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1955-07-12 第22回国会 参議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十二日(火曜日)    午後一時四十八分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            深水 六郎君            河野 謙三君            豊田 雅孝君            海野 三朗君            藤田  進君            小松 正雄君            白川 一雄君            苫米地義三君   衆議院議員            小笠 公韶君            首藤 新八君            山手 滿男君   政府委員    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    通商産業省繊維    局長      永山 時雄君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   説明員    通商産業省工業    品検査所長   近藤 晴夫君    通商産業省通商    局検査課長   宮川 清隆君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○輸出品取締法の一部を改正する法律  案(衆議院送付予備審査) ○砂利採取法案衆議院送付予備審  査) ○中小企業安定法の一部を改正する法  律案衆議院送付予備審査) ○石油資源開発株式会社法案内閣送  付、予備審査) ○石油及び可燃性天然ガス資源開発法  の一部を改正する法律案内閣送  付、予備審査) ○繊維製品品質表示法案内閣送付、  予備審査) ○地方自治法第百五十六条第六項の規  定に基き、工業品検査所出張所の  設置に関し承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付) ○委員派遣承認要求の件 ○参考人の出頭に関する件 ○重油ボイラー設置制限等に関す  る臨時措置に関する法律案内閣送  付、予備審査)     ―――――――――――――
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより開会いたし、ます。  それでは、まず輸出品取締法の一部を改正する法律案、これを議題に供しまして提案者説明を願いたいと存じます。
  3. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) 輸出品取締法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  わが国輸出品につきましては、その海外における声価向上のため必要と認められる商品に対しましては輸出品取締法に基く検査制度実施されておるところでありますが、駐留アメリカ合衆国軍隊及び国際連合軍隊PX等物品販売機関、またはこれらのための物資調達機関に納入する物品につきましては、本法適用がなかったのであります。  これらの物品はあるいは韓国、あるいは沖繩等輸出せられ、あるいは国内駐留軍将兵等販売せられておるのでありますが、そのうち耐久性消費物品につきましては、ほとんどこれを本国に持ち帰り使用せられている現状であります。かかる物品のうち特にその納入数量の大きいものにつきましては、その品質の良否は、当該品目のみならず、本邦輸出品全般に対する品質上の声価を左右するものでありまして、かような物品に対しましては、その品質の維持、向上をなし、本邦品声価確保向上をはかるため、輸出品に対すると同様に、品質に対する検査実施する必要があるのであります。  本改正案は、以上の趣旨によりまして、本邦輸出品声価向上のため、その品質を規律する必要があると認められる右物品に対しまして、輸出品取締法の諸条項を適用し得るよう法的根拠を定めようとするものであります。  何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願いいたします。  それでは、衆議院提案をいたしました経緯と理由をただいま申し上げましたが、先日提案をいたしまして、この提案全会一致であります。民主党、自由党、両派社会党各派全会一致提案をいたしまして、本日、衆議院の方では各党の了解のもとに質疑を省略をいたしまして、午後の本会議採決することになっておりますから、おそらく本日本会議で可決されることと思います。でございまして、衆議院の方では、ほとんど問題なしに通過をいたすわけであります。御了承を願います。
  4. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 適用する品目は、いずれ政令か何かできめるのでしょうが、そういう何か案とかいうものはできておるのですか、どういうものにやるかという……。
  5. 宮川清隆

    説明員宮川清隆君) 適用品目について考えておるのはございますけれども……。
  6. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) たとえば今の写真機のようなものですね、非常に数がたくさん出ておりますけれども、PX検査なしでどんどん納められておるものですから、その数量はほとんど押えられておらない。それがみな本国に流れておりますね。  じゃ、どうぞよろしく。     ―――――――――――――
  7. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではその次、砂利採取法案ですか、提案者から御説明を願います。
  8. 首藤新八

    衆議院議員首藤新八君) ただいま議題となりました砂利採取法案について御説明申し上げます。  砂利重要性、すなわち、砂利が、道路や鉄道、港湾などの公共施設をはじめ、水力、地下資源などの開発、あるいは耐火建築工事など、種々の土木建築工事に絶対不可欠の要素であることは、あらためて申し上げるまでもありません。  わが国における砂利生産量は、現在、年間七千万トン、金額にして約四百億円に上るのでありますが、これらの需要はセメントの増産と相待って、年と共に増加の一途をたどる趨勢にあるのであります。しかるに、すでに今日においてさえも、特に土木建築工事の集中する都会地方のごときは、その供給円滑を欠き、ために工事の進捗が阻害せられることも少くないというのが実情であります。従って、この重要な基礎物資供給確保し、各種建設事業遂行を円滑ならしめるため、砂利採取業の健全な発達をはかることは、経済自立の上からも、また民生安定の見地からも、当面緊急の要務であると申さなければなりません。  他面、これら砂利採取のため、いやしくも河川を破損して洪水はんらんの原因を作ったり、道路その他の公共施設に危害を及ぼしたり、あるいは農業その他の産業利益をそこなうがごときことのないよう、厳重な監督を加えなければならないこともまた論議の余地のないところであります。  しかるに、砂利採取については、従来斯業を対象としてこれを規制しまたは保護する法規を欠き、河川等事業場とする事業者河川法等に基く都道府県令により単に河川等管理の観点からのみ取り扱われており、その他の地域に至っては全然放任せられている状態でありまして、公害防止措置等をも未然に講じ得なかったのであります。  本法案提出は、砂利に関するこれらの要請にこたえんがためでありまして、その内容を申し上げますならば、  節一の点は、採取管理者を常置して現場における作業を監督させることであります。すなわち、砂利採取するため他に累を及ぼすがごときことのないよう、不断の監督とこれに基く適切な処置を講ぜしめようとするものであります。  加工の点は、河川等行政庁許可を要する土地以外の一般地域における砂利採取について、通商産業局長公益保護のため必要な措置を命ずることができるようにしたことであります。従来はこれらの土地における砂利採取については、前に申し述べた通り、何ら法令上の規制がなく、公害未然に防止すべき適切な方途がとられていなかったからであります。  第三の点は、河川等における採取許可する際には、砂利採取業経営立場を考慮してなすべき旨の規定を設けたことであります。それと申しまするのも、従来河川等における砂利採取は、もっぱら河川法等に基く都道府県令によるのでありますが、往々許可期間があまりにも短かかったり、あるいはその区域が不明確であったり、また同一区域に重複して許可せられる等、砂利採取業は著しく不安定な立場に置かれていたのであります。  第四の点は、一般土地における採取に対して砂利採取のための採石権を認めたことであります。けだしこれらの土地における採取については鉱業法採石法のごとき事業法のよるべきものがなく、単に土地所有者その他の権利者との契約によるのほかないため、その立場はすこぶる薄弱不安定であり、しばしば紛争を生じ、従って有望な事業場であっても、みすみすこれを放棄しなければならなかったり、あるいはまた採取料の不当な値上げを強要せられて、結局採取契約の更新が不可能となる、などの事例が少くないからであります。  以上本法案提出理由並びにその内容に関する概要を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上御賛同下さるようお願い申し上げます。  なお、つけ加えてお願いしておきたいと存じまするのは、この法案は、本日衆議院商工委員会提案されまして、各党共同提案でありました関係もありまして、一切質疑を省略いたしまして即時商工委員会を通過いたしまして、午後の本会議提案されることになっておるのであります。多分本会議も通過いたすものと予定しておりますので、通過いたしましたならば、正式に本院におきましても御審議下さることをお願い申し上げたいと存じます。     ―――――――――――――
  9. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 次に中小企業安定法の一部を改正する法律案、これを議題にいたします。提案理由説明を願います。
  10. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 中小企業安定法の一部を改正する法律案につきまして、提案者といたしまして、その提案理由を申し上げます。  中小企業の当面する困難な諸問題につきましては、すでに皆様御承知の通りでありますが、なかんずく企業が零細であり過剰であることから生じまする過当な競争による弊害は、顕著なものがありまして、中小企業わが国経済に占めておりまする重要性にかんがみ、すみやかにこれが対策を講じて、業界を安定せしめる必要があることは申すまでもありません。中小企業安定法は、この趣旨に基き制定されたものでありまして、中小企業が、その製品需給均衡を著しく失し、不況に陥りました場合において、需給調整措置を講ずることができるようにし、もって中小企業の安定をはかろうとするものであります。この法律昭和二十七年八月に施行、二回の改正を経ているのでありますが、今日まで三カ年近くの間に、この法律に基き、二十三業種にわたって、二百をこえる調整組合設立せられ、それぞれ調整活動を行なっており、また法第二十九条に基くアウトサイダー規制命令も、六業種について発動せられ、中小企業者の当面する不況の打開に一応の成果を上げてきているのであります。しかしながら最近日本経済がいわゆる正常化の方向に進むにつれて、中小企業のいわば慢性的不況状態は放置することを許さなくなってきておりますのみならず、過度競争の結果輸出産業の面においても国家的に多大の損失をみているような状態であります。  今回の安定法改正案趣旨といたしまする点は、法律施行後の経験と、最近における上述のような事態要請とに応じまして、この法律適用要件につき、いわゆる不況要件緩和するほか、輸出貿易振興のためにも適用し得るようにして、機宜に応じ、かつ、弾力的に運用し得るようにすることに主眼があり、それとともに調整事業範囲を若干拡張するために所要改正を行うことにあります。  次に、その主要な改正点概要を御説明申し上げます。  第一は、法第一条の目的及び第二条の業種指定要件についてであります。先ず法律適用範囲を、従来の国内不況の場合に加えて輸出貿易の阻害せられる場合を加え、さらに、これらの場合について次のように適用要件緩和をはかっております。すなわち、現行法におきましては、製品需給が著しく均衡を失し、その事態を放置してはその業種事業経営に相当の損失を生じ、その産業存立及び関連産業存立に重大な影響を及ぼすおそれがある場合と規定せられておりますのを、常に過当な競争不況事態の発生に脅かされている中小企業実情にかんがみまして、深刻な不況に陥る前に、過当な競争を抑制し、不況を回避し、または輸出振興をはかることができるようにするため、過度競争により国内取引または輸出貿易の円滑な運行が阻害され、または阻害されるおそれがある場合ということに改めんとするのであります。  第二は、法第二十九条のいわゆるアウトサイダー規制命令につきまして第一に述べました趣旨に従い発動要件緩和をはかりましたことと、同条第二項に基く命令期間に関する規定につきましては、同命令を短期、臨時的なものとして発動することは、必ずしも実態に合わないので、これを削除し、第一項に基く命令と同様の取扱いによることといたした点であります。  第三は、調整組合及び同連合会事業範囲を拡張しまして、製品品質または品種に関する制限を行うことができるようにし、調整活動の強化をはかった点であります。  以上、改正法案提案理由と大要につきまして御説明申し上げたのでありますが、何とぞ、すみやかに御審議いただきまして御賛同を得ますようお願い申し上げます。  なお、本法律案衆議院におきまする審議状況を簡単に御報告申し上げます。  本法案は、明日の午前中の商工委員会採決をいたす予定になっておりまして、採決の上明後日の本会議に多分上程される見込みでございます。簡単でございますが……。
  11. 吉野信次

    委員長吉野信次君) これで衆議院議員各位提案になりました法案を一応説明をせられました。いずれ質疑があるだろうと思いますが、これはこの次に譲りたいと思います。きょうは、何か本会議があるそうですから、ただ議員各位から説明を聴取するということだけにいたしたいと思います。     ―――――――――――――
  12. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは次に今度は政府提案になったもので、その後新しく委員会に付託になったものの説明を聞きたいと思います。石油資源開発株式会社法案石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案、これをまず議題に供します。
  13. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) ただいま議題となりました石油資源開発株式会社法案について御説明いたします。  わが国原油生産量は、現在年間三十四万キロリットル程度であり、国内消費量に対し五%にも満たない供給率でありますが、エネルギー資源または工業原料としての石油の地位は、近来ますます重要の度を加えつつあり、ために石油輸入外貨支払額は、食糧、繊維原料についで一億七、八千万ドルに及ぶ巨額に達する次第でありますので、国内における石油資源を急速に開発し、その自給度向上をはかることは、現下における国家的な急務と考えられます。石油自給度向上につきましては欧米諸国におきましても従来から国の施策として多大な努力が傾注されており、その成果も目ざましいものがありますが、なかんずく、西独、フランスにおいては、この数年間に、それぞれ三倍ないし、六倍の増産に成功しておるのであります。  従いまして、良好な石油集油構造に恵まれるわが国のみが、ひとり現在程度石油生産に甘んずることは、許されないところと申されます。よって、通商産業省におきましては、昭和二十八年九月の石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会の答申にかかる石油資源総合開発計画に基き、わが国石油資源賦存性埋蔵量を急速に確認し、もってわが国における石油生産年間戸万キロリットルの線にまで高めたい所存でありますが、本法律案は、右の趣旨により石油資源開発を急速かつ計画的に行う実施主体として、広く石油採掘業者石油精製業者等資金の参加を得、政府半額出資からなる特殊会社として石油資源開発株式会社設立し、所要助成措置を講ずるとともに、他方では、会社に対し、必要な監督を行おうとするものであります。  すなわち政府があえて本会社設立を企図いたしましたゆえんのものは、  第一に、石油資源開発を推進する主体として、国の意思適確に反映することのできる機構が必要であり、そのためには本会社のごとく国の強力な支持と監督とを期待し得る会社設立が望まれたこと。  第二に、わが国における民間石油鉱業探鉱に投下し得る資金にはおのずから限度があり、またリスクに富む探鉱事業特殊性からして石油資源総合的開発を純然たる私企業の運営のみにゆだねることは、資金取得危険負担の両面において少からぬ困難が予想されたこと。  第三に、石油資源総合的開発石油精製業者その他の関連業者に与える直接、間接の利益を考慮すれば、開発に要する資金の一部をこれらの企業の協力に待つことがむしろ適当であり、また、これにより従来よりも多額の民間資金の活用が可能であること。  にあったのでありまして、政府といたしましては、このような強力な機構の確立により、石油資源総合開発の今後における飛躍的な進展を期している次第であります。  以下本法律案概要を申し述べますならば、  第一には、会社目的石油資源開発を急速かつ計画的に行うことにある旨を明記し、会社事業を、石油資源探鉱石油及び可燃性天然ガス採取及びその販売並びに会社目的達成に必要な事業に限定いたしました。  第二には、本会社が国の意思適確に反映することのできる機関であることの裏づけとして、政府は、常時、会社株式の二分の一以上を保有することとし、その特殊会社としての性格を明らかにするとともに、会社設立に際し、政府は、その所有する帝国石油株式会社株式を現物出資することを規定いたしました。  第三には、会社の役員に関し、その人数を取締役については七人以内、監査役については二人以内とし、必要以上の人員増加を防止するとともに、取締役の業務の執行が、他の関連企業等との関係によって当を失することのないよう、特に必要がある場合のほかは、兼職を制限いたしました。  第四には、会社の営む事業石油探鉱主体とするものであり、その聖業の遂行には、一面において少からぬ起伏が予想される関係上、会社経理平準化を期する上から、会社がその成立後五年間に支出した費用については、十ないし十五年間繰り延べ経理を認めるとともに、他方では、探鉱資金社外流失を防止するため会社成立後五年間は、利益の配当を制限することといたしました。  第五には、会社性格にかんがみ、各種助成措置を講ずることとし、会社に対しては、その設立、資本の増加鉱業権設定等に際し、登録税を免除するとともに、国は、昭和三十年度に限り、探鉱に必要な費用の一部について会社補助金交付し、さらに、社債発行限度の特例を規定することにより資金確保に遺憾なきを期しました。  第六には、以上と表裏して、会社取締役等の選任の決議、合併及び解散の決議事業計画等設定及び変更、定款の変更社債発行利益金の処分、新株の発行重要財産及び鉱業権の譲り受け等については、通商産業大臣の認可及び監査等国監督を行うこととし、右のうち所要事項に関しては、大蔵大臣と協議すべきことといたしたのであります。  以上本法律案提出理由並びにその内容に関する概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。  次にただいま議題となりました石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  政府は、昭和二十七年に制定をみました石油及び可燃性天然ガス資源開発法施行以来、石油及び可燃性天然ガス資源を合理的に開発し、公共の福祉の増進に資するために、その掘採方法について同法による所要措置を講ずるとともに、探鉱及び掘採に対して補助金交付による積極的な国家補助を行なって参ったのであります。しかしながら、最近における石油鉱業現状に対処し、わが国石油資源の総合的な開発を促進するため、従来の補助金交付による探鉱活動助成措置を改め、政府半額出資による特殊会社としての石油資源開発株式会社設立し、政府の強力な監督のもとに探鉱の急速かつ計画的な実施に当らせることといたしました。よって、政府は、別途、石油資源開発株式会社法案を上程するとともに、石油及び可燃性天然ガス資源開発法のうち補助に関する規定を削除し、またこれに伴う関係規定の整理を行い、ここに石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案提出することといたしました。  何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。
  14. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御質問もむろんあると思いますが、ほかに政府の御提案のものがございましたら、どうでしょう、一括して御説明願ったら、繊維製品品質表示法案地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、工業品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件も。ではどうかお願いします。
  15. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) ただいま本委員会に上程されました繊維製品品質表示法案につきまして、その提出理由を御説明申し上げます。  化学繊維増産により繊維全体の中においてその比重が増加してきたこと、新しい合成繊維などが続々として生れてきていることは、最近の世界繊維事情の著しい特徴をなしております。わが国におきましても、特に天然繊維に恵まれない事情もあり、最近の世界的なこの傾向と軌を一にして、化学繊維増産は著しいものがあります。このような実情のもとにあって、繊維種類増加するとともに、各種繊維の混紡あるいは交織製品が生まれ、繊維製品種類は複雑となり、その識別がはなはだ困難になってきております。  各種繊維は、それぞれの特色を持ち、そのすぐれた特質を生かすことは繊維製品消費者にとって最も大切なことでありますが、このためには消費者が容易に繊維製品内容を知り得ることが必要であります。  しかるに、以上のように繊維製品識別が困難な実情にありますので、繊維製品内容を適当な方法によって表示することが消費者利益を保護するためには最も大切なことであり、これが一般の強い要望になって参っております。政府は、この要請に対して数年来消費者保護見地から所要法的措置を講ずべく検討を加えてきておりますが、ここにその成案を得ましたので、法案として上程いたすことになったのでございます。  本法案は、全文十四条から成り立っておりますが、その中に規定いたしております骨子は次の通りであります。  まず第一に、重要な繊維製品についてその品質を示す名前と、その名前の示す繊維製品内容を明らかにしております。  第二に、繊維製品製造業者販売業者等が、きめられた名前を使用して繊維製品を表わす場合には、必ずきめられた内容のものでなければならないことにし、正しくない表示をすることを禁止しております。  第三に、繊維製品表示につきまし  ては、もとより業界自発的措置によって適正な表示が励行されることを期待いたすのでございますが、業界の自主的な措置のみによっては、あるいは表示が励行されず、あるいは正しくない表示が横行する等表示の秩序が混乱して、消費者に不測の損害を与えるというようなことが起る場合には、生活必需品である繊維製品について、表示を強制し、あるいは表示者を限定する等の措置を講ずることにしております。  さらに、本法適用いかん製造業者販売業者消費業者等々に影響するところが少くありませんので、運用の慎重を期するために、繊維製品品質表示審議会を設置して、この審議会の活用によって円滑適切な運用をはかることを期待しております。  以上が本法案の骨子でありますが、各案については今後逐次御説明申し上げるつもりでございます。  何とぞ御審議の上御協賛下さらんことをお願いいたします。  次に工業品検査所清水出張所投資に関する提案理由を御説明申し上げます。  本件は、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基きまして、工業品検査所出張所設置について、国会の御承認をお願いするものであります。  工業品検査所は、輸出品取締法に基く輸出品検査等を行なっておるのでありますが、現在木所を東京に、支所を大阪外二カ所に、出張所を横浜外五カ所に設置しております。  今回出張所設置しようとする清水市は、逐年輸出が伸張しつつある清水港を控えており、工業品検査所の所掌する検査品目に属する貨物であって同港から輸出されるものは、その金額において昭和二十九年度には約十億円に達し、今後における発展もまた予想される次第であります。  しかるに、現在は、清水市には工業品検査所出張所設置されていないため、やむを得ず東京または名古屋より一々出張して立入検査を行い、また米国向輸出品に対する原産地証明検査実施しておるのであります。この出張検査は、昨年度百二十九件に達したのでありますが、清水港の輸出件数に比較いたしますと、なおきわめて不十分であります。  かかる状態を放置しておきますれば、清水港より輸出される商品の品質を維持いたしますことは、まことに至難であり、ひいては海外における本邦輸出品全般声価を零するおそれがあるのであります。よって、清水市に工業品検査所出張所を開設いたしまして輸出品取締法に基く輸出品検査を能率的に実施せしめたいと考える次第であります。  なお、この増設につきましては、さしあたり職員の配置を三名前後と予定し、現行予算の範囲内で、検査業務の運営をはかることとしております。  清水出張所増設の理由は、以上の通りでありますが、今後における輸出貿易の健全な発展を期するため、よろしく慎重御審議の上、御承認を賜わらんことを切にお願いする次第であります。
  16. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 以上で政府提案されたものの説明が一応終りました。御質問があれば御質問をお願いしたいと思います……。     ―――――――――――――
  17. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではちょっとこの時間を一つさきまして、実はきのう委員長理事打合会を開きまして今後の委員会の運用についていろいろ協議願ったのでありますが、その一つに、石炭合理化法案については、衆議院と同じように、こちらの方でも現地に出向きまして意見を各方面から聴取する必要があろうという意見が出まして、理事会におきまして、これに要する経費だとか、あるいは派遣人員などを勘案いたしまして福岡で開くと、こういう申し合せをいたしたのでありますが、その概略を一つ専門員から説明をさせます。
  18. 山本友太郎

    ○専門員(山本友太郎君) お許しを得まして一応御説明申し上げますと、昨日の理事会でお諮り願いました件に大体のっとりまして一応の案を作ってみたのでございますが、七月の十八日月曜日に午前十一時羽田を立っていただきまして、ちょうどそれが十四時三十分に板付に着きます。自動車で福岡に向っていただきますと約一時間弱で到着いたしますので、十五時過ぎに福岡着ということになろうかと思います。その日の時間を利用いたしまして福岡通産局長及び福岡県知事と御懇談を願う、これが第一日の日程でございます。第二日は翌七月十九日火曜日午前九時から石炭鉱業合理化臨時措置法案に関しまして現地側の参考意見を聴取する会合を開催していただく。それで終りまして翌さらに七月二十日の朝福岡を出発帰京していただく。大体こういう予定でございまして、昨日のお申し合せによりますと、大体各派御一名程度の先生方にお出ましを願うということで、事務局といたしまして各派にお諮り御連絡申し上げましたところ、ただいままでに、大体自由党といたしましては深水六郎先生、緑風会は山川良一先生、左社会党の方からは三輪貞治先生、右社会党の方からは小松正雄先生、民主党からは白川一雄先生、大体の御都合がよろしいやに御連絡をいただいたわけでございます。以上でございます。
  19. 藤田進

    ○藤田進君 これは衆議院も二班に分かれて現地参考人の意見を聴取に出るというのですが、それとはかち合いませんか。
  20. 山本友太郎

    ○専門員(山本友太郎君) 御説明申し上げます。衆議院の方では七月の十六日土曜日に福岡にお出かけになりまして、十七日の日の日曜日に同趣旨のような御懇談会がございまして、十八日には福岡の付近の非常に近いところの炭鉱をちょっと見て、同日夕方の飛行機でお帰りになるということでございますので、一日ずらしましてそれとダブらないように参議院側の意見聴取の日を十九日とした。従って衆議院側が終りましたあとへちょうどすれ違いのように出かけていくというような日程を一応組んでみたわけでございます。北海道の方につきましてはこちらの方では一応昨日の理事会でもこの際は割愛しようというので、これは組んでおりませんので、これは問題ないと思いますが、福岡の方はそういうふうな状況になっております。
  21. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、地方では衆参両院大体同じようなお客さんだと思っていろいろ心配するでしょうが、一日ずらしてみても引続きになるわけですね。地元としては、ことに十八日の日はダブるだろうと思うのですが、これは現地の方は連絡済みでしょうか。
  22. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  23. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて下さい。  それでは現地の視察の件ですが、格別の御意見もないようですから、一応理事会の申し合せ通り決定することにして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議ないと認めます。あと事務的な折衝をこれからやっていきたいと思います。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  25. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて下さい。  ついでに七月の二十一日木曜日に、輸出入取引法の一部を改正する法律案参考人として十一人ばかり呼びたいと思いますから、その交渉によってはあるいは本人でなく、代理が出るというような場合もあろうと思いますから、その辺の交渉は一つ委員長におまかせを願いたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そういうふうに取り計らいます。  そうして当日は午前十時から始めますから、どうかそのつもりで御協力を願いたいと思います。速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  27. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて下さい。  それでは工業品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件、これは事柄が簡単のようですから、もし御異議がございませんでしたなら、これを議題に供しましてこれを採決したいと思います。
  28. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 清水出張所の所管区域検査品目、その点を明らかにして下さい。
  29. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 所管区域は静岡県全部でございますが、ここで出ます輸出品工業品検査所関係のおもな品目は、木製品と竹製品程度でございます。
  30. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 柑橘類などはやらないのですか、茶だとか……。
  31. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 柑橘並びに茶の方はこれは輸出額が特に多いわけでありますが、これは農林省関係の方が検査することになっておりますが、こういう検査所では扱わないことになっております。
  32. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 木竹製品だけで年額十億円ありますか。
  33. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 大竹製品だけでは十億になり便せん。その他の工業品を合せまして……。
  34. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると、どういうものがありますか。
  35. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 品目はずいぶんございまして、読みますると、木ねじ、ミシン部品、織機部品、内燃機関、農機具、製紙機械用品、ミシンテーブル、これは大竹品でございますが、それから漆器、釣針、まあその他いろいろございます。
  36. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そういうものを全部検査するのですか、釣針なんかを……。
  37. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 釣針も検査品になっております。
  38. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると、今あげられたような検査品目について全部検査するということになるんですか。
  39. 近藤晴夫

    説明員(近藤晴夫君) とりあえず三人程度駐在さしてやりたい、かように考えておりますが、並びにまた新設の事務所でもありますので、検査器具等がほとんどまだございません。それで機械金属あるいは化学製品というようなものは、いわば検査器具をもってやらなければ検査できないような商品は、とりあえずできない。それで目視検査といいますか、大体目で鑑定して形状、色彩あるいはその他傷があるとかないとかわかる程度の日用雑貨をとりあえずやるつもりであります。
  40. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 聞きたいと思うのは、約十億円になるというのはどういう品目について十億円になり、そのうちさしあたり検査するのはどういう品目で、その金額はどういう程度になるのですかという点についてはっきり聞いておきたい。疑問を持つのは、検査品目に属するか腐しないということで、同港から輸出する金額は約十億円ということになっているものだから、その十億円の範囲ですね、それと検査との関係を聞いておきたい、こういうのです。
  41. 近藤晴夫

    説明員(近藤晴夫君) 十億円と先ほど申し上げましたのは、工業品検査所の所管物資、機械、金属製品、化学製品、それから日用雑貨等のうちで輸出品取締法の指定を受けて検査をやっております品目を洗いまして大体総計が十億ぐらい出ておるということを申し上げたのであります。清水出張所設置することによりまして、とりあえず検査の対象として考えております品目の総額は、実は今正確にはじいておりませんけれども、約二億円程度でございます。
  42. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると、将来検査する品目を入れれば総額約十億円であるが、さしあたり検査をするものは、そのうちの二億円ぐらい、品目はどういうものか、それを明らかにしていただきたい。
  43. 近藤晴夫

    説明員(近藤晴夫君) 品目は木製品、竹製品、それから釣針、それからゴム製品、ガラス製品、アルミ板製品、その他雑貨という程度でございます。
  44. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 わかりました。
  45. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでいいだろうと思うのですが、さっきの政務次官の説明では、清水港から輸出するものが、昭和二十九年度に約十億円、こう説明をされた。清水港からとちゃんと言われた。今の説明と違うのじゃないですか、どうでもいいようなものだけれども、政務次官のさっきの提案説明には、溝水浴から昭和二十九年度において約十億円出た、こう言われたものだから豊田君が、それは金額が多いから、何がそんなに出るのだと、こういうことであろうと思う。今の説明を聞いてみると、それが清水港でなく、全体のもののように変ったように聞える。
  46. 近藤晴夫

    説明員(近藤晴夫君) 御説明申し上げます。先ほど十億円と申し上げましたのは、工業品検査所の所管の検査品目に属するものを大体計算いたしますと、年間十億ぐらいの輸出がある。
  47. 吉野信次

    委員長吉野信次君) しかし、同港から輸出されるものは、とおっしゃった……。
  48. 近藤晴夫

    説明員(近藤晴夫君) そうでございます。清水は検査員がせいぜい三人程度、それから現在検査をするために必要な器具、その他いわゆる検査器具がないものでありますから、とりあえずは先ほど申し上げました日用雑貨のみを限って検査をいたします。そういたしますと十億円のうちせいぜい二億円程度のものを取り扱うということであります。
  49. 吉野信次

    委員長吉野信次君) みな綱を張れば十億円になる。それを人が少いから、とりあえず……。
  50. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 念を押しておきますが、あとの品目は静岡なら静岡の検査所に行って従来通り検査をする……。
  51. 近藤晴夫

    説明員(近藤晴夫君) 東京及び名古屋の方から出かけまして、検査をするわけであります。
  52. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでいいと思いますけれども、それだと、不便のないようにしてやるというておいて、十億円もあるものをたった二億円だけそこでやって、八億円の分は、今まで通り名古屋なり何なりに行くということは不都合だということになりはせんか、もう少し人をふやして……。
  53. 近藤晴夫

    説明員(近藤晴夫君) かりに清水港から出ます雑貨以外の機械、金属製品、あるいは化学製品の全部をやるとなりますと少くとも十人ぐらいは要るのじゃないかと思います。現在工業品検査所に配置されております人員から判断いたしますと、十人を清水に割愛することによって他の大阪、名古屋、あるいは福岡その他の地区から生産されます商品に対する検査が手落ちになるということを心配いたしまして、とりあえず清水は三人程度しか人がはけないという結論を出したわけであります。できればもう少し人をふやしてやりたいのですが、現在の予算並びに人員配置の状況では三人以上の人を配置することはちょっと無理なんであります。
  54. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうなると、ここで一本入れておかんといけないと思うのですが、通産省が非常に貿易振興輸出振興ということをやかましく言うのです。これは一枚看板です。輸出検査というのは輸出振興ということになる。そういうことになると、今、委員長も言われるように、清水に出張所を置くということになれば輸出振興を一枚看板にしておる通産省としては清水港から出ていく輸出品、しかも検査を必要とする輸出品目全部について輸出検査が実行できるようなその予算すらとり得ない、要するに予算の範囲内でやるなどということを提案理由にまで説明しておかなければならぬということに通産省が輸出振興輸出振興と言いながらやることはまるで逆のことじゃないかということになるので、輸出振興を一枚看板にせられる以上は堂々とこういうときに予算も取り、それで清水港から出ていく輸出品目について検査を必要とする、しかも品目についてはあわせて輸出のできるような施設をなぜしないか、そういう点について一度通産大臣の言明を聞いておきたいと思います。
  55. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) これはまことに御意見ごもっともだと存じます。定員をふやすことにつきましては、かなり折衝を重ねたようでございますが、どうも思うように参りませんためにこういう結果が出たと思いますので、お許しをいただきたいと思います。
  56. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今、政務次官から特に御言明がありましたから重ねて通壷大臣とは申しませんが、いかにこれが輸出振興輸出振興と言いながらかようなまことに不十分な不徹底な行き方をしておるか、これは私は単なる一例だと思いますけれども、これで全貌を推し得ると私は思うのです。そういう点について通産大臣によく伝えてもらって、来年度の予算要求等については、輸出振興をあれほど言われるならば、また経済六カ年計画の大きなねらいが輸出振興であるならば、それにふさわしいような予算を取り、またそれを活用するような施設、計画が確立をせられるように希望をいたします。
  57. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 清水出張所増設による残された年度内の経費、これはどれくらいでしょうか。人員はほかの支所から配置されるのですか、それとも新たに採用されるのですか。
  58. 近藤晴夫

    説明員(近藤晴夫君) 本省、あるいは他の支所の方から現在員を割愛する予定であります。経費は大体八月一日に設置し、仕事を始めると仮定いたしまして、人件費を除きまして大体四万円程度を考えております。
  59. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 家なんかはどうなんです。出張所なんかは今までのがあるんですか。
  60. 近藤晴夫

    説明員(近藤晴夫君) 清水市には現在通商事務所がありまして、これはちょうど清水の貿易館の一部を借りておるわけでありますが、その清水通商事務所の中に相当借りる場所がありますので、その一部をさらに借りてやろうと思っております。これは坪当り今正確に覚えておりませんが、非常に安いものでありまして、先ほど申し上げました金額でやっていける予定であります。
  61. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいまの四万円というのは事務費ですか、人の給料ですか、一体どういうのですか……それではそれはあとからはっきり御答弁願いたいと思います。  ただいま豊田委員からの発言もありましたように、輸出貿易を通産省があたかも一枚看板であるかのようなことを言っておりながら、こういう方面の予算というのは、その点を考えると、政務次官からのお話では思う通りいかなかったとおっしゃるけれども、私はその点についてはまるで通産省が強制されておるのではないかというように考えるのでありますが、通産当局のお役人方はいかにお考えになっているか、御所見を承わりたい。  それからそのことと、昨今問題になっております濃縮ウランの仮協定、あれは外務省でやっておるのであるけれども、結局するところ通産省の扱いになるんでしょう、これから先。ところがあの外務省の連中の翻訳からして間違っておる、非常なるミスを来たしておる。そのミスはもう私が申すまでもなく、あの学術振興会の会長の茅君が一々指摘しておりますように、そういうふうなことに一体通産省が常に無関心であるのか、非常に怠慢であるというふうに思われるのでありますが、外務省にばかりそれをまかせておくということはとんでもない話です。あれは結局通産省の管轄になる。その辺はいかようにお考えでありますか。一例を私が申し上げますならば、たとえばあの濃縮ウランについてはシヴィル・ユースという言葉を使っておる、それを平和的利用と外務省では訳しておる。非常なる誤りです。あの訳の仕方がシヴィリゼイションということ、またはシヴィル・エンジニアというこのシヴィルは単に平和ということではない、辞書を引いてごらんになればわかりますが、シヴイルというのは、平和的利用にあらずして、まかり間違ったら、軍事的にも使えるのだ、そして民生の安定をはかる意味も多分に含まれておる、ああいうところを誤訳をして、都合のいいように翻訳をして、仮協定をどうとかこうとか言っておる。そういう点に対しては通産当局の方々は外務省に対しては一体頭が上らないのかどうか、一体どういうようにお考えになっておるか、通産当局の御所見を承わりたい。私は非常に不満であります。
  62. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 通商関係の予算のうちで検査関係、これは工業品検査所のほかにも繊維検査所八カ所持っておりますが、その方面が人員の問題並びに経費の問題につきましてはわれわれは予算のたびごとにいろいろ要求しておりまするが、工業品の関係もそうでありますが、ことに繊維関係につきましては輸出品がふえまして、非常に繁忙をきわめているというようなことで、できるだけ人をふやすというよりも、経費等をふやしまして、ことに施設関係を充実いたしましてやりたいと思っております。なかなか思う通りにできませんが、できるだけ一つ努力したいと考えております。何分検査関係の方は御承知のようにいろいろ目で見たりというような目測によるものが多いので、これはできるだけ機械的な、科学的な検査によるのが至当だと思っておりますが、在来の方法もございますので、できるだけ人員の点も遺憾なきを期するとともに、そういうふうな施設関係に力を入れたいと考えております。  それから先ほどお尋ねのありました経費はちょっと間違いまして、これは借家料だけでございます。あとから全体の経費は調べて申し上げます。  それからウラニュウムの協定の新聞に出ました誤訳問題でありますが、これは誤訳と言いますのが当りますかどうかなかなかむずかしい点もあるようでございます。私自身予備知識がございいませんが、確かめましたところが、新聞で取り上げておりまするようにはっきり違っていると断定できるか、どうか、いろいろ問題があるようでありますが、もう少し検討したいと思います。なお、そういうふうな訳文につきましては、実はあの日本語の成文はワシントンである程度固まりまして、こっちへきたものでございまして、われわれの方の所管の方もある程度見たようでございます。そういうふうに、たとえばシヴィルの訳にしましても、御指摘のように訳しまするのが適当か、あるいは仮調印の方がいいのか、いろいろ意見があるかと存じております。それからはっきり英語の意味を私は取り違えておるのかどうか、もう少し検討の余地があるように専門家の方は言っております。いずれにしましても、われわれの方も技術的な担当の課の方でも検討いたしております。その結果を待って必要あれば日本語の仮調印のものを直しまして、あるいはそれでいいものならその通りにしたいと、こう考えております。
  63. 海野三朗

    ○海野三朗君 これは誤訳かどうかわからないという御答弁でありますけれども、それは今、私は何もそうあなたを責めてもしようがないのだけれども、シヴィルという言葉の語源から考えなければならない。学者としての専門的立場から申しますと、あの訳の邦文の解釈は法科的にいっておる。ですから、たとえば発生するトリウムについてもそうでしょう、トリウムは直ちに原爆に使用される。ところが、そういうものが原子炉からどんどん出てくる。ところが出てきたものがそのままそっくりアメリカにやりますという約定でもってそういうまるで人をばかにしたような約束に判を押すのはあまりにも軽率ではないかというのです。何故に学術会議の学者たちの意見を聞いて、あの濃縮ウランの専門家の学者の意見を聞いてああいうことをやらないか。つまり通産当局としてもそういうふうな見地に立っていなければならないんじゃないか。ただ法科的な解釈でぼんやりやっていくととんでもないことになると考える。ホプキンスが来ましたときに、ホプキンスをだんだん調べてみますと、向うの前の軍需会社の社長なんです。何らの権威がない。私が質問したときに自分はわからないからいってほかのドクトルを紹介した、そのドクトルに突っ込んでいくと、結局のところわからない。何ゆえにお前の方はそんなに急ぐかと言ったら、アメリカの国会にかけなければいかん、自分の方の都合で日本を左右しておる、とんでもないことだと考えております。国会にかけなければいかんから早くきめろ、早くきめろ、つまりきめろということの下根胆がちゃんとある。日平産業のやっとホプキンスは同じなんです。これは私がほかの方で調査したのですが、日平産業と同じやつが来た。だからそういう際にもう少し慎重な態度でやらなければいかんのじゃないか、将来どうしたって通産省の管轄になりますから、そのときには重大なる関心を持ってよく学者の意見を徴してやらなければいけないのじゃないか。こういうことを私はお伺いするのであります。無関心でいてはならない、外務関係だからわしゃ知らない、やがて自分の管轄になるのだ、私はそういうつまりあなた方の御決意のほどを伺いたい、そこなんです。結局そちらの領分に入ってくるのです。とんでもない約束をしてしまって、まるで借金の証文に判を押したようなものです。そういう際に、つまりあなた方どういう御決意を持っておられるか、それをお伺いしたい。こういうわけなんです。
  64. 河野謙三

    ○河野謙三君 議事進行。今原子力の問題は非常に大きな問題で、本委員会には幸いにして海野さんのような学者もおるので、われわれゆっくり質疑し、海野さんからもまた御意見を聞かなければならぬ。しかしとりあえずの議題とは関係が離れておりますから、本議題につきまして一つ議事を進められるように願います。
  65. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は原子力の方を追及するだけじゃありません。つまり通雄当局の態度がいけない。この工業品検査所の話にいたしましても、先ほど豊田委員から言われましたように輸出入取引の面でやかましく要求してやらなければいかんのじゃないか、従来通産当局は不熱心だと思うのです。そのあなた方の御決意を、漫然としていればいいというお考えのように見えるから、つまり私からハッパをかけて伺ったわけなんです。(笑声)
  66. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 御意見どうもありがとうございました。(「よく聞いておけよ」と呼ぶ者あり)私ども決して漫然としておりません。今後よく研究したいと思います。よく調べてみます。
  67. 海野三朗

    ○海野三朗君 しからば私は方向を転換いたしまして、重油ボイラーの方をお伺いしておきたいと思います。(「委員長採決をやれよ」と呼ぶ者あり)
  68. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  69. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて下さい。
  70. 海野三朗

    ○海野三朗君 この重油の関係でありますが、ボイラー設置制限に関して、制限してどれだけ今まで使用しておった重油が減少する見込みでありますか。
  71. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 大体ボイラー用の重油は百八十万ないし二百万キロリッター足らずのものでございます。それがこの転換によりまして大体企図いたしておりますものは、そのうちで大体百万キロリッターというふうに考えております。
  72. 海野三朗

    ○海野三朗君 年間使用の大体何パーセントくらいに当りますか。
  73. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 重油全体としましては大体本年度におきましては五百十万ないし二十万キロリットルでございますので、百万キロリットルでございますから大体二割足らずということになります。
  74. 海野三朗

    ○海野三朗君 この重油の方の税金はどうなりましたか。
  75. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 関税のことではないかと思うのですが、関税につきましては現在衆議院の大蔵委員会審議中でございまして、きょう実は採決になるかというふうに聞いておりましたが、まだはっきり聞いておりません。おそらくきょう、あしたの間には採決になるのではないかと思いますが、これは私何とも申し上げかねますけれども、実はきょう質疑は打ち切っておりますので、きょう討論採決というふうに聞いております。
  76. 海野三朗

    ○海野三朗君 大体関税の方は一割免除のやつは何ぼか欠けるというふうになるのでありますか、衆議院の方は。
  77. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 原油につきましては二%、それからB、C重油につきましては六・五%ということになっております。
  78. 海野三朗

    ○海野三朗君 この数年前は石炭が高かったものでありますから、盛んに重油を使わせるような方向に運んでこられたと思うのです。で、今度石炭の方が非常に困ってきたから重油の方を今度はやろう、やっぱりそうしますと在来政府のあり方というものは近視眼であった、先が見えなかったという結論になりますか、まるで朝三暮四のように考えられるのですが。
  79. 川上為治

    政府委員(川上為治君) そうおっしゃいますというと、まことにわれわれ面目のない次第でありますが、実は私どもといたしましても、このように重油が非常によけい使われるようになったということは予想も実はしていなかったわけでございます。二十六年度におきましては、たしか二百万ちょっとかと思うのでありますが、それが二十七年度におきましては三百万こえる、しかもその次の年におきましては五百四十万をこえるというようなふうに実に私ども想像し得なかった程度に重油の使用が多くなりまして、そのために石炭の方面に対しましては急激な影響を与えましたので、私どもとしましてはその石炭が非常に不足した時代におきましては、重油に対しまして石炭から転換するように特に輸出産業につきましてはそういう奨励をいたしたことはございますけれども、そんなに重油が急激に使われるということは実は想像もしていなかったわけでございまして、当時またわれわれとしましても何も輸出産業とかそういう特別な産業以外に重油の奨励をいたしたことは、また行政指導をいたしたことはそうございませんけれども、私どもとしましては今から考えますというと、これは当時の不明を謝す以外にないわけでございますけれども、かくのごとくやはりふえて参りますというと、何と申しましても石炭に相当に影響がありますので、この際石炭を使うものと、それから重油を使うものとにある程度の区切りをつけまして、そしてその分野をはっきりしてやった方がよくはないかというように考えましてこの法律を出したわけでございます。またあわせて特にその石油類の中で重油が大半を占めておりまして、しかもそれが急激にふえて参っておりますということは、言いかえますというと、やはりこの外貨がそれだけ非常にふえて参っておりますので、私どもとしましてはやはり外貨の点から言いましても、この際こういうような法律を作りまして、ある程度重油の使用について制限なり規制をすることが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  80. 海野三朗

    ○海野三朗君 石炭の方が御承知のようにいいとか悪いとか言いましても、まあ六、七千カロリーであり、油の方は一万をこえておる。カロリーからいえば倍まではいっていないのでありますけれども、この熱量を使うのは熱量にあらずして濃度なんである。それでその高い温度を得るという点になりますと、重油の方が実際的に三倍以上の効果があります、石炭を使うよりも。それでありますから、どうしたって油には押されるのが自然の道理であると私は思うのです、これは自分の専門の立場から考えまして。それでありますから、しからばどういうふうにこれをやっていけばいいかというと、今の石炭でもって使うのではもう石炭の使用される範囲というものはますます狭まっていくだけでありますから、この石炭をつまりガス化して使うという方向へ持っていかなければならないのじゃないか。つまりガス化して使う、つまり発生炉式のあれで石炭を一方でいぶしてガスにしてこれを使うという方向へでも持っていかなければ石炭の将来に対しては私は非常に心細いのじゃないかと思いますが、通産当局ではそういう方面のガス化するという方向に対してはいかようなお考えを持っていらっしゃるのでありましょうか、その点をお伺いしたい。石炭そのままではもうこれは先は知れていますよ。何ぼ石炭合理化法案だ、なんだかんだと言ってみたってだめなんだ。油にはかなわない、実質が三倍に効果がありますから、油の方は。アッシが出てくる、アッシを取らなければいかぬ、石炭そのままでは。だからどうしてもこれをガス化していこう、これにしないと石炭の将来は生きていけないということになるのであります。その点については先見の明をお持ちになっている通産省の御当局でありますから、いかようにお考えになっていらっしゃるか、それをお伺いしたい。
  81. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) ちょっと担当の石炭局長おりませんので詳細お答えできかねますが、ただいままでの段階と将来の問題につきましては、こういうように考えておるわけでございます。  石炭ガス化の問題は海野先生御承知のようにドイツあたりで相当やっておるのでございまするが、日本の問題として考えますると、まあ炭鉱の自然的な状態も違いまするほかに、やはり石炭の炭化度がだいぶ日本の方が低いようでありますから、かの地で発達しておりまする石炭化学工業をそのまま日本ではどうも育成しにくいようでございます。もう少し工業化といいますか、工業化試験といいますか、つまり中間の実験段階を経なければいかぬというようなことでございますので、通産省としましても資源技術研究所その他で特別にこの問題についてもう少し掘り進んだ実験研究を進め出したい、こういうふうに考えております。なおいろいろ、たとえば常磐地方でもいろんな計画があるように聞いておりますけれども、もう少しこれはまだ日本の石炭の成分あるいはこの日本の出ておりまする製品の需要等を考えましてもう少し日本的に行き得る方向をなお検討する余地があるだろうと思っております。せっかくその方向に努力したいと考えております。
  82. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういう方面の御研究、つまりこの石炭を活用するという方向に対しましては研究費を相当おとりになっていらっしゃいますか、通産省では。
  83. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) ちょっと今手元にデータございませんが、資源技術研究所の方でたしか百万円の特別研究費を持っているかと存じております。ちょっと今手元にデータございませんので後日担当の方から御報告したいと思います。
  84. 海野三朗

    ○海野三朗君 どうかどれくらい通産省が力を入れておられるか、それを拝見いたすためにこの石炭を活用、利用する方面の研究費はどれくらいお使いになっていらっしゃるか、その資料を一つ拝見いたしたいと思います。私はきょうはこれだけに質問を打ち切ります。
  85. 河野謙三

    ○河野謙三君 一つだけ。官房長見えていますが、石炭鉱業合理化臨時措置法、この内容において国内の石炭というものを五千万トンということに目標をおいておるということを過日通産大臣からこの席で御答弁を得たのですが、これには間違いございませんか。
  86. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 昭和三十五年の国内生産目標として五千万トンを目標としております。
  87. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、それと今川上さんが習われる重油の節約、圧縮ですね、これとの関連は十分ついておりますか。私はどうしてもそういう数字が出てこない。一方において石炭を五千万トンの目標でやっていって、そうして一方においては今あなたがおっしゃる程度な油の圧縮ということでは、その程度の圧縮では私は数字が合わないと思うのですが、どうなんですか。もっと極端に、言えば、五千万トンの石炭が出たときには、極端に言えば油は一トンも出なくてもいいという数字になりませんか。そこのところに私け関連性がないと思うのです。
  88. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) その関係の消費の内容事情等も一応考えておりますが、お話のようにそこらの方はもう少しわれわれが考えておるよりもきつく減らさぬと、石炭五千万トン使えないのではないかという御趣旨に了承をいたしましたが、そうではないのでございます。これは、今手元に資料を持っておりませんで恐縮でございますが、石炭の問題の需要の問題としまして、先々一番大きくふえる見込みのものは実は火力用炭でございます。これは現在六百万トン程度でございますが、これが八、九百万トン、もう少ししますと、あるいは一千万トン近くなるのじゃないか、こういうように考えております。それで現在の出炭がかりに五千三百万トン程度でございますから、差額の七百万トン、これを全部重油にかえまして、これは半分の三百万キロか四百万キロでございます、重油の消費は現在の五百二十万キロ、実際を野放しとしますればもう少しふえて実は六百万程度であります。従いまして静態的に考えましても石炭五千万トンで重油が相当な需要をもちまするほかに、各部門の需要の増加もございますので、この点はわれわれなりに一応数字は合わしておるつもりでございます。
  89. 河野謙三

    ○河野謙三君 私もその方は専門家ではございませんから、今のような御答弁を聞いただけではちょっと私も了解しかねるのですが、その石炭と重油の関係、または電力の関係、そういうものとの関連を十分見合ったものがあなたの方の計画の中にあるはずでございます。それにつきまして一つぜひ資料をわれわれにちょうだいできますか。私は少くとも、私自身ではなくて少しその方の専門家に聞いてみたのです。調査もしてもらったわけです。そうすると、重油の政策と石炭の合理化法案の中に織り込まれておる政策と全く矛盾だらけであって、この間に何にも関連性は見出せない、こういうのを、これは一部の学者の偏見かもしれません。学者必ずしもりっぱな学者ばかりいないから、だから偏見かもしれませんが、私は少くとも学者と言われるような権威のある人にも一応聞いてみたけれども、そういう見解を伺ったので今の疑問を私の口を通じてあなたにお尋ねしたのです。どうぞその疑問が十分とけますような資料を一つちょうだいしたいと思います。
  90. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 御質問ごもっともでございます。実はわれわれも総合エネルギー対策ということで、一応の数字的な見通しを立てております。先ほど、委員長からお話がありましたと思いまするが、燃料政策全般に関しまする御審議の時間をいただきましたときに、資料等もお配りいたしまして、ゆっくり御説明したいと、こういうふうに考えております。
  91. 小野義夫

    ○小野義夫君 それにやはり資料に関連してお願いしたいのは、現在の重油の、これはあるかもしれません、資料を見ておりませんからわかりませんが……、重油の使用別の数量及び用途、それからこの合理化によって今度ほそれを取り締って規制しようというのでありますが、既存のものに対しても、その規制の中にいわゆる重油から石炭に転換せしめようといろ意図があれば、そういうものがどういうふうに規制を受けるか。またそのことは有償、政府が補償して転換せしむるのであるか。ただこの法律一片で、つまりもうお前の方はその重油を使ってはいかんというような、そういう禁止令みたいなものでやるというお考えでありますか。それから将来、これはやはり今のと同じように、日本の産業がだんだん高級化して、そうすると先ほどのお説のように、非常にカロリーの高いものを要するような産業が多々益々起ってくる。そういうものの将来の見通しと、それから今の六カ年計画というものと、そういうものの結びつきはどういうふうにしていくのか、燃料の、これからの石油、また火力発電所等についても将来の火力発電が発展していく、それは一体みんな全部石炭でやるのか、今のような諸点に関して詳細な一つ資料がありますれば、私はよく帰りましてなお検討しますけれども、不十分であるとお思いであれば、それらの諸点に対してなるべく一目瞭然にわかるような表的の、表示したものをいただければ好都合だと思います。
  92. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 御要求の資料を、ちょうど今河野委員の御質問にお答えしたと同様な資料がございまするので、できるだけ早い機会にお配りしたいと思っておりますが、なお機会を見まして十分御説明をしたいと思っております。  なお、重油転換の問題につきまして、いろいろな政策の方の御質問ございましたが、これは重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の御審議の際にいろいろ御説明すると思いますが、これは強制的に転換を命ずるものでもございませんので、実情に即しまして、重油よりも石炭を使った方がまあ経済的にはともかくとしまして、国の燃料全体から見ましていいだろう、しかもまた考えていけるというところに対しまして勧告をするわけであります。勧告でございますから、いやだということでありますれば、これほそれまでもあえて強制するわけには参りません。勧告的な措置で進めて参りたいと、こう考えております。従って補償等の措置は考えておりませんが、転換に要しまする資金の裏づけ等につきましては状況によりまして開発銀行、あるいは国民金融公庫等からの融資はあっせんをしたいと考えております。なお、税法上の若干の措置につきましても法律の中に規定しておるわけでございます。
  93. 白川一雄

    ○白川一雄君 お尋ねしたいのですが、これからできるボイラーを制限いたしますと、現在の単価から割り出した今後のボイラーと、現在までの電池を使っているボイラーとのコストというものほどのくらいの違いがありますか、その大体の見当をお知らせ願いたいと思います。
  94. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 従来作ったボイラーと、これから作るボイラーがどのくらいのコストの差があるかという御質問ではないかと思いますが、これはいろいろボイラーの大きさなり種類によって違うと思うのですが、私の方で今そういう資料を作って持って参っておりませんので、早急に調ベましてお知らせを申し上げたいと思います。
  95. 白川一雄

    ○白川一雄君 私のコストと申しますのは、製造会社製品に及ばす、コストに影響する比率がやはり石炭を使っても重油を使っても同じような結果が採算上出るかどうかという見通しをお聞きするわけです。というのは、もし従来あるものは重油を使えるのだ、今後作るのは、石炭をということになれば、そこにそれの燃料費に非常に違いがくるとしますれば、同じ産業の中で法律から制限されたアンバランスというものが生まれてくるのではないかという点を考えるので、今日の石炭事情から見ますと、何とかこれは石炭業界を立て直すようにしなければいかんということは、よくわかりますけれども、日本の産業全体を石炭だけのタイプからのみ見るということは、私は必ずしも正しいのではないのじゃないかともいう考えから立って見ますと、重油をやめて今後は石炭をたかす、これから作るものは非常に燃料費は高くつくということになると、自然製品原価に影響が違ってきますと、同じ産業でありながら競争場裏において非常にアンバランスが生ずるのではないかという、まあ資金の融通はありますけれども、これは返さなければいかんのだし、金利はかかりますし、決して永久的な処置にはならぬ、一時的のものであろう、こう考えますので、大体どのくらいの燃料費の違いがあるかという見通しがあれば参考のために承わっておきたいと思います。
  96. 川上為治

    政府委員(川上為治君) まあ大ざっぱに言いますというと、現在の産炭地におきましては、むしろ重油の方が値段が高い。それが京浜地区とか、京阪地区、こういう方面におきましては、石炭の値段の方がまだトン当り大体六百円高いというような状況によりまして、従いましてこれをさらに五百円程度下げるというようなことになりますというと、大体石炭と重油につきましては、消費地においてはとんとんになってくるんじゃないかというようなふうに考えますけれども、ただ問題はやはりその重油につきましては、いろいろ口実があるわけでございまして、あるいは石炭かすを捨てる必要はない、あるいはまた場所を食わないとか、あるいはまた人件費等において非常に有利であるというような点がありますので、やはり少々石炭の価格が下りましても、なかなか石炭と重油につきましては、大消費地につきましては、そう簡単に石炭の方が有利になるというふうにはならぬのではないかというふうに考えますが、ただ従来各産業別に見ましたときのコストに及ぼす影響というのはどの程度現われるかという問題になりますというと、やはり燃料費に対しましての影響というのは、もちろんたとえば水産関係とか、そういうものにおきましては非常にこれは違いますけれども、一般産業につきましてはそれほど影響はないじゃないかというようなふうにも考えられますけれども、やはりなるべく重油の方から石炭の方へ切りかえるように、そうしたものについてはやっていった方がよくはないだろうか。それからまた、しかしながら輸出産業とか、あるいはそのコストの中で相当燃料費が占めておるというようなもの、そういうものにつきましては、われわれとしましては、これはなるべく重油を使ってもらっておいて、そしてそう影響はないというようなものとか、また輸出そのものにそれほど影響がないとかいうようなものにつきましては、これは極力石炭の方へ転換してもらいたいというような考え方で出しておりますものが、そしてその実際設備としてはどこで線を引いた方がいいかということになりますと、やはりボイラーで線を引いた方がよくはないか、たとえば鉄鋼につきましては平炉というようなものについてはこれはやはり重油を使った方がよくはないか、しかしボイラーにつきましては石炭の方に転換していった方がよくはないか。それから電力につきましては、新鋭火力発電というようなものにつきましては、やはり重油をある程度はどうしても使わなければならないというような状態になりますので、こういうものが重油をある程度使うことはやむを得ないけれども、普通のボイラーにつきましてはこれは一つ石炭を使ってやってもらいたいと、こういう考えを持っておるわけでございまして、そういう考えでこのボイラーの規制はやりたいと思うのですが、それぞれのものにつきまして具体的のケースを出しまして、石炭を使う場合と重油を使う場合とは、燃料においてこれだけ違うのだという資料につきましては、きょう持って参っておりませんので、早急に作りましてお目にかけることにいたしたいと思います。
  97. 白川一雄

    ○白川一雄君 全く油と石炭とわれわれ資料を調べておりましても、あちらを立てればこちらが立たないという格好になって、非常に判断に苦しむのでありますけれども、石炭協会で出しておる資料を見ますと、一年でトン当り六百八十七円も原価を下げる採炭もできたという資料も参っておるのでございますが、幸いにして今度の合理化法案というものが結果を上げて、石炭の値段をさらに下げることができた場合には、結果において採算上油を使うのも石炭を使うのも、大差がないのだということになれば、従来あるボイラーの一時の資金の融資等をもって全面的に石炭を使う方に切りかえる限界ができてくるのではないかというような考え方もしながらこうやって研究しておるわけなんです。どうもその石炭の方が合理的で値が下るというのは、果してどの辺まで下るかというのがわれわれ今後非常に研究しなければならない点ではないか、また重油というものをイージー・ゴーイングで使わんでもいいものを、どの程度にいっておるかという限界点を見つけなければならないのではないか。聞くところによると製鉄なども重油を使うために、トン当り銑鉄で二千円から安くなるということになりますと、これはやはり輸出産業であるならばあまり石炭というものにこだわってはならない。つまり限界点があるのではないかというような点を総合的に見ながら考えてみますと、今のような点も比較的大事な数字になってくるじゃないかというのでお尋ね申したわけなんで、まあそちらの諸種の資料からそういうものができますれば教えていただきたいと、こういうふうに願っておきます。
  98. 藤田進

    ○藤田進君 これは当初行政指導であくまでもいきたいということでありましてね、ここで重油を使うべく奨励せられてきた過去の事態から、昨年あたりから特に重油を規制するという転換があって、しかもそれはあくまでもトラブルのない行政指導でいきたいという、古池さん政務次官のときもしばしばそういう話を聞いていたわけですね、この委員会でも。その行政指導ではうまくいかなくなった。一方石炭企業についてもかような実情というのがこの立法の動機だと思うのですね。従って国民生活にかなりの無理が生じてくるだろう。今指摘された白川さんの御意見はその通り国民生活に、たとえば重油でいえば単価が上るかもしれない。企業が犠牲になるか単価が上ってそれだけ苦しくなるかというものだろう。本来ならば行政指導の範囲が限界だろうと私は思うのですが、そういう点についてかなり無理があるのではないかと思うわけです。なければないとおっしゃればいい。  それから第二の点は法文の解釈についてちょっと確かめておきたいのですが、この第二条の設置制限ですね、四まではこれは大臣の認可も要らないし、この限りでないという、一から四ですね、これは制限がはずされて、従来通りやり得る、こういうふうに解釈してよいか。その中でも第四にある「同一の構内又はこれに準ずる区域内」ですね、こういう場合には増設家屋の、建造物の増築というものが今はやっております。たとえば火力などもそうですね。増築してそこへ据えるということはやほり構内として扱えるのか、そういう解釈なのかどうか。それは五に書いてあるような、次のようなものは通産大臣の許可が要ると、こう書いてありますから、この点との関連でどう解釈されるのか、説明を聞いておきたいと思います。
  99. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 行政指導と、この法律がどういう違いがあるかという問題でございますが、まあ私の方としましては、大体この法案に盛られておるような考え方で、またこういう方針で行政指導をして参っておるわけでございます。ただ、たとえばこの中で新設については別に従来行政指導は特別にやっておりませんけれども、しかしながらそういう新設をしないように、既存のものに対して極力重油については配給するようにというようなことで、この元売り業者なり、あるいはまた特約店に対しましてそういう指導をやっておるわけでございます。それからまた石炭から重油ボイラーに切りかえましても、私どもの方としてもこれは重油を差し上げるということができないかもしれない。またそういうものに対しては極力重油は出さないように一つしてもらいたいということで、これまた元売り業者なり、あるいは特約店を通しまして、指導をいたしておるわけでございます。それから既設のボイラーを持っておるところでありまして、特にその大口工場に対しましては、これは中小企業に対しましては、われわれといたしましても、そう行政指導は従来ともそれほどやっておりません、ただ量的に見まして、そう大きなものはございませんので、われわれとしましては、従来から大口工場に対しまして、そういう行政指導をやっておるのでありますが、そういう大口工場に対しましては、いわゆる既存の工場でありましても、標準購入量というものは各工場別にきめまして、これは月々の購入量でありますが、それをきめまして、そして各工場に対しまして、それを通知し、またそれに対しまして、販売特約店なり、あるいはその元売り業者に対しましても、どこどこの工場に対しましては、こういう今月においては標準購入量を指示しておいたから、この程度に販買してやってもらいたいというようなことで、これは従来から押えておるわけでございます。それから同時にこの第四条の規定につきましても、従来重油ボイラーを持っておりまして、そして石炭力に切りかえてもちっとも差しつかえないじゃないか。たとえばセメント工場のごときにおきましては、相当最近におきましては、採算もいいし、また切りかえる点につきましても、資金的な点も十分ではないかというようなふうにも考えられますし、また切りかえても石炭を使いましても、コストに及ぼす影響というものはそれほどない、大きなものではないというような、そういうものに対しましては従来からもこれを切りかえるようにという指導をいたして参っております。それから第六条に規定しております重油の出荷または販売価格に対しまして、適当な必要な指示をするという問題につきましても、たとえば水産関係につきましては、昨年の四月から重油についての価格についてとにかくあまり上げないように、それから量を確保するようにというような特別な指導をやっております。特にこの四月一日からは鯨油につきましては、各漁港別の価格も指示いたしまして、それから漁港別の数量も指示いたしまして、そうしてそれが適正に販売されるように、また適正価格で販売されるようにという指導をして参っておりますので、この法律によりまして従来の行政指導と非常に違ったものには、実はしてないわけでございまして、従来の行政指導を、これを法律化したというふうに私は考えておるわけでございます。ただ従来の行政指導と、それからまたこの法律と、それではどういうふうにしからば違うかという問題になりますというと、私どもの方としましては行政指導というようなことになりますというと、やほり法的なバックがなければなかなかやれないのではないか、現にだんだん窮屈になって参りますというと、われわれ行政官としては行政指導の限界がありまして、これは具体的にもときどきそういう問題にぶつかって非常に困っておりますので、何とかして法的な、法のバックをもって一つやりたいというような考えをもって、こういう法律提出したわけでございます。たとえば第四条にしましても、あるいは第六条にしましても、これは指示となっておりますが、これは全く勧告と同じでありまして、これを守らないからといって、別に罰則の規定はないわけでございます。しかしながらこういう規定があって、やはり国会におきましてもわれわれの行政指導というものを認めておるのだということでないとすると、私どもとしてもなかなか行政指導はやりにくいというような点もありますので、やはりこの法律を出しましてその国会の承認を得ました方針によりましてわれわれは行政指導をし、また法律に基く行政指導なり、あるいは行政処分をしていくのだというようなことにしたいために、この法律を実は出しておるわけでございまして、これは私ども約一年以上にわたりまして行政指導をやっておりますけれども、古池先生が政務次官の時分からずっとやっておりますが、行政指導というのは実際なかなかむずかしいのでありまして、なかなか簡単にはいきませんので、やはり法のバックをもって私どもどうしてもやらなければならないというふうに考えておるわけでございます。  それから第二の問題は、ちょっとよく私わからなかったのですが……。
  100. 藤田進

    ○藤田進君 簡単に言いますと、第二条の設置制限について、「次の場合は、この限りでない。」というふうになっていて、四までは制限から除外されることになっておる。そうであれば第五の、この場合は通商産業大臣許可を受ける場合ですから、そうであれば四の場合は、これは許可とかそういうことでなしに、従来通りなのか、これが一つ。なかんずく同一構内、あるいはこれに準ずる区域内、こうなっている場合、増築してそこに設置する場合、これは当然同一構内になるのだが、これは、しかし本質は新設にもなる、そういう場合はどうなるか。増築などした場合の、構内の扱い方ですね。
  101. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 一から四までにつきましては、こういうものはこの限りでないということになっておりますので、これは既設のものはちっとも差しつかえない、また新設のものにつきましても、こういうものは差しつかえないというわけでございます。それから同一構内のものにつきましては……、四のこれは移設でありまして増設ではありません。移設の場合でございます。
  102. 藤田進

    ○藤田進君 だから増築した場合でも移設と認めますか。その解釈運営としてはAの地点にあったものをBの地点に移す、それは構内が拡張されたわけです。
  103. 川上為治

    政府委員(川上為治君) それは移設じゃないと思いますのでやはりひっかかってくるかと思いますが、これはちょっと……。
  104. 藤田進

    ○藤田進君 同一構内と認めないわけですか。最近火力発電所の場合みんな増築しているわけですね、同一建物になってしまうわけです、そういう場合の扱いが……具体的に申し上げると。
  105. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 増設の場合は改造なんかを伴う問題が相当あるのじゃないかと思うのですが、やはり改造という点になりますと第三条によってひっかかることになります。やはり制限されるというふうに考えておるのであります。
  106. 藤田進

    ○藤田進君 ちょっとその点は時間がないですから後日に譲りますが、次に五の場合で「省令で定める」とあるが、およそどういうことになりますか。私の考えでは、一から四までというようなのも結局省令に譲ってよさそうに思われるが、それがわざわざ五に出てきて、五項でイ、ロと書いてあって、そこのところが同一の趣旨のように思うのだが、特に別にしてあるのは、そこはニュアンスが違うと思うのですが、具体的に二、三例をあげるとどういう内容ですか、省令は。
  107. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 一から四までのものにつきましては、これはどうしてもやはり重油を使わなければならないだろうと思うものにつきまして並べてあるわけなんでありますが、五のイ、ロにつきましては、これはなるべく認めたくないけれども、どうしても具体的なケースについてやむを得ないというようなものについては通産大臣の許可を受けて認めてやるというわけでございまして、ロの中では、たとえば、これは実際やりたくないのですが、具体的にこれはよく調べた上でないとわかりませんけれども、あるいは在日公館とか、あるいは駐留軍の宿舎のボイラーでありますとか、あるいはまたさっき話がありました電力設備の中の新鋭火力設備でありますとか、あるいは農村関係でどうしてもこれでなければいかんというような特別なボイラーというようなそういうものについてはこれは許可によって認めてやろうという考えでございますけれども、これはきわめて私の方としましては限定してやりたいというふうに考えております。今申し上げましたように、一から四までのものにつきましては、これは全体としてそういうものはやむを得んだろうというようなもの、五については、実際はやりたくないけれども、個々の例に当って通産大臣の許可をしてどうしてもやむを得ないものは認めてやろうと、こういうようなものに考えております。
  108. 藤田進

    ○藤田進君 その場合に、触れられると思ったら触れられないが、用途別になるのか、規模別になるのか、それが総合されるのか。これでは、量的な重油の消費量とか、あるいはボイラーのキャパシティ、そういうものが基準でないように考えられる。しかし、この法案趣旨としては、やはり重油の消費が非常な膨大なものになるのを規制するというのが本来の趣旨だろうと思われるわけですが、法文上はそういう点は出てこないわけで、研究、試験、こういったものは三号に書いてあるが、比較的小さなものですね、これも新設は四号までに該当しない限り五号でいくことになるわけですが、そういう規模別についての若干の考慮があるかどうかという点が一つと、最後にもう一点は、石炭企業についても将来現状であってはならんと思いますし、あるいはまた社会事情で石炭が昭和二十七年のように枯渇してくるときもあり得ると思うわけです。これは労使関係の問題からもあり得るでしょうし、いろいろな要素からあり得ると思いますが、この法案を見ると十年以内を一応目途にしている以上臨時措置法としてもかなり二長期的なものだと考えられるので、そういう場合に石炭に対して政府が補償ができない、まず石炭とその炭価について、そういう現状にあってボイラーが使えないというこの法律に対する無理ですね、そこらをどういうふうに御解釈なのか、その点もあわせて伺っておきたい。
  109. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 第二条におきましても第三条におきましても、私どもとしましてはたとえ小なりといえどもやはりこれに該当するものは認めたくないというような考えを持っておりまして、別に規模が大きいから小さいからというふうには考えておりません。ただ四条だけは、これは従来設置しておるものについてこれを転換しろというようなことについては、これはあまり小さいものについてはやりたくないということでただし書きにおきまして、そういうものは除くというふうに考えておるわけであります。それから十年以内という問題でありますが、これは石炭鉱業におきましては五年ということになっておりますけれども、大体石炭鉱業の合理化法案によりましてその効果がだんだん現われて参りまして、その炭価が下ってこの重油の方と競争のでき得る状態に達するのは大体五年を過ぎてから六年、七年ごろではないかというようなふうに考えておりますが、電池につきましてはあまり早く、とにかくそれが転換……あまり期間を短かくしておきますというと、もうそうしなくたっていいじゃないかというようなことになりますと非常に困りますので、大体石炭の効果の現われるのと歩調を合せまして十年以内ということにいたしたわけでございます。
  110. 藤田進

    ○藤田進君 肝心な聞きたいところは、近い将来あり得ることですね、法律として実施される以上あり得ることとして言いたいのですが、昭和二十七年の前、貯炭は急速にむしろ減つきて、そうして国鉄なり、あるいは電力もそうでしたが、だんだん石炭がないために重油に転換させたわけですね、これはいろいろな理由があったでしょうが、当時炭労の全国的なストも若干影響したでしょう、そういうことが将来の労使関係ではあり得ないわけではないという状態にあると思いますが、今後不況になってくるにつれてむしろそういう問題が出てくる可能性がある。そういう事態があった場合にこの法律が厳存する限り、出炭はない、貯炭もむろん減ってきて炭価はだんだん上ってくるというような状態が出てきた場合にどうするのか。ボイラー、重油についてこれだけ規制をして法律で罰金左できめておるわけですからね、そういう無理が生ずるのではないかと思われるわけですが、そういう点をどう切り抜けていかれますか、そういう事態に対して。
  111. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今のお話は石炭の生産が落ちてむしろ石炭の価格がだんだん上ってきて、そういうような場合にはどうなるかという問題でございますが、私どもの方としましてはこの石炭合理化法案等によりまして石炭企業の合理化をしてだんだんコストを切り下げて、そうして値段も下げるようにして、同時にまたこの重油の方と十分太刀打ちできるような状態にするために、一面におきましては、重油の需要の急増に対しまして重油の配給の規制をやって、そうして調整をして行こうというような考えでやっておるわけでございますが、今先生がおっしゃいましたような、かりにそういうような事態が起る場合におきましては、これはまたその場合においてわれわれとしましては特別な措置を講じなければならんと思うんですけれども、われわれとしてはそういうようなことではなくて、石炭がだんだん下り、そして重油のかわりに石炭を使って十分何とかやっていける、しかも無理に石炭の値段を下げたのではなくて、合理化によって下げられたのだというような状態になるように石炭をもっていって重油と調整ができるという考えでこの法律は作ってございますので、将来の特別な場合が生じました場合におきましてはその際別途な措置を講ずるよりほかないんじゃないかと考えております。
  112. 藤田進

    ○藤田進君 この点研究していただきたいと思います。別個の処置が過去にあったので、どう切り抜けるか、かなり無理な法律になるような気がするので、これは一つ続いて、あらためてお尋ねしたいと思います。
  113. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと、私はこの機会に御説明いただきたいのですが、例の全漁連の外貨割当というのは、あなたは、何か業界新聞を見ますと、徹頭徹尾反抗しておられたようですけれども、政治的圧力か、それとも何か屈服するだけの理論的な裏づけが出てきたのか。どういうわけでああいうことになったのか。この経過をこの機会に一つ聞きたい。
  114. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 全漁連に外貨を与えてもらいたいという要求が、今河野先生がおっしゃいました通り、前々からあったわけでございますが、私どもの方としましては、全漁連に外貨を与えますというと、やはり従来、もちはもち屋にまかせるというような考え方で、なるべくインポーターなり、あるいは精製業者なりそういうものに外貨を与えるようにやってきておりますし、また最近におきましては特に石炭との競合の関係から重油の全体の量がしぼられておりまして、製品輸入につきましてもだんだん減る一方でありますので、この際外貨の割当をすることはどうしてもよくないということで、私どもの方としましては全漁連に外貨を割り当てることはよくない、しかし全漁連が考えております値段を下げるという点につきましては行政指導におきまして何とか一つ下げるように努力したい。特に今回こういう重油ボイラー設置制限等に関する法律が出ますというと、六条あたりによりまして何とかして値段を押えて一般漁業に対しまして値段の高いことによりまして非常に悪い影響なんかありますことを避けたいということでやってきたのでありますけれども、しかし考えてみますと、一面におきましては現在油の値段が高いということはいろいろ言われておりますし、それからまたわれわれ権限をもちまして、ほんとうに油の値段がどれほど高いか、たとえば精製費がどれだけほんとうに高くて、どれだけが適正であるか、あるいはまた販売経費がどれだけが適正であるかということは十分現在の法的なバックによりましてはっかめないというような状態にありますので、何かこの際特別な措置を用いて配給するというようなことによって一方ある程度の量につきましては値段を安くして、一方の一般の市場価格を牽制するということも一応考えられるんじゃないかということもいろいろ考えまして、これは衆議院におきましては各党全漁連に対しまして外貨を割り当ててくれという強い要望もありましたけれども、私どもとしましては外貨の割当そのものはしないけれども、何か特別のたとえばひもつきで配給するというようなそういう特別な措置をとりて、そして今申し上げましたようなことをやることも一つの方法ではないかというふうにも考えられましたので、最後におきまして私はそういう方法をとってもやむを得なかろうというわけでひもつきと申しますか、外貨は輸入業者に割当をしますけれども、それを全漁連を通してある程度販売をさせるということにいたしたわけであります。
  115. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、筋としては全漁連に外貨の割当をすべきじゃない、しかし今までの油の市価というものはあなたの方から見ても不当に高かった、これに対して消費者の団体である全漁連からこの市価を適正なものに直すためには直接どうしてもわれわれの団体に外貨の割当をもらわなければいかぬ、この主張に対してあなたの方は同意した、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  116. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 値段が不当に高いという点ですが、不当に高いかどうかという点については私の方でももっとよく調べてみたいと考えております。私は特にこの法律通りますればこの法律で調査の権限を与えられますので、私どもの方としてはもっと詳細に調査してみて、果して不当に高いかどうかという点については調査して結論を得たいと考えておりますが、しかし現在の石油の価格が、じゃ適正価格であるかという点になりますと、私自身必ずしも適正価格であるとは言えないというふうに考えております。ですからある程度やはり商いのじゃないかというような気持を私自身は持っております。従いまして、私はやはりこの際ある程度のものをとにかく全漁連というような一つの系統機関を通しまして配給することによって市価を牽制するということも値段を下げる一つの方法ではないかというふうに考えましたので、これは各党各方面からの非常な要望もありましたので、そういう措置をとったわけでございます。
  117. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、あの措置をとったことによって市価を安定させようというねらいがあったわけですね。
  118. 川上為治

    政府委員(川上為治君) あの措置につきましては私どもの方としましてはやはりどうしても市価を安定させると申しますか、市価をある程度牽制して安く漁業者の手に入るようにしたいという考えでありまして、それがもし全漁連を通しますものが高く売って何らそういう効果がないということならこれはまたもう一ぺん考え直さなければならぬと考えております。
  119. 河野謙三

    ○河野謙三君 不当に高くないけれども、不適正だとあなたの方で認めて、不適正な価格を牽制する意味においてああいう措置をとった、こういうふうな牽制措置は全漁連の割当にはないと思います。全漁連というのは理論的には消費者だけれども必ずしも消費者じゃありません。これは単なる流通過程の一段階です。それならば石油販売業者と同様に外貨の割当をすることによって……、ちょうど通産省が過去において、砂糖において、全購連に割り当て、パンの組合に割り当て、菓子の組合に割り当て、教員組合にも割り当て、炭労の組合にまで割り当てて、そういうことによって砂糖の精製業者の暴利を牽制するという措置をとっておられるが、それならば全購連というものは全漁連に該当する、菓子の組合なり、パンの組合なりは油の販売組合に該当する、中小企業だ。こういうような組合はある、どうしてそういうふうな組合に外貨を公平に割り当ててそうしてあなたが目途とされるところの油の市価の安定という手段を選ばなかったか、これは通産省の非常に手落ちだと思うのですが、どうですか。
  120. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この重油につきましてはコストの中で一番、一番と申しますと語弊がありますけれども、少くとも非常に大きなウエートを占めておるのはやはり漁業関係ではないかというふうに私は考えております。コストの中の三割、四割近く大体燃料費が占めておる。しかもこれは全部重油で、ほかの産業につきましてコストの中に燃料費がそれほど占めておるものは非常に少いのじゃないかというふうに考えるのですが、しかもその漁業関係は零細漁民であるというような点からいいまして従来からも漁業関係は特別な措置をとっておるわけであります。昨年からもこの漁業関係は特別に措置をとって参っております。値段が上らないように、極力値段が下るように、配給量も確保するようにというような特別な措置もとって参っておりますが、私どもの方としましては行政指導によりまして何とかしてうまくいかないものかということでいろいろやって参ったのですが、今回のある程度数量をこの全漁連を通して流すということにつきましては、他の産業とは若干趣きを異にしておるじゃないか。従いまして、これだけはやむを得ない措置ではないかというふうに考えておりまして、ほかのものにつきまして、じゃ同じようにひもつきにするというようなことは毛頭考えておりません。
  121. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は漁業関係が大口消費者であることは知っておりますよ。しかし、漁業者が使う油というのは全漁連が全部やるんじゃないでしょう。商業者の手を通じて――むしろ今までの漁業者、全漁連の扱っている以上に商業者の手を通して全漁連にいっておるわけでしょう。そうじゃないですか。末端の消費者、漁民というのは一つであっても、そこへいくまでの過程は、あるものは商業系統でいき、あるものは全漁連の系統でいく、こうなっているでしょう。一方の道だけ開いておって、一方の道をふさいでおるというのはいかぬじゃないか。わしは全漁連の道を通していくのを反対しておるんじゃない。こういうのは、今までの精製業者があれだけの暴利をとるところの牽制処置としては適切であったと思う。しかし、その適切な処置としてあなた方全漁連にやるならば、同時に末端の消費者である漁民にいくのには全漁連というだけじゃないでしょう。あなたも知っておるように、むしろ漁業者にいくところのコースというものは、商業者からいくコースが多いんですよ。それをなぜ全漁連の方の道だけあけておくんですか。幾ら議会で政党の圧力がかかるからといって、理屈の合わぬことで屈服しちゃいけませんよ。なぜりっぱに対抗してやらないか。
  122. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今先生のおっしゃいますのは、特約店を通すものも一部のものについてはそういう措置をすべきじゃないかというお話じゃないかと思いますが、その点は私どもの方では現在研究をしております。またこの漁連系統を通じまして流す方法につきましては、いろいろ考えを持っております。まだ具体的な考えを持っておりませんが、その問題と合せまして、特約店を通しまして一般に配給するもののうち、ある程度特別な措置をとるということにしても、十分一つこれと合せて研究していきたいと思います。
  123. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は、それに全漁連と特約店の段階があるのはおかしいと思う。官房長もここにおられるが、通商産業行政……商工委員会の議案の大部分は中小企業対策ですよ。特約店とか、油の業者はいろいろたくさんあるわけです。特にここに豊田さんもおられるが、これらの中小企業というものを通産省がかかえているのだから――通産省がかかえていないなら別だ、これが農林省とか、運輸省がかかえているなら別だが、あなたの方の行政でかかえている油の中小企業に対して、これはあなた甲乙をつけるのはおかしいじゃないか。同時に、なぜそういうことをやらないか、圧力によって行政をやられてはたまりませんよ。
  124. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 別段特に圧力ということではありませんが、今度の措置は、十万キロ別ワクで全漁連にということになっております。別ワクと特に考えましたゆえんは、在来の特約店系統から漁業組合に渡ります油の分野をあまり侵蝕しないようにという配慮から出たことでございます。まあそういうことで、全漁連系統――組合系統のものと、消費系統のものと、あまりでこぼこのないようにということの措置であります。
  125. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは川上さんも御存じだろうけれども、私は一人目分の兄弟に油に関係しておる者がいる。この間もいろいろ聞いてみて、それで多少知っておるわけなのでお尋ねするんですがね。何も油屋の味方をしているんでも何でもない。終局の目的は、漁民に安い油をやるということに尽きるわけです。その手段方法として、全漁連を選んで、中小企業である油の業者を無視したというか、軽んじたという形は――まさしく軽んじておる、これは通産省の行政で非常に片手落ちじゃないか。同時に、私はこの機会に申し上げますが、今年の春に漁民に対して七百円値下げを声明しましたね。あの値下げをなぜやらなかったんです。同時にあの値下げはどこの家庭において負担するんです。元売り業者ですか、それとも販売業者ですか。私が聞いておるところでは、販売業者は、われわれの方では一定の口銭で機械的に売っているのだから吐き出しようがない、もうけているのは元売り、もしくはもっと先だ、こう言っておる。ところが、元売り業者のところへ行くと、おれたちが二百円負担するからお前たち五百円負担しろ、こういうことで押し合いっこして、そのうちに時日が経過して、七百円の油の値下げというのはいつ実際実行できたか、このごろになってようやく油の問題がやかましくなって、幾らか色をつけるということじゃないですか。大体油の業者というのは、この際はっきり言いますが、こんな封建的な社会はありませんよ。あんたは白川さんから石炭と油のどっちが高いか安いかと質問されたが、今の油の価格を石炭の価格と比較して高いとか安いとか言っておる、今の油の景気を是認しておる。三白景気というのにこのごろは油が加わったじゃありませんか。そういうように、あなたの担当の中においてそうして外貨をめぐっていろいろ政商がばっこして、そうして元の方でみな九割九分とつちまって、あとの一分を末端の油屋さんが右往左往してやっているということは知っておるはずです。行政指導とか制度が変って一番もうけたのはだれだ。元売りじゃないですか、精製業者じゃないですか。元売り業者は、精製業者は、川上さん、どういうことをされておると思いますか。あなたはそういう意図はなくても、結果においてそういうことになっておる。これは、あんた、よくふんどしを締めてかからぬと、かつての造船疑獄やそこらの騒ぎじゃありませんぜ。
  126. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今先生からおっしゃいます通り、この四月一日から油の値段を事項別にきめまして――これは小売業者の末端価格であります、これを従来よりも七百円程度下げたわけでございます。これは二月の末に通産大臣と農林大臣が相談をされまして、大体七百円程度下げるということを声明いたしまして、そうして四月の一日からこれを実行しておるわけでございます。七百円は、小売業者が負担したか、あるいは精製業者が負担したか、あるいは特約店が負担したかという問題については、これは私の方でも当時におきましても、これは両者において……。この取引というものはいろいろ形態がありますので、私の方としましては、この際、じゃあ、元売りにこれだけ負担させる、あるいは特約店にこれだけ負担させるということをしないで、これは両方でよく相談をして、そうして最終末端価格においては七百円下げるようにしてもらいたいということで行政指導をしたわけでございます。しかし、今先生のおっしゃいますように、特約店というものは、これは中小企業者でございます。かつまた、口銭等におきましても、そうよけいとっていないので、どうしてもこれは元売りが負担すべきじゃないか、という点については、これは私もその点につきましては十分考えておりまして、この際早急に――元売り業者が大体どれくらいとにかくマージンを取っておるか、あるいはコストがどれくらいかかっておるかという点を調べた上でということになりますと、おそくなりますので、この際はそういう点を十分考えまして、そうして負担がその特約店という小さなものにかからぬように元売りの方でも相当な負担をするように私の方では持って行きたいというように考えております。それからまた、この七百円下げというのは、果して適正であったかという点についても、これは私の方ではもう一ぺんよく検討し直して、もっとこれを下げるように持って行きたい。しかもそれを下げる場合におきましては、なるべくこれは精製業者なり元売り業者、いわゆる世間が一番もうけているじゃないかという方面に私は負担をかけるように持って行きたいというように考えております。
  127. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は、自由取引の中で七百円にしろ、五百円にしろ、下げろということを言うのは、そもそも私は政府が越権だと思う。それを下げろということを言う以上は、その七百円というものは小売りで幾ら出るんだとか、販売店で幾ら出るんだとか、精製業者で幾ら出るんだとか、これをはっきりあなたの方で負担のしどころをきめて、それをきめ上げたものが七百円になったということでなければむちゃだと思うのですよ。今聞いてみると、この七百円をだれが負担するかということについて、まだ、いまだに明確な通産省の具体案がないということになると、私はおかしいと思うのです。現在の段階ではこの七百円というものが、元売りが幾ら、販売店が幾ら、もしくはもっとさかのぼって、精製業者が幾らというような負担の率というものはもう出してあるのですか。
  128. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 七百円をどこで幾ら負担させるかということは、私の方では別に出しておりません。これは先ほども申し上げましたように、特約店の方も、元売り業者も、精製業者も一緒に話し合いをいたしまして、そしてこれはいろんな取引の従来の関係もあるので、両方でよく相談をして、そして特約店でどの程度負担するか、あるいは元売り業者がどの程度負担するかということをよく相談し合った上で、そして全体の、最終末端価格が七百円程度下るようにということで、四月一日からやっておるわけでございます。ただ先生がおっしゃいますように、どうも力の弱い特約店の方へ非常に重荷がかかって、元売り業者、精製会社の方ではほとんど負担しないで、特約店の方へ相当荷がかかっておるというようなことも最近は間々聞いておりますし、また、じゃ七百円というものを幾らずつ負担するかということについても、何ら話し合いがついておりませんので、私の方で、早急にこれは話がつかなければ、元売り業者、あるいはその精製業者が幾ら負担するか、それからすなわち特約店が幾ら負担するということは、一つ私の方できめてやろうというふうに考えております。ただ、これはどこまでも行政指導でありますので、なかなか七百円下げるということも、行政指導でありますので、なかなかその通りうまくいくかどうかということも、現在の段階におきましてはむずかしいことでありますけれども、私は少くともこの法律通りまして、今国会の承認のもとに第六条の規定を発動するということであれば、相当私はきき目があるのじゃないかというふうに考えるわけであります。
  129. 河野謙三

    ○河野謙三君 いまだに話し合いがつかない、話がつかない間にだれが迷惑するか、話がつかないということは、業者は今までの値で売るということなんですよ。政府だけがいい気持で七百円下げるとか、八百円下げるとかといっても、話がつかない間は、七百円高い油を使わなくちゃならない。話がつかないということは、消費者がそれだけ負担すべからざるものを負担しているということ、同時に、業界の中にということを今ちょっとあなたが触れられましたけれども、業界の中が一筋じゃない。行政指導までやらなければならぬということは、要するに供給不足ということなんですよ。この状況において末端ほど弱いのは当りまえなんです。五分と五分で主張ができないのです。でありますから、あなたが業界にまかせるということは、何か民主主義の穏便な措置のようだけれども、あなたが、これは逆に言うと、あなたの方が強いものの味方をしているという結果になるのですよ。そういうそしりを現にあなたは受けている。これはすみやかにおやりにならなければいけませんよ。
  130. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今河町先生がおっしゃいましたことは、私も十分最近は感じております。でありますから、この問題につきましては、早急に中に入りまして、まとめたいというふうに考えております。
  131. 河野謙三

    ○河野謙三君 最後に一つだけ……。今度の全漁連の措置については、全漁連に引き続き、販売業者にも同様の措置をとるべく考慮しておる、こういうことでありましたが、これは時間の問題を伺うのですが、大体いつごろまでにきまりますか。それから今度のような需給者に外貨を割り当てるという措置は、これは今回一回きりと考えていいのですか、それとも将来ともこれは前例として引き続きやられるのであるか、これを伺いたい。
  132. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私は特約店組合に対しましても全漁連と同じような措置をとるということを言ったわけではございませんが、しかしこの全漁連を通しましてやるような、何かそういう方法と同じような方法はないものかということを検討いたしまして、そして決してこの際特約店組合の方が非常な片手落ちで、そして何か非常に問題を残すというようなことがないような調整方法を、一つ講じたいということを申し上げたわけでございます。それから、なお今回の措置は、全漁連そのものに外貨を割り当てたわけではございません。これはあくまでも輸入業者に対しまして外貨を割り当てて、割り当てた外貨を全漁連の方へ、年間十万キロリッターでございますが、これを全漁連を通して販売していくというわけでございます。それからなお、じゃ、ほかのいろんな業種について、同じようなそういう一種のひもつき外貨と申しますか、ひもつき配給と申しますか、そういうような措置をとるかという問題については、私の方としましては、先ほども再々申し上げましたように、ほかの産業については全然やる意思はございません。
  133. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は今質問を終ろうと思いましたが、あなたのお話が逆戻りして、特約店ですか、販売店ですか、その方については、それと同じものをやるとは考えないけれども、何か今考究中だと、こういうようなことで、ばくとしているのですが、それでは官房長に伺いますが、それはこの次の機会に伺います。通産行政のうちの中小企業対策としてそれでいいんですか。これはあえて、今答えを求めません。油だけの問題じゃないんです、これは……。あなたの方でかかえている中小企業というのは、そういう問題に一々ぶつかってくるのです。大資本と、中小企業の間に、同じ通産行政の中で一々衝突するのです。現に衝突しているのです。これははっきり通産行政の中で、中小企業対策として、こういうものを確立してもらわなければならぬ。われわれに確約してもらわなければいかぬ。これは単に油だけのことを言うのじゃない。たとえば私が少しく詳しいとうぬぼれているのだが、肥料でもそうでありますが、全購連が今や六割以上きている。商業者はさらにこれは圧縮されようとしている。全購連が伸びることが、農民が必ずしも得になるわけじゃない。全購連のやはりシェアというのは、ある限界がある。独占に近くなりますと、全購連が扱う独占の弊害というのは、農民がかぶるのです。これは商人系統と全購連系統協同組合、これが相両々牽制するという一つの限界がある。政策的に中小企業を守るということ以外に、大きな目で政策的にこれらの中小企業と大資本、中小企業と全購連、こういうものをどこで線を引くかということは、あなたの方でまず線が引いてあるはずなんです。線が引いてあるなら、それによって一つお示し願いたいと思う。今の油の問題を全漁連に割り当てた、これはもう一週間前に発表になっている。しかもいろんないきさつはみんな知っている。全漁連の方は圧力に押されて、仕方がないからやった、中小企業の方はまだ話がついてない。十日待てばいいのか、一週間待てばいいのかというと、期日の問題じゃなくて、その方策さえもない。こういったようなことで、官房長いいんですか、一体……。
  134. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 中小企業の中でも、流通面の問題は、これは戦前にも反産運動というようなことで、協同組合系統の購買あるいは販売面に対する進出と、商人系の問題が非常に起ったことは、これは私自身も実は覚えているわけであります。いろいろ考えて見ますと、実は協同組合、ことに農業協同組合の系統の全国組織、あるいはまたその中間段階のところでございますが、これは一そう生産者、あるいは消費者そのものを代表しているというふうに見るべきものか、あるいは流通面を担当している一つの、何と申しますか、配給業者というふうに見るべきものか、なかなか、いろいろ理屈はあるように思っております。実はそれがいろいろ農業組合系統の配給機関が伸びているゆえんでもあり、また国の保護を受けているゆえんでもあるかと思いますが、われわれがざっくばらんに申しますと、何かその点は心の中でも味気ないように感ずるわけなんでございます。御指摘の肥料なんかも、末端に行くに従いまして、農業協同組合の扱う面が多いようであります。油も、どうもそうらしいようであります。中央組織の扱いの面は、だんだん下へ行くに従って商人系が圧倒されている。逆に販売面もおそらくそういうことがあるだろうと思います。将来の米の問題なんかにつきましても、そういう問題は相当問題だろうと思います。また中小商業者の問題は、都市の問題につきましても、生活協同組合等からの挾撃もあるわけでございます。実はそういう点をどういうふうな考え方で整理し、まあ小業者を守るかという問題は、実はわれわれもいろいろ検討しておりますが、どうもなかなか業種業種事態も違いまするし、非常に困った問題だと思っております。ことに協同組合理念なるものが要するに商人は中間マージンをまあいろいろな部分でとっておるのだというふうな点からスタートしたものでございまして、ひとり農業関係に限らず生活協同組合等の面につきましても、まあこの商業の問題としては相当考えるべき問題が多いだろうと思っております。またそれがそういう協同組合組織であるだけに国からいろいろな保護を受けておる、税金上の問題その他につきましても、あるいは財政的な援助等もございますので、それに対して小業者の立場をどういう立場で守るかという問題が、戦前にも商業組合等のあり方もございまして、なかなか、協同組合組織では小業者はなかなか組織化し強力にならぬという問題もございます。実はそういう分界の問題、組織の問題等につきまして、何といいますか、まあ目下実は思いあぐねているというのが実情でございます。何かいい方法はないかなと実は思っておるわけでございますが、そういう油の問題も、先ほど申し上げましたように特に別ワクというふうなことを考えましたゆえんは、そういうふうな措置によりまして特約店系統の扱いまする量が減らないようにという配意に出ておりますが、これも実際の油の需要からみまして全体の漁村の使用量がそれだけふえますれば完全に別ワクになりまして、特約店系統は被害はないわけでございます。これがそのワクの数量だけ漁村の油の需要がふえませんと、あるいは一部問題になるかと思っております。
  135. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は豊田さんにあとバトンを譲りますが、ただ私が今日申し上げていることは、中小企業対策ではあるが、究極の目的中小企業の育成をしておかぬと消費者がみんなかぶるのですよ。全漁連といえども農協といえども商人といえどもみんな人間がやっている、必ず一方に勢力が片寄ればそこに独占の弊害というものが出てくるのです。それを牽制する意味においても、今の油の場合も商人系統のことを考えておかなければいかぬ、肥料の場合も同様である、こういうことも中小企業対策であると同時に、一番根本は消費者を守るゆえんですよ。そういう意味合いから言っておるので、この間中小企業の中央会とか何とか、いろいろの法案が出ましたが、ああいうものを幾ら作っても肝心の通産省にそういう腹ができていなければ話しにならぬでしょう。あとは専門家の豊田さんに譲ります。
  136. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今のに関連して一言だけ政務次官にお伺い申し上げたいのですが、希望も申し上げたいのでありますが、今の河野委員の問題は、要するに購買会と小業者という問題なんですが、これはもう全面的にきているのですね。これは先ほど官房長からもお話がありましたが、生活協同組合、それも中都市に大工場が誘致された場合に、そこで従業員、四万、五万という大きな従業員を背景にした生活協同組合が、これが大企業からいわゆる提供せられた建物、それから人件費は別の建前によって支給せられる、しかも税金はこれまた軽減せられる、そういう行き方で非常にデパートに近いような経営をやられると、中都市の小売商というのは全く参ってしまう。あるところによるというと、動物園をやったり、宣伝カーを出したりしてまで、員外にまで販売する行き方をやっておる。それから官庁の公務員の共済組合などでも、最近は洋服布地などは非常に安く仕入れて、そうして地方の洋服屋が、洋服屋自身が仕入れる原価よりもさらに安い原価で配給せられるものだから、地方の洋服屋というのはその点ですぐ参ってしまう。こういう今状態で、結局この購買会を、大きな組織による購買会というものと、小売商、中小企業の零細企業との利害関係、これはもう非常な深刻な状態になっておるのです。それで、そこへ持って来て今のように政府がひもつき配給のようなもので特典をそれに与えるというようなことになると、もういよいよ小業者というものはまともに税金を納め、給料も従業員には払い、建物についても自分の責任においてやらなければならないというようなことになると、とうていやっていけない、これをいかにするかということが問題になるわけであるが、最後は――河野委員消費者の点を強調せられたけれども、最後はこれは結局人口問題をいかに処理するかという根本問題があると思う。経済六カ年計画を通産省と経済審議庁で非常に協力せられてやっておったが、今のあの計画それ自身はとうてい実行はできないですね、ほんとうにここで中小企業対策、商工業本位の中小企業対策というものをほんとうに立てて今の生活協同組合、あるいは購買会、こういうものを、その間の関係等をはっきり立てて、しっかりした行き方をしなかったならば六カ年間に四百三十二万人ですね、労働可能人口が出るが、そのうちの二百万を商業部門に入れなければいかぬといっているが、逆に失業者はどんどん出つつあるような状態ですから、これについてもどういうふうなお考えを持っておられるか、結局私どもは生産をするものは生産で飯を食っでいけるようにしなければいけない、商業をするものは商業で飯を食っていけるように、しなければならない、サラリーマンはサラリーだけで生活ができるようにして行く、しかしてお互いの間を侵し合わないようにするような行き方というものを、これは通産省だけの問題でなく、政府全体が考えなければならないと思う。そのやはり導火線をつけるのは中小企業庁のある通産省以外にないと思う。通産省は経済審議庁と一緒になって政府との間で十分に真剣に御検討を願ってはっきりした政策をお立て願わなければ重大問題になると思う。この点について政務次官の御意見を伺いたいと思います。
  137. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) ただいまの御意見はまことに重要な問題であろうと存じます。たとえば衆議院の方におきまして今百貨店法を審議いたしておりますけれども、あの問題が出て参りました理由には結局の問題は中小企業者をどうするかと、これにはこういうものを出した方がよかろうというようなお考えのようであります。なるほどごもっともでありまして、その通り、ちょうどだだいまお話のような商業の面で申しますと、それらに対して生活協同組合の行き方も少し行き過ぎるのではないかというような理論もだいぶ出ております。私自身といたしましても、これはよほど考えなければならない、これは通産行政上から申しましても非常に重要な問題だと考えております。それでありますので他からいろいろお考えをいただく前に通産省といたしましてとくと考えなければならない問題と考えております。今後十分研究して参りたいと存じております。
  138. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この重油の全漁連の割当その他ですね、いろいろありますが、この燃料対策の総合的な面について多少今までのやり方が場当り的な、朝令暮改的な提案の仕方も必ずしもないとは言えませんので、大臣をしかるべき機会に来てもらって総合的な政府の燃料対策について聞きたいと思うのです。だからそういう機会に譲りまして、今日はこれくらいで終っていただきますように提案いたします。
  139. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちょっと最後に一言だけ聞きたい。通歴当局にお伺いしますが、ココムのワクを広げていただくことについて通産当局はいかなる努力を払っておられましたか。外務省の折衝に全部まかしてしまって、つまり外務省に牛耳られておるような格好でしか見えない。通産省は通産省の立場から、こういう品物についてはもっとワクを広げてもらいたいというその努力をなさった結果を私はお伺いしたい。今まではこういう品物を、これをワクを広げてもらいたいという願書を出したがこれはだめであったとか、なんとかいう、その今日までのワクを広げることについての御努力を、今日今おわかりにならなければその資料の御提出をお願いしておきたいと思います。
  140. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 承知いたしました。ただこれは今日までの努力と申しますのは、要するに言葉は悪いのですが、現在の中国、それから北鮮等に対しまする制限よりももっときつい制限があったことは御承知の通りでございます。その制限を現在の西欧と申しますか、要するにイギリスなりあるいはアメリカなりが、中国向け、あるいは北鮮向けに課している制限まで、同じ段階にまでもってくるには、これはまた口はばったいようでございまするが、通産省、外務省の方でやったわけでございます。その後の、要するにそれからさらに全体の、これは加盟国十五ありますが、その共同の会合でこれをさらに品目を拡張する、あるいはその中で、この前申し上げましたような特別に特定の契約で特定の品物を認めてもらうというようなものにつきましては、これは後日担当の方から御説明させますが、その前に十分やっておることはこれはまあ一つ十分御了承を得たいと思います。それから、要するに過去一年か一年半ぐらいの間に西欧並みの限度にまでもってきたのは、これは通産、外務両省でやった結果でございまして、これだけは一つ御了承願いたいと思います。
  141. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  142. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会      ―――――・―――――