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1955-06-24 第22回国会 参議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十四日(金曜日)    午後二時三分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            高橋  衛君            山川 良一君    委員            小野 義夫君            深水 六郎君            河野 謙三君            海野 三朗君            栗山 良夫君            白川 一雄君            苫米地義三君   政府委員    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業省通商    局次長     大堀  弘君    中小企業庁長官 記内 角一君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山木友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   説明員    食糧庁業務第二    部食品課長   田中  勉君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○経済自立方策に関する調査の件  (砂糖の価格安定及び輸入に関する  臨時措置に関する件)   ―――――――――――――
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれから委員会を開会いたします。  最初にちょっと事務的なことで御了承を得ておきたいのですが、一つ栗山委員からの飛び出しナイフのことについていろいろ緊急質問がございまして、そこで銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案というものが政府から提案になったのであります。そのときにあまり中小業者の業を痛めないように、ある程度そう広くまでやらないでもいいじゃないかという御質問があって、その法案地方行政委員会の方にかかったものですから、こちらとしても連合審査を取り計らうことに一応私からお諮りをして御了承を得たのでありますが、その後実質的には地方行政委員会の方で栗山委員の希望されるようなことを政府側も入れまして円満に話が進んだらしいのです。それですから、こちらとしても栗山委員からの申し出もございまして、連合審査会を開く必要がなくなったので取りやめることにいたしました。これを御報告申し上げます。  それから、もう一つは六月二十二日に高橋衛君が商工委員を辞任されました。そらして同日また商工委員に指名されているわけです。そうしますと、嵩橋委員理事になっておったのですが、理事たる商橋委員が一ぺんなくなったわけですが、また選任されたわけですから、観念的に言うと理事の一名が欠けたままになっていると、こういう状態でありますから、この際理事補欠互選を行わなければならないのであります。それで正式のことでありますと、多数の方がおいでになったときやらなければいかぬのですけれども、ただいま申し上げました通り、実質は同じ人がちょっと何かの都合でやめて、またその日になっておったということですから、もし皆さんに御異議がなければ成規手続を省略して、委員長の方から高橋委員理事に今まで通り指名したいと思いますが、いかがでしょうか。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは、そういうふうにいたします。   ―――――――――――――
  4. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは本日はまず、中小企業等協同組合法改正法律案について……。
  5. 海野三朗

    海野三朗君 先に委員長お話についてちょっと一言まず伺っておきたい点は、あの飛び出しナイフは何センチぐらいまでが許可になるのでしょうか。
  6. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 五・五センチ以上のものが所持禁止になるわけです。
  7. 海野三朗

    海野三朗君 わかりました。  中小企業者組織率はどのくらいになっておりましょうか。中小企業振興発展のために協同組合組織して、その欠点を補強するということは非常に重要だと思いますが、現在商業や工業、運輸、サービス業など、それぞれの業種別に見て、業者の数がどのくらい、そうしてまた組合を通じて組織されているのがどのくらい、そうしてその組織率がどのくらいかということを伺いたいのであります。  それから業者の中には組合を作る必要のないものもあり、またぜひ組合を作ることが必要だと思われるものがあるかとも存じまするので、この組合を作ることが必要だと思われるのには、まだ組合を作っていない業者にはぜひともこの組合を作るように指導すべきだと思うのです。そういうふうに組合による組織化が進んでいないのはどんな部門かということもあわせてお伺いいたしたいのであります。そういうふうな御調査がもしおありでしたならば伺いたい。まああらましでよろしゅうございますからお伺いいたしたいと思います。
  8. 記内角一

    政府委員記内角一君) 現在組合の数は三万五千ばかりに相なっておりますが、実際に活動いたしておりますのはそのうちの半数。それから残りの半分程度はほとんど睡眠状態に陥っているのじゃないかというふうに考えるわけでございますが、昨年の秋すべての組合に対しまして、約三万の組合に対しまして実態調査といたしまして照会を発していろんな調査をとったわけでありますが、それに対して回答して参りましたのが約一万三千でございます。それでその際におきまする各組合の平均の組合員数考えまして算出いたしまして、それを現在の届け出られております組合数にかけ合せて参りますと約百七十万の組合員が存在するということに相なります。で、もちろんこの中には重複して二つ以上の組合に加入している者もございますが、一応これを百七十万といたしますと、昭和二十六年度の統計局調査によりまする全国事業者数は約三百二十万というふうに相なっておりますので、それに比べますというと事務所の数が三百二十万、従いまして個々業者ということになりますとこれより若干減って参りますけれども、これを前提にいたしますと約五三%、すなわち半数組織化されておるというふうに考えてよろしいかと考えるわけでございます。そのうちのたとえば繊維工業等におきましては、ほとんど九八%というふうな組織率を持っておりまして、現実にも大体の繊維産業、大都会のメリヤスあるいは布帛製造業等業者を除きましては、大体組合化されておるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら組織率の悪いところから見ますると、サービス業あるいは不動産業というふうなものは二〇%に足りない。建設業も同様でございます。それから物品販売業等については約半数組織されているような一応の計算が出て参るわけであります。われわれといたしましてどういうふうな業種がそれではさらに組織すべきかというふうなことになって参りますが、たとえば機械工業等につきましては、ある意味において非常に数が多くなっております。現実にはそう組織されておらないのじゃないかというふうに考えておりますが、ここに出て参っております調査の結果では、八〇%以上も組織化されておるという結論が出ているわけであります。これはわれわれ若干、数が二重三重の加入が計算されておるのじゃないかというふうにも思うわけでございますが、この方面がまだ組織化が十分でない。また全体の全国に散在しておる組合業者、あるいは逆に大都会に相当多数に上っておるような業者につきましては、組織化ということがなかなか困難な面も出て参るわけでございまして、われわれといたしまして、まあこれ以上に組織化も必要でありますが、さらにそれ以上に組織されました組合が、より以上に活発な活勅をするという方向に今後は重点を置いて指導して参りたい、そういたしますれば、結局組合が活発に動き、それによってそれぞれ組合員が恩恵を受けるということになりますれば、今まで組織化されておらなかった組合業者あるいは組合を作ることに何と申しますか白眼視しておったような業者についても、漸次個々に引っぱり寄せることもできるのじゃないかというふうに期待いたしまして、むしろこれからは組合を作るというよりも組合事業をさらに活発化きせるという方向重点を置いて参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 海野三朗

    海野三朗君 今度のこの改正案では、組合解散させることもできるようであるし、またいわゆる休眠しておるところの組合を整理するという御意向もあるように思うのでありますが、私はこの組合についてこういうように考えるのであります。組合は何も活動していなくてもよい場合がある。組合を作って共同購入をしょう、共同販売をしようということになりますと、商人がそれでは高く売りつけると、共同購入してわれわれから買わなくなるから安くしておこうとか、あるいは買いたたくとか、共同販売の形で組合需要者に直接売るから買いたたくのはやめようというようなことになる。そうすると組合というものは組合を作っただけで共同事業は何もやらなくても安く買って高く売ることができるようになる。つまり組合を作ったためにほかからあまりいじめられないようになる。これが組合の大きな効用であろうと思うのであります。労働組合を作っただけで労働者が雇主からばかにされない、何もストライキや何かの活動をしなくても十分に威力が発揮できる場合があると思うのでありますが、御当局はどういうふうにこの点をお考えになっておりましょうか。
  10. 記内角一

    政府委員記内角一君) ごもっともでございまして、われわれ組合活動活発化することを、もちろん目に見えるような共同設備を持ってやるとか、あるいは原材料の共同仕入れというふうなことをやることが望ましいのでありますが、場合によりましては御指摘のようなそういう事業までやらなくても十分に効果の上るものもあろうかと思うわけであります。それもそれなりに一つ活動をいたしておるわけでございますから、それでけっこうかと思うのでありますが、ただ中にはそれすらもやっておらない、組合をただ作ったという、名前だけであって、その後役員会というものも開かなければ総会というようなものも開かない。法律に規定してありまする各種手続も全然踏んでおらないというふうなものも相当ありまして、果して出資がどうなっているかなどいうようなこともわからない面もあるわけでございます。先般調査いたしましたときにも、郵送いたしまして事務所もなくて郵送郵便が届かないのはもちろんでございますが、調査員が各府県によりましてはみずから調査に乗り出していってみましても、その所在地すらわからないというふうな組合も相当あるわけでございます。これらの結果から見まして、この種の組合についてはむしろ逆に組合という名に値しない存在にもなっております。むしろこれが逆に優良な組合にも災いすることにもなろうかと思うのであります。今回法律改正に相なりましたならば、その機会をもちましてこういう睡眠組合に対する解散というふうな、整理というふうなことを積極的に行わなければならぬ、もちろんこれは解散さすというのが目的ではございませんで、これをチャンスにもう一回息を吹っかけまして、よみがえって仕事をやってもらえばけっこうですが、それすら行い得ないものについては、やむを得ず解散というふうなことも考えたいというふうに思っておる次第でございます。
  11. 海野三朗

    海野三朗君 組織化の進まないというのは、組合の持っておる効果、たとえばただいま申しましたような、その効用中小企業者が知らないからだとも思いますが、今申しましたのは、いわば消極的な効用でありまして、業者は何か積極的な効用がほしいのだろうと私は思うのであります。この積極的な効用政府はどんなものがあるとお考えになっておりますか。それともう一つ業者は利にさとい人たちの集まりでありますから、組合を作ると何か恩典があることを欲しているのではないか、その恩典はこの協同組合法ではどんなものを与えているのでありましょうか。私どもはよくこの協同組合には何も特典がないから、組合を作ってもつまらないということを聞くのであります。現在私の気がついている組合恩典といいましょうか、特典と申しましょうか、先ほどこの委員会で審議いたしました商工中金、この商工中金資金組合に入っていない者には借りられない、この金融上の恩典です。つまり組合共同施設をするときに、少しではありますが、国や都道府県などから補助金とか、あるいは貸付金が得られる、これぐらいだと思うのでありますが、このほかにどんな特典がございましょうか、それを一つお伺いしたい。それとあわせて政府組合による組織化を進めたいというのであれば、どんな組合促進政策をお持ち合せでありましょうか、それもお伺いいたしたいと思います。
  12. 記内角一

    政府委員記内角一君) 何と申しますか、特典というのは、組合を作ったならば金が借りられるとか、あるいは補助金が得られるとか、あるいは税金が安くなるとかいうふうな、金銭的な面での金銭的直接的な面での特典というものは、今お話のありましたような商工中金から借りられる、あるいは共同設備に対して国もしくは府県庁から補助金が出ておるというふうなことが中心でございます。組合に入ったから税金が安くなるというふうなことはございませんが、しかしたとえば企業組合組織いたしまして、企業組合の本来の仕事をいたしておりますれば、これはいい悪いの議論はまた別になりましょうけれども税金のかかるのは、いわゆる事業所得に対して税金がかかるのは企業組合でございまして、個々事業者には勤労所得税しかかからないということに相なります。こういう面から相当助かって参るということもあるわけでございます。またそれ以上にそういうふうな外側からの恩典特典ということでなくて、自分たち自身が力を合せて仕事をするということで、個々企業者ではなかなか実現し得ないような大きな力を持ち得る。またこれによって大企業者に対抗し得る、あるいは大商社に対抗し得るというふうな積極的な面がございまするし、また国の補助金もございますが、自分自身で、たとえば各自の工業の一部分を共同で作業する作業場を持つというふうなことによって、相当コストを安くして生産ができるようになるというふうな恩典もございます。また共同仕入れということになれば、同じ個々仕入れでは量がまとまりませんが、相当共同仕入れますれば大量に仕入れられる。大量の取引になれば自然に単価としても安くなる、運賃その他も安くなるというふうな目に見えた利益もあるわけです。従いまして、単に外部からの恩典ということだけでなくて、自分たち自身相互扶助の力によって、これらの本来個々企業者だけでは実現し得ないような力を持って参らせたいというふうに考えている次第であります。  これらに対しまして、われわれといたしましては、従来とも協同組合設立及びその設立された後におきまする活動指導につきましては、私どもも直接実施いたしまするし、府県庁を通じてもこういう奨励をいたしておったわけでございます。今後ともこの一面各種の報告も今度はとれることになっておりますから、これらを契機にいたしまして、組合事業活動活発化ということを促進して参りたい、また官庁だけでこれをやりましても、なかなか業者としては何と申しますか官庁に遠慮と申しますか、気がねと申しますか、十分な連絡もとりにくいおそれもございますので、今回提案いたしておりまする中央会設立されました暁には、中央会によってこれらの設立のあっせんなり、あるいは指導なり、また設立後の組合活動指導連絡というふうなことをとり行わせたいというふうに考えております。  なお府県庁のこの方面……たとえば組合役員の、結局組合活動するかどうか、組合員自身の心がまえにもありますが、同時に役員活動にも待つところが多い。職員の積極的な活動にも待つわけでございます。これらの組合の優秀な役職員を養成するというふうな面で、講習会研究会というふうなものを催うさせておりますが、これらに対しましては、通産省自身府県庁に対しましても補助金を計上いたしておりますので、これらを使って協同組合としての本来の事業活発化できますように今後とも督励して参りたいというふうに考えているのであります。
  13. 海野三朗

    海野三朗君 今度の法案によりますと、協同組合届出制をやめて、新たに認可制度をとるということがこの要綱の最初に出ております。私はこの簡便な届出主義をとっていたのがこの中小企業協同組合の大きな特色の一つで、他の協同組合のように認可主義でないということにもかえってよいところがあったと思うのでありまするが、なぜ認可にしなければならないのか、認可にすると、何となく面倒くさいので、組合による組織化というものがおくれるのではないか、またお役所の方でも、この組織が不便だとか、この定款では不足だといって、官僚風を吹かすのではないか。こういうこともおそれるのであります。ことにこの認可制のために設立が阻害されはしないかということをおそれているのは、この企業組合でありますが、この企業組合は、元来零細な業者合作社とでも申しましょうか、合作社と同様の形で大ぜいが一つになって、そうして経衞をしていこうとするものであります。それだけにこの企業組合のようなものがどしどしできて、それによってごく零細なものが組織化されていくことは歓迎すべきものではないかと思うのです。ところがこの零細業者であればあるほど、手続などは非常に厄介に考えるものであって、認可などというと、おそろしくなって組合の結成がおくれるということになりやしないか、これを心配するのであります。そこで第一、認可制にした場合、この官僚化をどういうふうにして防いでいくというおつもりであるか、これをお伺いしたい。第二点には、認可しない場合はこの法律できめられているが、第二十七条の二の三項第二号の方の規定というものは、どうもあいまいなので認可基準というようなものをきめてこれを公けに示すお考えがあるかというようなことについて一つ所見をお伺いいたしたいと思います。
  14. 記内角一

    政府委員記内角一君) 御指摘通り、当初、いわゆる組合は、自由設立で、その定款につきましては、ただ会社を作りますと同じように、公証人認証ということにいたしておったわけでございますが、ところが会社と違い、組合というのはいろいろなやかましい手続法律上の問題等がございまして、ところが何と申しますか、公証人は必ずしもこれによって直接いろいろな利益を受けるということが薄いというふうな関係もありましょうか、認証についてとかく疎漏な認証をしがちになりまして、またその事業についていろいろな注意等を喚起することもできないというふうなことでございましたので、その後法律改正いたしまして、公証人認証制度から行政省庁認証ということに修正をいたしたわけでございます。しかしこれもいわゆる認証定款の確認ということだけでございまして、一応の注意はできますけれども、最終的にこれが何と申しますか、監督と申しますか、取締りと申しますか、おもしろくないものに対しまして、これはいけないと断わるすべもないわけでございます。ところがその際におきまして、非常に全国一円に業者の数が非常に多い、あるいは力もあまり少いような業者が、全国一円の組合を作るというふうな場合がございました。あるいはまたそれに乗じて、たとえば何と申しますか、保全経済会式出資を集めて、出資すれば幾らでも金は貸すのだというふうなことで、集まった出資からたらい回し的に資金を融資して参る。そのうちには馬脚を現わしていくというような、不健全な組合も出て参る。しかしながら法律協同組合法でもっては、これをいかんとも取り締りができない、それでは金融取締り法令でできるかということになりますと、一種の出資した分でございまして、一般大衆から金を集めたものではございませんので、これを取り締る方法もないというふうな、おもしろくない現象等も出て参っております。この際ほかの組合も当時はこれにならいまして認証制度でありましたのが、順次認可制度に改まって参りましたことにもかんがみまして、今回認可制度にするということにいたした次第であります。しかしながら、こういうふうに認可制度になりましても、もともとできるだけ組合設立するのが本来の行き力でございますので、われわれといたしましては、認可制度と申しても、むしろ逆に不認可制度を設けたというふうに考えたい。従いまして、許可基準ということよりも、不許可……認可基準ということよりも不認可基準を設けるべきであって、それ以外のものはすべて認可するという建前で運用して参りたいというふうに考えております。従いまして、たとえば今申しましたように、法律手続がいかがわしいのはもちろんこれを取り締って参りますが、事業計画と、たとえば出資の金額とがあまりにかけ離れておって、今の経済情勢のもとにおいて、あまりに零細な、ほんの見せ金だけの出資金でやるというような場合には、これを増額させるというふうに勧誘して参る、あるいは先ほど申し上げましたように、非常に広範囲な事業を持つような態勢でもって、組合組織を……、あとどんな仕事をするかわからないというような組合、あるいは先ほど申し上げました金融的な問題、金融組合的な形のおそれのあるものというようなものに限りまして、これを不認可にして参りたいというふうに考えておる次第でございます。われわれとしましてはできるだけ、何と申しますか、認可基準ということよりも、不認可基準をできるだけ示しまして、これでもって逆に組合設立が押えられ、不当に抑圧されるということのないように措置して参りたい。また官僚化の御心配、御指摘もあったのでございますが、われわれはそういう精神に基いてこの制度を運用して参る日算でございますので、その点についてもとくと各関係行政官庁を督励いたしまして、そういう弊に陥らないように指導して参りたいと考えておる次第であります。
  15. 海野三朗

    海野三朗君 認可につきましては、政府は十分に御注意下さると思うのでありますが、何分中小企業のことですからして、十分に親心を持って対処していただきたいのです。まず認可にあまり手間をとらないように願いたいことが一つ、次にまた不認可の場合はややりその理由を明らかにしていただきたいということです。もう一つ解散権政府が持つことになるのですが、この解散権は乱用されないように願いたい。場合によっては今度できる中央会のような、この中央会の意見でも聞いてから解散権を行使されたらどうかと思うのですが、御所見を承わりたい。ことに府県庁あたり認可解散の権利を持つということは、官僚化の弊風を伴いやすいものでありまして、十分に指導されたいと思うのですが、その具体的方法ども承わりたいと思うのであります。
  16. 記内角一

    政府委員記内角一君) 事務手続簡素化簡略化はもちろんでございまして、われわれはできるだけそういうふうにいたしまして、あまりに間延びがしてもういやになったということのないように措置して参りたいと考えております。なお解散の問題につきましては、よくよくのことでなければ解散はしないという建前になっておりまして、その手続につきましても、法律になかなか厳重な手続を必要といたしまして、まず業者申し出、あるいはその届け出等で不当と思ったようなものに対して改善命令を出す、改善命令に従わなくて、なおその結果がおもしろくないといった際には解散の予告をいたしまして、これに対して何か不服の申し立てを行わせるチャンスを与える、それでなおおもしろくないといいました際に、やむなく法律上の解散ということの手続をするわけでございまして、なおそういう際は従来の経験から見ましても、よくよくのことでございまして、むしろ従来はあまり解散というようなことはほとんど例のないことにもなる程度でございます。われわれとしまして睡眠組合でどうにも処置のしようのないもの程度には……、弁解かもしれませんが、その以外はできるだけ解散ということは避けまして進んで参りたいと考えておりますが、もし解散もやむを得ないというふうな場合におきましては、御指摘のような中央会等に諮問いたしまして、その意見を求めた上で解散させるように通達いたしたいというふうに考えておりますが、実際問題といたしましては、官庁がそこまで立ち至ります前に……、いざこざ、あるいは睡眠組合あたりになりますと、中央会あたりでもどうにもしようのないものがあるかと思いますけれども、よくよく悪質なものであれば中央会等を中に立てまして、ここらで調整させた上で、どうしても動かない、改まらないというふうな場合に、初めて官庁が乗り出して解散きせるというのが通常の例でございますので、まあ、それとうらはらをなしまして、この中央会の諮問、あるいは、そういうふうな手続を経た上で解散させるように慎重を期して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  17. 海野三朗

    海野三朗君 次に役員の選挙でありますが、指名推選を用いることができるような改正案でありますが、これも認可制と同じように、どうも民主化に逆行するような気がするのですが、元来私はこの組合というものは民主化の道場と申しましょうか、練習場といいましょうか、ここでまず民主化の大きな訓練が行われるのだと思います。労働組合も同様でありますが、労働組合法を見ますると、労働組合の規約には「その役員は、組合員の直接無記名投票により選挙される」という規定が入っていないといけない、こういうことになっておるのでありますが、それほどこの労働組合では役員の民主的な選挙を重視しています。それだのにこの協同組合では指名推選によることができることになりますというと、その弊害としましてはボスが指名される危険が非常に多い。組合員はこれに反対できないのじゃないか。このボスからにらまれるのがおそろしいために反対できないということが起ってくるのではないか。これは今度の改正の中で、むしろ改悪ともいうべきものではないかと思うのでありますが、どうでありましょうか。ついでにボス化を防ぐようにするにはどうすればいいとお考えになってこの指名推選ということをお出しになっているのでありましょうか、その点を一つお伺いいたしたい。
  18. 記内角一

    政府委員記内角一君) 御指摘通り、この規定には、いわゆる役員の選挙につきましては直接無記名投票によって選挙するという規定になっているわけでございます。しかし今までの現実の動きを見て参りますというと、これについては相当何と申しますか、手続が繁雑になって参りますので、各業界とも、各組合とも、これを投票によらないで指名推選でやってほしいという切実なる希望が非常に多いわけでございます。多いというより、ほとんどでございます。で、まあこれは適当かどうかわかりませんが、現実の問題といたしましても、投票によってやるのでなければ違法の手続になるんでございますが、投票によらないでやっておるんじゃないかと疑われるふしも相当あるわけでございます。もちろん今までは、その一面で直接監督もできませんので、まあ注意を喚起するという程度にとどめてはきておりますけれども、しかし現実の問題が、一々無記名投票ということになると、非常に繁雑になるということで、何とかこれを簡素化してもらいたいという希望も続出いたしております。この組合は御承知の通り、加入脱退が自由でございまして、もしボス化の傾向なども出て参りましておもしろくなければ、もちろん脱退することも自由に相なっておりまするので、いやならばいつでも出て行ける、組合を脱退する、逃げ出すことができるというふうなことにもなっておりますので、この際すべてを無記名投票によらなくてもよろしい、指名推選の方法もとり得るというふうな道を開いたらどうか、ただしその際におきましても、単に指名推選でやるということだけでなくて、出席組合員の全員に諮りまして指名推選で、原則はあくまでも投票でございますが、出席組合員の全員の同意があれば指名推選でもよろしい、しかも最後に、一応指名が終りましたあとで、さらに全員に諮って、それでよろしいかどうかの意見を聞いた上で確定する。もし万一その間に不服の者があれば、不服の申し立てをすれば、指名推選でなくって、当然本来の無品名投票でもって選挙するという手続をとらしております。こういうことによって、一々票を配り、票を集めるという無記名投票の原則に例外的な措置を講じ、しかもそういうふうな全員の同意を選挙前、また選挙後においても全員の同意を求めさせるということによって、ボス化の発生を防いで参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、学長の選挙というようなふうに、その大衆の意向を尊重した上でこの指名推選という態度に出ようというお考えなんでございますか。ちょうど学校においては学長の任命というものは文部大臣が出す。それでもやはりその前に教授の選挙というものがあります。それで大体そういうふうな意味合いのものと考えてよろしいのですか。
  20. 記内角一

    政府委員記内角一君) 学長の選挙はどういうふうになっておるかよく存じませんが、とにかく原則は無記名投票でございますが、出席の総員の同意があれば、無記名投票によらないで、たとえば選考委員とか、あるいは指名委員とかいうふうなことで、これを選考して選挙するというふうなこともできるようにいたしておりますが、その際には選考委員の者をそのまま承認するんでなくて、選考委員の選考いたした者をさらに満場に諮って、満場一致でもってこれを選挙するという手続を踏ましております。もしその際に不服の者があり、反対がありましたならば、もう一回無記名選挙に返らせて、投票によって選挙させるというふうなことに相なるわけでございます。で、それすらなお不満でありますれば、何と申しますか、学校のあれでありますれば、学校の教授をやめるかどうかということにもなるわけであろうかと思うのであります。協同組合につきましては、組合に対して加入脱退が自由でございますので、もしそれに対して不服の者は、脱退も自由にやって差しつかえないということにも相なっておりますので、こういうことによってもボス化を防止し得るんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  21. 海野三朗

    海野三朗君 いま一つ、この労働組合と関連してお尋ねいたしたいのでありますが、それはこの団結権についてであります。私は組合というものは、弱い者が共同の力で強くなるための組織だと思っておるのでありますが、中小企業組合は、中小企業という弱い業者が結合して、大企業などに対抗できるようになるためのものであります。結合して初めて対等の地位に立つ。労働者労働組合を作って、初めて使用者と対等の地位に立ち得るのです。そこでこの中小全業の中で弱い立場にある下請業者について、この下請組合ができています。しかしこれは多くは、この親企業と一緒になって商工中金から金を借りる下請協同組合であります。親企業の指導のもとに作られたものであります。それでありますから、親企業に対しては支払いを早くしてくれとか、下請条件をよくしてくれとか、そういう申し出のできない組合であって、親企業のために結成されている全くの御用組合であります。そこで、もしこの御用組合ではいけないというので、一緒になって親企業に対し支払いを早くするようにとか、あるいはまた下請条件をよくしてくれと頼むようなことがあったとすれば、その組合役員などは親企業からにらまれて、明日からは注文ももらえないというようなことになります。こういう状態ですから、下請業者はいつまでたっても、その状態改善されないのです。そこで下請業者協同組合を作って、いろいろ共同事業をやることもいいが、親企業に対してもっと強くなれるような道を講じてやる必要はないか。いわば労働組合の団結権に似たようなものを認めて、下請業者組合を作ったとか、これに加入したとかいうことをしても、親企業は注文をやめたりなどしてはいけないというようなことをする、その親企業は何か制裁を加えられるというような規定でもして、またこの下請業者をもっと強くするような方法考えられないものでありましょうか。こういうことについて政府はどういうふうにお考えになっておりますか。これもついでに承わっておきたいと思います。
  22. 記内角一

    政府委員記内角一君) 現在の法律におきましても、組合事業の内容といたしまして、組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結ということができることになっております。従いまして下請の協同組合が親企業との間に団体協約を結びまして、そういうことの取りきめをするということも差しつかえない、またそれが十分可能であるというふうに相なっておるわけでございます。ただこの団体協約を親企業が必ず結ばなければならぬということを強制する規定はないわけであります。またそうなりますと、親企業と下請企業との間の関係が続いております際には、あるいはそういう強制もできるかもしれませんが、必ず下請契約をしなきゃならぬ。下請契約が存続することを前提とするわけでありまして、下請契約を必ずしなきゃならぬというふうに強制することはなかなかむずかしいのじゃないかということになるわけであります。下請関係を結んだ場合には、こういうふうにしなきゃならぬとか、あるいはこういうふうな条件でやらなきやならぬというふうなことの規定は、ある程度できるかと思いまするし、またこの協同組合のただいまの団体協約の締結によりまして、あらかじめそういう取りきめをしておきまして、自後それによって契約を強固にしていく、下請関係改善していくということもできるかと思うのでありますが、しかしながら、その下請関係が断ち切られますと、必ず下請に使わなければならぬ、下請に出きなければならぬ、下請契約を結ばなければならぬというふうな規定まで、もちろん組合法では相当むずかしいかと思いまするし、それを他の一般的な法律でもって、そこまで強制するのはいいかどうかということになりますと、相当問題も出てこようかと思うのであります。目下衆議院の方面にも社会党の方から、下請関係調整法というふうな法律案も提案されておるようでございまして、われわれ検討はいたしておるわけでございますが、まあわれわれ目下の状態におきましては、この種の協同組合の団体協約権、協約の、人を押しつける権能でなくて、権能をもちまして親企業との間に、ある極の取りきめをさせるようにして参りたいということで、それぞれ親企業と下請関係組合との間に話をさせておるという実情でございます。
  23. 海野三朗

    海野三朗君 中小企業にしわ寄せが行って、しかもその中小企業の下請業者を見ますというと、実に惨たんたる光景なんです。それが頭を上げられない。そういうふうな状態を私は見て、一番ひどいしわ寄せが下請業者に行ってしまう。お前文句言うなら、もうお前頼まない、仕事を頼まない。仕事が頼まれなければ暮しようがないのですから、実に中小企業にしわ寄せが行っておる。それもしかも、どこへ行っているかというと、下請業者に行っている。で、こういう点については、御当局としては、どういうふうにお考えになっていましょうか。一番ひどいのはまあ下請業者であって、少し話が古くなりましたが、日平産業のあの下請、その下請だけがひどい苦しみを見ておるわけです。それに対する、つまり具体的なお考えは何かお持ちになっていらっしゃらないものか。通産当局としては、どういうふうな御決意があるのか、もう少し御説明をお願いしたいと思います。
  24. 記内角一

    政府委員記内角一君) 下請関係に対しまして、今御指摘のような非常に不当なしわ寄せをさせておる事実も、十分われわれも承知いたしておりまして、これに対して、その対策に苦慮いたしておるわけでありますが、また親企業になりますというと、昨年以来の金融の引き締めで、払うにも払えないのだ、ここの下請の関係の払うのを延ばすか、あるいは賃金の支払いを延ばすか、どちらかに追い込まれているのだというふうなことを嘆く親企業もあるわけであります。しかしそれかといって、いたずらにこちらの方だけしわ寄せするということも不届き千万と考えますので、それらに対しましては、できる限り注意を喚起して、そういうことのないように措置して参りたいと考えておるわけでありますが、幸い独占禁止法によりまして、そういうふうな親企業というふうな大規模の圧力をもって、弱小の企業者に不当な抑圧を加えることは、不公正な取引であるということで、この独禁法の違反事項として、これが指定に相なりましたので、われわれといたしましては、公正取引委員会とタイアップいたしまして、おもなる親企業の中心に調査を進めて、またその下請の実態を調査いたしまして、必要なものにつきましては、その改善策を命令いたしておるというふうにいたしておりますが、ただ、これもそれぞれ人間の手数にも限りがございますので、すべてに及ばない。むしろ軒並みにこういう事態が発生いたしておりますので、応接にいとまないというふうなことを憂慮いたしておるわけであります。なお今後ともこういう努力を継続いたしまして、一つ一つ問題を、迂遠なようではありますけれども、片づけて参りたいというふうに考えておる次第であります。
  25. 海野三朗

    海野三朗君 最後に私が一つお願いをしておきますが、下請業者の一番ひどくなった状態、私はそういうふうな状態を見て、実に戦慄を覚えるのです。国民が赤化する。私は、政府がどんなえらいことを言っておっても、つまり食えないやつらが出てくるというと、これは赤化する。私はそれを非常におそれておるのです。それはやはり通産行政の上からも、この点に十分留意していただきませんと、結局しわ寄せになった下請の食えないやつらが、働いても今度は金が一つも入ってこない。結局赤化に追いやるということになってくるので、中小企業といいますけれども、これが国民思想上に及ぼす影響が非常に大きい。で、昨今心中する者がひんぴんとして出てきておるような現状でありますから、この点について、特に通産当局におかれましては、全力をあげて、この思想的な点から考えましても、赤化防止を一つお願いいたしたいと存じます。
  26. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 今の事柄に、ちょっと海野委員質問に関連するのですが、今度組合のやつが認可主義なる。現行法では認証ですか。それで、これはまあこの法律だけじゃないと思いますが、私どももやはり昔かつて行政の事務をあずかっておったときに、どうも認可主義というやつはいいかもしらぬけれども、期限がないものだから、お役所に出したが最後、いつまでたっても、 いいとか悪いとか言ってこないということの弊があって、そこで何年でしたか、ドイツの多分ナチスのときでしょう。ドイツの電力法というのですか、エネルギー・ウィルトシャフトという法律が出まして、その法律に初めて、認可主義だけれども認可は一月でしたか、一月たっても認可が来なければ認可をなしたるものとみなすという規定が入った。そうすると、認可主義だけれども、役人がぼやぼやしておるとか、一月の間に不認可認可できないといち意思表示をしなければ、認可したものとみなされるということになっておるので、いやでもおうでも官庁としては、その期間内に認可するか、不認可にするかということをきめなければならぬ。その当時としてはこういう新しい立法で、その後、私の記憶では、同種の立法の措置を日本の法制にも若干取り入れたと思っていますが、戦時中どうなったか、今現在ここでそういうことを聞いても工合悪いかもしらぬが、一体そういう認可主義にからむときには、それだけの用意があるのは当然ですが、これはむしろ進歩した立法で、これからの認可はそうあるべきだと今日でも考えておるのであります。きょうじゃなくていいですけれども、せっかくそういうものを取り入れた新しい法制というものが、日本に育っているのか、育っていないのか、これを一ぺんお調べ願って、あるいはあなた方に言うのだから、ほかのことまでいかぬかもしらぬが、少くとも、通産行政だけでもいいと思う。通産行政の、ことに商売に利害関係があって、時の早いことを争う通産行政だけでもよろしいから、そういう法制というものが、今通産省に、法制があるのかないのか。今そこでわかっていれば御答弁願ってもいいし、わからなければこの次までにお調べになって、せっかくわれわれがそのドイツの法制をなにして取り入れた制度というものがどうなったかということを、意見を一ぺんお伺いしたいと思うのです。それはまあ今すぐじゃ工合が悪いでしょう。それが一つと、それからこれはよく法案を読めばわかるのでしょうけれども、ちょっとつまらぬことですが、事業協同組合と信用協同組合とあって、これは一つ組合で両方やることはできないようになっているのですか。そうすると、同じことをやるのに二つ作らなければならぬという、そういうことですね。それが一つと、ちょっと海野委員からも御質問がありましたが、下請の場合ですね。同業者というのの系列は横の系列だと思いますが、下請の縦の系列ですね、親会社があって、それの下請をするものには業種からいうとみんな違う、いろいろ違うんだな。そういうものもこの組合法によって協同組合は作れるようになっていますかなっていませんか、それをちょっと……。
  27. 記内角一

    政府委員記内角一君) 最初認可制度の問題は、終戦後ほとんど認可主義をとっている法制がなくなりましたので、現在非常に少いかと存じておりますが、現実にどういうふうになっておるかはまた調べましてお答え申し上げたいと思います。  第二点の信用組合事業協同組合とは別個にしなければならぬかということでございますが、その通りでございまして、同一の組合でもって信用事業と一般経済事業とを取り行うということはできない、別々の組合でなければならないというふうになっております。  それから下請関係協同組合は、今度の協同組合業種その他の制限がございませんので、同業者をもってやる場合もありますれば、二種類の業者でもって組織する場合も自由でございます。中には親企業と下請企業とが一緒になって組合組織するということもいたしております。ただ独禁法でもって、場合によりますると三百人以上の使用人を持っておる業者組合から排除できる建前がございますが、それはよくよくの場合でございまして、現在にも親企業も入った組合というものもございます。従いまして同業者が、たとえば機械工業の下請の機械工業でもって作る場合もありますれば、機械業者と、下請の機械業者とその他の親工業あたりと一緒になって作っている場合も自由に作れることになっております。
  28. 海野三朗

    海野三朗君 私はもう一つお伺いしたいと思いますのは、認可制度でありまして、もし認可するのにぼんやりとして放って置いた場合にはどうなりますか。つまりそれは不認可ということになるのでありますが、不認可の理由なしに、認可してやってもいいのだけれども、ぼんやりとしてこれが一カ月も二カ月もおくれるというようなことはあり得ないと思うのですけれども、そういうふうな点については、その期限なんぞについてはいかようにお考えになっていらっしゃいますか。認可するんだ、認可するんだけれども、それをその手続を怠っていた。今日各府県でよくそういうことがあるのです。県庁に届を出した。その届が県庁を経て本省にくるやつが、出してから一カ月もたってもまだ本省にその書類が到着しない。よく調べてみるというと県の方でひっかかっておった。それを調べる理由としてはそんなにひまをとらない。とらないのにもかかわらず、つまり怠慢というようなことでひっかかっておる。そういうような実例を私は再三聞くのでありますが、認可する場合に、認可に非常に手間取ったような場合、その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。一週間で認可してやってもいいし、一カ月で認可してやってもいいし、二カ月たって認可してやってもいいし、そこの期限がどうも無制限のように考えられるのですが、その点はいかようにお考えになっていらっしゃいますか。
  29. 記内角一

    政府委員記内角一君) 通例といたしまして、組合設立いたしますものには、いろいろ法定の手続がございまして、発起いたしましてから最終の認可のところまで参りますには若干の日時、手続が必要になってきます。大部分の組合におきましては、認可制度になりますと、当然事前に組合を作りたいというときから行政官庁に相談に参るのが通常でございます。万一作ります際にただ勝手に手続を進めましてぽかっと持って参りました際には若干おくれることもあろうかと思いますけれども、普通の場合は十分連絡をとりながら最終的に認可手続を踏むということになりますので、不認可というようなことは、手続のおくれるというようなことは、よくよくの理由のない限りほとんどわれわれとしては考えられないというふうにも存ずるわけでございますが、なおこの点につきましてはこの法律の施行に際しまして関係方面に厳重に注意を喚起して参りたいというふうに考える次第でございます。
  30. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、その認可にあまり時間をとらないようにやっていけということを指示なさるお考えでございますね。
  31. 記内角一

    政府委員記内角一君) はあ。
  32. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでしたら私がさっき聞いた、やはり期間をきめてその期間内に認可しなければ認可したとみなすという法制を入れるということの論が私は出てくると思う。それに対して何か考えがあれば伺いたい。考えがなければないでしいて伺わなくてもいいのですが、とにかくせっく新しい法制をある時代に入れたのだから、それは私は今でもをの法制は適当な法制だと思っているのですが……。
  33. 海野三朗

    海野三朗君 そこで今、委員長の言われたように、私はそこの期日をきちんと入れるとか、そこをはっきりさせないと、この法案ちょっとしり抜けになっているように思うのですがね。ちょっと忘れておったと言われても仕方がないし、どうもそこのところもう少し釘の打ち方が足りないように思うのですが点……。
  34. 記内角一

    政府委員記内角一君) 過去にたとえば書類の提出後三十日以内に認可したかった場合には許可したものとするというふうな事例も若干あったわけでございますが、実際これを運用して参りますと、いつ受付けたかというふうまことがはっきりしない。それらのために逆に長く引っぱられるというふうな心例もあったように聞いているわけであります。なおこの点につきましてはその間のいきさつをとくと調査して参りたいと考えます。ただこの組合につきましては、ことに信用組合等につきましてはそういうふうな手続をいたしますと、これは何日がいいかまた疑問ではございますけれども、相当慎重な研究調査を進めませんと、現在におきましても信用組合認可が非常に少い、あるいはおくれる、不認可が多いというような非難もありますし、一面また信用組合のごときは相当でき過ぎているくらいだからむしろ整理の段階だ、従ってこれ以上認可すべきでないというふうな議論もございまして、なかなかデリケートな状態にあるわけであります。そういう際に一々認可に日限をつけることもいかがかということで、原則として手取り早く片づけるというのは当然でございますが、ただいまのところそういう日限を限るということまで考えておらない次第でございます。
  35. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっとこまかいことですけれども誤解のないように……。一月以内に何も意思表示しなければ、黙っていれば認可したものとみなされるということであって、その間に書類が不備であるとか調査の必要があるとかいって照会をすれば、その時効は中断するのだ、それだから、何でもかんでも一ヵ月でやらなければならないという立法じゃないのですから、その点だけは誤解のないように申し上げておきます。一ぺんよく調べて、そうしてことに今のお話の、終戦以来認可というのが非常に少くなったということであれば、海野委員指摘されたように、今度新しく少くなった認可をとるのだから、その場合に認可というものに対する新しい外国の立法例もあるから、その立法例はやはりよく、少くともこれは一顧の値があるのじゃないか、こう思うから、一ぺんよくお調べ願って、そのお調べの結果を伺いたいと思います。その上でまた各委員の間でいろいろ御意見もあるだろうと思います。  それから私ばかり言うてもなんですが、ちょっともう一言。信用協同組合と聖業協同組合は多分いけないだろうと、こう思ったのですが、私の聞きたいと思ったのは、そこじゃなくして、実は昔統制組合というのを作ったこともありましたが、要するに、何というか、今日の言葉で言えば、取引の制限になるのだから、多分私的独占禁止法ですか何かに触れると思うから、ああいう統制だけの組合というものは、この協同組合に認められない建前になっているのだろうと思うのですが、そうですか。
  36. 記内角一

    政府委員記内角一君) 組合事業にはそのほかに、たとえば組合員連絡とか調整とかあるいは教育とか情報の交換というふうなものをあわせてやることもできますし、その限りにおいては主たる目的を調整ということに置くことも差しつかえないということになっております。そのかわり加入脱退が自由でございますので……。
  37. 吉野信次

    委員長吉野信次君) たとえば生産高を協定したり、価格を協定したりということも今の現行法でできますか。
  38. 記内角一

    政府委員記内角一君) 許されております。
  39. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかにどうでしょう、この組合法について御質疑がございましたら……。  実は、本日はこれとあともう一つ、時間があればバナナと砂糖の問題について質疑をしたいと、こう思っておりますが、ただ、農林当局の方は何か非常に忙しいので、食糧庁長官もちょうど見えられませんので、食品課長だけしか見えておりませんが、いずれこの問題は、バナナの方はなんですが、砂糖の方は御承知の通り農水委員会の方にかかっておるわけですから、あるいは皆さんのお考えによっては、一度農水委員会と連合してお聞きをするようなことになる必要もあるかと思っておりますが、その前にもう少しこの委員会としても掘り下げて伺うことがあれば伺っておいた方がどうかと、そう思っていたわけです。もし組合法について御質疑がなければ……。   ―――――――――――――
  40. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではその砂糖の方につきまして、だんだん委員からも御意見が出るだろうと思いますが、私ちょっと農林省の方に伺いたいのですが、バナナの方は……砂糖の方もそうだと思いますが、この間政府の提案の理由を聞きましたときに受けた感じは、為替をそれだけやる場合に、あの二つのものについては非常にひどいもうけをするから、それを政府の方で納入金制度を設けて、そのひどいもうけの部分を政府がとると、こういったようなふうな感じを受けました。その意味ではバナナも砂糖も同じ範疇に属する立法だと思うのです。ところがただ砂糖については、それに一つ何というか殻がついておって、その砂糖というものの価格を特に安定するのだと、こういうことがついているのですが、そこでまず伺いたいのは、少しうがった質問でおそれ入りますけれども、目的は過当なもうけをするその利益を、政府に納入せしむるということが主なんだが、ただ過去において砂糖の値段が非常に上ったことがあるので、その値段の点についても何とかしなければならぬ、こういうことで、その値段の方はまあつけたりと言っちゃはなはだあれですけれども、従たることというふうに了解していいのか、あるいはそうじゃないのだ、砂糖というものも食料品だから、この価格安定については納入金の制度云々にかかわらず、これもぜひともやらなければならぬのだ、こういうところまで農林当局は腹をきめているのかどうか、その点を一つ。これは大臣がいないとあるいは工合が悪いのかもしれませんが、しかしあれを出すからには、農林省の方で多分省議をきめるときにそういったような重要な問題についても論議があったろうと思いますから、もし伺うことができればその点を伺いたいと思います。
  41. 田中勉

    説明員(田中勉君) ただいま委員長からお話がございましたが、これは本来は農林大臣もしくは食糧庁長官から御説明申し上げるのが適当だと思いますけれども、お尋ねの件につきまして一応担当課長として御説明さしていただきます。  砂糖は国民の面から見まして直接に家庭消費されるもの、また同時に砂糖を業務用として消費をするお菓子なり、あるいは澱粉乳なり、砂糖を使う産業というものがございますわけであります。従いまして砂糖の価格が、過去二年ないし三年の経過等に見て参りまして、やはり消費者の側から見ましても、また同時に業務用として消費する企業の面から見ましても、通常の食品なりあるいはそういうものの価格変動に比べまして、非常に過当に変動して参っているような現状でございますが、農林省といたしましては昨年来この砂糖の価格安定ということにつきまして、部内におきまして十分討議をいたして参ったような経過でございます。特に昨年の下半期等におきましては、これは輸入等に伴いますいろいろな国内事情等もございましたわけでありますが、非常な変動を来たしておった次第でございます。そういうような情勢でございましたので、農林省といたしましては、やはりこれは現在の供給がほとんど海外依存状態にございますし、また同時にこの海外依存の輸入にかかっております現状からいたしまして、急速にはやはり海外事情の好転によります輸入の円滑をはかるということが、必ずしも当面所期することもなかなか困難な事情もあるように承わっております。何といたしましても大体窮屈な輸入の期間におきましては、やはり砂糖の価格安定の面を特に取り上げまして、今度の法律の中に実は入れたような事情でございます。農林省といたしましては、これは通産御当局とも十分意見の調整をいたしたわけでございますが、この法律の主たる目的といたしておりますのは、やはりかような客観情勢下における砂糖というものにつきまして、価格安定を主といたしまして、この結果国内的にはある程度のまあ精糖工業なり、あるいはそういう砂糖を使う企業の特別な利益というものができることが予想いたされますので、これらの利益を調整するというようなことで、法律案を作成いたしたような次第であります。重ねて申し上げますが、昨年、一昨年以来砂糖の価格が国内的には、やはり非常な変動をいたしておりましたが、農林省といたしましては、寄り寄り実は価格安定の問題を取り上げておったのであります。まあこれはこの法律の中にはございませんが、農林省といたしましては、価格安定にはどうしても内部の議論といたしまして、要すれば現物等も場合によると政府においてこれを手持ちをして、そしてそれの調整をはかることによって、市場操作をはかることによって、価格安定を期さなければたらねというような検討もいたしたような事情であありまして、価格安定はどうしてもこれからの情勢下におきましては、まあ、やらなければならぬと、こういうふうに考えている次第であります。
  42. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 端的に、詳しい説明は要らないですが、つまり納入金制度と砂糖価格の安定というものは、実際はこれはからんでおりますが、観念的には違うと思うのだ。そこで私の聞きたいと考えておりますのは、納入金制度がなくても、実はこの砂糖だけについて価格安定の法案というものをここに出される、こういうふうに了解してよろしいかということです。ということは、なぜそう言うかというと、ずいぶん生活費については価格安定しなければならぬものはそれはたくさんあると思う、僕は。たとえば豆もそうでしょう、牛乳一つでも十一円だ、十円だと言って、牛乳一つでも行政が手がつかないときに、たまたま砂糖だけについて納入金制度があるから、はきついでにこれを考えるというのなら、以上の説明として私は了承していいと思うが、砂糖だけについてそれをやるということについて、多少の問題がありはせぬかと思う。しかもそういうふうに価格が非常に変動したという理由は、要するに外国からの砂糖の入れ方が少ないということからきているのです。そうでしょう。それだから、それを今日の為替事情から見れば、細かい問題になりますけれども、もう少し入れればいいのです、砂糖をですね。入れればそんな変動はこないのですから、そういうもう少し実効の出やすい方法があるのに、価格安定帯とか何とかいう、これも一つの議論でしょう、議論でしょうけれども、そういうふうにめんどうくさいことをやると……。  それから業者の方から陳情がきているからそういうことを言うのじゃありませんけれども、たとえば砂糖取引所というものについて、取引所の効用については、これは議論があります、議論がありますけれども、経済論として、とにかく取引所というものは、スペキュレーションというものは一るの効能があって、政府が認めているのですから、そこに商品の幅を置いて……、それでなければ取引所というのはこれは動く道理がないのですから、その始末をどうするかという問題です。これは陳情を聞いて言うんじゃない、理論として、経済というものについて多少の研究をするものは、そこらの問題が皆からんでくるので、そういうものが一切がっさい解決した上なら、これはまた一つの論として傾聴するし、またその場合に、たとえば豆にしても牛乳にしても、ほかの食料品についての価格安定ということについて抜本的な政策をとられるというなら、これは私は一つの政策としていいと思うのですが、ただ砂糖だけについて価格安定というものを、このはきついでに、はきついでじゃないということをあなたはおっしゃるから、そこで私はそういうことを申し上げるのですが、いろいろ考えているけれどもはきついでにそれをやるというならやるでまた一つ考え方だと思う、便宜的な考え方だと、こう思うのですが、しかし便宜的な考え方をしていいかどうかということについても、これはなかなか根本的な議論があるのです。あなたのような説明で、農林省は現在砂糖の価格については考えているのだという御説明だと、わずかな数量です、九十五万トンですか、この間も政府の御説明を聞けば百万トンか百五万トン、わずかな数量ですから、今日の外貨事情を維持してそれだけのものを入れることができないほど困っているとは考えられない。そういう問題だからこういう質問を申し上げている。それですから、あるいはをういう一つの……。私は委員長ですからあまり委員長がいろいろなことを言うちゃ工合が悪いですから、私はこれだけにとどめますが、その意味のことをよく一つ大臣なりあるいは食糧庁長官にお考えいただいて、ほかの委員の方からいろいろ質問が出るでしょうが、要するにそういうところは委員長といいますか、委員の一人として議論というか、疑問を持っているから、それに対する御説明を一つ適当なときに伺いたいということです。
  43. 栗山良夫

    栗山良夫君 私ちょっと愚問ですけれどもお伺いしたい。それはこの砂糖の市販されているものの銘柄ですね、これは一体どういうものがあるか伺いたいと思います。それは戦争前、戦争前と申しましても戦争中の統制に入ってからは意味がないので、少くとも支那事変が始まる前の状態における国内に市販されておった砂糖の銘柄、それから今日の市販されているもの、これを一つお知らせいただきたい。
  44. 田中勉

    説明員(田中勉君) 今の御質問の資料でございますが、これは先般のこの委員会で、河野先生からも資料として提出を求められておりましたので、その際三点ばかりございましたのですが、とりあえず今お尋ねの件も含まして、二点を印刷して参りました。なお、これについて御説明申し上げてもよろしゅうございます。
  45. 栗山良夫

    栗山良夫君 これを御説明願います。
  46. 田中勉

    説明員(田中勉君) 戦前といたしましては昭和九-十一年間を実は採用いたしたものであります。戦後におきましては二十七年から二十九年の三カ年をとった次第であります。この表について簡単に御説明申し上げますると、この上のほうの欄を見ていただきますと、「黒糖白下糖」それから「赤双及び赤糖」、「中双」、「精白糖」、「氷、角砂糖」こういうまあ大きな大別分類をいたしたのでございます。この「黒糖、白下糖」、「赤双及び赤糖」これは大体含蜜糖と申しまして、昨今のような分蜜をいたさない、蜜を取らない含蜜糖に大体属する種類でございますが、この辺の割合は戦前と戦後においてはあまり変っておらないわけでございます。ただ変っておりまするのは、中次それから精白糖、この辺が戦前と戦後を比べますと相当変っておるのでございまして、大体御覧いただいてもわかりますが、精白糖の割合が戦前に比べまして非常にふえておる、こういう実情になっておるのであります。まあ中双はもう少し詳しく申し上げますと、中双はこれは色のついたざらめ糖というような種類のものでございますが、この精白糖は現在の普通家庭等にあります上白糖、こういうものでございまして、この中双糖と精白糖の割合等を見ていただきますと、要するに精製した白糖の割合が戦前に比べて非常に多くなっておる、こういうことが言えると思います。なお氷砂糖、角砂糖は御承知と思いますから説明を省かしていただきます。ただここでもう少し敷衍して御説明申し上げなければならぬと思いますが、戦前と戦後におきまするこの砂糖の製造いたしまするこの状態が変っておるのでありまして……
  47. 栗山良夫

    栗山良夫君 そこまででいいです。この糖種別に掲げてありますその内容を私は質問いたしますが、その前に、この単価はどのくらい違いますが、一斤当り黒糖からずっと角砂糖まで。
  48. 田中勉

    説明員(田中勉君) 単価といいますのは。
  49. 栗山良夫

    栗山良夫君 小売単価。
  50. 田中勉

    説明員(田中勉君) 小売単価は精製糖を基準にいたして参りますると、まあ黒糖、白下、赤糖、赤双でございますが、大体これが八〇%くらいの値段になっておる。
  51. 栗山良夫

    栗山良夫君 戦争前のですか。
  52. 田中勉

    説明員(田中勉君) 戦後のことを申し上げておる。
  53. 栗山良夫

    栗山良夫君 昭和九年ころですか。
  54. 田中勉

    説明員(田中勉君) 昭和九年については記憶いたしておりませんが、戦後の場合だけ申し上げますと、大体八〇%くらいの値段になっておるわけです。中双と精白糖でございますが、これが大体これはパーセントで申し上げるよりは、むしろ斤当りという線で申し上げたいと思います。斤当り中双と精白糖の関係は三円ないし四円程度下になっております。低いはずです。
  55. 栗山良夫

    栗山良夫君 低い……。
  56. 田中勉

    説明員(田中勉君) 中双の方が精白糖に比べまして大体低くなっておします。
  57. 栗山良夫

    栗山良夫君 戦争前のはわかりませんか。
  58. 田中勉

    説明員(田中勉君) 手許に戦前の糖種別の数字を持っておりませんので、後ほど調査して……。
  59. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは砂糖のことできわめて大事なことなんで、戦争前の糖種別の値段というものは一つ正確なものをお調べ願いたい。それからこの各糖種別の銘柄別の内訳をお示しになっておりますが、このうちで業務用は別です、家庭用と称せられるものは、どのくらいのパーセンテージになっておるか、それはわかりませんか。
  60. 田中勉

    説明員(田中勉君) 砂糖全体ですか。
  61. 栗山良夫

    栗山良夫君 砂糖全体ではだめです。糖種別の業務用というのはどのくらいになっておるか、業務用と家庭用がある。
  62. 田中勉

    説明員(田中勉君) これは糖種別の家庭、業務用、あるいは製菓用ということになりますと、推定を相当加えないと出てこないことになります。計数的にこれらに基いてやるというふうになかなかいかぬものでございますから。
  63. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはあなたの円熟された技術で、一つ推定で、戦争前と戦後のもので、業務用と、いわゆる家庭用ということが、この表の中でどのくらいの比率になっておるか、これをお知らせいただきたい。なぜ私がそういう要求をするかという理由を申し上げます。私は今の表でも明確なように、敗戦後の日本において非常にぜいたくだと思われるのは、われわれの一般家庭において精白糖の使用量が多いということ、どうしてこういう精白糖でなければならぬか、私が砂糖屋に買いに行けば、大体精白糖がざらめ、上ざら、いいざらめよりないのです、消費者はいやおうなしにこれを買わなければならぬ、ところが戦争前には私ども大正の末期から不承気時代を知っておりますが、普通の家庭ではなかなか百姓などは三盆白なんか使ったことはない、黒砂糖とかあるいは糖蜜の入った赤双か、そういうもので十二分に間に合った、安いもので、当時は麦飯を食べて、そして砂糖は赤双、赤糖を使った、ところがそれは今できないわけです売ってないから。なぜ農林省はそういうものを売るように砂糖の精製、精糖をやっておるかというところに私は非常に疑問がある。まあ私はかって聞いたことがあります。キューバ糖が入って来たときに、あれをそのまま市販をすると、虫が入っておって衛生上よくないというので、農林省はそれを精製会社に入れたことがある、しかし終戦直後に進駐軍が日本に来て、日本人は砂糖に不自由しておるから一つ配給してやろうというので、たくさんバケツに一ぱいづつ配給してあれを食べたが、お腹をこわした人は一人もいない、そういうふうにちゃんと食べて実績のあるものを、なぜ農林省が僣越にそういう工合に衛生上よくないといって、わざわざ精糖会社に入れて、高いものを市販させるか、ここに私は根本的な問題があると思う、これは農林省の砂糖行政の根本的な問題だと思う、これは当委員会で徹底的に究明したい。それだからその資料はどんなに困難でもこれは作ってもらわなければならない、 こういうふうに思うのです。
  64. 白川一雄

    ○白川一雄君 精糖工場能力推移という資料によりますと、昭和二十八年三月から急激に能力を増加しておりますが、現在承われば大体百万トンというのに対し三倍以上の能力に持って行った、これを当局として許可になったその方針というものは、どういう方針に基いてこういう設備を許可したかということを承わりたい。
  65. 田中勉

    説明員(田中勉君) この戦後、直後におきましては、砂糖精製状態というものは、ほとんど壊滅いたしておりました。ようやく二十六、七年ごろからこの砂糖の輸入をいたしました。それをまた精製ということが外貨上も可能になって参ったのであります。これの実際の精糖業者の能力は、ただいまお話もございましたように、二十八年ごろから二十九年にかけまして非常にふえておるのが現実の事実でございます。その間におきまして農林省の当局といたしましても、過剰の設備、また設備の二重投資というような面につきましては、二十八年ごろからいろいろ警告も出しておったのでありました。また同時に精糖業者に対する砂糖の割当をいたしまする場合には、実績を重点に置きまして、行政措置といたしましては、能力にウエイトを低く、実績の方を重く見ることによって、あわせて、その設備の拡張を実は防止しようという態勢でまあ進んで参ったのであります。現実問題としては非常な膨張を見たわけでございますので、これは二十九年の三月現在をもちまして設備能力の抑制措置、これは詳しく申し上げますれば、それ以後の増設設備等につきましては、割当の対象としないという行政措置をとってまあ今日に至ったわけでございます。たしか御指摘のように、非常な過剰な設備に相なったわけでございますが、ただその間におきましては、とった措置といたしましては、いろいろ警告なり、またそういう措置をとったことと、それから割当をする場合に、その実績を重く見た、設備能力等を低く見るというような行政措置で参ったのでありますが、現実問題としては、遺憾ながらその程度では拡張というものについて防止し得なかったというようなまあ現状になっております。ただ昨年四月現在をもちましてそれらの過剰設備の問題、まあ新没したり、あるいは増設につきましては、砂糖の割当を通産省として計算をしないというような実質的な抑制措置をとった次第であります。
  66. 白川一雄

    ○白川一雄君 二十七年度のメーカー割当基準を見ますと、能力に対して七〇%ということになり、実績に対しては三〇%、まあこの数字があるので、おそらくメーカーは能力をうんとふやして割当をたくさんとろうという前提において工場の設備をしたものであると思われるのでございますが、今日、日本の経済から申しますと、ほかの産業におきましては設備したくてもできないという現状のときに、おそらく設備するのには外貨をもらって外国機械を買ってもやっておるはずなのです。しかも三倍からの設備を作って、三分の二の遊休設備を指っているということを考ますと、現在価格の安定帯ということを言われましても、その遊んでいる機械の償却から全部見て行きますと、メーカーのコストというものは非常に高くなっているということ、しかも大きな利益を上げているということになれば、過度な、むだな遊休設備から生まれるところの原価高も、国民にこれをかぶせている、そういう形において安定帯と言っても全くわれわれ納得のできない安定帯じゃないかという感じを非常に強くします。今仰せの通り、二十八年度、九年度では、能力に対する割当の率を下げておりますけれども、すでに設備をして、能力で割当を取ってしまったところで、製造してから実績を上げたものに、また下げて行っても結果は同じことになる。われわれは、事務当局としては全く不本意ながらこれを許した点も多分にあるのじゃないか、多分にこれは政治的な圧力も加わって行われたのじゃないか、その圧力によって、この砂糖という輸入商品によって、日本の国民全体が高い砂糖を使わされるという格好になっている。こういうふうに内容を見るのでございますが、今後遊休施設に対しては、それだけ砂糖を入れて、増加することを見込まれて許可になったのか、あるいはただ漫然と上からくる力によってここにきたのか、その辺のニュアンスを一つお聞きしたいという気持がするのでございますが……。
  67. 田中勉

    説明員(田中勉君) 先ほど抑制措置をとった、これは砂糖を割り当てる場合の割当の方法によりまして設備の抑制を期する。こういうような行政措置になっているのでございまして、これは私からこの席でこんなことを申し上げるのはいいのかどうかわかりませんが、企業というものに対するいろいろ新設なり増設というような要求がまあその当時もありました。これは各企業のおのおのの見込みによりまして、実はさような計画があったわけでございまして、これを法的に禁止するということは、現在のまあ体制下においては困難な面もございます。そこで非常にまあ抜本的ではないのでございますが、さような割当等の基準に参酌する要素といたしまして、その実員が企業を抑制するような結果を招来するようにまあ実施したのでございます。ただ非常に、一年なりあるいは一年半の間に競って実は行工場が設備の新増設の拡張をいたしたわけでございます。その点から見ますると、現在は確かにその余剰設備の状態があるわけでございます。ただ国内的にこれを見ますると、やはり加工貿易と申しますか、輸出面等におきましても、これらの設備をある程度活用することによりまして、さような過剰設備的な影響を少しでも緩和して参りたい、加工貿易につきましては、通産省当局等のいろいろ御方針等もございまして、農林省としては積極的にこの加工貿易の点もできるだけこれらの設備の活用をはかることに現在努力をいたしている次第であります。
  68. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 関連しましてちょっとお願いしておきたいのですが、いずれ安定帯価格というものについて詳細な御説明を伺うことになると思うんです。そうしますと自然、従って各砂糖会社別にいわゆるコストの問題に触れてくるだろうと思いますが、そのときに、ただいま白川委員からの御質問があった通り、過剰設備があれば、よもや安定帯価格のときに、さっき御説明のように国民の食料品だからそのための価格をやるんだという御説明だから、そういう過剰設備に引き合うような安定帯価格はお作りになるまいと思いますけれども、説明をされるときに各社別にどこの会社ではどれだけの過剰な設備を持っているかというようなことを、どうせこれは質問が出ると思いますから、あらかじめ御用意になって、やはりそろいう何と言うか、用もないものを値段の上に反映せしめるようなことがないような一つ資料を御準備願う方がよくはないかと、大へんくだらないことでございますが……。
  69. 栗山良夫

    栗山良夫君 今、白川委員の御質問は当然あれなんで、これはやはりそれを具体的に知る必要があるので資料を一つお願いしたいと思います。それは工場の稼動率をあるいは三〇%とか、一〇%と見てもよろしいから、それを推定されて、これによる生産原価の違い、これを一つ計算して出してもらいたい。三〇%稼動のときには生産減が幾らになるか、それが六〇%の稼動のときには幾らになるか、一〇〇%だと幾らというふうに、はっきり出てくるだろうと思いますから、それを出していただくというと、今の委員長質問も具体的にディスカッションするのに非常に役立つわけです。ぜひこれを一つ出していただきたい。これは私は相当な差が出ると思います。最近一、二年でふえたと言われましたが、相当な利息を払って作った設備ですから、それが生産費に入っているからその稼動率が相当に違いが出てくる、それはそういうように考えます。
  70. 白川一雄

    ○白川一雄君 工場の設備の新しい古いで違うと思うのですが、工場の原価を出すときの歩どまりというものは一律のものであるか、工場によって歩どまりが違うのか、その点を伺っておきたい。
  71. 田中勉

    説明員(田中勉君) 歩どまりにつきましては、大体現在の精糖工場の設備では、ほとんど大差がないという状況になっております。
  72. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 幾らですか。
  73. 田中勉

    説明員(田中勉君) 九三%ということでございます。
  74. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それは最近の数字じゃないですね。今そんな九三なんという能率の悪い工場は私は実際にはないと思うのですが、最近のなにはもっといいと思いますから、その点も一つ具体的にお調べを願いたいと思います。
  75. 栗山良夫

    栗山良夫君 外貨割当をするときの歩どまりの率と実際の歩どまりの率との間には相当アローアンスがあると思う。これが問題なんです。
  76. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 私の申し上げましたのは、現在の歩どまりは九三なんという率の悪いものはないと言うてはばからないのですから、しかも今、栗山委員お話もありますから、九三というのは外貨割当のときの数字というならばこれは何をか言わんやだが、技術的なものをもっと資料で、新しいものの資料でこの次までにお調べ願いたい。
  77. 白川一雄

    ○白川一雄君 農林関係の方に承るのは以上でありますが、次に通産省の方に伺いたいのは、砂糖の設備は外国の機械を相当入れたはずだと思うが、そういう機械を入れるためには、外貨の割当を通産省で許可せられたはずだと思うが、通産省として、砂糖の膨大な設備をするところの許可の方針はどこにあるか。どこにのっとってしたかということの通産省側の御意見を承りたい。
  78. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 精製設備の増加につきましては、先ほど御説明がございました。その際に精製設備の輸入を認めたことがあるかというお尋ねかと思います。この砂糖精製設備につきまして、外貨割当をしたことはないと考えております。
  79. 白川一雄

    ○白川一雄君 かりに外貨割当をしてないといたしましても、国の資金がそこにそれだけ多く流れてくるということが言えるので、ほかの産業が資金が枯渇して非常に窮状にあったときに、砂糖だけがそれ以上の設備を金をかけて作った、そういうことをお許しになった御方針はどこにあったのですか。どういう見通しで許されたのか。
  80. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 外貨割当一般の問題につきまして、ちょっと御参考に申し上げたと思いますが、年産工業の原料の場合は、多く最近までは生産設備ないし生産実績に対して原料を使います業者、設備を持っている生産業者、砂糖の場合は精糖業者でございますが、これに対してたとえば綿の場合ですと紡績業者、これに対して外貨を割り当ててやったのが過去数年の例でございまして、その場合に先ほど御指摘のように、その原料につきまして相当利潤の多い物資につきましては、工場設備を作って行くという傾向が実はあった。私ども担当ではございませんが、財政資金等につきましては、おそらくそういった産業に対して特に重点が置いてなかったかと思いますが、そういう比較的条件のいい場合には自己資金で設備の拡充をやったものと見ております。
  81. 白川一雄

    ○白川一雄君 そうしますと、通産省の方では、そういう過剰施設を、景気がいいからふやすという場合には、非常に自由に放任してこられたという結果になるのですか。
  82. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいままでのところは、設備制限の統制が別段ございませんので、従来まではそういう場合に設備が増設されるということがあり得たわけでございます。
  83. 白川一雄

    ○白川一雄君 私どもとして、国の経済ということを国民としても考え、私どもとしても考えるならば、先ほど農林省の方の御説明と同様に、戦後設備が荒廃しているので、早く回復しなければいかぬというのならば、必要な範囲に持って行くのが回復であろうとわれわれは考えるのでございますが、これにおそらく膨大な資金が行ったものと思うのですが、しかも急激に、工場によっては五倍も六倍も能力に比較してやっている所があるのを放任して、これを別に制約することもできなかったということについては、戦後自立経済に何とか立ち上りたいという国民の熱意と当局の考え方にははなはだしい懸隔があるということを非常に遺憾に思うということを申し上げて質問を終ります。
  84. 栗山良夫

    栗山良夫君 もう二つだけお伺いいたします。テンサイ糖のことですが、テンサイ糖の農林省のとっておられる経過、あるいは今後の方針ですね、そういうものは一体どうなっているか、これを一ぺん適当な機会に、資料とあわせて御説明を願いたいと思います。このテンサイ糖は政府買い上げにたしかなっておるはずですが、それと市販品との価格の調整がどういう工合になっているか、それから今後国内資源として、あるいは農業政策として、北海道だけじゃなくて、もっと内地の適当な方面の適当なところにああいうものを植えて、砂糖の原料としてやって行こうというお考えがあるのか、あるいはそういうものは全然ないのか、またそういう適当な品種がないのか。私の聞くところによると、ヨーロッパのイタリア辺のものであれば、本州のどこででも十分できるような状態に日本はあるということを聞いております。そういうようなことを考えておられるかどうか、これを一つ。それからもう一つは、先ほどキューバ糖のような荒い粗糖ですね、粗糖をなまで小売りに回して食べるというと衛生上悪いということを聞いておるのですが、それは農林省の考えなのか、厚生省の考えか、それをよく確めていただきたい。もしそういう悪いという人があれば、どうして悪いのか、これはやはりこの委員会に来てもらって、その悪さ加減というものをよく説明を願わないと私どもは承服できない。これは黄変米より簡単ですから、みんなで食べて見れば一ぺんにわかりますから、こういう工合にお願いしておきます。
  85. 苫米地義三

    苫米地義三君 価格の安定帯を作るということは、農林省管内の仕事だと思いますが、ところが価格の決定を作るのは通産省の関係だ。由来この通産省、農林省との共管の問題は常におもしろくない摩擦も起れば、その点について弊害も起っておることがあるんですね。今度の砂糖の問題でもそういう点が原因しているのではないかと思う。所管行政が両方にまたがっているというところに何かの支障が起っているのではないでしょうか、その点を最初にお伺いいたしたい。
  86. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 現在の行政の関係を先に申し上げたいと思いますが、輸出輸入の関係、つまり本件に関しましては砂糖の輸入のことでありますが、輸入につきましては、外貨資金の割当をしておりますので、輸入の際に外貨資金の割当をいたしますが、それは全商品につきまして、現在通産省が所管いたしておるわけであります。輸入しました粗糖が精製され、国内へ販売される。この国内に入りました場合には、これは農林省の食糧関係ということで、農林省の所管に現在なっております。従いまして、本件につきましては国内の価格の安定及び精製業者に対してどういうふうに粗糖を割当てるかというふうな点につきまして、農林省が従来とも権限を持っておるわけでありますが、外貨の割当、それからキューバ糖を幾ら買うか、あるいは台湾糖を幾ら買うか、これは貿易政策に関連いたしまして、今の外貨資金割当とともに通産省が従来ともやっております。本件の措置につきましても、つまり輸入いたしますまでは通産省が所管しておるわけであります。それから国内の価格の点は農林省が決定する、その間に十分協議をして参る。輸入量を幾らにするかということが国内の糖価に非常に影響いたしますので、従いまして、その点も通産省は勝手にやりませんで、十分現在御相談をしておるわけでございまして、従いまして、今後とも国内価格をきめます場合、この農林省が安定帯価格をきめます場合に、やはり輸入の見通しを持たないと、安定帯ということも考えられないということでございますので、安定帯価格をきめます際には、農林省もやはり通産省に相談していただく、十分協議をいたしまして現在もやっておるわけでございまして、そのためというわけではないと考えておるのであります。
  87. 苫米地義三

    苫米地義三君 この砂糖業者が莫大な利益を得ておるということは、これは事実なんであります。このことは少牧の人が利益を得て、そして大衆がこれを負担するということになるわけであります。で、このことというものは、社会的な観念から言っても、どうもそこに無理があると思うのですが、大体為替管理をしておるのですから、外貨の割当さえすれば、そこに利益が必ず伴う。その利益政府の納入によって吸収されるのでなくて、少数者の利益になっておるということが、この砂糖行政の一番大きな欠陥だと思うのです。それをただ農林省が末端において安定帯価格を設けたところで、そういう弊害がのけられるかどうか、私は疑問だと思うのですが、どうでしょうか。
  88. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいま御指摘通りでございまして、砂糖につきましては輸入量が外貨の関係で必ずしも十分に参っておりません。価格差はかなりあるわけでございますので、相当の利潤が出ておるわけでありますので、本法案におきましては価格の安定と同時に、大蔵省に特別会計を置きまして、価格差益を輸入の際に吸い上げをいたしまして、その特別会計に納付していただく、こういうことになりまして、輸入したための過当な利益を一部の業者に帰属せしめないで、国庫に入れていただくというふうに本法案の後段に規定をいたした次第でございます。
  89. 苫米地義三

    苫米地義三君 その国庫に納入させて、その利益を吸収するということは、それはその限りにおいてはできるかもしらぬが、その利益の吸収はことごとく消費者にかかってくる。だから消費者の利益を擁護しながら、一部の業者利益を吸収するということにはならないと私は思う。そういうことになりませんか。
  90. 大堀弘

    ○政瞬委員(大堀弘君) 少し理屈になりまして、恐縮でございますけれども、かりに国内の価格形成が、輸入のコストで参りまして利潤が出ないで消費者に渡るということができますれば、一番この差益の徴収ということもなくて済むわけでございますが、やはり国内の価格がまず需給関係で出て参りますので、現在の輸入量、年間九十五万トン程度でございますと、やはりどういたしましても一トン当り二十ドルないし四十ドル程度の過当な利潤が出て参ります。これを消費税で吸い上げるかどうかという問題になるわけでございますが、現在買付地域が、キューバ糖でございますと、CIFで九十二ドル、台湾糖でございますと、CIF百十二ドルと非常に価格の差がございまして、この買付け方につきましても、通商関係に有利な地域から買えば輸出が伸びるというところから買うというようなことで、通商交渉をしながら買い付け先をきめております関係上、コストが常に動いておるわけでありまして、従いまして、各地から来ました砂糖のコストについて計算をいたしまして、それぞれの差益を国庫に入れていただく。国内の価格はいたし方ないことでございますけれども、需給関係で形成されるので、ある程度商いものになるわけでございますが、昨年あたりは非常に量の問題と、リンク制等を行なっておりましたわけで、昨年の暮あたりは一斤九十二円というような、非常に暴騰をいたしましたこともございますので、今後はこの安定帯価格と言いますか、七十八円前後で四円幅くらいに考えまして、その価格の幅の中に大体安定して行くことができるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  91. 苫米地義三

    苫米地義三君 国庫へ納付する利益の吸収、これはいわば間接的には砂糖の消費税という形において実質的にはとられるのです。ですから、国民大衆からいえば、そういうものは価格を低下するという方に政策を変えて行くのがほんとうじゃないかと思うのですが。それで外貨の割当をするときには一年に何回も区切ってやるのですか、あるいは年間を限ってやるのですか、そのときどきによってやりますか。
  92. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 外貨の割当は半年ごとに外貨予算を形成いたしまして、半年ごとに閣僚審議会で御決定願ってそれを実施いたすわけでございます。半年の予算を半年分まとめてやるかどうかという点につきましては、現在私どもといたしましては、大体買付のチャンスその他を考えまして、なるべく有利な条件で買付ができますように、運用といたしましてはできるだけ幅を広くいたしまして、半年分をあらかじめ発表いたしまして買って行くようにいたしたいと考えておりますが、砂糖の場合でございますと、ちょっと事情が異りまして、今回の法案関係もございますし、また買付先がなかなか通商関係でむずかしい国が多いものでございますから、まあ大体の方向といたしましては四半期ごとぐらいの運用になるかと思います。
  93. 苫米地義三

    苫米地義三君 その四半期ごとに割当てをしますね、ところが商社がたくさんあるのです。この商社が競うて買付をやるわけです。だから日本が外貨の割当をしたということになれば市場が高騰する、そういうために砂糖相場の最も悪いところを輸入しておるようなことにはなっておりませんかどうですか。
  94. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 御指摘のような問題が一般に非常にございまして、私どもはやはり外貨割当と、買付価格をできるだげ安く買わせるようにいたしたいということに昨年来特に重点を置いて参りまして、砂糖の場合につきますと、現在は私どもは輸入価格を各地域別にそれぞれきめておりまして、台湾の場合はCIF百二十ドルということを日台協定で協定いたしまして、その価格以下で買えという条件をつけております。キューバ糖あたりで申しますと、最近船賃が少し上っておりますが、九十二ドルから九十三ドル、適正な計算をいたしましてそれ以下で買えという条件をつけまして、なお買付につきましても業者の協調をできるだけ要望いたしまして、買付価格の高騰を来たさないように、できるだけ努力しておる一わけであります。
  95. 苫米地義三

    苫米地義三君 これはひとり砂糖ばかりじゃありません。いろいろな例えばタローを買うとか、あるいは石油を買うとか言いましても、結局一番元は為替の利用なんで、その点について非常に日本は損をしているような実績があるのですよ。ですから外貨の割当については国の利益ということを中心として運用されることを希望します。のみならず、最近ではどこの国でも管理貿易ということが盛んですから、日本ばかりたくさんな業者が行って、外貨の割当を受けたからといって殺到して買うというようなことは非常に不利益だと思うのですが、また輸出をする場合にもやはり同じことです。その点は、このことに限らず御注意を申し上げまして私の質問を終ります。
  96. 吉野信次

    委員長吉野信次君) さっきの苫米地委員の通産、農林の権限のことに関連してですが、少しとっぴかもしれませんが、砂糖もバナナも為替を割り当てる方の納入金の方は、これはさっきの御説明で通産省の専管じゃないかもしれぬけれども、通産省が主として所管することですから、今度もバナナや砂糖も農産物としていいでしょう、ですから納入金の方はまとめて一本にして、価格の方の安定は安定でこれは農林省の方で十分やる、こういうふうにしても差しつかえないように思いますが、その点はどうですか。せっかく同じようなバナナが出ているのですから……、ただバナナは日本内地には廃しておりませんから……。要するに通産省関係が主たる外貨割当をやるときに非常な不利益を受ける、これは一本で法案をまとめる。それから価格安定の方はほかにもありましょう、砂糖だけではないでしょう。これは農林省の方で十分いわゆる権限に基かれて価格安定の法案を別に出す、こういう方がちょっとしろうとわかりがするように思うのですが、その点はどうですか。
  97. 田中勉

    説明員(田中勉君) この点につきましてはバナナ、パイナップルかん詰というような物資と砂糖とは、これは生活物資の面から見ても、その内容が幾らかの違いを持っておる。同時に砂糖については、国内的に見ますと家庭消費なり、あるいは業務用消費の面から見ましても、これは重要な生活必需物資になっておりますから、これは同町に国内の甘味品の代替というような面からいたしますと、イモを原料といたしました澱粉なり、あるいは水あめというような国産のそういう代替の産物と非常に関連を持つものになっておりますから、やはりこの問題につきましては価格安定の問題を取り上げて、現在の段階において必然的にやむを得ないものは代替農産物なり、それらとの関連において、そういうものがやむを得ず輸入差益を発生するというような問題がございますので、これは安定並びに経過措置といたしまして、差益徴収をするというその一貫した一本の……。
  98. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それから先は議論になりますからいいですけれども、そういうふうに国民の生活品としての砂糖とパイナップル、バナナは違う、それだから、いわゆる為替を割り当てる方の、過当な利益を納入させるあなたの方はそれは一本にしたらいい。それからあとは価格行政ですから、それはそれであなたの方で別に法律考えたらどうか、こういうことです。要するに納入金の方は、バナナの方もパイナップルの方も同じことです。為替を割り当てるときに、割当を受けた過当な利益を受ける方からそれは取り上げる、それは問題がないんですから、それはそれとして一本にまとめたらどらか。しかし砂糖は重要だと言われるなら、これは当然農林省の権限において別の立法を考えてもよかないか、こういうように思いますが、これはどうですかというのが私の質問なんです。あなたの答弁は私の質問には答弁にならないんだ。違いがあるということはわかっているんだから、違いがあるから別にしたらよかないかということです。
  99. 田中勉

    説明員(田中勉君) ただ差益を取ること自体は、国内の砂糖の需要供給の面からいたしますと、差益を取ること自体が国内の砂糖の流通過程におきましては、どうしてもやはり外貨にしぼられた砂糖の流通でありますと、やはり売手市場の様相はどうしても否定できない。それらの点が、差益徴収という面が逆に価格の面にはね返るというようなこともないわけではない。この点はだから非常に微妙な問題だと思います。これはやはり両者一貫してやらないと……。
  100. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それは議論じゃないんですけれども、大体前提が、必ず外貨割当で納入金を取らなければならないという前提が私はおかしいと思うんだ。バナナとか、パイナップルの問題ならいいのですが、あなたがおっしゃるように、それほど国民生活に大事なものだと言うなら、消費者に対して、国民全般に対して価格を安定せしめるという見地から抜本的なことを考えたらいいと思う。あるいは砂糖というものを政府が米と同じように一手でやるのも一つ方法であろうし、外貨はない、こう言いますけれども、すでにあなたは九十五万トン本年にはお認めになっておるのでしょう。もう少しお認めになったら楽に行けるのですから、だからそういう過当な利益が生じないように十分に入れたらいいと思う、別に切り離して、バナナとか、何とか同じように考えないで、あなたが今言われる趣旨に従って大いに価格政策の方で別に考えたらいい。それだから、むしろ別に切り離して、あなたの説明では、価格安定が本旨だと言うならば、価格安定のような趣旨で考えて私は出直したらどうか、こういうふうに思いますが、その点はどうですかというのです、私の質問は……。必ずしも納付金制度がいいか悪いか、そこにこだわる必要はない。あなたの要するに国民に砂糖を変動がない安い価格で供給するということが先決問題なら、そういう見地から考えなければならない。現実制度にとらわれる必要は少しもない。
  101. 田中勉

    説明員(田中勉君) 価格安定の問題につきましては、先ほども御説明申し上げましたが、農林省内部としては相当いろいろ案を作ってみたのでございます。その中には、やはりこの現物全部政府が一手に持つというような問題も討議いたしました。それからさらに全面管理でなければ一部管理というようなことも実は検討いたした次第でございます。しかしこの問題につきましては、通産御当局ともいろいろそれらの構想について実は検討さしていただいたわけでありまして、まあ現在の経済環境下におきましては、砂糖だけ全部政府が手持ちをする、あるいは管理をするというようなことについては、経済体制の面から見ましてもいろいろまた御批判も出たのであります。とにかくそういう統制的な色彩を持たずに、かような苦しい外貨事情下において、この砂糖対策を一定の期間臨時的に対策をとるというようなことに今度の制度では落ちついたわけであります。過渡的には過去においてはさような案が十分検討されたわけであります。そういたしますと、やはり価格安定の面を強くこの面に現物を持たないということで出して行く以上、外貨に制約された国内産業の製糖工場に、これは製糖工場は農林省の所管になっておりますが、この面において過当の輸入利益がやむを得ず外貨の制約からくる面に発生するということでございますので、これは……。
  102. 吉野信次

    委員長吉野信次君) これ以上は何ですけれども、ただ前のように八十万トンとか、何とか少いときなら別ですが、百五万トンとか何とかいうのでしょう、国内の需要に対して……。
  103. 田中勉

    説明員(田中勉君) 別にその数字は……。
  104. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それで九十五万トンまで奮発したのですから、それだから去年のように外貨の事情が悪い時なら別ですが、今のような外貨の事情から言えば、たった五万トンのことだから、価格の安定が非常に大事だと言うなら、むしろその方でやられるのがいい。これは意見になりますから、これ以上は申しませんが、それだからさっき申しましたように、納入金制度がたまたまあるから、これはいいか悪いかは根本的に検討しなければなりませんが、納入金制度がたまたまあるから、これを引き継いでこれでやるというなら、これも一つの説明ですが、あなたの方で価格安定が主だと、こうおっしゃるから、現にその過程においていろいろな案があったと、こうおっしゃる。だからその案についで、一々どれがいいかどうかということを検討するということになると、これは問題だろうと思うが、大体よけいなことを委員長として申し上げたのですが、為替管理というものは第一次大戦前にはなかった。第一次大戦後にドイツでこれは初めてやったことなんだけれども、日本のように野放しの為替管理というものはない。為林管理には必ず価格審査機関というものを置くのです。あまり物知りぶって恐縮ですが、ドイツのプライス・プリュフングス・シュテレというのがあって、値段というものが第一なんです。ただ為替を割り当てるのではない。値段の方が先にきまらぬというと安いものを買うかどうかということはきまらぬ。こういうのが為替管理制度の常道なんです。それは私は間違いないと思う、私の頭は古いかもしれないが、こういう制度のものですから、今の日本のようなあんな半端なものはこれはいかぬと思う。だから砂糖の価格の安定が非常に大事だと言うなら、そういう根本的な問題に少しも触れられないで、たまたまバナナに納入金があるから、それと同じにして、それにぶら下ってくるというのはどうかということを私は言うのです。言いたいほうだいのことを言って恐縮ですが、私の気持はそういうところにあるのですから、だから別に議論する意味も何もないのですけれども、ただそういうことだから、もし農林省が砂糖というものは非常に国民の生活にとって大事だ、これが去年の暮でしたか何かのように、ああいうふうに上っちゃ困る、それをどうしてもやるのだと言うなら、その見地からもう少しやり方が、抜本的方策というものがあるはずなんです。それだからそこでやるか、あるいはそこは第二の問題として、とりあえず納入金だけの通産省のバナナと同じように、外貨割当の過当な利益というものを取り上げるということだけにまず重点を置くか、こういうことかどっちかと冒頭にお伺いした趣旨を、さらに少しくどいと思いましたけれども、敷衍して説明をすれば、私の気持はそういう点にあって御質問申し上げたわけです。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  105. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それでは、本日はこれで散会いたします。    午後四時二十七分散会