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1955-06-16 第22回国会 参議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十六日(木曜日)    午後一時三十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            河野 謙三君            海野 三朗君            栗山 良夫君            藤田  進君            上條 愛一君            小松 正雄君            白川 一雄君            苫米地義三君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    経済審議庁調整    部長      松尾 金藏君    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君    通商産業省公益    事務局長    中島 征帆君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   説明員    食糧庁総務部長 新沢  寧君    食糧庁業務第二    部長      桑原 信雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○アルコール専売法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○経済自立方策に関する調査の件  (砂糖の価格安定及び輸入に関する  臨時措置に関する件)  (日本開発銀行の融資及び資金計画  に関する件)     —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより委員会を開会いたします。  まず、アルコール専売法の一部を改正する法律案を議題に供します。  前回この法律案審議に関していろいろ委員から資料の提出やら何やらの要求がありまして、それについて政府から説明をまず伺います。
  3. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 前回委員会におきまして、河野先生から官営工場民営工場との原価比較に関する資料を御要求になりましたので、本日お手元に配付しております。後ほどこれにつきましては御説明申し上げたいと思います。  その前に栗山先生から御質疑がございました販売会社政府に対する納付金滞納を生じたその経緯について、経過説明してもらいたいという御要望でございましたので、その点につきましてまず御説明申し上げたいと思います。  この問題はすでに前回でありましたか、前々回でありましたか、決算委員会におきまして詳しく御審議を願ったところでございますが、大体の経緯について申し上げますと、政府専売アルコール販売会社を通じまして売り渡しをしているわけでございまして、それに対しまして三カ月の猶予期間をおいてこれを納付せしめるという制度になっておったわけでございますが、昭和二十五年の終りごろからこの政府に対する納付金につきまして滞納を生ずる事態になったわけでございます。しかし、当初におきましては年度末には銀行借り入れ等を行いまして滞納金の全額、遅延利息等をつけて納付しておったわけでございます。しかし、これに対しまして昭和二十七年の初めにこの滞納を今後行わせないことにつきまして通産省から厳重な指示を行いました。それに対して両販売会社から誓約書が差し入れられたわけでございますが、その後依然として滞納が続いておりましたので、昭和二十七年の六月ごろに販売会社経理監査を実施したわけでございます。その結果といたしまして、この滞納を生じた主たる原因としては、両社の幹部に一部不良な人間がおりまして、多額不良債権を持っておった。で、この不良債権につきましては一部いわゆる浮き貸しというような形におきまして帳簿等にもはっきり載っておらないものもあったわけでございますが、そのような事実が発見をせられたわけでございます。これにつきまして、通産省としては直ちに両社責任者を解職いたしますと同時に、これに対しまして告発手続をとりまして、現在その責任者につきましては刑事上の裁判係属中でございます。そこでこの納付金の処理につきまして、昭和二十八年の十月に再建計画を立てまして、人事の更新、人件費の節減、それから今申し上げましたように不良債権が焦げついておりました関係で、銀行から多額借り入れをしておったという、そのための利払い等もきわめて多くなっておりましたので、これらの点につきまして整理計画を立てまして、政府債権につきましては昨年の三月に裁判上の和解をいたしまして、アルコール興業につきましては昭和三十年から三十七年までの間、それから酒精産業につきましては昭和三十年から三十二年までの間におきまして会社弁済能力等考えまして年賦弁済計画を立てたわけでございます。で、その当時の債権額といたしましては、大体三億以上の債権があったわけでございますが、現在までのところこの年賦弁済計画に従いまして順調に納付が行われておりまして、現在のところ残高は約二億円になっております。で、この裁判上の和解契約額納付させることはもちろんでありますが、それ以上に両会社不良債権回収できた場合、あるいは経理余裕があった場合にはさらにこれをも含めまして納付せしめるということにいたしておりまして、現在までの納付状況は当初の和解による予定額よりも約一千四百数十万円多く回収できております。従いまして今後の回収につきましては両社業務運営について十分監督を加えますと同時に、この回収は順調に進められると考えております。  大体以上が販売会社滞納につきましての概略の御説明でございます。  それから次に、官営工場と、民間工場製造原価比較につきましてお手元にお配りをいたしました比較表につきまして御説明申し上げたいと思います。  前回も申し上げましたように、この官営企業と、民間企業とはいろいろ経理制度を異にいたしておりますので、厳密な意味におきましての比較ということにつきましてはいろいろ困難な問題があるかと思いますが、一応昨年の初めからとり得る限り最近までの数字によりまして比較をいたしましたのがお手元の表でございす。  それでなまイモ原料にいたします場合と、糖蜜原料にいたします場合と分けて書いてございます。民間工場の分はこれは現在委託しております民間工場平均数字でございます。  まず、原材料費について申し上げますと、なまイモの場合に、官営工場アルコールーキロ当り原材料費が七万五千八百三十六円、民間工場におきましては八万五千八百四十六円、約一万円官営工場の方が安くなっております。この理由といたしましては、官営工場は現金で購入いたします関係がございます。それから官営工場の方は農業協同組合等と直接の契約をいたしまして直買をいたしておりますが、民間工場におきましては、間に仲買人を入れておる。それから官営工場全国に九工場持っておりますので、近接の地域間におきましては、中央から毎日電話で現地の相場を調べまして、安いところの買付をするように指令をいたしておる、地域的に選択し得る関係にあるというような関係があるわけでございます。しかし最も大きい実質上の理由といたしましては、民間工場の方は全部酒用の、いわゆるもろみ添加用アルコールを兼業いたしておるわけでございます。これは全国に約百以上の工場がございまして、これにつきましては国税庁の方で一本の価格を定めまして、それによって酒造業者販売せしめておる。それで具体的に申しますと、イモ原料にいたしました場合に一キロ当り国税庁の定められましたアルコールの値段は十五万六千円でございます。これに対しまして私どもの方の委託生産をやっております方の買い上げ価格は十万円程度でございますので、民間工場の方におきましてはもろみ添加用イモと同時に買い付けいたします関係上、酒用の方に若干余裕があるというようなことが大きな理由ではないかと考えております。  それから労務費は、これは申すまでもなく官営工場の方が賃金ベースが低いわけでございますので、当然と申せば当然かと思いますが、そこにございますように相当の開きを示しております。  その他こまかい項目はいろいろございますが、全体といたしましてイモの場合、糖蜜の場合、両者を通じまして官営工場の方が原価は低くなっておるというのが現状でございます。それからその次の紙に、アルコール年度別販売価格原料価格との関係を書いてございます。そこで、ごらんになっていただきますように、主原料でありますなまイモ糖蜜両者とも非常に年度によりまして浮動がございます。しかし、販売価格といたしましては、昭和二十六年の一キロリッター当り十二万七千六百円から逐次引き下げを行いまして、現在は八万三千二百円になっているということを示しておるわけでございます。それから、その次に、官営工場自体につきまして、製品一キロ当りのなまイモ糖蜜等の原単位が逐年向上しておるということをその表でごらんをいただきたいと思います。同様に、石炭、電力等の原単位につきましては、傾向としては逐次向上を示してきております。  大体以上が概略の御説明でございます。
  4. 栗山良夫

    栗山良夫君 アルコール興業会社及び酒精産業会社のその後の経過につきましては、この前の私の質問にさらに今日補足せられたわけでありますが、大体通歴省側としての御説明は、ただいま局長のおっしゃった通りだろうと私は思います。ただ問題は、二十九年の七月に裁判上の和解が行われたというのでありますが、この和解内容というものは、どの程度内容があったかということが一つの問題だと思う。それから、その和解に基いて、政府として両会社約束をせられておるわけですが、その約束をせられたことは、だれがその最終責任者として所管をせられたか、また国の財政法から言って、そういうことをやってよろしいかどうか、こういう点が問題として残っておると思います。私が持っておる疑問については、この前お話してあるので繰り返して申し上げませんが、いずれまたもう一ぺん繰り返さなければならないことであれば繰り返して申し上げます。
  5. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 国の持っております債権につきまして和解をいたします場合には、御承知のように、法務省に依頼をいたしまして、法務省の訟務局の担当者政府側利益代表として交渉していただくということになっております。和解内容は非常に詳細にわたっておりますが、要するに、相手方の弁済能力の限度において政府側債権を最も的確に確保するという立場において法務省において交渉を願った結果が、先ほども申し上げた結論でございます。政府債権につきましては、通常の場合には延滞利息、いわゆる遅延利息として日歩二銭七厘の割合で徴収しておりましたのを、和解の条件として、年五分に引き下げをいたしましたこと、それからこれを年賦弁済を認めた、この点が和解関係で、譲歩と申しますか、通常延滞利息を徴収する関係と異なるわけでありまして、その他の点におきましては、特に和解によりまして、元本にきずがつくとか、利息を免除するという措置はいたしておらないわけであります。それから今申しました年賦弁済にいたしました関係で、販売会社は今まで銀行からの借り入れによってやりくりをいたしておったわけであります。自分の債権不良債権で、焦げついておりますので、銀行からの借り入れによりまして、政府への支払いをいたしておったわけでございまして、その支払い額が実は非常に多かったわけであります。具体的に申し上げますと、昭和二十七年におきまして、両社を合計いたしまして、一年間の金利負担が四千二百八十七万円に上っておったのであります。これが和解によって年賦弁済が可能になりましたのと、人員の整理等によりまして、二十九年度における金利負担は、両社合せまして四百八十九万円、ほとんど一割そこそこに減少いたしておるのでありまして、この辺からも納付金余裕が相当出てきたんじゃないかと考えております。もちろん配当等はいたしておらないのであります。それで、前回政府和解による債権回収のために販売会社に対して手数料を余分に与えたようなことはないかという趣旨の御質問があったかと思いますが、この点は、この前もちょっと申し上げましたように、アルコール会社販売手数料は一キロリッター当り七千四百四十一円という額を据え置いておるわけでございまして、ただいま申し上げましたような利払い負担等の軽減によって余裕ができてきたというように御了解を願えるのではないかと思います。それで、この手数料の額でございますが、アルコール販売につきましては、酒税の確保なり横流れの防止という関係から、販売会社におきまして、需要者の店頭まで配達するという建前をとっておりまして、ただいま申し上げました七千四百四十一円に対しまして、平均いたしまして千六百八十四円の運賃が販売会社負担になっております。従いまして、これを差し引きますと、一キロ当り手数料は五千七百五十七円でございまして、アルコール平均販売価格の四・七%に相当いたします。他の同種の仕事をやっておるものとして、塩の専売元売りの場合の手数料比較類似しておるのではないかと考えるわけでございますが、塩の場合につきましては、元売り手敷料は、白塩の場合に五・五%、原塩の場合には五・九%でございまして、これに対しまして、アルコールの場合の純粋の手数料は、ただいま申し上げました四・七%でございますので、一応そう不当なものではないように考えております。もちろん、今後さらに合理化なり、あるいは債務の弁済によりまして余裕が生じました場合には、両社経理上許す限りにおきましてこれが減額をはかりまして、販売価格引き下げをいたしたい、かように考えております。
  6. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、これは、ただいま提案されている法律案に直接関係のないことを今お尋ねしたのであります。この問題自体については、私があるいは国のこういう問題の解決の仕方についてよく知らないために愚問を発しているのかもしれません、あるいは愚問でないかもしれないのですが、いずれこの問題は将来いつかの機会にもう少し突っ込んで質問したいと思っております。思っておりますが、もう一点だけ伺っておきたいのは、ただいまこの二会社が不始末をする前の手数料と、不始末をしてからあと和解を通じてその会社再建のために努力になっておる今日の手数料とは変えていない、こういうことをおっしゃったのですが、それは絶対額でそういう工合におっしゃっていることだと思います。しかし、相対的に考えればあれだけ不始末をして、そうして不始末をしたあと債権弁済手数料を上げなくても行い得るということは、これは逆に言うならば前の手数料というものは厚きに過ぎたといっても過言ではないと私は思います。その厚きに過ぎたものを会社に払って再建をしたときにきれいになる、合理化ができた場合には当然手数料はもっと安くても会社運営はできるわけなんです。その安くてもできるのに一挙にして手数料を下げ得られないということは、この弁済の義務をこの両会社に負わせておる、こういうことになると思うのです。従ってこれをもっと高い観点から言うならばこの二社のやった不始末に対する責任を果すことを国民消費者負担において行なっておる、こう申し上げて私は過言でないと思うのです。そういうことが両社の中で行われているかどうかということも私は問題になると思うのです。それで財政法上といって先ほど私が申し上げたのは、この両会社会社全体が不始末をしたというよりは、会社の中の特定の人が個人責任において不始末を犯しておるものと私は見ます。個人が対象になって告発をせられておるわけです。従ってあくまでもその不始末個人として追究をせらるべきで、個人弁済能力をこえた損害については国はやはり会社から弁済をさせるということでなくて、その取り立て方法がなければ当然国が損金としてこれは処分をして、国に損害をかけられたものですから処分をして、そうして再建後の会社は正常な形で手数料を下げ得る余地があれば下げて、アルコールの単価を下げ得るならば下げて、そうして運営に入るというのが私は正しいのじゃないかと思うのです。この点私はどうもまだ今でも、御説明を伺っても釈然としないのですがね。だからそういうやり方について私は政府のどの機関で、私がただいま非常に疑問を持ったのですが、そういう疑問を持たなければならぬような解決やり方というものを、国のどの機関で最終決定されたのか、これも私は問題だと思うのです。どの機関でこういうふうにやられたのかということを伺いたい。
  7. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいま御指摘の点はまことにごもっともと存じますが、勿論国の専売事業なり政府事業におきましてこういう債権の金額が回収できないということは、要するに何らかの意味において財政上なり国民負担になるということはこれは否定できないことだと思いまして、その点はまことに申しわけないと思います。実際問題といたしましては、いろいろ他の政府事業におきましても、まれな例でございますけれども、場合によって不良債権なり、債権の完全な回収ができないという場合がございますので、そういう場合におきましては、先ほど申し上げましたように、法務省が国の代表となって可能な限りにおいて債権の追及をする、こういう制度になっているように承知をいたしております。それによりまして申すまでもなく、裁判上の和解は判決と同一の効力を持っているわけでございますので、法務省に依頼いたしまして可能な限りは回収方法を講じたいということでございますので、今後はもちろん事業そのもの合理化をはかることはもちろんでございますが、販売会社経理余裕を生じました場合には、この和解の額以上におきましても余裕のある限りは回収をすると、現在もそういう契約になっております。現にそういう方針で実施いたしているわけでございます。その場合にさらに手数料引き下げ価格引き下げということには極力努力いたしたいと考えております。
  8. 海野三朗

    海野三朗君 アルコールの場合、この前もちょっとお伺いしたんですが、その不始末をやったそれに対して監督官庁たる通産省はどういうふうな処置をとりましたか。
  9. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほどおいでになります前にちょっと簡単に申し上げたのでありますが、要点を申し上げますと、最初は滞納を一時生じておりますのですが、年度末には銀行からの借り入れ等によりまして延滞利息を添えて納付しておったわけでございますが、しかし依然としてそういう状態が続きますので、これにつきましてまず今後滞納しないようにという誓約書をとったのでありますが、依然としてそういう事実が改まりませんので、会社経理監査をいたしました結果、浮き貸しその他の方法によりまして不良な債権多額に持っている、そのための債権回収ができない関係と、銀行からの数千万の利払いに追われて延滞を生ずるという事実が明確になったわけでございます。それにつきまして会社責任者を解職すると同時に、刑事上の責任ありと考えましたのについては告発手続をとっております。現在刑事上の手続係属中でございます。さらに会社の経世につきましても諸般の点において整理計画を立てまして利払いの減少をはかり、裁判上の和解契約をいたしまして現在におきましては、通産省はもちろんでございますが、会計検査院におきましても常時厳重な監督を加えておられます。その後の回収は順調に進んでいるという、こういう状況でございます。しかし、いずれにいたしましてもこういう不始末を生じましたことは、まことに申しわけないことでございまして、この点につきましては今後一層監督を厳重にいたしまして、再度こういうことのないようにいたしたいという決心でいる次第でございます。
  10. 海野三朗

    海野三朗君 その際に、その借金ができたということに対しては制度が悪いというように通産省では見ておられたんでございましょうが、その監督の任にあった通産省ではどういうような責任をおとりになったのですか。またこれに類似したような産業が、通産省のもとにおける産業で、そういうような類似のものがございますか。
  11. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 前に申し上げました通り不良債権に関して浮き貸し等の形になっておりますものは、銀行係等と結託してやるような形でございまして、帳簿にも載っておらないというような関係で、当時の関係者としては、先ほど申し上げましたように、いろいろの手段を講じて監督はしておったように承知いたしておりますけれども、その全貌をつかみましたときにはすでに非常に大きな額になっており、今申しましたような解決をとらざるを得なかったという事情でございます。で、類似と申しまして、悪い例をいろいろ申し上げることもいかがかと思いますが、私ども記憶しておりますところでは、例の鉱工品貿易公団等の事例とやや似たような形をとったのではないか。やはりこれは当時戦後の一つの混乱した雰囲気というものも原因の一半ではなかったかと思っております。
  12. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ、そういう際に私は監督官庁である通産省の方からだれか入って、これをよく監督するということが必要じゃないか、そうして、そういうような穴ができてしまってからその善後策を講ずるというような間抜けたことじゃ私はいかんのじゃないかと思う。もう少し筋金を入れてもらわなければいかんのじゃないか。こう私は思うのですが、この点についてはいかがにお考えになっていらっしゃいますか。
  13. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいま御指摘のような趣旨におきまして通産省において監督官の経験を持っておられます方を社長に現在お願いいたしまして、そういう監督というような意味合いも含めまして、現在はそういう点の間違いのないようにということを期待しておるわけでございます。
  14. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は問題は二つあると思います。その一つは、今も通産省責任と言われましたが、私もそれは同感です。というのは、当時アルコール興業会社酒精産業会社の二社だけが独占しておって、他の業者専売元売りをやりたいというので、ずいぶん申請を出しても通産省はがんとしてこれを許さなかった。しからばその独占を許されておった二社が非常にまじめに営業をやっておって不始末がなかったということなら問題はない。ところが、これだけ不始末を長期にわたってやっておって、そしてその会社経理の不始末を発見することができなくて、国会で問題になるまで放置しておいて、新しい元売業者申請書を全部押えるということは、通産省の大失態ではないか。その責任は十分あると思う。この問題は明らかにせられなければならぬ問題である。  それから第二の問題としては、しかしアルコール専売というような重要な仕事でもあるし、元売りというのは当然要るわけですから、私は二会社をつぶしてしまおうという考え方は毛頭ありません。つぶしてしまおうという考えはありませんが、ただ問題は不始末をしでかした、何億かの国家に与えた債権というものの取り立て方法について、どちらも国民負担になるわけです。今のやり方というのは国民の中でも特にアルコールを購入する、ごく限られた人の犠牲においてこの何億かの金が始末せられている。ところが、私は実際の一般論から言うならば、こういう工合にして発生した国の損害というものは、これはやはり国民全体が負担すべきである。従って何億かの金は、私は取り立て不能の分については、国の損金としてこれは落してしまう、消却をしてしまう、いつまでもあとをひいて救済をすべきものでない。こういう工合に私は考えるのです。この二つの問題があるのですが、ただいまの局長のお話ですと、法務省がこういう見解をとって認めたといいますから、これはやはり法務省責任者を呼んで、こういうやり方というものがやっていいのかどうか、また、こういうやり方をほかでやったことがあるのか、この点を私は明らかにしておきたいと思うのです。きょうはこれはできませんから、いずれ委員長において、他日法務省を通じてそういうことの疑義が明らかにすることのできるように御配慮願いたいと思います。
  15. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ごもっともです。実は、前回私もちょっと質問をしたのですが、要するに、結局、国民負担において始末をつけたのじゃないかということで、その意味は、ちょうどきょう栗山委員が述べられたことですから、私はこれを繰り返さない、栗山委員と全然同じ考えですから、その点については繰り返しませんが、ただ、もし法務省にいろいろ尋ねられるときに、栗山委員の発言にもう少し加えて、もう少し問題点を明らかにすれば、とにかく今、前通り手数料を上げなかったと、しかしながら、それでもって補いができたと、こういう御説明だが、かりに手数料に切り詰める余地がなかったならば、それでは新しく手数料を上げてまでこの不良債権というものを始末されることはどうかと、こういう問題です。また言葉を逆にすれば、そういう、栗山委員指摘された通りに、不良債権があって結局とれなくなったと、裁判所でこれはやっておると、こういう国がそのアルコールを需要する特定の範囲の公衆に負担をさせてはいけないからそれをもし切り捨てると、切り捨てるということは財政法上いけないのかどうかということの問題である。財政法上そういうことを切り捨てた場合は、それはいけないと、こういうことになるのかと、それがいけないということになればそれは自然取り立てをしなければなりませんから、そうすれば、そもそも手数料が足りるか足りないかということは末の問題であって、足りなければ上げても取り立てなければならないと、こういう結論にならなければいけないだろうと思うのです。問題は。掘り下げていえば、そういう問題まで突き詰められる問題だろうと思いますから、もし、法務省を含めてお問いになるときに、今言ったような仮定のもとにおいて政府としてどういう答弁をされるか……。
  16. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は、かつて決算委員会に席をおきました当時にこれと類似の事件をずいぶん扱ったのですよ。で、そのときの例証をあげますと、大橋法務総裁がかつて関係した二重煙突事件ですね。私はあれの究明に努力したが、事件が明らかになったときは、不当な損害を国に与えたのですね。しかし、その会社はつぶれてしまって取り立てできない、従って、あれは一億に近い金であったと思います。終戦直後の一億ですから現在の貨幣価値からいえば巨額な金ですが、これはおそらく、国の損金として整理をせられた、その金を取り立てるために国の他の支出をそのつぶれかけた会社に与えて、会社を更生させて返済をさせておる。そういうことはないのですよ。だから私は、非常に理論的にいえば、ちょっと大げさですけれども、そういう意味での疑問を持っておるのです。今の解決やり方については。
  17. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それですから、これは何も通産省の方の問題じゃないのだ、だから、栗山委員もさっき言われた通り、この法案の直接の関係じゃないのだけれども、そういう問題について疑点があるからというので、法務省がいいのか、大蔵省がいいのかしりませんけれども、もし適当な機会にそういう問題についてはっきりした政府の見解があれば、またこの委員会で述べていただいたらいいかと、こう思います。
  18. 海野三朗

    海野三朗君 それには、ちょっと最後にもう一つ伺いたいのは、局長の答弁がはっきりしないのですよ。そういうふうな不始末をしでかしたということに対して通産省がいかなる責任をとったか。私はそれを聞きたいのですけれども、その御答弁がないようでありますが、そういうふうなことが起きないようにおやりになるのが通産省の立場じゃないか。それが、借金ができたから、それを埋め合せるような手続をしたという、それだけでは私は済まないと思うのです。私はその点を追及して伺っておるのでありますが、御答弁がはっきりしないのであります。局長、それはいかがなものですか。それに対してその担当局長はいかなる責めを負ったか。それはやりくり回せば一般大衆の犠牲において、アルコールを飲む人の犠牲におきまして償わせるということ、そういうことが大体根本間違っておる、その考えが。私はそう思うんですが、当局はどういうふうにお考えになっておるか、その責任をどうして片づけられるべきであったか、それをお伺いしたい。
  19. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは数年前のことでございますので、実は私ただいまその点について明確にお答えいたしかねるのであります。さらに当時の関係を調べまして別の機会にお答え申し上げたいと思います。
  20. 海野三朗

    海野三朗君 これに類似したことが国鉄の内部にもあるのです。もう実に何といいましょうか、責任を他に転嫁しててんとして顧みざる態度を私は国鉄なんぞにおいても見ているのです。私はそういうことじゃいけない。政府のお役人が仕事をしておる上においては、そういうことでは監督がいけないのであって、それに対しては十分責任をとってもらわなきゃならない。それをはっきりすることである。つまり大義名分を明らかにして国民にそれを示さなければならない、私はそういうふうに考えるものなんです。で、当時の局長、そのときのあるいは課長、そういう人たちがいかなる責任をとったか、またそれによって知らないでおる間にぽかんとほかに栄転して行っておるかどうか、そういうことを私はこの次においてよくお調べを願って伺いたいと存じます。
  21. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 大体この法案についての御質疑はきょうこの程度でよろしゅうございましょうか。
  22. 小松正雄

    ○小松正雄君 二、三ちょっとお伺いしたいと思いますが、通産省として今の御説明から判断いたしますと、三億という多額な金が販売会社から、まあ販売会社の不良というか何というか、悪い人たちの手によって三億という多額の金を、アルコール代を踏みにじられた、こういうことなんですね、そうするとその価格というものは一応この表から見ますと、現在では八万三千、こういうふうなことになっておるというようなことですが、これから合せますとほとんど六、七カ月というか、ぐらいまるで製品にしたものの金を政府販売会社手数料を取ったあとの差金を受け入れてなかった、こういうことに考えますが、そうじゃありませんか。三億円に対する値とする、量からいった場合ですね、製造量からいった場合、六、七カ月分を一応販売会社が収入する金を引いた残りを国に納めていないというように私は考えますが、それについて監督官庁として長い六カ月も七カ月もの間報告もさせぬ、内容もわからなかったということは報告を見なかったといいますか、それを一つ説明願いたい。
  23. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 大体年間の売り上げが約三十億でございますから、その年度について申し上げますと、確かに御指摘通り徴収すべきものが納入されていなかったということは事実でございます。ただ、先ほど申し上げましたように延滞利息を若干和解によりまして年五分ということにいたしましたが、これを年賦で弁済させるということにいたしておるわけでございますので、当該年度について申し上げますと確かに御指摘通りでございますが、この和解契約によって毎年終局においては回収される、こう考えております。
  24. 小松正雄

    ○小松正雄君 それは今日の段階でいえば三億円に対するまあ一億円ばかり入っておる、二億円ばかり残っているということですが、それについて延滞利子その他によって徴収するという考えに対してお尋ねしているのでなくて、監督官庁としての通産省として、その通産省のだれがこのアルコール専売に関して監督するのかということですよ、先にお伺いしたいのは。
  25. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 現在は軽工業局長、私がその責任者になっております。
  26. 小松正雄

    ○小松正雄君 その当時のしからば局長とは一蓮托生、こういう不良を招いたという意味において責任をとったかどうか、お伺いします。
  27. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) その点は先ほどもちょっと申し上げましたように、当時をよく調べまして、その後決算委員会におきましてもこれは相当厳重に御指摘を受けました問題でございますので、その経緯等を取り調べまして、次の機会にお答え申し上げたいと思います。
  28. 小松正雄

    ○小松正雄君 ただいま二億残っておるということでありますが、これはもらはっきり取り立て可能なりということでありますかどうか。
  29. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 現在の経理状況から見まして十分取り立て可能であると、かように考えております。
  30. 小松正雄

    ○小松正雄君 これに値するアルコール販売先はどこですか。
  31. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 現在で大体年間、年によって多少の変動はございますが、二万五千キロリッターないし二万七千キロリッターというというのが全体の売り上げの総額でございまして……。
  32. 小松正雄

    ○小松正雄君 それを尋ねておるんじゃないんです。私は今残っておる二億円の取り立て可能なりという相手方はどういうところかということを聞いておる。食糧会社のだれだれか。
  33. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは直接には両販売会社でございます。
  34. 小松正雄

    ○小松正雄君 販売会社、あなたの方でこの販売会社滞納しているということでもって調べた場合に、販売会社がこの会社に二億今残っている貸付先を調べられておると思いますから、その二億円に値する、要するに貸し付けてある二億円取り立て可能なりとする相手方がどういうところかというんです、それを。
  35. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほどちょっと申し上げたかと思いますが、いわゆる販売会社アルコール売掛金から発生いたしました不良債権比較的少額でございまして、両社合せまして約四千万円であったわけでございます。その他の二億数千万円はいわゆる浮き貸しと申しますか、全然アルコール販売と直接関連のない相手方に対しまして浮き貸しその他の形によって貸し付けをしておったわけであります。従いましてこれらの業者を通じましてもちろん回収せられました額は逐次納付されておるわけでございますが、全体といたしましてはほとんで弁済力のない相手方が大半であると、こういう状態でございます。
  36. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、この二億円というものは、はっきり取り立てできるというわけにはいかぬのじゃないですか。
  37. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほどちょっと申し上げましたように、販売会社手数料自体の引き上げはやっておらないわけでありますが、今申しましたような不良な債権を持っておりまして、従って政府に対する納付金の納入関係等から銀行から相当借り入れをいたしましてそれで納付をしておるわけであります。従ってその当時におきましては販売会社金利負担が非常に多かったわけでございます。それでこれを年賦弁済にいたしました関係で、大体年間にいたしまして三千七、八百万円の金利負担が軽減された、従ってその部分が余裕ができた関係と、それから整理意味におきまして人件費を極力切り詰めまして、これによりまして昭和二十七年と二十九年を比較いたしますと、両社の一般管理費、人件費等におきまして千二百七十五万円程度の節減ができておる、これらが弁済のもとになっておる、こういう関係でございます。
  38. 小松正雄

    ○小松正雄君 起ったことについては現局長としては跡さらいをしておるということでありますが、この局長にかわられてからこれら販売会社に対する納付金等は確実に納まっておるかどうかということと——むろん納まっておるだろうと思いますがね——月々販売会社の方から報告してきておるものか、あるいは局長の代理として販売会社帳簿を調べるというか、経理内容の中に入ってこちらから出ていってそういうものを調べておるのか、その点を一つ伺っておきたい。
  39. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは毎年三月末に年賦で弁済することになっておりまして、さらにその後において清算の結果余裕のありました場合にはこれを合せて納付させる、こういうやり方になっております。それで両社年賦弁済額は合計いたしまして五千六百万円ずつ毎年弁済すると、こういう契約になっておりますが、昨年の和解いたしました以後におきまして裁判上の和解による弁済額以上に千四百六十八万円、これは先ほどの御指摘不良債権回収の分、それから会社経理上の余裕があった額というわけでございますが、年賦弁済による契約額よりも千四百万円ばかり余分に入っております。また監督につきましては、常時これは経理状況等を調べまして、また売掛等につきましても担保を徴収する等の処置をとらせておりますので、今後の回収につきましては不安がないものと考えております。
  40. 栗山良夫

    栗山良夫君 私、きょう、ちょっと委員長のところに申し込んでおきましたが、ただいま予算の審議中でありますので、産業行政に非常に関係のある開銀融資のことについて、きょうこのアルコールの問題の一応質疑が終りましたらばいたしたいと思っております。
  41. 海野三朗

    海野三朗君 私もちょっと局長にお伺いしますが、あなたは和解々々という言葉をお使いになるけれども、和解というのは両方がけんかをして両方に理屈がある場合に和解という言葉を使うのじゃないのですか、両方に理屈がある場合。和解というのは、ちょっと私おかしいように思うのですが、どういうものなのですか。つまり取り締りにあった方面にも相当な強い理由があるんですか。和解という言葉をお使いになったようですが、私はどうもおかしいように思うんですが、どういうものですかな。
  42. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 政府といたしましてはもちろん滞納金の元金、利子全額について請求をしておることは当然のことでございます。ただこれをあくまで訴訟によって請求するかわりに、これは一般の民事訴訟の場合に共通のことでございますが、裁判上の和解と申しますか、両者が話し合いましてこれが確定いたしますと、その効果におきましては確定判決と同一の効果を持つ、こういうことになっております。従いまして国の債権でございますので、これを免除するとか軽減をするとかいうことは原則として許されておらないわけでありまして、ただ法務省を代理人として裁判上の和解をやりましたときには、これは判決と同一の効力を持っております。またその過程におきましては裁判上の判決を受けるのと同一の主張をいたすわけであります。ただ比較的短時日に相手方の返済力の可能な限度において簡潔に処理をつけるという趣旨でございまして、決して本来請求し得るものを免除するとか軽減するとかいう趣旨ではないわけでありまして、裁判上の一つ手続の問題かと考えております。
  43. 海野三朗

    海野三朗君 それで不始末を出した方面の主張するところはどういう主張でありましたか、それをちょっとお伺いいたしたい。当然これだけの借金ができるんだ、穴があくんだという先方の申し入れでそれが筋が通っておるのでありましたかどうか。
  44. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは非常に年月を長くいたしますると形式的には元利を回収するということも可能であったかと思います。しかし経済的に考えますと、なるべく短期間に整理をした方が財政上も有利であるというような関係等を考慮いたしまして、相手方の返済力等を法務省において十分調査していただきまして、可能な限度において最も簡便な方法でしかも判決と同一の効力ある結論を出したい、こういうふうに御了解を願ったらどうかと思います。
  45. 海野三朗

    海野三朗君 私、お伺いいたしたいのは、和解というような言葉がいけないんじゃないかと思うんですけれども、どうもそこがあなた方……たとえば借家を追い立てを食う、追い立てをやる、これが家庭裁判所に持ち込まれる、そうすると、うちを借りておる方の人はそこに居住権を持っていたわけです。だからしてその層住権を主張するのでありましょう。一方では家を貸しておったからしてお前が去っていけというのであって、そうして初めてそこに和解が成り立つというのは受け取れるのでありますけれども、このアルコールの不始末を出したことに対して和解という言葉をお使いになるのは私は妥当でないように思うんですけれども、もしそうでないとすれば、その穴をあけた方の立場としては何か筋が通った言い分があるのでございますか。筋の通ることがなければ和解もへったくれもないのであって、和解というのはちょっとおかしい。あなたの方に暗いところがあって、そういうふうになってきたように印象を与えがちなんです。和解というのは、こっちも悪かった、あっちの言うことも道理があるんだ、そこを和解したんだというように感じられるんですが、そういうことはないんですか。
  46. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) そういう点は毛頭ないのでございまして、刑事上の責任追及につきましては、これは先ほど申し上げましたように徹底的に追及いたすということは当然でございます。民事上の関係につきましては、これは一般論になってはなはだ恐縮でございますけれども、通常の訴訟等におきましてもなるべく和解等によって煩瑣な手続を避けて、結論は大体それと同じ結論を出すというのが一般のやり方のように承知しておるわけであります。訴訟いたしますと、いろいろ手続的にも、また時間、費用等もかかるわけであります。ただ裁判上の和解の場合には、一般の通常和解と異なりまして、その効力においては判決と同一の効力を持つ。裁判所が関与し、また政府側利益代表としては法務省の訟務局という、こういうことを専門にやっておる局がございまして、これを代理人として十分政府側の主張はしていただきまして、ただ手続は簡素にして結論を早く出すと、こういう行き方でございまして、決して不当にゆるやかな措置をとるとかというような考えは持っておらないつもりでございます。
  47. 海野三朗

    海野三朗君 それではただいまのことはもうほかに追及いたしませんが、さきの、いかなる責任をおとりになったかは次回においてはっきり一つ軽工業局長からお伺いをすることにいたしまして、きょうは私はこれで……。
  48. 小松正雄

    ○小松正雄君 この販売価格原料価格等の関係におきまして見ますと、先にも局長から説明がありましたが、民間の方で作る価格と比べて官営で作る価格というのが約一万円安いというようなことなのですね。たとえば八万四千円と七万五千円というのは約一万円安いということですが、これは民営について生産者が多いからこんなに高くなるというようなことに私考えまするが、どうでございましょうか。
  49. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほどおもな原価要素について申し上げましたが、具体的に申し上げますと、たとえばイモを買います場合にも、大体民間工場官営工場との買付値段を比較いたしますと、一貫目当り三円程度官営工場の方が安く購入いたしております。この理由としては、現金で購入いたしますとか、買付地を調整いたしますとか、あるいは中間に仲買入を入れてないとか、こういうふうな関係が主たる理由かと思いますが、結果的にそういうふうに原料費の点においても安い、それから労務費が、これは賃金ベースが異なりますので、安いからどうということも申し上げかねますけれども、現実に安くなっておる、その辺が主たる理由ではないかと考えております。
  50. 小松正雄

    ○小松正雄君 そうしますと、資金関係によって単価が左右されるというようなことになるわけですね、結論からいえば。資金関係と申しますと、現金で買う官営の方と、民間の方は掛で購入する、そういう意味で利子がつくとか等で高くなる、かように私は考えますですがね。そういたしますと、この民間に委託……と言うとおかしいのでございますが、民間で経営をやっておる、ただ単に原料購入が現金でないために一キロに対して二万円も違うというようなことは、どうも私は経営方針が成り立っていないのじゃないか。そこで通産省としても直接、官営ではこういうふうにして一万円も安くできておるこの内容等について、指導といいますか、するようなお考えはございませんか。
  51. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ちょっと先ほど申し上げましたのですが、民間工場の方は、私ども委託しております工場は、同時に酒用もろみ添加用アルコールを生産しておるわけです。この方はちょっと先ほど申し上げましたが、一キロリットル当り十五万六千円で販売できるというふうにこれは国税庁の方で定められておるわけであります。従って民間工場の方では、同じ工場におきまして両方の仕事をやっておりますので、多少割高に買っても、両者を通じて考えれば採算がとれるというような関係もあるのであります。また買い上げ値段を査定いたします際には、非常に厳重に個々の費目について査定をいたしまして、そういう面から間接にそのコストの安いことを推進しておるわけであります。工場自体といたしましても、これはもちろん経営上の問題でありますから、極力安く買い付けるべく努力はしておられると思いますが、この数字は一応全部の平均をそのまま、ありのままお出しをしたわけでありまして、現状においてはこういう姿になっておるということを御説明したわけでございます。
  52. 小松正雄

    ○小松正雄君 まず、局長に伺っておきたいことは、民間で製品を作らせることの方がいいと思うか、官営で全体的にやるがいいと考えておるか、その点伺っておきたい。
  53. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 特別会計だけの立場から申し上げますと、これは民間工場の委託生殖をやめまして集中生産をやりますれば、それだけさらに官営工場原価は下げ得ると考えますが、ただこれには民間工場自体、戦争中ガソリン代用の燃料といたしましてのアルコール製造という目的で建設されたものが多いわけでございまして、一挙にこれを委託生産を切りかえますことは非常に大きな影響を与えるという関係もございます。しかし私どもといたしましては、アルコール専売の目的から申しまして、何としても安い工業原料を供給するというのが主たる目的でございますので、毎年逐次少しずつ委託生産の分を減少いたしております。その方法といたしましては、酒の方が、幸いと申しますか、毎年若干ずつ増石がございますので、それの数量等もにらみ合せまして、民間工場にも急激に大きな打撃を与えない形において、でき縛る限り集中生産をやり得るように持って参りたいと、こういうふうな考えで進んでおるわけでございます。
  54. 小松正雄

    ○小松正雄君 ただいま伺っておりますと、私の考えておるように、民間よりも官営の方がいいということを局長も仰せになりましたが、過ぐる十六か十七国会であったかと思いますけれども、ぼんやり記憶しておりますが、このアルコール官営工場というのはたしか十一カ所あったのを二カ所だけ、昨年か一昨年かしりませんが、とにかくこの委員会にかかりまして、その二カ所を民営に移すというようなことであったと思いますが、その民営に移されるということは、現在ここで現われてきておる民間と官営というものは、官営の方が安くあがってきたという実例から申しましても、一昨年か昨年であったか、そういうことで二工場を民間に法律でもって移管した、こういうことがあるのでありますが、今後逆に民間から官営に引き上げるというような方針に向ってやっていくように局長としては努力していただきたいということと同時に、さっき申し上げましたように、二工場が民間に移ったことについて、民間ではやはりそれをそのまま継続してやっておるかどうか、その二点だけを伺いたいと思います。
  55. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 御指摘のように、昭和二十六年に北海道の二工場の払い下げを行いました。翌二十七年に、九州の二工場の払い下げを行なっております。北海道の工場は、もともとバレイショを原料にするということで、やはり戦争中に作った工場でございますが、それはサツマイモよりさらに割高に原料費がかさみまして、とうてい維持し得ないという関係政府側にございましたのと、払い下げを受けました相手方としては、酒用アルコール国税庁の認可を受けて作るということを期待して払い下げを受けたようでございます。しかし、その結果としては、その方の手続が円滑にいかなったようでございまして、一工場は現在休止中であります。いま一つの一工場は、段ボールの工場に転換をいたしまして仕事をやっております。それから、二十七年に九州の二工場を払い下げたわけでありますが、その際には、そういう前例もございましたので、払い下げを受ける相手方におきまして、ある程度原料の供給を約束してくれなければ、契約が成立しないというような関係になりましたので、そういう契約をいたしまして払い下げをしたわけでございます。これは相手方が非常に有力な会社でありまして、酒用アルコールを主として作っておりますので、それと兼業いたすことによりまして現在も操業いたしております。現状におきましては、工業用アルコールに関する限りは、払い下げを受けて企業として成り立つという妙味がほとんど消滅しておるのじゃないかと考えますので、現在のところは、民間工場アルコールを作らせるという意味においての払い下げは考えておらないわけであります。けさも衆議院におきまして、大臣から、現在払い下げは考えておらないという答弁をされておるわけであります。逆に、民間工場を官営に移すという問題につきましては、これはやはりアルコール専売の目的とする安い工業原料を供給するのにいずれがいいかという点を主眼として考えて参りたい。従いまして、民間工場と申しましても、たとえば、パルプの廃液を利用いたしまして工業用アルコールを作るというような設備につきましては、現在も北海道に二工場がございますし、今年度さらに中国の方で一工場が操業の運びになるだろう、こう考えております。従いまして、そういう安い工業原料を供給するという考えを基本にいたしまして、その方針のもとにいずれがいいかということを判断してやって参りたいと思っておりますが、官営工場そのものを民間に払い下げて、そこで委託生産という考えは現在持っておらないわけであります。
  56. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  57. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それではアルコール専売法の一部を改正する法律案に関する質疑は、ほかに御発言がございませんければ、今日はこの程度にいたしておきまして、次に移りたいと思います。     —————————————
  58. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは特定の物資の輸入に関する臨時措置に関する法律案につきまして、この間通産大臣から法案提出の概略趣旨だけを承わったのですけれども、この実施、ここに安定帯価格とかいろいろあるようですから、この実施のもう少し具体的な細目について、もし政府の方から御説明があればこの際御説明を願いたいと思います。
  59. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 御説明申し上げます。前にお聞きいただいたと思いますが、この法律の目的に二つございまして、一つは砂糖の価格の安定、もう一つは差益の徴収ということでございますが、その価格の安定につきましての具体的な運用方法について現在考えておりますことを申し上げたいと思います。  第一に、価格安定の方策といたしまして、価格をどの辺の値ごろに安定させるかということをまず第一段にきめようと考えておるわけであります。安定価格帯、こう申しておりますが、安定価格帯を設定いたしまして、その価格と照応いたしまして、砂糖の価格を安定していくようにということを期待いたしておるわけでございます。従いまして、まず安定価格帯の設定をしなければならないことになりますが、どう砂糖について安定価格帯を設定しますかと言いますと、私どもといたしましては御承知通り、砂糖の銘柄はたくさんあるわけでございますが、大体市場の融通量の大多数を占めるおもな品種につきましてこれを定めることによって、その他の砂糖全体の価格水準をこれによって左右することができるのではないかというふうに考えております。  次に、この価格のきめ方及びこれの時期、適用期間の問題でございますが、きめ方といたしましては、まず基本的なものといたしましては砂糖の供給見込み数量及び購買力に基いて算出する価格というものを一つの基準として考えておるわけでございます。これをもう少し具体的に申し上げますと、過去におきます統計数字を検討いたしますと、砂糖の価格の変動の仕方は砂糖の供給数量の変動の仕方並びに購買力の変動の仕方によりまして非常に大きく影響を受けているということが見られるわけであります。もちろん価格帯をきめます要素といたしましては需給関係あるいは国民購買力というもののほかにたくさんの経済的な要素があるということは当然でありますけれども、特に関係の深い指標を取り出して参りますと、今申し上げたような供給力の変化、あるいは国民購買力の変化というものが非常に砂糖の価格の変動に関係しているということが明らかになってきておるわけでございます。そういう観点からいたしまして、過去の統計数字整理いたしまして、これは統計学の方でいろいろその整理の仕方につきましてはすでに公式とも申すべきものがあるわけでございますが、その公式を援用いたして参りますと砂糖の価格の推定値というものが出せるわけでございます。いわゆる三元相関によります回帰方程式と呼ばれておりますが、その方程式を用いて出そうということを考えております。すでに似たような推定値の出し方につきましては、生糸の価格の出し方に似たような例がございまして、ただ生糸の場合におきましては価格そのものの関係、生糸の価格とそれから国内繊維の価格と、それからアメリカにおきます繊維との価格価格そのものの間の相関関係を調べまして推定値を出しておるわけでございますが、砂糖の方は私どもの現在考えております砂糖のきめ方におきましては、価格そのものの比較ということではありませんで、砂糖の価格の変動の仕方が砂糖の供給量の変動の仕方とどういう相関関係をもって現われてくるか、あるいは購買力の変化と砂糖の変化はどういう関係をもって現われてくるかということを数式化いたしまして算出しようというふうに考えておるわけでございます。もちろん先ほど申し上げました通り、かようにして一応統計上公式的なものがございますけれども、砂糖の価格が供給量と購買力だけによって影響されておるものでありませんことは御存じの通りでありますので、当然これには若干の実際に当てはめる場合におきましての誤差が出てくるわけでございます。従いまして算式から出ました価格を、単に安定帯価格の基準としてそのものを取り上げますことにつきましては若干の難点があるわけでございますので、経済の実態に合せて価格をきめますという意味合いにおきまして、ただいま申し上げた一定の算式から導き出されます価格のほかに、砂糖の原価と申しますべきものを一つの参酌要素として考え、さらに砂糖の価格と、国内におきまして生産される澱粉、あるいはテンサイというものに非常な密接な関係がありまして、砂糖の価格いかんによってこれらの価格は非常な影響を受けるわけでございます。できるだけ国内の自給度を高めて行くという政策があらゆる面にとられているわけでございますが、澱粉並びにテンサイ糖につきましても、できるだけそれを増産いたしまして、輸入をできるだけ少い数量にとどめるということのためには、砂糖の価格の安定によって、これらの国内産の農産物の価格が非常な圧迫を受けるということではなりませんので、これも一つ価格をきめます際の参酌要素にして考えたい。  それからただいま申し上げました点は、むしろ下限に関係することでございますが、次の上限に関係する問題といたしまして、家計費を参酌要素に加えて参りたいということでございます。家計支出のうちにおきまして、砂糖の購入量の占める比率というものは過去の調査によってわかっていることと思いますが、やはり国民の生活を安定きせるという意味合いにおきまして、家計費のうちから砂糖の購入にさく部分が非常に大きくなって行くということもいけませんので、家計費の中において占める砂糖の購入部分の割合というものも、やはりある程度の限度に押えて参らなくちゃならないということも考慮に入れなくちゃならないと思っておるわけでございます。これらの要素を総合勘案いたしまして、安定帯の価格の位置と申しますか、中心値と申しますかが算出されるわけでございます。  次に安定帯というものは一定の幅を持たせているわけでございますので、これの幅を求めなければならないわけでございます。幅につきましてはこの法律のねらっておりますところが、非常な統制力を強化することによって、いわば強制的に価格の水準を一定の水準に押し下げる、あるいは押し上げるということではありませんで、市場の実勢に沿いながら、ただ需給状況の変動等によります非常な大きな変動というものを防ごうということを眼目といたしておりますので、幅につきましても過去の砂糖の価格変動の実績を考えまして、大体正常なと考えられる変動率をとって参りまして、これをもって安定価格帯の幅といたしたいというふうに考えているわけでございます。  かようにして価格をきめますが、大体私どもといたしましては、年二期にこの価格をきめたいというふうに考えているわけでございます。もちろん価格の適用期間、あるいはきめる時期につきましては、業界の企業を安定させるという意味合いにおきましては、できるだけ一度きめた価格の適用期間の長いことが望ましいわけでありますけれども、従来砂糖の価格の変動率というものは、放任されて参りましたために従来は非常に激しく動いておるわけでございます。これをこの法律によりまして安定させたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、やはりそれには漸を迫うていかなければならないというふうに考えておりますために、ある程度小刻みに安定帯の価格の設定をやっていかなければならないのではないかということを考えまして、ただいまのところ年二期にこの価格を定めるということを考えておるわけでございます。  次に、この価格を維持するための方策といたしましては、安定帯の価格の上限あるいは下限を越えてそれよりも大きな価格の変動をいたした場合、あるいはいたすおそれがあるというふうに考えられました場合には砂糖の精製業者に対して、あるいはまた砂糖の販売業者、輸入業者等に対して販売価格についての勧告をして、安定帯価格の中で販売をするように勧告をしてこの安定帯を維持していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。なお精製業者に対しましては必要に応じましては販売価格の面だけではなくて、さらに一歩進めまして時期別の販売数量、あるいは精製数壁という点につきましても勧告する余地を残しておきたい、というふうに考えておるわけでございます。  大略安定帯の設定の仕方、それから維持の仕方につきまして御説明を申し上げました。
  60. 河野謙三

    河野謙三君 資料要求……。過去のこの統制時代に調査ができておると思いますが、かりにこの需要量が百万トンとすれば、その百万トンのうち、いわゆる統制時代に使いました言葉で言うならば、業務用と家庭用との区別があると思うのです。この需要量の中の業務用、家庭用というようなものの統計資料がございましたらいただきたいと、かように思いますが、われわれわがねらうところは業務用じゃなくて、むしろ数は少くても家庭用の価格をいかに安定させるかということにこの法律の重点があると思うので、この数字を特に私は要求するわけですが、それともう一つは、これはこの統制中にはそういう数字があったかどうか、むしろそれ以前の自由経済時代と思いますが、品穂別の統計でございますか、白とか黒砂糖とか、または何といいますか、そのあいの子のやつ、そういうものがございましたらそういうものも一つ。ただ一口百万トンといいましてもほんとうに国民要求しておるものは種々雑多だと思うのです。今のように自由だったならばほとんど製糖会社が勝手に、会社が一番もうかる白いやつばかり作って、ほんとうに要求するところの黒砂糖とか、中ざらというものを特に農村あたりでは非常に要求しておるのです。ところが製糖会社がもうけ本位で、ほしいものが来ないでもうけるやつばかり持ってくるわけなんです。そういう点について私は特に過去の自由経済時代がいいと思いますが、砂糖の品種別の内訳等の統計がございましたらこれをいただきたいと思いますが、できますか。
  61. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) できます。
  62. 河野謙三

    河野謙三君 ちょっと、私は質問していいですか。
  63. 吉野信次

    委員長吉野信次君) どうぞ。
  64. 河野謙三

    河野謙三君 ちょっと簡単に……。安定帯価格……。この間も通産大臣は七十四円から七十八円までとかいうようなことをおっしゃいましたが、これは現状の経済事情等を勘案しての輸入価格ですか。それは多分そうだと思いますが、それと、もう一つ安定帯価格というのは、この取引過程における、たとえば製糖会社が卸屋さんに売る価格政府で押えていくのか、それとも末端の消費者の価格を抑えていくのか、将来どこを抑えて運用されていくのか、これを一つ伺いたいと思います。
  65. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 第一段におっしゃいました安定帯の価格の、何といいますか問題でございますが、大体最近の実勢と大体照応いたして作って参りたいというふうに考えております。ですから今おっしゃいました通り御了解いただいてけっこうだと存じます。  それからどこの価格を安定させることをねらっているかという御質問でございますが、一応私どもといたしましては流通過程の問題、全段階におきます価格安定をねらっている、こう申し上げられると思いますが、一応安定価格帯そのものはどこの建値で作るかということを申し上げますと、これは製糖業者販売する場合の建値をとらえまして、それにつきましての安定価格帯というものを設定して参りたい、こう考えております。
  66. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、七十四円ないし七十八円というのは製糖会社販売価格の標準価格が七十四円ないし七十八円、こういうことになるわけですか。
  67. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) お話しの通り安定帯の価格、安定帯は工場の出し値できめるわけでございます。七十四円ないし七十八円というのを通産大臣がおっしゃいましたのは、おそらくこれは安定帯価格の上限及び下限が七十四円ないし七十八円というおっしゃり方ではおそらくないだろうと思います。安定帯のまず第一番にできます中値と申しますか、それをおそらく大体七十四円から七十八円の間にきまって来るだろうと、こういう意味合いでおっしゃったかと思います。
  68. 河野謙三

    河野謙三君 だからその七十四円ないし七十八円というのは製糖会社販売価格の標準ですか。
  69. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) そういうふうに御理解願ってけっこうです。
  70. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、従来の流通過程の口銭をそれに加えますと、今の標準価格から通常の口銭を加えますと消費者価格は幾らになりますか。
  71. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) これは概算でございますが、大体その間流通マージンまで十円ぐらい加わるものというふうに考えております。
  72. 河野謙三

    河野謙三君 それは卸、小売、一さい入れて十円ということですか。
  73. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) その通りでございます。
  74. 河野謙三

    河野謙三君 その十円というのは、その価格に対する口銭の十円というものは過去の自由経済時代の口銭と比較してどうなっておりますか。
  75. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 私どもといたしましては従来が大体十円以内、まあまあ十円以内程度を入れておりますが、さようなことが続いていくものだと考えております。
  76. 河野謙三

    河野謙三君 いろいろお尋ねしたいことがありますけれども、これをだんだん入れて来ると際限なくらっきょうの皮をむくようになりますから(笑声)この辺で次回に譲りましょう。
  77. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかにもあるでしょうが、それではこの問題はきょう説明を聞いた程度にしておきまして、ちょうど栗山委員からの関係の……。
  78. 小松正雄

    ○小松正雄君 資料のことでございますが、本日ここに出されております資料の中で、私特に資料要求をしておきたいと思うのは、御承知のように政府が今回石炭鉱業に関する助成法案というものが出ておりますので、これに関連して竪坑掘さくに対して、竪坑を掘さくしておる業者に対してどのくらいな金を今日の段階では出しておるかということと、その出しておる金額をここにたとえば三井、三菱とか、こういった業者別にその金額を表してもらいたいということが一つと。  それから、なお、これにつれて逆に政府の方がそれを元利償還というか、とにかくそれを年々どのくらい払い戻しをさせておるか、それをやっぱり総金額とその内訳は、やっぱり各業者のその資料一つ早急に出してもらいたい。
  79. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) けっこうです。
  80. 小松正雄

    ○小松正雄君 それを資料として出していただきたい、この次の委員会までに……。
  81. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はこの際開発銀行の融資の問題について、大蔵省、それから経済審議庁、通産省の各事務局に対して、若干の質問をいたしたいと思います。  ただいま、ちょうど予算が参議院において審議中でありまして、遠からず成立をするだろうと思います。従って成立をすれば、すぐその成立した予算に基いて財政投融資のうち、開発銀行方面の分は実施に入られることと私は思います。従って耳下原局はもとよりでありますが、大蔵省においても、あるいは経済審議庁においても、本年度の開発銀行の融資の問題については、おそらく具体的な作業がずっと続けられておると思います。従って、私は、その内容について、二、三伺って、そして真に開発銀行を通じての財政投融資の金というものが、最も高度に、有効適切に利用されるように配慮を願いたい、こういう目的でおるわけであります。それで政府の予算書を見ますというと、昭和二十九年度財政投融資、開発銀行を通じての投融資は、六百三十五億でありました。ところが、三十年度の予算においては五百九十五億になっております。その内訳は、私がここで申し上げるまでもなく、よく御承知のことと思いますので、経済審議庁としては、中では相当極端に圧縮された部面もありますが、そういうものを含めて、どういう方針で三十年度の開発銀行を通じての投融資というものをやろうとしておられるのであるか、これをまず最初に伺いたい。これは各産業部門別でもありまして、それから部門を通じて、個々の企業に対してどういう方針でいるか、それを伺いたいと思います。
  82. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 開発銀行の投融資を、年々どういうふうに選ぶかということは御承知のように、開発銀行の融資につきましては、資金ワクをきめます際に、まず業種をきめるわけであります。業種をきめます際に、業種と資金ワクをあわせてきめるもの、それから業種だけをあげる部門とございます。それからいま一つは、その他というような扱いにいたしております。もう少し具体的に申し上げますと、昨年の例で申し上げますと、電力と海運につきましては、電力幾ら、海運幾らというふうに分けて、最初から部門別の大ワクがきめられておるわけであります。そのほかに業種だけあげておりますもの、これは特掲産業というふうに俗に呼んでおるわけでございますが、それに昨年では自家発、それから石炭鉱業、鉄鋼、硫安、機械、合成繊維、その部門をいわゆる特掲産業というふうに呼んでおりますが、特掲産業の業種別の資金ワクというものをきめておりません。特掲産業全体が幾らである。この部門は、電気、船のように個別にきめないで、全体が幾らである、そういうきめ方をいたしております。それがまあ昨年の例でございますが、本年も、予算上、今御審議願っておりまする海運貸付金につきましては、同じような構想で、方式は同じ方式を実は踏襲をいたしておるわけであります。本年の例で申し上げますと、全体を五百九十五億と見ますと、そのらち電力が二百八十億であり、海運が百六十億といたしましたほか、特掲業種とその他を含めて百四十億、それに予備が十五億、こういうことできめておるわけです。このうちに具体的にどういうものを選ぶかということでございますが、その点になりますると業種業種によりまして、いろいろとニュアンスが出て参りまして、必ずしも画一に参らないわけでございますが、今年度で言いますればまだ計画もでき上っておりません。各省でも研究中であるわけでありますが、たとえば石炭でございましたら、石炭には縦坑開発の合理化を重点にし、それから石炭の需要開拓の部門、たとえば低品位炭の利用による火力発電、あるいは製塩事業とかいうような、石炭の有効需要を大きくする、そういう企業、それからその他の一般合理化工事、そういうことを頭に置きつつ具体的な各種の計画をとりまして、その中から選ぶ、そういうことになろうかと思うわけでございます。  それから鉄鋼について考えますれば、ことしの場合でございますれば、まだ前提が十分固まらないのでございますが、世界銀行に融資の申請政府でいたしておりまするいわゆる第二次合理化工事というもので、緊急に整備してしかるべきと考えておる工事があるわけでございます。それの世界銀行の融資承諾の成り行きも参考にする。その範囲に最重点を置いて考えていくというふうにいたしたいと考えております。  それから合成繊維につきましては、御承知のように最初は合成繊維の基、作るまでであったのでありますが、逐次合成の繊維普及発達のためには、紡績とかあるいは染色加工とかいうような点まで技術的にまだ企業的に充実させていかなければ、ほんとうに伸びないということで、従来もそういう工合にいわゆる加工部門まで対象に扱っておるわけでございます。漁網をそういたしまして、昨年からでございますが、これはことしも踏襲するようになっておりまするけれども、合成繊維と国民経済的には同様な価値を持ちまする、技術的に見ますれば合成繊維製品ともいうべきアセテートをも含めて、本年度はやりたいというふうに考えておるわけでございます。これは昨年は合成繊維の中にはアセテートは含めておりませんでしたので、その他の部門から出したわけでございますが、ことしはアセテートは合成繊維と同格に扱って処理をするというふうに考えたいと思っておるわけであります。  それから硫安につきましては、これは別途あるいは委員会等で御審議もあったかと思いますが、かねて硫安工業合理化五カ年計画というものがございまして、それを基礎的な資料に持ちつつその中から工事の段取り、資金ワクというものでみておるということに相なっておるわけであります。  機械部門は今いろいろな部門がございますわけでございますが、輸出機械、あるいは機械工業の基礎的な部品工業の整備とか、これは年によっていろいろ違って参りまして、たとえば機械設備の充実を急ぎましたときにはそういうようなものが出て参りますが、そういうものはすでに一段落ついておりますので、今後は輸出機械関係というようなものが大きく表面に浮び上ってくるかと思っておるわけであります。  それから、よその省の関係でございますが、海運につきましては御承知のように別途審議会がありまして、そこできめられております。まあ、本年度はまだ具体的にはきめられていないわけでございますが、まあ従来の運び方である、本年度も今申し上げましたような基準で具体的な内容をきめるようになろうかと思います。ただそういう工合にしてきめましたものを通産省は開銀に対しましてこういうものをこう、というふうに融資対象としてお考え願いたいというふうに推薦の形をとっておるわけでありますが、しかしながら御承知のごとく、開発銀行銀行法によりまして開銀が自主的にきめるといいますか、自主的な判断でもって具体的にどの工事、どの会社に幾ら出すかというようなことは自主的にきめるという独自の立場に立っておるわけであります。政府側が推薦……企業及びその工事の資金調達等を見まして、金も大体見当つけて、この会社にはこれくらいが適当と思うということで推薦をいたしますが、具体的な企業の資金繰りの状況等につきましては開銀の方はもちはもち屋でございまして、より精細な検討を加えて処理するということで、個別的な金額は政府側で推薦しましたものと、開発銀行が実行いたしますものとでは相当のズレが出て参るというのが実情であります。これは建前からもそうだと思うのですが、ただ選びました業種の部門は先ほど申し上げましたように予算書でもある程度ワクがきめられるということ、これが大きな制約になりますし、その部門における企業の選択につきましては政府側の希望等が事実問題といたしましては十分に尊重されて処理されておる、さようになっておる状態でございます。
  83. 栗山良夫

    栗山良夫君 それで昨年度は特掲産業について、今日ここにいただいておるのですが、大体達成見込額が百億ということになっておる、二十九年度の予算書では。今度は百四十億それにつけてありますが、大体石炭以下その他までの間これについて経済審議庁として大体予定をしておられる額はどんな程度でございますか、部門別……。
  84. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) ただいま通産省の企業局長から、本年度の各重要部門別についての重点的な考え方の内容を御説明いたしたわけであります。大体そういう考え方、ただいまのは通産省関係が主でございますが、そのほかに運輸省関係、農林省関係が入りまして、そういう重点的な考え方で実績といいますか、内容をさらに具体的に検討しなければならないと思いますが、各部門別の金額予定というものは実は関係各省からの要求といいますか、希望的な数字は一応われわれの方も承わっております。しかし、まだ関係各省と打ち合せるといいますか、数字を合せて、大体この部門にはこういうふうにくるという金額の算定の段階にはもうしばらく、まだ入っておりませんので、本月といいますか、予算の成立の時期と見合せてできるだけ早い機会にきめたい、こういう段階であります。ただ全体としましてただいま御指摘のように電力、海運以外の特掲産業といいますか、各部門に去年が大体百億程度であるのが今年度は再四十億というようにかなりふえた数字を予定しておるという意味は、各部門別の金額を厳重に算定したわけではありませんが、大体の傾向といたしまして去年に比べれば、たとえば石炭というような部門は本年度はかなり重点的に金額も大きくなるだろうという想定は一応立てておるような次第であります。
  85. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、百億という達成見込額に対して百四十億ですから四割増ですね。非常に大きな増加だと思うのです。従ってこれだけ増加をしなければならぬという経済審議庁の方の計画であった場合には、今の御答弁でなくてもう少し根拠のある私は説明があってしかるべきだと、こう考えるのですがね。
  86. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 特定部門は通産省でやっておりますので、私どもはこういう数字を出したのであります。大体見当だけを申し上げたいと思いますが、御承知のように昨年度において石炭鉱業は実は三十億足らずであります。出ていないわけであります。お手元にお配り申し上げております資料は、これは開銀の実際上取り運んでおります数字の実績から出ておるものでありますが、二十九年度と二十八年度と込みになったほんとうの事務操作上の実績といいますか、そういう数字になっておりますので、比較としては少し不適当かと思いますが、昨年、今、栗山先生からお話のございました特定部門が約百億であったというふうな数字のもとに石炭鉱業は三十億を予定しておった。ところが、石炭鉱業については政府側が本国会に合理化法案を出しまして強力に合理化の推進を運ぼうといたしております関係から、五、六十億はどうしても三十年度には見なければいかぬじゃないかというようなことを頭に置いておるわけであります。  それから鉄鋼部門につきましては、実は昨年度の分といたしましては実績では七、八億にとどまると思いますが、先ほどちょっと申し上げました世界銀行に推薦しておりまする工事というものが昨年度は世銀の関係がおくれましたので、着手しなかった。三十年度にはそれが着手する段階に入ろうということを考えますと、前年度並みには工合悪いので、それが前年度が八億ぐらいといたしますと、本年度はまあ二十億見当ぐらいは見ておかなければいかぬではなかろうか。大きく狂いましたといいますか、ふえましたところはそこから出て参っております。  ほかの部門は、ほぼ前年度ぐらいのワクというようなものが当然要るであろうというよらな推算から見まして、目下各部門について具体的な裏づけの作業を、実情と離れないということで勉強しているさなかであります。
  87. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから、もう一つ伺いますのは、二十九年度の予算では、六百三十五億が予定をせられていたのですね。それに対して実行見込額は五百九十五億円と踏んで、それと同額が三十年度計画になっておったのです。昨年六百三十五億組んだのが、五百九十五億の実行見込額にしか達しなかったという理由はどこにあるかということが一つ疑問になる。それから、ただいまあなたがおっしゃったのは、石炭とか鉄鋼については、政府の政策によって四十億程度のものは昨度よりはふえる、こういうものとすれば、昨年の実行見込み額の五百九十五億と同額の五百九十五億を予定せられたという理論的な根拠はどこにあるのか、これがよくわからないのです。
  88. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 昨年度の開銀の運用総額が、当初の予算額よりも減ったという主たる理由は、運用部資金に期待いしておりました開銀の原資が、運用部資金に集まります資金源が、当初の予想よりもだいぶ落ちて参りました、当初たしか二百六十億ぐらい予定をしておりましたものが、開銀に対して運用部から二百六十億程度予想いたしておりましたものが、十数億ぐらい減ってこざるを得なくなったのであります。これは原資の関係で、やむを得ず年度途中において節約といいますかを実行したというのが主たる原因であります。  なお、もう一つは、これはやはり開銀自身の回収見込みと申しますか、回収見込みも、当初かなり厳格に予定を立てるわけでありますが、それをも、当初の予定よりも若干まあ回収見込みが減らざるを得なかった、主としてその二つの理由から、年度途中において、ある程度の、一割ばかりの節約をいたしました、こういうことで落ちついて参ったわけであります。
  89. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからさらに、こまかく入る前に伺っておきたいのは、この特掲産業の融資、あるいは電力、海運の融資ですね。この融資の査定のやり方について、私の知っている点では、だいぶ変っているように思うのでですが、実際に自己調達資金の能力と、開発銀行融資との間の関係はそれぞれどういう工合になっておりますか。できれば具体的にパーセンテージか何かでおっしゃっていただきたいと思います。
  90. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 私手元資料を持っておりませんので、十分なお答えはできないわけであります。電力はある意味で特殊のやり方をいたしております。  これはあとで御説明申し上げますが、その他の分につきましては、開銀融資をいたします際の、自己調達及び融資につきましては、明確な割合についての基準は持っておらないわけであります。と申しますのは、中身の中に……大体の開銀融資の趣旨が、市中銀行の補完的金融という計画及び、私どもまあもう一つ促進的融資というふうに呼んでおりまするが、補完的と申します意味は、市中の金融状況から見まして、市中で全部金をつけてもらえないであろうという意味の補いを財政資金でするのだという意味でございます。典型的な例は、海運業とか、電力もそうでありますが、電力事業が採算に乗らない、不安定だから出さない、出さないといいますか、しかし資金量的に電力を市中で全部引き受けたら銀行の融資が電力部門に片寄り過ぎるというような点もございます。そこらの政府からの要請もありまして、まあ、そういうものを考えますれば、われわれも補完的と今言っているわけであります。促進的と申しますのは、いわば工事の国家的緊要性の証明といいますか、こういうものは国家資金をつけてまでぜひ推進してやりたい工事ですからというので開銀である程度見る、それをきっかけとして市中が協調してもらえるという、その極端な例で考えますれば、新規産業、合成繊維もそういう傾向があるわけでございます。新規産業等にそういう感じがよく御理解いただけるかと思うわけであります。一応いろいろな角度から見まして、企業的なベースに乗ると技術的にも想定される、しかし新しい産業でありますれば、金融機関も、一般的な安全性、あるいは消極性といいますか、というようなことから、なかなか取りつかないというふうなこともあるので、まあ、そういうことをねらいにして開銀資金で融資を行なっておる。企業ごとにおきますその間の信用力、調達力の差もございまするので、特掲産業の中におきましても、開銀資金によりますものと自己調達との割合は多少のニュアンスが違っておるわけであります。しかしながら大ざっぱに見まして、政府資金を出します際に、政府資金があまりに大きくなりまするから企業を甘やかすということになりますので、その辺は心得ておるつもりでございますが、最高半分以上になったものはほとんどないであろう、おおむね二、三割、総工事のらち国家資金によりますものは二、三割、そのうちまた一割くらいを見るということもございます。まあ、そこらの感じで操作をしているということでございます。
  91. 栗山良夫

    栗山良夫君 海運の場合は、電力もそうですが、特に海運などは、けさの新聞にも若干出ております。協調融資を折衝中だというようなことが出ておりましたが、先ほどあなたの話によるというと、政府は若干の金額をつけて開発銀行に推薦はするけれども、開発銀行は自主性をもってやる、従って実際の融資実績というものは政府の推薦した額よりも少くしている。こういうお話でしたが、開発銀行というものは、これは国の代行機関のようにも思えるし、国の政策にやはり協力していく機関だろうと思います。自主性というものに限度がなければならぬと思いますが、特に造船だとか、電力とか、造船の場合に計画造船、はっきりした国の方針というものが決定されている。電力の場合、電源開発促進法によって審議会の議を経たものがきまっている。そういうようにほとんど開発銀行が自主性を発揮し得る余地のないものがあるわけです。そういうようなものまで含めても、先ほどのあなたのお話の中に入っておると考えてよろしゅうございますか。
  92. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 私、申し上げましたのは法律上の建前から見ますと、さように相なっておるわけであります。しかしながら今御指摘のごとく、電力とか海運とかは予算の編成上も、海運はこれだけでせよ、電力はこれだけでせよというように、その辺もほかの特定部門より徹底的な政府の意思表示がなされたということもございますし、今お話がございましたように、海運の造船計画というものは相当政府側の、いわば国策的にきめられるという形でございますから、そういうものには政府側の希望をほとんど百パーセント尊重して開銀でもきめられております。それからほかの部門につきましても、先ほど申し上げましたように、業種の内訳に該当いたします企業につきましても、事実上は推薦しました企業でたまに落第するものもございますけれども、過去何年間のうちきわめて少い、一、二のみでございまして、推薦しなかった企業が開銀において取り上げられたという例はないということでございます。ただ金頭の査定につきましては、資金繰りその他の査定、企業の調達力の見方等につきましては、役所よりも一応開銀の方がおのずからすぐれた判断力というものを持っておると思います。その面で工事計画そのものはうまく政府側の希望が取り上げられておりますが、融資の時期なり具体的な金額というものについては若干の食い違いがあるように見ております。
  93. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから海運関係でちょっと伺いますが、海運の方は、先ほどおっしゃった一〇%ないし三〇%、五〇%ということはなかろうと、こういうことをおっしゃっておりますが、そのパーセンテージは一体どれくらいに相なっておるかということと、それからもう一つ、先ほど開銀融資の回収状況が思うにまかせないというお話でございましたが、造船の問題については去年の疑獄、汚職事件でだいぶにぎやかに内容が究明されておるわけですが、造船関係の融資をされたものの回収状況というものは、やはりたな上げされておって全然だめなのか、若干は回収ができておるのか、この点をお聞きしたい。
  94. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 海運関係の融資比率は、私は通産省でございますから通産省関係のもので申し上げたのでありますが、海運関係は先ほどの例でいきますと、市中銀行の協調は一割でございます。残り九割は財政資金によってまかなわれるという次第になっております。  それから回収状況でございますが、先ほど経審からお話があったわけでございますが、昨年度穴のあきました回収については、実は融資総額というのが減らされたわけです。最初の政府原案から。減らされたにかかわらず回収見込額はそのままに据え置かれておった。これは融資と回収はある程度関連がございまして、たとえば石炭鉱業なら石炭鉱業に金を融資します際に、次の融資が出れば前の回収も順調にいくというようなことで、ある程度相関関係があるわけですが、融資総額が減少されたにかかわらず、回収の方が、融資が大きかった時に見込んでいた額をそのまま据え置かれておったというようなことから来る穴というものもあったわけでございます。そういうものもその点補足して申し上げるわけです。  具体的にお尋ねのございました海運関係回収がどの程度実施されておるかという点につきましては、私、正確な資料を持ちませんので、これは十分調べればデータのあることでよくわかることであると思いますが、今のところお答えいたしかねます。
  95. 栗山良夫

    栗山良夫君 別に経済審議庁の方でわかっておりますか。
  96. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 二十九年度で金額は、私の持ってきておりますのも、分類が海運ではなくて、もっと大きなものになっておりますので正確でございませんが、若干はやはり回収が見込み得るということであります。
  97. 栗山良夫

    栗山良夫君 この海運関係の対象になっておる各産業について、当然その年度回収を予定さるべき金額と、それからたな上げされたもの、実際回収された金額、これの一覧表を次回までにお願いしたい。よろしゅうございますね。
  98. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 運輸省の方に連絡をとりまして……。
  99. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは全部です。  それから海運の方は計画造船でやっておりますからそう問題はないと思いますが、電力関係が特別な事情にあるということを先ほどおっしゃったのですが、その特別な事情をちょっと御説明願いたい。
  100. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 電力関係が特別な事情と申しますのは、御承知のように各電力会社は同じ仕事をしておるわけであります。そういうような関係から国家資金……電力関係の緊急工事を取り上げてみました場合に、それに対する財政資金のつける割合というものを甲の会社、乙の会社、割合を変えるのはおもしろくないであろうということで、財政資金と市中調達、自己調達に期待する割合を同じ率にするごとく操作して、各九電力会社に貸し付ける、そういう扱いをいたしておるということであります。
  101. 栗山良夫

    栗山良夫君 同一の率でおやりになっておるというわけですが、そこに二つ問題があると思うのですね。一つは電源開発あるいはこれに付随した送変電設備、そういうものに要する資金量というものが、たとえば全電力事業をながめてみた場合にでも、数年前から一斉にこの工事を始めてきましたね。ところがその完成の度合いが進むに従って、工事のやはり資金を要する重点度というものが、国家的に見た場合にはだいぶ変化してきておるだろうと思いますね。私の表現がまずければもっと具体的に申し上げてもよろしいが、たとえば北海道なら北海道が非常な努力をしてたくさんな金をつかっておった、ところが一応の開発の予定計画というものが終って、もう金が要らなくなった、ところが九州の方はさらに大きな計画が必要で金を要るようになった、こういうようなもう数年もたって参りますと各地区の会社の必要とする資金量というものの重点度というものがだんだん均一性を失って移動しておるのではないか、こういう考え方を私は持つのですが、こういもお考えをあなたはお持ちにならないですか。
  102. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) ただいまの点は御指摘通りでございまして、当初はやはり各電気事業者は事情が似ておりまして、いずれも相当な開発をしなければならぬということでございますので、従って資金の需要度というものも大体そう変りはないと見て一律に配分をしておったわけであります。その後最近におきましてはだんだん開発の進捗に伴いまして、各社の進捗の一応の差というものが、内容的にまた今後の計画の上におきましても出てきております。従って従来のような一律の比率でもってやっていいかどうかという点が問題になっております。私の方でその点を基本的に各社の調達能力というものを考えて、それに必要な工事契約というものをにらみ合せまして、両方にマッチするような資金を供給できるということになれば一番いいわけでありますが、今まで一律にやっておるので、そういうように理論的にいいだろうと考えられる方式を今すぐ採用することは非常に大きな影響を与えることもございますので、その点をどの程度考えるべきかという点で、今具体的な各社の金融事情及び工事契約等を洗いまして、どういうふうに何するか検討中でございます。
  103. 栗山良夫

    栗山良夫君 私、一つ一つ問題点だけ確認しておいて、それからあとで御意見を伺いたいと思うのですが、第二点は、この前電気料金の問題を三月でしたか、私、通産当局にお願いしたことがあります。あのときにもはっきりしているのですが、同じような企業状況でなければならなかった電力事業にその後いろいろな事情があったでしょう。あったでしょうが、相当に企業較差が出てきておるわけです。今、企業較差が各企業に出ておるということは、やっぱり通産省の方としてお認めになりますか、どうですか。
  104. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 本来ならば、料金を改訂しますときには、各社の効力はかりに同一といたしました場合には、経理内容等も同じような状態になるべきであります。ところが実際上計算に多少誤差があるということもございますし、それから手をつけております開発計画等の進捗工合等によりましても、やはり理論通りに参りませんで、おのずから現在においても、各社においてはある程度の差はあるわけであります。
  105. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちょっと通商産業大臣に伺います。ちょうどお見えになりましたから、石橋大臣にお伺いいたします。昭和二十九年度政府資金の港業設備に関する運用基本方針というのが、昭和二十九年四月二十日の閣議、これはおそらく閣議了解、これは吉田内閣の当時だと思うのですが、閣議了解でつけられておりますこの方針というものは、鳩山内閣はやはり踏襲されておりますか。
  106. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 別段これを踏襲するかしないかという決定はいたしておりません。
  107. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、言葉を返すようですけれども、産業設備政府資金ですね、産業設備に関する運用基本方針というものは、鳩山内閣にはないということですか。
  108. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 実際は、この予算を編成いたします場合に事案上において決定しておるわけです。
  109. 栗山良夫

    栗山良夫君 わかりました。そうしますと、ちょうど大臣、私が前段の質問をしているときにおいでにならなかったので、あるいは私が質問申し上げて失礼になるかもわかりませんが、その点お許しを願いたいと思うのですが、今電力の問題にちょっと入っておるわけですが、その中にこういうことが書かれてあるのですね、電力でなくて一般問題として、日本開発銀行による設備融資についてはという(1)番がありまして、その(1)番に、「電源開発を促進し、我国産業の基礎を強化安定すること。」それから(2)番目に、「国際収支の均衡を速かに回復すること。の二点に主眼を置き、速かに顕著な効果が期待されることを目途として効率的且つ重点的に資金の運用を図る」こう書いてあります。こういう方針で、しからば三十年度の予算に織り込まれている財政投融資というものは計画されていると、こういう工合に見てよろしいわけですか。
  110. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これによってやったというはっきりしたことはしておりませんが、大体これを見たところでは今年度やり方も変りはないと思います。
  111. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからもう一つ、おさらいをするようで大へん恐縮なんですけれども、電源開発促進法の第五条によりますと「資金の確保及び配分」という条文があります。その中には「政府は電源開発及び送電変電施設の整備に必要な資金を確保し、且つ電源開発等を行う者に対し、その資金の公正な配分が行われるように努めなければならない。」こういう工合に書いてあります。ところが今、電力事業に対する財政投融資、開発銀行を通じての財政投融資のあり方について質問をいたしておりまするというと、融資率というのは同一率でやっている、同じ率で、同一率でやるということの前提には各会社の自己資金調達能力というものがイコールである、九電力会社イコール、それからまた企業較差というものもない、これもイコールだ、そういう前提においてでなければ同一率という概念は出てこない。それから、この電源開発促進法の第五条による必要な資金を確保し、その資金の公平な配分を行わなければならないということは、その個々の会社に対して言うことだと思う、こういう工合に思いますがね、現在通商産業省がおやりになっている方針というものと、それから二十九年度までにおやりになっている方針というものと、今二十九年度で鳩山内閣がきめた開発銀行を通じての財政投融資の方針、それから電源開発促進法の条文に明示している方針とは著しく食い違いがあると私は見なければならないと思うのですが……。
  112. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 政府委員がどういうお答えをしたかしりませんが、今年は一律にするというようなことはきめておりません。各会社の工事の進捗の工合、それから資金の都合を実際に見て一律、つまり公平な分配をしよう、こういうことで、実はまだ各会社の配分はきまっていないのであります。検討中でございます。
  113. 栗山良夫

    栗山良夫君 きまってないから来ていただいて、財政投融資が有効適切に、この方針に書いてあるように、すみやかに顕著な効果が期待されるようにいたしたいと思って私は質問を申し上げているので、きまってしまってからではそれをやっても意味がない、そういうわけで一つお聞きを願いたいと思います。  先ほど、ちょっと通産省の事務当局からいただいた昭和三十年度開銀資金の配分方式についてというのを拝見しますと、今大臣のおっしゃったことがやはり書いてあります。これはどういうことかというと「九電力会社に対する昭和三十年度の開銀資金配分額は、二百八十億円と前年度に比し四十五億円の減少となった。かかる限られた資金を各社に配分するのに従来通りのパーテイシペーション方式をそのまま踏襲したのでは、会社の資金調達能力と必要工事量との関係からみて真に必要不可欠な会社に適切な資金量が配分されない憾みがある。」こう書いてあります。ですからこれはまあ大臣の今の御答弁の通りなことを事務当局はやはりわかっておられる、こう思います。それはいんですがね、ところがあとに問題が少し出ているのですが、ほんとうにその有効適切にやる、それから電源開発法の第五条の精神をそのまま受けてやると、こういうことであれば、国として必要だと認める、開発法の精神にのっとって必要である、電源開発初め電力設備の充実について必要であると、こう考えた工事が一応出て参りますね、これは査定上出てくる、出てきたものについて各会社の内部留保、あるいは自己調達資金ですね、その合計額と工事費、それからおそらく債務償還費もあるでしょう、それとの差額ですね、その差額は個々の会社ごとに査定をしておる、そうして開銀融資をつける、こういう方法が一番私ども正しいと思うのですが、それはどうなんでしょう。
  114. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 今の資料われわれの手元にないのだが、委員全般に配った資料ですが、それとも栗山委員だけに上げた資料ですか、その点伺います。
  115. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) ただいまの資料は、私どもの方で今検討しておる中途におきます一応の案でございまして、十分まだ決定的なものでございません。栗山委員だけ参考に差し上げてあります。
  116. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういうふうに一つ委員長お聞きとり願いたいと思います。  そういう方針が私は全面的に正しいと思いますが、大臣はいかがでしょう。
  117. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) その通りです。そういうふうにするという方針で、今事務的に検討いたしております。
  118. 栗山良夫

    栗山良夫君 そこまではっきりしますとあともう一つ疑問があるんです。そうしますとですね、ところがそこのあとに、「従来の方式を一挙に改めることは会社に与える影響も甚大」だと、こう書いてあります。「一挙に改める」、これはどういうことか私にはよくわかりませんが、今、大臣と私の間で質疑をして、それが全面的に正しいと、そういうふうにやるのだという工合にまあおっしゃったわけですね、そういうことであれば、この法規の定めるところで、しかも内閣が吉田内閣のときは——吉田内閣は私、けしからぬと思うのです。実際は自分で方針を出しておいてやってないんですからけしからぬと思うが、それは倒れた内閣ですから今言ってもしようがないわけだが、その方針は、石橋通商産業大臣も閣僚としてですね、大体これにまねるわけじゃないか、自分は自主的にそう考えるとおっしゃったわけですから、そういうことになるというと、一挙に改めると会社に与える影響が甚大だとおっしゃるのですが、これは一体どういうことです。
  119. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それはこういう考慮を多少はいたしておるわけなんであります。お話のようなふうにやればどういう結果になりますか、それが非常な昨年と変化を来たすという場合が会社によっては起るということも想像できるわけであります。金利の関係から申しまして、あるいは開銀の融資がとにかく会社につくとつかんということでは、また融資力にも差を来たしてきますから、そういう場合には相当の考慮もしなきゃならん、こういうふうな考えがあるものですから、それでそういうことが出てきたわけであります。
  120. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちょっとまだよく私理解できないのですが、これは公益事業局長に伺いますが、この資料の中で三十年度の資金調達計画というものを拝見しますというと、表になっているのを拝見しますと、先ほど申し上げましたが、大臣が全面的に全く同感であるというので、私の説に賛意を表された。そのやり方による開銀融資の額と、それからあとに何か一挙に改めることが困難なので若干折衷されたらしいのですが、この表がそうですな、この表を見するというと、大分額に差がありますね、だからこれは政策的な配慮の方が中心になっておるように思いますが、そうですか。
  121. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) これはまだ中間的に作った一応の計画でございまして、こういうふうにまだきめようというわけでもございません。ただ先ほどの一応三十年度の配分方針というものを考えておりますが、それに照らしてやった場合にはどういうふうになるかという計算を今いたしておりますが、それを出して具体的な数字が出ました上で、さらにどういうふうにこれを持っていくかということを検討したいと思っております。
  122. 栗山良夫

    栗山良夫君 この各電力会社の内部留保はそう大して問題はないと思いますが、自己調達資金の能力ですね、これにだいぶ実質的に差等があるように思います。その間において差等がどの程度あるかというような、大体最高と最低はどのくらいになるかわかりますか。
  123. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 各社の調達能力と申しますか、内部留保その他借り入れ見込額、社債の発行余力というようなものを、一応これはいろいろな考え方がございますので、まあ一案として出さざるを得ないのでありますが、ある前提のもとにこれをはじきまして、それで実際上自己調達でどんな程度にいけるかという数字をはじいておるわけであります。これを出しますというと、やはりそれと、それから工事予定額との差額がつまり要開銀借り入れ額ということになるわけです。全体の工事費に対しまするその率というものは、やはり各社の間にかなりな差異があるようであります。しかし、まだ具体的な数字が出ておりませんので、最高、最低がどうだということはまだちょっとわかりかねます。
  124. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの質問は、資料を皆に渡してからにお願いをいたしたいのであります。委員長において善処されんことをお願いします。
  125. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 実はきっき私は聞いたんですけれども、まあ暫定の案でもこの委員会における質問応答の資料になるものならば、暫定といえどもやはり各委員に配るのが私は当然だろうと思います。ただ私が黙っておったのは、栗山委員は予算委員会の何がありまして、大へんお急ぎのようでしたから、またその暫定であっても一つ出してもらいたいというのでやっておったと思ってそれは黙認しておったのです。しかし、政府としては、やはり暫定でも何でも、すでにこの公けの委員会審議資料になるものならば、やはりこれは全体の委員に配るべきだと思うのです。その点についてそういう扱いをされたことは委員長もはなはだ遺憾に存ずるわけであります。
  126. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 大へん申しわけございませんが、実はこういうふうな資料のお話がありましたのは、昨日栗山委員から個人的にお話がありましたので、委員会として御要求があればもちろん調製いたしまして出すわけであります。栗山委員に差し上げておりますから、その場合には徳義上は他の委員にも配付すべきだろうと思いますが、きのうの話でありまして、きょう配付するということになりますと、またあらためて印刷をするというような関係もございましたので、いずれにしても間に合いませんでしたので、とりあえず一部だけ差し上げたというわけで、御要求によりまして調製いたしたいと思います。
  127. 古池信三

    ○古池信三君 皆さんのお話もありますし、この問題はさらに資料をわれわれ全部にお配りを願って、その上で質問することにして、次回に一つ回したらいかがでしょう。そういう動議を提出いたします。
  128. 栗山良夫

    栗山良夫君 私もどうも河野さんや委員長からおっしゃってちょっと申しわけないような気になっているんですが、実はなかなかこういう資料が計算の途中だものですから出ないものですから私いろいろ局長に無理を言って一部もらってきたわけなんです。その点あしからず一つ、八百長をやっておるわけじゃありませんから御了承願います。
  129. 河野謙三

    河野謙三君 ただ、私はお聞きしておきたいのは、今日のこの栗山委員の議題というのは今日突如議題になったわけじゃないんでしょう。あらかじめ通告があったんでしょう。
  130. 吉野信次

    委員長吉野信次君) この前です。
  131. 河野謙三

    河野謙三君 そうでしょう。それは政府当局も今日この問題が議題になることを知っているんです。知っておるなら栗山委員に出すのになぜわれわれに出さないのです。
  132. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 特にこの電源開発資金について今日御質問があるということは昨日栗山委員がおいでになったとき初めて聞いたわけであります。それで委員会からの私に対する出席の要求も今日実はあったわけであります。はっきり今日委員会であるということは最近知ったわけでございます。
  133. 吉野信次

    委員長吉野信次君) これは私から申し上げますけれども、栗山委員がこの前官房長から予算の説明があったときに財政投融資については概括的にちゃんと資料の御要求があったんです。そう申してはなんですけれども、この件ばかりじゃありませんが、政府委員に対してはなはだなんだけれども、どうもそういうことがなかなか徹底しない。だからこれからはやはり委員資料要求があったときはちゃんと資料というものを整えて次回に来るようにしていただきたいと思うし、また今のようにするひまがなければないで、何もやかましく言わなくてやっていいと思うのです。ただその場合でも政府側としては委員長に、実はこういうわけでこういう資料を出してありますということくらいのやはり通知はあっていいと思うのです。そうすれば私もかじのとりようもありまするし、ただ栗山委員がさっき私に対して個人的にもらったんだからそのつもりでよろしいかというから、それはよろしいと私言ったから、今日のところは委員長のなにに免じましてそれでごかんべんを願いたいと思いますが、これからはやはり資料を各委員が必要があって要求しておるんですから、ことにこの間ひどいと思ったのは、ちゃんと調べてこいというのに一向調べないで内閣委員会に来ているんだな、法制局の関係を。それじゃ何にもならんからと言って私は、よけいなことだけれども、もう一ぺん出直して来いと言って実は説明を拒否しました。それですから、なるべくこれからも審議を促進する意味において一つそういうふうに注意を払うようにしていただきたいと思います。
  134. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は特別国会の冒頭からこの開発資金の融資の問題については非常に強い関心を持っておる。これは電力だけじゃありません。造船その他全部の廃業にわたってこれはやはりこういう金融難のときに国が財政投融資をなけなしの金からするわけですからこれは軽々に行うべきじゃない。しかもこういうものを行う場合には重点的な基本方針というものが国になければ財政投融資なんかいたすべきじゃないと思う。従ってそういう方針を曲げて融資が行われておるかどうかということの調査というものはやはり国会において私はすべきだと思う。そういう私は考え方を持っておるので、非常に強い関心を持っておる。そこで質問をしておるわけですが、まあ皆さんのお話もあり、これは古池さんから動議として提出されておりますから私もそれに服します。  それで一つ最後に石橋通商産業大臣に、お忘れになることは絶対にないと思いますが、もう一ぺん確認をしておきますが、先ほど申し上げましたこの開発銀行の融資というものは電源開発促進法の精神、あるいは閣議等で三十年度財政投融資を考えるときにお話し合いになった基本的な考え方、そういうものを中心にして先ほど原則的に御承認になった方法、これをやはり確認して三十年度の投融資の具体化をお進めになると、こういう工合にはっきり了承してよろしゅうございますか。
  135. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) まずそのような資料の問題についてはまことに相済みませんでした。お詫びいたします。これから気をつけることにいたします。  今のお話はその通りに御了承願いまして差しつかえございません。
  136. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから一挙に従来の方式を改めることは社会に影響を与えることが甚大だというのですが、与える影響の甚大さがどういうものであるか、この委員会でやはり調べることになると思うのです。資料が出てから調べることになるわけですが、大臣はこれはよく御研究をいただいて、重大な影響というものがどういうものか、その上で一つ質問に答えていただきたい、こういう工合に思いまして、原則だけははっきりしましたから、そうくどくどと申し上げる必要はないと思いますが、非常に関心を持っておりますから、一つさようにお願いいたしたいと思います。
  137. 古池信三

    ○古池信三君 ただいま問題になりましたように、政府で検討しておられる中間的な資料に基いての質疑応答ということもあながち私は無意義とは申しませんけれども、やはりできましたならばさらに深く政府の検討を加えられて、ほとんど結論として出されたようなものを資料にしてここで論議した方が意味が深いのじゃないか、かように考えますので、どうかそういうふうにしていただきたい。これは私は希望として申し上げておきます。
  138. 吉野信次

    委員長吉野信次君) さっきの古池君の動議もありましたけれども、大体御了解得たようですから自然消滅ということに御了解してよろしゅうございますか。
  139. 古池信三

    ○古池信三君 けっこうです。
  140. 海野三朗

    海野三朗君 私は金利のことをちょっとお伺いしたいのですが、電気の方に融資しました金利はこの前六分五厘かに一分下げたわけです。そのほか金属工業、鉄鋼方面に対する金利もやはりそれと同じにいっているわけですか。その辺をお伺いしたい。開発銀行の貸付ですね。
  141. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 開発銀行の金利につきましては、一般原則は年一割になっております。例外になっておりますのが電力向けと造船向けでございまして、いずれも六分五厘になっております。
  142. 海野三朗

    海野三朗君 電力と造船だけ特に安くするという理由はちっともないでしょう。これは通産大臣にお伺いしたい。鉄鋼の方なんていうのは一割、それこそまるで開発銀行というのは高利貸しだ。こういうふうなあり方ではいけないのじゃないかと私は思うのですが、通産大臣はいかにお考えになっておりますか。しかも電気事業なんていうのは実に横着な商売であって、これほど横着な商売はない。金を納めなければ電気をぽつんと切ってしまうんですから、あれほどうまい商売はないですよ。ところが、そのほかの商売は高ければ売れない商売なんです。それを六分五厘にしておいて、ほかの方を一割なんというのは甚だえこひいきなやり方だと私は思うのですが、通産大臣はいかにお考えですか。
  143. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 原則として一割、それから電力と造船だけ特別の金利をするというのは前にきまりましたことでありますが、私は全体にむしろ金利はもっと大いに下げなければいかぬという考えを持っているものであります。ですから全体に下げたい。だが、今の電気というものが横着な商売かどうかはとにかくとしまして、電力料金をできるだけ安くしたいということの観点から、電力に対しては特に金利の考慮をしたものと思います。それから海運の方は御承知のように海外との競争がありまして、これはやはり金利負担が相当海運業には大きいものですからこれを下げようということが先年国会の論議になって、いろいろ問題もその中に起ったようでありますが、下げた。いずれも理由はあることと私は考えております。
  144. 海野三朗

    海野三朗君 今、大臣は海外との関係があるとおっしゃったけれども、鉄鋼だって同じくそうなんです。鉄鋼の値段だって今ドイツもの、あるいはベルギーの値段、たとえばそういうものに今激しくせり合っておるわけでありまして、それでさえも高い高いと言われておる、そういうところの金利をもっと下げるのが当然じゃないかと私は思うのですが、どうなんですか。
  145. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それは先ほど申しましたように、実は日本の金利が戦前に比較しても現在の金利はむやみに高いし、また戦前においても、海外に比較すると非常に高いのでありますから、全体に日本の金利負担というものは下げる方策をとらなければならぬものと考えておりますから、その点は、鉄鋼だけじゃございません、繊維にしても何にしても、金利負担はできるだけ低くするという必要は、むろん日本の産業政策としてあるものと信じておるわけでありますが、まあ全体の金利のレベルがいろいろのいきさつでもって、とにかく年一割なら安い方だというような日本の金利の状態なものでありますから、その中で直接にすべての産業に影響する電力、それからまた面接に海外との競争にさらされる海運については、特別に考慮したものと考えるものであります。石炭などについても今度は多少考えてみたいと、こう思っておる次第であります。
  146. 海野三朗

    海野三朗君 この電力なんぞは、電力料金の昨今の黒字はどんなものになっておりますか。昨年あの抜き打ち的な電力料金の改訂を断行して以来の各会社の黒字の状態を承わりたい。
  147. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 昨年の下期、つまり今年の三月までの期の決算が先般出されておりますけれども、昨年の下期におきましても、水の状況が非常によかったことと、それから電気の伸びの構成が比較的電気事業者に有利であったというような関係からいたしまして、各社を通じまして、いずれも黒字を出しております。ただ豊水の結果に基く利益だけは、これは御承知のように渇水準備金制度がありまして、そこで積み立てております。それから資力的に余裕が出ましたものは、修理その他業務のサービス改善のための費用として使っておりますから、実際には計算面に現われた利益というものは、そう大きな金額じゃございませんけれども、実質的に渇水準備金としては相当なものが積まれ、また会社の実際の事業そのものとしても非常に改善されるような金の使い方ができた、こういうふうな結果であります。
  148. 海野三朗

    海野三朗君 昨年電力料金の改訂のときに、企業局長は二百五億円の増収がある見込みであると言われましたね。二百五億円の増収がある見込みであると言われましたが、そのときにもうすでに黒字になっておったんじゃないのですか。これを設備の改善に使うとか何とか言われるけれども、今どき黒字になっていくというような、これほどうまい仕事はないものですね。どんな会社だって今日赤字にならざるはなしというような時期である、電気はすべての産業の基礎であると言いながらも、この鉄鋼の方面なんぞの金利が高いので、月に何億という利子を払っていかなければならぬ。それですからして金利が非常に高い、こういうことが今、大臣が言われたこと、私もごもっともだと思うんですが、電気の値上げだけは、まあ石橋通産大臣は三割のあれを断行されましたが、もう少しこれをしさいに吟味していただかなければならないと思いますし、末端の方におきましては電気会社は詐偽をやっている、詐偽ですよ。(笑声)三十ワットだとが何ワットだといって、一灯二灯くらいの零細なところにはそれだけ燭光がいっていない。いないけれども、その料金だけはいっちょうめに取る。納めなかったらぷつっと切ってしまわれるから、もう何ともしようがないから皆納めているという現状であります。下部にまで正規の燭光がいっていなかったという詐偽を今日までいたしてきた電力会社に対しては、いかなる処罰をなさんとお考えになっているか。(笑声)このままでいいとお考えになっているか、私はそれを伺いたい。それからもう一つ金利の点につきましては、もし石橋通産大臣が他日大蔵大臣になられたときには、この利子を下げるだけの御決意があるかどうか、これもお伺いしたい。(笑声)
  149. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 電力会社のことにつきましては、かねてからの懸案で、今後の電力会社のあり方、経営の仕方、それから料金等の問題について、根本的に一つ皆さんの御意見も伺って何とか処置をしたいと思って、事務的には今検討いたしておりますから、御趣意に従いまして、もしそういうけしからぬことがあれば、十分これは改めさせるようにいたしたいと思います。それから金利の問題、他日云々の問題は仮定の問題でありますからお答えできかねますが、下げたいという意思があることは、これはもうかねがね抱いておりますから、機会があれば、たとえ何にならなくても、金利を下げるということには努力をいたすつもりでおります。
  150. 海野三朗

    海野三朗君 大臣は閣僚のお一人として、不公平なる利息、まるで開発銀行は高利貸しですよ。こんなむちゃくちゃなあれはないんですよ。電気を安くするとか、造船だけを安くして、ほかの方を下げない、こんなばかなやり方は私はないと思います。ですから閣僚のお一人として、一萬田蔵相に激しく詰め寄って、もう少し下げるように努力していただきたいと思いますが、大臣はそれだけの御決意を現在においてもお持ちになっておるかどうか、私はそれをお伺いしたい。
  151. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 金利を下げることについては、つねに閣内においても主張いたしておりますが、大蔵大臣もできるだけ金利を下げる処置をする、こう申しておりますから、次第にこれは下げられるものと考えております。
  152. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はちょっと先ほどの資料の問題で、あるいは責任がありますので、ちょっと確かめておきたいんですが、私が言った資料ですね。私は別に他意なく申し上げたのですが、大へん迷惑をかけましたが、あの資料は部外に出されている資料ですか、あるいは全然部外へは出ておりません資料ですか。
  153. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 部外には出ておりません。
  154. 栗山良夫

    栗山良夫君 全然出ていないのですか。
  155. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) あれは試案でございますから。
  156. 栗山良夫

    栗山良夫君 私そこまで確かめなくて読み上げたりして迷惑をかけたと思いますが、その点は私別に暴露しようという気持でやったわけではありませんから、一つ御了解を願っておきたいと思います。
  157. 海野三朗

    海野三朗君 電気料金のことですが、方々でやっておる人の……これは直接の悩みなんですが、電気料金だけは、おくれるとぶつっと切ってしまうので、仕事にならないのです。それからまた電話料金も、おくれたらもうすぐに電話をやってしまうのです。それでありますから、このしわ寄せはそのほかのところへ皆いっているんですよ。何をさせておいても電気料金と電話料金、これだけはもう業者が率先して食らものを食わなくても払わなければならないのです。この点についてもう少し緩和するというようなことはお考えになっていないものですか。もう少し一週間とか何とか猶予をおいてやる。今、業者はみんな実際困っておる。これは業者の声なんですからね。それをただ私が反映して申し上げたので、実にこの世の中に商売がたくさんあるけれども、電気業者であるとか電信電話、これほどいい商売はない。金を持ってこなければぶつんと切ってしまうんだから、切る方では痛くもかゆくもないのですからね。それですから切られる方では、何をさておいても、もう飯食うのを食わないででも電気料金、電話料金を払うわけなんです。商売にならないのですから。そういうことに対しましては、業者を救うという意味で、ここに、あるいは一週間とか二週間とか猶予期間をおくというようなことはお考えになっていないかどうか、それを私はお伺いしたい。友愛精神をもって臨んでいただかなければならんと思います。(笑声)
  158. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 政府として、電気料金は一週間払わなくても猶予しろとか何とかいうことを指図するという計画は今持っておりませんが、今お話しでありますが、なるほどそういう場合もあるけれども、ずいぶん電力料金のたまっておるという部分もありますから、必ずしももう払わなければ即日切るという場合だけでもないかと思います。ある程度やはりその事情に応じて電力会社は相当猶予をしているだろうと思っておりますが、いかがなものでありますか。かなり電力料金をためておる業者もございますし……。
  159. 海野三朗

    海野三朗君 それは大きい電力を使う所なんです。もう比較的大きい工場は、これは余裕もおいてありましょうが、小者ですよ、小者がひどいのですよ。金を納めなければ、一日おけばぽっと切ってしまう。電話だってそうですよ。こまいものが非常に困っておる。そうして中小企業も小企業の方ですね、これが非常に困っておる状況でありまして、中以上の所は、やはり今、大臣の言われたような多少猶予しておる所があることは私も承知しておるのでありますが、こまい方が非常に困っております。ちょうど先に申しましたところの電気の料金、一灯や二灯通っておるところですね、これがもうごまかされて、そうして料金をとられておってもぐうの音も出せない。悪ければやめろというようなことで泣き泣き皆払っている。それから燭光がないにもかかわらず料金を取っておる。そういうこまいものを私はいわゆる友愛精神をもって、その友愛精神もそういうこまいところまで行かなければいけない。それを私はお伺いしたい。通産大臣にそのこまいところのものを何とかもう少しその友愛精神で助ける方法がないものでしょうかということを私はお伺いしたいのです。
  160. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) そのお話はよくわかります。なるほどこまいところがそういう目に会っていることがあるだろうと私は想像いたしておりますが、なお、電力会社の社長等の集会等がありましたときに、彼らがそういうことをしないように、できるだけその事情を見て、むちゃなことをしないように指導いたすつもりでございます。
  161. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  162. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それでは本日はこれにて散会をいたします。    午後四時四十八分散会      —————・—————