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説明員(新沢寧君) 御
説明申し上げます。前にお聞きいただいたと思いますが、この法律の目的に二つございまして、
一つは砂糖の
価格の安定、もう
一つは差益の徴収ということでございますが、その
価格の安定につきましての具体的な運用
方法について現在
考えておりますことを申し上げたいと思います。
第一に、
価格安定の方策といたしまして、
価格をどの辺の値ごろに安定させるかということをまず第一段にきめようと
考えておるわけであります。安定
価格帯、こう申しておりますが、安定
価格帯を設定いたしまして、その
価格と照応いたしまして、砂糖の
価格を安定していくようにということを期待いたしておるわけでございます。従いまして、まず安定
価格帯の設定をしなければならないことになりますが、どう砂糖について安定
価格帯を設定しますかと言いますと、私どもといたしましては御
承知の
通り、砂糖の銘柄はたくさんあるわけでございますが、大体市場の融通量の大多数を占めるおもな品種につきましてこれを定めることによって、その他の砂糖全体の
価格水準をこれによって左右することができるのではないかというふうに
考えております。
次に、この
価格のきめ方及びこれの時期、適用期間の問題でございますが、きめ方といたしましては、まず基本的なものといたしましては砂糖の供給見込み数量及び購買力に基いて算出する
価格というものを
一つの基準として
考えておるわけでございます。これをもう少し具体的に申し上げますと、過去におきます統計
数字を検討いたしますと、砂糖の
価格の変動の仕方は砂糖の供給数量の変動の仕方並びに購買力の変動の仕方によりまして非常に大きく影響を受けているということが見られるわけであります。もちろん
価格帯をきめます要素といたしましては需給
関係あるいは
国民購買力というもののほかにたくさんの経済的な要素があるということは当然でありますけれども、特に
関係の深い指標を取り出して参りますと、今申し上げたような供給力の変化、あるいは
国民購買力の変化というものが非常に砂糖の
価格の変動に
関係しているということが明らかになってきておるわけでございます。そういう観点からいたしまして、過去の統計
数字を
整理いたしまして、これは統計学の方でいろいろその
整理の仕方につきましてはすでに公式とも申すべきものがあるわけでございますが、その公式を援用いたして参りますと砂糖の
価格の推定値というものが出せるわけでございます。いわゆる三元相関によります回帰方程式と呼ばれておりますが、その方程式を用いて出そうということを
考えております。すでに似たような推定値の出し方につきましては、生糸の
価格の出し方に似たような例がございまして、ただ生糸の場合におきましては
価格そのものの
関係、生糸の
価格とそれから国内繊維の
価格と、それからアメリカにおきます繊維との
価格、
価格そのものの間の相関
関係を調べまして推定値を出しておるわけでございますが、砂糖の方は私どもの現在
考えております砂糖のきめ方におきましては、
価格そのものの
比較ということではありませんで、砂糖の
価格の変動の仕方が砂糖の供給量の変動の仕方とどういう相関
関係をもって現われてくるか、あるいは購買力の変化と砂糖の変化はどういう
関係をもって現われてくるかということを数式化いたしまして算出しようというふうに
考えておるわけでございます。もちろん先ほど申し上げました
通り、かようにして一応統計上公式的なものがございますけれども、砂糖の
価格が供給量と購買力だけによって影響されておるものでありませんことは御存じの
通りでありますので、当然これには若干の実際に当てはめる場合におきましての誤差が出てくるわけでございます。従いまして算式から出ました
価格を、単に安定帯
価格の基準としてそのものを取り上げますことにつきましては若干の難点があるわけでございますので、経済の実態に合せて
価格をきめますという
意味合いにおきまして、ただいま申し上げた一定の算式から導き出されます
価格のほかに、砂糖の
原価と申しますべきものを
一つの参酌要素として
考え、さらに砂糖の
価格と、国内におきまして生産される澱粉、あるいはテンサイというものに非常な密接な
関係がありまして、砂糖の
価格いかんによってこれらの
価格は非常な影響を受けるわけでございます。できるだけ国内の自給度を高めて行くという政策があらゆる面にとられているわけでございますが、澱粉並びにテンサイ糖につきましても、できるだけそれを増産いたしまして、輸入をできるだけ少い数量にとどめるということのためには、砂糖の
価格の安定によって、これらの国内産の農産物の
価格が非常な圧迫を受けるということではなりませんので、これも
一つ価格をきめます際の参酌要素にして
考えたい。
それからただいま申し上げました点は、むしろ下限に
関係することでございますが、次の上限に
関係する問題といたしまして、家計費を参酌要素に加えて参りたいということでございます。家計支出のうちにおきまして、砂糖の購入量の占める比率というものは過去の調査によってわかっていることと思いますが、やはり
国民の生活を安定きせるという
意味合いにおきまして、家計費のうちから砂糖の購入にさく部分が非常に大きくなって行くということもいけませんので、家計費の中において占める砂糖の購入部分の割合というものも、やはりある
程度の限度に押えて参らなくちゃならないということも考慮に入れなくちゃならないと思っておるわけでございます。これらの要素を総合勘案いたしまして、安定帯の
価格の位置と申しますか、中心値と申しますかが算出されるわけでございます。
次に安定帯というものは一定の幅を持たせているわけでございますので、これの幅を求めなければならないわけでございます。幅につきましてはこの法律のねらっておりますところが、非常な統制力を強化することによって、いわば強制的に
価格の水準を一定の水準に押し下げる、あるいは押し上げるということではありませんで、市場の実勢に沿いながら、ただ需給
状況の変動等によります非常な大きな変動というものを防ごうということを眼目といたしておりますので、幅につきましても過去の砂糖の
価格変動の実績を
考えまして、大体正常なと
考えられる変動率をとって参りまして、これをもって安定
価格帯の幅といたしたいというふうに
考えているわけでございます。
かようにして
価格をきめますが、大体私どもといたしましては、年二期にこの
価格をきめたいというふうに
考えているわけでございます。もちろん
価格の適用期間、あるいはきめる時期につきましては、業界の企業を安定させるという
意味合いにおきましては、できるだけ一度きめた
価格の適用期間の長いことが望ましいわけでありますけれども、従来砂糖の
価格の変動率というものは、放任されて参りましたために従来は非常に激しく動いておるわけでございます。これをこの法律によりまして安定させたい、こういうふうに
考えておるわけでございますが、やはりそれには漸を迫うていかなければならないというふうに
考えておりますために、ある
程度小刻みに安定帯の
価格の設定をやっていかなければならないのではないかということを
考えまして、ただいまのところ年二期にこの
価格を定めるということを
考えておるわけでございます。
次に、この
価格を維持するための方策といたしましては、安定帯の
価格の上限あるいは下限を越えてそれよりも大きな
価格の変動をいたした場合、あるいはいたすおそれがあるというふうに
考えられました場合には砂糖の精製
業者に対して、あるいはまた砂糖の販
売業者、輸入
業者等に対して
販売価格についての勧告をして、安定帯
価格の中で
販売をするように勧告をしてこの安定帯を維持していきたい、こういうふうに
考えておるわけでございます。なお精製
業者に対しましては必要に応じましては
販売価格の面だけではなくて、さらに一歩進めまして時期別の
販売数量、あるいは精製数壁という点につきましても勧告する余地を残しておきたい、というふうに
考えておるわけでございます。
大略安定帯の設定の仕方、それから維持の仕方につきまして御
説明を申し上げました。