運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-11-17 第22回国会 参議院 商工委員会国産車振興に関する小委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十一月十七日(木曜日)    午後一時三十一分開会     ————————————— 昭和三十年十一月十日商工委員長にお いて小委員を左の通り指名した。            古池 信三君            白川 一雄君            高橋  衛君            小松 正雄君            藤田  進君            上林 忠次君            山川 良一君            石川 清一君 同日商工委員長は左の者を委員長に指 名した。    委員長     白川 一雄君     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     白川 一雄君    委員            古池 信三君            高橋  衛君            藤田  進君            上林 忠次君            山川 良一君            石川 清一君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    通商産業省重工    業局自動車課長 柿坪 精吾君   参考人    日産自動車株式    会社専務取締役 川又 克二君    富士精密工業株    式会社社長   團  伊能君    トヨタ自動車工    業株式会社常務    取締役     大野 修司君    トヨタ自動車労    働組合執行委員    長       本多 森正君    富士精密工業株    式会社常務取締    役       天瀬 金藏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国産車振興に関する件     —————————————
  2. 白川一雄

    委員長白川一雄君) ただいまから小委員会を開きます。  本日は純国産乗用車生産しておられますトヨタ自動車工業大野常務さんと富士精密工業社長團社長、さらに純国産乗用車組立外車の両方を生産しておられる日産自動車川又専務さん及びトヨタ自動車労働組合執行委員長本多さんをお招きいたしまして、国産車特に乗用車生産実情及び国産車振興をいかにすべきか等につきまして、それぞれのお立場より忌憚のない御意見を伺いまして、当委員会の目的であります国産車振興のための政策樹立に資したいと存じておるのでございます。なお、本日お招きしていません組立外車専業会社は、いずれ日を改めましてお招きすることにいたしたいと存じておる次第でございますので、御了承願います。  業界並びに労働組合方々に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙のところわざわざ本小委員会に御出席下さいまして、ありがたく厚くお礼申し上げます。国産自動車振興小委員会参議院商工委員会内に設けまして、緑風会からお二人、社会党からお二人、自由民主党から三人、無所属から一人ということでこの委員会は構成になっております。かねがね国産車をいかに振興し、いかに愛用するかということにつきましては、毎国会論議の的になっておるのでございますが、これを実現する具体的な結論というものをまだ見ておらないというような実情であります関係上、衆議院におきましては前国会付帯決議もついたそうで、やはり非常に熱意を持っておられるものと観察いたしておりますが、参議院の方におきましては参議院使命にかんがみまして、かつ業界の御意見も十分承わり、政府の方で一生懸命にこの振興をはかっておられることに対して、具体的に御協力申し上げたいという考えから、党派をこえまして委員の方で今後白紙の状態から進んで皆さんの御希望、御意見等を承わりまして、何らかの結論を出して政府施策に資したい、こういうような考えもとに当委員会が結成されたような次第でございますので、今後国産車振興のためには業界におきましても、格段の、われわれの方の研究調査等につきましては御支持をいただきたい、御協力をいただきたいということを、お礼にあわせて特にお願い申し上げておきたいと存ずる次第でございます。  さような次第でございますので、本委員会におきましては、皆さんの御事情を承わり、またいろいろ御希望の点があるだろうと思いますので、忌憚なくそれを承おりまして、安くていい車を作って、需要の道を拡大して行きたいという一事にわれわれ特に熱を入れておるような次第でございますので、この点特に御了承の上、格段の御協力を重ねてお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。  つきましてはこの運営方法といたしまして、まず業界並びに労働組合方々より順次御苑書を願って、その後に御質疑を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 白川一雄

    委員長白川一雄君) それでは時間の都合もございますので、大体十五分くらいの予定をもちまして、実情並びに御希望の点をお話し願いたいと存ずる次第でございます。  まず日産自動車株式会社専務取締役川又さんにお願い申し上げます。
  4. 川又克二

    参考人川又克二君) ただいま委員長から御紹介にあずかりました日産自動車専務をいたしております川又でございます。  本日社長が出席するはずでございましたが、やむを得ない所用がございまして出張をいたしておりまするので、私がかわりに伺いました次第でございます。  最近各方面自動車、ことに乗用車につきましていろいろ御心配を賜わり、また当院におかれましてもただいま委員長の御発言のように、具体的にいろいろ施策を推進して行きたいとおっしゃっていただいて、業界にあるものといたしましてはまことにありがたく厚くお礼を申し上げる次第でございます。  私の会社ダットサンという名前で乗用車を製作いたしております。これは戦争前、昭和九年ごろから実は作っておりましたのでございますが、名称は同じでございますが、最近に出て参りました車の形やら機構やらは、ほとんど変っておるといって差しつかえないと存じます。終戦乗用車はもうすでに御承知通りでございますが、一時製造できない時代がございまして、ようやく本格的に作ってもいいようになりましたのは、私の記憶では昭和二十五年の暮、十一月ごろであったかと存じます。それから業者といたしましてもいろいろ努力をいたしておりましたが、なかなか業界事情、また会社運営上非常に資金を要します乗用車を、なかなか手がけることが困難な事情がございまして、会社運営というものが大体はトラックを主体として参ったのであります。かといって、乗用車を忘れておったわけではございませんし、ことに当社におきましては、戦前、当時のオースチンと比肩し得るような小型ダットサンを作っておりましたので、何とかこれを進歩した形におけるダットサンに持って行きたいということで努力いたして参りましたが、会社の状況はざっと今申し上げましたような事情で、なかなか本格的な製造に入るということが困難でございました。そういったわけでございますが、当時作られておりました乗用車は、トラックシャシーシャシーが共通でありましたもので、スプリングとかその他若干の相違はございますが、トラックシャシーと七、八〇%共通したものに、主に板金作業と申しますか、手で叩いて形を作り出す、こういつたことでボディを加工しておりましたので、シャシーボディとの面におきましてバランスが取れないというようなこともございました。そういうことでありますので、なかなか近代的なスマートなシャシーまで持っていくということが、その気持はあっても、困難をしておりました。  しかし、今年の初めにようやく本格的なプレスを使いましてボディを作り出し、シャシーも以前のシャシーとは全部変えまして、全然新しい設計、製作のもとシャシーを作りまして、今年初頭から新型のタットサンとして売り出しておるのでありますが、この段階までまあ苦労してやってきたわけでございます。新車を出しましてから約十一カ月ばかりたちますが、まあ実用車といたしましては十分役に立ち得るという御批判をいただいておるつもりでございます。しかし、まだボディ・デザインとか、車に附属いたしますアクセサリーのようなものにつきましては、多少外車と比べましてまだ見劣りがする、こういうような御批判もございます。性能といたしましては、まあまあ昔の乗用車と比較しましては格段のものになった、ただし、まだボディその他の外観に至りましてはスマートさに欠ける、こういつたことでございます。  そこで、次に価格でございますが、あの程度の車で一体どのくらいであればいいかということになるわけであります。乗用車利用家の各位に数多く使っていただく、営業用ばかりでなく、一般自家用方面にも使っていただく、こう広く利用を求めますにつきましては、価格が大変影響して参るわけであります。本日お求めをいただきました資料の中で、私ども価格の点については資料を実は差し上げてございませんのですが、この価格につきましては、社内製品とのいろいろのバランス関係もありまして、また後ほどの機会に申し上げたいと存じますので、きょうの資料には省かしていただいたのでございますが、今のところ、東京市中あたりで大体七十七、八万くらいのキャッシュの取引になっております。この値段も、こういう機械生産をやって参りますと、新しい機械設備も増加いたさねばなりませんし、鍛造、プレスともに大きな刑を使います。それから機械にも、シャシーが変りますと全部新しい治具を取りつけます。こういう形の生産がいわゆる大量生産方式なのでありますが、こういう費用相当かかるものでざざいます。また転換いたしますときには、工場がある期間新しい車の準備のために機械治具を取りかえます。そういう期間生産がとまるものでありますから、私どもの実例で申しますと、一月ぐらいごたごたして次の新しい型が出ますまでにそれだけ生産が落ちるわけであります。そういうものも新車のための費用とわれわれは計算いたしております。先ほど申し上げました型代治具工具代、そういうものも一切含めまして、これが生産されますところの車の台数によりまして償却をして参るわけであります。従いまして、一つの車を作り出したその原価の内容には、そういう新しい機械設備償却も、治具工具型代償却も入っているわけでありますので、たくさん作り、たくさん売れますと、その一台当り償却費が安くなってくるわけであります。それから日産のごとく、治工具による単一高性能専門機械を多く使って、いわゆるマスプロ形式でやっております生産におきましては、台数が上った割合には、私どもの言葉で申します変動費というものはそう比例して伸びていかないものであります。原価の中に固定費変動費というのがあるのが通例でございますが、固定費と申しますのは、材料代——部品素材を含めまして、材料代、それから油とかそういった副資材、こういったものでありますが、固定費というのは、何台作っても、大体一台当りはきまっているものであります。変動費というのは、労務費、経費、一般管理費販売費、これらのものは生産販売数量が多くあればそれだけ一台当りが逓減して参ります。結局のところ、今まで御説明申し上げましたところを一口に申し上げますと、やはりどなたがお考えになっても同じように、生産台数が多くなるということ、これが一番原価を安くしていくということになるのであります。でございますので、まことに簡単でございまして、たくさん売れるいい車を数多く作るようになると、安くなるということしか言えないのでございます。そのほかに、日本で私どもが入手いたします鉄板、棒鋼、あるいは非鉄金属、あるいは布地、ゴム、油、いろいろ資材がございまして、かような品物がわれわれに供給される価格ももちろんこれは影響いたしますけれども現状においてお話を申し上げておるのでありまして、現状では仕入先からかなり勉強してちょうだいいたしているものと思ってお話し申し上げているのでございますが、そういうことになりますと、私ども努力するのは、この変動費数量の増加に伴って逓減していくということを見るよりいたし方ないのであります。  もとへ戻りまして、生産数量が多くなるということが非常に期待を持たれる次第なのであります。ではどうして生産に伴うように、生産が上るに従って販売高がふえていくかということになりますと、これは国の施策といたしまして、外車を、たとえば、たとえばでございますが、外国車は全部輸入しないで、ほとんど国産で間に合うようにしてやろうとか、あるいはみなさんが買いやすくなるように月賦販売というものを私どもやっておりますが、そういったものは長期で、たとえば、私ども営業用には大体十二九月程度月賦販売をいたしておりますが、これらをかりに二十四カ月払いにすると、二十四カ月の間は、まあ手形割引を銀行にお願いするわけでありますが、そういう資金が供給される、また月賦にもし事故でもございますと、法的担保権といったもの、こういったものが今でもございますけれども、今は抵当権を設定するとかいろいろな方法でやっておりますが、いわゆる所有権を留保するとかいうような方法でやっておるようでございますが、これらが月賦販売というものにいわゆる一つの保証の制度みたいなものがあり、われわれが安心して長い間売ってももとは取れるというような、安心感を持って販売することができるわけであります。そういったこと、いろいろまた御列席の御同業の方もいらっしゃいますので、いろいろ話が出ると思いますが、そういうお買いになる方々にも私どもにも、便利な方法というようなことは、いろいろございますと思います。もちろん私どもといたしましては、その間にも素材の節約とか、あるいは加工の能力を高めるとか、あるいは不良品を少くするとか、もっと端的に言えばもうけをもっと少くして、配当を私ども会社では二割やっておるのでありますが、これも一割にするとか、そういったことをやって、極力値を下げると、こういうことにもなるかと思うのであります。まあ配当は一割が妥当か二割が妥当かはここで論ずるわけではございませんけれども、そういった意味で、われわれはわれわれとしての努力をして、かつ性能を高めていく、そして結局需要家方々から好まれる車を作るより私どもとしてはいたし方ない、またわれわれもそれが使命でございます。まあそういうことで現在努力いたしておるのでありますが、価格の面と性能の面では毎々いろいろの御批判もちょうだいいたしております。十分身にしみて存じております次第でございまして、これからもいろいろ御意見を承わりまして、なお努力を重ねさしていただきたいと存ずる次第でございます。これで一応終らしていただきます。
  5. 白川一雄

  6. 團伊能

    参考人團伊能君) 私、富士精密工業の團でございます。今日は参議院商工委員会の小委員会にわざわざお呼び出しをいただきまして、私ども製造いたしております国産車について意見を述べる機会をお与え下さいましたことを、われわれとしては非常に光栄と存じます。実は私ども自動車工業会を構成いたし、私もそのメンバーにしていただいております。工業会におきまして、いろいろ政府議会方面に重大問題につきましては時々お話も、ことにまた御答申も申し上げている次第でございますので、その一般に関しましては、工業会会長日産自動車社長の浅原さんからも、また一般に関して公的な御下問があれば御返事もあることと思います。私はここで私の小さい仕事の範囲に関することだけ、お許しを得て申し上げたいと存じます。  私ども会社は、自動車製造いたしております中で、最も新らしい若い会社でございます。日産さんやトヨタさんのような、長年の御経験のある会社ではございません。終戦後御承知のように五年間、日本の内地で乗用車製造は禁止されておりました。そのときにガソリンでない電気でならばいいだろうというので、私どもの仲間の会社でございました立川飛行機会社の一部で、たまという電気自動車を作りました。きわめて不完全な形でございましたけれども、この占領軍の命令にいささか抵抗して、こういうことを始めたのでございます。その後ガソリンエンジンを載せますことが許されまして、私の関係いたしております富士精密工業もと中島飛行機エンジン工場に、そのガソリンエンジンの注文をもらいました。通産省に上りましていろいろの御指示を、お智恵をいただきまして、一五〇〇CCというエンジンを作り始めました。これをたま自動車に載せまして、はなはだ不完全な形ながらも、小磯乗用車を作り始めたのでございます。その後いろいろ研究いたしましてエンジン生産ボディ生産が別々に行われているということに不便を感じまして、昨年の春、立川飛行機でございましたプリンス自動車工業株式会社と、私の会社とが合併いたしまして、ただいま一つ会社として、エンジンシャシーボディ一貫製造をいたしております。はなはだ経験も浅い会社でございますが、いろいろ政府その他各方面の御指導を得まして、国産車製造いたしておりますわけでございます。  ただいま川又さんから御報告になりました点は、一々私ども会社実情と全く一致いたしております。ことに多数を生産しなければ原価引き下げができないということは、これは自動車生産のみならず、ほとんど一般工業の原則であろうと思います。それに関しまして私ども考えておりますところは、このたびの御下問として私どもにいただきましたお呼び出しの紙にもございました一五〇〇CCの車を五十五万円ぐらいで作れないか、さらにそれが、後には三十五万円ぐらいでできないかという御下問の筋であったかと思います。その点につきまして、私ども考えを少し申させていただきます。これは結論を申し上げますと、決して到達し得ない数字ではないと考えます。それにはなおいろいろな条件が整わなければなりませんが、その第一は川又さんがただいまお話しになりましたように、数量的にどうしても多量に作らなければならない。しかしその数量も無限にたくさんというわけでございませんで、私どもの所ではトラックを主として作っておりますが、乗用車トヨタさんなどに比べて非常に生産数が少いのでございます。百数十台作っております。月に約千台か千二、三百台の乗用車を作り得れば相当価格が低下いたし、五十五万円とは参りませんが、相当その辺に希望が出て参るだろうと思います。  なお、これは私どもの申し上げることじゃないかもしれませんが、国の施策としてお考えいただく国会におきましても一応お考えいただきたいのは、今日の生産のコストの中に加えて物品税がございますけれども小型が一割五分、大型が三割の税金でございます。一割五分の税金を、無税とは申しませんけれども、ほかの実用品の場合と比べて果して適当であるかどうか、トラックにはこれがございませんが、小型乗用車は御承知のように大体ユーザータクシーが多いのでございます。このタクシーに乗ってお歩きになっている方々は、決してぜいたくに乗っていられるのではありませんで、みな非常に実用的な意味に使われておりますから、いわゆる実用品として自動車が作られております。それに一割五分が適当かどうかは一応御判定いただきたいことでございまして、これが五分に減るということになりますと約七、八万円の引き下げができると思います。ただこの引き下げができましたときに、一つ考え願いたいのは、自動車ユーザー、これを買っていただいている方々は、みな相当詳しい方々でざざいまして、ほかの例を申してははなはだ悪いと思いますが、映画入場券税金が下りましたときにも、映画税金は減りましても入場料会社であまり下げなかったような例がございます。これは一枚々々の切符を買う大衆でございますから、税金が下ったからすぐ切符値段を下げろということも言ってこないと思いますけれども、私どもユーザーは非常によく精通している方々でございますから、税金を下げればそれだけの値段はどうしても下げなければなりません。そこで今後税金を下げただけをほかに使うというようなことは、ちょっと私どもとしては実際上できませんで、税金の下った額だけははっきりと下げていきたいと考えますが、そういう点もございますが、一つ税金引き下げていただきたいということも一つでございます。  なお、いろいろ融資関係で御厚意があるならば、ほかの大きな産業、特に国家としてお認めになる重大な産業こもときどき見られるような融資の上の低利の金融をお許しいただくということも、原価引き下げの大きな問題だと思います。なお、それに続きまして、ただいま川又さんから固定費というお話がございました。材料費、これが今日の自動車工業では非常な大きな部分を占めておりますので、材料の入手につきまして、ことに鋼板その他の鉄材が何らかの形でもう少し安くわれわれに御供給いただく、事実製鉄会社は特にわれわれのために便宜をはかっていただいておりますことはただいま川又さんが御報告になった通りでございますが、もともと鉄材外国に比較して非常に高いのです。ことに薄鋼板のごときはアメリカに比べて非常に高いし、大体鉄材にもいろいろございましょうが、ひっくるめまして三割から四割高でございます。この高い材料を使いまして、日本自動車を作っているということが私ども仕事の根本的な困難の一つ考えられます。これは国情といたし鉄が非常に乏しい日本でございますから、やむを得ない、それだけはほかで埋め合せなければならないと考えます。がしかし、今日の状態といたし、私どもはあまりこれをほかにしわを寄せる、あるいは労銀というようなものにしわを寄せるということは、決して好ましくない。労銀もまた決して外国に対して高くはございません、非常に低い状態でございます。また合理化の点もいろいろやっておりますが、やはりどうしても自動車価格を安くしようと思えば、原料を安くしていただく、ある場合製鉄会社が特別な安い価格外国輸出になっている鉄板その他もあるかと聞いております。そういう場合、現在鉄材として出血輸出をするというような場合、これを一つ自動車工業にお回し下さって、そうしてその安い鉄材で作った製品輸出していただくというような工合にお取り計らいいただければ、なお非常にありがたいところがありはしないかと思います。そういうことも総合いたしまして考えますと、少くも六十万円程度まではいろいろな条件が整えば、日本生産として可能であるかという数字も想像されるのでございます。  その他今日の工業状態生産状態につきましては、川又さんが先ほど詳しく御説明になり、全く私ども同感でございますから、ここに略しますが、実は自動車国産車生産には、今日外車というものが非常な、日本のマーケットにおいて大きなわれわれの、何と申しますか、支障といいますか、相手となっております。これにつきましてすでに政府外車輸入につきまして非常に行き届いた制限を今日しておいでになります。いわゆる公式の貿易としての輸入は非常にしぼっておいでになります。これは非常にありがたいことでございまして、この点私どもは非常に感謝いたしております。が、非常に不幸なことには、占領時代からこの方、無為替輸入外車輸入、すなわち進駐軍の軍人、軍属、それに類する方々が無為替輸入されて、ここで売られたものが非常な数に上っておりまして、今日はその点も通産省その他のいろいろの御配慮で、自由にあまり手放しでは売れない形になっておりますが、一番その外車輸入が大きかったときには、まあ二十八年でございましたか、約一万二千台ぐらいの外車が国内で売られているのであります。こういう状態では、何とも手が出ないようなありさまでございました。その後無為替輸入の車は、二年間使わなければ売れないというような法律が出まして、今日は非常に保護していただいておりますことで、追ってこの無為替輸入外車も減りまして、正常化いたして参るものと思って、私どもは安心いたしております。なおこれにつきまして、関税をいろいろと上げていただいて、この輸入を防止していただくという点もいろいろ議論もあるようでございますが、これは今日の関税においてわれわれはやはり満足いたしております。これはガットに加入以来、四〇%の税金を三五%にお下げになったことを、これはガット加入の当然の結果としてしかるべきだと考えますが、よその国を見ましても、ガット加入国は大体三〇%、英国が三三%でありましたが、ドイツが三〇%、大体三〇%の線にそろっております。ただ伺いますと、イタリアがまだ非常に高い関税障壁を作っておりまして、物によりまして八〇%から六〇%ぐらいのようにも聞いております。一番高いのはインドが七五%の税金をかけております。これらの特殊な国は別といたしまして、一般関税はその程度のものじゃないかと思います。これはいろいろな貿易上、国際性からこれを上げるということは、私どもはできないのではないかと思います。決して関税について私どもはこれ以上上げて保護していただきたいということは考えておりません。ただ私どもがおそれておりますことは、だんだん日本がその周囲の国々と平和を回復いたしまして、極東圏において自動車の販売の需要が非常に多くなって、マーケットが広くなって参りますような場合、今日はございませんけれども外国のメーカーが日本に投資して工場を作り、ここで外国車製造されるような状態が起りはしないかという一つの不安でございます。前にフォードが組立工場を鶴見に持っておりました。今日英国の場合を見ましても、フォード会社がフォード・コンサルとか、フォード・ポピュラーとか、フォード・ゼファ・ゾデアル等五種類にわたるフォードが特別な英国向きの車を作っております。これはフォードの資金でできております。なおフォードはドイツにおいてもフォード系の会社といたしまして、多分あれはタウナスでございましたか、作っております。またゼネラル・モータースも英国でボクサーを作っている。ドイツでも作っております。そういう工合に外国資本がここに入ってきて、日本ないしは東洋向けの特殊な設計の車を日本製造を始めるということが起りはしないかと私どもは想像いたしておりますが、これはあらかじめ将来に向ってこの委員会あたりでお考えいただき、同様なことが起った場合にはまた保護していただく方法考えておいていただきたいと思います。実はこういう問題は例のシンガー・ミシンで最近起って参りました。通産省が非常に御心配になっておることでございます。はなはだこれは杞憂でございますが、そういうことも私どもは想像いたしているのでございます。  なお最後に、多少私ども仕事とは離れますが、一般として申しまして、通産省あたりでごく専門の方を一つ外国に十分御派遣になりまして、各国の自動車保護政策を徹底的に御研究いただきたいと考えます。実はこれは各国ともあまりはっきりいたしておりませんで、普通われわれ業者としてあちらにもいろいろ参っておりますが、よく徹底してわからない。そこでどういう保護政策になっているか、一応御研究の上に、日本の保護政策を立てていただきたいと思います。  私どもの常務が最近生産性の委員会でアメリカに参りました。アメリカの自動車工業会が比較的非常によく材料を提供してくれました。シポレーのごときは考課状からすっかりくれまして、われわれの研究の自由を与えてくれました。おかげさまでアメリカの事情相当わかりました。それで、その常務が工業会で質問をいたしまして、アメリカの自動車がどうして今日の発達をいたしたかということを聞きましたところ、意外な答えは、政府は何の施策も何にも行なっていな。ただアメリカの自動車工業が今日に至ったのは、全部アメリカの銀行家がこの事業を支援したからであるという答えを聞いて、非常に驚いて帰ったのでございます。実はこの常務はいろいろ日本におきまして、銀行関係と交渉いたしまして、まあ非常に苦しんでいるのでございますが、意外の返事を得たのでございますが、その際にいろいろアメリカの自動車の民間銀行に保護していただいた経過を聞いて参りました。で、一つには私はこの委員会でもお願いいたしたいことは、やはり国策として国産車を御奨励になるならば、政府のみならず日銀を初め各銀行にも同様な意思を徹底させていただき、あるいは日本銀行のポリシイ・ボードぐらいでこれを問題に取り上げていただいて、自動車に対する金融についての政策を立てていただくということをお願いしたいと考えます。  次に外国の中では、御承知のように各国とも自動車工業は非常な熱心な援助を各政府がいたしていることは、まあ断片的に私ども聞いております。詳しいことはかえって通産省あたりに資料が一番おそろいになっていると思います。最近ルノーに関して、通産省には非常な詳細な御報告が入って、お持ちになっているということも伺っておりますが、私どもはまだ拝見する機会がございませんが、その中で、ルノーなどが一番国家の保護を受けている会社、第二次大戦後、爆撃もされましたが、全部国家資金機械も取りかえ、古い会社でございまして、機械の年数がもう二十年以上使っているような機械が多かったように聞いておりますが、機械を更新いたしまして、八千台の新しい新鋭の機械を備え、そうして今日は多分、これは柿坪課長さんが御承知と思いますが、私はよく承知いたしませんが、聞いておりますところでは、これは国有の会社で、国有民営と申しますか、そういう形ではないかと思います。政府がそこまで立ち入っている会社で、保護が徹底いたしていると思います。またフィアットのごときもその名前が示しておりますように、ファブリカ・イタリアナ・デル・アウトモビレ・トリノというのがほんとうの会社の名前であります。かしら字をとってフィアットと言っておりますが、ファブリカ・イタリアナ・デル・アウトモビレ・トリノ、イタリア国産自動車というような名前をとっているわけでありますが、ムソリーニが非常な援助をいたしまして、今日小型の五〇〇CCぐらいの自動車をフィアットが作りましたときにも、ムソリーニの意図で出たのだということがいわれております。ドイツのフォルクスワーゲンは、ヒットラーの遺産ともいわれておりますし、占領中も特に賠償指定から除外をいたし、またドイツに非常に乏しい鉄鋼も特別配給をいたしてフォルクスワーゲンを助けております。英国は国家の資金がたくさん出ているということは自動車方面では聞きませんが、私がたまたまほかの飛行機会社関係いたしており、飛行機の生産にも関係しておりますところから聞きますと、ロールスロイスにジェット・エンジンを補助しておる額は日本の金に直しまして約二百億円、わが国ではジェット・エンジン生産のためにようやく通産省から本年千五百万円いただいておりますが、英国は徹底的な保護をいたしておる。でございますから、自動車におきましても、同様保護はいろいろあるものと思いますが、何分にも民間ではわかりませんので、こういう点、通産省なり、また国会なりで一つ御調査いただきたいと考えております。  申し上げたことは、はなはだ雑然といたしておりますが、今日伺って参りましたのは、懇談会であるというお話で、まとまった原稿を持って参りませんので、私の話はこれで終らしていただき、なお委員方々のお許しを得ますならば、私の会社の企画部長の天瀬重役が一緒に参りましたので、会社原価計算その他いろいろな機械工作及び材料価格等のディテールは、天瀬君からまたお返事を申し上げることにして、終りたいと思います。
  7. 白川一雄

    委員長白川一雄君) 大野さんにお願いいたします。
  8. 大野修司

    参考人大野修司君) 本日はわれわれメーカーのために、小委員会を開かれまして、またお呼び出しをいただきましたことを御礼申し上げます。  最初にお断わりいたしますが、本日、社長やむを得ない用事がございますので、私かわって出席いたしたのであります。  当社の概要を一応御説明申し上げて、乗用車の問題に入りたいと思います。当社は、昭和十二年にトヨタ自動車として独立いたしましたが、昭和十年頃から親会社であります自動織機におきまして、この自動車の研究に入りました。それ以降最初の一号車が乗用車であるように、乗用車を積極的に考えて、工場の設備その他をいたしたのでございまするが、引き続き事変があり、あるいは戦争があり、そういう関係から乗用車が中絶をしておったわけでございます。先ほどお話のありましたように、戦争中には、ごく少数、軍の御要求に応じまして乗用車生産しておりました。また終戦後はGHQの方からの乗用率生産禁止の命令を受けまして、表向き作れるようになりましたのは、昭和二十四年十月頃かと存じております。それ以来乗用車の問題につきまして、いろいろ各社の皆様から御説明になりましたように、積極的に乗用車の問題と取っ組んで参った次第でございます。たまたま二十六年ごろからは、通産省におかれましても、国産乗用車の確立ということを打ち出されまして、積極的な御指示をいただきまして、それによりまして当社の設備も、二十六年以来、これは乗用車のみではございませんが、すべての設備を更新いたしまして、本年までには約四十億近くを投じまして、設備の更新をいたしました。二十六年以降当初作りました車は、三十馬力のエンジンを載せました乗用車でございまして、これが百四十八万という値段をつけて売り出したわけでございます。それがごく最近のものは二種類作っておりますが、一種類が九十九万五千、もう一種類は八十六万五千、こういう価格に低下いたすことができたのでございます。これにはむろんこういう品物を作りますための材料の供給先、あるいは部品メーカーの方から積極的な御協力をいただいたたまものであることは当然でございまするが、そのもとをなすものは、二十六年当時の月産六、七十台作っておりました車が、現在では六、七百台を作り得るようになったのでございます。設備の上から申しますると、これは通産省の御指示もございまして、ただいま当社の乗用車月産の能力は、約一千台の能力を持っております。いろいろ市場の関係から六、七百台を作っておるのでございまするが、この間の値段の動きの最もおもなるものは、これは量産に移し得たということでございまして、この乗用車は、特に量をたくさん作ることにおいて初めて価格引き下げができるということが、如実に価格の上にも現われておるわけでございます。  なお、私は過日衆議院の商工委員会参考人として出席いたしました折、もし現在の生産が千台を上回るならば、一割の価格引き下げは可能であるということを、御質問がありましたので、お答えを申し上げたようなことでございます。特に日本におけるこの乗用車工業は、先ほど来いろいろ御説明がありましたように、日も浅く、まだその技術の面についてもいろいろ研究する余地があると、かように考えておりますけれども現状におきましては、材料メーカーにしろ、あるいはその部品を供給していただく部品メーカーにいたしましても、相当積極的な設備をされ、また技術的の研究も相当進んで参っておりますので、今後はこの技術的の進歩をとめないように、一そう強力にこれを推していくならば、私は皆様方の御要求に応じられるような車が十分にでき得ると、かように自信を持っておる次第でございます。設備の問題も、先ほど申し上げましたように一応整いましたので、本年の当初からは、当社のマスター、あるいはクラウン、この二種の乗用車製造いたしまして、いろいろ御批判を仰いでいるわけでございますが、何分にも日本自動車工業は、まだまだ乗心地がどうだとか、いろいろ馬力が少いとかいうような御批判を一部からいただいていることも事実でございます。しかしこれには一つの原因がございまして、これを生産いたします技術屋の方から申しまするならば、われわれがいろいろな制約をこれに加えておるわけでございます。その理由は、小型自動車の規格がございまして、この規格の範囲において作る、これが税金の上に影響することが非常に大きいので、小型自動車の規格の中で、いわゆる大型らしい味も出し、また乗り心地もそれにふさわしいものを作ろうと、ここに日本におけるところの自動車関係しておる業者の非常な苦労があると存ずるのであります。今まで私の申し上げましたこの二種類の車も、日本小型自動車の規格一ぱいなものを作っております。乗用人員は六名になっておりますし、幅、長さ等も小型の規格に当てはめて作っておるわけでございます。こういう意味からいろいろ御批判をいただきますお言葉を分析してみまするな−らば、一がいに日本の技術が劣っておってできないというのではなく、今申し上げましたような条件下において作るということにおいて多少の無理があるということを、この機会に御説明を申し上げたいと思うのであります。かような状況を続けまして、現在もその設備も一応整い、またより一層高度の性能を出すような研究の継続をしておる次第でございます。先ほど團社長からもお話がありましたように、日本乗用車工業に最も必要であるところのボディを作ります施設、あるいはこれに使います材料、かような点は現在大分進歩はして参りましたけれども、まだわれわれの要求するようなものに到達しておりません。しかしながらこれはこの二、三年の経過を見ますると、非常に大メーカーである八幡、富士、そういう方面の技術者がこの自動車工業というものに相当着目をされまして、また技術的にも非常な関心を持たれまして、私たちの現場にもそれぞれの技術者が新しい研究をされた材料を持ち込みまして、プレス加工をしながら、その材質を研究する、この熱心な姿を見るならば、私はこの問題も近いうちに解決し得る、かように考えておるわけでございます。ただ一部には、日本のこのメーカーでは、いわゆるロールのサイズの上からいたしまして、ロールの幅がせまいために、われわれの要求する広幅のものができない、というようなことがありましたので、非常に残念ではございますが、一部の材料輸入をせざるを得ないという状況でございます。しかしこの問題につきましても、その薄板を溶接いたしまして、幅を広くするという研究もあわせてやっておりますので、これらの問題も近く解決するやに存じておる次第でございます。先ほど申し上げましたように、特にこの乗用車というものは、先ほど川又専務からもお話がございましたように、量を作るということの必要は、プレスをいたします型それ自体を考えましても、大体われわれの乗用車を作ります型代が六億程度かかっております。こういう点から考えますると、量をたくさん作ることにおきまして、その型代償却の一台の負担する分がそれだけ軽減することになります。こういうことがほかの車と違いまして、トラック等と違うところでありまして、そういうところに資金が寝る、しかも量を作ること以外に、この償却方法がないというようなことが、乗用車工業の確立のために相当困難を今感じておるわけでございます。しかしこういうふうなことをいつか日本としてやらない限り、乗用車の国内の需要を満たすのみならず、これを輸出商品にするというからには、いつかはそういう過程を通り得る、また通らなければならないものと私たちは信じまして、積極的にこの問題と取り組み、その解決に努力をしておるわけでございます。  ところで、今日この機会に、先ほど委員長からのお話がございましたので、お言葉に甘え、いろいろ御要望事項もこの機会に申し上げたいと思います。とにかくこの乗用車工業は、くどいようでございますが、量を作るということが第一条件であって、しかも国内におけるところの需要というものには、現在の段階においてはある限度がございます。ですからこの国内の市場を圧迫するところの外車払下げ、あるいは外国車輸入、これについては、通産省におかれましても積極的な手段をとっておりますので、これをゆるめないようにしていただきたい。それでこそ国内の市場の確保ができるのであります。そうして、量産をすると同時に、国産車を積極的に一つ御使用をいただきたい、われわれの悪いところは悪いと御指摘いただき、またよく御指導いただくとともに、使っていただきたいということでございます。これには、この機会にお言葉に甘えるわけではございませんが、官庁方面においても通産省あたりは積極的にその方面に推進をされておりますので、どうか国会におかれても、こういう点についてはよく御しんしゃくをいただきまして、いわゆる官庁方面の車は積極的に国産者を御利用いただきたい、こうすることにおいて、需要が増し、需要が増すことによって車がよくなる、しかも価格が引き下がるということでございます。それから乗用車の市場獲得という問題の一つには、先ほど川又専務お話にもございましたように、やはり自動車というものは金額が張っておりますので、これをたやすく買える手段といたしましては、月賦期間を延ばすということでございます。その月賦販売期間を延ばすということは、それだけ月賦に要します資金の獲得が必要なのでございますので、こういう点についても何らかの御施策一つ御検討いただきたい。それからまた物品税の問題でございまするが、この物品税の問題等につきましても、先ほど圏社長からお話がありましたように、ぜいたく品という考え方をどうぞ一つ切りかえていただきたい、実際に国民の足であるという観念に立ってこういうものの御処置をいただきたい、そうすることによって、車の価格というものがどんどん引き下げ得るということを申し上げたいと思うのでございます。それから今回御提出をいたしました書類の中に、あるいは御下問の書類の中に一五〇〇CCの車を五十五万円程度引き下げ得るか、あるいはそれにはどうするかという意味の御下問のように存じましたので、いろいろ検討をいたしておる次第でございまするが、さらに物品その他の点につきましては、先ほど團社長お話にありましたように、結果的に見て四〇%程度、値引きをしていただく必要があると存じます。これには一つ今の材料の歩どまりという問題が含まれておりますので、材料の歩どまりがよくなりますれば、価格はそれだけ引き下げなくとも、われわれの原価はそれだけ引き下がるわけでございます。それの一つの例は、先ほど申し上げましたように、寸法上の問題がある、あるいはその寸法上の問題から歩どまりの低下ということにもなりますので、われわれの希望するような寸度のものが、あるいは質のものが得られるように、現在いろいろメーカーと交渉中でありますけれども、この方面にも一つ国会方面でも御検討をいただきまして、御指導いただけるならば、この解決も早いのではないかと思います。こういうふうにいたしまして、材料方面が約四〇%程度、これは価格だけでなく、寸度の上の歩どまりがよければ、これが三〇%程度というふうにもなるかと思います。われわれの方の社内のコスト、この方面から研究をいたしますると、一つの例でございまするが、当社が現在六、七百台の乗用車を含み、トラックとともに、月産二千台程度を作っております。これをもし五千台程度まで作り得るようになるならば、そうしてその中に乗用車が二千台ないし二千五百台程度が含まれるようになるならば、今申し上げたように、社内コストの四〇%程度引き下げは可能になります。こういうふうに見ますと、社内コストは、ある量を作れば引き下げ得る。それからもう一つ、今申し上げました材料方面が歩どまりと合せまして、四〇%程度引き下げ得る。そうしますと、その材料を使ういろいろ部品もございますから、その部品もやはり三、四〇%程度下げていただけるというようなことが、これは夢ではなくて、実際にある程度の見通しがつくのであります。またそこに、今申しました一割五分程度物品税というものに考慮を加えていただきますならば、せっかくこのたび参議院におかれまして、一つの標準を示された数字に近い結果が出るという見通しを私たちはつけたのでございます。ただし、それには今申し上げましたように、いろいろな条件はついております。条件はついておりますけれども、もう一つこれを裏から見まするならば、価格が引き下がるということは、すなわち一面においては需要を喚起することでございまして、需要を喚起するということは、量が上ることでございます。それはわれわれの生産の量が上るということとともに、それに協力していただいております材料メーカーにお願いする材料の面もふえるということでございます。部品の面もふえるということでございます。単純に今の量で値を下げるのではなくして、量がふえながら下っていくということなので、これは必ずしも困難でない、かように考えておるわけでございます。せっかくにただいまの自動車工業に対しては、大どころの材料メーカーを初め、部品の専門メーカーも、技術の面につき、あるいは設備の面につき、あるいは価格引き下げに、非常に熱心に努力をしておりますので、幸いに今回国会において取り上げられたこういう機会に、もう一そうの、そういう方々の御協力を得るならば、一歩一歩、その五十五万円という価格も夢ではなくして、現実に近いということを私たちは痛感した次第でございます。それには御提出をいたしました書類にも、一応われわれがどういうことを、政府にもあるいは国会においても取り上げていただきたいかという要望事項もつけてはございまするけれども、必ずしも無理ではない、しかも一番いい例は、われわれの所で、これは当社だけでなくして、日産さんにおかれましても、富士精密さんにおかれましても、壁が上るということで価格の引き下がるという事実は数字で出ると思うのでございます。それと同じような足取りをこの自動車業界、あるいはこれに関連するところの産業界において御協力をいただけるならば、非常にいい数字を今回参議院の皆様からお示しをいただいた、非常に参考になった、やってみたらある程度の見通しがつく、こういうふうに私ほお答えを申し上げたいと思うのでございます。われわれの力が足らずいたしましていろいろの御要求あるいは要望事項をたくさん並べましたけれども、われわれは労使ともどもに一生懸命にこの問題の解決に当っておりますので、どうかわれわれが考えておりますことが達成できますよう、一そうの御支援をいただきたい、かように申し上げて私のごあいさつといたします。
  9. 白川一雄

    委員長白川一雄君) ありがとうございました。  本多さんお願いいたします。
  10. 本多森正

    参考人本多森正君) 本日純国産の企業に携わっております労働組合の代表としましてお招きにあずかったわけなのでございますが、御指名いただきましてから非常に時間がありませんでしたので、何ら資料をこちらへ提出することができなかった点につきまして、まず最初におわび申し上げておきたいと思います。  私、今から御報告並びにお願いしたいことは、まず第一点としましては、冒頭に委員長の方からお話のありました日本自動車産業労働組合が結集いたしまして、ことしの春から行いました自動車産業の危機突破の問題につきまして、御報告がてら御希望申し上げたいことと、その次に純国産の企業に携わっておりますトヨタ労働組合としての考え方を一、二申し上げておきたいというふうに考えます。  ことしの二月に私たも自動車産業に従事しております労働者が東京に集まりまして、危機突破大会を開催いたしたわけであります。その趣旨は、最近におきまする諸情勢の中で、名自動車の企業が滞貨をかかえ四苦八苦しているその中で、自動車産業に従事しております五十万の労働者、それからその家族を含めて約百五十万、その生活をどうやって守っていくかというところに中心を置きまして、いろいろ討論をいたしました結果、この問題についてはただ単にそれぞれの企業の中で活動をいたしておるだけでは、その目的はとうてい達し得られない、で、国策として日本自動車産業というものに対して育成擁護の施策を講じていただきたいという要望を、この際労働者として政府たりあるいは各関係諸団体に陳情並びに要請すべきであるという結論になりまして、次に申し上げますような項目を掲げましていろんな活動をやって参りました。  まず第一点としましては、自由貿易による市場の拡大、これを積極的にしかも早急にその対策を樹立していただきたい。  二番目にMSA協定による現物支給並びに無為替輸入、これに対して反対をしていただきたい。  三番目にガット加入による自動車の関税引き下げ、これに反対していただきたい。  四番目に国産車物品税を廃止していただきたい。  五番目に自動車産業育成のための国家融資による研究所を設置していただきたい。  六番目に輸出促進のための融資対策を樹立していただきたい。  こういうような六項目を掲げまして、先ほど申し上げましたようにいろんな形で要請あるいは協力を要望して参ったわけでありますが、前国会の最後になりまして、衆議院の商工委員会でこの問題が取り上げられまして決議されたわけであります。それ以来この問題をさらに発展させるべく、自動車産業に従事しております労働者といたしまして、いろんな形で討論しあるいは研究し、これを具体化していただくための諸活動を現在やっております。参議院におかれましても今申し上げました六項目をば中心にされまして、日本自動車産業をいかにすべきかという観点に立たれまして、私たち労働者の気持を率直に受け取っていただきまして、その対策を講じていただきたいということをまず最初にお願いしておきたいと考えます。  次にトヨタ労働組合の現在考えております気持の一端を申し上げておきたいと思いますが、先ほどトヨタの経営者の方から末端価格を五十五万円にする場合における対策を述べられましたが、もちろん労働組合といたしましてもそうした考え方あたりにつきましても同感でありまして、これがもし具体化されるというような事実が起きて参りましたならば、全力をあげてこれに対して協力し、日本自動車産業の確立のために努力していきたいというふうに考えております。しかしながら、これが具体化される場合において、労働者としては次の二点をもちろん前提といたしております。すなわちその一点といたしましては労働条件を切り下げないということと、完全雇用を守っていただく。この二点を前提として先ほど経営者の方から話のあった方策についてはもちろん組織あげて協力をしたいというふうに考えております。  それから次に申し上げておきたいのは、純国産をやっております立場の労働者の気持といたしまして、先日日英会談の結果、組み立て会社のワクが若干広げられたという措置に対しまして、非常に疑問を持っているわけでありまして、今後そうしたあたりについて十分お考えを願うということと、それから現在の日本自動車産業のあり方というものについて十分お考えをいただきたいという二点について申し上げておきたいと思いますが、特にトヨタ労働組合といたしましては最近におきますわが国自動車産業の苦しい実態の中で、純国産というものをもってその実績を獲得、向上していこうということでいろんな苦境の中で戦って参りました。かつて日本に組み立て会社というものが許可されました当時、国産車一本でいこうという会社の主張に対しまして、日本人としてわれわれはもちろんもろ手をあげてそれに賛成して協力したわけでありますが、外車の組み立てということによって生じてきます恐怖といいますか、不安、これはおおい隠すことはできなかったわけであります。しかしながら日本人としても必らず外車に負けないような車ができるはずだ。またでかさなければならないのだという決意のもとに、あらゆる問題について私たちは協力をして参ったわけであります。幸いにいたしまして、今年の春出しました新型に対しましては、ある程度世界の水準にまで到達し得たというような世評を受けておりますが、その陰には、今申しましたような努力があったわけでありまして、そうした点あたりをいろいろ振り返って考えてみますと、今度組み立て会社のワクを広げられたということについては、気持の上においては非常に理解のできないものがあるわけなのであります。しかしながら現実に組み立て会社というものをやっておりますわれわれの同士である労働者、この人たちの生活というものを考えてみました場合に、これは簡単に組み立て会社を中絶すべしとかあるいは廃止すべしとかいうような考えは毛頭持っておりませんが、しかしながら大きな観点に立ちまして、現在の日本自動車産業はどういう形にあるか。これをどうしていかなければならないかというあたりについては、十分御高配をいただきたい。特に最近自動車工業の中には企業競争が熾烈になって参りまして、これは自動車性能を向上するという意味においての企業競争、これは否定はできません。ある程度進歩を求めるためにはそうした競争というものは当然必要だということは考えられますが、そうした意味の競争をすでに超越しております。その限界をすでに越しております。従いまして各企業間の競争は非常に熾烈を日ごとに加えて参りましてこれがいろんな形で有形無形に労働者に対してしわ寄せになっておる事実があります。具体的に申し上げますれば、トヨタにおきましても一週に一日というような操短を現在実施しております。しかもこの操短が一年間を通じて九カ月というような期間にわたっております。この操短によって生じて参ります賃金の減収、これからきます生活不安、あるいは慢性的な操短からくる雇用の不安、これに対して労働者としては真剣に現在考えておる。これはただ単にトヨタ労働組合だけではなくて、他の自動車産業の中にもこれと同じような形が現在相当現われておる。従ってこういうような点につきまして十分お考えを願いまして、日本自動車産業はいかにあるべきか、そのあり方の上に立って国家として何らかの方法をこれに講ずべきである、そういうように私たちは考えております。この企業競争がさらに発展して参りますと、私たち労働者におおいかぶさってくるものは、明瞭でありまして、ただにこれが労働者だけへのしわ寄せということだけにとどまるものではなくて、企業間の熾烈な競争が日本自動車産業の向上発展というものを大きく阻害し、社会上あるいは経済上に大きな影響を及ぼしてくるということあたりを考えてみました場合に、ただいま申し上げましたあたりにつきまして、十分御検討の上、善処していただきたいというふうに考えます。  それから次に、先日私たちトヨタ労働組合といたしまして、アメリカ並びに欧州にその代表を送りまして、これはこの前の生産性本部からの派遣の一員に加わって、組合から出したわけでありますが、二カ月余にわたりまして、アメリカ並びに欧州の視察をして帰って参りまして、いろいろその話あたりを聞いてみたわけでありますが、アメリカ並びに欧州あたりに自動車工業というものが非常に発達したというあたりについては、私が申し上げるまでもなく十分御承知だと思いますが、特に道路の問題あるいは先ほどからいろいろ話の出ております国家的融資の問題、これに対して私たち労働者といたしましても、特に御高配を願いたい。そうすることによって日本自動車産業の将来というものもあるいは向上というものも求められてくるのじゃないかというふうに考えますので、特にその辺についてお考えを願いたい。  それから若干この問題とはそれますが、特に現在自動車産業に従事しております労働者、その他の労働者におきましても痛切に感じておりますのは、税金の問題であります。この辺についても参議院におきましても十分御検討を願いたいということ、特に今日参加するに当りまして、組合員から要望されて参っておりますので、問題から若干ずれておりますが、一言お願いしまして、私の報告並びに所見の一端を申し述べる次第であります。
  11. 白川一雄

    委員長白川一雄君) ありがとうございました。  それでは委員長方々から御質問を申し上げることにいたしますが、その前に御了解を得ておきたいのでありますが、末端価格をとりあえず五十五万円という数字を出したということにつきましては、現状から見て、非常に乱暴な数字を出したというようにお考えになったかと存ずるのでございますが、従来国会においていろいろ審議されました経過を見てみますと、ただ高い、何とか安くならぬかというような抽象的な言葉に終始しておりますもので、一応現状においては不可能かもしれませんけれども、目標というものをつけて一つ解決するのには具体的に条件をどういうふうにしていかなければいけないかということを、的確に政府当局においても認識してもらうということのために出した数字でざいまして、われわれが今後やっていく方針としましては、観念的でなく、具体的に進めたいという考えから出しました数字であるということを御了解をお願いいたしたいと思います。
  12. 藤田進

    藤田進君 團さんの方から先ほどコスト関係については詳しい方がお見えになっておるという意味の御発言がありましたが、できればコスト関係をお伺いいたしたいと思います。  それから各社へのいろいろお気がねもあるかと思いますので、われわれもなかなか質問しにくいところですが、できるだけ手一ぱいのところを御説明いただければけっこうです。
  13. 團伊能

    参考人團伊能君) もしもただいまの藤田さんの御質問に対しましてお許しを得るならば、私としましては取締役の天瀬さんの方から御説明することのお許しを願います。
  14. 白川一雄

    委員長白川一雄君) どうぞ。
  15. 天瀬金藏

    参考人(天瀬金藏君) 御指名にあずかりました天瀬でございます。ただいまの原価の問題でございますが、私エンジニアでございまして、多少専門的に講義がましくお耳ざわりかと思いますが、機械工業のマス・プロダクションと原価というものの基礎の私ども考え方、あるいは実情を申し上げて、御判断願いたいと思います。それは御承知のように原価並びに固定費変動費がございますが、変動費の中にも必ずしも量によって変動するというものに限られないのでありまして、この中にも固定的なものもございます。そういうようなことを大幅に考えまして、大体機械工業の壁産と原価ということにつきましては、一般的に二次曲線で逓減曲線というものがあることは御承知通りであります。その逓減曲線をよく分析して考えますと、われわれが戦時中に航空機の機体であるとか、あるいは発動機というようなものによりまして、それぞれその曲線の性質が違います。戦後においていろいろな機械工業の多量生産のものを扱いまして、たとえば小型ガソリンエンジンであるとか、あるいはディーゼル・エンジンであるとか、あるいはミシンであるとかいうような機械工業の多量生産のものを扱いまして、実際にこれらの非常に工数の多いもの、それから機械工業として中くらいの工数のもの、あるいは非常に工数の少いもの、これらのそれぞれの量産に基く原価逓減のカーブを、実際の面とそれから理論的な数字の面から当てはめまして、そうしてその自動車工業エンジンあるいは車体ボディの工数の逓減の方法を研究をして参ったのであります。その下り方は、下る係数は、あるコンスタントに月産生産量の二次曲線で下る係数がございますが、その係数のかかったものです。そういうように下りますが、その自動車工業におけるエンジンあるいは単体、ボディを引っくるめたもので考えますと、月産数量で下って行く下り方は、これは純製造原価的なものと固定的なものの総合されたものが現われてきますが、そのコンスタントの係数の中には非常に工数の多いものと少いものによって違ってくる係数がございますが、その係数が試作時からある数量までの実際にかかる数量を算定いたしまして、それからは、今までいろいろな研究をいたしましたカーブの傾向を当てはめて考えるのでありますが、それでその二次曲線で下ってくるカーブの中に、熟練度からくる下り方と、設備による——その数量に最も適当な設備により下る係数と、両方含まれて参ります。そういう段階に立ってこの問題を申し上げますならば、先ほどお話に出ました現在のわれわれ日本の純国産メーカーが作っております生産数量程度と、さらに十倍あるいは数倍というような月産数量の下り方が、このカーブの上から出て参ります。そこにおきまして考えなくちゃならないことは、まず固定的な材料面も、確かに現在においては固定的でありますが、これはやはり月産数量が十倍になることによって下るものも出て参ります。といいますのは、買っております板なり棒材というものは、全くの原材料のほかに、さらに労務費なりその他の経費が入っているのです。そういう意味からいたしますと、かなり単産によってそれも下ってくるということが申し上げられ得ると思います。そのほか材料費の中に含まれる購買品であるとかあるいは外注品、これらも同じことが言えるのでありまして、鉄材そのものを使っております購買部品はかなりあります。そういうものが量産において下ることはやはり各工業においていろいろな量産による逓減のカーブをとるわけであります。それが購買部品あるいは材料費の中に幾分の逓減が期待できる、ということは、必ずしも絶対的な固定的なものではなく、こういうものも同じく逓減のカーブをたどってくる。さらに変動費の中の固定的な部門も、あるいは直接的な販売費といえども、同じ人が一台売るのと、あるいは量がふえて三台売るのは、必ずしも人件費の面から申し上げて販売量に比例するものではないというような、こういうような固定的なものは、量産によってあるいは多量販売によって逓減をしてくるというような数字が、このカーブの全部に現われるわけであります。この面で五十五万円、あるいは現在の価格から四割程度のダウンということが概略的に申し上げ得るのでありますが、ただいまわれわれの方の社長から申し上げました乗用車は百三、四十台でございますが、これに共通する部品の多いトラック関係も、たとえばエンジン等は同じエンジンでございますので、月産五百台の現状からいたしますと、こういうものは月産五百台の線で下ってくるわけでありますが、かりにこれを千台あるいは二千台にいたしますと、材料費で現在の川棚は可能であり、さらにその他の経費の逓減も、先ほど申し上げましたカーブの上から算定をいたしましても大体可能になる。それから物品税の問題につきましては、一五%の物品税を全廃していただくというようなことで申し上げたわけでございます。なお量産によって技術の練度が下るという程度は、これは長い期間にはかなり接近をいたしましてややフラットになりますが、そのほかに大事なことは、現仕アメリカ等におきまして毎年型を変えるということが、日本では二年なり三年はどうしても同じ型でいかざるを得ないということ、原価の面から申し上げますと、型を変えると、ただいま大野常務の方からもお話がありましたように、数億のボディ・チェンジの費用がかかるのであります。こういったことがたとえば月産千台でありますと二年間で二万四千台、一台に当って四、五万の型代償却費を見なければならぬということがございますので、この多量生産と同時に同じ型をある必要な年度は継続するということが原価逓減の一つの大きな要素にもなろうと思います。  はなはだ簡単ではございますが……。
  16. 藤田進

    藤田進君 続いてお尋ねいたしますが、富士精密の方の資料の十三ページにありますが、エンジンボディシャシー材料費関係の割合が出ているわけですが、これについてたとえばエンジンの場合に、残りの四二%というものは、果してどういうものになっているか、お聞かせをいただきたいというのが第一の点と、それからタイヤなんかが最近調べてみますと、これは資料になかったと思いますが、かなり高騰してきているように思います。ですから単にあなた方の工場だけの努力でどうにもならぬというものがあることはわれわれもよくわかりましたが、そのうちでもタイヤなどかなり高いと思いますが、これらの事情をお聞かせいただきたい。それから第三の点は、これは團さんにお伺いした方がいいと思いますが、自動車工業再編成論、こういうことについて資料でお触れになっておりますが、私ども考えてみて、戦前必ずしも先進国でなかったわが国の自動車産業が戦後かなりの空白とかなりのコントロールを受けてきて、まあようやく今すべり出したというところが最も適当だと思います。そういうすべり出しの時期に、また再編成なんというのは少し早いように思いますけれども、これは見通しを先ほど来の皆さんのお説を聞きますと、何といっても生産数量にかなりの影響がある、これは質にももちろん価格にも影響がある。それから国際競争等々、考えてみると、やはり大きな問題としては自動車参業のあり方ということが個々の助成政策というよりももっと根本な問題がやはり理想としては持ち得るように思うのですが、團さんのところでは再編成論についてはむしろこれを否定せられて、いろいろな事情を書いてあります、これを読みましたが、しかし私どももそういう一縷の根本的な問題がありはしないかということについて、どうも四人の方々の御説明では、むしろますます量産ということに根本を置くならば、国家の助成をするにいたしましても、あるいはイタリア、フランスあるいはドイツという各国の事例も引用せられてみると、どうも日本でも過剰設備というようなそういったような二重投資というか、こういう面も考えていかなきゃならぬのじゃないか、こう考えるのであります。再編成の問題、これと関連しては将来の市場、これはどうも私ども欧州も一応かけ足で見てみますと、日本の車というものはなかなかいきそうにもないような気がいたしますが、そうしてこれは東南アジア付近でも、ほとんど町を走る車はイギリスのは入っていても、日本製品は見ない状況です。これは昨年のことですが、その後大量にいっておるかどうかわかりませんが、いずれにしても市場の獲得ということが国内市場以上に問題があろうと思います。こういう点につきましても関連してお答えいただきたいと思います。
  17. 團伊能

    参考人團伊能君) それではただいまの資料の十三ページにございまするが……。
  18. 天瀬金藏

    参考人(天瀬金藏君) 十三ページに素材料費エンジンにつきましては一八%、購入品費が三五%、これは素材料は私どもは鍛造も鋳造もやっておりません。従いましてこれらは素材費として購入いたしております。ただしこの購入品というのは、電装品であるとかあるいはキャブレーター、スターター、ダイナモであるとかというような市場完成品やショック・アブソーバー等の機能、部品、これらも購入をいたしておりますので、いわゆる素形材の形で買うのが大部分、それから先成品として購入をいたしておりますのが購入品費でございます。それでタイヤの価格が非常に高い、これはおっしゃる通りでございまして、タイヤがゴムの直接的な材料値上げから、これがまともに影響を受けるものでございます。これははなはだ門外漢でこういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、材料関係でもいろいろ他の外国会社によって直接影響を受けているようであります。かなり日本の使用量がふえた現在では、日本の共同出資その他によってゴムの栽培までやるというようなことまでやらないと、この辺の解決はむずかしいのじゃないかというふうに私ども考えております。実際にタィヤの占める量、それから消耗品として、部品補用としてダイヤの使用される量はかなり増大して参りました。
  19. 藤田進

    藤田進君 ちょっとその点で、途中ですが、あとたとえばエンジン五八%の、これは一〇〇を単位にしておられるわけでパーセントが出ていると思うのですが、その残りの四二%というのはどういうものが主要なものになるのかという点。
  20. 天瀬金藏

    参考人(天瀬金藏君) それは製造原価から申し上げて業務費、経費というのがございます。その製造原価に対してのいろいろな率は、材料費の扱い方でいろいろな比較が、基礎を合せないと困難でありますが、大体において製造原価につきましては、エンジンにつきましては五八%、あとの一二、三%から四、五%の範囲において人件費その他が経費、経費の中には工場経費、それから消耗品費がございます、製作治工具であるとかあるいは油のごとき副資材であるとか、その他の電力、光熱費というようなものが含まれるわけでございます。分け方につきましてはシャシーボディも同じことでございます。
  21. 藤田進

    藤田進君 ちょっと今のですが、これは人件費と経費、経費の中には工場の管理、一般の消耗品その他が入っている、これにはいわゆる資本費系統ですね、金利とかそんなような公租公課とか、そういうものは入っておるので
  22. 天瀬金藏

    参考人(天瀬金藏君) それは製造原価に入れずに一般販売関係費の、原価外経費でございますね、銀行利子その他は原価外の経費の中に入れているのでございます。その原価の中にこういうものを……。
  23. 團伊能

    参考人團伊能君) ただいま藤田さんからお話の、自動車工業が今日ようやく戦後出発いたしました、ようやく踏み切った今日におきまして、再編成ということの議論も私どもちょくちょく耳にいたします。その再編成ということの原因は、自動車工業が非常に資金を要するもので、先ほど来いろいろの方からお話のように、量産をするということが一つ自動車工業を成立せしめる重要な要素である、しかるに国内マーケットというものが非常に限定されているというところに、非常なたくさんの会社がおのおのこれを作りますということによって、お互いに何と申しますか、ただ争うだけで、その成果が上らない、共倒れになる。そこで一つの企画のもとにと申しますか、一つの指導のもとにこれを置いて、摩擦なくお互いに順調に生かしていくという意味の再編成論を私どもも耳にいたしております。私どもは全然その再編成に反対というか、ただいまのところはその時期でないと考えます。ある形の編成と申しますか、再編成とまでいかなくても、ある形の一つのコントロールというもの、これはどうしても自動車工業を発達させる上に必要だということは考えております。しかし今日の場合、現に国策工業にしてしまっている国もございますが、それらの国の生産が、まだそれの生産がいわば非常に発展性がなく、まあ眠ってしまっているようなものもあるように見受けておりますので、現在の段階は全体において試作時代であり、今日いろいろな形においてみんな苦しみながら、またいろいろな創意が振いながら、ある道を求めているときでございまして、このときにおいては、その再編成は、将来において、ある形においてどうしても必要とは思いますが、まだ当分延ばしておかるべき時期じゃないかと思うのです。今芽が出たところで、どういう花を咲かせるかということにみな夢中になっているときでございます。それからマーケットは、なるほどこれは今日小さいのでございますけれども、私ども考えているマーケットの考えは少し違います。それは今日乗用車は、やっとタクシーを作っている時代なんでございまして、まだ国民的な乗用車を国民に提供しているときではございませんです。大体はタクシーです。これはまだ需要のきわめて一部でありまして、将来に日本というものは、そういうタクシーという特別なユーザーでなく、先ほど大野さんからもお話になりましたように、非常に広い一般的な乗用車にまでこれが発展して参りますときに、今日のマーケットというものを基礎にして考えることのできないところの、非常にまだ日本国内においても広いマーケットが開発できると思います。それには価格の低廉なものを提供するという必要はございますけれども、この点で日本のマーケットがいよいよ行き詰まっているというわけではないと思います。また一方、外車というものよりも、より低廉にして、よりよきものができるならば、外車が持っている今日の販路も国産車にこれを取り戻し得るのでありまして、そうすれば相当今日の程度、これがミシンとかあるいは自転車のように、四十何社というような会社が並んでしまえば、このときにはこれはどうも成り立ちませんけれども、今日のようにまだきわめて少数な会社がこれをやっている間において勉強いたしますれば、私はまだ再編成という問題を取り上げる今日においては段階ではないと思います。しかし、もしもこれが日本のミシンとか自転車のように、非常に放置されておりまして、無数の会社が、自動車工業が少し有望であるというために、無制限に出てきたときは、どうしても再編成しなければならなくなると思います。それかといって、特殊の会社だけに制限して、それが一つの特権を持つことは、私どもはそれは反対でありますが、現在の試作時代は、ここ何年聞か、一つよくごらんになって御研究いただいて、その上にその方針をお立ていただきたいと考えております。はなはだ抽象的でございますが、まあそういうような気持でおります。
  24. 藤田進

    藤田進君 川又さんにお伺いいたしたいと思いますが、ルノーとダットサン小型関係において、現在もそうでしょうが、いろいろな面で競合があるだろうと思うんです。それでお宅の方も組立てもやっておいでになるようですが、純国産車と、いわゆる組立車といいますか、ダットサンとか、あるいはトヨペットとか、あるいはプリンスとか、そういうものに対して、ルノーとか、あるいはトヨタでやっておいでになるような組立てとの関係、われわれから見ますと、できるだけ純国産車でいくように、そこにやはり中心の政策がなければならぬように思いますが、現在おやりになっておるところからすれば、必ずしもそういう趣旨の御説明ではないわけでありますが、お宅は幸いに両方おやりになっておるようでございますし、将来純国産車と組立車の関係、その消長はどういうふうにお考えになっておるか、一つ
  25. 川又克二

    参考人川又克二君) きょうは私純国産の立場で出席しておりますものですが、御質問でございますので、組立ての方へちょっと触れさせていただきたいと思います。  私どもは組立会社と呼ばれる、これは通称の名前かどうか存じませんが、オースチンと二十七年の冬に提携いたしましてやっておりすます。この目的は、一にかかりまして日本乗用車生産技術を学ぶということに本旨があるわけでございます。もっとも今トヨタさんの方のお立場もございますし、それぞれの各社で技術の研究をいたしておりますから、何も外車を学ばなくてもいいではないかという反論もあるわけでございます。しかし乗用車は戦争の中ごろから生産が途絶し、終戦後数年間、私の記憶では、二十七年ごろまでは外国の車が日本に来て走っておるのを見ておる程度で、あるいは文献は辛うじて外国の雑誌を買い入れるというような程度で、その間十年近いブランクが技術屋さんの方にあったと思うのであります。三十七年ごろに日本為替関係が好転いたしまして、ドルがだいぶたまったというようなことで、そのころからこの設備の機械を、米国あたりの進歩した機械を買うことがやっと認められて参ったわけです。そういうことでございますので、向うの自動車製造技術を直接眼で見たり、あるいは教わったり、あるいは実地に向うの会社へ行って見聞きするというようなことが行われなかったものでありますから、私は事務系統の人間でございますが、非常に技術系統の方々の頭にはブランクがあったと思うのであります。これは技術屋さんの方から説閉していただくといいのでありますが、実際に現物を見まして、これを模倣するということはできる。しかし、ただこういう機構になっているが、どういう作り方をすればこういうことになるか、あるいは最近の自動車の機構は、非常に万分の幾つというようなリミットまで考えるということになりますと、現物そのものではなかなかその寸法までは出てこない。向うの会社の青図をもらって、それを見さしていただかないと、寸法も出てこないというような面におきまして、手取り早いところは教わった方が早いという気持になったのであります。ことにこのボディの面におきましては、戦前のボディ・スタイルと戦後のボディ・スタイルとは全然違う。今トヨタさんの方の大野さんからお話がありましたように、乗用車はきわめて薄い鉄板、一ミリないし〇・九ミリメートルのみがき鋼板を使っている。こういう板と板とを溶接するのであります。先ほどのお話にありましたように、現在ではまだ5×10の板というようなものはできていないのであります。われわれのダットサンでも天井の板でございますね、あれを継ぎまして、そうして継いだあとをみがいてプレスにかける、こういう手順を踏んでおるということで、板と板との溶接技術、それから今の車は木材は全然使っていない。みんな鉄板でございます。鉄板はなかなか寸法が、かんなをかけたり削ったりできませんものですから、きちんとできなければいけない。そういうところに非常に型の製作がむずかしい。雄型と雌型の間が、今申し上げましたように一ミリとか〇・九ミリの薄い板がはさまるわけでありますが、この雄型と雌型の間隙といいますか、これを合わせる技術がなかなかむずかしい。それからできたそういう鋼板を溶接し、スポットウェルダー、バーウェルダー、フラッシュバットというようなもので板と板とを溶接する、こういう技術、それからデザイン等もございます。そういうものをあわせて一ぺんに学び取ってしまうということが近道ではないかと考えた次第でございます。もちろんこれは技術屋さんの努力によりまして、それから今日のごとく外国へ参りまして、なかなか外国自動車会社もコネクションがないと見さしてはくれないのでありますが、まあコネクションがあって見られるというような状態になっておりますから、努力のいかんによって、どっちの道がいいということは、お互いの立場で言いかねると思います。しかし少くとも私どもの観点、あるいはこれをお認め願った通産当局の御見解でも、こういったものは、今言ったようないろいろの技術的な観点から、提携をしてそうして遠慮なく当方の技術屋さんも先方の工場に入ることができ、また先方の技術屋もわれわれの工場へ来て、直接製作を指導していただく、こういうことがやはり近道のような気がいたしておるわけです。そういうことから、私どもは提携して今日に至りまして、現在ではこのむずかしい鍛造型、プレス型、こういうものがほぼ完成に近づきつつあります。それから鋳物で申しますと、エンジン・ブロックと申しますか、こういうものもでき上りつつあります。それからエンジンにつきますカムシャフト、クランクシャフト、そういったものもでき上りつつあります。結局来年の五月ころまでには特許部品の一部を除きましては、全くわれわれの工場で、日本のわれわれがダットサンを作っていると同じような材料を使って、オースチンができ上る予定になっております。結局あれだけの車が、完成後五%というローヤルティがつきますけれども、それが二十七年の暮、実際に車が来ましたのが二十八年の四月でございますが、二十八年四月から二十九年、三十年のまる三年ででき上ってしまうということになるわけであります。結局はわれわれはわれわれの観点なりで非常に近道を歩んだと思っております。  それからそれにつきましてダットサンをどう考えるかという御質問でございますが、ダットサンはわれわれの会社といたしましては、会社をあげて愛着を持っている車なんであります。これは日本に初めてできた小型車の歴史を持っている車でございますので、オースチンと提携いたしまして、かりに来年の五、六月ごろこれが九分九厘完成いたしましたといたしましても、このダットサン乗用車は捨てられない、捨てられないどころか、これにオースチンの関係で学びとりました技術を全部投入して、そうして口幅ったい言いぐさであるかもしれませんが、通産当局でもお考えになっている国民車とはまだ距離があるかもしれませんが、価格性能的にですね、ああいう国民車の構想そのものぴたりとはいかぬと存じますが、そういう車に仕上げていきたい、こういう工合に思っております。従いまして乗用車を二段がまえで、まあオースチンの国産化されたものが中型程度の車の高級車といたしますれば、かりに高級車と申さしていただきますれば、ダットサンはきわめて大衆的な車に仕上げていきたい、かような抱負と期待を持っているのであります。
  26. 藤田進

    藤田進君 オースチンの場合、契約としては、輸出関係はどういうふうになっておりますか。
  27. 川又克二

    参考人川又克二君) オースチンの場合は、国産化したそのものを輸出するという契約はございません。
  28. 藤田進

    藤田進君 輸出はできないわけですか、現在の契約では。
  29. 川又克二

    参考人川又克二君) 再輸出ということについてはまだ向うとは何らの打ち合せもいたしておりません。今のところはできないということでありますが、話し合いで、これは英国の為替関係で、英国と申しますか、オースチンが、為替関係でしょう、行かない所が世界の各国々にあるのでございます。そういう国に出せないことはないようにも思います。そういう話もちらほら話し合っていることもございます。しかし全面的に再輸出という契約は持っておりません。
  30. 上林忠次

    上林忠次君 原価を下げるために多量生産、マス・プロダクションをやるなら、無限にとはいかなくても、相当の速度で原価が下ってくるというわけでありますが、それではどの辺までいくと、これ以上は多量生産してもあまり下らぬぞという点がどこか。経済規模ですが、なるほど今の日本の自動甫は高い。品物も悪いが、また高い。片方の例として自転車を見ますと、自転車なんかはどんどんアメリカにも行くのじゃないか。またミシンも行く。ああいう工合に、ああいうような簡単な自転率のようなものは行くのだ。日本で安くできる。それは工場施設も簡単で済むし、ある程度大きな施設にしなくとも競争ができるところまで簡単に作れるのだという点から、日本の自転車がどんどんアメリカまで行くのだと思っておりますが、それでは自動車は今高い。このままでいくなら永久に世界市場にデビューするようなことはできない。それならどの程度までこの規模を大きくしていくなら競争ができるのか、そういうような点があろうと思うのですが、先ほど團さんでしたか、再編成というようなことをお考えになってもいいというようなお話がありましたけれども、その経済規模までは何とか一つ何社かでそこまで推し進めていくということをしないと、永久にこれは自動車産業は立たないのじゃないかと考えるわけです。それではその経済規模はどの程度か、どこまでいったらこれ以上はそうマス・プロをやらなくても大体まあやっていけるぞという点があろうと思うのですが、そういうような点を原価の係の方から一つお話を願いたいのですが。
  31. 團伊能

    参考人團伊能君) 先ほど申し上げましたように、マス・プロダクションで確かに原価が減ることは明らかでございますが、しかし私ども考えでは鋼材ですね、鉄材がすでにアメリカよりか非常に高いということが、将来まで輸出においてやはりたたる問題ではないかと思います。マス・プロダクションはもちろんある程度まで参りますれば、そんなにこれがゼロになるものではございません。大体委員長からいただきました御趣旨ぐらいのところまで価格が下りますれば、それ近くまで参りますと、完成車で六十万円かかる。五十五万円まで到達するときは私は輸出ももちろん非常な可能性が出て参る。ある場合、アメリカはどうか知りませんが、少くとも南洋ぐらいには相当輸出されると思いますが、これは私どもといたしては、ただ一番心配いたしておりますのは、その鉄材の問題です。これは日本が運命的に良鋼がないということ、あるいは粘結炭も輸入しなければならないという状態がございますが、しかしこの点もこれは私どもの範囲を出ますけれども相当政府におかれて、また国会方面におかれて御理解があれば、日本の中において多少高くはなりますが、砂鉄その他もございますし、ある一つの鋳造方法を御研究いただいて、そうしてただいま鉄鋼界に一つ日本国産ないしは輸入で非常に安い鉄を提供していただき、アメリカ並みの鉄を提供していただけば、私どもは十分輸出に向け得ると思うのです。その機械はどのくらいになるかというお話でございますが、アメリカの会社等を見ますと、非常に生産量が多いのでございます。ヨーロッパも多いのでありますけれども、それほど膨大なものでなくとも、私どもが大体月産で乗用車千二、三百から千五百あるいは二千という線に到達できますれば、国際価格にのるものができる計算を持っております。これは作ってみなければわかりませんが、ただいま申し上げたように、必ずしも量産で全部が安くなるわけじゃございませんけれども、その辺にいきまして、そして物品税とか、融資とかいう方のお手当を多少御回構いただけば、いくと思います。それで自動車をアメリカに輸出するというようなことは非常に無謀な考えで、アメリカは第一の生産国でございます。アメリカは世界の最大の自動車国でございます。しかしほかのものを見まして、私どもはミシンもアメリカに相当輸出いたしております。これはシンガーを初め大会社がございますが、決してアメリカの生産量に比べて日本が安いとは申しませんが、技術的に現にアメリカにはない新しい技術的なミシンがございます、たとえば千鳥がけに縫うミシンというようなのを作っておりますが、大体ドイツ、イタリアあたり等へ輸出いたしておりますが、そういう方面で、自動車でも特殊なある一つの技術的な優秀性があって、そのくらいのまあ六十万円ぐらいの価格ならば相当私は輸出できると思います。アメリカは自動車国であるだけに各種の自動車に興味を持っておりまして、たとえばフォルクス・ワーゲンというようなのはアメリカで相当走っております例から見れば、日本自動車輸出することができるとは考えておりますが、ただいまのところ、はなはだ規模は小さいかもしれませんけれども、まあ月産二千台ぐらいの乗用車までは私ども一つ努力もいたし、やらしていただいて、そうして勝負を見るというところまでいきたいと自分では考えております。
  32. 上林忠次

    上林忠次君 これはしろうとの気持でありますが、自転車にしてもミシンにしても、輸出はされておるけれども、結局値段が安いから輸出されておるので、使い道また耐久性から見るならば、向うの品物は倍持つぞというような点から、今の機械現状から見ますと、私はあんたものがよくいくなと考えているのです。日本機械というような持ちの悪いものが、品質の悪いものが、よくいくなと思っております。このままでいくならば、自転車ばかりでなく、おもちゃもいかぬようになってしまう。もっと向うのような性能のいいもの、持ちのいいものを作らなければいかぬ。結局素材ということになってきますけれども素材ということは、いつもいつもこの委員会あたりで問題になっておりますけれども素材の研究機関もなし、日本機械の全般がこれで声価を落すときがくるのじゃないか。今の自転車にしろ、あるいは将来自動車がいくにしましても、もうもよっと値段の点からいきますと、よほど低くなりませんと日本機械はいかないのじゃないか。そんな競争はとてもできませんし、素材関係の研究というものは一番の大問題だと思う。これは自動車ばかりでなく、あらゆる日本製の機械の将来をトする問題ですから、この素材が片がつかぬと日本機械はいつか鼻につくぞと思っております。それにしましても素材も悪い、しかも値段は向うの車と比べて今の自動車は同じくらい。これでははるか遠い。日本自動車の世界進出ということは夢みたいなものじゃないかと考えるのですが、そんなことを言ったってしょうがないので、何とか欠陥を解決してやらなければいかぬ。これまで商工省あたりで言っております自動車産業に対する発展策ということはほとんどないという現状でありまして、このままでいくならば、国内でもさもさ売る程度が山だ。これじゃいかぬじゃないか。新しい市場がこれからシナにも南洋にもできてくる。かような時代に早くこれを発展させなければいかぬ。それには企業の整備をやるとか何とか、ある程度の経済規模までは各社がもっていく。あとはチェックして重点をここに置いて、値段だけでも安くしていくというようなことを考えなくては、みんなでわんさわんさやっているということでは、時代は過ぎていくぞというようなことを私考えます。まあ私もこれは何べんもあちこちで開くのですが、日本素材がなぜ悪いか、向うと同じような材質のものはできないのか、いや、できることはできるけれども値段が向うの五倍にも十倍にもなるのだというようなことを聞いている。これは致命傷じゃないか。日本機械はもっと早く素材の研究をやらなくちゃいかぬ。もとの原鉱が悪いのか、鍛練が悪いのか、そういうような点の研究を進めていかないなれば、この材料——素材は全部輸入していかなければいかぬじゃないか。ほかの製作の方はそれだけわれわれががんばって原価を安くして組み立てて作っていくという工合にしないと、日本機械というものは永久に死命を制せられておると考えるのですが、これは素材の問題になりますけれどももとへ返しますと、少くとも経済単位までの規模に早くしないと、今のようにあめ細工のようなと申しますと機械屋に対して悪口になりますけれども、あめ細工のような自動車なり機械を作っているようじゃいかぬじゃないか。それにはもっと思い切った手を打たなくちゃ、自動車産業にしてももうとても発展の見込みはないような気がするのですが、さようことについてちょっと一つ考えは……。
  33. 團伊能

    参考人團伊能君) ただいまの御質問でございますが、まあ一、二是正したいところもあると思います。たとえば、実はこれは自動車から少し離れますけれども、私どもの方でミシンを作っております。特殊ミシンを主として作っております。それが大体の日本のミシンの傾向は、大阪でその下請工場のアッセンブルをいたしまして、これは驚異的に安い値段でございます。それで輸出しているのが主たる日本のミシンの輸出品でございましょう。これは性能的に決してすぐれているとは申されませんです。ただ安いから売れているというのはございます。それは事実でございますが、私ども決してこれを誇りとするのではございませんけれども、私どものは特殊ミシンの非常に複雑な、ジグザグのような、針が自由に動く特殊なものを作っております。最近西独にも輸出いたしております。西独あるいはヨーロッパに出しているものもございますが、アメリカにも出しております。そういう点で日本の技術だけが——まあ素材の点は御承知通りでございまして、非常に不良率が高くてアメリカの五倍のような不良率がございます。リンが多くて「す」があったりしていろいろな点があって非常に素材がよいとは申されません。しかし、まあ小さい精密工業の問題になりますれば、素材の点は幾つかございますけれどもそれで輸出もいたしておりますが、しかし日本エンジンを作って車を動かす上において自動車の技術というものはただいまは揺籃時代でございますけれども、将来、アメリカの車を見ましてもなるほど形はりっぱでございますが、そのエンジン技術のようなもの、エンジンのごときものは相当古いものでございまして、あまり変化もいたしておりません。最近ただ非常に馬力を強くいたしておりましたのは、アメリカの道路状況その他の事情でございましょうが、さして驚くべきほどではございませんので、この方面は技術的には少くとも世界に出せるものを作る気持でおります。それで私どもの方は従来飛行機エンジン工場でございますので、いろいろ飛行機エンジンが、最近同じエンジンで馬力を増す、パワラップする方法をいろいろ研究いたしております。飛行機エンジンははるかに自動車エンジンを抜いて二十年ぐらい先に行っておりますが、そのために従来の関係から飛行機エンジンにいろいろ関係いたしておりますが、その辺の施策をもちまして何か日本自動車の特質を技術的に作り出すことに今熱中いたしております。そのためにトヨタさんのような非常な尊敬すべきりっぱなボディもお出しになってわれわれも非常に感服しておりますが、その方面われわれはまだ行き届いておりませんから、今エンジン工業に集中いたしております。何か技術的な点においてでも素材を補おうという決心をいたしてわれわれの小さい企業といたしては進んでおりますわけで、決してその点では将来において世界にひけをとらない、世界のエンジンを研究いたしましてもそんなに劣らないとわれわれも思っております。しかし仰せのように何といっても金物の素材がよくなるということを私どもは熱心に願っております次第でございます。
  34. 上林忠次

    上林忠次君 これを見ていますと、大体下請工場がたくさんあってそれをアッセンブルするというような会社が多いのですが、私はやはり下請工場へ頼んでやらした方がこれは値段が安くなる点もあるのじゃないか、何から何まで一貫作業で一社でやろうといってもこれは無理じゃないか、かえって経費がかさんだりして不経済になるのじゃないかと思いますが、そうなると、こちらの設備を、固定した資産を有効に使うために自動車ばかり作っていてもいかぬじゃないか、遊ぶ期間をほかの製品、副製品と申しますか、ほかの製品を作っていく。おそらくアメリカ、イギリスの会社もそういうことをやっていると思いますが、現在この自動車会社皆さんはこれは自動車だけですか、私はそういうことはうといのですが、かたわら何か機械の製作をやっておられるとか、自動車のほかにまたその施設を利用してうまく経営しておられるのか、そこらをお聞きしたいのです。
  35. 川又克二

    参考人川又克二君) 自動車だけでございます。
  36. 上林忠次

    上林忠次君 ああそうですか。それについて自動車だけじゃなしにほかの兵器を作るとか、何かほかの、かたわらに生産していくものを組み入れた方が自動車自身も安くなるんじゃないかというような点がありますならば皆さんの御意見を聞きたいのです。
  37. 大野修司

    参考人大野修司君) トヨタ自動車の例を申し上げます。トヨタ自動車は最初材料の面、それから電装関係、それから当社で使います工作機械そういうものを総括的に初めトヨタ自動車として持っておりました。それを戦後でございますけれども、電装の部分は日本電装として分離いたしまして、それから工作機械を作っている部分は工作機械会社として分離いたしておりまして、製鋼の部分は製鋼の分野として分離いたしております。それでただいまは挙母のトヨタ自動車自動車を作るだけでございますけれども、前々は今申し上げたようにいろいろな設備を持っております。ただいまは挙母自体は自動車だけの設備になっております。今分離いたしましたものは関係会社になっておりますが、そこの方は当社の工作機械だけでなしにほかの工作機械も作っております。それから電装部品は電装工場として分離いたしております。そこでただいま御指摘のありましたように、当社の電装部品のほかにオート三輪の電装とか、そういったものを作らしていただいております。それから製鋼の方もむろん私どもの方の製鋼から分れたものでありますが、私どもの製鋼だけでなしに、ほかの製鋼もやっておるということでございます。これは非常に、御指摘いただいたのですが、当社の製鋼部なら製鋼部といたしまして製鋼工場にはまず最小単位がありますが、それを自動車だけで動かすことはなかなか困難でございます、ですから私どもの要求するだけのものは作っていただきますが、一応ある単位を整えておりますけれども、余力ができます、その余力はほかのものによって補充していただいて、それによってカバーしていく。それから電装においても、製鋼においても、豊田工機においては工作機械を作っております。そういうふうにいたしまして、挙母だけから見れば自動車だけということになっております。  それから先ほどの御質問の中でちょっと團社長からのお話に補足をして申し上げたいと思いますが、技術的の問題には私も事務屋でございますので、あまり的確なお答えができないと思いますが、外車と提携された会社、それから私どものように国産一本でやる会社、それはいろいろな考え方があると思いますが、当社が少くとも国産一本でやるという決心をきめますまでにいろいろなほとんどの車の、外車の研究を尽しております。そしてその性能の問題等について研究しました結果、それは見方によっては日産さんのように提携される方が早いという見方もありましょうが、私たちの方は一応その研究の結果これならいけるという自信を持って当社としてはかかったわけであります。なるほど作りましたものについて、まず量の問題等もありますので、なかなか価格の点については、先ほど御指摘のあったように差がございますが、性能それ自体、逆に言いますならば、持ちというような点については、なかなか、日本材料それ自体には欠点はありますけれども、それを補う苦心を、やはり先ほど申し上げました日本自動車関係する技術屋さんは非常に苦心をしている、それによって補なっておるということがあるのでございます。自動車の点などにつきまして、早い話が、その道路の条件が、非常にほこりが多い。外国じゃ道路が整備されているからほこりが少い。ほこりの多いところを走りますと、そのエアを吸い込んでいくために、エンジンの磨耗が多い。一体この問題をどうして解決するか。その磨耗を防ぐ手段、材質の上において防ぐ手段、あるいはエアをクーラーする、いわゆる空気をこして使うというようなことをやって、それで向うの車に相労するような性能を出しておるわけです。手を加えていることは事実なんですね。いわゆる、今まで各社がすでにおやりになっているように、あるいはピストン・リングをめっきするとか、あるいはエア・クリーナーに対して非常な手を加えておるということは事実なんです。作る技術については、いわゆる自動車の技術屋ほ、日本材料に欠点のあることは事実なんですが、その欠点を補う苦心という、よけいなことをしているということが、多少その原価高の影響にもなっている。しかし作り得るということは、これはもうわれわれも日本人の技術を誇りとしており、またどれでも好きな材料を選ぶことができないという条件がある。しかも条件は今言ったように非常に悪い。エンジンのごときはほこりの問題があって、いろいろな条件が悪い。その中で、しかも向うのものに匹敵するものを作ろうというところに日本自動車の技術が苦心を要して今日に来ていると、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。  それからよく乗り心地の問題がございますけれども、この問題はよくスプリングの問題になりますが、決して日本で向うの車のようなやわらかいスプリングができないのではないのです。そして最近われわれの作っているものは、相当クッションということを考えて作っておるのですけれども、都市にその車を売りましたときには喜ばれるのですが、同じ製品を僻地に売りますと、スプリングがやわらか過ぎるという御批判をいただくのです。帰するところは道路の条件なんです。そういうところで、われわれの今作っているような台数の中で、都会向きのものと、田舎向きと二いろ作れぬものですから、どうしてもその両方の御要求をあんばいしまして作っておるという、ここらにもその一つの苦心があるわけです。  それから先ほどの自動車を作る月産の能力と、台数ですね。それについてちょっと御説明を申し上げたいと思うのです。私、先ほど月産二千台ないし二千五百台という、乗用車を含んだ全体の五千台の数字の基礎を申し上げました。全体五千台のうちの二千台ないし二千五百台の乗用車を作って売れるようになるかということの一つの前提を出しました。この五千台という数字は、どんな自動車を作ろうとしても、どうしてもある一定の単位の設備は必要になります。その単位は設備が整っている限り、これを早く償却する。そうしてあるいはその治工具相当費用をかけるということは全体量が大きいということが必要になるわけです。そういう意味で、私は全体の数字の中のこれだけということで、乗用車だけを二千台作っていくということでは、先ほどの五十五万円のお答えにはならなかったわけですが、その全体量ということがそこにあるわけです。欧州方面でも乗用車で月産一万台というようなクラスのメーカーがたくさんあるわけでございますが、これは隆々としてやっておられるわけです。しかし日本のような状態ですと、なかなか今申し上げたように、月産一万台ということが困難なので、五千台のトータルの中の二千五百台、こういう数字で何とかカバーをいたしたいということを申し上げたのであります。その一つの例といたしますと、アメリカのG・Mの例ですと、これが一応日本金に直しますと、六十二、三万だと思いますが、この六十二、三万のうちに含まれる材料費が二十万程度だということであります。それからいあゆる社内コストというものが、二十三、四万ではないかと思います。これは推定の数字でございます。それからやはり物品税は五、六万の物品税がかかっていると存じます。それから販売手数料が十二、三万程度じゃないかこう思います。こういうふうな数字一つの例にいたしますと、先ほどの当社が申し上げました五十五万という数字ですね、これは私五十六、七万になるかと思うのですが、こういう数字に接近して参りますと、その内容を比較して見ますと、結論といたしまして材料部品がG・Mの二十万程度に対して、二十三、四万というところまでは下って参ります。それからいわゆる社内コストとして二十三、四万のものが、やはり二十二、三万まで下る。これは賃金が、先ほど高い、安いの問題も出ましたけれども日本一般の賃金というものは、向うの、アメリカの自動車会社の賃金に比べれば非常に安いんです。これは、安いということは、製品にかかる率から言いますと、向うはたくさん作りますから、一台にかかる賃金は、これは向うは高くても、一人片々とる賃金は高くても、車の中に含まれる賃金は安いわけです。ところが日本では量は少いけれども、賃金の比例から言えば非常に安いという状況になりますので、この社内コストの点についても、ほとんど似たようなところまでいける。ただし五、六万の物品税がかかるというアメリカの一つの推定の例に対しまして、日本では物品税を私は廃止していただきたい。これは零にしていただきたいということを申し上げます。それから販売の手数料等も、大体一割五、六分ないし二割近いものがアメリカの例でありまするが、日本においてはこういうものも一割にしてほしいと、こういうふうに節約いたしまして、あるいはいろいろやりくりいたしますと、この委員会でお示しをいただいた五十五、六万のものに近くなり得るということが言えるのでございます。そういう点もありますので、先ほどのいろいろの御指摘の中で、いろいろ材料の点に、多少われわれの思うようなものができない、あるいは、それをどうしてわれわれが技術的にカバーして行くか、またその点については先ほどちょっと御説明いたしましたが、材料メーカーの方が、前々はわれわれが材料を要求いたしますと、自分のところで作っているのはこれだけの種類だ、このうちの使えそうなものを君のところで使ってくれというのが今までの態度だったのですね。最近はそうじやなくて、自動車にはどうやったら向くだろうという研究を非常に熾烈に、また御協力いただいている。そのためにわれわれの要求の方にだんだん近づいてきている。ただし寸法は、八幡なら八幡にあるミルのロールの幅、これ自体急速に直すわけに行きませんので、そういう寸度の上については今の設備によって解決されるものですから無理があるという点はありますけれども、今申し上げたような事情で、この自動車工業というものに一般の産業界が非常に関心をお示しいただいており、また最近国会において取り上げられたこと自体が、これは非常に好影響をいただいているわけですね。それらを総合して考えますならば、これは先ほどの当委員会においてお示しいただいた金額のものに近い。ある量さえ確保できるならば可能である。しかしある量を確保するためには、勝手なお願いかもしれませんが、幾つかの要望事項を申し上げたというような事情でありますので、その点御承知いただきたいと思います。
  38. 白川一雄

    委員長白川一雄君) ちょっとお尋ねいたしますが、先ほどから承わりました個々の問題について二、三点、政府の方にもあるいは二、三点お尋ねいたしたいと思いますが、先ほど川又さんのお話の中にも、また大野さんのお話の中にも、新しい型を作るのには六億円からの金がかかるというような今日日本自動車工業を、できるだけ国際水準に早く追いつくというのが必要だと、こう考えますると、各社が競争して、毎年新型々々というていくことは大きなロスとなるのじゃないだろうかということを考えてみますると、われわれ思いつきのようでございますけれども、ある一定の水準に達するまでは、形式、その他は政府の方できめて、それをある数量をおのおの分割してやっていくということに統一して、一応その単で日本にはんらんしておる外車を追い出すということの方が、各会社にむだのない競争態勢ができるのじゃないか。こういうような考え方を持っておるということについて御批判を承わりたい点が一点であります。  それからもう一つは官公社の車でございますが、聞くところによりますと、大体官公社で持っておる車が一万台だそうでございますが、実際官公社の率を調べてみますと、非常に大型で、しかも非常に古いもので、これの修理と、これの食っていくガソリン代というものは相当大きいものと私どもは見ておるのでございます。ただそこに国の予算の関係からこれを新車にかえるということができないのが実情ではないかと私どもは観測しておるのでございますが、これがだんだん官公社に国産車を使用するように、使用するようにということは、私どもは政権を持って三年になりますが、いつも聞きますけれども、その実績が上っておらぬということから見て、ここに画期的な方法を講じないといかぬのじゃないか。それは現在ある官公社の車を全部一応引き上げて国産車にもっていく。国の予算が長期にわたれば、その長期でも延べ勘定で業者の方が提供するというような線でもやらないことには、二台や三台ずつふえていったくらいでは私はなかなか官公社の車がかわらぬ。官公社がそれにかわれば民間もすべてがその風になびいてくる。御承知通り、この国会の前でもほとんど全部が外車であるというような実情も、だんだん一つのそういうエポックを作るといいのじゃないかと思っておりますが、それに対する一つ、これはわれわれの思いつきに対する御批判をいたたきたい。  もう一つは、製造工場と下請工場との関係でございますが、下請工場がやはりそのつどそのつど見積りをとって競争して買うというような行き方にしたのでは、下請がなかなか安心していいものを安く作るということができないのじゃないかという点があるので、皆さんの方の現在の状態は、もうコンスタントの長期の発注において注文をしておるのか、あるいは競争さして、悪く言えばたたき買いしておるのかというような点もはなはだ露骨なお尋ねでございますけれども、お聞かせ願えれば幸いだと思うのです。どなたからでもけっこうです。
  39. 大野修司

    参考人大野修司君) 私、今のお言葉について私の考え一つ申し上げたいと思います。このモデルのチェンジの問題は、今お話しのありましたように、ある期間やむを得ずわれわれといたしましては車の価格を安くするために変えられないと思います。もしこれに何らかそういうふうなお示しがあるならば非常にけっこうだと思います。ただ一部分、あるいは車の表面で、ちょっと目のつきやすいところの一部分の変更というようなところは、大した資金がかかりませんけれども、全体のボディ・スタイルを変えるということは、先ほど申し上げました通りでありまして、もしこれが業者間で話し合いがつくなら非常にけっこうなことだと思います。それによってまたある期間使えるということならば、だんだんそれで一台当り償却というものは少くなって参りますから、車を安くし、一般に普及をさせていただくという意味にはけっこうだと私どもは存じております。  それから官公庁で使われます修理費とガソリン代の問題ですけれども、これは御承知のように外車というのは、車を買うときは比較的安いのですが、部品が相当高いのです。そんな関係からこれはガソリン代、あるいは修理費という予算面の関係から、いわゆる振りかえがきかないというようなことで、実際に金額は相当かかるのだけれども、そういう修理の費用を車を買う方には回せないというようなむずかしい何かあるようにも聞いておるのですけれども、そこらは同じ金の使い方、修理の仕方で、私は方法があるのじゃなかろうかと、こう思います。  それからわれわれもまだ皆さんに御相談してないのですけれども、官庁方面で積極的にそうしていただくことが、今申し上げたように一般需要を喚起するということ、それにはわれわれが宣伝広告するより非常に効果があるということはわれわれよく承知しておりますので、そういう点は積極的に一つ国家のいわゆるそういう予算内部の操作をお考えいただけたらある程度処置していただけるのじゃなかろうか、こういうふうに見ております。というのは実際に私たちの聞いた範囲でやはり車を買う予算、修理費、燃料費というものは項目別か何かになっておって、なかなかそういうことはわかっておっても振りかえがきかぬというようなことも聞いておりますので、ここには何らかの手段を講じていただけば処置する方法があるのじゃないかと、かように私考えますので、ぜひ一つそういうふうにお考えいただけたらばわれわれ非常に幸いだと思います。それからわれわれメーカーと下請工場関係でございますが、これはまあ大体各社も似たようなことではないかと思いますが、われわれが協力工場の皆様に御注文をいたしますのは年間を通じて御注文をしております。ただしその発注の量、価格を、こういう品物をあなたのところに一年間にどのくらいお願いをしますということを先に申し上げるわけです。そしてこれを四半期ことにその数量を調節し、価格を調節するということを申し上げております。この価格の調節ということは、これは私先ほどの説明に落したんですけれども日本のように最近のごとくゴムが値上りでタイヤの値段が一割はね上ってみたり、あるいは鉄鋼がぐらついてみたり、それから非鉄金属においても同じような状況なものですから、価格の決定は業者の方が受け取られぬわけですね。あなたのところに一年間に幾らでお願いしたいといってもこれは安くなればもうかるけれども、上ったら損するということですから、やはり価格の点はある期間を区切って交渉をするということにしております。  それから先ほど何社かを競争さしているというお話がございましたが、私の方では大体二社主義を主体にしております。この二社主義というのは価格の問題、あるいは技術の問題いろいろ条件はありますけれども、今までのようにいろいろ労働問題等に不安がありました場合に、一社だけにお願いしておりますとそういう条件から品物が入らないというような事実がたまたまあったわけで、その関係から大体私二社主義にしております。  それからもう一つこの協力工場関係については、単にそのつど品物を注文するというような関係自動車関係はしていないのですね。長くその会社と取引するという意味からその下請工場の技術の面、あるいは資金の面、こういう御相談にまで乗っております。ですからそのつどとび入りで何社かから見積り合せして安いものをとるということはいたしておりません。ただし価格の面は先ほど申しましたように、材料関係は非常に大きい変動がありますので、そのつどきめるということにはなっております。そういう変動がない限りは大体は似たような値段でお願いをしておるというふうにして、ほんとうにその協力工場が技術的に、それからまたその生産方式等についても安定した仕事ができるような契約を結んでおります。
  40. 白川一雄

    委員長白川一雄君) ちょっと政府にお伺いいたします。外車を抑制するというのはあれは許可制、使用する方を許可制にするというならば、よほどはっきり押えることができると思うのですが、政府の方にそういうアィデァが今まで出たことがあるのですか。
  41. 柿坪精吾

    説明員(柿坪精吾君) 使用許可の関係は、これは何と申しますか、国際慣行としまして、入ってしまった場合には、その生産国によって品物の扱いを変えることはできないことになっております。
  42. 高橋衛

    高橋衛君 トヨタ大野さんにお伺いしたいのでありますが、これは各社ともにそうでございますけれども、各会社とも、その会社製造されておられる車の種類が非常に多い、乗用車、そのほかにバス、トラック、各種のものを作っておられるようでございますが、これを何か、たとえば乗用車なら乗用車一本にまとめるということと同時に、多種のものを同時に並行してやっておる。先ほど大野さんのお話によりますと、五千台ベースで二千台にするということを前提にしてお話しになっておられたようでありますが、こういう点について単一の車種のものを大量生産に持っていくということと、現在のような政府のような考え方の企画を持ったことがおありかどうか、また同時に、これはそれと関連する問題でもありますが、コストの計算において、各車種別に別途のコストの計算をしておられるのでありますかどうか、その辺二つ最初にお伺いしたい。
  43. 大野修司

    参考人大野修司君) ただいまの御質問にちょっとお答え申し上げますが、私先ほど全体の数量を、あるベースを確保しただけの乗用車、五千台のうちの二千台ないし二千五百台ということを申し上げました。その点について御説明申し上げます。自動車工業というものが、いわゆる総合工業でありまして、鍛造あるいはプレス、鋳物、機械工場というふうに幾つかの仕事を当社でやっておるわけでございます。その場合に鍛造をいたしますということにいたしましても、やはり鍛造としての設備のある一定の何と申しましょうか、ベースがあるわけでございます。あるいはまた先ほど申しましたような型なら型を作るといたしましても、型を作るところの設備も一通りの用意をしておるわけでございますね。そういたしますと、肝心の今乗用車なら乗用車だけのものをやって、現在のような状態でやっておりますと、非常に部分的に設備があいてくるわけでございます。初めから乗用車工場として、あるいはそれを五千台なら五千台を作る工場として作られたとしても、やはりそういうふうな特殊の設備については、年中その設備が使えるということはできないと思う、それはできないわけなんです。やはり極端に言えば、これはあまり例にならないかもしれませんが、型を作る工場一つ作ったといたしますね。やはり型を作る工場にはいろいろな機械を用意しなければならぬ。ところが年中型を作っているほどこの工場は使えないと思います。やはりそこにはよほど大量的なものを作るか、さもない限りは総合的な設備をし、総合的に遊ばないようにこれがうまく稼働するように考えられるということが、今までの形においてわれわれのところでできておるわけですね、設備が。できておる限り、やはりその今の設備をフルに稼働させるように考えていくことが、一番コストが下るということが一つと、それからもう一つは時期の問題がありまして、これはちょっと申し上げていいかどうかわからないのですが、あるものがある時期に売れて、全体が平均に売れないというときがあるわけですね。そういう場合の品物の差し繰りですね。いわゆる乗用車というものは暮から正月にかけてはずっと出る。しかし三月とか八月とかいう時期になると、ある程度下ってくる。ところが下らないものもあり、下るものもあるので、そういうものを総合生産をしていく。そして絶対量がある量に達することが、コストを下げる一番いい方法であって、そういうふうな設備をわれわれは持っているだけに、先ほど申しましたようなことを御説明に入れたわけでございます。
  44. 高橋衛

    高橋衛君 ただいまのお答えによりますと、結局需要が非常に不安定である。並びに今までの計画が、各種のものを総合して作っておることの方が、一つの営業として堅実な方法であるという立場からそういうふうになった。単純に技術的にコストを引き下げるという立場から考えたならば、たとえば五千台というべースをとるならば、それはやはり単一生産の方がずっと安くなるということは、これは肯定なさいますか。
  45. 大野修司

    参考人大野修司君) それはコンスタントに出る、そういうことですね。そういうことであれば、極端に申せば、私のところにはトラックを作る設備ですね、それと同時に乗用車プレスの設備を一万二千トンほど持っております。そういうものも逆に言えば、乗用車だけを考えて、最初から乗用車だけを考え、しかも一千台なら一千台、五千台なら五千台というベースを最初から考えて、そういう設備がしてあるとすれば、そういう方がいいという結論が出ますね。
  46. 高橋衛

    高橋衛君 自動車工業会の方なり通産省としても、なかなか調査が困難だろうと思いますが、各社別に各車種についてコストの計算が実際上できておるのですかどうですか。各社の相互の優劣の比較というものができておりますか。
  47. 大野修司

    参考人大野修司君) できております。
  48. 柿坪精吾

    説明員(柿坪精吾君) 若干のないしょのものもあろうかと思いますが、大体のところはつかんでおるつもりであります。
  49. 高橋衛

    高橋衛君 そうしますと、先ほどの委員長の御質問に関連するのでございますが、いわゆる集中生産方式というものは、政府として方針をきめ、また政府の方針に基いてでも、または自主的にでも自動車工業会としてやろうとすれば、なし得ることである。それは非常にコストをこれが切り下げる趣旨であるということについて御賛成でありますか。
  50. 大野修司

    参考人大野修司君) 集中生産というものはどういう方法になりますか。各種別にやっていくということですか。それは理論的には私として反対する理由は何もないのですが、現状としてそういうことがうまく簡単にいきますかね。この点われわれとしても自信はないのですが。
  51. 高橋衛

    高橋衛君 問題は全然別の問題になりまするが、先ほどのコストに関する御説明の中に、いわゆる資本費と申しますか、金利負担に関する程度がどの程度になっておるかという御説明はなかったのでありますが、私ども考えてみますと、日本産業外国産業と比較して一番大きな日本の負担になる点は、金利の点であろうと考えるのであります。ことに自動車工業のように月賦払いをする、要するに非常に多額の資金を要するという産業については、特にその点が大きな負担になりはしないかというふうに感じられるのであります。また自己資本にいたしましても、おそらくは大体の会社が大体二割近くの配当をしておるのじゃないかと考えておりますが、二割の配当をいたしますと、税金その他の負担を加えまして約五割近くの金利費と資金コストがかかる。こういうような大きな資金コストをかけてやっていくことになると、この点からいっても、競争していけないのじゃないかという感じがするのでありますが、この点について資金コスト、資本費というものが製品に及ぼす影響、パーセンテージはどの程度になっておるかという点をお聞きしたいと思います。
  52. 大野修司

    参考人大野修司君) それじゃちょっと私申し上げます。私はあまりきょう、こまかい資料を持っておりませんのでなんですが、総原価を一〇〇といたしまして、一般管理費並びに販売費、私のところの例でありまするが、これが五%ぐらいになります。これは私のところは組織が少し変っておりますが、私のところでは製品を当社の販売会社に売ります。販売会社に売るのであって私の方でじか売りをしておらない。ですから販売費というようなものが、非常にじかで販売されておるところとの費用の差があると思います。一応五%程度と見ていただきたいと思います。これは今申しましたように一般管理、販売、むろんそういったことでございます。
  53. 團伊能

    参考人團伊能君) 私の方は二割配当もいたしておりません。やっと一割配当でございます。多少社内留保をいたしております。一制留保をいたしておりますので……。もう一つこの製品は全部販売会社に譲っております。販売会社の金融ということはまた別個になります。これは相当金融上には資金も要ります、米国の会社を見ましても販売会社の方が大きな資金を持っているような状態でございます。私のところはまだ始めたばかりでございまして、販売会社ははなはだ微々たるものでございまして、総原価の三%強ぐらいのところに……、一割配当を入れて。その程度でございまして、金利の点は投資額もあまり多くございませんものですから、この点は比較的あまり大きな問題にはなっておりません。それから先ほど車種をきめたらというお話でございましたが、一つ乗用車だけを専門に作ったらいいじゃないかというお話ですけれども、おそらく日産さんでも、トヨタさんでも乗用車を最近お始めになっておりますが、大体日本自動車会社トラックが中心の生産でございます。アメリカでは乗用車が大体七二、三%まで乗用車で、トラックは二〇%——二五%ぐらいのところでございますが、日本ではトラックの方が大体七割ぐらいの生産、あるいはもっと多くの生産になっております。乗用車は、ごく最近にトラックを中心の会社乗用車が始められたという形でございますので、その点乗用車のみを作るということよりも、むしろトラックによりかかっているという状態でございますので、私のところはそういう工合になっております。先ほど二千台の乗用車と申しましたのは、やはりトラックをあと三千台、四千台作って、やはりトヨタさんと同じように五千台ぐらいの総生産というものを会社として生産して参るというのが理想的な形ではないかと存じます。  なお一つ申し上げたいのは、今日国産乗用車を作るということにつきましては、銀行方面にも御相談いたしましても、非常な大きな不安をお持ちになっておりまして、ことに昨年ぐらいまでほとんどとり上げられていない問題で、アメリカのような自動車国を向うに回わして乗用車を作る、まあトラックにしてもこの自動車工業というものは、非常な悪い順位の中に置かれておりまして、そのために終戦後、実は二、三直接、間接に外車組み立てをやらないかというお話も私ども受けました。しかしそのとき大して深い考えもございませんでしたが、実は飛行機エンジンを作っておりました時代、カーチス・ライトと提携いたしまして、日本の飛行機エンジンを作りました最初のエンジンは、「光」というエンジンを出しました。その後国産化いたしまして、日本で独創のエンジンで海軍の「誉」あるいは「栄」というエンジンを作っておりました。ところがカーチス・ライトは、最初の「光」はもちろんでございまして、その後国産的に作りました飛行機エンジンにもローヤルティーを請求されまして、実はその後戦争に突入いたしまして多少うやむやになりましたが、今日でも「光」を多少基礎にした飛行機エンジンには全部ローヤルティーを要求されております。  そういう関係がございましたので、実はこの組み立てをいたそうと思いましたが、このローヤルティーが国産化いたしましたとき、どこまで続くかというめどがはっきりいたしませんようなことがありまして、カーチス・ライトで相当困っておりますものですから、結局それはお断わりしたような形で、あまり冒険な仕事でございますから、純国産に集中いたして参りましたような次第でございます。
  54. 川又克二

    参考人川又克二君) 先ほどの車種をたくさん作るより単一車種の方がいいのじゃないとかいう御質問、私も大体大野さんの見解を肯定いたしたいのですが、外国の例を見ましても、やはり自動車会社は各車種を作っているようでございます。それはかりに乗用車専門の工場といたしましても、一品種だけでなくて、乗用車の中でも大型とか中型、それから形の変った車とか、そういうものを必らず作るだろうと思います。それは自動車価格あるいは原価の中に占めます一般管理費とかいうものがございますが、試験研究費なんぞはもちろんかかりますので、設計部ですね、それから検査、それから材料倉庫、それからもっぱら試験研究に従事するもの、こういう部門の負担というものは一品種にかけているよりは多種類の車にかける方がそれだけ安くなるのでありまして、先ほどの型製作のところは試作あたりもできるような設備を持っておるのでありますが、そういうものも設備を多種類に使うということについてはマシンツールあたりは機械治具を取りつけてしまいますので、その治具をはずしたり取りつけたりはなかなか大へんでございますので、かなり多種類に使った方が経済ではないかと思います。あまりたくさん作り過ぎてはいかがかと思いますが、適当の車種を取りまぜて作ることは私は必要じゃないかと存じております。
  55. 高橋衛

    高橋衛君 先ほど来税の問題で、物品税を廃止するかまたは軽減して参りたいというお話があったのでございますが、これはもちろん物品税を廃止することの方が値段も安くなる、従って需要を喚起するという面で、国産車慫慂のためにいいことであるということは、これはだれしも肯定できることであると思いますが、それが同時に国家財政の上からそれが急速にできるかどうかということは、あわせて考えなければならぬことだと思います。それで、自動車に関連する税としては、物品税のほかにガソリン税があります。その両者を総合してお考えになると、先ほど来の御意見では、ガソリン税については何ら言及がなかったわけでありますが、現在においても修繕費なりガソリン費用なんというものと関連して考えますならば、それを官庁用車についてはどんどん新車と交換した方がより経済であるということの数字がはっきり出ております。その他の民間についても相当の数が出て参っているのではないかと考えるのでありますが、かりに物品税を存置しても、ガソリン税が非常に高くなる、または物品税一割五分を一割に下げる、あるいはその差額をガソリン税で取るということにした場合において、より多く、現在の保有台数は約小型四輪車まで入れまして四十万台でありますが、その四十万台の相当大きな部分は、交換することの方が非常に経済であり、その経済の原則に従って交換が促進される、それによって需要が喚起されるという関係が出てきはしないかというふうにわれわれはちょっと想像されますが、そういうふうな点について工業会なりにおいて御研究なさったことはありませんか。
  56. 川又克二

    参考人川又克二君) ガソリン税その他の今の御質問の趣旨について、工業会あたりであまり研究していないと思いますが、いかがでしょうか……。前にガソリン税の値上げを反対いたしましたが……。
  57. 大野修司

    参考人大野修司君) 今もよっと持ち合わしておりませんが。
  58. 白川一雄

    委員長白川一雄君) 税金に関連してですけれども需要者側からいいますと、自家用車の自動車税がべらぼうに高いので、ぜいたくと言わんばかりの税金に見えておるので、やはり原価の方が安くなっても需要者の負担を考えると、自動車税がたとえば百二十インチ以下の営業用では一万五千円のものが、自家用では三万六千円という数字が出ておりますので、やはり自家用車はぜいたく車だというのは、外国の高級車でも使うものをぜいたく車だという観点に変ってもらわないと、民間人が使うということはなかなかできないのじゃないかという考えを持っております。
  59. 高橋衛

    高橋衛君 そういう点についてあまり御研究がないという御答弁でございますが何とか……。
  60. 川又克二

    参考人川又克二君) 申し上げていいかどうかわかりませんが、ガソリン税という問題でございますが、自動車にはガソリンとそれから軽油で走るディゼルがございますが、そこまでタッチしていいかどうかわかりませんが、御参考までに申しますと、軽油には今税金がかかっておりません、ガソリンにはたしかキロリッターで一万三千円か、かかっておると思います。そこにもってきてまたガソリン税が高くなっては、ますますディゼルと軽油との開きが多くなる、そういう意味合いにおきましてわれわれガソリントラックを作っております、本日ディゼルの方々がおりませんから申し上げにくいのでありますけれども、やはり企業間の競争もありましてディゼルに使われる軽油が無税で走り、ガソリンが税を背負って走るということは、いささか不均衡ではないかと思います。そういう意味物品税をもし廃止になった場合に、これがガソリン税にかわるということでは、まことに困りますが、そういう研究はいたしておりませんが……。
  61. 高橋衛

    高橋衛君 私はガソリン税というのは一つの例として申し上げましたので、たとえばその原油について輸入関税をつけるというふうな方法でも、これは方法は、その間の調整をとる方法は、幾らでもあり狩ると思うのでありますが、要するにどうしたら国産車需要を多く増して、しかも国家財政はそれほど大きな減収にならぬでいけるかという方法を同時に御研究になることが、これは建設的だと思うのです。そういう意味でまあ一つぜひその点御検討をお願いしたいと思います。同時にこれは政府当局に一つそういう方法がもしもあれば資料をいただきたいと思います。
  62. 柿坪精吾

    説明員(柿坪精吾君) 物品税ガソリン税、自動車税、これの徴収実績はこちらに前に配付いたしました資料にございます。結局それの普及に対する影響度というものは、これは抽象的にしか考えられないのですが、大体一緒じゃなかろうか、使う身になってみれば、ガソリンが高くてもやはり車は持ちにくい、あるいは車が高くてもやはり持ちにくいということで、ただ車を使用する用途によりまして、日常のものは高くても初頭のものが安ければよろしい、めったに動かない車ならばそういうことが言えますし、ところが営業車のように毎日走り回っているようなのは、初めのものは高くてもいいから、むしろ毎日のものを安くしてくれ、そういうような差はございますけれども、まあ徴収税額から言いまして、税額の大きさに応じた国産車の普及に対する障害がある、われわれ自動車を担当するものといたしましては、どこかを減らした場合に、自動車関係の他の税金へ持っていくということでは、この問題は解決しないのじゃないかというふうに考えております。
  63. 高橋衛

    高橋衛君 ただいまの御答弁ははなはだ私としては不満であります。と申しますのは、先ほどもちょっと簡単に申しましたように、もしも日々消費するところのガソリンその他の燃料が高くなれば、当然に性能がいいところのガソリンの消費量の少いまた修繕費の少い車を新しく持つことの方が、これはもちろん金利の関係がございますが、金利が下がり、そういうふうなものが下がるということになれば、どんどん新車需要が喚起されるということは、これはもう常識であると思います。従って税額が、税のつまりこれらに対する影響は完全に同一なんだという考え方は、あまりにどうも素朴なお考えで、その点は政府当局も十分一つ御検討願いたいと思います。
  64. 白川一雄

    委員長白川一雄君) われわれの方で調べたところは、外国車を中型の国産車にかえてもらうと、年間ガソリン税が三十億円ぐらい節約できるという数字が出ていたが、そういう点からいけば、ガソリン代が少々高くなってもカバーして余るものができるのじゃないかということも考えられると思うのです。  どうも御多忙のところ大へんありがとうございました。非常に参考になりました。それでは速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  65. 白川一雄

    委員長白川一雄君) それでは速記を願います。  それでは本日の小委員会はこれで閉会いたします。    午後四時五十二分散会