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栗山良夫君 ただいま討論の対象になりました
重油ボイラーの設置の
制限等に関する
臨時措置に関する
法律案につきまして、社会党を代表して意見を申し述べます。
私
どもはこの
法律案に反対であります。それで反対でありまする理由を以下申し述べまするが、その前に、こういう
法律を作らなければならないようになった
日本の産業行政の
あり方ということについて二、三申し上げておきたいと思います。
実は本来ならば
重油というむのは、非常に、その熱効率から申しましても、あるいは扱いやすい点から申しましても、自由に使わせるべきものだと私は
考えます。しかしながらそういう便利なものでありまするがゆえに、どんどん
政府も勧奨せられ、そうして今日に及んできたのであります。これは通産行政の一環として、数年前にそういう政策がとられたことは事実であります。ところがその後国産の
エネルギー資源として重要な役割を果すべき
石炭の方が、漸次不況に見舞われて参りました。そうしてその重要な部分が
輸入重油のために圧迫を受けておるということがわかって参りましたので、そこで国内資源愛護の立場から申しまして、
石炭企業を保護する立場から申しまして、どうしてもこの
重油に再び手をつけなければいかぬ、こういう状態になったのであります。従って国が産業活動をいたして参りまするためには、一定の
エネルギー源が必要であるということは、これはもうはっきりしておるわけであります。そういう総合
エネルギー対策の中において、もし通産省がもう少し長期の見通しをもっておやりになったならば、こういう混乱は起きなかったものと私は
考えるのであります。しかし遺憾ながらその通産行政の見通しに若干のあやまちがありましたものか、こういう
法律案を提出しなければならない事情になりましたことについては、はなはだもって遺憾な状態であります。今後通産省は産業政策をお立てになる上においては、長期の見通しを立て、そうして短期の見通しとの間にこういうそごの起きないような措置をとられたいということを、強く私は要望いたしておきます。
で、そういう状態の中におきまして、私は、しからば
重油の使用に関する
規制をする
法律が必要であるかどうか、必要でないかということになりまするというと、私は今日の社会においては必要であると思うのであります。これは
重油の設備あるいはその設備に供給される
重油の量につきましては、国の総合
エネルギー対策の一環として、わが国の国産
エネルギーの愛護の点と相待ちまして、そうして相当強い
規制を
日本産業の立ち直りのために行わなければならぬと私は
考えるわけであります。ところが私
どもはさようなわけでありまするので、
政府が提出せられました原案については、まだまだ不十分ではあると思いますが、一応賛成をいたしたいと思うのであります。
政府が提出されましたところの原案をある
程度配慮を加えながら運用いたしまするならば、おおむね所期の目的を達成するのではないか、こういうふうに
考えまして私
どもはこれに賛成をいたしたいと
考えておりました。
ところが
衆議院における院議をもちまして、この
政府提出の原案について、重大なる
修正が加えられたのであります。私
どもは昨日来
衆議院の
修正案について、
関係せられた代議士諸君においでを願って質疑を尽しましたが、その中でも明瞭になりましたように、もし
衆議院の
修正部分が
提案者の意向の
通りに、発議者の意向の
通りに運用せられるということになりまするならば、おそらくこの
重油ボイラーに関するところの
法律案というものは、
骨抜きになってしまうのではないかということをおそれるわけであります。そういう状態でありまするから、従って私
どもといたしましては、残念ながら、
政府原案には賛成でありますけれ
ども、遺憾ながら、参議院に今日送られております
法律案は
衆議院の
修正部分を含めて原案ということになっておりますから、反対せざるを得ないという立場に相なったのであります。この点はわれわれがいかに眞剣に燃料対策というようなものを
考え、その
エネルギー対策を
考えておるかということについて、理解をいただきたいと思うのであります。
特に
衆議院の
修正案の中で、昨日もここへ自由党の内田君がおいでになりまして、私と質疑をかわしました中で明瞭になりましたことは、私が第二条、第三条、第四条を一括し、第六条と対比させまして
質問を試みたのであります。そのときに、第二条、第三条、第四条の規定によりまして
制限を加えていくことについては、これは通産省も責任を感じなければならない。今まで勧奨してきたものについて
制限を加えるわけでありますから、これは大いに責任を感じなければなりません。そういう意味で、今日全国各地から
重油の燃焼設備を持っている業者から強い反対のあることも
承知をいたしております。しかし国策のためには、これもまた漸次
エネルギー対策というものが一応安定の時期に達するまで、これはがまんをしていただかなければならない、こういうふうに私
どもは
考えておるのであります。しかし二条、三条、四条の
規制を加えましても、海を渡ってわが国へどんどんと
重油が入ってくる。あるいはまた
輸入の操作を大幅に投機的に行います。そうしてはなはだしく使用者に不便を与えるような人為的な操作が行われる場合、そこには当然販売価格にも大きな動揺を来たしまして、そうして
重油をめぐって非常に好ましくない状態が起きることは明瞭だろうと思うのであります。従って、ほんとうに
重油のことを
考えて
規制を行おうといたしますならば、第六条の
政府提出の原案にありまする規定をそのまま、
政府が
説明いたしました
通りに、伝家の宝刀としてこれを備えまして、そうして混乱が起きるようなときには、遅滞なく善処し得る道を開いておかなければならぬと思うのであります。ところが、この六条を
衆議院におきましては大
修正を加えたのであります。ほとんど
骨抜きになってしまったのであります。しかも内田君の
お話によりますというと、
通商産業大臣並びに
川上局長たどは大へん人のいい人である。(笑声)従って誤りはないと思うが、
あとで悪い
大臣や
局長が出てきたときには心配だから、
修正を加えたと、こういうのであります。少くとも
法律を
議論する場合に、その運用の衝に当る人物の是非を
議論の対象にするなどということは、笑止千万のことでありまするが、そういう
考え方の裏に一体何があるかと申しますというと、強度の統制を再び復活するようなことばまっぴらごめんである、こういうことでありましたが、その裏においては、いかに最終使用者の場合において
重油の使用について
規制を加えましても、
生産業者あるいは
輸入業者、販売業者が強いワクをはめられるといたしますならば、勝手気ままなことができなくなる。いわゆる通俗的な
言葉で申し上げますならば、
法律ば
法律、実際は実際、その
通りの横流しむ縦流しもできるようにしていただきたい、こういう意味の発言があったと私は思うのであります。きのうも、もう少し内田君が冷静に私の
質問に答えますならば、私は委曲を尽して彼の
考え方の誤っている点を明らかにしたいと思ったのであります。ところが、みずから興奮し、みずから私にけんかをふっかけるような状態では、私もこれに
質問を加える余地がない。そこで打ち切ったのでありますが、とにかくそういうわけで、内田君の雷われるところを聞いておりますというと、結局私の手元へ来ております石油の精製業者、あるいは眼花業者、あるいはまた
輸入業者等が中心になって陳情になっておりますよりな業者の自由商業権、自由権というものを圧迫するこのやり方は、よろしくない。およそ今日差し迫っている
日本の燃料政策、
エネルギー政策とは無
関係な
議論を非常に重要視せられ、そうして
衆議院においてその大勢がついに
修正案を可決する段取りになったことについては、私ははなはだ遺憾に思うのであります。
きのうもそういう
衆議院の態度について私が追及をいたしまするというと、
衆議院を侮辱するとこう言いましたが、私は別に侮辱をするわけではない。侮辱をするわけではないが、そういう内田君のような
考え方をもって運用をいたしますというと、結果において必ず
経済の自然的な流れからいたしまして、そうなる、こういうことを私は指摘したのであります。これは私のただいま
考えておりますことは、いささかも動揺をいたしておりません。必ずそういうふうになるであろうと思います。そこで非常に心配をいたしまして、通産
大臣並びに
局長にも伺いましたところ、
衆議院の
修正案は
修正案として、実際の運用は
政府原案第六条の精神を生かしてできるということであります。内田君は、
大臣、
局長は人がいいからそういうことをやらぬという前提のもとにあれを
修正したというのでありますが、しかし
局長は、
修正した部分においてもまあ原案の
通り大体できるとおっしゃっております。しかしそういうことは国会の
委員会において
法律案を審議するときの
言葉のやりとりの範囲を越えた私は問題だと思います。もう少し基本的なものの
考え方をいたしますならば、人がいいとか人が悪いとか、あるいは運用の問題においてできるとかできないとかそういうことをただ単に速記録にとどめる
程度ではいかないのでありまして、この
法律案のもっとも中心でありますこの第六条については、はっきりとした態度を天下に表明するだけの私はものでなければならぬと思うのであります。そうしなければ、反対する人に対しても、賛成する人に対しても、ほんとうに問題の焦点を理解させることができないと思うのであります。
かような意味をもちまして、私
どもは、まことに残念でありますが、腹の中においては
政府の原案に賛成をしておるのであります。たまたま
衆議院においてとういう
骨抜きにするような
修正を加えたがゆえに、私
どもはこの
法律案全部に反対をしなければならぬという——今までわれわれはずいぶん
法律案をたくさん扱って参りましたが、こういう奇妙な立場に置かれたことは初めてであります。従って、どうか通産省当局におきましては、
大臣以下その衝に当られる方は、原案の起草者でありましたから、その精神を十二分に御
承知になっておることでありますし、また一日も早く
日本の
石炭企業を安定させ、この安定の中がら
重油等もさらに昔のように自由に使わしていけるような対策というものをお
考えいただくことと思います。そういう時期が一日も早く来ることを私は祈念をいたします。そうしてこの
法律案が最大の効果を上げるように反対をいたしまするが、(笑声)祈ってやまない次第であります。私の意見はとこで終ります。