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1955-07-14 第22回国会 参議院 商工委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十四日(木曜日)    午後一時三十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            深水 六郎君            河野 謙三君            豊田 雅孝君            海野 三朗君            栗山 良夫君            藤田  進君            白川 一雄君            苫米地義三君   衆議院議員            森山 欽司君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君    通商産業省石炭    局長      齋藤 正年君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   説明員    工業技術院資源    技術試験所長  黒川 真武君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○地方自治法第百五十六条第六項の規  定に基き、工業品検査所出張所の  設置に関し承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付) ○輸出品取締法の一部を改正する法律  案(衆議院提出) ○経済自立方策に関する調査の件  (総合エネルギー対策に関する件)   ―――――――――――――
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより開会をいたします。
  3. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) この前工業品検査所清水出張所の問題につきまして、所要経費の点御質問ありまして、当時調べがつきませんで答弁を残しておきましたが、今お手元に配ってありまするように、本年度八月一日から開くことにいたしまして八カ月分、約六十万円の見込みであります。この内訳は人件費としまして三人が参りまして四十三万円、庁費、これはおもに庁舎の関係経費でございますが、四万二千円、検査旅費等の五万六千円、それから検査機械器具購入費等が七万二千円、合計六十万円で、これは既定の先に国会の御審議願いました成立予算範囲内でまかなう予定にしております。
  4. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのこの御説明ではこれだけのお金が昨年度はなかったのですか。
  5. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 昨年はこの関係予算工業品検査所予算の中に入っておりまして、結局工業品検査所予算は今年度はたしかあまりふえていないと思っております。詳細に申し上げますると、工業品検査所予算は、合計としまして、昨年度一億百四十八万八千円、本年度成立予算は、一億百七十三万九千円でございます。大体この両年度とも約二十五万円ほど金額がふえております。これは内部のいろいろな手当関係というような人件費関係でふえております。従いまして今申し上げました六十万円の金はこれは昨年度もこれに相当いたしますものが検査所予算の中に入っておりましたものを、つまり本省あるいは他の支所で使っておったものでございます。そのうちの本省の一部をさきまして清水の方の出張所経費に充てる、そういう関係でございます。
  6. 海野三朗

    海野三朗君 今の他の方の予算を削ってこういうふうにしたとおっしゃるが、それは大へんけっこうなことではありまするが、そうすると、他の方の予算も今までは水増しであったわけでありますか。
  7. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) この前政務次官からも御説明いたしましたように、清水輸出品検査につきましては、東京あるいは名古屋から関係官が出張して検査いたしたのでございます。そういうことで結局これに該当いたします人間関係は、それぞれの本省におきまして仕事をやっておるその人間の一部をさいてこっちへ回す、結局人間が有効に使える、おまけに旅費等もそう要しませんから能率的に経費を使って検査仕事ができる、こういうふうに御了承願いたいと思います。決して昨年の予算が余裕があったということじゃございません。より合理的に使うためにこういう措置を講じたのであります。
  8. 海野三朗

    海野三朗君 私が申し上げたいのは、この工業品検査所というような増設は非常に大切な設置であります。それでありますから、やはりこれに要するところの経費というようなものは、本省内の経費でやりくり回してまかなうというような、そういうこそく手段であってはいけない。やりくり回すというのであれば、本省内の予算が水ぶくれになっておるのじゃないかということを私は申し上げたい。実際必要なんですから、これに要する経費は正々堂々要求さるべきであって、それを内部で間に合わしたとおっしゃると非常にいいように聞えるのでありますが、どうも私は解せないのは、必要なものであるならば常々と要求して、どうしたって通してもらわなければならない。本省予算をやりくり回すということは、私はその辺に対しては非常に遺憾に思うのでありますが、官房長あたりはいかようにお考えになっておりますか。
  9. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 本来ならばこういうふうな施設につきましてはそれ相当人員増加経費増加を要求いたしまして、それが認められて初めてこういう措置を講ずるのが建前ではございましょうが、しかし人員の問題は官吏の定員抑制というふうな内閣の一般的な方針もあるのでございますし、だんだんと人件費予算相当予算の大きな割合を占めて参りますと、なかなか、われわれもできるだけこういう現場の機関の拡充をしたいとは思っておりますが、思うにまかせません。本年は検査所につきましては人員増加を要求いたしましたが、これも予算抑制の見地からうまく参りません。やむなく一応昨年度定員を踏襲いたしまして、その範囲内でこういう措置をとって参った、こういうことになったのであります。この点は一つ全体の予算関係もございますので、御了承いただきたいと思います。
  10. 上原正吉

    上原正吉君 関連して。これはここへ新しく出張所設置する方が従来の名古屋、横浜より出張して検査するよりも結局費用が安く上る、それがために出張所を作ったのだ、こう了解してよいのですか。
  11. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは前回も申し上げたと存じますが、そういう現地検査名古屋、あるいは東京から出かけますと、これは端的に申しますと、出張旅費の問題もございますし、それからそういうふうな船が入るたびに一々出かけるというわけにも参らぬと思います。また現地におきまして物の製作あるいは包装等につきまして適切な指導をするわけにも参りません。やはり現地に小なりといえども人員を常置いたしまして機動的に仕事をやらせました方が、こういう仕事ははるかに効果が上る、こういうふうに考えております。
  12. 上原正吉

    上原正吉君 同じ仕事をするのに同じ費用ならばいい仕事がよけいできる、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  13. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) そうです。
  14. 白川一雄

    白川一雄君 ちょっとお尋ねしたいのですが、御承知通り日本陶磁器ディナーセットの九十三ピースは主としてアメリカの方にいっておるのであります。それのチェックプライスは十四ドル七十セントときまっております。アメリカの方では自分の国でできるいいものは大体市場で二百ドルで売っております。悪いものは四十ドルぐらいです。日本品向うでちょうど六十ドルぐらいで販売されておるのが実情なのです。ところが最近六ピースのいわゆるバンブ・チャイナセットという名前日本から輸出されておる。これを九十三ピースに換算いたしますと八ドル五十セントぐらいになります。御承知通りアメリカ日本陶磁器が非常に安く入るというので関税をかけてこれを防圧しようとしておる空気が濃厚なのは、御承知通りであります。これのバイヤーは、フランス・パシフィック・インペクトという会社のようであります。また日本メーカーは山十というメーカーで、これを取り扱っておる人は外人ストロング・カンパニーというのが扱っておるのであります。これはアメリカでかなり問題になっておるそうですが、ところがアメリカの方では有名なマッカーシーという人がこれをバックしておる。アメリカ需要者は安いのを希望しておるからというので、むしろメーカーの反対を押えるという態度に出ておるということを聞くわけです。日本の方では中小企業助成会がこういうメーカーに金融してこれを奨励しておるという実情だそうでございまして、アメリカの方もアメリカだけに十四ドル七十セントのチェックプライスを設けて、ヨーロッパの方には設けてないという抗議が来ておるということも聞いておるのでありますが、当局としてどういう方法をとられるのか、最近はストロング・カンパニーという名前をデビスという別の名前にかえて取り扱って、ほかのメーカーにもこれを作らそうとしており、あわせて日本内地でも中小企業助成会が奨励しておるということになりますと、非常な混乱をするのではないか、これに対して当局はどういうような方針をとられるのか、これを一歩誤まれば従来のディナーセット輸出というものにしても非常に不利な立場に立ってこの間において外貨獲得ということに非常に支障を来たすのではないか、まあ陶磁器というのは御承知通り原料国内のものでわずかな金高かもしれませんけれども、全部が外貨獲得効果を発揮しておる産業だけに、こういう製品を作って出すということを当局が許していくという方針なのか、従来のこのチェックプライスを設けてやっておる方面を支持していかれるという御方針なのか、この辺の当局の御方針を承わりたい。
  15. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) バンブ・チャイナの問題は、実は非常に複雑な問題でございまして、今お話がありましたような実情が大体のようでございますが、簡単に問題点をあげて申し上げますると、一つは最後にお話がありましたチェックプライスアメリカ向けだけにつけていくということが、通商航海条約関係が起るのじゃないかというアメリカ側抗議の問題が一つあるわけであります。それからもう一つ対外的な問題といたしましては、普通のノリタケチャイナという高級陶磁器のほかに、バンブ・チャイナという比較的下級商品でもある程度販路をもって需要があるのだという主張がアメリカ側にある。これはアメリカインポーター側が言っておることです。日本側の問題としましては、陶磁器高級陶磁器は、これは従来からアメリカ中心に出ておりましたが、バンブ・チャイナ級のものはむしろ東南アジア、なかんずくインドネシア方面に出ておりました。メーカーも比較的数が少く、それが従来のチェックプライスの不備に乗じまして、アメリカ向けディナーセットということで出て参ったのであります。それが要するに品質は違うようでありますが、見た目にあまり違わない、そうしてセットの数なんかがお話のようにだいぶ違っておって、換算すれば結局ダンピング問題といいますか、あるいは向う高級陶磁器のマーケットをくずすという問題が起るわけであります。その辺をどうもって参るかという問題がございます。そういうような下級陶磁器アメリカに出始まったゆえんは、実はインドネシア関係があまり出なくなったということが一つの原因であります。つまりインドネシアに対する輸出調整をやっております関係が出て来て、それでアメリカ販路を求めていって、たまたま向うでもインポーターに引き合いがあって、向うインポーター自身もそれで利益をしたということで照会を受けた、こういうことでございます。そこでわれわれとしましては中心の眼目はやはり固有の市場で今まで声価を上げておるという商品は、これは何とか市場を守るのは当然でございます。ことに陶磁器の問題はアメリカでもいろいろ国内問題としてうるさい問題がございます。やはり第一には従来から声価を持っておる商品市場を維持する点に重点を置く。従って下級のものは数を……セットを変えたりなんかしてチェックプライスをくずして参るというようなことはできるだけ避けたいという方向で実は処理しております。決してそれがいかぬというわけじゃございませんが、対外的に見ますとどうしてもまずい問題が起ります。これはこの際こちらの犠牲も割合少いことでございますから、何とか避けたらどうかということで実は輸出の方も過渡的な仕掛品を除きまして一応差しとめたい、こういう考え方で進んでおります。
  16. 白川一雄

    白川一雄君 聞くところによりますと、この問題が中心になって陶磁器の各業種別代表者アメリカへ行って、ワシントンで交渉するということになっておると聞いておりますが、そうだといたしますと、御当局方針というもの――行き方を相当明確にしておかないと、行った人の交渉したことと、当局の方々の方針とに支障を生じますと、むしろかえってやぶへびになるし、今後の取引に非常に支障を来たすのじゃないかということを懸念しておるのであります。五、六人の方は今月中に行かれるということを聞きますが、私はこの業界の方と当局との意見一致を十分はかっていただくように特にお願いを申し上げたいと思います。
  17. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかにございませんか、御質問は……。それじゃ質問は終了したようですから本件について討論に入りたいと思います。御意見のある方は一つ願いたいと思います。……特別の御発言がなければ採決に入りたいと思います。  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、工業品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件、これを問題に供します。これを原案通り承認すべきものと議決することに御賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手
  18. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 全会一致でございます。じゃ本件全会一致をもって原案通り承認すべきものと議決せられました。  なお本会議における口頭報告内容、それから議長に提出すべき報告書の作成その他の手続につきましては、慣例によって委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 吉野信次

    委員長吉野信次君) じゃ、さようにいたしたいと思います。  報告書にはこれも慣例によりまして多数意見者署名を附することになっておりますからよろしくお願いいたします。   多数意見者署名     古池 信三  高橋  衛     山川 良一  三輪 貞治     上原 正吉  小蜂 義夫     深水 六郎  豊田 雅孝     河野 謙三  海野 三朗     栗山 良夫  藤田  進     白川 一雄  苫米地義三   ―――――――――――――
  20. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それから輸出品取締法の一部を改正する法律案については、提案者衆議院の方が見えておりませんのですが、もし政府側に対してこの法案についてお尋ねがあれば願いたいと思います。
  21. 三輪貞治

    三輪貞治君 この法案議員提出になっておりますが、政府当局はこの改正案賛成であるかどうか、もし賛成ならなぜ政府から提案しないで、これが議員提出になったのか、その間の事情、改正を必要とする今の事例等についてお伺いしたいと思います。
  22. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) この議員提案改正案につきましては、政府として別段異議はございません。この内容は現在駐留軍購買機関で購入しておりまする品物につきまして輸出品取締法規定を適用して輸出と同じように検査をしよう、こういう趣旨でございます。大体の概要は、おそらく写真機あたりが一番適用を受ける中心になるのじゃないかと考えております。写真機は御承知のように現在いろいろな種類がございまして、いろいろ購買機関等でもたしか二百万ドル、三百万ドルくらいで購入しているかと思っておりますが、その他あるいは若干品物関係がございますが、こういうふうなものにつきましても輸出と同じような基準の検査を行うことは適当かと考えております。  なお、政府提案にいかなかった理由お話でございますが、これは別段取り立てていう理由はございませんが、ただだいぶ今回通産省といたしましては法律をたくさん出しまして、ことに主管の通商局の方でも輸出入取引法とかいろいろな法律がございまして、実はざっくばらんに申しますれば、事務が繁忙でこれまで手が回らなかった、そこへ議員の方からお話があったのでありまして、そういうお話であれば、しいてそれは因りますというほどの性質のものでもございませんので、まあけっこうでございますということでお進め願った次第でございます。
  23. 三輪貞治

    三輪貞治君 この法律規定を適用して、今主としてカメラというお話だったんですが、カメラ検査する場合、検査機関はどこでやるんですか。
  24. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは写真機日本写真機検査協会という登録機関がございます。あるいは工業品検査所でもこのカメラ検査施設を持っておりまして、そこでもいたします。
  25. 三輪貞治

    三輪貞治君 検査手数料は、これはどういうことになっているんですか。それからだれがその検査料は負担するんですか。
  26. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これはいろいろな種類によりまして違っておりますが、レンズの方の構成種類、たとえばフオーカルプレーンシャッターカメラレンズが四枚以上のものが五十円、たとえばFの一・五から二の方のレンズが一個五十円、それからボデイの方につきましては、同じくフオーカルプレーンシャッタースピード五百分の一以下というものにつきましては五十円というふうにきめております。大体最高のもので一個百円のようでございます。そうしてこの負担するのは、これは申請人登録機関の方に現金で納入する、こうなっております。
  27. 三輪貞治

    三輪貞治君 今までも自主的に検査協会検査をしていたじゃないですか、大部分については。全くの未検査だったんですか。
  28. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これはカメラは今まで自主的にやっているわけでございます。納入品にやっておりますが、いろいろ御承知のように、最近非常に小型カメラなんかの種類がふえております。それが検査を受けないで納入している――納入しましても別段云々というあれではございませんので、そういう点から考え、せっかくの声価を上げている輸出カメラの方が、何といいますか、食われちゃうといいますと語弊がありますが、ばかをみるということがありますので、それでこの方につきましては一様に検査するというようなわけでございます。
  29. 三輪貞治

    三輪貞治君 各外国でエキスポートプライスで売る場合には、飛行場で渡してその国内へ渡らないように、横流れを防いでおるわけなんですが、日本の場合においては、こういうふうにPXなりその他連合軍機関、海軍の販売所等でこういうふうにして三百万ドルものものが取り扱われて、しかも輸出価格で売られる、それが横流しされて、また国内に回ってくるということも、これは必ずしもなきにしもあらずだと思うのです。これを何か防止するような手段、これが考えられておるんですか。
  30. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは検査の問題と、もう一つ写真機物品税がかかっておりますが、との問題になると思います。現在御承知とも思いまするが、PXに売りますときに、買った人がサインをもらってやっております。それであとで数字をチェックしまして横流れしないようにしておりますが、サインをして買った外人が横へ流すということは、これはあるいはあるかもしれませんが、この辺はどうも取締りが事実上はむずかしいわけでございますが、そこまでは一応やっております。現在ではこれ以上はなかなかむずかしいんじゃないかと思っております。
  31. 三輪貞治

    三輪貞治君 そこにわれわれは租界的なものが国内に存在するというところに非常に大きな疑問を持っているわけです。われわれが外国の品を輸出価格で買うというような場合は、そのデパートでは渡してくれない。絶対に国内で横流れしないように、飛行場でも渡さない、飛行機の中で渡す。絶対にだれかに頼んで安いものも買ってもらって国内で使うということは防止されるようになっている。ところが日本では、日本国内で正当な手段で三百万ドルに相当する高級カメラが出されておる。これはおそらくかなり相当部分が横流しされても、防止できないのじゃないかと思うのです。そういうところに租界的な、植民地的な一つの性格というものが見られるのであって、非常に遺憾であると思いますが、帰国をする場合に、サインをしたものを所持していなければならぬということでもあれば、そういうことも防げるのじゃないかと思いますが、そういう何かPXの方に頼んで、同じものを一方では物品税をかけた国内価格で買い、一方ではそういう輸出価格で買い得る。八万五千円のカメラが六万何がしかで手に入る。こういうような組織であれば、それはおそらく必要以上のものが、こういう機関を通じて流れていくという危険性があると思うのです。これは何か抜本的な防止の方法というものを一つ考究してもらいたいと思いますが、これはこの法律改正案とは直接なあれはありませんけれども、一つ要望したいと思うのです。  それから年間三百万ドル相当分写真機検査をされる検査協会の大体検査料見込み額と申しますか、これはどれくらいになりますか、いろいろ種類によって違うというお話がございましたが……。
  32. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 政府はもう少く丁寧にやったらどうかな。というのは、この法律は、こういう場合には輸出とみなしてこの法律を適用するという改正ですから、だから今の検査をどうするかということは、輸出品取締法という法律規定があるのだ、その規定の何条によって検査をやるか、それが国の検査をやるようになっておるか、業者の団体がやるようになるのであるかということは、法律のなにを引いて説明していただいたらいいのじゃないかと思います。
  33. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 輸出品取締法につきましては、あるいはすでに御承知かと存じますが、この条項を改正しました結果、輸出品と同じに扱うということの結果、どういうことになるかと申しますると、輸出品取締法の第三条には、輸出品の品目を指定して、等級及び標準、つまり何級品とかというふうなその等級と、それからその表示様式、これをきめることになっております。また第四条では、品質標準、あるいは包装の条件、どういう包装をするとか、あるいは最低ここまでの品質を持たなければならぬという一種の規格であります。そういうふうなこと、及びその表示様式をきめることになっております。それからなおそういうふうな様式をきめますると、輸出品については、そういうふうな所定の表示をしなければ輸出してはいけないというその規定が第六条及び七条にあります。なお、この七条の二には、これは検査機関検査を受けた表示をしなければならぬといういわゆる強制検査規定があります。現在カメラにつきましては第四条で品質規格とそれから品質標準とをきめておりますし、従ってこれはカメラ輸出するにはその定められた品質表示がなければいかぬわけです。なお第七条の二で、検査機関としまして先ほど申し上げましたように日本写真機検査協会を指定しております。その検査を受けなければ輸出してはいかぬ、こうなりまして、いずれにしましてもこのカメラ輸出品として扱います結果、PXのものにつきましても輸出と同じように検査を受けなければ納入してはいかぬということになるわけであります。  それから、なおお話のありました手数料収入でございますが、これは昨年の実績といたしまして一応これは全部手数料は、ちょっとはっきりいたしませんが、大体七百万円であります。
  34. 三輪貞治

    三輪貞治君 それから、この検査輸出品と同様に取り扱うわけですが、輸出金融、租税、優先外貨等で、この納入する分については輸出と同様の取扱いをするか、その納入する機関に対しては。
  35. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 金融の方は現在の貿易手形の中の輸出手形、この制度が準用されることになっております。それから例の特別外貨のいわゆる優先外貨でございますが、これは実はいろいろ問題がございまして、御承知のように国際通貨基金――IMFでございますが、その方から昨年もこの特別外貨制度は二重為替制度とか、あるいは補助金とかいうようななかなか危険性もあるし、疑いも受けるからということで、だいぶ正式のものでありませんが、いろいろ調査問合せ等も来ております。つまり国際通貨基金ではそういう輸出報奨の外貨というものを与えるということは好ましくないというふうな意向でありますので、実はそれまでは輸出額の一割でありましたものを今年の初めでございますか、から五%下げております。ところがこの関係品質には適用されておりませんが、これもそういうふうな情勢でありますと、その特別外貨制度自体があるいはある時期になれば維持しにくいのではないかということも考えられますので、この扱いとしましてはPX納入品は取締法の検査関係だけを扱って特別外費の方はこれを見送りたい、こういうふうに考えております。
  36. 白川一雄

    白川一雄君 輸出品検査料は価格を基準にしてとる方針ですか、個数で一個幾らという割合ですか。
  37. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 一個幾らというふうにきめております。これは先ほど申し上げましたように、いろいろ種類がございますからある程度は価格にも反映するようになっております。相当こまかい種類に分けまして一個幾らということになっております。
  38. 白川一雄

    白川一雄君 厚真機のように単価の高いのはあまり不公平がないと思っているけれども、先ほどお話陶磁器のようなものは一枚が十円くらいのものと、一枚が百円も二百円もするものがあるという場合に同じ検査料ということでは非常にウエートのかかり方が違ってくるのではないか、特に検査というようなものはその経費をまかなう程度にやれば検査費というものは済むものでありますし、それ以上の検査費を取る必要もないしということになれば、価格に対する比率できめていく方が仕事検査そのものも集計が簡単にいきますし、製品にかかるウエートも非常に公平にいくというように考えられると思うのでありますが。
  39. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 実は価格で、価格の千分の一とか二とかいうふうなやり方もあるかと存じておりますが、ただその際問題は価格が的確に申請額でいけるかどうかという問題もあると思いますが、品物によりまして一個幾らということではかえって不公平になるものもありますので、その点今具体的に検討中でございます。でき得ますれば価格の非常に幅の広い品物につきましてはあるいは従価率でやるのも一つ方法かと考えておりまして、目下検討中でございます。
  40. 白川一雄

    白川一雄君 そうしますと、名古屋の方では陶磁器が個数に対しての形になっているので、価格に対してやってくれと言うに及んで、これは御了解を得て、従来組合でやっておった価格によって手数料をきめる、こういうこともよろしいということになったというように聞いているのですが、そういうふうに確認されてよろしいのでありますか。
  41. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) ただいま検討中と申し上げましたのは、実は今内部的に話を進めているという段階でございます。今お話陶磁器の問題についてその問題がありますので、でき得る限りそういうふうなことにしたいということで今打合中であります。まだ最終的にそれでよろしいというまでには立ち至っておりませんが、多分実現できるかと思っております。
  42. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 政令で定める品目というのはカメラだけですか。
  43. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) さしあたりは写真機と、それからできますならば双眼鏡といったような光学機械類にしたいと思います。
  44. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 その二品目だけですか。要するに政令で定める品目というものを一応資料として配ってもらったらいいのですが。
  45. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) さしあたり今申し上げた二品目でございます。あとにPXに納める品物がいろいろございますが、これは先ほど三輪委員から御指摘のようにいろいろ問題の起り得る商品も多いのでありますので、確実に外人の手に渡ってそこで利用される可能性の多い今の光学機械の二品目にしたいと、こう考えております。
  46. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 その金額はどのくらい、カメラとそれから光学機械合せて。
  47. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 大体一昨年……、昨年の数字ははっきりいたしておりませんが、一昨年で二百八十万ドル見当でございます。
  48. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 両方合せて……。
  49. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) ええ。
  50. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そのうち、この輸出とみなされる特殊のケース、この法律の適用になるものが大体どの程度ありますか。
  51. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 今申し上げました金額がそれであります。
  52. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 なお、この際に現在輸出検査をやられている品目はどういうものがあるか、それから強制検査、要するに国営検査でやっているものはどういうものがあるか、それから任意検査というか、民間検査でやっておるものはどういうものがあるか、それから今回適用せられる国営検査のそれのどういうものに該当するのかというような一覧表を資料として出してもらいたいと思います。
  53. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 承知いたしました。何でしたら概要御説明いたしまするが、後刻資料でよろしゅうございますれば……。
  54. 三輪貞治

    三輪貞治君 資料でいいです。
  55. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと申し上げますが、衆議院から提案者が見えておりますから、どうか提案者の方に御質問願ってけっこうだと思います。
  56. 三輪貞治

    三輪貞治君 さっきちょっと落しましたので……。法律の体裁の問題なんですけれども、結局この改正輸出品範囲を拡大するわけですね。この本法の二条で輸出品というものの定義が書かれておるのですから、これは二条の次に持って来られるのが適当ではないかと思うのですが、どうしてこれを十一条の三として持って来られたのですか。
  57. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは政府側がお答えするのはちょっと当ってないかと思いまするが、便宜お答えいたしますると、御指摘のように二条の次に置くという行き方もあるかと存じます。ただ体裁といたしまして一番最後の条項に入れてあわせてこの分も適用を受けるのだという行き方もこれは法律の形としてはまあ可能かとも思っておりまするし、なお、しいて考えますれば、こういうふうな国内にある外国軍隊の購買機関、これは永続的ないつまでもというものでもございませんでしょうし、早晩安保条約等の関係である時期になれば撤退することと考えられますから、やはり体裁上あとの方が臨時的ということでいいかとも考えられます。別段最後にしなければならぬということはないのであります。
  58. 三輪貞治

    三輪貞治君 それはどうもあまり理由にならんのですね。二条であっても削除していいわけです。一番あとだから取るのに都合がいいということはおかしいので、私はもっと厳密に言うと二つになると思うのです。輸出品のワクを広げるということと、手数料を取るということ、ワクを広げる方は二条、手数料を取る方は、十一条の一、二というのは手数料ですから、これを三に打って来ていいのですが、一括して十一条の三に持って来られたのはいささか体裁上おかしいと思うのですが、しかし今言われたのはあまりぴんと来ない理由のようですが、提案者の方で何か特別のあれがあったのですか。
  59. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 今度改正したいという要旨を盛り込むための技術的方法について法制局の方の話を聞きましたところ、これがいいだろうということで、規定したいという趣旨さえ盛られれば法の体裁は専門家にまかせようというので、こういうふうにしたのであります。実はこの輸出品取締法に基くお手元にいっております資料の施行規則第二十一条第七号というのがございます。その第七号の中に米駐留軍関係の適用除外の項目が書いてあります。その中の、第七号の中の政令改正をすれば事が足りるかとも最初考えたわけでございますが、政令改正だけでは不十分であるということで法律改正という手配になったのであります。法律改正する場合にただいまお話がありました通り第二条のあとにつけるのも一つ方法だと思います、あるいは全般の趣旨を盛り込む意味において第十一条の三ということで一括して規定することも差しつかえないのじゃなかろうか、こういうことで第十一条の三という形で規定したのであります。
  60. 三輪貞治

    三輪貞治君 それからこの際念のために聞いておきますが、検査協会の機構、人的構成はどういうことになっておりますか。
  61. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) それはいろいろな検査協会全部でございますか。
  62. 三輪貞治

    三輪貞治君 日本写真機協会、これが検査するのでしょう。
  63. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 写真機の場合もございますし、双眼鏡の場合もございます、あるいはほかの関係の品目もあろうかと思いますが、それは資料でお読みの通り一九五三年中のTCEの調達実績というものがございまして、この中で調査品目に該当するものがあるわけでございます。その調査品目に該当すべき品目の中で検査品目になっておる品目がどの程度あるかということと、なっておる品目のうちで、それを検査するために適当である品目と適当でない品目があるわけでございますが、カメラの場合について先ほど通産省からお話がありましたのでありますが、年間、一九五三年で二百八十九万ドルという多額の輸出をしておりまして、およそわが国のカメラ輸出のほぼ半数程度を駐留軍向けに出しておるわけであります。このうちのおおむね、これは推定でございますけれども、七割程度が朝鮮と沖繩に出されておりまして、それから二割ないし三割程度が日本国内駐留軍に出しておるわけであります。いずれも手続といたしましては物品税等についてはこれは全部輸出免税ということになっておるわけでございます。従って国内の一般日本人にはそれが渡らない仕組みになっておりますし、渡った場合においては物品税法によって罰則がついておるということになっております。さらに海外にいくものにつきましてはEDすなわち輸出申告書の制度で海外に送られておるわけでございます。さらにそれについては輸出振興所得控除制の適用まであるわけでございます。従ってさらに海外にいくものについては一般輸出とほとんど差のない運営になっておるわけなんですが、従来の検査法が昭和二十何年でしたか、占領下にできた法律であります関係上、軍関係については一切適用からはずしておるわけでございます。適用するにふさわしいものについては占領を脱した独立国の今日においては軍関係のものといえどもこの法の建前としてやるべきものだということになったわけであります。同時に国内に関するものにつきましても、これは全部アメリカ市場ならアメリカ市場に持って帰るわけであります。そういうことで特にサンフランシスコのカメラ市場等につきましては、この米駐留軍納入カメラ相当量がサンフランシスコ付近にばらまかれ、かつそれによって故障等の問題のために一種の市場波乱を来たしておるというような状況と聞いておるわけでございます。そういうような関係からいたしまして少くも今機械工業の輸出の最大のホープはカメラでございますから、そういう意味においてこのカメラ、あるいは双眼鏡等の光学機械についてぜひとも検査につきまして輸出品検査法の適用をすることが必要であるということになったわけでございます。それが大体のカメラに関する状況でございます。
  64. 三輪貞治

    三輪貞治君 私が聞いたのは日本写真機検査協会というのはどういうものが集まって作り、その人的構成はどうなっておるかということを、簡単でけっこうです。
  65. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 日本写真機検査協会は財団法人でございまして、これは通産省の認可によって輸出品取締法の条項に基いて検査機関としての指定を受け、一定の資格ある検査人をそろえてやっておるわけでございます。カメラ検査人は五名ございます。それから財団でございますからそれ自体一個の人格であるわけでございまして、他の検査協会と同じように評議員として業界の人たちが何社か、十数人評議員として名を連ねておるわけであります。それから執行機関といたしましては理事長、それから専務理事、それから理事三名、それから監事一名というわけでございます。で、監事は業界側から出ておるわけでございます。
  66. 三輪貞治

    三輪貞治君 先ほど官房長から承わったのですけれども、罰則があったってあんたはそれが厳重にその通り行われるとお思いになりますか。特にこの輸出額の半数以上がこういう取扱いをされる、まあそれは台湾、朝鮮が七割だとおっしゃいますけれども、そういう莫大な額がそれを輸出価格で買い取って横流しをしてもやはりわからないのですよ。これは検査されるわけじゃないのですからね。必ず海外にいずれこの人たちは帰るのですから、帰るときにやはり持っていなければならぬということになっていれば、それは持たなければ横流ししたということはわかりますから、しかしそうなっていない以上は、これを防止する方法はないのじゃないですか。自動車さえも帰るときには売って帰りますから、カメラくらい横流しするのは朝飯前ですよ。
  67. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) ただいまの問題は横流しの問題でございまして、輸出検査というのはその納入する前に一定の品質を確保して、輸出品声価を上げる、スタンダードの線をパスしたという実証を与えるために、一定の品質検査が行われておるわけであります。入ってから以後に横流しするという問題はまた別個の問題であると思います。ただしこれにつきましては従来物品税法に一昨年までは取締り規定がなかったのであります。たしか昨年でしたか物品税法にその取締り規定が加えられたわけであります。で実情から申しますと、横流しをしちゃいかぬというので、今度は米軍が、あるいはその横流しする業者かどちらが悪いかわかりませんが、譲渡しないが、委託するという形で行われた。そこで委託という形で逃げるというので、今年の物品税改正案、それには委託というのもいけないというふうに改正になったようであります。だから輸出品取締法輸出検査の問題とは一応別個の問題だと思います。
  68. 三輪貞治

    三輪貞治君 別ですけれども、これは同じカメラですから、われわれが現にキャノンのF一・五で八万五千円という公定のものが新品で七万円で買えるのですよ、写真屋で、現に。これはおそらくそういうことでなければ八万五千円のものが七万円で買えるわけないと思うのです。これはおそらく輸出の半数を占めておると思うのですね。これは三割引きですね、この取扱いの件は。それが輸出の半数近くも占めておる。それは罰則はあっても、別に調べるわけじゃないのですから、番号を登録はしてありましょうけれども、随時調べてみるということは全然ないのですから、われわれもカメラを持っておって調べられたことないですから、相当なものが私は横流しされているのじゃないかと思うのですが、何か防止する方法はないのですか。
  69. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 横流しをするということについて、これは非常に嘆かわしいことで、そういう事実があることは事実でございます。しかしこれについて相当国税庁等で北海道などの例でございますけれども、撮影会等におきまして持っているカメラを全部調べて横流ししたと思われるカメラについて一時摘発した例があるわけでありますが、どうも一般消費者までそれが及んで参りますと、いろいろ問題が起きるために、そういうやり方はあまり行われないので、せめて一般の小売店の店頭でただいまお話しのありましたようなものを押えられる手を考えておる。それが多分今度の物品税法が昨年の国会で譲渡した場合において罰則規定を設けたので、譲渡でなくて委託ということで逃げられることが出て来たので、今度は委託といっても罰せられるという根拠を作られたように聞いております。そういうことで取締りとしては法的規制の面では一応整備をされつつあるような状況であります。
  70. 白川一雄

    白川一雄君 関連してお伺いしたいのですが、なかなか摘発するといっても取調べが困難ですが、これはケースは違うかもしれませんが、私イギリスに旅行したときにカメラを持っていきますと、国へ入るときに税金を取られて、国を出るときにその証明書を見せればその税金を返してくれるという方法があるのですが、もうやはり内地に売るのと同じ値段で売って、売るときに、証明書を写真機につけて、国へ持って帰るときに、この税金を、差額を返してやるということをすれば、横流しも防げるのじゃないかと思いますが、そういう方法をすれば徹底して横流しを防げると思うのですが、そういう方法はいかがですか。
  71. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) ただいまのお話日本品だけ、これは一般論として言えることでありますが、駐留軍に入るものは国産品だけ使っているわけではありません。カメラの場合で言いますと、ドイツカメラが最大の競争者でございます。PX市場で日独のカメラ競争が非常に激烈に行われておるわけであります。従ってドイツ品に対しても輸入税なり物品税がかけられるシステムになっておるならばお説の通りであって、無税にする必要もない、税を取っても場合によっては差しつかえないわけであります。けれども現在の安保条約の規定におきましては、駐留軍市場になっておるPXにあってもこれに税をかけるということになっておらないのでありまして、行政協定を改定いたしまして、そういうことになればドイツ人との関係においてはお説の通りのやり方ができる、単に国を出るときに無税にするばかりでなく、国で買ったものは税金をむしろ等しく取って差しつかえないとまでむしろ考えられるわけであります。ところが現在の建前では、日本の国産品だけにそういう手を講じますと、行政協定の関係上、ドイツ品は輸入税もかからない、物品税もかからない、日本品だけが物品税相当分を前渡ししておいて、そうして帰るときにそれを減らすということでは非常にアンバランスになる。カメラの場合、これは国際商品でございまして、他の一般のみやげ品等とだいぶ趣きを異にしておるわけであります。そういう点について十分ごしんしゃくをお願いしたいと思います。
  72. 白川一雄

    白川一雄君 そうすると、アメリカとか、ドイツとか外国との関係の災いを受けて、日本商品が適正に取り扱われないという結果になると思うのですが、今のは税金を別に課するわけではないので、税金を預っておくという形で、返す性質のものだから、別に税金を取るということの断定にはならぬと思いますが、その点いかがですか。
  73. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) それはドイツ品にも同じ措置ができればいいわけでありますが、ドイツ品にはそういう措置が今は行政協定でできませんから、従ってドイツ品が値段が安くなり、日本品日本国内税法のもとに割高になるという結果になります。
  74. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 一つ伺いたいのでありますが、検査品目というのは、五百品目もあるのですね、ところが駐留軍などに販売するものについては、特に輸出とみなして、その品目はカメラと双眼鏡だけだという点は全体の検査品目との間にバランスを失するという問題はどういうふうに考えておりますか。
  75. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 先ほどお答えいたしましたように、現在、PXその他に納入している品物は、国産品は相当種類ございますが、ちょっと申し上げましたように、たとえば毛織物とか、それから菓子類、菓子は、これは検査品目になっていないかと思いますが、いろいろあるので、毛織物のごときは実はいろいろ従来から問題もある品物でもございますし、あと、まあ運動具とか雑貨なんかございます。まあ御指摘のように、いろいろ横流しという、言葉が悪いのですが、そういうふうな現実に裏づけの、外貨の収入にならないような場合も相当あり得るようなものにつきましては、もう少し慎重にやりたいという心持で考えております。
  76. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この輸出とみなして本邦製品などの声価の維持の向上をはかりたいという考え方からいくと、特定の品目だけを駐留軍に販売をするものだからといっても、これは検査をする。その他のものは持ち帰るものも現実にはいろいろあるだろうと思うのですが、そういうものについては検査をやらんでおく。全然検査をやらんのなら問題はないと思うけれども、別の意味からは問題はないだろうと思うのですが、特に輸出とみなして特定なものについて検査をやるという以上は、少くとも多少恒久性のあるようなものは一斉に検査をしないということになるというと、検査制度自身からいってもアンバランスの問題が出てきて、ある意味において検査制度の崩壊になるのじゃないかという感がするのですが、これは提案者はどういうふうにお考えになりますか。
  77. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) この参考書の一番終りに、一九五三年中のJCEの調達実績というのがございます。これによりますと、このうちたくさんの品目はないかと思いますが、数品目はお説のような該当品目はあると思います。その中で現実に持ち帰る公算が非常に大きいもの、すなわち耐久性消費物資というものが、やはり検査品目の抽象的な線じゃなかろうかと思うのであります。そうして耐久性消費物資、それから当該産業において占める割合でごさいますが、割合が非常にネグリチブルな、小さなものである場合は差しつかえないと思います。相当数、たとえば先に申し上げました通り、光学のごとく全体の五割近い数字になって参りますと、これは、しかもそれが持ち帰るという場合にはぜひやらなければならぬ品目になるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  78. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうすると、またその他にもいろいろあるような今お話ですが、私はまあその恒久性の程度にもよると思うけれども、大体輸出品については検査をやっておるが、国内でも特定の場合には、これを輸出とみなしてこれに対して検査制度をしくということになると、やはり能う限り全品目についてそういう行き方をするのが当然だと思いますね。従ってこの特定のもの、あるいは恒久性のいかんによって判断するというよりも、全面的にそういう制度をしくということが当然だと思います。
  79. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) このPX、あるいはその取りまとめのJCEで購入する物品について、検査品目該当品目についてそれをやるということは一案であろうかと思っております。ただし実益から申しますと、耐久性消費物資であって、持ち帰る公算が大きくて、しかも当該産業にして相当大きなウエートを占める物ということがやはり勘案すべき条件になってくるんじゃないかと考えております。それが抽象的な線だ、そういうふうな解釈でいけば、法の精神はいくんじゃないかと思います。
  80. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 かりに今そういう考え方をしても、恒久性のある商品とみなさなければならぬようなものが他にも相当あるわけですね。こういうものについてまあどうするかということをさしあたり考えなければいかんと思うが、私はこれ以上いろいろ質問することは議論になりますからこの程度にいたしておきますけれども、検査制度自身から言うと、これはアンバランスを生ずる一つの制度上の大きな問題じゃないかというふうに考えますがね。意見だけ申し述べておきます。
  81. 河野謙三

    河野謙三君 私ちょっとこの検定協会ですか、検査協会ですか、そういうことについて伺いたいのですが、これの経費というものは、収入――手数料だけでまかなえるのですか、そのほかの寄付というようなものも認めるのですか。
  82. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 検査協会は財団法人で民法上の団体になっておりまして、それの設立につきましては寄付行為によっておるわけであります。寄付行為はこれは、検査機関が株式会社の場合もございますし、あるいは財団法人の場合もございます、あるいは社団法人の場合もあるかと思いますが、それは存じませんけれども、そういう際に株式の出資、あるいは寄付行為ということは当然伴ってくるわけでございます。しかしその後における経常的運営は、これはすべて政令に基いて行うところの手数料によって決定するわけでございます。
  83. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、設立に要する費用として寄付行為を認める、そういう場合の寄付をする人はいずれこれはメーカーでしょうから、大体提案者の方ではこの設立費としての経費は、どういうところからどのくらい集めてどうだという、大体のお見通しはあるのですか。
  84. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) それはすでに既存の機関もございますし、それから株式会社の場合もあり、財団法人の場合もありますので、通産省の方でどういう種類のどういう団体があるかということについて、御説明を願おうと思います。
  85. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そうすると何でしょう、説明員が少しぼやぼやしているのだろうと思うのだが、写真機については輸出品取締法で現在検査をやっているのでしょう。
  86. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) ええ。
  87. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ところが今度のPXなどはアメリカヘの輸出じゃないのですから、それをただ輸出とみなすというのですが、従来写真機界について行われている検査そのものがこれに適用される、こういうことでしょう、問題は。それだから、今の検査機関でも何でも写真機というものは現にあるわけであります。そこで私がちょっと伺いたいのは、写真機や望遠鏡はどうか知らんが、大体PXというのは安物しか買わないのだ、実際言うと。安物といっては語弊があるけれども、非常に買い方が上手だ。そこで私の下らんことを申し上げるようだが、私は名古屋におった関係で、七宝でそうなんだ、PXができたために日本の七宝の技術を後退させたのだ、彼らは、七宝をアメリカ人が見るようなごく手を抜いたものをだんだん買うことにしたものだから、ほんとうの七宝はなくなった。それでおそらく写真機というのはどうか知らんが、望遠鏡などについては外国で、たとえばシェアローベックの望遠鏡と、それから今のJCEが、これがやっているものとは品質が違うと思うのです。そうすると、これをこのまま輸出とみなして適用するということになると、今までの彼らが大いに格安でうまいことをして買ったと思う標準を引き上げることになると思う。それが今お話通りドイツ品が安いものが来ていますから、それが果して日本の今までの、品質の向上にはなりますけれども、買う方はそんなにいいものは要らないのだというときに、そういう今までの程度の高い輸出標準というものを引き上げることがいいか悪いかという問題があるかないかということをちょっと伺いたいのですが。
  88. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) ものによっていろいろ違うと思いますけれども、現在問題になっております光学機械の場合については、対米輸出と全く同水準、あるいは程度のもう少し高い水準のものが出ております。
  89. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 今そうすると必要がないわけですね、そう必要がないということになりはせんですか。
  90. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 程度の高いものというのはいわゆる安物というよりも、比較的高級品が出ております。
  91. 吉野信次

    委員長吉野信次君) JCEですか、そうなると大体海外に出ているほどの品質が高いものであるというと、特にこれを輸出とみなして検査をする必要がどこにあるかということになるのじゃないですか。
  92. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) ちょっと申し上げますが、たとえばどういうお考えかちょっと御質問の趣旨がわからなかったのですが、たとえば安物のおもちゃのようなものは、おもちゃに類似するような光学製品が駐留軍に入るということではなくして、アメリカに一般に向けられる輸出品と同じような性格のものが行っておると、こういうことでございます。
  93. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 私のちょっと言い方が悪かったかもしれませんが、私の伺いたいのは、つまりアメリカ市場に今出ていますね、それについては今検査制度がありまして、悪いものは出ていないといって声価を高めているわけです。どんどんふえていますな。それよりも幾らか調子の低いものを私は買っているのだろうと思うのです、PXなんかで、実際は。
  94. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 同じようなものが……。
  95. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 同じ程度のものがそのまま行くものなら、輸出とみなして検査をする必要はない。それよりも調子の悪いものが行くから、それを外国人が買ってアメリカ市場へ持っていく場合もありましょうし、それじゃ困る。それだからどうしてもアメリカに行くものと同じ程度に取り締らにゃいかんということで、この制度を置くというのなら意味がわかりますけれども、それだから、どうしてもこの制度を置く以上は、今現在のこのPXや何か買っておるものの標準よりは高めるということが前提でなければならぬと思います。それを高める必要はない、今までアメリカに行っているもの、あるいはそれよりも程度の高いものが行っているというならば三輪君の心配の点は残りますけれども、いわゆる日本商品声価を高めるという点からいえば、この法律をもって輸出とみなして、それを、網を張る必要がないと、こういうことになりはしないか、こう思うのですが、それは間違いでしょうか。
  96. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 日本から対米輸出品が、たとえば光学機械の話で申しますと、一応検査のスクリーンを通して出るわけでございます。それで二割とか一割ぐらいの率で検査のときスクリーンされて落ちるものがあります。ところが、駐留軍のものについては、そういうことはなく通ってしまうわけであります。そういうものがないから……。従って一割、二割の不良品というものが普通ならば、ひっかかるべきものがそのまま通ってしまっておる。それは、最近のように兵隊に移動が激しいと、一部横流れしてもおそらく比較的数は少いのですが、だいぶアメリカへ持って帰る。そこでトラブルが起きる、そういう事例がありますので、輸出品と同じようにやったらどうか、それだけのことでございます。
  97. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それだから、つまりPXの買うときの検査標準よりはきびしくなるということだ。一割、二割漏れるものを漏らさないということになるからきびしくなるということなら、私の言う通りで、そういう御説明ならばよくわかります。それがさっきの御説明だとそれの逆で、いいものをやるのだということであるから、それなら何もこれはやる必要はないのじゃないかという疑問が起きたのであります。それならそれでいいわけだ。そこで問題は、こっちだけそうやっても、そのかわり今までは検査標準が少しゆるいために、安いものを買っておるのだ、アメリカに持っていくものが、それがやはりPXや何かで買う、これは意図するところだが、それがアメリカ向けになるというと、それがせっかくやって、PXに入るものが少くなるという心配が起きはしませんか。
  98. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) そういう心配は全くありません。
  99. 河野謙三

    河野謙三君 今私、寄付行為について通産省から説明して下さい。私は暑い際だから、先に私が聞かんとするところを率直に申し上げると、こういう協会ができますと、えてして寄付行為が伴う、寄付行為が伴うと、結局その寄付行為の金額というものは、大メーカーに多額であって、小メーカーには少額であるということになります。そうすると、その協会というものが、運営している間に、大メーカーの協会になってしまって、小メーカーというものははみ出してしまうという事例があまりにも世間に多いのですよ。私は、やはり検定をやることによって、商品の国際信用を高めるということについては、私は非常にいいと思う。いいと思うけれども、この検定協会と言うか、検査協会と言うか、これの運営の実態というものは一体どういうことなんですか。そこは非常に寄付行為に関係があるのですよ。
  100. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 私の知っている範囲で申しますと、検査の実務は工業品検査所で技術方町はやるわけでございます。それから運営面につきましては、これは通産省の通商検査課において全部許可認可事項になっております。従って、一応名前は民間団体のような形になっておりますけれども、法的に全部縛られて動かされておるのが現状でございます。
  101. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、この運営について今後絶対に検査協会の中に力のバランスというようなことで、不公平な、不平等なことは起らぬと言うだけの提案者の方には自信がおありになるわけですか。
  102. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 法の建前には起らないようになっておると思いますが、行政上の運営面としては通産省の運営の問題だろうと思います。この法律全体のシステムの問題であろうかと思います。
  103. 河野謙三

    河野謙三君 行政上の問題だと、行政上の問題として私はここで聞きたいのは、この協会と通産省はどういう人的につながりを持っておるのですか。たとえば、通産省の現職の職員がこれに評議員として一名なり二名なりが加わるということになっているのか、それともそういうことでないのか、そういうことはせんけれども、何かほかの方法でまだ行政上厳重な公平な監督ができる、こういうことになっているのですか。
  104. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 人的なつながりは現在たしかどの検査協会にもないと思っております。しかし、この取締法の規定にもございますが、初めの登録の際にもこの業務の公正な運営に支障があるような役員とか、あるいは構成員がありますれば、これは登録はしないことになっております。それからまたその後のいろいろな監督等については万全を期しておりますほかに、それに登録された民間検査機関検査が不公正が行われて困るということでありますれば、これはむしろ国営の検査機関がございますから、その方に検査を依頼されてしかるべきだと思っております。現在まあこのおもなPX関係の多いものにつきましては、工業品検査所で光学機械の検査をやっております。かりにこの協会の運営が不公平だということであれば、申請者の方から言えば国営の検査も並行して依頼できます。そういうふうないろいろな点から相待ちまして、不公平に行われないようになっていると、かように考えております。
  105. 河野謙三

    河野謙三君 どうです、この機会に積極的に評議員等にあなたの現職の担当官が一名なり二名なり加わるということにしておかれた方が、かえって安心じゃないのですか。不公平が行われないと思うということは、公平なんということは世の中にないのですよ。不公平ということが原則なんですよ。それで公平に持っていくことがそもそも非常に至難なことですよ。だから初めから公平に行われるということを確信いたしますということは、これは言うべきじゃないと思うんです。不公平なんですよ、それを公平に持っていくために常に努力するわけです。その努力の一環としてあなたの方の専門家の人をこの評議員の中に一名なり二名なりを置くということのためには、大臣なり、人事院の許可が要るでしょう。これはそういうふうな手続をしてやられた方がいいのじゃないかと思いますが、そういう御意思はございませんか。
  106. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) せっかくのお話でございますので、もう少し検討してみたいと思います。いろいろ従来役人がそういうところへいきますと、いろいろなことを言われても困りますので、実は現状はそういうことになっておりませんが、せっかくのお話でございますから一つ検討してみたいと思います。
  107. 河野謙三

    河野謙三君 その点について提案者の方にそういう御意思はございませんか。
  108. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) けっこうなことだと思います。ただし財団法人の場合はそれでもいいと思いますが、株式会社の場合は取締役になるか何になるのかしりませんが、そういう場合どういたしますか、ちょっとその機構上財団法人でやっている分と株式会社がやっている分と違うことになりますから……。
  109. 河野謙三

    河野謙三君 お話の途中ですけれども、私はこれは前提は株式会社ということは、先ほどから毛頭考えていなかったのですが、株式会社でいくということもあり得るわけですか。
  110. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 現実にあるようでございます。
  111. 河野謙三

    河野謙三君 それは通産省としてそういうことでいいのですか。
  112. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは検査仕事外国ではむしろ株式会社で民間の機構も相当あるようでございます。現在日本でも株式会社の例は、大きな機械の検査をやっております日本検査株式会社がそれに当ります。まあ株式会社だから株主の意向等反映しまして不公平に行われるではないかということでございますが、実際の検査の業務はそういうことではございませんので、専門家の検査人をもってやっております。またそういうふうな検査機関はお互いにこの相互に牽制し合い競争し合うというふうな態勢になっておりますから、先ほど申しましたように、特定の機関検査が不公平であれば、検査人はよその検査人のやっているところもございますので、まあ必ずしも株式会社だからどうということはないかと思っております。
  113. 河野謙三

    河野謙三君 私はこれはこの法案に関連して株式で行くか、その他で行くかということにつきましてはこれは重大な問題だと思うのですね。少くともこれは提案者なり通産省の方からこの法案が通った以上はこれこれの組織で行くのだということを御明示願いたい。株式会社で行ったらこれはそれこそ株主権の行使ということは大株主が横暴するにきまっておるのです。大株主とはだれか、大メーカーです。そうじゃないですか。私はそういうことについては一つはっきりしておいてもらいたいのです。
  114. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 河野委員お話の点……。
  115. 河野謙三

    河野謙三君 誤解がありますか。
  116. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) ちょっとあれがあると思いますが、この改正法では新しくPX納入品輸出品とみなしてありますが、これは在来からある検査機関検査業務を行うわけでございます。新しくこの改正規定検査機関を作るわけではございませんので……。それから株式会社の場合にまあ株主、ことに大株主の意向を反映して検査が行われるようになるのではないかというお話でございますが、これはそういうことも実は我々心配いたしまして、特に輸出品取締法の七条の五の五号におきまして、そういうふうなおそれのないような検査人の服務規程とかいうふうな問題まで念を押しまして認可したわけでございます。なお株式会社の問題は先ほど申し上げましたように、むしろ外国では株式会社の方が多いように考えております。国営検査よりも株式会社で十分な権威と、それから公正という声価をもちまして業務を行なっておる、こういう例がむしろ多いようでございます。日本としましてもまあ株式会社だけがいいとは思いませんが、株式会社も決して何といいますか、排斥すべきものではないかと思いますが、これはまあむしろ会社の検査業務の運営の仕方によって今後の声価を維持して行けるのじゃないか、こういうように考えております。
  117. 河野謙三

    河野謙三君 まあよろしゅうございます。しかし提案者の方は株式会社の方がいいとお考えになっておりますか、私は外国の例なんか問題にならぬと思う。外国の例をやって農業協同組合を作って、農業協同組合は失敗しているのですよ。国民の民度によったものです。
  118. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) これは団体がきわめて法の強制力をもって運営をするものでありますから、公益法人で運営することの方が妥当であると考えております。
  119. 小野義夫

    ○小野義夫君 関連して。今私どもはそういう輸出品検査する方式ですね、はなはだ研究しておらぬのですが、今だんだん承わっておるうちに検査の方式が株式会社もあれば、あるいはその他の財団法人というものもあるというのですが、商工会議所あたりで取り扱っておる例はありませんか。
  120. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは現在ないようでございます。と申しますのは、これはなかなか現場の仕事でありまして、いろいろな技術的な知識並びにいろいろな施設を要しまするので、これは現在は会議所法にも、はっきり規定は覚えておりませんが、そういうことはむずかしくなっておるのじゃないかと思います。
  121. 小野義夫

    ○小野義夫君 私は現在の商工会議所のあり方というものは、少し余談に入りますけれども、これこそ進駐軍が押しつけた非常に悪い一例になるのであります。早急に日本の商工会議所法というものは根本的に変えなければならぬと思っておりますから、今いろいろ政府の公共的な諸般の調査、外国から信用調査がくる、そのほかいろいろな公的の事務が商工会議所に輻湊してくるわけですね。従いまして商工会議所というものは任意組合であるのだけれども、そのやることの大部分というものは公的なものであって、今のような検査規定のような、当然銘打って東京商工会議所がやったとか、横浜商工会議所がやったというように、外国の例の有無はともかくとしまして、今の設備その他を移譲すればいい、政府が持っておるとかあるいはその他のことは移譲すればいいのであって、公的性格、しかもそれは非常に信用を重んずるところの機関であるのでなければ、私は今河野委員質問されたような理屈から検査に盲点ができておるのであろうと思うのであります。従いまして、この中小企業の今後海外の信用を保持する上についてこの検査方法などは最も必要な一つ機関であって、政府一つ根本的にこの際検査規定及びそのやり方の方式について少し力を入れるべきではないかというようなことを考えるのですが、どうですか。今の状態で完全なりというお考えでありますか、御意見を承わりたいと思います。
  122. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) まあ今のやり方を申し上げますると、一方におきまして国営の検査機構、これは通産省のみならずほかの農林省、あるいは厚生省等にあるわけであります、それらと並立しまして民間の方としまして各種の検査機関があります。その内容には財団法人組織なるもの、あるいは株式会社というものがあるのであります。これは検査といいますものはまあどういうふうに考えるかという問題でありますが、一つは相手方との取引一つ内容にもなるわけでございまして、結局そのどの検査機関のマークが信用を持つかということでございます。たとえば生糸のごときは横浜の者からありまする生糸検査所のマークが世界的にも一番権威のあるマークになっております。あるいは綿糸等におきましてはむしろ民間の機構の方が権威を持っているようでございます。というふうに、長年のそういうふうなやり方に基く伝統と声価の問題であろうと思っております。中には機械類等につきましてはむしろ国営がいいのじゃないか。相手方の契約で国の検査機関を指定してくる場合もあるわけであります。これはなかなか一がいにどういうのがいいとはなかなかいかんだろうと思っております。お話のありました商工会議所の問題でありますが、まあ私の私見ではございまするが、会議所が自分でこれを直営するということはむしろあまり適当ではないんじゃないかと思っております。もう少し広い見地の商工業一般の発展をはかるのがこれは商工会議所の任務でございます。こういう直接の業務を自分で直営するということはこれはあるいはどうかというふうに私個人としては考えております。
  123. 栗山良夫

    栗山良夫君 この際ちょっと一、二点伺っておきます。取締法の第四条にありまする品質に関する最低の標準ということがございますが、これは一体どんな形式で今できておるのですか。
  124. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは具体的な品目によって違いまするが、要するに簡単に申しますると、現在通産省では工業品規格というものを作っております。この規格の中には、いろいろ商品によって違いまするが、それをそのまま四条の品質の最低標準というのに採用いたしておりまして、これを公示してやっております。また農林物資につきましては特にジャスと言っておりますが、それぞれ規格がきまっておるわけであります。
  125. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると一口に申しますと、たとえば機械物なんかで言った場合には、その機械を構成している規格日本標準規格とか、こういうものがありますね、そういう規格品が使われているかいないかということを中心にしてこの最低標準というものは作られるわけですか、それとも形式ですね、各品物の形式のようなものを中心にして標準というものは作られるのですか。
  126. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは物によって違いまするが、形式の場合もありまするし、それから品質の問題もございます。成分等につきましてきめているものもありますし、また形状等につきましてきめているものもあります。個々の今実例を持ち合わしておりませんからありませんが、要するにそれはそれぞれ物によって違いまするので、具体的にその適確な要件をきめるようにそれぞれの要素を標準としておるわけです。
  127. 栗山良夫

    栗山良夫君 なぜ私がそういう質問を申し上げたかと申しますと、最近の中共等から帰って来られた人の貿易関係に関する調査結果によりますと、もう中共等の市場においても昔の概念ではもういくわけにいかない。相当精密な高度な品物でなければ輸出の対象にはならないという状況になっております。また非常に簡単な製品のごときものはほとんど自家製品ができておって対象にならないということを聞いております。私は実際に自分で渡ったわけでありませんからよく知りませんが、報告を受けたところによりますとそういうことになっております。そこでこの取締法の根本精神からいえば、輸出品の精度を高めるということ、品質を改善するということがあるわけですね、従って世界主要国を見ました場合に先進国はもちろんですが、従来日本人の観念から言えば若干品物が落ちても輸出ができるであろうと言われておった中共においてすらもそういう状況がきておるということであれば、今後の日本輸出品の取締法の精神というものは世界の一流品まで品質を上げていくというその精神が私はなければ意味がないと思う。輸出品取締法という名前そのものがもう私は時代おくれな考え方がします。もう少し発展的な名前であってよかろうと思うのですが、取締法という名前そのものが非常にこそく的な印象を受けるように考えるのです。そこで最低の標準というよりはカメラならカメラでいろいろ形式はありますが、スプリングにしても、あるいはボックスにしても、あるいはライカにしましてもそれらの形式において世界の最高の製品、最高水準の品物、それの持つ標準というものを考えてみると、常に業界を指導し、品質の向上をはかっていく、そういうことがなければほんとうの意味の輸出促進の指導を通産省がやっておると私は言えないと思う。私がお尋ねしたいのは、この品質に関する最低の標準というものは戦争中中断はしておりますが、戦後だけでもけっこうです、この最低標準というものの程度がだんだん引き上げられておるかどうか、これはやはり一つの問題だと思うのです。十年一日のごとく最低だけきめて同じ標準でやっておるのならそんな取締法なんか私は必要ないと思うのですが、その辺に対する御見解はいかがですか。
  128. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 栗山委員お話はまことにごもっともなお話でありまして、これを分解しますと、今の輸出規格の向上という問題、それからもう一つ輸出品内容の高度化という問題、この二つ、あとの方の問題はこれは日本の今後の輸出貿易の推進の問題といたしまして当然であります。だんだんと輸出内容を高度化いたしませぬと、これは後進諸国の輸出競争といつまでも太刀打ち程度では困るということは当然であります。それから初めの方の輸出規格を向上せしめる、これもまたその方向でございますが、ただこれは一挙に非常に高いところをねらいまするとかえって輸出品の今度は数量的、価格的に減ってしまう、激減する、その結果まあ従来輸出されておったものが、あるいは販路を失い、あるいは国内で生産過剰になるという問題もございます。この辺は実は非常にむずかしい問題でございまして、相手国における競争関係の事情とか、国内における生産水準、技術水準の問題とにらみ合せまして、だんだんと向上して参りたいと思っております。現にいろいろこの工業品規格もだんだんと高度化する態勢に参っております。逐次そういう方向で程度を上げて参りたいと、こういうふうに考えております。
  129. 栗山良夫

    栗山良夫君 問題はこの最低の標準というものが、長年にわたってほとんど変化なく同じ水準にあるのか、毎年少しずつでも引き上げられていくのか、ここが私は問題だと思う。もちろん最高標準をきめて、あるいは相当高位な標準をきめて取り締りをするということになれば、貿易の阻害になるでしょう。現状としては阻害になると思います。しかしこの取締法によって、国の規定によって貿易を左右するわけですから、従って常に品質向上ということについて国家権力で指導をしていく、これは重要な私は窓口だと思うのです。ですからにわかに激変を与えるわけにはいかないけれども、徐々であるが輸出品の製造業者に向って、そういう時代おくれなものをこしらえておるとか、旧態依然たるものをこしらえておったのでは、政府輸出品として認めないぞ、もっと勉強しなくちゃいかぬという激励的な意味のやはり精神が法の運用の中で十分織り込まれていなければおよそ意味がないと私は考えるのです。だからそういう態度で通産省がおやりになっておれば……ただ事務的な一つの形式的な窓口機関としておやりになっておるのか、その辺の私は精神というものをやはりとくと承わっておきたい。
  130. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) その規格の制定の仕事は、通産省におきましては御承知のように、工業技術院の標準部におきましてそれぞれの専門家を置きまして、内外の技術水準、生産状況等を常に監視しております。それでできるだけこの規格を固定させないで、時代の進運に合うように改正しつつあります。なかなかこの問題はいろいろ現実に当ってみますと、御指摘のように、国内の技術水準等の問題がいつも問題になります。それを一歩々々引きずりながら向上して参るということを関係官の方では努めております。またわれわれもそういう方向で指導しております。
  131. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは将来の貿易の私は基本政策に関することであろうと思いまするが、たとえば今日本で作っておるニコンのカメラがライカのカメラと比較してほとんど遜色がないと、こう言われておる。アメリカでも相当に評判がよくて日本光学でも製造が間に合わない程度に作られておる。しかしアメリカの方からの情報を見れば、作られておる数量というのはドイツに比較するとけたが違う。ドイツの品物は六万台とかそういうけた数、日本の方は四千台、四千台で、日本国内今どこを回って歩きましても写真機が非常によく売れておる。アメリカ市場を席巻しておるぐらいにいっておる。数量から言えば十分の一以下です。そういうことというのは、やはり通産省がもっと指導して、日本写真機アメリカに売れておるならばもっとたくさん数量的にも売れるように努力をすべきだ。そういうことによって日本光学のもっと工場が拡張されて、そこに大ぜいの人が働けるようになればそれでいいのですから、そういうやはり積極的な努力がどうも欠けておるように私は思うのです。特にこの最低の標準でも私はこれを一本にしぼる必要はなかろうと思うのです。最低の標準というものを二段、三段、四段にきめて、非常に高度の標準というものを作っておいて、その高度の標準に合格するような貿易品を作る業者に対しては、試験研究からその他販売等にしても、外貨獲得の非常に重要な仕事をしてくれているということならば、国家的な助成保護の措置をもっと強く私は考えてもいいと思う、世界の一流品と競争するようにそういう仕事をどんどん拡張して育ててくれる資本家なり、あるいはそういう商品には。従って最低標準というようなものを一つだけ作って、これに合格したやつはみなやる、そんな消極的なことでなくて、これをA級、B級、C級くらいに作って、これの基準というものについては、国が思い切った助成措置を講ずる。そういう品物をずっと国内に発展して行くように、そういうところまで私はやるべきだと思うのですが、この点についてのお考えはいかがでしょうか。
  132. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) この最低の標準という言葉がちょっとこれは栗山委員の御指摘の通り若干誤解があるところでありまして、これはむしろ法文の体裁であとの方の六条、七条の関係で最低と書いたわけでありまして、現実には御指摘のようにA級、B級とか、あるいは一級、二級というグレードもつけてやっております。決して下のやつ一本というものだけではございません。状況に応じましてやっておるのであります。なお、カメラの問題につきましては、こまかい事情は私もよく知りませんが、国の措置としまして今度アメリカの方にサービス・センターを出しまして、これは従来からどうも買うには買ったが、あとのあれがうまくいかんという非常な非難がございますので、今度この前御審議願いました自転車競技法の中の売上金の一部の方から特にサービスショップを出すように今度きめまして、アメリカの方に事前の宣伝もあるいはアフター・サービスを含めましてなお一層販路を拡張したいとわれわれも考えましてせっかく努力中であります。
  133. 栗山良夫

    栗山良夫君 私が勉強不足で思いつきのような質問をして大へん恐縮ですが、最低標準というのは私が申し上げたように一つ商品について何段かに現在やっておられることになっているわけですか。
  134. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは具体的な商品を実は私もよく知りませんが、現在作っておりまする三条、四条関係規定のうちで最低をきめまして、その上にまたグレードをつけてやっておりますものが百三十一品目あるようでございます。そういうふうに実情に応じまして下のそこが一本じゃなく、上にいろいろ等級をつけまして向上を期しているというふうな措置をやっております。
  135. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあ、それが行われればけっこうだけれども、どの程度徹底したものかは、これは実際の状況を示していただかなければわからないわけですよ。で、いずれまたそういう機会があれば、何か参考資料があれば資料をぜひ見せていただきたい。  それから問題はそういうグレードがあって、ある業者が非常な努力をして、そうして高いグレードに品物の水準を上げていくと、そういう努力をいたしておれば、事外貨獲得関係することだから、国としては私は相当なやはり奨励制度というか、あるいは精神的あるいは物質的な奨励制度というものを設けて、輸出貿易の生産に対して非常な熱意のある業者を刺激するような措置を私は講ずべきだと思います。そういう用意があられるかどうかを私は伺いたい。
  136. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 特に優秀な商品を生産しまして輸出したというものにどういうふうな制度を作るかということは特別には実はありませんで、先ほどちょっと御質問がありましたが、特別外貨の制度なんかで、やはりいいものにつきましては、それだけ余計な額の特別外貨の使用を許されるということを一つの方向にしております。結局規格の上のものは、それだけ輸出価格も高いわけです。それで従って特別外貨のワクも同じ数量の品物につきましてはふえて行くということであります。ただこれはそう大きな励みになるかどうかは問題がございますが、一般的には特別にそういうふうなものとしましては、現在のところはあまり経済的な援助政策というものは実は考えておりません。
  137. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体現状はそうだろうと思います。しかしもうここまできたら通産省は思い切ってそういう私は政策というものを断行すべき時期にきておるのじゃないかと思う。全部の産業を総花的に保護育成するなんということは、今日の段階では不可能に近いから、従って少くとも非常な勉強をして外貨の獲得にこれ専念するようなそういう日本の将来をほんとうに思ってやってくれる人に対しては、私は相当手厚いやはり政策的の保護を加えていいと思うので、そのほかの大ぜいの業者の人がかりにやきもちをやかれても、それはやく方が無理であって、そういう仕事に専念をすることによって国内産業というものが振興してくるわけですから、従って通産省というものは右顧左眄をしないで、そういう中心的な重要な任務を持って行こうとする業者については、これは徹底した政策を私は推進すべきだと思います。そういうことは、ほんとうは大臣に政策のことだから聞かなければいかぬわけですが、政務次官がおいでになるから政務次官から私の考えに賛成か反対なのかお聞かせ願いたい。
  138. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) これは御説のように通産省といたしましては、一般的な水準を引き上げて行く要があるということであります。これは今のお話のように、特殊なものに対しては特別の措置を講じたいということもまたごもっともなことであります。で、よく大臣ともきょうの御意見につきましては、こういう御意見がありましたが、というようなことを御打ち合せをしてみたいと思います。
  139. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういう御答弁をいただけば満足しますが、たとえばこの間の川島行政管理庁長官が百二十億ですか、補助金の使途不正事項があって工合が悪いという報告があったようですが、今の輸出奨励の意味で、そういう業者に百二十億を流してやれば、これは成果を上げると思う。だからやはり内閣の問題としてこれはやはり鳩山内閣は六カ年計画をお持ちになっているのだから、六カ年おやりになれば、ぜひそういうものを含めた大政策をお願いしたい。
  140. 海野三朗

    海野三朗君 私もちょっと今のに関連して……、昨年日本光学を見ました。そうしましたところが、あすこの社長自身が私どもと同じ専門の物理学の長岡先生の息子、あの人の説明もいろいろ聞いたのでありますが、光学方面はほとんど世界一流のレベルまで達しているのですね、昨今の状況は。そういうものに対してやはり通産省がどれくらい力を入れているか。今この輸出品の取締法の一部を改正する法案、これはまことにけっこうでありますけれども、ほんとうに世界の水準を抜きつつあるあの日本光学のようなものに対してはどういうふうな……、これをますます助けて行くという態度をとっていらっしゃるのか、どういうふうな具体的なものを持っておやりになっておりますか。輸出品には数が非常に多い、しかもその世界の常に水準をしのがんとして絶えずそれ以上のものができておる、これは実際そうなんです。私は説明を聞いて驚いたのでありますが、そういうものに対して通産省はやはり相当力こぶを入れていらっしゃるかどうか、もし、力を入れていらっしゃるとするならばどういうことをおやりになっていらっしゃるか、それをお伺いしたいと思います。
  141. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 光学機械の輸出につきまして力を入れておりますことは私は確信をもってお答えできますが、ただ、具体的にどういうふうな措置を講じているかということをおっしゃいますと、実は担当の局長が参っておりませんので、私も実は頭に残っておりませんが、光学関係の中で、カメラにつきましては、一つは生産態勢の問題があるはずであります。これは御承知のようにああいうふうないろいろな部品を組立てる工業であります。一番ネックはレンズシャッターであります。そういう点に一番力を入れまして、あまり専門メーカーの乱立しないようにという行政指導をやりまして、結局御承知のようにシャッターメーカーは二社ないし三社、レンズメーカーはもう少しありますが、比較的日本カメラでいいと言われているところはこのレンズシャッターでありますが、この辺はある程度の指導の効果を上げたところではないかと思っております。それから輸出面につきましては、いろいろ輸出入取引法関係なんかでいろいろ組合関係のあれを通じて措置をしておりますが、特別に経済的な援助をしておるということは私の記憶している範囲では実はあまりないように思っております。
  142. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ。昨年行きましたときにあのレンズも私ほしいと思ったのですが、えらい高いのです。それでだんだん話を聞いてみると、それは進駐軍の方には約二万円ほど安くなっている、どうしてそういう差があるかと私は不思議に思ったのですが、それが今日いわゆる進駐軍の方に行く場合にもやはり輸出品として高く売ろうというわけなんでしょう、今度のこの法案ではそうではございませんか。
  143. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 結局はそういうことになるわけであります。要するに、いわゆる輸出と同じようにちゃんとした検査を受けた規格に合った品物を売ってもらいたいということであります。
  144. 海野三朗

    海野三朗君 それで内地の人が買うにはやはり物品税が今は高くつくでしょうが、ああいうふうに物品税として、進駐軍の方に売る値段と、われわれが買うときにはえらい高くなるのです、同じ品物が。
  145. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) ただいま申し上げたことは御指摘のように、物品税が従価三割でありますが、かかっております。輸出品、あるいはPX納入品とわれわれが買う場合とはそれだけ違っております。
  146. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、今度はこの法案によってやはり検査したものはアメリカ軍の方にもやはり輸出品として売りつけるわけなんでしょうね。
  147. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) その点は現在すでに物品税法でPX納入品物品税は免除されております。実はこの検査の方があとから出たのであって、本来ならば並行して行くべきものなんですが、先に物品税がちょうど衆議院の森山委員お話のありましたように先に免税になります。おっかけてこの検査の方も輸出品と同じようにするのでありますが、そういう状況であります。
  148. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、やはり値段はどうなりますか、つまりわれわれがあの写真機を買うような場合にわれわれが支払う値段と、それからアメリカの兵隊が支払う値段はどうなるのですか。その高低にだいぶ違いがあると思われるが。
  149. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 海野委員のお買いになる場合には、これは写真機の小売商からお賢いになると思いますが、これにはメーカーの出し値に物品税をかけまして、それに途中の卸、小売のマージンをかけたものをお買いになるのですから相当高くなっております。PX外国人が買います場合は、これは物品税抜きで納めておりますので、これはメーカーの直売になりますか、あるいは卸売団体で売りますか私はよく存じませんが、それをPXが買い取って、それはどの程度手数料を取っているか知りませんが、内地の人が普通の写真材料店で買うよりはかなり安い値段で外国人は買うわけでございます。
  150. 海野三朗

    海野三朗君 物品税がつまり向うの人は違っているわけですか。
  151. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) そうです。輸出と同様になるわけであります。
  152. 三輪貞治

    三輪貞治君 大公使館、総領事館等はPXから買えるのですか、表向きからすれば。
  153. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) 私の知っている限りでは、駐留軍、あるいは国連軍の軍人、軍属、権限のある者に限っていると思います。
  154. 三輪貞治

    三輪貞治君 そうしますと、外国の大公使館、総領事館等が国内カメラを買う場合にはこれはやはり日本人が買う場合と同じということになるのですか。
  155. 森山欽司

    衆議院議員(森山欽司君) これは国によって違いまして、日本と相手国があるわけでありますが、その相手国で日本の外交官にそういう特権を与えている場合には日本においてもそういう特権を与えている、相手国がそういう特権を与えない場合には日本でもそういう特権は与えていない、そういう慣例によってやっているようでありまして、国によって違いがあるようであります。
  156. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  157. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  ほかに御発言もなければ質疑は終了したものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより討論に入ります。
  159. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今回のこの案をいろいろ審議してみますと、今後検査制度の整備を非常に要する点が多々あるように思いますので、将来検査制度のアンバランスを是正し、また全般の整備をせられるよう希望して賛成いたします。
  160. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御発言なければば討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより採決に入ります。  輸出品取締法の一部を改正する法律案、これを議題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手
  162. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは全会一致で本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容、議長に提出すべき報告書の作成、手続につきましては慣例によって委員長におまかせ願いたと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではそうお願いいたします。  なお、多数意見者署名を附することになっておりますから、これも順次御署名を願いたいと思います。   多数意見者署名     古池 信三  高橋  衛     山川 良一  三輪 貞治     上原 正吉  小野 義夫     深水 六郎  豊田 雅孝     河野 謙三  海野 三朗     栗山 良夫  藤田  進     白川 一雄  苫米地義三   ―――――――――――――
  164. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それから引き続きましてエネルギー対策の問題、それからこの間提案になりました石油の資源の会社ですか、ああいう問題について一括して問題に供したいと思います。間もなく大臣もお見えになるそうですから……。
  165. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) それではこの前のときに、総合燃料対策といったものについて通産省の構想を述べるようにというお話でございましたので、お手元にエネルギー総合対策というのをお配りしてあると思いますが、これはそれに該当いたしますので、御説明したいと思います。  これは去る五月二十日に閣議の了解を得たものでございまして、各種のエネルギーにつきましてはどういうふうな基本的な考え方で臨むかという点を概略お示ししておるわけでございまして、その次に昭和三十五年度までにおきまする各種エネルギーの供給の見通しを試算いたしたものをつけ加えておるわけであります。  最初の前書きでございまするが、これは今後の経済規模の拡大に伴いまして、エネルギーの需要がふえて参る、これに対してどういう見地から対策を講ずるかという点の基本でございますが、これは極力国内のエネルギーを有効に利用すべきで、足りない分を輸入すべきだと、こういうふうな自給度向上という見地を述べてあるわけであります。  それからその次に第二段としましては、各種のエネルギーにつきまして、ばらばらの対策では困りまするので、それぞれのエネルギーの総合的な視野に立った政策が要るではないかということを述べたわけでございます。これにつきましては、一つ国内資源を合理的に、かつ計画的に開発して参るということと、そうして、安価かつ良質なエネルギーを供給するということ。それからもう一つは、使い方におきましても、使用を合理的かつ効率的にする必要があるということを述べたわけでございます。  そこで、将来の問題としましては、一つは全体の総合的な需給の見通しがいかが相なるかということを考える必要があるということで、石炭、石油、天然ガス、都市ガス、電力等につきまして、総合的にかつ長期的な見通しを立てる必要がある。これは経済審議庁で立案しております六カ年計画に即応いたしまして、その一部になりまするエネルギーの関係の見通しを立ったわけであります。それがこの付表としてついておりまするものでございます。この数字は後刻御説明申し上げまするが、審議庁の六カ年計画の一部となったわけであります。  それからその次に各種の資源についてどういう対策を講じて参るかという問題でございまして、まず最初に申しますのが石炭の問題。石炭は、これは御案内のように、従来から石炭が高いということをいろいろ言われております。これにはいろんな原因もございまするが、一番の問題は、やはり、自然的条件が悪くなりまして、坑道が延び、坑内が広がりましてコストが上って参っておるということが、これが一番の日本の石炭鉱業の問題点でございます。そこで、これをどういうふうにして打開して参るかということは、結局はここにございまするような、一つは縦坑の問題、さらに縦坑はどこの山でもできるわけではございませんので、一般的に坑内外の機械化によりまして出炭の能率を上げ、コストを下げて参るということしかこれは方法としては一応考え得ないわけでございます。まあいわば一種の日本の石炭鉱業の若返りというふうな問題でございます。これにつきましては、終戦以来、当時の復金、それからその次の開発銀行という、そういうふうな財政投資も相当投じまして、近代的な炭鉱の若返りをさせたわけでございますが、なかなか急テンポでも参りませんので、今回新たにこれらの裏づけとなりまする総合的な石炭鉱業合理化臨時措置法案というものを考えまして、総合的な石炭対策の一環としてこれの合理化の問題を進めて参りたい、こういうように考えたわけであります。  それから、なお合理化を推進する上におきまして、御承知のように石炭関係には非能率炭鉱という言葉で一口に言われておりまするが、いろいろ、ほんとうの山らしくない山といった形の操業形態がございまして、これが好況期には炭価をつり上げ、不況期には炭価を投げ売ってマーケットを乱すというような問題もございますので、そういうふうな山を買い上げまして、そうしてこういうふうな非能率な出炭能力を削減するということと、それから、むやみやたらに非能率な坑口を開いて炭価を乱すということのないようにしますために、あえて坑口開設の制限もこの法案の中にうたうことにしたわけでございます。  それから今度は競争エネルギーの関係でございますが、これはこの(2)に書いてございまするが、従来石炭と重油の関係のいきさつを簡単に申し上げますると、終戦直後はむしろ国際貿易も開けておりません関係で、むしろ石炭復興中心に進めて参ったわけでございますが、その後、ある程度石炭の出炭が回復しまして、どうやら国内需要に追いつけるというような関係になっておりましたところへ、重油の方がだんだんと輸入の道が開けまして、しかもこれは、朝鮮事変当時には、タンカーの運賃も相当高かったものでありますから、石炭と相当な競争できる価格で売れておりましたが、だんだんとタンカーレートが下りまして、むしろ値段が非常に石炭より安くなって参ってきたということが一つと、それからもう一つは、冬場の需要期等におきまして、いろいろな労働争議等の関係で石炭の供給が円滑を欠いて、その結果需要家が重油の方に走ったというふうな関係もありまして、むしろ石炭よりも重油を選ぶというふうな傾向がだいぶ出てきました。当時通産省も重油の転換ということを熱管理の面からある程度進めて参ったわけでございまするが、そういうことで少し重油の消費がふえまして、一昨年あたりでは五百数十万キロにも上りまして、今後の鉱業の発展次第では相当重油の消費はふえて参る。普通ならば石炭の消費分野でしたものが重油に変ってくるということが起ったわけであります。これを考えてみますと、結局、一つは外貨収支の面から問題になりまして、当時の事情からいいましても、一億七、八千万ドル程度の外貨を使ってきた。そういう問題が一つ。それからもう一つは、石炭で済む用途に重油を使って、その結果石炭の方は販路がだんだんとさびれて、貯炭が激増しまして、困ったことになったというような状況になりました。そこでこの際国内の適正な産業規模を維持するという見地からと、外貨の収支の均衡化という見地から、この際この消費分野を適正に調整しまして、石炭で間に合い得る用途は石炭を使ってもらい、重油でなければならない用途は、これは重油で間に合わせてもらうというような方向を考えたらどうかというのがその第二点でございます。  なお第三点としましては、現在のような石炭鉱業の状態からいいますと、競争エネルギーを押えるだけでは済みませんで、むしろ積極的に石炭の分野の消費を、需要を拡張して参るということが必要でございます。そのためには新しい分野で低品位炭の発電、これはいわゆるボタ発電でございますが、まあボタとも限りませんで、それに類似の低品位炭の発電を促進して参る。それから、これはまだなかなかむずかしい問題でございまするが。石炭の完全ガス化の問題もこの際取り上げて参る。またその他の方面にも石炭消費を拡大していこうという対策を進めて参るというのがこの石炭対策であります。  それから石油の方としましては、これは御承知のように、国内での産油は全消費量の五%にも満たない状況でございまするから、しかも他方技術家の研究によりますれば、日本国内の石油資源はあながち捨てたものではなくて、探鉱の方法よろしきを得るならば年産百万キロリッター程度もあながち無理ではないだろうという結論もございますので、この際国内資源の開発を積極的に進めて参ろうということで、実は本国会に石油資源開発株式会社法案提出した次第でございます。  それからその次の(2)の問題は、これは石炭との消費分野の調整の問題であります。この一環としまして、一番石炭と重油とどちらでも使用し得る用途は、設備からいいまするとボイラーでございます。それで重油ボイラーにつきまして、新設はこれはできるだけ抑制し、既存の重油ボイラーもある程度転換してもらいたいということで、これまた法案としましては、重油ボイラーの設置制限の法律案を提案している次第でございます。  それから天然ガスでございます。これは実は今まで燃料資源のうちでは比較的開発のおくれている資源でございまして、ずいぶん方々にいろいろな賦存状況もございますので、これをもう少し開発をしまして、一つは都市ガスの方に進めて参る。それからもう一つは新しくガス化学の方に、これはいろいろな系統のガス化学が出てくると思いますが、その方面に有効に利用をして参ろうという考え方であります。  それからその次は都市ガスの問題であります。これは石炭対策の一環とも考えられまするが、むしろ広くいえば、これは日本の森林資源を保全する見地からも、さらに取り上げるべきではないかということの考えでございまして、これは経済審議庁にありまする資源調査会の勧告がたしか三、四年前に出ております。これによりますれば、家庭燃料としては、大都市あるいは中都市においては、むしろ石炭ガス中心で燃料をまかなうべきだ。それから農村においては、これは、改良かまどを普及して森林資源、ことに薪炭用材を節約すべきだというふうな結論になっております。それに沿いまして、都市につきましてはガス拡充の五カ年計画を定めまして、現在たしか二年目になっておりまするが、五カ年間に供給家の戸数にしまして約四割程度をふやして参りたい、現在二百数十万戸ありますが、これを三百万戸余へ持っていきたいということでせっかく努力している次第でございます。  それからなおこまかい問題としましては、都市ガスのやり方につきましても、天然ガスをできるだけ使って参る。それから石炭ガス化の問題も、これは完全ガス化の問題をできるだけ促進して参ろうという考え方でございます。この方面につきましては、いろいろ開銀融資等のあっせんも行なっている次第でございます。  それから電力でございますが、これはすでに御案内のように電源開発の五カ年計画というものをもって進めておりまするが、この考え方につきまして問題点がいろいろございまするが、一つは水火力の関係をどうするかという問題でございます。これはここに書いておきましたように、水力問題としましては、流れ込み式の小さい発電所は、これはできるだけ第二次的に考えまして、やはり主力は大きな容量をもった貯水池式の電源開発に重点を置くべきではないかという考え方でございます。これは日本の既存の水力は御承知のように調整能力の少い点が欠点でございます。こういう考え方で調整能力を持たせまして、あわせてコストの低下をはかって参ろうという考え方でございます。  それから火力の方は、これは日本の火力発電所は相当古い発電所が多いわけでございまして、熱効率は相当下っておるし、コスト高になっておるというような現況でございまするから、これは新しい能率の高い火力発電所を建設して、その一部をもって置きかえて参るという考え方が一つのポイントでございます。ここに新鋭火力とありますが、これは高温高圧の発電所で熱効率の高いものを総称していっているわけでございまして、それからもう一つは先ほど石炭で申し上げましたように、産炭地におきまする低品位炭あるいはボタ等を利用しました火力発電、これにも力を入れて参りたいというふうに考えておりまして、その一部はすでに実施の運びに移る段階になっておるわけでございます。  それから電気の問題で、もう一つは、発電コストの上昇の問題であります。これは当初五カ年計画を作ります際にも、これを完成の暁には将来相当この原価が上るのじゃないだろうかというふうに見られておりましたが、やはりその通りの傾向でございまするので、これは一方におきましては電力会社の企業内容の合理化を促進するのが当然でございまするが、同時に補償費等におきましていろいろな空気も見られまするので、これもできるだけ適正化して参るというような考え方もございます。  それからなおここに特にうたっておりませんが、いろいろここに金利、税制等の問題につきましても、もう少し検討を進めて参りたいというふうな考え方でございます。  それから最後に薪炭問題がございます。これは通産省から申し述べるのもどうかと思いまするが、先ほど申し上げましたように、森林資源の保全という見地から都市ガスの問題、それからもう一つは、先ほど落しましたが、地方の中都市におきましては、一挙に都市ガスまでいくまでに、練豆炭というような石炭系燃料の問題もあるかと存じております。それから農村では改良かまどの普及の問題、こういう問題を総合いたしまして薪炭材の節約をはかって参りたいというふうな考え方でございます。  それからこの終りの方に「金融上、税法上の措置」と書いてありますが、これはそれぞれの項目に応じまして措置して参りたいと思っております。財政投資の問題もありまするし、あるいは各種税法上の減免税の問題もあるかと思います。  なお石油関税の復活問題でありますが、これは国産原油の開発促進という見地等も含めまして国会に提案をした次第でございまするが、衆議院の方の御審議は終ったように聞いております。  それから、なお将来の原子力問題でございますが、これはここ五年や七、八年ですぐ日本の原子力資源を利用するということはできませんが、やはり将来の、二十年三十年先を考えますると、この原子力エネルギーの利用という問題も当然考慮していくべき問題でありまして、御承知のように今度濃縮ウランの受け入れ問題も一応レールに乗り始めましたから、これらの問題を明らかにしまして、原子力エネルギーを将来どういうふうな方面に使うかにいろいろな問題があると思いますが、これをできるだけ産業的に使って参りたいというのがこの考え方でございます。  それから付表といたしまして将来のエネルギーの供給と見通しをつけております。これは各種のエネルギーを一応石炭に換算いたしまして、これは六千五百キロカロリーの石炭に換算いたしまして、相互間の構成等がわかるようにしたわけであります。  最初石炭は三十五年に国内産五千万トン、輸入炭二百八十万トン程度は、これは品質上の問題からしましてどうしても輸入しなければならないだろう、五千二百八十万トンというふうな見通しでございます。これは二十九年度に比べまして一五%の増加になりまするし、全体のエネルギーの構成比から見ますと三九・六%、二一九年の四一・七%から比べますと若干下りますが、これはあとで何しますように、電力の増加の結果総体的にウエートが下つたのじゃないか、こういうふうな見通しでございます。  それから電力でございますが、これは先ほどお話しいたしました五カ年の計画後、これはたしか三十三年度で終っておると思いますが、その後通産省で引き続いて考えておりますものを入れまして、一応水力で五百九十八億キロワットアワー、これは石炭に換算いたしますると四千六百万トン程度になるわけであります。構成比は三六・三%で、これは二十九年度の三三・五よりだいぶ伸びました。また量的にも三割の増加を示すわけであります。なお火力の方は、これの水に見合います量を一応二百七億キロワットアワー、石炭換算八百五万トン、こういうふうに一応推定いたしております。  それからその次の石油でございますが、これはこの表の中に内訳を作ってありますように、国産原油は五カ年計画の推定によりまして年産百万キロリッター、これに輸入原油千二百万キロリッターを考えまして、これを精製いたしまして、千百七十万キロリッター、これに足りない分、これはおもに重油かと存じますが、三十七万キロ入れて千二百万キロリッターの需要があるのではないかと考えております。これは三十九年度に比べまして二割七分の増になっておりますが、この増加のおもなものは、これはガソリン系統でございます。だんだんと車両の運行量もふえて参りますので、やはりガソリン系統が相当ふえて参る。そうしますと、それに見合う原油を輸入いたしますれば、結局重油の方は精油よりも少くて間に合うという状況でございます。  なお鉱工業用の重油等はそう大きく伸ばすという考えはございません。現在程度に将来見通し得る若干の伸びを考えておる。たとえば発電等に若干伸びがございましたので、そういう程度を考えておるわけでございます。むしろ燃料として、重油の需要増加も、石炭の使用可能なものはむしろ石炭を使ってもらうという考え方で、この表を試算しておる次第でございます。  それから亜炭でございます。これは大体横ばい程度かと存じております。  それから天然ガス、これは今後積極的に開発を促進して参りますと、大体二倍半以上にふえるのではないかと考えております。おもな用途は、先ほど申し上げましたように、化学工業方面、それから都市燃料が中心になります。  それから薪炭材でございます。これは私詳しい説明の能力はございませんが、大体現在九千八百万石程度、原木石でございますが、これが人口増加等も考えますと、やはり少しふえざるを得ないだろう、もちろん先ほど申し上げましたような方向でできるだけ節約をはかって、といいましても、やはりある程度は増加傾向にあるのではないか、こういうふうに考えます。全体としまして五カ年間には二割程度総エネルギーがふえて参るのではないだろうかと思っております。この間の鉱工業生産の伸びとも、大体この辺の数字で相応して参るだろうと思っております。  なおこの備考としましていろいろ各種エネルギーの換算基準を示しております。まあこの率につきましては、いろいろ意見もあるようですが、これは資源調査会の換算率をそのまま採用いたして、これによって換算いたしたいと思います。大体こういうふうなことでございます。
  166. 河野謙三

    河野謙三君 大へん御親切な資料をいただいたのですが、ただこの資料は、要するにエネルギー源の供給面だけの資料ですね、今後三十五年までにどれだけ増強するという場合に、われわれこの資料を検討するには、縦の半面である利用面の説明資料がいただきたいと思います。たとえば三十五年まで日本産業構造をどういうふうに変えて行く、重工業はどうだ、軽工業はどうだ、農業はどうだ、特に軍需工業はどうなる、そういうものからむしろ逆算してこういうものが出た、これが出てあとから需要面が出るのではない。需要面、すなわち産業構造の構想の面からこういうものが出て行くのだから、そういうものについて多少触れられましたが、重要な産業部門別に、三十五年までの何か計画というものは当然あると思うのですが、なければこんなものはないわけです。その資料もいただけますか。
  167. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 大体お尋ねの資料は、経済審議庁の経済六カ年計画の内容に該当するわけであります。その関係の資料のうちで直接これと関係いたしますものは、取りまとめましてお手元にお届けしたいと思います。ただお答えしておきますが、経済審議庁の六カ年計画も、こまかい内容の細部にわたりますと、ことに年次別等になりますと、なかなか固まっていないところもございまして、実はわれわれの方である程度途中の橋渡しは推計したものはございますが、そういう点の資料相互間の若干のつなぎ合せの不備な点は御容赦願えますれば、一応裏づけの体裁も整えておりますので、取りまとめてごらんに入れたいと思っております。
  168. 河野謙三

    河野謙三君 これのねらいは、要するに油の方をできるだけしぼって、そうして石炭の方に切りかえて行きたい、これが一つの大きなねらいですね。そうだとすれば、幾らそういうふうな方途をもっておられても、一面需要面の方でどうしても石炭をもってしては切りかえ得ないのだという工業が今後の計画にどういうふうになっているのだということがなければ、われわれ検討の材料にならぬわけですね。特にわれわれ聞きたいのは、軍需工業というのはどうなるんだということなんです。軍需工業のウエートは三十五年までにどういうふうに変化して行くんだということもこれと非常にうらはらの関係があるわけです。機密に属することは機密に属するで仕方がありませんが、やはりわれわれはこの計画が果してどこまで妥当性を持っているかということの検討は、今私が前段に申し上げた資料をできるだけ政府の事情の許す範囲の最大限度においてわれわれに説明をしていただかなければ、私ただこれだけもらっても意味ないと思う。それをぜひ親切、丁寧に一つ資料をいただきたい、こう思うのです。
  169. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちょっと補足して数字を伺いたいのです。二十八年から三十五年まで人口一人当りにしますと、エネルギーの総供給見通しは何トンずつに、どれくらいになりますか。
  170. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) ちょっと今その点計算しておりませんので、次回に御報告したいと思います。
  171. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体三十年度を見るというと、八千八百六十九万トンですからね、一番下の国産エネルギーというところ、一人当り国産だけならば一トンということになるわけですね。輸入エネルギーを入れるというと、これが千七百六十八万トンでありますから、もう少しふえるでしょう。それで私が記憶している数字より少し実績が多いような気がするものですから、質問したわけです。それでついでにアメリカその他欧米各国の一人当りのエネルギーの消費量がどれくらいになっているか、これを参考にやはり伺いたいと思うのです。
  172. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 承知しました。次回に手はずして提出いたします。
  173. 苫米地義三

    苫米地義三君 このエネルギーの問題でちょっと質問したいのですが、今のあがっているエネルギーというのは、電力、石炭、石油と、この三要素だけなんですね。将来は当然原子力のエネルギーが加わるわけです。ところが、日本では地熱の問題が相当に有望だと思う、火山国である限り。イタリーが実行しておるような地熱の研究というものは考えなきゃならぬ。もう一つは、潮流の日本海と太平洋との落差を利用する力の応用という問題も当然考えなければならぬ。そういう点については何かお考えになっておるでしょうか、どうでしょうか。
  174. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 地熱発電の問題につきましては、あるいはすでに御承知かと存じまするが、工業技術院におきましてこの利用研究の方法を進めて参りまして、一昨年からでございましたか、別府の郊外に試験的な設備を設けましていろいろ研究いたしたわけでございまするが、まあ現在の段階でその結果を云々するのはまだ早いかとも存じまするが、どうもこれは場所のせいかもしれませんが、ガスの噴出量等がコンスタントでなくて、若干硫黄を含んでおるというようなことでなかなか利用しにくいというようなのが一応の結論だったようでございます。それからさらに一年おくれまして、昨年からでございまするか、鳴子温泉の近傍でも工業技術院でその試験を行なっております。これはまだ結果を聞いておりませんが、一般的に言いますると、どうもどういうわけか知りませんが、日本の地熱の蒸気の噴出量がこれをすぐ発電エネルギーとして利用するにはまだ少し問題がありやせんかというふうな結論のようでございます。  それから潮流のエネルギーの利用の方でございますが、これはいろいろなヒントはあるようでございまするが、現実にこれを取り上げて私の方ではまだやったことございませんが、民間の方でいろいろな企てがあるようでございますけれども、これは取り上げてやりまするかどうか、ちょっとまだわれわれの方もそこまでまだ踏み込んでおらないような次第でございます。
  175. 苫米地義三

    苫米地義三君 新しいものですから、相当研究と努力をしなければならぬわけですね。ところが、地熱の問題は、パイプの材質の問題なんです。材質の問題は、これはたとえば日本でチタン工業が発達しているというような場合に、チタンの合金でも使えば簡単に片づく問題なんです。だから、そういう問題は投げないで研究してもらうように政府はこれに努力するということを怠ってはならぬので申し上げたわけなんですが、今一時やった人が失敗しても、続いてそういう恒久資源ですから、それを助成するという気持を政府が持つべきだと思うのですが、その点はどうですかな。
  176. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) お話のような考え方で進みたいと考えております。
  177. 海野三朗

    海野三朗君 関連質問。研究費に一体何ぼ出しておられるのですか、私それを伺いたい。別府のあの研究にしたって、鳴子のやつにしたって、今苫米地委員が言われたように、少し金をかければ、パイプの侵されないやつを使えばわけはないのですよ。それが予算で縛られて研究しろ研究しろといって金もろくに出さないでおっちゃだめなんで、どれだけそういう方面に金を使っておられるか、研究者の要求額はどれだけであって、どれだけ金を出しておられるか、まずそういう点僕は伺いたいと思う。
  178. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 今日工業技術院参っておりませんので、後刻適当な機会に御報告したいと思います。
  179. 苫米地義三

    苫米地義三君 それからもう一つ石炭の問題ですが、石炭の利用研究については、何か新聞で拝見すると相当努力がなされておる。新しい化学工業の問題ばかりでなくて、現在の燃料炭を半成コーライトにしますと強粘結炭のかわりになることはもう長い間研究しておるし、日本でも特許もあって相当八幡製鉄で研究中ですな。そういう問題は日本国内の資源を利用して海外の輸入を防ぐということになるわけですな。そういう点をもう少し政府から、客観的な考え方ですね、これをもちろん援助するというふうなことは考えていいと思うのですが、どうですか。
  180. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 工業技術院資源技術試験所長が参っておりますので、一つ専門家のお話をお聞きとり願いたいと思います。
  181. 黒川真武

    説明員(黒川真武君) ただいま御質問ございました石炭の乾溜によりまして、半成コークスを使って煉炭原料を作るというお考えを、お尋ねがございましたが、その点につきましては各方面で研究しておりまして、ただ従来は石炭ないし亜炭というものを選びまして、そしてそのかたまりのまま蒸し焼きにいたしまして、そしてそれを粉にして煉炭の原料にしておったのでございます。それでも相当使われておりました。しかし御承知のように、石炭価格というものが打ち出されまして、現状におきましてそれをより有利に持っていこうというようなことで、国といたしましても、私どもの資源試験所におきまして、数年来研究いたしました。これはたとえて申しますと、亜炭のようなものでもよろしいし、石炭でももちろんよろしいのでありますが、そういう炭鉱から出た粉炭でございます、価値の少い粉炭を選びまして、灰の少い部分を取りまして、これを流動乾溜と申しまして、一つの炉の中で熱風で吹き上げます。そういたしますと、吹き上っている間に乾溜を受けまして、そして粉のコークスができてしまう。そういたしますと、従来このかたまりのまま乾溜しておりますのに乾溜時間が十ないし二十時間要るわけでありますが、粉のままで乾溜いたしますと、わずかに三分か五分で乾溜が終ってしまいます。しかも、そういう流動状態でやりますから、きわめて小さい炉でたくさんの量を処理することができますので、そういう関係上、昨今各炭鉱におきまして非常にこれに目をつけまして、石炭価格の一端としてこれを実現しようというふうに努力しつつございます。炭鉱の名前を申し上げてもよろしいのでございますが、たとえば大平洋炭鉱であるとか、あるいは雄別炭鉱であるとか、あるいは羽幌炭鉱であるとか、その他九州あたりでもいろいろ考えております。こういうことができますと、従来煉豆炭に必要な、インドシナのホンゲイ炭というものが入ってきております、無煙炭でございますが、これはある程度、大部分入れないでいいようなことにもなる問題になって参りますが、ここにサンプルがございますので、お目にかけられるかと思うのでありますが、これがもとの粉炭でございまして、こちらの方が三分間で乾溜したものでございます。あとでごらんいただければけっこうだと思います。これが昨今非常に普及してきたと思います。
  182. 苫米地義三

    苫米地義三君 非常にけっこうだと思うんですが、私の申し上げたいのはそればかりでなく、今の普通の燃料の灰分の少いのを低温乾溜して半成コーライト、これをエックス・コールと言っておりますが、このエックス・コールを普通の弱粘結炭にまぜますと、アメリカから輸入しておるケイキングコールは要らなくなる。そういう点は、これはもうちょっと政府が手を添えてやればはっきり利用ができることになると思いますので、そういう点を一つ御考慮願いたいと思います。
  183. 黒川真武

    説明員(黒川真武君) 今の問題も大へん重要な問題で、戦争中には相当重要視された問題でございます。それでエックス炭と申しますのは、今のやはりおっしゃった低温乾溜のコークスを日本の粘結炭にまぜますと非常にかたいコークスができて、七百トンないし千トンという大きな溶鉱炉で鉄が溶けるということでございます。これは北海道の夕張炭その他特殊の日本の粘結炭には有効でございますが、日本の粘結炭と称する炭に全部が有効ではないのであります。そこでわれわれといたしましても、当時まあ占領時代でございまして、一種のアドバイスを受けまして研究をいたしました。その結果、膨潤炭というものを発明いたしました。これは日本の粘結炭と、それからコークスを作るときに出て参りますコールタールのうちの比較的比重の高い油分、たとえばアンスラセンと申しますものがありますが、そういう油と一緒に加えて煮まして、化合させますと、ピッチのようなものになる、これを私どもは膨潤炭と申しております。これは日本の発明でございます。これを日本の粘結炭と称する二瀬なり、高島なり、ああいう炭に一割ないし二割加えます。炭の種類によってはお話の出たエックス炭を入れるか、コークスの粉のようなものを多少入れますと、米炭を入れたときと同じようなかたいコークスができると思います。ところがその当時は米炭が三十三ドルとか、あるいは三十五ドルという高い値段でございましたので、これが相当引き合いに出たのでございます。ところが昨今のように、米炭が十八ドル程度になりますと、わざわざこれを作ってやるということはコマーシャル・ベースに乗りにくいというようなことで、現在は米炭を入れてしまっている、しかし私の計算によりますと、大体米炭が二十三ドル前後になりますと、こちらの方が有利になってくる、こういう計算になっております。そういう関係でございます。
  184. 苫米地義三

    苫米地義三君 大体そういう結果を拝聴して満足いたしますが、私は八幡の製鉄所ですね、この工場は若松付近にありますが、その隣に高松炭鉱がありますのでこの石炭を利用して低温乾溜をやっている元の日産液体燃料会社でありますが、あそこでやってりっぱに使えた、ただ朝鮮ブームのために普通の燃料炭がべらぼうに高くなったから採算がとれないと称して使わないのですが、これは国策の点から言いますと、必ず引き合うものだと思いますし、合理的なものだと思います。ぜひそういう点は石炭の利用合理化の点から考えても国として一つ重要視していかなければならぬと思いますので、その御注意だけ申し上げて私の質問は終ります。
  185. 海野三朗

    海野三朗君 今のに関連いたしまして。愛知通産大臣のときに、去年私は石炭の、製鉄用の石炭、つまり外国炭をたくさん入れる。その外国炭は粘結度が高いから、耐熱度が高いから溶鉱炉に入れるにはどうしても外国炭は入れなければならぬという理由相当の石炭が輸入されている。その際に私は口をきわめて去年のこの商工委員会において私は述べたのでございますが、それは何であるかと申しますと、内地炭でも十分かたいコークスができるのです。それは私が八幡におりました当時に、僕と一緒に机を並べてやっておりました田所という理学博士が十有余年かかって非粘結性の石炭が粘結することをやったのであります。それは完成しました。実験室においてはりっぱにでき上ったのです。なぜこの方法をもっと通産省が活用しないかということをこの前述べたときに、愛知通産大臣は、これに対しては十分考慮するという答弁をせられた。その後内閣がかわって、今日通産当局にお伺いしますのは、いかなる手をお打ちになったか、去年以来。あの当時私が口をきわめてこれを言ったのでありまするが、その当時はただ当座のがれの御返事だけだった。それに対してどのくらいの予算をお取りになって、またその研究の成果を生かそうという熱意を示されておるのであるか。ただ朝三暮四のことばかり通産省がおやりになったのでは、いつまでたったって解決できない。果せるかな、石炭の合理化法案が今日ここに出てきたでしょう。私はそれをあらかじめ去年口をきわめて言ったのです、この商工委員会に。それは当時の私が述べたことは、今日政府委員の方々でもおわかりになっておられる方がそこらにおいでになっておると思うのですが、この石炭の粘結性についてどれくらい努力をお払いなさったか。それをやれば何も外国炭を入れる必要はないのだ。それをやらずして、怠慢もはなはだしい。今日石炭が困るからといってこの法案を出してこられるなんというのは、私は燃料対策について全く怠慢もはなはだしいと考えるのでありますが、この点については当時おられた政府委員の方がよく御承知のはずなんです。愛知通産大臣に私は強くこれは要請したのであります。で、その八幡で粘結性のことを研究した人は、今高知県の工業試験所長をやっております。なぜその学者を活用しないかということも私はこの前詰め寄ったのでありますが、その後いかなる手をお打ちになったか、それをお伺いいたします。
  186. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) この前、この問題につきましては従来再三海野先生からお話がございました。実はわれわれの方も、これは私の方と申しますよりもむしろ使用者側の鉄鋼関係、官庁で申しますれば重工業局、すなわち需要者の方の問題でございますが、そのことをしばしば申し入れをいたしたわけでございます。ただ、この問題につきましては、あとで技術者であります資源技術試験所長からも答弁いたしますが、従来の研究では、海野委員お話のような事実は確かにある、ただ乾溜温度が非常に高くなりまして、従って経済的に非常に不利になるという点で、理屈はなるほどその通りであるが経済的にはちょっと問題にならないんじゃないかというのが、現在われわれの方で調べました需要者あるいは通産省の所管の技術者の一致した意見でございまして、その関係で現実に入炭を切るというふうなことは困難であり、また試験研究も、従来のそういうやり方ではすべてある温度以上に加熱いたしますれば粘結性を示すのでありますが、しかしそれは経済的に見て非常に不利だということがもうわかっているのだから、あらためて特別の研究をする必要もないというふうな、これは私の意見と申しますよりも大体関係の技術者が皆そういう意見でございましたので、そのようにどうもいたし方がないのでそのままになっておるわけでございますが、その技術的の意見につきましては資源技術試験所長からお答え申し上げます。
  187. 海野三朗

    海野三朗君 ただいま温度が高いとあなたはおっしゃったが、何度くらいなんですか。どのくらい高いのですか。
  188. 黒川真武

    説明員(黒川真武君) 私は前のお話を聞いておりませんので、はっきりお答えできないと思いますが、しかし大体粘結性を増す方法というものは二、三種類ございます。一つは、ただいま申し上げましたような膨潤炭をまぜる方法、それから一つは、先ほどお話がありましたチタンをまぜる方法、あるいはまた石炭を特別に選びまして、石炭の中から粘結する部分だけを選び出してそしてコークス化する方法、あるいは石炭に水素を作用させましてコークス化する方法、それから石炭を二段乾溜と申しまして、一応低温で乾溜いたしまして、乾溜したコーライトを粉にしまして、ピッチをまぜて、そうしてだんごにしまして、もう一ぺん乾溜するというようないろいろな方法がございます。現在いずれにいたしましても、アメリカ炭があまりにも私の見るところでは、日本炭に比べて安過ぎる、安過ぎるということは結果は大へん困ることになりますが、安過ぎるためにいわゆる相対的考え方からいきますと、どうしてもアメリカ炭を使いたがるというのが現況でございます。そこでただいま安くなってきたということは、すなわち直ちに船賃その他が安くなってきたということも原因いたしますが、日本においてエックス炭の発明、あるいは膨潤炭の発明があるということで、相当そういう技術の裏づけがあるからこそ、値段をある程度引き下げたというふうにもお考えいただきまして、過去の粘結炭に関するいろいろな先生方の研究に対して一つお考えをいただきたい、こういうふうに思っております。
  189. 海野三朗

    海野三朗君 私のお伺いしたのは、温度が高くてケーキングに困るとおっしゃるから、温度は何度に高いのですかと私は今伺った。御承知でなければ私が申し上げてもいいです。コークスを作る温度は千五十度です、摂氏炉内温度が千五十度乃至千二百度で、普通粘結炭はそれを千二百度までもっていきましたらほとんどケーキングをやります。御承知であろうと私は思いますけれども、石炭には鉄鋼と同じように、すべての石炭にはトランスフォーメーション・ポイント、変体点というものが必ず四つあるのです。これは世界的の発見なのですから……これは過去十五年にわたって私と机を並べておった田所がやった。その四つの変体点が粘結するというやつは、比較的低い温度のところにあるのです。それを強くさえすれば皆かたまる。ところが粘結しないやつというのは、その変体が比較的千度以上において、千度以上までもっていきますと、ことごとく粘結して、粘結度も八十八九、九十くらいになる。ですから今温度が高いからとおっしゃったけれども、百度の温度を高めるのにお困りだというのか、その設備をやってごらんになっていないでありましょう。で、ただ単に温度が高くならなければならないからというような対岸の火災視しておっては私はならないと思う。研究した結果を私は現に目撃した。現に作ったコークスも見て知っている。ですからして、もう少し通産省が力を入れてこの粘結するところのコークスを作ることをやって、そうして民間の方を指導してやりなさったならば、国内の石炭が非常に使われるのではないかということを、去年そのことについては私は力を入れて通産大臣にお話を申したのであります。その後、通産省の今のお話によるというと、熱意がないと私は思う。通産省はそれですから私は重ねて申し上げますが、研究費を何ぼお使いになっているかということを言うのです。そこから出てくる問題なので、私は熱意がないというように特に考えておりますが、いかようにお考えになっておるか、その点を一つ私はお伺いいたしたい。温度が高いとおっしゃるから私は温度を伺った、御承知なのかと思ったらはっきりおっしゃらないから、ただ馬耳東風にお聞きになって、温度が高いからと、いわば食わずぎらいをやっているような、そんなふまじめなことでは、日本の通産行政というものはたまったものではないと私は思う。私ははっきりこれを申し上げたい。この人間はどこにおって何をしておるか、今黙々としてあの研究者は十五年の間やった研究が埋もれているじゃないか、これは私は何とかして生かして国家のためにしなければならないのだ、そういうことをおやりになるのが通産省の立場でないかと私は思うのです。先ほどお答えになったその御答弁では私は満足できません。そういう点については通産大臣はいかようにお考えになっておりますか。私は昨年通産大臣の愛知さんにこれを強く要請をいたしたのです。そうして国内の石炭業者を救うてくれということを申し上げました。そのときの速記録を見ればはっきり書いてありますよ。私はただこの法案を通すために遊び半分にやっているのではないのです。私らのこの委員会にあってはほんとうに国民の流れる血潮を考えてやっておるのだ。もう少し真剣に通産当局はお考え願いたいと私は思う。通産大臣の一つの御所見を承わりたい。
  190. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いや、海野さんの御意見まことにごもっともですが、私は技術者でありませんから技術の方はわかりませんが、一体それほど有利なものならば八幡製鉄でなぜやらないのでしょう。それは政府もさることながら産業家自身がもう少し奮発しなければいかんと思います。あなたがいらっしゃった八幡製鉄がどうしてそれを採用しないか、私は実は話を伺って不思議に思います。
  191. 海野三朗

    海野三朗君 八幡製鉄でこれを考えまして、東京の学界に来て講演して来たのです、一度。そうしましたところが、当時名前を言うとなんですが、八幡製鉄の頭の方が、何だおれに一つも知らせないで、だしぬけに東京に行って発表するなんておれは知らぬ、そんなもの、それで金を出さないのです。そういうふうな空気なんです、あそこの空気は。何だおれに言わないでだしぬけに東京に行って発表するなんて、おれは知らぬ。そのときに予算二十万円を要求しておったのでありますが、とうとう予算を出さない。これは御承知のように八幡は元通産省のあれですから、今でもまだその気分がありますけれども、それでね、とうとうやらせなかった、金を出さなかったのです。私はここにおいても限りなき憤りを感じたのです。研究でも何でもとにかく位置が仕事をするのですからね。せっかく黙々として研究したものは実験室の中で埋もれてしまっているのです。ですから私はこれを通産省に要求いたしましたのは、通産省の方からその人を、あるいは呼ぶなり、そうして講義を聞くなりして、そうして通産省は先頭に立って製鉄方面にやったらどうかということまで言うていただいたら私は少しは目をさますのではないかと考えていたのです。通産省から言われるというと八幡製鉄あたりもまるでネコにネズミでありますからね、おそろしいのですから……、(笑声)これは実際そうですよ。しかしあの内部においては今申し上げましたように、何だおれに黙ってだしぬけに東京に行って講演するとは、わしは知らぬ。こうやった人間は今はかわっておりませんけれども、そういうふうな先輩がおったのです。そういうふうにして私らは頭を盛んにたたかれたものでありますから、こんなところに実は参上いたすこととなったのです。(笑声)
  192. 小野義夫

    ○小野義夫君 今、海野委員からもいろいろ八幡製鉄に関する一種の御非難の声が出ておりました。今日御出席の政府の方には関係者があるかもしれませんが、私も通産大臣にこの機会において八幡製鉄というものがいかにまあ行政というか民間との折衝その他非常にまずいということの一例を申し上げたい。それは今日鉱業界で非常に問題になっておるところの硫酸滓という一つ日本の重大な鉄鉱があるのです。これはものによりましては五〇%以上含んでおります、鉄分を。あるいは六〇%に近いものを含んでおる。これらの鉄鉱を法外なる値段をもってたたいておるんです。それはいろいろな難くせをつけてたたいておる。これがために、あるわれわれの鉱業業者は近ごろ八幡などにやらないで自分で独立して鉱滓を処刑するといって一つのそういう企業をやっておる。ところがその会社はそれで大きな会社だから、企業でそれでよろしいけれども、小さな会社ではそういうわけにはいかない。自分で自分の硫酸滓を処理するということはやはり八幡とか富士とかいうところに持っていかなければならぬが、その技術人と購買係というか非常に固陋な一つの八幡製鉄固有の、これはあるいは富士製鉄にも伝染しているかもしれませんが、日本の製鉄会社というものが進歩改良をはかるよりは非常な旧式を墨守して新しい時代に対処するという能力のないことはこれは非常な定説です。それからまた最近において外国で鉄鉱石、現在使用しておるものと同じような品位のものを開発しておる、そうしてこれを八幡なりその他に売り込もうとしても、りっぱなものであっても従来のものを保護してそれを新しく入れてやらない、これも非常に大きな業界の非難になっております。今私どもは、技術の国際的に非常に進歩しておるところでは非常ないろいろな努力を払ってやらなければならぬのを、そういうような技術面なり、あるいは営業面の改良というものはまるで行われず、やはり一つの独占企業の形をとって、そうして関連産業その他に対して新しい道を開いておらぬというのが現状日本の製鉄業のあり方ではないかということを痛感するのです。たまたま今、海野氏から非常な痛烈なる非難攻撃がありましたけれども、これはほかの方にもやはりそういう現状についても内地の鉄鉱石というものはくせのある悪いものです。たとえば砒素があるとか、硫黄があるとかその他ありますけれども、これは処理の方法いかんによっては除去することができるんです。現にドイツというような国は無尽蔵のいい鉄鉱を持っておるわけではない。あるいは世界からくるところの硫酸滓につきましても特殊の処理方法をもっている。それらの技術を日本で取り入れないでおいて、そうしてその非常に鉄鉱の悪いところを指摘していろいろな値段もやる。またマンガンのごときにおいても少し外国から入ってくるというと、日本のマンガンの鉱業者はほとんどたたいてしまう。またなくなると、またやるというようにほとんど関連産業の保護育成もしくは新技術の採用等について盲目であるということだけはこれは私は海野委員と同感でありますから、この際通産大臣は製鉄業のあり方について根本的な一つこの際御検討をわずらわしたいと思います。
  193. 海野三朗

    海野三朗君 ちょっとそれについて。そこで今私るる申し上げましたが、かつて研究したその田所氏を呼んで、お前はどれくらい金があれば実験できるんだということでもって通産省が一つやらせてみるといい、そうして使われるようになったらばかくのごとくやれというふうにもって行きなさったらどうかと私は思うのです。大した金は要りませんよ。炉を作ってみたって何億と金は要りやしません。そういうふうにおやりになったらいいのじゃないかと私は思いますが、通産大臣の御所見はいかがですか。またその研究者は現にかくしゃくとしております。
  194. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 御注意の点は十分一つ研究いたしましてできるようにいたしたいと思います。
  195. 苫米地義三

    苫米地義三君 私は海野さんの先ほどのお話を非常にごもっともだと思います。それから小野君の言われたこともこれは確かで、私も体験を持っておる。三十五、六年前に日参して、ただで使ってくれといって硫酸滓を頼み込んだ。それでも容易に使わない、研究しようともしない。それが、しかし幸いにも今日は約百万トン近く使っておるのです。日本には鉄資源がたくさんあるのですから日本独自の鉄鋼政策というものを樹立する必要があると私は思っておりますから、それはまあ他日申し上げますが、今の石炭の問題は高温乾溜でない、六百度ぐらいなんで低温乾溜なんです。だから低温乾溜をしたものを現に八幡製鉄ならば高松炭鉱を抑えておけばできる。それで商業ベースになればべらぼうに高いというならばこれはしようがありませんが、私は高くないと思う、副産物やなんか計算しますと。それだから製鉄業の特殊性も先ほどお話しがありましたが、これは政府の力で国策に順応するような指導なり奨励をしていくことによって初めてできるのですな。その点を私は御注意申しておきたいと思うのです。もう御答弁要りませんから……。
  196. 三輪貞治

    三輪貞治君 私は資料の要求をいたしたいと思います。この前河野委員から要求があったのですけれども、石油を使った場合と、石炭を使った場合でコストに及ぼす影響ですね。これをもっとこまかく業種別、それから地域で違うと思うのです、輸送賃の関係もありますから地域別、それから同じ業種の中で工程によってもまた違う場合があろう。そういう業種別、地域別、工程別のコストの違い、これを一つ出していただきたいと思うのです。  それからきょういただいた資料の中で各種エネルギー供給見透し試算表なんですが、これで見ますと石油製品の部で生産品が二十八年度の五百七十四万トンから三十五年は千百七十万トンに非常なカーブを画いて上昇し、他方輸入品が三百四十二万トンから三十七万トンというふうに減少している。これは戦前のいわゆる製品中心主義から戦後、最近特に原油中心主義に変ってきつつあることをば物語っておるわけですが、これはどの辺で一体、これは事務当局に伺いますが、どの辺でこの線はクロスしたのかですね。
  197. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは別段原油中心主義とか、製品中心主義というのではございませんで、御承知のように原油を入れて精製いたしますと、これは原油によってこまかい点は違いますが、大体ある程度の比率でガソリン、それから灯軽油、重油が事実上出て参ります。ところが他方日本の消費需要の方は、ガソリンの方はこれは車両が中心でございますが、だんだんふえて参る傾向でございます。ところが重油の方がこの二、三年来先ほど申し上げましたような事情で急激にふえまして、そうしますと原油から精製して参る重油ではとても足りなくて製品輸入を相当多量に入れざるを得ない、こういうような状況であったわけであります。それをだんだんにガソリン・ベースに合せまして原油を入れて精製して重油を求めて参りますと、だんだんに輸入製品、重油の製品輸入は減って参るということになるわけであります。それはこの表は大体そういうことを示しているわけであります。  なお設備の方は精製設備は相当ございますので、三十五年度にこの程度の輸入原油の処理は大体現在計画中のものを入れますればできる見込みでございます。
  198. 三輪貞治

    三輪貞治君 製品主義とか、原油主義というのは当を得ないかもしれませんが、しかし事実がそうなっていることはこの数字を見ても、またこの前の数字をずっと検討すればわかることで、戦前製品をたくさん輸入してそれを原油で補うと申しますか、製品が中心であったのが最近こういうふうに生産品の方が増して、しかもそれが三十五年においては製品は一割減少するということははっきり数字に出ておるわけで、その製品主義がいいのか、原油主義がいいのかということは私もよくわかりませんが、その利点ですね。いいから原油主義に特に変りつつあるのだろうと思うのです。その辺一つ通産大臣の、特にこういうふうに製品がかなりな部分を占めておったものが三十五年にはほとんど製品は現在の一割に減るというこの根本的なお考え自体をまずお伺いしたい。
  199. 川上為治

    政府委員(川上為治君) その原油を入れてそうして精製して製品として販売した方がいいか、それとも製品を入れた方がいいかという問題でありますが、この問題につきましては従来通産省におきましては、これは戦後でごさいますけれども、終戦後におきましては大体原油をよけい入れまして、そうして製品は補充をして一部入れようというような、どっちかと申しますというと原油中心というような考え方で参っております。それはなぜかと申しますというと、原油を入れまして精製して販売した方がまあいろいろな点において利点がある。それは一つは外貨の面からいいまして相当これは節約になるということが一つであります。それから日本の精製設備を動かしてやるということが雇用の面等から見ましてもその力が得策である。まあそういう点から見ましてやはりその原油を入れて精製して販売した方がよろしいというような考え方でございますが、これは原則論でございまして、それかといって製品を絶対に入れないというのもこれもまた極端な議論ではないかというふうに考えておるわけでございます。たとえば揮発油について申し上げますというと、従来、現在におきましても、現在の需要に対しまして十分この原油を入れまして揮発油を作る能力は十分あるわけでございます。ただ現在の設備能力におきましては重油関係が足りないということになっておりますが、揮発油につきましても現在におきましても十分な設備を大体持っております。しかしながら、揮発油についてやはりある程度どうしても従来入れなくちゃならないという点につきましては、やはり品質の面におきまして外国の製品の方が国産のものよりもよかったということがまあ一つ、それからもう一つは、製品として輸入した場合のそのガソリンの価格が国内で作りましたガソリンよりも若干安かったと、この二つの点からいいまして、ガソリンについてはある程度製品を入れた方がよくないかということで従来は入れて参ったのであります。ところが、外貨の面からいいますというと、先ほど申し上げましたようにガソリンというその製品を入れてくるよりも、原料を入れまして製品を作って販売した方がこれはずっと有利であるわけであります。しかしながら、品質の点とか、あるいは価格の面からいいまして、若干やはり製品を入れて参った方が、その方が国産の製品に対しまして価格の面におきましても品質の面におきましても刺激になるというような考え方からガソリンにつきましてはある程度の輸入をして参ってきたわけでございます。ところが、それによりまして最近におきましては相当の刺激を与えまして国産のガソリンにつきましても、たとえばオクタン価にいたしましても相当高いところまで上ってきております。外国のガソリンと比べますというと、これはまだ品質が若干劣る点もありますけれども、ほとんど品質の面におきましても競争し得るような段階まできております。従いまして従来はそういう製品を一部入れるということが非常な効果があったのでありますけれども、現在におきましてはその刺激によって相当国産においてもよくなって、太刀打ちできるような状態であります。従いまして、ガソリンにつきましてはだんだん輸入も減らしていく、そうして国産で大体行けるのじゃないかというような状況になっておりますので、国産で行きますというと、先ほども申し上げましたように、外貨の面で相当これは有利になりますので、従いまして私どもの方としましては、だんだんガソリンにつきましても製品の輸入を減らして、それから原油を入れて生産するという方面に持っていった方がよくはないかというふうに考えておるのであります。重油につきましては、現在の能力ではまだ若干どうしても輸入にたよらなければならない状態にあります。これにつきましてはだんだんこれは減らしていきたいということはガソリンと同様でありまして、やはりある程度は入れまして、そして刺激を与えながら、そして国内の原油を入れて生産したものの品質なりを向上させ、価格を下げるように持っていって、そしてだんだん輸入を減らしていくというふうに持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。そういう理由からこの三十五年、今後五年の間にはだんだん製品輸入を減らして、そして原油を入れていきたいというふうな考えを持っておるわけであります。なおきょう、じゃあその製品輸入の場合と、それから原油を入れて精製した場合と外貨の面においてどういうふうに違うか、あるいはその品質の面において具体的にどういう状態になっておるかという点につきましての資料を持ってきておりませんので、この次資料をもって詳細御説明を申し上げたいと思います。
  200. 三輪貞治

    三輪貞治君 日本の精製設備を活用し、雇用量を増大して精製手数料も得られるというのですからこれは最もいいことなんですが、しかし問題は日本の精製設備に百パーセントわれわれが容認できないところにあるわけです。だから主要精製会社の資本構成、会社はどれくらい占めておるのか、それから精製利潤の総額と、その中で占める外国資本の受ける利益、そういうものがわかっていたら説明して下さい。
  201. 川上為治

    政府委員(川上為治君) できる限りの資料を持って参りたいと思います。
  202. 三輪貞治

    三輪貞治君 それからこの前の委員会でも質問がありましたが、全漁連に対する石油、原油外貨の割当の問題ですが、これはたびたび大臣が委員会でも、その他の機会でも言明をされまして、外貨の割当は商社本位でいくということをば強調されておったのでありますが、もちろんこの場合も商社を通じてひもつきでやられるんですから、商社割当には変りはないわけでありますが、しかし少くとも関税における特別な優遇をし、そしてひもつきのものを一部認めるということは、従来大臣が強調されておった根本方針が一角から多少くずれかけておるんではないかという感じがいたしますから、その辺のお考え方を一つお伺いしたいと思います。
  203. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 全漁連の方から強力に外貨割当の要求が続いておりましたことは御承知通りでありますが、まあ私どもとしては全体の考慮の上から直接に全漁連に外貨割り当てすることは困る。しかしながら水産業の油を幾らかでも安くする、あるいはまたその供給をよくするということは望ましいことでございますから、外貨は割り当てないけれども、一つできるだけひもつきといいますか、品物はよく全漁連等へ流れるように何らかの行政措置をしよう、こう申しておったのであります。それが少し一角がくずれると申しますか、つまりひもつきがはっきりいたしまして外貨は全漁連には割り当てませんが、ひもつきでその油は全漁連へいくということで、外貨を商社に割り当てるということに今回いたさざるを得ないような事情になりましてさような措置をとったわけであります。
  204. 三輪貞治

    三輪貞治君 全漁連の総消費に対する割合は大体二割ぐらいだと思うのですが、これを将来漸次増加される方針であるかどうかということ、それから全漁連に入ってない機帆船関係、あるいはその他の水産業から同様のやはり要請がないとは言えないわけで、あるいはその他の業界からのそういう場合にはどういう処置をされるおつもりであるか。
  205. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ただいまのところは、先般全漁連のために特に十万キロリッターというものをひもつきで外貨を商社へ割り当てました。それ以外のことはやらないつもりであります。ただこれは全漁連は全体で今までも油を取り扱っておったのでありますが、この成績を一年間見たいと思うのであります。これは非常なおもしろいといいますか、非常にある意味において有益なテストケースでありますから、果して全漁連が言う通り、あのひもつきの油を僻陬の未端まで全漁連の手で流して果して幾らで油が末端の漁業者に入るか、これも現在の油が高いということは、われわれも決して安いとは思いませんが、末端にいくと非常に高い、調べてみるといろいろの理屈があって、はしけがどうとかロスがどうとかいろいろの理屈がありますが、実はこれをほんとうにフォローしてはっきり原価計算をするということはなかなか困難であります。全漁連のあの油の成績によっては、そのことが一般の今度は油の販売の上に立って全漁連の成績がよければこれが反映すると思います。そういうことで、あれは相当効果があろうと思います。不幸にして全漁連の油がそう安くならなければこれはまあまことに困ったことでありますが、今までの油の販売業者のやっておることにもそう不合理はなかったというふうに思います。
  206. 三輪貞治

    三輪貞治君 それから全漁連関係の特約店、小売店あるいは元売り業者に対する買掛金、これがかなりな額に上っておるということを聞くわけですが、これの返済については、こういう機会に特別な処置を講ぜられますか。
  207. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはこの間の申し合せの中にもあるのでありますが、農林省の方でもこれに努力する、また全漁連もこのために努力いたしましてそうして現在販売業者から漁業者に貸し越し、焦げつきになっております債務の償還はできるだけ早急にする、こういう努力をしておられるということになっております。
  208. 三輪貞治

    三輪貞治君 それからかつて戦前軍が持っていた精油所の払い下げ問題がかなりもたもたしておりますが、伝え聞くところによりますと、保安隊が将来の用に備えて精油所を持ちたいというような動きがあるように思いますが、この問題に対する大臣の根本的なお考え方をお伺いしたいと思います。
  209. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 防衛燃料のことについてはいろいろ専門家の間にも説がありますが、私どものただいま研究しておる結果によりますと、特に防衛燃料でぜひとも何かの特別の処置を講じなければならぬというものは、非常にそのオクタン価の高い、百オクタン価以上の燃料というようなものでありまして、普通の軍用の燃料はすべて普通の精油所から供給ができ、現に供給しておるのであります。百オクタン価以上のものは何か特別設備を要するようでありますから、これに対しても、これは今精油会社などにもそういう話をしておるのでありますが、必要の場合にはそういうものを作るが、それは設備等について国がある程度めんどうをみてくれれば作ってもよろしいと言うておりますから、私は現状において、一般の防衛産業というものはこれは非常にむずかしい状況にありまして、現在の考えておる、最も防衛計画のことでよく要求される六カ年計画というものもほんとうには立っておらぬようでありますが、そういう計画も立っておりませんし、またかりに今度はまあ防衛会議などができて立てましても、今われわれの予想しておる程度の防衛力では、実際にあれが使用する武器弾薬等を国内でそろばんに合うような生産はちょっとできないようです。需要があまりに少な過ぎて経済単位にならない。そこでこれをどうするかということは実は非常な問題でありまして、いずれ防衛計画を立てると同時に、その問題も何らか解決しなければならぬと思って研究をただいまいたしております。こういうような事情でありますから、燃料まで、国有国営でやるというようなところまでにはとても手が回らないだろうし、また先ほど申しますように、燃料の問題については、何も国有国営でやらぬでも心配ない、こういう結論になっておりますから、私どものただいまの考えは、国有国営ではやらない、こういうつもりでおります。
  210. 三輪貞治

    三輪貞治君 それでは既存の設備、あるいは新設されるかもしれない設備に百オクタン価以上の特別な特殊燃料については精製ができるような援助をしていくと、こういう御方針ですね。
  211. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 大体そのつもりでありますが、万一そういうことをもし国営でやらなければならぬというような場合があるとするならば、その場合にも備えてそれを作るなら作れるような準備をしていく、たとえば土地を確保していくというようなことはいたしたいと思います。
  212. 三輪貞治

    三輪貞治君 そういう予想される地域というものは相当広いものが要るわけですか。
  213. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 大して広いものは要らないだろうと思います。
  214. 河野謙三

    河野謙三君 ちょっと私この間今お話の全漁連の問題にふれたのです。通産大臣お見えになったから私伺いたいのですが、これは全漁連の重油の割当だけの問題でないと思います。これは要するに価格対策からいって、今度外貨を実需者に割り当てるか、メーカーに割り当てるか、インポーターに割り当てるか、この三つの中のどれを選ぶかということに対して、従来聞くところによると、通産省はインポーター割当を基本方針としておられた、こういうように聞いておりますが、この点についてあらためて私は大臣の基本的なお考えを伺いたいのです。メーカー割当なのか、インポーター割当なのか、実需者割当なのか、これを伺いたいと思います。
  215. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 外貨の割当は商社に割り当てるのであります。輸入の、インポーターですね。けれどもこれは今まで、たとえばほかの品物につきましても、実際の割当の品物についてはメーカーに割り当てる。原料というようなものについては、たとえば綿花は紡績会社とか何とかいうものの設備、あるいは砂糖は砂糖会社、そういう実際の品物の割当はメーカーにやる。メーカーから注文があった輸入商に外貨を割り当てる、こういうようなやり方をほかのものではして参りました。現在通産省の方針では外貨についてはやはり商社に割り当ててやるというのがよろしいと考えております。
  216. 河野謙三

    河野謙三君 私も取引の過程からいって、今大臣のおっしゃるようなのが当然のことだと思うのであります。しかし当然の措置でありますけれども、従来油にしろ、砂糖にしろ、そういうものについて、今おっしゃるような割当の仕方をすることによってあまりに大きな弊害が出ているわけです。その結果そこに例外的に実需者割当とか、またメーカー割当とかいうものが出ているわけですね。これは今後弊害が起った場合には、今度の全漁連のような措置を随時とられるというふうに私たちは了解してよいですか。
  217. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 商社に外貨を割り当てるという制度は前からの方針ではありますが、実は最近それをやっておるわけであります。ただ紡績のごときは、ことに中京方面の紡績には特殊事情もあるというようなことから、そういうことも考慮してメーカー割当をしておるというようなことがありますが、大体外貨は商社に割り当てる、こういう考えでおります。しかしこれが非常な弊害を生ずるという場合にはむろん考慮しなければならないのでありますが、現在においてはほかの方法をとるという考えを持っておりません。
  218. 河野謙三

    河野謙三君 今私が申し上げましたのはその方針でいいのですが、その方針に従って過去に実行して来て非常に弊害が出ておる。たとえば割当をしてもらったとたん三百六十円が今度実行価格の何がしに変る、そこに膨大な利益が出るわけです。要するに一口でいえば元だけもうけてしまって裏の方は利益の均霑を受けない。油のごときは安ければ全漁連は何もああいう措置を要求しないと思う。全漁連の設立の目的からいけば組合員の必要資材というものを共同購入するというのがこれが大きな目的であります。それにしてもなぜ全漁連が買わなければならぬのか、県漁連が買っても、単位漁連が買ってもいいわけです。ところが今油の関係において一部の元売りと申しますか、精製業者に非常に暴利をとられる。これは割当の矛盾から、矛盾というよりは今までの割当の制度においてそういう弊害を起しておる。こういう点はこれは油に限らずあらゆる問題にあるわけです。そういう点においては今度は特例でありましょうけれども、随時こういうような弊害が伴わない限りにおいては引き続きこういう措置をとる、こういうふうにわれわれは了解してよろしいかどうか。
  219. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それはちょっと概括的にお答えしにくいのでありますが、極端にいえば消費者に割り当てなければならぬということになって参ります。これはなかなかできないと思います。そこでむろん弊害のあるものは弊害を除却する工夫をいたさなければなりませんが、しかしながらお話の外貨の割当じゃなくて、むしろたとえば砂糖などはメーカー割当、設備割当をしておった、それが弊害があるからというので、一部分は商社に品物を割り当てて、その商社がビッドで売るというような場合にはお話のように商社がもうけるというようなことが起るわけでありましょう。そういう弊害はできるだけ除却したいと考えておりますが、どちらにしてもああいう割当というものはこちらにやればそこに弊害が起り、あちらにやっても弊害が起るので全く困ったものであります。
  220. 河野謙三

    河野謙三君 私は今われわれの手もとに来ておる砂糖の法案にしても、バナナの法案にしても、そういうものはやはり今までのような制度においてはそういう弊害はついて回わるのだということで、根本的に弊害を除却するための一つ方法として、特殊物資のバナナとか砂糖とかというものの措置をとられたものと思う。これはこの間、大臣にも申し上げたのですが、油においても同様です。だからそういう法的措置をとらない限りには、今までのようなその時その時の場当りで、ある場合にはメーカーに、ある場合には商社、ある場合には実需者団体というようなことはこれは私はいけないと思うのです。全漁連のような問題は今後引き続き起りましょうと私は申し上げたのです。全漁連にやらせて、なぜ販売業者にやらせぬのだ、全漁連も取り次ぎ業者です、石油販売業者も取り次ぎ業者ですよ。同じものです。しかも販売業者は通産大臣がかかえておる中小企業者です。わが膝にかかえておる子供はこれはほっぺたをなぐって、あちら側から押されるとうるさいからといってそっちにやっておく、こういうことは通産大臣としていかぬと思う。これはこの間も申し上げたのです。これはやはり方針を確立されませぬと、今度は全漁連だが、この次はまた何か起ります。また各政党からわいわい言われて通産大臣はしばしば言明されておったが、ついに力に抗しかねてまた特例を設けた。私はこういうことになることを憂えるのです。これは油の問題だけではありません。その点は大体どうなるのですか。
  221. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはさっきも申しますように、割当というものは実は困ったものです。そうかといって砂糖の今度の特別会計、バナナの特別会計のようなものを作ることも特殊のものについてはいくかと思いますが、油などについては果してどんなものでしょう。なお一つ研究して善処しなければならぬと思います。一つお知恵があったら貸していただきたいと思います。
  222. 河野謙三

    河野謙三君 おそくなって済みませんが、この問題はもう一ぺん私も知恵をお貸ししますから、大臣も一つ具体的に御説明願いたいと思います。  きょう資料をいただきました油の外国の価格との比較において、私は油の方面は専門でないのでわかりませんが、非常に私どもが納得いかないのは、重油の消費者価格は日本が安いのですね。それからこれは英国でもフランスでもそうです。ところが揮発油や軽油というものになると、英国と比較して、揮発油のような場合には九千円も日本の方が安い、重油は逆に高い、それから軽油においても英国と比較すると四千円も日本の方が安い、ところが重油は高い。フランスの向うの価格に比較すると、揮油発とか軽油は二分の一もしくは三分の一という価格で、日本の価格が安い。ところがそのフランスにおいても重油の点に至りますと大体同じだと、こういうことなんですが、こういう商品別の価格の比較のアンバランスというものはどういうところから出発しているのでしょう。
  223. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実は河野先生からこの前各国の詳細な価格がほしいというお話があったのですが、われわれいろいろ調べてみたのですけれども、なかなか最近の正確な資料が出て参りませんでしたから、ごく最近ローマの石油会議に行きました方に頼んで調べて参ったのがこの各国における価格ですが、この価格につきましてはやはりこれは西ドイツについても同様と思うのですが、フランスにおきましても、これは西ドイツにおいてもそうなんですが、揮発油については実際の原油から生産します価格についても、あるいはまた輸入しまして販売する価格につきましても、実は輸入する価格につきましても、大体日本と同じ程度であるのでありますけれども、非常な消費税なり、あるいは関税をかけまして非常に高く販売しておるようであります。日本よりも、従いまして揮発油につきましては、たとえばフランスの例をとりましても消費者価格については六万三千円とか、あるいは六万八千円ということになっておりまして、その間の諸税につきましては四万五千円程度ということになっておりまして、揮発油につきましては非常に高い税をとっておるようであります。ところが重油につきましてはどちらかと申しますというと、それほど税はあまりかけてない、そして比較的輸入されましたあるいは国内で原油から精製をして販売します価格は、それほど高くなっていないというような状況になっております。英国につきましても大体同じような政策をとっております。また西ドイツについても同様な政策をとっておるようでありますが、要するに大体ガソリンについては相当税を高くとってやっておる。それからいわゆる重油につきましては、それほどとっていないというような状況になっています。日本につきましても、ガソリンにつきましては重油よりも相当高い消費税をとっておるわけなんですが、まあ日本と比べますというと、どちらかというと揮発油税の方がドイツあるいはフランス等においては非常に大きいというような状況になっております。これはやはりその国その国のいろいろな状況によりましてやっておることと考えられます。ただ似ておる点は、重油につきましてはそれほど高く販売していない、税をそれほどとっていないというような状況になっております。今回のB、C重油の関税税率につきましても、実は五百円程度これは値上げになると考えておるのですが、まあフランスに比べますというと、B重油については千百九十円とっておりますし、C重油については千百三十円とっておりますが、日本におきましては五百円程度ということになるのであります。
  224. 河野謙三

    河野謙三君 私は簡単に御答弁願いたい。そうすると、この外国の油の種類別の価格と日本種類別の価格と非常に違う、これは要するに関税方針が違うというだけの原因によってこういう日本外国との価格の開きが出て来る、こういうことですか、その国の税金政策の上からいっての開き、それ以外に理由はないのだと、こういうことですか。
  225. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私はそこまでは実はよく調べて参っていないのですが、外国におきましては、たとえばドイツにおいては国内の石油資源の開発に相当の金を注ぎ込んでやっております。それからフランスにおきましても最近は相当の金を注ぎ込んでやっておるわけなんですが、これはおそらくはこういうガソリン税等において相当とった金をやはりそうした方面へ注ぎ込んでやっておるのじゃないかというふうに考えられます。日本におきましては、現在今年から開発会社を作ってやろうというふうに考えておりますが、別に目的税というような措置はとっておりませんが、助成金として今年は三億程度出すということにしておりますけれども、その辺が若干違っております。
  226. 河野謙三

    河野謙三君 疑問の点は次回に譲りますが、ただ一言あなたが国内の各種類別の油の価格においてどれがもうかって、どれが利潤が少いとあなた検討されておりますか。私はどうもこの重油というものは、どうも国内の精油業者というのは重油というものが一番もうかるからもうけておる、ある場合によると経営上揮発油の方を犠牲にして投げて、それで重油の方でしこたまもうけておる、こういうのもこういう価格の一つの現われじゃないか、そういうふうな考察はされておりませんか。
  227. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 河野先生のおっしゃるような見方も私はあると思うのです。
  228. 河野謙三

    河野謙三君 見方じゃなくて、あなたの調べ……。
  229. 川上為治

    政府委員(川上為治君) ということで、ガソリンにつきましては実際需給関係からいいまして、現在むしろだぶついているというような状況になっております。従いまして価格につきましては、需給関係から大体出て参りますので、ガソリンはどちらかと申しますと割安であり、非常にもうかっていないというふうに言えるのじゃないかと思います。なおまた灯軽油につきましては、これはガソリンよりも今までほどだぶついてはおりませんが、しかしそれほど窮屈にはいたしておりませんので、これまたこの価格につきましてはやはり需給の実勢から出ておりますので、そう私は不当に高いのではないというふうに考えます。ただ重油につきましては、仰せの通りこれは現在特に石炭との関係等から実勢は六百万キロリッター以上に需要があるものは五百十万円とか五百二十万円程度になっておりますので、従いましてこれはやはり需給の関係と申しますか、そういう関係から値段が私はある得度割高であるというふうに考えております。
  230. 河野謙三

    河野謙三君 私はいろいろ疑問がますます増すばかりでありますが、これはとても時間がありませんから次回に一つ保留して質問をすることをお願いしておきます。これできょうは打ち切ります。
  231. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  232. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  本日はこれで散会いたします。    午後五時二十八分散会    ――――・――――