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説明員(
村上孝太郎君) それでは私から第三番目の
法案の御
説明を申し上げます。
内容は簡単でございますが、ちょっと見かけが複雑になっておりますので、
新旧対照表というのがついておりますが、まずそちらの方から
御覧になっていただきたいと思います。
第三番目の
法案が、
御存じのごとく今
提案されております
暫定予算が、
昭和二十九年度の補正以降の
予算というものを標準にいたしまして、それを二カ月延ばすというふうな形になっております。従ってその
予算のうらはらでありますところの行政の実態も、これを現在のまま二カ月延ばしていただきたいと、こういうふうな
内容を持ちます
時限法でございます。それの
期限の延長の
法案でございます。
で、その第一は、
国債整理基金への繰入れに関する
現行法を、
暫定予算の
期間中二カ月延ばしていただきたい、こういう
内容でございますが、そこに
新旧対照表としまして、「
昭和二十八年度、
昭和二十九年度及び
昭和三十年度における
国債整理基金に充てるべき
資金の繰入の
特例に関する
法律」というのがございますが、それを
御覧になっていただきます。この
法律は
三つの
条文から成っておりますが、
内容としましては、
二つの点でございまして、第一条は、従来ずっと行われて参りました
国債の
償還のために、
国債残高の万分の百十六を
一般会計から
国債整理基金特別会計へ繰り入れるという
規定を停止する
規定でございます。この万分の百十六という率が、
昭和七年にまた別個の
法律が出ておりまして、現在は万分の百十六の三分の一というふうになっておりますが、これは混乱いたしますから、一応万分の百十六というふうに、この第一条の
規定をお読みになるときには、御記憶願っておけばけっこうでございますが、この万分の百十六という比率は、大正四年の当時におきまして、当時毎年三千万円見当の
減債基金の繰入れをやっておったのでございますが、その当時
国債残高の万分の百十六がちょうど三千万円に相当しておったという非常に古い歴史的な沿革を持っているのでございまして、その後
国債の額というものも非常に変化して参りまして、この前の戦争で非常にたくさん
国債も発行されましたが、その後の
通貨金融事情の変化によりまして、現在におきましては、約四千五百億
程度の
国債が残っております。で、この
国債の
金額というものは、ほかの国の
国債に比べますというと、大した
金額ではないのでありまして、大体一年の
歳出規模の約二分の一
程度のものでございます。諸外国におきましては、たとえばアメリカにしましても、イギリスにしましても、毎年の
歳出規模の五倍とか、六倍とか非常に大きな
金額の
国債が残っておりますが、わが国におきましては、戦後のインフレーションによりまして、
国債の
残高というものは、現存の
貨幣価値から申しますというと、大した
金額にはなっておりません。で、ありますけれども、
主計当局といたしましては、この
国債残高というものをどういうふうにして減らしていくか、
健全財政の
理想から申しますというと、
国債のごとき借金がない方が
理想なんでございまして、現在
国債の
利子とか、あるいは
償還金が
予算に対して非常な重圧になっているというわけではございませんけれども、これを毎年平準化して
償還するというような計画を立てるために、
国債整理基金特別会計法というものを数年来研究しております。これを何とか
改正いたしまして、毎年平準化した
国債の
償還をいたしたい、こういうふうに考えてきたわけでございます。従ってこの
法律も、このように簡単な
内容であるにかかわらず、毎年毎年一年ずつ延しているというのは、そこに
意味があるのでございまして、いずれ
国債整理基金特別会計法を根本的に
改正いたしますときに、その中にこの
三つの
条文も吸収しようと、そういうふうに考えてやって来たわけでございます。
そこで今年度もそうした
国債整理基金特別会計法の
根本的改正を考えておったわけでございますが、
暫定予算になりまして、この四月、五月につきましては
現状維持ということになりましたので、この
規定ももう二カ月延ばしていただいて、その間は
財政法六条の、いわゆる
剰余金の二分の一ということを原則にしていただきたい、こういうふうな
規定でございます。
それから第二条、第三条、これも二十九年度までの
法律の
有効期限を、四月、五月、二カ月
暫定予算の
期間中延ばそうという
意味のものでございますが、この二条と一二条の
二つの
条文は、従来
特別会計でありました国鉄と、それから
電信電話公社、この二
公社が
特別会計から
公社に移りますときに、従来
特別会計で発行しておりました
国債というものを、
公社になりましたために
一般会計に全部
肩がわりをいたしました。その
肩がわりをいたしました
国債と同じ条件の
債務を
公社が
一般会計に対して負うというふうな、そういう
法律関係の変動があったわけでございます。これは
公社が
国債を発行するのはおかしいわけでありまして、当無
公社に形を変更いたしますときにそういう技術的な
債権債務関係の
整理をいたしたわけでございますが、その結果
公社から毎年、従来
公社が
特別会計の当時に発行しておりましたところの
国債の元利払いをいたさねばならぬわけでありますが、それを
一般会計を通して
国債整理基金特別会計に繰り入れるというのは非常に繁雑でございますので、
特別会計当時と同じように、
公社から直接に
国債整理基金持別会計へ繰り入れるという
方法にいたしたのがこの第二条、第三条の趣旨でございます。
で、第二条は今申し上げましたように、直接に
公社から
国債整理基金特別会計へ繰り入れることができる。それは
国債整理基金特別会計としまして歳入とするのだ。第三条は
公社からそうした繰り入れがございますと、
一般会計から繰り入れる分は繰り入れないでよろしい、こういう
意味の
規定でございます。これで
国債整理基金に充てるべき
資金の繰入の
特例に関する
法律の
有効期限を延長いたします
内容の御
説明にいたします。
それから第二は、
補助金等の
臨時特例等に関する
法律、これも
御存じのごとく、
昭和三十年の三月三十一日限り
期限が来まして廃止になるわけでございますが、これを
暫定予算の二カ月間延期していただきたい、こういう
意味でございます。で、
補助金等の
臨時特例等に関する
法律と申しますのは、昨年御
審議を願いまして、約十五本ばかりの
補助金に関しまして停止または
補助金の率を下げるというふうな
規定をいたした
法律でございますが、その
内容につきまして簡単に御
説明申し上げます。これはまだ
法律の全文をお配りしてないようでございますから、簡単に
内容だけ御
説明いたしまして、あとでその
法律の全文をお届けいたします。
内容は文部省
関係、厚生省
関係、各省に亘っておりますが、一つはいわゆる公立定時制の高等学校の
職員に対して、従来国庫補助をやっておりましたが、その国庫補助を停止するという
規定でございますが、これは従来もずっと
昭和二十五年の当時から地方交付税の中に算入してございまして、直接に
補助金をやるという
予算形態をとっておりませんでしたので、それを
整理する
条文でございます。
それからこれは非常に類似した
規定でございますが、公民館とか図書館とかあるいは博物館というふうなものについての補助を、これは
法律によりまして大体
職員費とかあるいは設備費とかあるいは
基本的事業に要する経費というふうな、そういう
三つの補助の形をとって来たわけでございますが、これも先ほど申し上げましたように、
職員費につきましてはずっと交付金の中に算入されて来ておりますので、そうした従来の交付金との
関係を調整する補助形態の制度とでも申しますか、そういう
条文でございます。それと同時にこういうふうな公民館とか図書館とかあるいは博物館というふうなものは、それぞれこの地方のいろいろな制度としまして、大分溶け込んでおるという
意味から、従来この三分の一の補助率を四分の一に下げる、こういうふうな
規定でございます。
それからこの文部省
関係でございますが、産業教育
関係の教科書これはたとえば、いろんな職業教育に必要な教科書でございますが、そういう教科書につきましては非常に発行部数が少いというふうな
意味から、その定価を非常に抑えますというと、その発行会社のほうで採算がとれないという
意味から、編集費及び製版費、これはまあ文部省が著作権を持っております教科書と然らざるものと違いますけれども、そうした教科書に対して編集費と製版費を補助しておったわけでございますが、これは
昭和二十八年当時に一度補助をしまして、理屈から申しますと、こうした補助を一度すれば、その後の毎年の発行経費というものは編集費も製版費も無料になるわけでございますから、その後は新らしいこうした教科書が出ない限りにおいては、大体において教科書の発行もできるというふうな
意味から、これは適用を停止しております。又この産業教育
関係のことにつきましては、これはある
意味におきましては、学生が出ましたあとも非常に参考になるものでございまして、学校中だけでなく、その後にも凝る
程度職業
関係の参考書になるという
意味から申しますと、ある
程度定価が高くなってもいいんじゃなかろうかというふうな
意味もあるようでございます。
それからもう一つは、この文部省
関係で問題になっておりますのは、新入学生の児童に対する教科用図書の無償給与の
規定でございますが、これは去年もいろいろ問題になったわけでございますが、こういうふうに金持も貧乏人もともに一律に新入学生に教科書を給与するというよりは、たとえば貧乏な家庭の子弟にあるいは盲聾唖というふうな身体障害を持っております子供に重点的に補助をいたすほうがいいんじゃなかろうかということで、そうした重点的な補助に切換えてこの
規定を停止しておる
規定でございます。
それからその次は厚生省
関係に約四本の補助制度の
改正規定がございますが、これはまず第一には母子手帳の経費、母子手帳と申しますのは戦時中から非常に物が不足しておりまして、母子手帳によりまして、いろいろな特殊な物が特配になりました時代におきましては、非常に
意味を持っておったのでございますけれども、最近はそうした配給制度がなくなりまして殆んどこの母子手帳の
意味を持っておりませんので、母子手帳に対する
補助金を停止いたしまして、交付税のほうに回わそう、こういう
規定でございます。
あとは似たような
規定でございますが、性病診療所とそれから精神衛生相誤所の経費に関しまして、二分の一を四分の一に切り下げる。切り下げた分は交付税のほうに回わす、こういう
規定でございますが、こうした諸制度はともに現在においてはある
程度中央の行政の中に溶け込んでおりますので、交付税に回わしまして地方の自由な
財源の一部で有効に運用したほうがいいのではないかと、こういう
規定でございます。
その次は母子相談員に要する経費の
補助金でございますが、これも今申上げましたような
意味から交付税に回わして中止しよう、こういう
意味でございます。
それからその次は
農林省関係の補助制度に関する二、三の点でございますが、まず第一番目は漁業調整
委員会と内水面漁場管理
委員会、これに関しまするところの
補助金は従来全額国が負担しておったわけでございますが、この
特例法によりまして、
委員会手当は全額、その他については三分の二というふうに
補助金を下げております。これは、これに非常によく似ております農業
委員会の制度と右へならえをさしたわけでございますので、農業
委員会の補助率は
委員手当については全額、その他については大体平均三分の二になっておりますので、従来の権衡からこれを三分の二に下げた。
その次は家畜伝染病予防法に暴く負担金の
特例でございますが、家畜伝染病予防法
関係についてはいろいろな防疫
関係の
職員が出張します旅費とか、あるいは一定の病気のために使います薬品につきましては、従来全額負担になっておるのでございますが、この
特例法によりましてその伝染病の中でも寄生虫に関する病気だけにつきまして補助率を従来の全額を二分の一にしよう、こういう
意味でございます。それは具体的にどういうものかと云いますと、たとえば馬とか牛とか豚に「だに」がたかったり、あるいは回虫とか条虫が寄生しましたときに、それを駆除しますところの薬を飲ませますと、その薬については従来全額補助をしておったおけでありますが、寄生虫に関しましては蔓延とかそういうような全国的な
意味からのいわゆる予防
措置というよりは、むしろそうした駆虫によりまして、牛とか豚とかいう家畜は非常にふとるわけでありまして、その駆虫した結果については個人の利益が非常に増加するわけでありまして、そういう
意味からも国が全額負担するのはおかしいので、われわれも駆虫のためにサントニンを飲むときに、人間も自分のために飲むので、これは一応二分の一にしたいという考えであります。
その次は水産資源保護法に基く水産資源保護法の
規定によりまして、保護水面の管理計画というものを県知事が立てますが、その管理計画に要する経費を従来国が全額見ておりましたが、たとえば「はまぐり」だとかそうした浅海面のいろいろな魚介類の増殖施設その他に関する経費というものは、これは一面にはそうしたローカルな利益にも非常に
関係が深いわけでございますから、そうしたこの受益負担の面も入れまして、従来の全額負担というのを二分の一にしたい、こういう
意味でございます。(「今のは何だったかな」と呼ぶ者あり)水産資源保護水面というものがございまして、たとえば千葉の海岸に「はまぐり」が非常によくできますというと、その「はまぐり」を増殖しますために増殖施設とか、そういうものを行うわけでございますが、その増殖施設を作ります経費というものは、管理計画に基いて都道府県知事が出しますので、従来国が全額出しておったわけでございます。しかし「はまぐり」の漁場があればいろいろな観光客も来るだろうし、非常に受益者負担も強いわけでございますから、その
意味において国が全額見るというのもおかしいので、補助率を二分の一にするのが適当ではないかというのが、この
特例法のいわゆる水産資源保護法に基く負担の
特例の
内容でございます。
それから次は漁船の損害補償法でございますが、これは
法律では一トンから百トン未満までの漁船を義務法の対象にしまして、その保険料率の
補助金をとったわけでございます。それを
政府で指定する指定業者といたしまして、一トンないし二十トンの漁船に限ったわけでございますが、これはその後参議院の付帯決議等も尊重いたしまして、去年の補正
予算を機会に大体一トンから百トン未満まで義務法の対象にいたしまして、国が保険料率の一部を補助するようにいたしましたので、大体これはもとへ戻っております。従ってこれには
特例法によって一時制御いたしたわけでございますが、またもとの実体法に戻っておりますので、これは余り問題がないかと思います。
それからその次はいわゆる外航船舶の建造融資の
利子補給及び損失補償に関する
利子補給の一部停止でございますが、普通の金融機関から貸し出しますところの外航船舶の建造
資金につきましては、普通の金融機関からの利息は、これを低利にするためにその一部を国が負担しておるわけであります。日本開発銀行から貸し出しますものも、やはり
利子補給契約の対象になっておるわけでございますが、日本開発銀行に関しましてはこれを現在直接
利子補給の対象にしなくても、あとになって、たとえば船会社が非常に有利なときに取り立てるとか、その他の
措置ができるわけでございまして、この日本開発銀行からの
利子補給契約の
規定はこれを停止するという
条文でございます。
その次は、地方鉄道の軌道整備法に基きますところの補助でございますが、これは御承知のごとく非常に産業の振興上必要な地方鉄道の新線を作りますというと、その営業用固定
資産の六%を補助する。それからまた産業振興上非常に必要な、現在ございます私鉄でございましても、それの改良のために金を出しまするときには、改良のために投じた営業用固定
資産につきまして六%の補助をする。それから老朽線でございまして、その老朽線がほかに並行線あるいはバスの便などがなくて、非常に地方民の生活に必要な場合には、この地方鉄道の何といいますか、代替線がないという点からの地方的
意味を考えまして、その赤字を補助する、こういうふうな
規定でございますが、これはそれぞれその具体的な事例に応じまして適当な補助率の増減をするのが適当でございまして、そういう
意味からすべて六%、あるいは赤字と書いておりますのを、すべてそれを限度とするというふうな制限をおいた
規定でございます。
それからその次は建設省
関係のものでございますが、これは一条だけでございまして、いわゆる公営住宅法に基きますところの住宅建設につきましては、その費用の二分の一を国が補助しておるわけでございます。これはこの原則は依然として残っておるわけでございますけれども、第一種公営住宅の中にも非常に賢沢だと申しますか、この場合制限をいたしましたのは、地上の階数が七階以上あるところの耐火構造の住宅、これはまあ普通の第一種公営住宅の建設というものに対しまして、五割くらい高いわけでありまして、しかもそれにはエレベーターもあるし、暖房設備もあるというふうな、非常に規格の高い公営住宅でございますので、そういうふうな公営住宅に住む人間の所得としましては、家賃の負担能力も高いだろうというふうなことから、国の補助率を従来の二分の一から五分の二に下げるという
規定でございまして、規正の
改正は二分の一とありますのを二分の一以内というふうに読み替えております。
それからこうした公営住宅
関係の指導監督
関係の経費につきましては、従来国から都道府県知事に交付金として渡されておりますが、その交付金の全額を従来国が負担しておりましたのを、こうした住宅につきましては地方的な利益もあるからということでその費用の一部を国が負担して、都道府県もある
程度の負担をするようにというのが、この
規定の
内容であります。
こういうふうな
内容の
特例法をこの
暫定予算の
期間中、二カ月だけ延ばしていただきたいと申しますのは、先ほど申し上げましたように、
暫定予算の
内容が
昭和二十九年度補正優の行政的な実態、あるいは
予算積算をそのまま二カ月引き延ばすというふうな形になっておりますので、そのうらはらの行政の実態を二カ月調整さしていただきたいというふうな
意味から、今度の
時限法の延長を
提案しているような次第でございます。