしてもあると思うのですよ。それは、それで経済正常化してきたから硬貨を出してもいい、その理屈もわかると思う。ただし一万円との関連でそれならばデノミネーションという問題があるわけなんですね。一万円なんと数えるならば、それは百分の一に削って百円にして、どうせ硬貨を出すならば、百円のやつを一円というふうにしてやってみたならば、国民は非常なる便利だと思うのですよ。これは多くの経済的な影響があるから簡単にはできないとしても、一応硬貨をやるとなったら、やはり通貨の体系というものと、それから今言ったような呼称をもっと簡便にするということは、これは常識的なことだと思うのですが、経済正常化という問題が今論ぜられたわけですが、デノミネーションというものはどういうふうに考えておられるのですか。
  141. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) デノミネーションというのはやるつもりはありません。そういうことを考える場合には、なかなか大額の硬貨を出すということはむずかしいと思います。私どもは、これはいろいろ御意見もあります。それから当委員会でもそういったことに対する御意見は十分に、私やったらどうだという御意見も拝聴しておりますが、私は今のままの呼称でもって、そういう弊害というマイナス面はない。むしろそれを、デノミネーションを行うことによって生ずるかも知れない——これは生じないかも知れませんが、生ずるかも知れない影響に比ベるならば、今呼称がただゼロが少いか多いかというほどの弊害ということは私はそう大したことはないのじゃないか、従って私どもの考えておりますところは、一万円札の問題は研究中であります。結論はありませんが、そういった問題をいろいろ研究するに当っても、デノミネーション等は行わないということを前提にして考えていっておるのであります。
  142. 岡三郎君(岡三郎)

    ○岡三郎君 これで終りますが、私はやはりまるが二つつくかつかんかということを、理財局長は簡単に言っているが、これは非常に大きい問題だと思うのですよ。というのは、千円札を桁一つふやして、まる一つふやして一万円札にするのだという、これはでかい問題だ。これはまるの問題は重大なる影響があると思う。デノミネーションをすれば、いろいろな影響があるだろうと言われているが、通貨がほんとうに安定して貨幣価値の体系を作るということになれば、それだけの確信があれば、これは私はやっても差しつかえないじゃないか。しかし私も疑問をもっているので、デノミネーションをここで確実にやった方がいいという意見ではないけれども、あなたの論から言えば、経済正常化してきたから札を銀貨にかえてもいい。これならばそれの利便はこれこれだといった、その附随としてまるの一つふえた一万円が出てくるということになって、心理的影響があるのじゃないかというと、私はやはり相対的にまる二つ減らせば、デノミネーションをやれば経済に微妙な影響があるというふうなことを考えた場合に、やはり一万円札というものは相当心理的な影響があると思う。だからそういう点で一万円札を出すくらいで硬貨を作るというくらいならば、デノミネーションでもやり得るのじゃないか、これはちょっと飛躍しますが、そういうふうな議論にもいきたいのです。とにかくまる二つ多いということはものすごいですよ。この書類を見たって、まるを数えているしまつですね。しまいには百億とか十億とかいいけれども、千億、一兆とかいうことになればこれは大へんな問題だと思う。だから私は経済正常化してきたという自信があるならば、硬貨の問題と合せて百円札をふやして、一万円札を作りたければ百分の一の百円札にして硬貨を一円なら一円にするというならば話はわかるけれども、これだけちょっと取り上げて造幣廠と印刷局のトラブルを起したりして、他の業者との関連を起すならば、これは銀行がちょっと計算が楽だとか、札の印刷に四円かかるとかなんとかいうことは、私は大した問題じゃないと思う。だから実際問題としてそういうふうな点でやるならば、一つそこまでやってもらいたいと、こういうふうに思うのですが、だから私は今のところ一万円札との関連においては百円硬貨は反対である。これは私の意見だから……。
  143. 説明員(河野通一君)(河野通一)

    説明員河野通一君) 私はやはり問題はこれは違うと思うのです。百円を  一円にするということと、まるを二つつけた札を出すということとは全く違うので、だからその点は私はやはり先ほど申し上げましたように、私はやはりデノミネーションはやるべきでないと考えます。これはいろいろ御批判はあると思いますが、しかしインフレに対する悪い心理的作用さえなければ、やはり一万円札程度は出す方向で考えていいのじゃないか。しかしこれは時期を誤まってはいかんから、私ども結論は急がない、慎重に検討するということを申し上げたわけであります。
  144. 山本米治君(山本米治)

    ○山本米治君 きょうはもう時間が少いので、私は長い議論はいたしませんが、私は先ほどの岡委員の意見に賛成なんです。河野理財局長ともあろうものが、デノミネーションについてそんなに簡単にやるべきでないというようなことは認識不足で、非常に困った問題だと思う。私はこの問題については相当研究しておるつもりです。これは一番悪い場合で現状維持です。つまり何ら得にならなかったというだけで、一番悪い場合はそうなって、プラスにこそなれ、マイナスにはならない。しばしばこの問題については誤解があるけれども、デノミネーションの零を二つ取るというのは、物価にはどういう関係があるか、そういうことは、ドイツの第一次大戦後のレンテン・マルクの歴史を見ればちゃんとわかる。一万円札を出すなんということは、もう一つ大きな数字の札を出すということなら、私は零を二つ取った、この際二つ取るというデノミネーションをやるという議論は私は非常に確信を持っておるのです。きょうは時間がないからやりませんが、一つ研究してもらいたいと思います。私は百円硬貨などを出すというような問題よりは、それと関連して一万円札という問題があったならば、ぜひデノミネーションをして零を二つ取るということを熱心に研究してもらいたい、私はこれは有利にこそなれ、一番悪くて何にもならない。理論から言えばプラスになる、だれにも損にも得にもならぬ。単純な通貨整備ですから、これはプラスになる。どういうプラスがあるかと言えば、今言うように数字が読みやすくなるとか、帳面をつけるのが楽になるということでなく、私が最も狙うのは心理的効果で、通貨価値が安定して、もう一万円札を出しても、悪い心理的効果がないだろうというときに、同時に零を二つとるという幣制改革をやってもいいと私は思います。きょうは時間がありませんから、これ以上言いませんが、私は慎重に研究してもらいたいと思います。
  145. 平林剛君(平林剛)

    平林剛君 きょうはあなたの意見を聞いたが、私は積極的に賛成をするというわけにはいかない。さっき青木委員長結論的に言ったみたいに、やはりこの問題はかなり慎重に取り扱う必要があるということが私の結論です。どうか、一方においてはこの問題は造幣局の関係もあるけれども、今のように貨幣に切りかえていけば、半永久的なものになれば、造幣局の心配はまた別な問題になってくると思います。特にこれは造幣の実態についてもいろいろ調べてみなければわかりませんけれども、五十円硬貨の仕事がなくなるというと、あとは民間のメタルの依頼されたものの鋳造だけで終ると心配をしておるようでありますが、これもやはり今の御意見からいくと、こういう制度を採用すれば、よけい人員の面についても心配が出てくるわけですから、こういう点は今度はあまり浮び上ってこないと思うので、私はどうも今の御意見だけでは、もう少し政府は慎重な態度をもって臨むべきだし、もっとたくさんの国民層の意見を聞いてからでないと判断を下すべきでないと思います。きょうは要望だけいたしておきまして、これで終ります。
  146. 理事(西川甚五郎君)(西川甚五郎)

    ○理事(西川甚五郎君) これをもって散会いたします。    午後四時四十四分散会