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栗山良夫君 私はただいま問題になっておりまする
自転車競技法等の
臨時特例に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして
賛成をいたすものであります。しかし私の
賛成は決して積極的な
賛成ではないが、諸般の
事情を勘案してやむを得ず
賛成を申し上げるということを冒頭に先ず申し上げておきます。従いましてそのやむを得ない点につきましてはすでに
委員会の
審議の過程において明らかにせられておりまするので、そういうやむを得ない
事情のもとにおいて
賛成をいたしまする以上は、この
法律が、運営にあたりましていろいろ欠陥を持っておりまするから、その欠陥を是正するために必要な調査あるいは措置等について格段の努力をせられたいということを二、三申し上げておきたいと思うのであります。そのことにつきましては参議院において従来
競輪問題を扱って参りました特別な立場、特別な
考え方からいたしまして、私は各議員諸君の御
賛成を得まして本
委員会の
法律案可決の場合に、あわせて決議を行いまして、その意思表示をいたしたいと
考えるのであります。その決議案の
内容といたしまするところは二つの項目に分れておるのでありまするが、これを読み上げてみたいと思うのであります。
付帯決議案
一、
競輪、競馬、オート・レース、
モーターボート・レース等一切の
射こう的行為は現下の社会情勢に
かんがみ速かに禁止もしくは制限
せらるべきであり、特に
競輪につ
いて
政府は現行制度に検討を加え
その改廃に関し次の
通常国会まで
に適切な措置を講じなければなら
ない。
二、
競輪施行者並に自転車
振興会等
の運営および経理の現状は遺憾の
点少くないと認められるから、
政府
は速かに必要な措置を講じ、これ
が
監督を強化し、
競輪の健全な運
労を図るよう善処しなければなら
ない。ということであります。この決議案につきましては
委員長におきまして、私が
討論を申し上げました
あと、
委員会にお諮りをいただきたいと
考えるわけであります。決議案の趣旨並びに私の
意見につきまして、以下若干申し述べさしていただきたいと思います。
決議案の第一項に盛られました
競輪その他の射幸行為を禁止あるいは制限をいたしたいということは、今日相当に頽廃しておりまする社会情勢の一端がこれから起因されておるということが、社会問題として
指摘をせられまして、大きく国民の世論を動かしておりますることは、われわれがよく承知をいたしておることであります。従いましてこの議論につきましては、何人といえども特定な利害
関係に立つ立場の人以外には、
反対をせられる方はなかろうと私は
考えます。従いましてそういう大きな国民の世論の前に立って、国会は、その最高
機関としての任務を果しますために努力を払いますことは当然のことであろうと私は
考えるのであります。
そこでその
内容の問題でありまするが、今日
競輪の問題を扱いますというと、すぐに非常に
赤字で悩んでおりまする
地方公共団体の財源等の問題にこれが言及をせられまして、
地方公共団体の財源が乏しいがゆえに、
競輪のあがりによってこれを行わなければならないという非常に強い
結論が出て参りまして、なかなか問題にならないのであります。しかし本日
政府当局から
提出をせられました資料等を見ましても、
地方公共団体の財源に寄与しておりまする額というものは、
地方公共団体の全体の歳入からみまするならば、そう大きな額であるとは言えないのであります。特に
内容を調べてみまするというと、一番
赤字に悩んでおります貧困県におきてましては
競輪等による財政の寄与は非常に乏しいものがございまして、どちらかと申しますと富裕県においてその利益を享受しておるというような実情にありますから、従って
地方財政の
赤字克服の問題とは一応切り離してでも、この社会悪を改善しまするための
一つの重要なる問題点であるといたしまするならば、これは違った観点からやはり問題を進めて行ってその解決をはかるべきであるという
考えを私は持っておるのであります。と同時に、さらにこの
法律案が二年の期限を付せられておりまするが、私どもは、二年の期限が参りましたときにはぜひとも廃止をいたしたいという強い意思を持っておるのであります。しかし従来の経緯にかんがみまして、漫然と二年を経過いたしますときには、とうてい廃止に至らないわけであります。自動的にまた期限の延長ということが行われるとみなければならぬのであります。そこで、この
委員会におきましてこの
法律案のいよいよ
結論を出すわけでありますが、このときに
委員会の意思といたしまして、二年先にはこの
法律を改めるものかあるいは廃止するものか、そういうことについてのはっきりした態度というものを求めたいと思うのであります。しかしその態度は、二年の期限が迫りましたときに求めても、これは不可能なことであります。従って
政府当局に強く要望いたしまして、ただちに改廃するところの諸般の検討を開始せられて、そうして次の
通常国会、三十一年度の
通常国会の会期中にこの改廃に対するところの
政府としてのいろいろな調査、研究の結果というものを、国会で明らかにされまして、そうして国会においてその
結論に基いて、国会がみずからとり得る態度というものが表明できるようにせられたいという意思でございます。従いまして
政府当局においては数年来参議院の通商産業
委員会、ただいまの商工
委員会になりましてからも、熱心にその問題に取り組み、議論をいたしましたこともよく御承知のはずでありますから、それらのいろいろな
意見を十分にそんたくせられまして、そうして当
委員会の意思に合致いたしまするような措置をとられることを強く要望申し上げておきたいと思うのであります。
それから第二点といたしまして、私が提案の中に求めました点は、自転車
振興会並びに
施行者の運営、特に経理が若干乱れておるという点につきまして
指摘せざるを得ないのであります。と同時に、これが改善につきましては、
政府は必要なる措置を加え、これに対して善処せられたいという強い意思を申し上げたいわけであります。
この
法律案をこの
委員会で
審議せられまする過程におきましても、ただいまの
競輪の運営のやり方が悪いからこれを健全化したいということがよく述べられました。しかし私は非常に極端な表現を試みて恐縮でございますが、
競輪そのものは少くともその持っておる性格からいたしまするならば、これを健全化することはおそらく不可能である、もしこれを健全化いたして参りまして射幸行為から漸次スポーツ化への方向へ持って参りますならば、おそらく今日のような
競輪に対する魅力というものは失われまして、そして
競輪が期待をいたしておりまする
車券の
売上高というものは非常に減少してしまい、そうして所期の目的は達せられなくなってしまうということになると思うのであります。従って徹底した健全化ということは行なわれないと思いますが、しかし今
競輪を廃止しようという
一つの目途を持っておりまする場合には、社会悪を少しでもためるためにも、相当強い態度をもってやはり健全化を進めて行かなければならない。そして
競輪というものについての射幸的な魅力というものを国民からなくして行く、そういう努力を
政府当局はとるべきであり、そして二年たちましたころになりますれば、もはや射幸心を持って
競輪場へ足を運ぶ国民はなくなる。こういう態勢にしていただくことが一番スムースに問題を解決する道ではなかろうかと
考えるのであります。特に健全化を求めまするのは、
車券を買う国民
一般の心理の問題とは別に、
競輪を運営いたしまする
振興会なり
施行者の内部におけるところの健全化が最も必要であろうと私は
考えます。従って今日いただきました資料を見ましても、その
車券の
売り上げ金額が始末をせられておりまする数字を見まするというと、その
振興会に交付せられておりまする金額は一定でありますが、その
交付金の
内容がどういう
工合になっておるかということについてはまだ調査を十分いたしておりません。これは小松君の御
動議によりまして、
競輪全体の問題を取り上げて調査を続行するように
動議が出されておりまするから、その機会に徹底的な取調べをいたしたいと
考えますが、特に
施行者の
開催経費等におきましても、各開催地において著しい金額の
開きがあります。またその経理の
内容を見ましても非常に使途項目においてアンバランスがあるわけであります。これらのことはこのまま存置をいたしますというと、
施行者なり、あるいは振興公等の内部において、とかく云々されておるような金銭の浪費あるいはその他好ましくない事態が起きておるのではないかという憶測をさらにたくましゅうせざるを得ないような数字になっておるわけであります。従って健全に経営されておる方々は大へん御迷惑であろうと思います。その方々との調整をする
意味においても、この決議案文において十二分に
一つ政府は運営並びに経理のやり方等においても措置をせられたいと思います。それから
政府当局の説明によりますと、
行政指導によってこれを行い得ると、こういう
工合におっしゃっておりますが、おそらく今日までの経過から見ますというと、
行政指導によって行い得る限界というものは相当狭いものであろうと
考えるのであります。従って特に決議案において必要なる措置をとると申し上げましたことは、相当強い態度で
監督に臨んでいただきたいのでありますが、その
監督に臨むための必要な措置をおとり願いたいということであります。もし、そのために
法律の
改正等の必要があるということでありますならば、われわれはそれに協力をいたしますことはやぶさかでないわけであります。従いまして、さように理解願いたいと思います。
以上で大体要旨は終ったわけでありますが、最後に私は第一点のところにおいて申し落した点があるので、付け加えておきます。とにかく
競輪が始められましてから、今日までの間いろいろ問題がありましたが、とにかくこれに
関係された多くの人々が、熱心にその振興のため努力されてきたことについては、これを認めなければならぬと思うわけであります。選手諸君、あるいは
振興会の諸君、さらに
施行者の諸君の努力というものを、これをむげに退けるというわけには参らぬと思います。従って二年先に
競輪の根本的な改廃を目ざして
結論を出されるように求めたわけでありますが、そのときには
競輪の選手をはじめ、
関係者諸君の身の振り方につきましては、これは十二分なる配慮を行わるべきであると私は
考えるわけであります。また、自転車の競技法が、
日本の自転車の産業的な育成のために設けられたことも、これは大きな目的でありまするから、従って自転車産業の振興につきましては、
政府は格段の別途の措置を講ぜられることが必要であろうと思うわけであります。
通産大臣がお見えになっておりまするからお聞きをいただいておるわけでありますが、どうかただいま申し上げましたような決議案を提案をいたしまして、その提案の趣旨を申し述べたわけでありまするから、
政府の
責任者として善処をせられるように強く要請をいたしておきたいと思います。