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1955-07-19 第22回国会 参議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十九日(火曜日)    午前十時五十四分開会     ―――――――――――――   委員の異動 七月十五日委員豊田雅孝君辞任につ き、その補欠として上林忠次君を議長 において指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            松平 勇雄君            加藤 正人君            河野 謙三君            海野 三朗君            栗山 良夫君            藤田  進君            上條 愛一君            苫米地義三君   衆議院議員            多賀谷真稔君   政府委員    公正取引委員会    事務局長    小川清四郎君    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省通商    局次長     大堀  弘君    通商産業省繊維    局長      永山 時雄君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○輸出入取引法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○繊維製品品質表示法案内閣提出、  衆議院送付) ○石油資源開発株式会社法案内閣提  出、衆議院送付) ○石油及び可燃性天然ガス資源開発法  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○臨時石炭鉱業安定法案衆議院送  付、予備審査) ○ガス普及に関する臨時措置法案  (衆議院送付予備審査)     ―――――――――――――
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより開会をいたします。  輸出入取引法の一部を改正する法律案は、衆議院修正があったようですから、一つ政府委員の方からその修正の個条その他のことを一つお話を願いたいと思います。
  3. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 先般来御審議いただいております輸出入取引法の一部改正法律案につきまして、先般衆議院の方で議決がございましたが、この際、修正案が可決されましたので、この修正案部分につきまして、私からかわりまして御説明申し上げたいと思います。お手元に簡単な概要の表を一枚刷りのものをお配りを申し上げておりますが、第一点は、この法律五条の二、五条の三と、この改正案の中心になりますもののうちで、五条は届出、これは問題ないわけでございますが、五条の二と、五条の三、つまり五条の二は、輸出業者国内取引について協定をする場合、これが五条の二でございます。五条の二は、生産業者輸出向け貨物について協定をする場合、その二つ条項につきまして、輸出業者国内取引について協定締結いたします場合において、これが原案では条件をしぼっておりまして、輸出取引に関する協定締結することが前提になっておるわけでございますが、輸出協定締結がない場合におきましても、この輸出業者国内取引に関する締結ができる。認可さえあれば協定締結することができる。こういうふうに直った点が第一点でございます。  第二点は、生産業者または販売業者協定締結することができる場合を拡大いたしておるわけでございまして、原案におきましては、この五条の三の二項に相当こまかい論理的な条件をつけておきましたわけでございますが、これを全部撤廃いたしまして、削除いたしまして、政府認可運用にまかせるという形におきまして修正が行われているわけでございます。従いまして五条の二も、直ちに必要がある場合は国内生産業者輸出向け貨物について協定認可申請をすることができる。こういうように条件を拡大いたしていることが修正の第二点でございます。  第三点は、この二つの場合におきまして、認可申請があったときは、行政庁は、二十日以内に処分をしなければならないものといたしまして、当該期間を経過したときは、認可があったものとみなす、こういう規定が入りましたことでございまして、行政処分をすみやかに行うように二十日という期限が付されたという点が第三点でございます。  第四点は、同じような趣旨におきまして、輸出に関する命令を制定する権限が入っておりますが、これにつきましても、輸出に関する命令を制定する条件が、相当協定の順序をつけまして非常に制限されているわけでございますが、この点につきましても制定する場合を拡大いたしまして、制限をはずしているという点が第四点でございます。  第五点は、原案におきますと、協定認可に際して、行政庁は、公正取引委員会同意を得なければならないとなっておりましたのを、公正取引委員会に協議しなければならないと、同意を協議と改めたという点が第五点でございます。  その他は、法律修正に伴います条文の整理でございます。  なお、申し落しましたが、五条の二、五条の三に関連いたしまして、輸出組合組合協定につきましても、先ほど冒頭に申し上げました、輸出業者協定と同様に運用ができるというふうに修正になっておる点であります。  概略でございますが、修正のおもな点は以上の通りでございます。
  4. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 今の輸出業者国内の方まで協定することができるという場合に、国内生産者輸出組合を作っておる場合はいいと思うが、そうでない場合に、力の弱い生産者が、輸出業者の方の、まあカルテルで、この値段でなければだめだと、こう言うて、値段をたたかれるというか、俗な言葉で言えばそういう心配が生じ得るだろうと思うのですが、そういう点、つまり中小国内生産者というものの保護見地意見は、この修正のときに衆議院委員会では出なかったんですか。
  5. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 主として生産業者協定条項につきまして、中小企業の問題の御意見が強く出たようでございます。その際に、この協定によりまして、これは輸出入取引法建前でございますから、輸出上の貨物につきましては、生産業者がだれでも協定ができるわけであります。大きなメーカーもできるし、中小メーカーもこれによってできるわけであります。その場合に、必要がありますれば、中小の人だけが集まって協定をし、その人がまた大きな人と協定をするということも可能である。あるいは中小企業安定法によりまして協定をしていく、その組合がさらに大メーカーと本法案によりまして協定をするということも運用上できるわけでございます。これはただいまお尋ね輸出業者協定して、国内中小メーカーから買上値段等について、相当の無理な条件を出すということも考えられるのでございますが、そういう場合に、これは国内向け協定でございますから、やはり認可条件にかかっておりますので、今までの例から見ますると、一つくらい例があるのです。たとえばカエルの輸出というような場合につきましてそういった問題が起ったことがあるのでございますが、この際認可条件の際に、不当に国内中小企業を圧迫するというような事態がはっきりしますれば、これはやはり不認可処分ということも考えられるだろうと思います。
  6. 吉野信次

    委員長吉野信次君) きょうはこの委員会にかかって、一応政府から提案説明だけ聞いて、まだ各委員の方から一つも御質問が出ていないようなものがあります。たとえば繊維製品品質表示法案もそうですし、中小企業安定法の一部を改正する法律案、これは衆議院議員提案ですけれども、これもそうです。それから石油資源開発株式会社法案、その次のものもそうですから、そういったものを一括しておいたのですが、何かそういうものについて御質問があれば、この際お述べを願います。それから衆議院の方の議員提案で、臨時石炭鉱業安定法案というもの、それからガス普及に関する臨時措置法案、この二つ提案になっているそうです。これも予備審査で、もし衆議院提案者の方が見えたら、一応提案理由だけ伺っておこうかと、こういうことでみんなここにかかげたわけですから、どうか御随意に御質問願いたいと思います。繊維局長、あなたの方で出された繊維製品品質表示法案ですね、これはこのごろいろいろ化繊ができるので、何が何やらわからなくなるからして、消費者保護見地から表示をするんだという大体の説明がございましたが、これも何か承われば、衆議院で小修正ですか、ちょっとした修正があったということです。それから大体これをとりあえず、いろいろ化学繊維種類が多いのですが、実際どういうものからこれをやるのか、その実際のやり方について、もう少しわれわれにわかりやすいように御説明願えれば大へんけっこうだと思うのです。
  7. 小野義夫

    小野義夫君 ちょっと先ほどの御説明修正根本理由について私はちょっと疑義があるのですが、それは予算の総括質問でも、通産大臣審議庁長官質問をしたのですけれども、また私と一緒に緑風会の田村君も同様意見を発表したのでありますけれども、いまだわれわれは根本的に、なるほどというように考えられない筋がある。それは、こういうふうに今の私的独占禁止法というような一つの大きな基礎の上に立っておるのであるから、これに対していろいろのトラストもしくは組合等の合同が自由にならないで、事ごとに例外的なものを作っていかなければならぬという今日の事情におるのであるが、これを根本的に廃止するということにいかなる障害があるのか、反対にこれがないために日本の商品が、かりに売りくずしをして、外国のディーラーが一ぺん仕入れると、その次は安値を出してくる。ほとんど日本は世界の市場の値段を無視して、自分の金融の都合では勝手なことをする。かようにやって、むしろ商業的な信用を著しく害しておるというのが実情であった。ただ反対論として、国内物価がそうなれば高くなるじゃないか、こういう一つの問題がある。ところがこれはひとりこういうものに限ったことはない。一番国内物価を災いするものは、今問題としているところの砂糖であるとか、あるいはバナナであるとか、その他輸入物資に対してさようなことがあるように思う。それが国内物価の高い原因なんです。いわば政府独占企業をやっている。為替というものを握っている。これがために、それをもらうことについて、もらった人は非常に工合がいい。一体独占禁止法というものを排除してしまって、そうしていわゆる今後も米でも何でも起るのであるが、そういう以上に、いわゆる暴利取締規則というような、反対にそういう不当な利益を国民の負担においてするようなものを弾圧するような反対立法をすることによって、商業権の擁護のためにやるところのこの独占なりカルテルというものは、日本にはそれは不都合である。むしろ日本船舶においてもトラストをやる、協定を破るというふうに働く方が多いのであって、私はそれは世界的なあり方として、日本には今日資本家といって名目を打つような企業の中の大株主というようなものはほとんどなくなって、大衆資本が今日においては大てい株式会社資本である。そのことは大衆の預金なり投資を擁護することにもなるのであって、これを廃止し得ないというのはどういう根拠があるかということについての論議衆議院でどういうふうになされたか、その点を伺いたいんです。
  8. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 今の御質問衆議院における論議だから、どちらからでもいいんですけれども、こういう議論があったかなかったか。
  9. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 衆議院におきましては、やはり私どもが伺いましたところでは、両様の御意見がだいぶ出たように記憶いたしますが、一方では独禁法の態勢が行き過ぎであるから、これはもっと思い切って直したらどうかという御趣旨の御意見もあるようでございましたが、同時にこういう方法独禁法規定をだんだん緩和してしまう、これをすっかり骨抜きにしてしまうということは、逆にまた中小企業の方に対して悪影響はないかというような、両様の御意見がいろいろの角度からあったように聞いております。
  10. 小野義夫

    小野義夫君 これはそういうことではぴんと納得するものがないんですね。何かもっと大きな、国際的にこれをやらなければ大へんなことだ、あるいは国内的に事実上非常に大きなこういう事例が、たとえば鉄が非常に高くかかるとか、あるいは船舶、あるいは電力が非常に横暴であるとか、基幹産業その他について、あるいは小さい産業でもいいんですけれども、実際その実害から法律を見なければ、ただおどすための伝家の宝刀なんというものは無用な存在であろうかと思うのです。だから衆議院でも、もう少しまじめにそういう問題を一つ取り上げて論議してほしいと思うのです。
  11. 吉野信次

    委員長吉野信次君) これは質問じゃないけれども、何か公取の方でそういう点について説明がありますか。あれば伺うし、実はこの前にも小野委員は御欠席になっておったかと思うけれども公取横田委員長が御出席のときに、私からも、私的独占禁止法というものが根本的に今の日本実情に見て合うか合わぬかという御質問を申し上げたのです。それでそのときに公取横田委員長の話では、だんだんに修正されて、著しく独占禁止取締りというものもやわらかになっていっていますから、だんだんやわらかになった程度の形においては、日本の現状においてもまあ適当な取締り方法であろう、こういう意味の御見解がこの委員会で表明されたままになっております。
  12. 小野義夫

    小野義夫君 そうしますと、私はむしろ弊害が起る。それはかりにそういう緩和したところにおいて暴利をむさぼるものが生じたという場合においては、いかなる法律をもってこれを取り締まるのか。であるから私はむしろだんだんと骨抜きになっていくところの過去の法律は葬り去って、そうして新しく発生するであろうところの事態に対する立法がほんとうの進歩せる立法であって、いたずらに過去の法律を全廃することは若干の反対論があるであろう、あるいは非難があるであろうというようなことで、こういうふうに一つ一つ国会のたびに骨抜きにするような手段をすることは、いたずらに行政機構の上から見ても、立法機構の上から見ても賢明なやり方とは思われないのです。私はやはり一方にそういう社会悪をなすようなものありとすれば、これを断ずるようなことは必要であろうと思うが、一方に業者自由手腕をもって日本産業を擁護していくということも、これは行政官がいたずらに干渉することはなかろう、まあこういう見解を持っておるのでありますから、また他日の機会大臣でもおいでになれば伺いたいが、次官からその点の見解一つ承わりたいと思います。
  13. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) 実は公取関係に属するかと存じますが、せっかくのお尋ねでありますから、簡単に私からお答えをいたします。ただいまの御懸念はごもっともであろうと思います。私ども取扱い官庁といたしましては、あくまでも独禁法が現存しております以上、その精神は尊重していかなければならないというふうに思います。でありますから、ただいまの御意見のような点につきましては、十分注意して参らなければならないと思っております。
  14. 吉野信次

    委員長吉野信次君) いずれ今の小野委員の御意見に対しては、また公取委員会の方で何かお話し願って、また適当な機会委員長から御答弁を願うようにいたしたいと思います。
  15. 小川清四郎

    政府委員小川清四郎君) ちょっと一言だけ。本日は私ども横田委員長はちょっと他の委員会に出ておりまして、私事務局長でございますが、かわりまして一言だけ申し上げたいと思います。  独禁法が制定されましてからまる八年になんなんとしておりますが、その間にただいまの御質問のような御意見は、幾たびとなく繰り返されて参っております。特に一昨年の後半から昨日にかけまして、デフレ政策の浸透という状況が、本件の議論をさらに強く打ち出させて参ったような情勢は皆様も御承知通りだと思います。そうしてまた、ただいまの御質問の中で、特にわれわれの関心を持っておりますのは、独禁法自体を改廃検討しないで、重要産業、その他中小企業等も含まれますが、いわゆる適用除外立法一つ一つ作っていくということの可否につきましては、われわれの委員会の内部におきましても、十分検討もいたして参りましたし、賛否両論も確かにございますことを申し上げざるを得ないのでありますが、しかしながら一応独禁法建前といたしましては、極端な自由競争の結果、私的独占とか、あるいは取引制限というふうなものが公々然と行われることを防ぎますと同時に、一方におきましては経済の面におきまして、いわゆる統制的な面があまりに強く出てくるおそれも多分にあると存ずるのでありまして、われわれの立場といたしましては、そう両方の極端な立場に対する一つの安全弁的な仕事をするのが本来の建前ではないかというふうに確信をしておりますので、目下のところは、あるいは一つ一つ独禁法骨抜きになるのじゃないかというふうな御懸念がありますと同時に、他方におきまして、一足飛びに廃止ないしは全面的な改正を行なったらどうかという議論も、二様の議論が立つことと存じますが、しかしながらこれらにつきましては、ただいまここでわれわれといたしまして結論的なものを申し上げるのはいかがかと存じますので、また他日の機会委員長なりに御説明機会を与えていただくことにしまして、一応われわれの立場を御説明申し上げた次第であります。
  16. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 先刻委員長お話に基きまして、繊維製品品質表示法につきまして、どういうふうな品目が、さしあたりどういう形で適用されるかというような問題、それから、この法案衆議院におきまして一部修正を受けましたので、その修正の点、あるいはまた付帯決議がつきました点につきまして、若干時間を拝借いたしまして御説明申し上げたいと思います。この法律趣旨とか理由とかいうことはすでに御説明を申し上げた通りでございますが、外国の例を見ましても、すでにかなり広範にわたりましてこの品質表示制度というものが確立をいたしておるのでございまして、従って日本におきましても、だんだんといろいろな種類繊維が出回って参りましたのにつれまして、消費者、あるいはまた関係業者といたしましても、果してこの織物なり糸がどういう構成、どういう品質のものでできているかということが非常に識別に苦しむような状態になって参っております。そこでこの繊維品につきまして、品質を明らかにしてもらいたいという意味の要望は、かなり前から一般に出て参っておるのでございますが、またそれによりまして、政府といたしましても、両三年前からこの問題を取り上げて検討して参ったのでございますが、いろいろな事情から今日まで延び延びになってきたという経緯をたどっておるのでございます。ただし繊維品と申しましても、とにかく八千万国民が全部使う品物でございますので、非常にこの品質表示と申すことも、一口に言いますと簡単でございますが、なかなか実際問題としては厄介でございますということになりますし、また業者も御承知のように、全国的に非常にまた数が多いわけでございますので、従って的確な表示を励行させていくということも事実問題としてはなかなか困難な問題でございますので、ただいま提案をいたしておりまする法案根本精神といたしましては、漸進主義、一歩々々前進をしていくという建前で進んでおります。従ってこの法案につきましては、一般業界あるいは消費者からさまざまの議論があるのでございますが、一面におきましては、少し制度として何といいますか、弱過ぎる、もっと徹底した表示制度を行なってもらいたいというような希望も一面にはあるのでございますが、政府といたしましては、現実事態に着眼をいたしまして、一歩々々理想に近づいていきたい、かような意味で立案をいたしておるのでございます。従いましてこの適用品目という問題も直ちに全部の品目について適用するというような考え方をとっておりません。さしずめ適用をいたしまして、まず確実に行われそうだ、あるいはまた政府が行政指導なり、あるいは法令による措置を加えることによって、表示制度というものが確立をしそうだというようなものをさしずめ選びまして漸次一般啓蒙宣伝といいますか、ということも合せて実施をいたしまして、逐次その他の品目、できるだけ広い品目に及ぼしていく、あるいはまた表示をさせる内容もさしあたりといたしましては、繊維種類、たとえば綿とか、あるいは毛とか、スフとかというような繊維種類に限定をいたしまして、これを表示をさせるという考え方に立っておりますが、繊維品品質といたしましては、御承知のように、ほかに染め、染色の問題がございます。あるいはまた防水、防縮というような問題もございまして、これらも繊維品の良否を判別する上におきましては、なかなか大事な要件でございますが、といって現実にこれを法律対象といたしまして間違いなく表示をさせる、間違ったらば処罰するというような意味法律対象として取り上げるには、いまだそこまで必ずしも十分に熟してきていないというような面もございますので、従ってこれらの問題は今直ちに取り上げる対象といたしておりません。これまた逐次これらの条件を熟させ、それから業界なり消費者というものもこれの表示に、できるだけ自主的に表示を励行させるということによりまして、逐次法律対象としてもいいような状態に、ある程度のところまで持ってきた上で、法律対象にするという先ほどから申し上げている漸進主義という建前をとっているのでございまして、今申し上げたような趣旨でこの法律ができているのでございますが、適用品目の問題といたしましては、まず法案の第二条に「この法律で「繊維製品」とは、別表に掲げる繊維製品をいう。」ということで別表繊維製品種類を表わしております。この別表が法文を書く技術の関係から、いささかおわかりにくいような形になっておりますことは恐縮でございますが、要はこの法案対象から除いておりますものは絹、それから麻、その他グラスウールとか、あるいは塩化ビニールとか、特殊なものを除きまして、綿、毛、それからスフ、人絹、あるいはその他の合成繊維という近ごろの化学繊維、そういうものを一応この法律対象になし得るようにいたしております。それからそれらによりまして作った織物別表の第三にも掲げてございますような上衣、ズボン以下のいろいろな品目、こうした第二次製品、むろんメリヤスも入っておるのでございますが、こういうような品目が一応この法律対象になし得るようにいたしております。従ってこの法案だけで参りますと、かなり広範なものになるのでございますが、先ほど申し上げましたさしあたりの問題といたしましては、なかなか全部一ぺんにこれをスタートするということが困難でございますので、従ってさしずめの問題としては綿と、それから毛とスフ、この三種類の系統のものについて表示をさせるということにいたして参りたいと思っております。むろん従って綿糸あるいは毛糸、スフ糸、あるいはこれらを組み合せた混紡糸というようなものはこの法律対象になります。またそういう糸なり、混紡糸によってでき上りました織物、あるいは二次製品というものは、いずれもさしずめこの法案対象にしていくということになるのでございます。たとえばワイシャツというものをとりますと、純綿のワイシャツというようなことが、法律で何と申しますか、一つ指定文字という言葉が出ておりますが、いわゆる一種の定義になりますか、そういうものをきめて、そうして表示をさせる。あるいはまた足袋につきましても、純綿かあるいはスフの入った混紡かというような意味表示をさせるということになるのでございますが、ただいま申しましたように、さしずめ綿、毛、それからスフというものを対象に限定いたしておりまして、特殊な、あるいはナイロン、ビニロンその他のものはすぐにはこの法律対象として取り上げる方針になっておりません。従ってこういうものでできました織物なり、あるいは二次製品というものは、今すぐにはこの法律対象にしないわけでございますが、ただ先ほどから申し上げますように、だんだんとこれを、表示制度をこれらに適用していく態勢がある程度整いましたならば、これらにも範囲を拡大して参りたい、かように考えております。そうしてその意味の行政指導なり何なりをできるだけいたしまして、早くそういう状態に持っていきたい、かように考えているのでございます。  それから今御説明いたしました別表の中で、綿とか毛とかスフとかいうものに限定をして適用をするということを申し上げたのですが、その具体的な取りきめといいますか、決定は、繊維製品品質表示審議会というものをこの法律規定をいたしておりまする条文は第六条でございますが、繊維製品品質表示に関する重要事項の調査審議のためこの審議会を置くという意味の条文がございますが、これに付与いたしまして、今申し上げたような具体的な適用品目をきめて参りたい、かように考えております。たとえば純綿といいますれば、これは常識的に大体一〇〇%綿ということでございますが、たとえば混紡綿糸とか混紡綿織物というような表示を一応させようという考え方でございますが、どの程度スフが入っておっても混紡と称していいか、極端に言えば、綿が一%で大部分はスフばかりだというものも混紡綿織物と称してよいかというような問題があり得るわけでございます。従ってそうした問題につきまして、この繊維製品品質表示審議会というものの審議をいただきまして、そうしてそれによりまして政府が政令できめていく、これによって具体的にきまってくるわけでございますが、現状におきましてはある種の品物についてはかなり表示制度、進んでは検査の制度というものが行われておるのでございまして、たとえば綿糸というものは紡績業界の申し合せによりまして、いわゆる合理化カルテルというものができておりまして、これでお互いに表示についての申し合せ、こういうものについてはこういう表示をしようではないかというようなこと、あるいは必ず検査を受けようではないかという意味の申し合せ、カルテルができておるのでございます。かなりこの品質表示立場から見ますると進歩をいたしたものでございますが、従って民間で現に行われておるそうした習慣といいますか、やり方は、当然今後の品質表示審議会において取り上げて、法律対象として将来一つの有力な行き方になる、かように考えておりますが、この種の行き方は綿糸から始まって、逐次その他の品目にもだんだんと政府としても及ぼしていってもらいたい、かように考えておるのでございます。もともとこの品質表示という問題は、政府が頭から強制をして表示をさせるということはむしろ異例であるのでございまして……できるだけ民間の業者が自発的に表示をする……そういうことになりますると、法律対象としてはなかなか表示がむずかしいが、任意表示の自発的な表示の形だったら表示がしやすい。たとえば先ほど申し上げた染色だとか、あるいは防水、防縮だとかいうような問題は、法律対象にしますとなかなか困難でございますが、自発表示という形で参りますると比較的スムーズにいくというような問題もございまするので、できるだけわれわれの方としては自発表示、任意表示ということでいきたい、かように考えております。そこでこの法律適用品目は今申し上げたようなところでございますが、表示やり方といたしましては、建前は任意表示制度、自発表示制度というものを原則にとっております。従ってこの法律の書き方としては、第三条にございますように、製造者もしくは販売業者または製造業者云々というものは、指定文字を用いて、指定文字ごとに政令で定める品質のものでない繊維製品にその品質表示し、またはその表示とまぎらわしい表示をしてはならないという、いわゆる不正表示を禁止をするという建前を原則としてはとっているのでございます。表示をするしないは一応それぞれの自由といたしまして、ただ表示をする以上はうその表示、偽わりの表示をしてはならないという行き方を原則としてはとっている。  で、できるだけ先ほど申し上げたようなもので、組合あるいはそれぞれ業者の団体の自発的な申し合せによって、この表示を励行する、お互いに自発的に表示を励行するという行政指導をやって参ろうと考えているわけでございますが、ただ必要やむを得ざる場合は、ある場合においては表示の強制をする、あるいは検査の強制をするという建前をとっております。これが第四条に書いてある点でございます。これは組合表示の申し合せをする、あるいは検査を受けることを申し合せをするということにいたしましても、アウトサイダーがあって、なかなか大多数はそれをやっているにもかかわらず、アウトサイダー、一部の者がそれに従わない、あるいは多数の組合員の中でも、ごく一部の者が秩序を乱すというような場合には、やむを得ずこの第四条を発動いたしまして表示の強制をする、あるいは検査を強制をする、こういう建前をとっていこうというのが第四条でございますが、従ってあくまでも任意表示制が原則でございまして、それでどうしても一般の態勢が表示をするという態勢になっているにもかかわらず、表示の秩序が乱されるというような異例な場合に、第四条を適用していこうという考え方でございます。  大体この法案のおもなる点は、ただいま申し上げたような内容でございますが、この法案衆議院におきまして審議を受けました結果、この一部修正があったのでございます。  それは罰則の問題でございますが、第十二条に「第三条第一項又は第四条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」という条文がございます。これは第三条第一項と申しますのは、今御説明をいたしました不正表示をした者、偽わりの表示をした者が第三条の第一項でございます。それから第四条第一項というものは、強制表示表示命令されたにもかかわらず、表示をしないで販売したというようなものでございますが、政府原案では「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」ということになっておりましたのを、衆議院におきましては、一年以下の懲役というのを削除をいたしまして、罰金を二十万円、十万円を引き上げまして、二十万円ということにいたしたのでございます。この趣旨はこれはむしろ衆議院の方から御説明を願った方が、妥当かと思いますが、便宜代弁をいたしますると、この法律がそもそも指導立法的な性質を持っている、いたずらにおどかしたりしてやっていくということではなく、指導立法的なものであるので、従って体刑というものを置くことは妥当ではあるまいという趣旨で、この体刑を削りまして、そうして十万円という罰金がいささか安きに失するという意味で、二十万円ということに修正をされたようでございます。  実はこの政府原案ができ上りまするまで、最終決定をいたしますまでの経緯におきましても、一つの案としては、衆議院修正のような案の時代があったのでございますが、結局一年以下の懲役というような体刑が政府案として入りましたのは、不正競争防止法という、ややこの法律に類似した法律があるのでございますが、この不正競争防止法の罰則との権衡、つり合いを考えて、かような体刑を入れるということにいたしたのでございます。衆議院はただいまのような修正をされたのでございますが、政府といたしましても、その趣旨ごもっともでございますので、一応これに同意をいたしたのでございます。  それから付帯決議でございますが、付帯決議二つございます。  第一は、「政府は、本法に規定せられている強制検査、強制表示等を行わんとするときは、中小企業者と消費者との立場を考慮し、無用の負担と摩擦を生ぜしめないよう、すなわち検査に名をかりて権利の乱用に陥らないよう細心の注意を払い、審議会に於ける意見を十分尊重すること。」、御承知のように、繊維業界におきましても、大、中、小、さまざまな業態がございますが、特に中小企業というものが圧倒的に多いのでございます。従って強制検査、強制表示というものを例外的に必要やむを得ずして発動するという場合におきましても、中小企業者にいたずらに無用の負担と摩擦とを生ぜしめないということの注意は、しばしば衆議院の審議の際にもあったのでございます。もとよりこれは政府といたしましても、当初からその方針でございます。その意味で、できるだけ第四条そのものもあくまで例外的に必要やむを得ずしてやる、むしろ任意表示が原則で、強制表示、強制検査はごく例外だという立場にしてございますし、またそれを発動いたします場合にも、先ほど申し上げた品質表示審議会にかける、そうして政府の手続としては、御承知のように、政令できめるとか、省令できめるとか、いろいろの措置があるのでございます。あるいは告示できめるというような方法もあるのでございますが、その中で最も慎重な手続の必要とされる政令という方法を選んだのもその趣旨でございまして、われわれもこれはもとより同感の点でございます。  それから付帯決議の第二は、「繊維製品品質表示審議会の構成については、関係業界消費者その他広く学識経験者等を含めるものとすること。」、この点私どもといたしましては、当初からその考でございまして、審議会を設けるという趣旨そのものはできるだけ関係者あるいは民間の意見を開こうという趣意でございますので、この付帯決議に沿うような構成、取り運びにいたして参りたい、かように考えておるのでございます。     ―――――――――――――
  17. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではいろいろ御質問もあるでしょうが、ちょうど衆議院から多賀谷さんがお見えになっておりますから、先ほど申し上げましたように、臨時石炭鉱業安定法案ガス普及に関する臨時措置法案、この二つについて提案の御説明を願います。
  18. 多賀谷真稔

    衆議院議員(多賀谷真稔君) ただいま議題になりました臨時石炭鉱業安定法案につきましてその提案理由説明を申し上げます。  政府は、今日の石炭鉱業の危機を救済し石炭鉱業の合理化を行うためといって石炭鉱業合理化臨時措置法案を本院に提出しているのでありますが、政府案は真に石炭鉱業の安定を来たし炭坑地帯の不安の一掃をなすものでないと考え、社会党両派はここに本法案を提出する次第であります。  今日石炭鉱業の未曽有の危機を招来したものは、政府の強行したデフレ政策と総合的エネルギー対策の不確立によるものであります。  政府の燃料政策の一貫性の欠除は、石炭価格の割高と相待って、競合燃料たる重油及び外国炭の進出をみ、石炭需要に多大な圧迫を加えてきたのであります。高炭価の問題はわが国の炭鉱の宿命とも称すべきものであります。わが国の炭田は、外国の重要炭田のごとく古生後期か中生代に生成されたものでなく、第三紀に生成されたところからして、その石炭の品質及び賦存状況において著しく劣り、しかも地下資源産業の通有な特性として、採掘現場が漸次深部に移行するに伴って採掘条件は逐年悪化の一路をたどっているのであります。  昭和二十八年末と昭和九年末との自然条件を比較いたし映すと、平均炭だけが五%薄くなり、トン当りの排水量の増加が六三%、トン当り坑道の延長が一七四%増している状態でありまして、高炭価問題の解決のために縦坑の開さくを初め採炭、選炭、運搬等の機械化を行い、いわゆる若返り方法を講じなければならないのであります。この炭鉱の近代化に関しましては、われわれは政府より以上の熱意を有するものであります。  しかしながら石炭の需要の増加を積極的にはからなければ、いかに石炭鉱業の近代化を行い、生産性の向上による炭価の引き下げを意図いたしましても、それは所期の目的を達しないのみか、いたずらに労使の紛争を惹起し、石炭鉱業の再建を阻害し、失業者のはんらんは一そう炭鉱地帯の社会不安を助長さす結果に終ると考えるのであります。雇用の問題は近代経済における最も重大な問題でありますとともに、働く意思があり働く能力のある者は必ず職につけるということは政治の要諦であります。現在わが国の完全失業者は戦後最大の数を示し、潜在失業者を含めると六百万をこえると政府すら言っているところであります。これ以上失業者を大量に発生さすごとき政策は絶対に慎しまなければならないと思うのであります。  そこで両派社会党は需要の喚起に関し、抜本的対策を講ぜんとするものであります。  まず第一に、都市ガス普及を積極的に行いたいと存ずるのであります。昭和三十九年度を目標として、十カ年計画において、大都市八五%、中都市、五〇%、小都市三〇%の普及をいたし、石炭の消費量を増大し、石炭鉱業の安定とともに、森林資源の保全、家庭生活の合理化のため、別にガス普及の臨時措置法を本国会に提出いたしました。  第二に電力についてであります。日本経済は拡大均衡へと進まなければならないことを考え、電力の供給力を年々六%程度ずつ増大させたいと思うのであります。それがためには、水火力ともに増加さすわけでありますが、ことに火力において昭和三十五年度までに政府予定計画よりも新鋭高能率火力発電所の新設を四十五万キロワット・アワー行い、それを炭鉱地帯に建設いたしたい所存であります。これにより石炭需要の拡大をはからんとするのであります。  第三に、重油に対する消費の問題であります。政府の燃料政策の欠除により、鉱工業暖厨房用の重油の消費が最近飛躍的に増大し、石炭の需要を極度に圧迫した点にかんがみ、農水産船舶等を除く石炭との競合する部分の重油の消費については十分考慮しなければならないのであります。この点政府において重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法案提案されておりますのでこれ以上言及いたしません。  第四には、石炭化学の振興、低品位炭の利用等新たなる需要の開拓のために適当な措置を講じたいと存ずる次第であります。  以上のごとく需要の増大に努め昭和三十四年度における出炭目標を政府案の四千九百万トンをさらに二百万トン伸ばし五千百万トンといたしたいと思うのであります。  次は石炭の流通面における措置を講じたいと思うのであります。  第一には、石炭の合理化のために政府は巨大な財政資金を融資するわけでありますが、生産費の引き下げが行われても経済状勢のいかんでは石炭販売価格が引き下るということは必ずしも保証できないのであります。政府がいやしくも、膨大なる財政融資を行なった以上、安い石炭の供給というわが国経済の要請に必ずこたえる必要があるのであります。これがために販売価格を政府で決定することが肝要であると考えるのであります。  第二には、石炭の市場関係でありますが、現在休廃止するおもな原因は必ずしもコストが高いからというわけでなく、販路を持たないということにあると思うのであります。昨年の流通部門における状態を見ますと、企業間に極めて激しい販売戦が展開せられ、需要総量は減退しているのに、大手筋及び販売業者の荷渡しは逆に増加しており、中小炭鉱が駆逐され市場の再分割を生じつつあります。中小炭鉱の市場を確保し、販売部門における中小炭鉱の不利をなくするよう措置する必要があるのであります。  第三には、石炭鉱業は出炭の弾力性の乏しいところから需要に応じた措置が直ちにとれないうらみがあるのであります。需給のバランスが破れた場合は、需要の増大の場合も逼迫の場合もともに、投機的思惑発生の余地を与え、それが流通過程を著しく混乱に陥れるのでありまして、かかる中間利潤追求の機構は、なるべく排除すべきものと考えるのであります。  さらに電力用炭においては、現在の水主火従の状態においては、豊渇水一割の上下によって、平水年を境として、二百数十万トンもの上下を来たすことになり、弱体な石炭企業に甚大な負担をかけることになっているのであります。  今日の過剰貯炭の大きな原因が、ここ二、三年の豊水にあることを考え、これに対する対策を制度的に考える必要があるのであります。  第四には、炭鉱の経営の良否はほとんど自然条件の優劣によるのであります。今後合理化工事進捗とともにその企業間の優劣は一層激しくなり、生産コストの高低の差が拡大すると考えられるのであります。その企業間の優劣の原因は鉱業権者の企業努力よりも、自然条件によるものが多いのでありまして、価格において何らかプール的な要素を入れる必要があると考えるのであります。  以上の見地より石炭販売の一元化をはかり石炭鉱業の安定を期したいと思うのであります。  以下本法案の内容を政府案に対比しつつ簡単に申し上げます。  第一章総則は、目的と定義についての規定でありますが、縦坑開さく、採炭、選炭、運搬、通気等の機械化をはかり生産費の引き下げを行うとともに他面需要の増大をはかり生産量の指定等を行い、さらに近代化の効果がその価格にそのまま反映するよう政府において販売価格を決定し、石炭販売公団をして販売を行わしめ、流通部門における無用の混乱を避け、もって国民経済の健全なる発展に寄与することを目的といたすものであります。  第二章は、石炭鉱業近代化計画に関する規定でありますが、規定政府案と大差ありませんが、近代化計画は大手筋炭鉱に偏重することなく、中小炭鉱の近代化も積極的に行いたいと考えているのであります。  第三章は、鉱業権及び鉱区の整理統合並びに坑口の開設の制限についての規定であります。  鉱業権の交換、売渡、鉱区の増減については鉱業法に規定するところでありますが、特に縦坑開さく等の近代化計画を実施するにつきまして、鉱区の整理統合はきわめて必要でありますので、政府は適切な措置をとりなければならないといたしたのであります。  坑口の開設の制限につきましては政府案と同じ規定を設けました。  第四竜は、需給の安定についての規定であります。政府は毎年、石炭関係及び学識経験者よりなる石炭鉱業安定会議の意見を聞いて需給計画を定め、その需給計画に基いて鉱業権者、租鉱権者に対し生産数量の指示をするものといたしたのであります。  石炭の需要を増加させるための都市ガス、火力発電、石炭化学等の事業施設の設置または拡張に対し、資金の確保その他適切な措置をとるべき旨の規定を設けたのであります。  前述のごとき観点よりして石炭販売の一元化を行うこととし、それがために石炭販売公団を設け石炭の一手買取を行うことといたしたのであります。しかし石炭販売公団が全生産数量を取扱うことは実際上困難でありますので従来鉱業権者または租鉱権者が工場等に直接取引していた部分については、品位、価格、数量を指定してその鉱業権者又は租鉱権者に販売の業務の一部を代行させることといたしましたのであります。また小口需要については販売業者を指定し、その販売をさせることといたしたのであります。石炭商店等の販売業者で石炭販売公団設立により業務の全部または一部を休廃止せざるを得なくなりました者につきましては適正なる補償をいたすことといたし、これに関しましては別に法律を定めることといたしたのであります。  近代化による生産費の引き下げが価格に反映するために政府は買収価格及び販売価格を決定することとしました。買収価格をもってしては生産費を償うことができないものにつきまして買収価格と販売価格との差額の中からその一定の価格補給金を交付することとし、それにても採算のとれない炭鉱につきましては休廃止に関しての善後処理の経費を補償をすることといたしたのであります。  第五章は、石炭鉱業近代化基本計画並びにその実施計画の策定、生産量の決定、買収価格、販売価格の決定、休廃止炭鉱の補償その他この法律に関する重要事項を調査審議するため、鉱業権者または租鉱権者、労働者、石炭の消費者、炭鉱所在の地方公共団体の代表する者、学識経験者をもって構成する石炭鉱業安定会議を設けることといたし、これに関する規定を設けました。  第六章は、石炭販売公団についての規定であります。公団の資本金は五十億とし、政府が全額出資することといたし、役員、業務、会計、監督についてそれぞれ規定を設けました。  第七章は、石炭補給金を含む買収価格をもってしても採算がとれなくなったため事業を休廃止するのやむなきに至った鉱業権または租鉱権者に対して善後措置をするため炭鉱補償協議会を設置することといたしたのであります。  補償に要する財源といたしましては政府案が炭鉱買い上げに要する財源として予定しておりますもののうち財政資金を財源として貸し出す金融機関に対しての借入金の金利の引下げ分の一部を充当いたしたいと考えているのであります。  離職する労働者に対しては平均賃金の六十日分を支給すると同時に、未払賃金並びに退職金に対しては代位弁済するものといたしたのであります。  鉱業賠償の債務につきましても被害者の実情にかんがみ代位弁済をするものといたしたのです。  解雇された労働者に対しては、現在の失業者のはんらんしている状況よりして、解雇された労働者は炭鉱補償協会に登録し今後鉱業権者が労働者を雇い入れんとする場合はその登録者の中から優先雇い入しなければならない旨の規定を設けたのであります。  さらに鉱業賠償に関する規定を設けました。  第八章雑則、第九章罰則といたし、法律政府通り五カ年間の限時立法といたしました。  以上この法案の概要について説明申し上げた次第であります。  わが党といたしましてはわが国のエネルギー源における石炭鉱業の重要性にかんがみ石炭鉱業の安定をはかり、もって国民経済の健全な発展に寄与せんとするため本法案を提出いたした次第でありますので、議員各位におかれては何とぞ御審議の上本法案に賛意を表されんことを切にお願いするものであります。  次にただいま議題になりましたガス普及に関する臨時措置法案につきましてその提案理由説明を申し上げます。  ガスは家庭燃料としてきわめて卓越しており、家庭におけるガス化は生活上大なる便益をもたらすものであります。従って戦後都市住宅の復興、生活水準の向上等に伴って逐次ガス事業も復興し、家庭燃料のガス化が促進されてきたことは当然というべきものであります。しかし今日なお都市におけるガスの需要は旺盛なものがあり、ガス業者としてもこれが充足に努力しつつあるのでありますが、十分の成果を得ない現状にあるのであります。これは、既存のガス業者の有する製造及び供給の設備能力がすでに過小となったためであり、当面の急務として施設の大拡充を必要とするのであります。  また、ひるがえってわが国の森林資源の現状を見ますると長年にわたる過伐の結果、依然として憂慮すべき事態にあり、森林資源の保全は治山治水上はもちろん、資源に乏しいわが国としては絶対的要請であります。しかるに家庭燃料の実態を見ると、薪炭等木質系燃料は、家庭燃料の約八割にも及んでいるので、特に都市における家庭燃料をガス化することは、森林資源の保全に寄与するところ大なるものがあるのであります。  また、ガス事業は、石炭を有効適切に消費する産業であり、ガス製造の増加は、石炭の消費を増大せしめ、石炭鉱業の安定化に資することになるのであります。  以上のような、家庭生活の合理化及び国民経済的見地から、既設事業者の施設を大拡充し、また積極的に無ガス都市にガス事業の開設を促進し、ガス普及をはかることはきわめて有意義とするところであります。幸い、政府においてはガス中業拡充五カ年計画を策定し、これが実施に努められており、また「木材資源利用合理化方策」を開議決定とし、同方策の一環として、都市のガス化を推進されているのであります。しかし、今日までの経過を見るに、いまだ十分に効果ある施策が見られないのでありまして、真に都市におけるガス供給のための設備を拡充し、ガス普及を強力に推進せしむるためには、ガス事業の助成を法制化する必要があると思うのであります。  本法案は、如上の目的を有するものであり、法律の内容について概略を述べると次の通りであります。十カ条の本文及び附則からなっており、実体的意義を有する規定は第三条以下であります。構成としては、通商産業省にガス普及促進審議会を設けるとともに、通商産業大臣ガス普及計画を立案し、すべての措置はこの普及計画に従って行わんとするものであります。助成措置の重点は、資金の確保にあり、政府に対し普及計画実施に必要な資金の確保を義務づけており、また、無ガス地域にガスを供給しようとする地方公共団体に対しましては、ガス工作物設置のための補助金を交付するばかりでなく、起債についての優先的取扱いをも命じているのであります。  なお、計一画の実施を確保するため、ガス業者に対し、通商産業大臣をして、業務または経理上の改善を勧告し得ることにいたしました。  以上は本文の概要であるが、附則においては、施設の拡充を促進せしめるとともに、ガス消費者の負担を軽減せしめる目的のもとに、固定資産税の軽減、ガス工作物の償却範囲額の拡大、電気ガス税の軽減等をはかっているのであります。  以上がこの法案説明でありますが、ガス普及促進をはかるためにはこの法律が最も適切なものと信じる次第でありまして、あえて御審議を願うことといたしたのであります。この意を了とせられ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切に希望してやまないのであります。
  19. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ただいまのは衆議院議員提案の両法案提案理由の御説明でございます。いずれこれは御質問があるだろうと思いますが、非常にこれは大部な法案ですし、今度政府提案になっているものもございますから、いずれこの石炭に関してはそれを一緒に審議することにいたしまして、そのときにまた必要があればおいでを願って、いろいろこまかいことについてお尋ねをしたいと思います。そう取り計らってよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは、ほかの石油資源開発株式会社法案、これもただ提案説明を聞いただけで、まだどなたからも質問が出ていないのですが、皮切りに私からちょっと伺いたいのですが、つまり簡単に言えば、今ある帝国石油は、何というか、所期の目的を達しないから、第二というか、新しいもう一つ帝石会社を作る、こういう案のようですが、この間から提案説明を聞いたんですが、私の考え方からいうと、肝心なことについての説明がないような気がする。と申すのは、石油の方は御承知通り、この間の説明でも、国内の需要の五分程度しか国内産には期待ができない、こういうわけです。これは五分でも何分でもいいが、採算に合って自由企業として興るものなら何も問題はないんです。だけれども、全体の九牛の一毛にしかすぎないこの石油というものを、国が莫大なる金を投じてこれから採掘さしていく、こういう問題が、これが昔というか、今の帝石を作ったあれは戦争中だと思いますが、その前から石油資源というものについて、国が非常に力を入れたのは、簡単に言えば国防経済の見地があったわけです。いざというときに非常に困るから、たとえ五分でも一割でも国が大いに力を入れなければならぬという、こういうのでああいう政策を立てたものだと思いますが、今日も一体そういう考え方があるのかないのか、そこを一つ伺いたいのですが、もしそういうむずかしい考え方でなしに、ただ採算上の問題からきている、すなわちこれは民間企業でもできるのだ、ただ当初の探鉱やなんかのために非常に金が要るものだから、民間の普通の企業じゃいけないんだ、政府が金を出してやる、こういうのなら、この間の説明では何か百万キロリットルを六カ年計画でやるんだというんですけれども、一体それにどれだけの政府の金を出して、それから井戸の当る率、これはこのごろは大へん新しい方法があるそうですが、一体何本くらい当るような率になっておって、そうして結局どれだけの政府が金を出して、その百万キロリットルを六年間に出せば、採算というか、それで一体政府が出した金というものは返ってくるのか返ってこないのか、そういう御説明には何らこの間触れてなかったようだが、もしあればその点を一つお伺いしたいと思います。
  21. 小野義夫

    小野義夫君 御発言中ですが、議事進行で。私ちょっと十二時にやむを得ない用件があるんですが、もしでき得れば午後一つ二時ごろからお願いしたいんですが、どうでしょうか。
  22. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  23. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。
  24. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今、委員長がおっしゃいました国防的な関係からこういう会社を作って大々的な開発をする必要があるのかという問題でございますが、私どもの方としましては、この会社の設置につきましては、あるいはまた石油の大々的な開発につきましては、特に国防的なということは考えておりません。ただこの石油の開発につきましては、従来はどっちかと申しますというと、きわめて微温的な措置をとって参りました。しかし現在石油国内におきまする需要は、一千万キロリッターでございますけれども、それに対しまして国産は御承知通り三十四、五万キロリッター程度でございます。しかしながら日本石油資源というものは二、三年前から通産大臣の諮問機関としまして、石油の開発審議会というのがございますが、ここで日本相当なエキスパートの人たちが集まりまして、詳細調査をいたしましたところが、日本石油資源というのは相当あるということを言われておりまして、その答申も参っておるわけでございます。従いましてこの一千万キロリッター程度の国内の需要に対しまして、ほとんど大部分は外国から輸入をいたしておるわけでございますが、しかもその外貨というものは非常に膨大な数字に最近におきましてはなっております。大体一億五、六千万ドル程度になっておりますが、この際私どもとしましては先のそういう答申もございますので、何とかして国内におきましてある程度開発するということにいたしますれば、外貨の面から申しましても非常にこれはいいことではないかというふうに考えた次第でございます。百万キロと申しますというと、一割程度ということになりますけれども、一ぺん百万キロの線に乗せますというと、だんだんこれは雪だるまになりましてころんでいくのではないかというふうに考えられるのであります。ということは、最近ドイツにおきましても、フランスにおきましても、あるいはイタリアにおきましても、この石油の開発に非常な力を尽しております。たとえばドイツについて申し上げますというと、ヒットラー時代におきまして五十万キロリッターぐらいしか出なかったものが、終戦後におきまして非常な開発に努力をしました結果、現在におきましては二百五十万、三百万に近い数字を現在出しつつあります。ところがドイツと日本の地質学的な状態を見ますというと、むしろ日本の方がドイツよりも石油資源があるということが言われておるわけでございます。そういうドイツと比較しますというと、そういうような状態になっておりますし、フランスにおきましても戦前におきましては、あるいは戦争中におきましては、わずか六万か七万キロリッターしか出なかったものが、最近におきましては日本よりもすでにずっとよけい出ておりまして、五十万近く、百万以上出るというような状態になっております。イタリアにおきましても同様でありまして、イタリアにおきましては約三十年間ガスの開発に非常な努力をしたのですが、それがその石油の資源というものは、イタリアにおいてはほとんどないということが言われていたのですけれども、最近また非常に有望な油田を見つけております。そういう世界的な風潮もございますし、何と申しましても国内にある程度の石油の資源を持ち、そしてまた石油の生産がある程度持つということはいろいろな点で有利な点ではないかというふうに私どもは考えますので、従いましてこういう会社を作って特別に開発をやりたいという考えを持っておるわけでございます。  それから採算関係からこういう会社を作って特に開発するということにしたのかというお話でありますが、採算の点におきましては、現在帝石の原油の販売価格は一キロリッター当り九千三百五十円でございます。日本の油は、これは少し横道に入りますけれども外国の油に比べますと品質がある程度いいということが言われております。従いましてその品質がいいということで千円程度は大体外国の油よりも、アラビア原油とかそういうものより高くあるべきだというふうに私ども考えておるのでありますが、現在輸入原油につきましては六千八百円程度でございます。国産につきましては先ほど申し上げましたように九千三百五十円、相当な開きがございます。品質がよくて千円程度のメリットを認めるといたしましても相当な開きがあるわけでございます。この開きはどうしても増産によらなければこれを切り下げるということは非常にむずかしいのじゃないかというふうに考えられるのでございます。かりに百万キロリッター出ますというと、私どもの方の計算では、大体六千七、八百円まで下げられるという考えを持っておりまして、そうしますと十分外国の油と太刀打ちできるという状態までなし得るものと考えております。ただ私どもの方としましては、この会社を作ろうというのは、そういう採算をよくするとかというふうな意味だけではございません。先ほど申し上げましたように、やはり国内におきまして相当石油資源があるということが言われておる以上は、これを開発して相当石油を出すということが私は最も大事なことではないかというふうに考えてこの会社案を出したわけでございます。  それから特に申し上げておきたいのは、日本の油は、先ほど申し上げましたように、非常に品質がいいということを申し上げましたが、最近石油価格というのが非常に問題になっておりますが、その石油価格の関係で、いわゆる芳香族と言っておりますが、ベンゾールとかキシロールとか、そういうふうなものについての原料としての石油は、この国内石油が非常にいいということが言われております。これは各国の油を全部分析いたしましていろいろ研究したんですが、日本石油はセリアの原油、これとほとんど匹敵すると言われております。世界で一番質のいいのはセリアの原油でありますが、大体それに劣らない、それに近い品質を持っているということになっておりまして、しかもそのセリアの原油というのは日本に千万キロリッターのうち百万キロリッター程度しか入っておりません。これは世界的に引っぱりだこでありまして、日本に対しまして百万以上の供給はなかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えられます。そういう点から申しましても、日本石油の開発をするということは非常に大事なことではないかというふうに私どもは考えております。  それからさらにまた国内で開発するということは、これは別にこの法律でちっともうたっておりませんが、将来日本が、あるいは南方とか、あるいは東南アジアとか、そうした方面に経済協力なり、あるいはその技術的な援助なり、そういう面から見ましても、国内におきまして相当石油の開発をするということが、きわめて大事ではないかというふうに考えております。現に昨年でありましたか、一昨年でありましたか、イラクの方から日本とドイツに対しましてその石油の開発の援助を求めたことがあるのですが、その際におきまして、日本に対しては大した開発をやっていない、従いまして大した技術もないだろうというようなことから、結局ドイツの方がイラクの開発に対しまして協力することになったというような問題がございます。現在ビルマとか、あるいはウルグァイとか、あるいはブラジルとか、そうした方面におきまして石油の開発を大いにやろうという機運になっておりますが、日本におきまして相当やはり石油開発に対しまして努力をするんだということになりますれば、向うの方としましても、技術的な援助を必ず私は求めてくるのではないかというようなふうにも考えますし、そういう問題が起きておりますので、私どもとしましては、そういう見地から言いましても、国内において、こういう会社を作って特別に開発をするということが、きわめて大事ではないかというふうに考えておるのであります。採算の問題とか、そういう問題だけではなくて、今申し上げましたことから、どうしても石油の開発は必要であるというふうに考えられるのであります。
  25. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それはそれでわかったのですが、なぜ国が過半数以上、こんなに持つのか、今度の開発会社になぜ国が出なければならぬのかということの説明がまだないと思う。現に今帝石というのがあるのですから、あれじゃいかぬ、どうしても国が出なければならぬということの説明一つ願いたいと思います。
  26. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 国家がどうしても金を出してやらなくちゃならぬという問題でありますが、やはり石油があると申しましても、普通の鉱物の開発と石油相当違っておりまして、果して当るか当らぬかという、非常な危険性があるわけでございます。この試掘に対しましては、ほとんど銀行の融資の対象にはなっておりません。たとえば、開銀にいたしましても、なかなか試掘の金は出さないというような状態になっております。いわんや一般の興銀でありますとか、市中銀行におきましては、これはほとんど試掘に対する金は出さないという状態であります。現在各企業者、すなわち帝石なり、あるいは日本鉱業なり、そういうところが試掘をやっておりますけれども、これは結局金を借りてやっておるのではなくて、自分の出した油なり、あるいは日本鉱業あたりでは銅山等をやっておりますので、そういうところで得た利益でこの仕事をやっておるというような状況であります。帝石について申し上げますというと、大体帝石は四十億くらい収入がございますけれども、現在におきましては、大体政府の助成金も入れまして、一割程度、約四億程度の試掘しかやっておりません。ところが、世界的にこれを見ますというと、この試掘については三割程度は少くともやらなければならぬというようなことが言われております。収入の少くとも三割程度は試掘をやらなければならぬということがよく言われておるわけであります。しかし現在帝石の能力では四億以上の金を出して試掘をするということは、とてもこれは不可能でございますので、やはりこういう危険な仕事に対しましては、銀行の融資ベースに乗らない金が必要でありますので、やはり国が相当の額を出して、そして開発を援助しなければ、とうてい私どもとしてはできないのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういうような考え方から、国が特別にこの会社に対しまして半分以上の出資金を出すということにいたしたわけでございます。  それから当る率が大体どれくらいあるかという問題でありますが、大体普通三十本に一本、ボーリング三十本やって一本当る、それから十カ所に大体一カ所ということが、これが普通の大体世界的な標準であります。アメリカにおきましても大体その程度でありますが、日本におきましても、日本は実はアメリカよりも若干率が従来の成績を見ますといいというような状況になっておりますが、まあ三十本に一本とか、十カ所に一カ所というような程度でありますので、しかも融資ベースにはなかなか乗らない、そういうような関係もありますので、どうしてもこれは国が大きな援助をしなければ、こういう開発は大々的にできないというふうに考えられるのであります。それから、しかし当れば、これは非常にもうかる、というと語弊がありますが、非常なこれは利益が出て参りますので、私どもの計算ではこの会社が五年間で大体試掘に対しまして八十億以上の金を出すことになっておりますが、そういうことをやりますれば、百万キロ出て参りますというと、もう優にこれは自分でそれから先は十分生産あるいは試掘ができるというようなふうに考えております。  それから政府に対して金が返ってくるかという問題でありますが、従来助成金を出しておりました場合におきましては、一定の比率によりまして、当りましたら国に返るということになっておりまして、最近におきまして、そうあまり当っていませんでしたので、そんなに返っておりませんが、従来出しました助成金のうちで、たしか六千万円程度は国に返っております。それからこの会社に対しましては投資でありますので、これは将来非常に石油が出るということになりますというと、配当その他で国の方には相当返ってくるというふうに考えております。
  27. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そこは少し矛盾があるようだけれども、つまり民間企業じゃどうしてもやれないから、つまり今の三十本に一本、十カ所に一カ所で、やれないから国が出るのだというのは一つ説明だと思いますが、そうかというとそうでもないのだ、その出した金が返ってくるのだ、そういうなら民間企業でもやれることになるのでしょうが、そこばかりにいいとして、まあ、かりに民間企業でやれない、どうしても国がやらなければいかぬのだということになると、そうすると今民間の会社で小さい金で仕事をやるということが、これは国の全体の資源の扱い方から見ると浪費であるから、それは一切やらせないということになるのですか。
  28. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは別にこの会社ができまして一切の開発の仕事をやるということではないのでありまして、たとえば日本鉱業におきましても、あるいは大協石油におきましても現在試掘をやっておりますが、そういうところにおいて、自分でやりたいものは、これは勝手にやってもちっとも差しつかえないわけでございます。
  29. 吉野信次

    委員長吉野信次君) つまり、そういう民間会社で引き合うからやるのでしょう。そういうものであれば何が故に国が特別に金を出してやらねばならぬかという説明が少しぼけてくるように感じますが、それはどうですか。
  30. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 言葉が足りなくてはなはだ恐縮しておりますが、結局現在程度の油を出す、あるいは現在程度の試掘をやっていくということならば、ちっともこれは特別に……、助成金をある程度出していけばいいのですから、それ以上の特別な措置をとる必要はないと思いますが、先ほども申し上げましたように、この際どうしても百万以上の油を出すということになりますというと、相当程度の試掘をしなければなりませんので、その試掘の金は融資の対象になりませんので、従いまして、国としては、この際相当金を出さなければならぬ、こういうわけであります。
  31. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そういう説明で一応の了解はついたのですが、そうすると、少くとも帝石については、これから試掘をやめさせるという結論にならぬといかぬが、それはどうですか。
  32. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 帝石につきましては、今後試掘は、これは強制的にやめさせるわけじゃないですが、話し合いにおいては、試掘は今後しないということにしてございまして、そのかわり帝石としては毎年三億あるいは三億以上の金をこの会社に注ぎ込んで、そうして試掘に対しまして援助をするということにしてございます。
  33. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そこは話し合いと言われるけれども、帝石というものは、これは国策会社なんですね。帝石というものは国が年々金を出してやっているのですから、国策会社として仕事をやるので、一体いうと、帝石が今の大々的なことでも私はやらなければならぬものだろうと思うけれども、まあ、かりに今の帝石の現状ではそれができぬというので、本来石油資源を大々的に開発するという使命をおじぎをしたわけですがね。そうして新しく会社ができるというなら、おじぎをした方には、それは仕事をやらしたらいかぬので、それはただ話し合いでやるのだということになると、これは屋上屋を架するものを二つ作るというので、この際国が大々的にやらなければならぬという気持が消えていくのだ。なぜ私がそう言うかというと、そうなると帝石というものは、私の古い知識ですけれども、大体あれは戦争中だと思っていますけれども日本鉱業なり日石なり、そういう会社から、あれは試掘権というものを買い取ったというか、もぎ取ったというか、金を払ったってろくな金を払っていない。国策の会社だからといって一ぺんに取り上げたものなんです。それだから、もし取り上げたものならそれを今度新しく会社ができれば取り上げたものははき出さなければならぬだろうと思います。試掘権を売って金をもうけるということはとほうもないことだろうと私は思います。その問題があるがゆえに、もし第二の帝石を作られるなら第一の帝石というものはこれから石油を新しく試掘するということはとどめをさしてかからなければならぬという仕事じゃないか。こういう前提に立つものですから、そこでしつこいようですけれども、少し政府に伺っておきたいと、こう思うのです。
  34. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 帝石が現在持っております鉱業権のうちで特に試掘権につきましては法律では別にこの会社に全部譲れということにはなっておりませんけれども、試掘権につきましては全部この会社に提供するという話し合いにはっきりなっております。それからこの問題につきましては、実は通産大臣に対しまして帝石の社長から一札入っております。そういうことで帝石は将来試掘をやるというようなことはほとんど私の方としては考えられません。それから、また現在石油の開発に対する促進法というものがございますが、もし帝石が試掘権を持ってそのまま眠っている、そうして開発をしない、試掘をしないという場合におきましては、この法律に基きましていつでも強制的に会社に試掘権を渡すようなそういう規定がございます。もし帝石がそういう話し合いを守らないで、やはり試掘権を相当持ってその上に眠っておるということであればいつでも強制的に措置ができるように私どもの方としましては考えております。ただそういうことをしませんでも試掘権のほとんど全部を会社の方に出すということになっております。
  35. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 帳簿価額……。
  36. 川上為治

    政府委員(川上為治君) その価格でございますが、これは帳簿価額になっておりまして、大体これは二千万円程度になっております。これは再評価をやっておりませんそのままの価格でございますが、帳簿価額というのは実際取得した価格であるかどうか、これはよく調べてみないとわかりませんが、いずれにしましても帳簿価額で全部試掘権を会社に渡す。そのかわりに将来当りましたときは歩戻しとしてある程度当ったものの中から、たとえば十万円当りますれば十万円のうち五%なら五%というものを帝石の方へ返す。これはいわゆる鉱業権を時価で評価するということは石油については非常にむずかしくありまして、ほとんど慣習といたしまして帳簿価額で渡して、あとで当ったときは歩戻しとして返すということが石油業界における、石油の開発業界における慣習になっておりまして、ドイツにおいてもそういう慣習があるそうでありますが、最近帰って参りました人の話によりますと、そういう措置をとりたいというふうに考えております。
  37. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そこが私の伺いたいところなんですけれども、そこが非常に大事な問題だと思います。つまり私の承知しておるところではすべての鉱業権というものは試掘権を設定しますけれども、試掘権を設定したら採掘に入らなければ年限が切れればなくなってしまう。ところが今帝石という国策会社なんです、国策会社が試掘権を方々からかき集めて大いにこれから採掘をするのだというておるけれども、採掘を今度はやめるわけでしょう。やめるということは近き将来においてもうやらないのですから、ほうっておけばどうなるかというと、試掘権は自然に消滅すべき性質のものだと思います。それだから一体国策会社から今度新しく一札をこっちへ取るのですから、これは意見になりますけれども、あとで石油が当れば金を渡すなんということはおかしいと思います。これはやはり成り立ちが民間会社から無理にその意に反して取ったものですから、とったときの帳簿価額がどうなっているか私は知りませんけれども、再評価していないというのならそのままで提供させるのがほんとうである。それはむしろ会社の社長と大臣との間の一札という問題じゃなくて、そういうことこそ法律事項だと思います、堂々と……。帝石というものの使命は終った、やれないのですから……。新しくやるのだ、こういうのならその点ははっきりして、それによって油が出ましてもそれは歩戻しをするなんということはおかしい。これは意見になりますから私はこれでやめますけれども、どうもその点について何ゆえに第二の帝石を作るかということについての政府説明としては少しお考えが足りない点がありはしないかということだけ申し上げておきます。あとはほかの委員の方から……。
  38. 海野三朗

    ○海野三朗君 そこがもやもやしてはっきりしないのですよ。
  39. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実は私の方としましても現在の帝石を特殊会社にするということが一番いい方法ではないかというふうに思っていたわけでございます。委員長さっきおっしゃいましたが、現在この帝石は国策会社ではございません。これは終戦後この帝石法を廃止いたしまして、帝石はもう純然たる民間会社になっております。ただ政府が現在一八%の株を持っておる。そういうだけのものでありまして、何ら帝石に対しましては特別な監督の法律もございませんし、一般の私企業と全く同じでございます。ところが私どもの方としましては、これほどの事業をやるということになりますればどうしても政府の意思が相当反映しなければ、困るということで、現在帝石を特別会社にするということが一番いいのじゃないかというふうに考えたのですが、かりに特別会社にするということになりますと、三分の二以上の特別決議が株主総会において行われなければなりませんが、これはいろいろ私どもの方でも当ったのですけれども、現在の株主の中では帝石を特殊会社にするということに非常に反対しておるものがたくさんおりまして、三分の二以上の決議を受けるということはとうていこれは不可能であるというふうに考えましたし、またそれを無理にやるということは、これは結局憲法違反という問題もありますので、私どもの方としましてはどうしてもこの特別な機構を作って開発するということになりますれば、こういう特殊会社を別に作るほかに方法はないというふうに考えまして、実はこういう会社案を出したわけでございます。
  40. 吉野信次

    委員長吉野信次君) さっき言った言葉があるいは悪かったかもしれません、私はそういう意味で申し上げたのじゃない。いわゆる普通の民間会社と違う会社という意味で国策会社という言葉を使ったので、特殊会社という意味じゃない。つまり普通の民間会社と違うでしょう、政府が株を持っておる、投資しておる、それから年々国がら奨励金を出しておるのだ、私の言う言葉は、いわゆる政府石油資源開発という国策を遂行せしめておる意味の会社である。こういう意味ですから、特殊会社の意味じゃない。そこで今の特殊会社云々ということは、これはなるほどお話通り株主の意向もありましょうから、強制することはできないことはよく私も承知しておりますが、そのことはしかし試掘権に対して帳簿価額で取って、あとで油が出たら歩戻しをしてもいいという理屈にはならぬだろうと私は思う。そこはやはりもし会社ががえんじなければ、幸いにその社長が一札入れたからいいようなものですけれども、しかしその一札も果して株主総会というものを経たものかどうか、これが問題だろうと思う。これは財産権の処分ですから、ただ鮎川何がしの個人のものであっても役所としては公けの責任においてそういう一札を取ったということが言えるかどうか、内容は知りませんけれども、財産権の重大な処分です、そういうことこそ私は立法事項じゃないかという気がしておるものですから、特にその点についての考慮を、私は何も特殊会社にしろということを言っておるのじゃない、それはそれでいいでしょうけれども、もし国策で今まで石油資源開発というものをやらせていてそれはやらなくなったというなら少くとも金が前に……、そういう国策の、特別な会社であるからというので、民間会社からかき集めたものは返させるのが当然じゃないか、これをがえんじなければ立法事項で立法してもしかるべきじゃないかというのが私の感じですが、しかし、これは意見にわたりますから、質問はこの程度でやめておきますが、要するにせっかく作られる会社というものを何ゆえにこういうものを作るかということの説明がもう少し……、ぼやっとしているというふうな感じだけを申し上げておきます。   本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十一分散会      ―――――・―――――