○
山田節男君 実は本
法案が出されまして、参議院の
決算委員会としては、これはもうわれわれ待望久しきものであった。超党派でもって一日も早く通したい、当
大蔵委員会におきましても、この
法律案はもう超党派で一日も早く通すことにしたいということで、一昨日
青木委員長と私とが衆議院の
大蔵委員長のところへ参りまして、この
法案を一日もすみやかに通されたいと、今、岡
委員の言われたような意を体しまして強く要請いたしました。さらにまた各政党から衆議院の政調会、政策審議会、国会対策
委員会を通じて、実は各会派別に講じて参っておるというような実情であります。それから今、岡
委員の御意見がありましたが、こういうような
事情もありますので、この
大蔵決算の
連合審査会を二回と予定しております。
大蔵委員会では全員これに対しては賛成だということを聞きましたので、
連合審査会も実は本日一回をもって終りたいと思っております。
私から大臣にこれは質問でありますがその前に、先ほど
亀田君から指摘されました本
法律案の第六章の
罰則規定でありますが、花村
法務大臣からも、るる御
説明がありましたけれども、これは外国の事例を見ましても、民主国家になればなるほど、たとえばイギリス、アメリカ、フランスなどでは、いわゆる
パブリック・
ファンドと言いますか、
パブリック・マネー、
国民の
税金ということになれば、これは普通の詐欺罪によるプライベート・マネーよりも、もう一段と高い意味を持つ、これが通念です。さらに共産主義の中共におきましては、これを死刑にする、公物ないし公金を窃取した場合は極刑をもって罰する、これは私は極刑がいいか悪いかは別問題としましても、より重く罰しようというのが今日の民主主義国家の通念である。ことに、不幸、日本のように、主権在民の憲法がありましても、まだこういったような公金に対する
観念が非常に乏しいときには、むしろ私は刑法上における詐欺罪に対しても、たとえば十二年くらいにすべきではないか、時限立法でもいいからより重くして、これを
一つの教訓とする、こういう意味で、私どもは強くこの点を希望しておったのであります。このことは今後
決算委員会におきまして審議する場合に、おそらく参議院の
決算委員会としましては、十七国会に出された場合は十年、それが今国会において七年として閣議に出したところが、ある閣僚が行政罰でたくさんだというようなことで、がんばって、参議院におきましては、ここにおられる
大蔵大臣はもとより、鳩山総理大臣以下四、五の閣僚に出ていただいて、この点に触れたのでありますが、それが遂に五年になって出るということは、こういうことは私どもとしてまことに不満に感ずるのでありますから、どうぞ
大蔵委員会におかれては、この
罰則規定はそういう立場から
一つ慎重に御審議いただきたいと思います。
それから
大蔵大臣に御質問申し上げたい点は、この
法案を実施した場合、だれがこういう事態を摘発するのかということが問題であると思います。第一には個人でしょう。第二には関係各省あるいは公社の内部監査と申しますか、内部考査と申しますか、そういうものによってこういう違反を摘発する。第三にはいわゆる行政監察によってこういうものは摘発し得る。第四には会計検査院、第五にはいわゆる検察庁、しかしこれは実際的に見ますると、先ほど
大蔵大臣の本
法律案の
提案の
理由の御
説明の中にあったように、われわれが
昭和二十八年度の決算
報告書を調べた場合に、会計検査院が出しておりまする一般会計、特別会計、
政府関係機関の
批難事項として二千二百三十二件出ております。その中で千四百件というものが、これが支出に関するものであって、その中の九割、すなわち千二百件は
補助金に関するものだということを大臣が御
説明になっております。この会計検査院が調べました
批難事項、後に
報告されました二千二百三十二件というものは、これはたとえば農林省のごときは六%くらいまでしか調べてない。それから建設省にいたしましても、これも八%くらいだったと思いますが、これは小峰君に訂正してもらいたいと思いますが、とにかくそういうような工合でありまして、会計検査院が各省、公社を調べました検査というものが、全体から申しますと平均一〇%ないわけであります。一〇%に足りない検査の結果においても、
補助金に関して千二百件という
批難事項であります。これはごく大ざっぱに、九%でありますから、かりに一割としまして、約十倍、一万二千件というものが、そういうものがあるのじゃないかということも、これは私は類推できると思う。かように考えますと、この
法案を実施した場合、だれがその不正を摘発するのかということになれば、私はやはり会計検査院というものが多年の熟練、勘を持った会計検査院の検査官のみが私は有効適切なこういう摘発をし得るのではないかと思うのであります。たとえば私どもが参考人として呼びました山口県における油谷町の例の沈没船、偽わりの沈没船をもって
補助金をとろうとしてみつかったという事件がございます。これは普通の内部監査で、たしか農林省だったと思いますが、内部監査で、今の
制度ではわからない。非常に勘の強い会計検査院の検査官が参りまして調べて発見した。こういうようなことになりますと、私はおそらくこの
法律の
実績をあげるためには、会計検査院というものをもっと活動しやすいようにしなくちゃならない。国の会計職員に対しましては会計検査院法第三十三条によって、検査官が摘発し、検察庁に送付することができる。しかし
地方公共団体に対しましては、行政監察も
一つの大きな機能でございますけれども、会計検査官というものが国の最も適正公平に摘発し得る唯一の機関ではないかと思う。こういう点から考えまして、かりにこれが
法律化、法制化しまして、これを実施する場合に、過去の経験からみても、会計検査院の機能を拡充強化する。私ども参議院の
決算委員会におきましては、前々国会におきまして、かような見地から、こういう
法律がまだ出ませんものですから、会計検査院の機能を拡充強化すべしという決議が
決算委員会並びに本会議を通過いたしておるようなわけであります。その結果とも申しませんが、今回会計検査院法の一部改正が出まして、一局増設いたして六十名の人員をふやすということになっております。かようなまことに望ましい
法律が出て、実際これを効果あらしめるためには、やはり会計検査院というものをよりよくもっと拡充強化する必要がある、私はかように考えるのでありますが、もしそういうことになった場合には、今年度にこれがさっそく実施されることになれば、
大蔵省としては、今回の会計検査院法の一部改正法による一局の六十名のスタッフを増加するには二千三百万円の金が要るのであります。八ヵ月分に勘定いたしまして……。そういたしますと、この
法律をもっと完璧にやりたいためには、たとえば人員はそう早急にふやせませんけれども、たとえば百二十名ふやすというようなことになった場合には、
大蔵大臣としては、これに伴う
予算を補正
予算を出してでもやらせるというような私は意気ごみが当然なくちゃならぬ。ことに主計局長あたりとしては、実際問題としてこの点まで考えなければ、こういう
法律を出しただけでは決して不正防止はできないと思うのです。この点に関しての
大蔵大臣の腹がまえというものを
一つこの
委員会にお示し願いたい。