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1955-05-20 第22回国会 参議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十日(金曜日)    午後二時二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            深水 六郎君            松平 勇雄君            河野 謙三君            上條 愛一君            小松 正雄君            苫米地義三君   政府委員    通商産業政務次    官       島村 一郎君    中小企業庁長官 記内 角一君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     谷村  裕君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○商工組合中央金庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○中小企業信用保険法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 古池信三

    理事(古池信三君) それではただいまから商工委員会を開会いたします。  ただいまのところ政府側として出席されておりますのは、記内中小企業庁長官秋山中小企業庁振興部長のお二人でございます。そこでお諮り申し上げたいのでありますが、すでに提案理由説明は終っておりますが、中小企業関係の三法案につきまして、便宜上これを一括してその内容についてまず政府側から説明を聴取したいと存じますがよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古池信三

    理事(古池信三君) それではさように取り計らいます。中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、以上三件につきましてその内容を御説明願いたいと思います。
  4. 記内角一

    政府委員記内角一君) まず中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。先般の提案理由にございましたように、公庫法のおもな改正点は五点あるわけでございまして、第一は、一般会計からの出資金昭和三十年度において新たに十五億円を増額いたしまして、中小企業金融公庫資本金を百七十億とするということでございますが、条文といたしましては、改正法律案の二行目にございます「第五条中「百五十五億円」を「百七十億円」に改め、」というところでございます。  それから第二の点は、中小企業金融公庫の役員が現在総裁一名、理事四名に相なっておりますが、資金量も増し、仕事の量もふえて参りますので、ことにあとで申し上げますが、直接貸しなども実施いたしたいと考えますので、理事を一名増加いたしたい、それが第九条中にございまする「「四人」を「五人」に改める。」という点でございます。  第三点は、中小企業金融公庫業務にかかる現金郵便振替貯金とし、あるいは銀行に預け入れることができるようにするということでございまして、御承知通り中小企業金融公庫政府機関でございますので、その資金はすべて日本銀行に扱わされるということに相なっておりますが、そういたしますと、貸付金貸し付けをいたします場合、あるいは回収をいたします場合、ことに直接貸付などをいたしましても直接貸しをいたしますと、その間公金等が相当……、日本銀行だけを使うということでは不便でございますので、そういう意味合いをもちまして、新たに郵便振替貯金、もしくは銀行へ預け入れるということにいたした次第でございます。これもすべてをこういうふうにする意味ではなくて、便宜の措置の範囲内においてやるということに相なります。法律といたしましては二十七条中に左の一項を加えるといたしまして、第二項としまして、「公庫は、業務を行うため必要があるときは、政令で定めるところにより、業務に係る現金郵便振替貯金とし、又は銀行に預け入れることができる。」ということであります。この預け入れの範囲程度等政令で定めて参りたい、今申し上げたような範囲にとどめたいというふうに考えております。  第四は、中小企業金融公庫日本開発銀行からの借入金のうち、六十九億三千四百万円に相当する額を産業投資特別会計からの出資金に振りかえるという点でございまして、これはあるいはお手元資料として御配布申し上げてあるかと思いますが、中小企業金融公庫承継債権というのが一枚紙で印刷がございますが、御承知通り中小企業金融公庫政府からの出資と、それから日本開発銀行中小企業向け出資いたしておりました債権を引き継ぎまして成立いたしておるわけでございます。その日本開発銀行の持っておりまする債権の中には、昔の復興金融金庫時代に、中小企業向け復金自身貸し付けておった分と、それから復金がなくなりました以後、対日援助見返資金特別会計から中小企業向けに直接出しておりました分と、それから開発銀行自身で持っておりました分と、この三種類に分れておる次第でございます。その中で、債権はいずれにいたしましても全部開発銀行が持っておりまする自分自身貸付金、それから復金からの承継債権、見返資金からの貸付金、このうちで債権といたしましてはすべて中小企業金融公庫が引き継いでおるわけでございますが、その中の一部につきましては、特に公庫設立せられましたのは二十八年でございますが、その二十八年の年度の途中で設立いたされましたので、年度初めから設立までの、業務開始までの期間開発銀行自身資金でもってこれを行なってきております。   〔理事池信三君退席、委員長着席〕 これをこの分につきましては、公庫自身の金でもってこれを買い取るということにいたしております。それから対日援助見返資金からの直接貸しの分につきましては、これは当然特別会計から公庫への出資ということに法律上相なっておりますので、これは完了いたしておる次第でございます。残り復金からの承継債権と、それから公庫ができます以前の二十七年度までに開銀から貸し付けました中小企業の分とございまして、この分につきましては今回の法律で約それが六十億ございますが、この資金産業投資特別会計からの出資に振りかえまして、そのかわりといたしまして、産業投資特別会計から開発銀行出資いたしておった分をそれだけ開発銀行資金を減少する。資本金の減少ということにいたした次第でございます。結局開発銀行自身資本金は、最初に申し上げました今回の改正によりました百七十億、過去に見返資金から承継して出資に振りかえました十六億、今回の法律改正によりまして投資特別会計から振りかえ出資いたしまする約六十億、これらの分から資本金ができ上るということに相なるわけであります。これによりまして今後の承継債権についての整理は今回の法律手続によってすべて整理が終ることに相なる次第でございます。その分が法律といたしましては「第三十三条に次の一項を加える。」法律案終り最後の行でございまして、「第三項の規定による日本開発銀行貸付金は、政令で定めるものを除く外、政令で定めるところにより、政令で定める時期において返済されたものとなるものとし、その返済されたものとされた日本開発銀行貸付金の額に相当する金額が、当該時期において、政府産業投資特別会計から公庫に対し出資されたものとする。」それから付則の第三項によりまして、開発銀行資本金はそれに相当する分だけ減少され、また産業投資特別会計からの出資額もそれだけ減少するということがうたってあるわけでございます。それから改正の第五点は、商工組合中央金庫に対しまして、中小企業金融公庫が二十億の貸付をいたしております。これは当初一般会計から商工中金に対して二十億の貸付が行われておりましたが、公庫設立に当りまして、これを公庫への出資に振りかえまして、公庫から商工中金貸し付けるという形に振りかえたわけでございます。その中金から公庫への返済時期は設立後二年間ということに相なっております。その時期がこの八月に参るわけでございますが、中央金庫資金事情等も考えまして、これの返済期限をさらに延長いたしまして、今度はその時期を政令で定める日まで延長するということにいたしたのでございます。これが法律案の本文の最後のところ、二ページ目の「第三十四条第四項中「公庫の成立の日から二年をこえない期間内において」」を削りまして、政令で定める日に返せばよろしいということに相なっております。これはあと商工組合中央金庫法律説明する際に申し上げますが、今回十億円の政府出資計画いたしておりますので、現在の借入金二十億円のうち十億円は中央金庫から公庫へ返す、残り十億は来年もしくは再来年に返済させるというふうな計画にいたしておる次第であります。なお付則最後にございます第四項の、「中小企業金融公庫が第三十三条第一項の規定により承継した債権及びこれに附随する権利義務について、日本開発銀行は、政令で定める時期までに、政令で定める金額中小企業金融公庫に支払わなければならない。」とございますが、これは最初に申し上げましたように、承継債権のうちで公庫開銀から承継いたしました債権のうちで、公庫設立までに行いました約四十億の資金がございます。これをそのうち約二十億近くのものが返済になりまして、現在十九億ばかりございますが、これを今回清算するわけでございます。ところがこれにつきましては、開発銀行にはたとえば貸倒れ準備金その他それぞれのこれに付随する積立金等を持っております。これと差し引きまして返済に充てるということにいたす予定に相なっております。これで見ますと、大体表面上の開発銀行から公庫への貸付金は約十九億になっておりますが、そのうち公庫といたしましては、十三億円ばかりが受取勘定に相なりまして、差し引きいたしまして、六億ばかりを返せばよろしいということに相なる次第でございます。少しごたごたいたしましてなかなかわかりにくい法案に相なっておりますが、いろいろ引き継ぎ債権整理、それに関連いたしまする貸借関係整理並びに出資整理をこれによっていたしたいという点でございます。  次に商工組合中央金庫について御説明申し上げます。これは非常に簡単でございますが、要するに法律の六条の三を加えまして「商工組合中央金庫資本金ヲ十億円増加シ之ヲ千万口ニ分チ一口ノ金額ヲ百円トス」という点が骨子に相なっております。  次に中小企業借用保険法の一部を改正する法律について御説明申し上げます。  これはおもな点は七点ございまして、第一点は、中小企業者の定義を改訂いたしまして、酒類業組合などを加えたわけでございます。それが法案の第二条の第三項に次の一号を加えるということに相なっている点でございます。  第二点は、融資保険について金融機関保険をつけることのできる期間は六ヵ月以上というので比較的長い期限のものに限られておりましたが、今回これを三ヵ月以上というふうに短縮いたしまして、比較的短かいものにつきましても保険につけ得るというふうに改正をいたした次第でございます。この点は第四条の第一項のところに規定がございます。  第三点は、融資保険について新たに会社更正法による更生手続開始決定、あるいは商法による会社整理開始命令、もしくは特別清算開始命令のあったときにおける貸付金回収未済保険事故に加える、金融の実際に即した保険機能の拡大をはかって参ることでありまして、従来は返済期限が来まして、その期限まで返らなかったものを返済保険事故といたしておりましたが、こういうふうな会社更生法等による手続が行われますと、事実上返済期限の来たのと同じように支払いが遅滞いたしますので、これを当然に保険事故として支払いをいたしすというふうに改めた点でございまして、法案の第三条第二項中にこれを規定いたしている次第でございます。  それから第四点は、信用保証協会を相手とする信用保証保険におきまして、中小企業者中小企業金融公庫、または国民金融公庫からの借入債務に対しまして信用保証協会保証を与えた場合は、この保証書も保険につけることができるようにいたしたのでございまして、これは第九条の二の第一項中にこの規定が現われております。これは一部におきましては、政府金融機関貸します際に、信用保証協会保証して、それをさらに国家がこれを一種の再保険のようなかっこう支払保証をするという点で、二重の手数じゃないかというふうな意見もあるわけでございます。実際問題といたしまして、国民金融公庫あたりは、支所のないような事態におきまして、信用保証協会保証することを条件にしてあまり厳密な調査をしないで、信用保証協会一種代理したような、事実上の代理のような形で簡便に貸付ができるように相なるわけでございます。従いまして、国家貸付金について保険をするという考え方ではなくして、保証協会を利用して、代理部、支店のない場合においても一種代理行為ができるようなかっこうに持って参って、中小企業者、ことに零細企業者あたりは便益を受けられるようにという趣旨に基きましてこの規定をいたした次第でございます。  第五は、信用保証協会相手方とする保証保険につきまして、いわゆる根保証保険の対象にできるようにいたしました次第でざいます。法文上は第九条の二のところに「保証契約で定める期間内に生ずる債務のうち当該期間の満了」云々とございまして、ここにその規定を入れております。法待上はこれを特殊保証ということにカッコ書きでくくっておる次第でございます。これの特殊保証とは、いわゆる通俗的に申しまする根保証でございまして、従来の保険では個々の債権保証する、あるいは保険をつけるということに相なっておるのでございますが、このように根保証によりますと、ある期間内にありまする不特定の債権すべてがこれによって保険につけられるということに相なる次第でございます。  第六点は、信用保証協会相手方とする普通保証保険及び金融機関相手方とする保証保険につきまして、保険てん補率を現在六〇%に相なっておりますが、これを七〇%まで引き上げまして、信用保証協会保証能力を拡大して参りたいという考え方でございまして、法律といたしましては、第九条の四中「百分の六十」を「百分の七十」に改める点でございます。それから九条の六のところで、同じく「百分の六十」を「百分の七十」に改める次第でございます。  第七点は、信用保証協会相手方とする保証保険につきまして、保険金支払い請求権を行使できる期間を、今までは冷却期間ということで三ヵ月にいたしておりましたが、保証協会支払いにつきましては、保証協会に対する保険金支払いは、保証協会は現実に保証金を支払ったということを保険事故といたしておるわけでありまして、三ヵ月まで待つ必要はございませんので、これを一ヵ月間に短縮いたした次第でございます。それは法律の第九条の五にこの規定を設けてあるような次第であります。  以上が三法律案に対しまする改正点説明でございます。
  5. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御質問ございましたら……。今、法案説明でわかったのですが、大体中小企業というものの金融問題というものは、非常に今逼迫しておる。御承知のように問題になっておりますが、何か一括して、今の法案に直接関係がないかもしれませんが、中小企業というものに政府が直接なり間接なり一体どれだけの資金をやっておるかというようなことを、もし何だったら説明を願ったらどうかと思います。今、これは予算委員会に提出したものというて、大蔵省が出したのですか、「昭和三十年度中小企業資金需給見込みについて」というものも出ておるようですけれども、これは三十年度の話なのです。今までのものと、それから三十年度見込みというもの、これについての、もし説明の補足があれば、これは大蔵省がやるのがいいか……、あなたの方でわかればついでに伺っておいた方がいいのじゃないかと思うのですが。
  6. 記内角一

    政府委員記内角一君) お手元中小企業金融関係資料というものがお配りしてあるわけでありますが、この最初ページは、一般金融及び財政状況、これは昨年度一般金融及び財政状況の概略が示されております。これは省略いたします。  次は、全国銀行企業規模別貸出推移表がございます。その次のページで三ページに、第三表といたしまして、全国銀行中小金融機関貸出推移表、これについて去年の動きを御説明申し上げたいと思います。  これを全国銀行といたしまして、十一大銀行債券発行銀行地方銀行信託銀行というふうに分けまして、それぞれの全国銀行合計があるわけでございます。ところがこの十一大銀行の二十九年三月を見ていただきますとわかりますように、これが貸出総額は、一兆四千四百九十一億というふうに相なっておりますが、そのうちで中小企業向けの分といたしましては四千五百十三億というふうになっております。ところがその次の六月に参りますというと貸出総額は一兆四千四百三十六億、若干全体として減っておりますが、中小企業向けには、これは四千三百十七億というふうに相なりまして、約ここで三百億ばかり減っておるわけでございます。九月末になりますというと、これがさらに十五億ばかり減って参っております。十二月になりますと、さすがに年末でございますので、これがふえて参りまして約四千四百八十五億、ここで二百億ばかりふえ、三十年の一月ではこれが回収が進みましたので減って参っております。四千三百七十三億とありますが、しかし十二月から比べますと減っておりますが、九月末と比べますと約七十億ふえておるわけでございます。それから二月末におきましてはこれが四千四百十七億、ここでまた若干ふえて参っております。こういうふうにこれが一番大きな数、それから地方銀行は大体増加いたしておりますが、トータルといたしまして全国銀行合計を見ますというと、二十九年三月末が九千六百五十六億ありましたものが、六月には九千二百九十五億、約ここで三百五十億ばかり減少しております。それから九月になりますと九千三百七十七億、若干ふえて参っておるわけです。その十二月、一月、二月それぞれございますが結局二十九年の三月末九千六百五十六億に対しましてこの二月末しかわかっておりませんが、中小企業向けとしましては九千六百六十三億、約七億ばかりがふえております。結局去年の銀行貸し出し推移を見ますというと、三月から六月の間に急激に中小企業向けのものが減っておりまして、これが大体九月ごろまで漸減して参りましたが、九月以降これがふえまして、最初に三百五十億も減ったものが、年度末には約とんとんというところまで回復して参りまして、去年一年間の金融状態を見ますと、初めに一般金融引き締め、特にそれが中小企業に著しく現われたのでありますが、後半に至りましてやや回復して参ったという事情でございます。ただし総貸し出しの中で、中小企業向けの分はどうかということになりますと、やはり漸減いたして六月、九月あたりには相当減って参っております。二月ごろやや回復はしましたが、きわめて微々たるものに相なっております。その下にございまする商工中金、中小公庫国民公庫相互銀行、信用金庫、信用組合、これらはいずれももともと中小企業向け資金でございますので、これを総計いたした次第でございます。それの合計額が約去年一年で六百五十億ばかり増加いたしております。ところがこれを二十八年度増加を見ますというと、これが三千億というふうに相なっております。三千億の増加から六百五十億まで急激に昨年は増加額が減って参っておるということでございます。  あとは次のページでは手形交換高不渡発生状況でございまして、まん中のところに不渡手形の枚数、金額、一枚当というのが出ております。一枚当が大体十万円足らずということに相なって非常に、上からごらんいただきますように、零細化しておるということでございます。また一日当りの不渡手形発生件数は、終りから二つ目の欄にございますように、千百件から千五百件というふうな動きを示しております。一月、二月はやや減少して参りましたが、三月に至って若干ふえて参っておる、この辺に年度末の支払手形が、三月あたりに集まって来ておるというような状況を物語っておるかと存じておる次第でございます。  それから次は、中小企業金融公庫の三十年度資金運用計画、二十九年度分は、その次の貸付決定……二十九年度計というところにございますように、貸付件数、これらの小計、計とございますが、一番下の欄でございますが、件数にいたしまして丁度一万件、金額にいたしまして二百二十七億という数字に相なっております。そのうちの設備運転に分けますと、百八十一億が設備、四十六億が運転資金ということに相なっております。これを、今年度はどうなるかと申しますならば、第五の、その前のページでございまして、昭和三十年度資金運用計画といたしまして、一般会計から、今度法律案の増資により十五億円の出資が入り、資金運用部からの借入金九十五億、回収金及び利恩が百三十五億、合計いたしまして二百四十五億というふうに相なります。これを四半期別計画といたしましては、その行でございます、第一四半期五十五億、第二四半期六十億、年末を控えまして七十五億まで持って参りたいというように考えております。これを昨年度運用と、今年度資金貸出計画を対比いたしますと、昨年度一般会計出資は二十五億に対して今年は十五億、その下の欄でございます。運用部借入が去年百五億に対して九十五億で、いずれも十億ずつ減少いたしておりますが、自己資金というものは去年の九十五億に対しまして三十年度におきましては百三十五億、合計四十億が増加いたします。従いましてトータルにおきましては、貸付予定といたしまして、二十九年度実績でございますが、二百二十五億に対して三十年度は二十億ふえまして、二百四十五億という計画に相なっております。  中小企業金融公庫貸付決定業種別内訳、あるいは金融機関別貸付状況は、その次二枚、府県別が三枚目、ずっと続いておりまして、九ページ国民金融公庫資金運用計画というものがございます。これは金融公庫法改正は目下大蔵委員会の方に提案になっているかと思いますが、中小企業に、ことに零細企しましての関係の深いところでござい業に対ますので、一括御説明申し上げたいと思いますが、三十年度の原資といたしましては、一般会計から出資金二十億、資金運用部からの借り入れ八十五億、回収金は三百九十五億、合計五百億になっておりますが、資金運用部——2のところにありますように、そのうち三十八億は運用部資金として返済いたしますので、今年度貸し出し可能額は四百六十二億というふうに相なっております。そのうちでその下の欄の中にありまするように、国民公庫が御承知通り遺族国債担保貸付恩給担保貸付更生資金貸付——引揚者更生資金というふうなものとかいろいろあわせて実施いたしておりますので、いわゆる普通貸付一般中小企業零細企業に回って参りますものが上の欄に二つございまして、本年度は三百九十億、去年の実績が三百八十四億というふうになっておりますが、それからその次が特別小口貸付で、これは五万円以下の金を単位に貸そうということでございます。去年は三億、予定は相当しておりましたが、実際に貸し出しましたものが、これが三億四千万、これを今年は二十四億円まで持っていこうという計画に相なっております。従いまして昨年度と比べますというと、普通貸付におきましては約六億の増、小口貸付につきましては二十億の増、合計いたしまして二十六億の増というふうに相なっております。  次の頁は商工組合中央金庫運用状況でございます。二十九年度と三十年度の比較がございますが、まず第一は出資金でございまして、組合出資には変りございませんが、出資金のうちで政府の優先出資が毎年償却をいたしておりますので、二十八年度、九年度末に比べますと五億五千四百万円の資本の減少を見ております。そのかわり債券発高額におきましては、総トータルにおきまして約八十億増加しております。預金の点につきましては、組合の預金は十四億ふえておりますが、政府機関からの指定預金が十三億七千万円引き揚げられましたので、現在残っておりますのは三十七億ということに相なっております。それから府県市あたりが、預託いたしておりますのが現在十八億で、昨年度末よりも三億四千万円減少しておるということに相なっております。借入金につきましては、いろいろな形で借入金がございますが、結局おもなところは日本銀行の欄でございまして、二十八年度末に十八億の借り入れでございましたが、二十九年度末にはこれが二億七千万円というところまで減少いたしておる次第でございます。そのかわりといたしまして、貸付金の額におきましては、一昨年末が四百六十四億ということでございましたが、昨年末は五百三十五億、約七十一億の貸し出し増ということに相なっております。今年度資金継りといたしましては、商工中金で考えておりますのは、お手元資料がございませんが、大体出資金政府出資を十億、それから債券を八十四億、今年が債券として八十億増加しておりますが、これを八十四億までふやして参りたい。それから一般預金が十億というふうに考えておりますが、指定金をば二十七億、これが大蔵省の方といたしましては、これを引き揚げる計画をいたしておりますので、これを見込み、あるいは十億を公庫返済する予定になっております。それから一般府県あるいは市町村等の預託金が三億くらい減るだろうということで合計いたしますと、約四十億ばかりふえる、すなわち増加いたしますものは、出資の十億、債券の八十四億、一般預金の十億、合計百四億に対しまして返済分は、指定預金を全額返済いたしますれば、約四十億になるわけでございますが、そのうちの何ぼか残るといたしますれば、それだけ資金量としては助かって参るということになります。貸し出しといたしましては、約七十億増ということに見込みまして、三十年度——来年の三月末の貸し出し残高としましては、今年度の五百三十五億に対しまして約六百五億ということを予定いたしております。そういたしますというと、日銀の借入金はどうしてもここに十二、三億の借入金を持たなければ、七十億までの貸し出し増が見込み得ないというふうなことにもなろうかと思われるわけであります。一般的には指定預金の引き揚げがどういうふうに動いて参るのか、われわれとしてはできるだけこれを延ばして参りたい、据え置きたいというふうにも考えておりますが、これの動きのいかんによりまして、日銀の借り入れの高がまた増減いたして参るかと思うわけであります。これは一応の貸し出し見込みでございまして、資金需要のいかんによりましては、さらに貸し出しを七十億からふやすというふうなことも考えなければならぬかと思いますが、そうなりますと、勢い現在の状況におきましては、日銀の借入金増加、あるいは債券の発行高をふやすというふうなことによりまして、この辺を調節して参りたいというふうに考えておる次第でございます。  大体最近の金融状況内容は、以上でございます。
  7. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 今伺っただけでは、金融に困っているか、いないかということは、ちょっとわからないのですね。いわゆるよく見ればわかるかもしらぬけれども、たとえば十一大銀行ですか、これは四千何百億貸している、この中小企業資金というのは、何か標準があるのでしょう。どれを中小企業資金と見るか、それはあるでしょう。これはなかなかむずかしいと思うのですけれども、中小企業というものには一体どれだけの資金が要るのか、それがわからないと、ただフルに四千何百億貸したとか、何ぼ貸したというても、その需要が非常に今四千億か五千億になるのであって、足りないということになるのだし、そこが世間では非常に困っていると、こう言うのだけれど、因るか困らないかという質問に対しては、どういう答弁をされるのか。それは非常にむずかしいことだけど、しかし今の説明じゃわからないのだし、銀行でこれだけ貸したとか、あるいは中央金庫その他でこれだけ貸したという話であって、一体需要に対して供給がこれだということを言わないと、多いか少いかということがわからない気がする、これは非常にむずかしいことなんですが、御説明ができましたら……。われわれしろうとがつかむときには足りるのか足りないのか、こういうときにどういうふうにそこらを心得たらいいのでしょうか、あるいは標準がなければないで仕方がない。と申しますのは、昔よく金融機関貸し出しについて制限をしない場合は、調べなくても、つまり借りたい者はやはり中小業者でもいわゆる銀行業者の目から見て、条件に合えばこれは自由に貸し出されますからいいのですけれども、このごろは同じ銀行でも百万円以上の金になると一々日本銀行に届け出なければならないということで、とにかく貸し出しということについて自由でないということはお認めになっているでしょう。今の金融機関で自由でないから、それだから金融が困っているか困ってないかということをいわれるときに、どういう一体標準で足りるか足りないかということを目安をとられるのか、こういう疑問が起るのです。今は何しているからいろいろな程度において、大蔵省日本銀行かしらんけれども、とにかくお互いが金を借りるといってもなかなか自由に借りられないのだな。それだから私はそういう統制化されておったときの中小企業金融というものを考えるときには、一体足りるか足りないかということを何の目安で当局が標準をつけられるかということを、これはむずかしい質問かもしれません。率直にただ私は思いつきを言うのですが、そういう疑問が起るのだが、それに対して御答弁があれはお伺いしたい。
  8. 記内角一

    政府委員記内角一君) 資金がどの程度に不足しておるかということは非常にむずかしい問題でございしまして、われわれここに、お手元に配ったような資金の必要量というのを経済審議庁を中心にいたしまして、経済審議庁の国民経済計算の三十年度の予想から今までにございまする各種の資料を使いまして、一応の試算を大蔵省で行なったわけであります。われわれも一応これに参画はしたわけでございますが、これの可否についてはいろいろ議論もございまするし、これの読み方等についてもいろいろ問題があるわけでございます。こういう計算の仕方もあるというふうな意味で、われわれも一応こういう考え方も成り立つのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。まあ一般的にはこれ以外にちょっと資金量的にこれをどうこうするということはなかなかございません。問題は一般的な、何と申しますか、商品の動き、売れ行き、在庫の状況、それから相場の変動、また具体的には貸出金の伸び、それに対する先ほど御説明申し上げました一般銀行方面での中小企業向けの増減、それからそれ以外の小中企業金融専門機関の資金量動きというふうなものを、各種のものを総合いたしまして、資金が逼迫しておる、あるいは大体不満ではあるが、あまり心配はないというふうなことも考えておるわけであります。特に最近におきましては御承知通り、手形決済が非常に多くなりまして、しかもその手形が非常に長期化する、結局のところ長期化されたもののしりは中小企業の方に向いてくるというふうなこともございまするので、この辺からも判断をいたし、各種の資料を総合的に扱いまして、この資金量を大体の見当をつけるというふうなことをいたしておる次第でございます。
  9. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それですと、やはり三年とか五年とかいう、やはり年限をとらんと、ただ三十年がこうだ、二十九年がこうだというのじゃぴんと来ないのだ。そういうやり方が必要じゃないかと私は思うのですが、それならば相当に年限をとった統計でないと、多いか少いかは私は出ないと思います。これは私の思いつきですが、何か銀行局の総務課長、補足して御説明があれば……。
  10. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) 私銀行局総務課長でございます。銀行局長が出るはずでございますが、ちょっと別の方に出ておりますので……。  今委員長からお話がございましたが、金融と申しますか、お金を借りたいという要求というものはこれはまあいろいろな形で、またいろいろな意味でたくさんあるわけでございますが、広く中小金融といいましても、そのうちでほんとうの意味でいわゆる金融べースに乗ると申しますか、そういった金融が一体どのくらいの必要量としてあるのか、この議論はずいぶん昔から私どももしておったわけでございます。なかなかそういうのを的確につかむ資料がございませんので、お手元に配付されました、本件は実は予算委員あるいは大蔵委員でございましたか、小林委員の方から御要求がございまして、たしか二年くらい前でございましたか、何か作れというお話がございまして、それでやったような次第でございます。今長官から御説明がありましたように、大蔵省それから経済審議庁、中小企業庁、そういうところで、まあこういうところであろうかというふうに相談してみたものでございます。今ちょうどお話が出ましたように、資金需要と申しましても、たとえば商売をやっておりまして、つい家計の方に金を食われてしまって、手元の金が苦しくなって商売がうまくいかんから何とかしたいといったようなそういうお金は考えずに、大体国民経済全体としての規模がどのくらいのいわば発展のスケールを持っていくかというそれから割り出してみて、中小企業なら中小企業というところが在庫がどのくらいふえるだろう、設備をどのくらいふやすことになるだろう、従ってそれに見合う資金需要というものがどのくらいだろう、そういう推算をしてみたわけでございます。もし何でございましたらこれの大体の考え方を申し上げますが、どういたしましょうか……。
  11. 吉野信次

    委員長吉野信次君) どうぞ。
  12. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) それでは御手元に「三十年度中小企業資金需給見込みについて」というのがございますがこれは大体書いてございますように、きわめて問題の多い分野でございまして、なかなか推計はむずかしいのでございますが、大体まあ試算というようなつもりで作ってみました。すなわち今申しましたように、金融ベースに乗り得る有効資金需要を取り上げる、そういう意味がいわば赤字金融であるとか、あるいは救済金融であるとか、あるいはいわゆる消費金融であるとかいうそういったようなものをはずして、結局耐久施設の増加、たとえば工場の合理化のための拡帳であるとか、あるいはその他建物を建てることであるとか、機械を入れることとか、そういう耐久施設の増加と、それから在庫の増加と、そういうようなものが資金需要であるというふうに考える。それから貯金もふえよう、現金の必要性もふえよう、そういうものも要求として考える。それから反対にそれではどうやってそれだけのお金がまかなえるかということを考えると、今度は減価償却という形で利益の中から留保していくものがある、それから自己資本がだんだん利益の中から増加していくという意味で、大きな形でふえていくということがある、そういう意味で自己資本で調達できるもので、それでなお不足するものがあると考えられます。ところがこれを外部資本に頼るものがあると考えますと、それがすなわち金融機関から借りるという形になるわけでございます。もちろん長官から言われましたように、だんだん下請企業でありますために金が入らない、払う方はどんどんしなければならん、お金は一向受け取れないというふうに、売掛がたまってくるという状態が、これが中小企業のみにひどくしわ寄せられますと、その面から一種運転資金の増ということが起るわけでございますが、これは大体売掛と買掛とは個々の中小企業によってはもちろん違うわけでございます。けれども、大ざっぱに大きく見ますならばほぼ見合っておると、こういう考え方で、ここではその資金需要は落すと、こういうふうにして作ってみたわけでございます。そこで今の、一体それでは耐久施設とか在庫とか、そんなものを一体どうやって考えるのだということになって参りますと、これから第二ページ目に入るわけでございますが、結局経済審議庁の方で年間このくらい、たとえば日本の経済は生産があると、その生産が一体どういうふうに分けられていくか、あるいは海外に出ていくものもあろう、あるいは個人の消費に充てられるものもあろう、また財政に吸い上げられて使われるものもあろう、再投資されるものもあろう、そういうふうに国民経済計算というものを審議庁の方で作っておりますが、その中でいろいろ計算をされます資料に、個人企業と法人企業と、あるいはその中の中小企業というふうに分けられまして、それに一体どのくらいの設備投資が、あるいは設備の増が一定規模の国民所得の増の中から見込まれるかというような数字をやっておられます。その数字から大体割り出しまして、この中小企業がどのくらい設備増加するか、あるいは在庫がふえるであろうか、こういう推定をいたしたわけでございます。それからたとえばまた減価償却は、どのくらいふえるかということも、そういった資料から考えてみたわけでございます。それからまたどのくらい自己資本がふえるだろうとか、預金、現金はどうだろうというようなことは、ここに書いてございまするように、これは大蔵省でやっておりますが、法人企業統計というのがございます。全国の法人に対しまして、あるものについては全部、ある部分についてはサンプル調査によりまして、大体その資本構成でありますとか、要するにその中身、バランスの経理状況をとっておるわけでございますが、その企業統計の数字から、大体自己資本や預金、現金というものがどのくらいふえるだろうとか、それは一体設備がふえればどのくらいふえ、在庫がふえればどのくらいふえるというふうな、一応の割合を過去の実績からとりまして、それがまず三十年度にもおそらく考えられる比率であろう、そういうことから考えておるわけであります。  そこでまあ計算になりますのですが、経済審議庁方面の資料によりまして、個人企業、それから法人企業、それぞれの耐久施設の増加額が、ここに出ておりますように、個人では五百七十六億円、法人では五千五百九十億円と、こう出ておりまして、それから今度は中小企業というものが法人の中ではどのくらいの割合を占めておるかということ、このウエートもこれはいろいろのとり方があるかと思いまするが、一応私どもの方で二三%というふうにはじいて、その法人の企業の中で、中小企業と、それから個人企業は全部中小と見て、そこで合せてみますと、大体耐久施設の増加は千八百六十二億円くらいあるだろうと、それから在庫がどのくらいふえるだろうか、これも経済審議庁の数字を使って今のような形でやってみますと、一千七百三億円、これは三ページの一番上の方に出ておりますが、こういう数字になって参ります。そこで預金、現金といったようなものがどういう割合でふえるだろうかというそのふえ方を見てみますというと、大体七百二億円というのが出て参りまして、それから自己資本の増加額というものが八百九十一億円と、こういうふうに見るわけでございます。もう一つ最後に減価償却がどのくらいふえるだろうかということも、同じような計算のやり方をやってみまして千百六十五億円、これだけの数字を作ってみまして、それで三ページの一番下にありますように、お金が要るだろうと思われる方は、耐久施設が千八百六十二億円ふえる、それから在庫の増加が千七百三億円ぐらいふえる、それから手元現金とか、あるいはそれに伴って銀行に置いておく預金というものが七百二億円ほどふえる、計四千二百六十七億円ぐらい資金はふえるのだ。しかしその間自己資本で八百五十一億、減価償却で千百六十五億ぐらい調達するから、結局その差額の二千三百十一億ぐらいを金融機関借り入れに待つことになろうかと、こういう数字を実は出してみたわけでございます。この二千二百十一億というような数字が、一応今年度いろいろ見込まれております、たとえば政府金融機関の先ほど御説明のありました国民、中小両公庫から出る金額、あるいは相互銀行、信用金庫から出るであろうと思われる金額及び全国銀行あたりから中小企業向け貸し出しとして出るであろうと思われる金額、そういったものとほぼ推算としては合うというふうに見られるだろうという、きわめて数学的にも確信のないものでございますし、何らこれでもって足りたとか、もっと余っているとか、あるいはこれでは足りないとか、そういう決定的なものになるわけではないのでございますけれども、やはり何らか一応作ってみたらどうか、そしてそれで曲りなりにもそういったものを作ってみて、これから先大体それに合わせて、うまくいったとか、いかなかったとか、どこがおかしかったとかいう、そういう研究と申しますか検討もこれを機会に一つ始めてみよう、こういうことで、はなはだ何と申しますか、あくまで試算であるというようなことを申して、国会の方に参考資料として御要求によって出したような次第でございます。  大体私どもこれにつきまして申し上げることは以上でございます。
  13. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御質問があればどうぞ。
  14. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと資料を要求したいのですが、業種別の貸し出しの明細がありますが、これの業種別の回収状況というものの資料をいただけますか。
  15. 記内角一

    政府委員記内角一君) 公庫と中金でございますか、あとでまた御相談申し上げて……。
  16. 河野謙三

    ○河野謙三君 この業種別の貸し出しの順位といいますか、こういうものはあらかじめできておるのですか。
  17. 記内角一

    政府委員記内角一君) 特別にはできてございません。ただ指導方針としまして、こういうものに重点を置いてやれとか、こういう方向で、こういう考え方のもとにこの種のものについては融資しろとかいうふうなことの注意を与えておる次第でございます。
  18. 河野謙三

    ○河野謙三君 非常に限られた資金で、業種別にそういう順位を指定する必要はお感じになっておりませんか。
  19. 記内角一

    政府委員記内角一君) 各業種によりましても、その中が非常にこまかく分れる部門もございますし、非常にラフに分れる部門もございますので、これにウエートをつけるといってもなかなかむずかしい点がございます。われわれといたしましては、重点を置くべきものとか、あるいは比較的軽く扱うものとかいうふうな考え方のもとに指導をいたしておりまして、個々の業種についてどうこうというところまでこまかくはいたしておりません。
  20. 河野謙三

    ○河野謙三君 最近の傾向は、大企業、小企業の別なく一面非常に過剰設備がどんどんできておるような状況があるわけですね。特にこういう状況下において中小企業の中に、過剰設備に属するようなものにこういう資金が流れるということにつきまして、政府は十分これを監督指導しなければいかんと思う。そういう点につきまして、私はここに何らかの優先順位というものはもうそろそろつけてよいのではないかと、かように思いますが、そういう点についての考慮は払っておられますか。
  21. 記内角一

    政府委員記内角一君) 御案内の通り中小企業安定法がございまして、特に不況と思われるような業種についてはいろいろな措置が講ぜられることになって、それに対して業種が指定されておりますが、そういう指定業種については特に気をつけて、新設、増設にならんようにという注意を喚起いたしております。それのみならず、一般的にも設備過剰の状況があるから、設備の増設になる、あるいは能力の増大になるようなものはできるだけ避けるように、ただし、取りかえとか、あるいは合理化、近代化というようなものを優先においてやるようにという指導をいたしております。
  22. 河野謙三

    ○河野謙三君 その指導の責任は、商工中金なら商工中金の当事者に全面的に一任しておるのですか、それともその都度通産省が監督官庁としての指導に当っておるのですか、責任の所在はどこにあるのですか。
  23. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは商工中金、もしくは公庫にまかしておるわけです。
  24. 河野謙三

    ○河野謙三君 この段階にきて、はなはだしつこいようですが、従来通り公庫の方にまかしておいて今後ともそれでよろしいとお考えになっておりますか。
  25. 記内角一

    政府委員記内角一君) まあ最終責任ということになりますと、公庫決定する、また中金が決定するということになりますが、それはともかくといたしまして、こういう方向が実現するようにわれわれとしては十分監督をして参りたいというふうに考えております。
  26. 河野謙三

    ○河野謙三君 お手元にはあらゆる資料……、われわれの手元に来ている資料以外のさらにこまかい資料があなたの手元に来ているはずですが、そういうものから検討されまして、私が今申し上げたようなことにつきまして十分私は考慮する余地があるのじゃないか、かように思うのですが、一応私はこの点につきましてはさらに十分御検討願いたいと思います。  なお、私この機会に伺いたのは、業種別でなくて、横に業界を切りまして、卸と小売とどちらに重点を置いておられますか。金融措置をとる場合に卸と小売とどちらに重点を置いておられますか。
  27. 記内角一

    政府委員記内角一君) 特別に重点をどこに置くというふなこともございませんで とにかくいずれも資金的に困っておりますので、それらのことを十分及ぶ限りめんどうを見るように指導いたしております。
  28. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは少し私の意見が入るかもしれませんが、こういう特殊金融機関を作った大きな目的は、できるだけ零細な企業に対しての資金融通、そこに重点を置くということが私は特殊金融機関の目的じゃないかと思います。その場合に私は卸と小売の場合にどちらでもかまわぬ、あらかじめそれについてのウェートのかけ方は区別しないということは、この金融機関の性格から言って少し違いはしないかと思うのですが、少くとも小売にもう少し重点をかくべきじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  29. 記内角一

    政府委員記内角一君) 小売の数は卸よりも非常に多うございますから、自然この方面に相当参る可能性が多いと思います。ただ御案内の通り小売の方はどちらかと申せば現金回収ができる面が非常に多いのでありまして、資金繰り自体から申しましても、ことにいわゆる買手の強い時期でございます。問屋からは品物を手形で、あるいは手形なしに品物を問屋が押しつけて買えというような状況もございます。販売する場合におきましては大体現金回収できておるはずでございます。従いまして資金繰りそのものから見ますと、どちらかといえば小売の方が楽になるという面があるかと思います。ところが卸の方になりますというと、どちらかと申しますと、財力的には大きいものが多い、しかし商品を回転させる、動かして行く面から見ますると、膨大な資金量を要する面もございますので、一がいにはどうこうと申しかねる点があるのじゃないかというふうに考えております。われわれといたしましては小売商ももちろん無視すべきではございませんし、いずれをいずれとも申しかねるわけでございますが、それぞれの事情に応じてあんばいして行くよりほかないかと考えておる次第でございます。
  30. 河野謙三

    ○河野謙三君 かりに卸、小売を同じように見たとしても、この手元にもらいました資料によりますと、卸、小売の運転資金の面を見ますと、卸の方には九十八億の資金が出ておって、小売の方にはわずかに十九億しか出ていない、こういう状況はこの特殊金融機関の性格からいって私は矛盾だと思うのですが、そうお考えになりませんか。これは商工中金の場合の例を申し上げたのでありますが……。
  31. 記内角一

    政府委員記内角一君) 先ほど申し上げましたように、卸になりますというと手形割引その他の面で相当の資金が必要になって参りますが、小売の面におきましては買掛金の方で相当カバーされて参りますので、資金量あたりも比較的少くなる可能性もございますが、しかしわれわれとしても小売商の面を決して無視しておるわけではございません。この方面にも力を入れるように指導して参りたい、かように考えております。
  32. 河野謙三

    ○河野謙三君 無視しておるとは私は申しませんけれども、この数字を見ますと、この数字の陰にはこういうことがあるのです。要するに、いたずらに商工中金なら商工中金というものは、資金回収の安全率というものにのみきゅうきゅうとしておるから、その結果がそういうふうな卸に非常に重点がかかって小売に非常に資金が流れないということになるのですよ。そうじゃないですか。もちろん金融機関でありますから回収の安全率というものを見ることは必要であります。でありますけれども、それだけによってこの資金運転すべきではないと思う。そういうことじゃないですか。私はついでに一つ具体的に申し上げます。一番遺憾に思いますのは……。具体的に例を申し上げます。この卸の部類にはいわゆるあなた方が考えておるような卸ではないものが入っておる。たとえば天下の大商社である三菱商事なり、第一物産というようなものがこの中には入っているのですよ。こういう事実をあなた方は御存じありませんか。そういうものに何でこの特殊金融機関から資金を流す必要がございますか。
  33. 記内角一

    政府委員記内角一君) ここにある貸付の相当部分は手形割引の形で出ておるかと思いますが、その手形割引の分は卸の受け取る手形でございます。その発行者は主として小売商になるかと思います。そうなりますと小売商に直接金を貸して問屋から現金で買うようにするか、あるいは小売商が手形で支払いをする、その手形を中金で割り引いて現金としては問屋の方に回すかということにもなろうかと思うのであります。従いまして卸の方に出ておるからその金が小売の方には回ってないということにも必ずしもならない面もあろうと思うのであります。なお、御指摘のありました三菱商事とかいうような大企業があるというようなお話でございましたが、われわれの方といたしましては、あるいは三菱商事の発行した手形を中小企業者の問屋もしくは小売商あたりが、問屋方面が受け取ってこれを割り引くというようなことはあるいはいたしておるかもしれませんが、三菱商事自身が中金から金を直接受け取るというふうな、段階になってないはすだというふうに考えております。
  34. 河野謙三

    ○河野謙三君 時間がかかりますのでほかの方に迷惑をかけますから、私は端折って申し上げますが、もちろん卸を通しましても小売にその金が流れるのは当り前です。それなら初めから小売の方にやったらいいじゃないですか。なぜ卸を通して小売に流さなければならぬ理由があるかということです。  それから今後段の具体的に申し上げました三菱商事なり、第一物産とかいうような天下の大商社がこの資金の恩典に浴しておるということは、こういう形なんですよ。具体的に申し上げますよ。たとえば三菱商事なら三菱商事というものが自分の取引関係の卸商の組合を作っておるのです。この組合の中に三菱商事の重役なり幹部が加盟しておるのですよ。これ自体が私に言わせれば違法です。三菱商事の名においては入っていない。三菱商事の重役なり幹部が三菱商事の販売機関であるところの卸商の組合を作って、その中に加入しておるのです。これは違法でしょう。同種の組合の中に同種の業者が入るということは私は違法だと思います。そうしておいてその組合が金を借りて、しかも三銭なら三銭の金を借りて、それを今度は組合員に貸すときには三銭の金を五銭で貸しておるという例もあるのです。これは私はむしろあなた方を責めるのじゃなくて、こういう問題についてあらためて十分あなたの、監督官庁としてこれらの機関につきまして詳細な調査をされまして、そうして御報告願いたい、こう思うのですが、しかし調査をされるまでもなく、そういうことは御存じの上なら、なぜそういうことをさしておくか、こういうことなんです。
  35. 記内角一

    政府委員記内角一君) 今御指摘の点は肥料の卸商の問題かと存じますが……。
  36. 河野謙三

    ○河野謙三君 肥料に限りません。
  37. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは大企業もあるいは参加しておる面があろうかと思いますけれども、大企業の分は直接には資金を受けておりませんので、むしろ肥料の場合を具体的に申し上げますと、第一物産なり三菱商事なりが四十五日の手形で品物を渡しておりますが、連合会ではこれを四十五日目に支払資金商工中金から九十日のサイトでもって借りまして、これを四十五日の手形を落すときに使って参るということにいたしております。従いまして組合といたしましては、結局最終的には業者、個々の販売業者でございますが、これは四十五日のサイトの手形とさらに商工中金から九十日の手形、合計百三十五日の手形で延べ払いができるような形になっております。決して商工中金の金を借りてこれを即座に第一物産なり、三菱商事なりに払っておるというふうではないように承知いたしております。従いましてその利益を受けるのはやはり最終の販売業者である。個々の卸屋、問屋、小売屋という面が本来なら即金で払う、あるいは四十五日で払うべきものを百三十五日まで延期できるというふうなかっこうで便宜を得ている、その間に若干手数料等の意味で、金利の問題はあろうかと思いますが、大体そういうふうな便益を得て喜んでおるという状況かと考えておる次第でございます。
  38. 河野謙三

    ○河野謙三君 まあいろいろおっしゃいましたが、私も何もいい加減なことを申し上げておるのじゃないのですから、よくあなたの方でお調べ願いたいと思う。この性格からしてちょっと伺いたいのですが、こういう特殊金融機関資金に対して大企業がその渦中に入ることはお認めになっておるのですか。ただ判を押しませんよ。大商社、大メーカーというものはただ判を押しをせんよ。押すからには押すだけの恩典があるから押しておる。責任料というものを取るわけです。何らかの形でそういう大企業なり大商社が責任料を取る意味においてこれに判を押すということなら、これはもうこのくらい安全な金融はないのですから。何もこういう特殊金融機関に依存しなくても一般の金融機関で、市中の信用機関にその資金の融通は回したらいい。それだけの十分な借用力が持てない、しかも金が借りたい、しかも安い金が借りたいというところにこの特殊金融機関の性格があるのですよ。ただこの特殊金融機関回収の安全率だけを見てどういうところに手を差し伸べてもいい、どういう商社を引っぱり込んでもいい、どういう大産業を引っぱり込んでもいい、こういうふうじゃ私はないと思うのですが、どういうものなんでしょう。あなたの方はそれはただ判を押すだけであって、その連中には何にも利益がいってない、三菱商事には金は貸してない、第一物産には金は貸してない、こう言われますけれども、それは表面的な問題で、内容的には同じことなんです。ただ判を押しませんよ。そんな甘っちょろいことじゃ商売というものはできやしない。この特殊金融機関の性格からいってその賞金の融通の過程においてそういうものを引っぱり込んで一体いいでしょうか。私は性格論です。
  39. 記内角一

    政府委員記内角一君) 本来の建前からいきますればそういうことをいたすのはおもしろくない現象でございますが、ただ最近のような金融情勢のもとにおきましてはそういう原則論だけでも参りませんので結局借りやすいように、手に入りやすいようにということを考えて参るのが第一前提だと考えるわけであります。従いましてそういう場合に双方で納得いたしました場合におきましては場合によって大企業を何らかの形で参画させる、しかしその恩恵を受けるのはもっぱら中小企業であるということのねらいをもってやって参る場合が往々にしてまあ便宜の措置としてあるのもまたやむを得ないと、こういうふうに考えるわけでございますが、たとえて申しますと大企業が下請けになかなか長期の手形でなければ払わない、これはいい悪いは別問題といたしまして一つの常識のようなかっこうに考えております。もちろんわれわれといたしましては下請代金の支払いの促進には努力いたしておるのでありますが、実際問題としてそういうふうになっておりますからこの際に親企業から何らかの支払い保証というふうなものを得ました場合にはその手形を割り引く、あるいは手形まで発行いたしませんでもそれの支払い証明あるいは受注証明等によって中金が単名手形を割り引いていくというふうなことも下請関係の組合を作らせて、そういう便宜をはかっている事例もあるわけでございます。まあ、われわれといたしましては、中金あたりからの資金を簡易に、しかも双方利便を得るやり方としてこれを実施するのであれば、まあ現在のような金融情勢のもとにおきましてはある程度やむを得ないということでこれを認めておる次第でございます。
  40. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はくどく申しますが、いい悪いを別問題としてと言うが、私はいい悪いを別問題にできないのですよ。あなたはいい悪いを別問題にして、悪いかもしれぬが、金の回りの悪い業者に結局金が回ってくるならいいじゃないかと、そういう意味なんでしょう、あなたのおっしゃるのは……。
  41. 記内角一

    政府委員記内角一君) 原則として、建前論から申せば、必ずしもよくはない、しかし現在の金融情勢のもとにおきましてはこれもまたやむを得ない便宜の措置じゃないかと考えております。
  42. 河野謙三

    ○河野謙三君 この中小企業は今のような大資本の裏書きによって金を借りるということは好まないのですよ。何らかの形においてテラ銭を取られるのですよ、好まないけれども。さればといってそういう理屈を言って、あなたのおっしゃるように、あなたのおっしゃっているのは、ちょうど中小企業が言っているのと同じことです。いい悪いは別として、とにかく金を借りなければならないという……、高くても大資本にでも参加してもらって借りたい、こういいことじゃないか。金がないからしょうがない。喜んでこれはそういうことをやっているのではない。そういう資金難に非常にあえいでいる中小企業に対して、国の力によってこの資金を何とか流してやるというのが特殊金融機関の性格でしょう。この性格の特殊金融機関を監督せられるあなたの方で、いい悪いは別問題として、というようなことでは、私はおかしいと思う。あなたは中小企業が大資本が裏書きすることによって何ら犠牲を求めておられない、こういう前提をとられたら大きい間違いですよ。これは先ほど申し上げましたように、だれが責任ある判こを、だれが一文にもならないのに押す者があるか、判を押すなら押すだけの代償があるから判を押すのですよ。これは私ははなはだしつこいけれども、そういうような商工中金なら商工中金を監督しておられる通産省がそういうお考えをとられたら私は大へんな間違いだと思います。一体この金は幾らです。これは三銭ではありませんよ。歩積みの問題もずいぶん無理なことをして取っているではありませんか。担保も取っているじゃありませんか。歩積みと担保でも三銭四厘か五銭になりますよ。ほかに隠れたものがあるのですよ。一体われわれが親心で中小企業に対して、特殊金融機関を作って、そうして資金難の、そうした零細な資金難のところへ安い金を回してやろうということで、これでわれわれは一つ善政をしたいと思っておる、ところがちっとも善政ではない。これははなはだくどいのですけれども、よくても悪くても、いい悪いは別として、今の制度を認める、今の運用を認める、こういうことでどこまでもあなたは商工中金の現地の運用を認められますか。
  43. 記内角一

    政府委員記内角一君) われわれといたしましては、本来の姿に帰ることが一番望ましいと思っておりますが、そういうふうな場合で業者の方が簡便に借りられるということであれば、ある程度のやむを得ない面も出てくるかと思います。  今、すぐこれを全廃するのもいかがかというふうに考えておる次第であります。
  44. 河野謙三

    ○河野謙三君 どうして全廃できないんでしょう。私はこの際申し上げますが、卸なんというものは極端にいえば、金があるから卸なんですよ。資金を融通するから問屋さんなんです。その資金の融通力のない問屋さんなんて意味がない。資金の融通力がないからといって、こういう特殊金融機関に依存して資金を借りる問屋さんなんというものは問屋さん本来の性格からいっておかしいのですよ。僕は冒頭に望みますけれども、なぜ小売屋さんにもっと重点を置いてこの資金運用をやらないか、御屋さんには九十八億の金を貸して、小売屋さんには二十億に満たない金を貸しおる。こういうことはこの運用からいって間違いですよ。そうではございませんか。私はどうしてもこの問題は納得がいかない。卸屋さんの性格についてあなたはどういうふうに考えるのですか。私は卸を否定するものではありません。ありませんけれども、卸というものはこういう特殊金融機関に依存しなければ営業がやっていけない、営業がやっていけないというのならば一体卸としての存在価値があるでしょうか。
  45. 記内角一

    政府委員記内角一君) 卸の本来の昔の機能は、ことに金融面を担当するという面が相当大きかったのでございますが、インフレ後の日本の経済は、すべてが、何と申しますか、貧乏になっておりまして、いわばオーバー・ボロウィングの状態が常識のような形になって来ております。従いまして卸といえども昔のような十分な機能を果し得ないというのが実情じゃないかと思っております。従いまして大卸を、これを相手にするのならばともかくも、中小の卸であればやはり中金としても多少扱わざるを得ないのじゃないかというふうに考えております。
  46. 河野謙三

    ○河野謙三君 ですから私は卸を否定するものじゃありませんがね。一文で卸というものは一体やれるものでしょうか。先ほどあなたは例を言ったが、四十五日は製造会社が貸す、四十五日は卸は資金は要らない。あとの九十日は商工中金の金になっておる。四十五日と九十日を足すと百三十五日になる。その間は金は何も要らない。それよりも小売業者に資金を回すことによって、そういう九十日とか百三十五日の取引をもっと縮めることによって、四十日とか三十日で取引ができるように、小売業者にこの資金を融通すること、それが合理化じゃないか。そういうところに金を使ってこそ初めて特殊金融としての性格が生きて来るのじゃないでしょうか、そうじゃないでしょうか。
  47. 記内角一

    政府委員記内角一君) 今御指摘になりました肥料商あたりになりますと、まだ末端の小売商の整備も十分にできていないような面もあろうかと思うのでありますが、そこまで至っておりませんが、こういうものは漸次整備していかなければならないのじゃないかと考えております。なお、現在の段階におきましても、その分自体につきましては、まあまる抱えのようなかっこうに相なっておりますが、われわれの承知いたしておりますところでは、これは扱い高のごく一部であって、そのほかにこの資金によらないでいわゆる自己資金もしくは一般市中からの借り入れ等によって相当部分が取引されておる。商工中金でやって参ってまる抱えのような形をとっておりますのはその一部だというふうに承知いたしておりますので、全部無資本、無資力で一つ全部これを国家資金によって、あるいは中金の資金によってやっているというふうには思われませんので、さしあたってはこういう制度もやむを得ないかというふうに考えておる次第でございます。
  48. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は結論として申し上げます。私が今まで指摘したことにつきましては、一切あなたは現在通り運用において差しつかえないと、私が今申し上げたことにつきましては注意として受け取る価値もないと、こういうことですか。それとも今後私が今申し上げたような線に向って、いつまでとは申しません、今後私が申し上げた線に沿って特殊金融機関としての性格を生かしていく、改善していくという、こういうことに同意されますか。
  49. 記内角一

    政府委員記内角一君) 今のは権道でございますので、一日も早く本来の姿に返していくことをわれわれとしても希望しておるわけであります。従って先生の御指摘の方向に一日も早く持っていきたいというふうに考えております。
  50. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかにこの件について御質問ございませんでしたら……。
  51. 小松正雄

    ○小松正雄君 二、三お伺いしてみたいと思いますが、この中小企業金融公庫の金利、または商工中金の金利、これは昭和二十九年度において金利の引き下げ等行なっておりますか、どうですか。
  52. 記内角一

    政府委員記内角一君) 二十九年度には行なっておりません。で、まあケース・バイ・ケースに若干のアローアンスをもって個別的には引き下げている面もあるようでありますが、制度的にこれを引き下げるということはいたしておりません。最近一般市中金利も下げるという情勢にありますので、私どもとしてはできるだけこれを下げるように努力いたすように目下話し合いを進めている次第でございます。
  53. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、この地方銀行には政府の金利引き下げ実行に伴う指令を出されて、現に二十九年度個人的借入金等に対する手形の割引等についても、金利をたとえば百万円以上は一銭八厘ないし二銭九厘であったのが二銭六厘に引き下げる、商工中金あるいは中小企業金融公庫、こういったものの特殊な貸付の取扱いでなければならないものが、地方銀行でさえも政府命令によって下げているということが実例によって……、それが今日まで下げられていないということはどういうことなんですか。
  54. 記内角一

    政府委員記内角一君) 御承知通り商工中金は大部分が商工債券をもって資金をまかなっておりますが、商工債券は預金部で引き受けましても八分五厘、市中銀行その他一般市中から公募いたしますと、手数料等を勘定いたしますと、約九分近い利子になるわけでございます。従いまして目下短期のもので三銭、長期のもので一割三分というような比較的高い金利になっております。われわれといたしましては、いつまでもこういう状況を続けていくわけにも参りませんので、中金自身の企業努力によってある程度これを下げさせたい。またたとえば一般の金融金利の引き下げ、あるいはできますれば預金部資金の金利の引き下げというふうなものも加味いたしまして、できるだけ早くこれを表面金利におきましてもはっきりした姿で下げさせたいということで、目下いろいろ努力いたしている次第でございます。
  55. 小松正雄

    ○小松正雄君 この商工中金の窓口その他についてもいろいろお尋ねしてみたいと思いますけれども、時間も何でございますから一、二だけにいたしますが、商工中金は、たとえば私どものところの福岡県は別にあるのですが、その他の県においては復興金融金庫か、そういったようなところだけで取扱っているのですか、興銀で取扱っているところが非常に多いということも聞いておりますが、どうですか。商工中金の金を貸す窓口、出先機関がないということです。
  56. 記内角一

    政府委員記内角一君) 商工中金は全国に五十九の店を持って、少くとも各府県一ヵ所支店を持ちまして直接貸し出しをいたしております。従いましてほかの店を使用いたしておりませんが、中小企業金融公庫におきましては、これはもともと代理貸しといたしまして、各金融機関の窓口を使って、ここを代理させて貸すのを建前にいたしておりますので、現在金融機関といたしまして四百、窓口を合せますと二、三千あるいは五千とも言われておりますが、そういう店舗で貸付の事務を取扱わせているわけでございます。あるいは今御指摘の面は、中小企業金融公庫の問題とも思うのでございます。まだ日も浅く、また事務的にも、直接店を持つとなりますと大へんな人数を要するということにもなりまするので、原則はやはり代理貸しの制度でいきたいと存じまするが、今年度からは、一部直接、店舗の近いところにおきましては直接貸しも補完的にやって参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  57. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで、この預金部資金の金利等の引き下げをしてもらいたいというようなことは、これはもうただいまここで私の申すまでもなく、この問題の出るたびごとに常に言われておると思いますが、一向にそれが行われていない。そういうことは、これを取り扱っておった商工中金の出先機関などでも、非常にこれを苦にしておる。苦にしておるということは、商工中金が特殊な金を貸す立場にありながらも、地方銀行よりも金利が高い、こういうことでは組合指導の企業に対して非常に私どもも恐縮するというようなことを支店長あたりでも言っておることを聞いたのですが、預金部資金等の金は相当大幅に引き下げて、特殊な扱いである商工中金に対してそういったことに取り計ろうというようなことは、今三十年度の予算に関連して申し入れをしようとかなんとかという考え方を持っておりますか。
  58. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは単に今年ばかりでありませんで、長年にわたって大蔵省と折衝いたしておるわけでございますが、まあこれが一例になりますと、預金部資金の性格上いずれも必要な方面に流しておりまするので、各面とも下げていかなければならず、下げるとなると、預金部資金としては採算上これが非常な負担になるというふうな意味合いもあろうかと思うのでありまするが、なかなか両者意見が合するまでに至っておらないのを残念に思っております。
  59. 高橋衛

    ○高橋衛君 一、二点ちょっとお伺いしたいのですが、中小企業金融公庫法改正の案の中に、今まで日本開発銀行から借りておったものを産業投資特別会計からの出資に振りかえるという点が一つの重要なポイントになっておるようでありますが、この点につきましては、開発銀行から債権の承継をしたものにつきましては利子を払っておるのであります。この資料によりますと、年三分というものを払っております。今回産業投資特別会計に移しかえをいたしました場合に、支出をいたしました場合には、政府出資に対しては、何と申しますか、配当でありますか、そういうふうな性質のものを出す御予定でありますか、それとも全然そういうふうなものを予定しておられませんか。
  60. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは出資とはなっておりますが、納付金の形で、差引利益金は全部納付するということに相なっております。従いましてその出資に対する、何と申しますか、配当といいますか、あるいは金利相当分というふうな観念ではございませんで、差し引きした剰余分を納付するというかっこうをとっております。
  61. 高橋衛

    ○高橋衛君 剰余があったら納付するという建前にいたしますると、普通そういうような建前にいたした場合においては、多くの場合、まあ日本銀行等の例外はございまするが、納付する金がないということが結果におけるところの実績かと思うのでございまするが、その辺の見通しはどういうふうになっておりますか。
  62. 記内角一

    政府委員記内角一君) 今年の公庫の例を申し上げますと、全然納付する必要のないような状況に相なっております。
  63. 高橋衛

    ○高橋衛君 なお、先ほど小松委員の質問されました商工中金関係についての質問を申し上げたいのでありますが、商工中金は、お話の通り主として商工債券によって資金繰りをまかなっておる。その商工債券は預金部で引き受けておるものが一部で、他は民間で消化さしておるのでございますが、その民間で消化さしておるもののうち、一般個人が買い入れておるものと金融機関が持っておるものとの区分はどういうようになっておりますか。
  64. 記内角一

    政府委員記内角一君) 割引債券は、大部分を個人もしくは一般法人が持っております。そのほかに、利付債券につきましても個人及び一般関係も相当ございまして、二百二十六億の利付債券のうちで約五十億足らずが一般法人及び個人の所有ということに相なっております。総計いたしますと、割引債券、利付債券合計いたしますと約三四%、三五%近いものがそういうふうな形で所有されております。
  65. 高橋衛

    ○高橋衛君 そういたしますると、三五%程度が一般に消化されておるのであって、その他は金融機関等が保有しておる、こういうように考えてよろしゅうございますか。
  66. 記内角一

    政府委員記内角一君) その通りでございます。
  67. 高橋衛

    ○高橋衛君 私は先ほど、この中小企業金融公庫についての開発銀行からの産業投資特別会計への振りかえの問題について、三分の利子を事実上は払わなくなるような結果になるだろうということを申し上げたのも、この問題も、同じような趣旨から質問申し上げておるのでありますが、御承知通り商工中金は、ものによっては三銭四厘というような非常な高いところの金利でしておられるのであります。今回政府は、税法の改正におきまして、従来滞納の場合におけるところの延滞利子税を、従来は四銭でありましたものを今回は三銭に引き下げたのであります。これは、滞納につきましては一般の市中金利よりはより高くして、そして滞納の場合に早く納めた方が得だというふうな、滞納を整理するための促進的な要素を必ず入れてあの金利というものは考えて規定して来たのが明治以来のずっと伝統的な方針であります。しかるに、その三銭よりも高いところの商工中金の金利でもってなお今後も続けていこうということであれば、これは非常に驚くべきことである。のみならず、ただいまも申し上げましたごとく、六五%というものが金融機関によって保有されておる。金融機関の金というものは、御承知通り、預金コストは大体統計によりますと三分六厘から三分七厘ということに相なっております。こういうふうな商工債券、利付でありましても割引でありましても、こういうふうなものを保有する場合におきましては、これに関連するところの経費はほとんどゼロに近い。従ってそれらのものをもっと引き下げるということが可能であるのじゃないか。もちろんこれは一般に消化させることが目的であり、金融機関に保有させることが目的じゃないのでありますから、一般がどんどん消化できるというような状況にならなければ、この点はそういう問題も残るわけでありますが、しかしながら、これだけ高くても三分五厘しかいかない。ところが金融機関の保有する場合においては、金融機関としては相当これによって利益が得られるというようなことになりますればこれは、非常に邪推かもしれませんが、金融機関の保有することによって非常に有利な債券であるから、金融機関が保有するものを一般民間に消化せしめるだけの努力を怠る結果こういうことになるんじゃないか。また二面から申しますると、預金部資金で持っているところの債券については八分五厘という利子をつけているわけです。この八分五厘の利子もやはり一般の金融機関または一般に消化せしめるところの利付債券なり割引債券の利率にバランスをとってきめたような状態であります。これらのものは預金部で引き受ける際におきましては、これまた預金部自体としてもコストのかからぬところの処分をしなければならん。従ってもし一般の債券について相当金利が引き下げることが可能であるならば預金部についてもある程第それとバランスをとってやれるのじゃないか。従ってそういうふうな面から政府としてはこの際滞納の利子税についてすら三銭に下げられるというような事態になっている点から考えますれば、こういうふうな点も画期的な思い切った方針の改善をされ、そうしてこれらのコストの減によって貸出金利の引き下げをするというのが必要じゃないかと私は考えるのですが、その点についての政府の御見解を伺っておきたいと思います。
  68. 記内角一

    政府委員記内角一君) 先ほど個人の利付債券の所有四十億と申しましたが四億でございます。けたが違っておりました。従いまして利付債券の一般保有は約二%くらいに相なります。割引債券は九五%が個人所有ということになっておりますので、トータルにいたしますると全体として三四%、ただしそれは預金部の分も含めておる数字に相なります預金部を除きますと全体で六二%が銀行及び個人等の保有、預金部の分が三七%ということになっております。今の金利の問題でございますが、もちろん一般金利水準が下って参りますれば、金融債の金利も当然下げるべきで、大蔵省の今回の金利引き下げもそういう点をねらっておられるだろうと思います。そういうことになって、これが十分消化できるということに相なりますれば、当然これに応じて金融債の金利の引き下げをやって参りたいというふうに考えております。また大蔵省の理論を踏襲いたしますれば、そういうふうになりますると、預金部資金自身も現在の建前ではいつでも一般に売買できる、一般金利と同じ率で預金部債券を引き受けなければならんというふうな法律の建前になっておりますが、その法律の建前をそのまま踏襲いたしましても、一般金利水準の引き下げにからめれば当然金利も引き下げ得るというふうに考えております。われわれとしましてはそれ以上にも預金部資金は引き下げてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。
  69. 高橋衛

    ○高橋衛君 この問題は金融に関連しての監督の責任は大蔵省にあるのではないですか。そういうような問題につきましてどっちなんですか。
  70. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは大蔵省と通産省との共管でございますが、ただ金利がどの程度持っていけば消化できるか、折角金利を安くしましても消化できなければ何にもなりません。そういうことは実はわれわれよりも大蔵省の方がよくわかっているかと思います。主としてこの意見を尊重いたしておる次第でございます。
  71. 高橋衛

    ○高橋衛君 そうであれば一つ大蔵省の方からいずれ日をあらためて御質問いたしたいと思います。  それからもう一点。先ほどの、中小金融公庫につきまして三%の利子を払わなくて済むようになるという場合に、それは中小企業金融公庫の事務費にお使いになるつもりか、金利の引き下げにお使いになるつもりか、それをお聞きしたい。
  72. 記内角一

    政府委員記内角一君) 中小企業金融公庫の金利は現在一割になっております。しかもこれは一年以上の長期資金ということに相なっておりますので、一般の金利、ことに興銀、長銀等の金利から考えますれば必ずしも高くないというふうに存じておるわけでございますが、われわれといたしましては、この面につきましても何らかの措置で、できれば下げるというような方向で目下検討いたしておる次第でございます。しかし今の問題はそれとは別個に考えてみたいというふうに考えております。
  73. 高橋衛

    ○高橋衛君 くどいようですが、その三%は、六十数億に対する三%ですね、どこにお使いになるのか、端的に……。
  74. 記内角一

    政府委員記内角一君) 結局貸し出し財源として使って参るつもりでございますが、ただ収支の最後のしりになって参りまして、これが剰余金となりますと、政府に納めなければならぬということになろうかと思います。
  75. 高橋衛

    ○高橋衛君 剰余金としては納付をする状態ではないという先ほどの御答弁ですが、また金利引き下げにお使いになるおつもりか、貸し出し資金としてお使いになるおつもりか、そういう場合においては、普通事務に使われておる商工中金の、あまりぜいたくをする結果になるのが普通ではないか、こういうふうな六十数億の三%は、わずかな金ではございませんので、商工中金の事務費の上から、率から言うと相当大きな金です。これについては具体的にどう使うかというはっきりしためどをわれわれにお示し願わぬと、何もできぬのではないか、その点。
  76. 記内角一

    政府委員記内角一君) ただいまのは商工中金ではなく、中小企業金融公庫だと思います。
  77. 高橋衛

    ○高橋衛君 あっそうです。
  78. 記内角一

    政府委員記内角一君) 金融公庫の経費についてば、予算でしばられております。従いましてそういう面から出て参ります利付、あるいは運転資金ということになるわけでありまして、経費として中小企業金融公庫は自由に処分することはできない建前に相なって、一般国家予算と同じに国会の承認を経るわけですから、そういうおそれはないと存じております。
  79. 高橋衛

    ○高橋衛君 くどいようですが、これを金利引き下げに剰余金をお使いになるというこにはお考えにならないですか。言いかえれば、現在の一割という金利も、興、長等の場合に比べるとそう高くないという御答弁ですが、そういうことから考えると、その必要はないと御判断しておられるのですか。その点の御趣旨を伺いたいと思います。
  80. 記内角一

    政府委員記内角一君) 今の金利一般の引き下げ問題ともからみまして、いろいろ検討をいたしておる次第でございます。まだ最終的な結論まで至っておりません。引き下げることの可否、引き下げるとすれば、どの辺までというような点について慎重に検討いたしておる次第であります。
  81. 高橋衛

    ○高橋衛君 私のお尋ねしているのは、この金を金利引き下げの対象にお使いになる意思がないかということをお伺いしておるのです。
  82. 記内角一

    政府委員記内角一君) もし引き下げるとすれば、当然財源になると思います。
  83. 高橋衛

    ○高橋衛君 もう一点だけお伺いしたいのですが、政府当局としては監督上、商工中金の金利が相当高いのでありますが、この金利が、先ほどお話しましたように、滞納税金についての利子税よりも高くなっておるという現実をどういうふうに感じておられますか。
  84. 記内角一

    政府委員記内角一君) われわれ商工中金の金利も非常に高いということを苦慮いたしておるのでありまして、これの引き下げについては、かねがね検討させておるわけであります。政府の手段のいかんにかかわらず、商工中金自身の企業努力によってこれを引き下げるようにということで、目下打ち合せを進めておる次第であります。
  85. 高橋衛

    ○高橋衛君 何度もお聞きいたしますけれども、商工中金の企業努力というお話は、商工中金の経費は、先ほどの御説明によると、すべて予算によってきまるということであります。従ってもしも企業努力をするといっても、予算上において出せるという数字が出て来ないと、そういう結果にならない。従って予算上それだけの経費を節減したということが出て初めて金利を下げるという財源にも使える、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  86. 記内角一

    政府委員記内角一君) 予算になりますのは、金融公庫の問題でございまして、商工中金自身は経費は予算には関係ない問題であります。従いまして予算面には表面現われて参りません。もっぱら商工中金自身の企業努力によって下げさして参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  87. 小松正雄

    ○小松正雄君 商工債券といいますか、商工債、これに対する配当は年何分やっておるわけですか。
  88. 記内角一

    政府委員記内角一君) 商工債券自身は、いわゆる利付債券につきましては八分五厘、それから割引債券につきましては、いろいろ手数料その他経費がかかりますので、いずれも大体九分足らずの利子に相なっております。
  89. 小松正雄

    ○小松正雄君 中金の年間の収入、それから支出、要するに今のような配当等入れ、事業経費ですね、そういったものがわかりますか。
  90. 記内角一

    政府委員記内角一君) 昨年度の決算が最近まとまりまして、近く総代会に付帳決定を見る予定でございますが、それによりますると、表面利益が二十億でございますが、これからいろいろな償却その他を差引いたとしますと、当期の去年一年の純益金は、三億一千八百万円というふうに相なっております。
  91. 小松正雄

    ○小松正雄君 さらにお尋ねしますが、商工中金というものは大体に常利を目的とすることでありますか、あるいは民衆のための零細企業を救おうとする、要するに政府機関としての、実際問題としてはそういう常利を目的とすることじゃなくて、ただ年末で一年間の収支計算をした場合にはそういった収入の出るようなことでない取扱い方法をされる特殊なものなりと考えておられるかどうか。
  92. 記内角一

    政府委員記内角一君) 商工中金は、民間出資政府出資の機関でございますけれども、本来営利を目的とすべき筋のものではございません。従いますして、その配当におきましても、法律で年六分以内というふうに規定されておる次第でございまして、高率配当は当然許すべきものではございませんで、そういう余裕金があれば、これらを一部は逆転資金として貸し出しに充てるべきであり、内部留保して貸し出しに充て、あるいはまた先ほどからお話のありましたような金利の引き下げに使うべきものだというふうに考えておる次第でございます。しかし現在の配当自身は、最近やっと配当ができるようになりまして、年五分ということに相なっております。
  93. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、商工中金が開設せられてから昨年までの間の大体の収益といいますか、商工中金というものが開設されてそして去年までの、二十九年度のこの報告までの間の収益と申しますか、実際問題として、現金はないが建物等によって相当大幅に大きく財産ができておるという話を私は聞いておりますが、どうですか。金額に見積って。
  94. 記内角一

    政府委員記内角一君) 従来の配当を見ますというと、戦争の初めごろに若干の配当があったかと思いますけれども、ほとんど無配で終始して来ておったわけでございます。ごく最近になりまして配当がやっと五分できるような状態に立ち至ったわけでございます。ただ、店舗の配置等から見ましても、以前におきましてはごく少数の府県に出張所というふうな形で、ごく小人数で事業をやって参っておりましたが、最近の中小企業金融難その他にかんがみまして、ここ数年来、二、三年来急激に膨脹いたしまして、人員、事務所の数等も先ほど申し上げましたように各府県一ヵ所以上というふうに増加いたしまして、また人員も急激に増加いたしましたので店舗等の新築、あるいは増築、買い入れというふうなものが相当最近進んで参ったのでございます。これは今の状況から見ますというと、まあある程度必要なものではないかというふうに考えておる次第でございます。
  95. 小松正雄

    ○小松正雄君 あまり長くなりますから、またこれは引き続いてやっぱし調査されるのですか。どうですか。
  96. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ええ、まだ次回にわたってこの問題についてもう少しやりたいと思っております。
  97. 小松正雄

    ○小松正雄君 じゃ、そのときに……
  98. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 高橋君からこの間御要求のありました資料が出ておるようですけれども、次回にどうせまた御質問あるだろうと思いますから、そのときまとめて当局のまた補足的な説明を聞いてれそでよろしゅうございますか。
  99. 河野謙三

    ○河野謙三君 資料を一つ。先ほど資料要求で業種別の回収状況を御要求になりましたが、別に本部、支部別の、これは本部、支部と言うのですか。
  100. 記内角一

    政府委員記内角一君) 本所支出と言います。
  101. 河野謙三

    ○河野謙三君 本所、支所別の回収状況というのは出ますか。
  102. 記内角一

    政府委員記内角一君) 支所別の回収状況はあるいはわかるかと思いますが、支所別の事業別のやつはあるいはむずかしいのじゃないか、そういうふうに考えますが、なお先生とあとでお打合せしたいと思います。
  103. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、ここでけっこうです。支所別の事業別は要りません。支所別、それから本所支所別、これを一つ資料をちょうだいしたい。  それからこの機会にちょっと一言だけ御説明いただきたいのですが、本所貸付と支所貸付とはどういう、区分でやっておるのですか。これは貸付金額一口何万円以上、何万円以下というようなことで本所扱い、支所扱い、こういうふうになっておるのですか。この本所と支所の貸付の区分はどういう基準でやっておられるですか。
  104. 記内角一

    政府委員記内角一君) 原則として各店舗別に扱うことにいたしております。本所、は本所の中に営業部というのがございますが、これは東京都内のものを扱っておりますので、まあ本所はいわば東京支所とも申すべきものであります。各支所からある限度以上のものは本所へいろいろ打ち合せがございますから、これを本所で一括していわゆる審査をいたしておるわけでございまして、諾否を決定いたしております。従って本所の中には、全国を統轄する審査の面とそれから東京都内を統轄する営業部と両方に分れておるわけでございます。
  105. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、東京本所は東京支所の業務ですか。そうすると原則として本所の貸付というものはないということですな。
  106. 記内角一

    政府委員記内角一君) 本所の中の営業部以外には貸付はやっておりません。
  107. 河野謙三

    ○河野謙三君 本所の中の営業部というのは東京支所のことをやっておるのですか。
  108. 記内角一

    政府委員記内角一君) そうです。
  109. 河野謙三

    ○河野謙三君 ですから、本所の貸付というものは原則としてないと、こういうわけですな。
  110. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 他に御発言がなければ今日はこの程度にいたしたいと思いますが、ちょっとお諮りしたいと思うのですが、自転車競技法等の臨時特例、あれは御承知通り……。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  111. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは速記を始めて。  では本日はこの程度で散会をいたします。    午後四時十一分散会